JP2003136715A - 液体吐出ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

液体吐出ヘッドおよびその製造方法

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JP2003136715A
JP2003136715A JP2001339522A JP2001339522A JP2003136715A JP 2003136715 A JP2003136715 A JP 2003136715A JP 2001339522 A JP2001339522 A JP 2001339522A JP 2001339522 A JP2001339522 A JP 2001339522A JP 2003136715 A JP2003136715 A JP 2003136715A
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ejection head
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Shigeru Sadamura
茂 定村
Hiromi Kikuchi
広実 菊池
Toru Abe
徹 阿部
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 吐出液の圧力室の耐食性を高め、同時に高密
度で多ノズル、かつ長尺なヘッドを有する高信頼性、高
速吐出が可能な液体吐出ヘッドを提供する。 【解決手段】 振動板、隔壁およびノズルを有するノズ
ルプレート等によって囲まれた液体圧力室を有する液体
吐出ヘッドにおいて、前記隔壁を耐食性金属材料で、前
記振動板を圧電材料で構成する。これにより、液体吐出
ヘッドは高密度で多ノズル化、かつ長尺化が容易となり
高信頼性、高速吐出が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体吐出ヘッドと
その製造方法に係り、特に高密度で多ノズルであり、同
時に低電圧駆動が可能な圧電式液体吐出ヘッドとその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、情報化社会の発展にともない、情
報機器に使われる機器の小型化、高精度化にはめざまし
い進歩がみられる。とくにパソコンの急速な普及と相俟
ってインクジェットプリンターに代表される液体吐出装
置の性能にも、より高密度、高精細が求められている。
このインクジェットプリンターは、高精細なプリント出
力が得られ、装置本体も小型・軽量で価格も比較的安価
なことから今日では液体吐出装置の主流を占めるに至っ
ている。
【0003】インクジェットプリンター出力の品質はイ
ンクジェットプリンターヘッド(以下ヘッドと記す)の
性能に大きく依存し、搭載されるヘッドがインクジェッ
トプリンター装置の性能を左右するといっても過言では
ない。とくに高精細画質になるほど、1個のインク滴は
微粒となり、この微粒インクで一画面を構成するには多
数のインク滴を吐出しなければならず、この場合印字速
度が大きな課題となる。インクジェットプリンターの種
類には、(1)インクが充填されるインク液圧力室の振
動板を圧電素子で変形させ、その圧力でインク滴を吐出
させる圧電方式、(2)インク室内に設置したヒータの
熱によりインク内に気泡を発生させてインク滴を吐出さ
せる気泡ジェット方式、(3)インク液室内に設置した
電極の静電気力でインクを吸引しインク滴を吐出させる
静電気方式等が提案されているが、圧電方式が高速印字
の観点から注目されている。
【0004】圧電方式のインクジェットプリンターにお
けるヘッド部の構成はインク等を収容するインク液室
と、インクをノズルから記録紙に向けて発射する際の駆
動力源としての圧電素子およびインク吐出用ノズルを含
むインク補給機構とが主要な3構成要件である。典型的
なインクジェットプリンターとして、特開平10−26
4384号公報に記載の構成を図7に示す。同図ではイ
ンク液室とアクチュエータとしての圧電素子の周辺部
(以下、ヘッド部と称する)の断面を示すが、実際には
インク補給機構等を備えてヘッドが構成される。
【0005】図7のインク液室10は隔壁11で仕切ら
れ、振動板12とノズルプレート16によって上下から
蓋をされた構造である。ただし、実際の構造では隔壁1
1とノズルプレート16の間にインク補給機構を構成す
るが、説明を簡略にするため図では省略した。インク液
室の真上には振動板を介して圧電材料13(圧電体膜)
が配置され、下部電極14および上部電極15とともに
圧電素子131を構成する。この両電極間に電圧を印加
すると、圧電素子131は変形し振動板を歪ませる。こ
の時、インク液室内にはインク等が充填されているた
め、振動板の変形によってインク液室の容積が変化し、
インクがノズルプレートに設けられたノズル161を通
過してインク液室外に押し出される。吐出された微小な
インク滴は、記録紙に到達した後、付着する。
【0006】上記公知技術では、インク液室の形成に厚
さ200μm程度のシリコン基板が用いられている。記
載された製造方法によると、シリコン基板表面に酸化膜
を形成した後、下部電極、圧電体層および上部電極膜を
順に積層し、所要の寸法にパターンニングして圧電素子
(圧電体素子ともいう)を作製する。さらに、シリコン
基板の裏面に異方性エッチングによってインク液室のキ
ャビティを穿孔する。
【0007】製造工程から明らかなように、天井部を形
成する振動板12は厚さが10μm程度のシリコン酸化
膜であり、この振動板は圧電素子の変形により湾曲しイ
ンク液室内に吐出用応力を発生させる。この振動板は、
圧電素子の厚さと振動板の厚さがほぼ同程度の場合最も
効率よく湾曲変形するが、振動板自身の板厚が厚い場合
や振動板が変形しにくい材質で構成されている場合、圧
電素子に印加される駆動電圧は高電圧となる。また、発
生応力を大きくする目的で圧電素子の板厚を厚くすれ
ば、この場合も駆動電圧は高くなる。特にインク液室の
高密度化、すなわち、インク液室の隔壁と隔壁の距離を
狭くし、寸法ピッチを小さくすれば振動板の湾曲変形量
がさらに小さくなる。それゆえ、いかに低電圧で大きな
湾曲変形を発生させるか、ということが高密度ノズル製
造上の大きな課題となっている。
【0008】一方、特開平6−40035号公報および
特開平7−148921号公報には、インク液室をジル
コニア等のセラミックスグリーンシートにて積層形成
し、一体焼成した後、スクリーン印刷法により下部電極
および圧電材料を設けたインクジェットプリンターヘッ
ドが提案されている。この場合のインク液室はすべてジ
ルコニアセラミックスで構成されるため、インク液室の
耐食性は優れているものの、高剛性のジルコニア振動板
(約10μm厚み)と白金等の下部電極(約5〜10μ
m厚み)を同時に圧電素子で変形させるには高電圧が必
要であり、前記特開平10−264384号公報記載の
ヘッド同様、インク液室の高密度化の大きな課題となっ
ている。なおこの場合、インク液室の高密度化には製法
上の制約も障害になる。すなわち、特開平7−1489
21号公報の記載によれば、インク液室は3種のジルコ
ニアグリンシートを積層・圧着した後、800℃から1
500℃以上の温度で焼成一体化するものである。しか
し、インク液室は3種のグリンシートのうち、中間に位
置するシートに開孔加工したもので、その最小加工寸法
は100μm程度でありインク液室の高密度化には制限
が生じる。また、セラミックスの焼成収縮による寸法再
現性は、現状技術では±0.5%程度が限界であり、イ
ンク液室およびノズル部の位置再現性やセラミックス焼
結体の焼結時のそり等を考慮すればセラミックス焼結体
の総長は高々12〜13mmに制限され、インク液室の
寸法ピッチも200μm程度(130dpi)が限界で
あり、さらに高密度化するためには高度の製造技術と管
理が必要となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】インクジェットプリン
ターに代表される従来の液体吐出装置は以上述べたよう
な構成であるが、上述した液体吐出ヘッドはインク液室
の高密度化には適さない構造であり、とくに振動板に問
題のあることが判明した。すなわち、振動板は駆動力源
としての圧電素子の機械的エネルギーを受けて湾曲変形
し、その結果インク液室の容積を変化させ、その圧力で
インク滴を吐出させるエネルギー伝達板である。しかる
に、振動板自身が、変形しにくい酸化シリコンやジルコ
ニア等の高剛性材質で構成され、さらに製法上の制約か
らその板厚を厚くせざるを得ないなど、高効率のエネル
ギー伝達を阻害する大きな要因となっている。さらに、
圧電素子を駆動するための下部電極にも高剛性材質の白
金金属が使用される場合が多く、その板厚も振動板に匹
敵する位に厚いものである。その結果、圧電方式の液体
吐出ヘッドにおいては、いまだ130dpiを越える高
密度ヘッドは実現されていない。
【0010】しかるに、印字されるインクジェットプリ
ンターの印刷画面が高精細画質になるほど、1個のイン
ク滴は微粒となり、この微粒インク滴で一画面を構成す
るには多数のインク滴を吐出しなければならない。この
場合印字速度が大きな課題となる。そこで多数のノズル
から同時にインク滴を吐出させる方法が高速印字化の課
題解決策となるため、現状のインクジェットプリンター
ヘッドではノズル(インク液室)を多数個かつ、高密度
に並べ(たとえば48ノズル/列、130dpi)さら
にこのセットを並列に4〜6個並べて多段構造にしたヘ
ッドが一般に使用されている。しかし、現状のヘッドで
はヘッド総長が短く、ノズル数もたかだか48ノズル/
列に過ぎないため印字速度に限界が生じており、さらな
る高密度ノズルの要求が高まっている。たとえば、イン
ク液室を高密度化し、300dpi相当のヘッドが作製
できれば印字速度は飛躍的に向上し高速印字が可能とな
る。
【0011】以上述べた高密度化の課題に加え、インク
ジェットプリンターヘッドに対する多ノズル(長尺化)
および低コスト化の要求は益々強くなり、この相反する
要請を同時に満足させるには、従来技術の延長線上では
解決が困難であり、本質的な問題を解決できる抜本的な
手段が必要となる。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の液体吐出ヘッド
は、振動板、隔壁およびノズルを有するノズルプレート
によって囲まれた液体圧力室を有する液体吐出ヘッドで
あって、前記振動板が圧電材料で構成されることを特徴
とする。
【0013】さらに、上記本発明において、前記隔壁が
耐食性金属材料で構成され、かつ、隔壁と圧電材料の間
に形成される下部電極が導電性金属材料酸化物で構成さ
れることを特徴とする。また、前記下部電極がSrRuO3
RuO2、IrO2、ITO(In2O3-SnO2)から選ばれる少なくとも
一つの導電性金属材料酸化物で構成されることが望まし
い。
【0014】上記本発明に係る構成のいずれかにおい
て、液体に接する圧電材料が液体圧力室側へ凸状に湾曲
していることを特徴とする。また、前記圧電材料がエア
ロゾル式ガスデポジション法で形成されることを特徴と
する。
【0015】本発明の液体吐出ヘッドの製造方法は、振
動板、隔壁およびノズルを有するノズルプレートによっ
て囲まれた液体圧力室を有する液体吐出ヘッドの製造方
法であって、板状の耐食性基板に導電性金属材料酸化物
層を形成し、この導電性金属材料酸化物層上に圧電材料
を形成する工程、および前記耐食性基板に液体圧力室を
穿孔する工程を含むことを特徴とする。さらに、前記圧
電材料がエアロゾル式ガスデポジション法で形成される
工程を含むことを特徴とする。
【0016】インク液室を高密度化し、同時に多ノズル
で長尺なヘッドを有する高信頼性、高速印字が可能な液
体吐出ヘッドを実現するために、まず、インク液室の隔
壁材料を選定し、同時に高密度化、長尺化ヘッドに適し
たインク液室の構成および材質を検討して本発明を完成
するに至った。次に、本発明の技術的思想と解決手段を
詳細に説明する。
【0017】インク液室を構成する隔壁と振動板の作製
に当たり各種の構成を検討した結果、高密度化の可能
性、製造工程の実施の容易性あるいは加工精度の確保等
の点を考慮すると、振動板そのものを圧電素子で構成し
圧電素子の変形エネルギーを効率よくインク液室に付与
する構成が最も適していることが判明した。本発明のポ
イントは、従来方式の振動板を使用しないことで、高密
度ヘッドを可能にし同時に低駆動電圧化も実現可能にし
たことである。まず、隔壁、下部電極および振動板(圧
電材料板)を構成する3層(複数の層でも可)からなる
複合基板を作成する。つぎに圧電材料上に圧電材料駆動
用の上部電極を形成し、最後に基板を加工してインク液
室を作成する。以上の作成法は工程数が極めて簡略であ
り信頼性向上のみならず低コスト化の実現が可能であ
る。当然ながら、複合基板の層間の接合は接着剤等を使
用しない直接接合である。接着剤が層間に介在すると、
性能にばらつきが生じるだけでなく、構成の複雑化によ
り液体吐出装置の信頼性の向上をはかることが不可能に
なる。
【0018】本発明では、従来方式のいわゆる振動板を
設けず、インク液室の隔壁材となる基板材料に圧電素子
を形成したり、インク液室等を穿孔加工形成したりする
方法を採用した。すなわち本発明は、振動板を介さずに
圧電素子の振動エネルギーを直接インク液に伝達するこ
とによって、従来ない構成と性能を提供するものであ
る。
【0019】まず、インク液室の隔壁材となる基板材料
として、安価で長尺化に必要な大面積材料が容易に入手
でき、かつ穿孔加工も容易な耐食性金属材料(たとえば
SUS板)を選定し、この耐食性金属材料上に直接圧電
材料をエアロゾル式ガスデポジション法あるいはゾルゲ
ル法等で成膜する。これらの製法についてはここでは簡
単に触れることとし、具体的には実施例で詳しく説明す
る。
【0020】図2の工程図に、本発明のインクジェット
プリンターヘッドのインク液室と圧電素子の形成工程の
一形態を示す。まず、(a)耐食性金属材料基板1を選
定し、(b)この基板上に通常のスパッター法、CVD
法、エアロゾル式ガスデポジション法あるいはゾルゲル
法等の方法で導電性金属材料酸化物の膜(下部電極14
となる)を形成する。(c)さらにこの導電性金属材料
酸化物上に、上記と同様の作成方法を用いて圧電材料1
3を形成し3層複合基板100を作成する。(d)さら
に、島状の上部電極15を所定の位置に形成する。(e)
次にインク液室10を形成するため耐食性金属材料基板
をエッチングにより穿孔加工する。なお、インク液室1
0は上部電極対応位置に穿孔し、この時耐食性金属材料
基板1は隔壁11に加工される。(f)最後に、インク
補給機構(図示せず)およびノズル161を有するノズ
ルプレート16を接合する。
【0021】
【発明の実施の形態】図1は本発明による液体吐出装置
のヘッド部の一実施例を説明するための要部断面図で、
図中、11はインク液室の隔壁、13は圧電材料、14
および15はそれぞれ圧電材料を駆動するための下部電
極および上部電極である。インク液室の隔壁11は製造
工程中の最高温度に対して耐えるものであり、かつイン
クに対する耐食性に優れた金属材質のものであれば、特
に制約はないものの、インク液室の穿孔加工性に優れた
SUS,Ni合金あるいはCu合金が好ましく、さら
に、異方性エッチングによるインク液室の穿孔加工性に
優れたシリコン単結晶でもよい。圧電材料13はチタン
酸バリウムやタングステンブロンズ構造の非鉛系材料群
等もあるが電界印加により変形効率の良い鉛系圧電セラ
ミックス、特にジルコン酸チタン酸鉛Pb(Zr,Ti)O3いわ
ゆるPZT系セラミックスが好ましい。また、電極14
および15も上記隔壁11と同様、製造工程中の最高温
度に対して耐え、とくに製造工程中の最高温度で鉛系圧
電材料の鉛元素と反応し難い白金および白金系合金膜
(たとえば白金-ロジウム合金)あるいは白金-チタンや
クロム-金等の積層膜が好ましい。
【0022】とくに、図1に示すような隔壁11が耐食
性金属材料で構成され、下部電極14が直接インク液に
接する構成の場合、下部電極14は製造工程中の最高温
度に耐え、とくに製造工程中の最高温度で鉛系圧電材料
の鉛元素と反応し難い材質であると同時にインクに対す
る耐食性に優れた材質であることも重要な選定因子であ
る。この下部電極14の材質として導電性金属材料酸化
物が望ましく、上記金属系材質は不適である。すなわ
ち、インク液は酸性、中性、アルカリ性、水性、油性、
室温では固形など、種々様々な性能のものが使用され、
電気的絶縁性についても完全な不導体ではない。それゆ
え、インク液室を2種以上の金属材料で構成すると異種
金属間のイオン化傾向の相違により、イオン化傾向の大
きな金属材料がインク液中へ溶出してインク液の性能を
劣化させる。さらにこの現象が進行するとイオン化傾向
の大きな金属材料に穴が生じ、もはやインク液室を構成
することができなくなる。すらわち、インク液室を2種
以上の金属材料で構成すると信頼性が著しく低下するこ
とになる。それゆえ下部電極14として上記性能を有す
る導電性金属材料酸化物であれば特に制約はないもの
の、成膜の容易なSrRuO3、RuO2、IrO2、ITO(In2O3-Sn
O2)等の導電性金属材料酸化物のいずれかが望ましい.
なお、上記導電性金属材料酸化物を上部電極15として
使用しても良い。以下、実施例について詳細に説明す
る。
【0023】(実施例1)インク液室の隔壁を構成する
基板として板厚100μm、長辺110mm、短辺33
mmの矩形状SUS304を選び、このSUS板の片面
のほぼ全域にわたってITO膜(約0.2μm厚)を通
常のスパッター法により被着した。さらに、この電極上
にエアロゾル式ガスデポジション法により厚さ約10μ
mのPZT膜を成膜して3層複合基板を作成した。次に
レジスト膜パターンを所望する形状にフォトリソグラフ
ィー法にて成形した後、上部電極15としてCr膜(厚
さ0.05μm)およびAu膜(厚さ0.2μm)を複
合成膜した。そしてレジスト剥離液(アルカリ性溶剤
等)によりレジストを除去し、洗浄後、500℃1時間
の熱処理を行いPZT膜の性能向上を図った。なお、エ
アロゾル式ガスデポジション法については「応用物理学
会誌第68巻第1号」44ページ(1999年)や日本
学術振興会アモルファス・ナノ材料代147委員会第6
5回研究会試料31ページ(1999年10月12日)
の文献に詳しい解説が述べられている。図を用いてエア
ロゾル式ガスデポジション法の原理の概略を示す。図3
は、ガスデポジション装置の一構成を説明するための概
略図である。エアロゾル化室31内の超微粒子状態のP
ZT粉32(原料粉末)にアルゴンなどのキャリアガス
を吹き込むと、ガスに巻き上げられたPZTの微粒子は
キャリアガスとともにスプレーノズル33を通して真空
成膜室34に設置されたITO膜付きSUS基板35に
高速噴射してPZT膜36が形成される。このとき、P
ZT粉の粒径が1μm以下の超微粒子の場合、成膜速度
(5〜20μm厚/分)が大きくなると同時に基板との
密着強度が向上する。
【0024】次にインク液室を作成するためSUS板の
穿孔加工を行った。まず、SUS板の片面(PZT膜が
形成されている反対側の面)にフォトレジストを塗布
し、乾燥後、エマルジョンマスクを用いて露光、現像、エ
ッチングを行い最後にフォトレジストを剥離して上部電
極に対応する所定位置にインク液室を作成した。インク
液室は穿孔部がほぼ長方形状で、長辺の寸法は約1〜3
mm、短辺寸法は約0.04〜0.15mmである。ま
た隔壁部の壁厚寸法は穿孔部の短辺方向に0.03〜
0.08mmになるようフォトマスクの開口径(0.0
2〜0.07mm)を設計し、エッチング液(塩化第二
鉄液)の噴霧圧(0.5〜5kgf/cm)を調整す
ることにより作製した。
【0025】図4は、このように形成した液体吐出ヘッ
ド部の要部構成を説明する上面図である。島状に配列さ
せた上部電極の形状を、上部電極側からみた上面図とし
て図4に示す。各々の上部電極が1個の圧電素子に相当
する。ここで1個の矩形上部電極の寸法は、図4(a)
に示すように、たとえば短辺w1が60μm、長辺w2
が2mmで、短辺w1はSUS板の長辺方向(110m
m)にピッチp1(たとえば85μm)で約1250個
形成され、同様にSUS板の短辺方向(33mm)には2
mmの長辺w2がピッチp2(たとえば5mm)で5列
形成される。そしてインク液室の穿孔加工後、同図
(b)のように110mm×5mmnの寸法に切断さ
れ、1個のヘッドとなる。あるいは、同図(a)を5段
(5列)のヘッドとしてそのまま使用してもよい。ただ
しこの場合は,ピッチp2を5mmより小さくすればヘ
ッドの小型化が図れる。また、従来方式の振動板を使用
せず、圧電素子の振動エネルギーを直接インク液に付与
しているため、駆動電圧は従来の約半分以下(10V以
下)にすることが可能となった。
【0026】以上の実施例では、下部電極としてITO
膜を用いたが、ITO膜の替わりにSrRuO3、RuO2、IrO2
等の導電性金属材料酸化物の膜を用いてもほぼ同様なヘ
ッドを作成することが可能であり、また、耐食性金属材
料SUS304の替わりにNi合金およびCu合金を用
いても、ほぼ同様なヘッドを作成することができた。
【0027】(実施例2)図5は本発明による第2の実
施例に係る液体吐出ヘッドの要部構成を説明する断面図
である。本実施例の構成は実施例1と概略同じであり、
実施の形態も一部重複するため、主たる相違点のみを説
明する。実施例1に示す図1との大きな相違点は、圧電
材料13が下部電極14および上部電極15とともにイ
ンク液室側へ凸状に湾曲していることである。この凸状
湾曲の方向は、インク液室へ伝達する応力の方向と一致
することから、圧電素子の小さな変形でもインク液室へ
容易に応力を伝達することができる。また、かかる湾曲
形状により圧電素子の作用する方向と反対の方向には変
位し難く相対的強度が向上する。かかる湾曲形状は圧電
素子の熱処理時に形成するもので、圧電材料の熱処理時
の収縮率および熱膨張係数と金属基板の大きな熱膨張係
数との相対関係で得られるものである。また、実施例1
との工程上の違いは、インク液室の穿孔加工後に上記熱
処理を行うものである。以下、実施例2について詳細に
説明する。
【0028】インク液室の隔壁を構成する基板として板
厚100μm、長辺110mm、短辺33mmの矩形状
SUS304を選び、このSUS板の片面のほぼ全域に
わたってITO膜(約0.2μm厚)を通常のスパッタ
ー法により被着した。ITO膜は下部電極14として用
いる。さらに、この電極上にエアロゾル式ガスデポジシ
ョン法により厚さ約10μmのPZT膜13を成膜して
3層複合基板を作成した。次にレジスト膜パターンを所
望する形状にフォトリソグラフィー法にて成形した後、
上部電極15としてCr膜(0.05μm)およびAu
膜(0.2μm)を複合成膜した。そしてレジスト剥離
液(アルカリ性溶剤等)によりレジストを除去後、実施
例1と同様な方法でインク液室を作成した。最後に50
0〜600℃1時間の熱処理を行いPZT膜の性能向上
を図ると同時に、凸状の湾曲形状を形成した。なお、湾
曲の程度は、熱処理温度が高くなるほど大きくなるが、
隔壁間距離の数%から10%程度であれば圧電素子の変
形を効率よくインク液に伝達することができる。
【0029】(実施例3)図6は本発明による第3の実
施例に係る液体吐出ヘッドの要部構成を説明する断面図
である。同図中、17はシリコン酸化膜であり、他は実
施例1の図1と同様、符号11はインク液室の隔壁、1
3は圧電材料、14および15はそれぞれ圧電材料を駆
動するための下部電極および上部電極である。本実施例
の構成は実施例1と概略同じであり、実施の形態も一部
重複するため、主たる相違点のみを説明する。特に本実
施例ではインク液室の隔壁11と下部電極14の間に電
気的絶縁性の極薄のシリコン酸化膜17(膜厚0.2μ
m以下)を設けたことが実施例1との大きな相違点であ
る。このシリコン酸化膜17の配設により、下部電極1
4はインク液と直接接することがなくなり、その結果、
電極材質として通常の金属膜が使用でき電極材質の選択
の自由度が大幅に向上した。以下、実施例3について詳
細に説明する。
【0030】インク液室の隔壁11を構成する基板とし
て板厚100μm、長辺110mm、短辺33mmの矩
形状SUS304を選び、このSUS板の片面のほぼ全
域にわたって順次、シリコン酸化膜17(膜厚約0.1
μm)および下部電極14としてTi膜(約0.1μ
m)とPt膜(約0.2μm)の複合膜を通常のスパッ
ター法により被着した。さらに、この電極上にエアロゾ
ル式ガスデポジション法により厚さ約10μmのPZT
膜13を成膜して3層複合基板を作成した。次にレジス
ト膜パターンを所望する形状にフォトリソグラフィー法
にて成形した後、上部電極15としてCr膜(0.05
μm)およびAu膜(0.2μm)を複合成膜した。そ
してレジスト剥離液(アルカリ性溶剤等)によりレジス
トを除去し、洗浄後、500℃1時間の熱処理を行いP
ZT膜の性能向上を図った。次に実施例1と同様な方法
でインク液室を形成した。
【0031】なお、隔壁を構成する基板としてシリコン
単結晶を用いても同様な構成でヘッドを作成することが
可能であつたが、この場合、シリコン酸化膜等の電気的
絶縁性膜を使用しなくても下部電極として通常の金属電
極膜が適用可能である。
【0032】実施例3では、電気的絶縁性膜としてシリ
コン酸化膜を用いたが、シリコン酸化膜の替わりにZr
、Al、MgO、TiO、Ta、N
等の金属材料酸化物膜を用いてもほぼ同様なヘ
ッドを作成することが可能である。また、下部電極14
としてTi膜(約0.1μm)とPt膜(約0.2μ
m)の複合膜を用いたが、これらの替わりに金系や白金
系など、通常の金属電極膜を用いても、ほぼ同様なヘッ
ドを作成することができた。
【0033】
【発明の効果】本発明により、従来問題となっていた高
密度ノズルの作成が容易となり、信頼性の高い液体吐出
ヘッドを提供することが可能となる。さらに、多ノズル
化、長尺化ヘッドに好適な構成であると共に、製造工程
の簡略化によるコストダウンが可能である。さらに、プ
リンタ以外の適用として遺伝子解析装置、平面ディスプ
レイ装置あるいは医療関係の分析機器等への用途に道が
拓かれる。また、本発明に係わる液体吐出ヘッドの製造
方法によれば、本発明に係わる液体吐出ヘッドを容易に
製造することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による液体吐出ヘッド部の一例
を示す要部断面図である。
【図2】本発明の実施例による液体吐出ヘッド部の作成
工程を示す工程図である。
【図3】ガスデポジション装置の一構成を説明するため
の概略図である。
【図4】本発明の実施例による液体吐出ヘッド部の上面
図である。
【図5】本発明の第2の実施例による液体吐出ヘッド部
の断面図である。
【図6】本発明の第3の実施例による液体吐出ヘッド部
の断面図である。
【図7】従来のインクジェットプリンターのヘッド部の
一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・耐食性金属材料基板、10・・・インク液室、
11・・・インク液室の隔壁、12・・・振動板、13
・・・圧電材料、14・・・下部電極、15・・・上部
電極、 16・・・ノズルプレート、17・・・シリコ
ン酸化膜、100・・・3層複合基板、131・・・圧
電素子、161・・・ノズル、31・・・エアロゾル化
室、32・・・PZT粉、33・・・スプレーノズル、
34・・・真空成膜室、35・・・基板、36・・・P
ZT膜、
フロントページの続き Fターム(参考) 2C057 AF05 AF55 AF93 AF99 AG12 AG37 AG42 AG52 AG81 AP14 AP31 AP51 AP52 AP53 AQ02 AQ06 BA03 BA14

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動板、隔壁およびノズルを有するノズ
    ルプレートによって囲まれた液体圧力室を有する液体吐
    出ヘッドにおいて、前記振動板が圧電材料で構成される
    ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記隔壁が耐食性金
    属材料で構成され、かつ、隔壁と圧電材料の間に形成さ
    れる下部電極が導電性金属材料酸化物で構成されること
    を特徴とする液体吐出ヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記下部電極がSrRu
    O3、RuO2、IrO2、ITO(In2O3-SnO2)から選ばれる少なく
    とも一つの導電性金属材料酸化物で構成されることを特
    徴とする液体吐出ヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかにおいて、液
    体に接する圧電材料が液体圧力室側へ凸状に湾曲してい
    ることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至3のいずれかにおいて、前
    記圧電材料がエアロゾル式ガスデポジション法で形成さ
    れることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  6. 【請求項6】 振動板、隔壁およびノズルを有するノズ
    ルプレートによって囲まれた液体圧力室を有する液体吐
    出ヘッドの製造方法において、 板状の耐食性基板に導電性金属材料酸化物層を形成し、
    この導電性金属材料酸化物層上に圧電材料を形成する工
    程、および前記耐食性基板に液体圧力室を穿孔する工程
    を含むことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6において、前記圧電材料がエア
    ロゾル式ガスデポジション法で形成される工程を含むこ
    とを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
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Cited By (5)

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