JP2003138213A - 表面改質膜用組成物、表面改質膜、表示装置用フィルター及び表示装置 - Google Patents

表面改質膜用組成物、表面改質膜、表示装置用フィルター及び表示装置

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JP2003138213A
JP2003138213A JP2001341437A JP2001341437A JP2003138213A JP 2003138213 A JP2003138213 A JP 2003138213A JP 2001341437 A JP2001341437 A JP 2001341437A JP 2001341437 A JP2001341437 A JP 2001341437A JP 2003138213 A JP2003138213 A JP 2003138213A
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film
composition
modified film
solvent
group
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JP2001341437A
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English (en)
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Seikichi Ri
成吉 李
Makoto Inoue
誠 井上
Hirofumi Kondo
洋文 近藤
Hideaki Hanaoka
英章 花岡
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学用品の透明基材上に、はじきが無く均一
に塗布できる表面改質膜用組成物および該組成物により
ムラなく成膜される汚染性、表面滑り性、耐磨耗性等の
優れた表面改質膜を提供する。 【解決手段】 パーフルオロポリエーテル基を有するア
ルコキシシラン化合物と、沸点が70℃以上、240℃
以下のフッ素化炭化水素系溶媒とからなる表面改質膜用
組成物を透明基材1上に形成された反射防止膜3の上に
塗布して成膜する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた耐汚染性、
耐擦傷性、耐磨耗性等が要求される光学用品の透明基材
上に適用される表面改質膜用組成物、およびこれにより
成膜される表面改質膜に関する。
【0002】
【従来の技術】透明基材を介して対象物を見る際に、こ
の透明基材表面での反射光が強い場合、あるいは反射像
が明瞭に視認される場合等は、対象物が見難く、また煩
わしいものである。身近な例として、眼鏡レンズではゴ
ースト、フレアと呼ばれる反射像を生じ、着用者に不快
感を与える。またショウウィンドウや陳列ガラスケース
では、ガラス表面での反射光や反射像のため内容物が判
然としない。このような例は、陰極線管(CRT)や液
晶パネル、PDP(Plasma Display P
anel)、あるいはEL(Electro Lumi
nescence)パネルのような表示装置のパネルガ
ラスでも発生する。
【0003】従来より上記したような反射防止のため
に、透明基材と異なる屈折率を有する光学材料を透明基
材上に薄層状に形成する方法が採られてきた。この場
合、反射防止膜の膜厚の選択が重要である。例えば単層
の反射防止膜では、透明基材より低屈折率の光学材料
を、その光学的膜厚が対象とする光波長の1/4ないし
その奇数倍に選択することにより、極小の反射率と極大
の透過率を与えることが知られている。ここで、光学的
膜厚とは、被膜形成材料の屈折率とその膜厚との積であ
る。反射防止膜の材料は、主として無機化合物からなる
誘電体材料、例えば無機酸化物や無機ハロゲン化物が採
用される。
【0004】また、複数種の誘電体材料を多層に形成す
る場合もあり、各層の層厚の選択については、例えば
「光学技術コンタクト」Vol.9,No.8,p.1
7(1971)にいくつかの提案がなされている。ま
た、これら誘電体多層膜を液状の塗布組成物を用いて形
成する方法は、例えば特開昭58−46301号、特開
昭59−49501号、特開昭59−50401号の各
公報に開示されている。近年においては、軽量、安全
性、取り扱いの簡易性の点から、プラスチックス製の透
明基材上に反射防止膜を形成した光学用品も実用に供さ
れており、それらの多くは反射防止膜として酸化ケイ素
を含む誘電体薄膜が採用され、これらは蒸着やスパッタ
リング等の真空薄膜形成技術を用いて成膜される。
【0005】これら真空薄膜形成技術を用いて、透明基
材上に成膜される反射防止膜は、無機化合物を主体とし
ており、高い表面硬度を有する反面、指紋、手垢、汗、
整髪料(ヘアーリキッド、ヘアースプレー)等の汚れが
付着して目立ちやすく、また付着した汚れが除去し難い
という欠点がある。また、表面の親水性が大きいため、
雨滴や水の飛沫に対する濡れ性に富み、眼鏡レンズ等に
おいては大面積にわたって物体が歪んで見えるという難
点がある。
【0006】また反射防止膜に高い表面硬度を付与する
ため、最表層にシリカ微粒子等の無機微粒子を30重量
%以上含有させる構成が、先に例示した特開昭58−4
6301号、特開昭59−49501号、特開昭59−
50401号の各公報に開示されている。かかる微粒子
分散型の反射防止膜は表面の滑り性が悪く、布などとの
摩擦によっても容易に傷がつく可能性を有する。
【0007】これらの問題点を改良するため、各種の表
面処理剤が提案され市販されている。これらの表面処理
剤は、いずれも水や各種溶剤に可溶性であるので処理被
膜が剥離し易く、その機能は永続性がなく一時的で耐久
性に乏しい。また、例えば特開平3−266801号公
報には、反射防止膜に撥水性を付与するため、フッ素系
樹脂被膜を形成する技術が開示されている。この場合に
は溶剤可溶性はなく、撥水性は増すが、摩擦あるいは磨
耗に対する満足な結果は得られない。
【0008】一方、フッ素化合物を溶剤に溶解した組成
物を用いることが一般に行われている。例えば、フッ素
化合物としてパーフルオロポリエーテル基を有するアル
コキシシラン化合物を用いた場合、被膜形成により分子
中のアルコキシシラノ基が基材上の反射防止膜材料のS
iO2との強固な相互作用を持つことにより耐溶剤性が
向上し、磨耗性の大幅な向上がみられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、パーフ
ルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物
を炭化水素系溶媒やアルコール系溶媒に溶解した組成物
を透明基材上に塗布して表面改質膜を形成する際に、溶
媒の乾燥過程でフッ素含有アルコキシシラン化合物が塗
布面ではじかれて球状になり易い。その結果、成膜され
る表面改質膜には塗布ムラが生じ易く、均一な被膜を形
成することが困難となり、それが原因となって耐汚染
性、目視による外観不良、化学安定性等の諸特性に悪影
響を及ぼすことがわかった。
【0010】本発明は、このような実情に鑑みてなされ
たもので、耐汚染性、撥水性、滑り性、耐擦傷性、耐磨
耗性等が要求される光学用品の透明基材上に適用される
塗布性および乾燥性に優れた表面改質膜用組成物、およ
びこれにより成膜される塗布ムラのない表面改質膜を提
供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1の発
明は、下記一般式(1)で表されるアルコキシシラン化
合物と、沸点が70℃以上、240℃以下のフッ素化炭
化水素系溶媒とからなることを特徴とする表面改質膜用
組成物である。
【0012】
【化5】 (R3O)3Si−R2−R1−CO−Rf−CO−R1−R2−Si(OR33 …(1)
【0013】式中、Rfはパーフルオロポリエーテル
基、R1はO、NHまたはS、R2はアルキレン基、R3
はアルキル基を示す。
【0014】本発明の組成物に含有されるフッ素化炭化
水素系溶媒としては、ハイドロフルオロポリエーテルま
たはハイドロフルオロカーボンが好ましい。ハイドロフ
ルオロポリエーテルまたはハイドロフルオロカーボン
は、一般式(1)のアルコキシシラン化合物に対して溶
解性が優れており、とくにハイドロフルオロポリエーテ
ル溶媒はアルコキシシラン化合物の分子中に含まれるパ
ーフルオロポリエーテル基と分子構造的になじみが良い
ため本発明の組成物の溶媒として好適である。
【0015】さらに、請求項4の発明は、前記一般式
(1)で表されるアルコキシシラン化合物と、沸点が7
0℃以上、240℃以下のフッ素化炭化水素系溶媒とか
らなる表面改質膜用組成物を用いて透明基板上に成膜さ
れてなることを特徴とする表面改質膜である。
【0016】ここで、前記の一般式(1)で表されるア
ルコキシシラン化合物が分子中に有するパーフルオロポ
リエーテル基Rfの分子構造としてはとくに限定される
ものではなく、各種鎖長のパーフルオロポリエーテル基
が含まれるが、下記一般式(2)で表されるような分子
構造のものが好ましい。またRfの平均分子量は500
〜10000であることが望ましい。
【0017】
【化6】 −CF2(OC24p(OCF2qOCF2− …(2)
【0018】式中、p,qは1以上の整数を示す。
【0019】本発明の表面改質膜用組成物、および該組
成物により成膜される表面改質膜に用いられるパーフル
オロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物
は、両末端にエステル基を有するパーフルオロポリエー
テル化合物とアルコキシシラン誘導体を反応させること
により合成することができる。合成されたアルコキシシ
ラン化合物は、表面改質膜用組成物として使用する際に
は、組成物の安定性、被塗布面との塗れ性、揮発性およ
び塗膜の均一塗布性から、フッ素化炭化水素系溶媒と共
に用いられる。この際、沸点が70℃以上、240℃以
下のフッ素化炭化水素系溶媒に希釈して0.01〜20
0g/L濃度程度の表面改質膜用組成物を調製した後、
表面処理対象の透明基材、好ましくは表面層に酸化ケイ
素を含有する透明基板上に塗布される。
【0020】塗布されたアルコキシシラン化合物は、基
板表面の例えば二酸化ケイ素と脱アルコールによる縮合
反応、所謂ゾルゲル反応を起こして強固な結合を形成す
る。また、分子中にフッ素化合物を含むことにより撥水
効果を発揮し、パーフルオロポリエーテル基を含むこと
により潤滑効果を発揮する。
【0021】本発明のアルコキシシラン化合物を含有す
る表面改質膜用組成物は、均一塗布ができ膜厚制御が容
易で、塗布ムラがなく耐溶剤性に優れるとともに、汚れ
にくく、さらに汚れが付着した場合にもとれやすく、撥
水性に優れ、表面の滑りが良好なために傷つきにくい等
の優れた表面改質膜を成膜することが可能となる。
【0022】請求項5の発明は、透明基板上に、単層ま
たは多層の反射防止膜および表面改質膜が順次形成され
てなる表示装置用フィルターにおいて、前記表面改質膜
が下記一般式(1)で表されるアルコキシシラン化合物
と、沸点が70℃以上、240℃以下のフッ素化炭化水
素系溶媒とからなる表面改質膜用組成物を用いて形成さ
れてなることを特徴とする表示装置用フィルターであ
る。
【化7】 (R3O)3Si−R2−R1−CO−Rf−CO−R1−R2−Si(OR33 …(1) (式中、Rfはパーフルオロポリエーテル基、R1
O、NHまたはS、R2はアルキレン基、R3はアルキル
基を示す。)
【0023】請求項6の発明は、透明基板上に、単層ま
たは多層の反射防止膜および表面改質膜が順次形成され
た表示装置用フィルターを用いた表示装置において、前
記表面改質膜が下記一般式(1)で表されるアルコキシ
シラン化合物と、沸点が70℃以上、240℃以下のフ
ッ素化炭化水素系溶媒とからなる表面改質膜用組成物を
用いて形成されてなることを特徴とする表示装置であ
る。
【化8】 (R3O)3Si−R2−R1−CO−Rf−CO−R1−R2−Si(OR33 …(1) (式中、Rfはパーフルオロポリエーテル基、R1
O、NHまたはS、R2はアルキレン基、R3はアルキル
基を示す。)
【0024】かかる表面改質膜を表面に有する表示装置
用フィルター、およびそのフィルターを備えた表示装置
は、反射防止膜の耐汚染性、耐摩擦性、撥水性及び滑り
性を向上させた光学用品として優れた性能を有するもの
とすることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施の形態を説明する。図1は、本発明の表面改質膜用組
成物の実施の形態の一例を示すもので、ガラス等の酸化
ケイ素を含有する透明基材1上に、反射防止膜2および
表面改質膜3が順次形成されている。
【0026】本発明の表面改質膜用組成物は、前述の一
般式(1)で示されるアルコキシシラン化合物とフッ素
化炭化水素系溶媒を含むものである。本発明で用いられ
るアルコキシシラン化合物は、基本的にパーフルオロポ
リエーテル基とアルコキシシラノ基とを有すればよく、
パーフルオロポリエーテル基以外の分子構造についての
制限は本質的にはない。しかし、原料の入手性や合成の
容易性などの点から以下に示すような各構造部の範囲が
好ましい。
【0027】一般式(1)において、パーフルオロポリ
エーテル基Rfの分子構造としては、特に限定されるも
のではなく、各種鎖長のパーフルオロポリエーテル基が
含まれるが、特に前述した一般式(2)に示す分子構造
のものが好ましい。また、この分子構造において、p、
qは1以上の整数を示し、平均分子量が500〜100
00、好ましくは500〜4000である。平均分子量
が500より小さいと、高分子量パーフルオロポリエー
テル基を有するアルコキシシラン化合物よりも高い表面
エネルギーを持つ低分子量パーフルオロポリエーテル基
を有するアルコキシシラン化合物の割合が多くなること
で、得られる処理膜の表面滑り性が低下し、10000
より大きくなると安定性や取扱いやすさ等の点で好まし
くない。
【0028】また、一般式(1)において、Rは2価
の原子または原子団を示し、RとRfとの結合基であ
り、特に制限はないが、合成上、炭素以外のO、NH、
S等の原子あるいは原子団が好ましい。Rは2価の置
換または非置換の炭化水素基であり、炭素数は1〜5の
範囲が好ましい。Rとしては、メチレン基、エチレン
基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基、フェ
ニレン基などを例示することができる。R3はアルコキ
シ基を構成するアルキル基であり、通常は炭素数が3以
下、つまりイソプロピル基、プロピル基、エチル基、メ
チル基を例示することができるが、炭素数はこれ以上で
もよい。
【0029】なお、上記R1〜R3では、当該炭素原子鎖
の柔軟性ないしゆらぎ性を損なわないかぎりにおいて、
一部に不飽和結合、特性基、あるいは芳香環などの環状
構造を有するものであってもよく、さらに短鎖の分岐鎖
ないし側鎖を有するものであってもよい。
【0030】種々検討した結果、本発明の表面改質膜用
組成物において、一般式(1)で表されるアルコキシシ
ラン化合物はフッ素を含む化合物であるため、溶媒とし
て炭化水素系溶剤やアルコール系溶剤などの表面エネル
ギーが大きい(とくにその極性成分が大きい)溶媒を用
いた場合には、溶媒の乾燥過程でアルコキシシラン化合
物が塗布すべき表面ではじかれて球状となり、その結果
塗布ムラが生じ易くなるが、この解決策としてフッ素化
炭化水素系溶媒を用いることにより、組成物を塗布面に
ムラなく均一に塗布できることを見い出した。
【0031】フッ素化炭化水素系溶媒としては、脂肪族
炭化水素、環式炭化水素、エーテル等の炭化水素系溶媒
の水素原子の一部または全部をフッ素原子で置換した化
合物等がある。フッ素化炭化水素系溶媒であればとくに
限定されないが、使用に当たっては、表面改質膜用組成
物の安定性、被塗布面である透明基材1の表面に対する
濡れ性、塗布性などを考慮して選定する必要がある。
【0032】とくに、塗布性は溶剤の沸点に大きく影響
されることがわかった。すなわち、フッ化炭化水素系溶
剤の中でも、沸点が70℃〜240℃の範囲の溶媒を選
択することにより、塗布ムラを可及的に抑制し、ムラの
ない膜厚が均一な表面改質膜を得ることができることを
見出した。沸点が70℃より低いと、例えばグラビア法
での転写時に乾燥が起き、塗布ムラになりやすい場合が
あり、逆に沸点が240℃より高いと乾燥がうまく進行
せず、このため塗布形態が良くならない場合がある。さ
らにフッ化炭化水素系溶媒の中でも、ハイドロフルオロ
ポリエーテル(HFPE)もしくはハイドロフルオロカ
ーボン(HFC)を選択し、これらの1種を単独で、ま
たは2種以上を混合して用いるのが好ましい。HFPE
またはHFCは、一般式(1)で表されるアルコキシシ
ラン化合物に対する溶解性が優れており、優れた塗布性
と塗布膜面を得ることができる。これらのうちでも特に
ハイドロフルオロポリエーテル(HFPE)が好まし
い。
【0033】フッ素化炭化水素系溶媒としては、例えば
日本ゼオン社製の商品名ZEORORA−HXE(沸点
83℃)、パーフルオロヘプタン(沸点80℃)、パー
フルオロオクタン(沸点102℃)、アウジモント社製
の商品名H−GALDEN−ZV75(沸点75℃)、
H−GALDEN−ZV85(沸点85℃)、H−GA
LDEN−ZV100(沸点95℃)、H−GALDE
N−C(沸点130℃)、H−GALDEN−D(沸点
178℃)等のハイドロフルオロポリエーテルあるいは
SV−110(沸点110℃)、SV−135(沸点1
35℃)等のパーフルオロポリエーテル、住友3M社製
のHFE7200(沸点78℃)等のハイドロフルオロ
ポリエーテルあるいはFCシリーズ等のパーフルオロア
ルカン、三井・デュポン社製の商品名Vertrel−
XF(沸点55℃)等のハイドロフルオロカーボンを例
示することができる。
【0034】本実施の形態において、アルコキシシラン
化合物は、塗布性の観点から、上記フッ化炭化水素系溶
媒に0.01〜200g/L濃度程度に希釈されること
が好ましい。濃度が低すぎると、有機層の膜厚が薄いた
めに所望の効果を得ることができず、濃度が高すぎる
と、有機層の膜厚が厚すぎるため、塗布ムラが発生して
やはり所望の効果を得ることができない。
【0035】また、本発明のアルコキシシラン化合物と
フッ素化炭化水素系溶媒とからなる表面改質膜用組成物
を調製するに際して、必要に応じて反応触媒としての酸
あるいは塩基を添加することが好ましい。酸触媒として
は例えば,硫酸、塩酸、硝酸、燐酸、酸性白土、硼酸、
トリフルオロ酢酸などを用いることができ、また塩基触
媒としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化
リチウム等のアルカリ金属水酸化物などを用いることが
できる。これらの触媒の添加量は、0.001〜1ミリ
モル/L程度が好ましい。これらの酸、塩基に加えて、
リン酸エステル系の触媒、あるいはアセチルアセトンの
ようなカルボニル化合物(β−ジケトン)を添加してそ
の触媒効果を高めることが可能である。このように触媒
が添加されることによって、一般式(1)で表される化
合物のシラノ基と、基板表面のSiO2との結合反応を
伴う相互作用が、低温であるいは加熱を行なわずとも良
好に進行する。このため、成膜した表面処理膜に変形な
どの悪影響を及ぼさずに反応させることができ、SiO
2上の薄膜材料においては、その膜厚から耐久性への要
求が厳しいものであるにもかかわらず、良好な耐久性の
向上が望めるものとなる。このようなリン酸エステルや
カルボニル化合物の添加量は、0.1〜100ミリモル
/L程度とすることができる。
【0036】また、上記表面改質膜用組成物を透明基板
1の表面に塗布する方法としては、通常のコーティング
作業で用いられる各種の方法が適用可能であるが、均一
性、さらには反射干渉色のコントロールという観点か
ら、スピン塗布、ディッピング塗布、カーテンフロー塗
布などが好ましく用いられる。また作業性の点から紙、
布などの材料に液を含浸させて塗布流延させる方法も好
ましく使用される。
【0037】そして、撥水性、耐汚染性、塗布性とのバ
ランスおよび表面硬度の関係から、表面改質膜2は膜厚
0.1〜100nm、好ましくは膜厚10nm以下、さ
らに好ましくは0.5〜5nm程度で形成するとよい。
【0038】また、本発明の表面改質膜用組成物を塗布
するに際しては、塗布されるべき透明基材1の表面が清
浄化されていることが好ましい。清浄化に際しては、界
面活性剤による汚れ除去、有機溶剤による脱脂、フッ素
ガスによる蒸気洗浄等が適用される。さらに、密着性、
耐久性の向上を目的として各種の前処理を施すことも有
効な手段であり、とくに好ましく用いられる方法として
は活性化ガス処理、酸、アルカリなどによる薬品処理な
どが挙げられる。
【0039】このように、上記パーフルオロポリエーテ
ル基を有するアルコキシシラン化合物とフッ化炭化水素
系溶媒とからなる表面改質膜用組成物の希釈濃度を0.
01〜10重量%程度に調製した後、この表面改質膜用
組成物を少なくとも表面が酸化ケイ素を含有する透明基
材1上に塗布乾燥することにより、透明基材表面上にア
ルコキシシラン化合物からなる表面改質膜2が成膜され
る。
【0040】本発明において、図1に示す透明基材1と
しては、とくに限定されるものではなく、例えばガラス
板やプラスチック板、プラスチックフィルムなどが利用
できる。
【0041】ガラス基板としては、例えばソーダガラ
ス、鉛ガラス、硬質ガラス、石英ガラス、液晶化ガラス
等の公知(「化学便覧」基礎編、ページI−537、日
本化学会編)のものが挙げられる。光学用品として、例
えばブラウン管では、一般的にストロンチウム(St)
やバリウム(Ba)を含むケイ酸ガラスが好ましく用い
られ、液晶表示装置では、無アルカリガラスが好ましく
用いられている。
【0042】プラスチック基板としては、有機高分子か
らなる基材であればいかなるものを用いてもよいが、透
明性、屈折率、分散などの光学特性、さらには耐衝撃
性、耐熱性、耐久性などの諸特性から見て、とくにポリ
メチルメタアクリレート、メチルメタアクリレートと他
のアルキル(メタ)アクリレート、スチレン等とビニル
モノマーとの共重合体などの(メタ)アクリル系樹脂;
ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカ
ーボネート(CR−39)などのカーボネート系樹脂;
(臭素化)ビスフェノールA型のジ(メタ)アクリレー
トの単独重合体ないし共重合体、(臭素化)ビスフェノ
ールA型のモノ(メタ)アクリレートとウレタン変性モ
ノマーの重合体および共重合体などの熱硬化性(メタ)
アクリル系樹脂;ポリエステル、とくにポリエチレンテ
レフテレート、ポリエチレンナフタレートおよび不飽和
ポリエステル;アクリロニトリル−スチレン共重合体、
ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エポキシ樹脂などが好
ましい。また、耐熱性を考慮したアラミド系樹脂の使用
も可能である。この場合には、加熱温度の上限が200
℃以上となり、使用温度範囲が幅広くなると予想され
る。
【0043】プラスチックフィルム基板は、これら上記
の樹脂を延伸あるいは溶剤に希釈後フィルム状に成膜し
て乾燥するなどの方法で得ることができる。通常、フィ
ルムの厚さは25μm〜500μm程度である。
【0044】また、上記のようなプラスチック基板表面
はハードコートなどの被膜材料で被覆されたものであっ
てもよく、後述する無機物からなる反射防止膜の下層に
存在するこの被膜材料によって、付着性、硬度、耐薬品
性、耐久性、染色性などの諸物性を向上することが可能
である。
【0045】硬度向上のためには従来プラスチックの表
面高硬度化皮膜として知られている各種公知の材料を用
いることができる。このような硬度向上には、例えば特
公昭50−28092号公報、特公昭50−28446
号公報、特公昭51−24368号公報、特開昭52−
112698号公報、特公昭57−2735号公報に開
示されるような技術を適用可能である。また、(メタ)
アクリル酸エステルとペンタエリスリトールなどの架橋
剤とを用いてなる架橋構造のアクリル樹脂やオルガノポ
リシロキサン系樹脂などを用いてもよい。これらの樹脂
は、単独もしくは適宜組み合わせて用いることができ
る。
【0046】前記透明基材1上には反射防止膜2を形成
してもよい。この場合、反射防止膜2は単層または多層
構造を有するものであって、各種の組み合わせが可能で
ある。とくに多層構造とする場合には、反射防止層の表
面層より下部を形成する層構成および構成材料は要求さ
れる性能、例えば耐熱性、反射防止性、反射光色、耐久
性、表面硬度などに応じて適宜実験等に基づき決定する
ことができる。
【0047】なお、表面改質膜3を形成するアルコキシ
シラン化合物として、屈折率の低い材料を用いることに
より、反射防止性能を得ることができ、例えば、眼鏡レ
ンズ等では、ゴースト、フレア等と呼ばれる反射像が生
じて目に不快感を与えることを防止することができる。
【0048】前記反射防止膜2を形成する酸化ケイ素を
含めた各種無機物の被膜化方法としては、真空蒸着、イ
オンプレーティング、スパッタリングに代表される各種
のPVD(Physical Vapor Depos
ition)法がある。反射防止膜を得る上で、上記の
PVD法に適した無機物としては、SiO2以外に、例
えば、Al23、ZrO2、TiO2、Ta25、TaH
2、SiO、TiO、Ti23、HfO2、ZnO、I
23/SnO2、Y23、Yb23、Sb23、Mg
O、MgF2、Nb25、CeO2などの無機酸化物やT
iN、HfN、ZrN、Si34などの無機窒化物など
が挙られる。なお、このようなPVD法によって形成さ
れる反射防止膜の最外表層膜は、主として二酸化ケイ素
から構成されるものであることが好ましい。二酸化ケイ
素以外の場合には十分な表面硬度が得られないばかりで
なく、本発明の目的とする耐汚染性、耐擦傷性の向上、
さらにはこれらの性能の耐久性が顕著に現れない恐れが
あるためである。
【0049】また、この反射防止膜の最外表層膜の膜厚
は、反射防止効果以外の要求性能によっても左右される
が、特に反射防止効果を最大限に発揮させるには、表層
膜の光学的膜厚を、対象とする光波長の1/4ないしは
その奇数倍に選択することが、極小の反射率すなわち極
大の透過率を与えるという点から好ましい。
【0050】一方、前記表層膜の下層部の構成等につい
ては特に限定されない。すなわち、前記表層膜を直接基
材上に被膜形成させることも可能であるが、反射防止効
果をより顕著なものとするためには、基板上に表層膜よ
り屈折率の高い皮膜を一層以上被覆することが有効であ
る。これら複層の反射防止膜の膜厚および屈折率の選択
に関してもいくつかの提案がなされている(例えば、光
学技術コンタクトVol.9,No.8,p.17(1
971))。また、下層部にカーボンスパッタ膜、カー
ボンCVD膜などの無機光透過膜を設けることも可能で
ある。
【0051】上記したような単層または多層の反射防止
膜の表面を被覆する表面改質膜3は、前述の一般式
(1)で表されるパーフルオロポリエーテル基を有する
アルコキシシラン化合物を含有する表面改質膜用組成物
を塗布することで形成される。
【0052】上記パーフルオロポリエーテル基を有する
アルコキシシラン化合物より形成される表面改質膜3
は、アルコキシシラノ基を分子構造中に含むので、基材
表面に存在する酸化ケイ素と所謂ゾルゲル反応を起こし
て強固な結合を形成することができる。これにより、例
えば、有機溶剤による払拭や洗浄による特性劣化等の問
題が克服され、これまで従来不足とされていた化学安定
性が向上し、上述した効果が永続的に保持される。
【0053】また、本実施の形態におけるアルコキシシ
ラン化合物は、分子がフレキシビリティを有しており、
潤滑特性に優れたパーフルオロポリエーテル基を分子構
造中に持つため、耐磨耗性や耐摩擦性に優れた表面改質
膜3を形成することができる。
【0054】このように、本発明の表面改質膜用組成物
によって、透明基材1上に均一にムラなく塗布処理され
た表面改質膜は、パーフルオロポリエーテル基を有する
アルコキシシラン化合物を主成分とすることから、通常
の表面処理を施さない透明基板より汚れにくく、さらに
汚れが付着した場合にもとれやすく、撥水性に優れ、表
面の滑りが良好なために傷つきにくい等の長所を有す
る。さらに、磨耗に対しても優れた耐久性を有し、溶剤
等に対しても優れた化学安定性を有する。また、これら
の効果が永続的に持続される。
【0055】したがって、この表面改質膜を、例えば透
明プラスチックフィルム等の基板上に反射防止膜が形成
されてなる反射防止フィルターのような光学用品の上面
に成膜することにより、反射防止膜の耐汚染性、耐摩擦
性、撥水性及び滑り性を向上させた光学用品を得ること
が可能となる。このような用途としては反射防止フィル
ター以外に例えばガラスパネルや、プラスチック製のレ
ンズ等各種の光学用品にも適用でき、応用範囲が広いも
のである。
【0056】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細
に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定される
ものではない。
【0057】以下、本実施例の表面改質膜用組成物に用
いたアルコキシシラン化合物を表1に示す。表1におい
て、アルコキシシラン化合物は、それぞれパーフルオロ
アルキル基Rfの平均分子量が4000および2000
のアルコールでエステル化されたパーフルオロアルキル
エーテル化合物とγ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ンとを反応させて得たもので、パーフルオロアルキルエ
ーテル基Rfの平均分子量4000を用いた場合を化合
物1とし、平均分子量2000を用いた場合を化合物2
とする。また、本実施例の表面改質膜用組成物の溶媒と
して用いたフッ素化炭化水素系溶媒(A)および非フッ
素系溶媒(B)を表2に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】(実施例1) <基材>プラスチック製の透明基材として厚さ100μ
mの透明なポリエチレンテレフタレート(PET)フィ
ルムを用いた。このPETフィルムの片面には、あらか
じめ表面硬度を確保するためのハードコート処理が施さ
れており、その上に反射防止膜として真空蒸着法によ
り、ITOを厚さ120nmにプレ蒸着し、その上にS
iO2 を70nm厚に蒸着して形成した。なお、ここで
いうハードコート処理とは、一般的にアクリル系架橋性
樹脂原料を塗布し、紫外線や電子線等によって架橋硬化
させたり、シリコン系、メラミン系、エポキシ系の樹脂
原料を塗布し、熱硬化させたりして行われているもので
ある。
【0061】<表面改質膜用組成物の調製および表面処
理>アルコキシシラン化合物として表1に示すRfの平
均分子量が4000の化合物1を用い、これの2重量部
を表2に示す沸点が178℃の溶剤A1(ハイドロフル
オロポリエーテル)200重量部に溶解し、メンブラン
フィルターでろ過し、表面改質膜用組成物を得た。この
表面改質膜用組成物を上記反射防止膜を形成したPET
フィルム製の透明基材表面に7cm/分の引き上げ速度
でディップコーティングした後、風乾して成膜し表面改
質膜評価サンプルとした。得られたサンプル表面の性能
評価を下記により行った。なお、塗布および乾燥工程に
おいてとくに温度操作は行わなかった。
【0062】(実施例2〜7)実施例1におけるアルコ
キシシラン化合物(化合物1)含有表面改質膜用組成物
の調製において、表2に示す溶媒A1(沸点が178℃
のハイドロフルオロポリエーテル)の代りにそれぞれ溶
媒A2(沸点が130℃のハイドロフルオロポリエーテ
ル)、溶媒A3(沸点が95℃のハイドロフルオロポリ
エーテル)、溶媒A4(沸点が85℃のハイドロフルオ
ロポリエーテル)、溶媒A5(沸点が75℃のハイドロ
フルオロポリエーテル)、溶媒A6(沸点が83℃のフ
ルオロシクロペンタン)および溶媒A7(沸点が78℃
のハイドロフルオロポリエーテル)を用いた以外は、実
施例1とすべて同様にして実施例2〜7の表面改質膜評
価サンプルを得た。得られたサンプル表面の性能評価を
下記により行った。
【0063】(実施例8,9)実施例1における表面改
質膜用組成物の調製において、アルコキシシラン化合物
として表1に示す化合物1の代りにRfの平均分子量が
2000の化合物2を用い、それぞれ溶媒として表2に
示す溶媒A1(沸点が178℃のハイドロフルオロポリ
エーテル)および溶媒A11(沸点が135℃のハイド
ロフルオロポリエーテル)を用いた以外は実施例1とす
べて同様にして実施例8,9の表面改質膜評価サンプル
を得た。得られたサンプル表面の性能評価を下記により
行った。
【0064】(比較例1〜3)実施例1における表面改
質膜用組成物の調製において、表2に示す溶媒A1の代
りにそれぞれ溶媒A8(沸点が55℃のハイドロフルオ
ロカーボン)、溶媒A9(沸点が42℃のパーフルオロ
アルカン)および溶媒A10(沸点が56℃のパーフル
オロアルカン)を用いた以外は実施例1とすべて同様に
して比較例1〜3の表面改質膜評価サンプルを得た。得
られたサンプル表面の性能評価を下記により行った。
【0065】(比較例4〜9)実施例1における表面改
質膜用組成物の調製において、フッ素化炭化水素系溶媒
(溶媒A1)を単独で用いた代りに、該溶媒A1に溶媒
B1(メタノール)、溶媒B2(イソプロピールアルコ
ール)、溶媒B3(メチルエチルケトン)および溶媒B
4(テトラヒドロフラン)の非フッ素系溶媒をそれぞれ
混合して用いた以外は実施例1とすべて同様にして比較
例4(A1/B1:30/70(重量比))、比較例5
(A1/B2:30/70)、比較例6(A1/B3:
30/70)、比較例7(A1/B3:10/90)、
比較例8(A1/B4:30/70)、比較例9(A1
/B4:10/90)の表面改質膜評価サンプルを得
た。得られたサンプル表面の性能評価を下記により行っ
た。
【0066】<性能評価>上記実施例1〜9および比較
例1〜9のように表面処理された表面改質膜評価サンプ
ル表面の性能は、下記の方法に従って試験を行うことに
より評価した。 (a)耐汚染性 水道水5mlをサンプル表面にしたたらせ、室温雰囲気
(25±2℃)下で48時問放置後、布で拭いた後の水
垢の残存状態を目視にて観察した。水垢が除去できた場
合を良好とし、除去できなかった場合を不良とした。 (b)表面滑り性 鉛筆(硬度3H)でサンプル表面を引掻いた時の引っか
かり具合を評価した。判定方法は、全く引っかからない
場合を○とし、強くすると引っかかる場合を△、弱くし
ても引っかかる場合を×とした。 (c)耐磨耗性 サンプル表面をスチールウール#0000、200g荷
重下で30回擦った後、傷が付いたかどうかで評価し
た。判定方法は、まったく付かない場合を○、細かく傷
が付く場合を△、著しく傷が付く場合を×とした。 (d)塗布ムラ サンプル表面の塗布ムラを目視にて評価した。判定方法
は、まったくムラのない場合を○、薄くムラが見えるが
目立たない場合を△、ムラが目立つ場合を×とした。 (e)耐溶剤性 溶剤に対する安定性を調べるため、サンプル表面をエタ
ノールで洗浄し、前記(a)〜(d)の評価を再度行
い、洗浄前後での値を比較した。 (f)接触角 水およびヨウ化メチレン(CH22)の接触角により評
価した。接触角の測定は、協和界面化学社製CA−XE
型を用いて行った。なお、測定された接触角の値は、表
面改質膜の状態(残存状況等)や、水あるいは油に対す
る汚染性に関しての判断の目安となるものである。
【0067】上記実施例1〜9および比較例1〜9の、
表面改質膜サンプル表面の性能評価結果を表3に示す。
表3において、「前」、「後」の項目は、それぞれサン
プル表面をエタノール洗浄する前とエタノール洗浄した
後の試験結果を示している。また「※」は防汚成分が溶
剤に不溶のため白濁状態のまま塗布したものである。
【0068】
【表3】
【0069】表3から明らかなように、沸点が70℃よ
り低いフッ化炭化水素系溶媒を用いてアルコキシシラン
化合物を溶解し調整した表面改質膜用組成物の場合に
は、塗布形成された表面改質膜に塗布ムラが生じるほ
か、アルコール洗浄により表面特性が劣化し、耐汚染
性、表面滑り性、耐磨耗性等表面性能が低下する。ま
た、フッ化炭化水素系溶媒単独では問題がないのに対し
て、フッ化炭化水素系溶媒に非フッ素系溶媒を混合して
用いた場合にも、塗布ムラを誘引して表面特性が悪化
し、アルコール洗浄により表面特性が全般的に低下す
る。とくにイソプロピルアルコールを用いた場合には影
響が顕著である。これに対して、沸点が70℃以上のフ
ッ化炭化水素系溶媒を用いた場合、とくにハイドロフル
オロポリエーテル(HFPE)の溶媒を用いた場合には
成膜において塗装性が改良され、しかも塗布ムラが解消
することが認められる。この結果、耐汚染性、表面滑り
性、耐磨耗性および耐溶剤性が向上していることが分か
る。
【0070】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、一
般式(1)で表されるアルコキシシラン化合物と、沸点
が70℃以上、240℃以下のフッ素化炭化水素系溶媒
とを表面改質膜用組成物とすることにより、塗装性が改
良され、これを用いて透明基材上に成膜される表面改質
膜の塗布ムラを解消させることができる。
【0071】したがって、本発明にかかる表面改質膜が
表面に形成された透明基材は、耐汚染性、表面滑り性、
耐磨耗性および耐溶剤性に優れ、次のような効果を有す
る。 (1)指紋、手垢などによる汚れが付きにくく、また目
立ちにくい。これらの効果が永続的に保持される。 (2)耐擦傷性があり、傷がつきにくい。 (3)ほこりなどの汚れが付きにくく、使用性がよい。 (4)化学的安定性があり、磨耗に対する耐久性があ
る。 このような、効果を利用すれば表示装置のフィルター等
各種光学用品としての応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面改質膜用組成物によって処理され
た実施の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1…透明基材、2…反射防止膜、3…表面改質膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 近藤 洋文 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 花岡 英章 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 2K009 AA02 BB14 CC03 CC09 CC26 CC42 DD02 DD03 DD04 DD07 EE05 4G059 AA01 AA07 AA11 AC04 AC16 AC22 FA22 4J038 DF001 DL161 JA11 JA25 KA06 KA07 MA14 NA05 NA11 NA19 PB08 PC03 PC08

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表されるアルコキシ
    シラン化合物と、沸点が70℃以上、240℃以下のフ
    ッ素化炭化水素系溶媒とからなることを特徴とする表面
    改質膜用組成物。 【化1】 (R3O)3Si−R2−R1−CO−Rf−CO−R1−R2−Si(OR33 …(1) (式中、Rfはパーフルオロポリエーテル基、R1
    O、NHまたはS、R2はアルキレン基、R3はアルキル
    基を示す。)
  2. 【請求項2】 前記フッ素化炭化水素系溶媒がハイドロ
    フルオロポリエーテルまたはハイドロフルオロカーボン
    であることを特徴とする請求項1記載の表面改質膜用組
    成物。
  3. 【請求項3】 前記アルコキシシラン化合物におけるR
    fの平均分子量が500〜10000であることを特徴
    とする請求項1記載の表面改質膜用組成物。
  4. 【請求項4】 下記一般式(1)で表されるアルコキシ
    シラン化合物と、沸点が70℃以上、240℃以下のフ
    ッ素化炭化水素系溶媒とからなる表面改質膜用組成物を
    用いて透明基材上に成膜されてなることを特徴とする表
    面改質膜。 【化2】 (R3O)3Si−R2−R1−CO−Rf−CO−R1−R2−Si(OR33 …(1) (式中、Rfはパーフルオロポリエーテル基、R1
    O、NHまたはS、R2はアルキレン基、R3はアルキル
    基を示す。)
  5. 【請求項5】 透明基板上に、単層または多層の反射防
    止膜および表面改質膜が順次形成されてなる表示装置用
    フィルターにおいて、前記表面改質膜が下記一般式
    (1)で表されるアルコキシシラン化合物と、沸点が7
    0℃以上、240℃以下のフッ素化炭化水素系溶媒とか
    らなる表面改質膜用組成物を用いて形成されてなること
    を特徴とする表示装置用フィルターである。 【化3】 (R3O)3Si−R2−R1−CO−Rf−CO−R1−R2−Si(OR33 …(1) (式中、Rfはパーフルオロポリエーテル基、R1
    O、NHまたはS、R2はアルキレン基、R3はアルキル
    基を示す。)
  6. 【請求項6】 透明基板上に、単層または多層の反射防
    止膜および表面改質膜が順次形成された表示装置用フィ
    ルターを用いた表示装置において、前記表面改質膜が下
    記一般式(1)で表されるアルコキシシラン化合物と、
    沸点が70℃以上、240℃以下のフッ素化炭化水素系
    溶媒とからなる表面改質膜用組成物を用いて形成されて
    なることを特徴とする表示装置である。 【化4】 (R3O)3Si−R2−R1−CO−Rf−CO−R1−R2−Si(OR33 …(1) (式中、Rfはパーフルオロポリエーテル基、R1
    O、NHまたはS、R2はアルキレン基、R3はアルキル
    基を示す。)
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