JP2003134939A - 多肉植物の育成栽培用容器、育成栽培方法、緑化施工用ユニット及び緑化工法 - Google Patents

多肉植物の育成栽培用容器、育成栽培方法、緑化施工用ユニット及び緑化工法

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JP2003134939A
JP2003134939A JP2001337562A JP2001337562A JP2003134939A JP 2003134939 A JP2003134939 A JP 2003134939A JP 2001337562 A JP2001337562 A JP 2001337562A JP 2001337562 A JP2001337562 A JP 2001337562A JP 2003134939 A JP2003134939 A JP 2003134939A
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succulent
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Tatsu Nagai
龍 長井
Yoshifumi Matsuki
良文 松木
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Gunze Ltd
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Gunze Ltd
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  • Cultivation Receptacles Or Flower-Pots, Or Pots For Seedlings (AREA)
  • Pit Excavations, Shoring, Fill Or Stabilisation Of Slopes (AREA)
  • Cultivation Of Plants (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 適度な排水性と保水性とを実現し、これによ
り、土壌基盤材内の長期過湿状態を回避して根腐れによ
る枯死を防止するとともに、土壌基盤材表面が異常な高
温度になることを回避して熱焼枯死を防止することがで
きる多肉植物の育成栽培用容器、育成栽培方法、緑化施
工用ユニット及び緑化工法を提供する。 【解決手段】 排水手段と貯水手段とを有する多肉植物
の育成栽培用容器、それを用いた育成栽培方法、緑化施
工用ユニット及び緑化工法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物の屋上及び
法面等の人工地盤上の緑化に適した多肉植物類の育成栽
培用容器、育成栽培方法、緑化施工用ユニット及び緑化
工法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ビルの屋上をはじめとする人工地
盤上の緑化を行い、ヒートアイランド現象の軽減や省エ
ネルギーにつなげようとする試みが注目されている。人
工土壌上の緑化を行う際に問題となる、負荷重の制約、
潅水施設の不備、風の影響等を考慮して、地被類での緑
化方法が検討されており、なかでも、耐乾性、耐暑性が
あり、かつ、常緑の植物である多肉植物、とりわけベン
ケイソウ科セダム属の植物による薄層緑化方法が特に注
目されている。
【0003】ベンケイソウ科セダム属の植物は、特別の
土壌を必要とすることなく、極度の耐乾性を有し枯死し
にくい植物類の代表種であり、排水性に優れた土壌であ
れば繁茂する性質を有していることから、人工地盤上の
緑化に適している。しかし、緑被率60%以上の過密な
植栽を行うと、土壌の表面近くに細根が密集して排水性
が極度に低下し、土壌の表面近くに水が長時間滞水する
過湿状態となり、この過湿状態に日本特有の気候である
高温多湿期が重なると、高温多湿状態に弱いベンケイソ
ウ科セダム属の植物は全滅してしまうことがある。一
方、緑被部以外の40%に及ぶ裸地部においては、その
土壌の表面温度が盛夏時には外気温プラス20〜30℃
の異常高温に達し、いかに耐熱性の高いベンケイソウ科
セダム属の植物であっても、異常に温度が上昇している
裸地部に接触している部分は熱焼枯死してしまい、これ
により裸地部が増大し、最終的には全滅してしまうこと
がある。
【0004】また、ベンケイソウ科セダム属の植物は手
入れをあまり必要としないため、施工後は無管理下に放
置されるケースが非常に多く、無管理下でも枯死しない
ようにするために、緑化の施工にあたっては、使用され
る土壌の量が少ない割には大掛りな基礎工事を必要とし
ていた。
【0005】更に、緑化施工時期が厳寒期や高温多湿期
である場合には、いかに耐寒性、耐暑性に優れるベンケ
イソウ科セダム属の植物であっても、施工後の活着率が
大幅に低下してしまうため、施工時期も一般の樹木植栽
同様に限られていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑み、適度な排水性と保水性とを実現し、これにより、
土壌基盤材内の長期過湿状態を回避して根腐れによる枯
死を防止するとともに、土壌基盤材表面が異常な高温度
になることを回避して熱焼枯死を防止することができる
多肉植物の育成栽培用容器、育成栽培方法、緑化施工用
ユニット及び緑化工法を提供することを目的とするもの
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、排水手段と貯
水手段とを有する多肉植物の育成栽培用容器である。以
下に本発明を詳述する。
【0008】本発明の育成栽培用容器を、その一実施態
様を示した図面を用いて以下に説明する。図1に示す態
様の育成栽培用容器1は、側壁2と底部3とからなり上
部が開放された直方体であり、排水手段として、排水口
4及び排水溝6が形成されており、貯水手段として、溝
5が形成されている。
【0009】排水口4は、図1に示す態様では底部2の
長手方向の中心線上に形成されているが、排水口4の排
水機能が妨げられない限りその形成位置は特に限定され
ず、底部2の他の箇所であってもよい。図1に示す態様
では円形の排水口4が4個設けられているが、排水口の
大きさ及び形状は特に限定されない。また、排水口の数
も特に限定されず、1個であってもよいし、複数個であ
ってもよいが、排水効率を高くするためには複数個であ
ることが好ましい。
【0010】本発明の育成栽培用容器1では、底部2の
内面は排水口4に向かって傾斜している。底部2がこの
ように傾斜していることにより、良好な排水が担保され
る。図1に示す態様では、底部2の内面は側壁3と底部
2との交線から排水口4に向かって傾斜している。傾斜
の角度としては良好に排水が行えれば特に限定されない
が、2.25〜6.75度であることが好ましい。2.
25度未満であると、速やかな排水が行われず、6.7
5度を超えると、容器中央と壁面付近の深さの差が大き
くなり薄い直方体とすることが困難になる。
【0011】排水口4から排出された水分は、速やかに
底部2に形成された排水溝6に流れる。これにより、本
発明の育成栽培用容器1内部の土壌に過剰な水分がたま
ることを防ぎ、根腐れにより多肉植物が枯死することを
防止することができる。図1に示す態様では、底部2の
外面の長手方向の中心線上に排水溝6が形成されている
が、排水溝6の態様としては、排水口から排出された水
分を速やかに流すことができれば特に限定されず、例え
ば、複数の排水溝が底部の外面に形成されていてもよ
く、碁盤の目状に形成されていてもよい。
【0012】図1に示す態様では、更に側壁2の下端が
面取り7されている。これにより、複数の育成栽培用容
器を連結させて配置した際に、面取りした箇所が排水溝
を形成し、更に排水機能を向上させることができ、図1
に示すように複数の側壁の下端が面取りされていること
が好ましい。なお、面取りとしては、C面取りであって
も、R面取りであってもよく、また、図2に示すように
側壁の下端を切り取ることによっても同様の機能を発揮
することができる。
【0013】本発明の育成栽培用容器1の底部2の内面
には、溝5及び/又は窪み9が形成されている。本発明
の育成栽培用容器に注がれた水分は底部内面をつたって
排水口から容器外に排出されるが、かかる溝又は窪みを
底部の内面に設けることにより水の一部はこの溝や窪み
に貯水される。これにより、灌漑施設のない屋上等で
も、多肉植物に適度な水分を供給しうるとともに、土壌
表面が異常な高温度になることを回避して多肉植物の熱
焼枯死を防止することができる。図1に示す態様では、
底部2の内面に側壁2と平行に凹状の溝5が6本形成さ
れているが、溝の数、形状、深さ及び大きさ等は適度な
貯水機能が担保できれば特に限定されず、施工する場所
の環境、及び、要求される湿度に応じて決められる。ま
た、溝5に加えて又は溝5の代りに、図3に示すような
ディンプル状の窪み9が形成されていてもよい。
【0014】本発明の育成栽培用容器の高さとしては特
に限定されないが、緑化施工用ユニットに利用する場合
には垂直方向に薄い直方体であることが好ましい。ま
た、図1に示す態様は育成栽培用容器1の内部が1室か
らなるものであるが、内部に側壁2と同じ又は低い中仕
切りを設けて複数室を形成したものであってもよい。
【0015】本発明の育成栽培用容器を構成する材料と
しては特に限定されず、例えば、ポリエチレン樹脂、ポ
リプロピレン樹脂、硬質ポリウレタン樹脂、ポリスチレ
ン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ABS樹脂等の合成樹脂
等を挙げることができる。また、本発明の育成栽培用容
器は、軽量でかつ断熱性を有するように発泡体からなる
ものが好ましい。
【0016】本発明の育成栽培用容器は、多肉植物に用
いられるものであるが、上記多肉植物としては特に限定
されず、例えば、ベンケイソウ科、カタバミ科、ツルナ
科に属する植物等を挙げることができる。なかでもベン
ケイソウ科セダム属の植物は、極端に乾燥に強いものが
含まれることから、人工地盤上の緑化に適している。上
記ベンケイソウ科セダム属の植物としては、例えば、メ
キシコマンネングサ、モリムラマンネングサ、タイトゴ
メ、コッシニウム、サカサマンネングサ、コーラルカー
ペット等を挙げることができる。
【0017】本発明の育成栽培用容器は、底部に排水口
を設け、底部の内面を排水口に向かって傾斜させること
により、給水された水を排水口へ積極的に誘引して排水
するとともに、この傾斜面上に凹部を設けて貯水機能を
もたせることにより底部の内面からの給水対策を講じた
ものである。一般の薄型育成栽培用容器では、排水性が
悪いために高温多湿状態に弱い多肉植物は根腐れして枯
死してしまう一方で、炎天下に放置すると容器の中央部
から乾燥が始まり、やがて、熱焼枯死し衰退する。本発
明の育成栽培用容器は、この一般の薄型植物栽培用容器
の欠点である排水性を改善するとともに、底部の内面か
らの給水対策を施すことにより植物の枯死を防止するこ
とができる。
【0018】本発明の育成栽培用容器に土壌基盤材を充
填し、多肉植物を育成栽培する場合には、繊維長30〜
150mmの長繊維質ピートモスを30〜40体積%含
有し、三相分布が固相15〜20%、気相50〜60
%、液相15〜30%である土壌基板材を用いることが
好ましい。
【0019】上記長繊維質ピートモスは苔類の泥炭であ
り、植物体でありながら耐腐敗性に優れ、乾燥させると
撥水性を生じ、また、給水・乾燥を繰り返すことにより
大きく収縮する性質を有する。多肉植物を上記土壌基盤
材で育成栽培すると、土壌基盤の表面には多肉植物から
伸長した根と長繊維ピートモスとが混在した吸水性の高
い毛布状の構造が形成され、また、潅水・乾燥を繰り返
す結果として、土壌基盤材が収縮して土壌基盤材と育成
栽培用容器との間に図4に示すような隙間12が生じ
る。小粒で少量の降雨時には雨水は土壌基盤表面の毛布
状の構造体より速やかに吸水されるが、土壌基盤表面で
吸収できないほどの大粒で多量の降雨時には、雨水が土
壌基盤上を表面流となって流れ、土壌基盤材と育成栽培
用容器との間に形成された隙間から容器内に侵入し、傾
斜した底部内面をつたって排水口から容器外部へと速や
かに排出される。これにより過湿状態は短時間で解消さ
れ、また、このときユニット底部の内面に設けられた凹
部に水の一部が貯水される。
【0020】上記長繊維質ピートモスは、繊維長が30
〜150mmである。30mm未満であると上述の効果
が得られず、150mmを超えると、他の土壌基盤材成
分と混合できず土壌基盤材として用いることが困難とな
る。また、上記土壌基盤材全体に占める長繊維質ピート
モスの含有量は30〜40体積%である。30体積%未
満であると、上述の効果が得られず、40体積%を超え
ると、多肉植物類の挿芽等の作業性が劣ってしまう。
【0021】上記土壌基盤材の長繊維質ピートモス以外
の成分としては特に限定されず、例えば、パーライト、
山砂、川砂、赤玉土、鹿沼土、ボラ土等を挙げることが
できる。
【0022】上記土壌基盤材は、三相分布が固相15〜
20%、気相50〜60%、液相15〜30%である。
三相分布がこのような状態にある土壌基盤材は、透水
性、通気性に優れ多肉植物の育成栽培に適するととも
に、軽重量であることから負荷重に制約のあるビルの屋
上等の人工地盤の緑化に適している。かかる土壌基盤材
は、例えば、繊維長30〜150mmの長繊維質ピート
モス40体積%と、パーライト40体積%と、山砂又は
川砂20体積%とをミキサーを用いてよく混合すること
により得ることができる。
【0023】本発明の育成栽培用容器に上記土壌基盤材
を充填し、多肉植物を育成栽培する場合には、充分に潅
水を行い土壌基盤材を安定させた後に、多肉植物の芽を
挿芽して育成栽培を行うことが好ましい。多肉植物を育
成栽培する方法としては特に限定されず、例えば、以下
のような方法を挙げることができる。まず、多肉植物の
芽を挿芽した後に育成栽培用容器を露地に並べ、寒冷紗
を用いて約2週間の遮光を行い、挿芽が完全に発根した
ことを確認した上で、遮光用の寒冷紗を除き、充分な潅
水を行い、太陽光のもとで約1ヶ月間の育成を行う。育
成期間中に、土壌基盤が乾燥したら潅水することを繰り
返すことにより、長繊維ピートモスの収縮特性により、
土壌基盤材と育成栽培用容器との間に隙間が生じる。こ
の隙間が生じる頃に潅水を停止し雨水のみの給水とし、
約1ヶ月間の施工準備用の養生を行う。この方法によ
り、育成完了時点で、多肉植物の充分に着根した芽株数
が1200株芽/m以上、緑被率が90%以上確保さ
れた植生が得られる。
【0024】このように、本発明の育成栽培用容器に上
記土壌基盤材を充填し多肉植物を育成栽培することによ
り、降雨の多少に関わらず、極端な過湿状態及び極端な
乾燥状態を避けることができるため、多肉植物を緑被率
90%以上にまで育成栽培することが可能となる。この
ような多肉植物の育成栽培方法もまた、本発明の1つで
ある。
【0025】上記育成栽培方法を用いて得られた、多肉
植物、土壌基盤材及び育成栽培用容器が一体化したもの
を、多肉植物の緑化施工用ユニットとして用いて、この
緑化施工用ユニットをビルの屋上等の人工地盤上にその
まま固定することにより、簡便に緑化を行うことができ
る。このような緑化施工用ユニット及び緑化工法もま
た、本発明の1つである。
【0026】上記緑化施工用ユニットの多肉植物は、緑
化施工時には90%以上の緑被率に育成栽培されている
ことが好ましい。90%未満であると、裸地部が異常な
高温になり、裸地部に接している部分の多肉植物が熱焼
枯死することがある。
【0027】上記緑化施工用ユニットを緑化施工面に固
定する方法としては特に限定されず、例えば、接着剤、
固定金具、ネジ等により固定する方法等を挙げることが
できる。なかでも、接着剤を用いる方法が簡便で好まし
い。具体的な施工方法としては、例えば、緑化施工面が
乾燥していることを確認した後に接着剤を塗布し、又
は、緑化施工面が既存建築物でありコンクリート面が粗
荒である場合にはコンクリート用シーラーを用いて接着
面を修復後に接着剤を塗布し、この接着剤上に、緑化施
工用ユニットを軽く押さえながら圧着し連続的に緑化施
工を行う方法が好適である。
【0028】上記緑化施工用ユニットを用いた緑化工法
の施工場所としては、ビルをはじめとする高層階建築物
の屋上等が想定される。上記緑化施工用ユニットは軽く
コンパクトであり、これを緑化施工場所に持ち込み、接
着剤等を用いて貼り付け固定するだけで緑化を行うこと
ができるので、危険を伴う大掛りな基盤施工の工事を必
要としない。しかも、本発明の育成栽培用容器を用いる
ことにより、土壌基盤材内が長期間にわたり過湿状態と
なること又は異常な乾燥状態となることを回避し多肉植
物の枯死を防止でき、更に、施工当初より緑被率が90
%以上の高緑被率であれば残りの10%未満の裸地露出
部においても、日中のほとんどの時間において、土壌面
は多肉植物の日陰に入るため直射日光を直に受ける時間
が少なく、異常な高温度となることが回避され多肉植物
の熱焼枯死を防ぐことができる。したがって、緑化本来
の目的であるヒートアイランド現象の軽減及び省エネル
ギーへ貢献することができる。
【0029】緑化施工面が曲面であったり、傾斜が大き
かったりする等の理由により上記緑化施工用ユニットを
緑化施工面に固定できない場合には、緑化施工用ユニッ
トから育成栽培されている多肉植物と土壌基盤材とをそ
のまま取り出し、生育排水マット上に敷き並べる方法
や、施工用ユニットごとカッターナイフ等で切断し施工
することにより緑化することができる。このような緑化
工法もまた、本発明の1つである。
【0030】図5に、生育排水マット19上に多肉植物
14と土壌基盤材15とを敷きつめた状態の一態様を示
す。生育排水マット19は、貫根透水シート16、立体
構造繊維17及び防根透水シート18からなる。貫根透
水シート16は、生育排水マット19の最上層にあって
土壌基盤材15が直接接するものであり、土壌基盤材1
5の流出を防ぐとともに、多肉植物14から伸長した根
を巻き込むことにより、多肉植物14を生育排水マット
19へ固定するという役割を有する。
【0031】立体構造繊維17は、貫根透水シート16
と防根透水シート18との中間にあって、多肉植物14
の生育に必要な水分を保水するとともに、余分な水分を
速やかに排水して、多肉植物14に最適な生育環境を維
持するという役割を有する。
【0032】防根透水シート18は、生育排水マット1
9の最下層にあって、立体構造繊維17からの排水を促
進し、多肉植物14から伸長した根が施工面に進入する
のを防ぐという役割を有する。
【0033】上記生育排水マットは、金具等で固定する
ことで簡単に緑化施工面に固定することができる。上記
生育排水マットを用いることにより、多肉植物の生育に
最適な状態が保たれることから、緑化施工後は、ほとん
ど無管理下に放置しても多肉植物が維持される。
【0034】上記緑化工法では、まず、上記生育排水マ
ットを固定金具、ネジ等で固定し、その上に緑化施工用
ユニットからそのまま取り出した多肉植物と土壌基盤材
とを敷き並べる。上記生育排水マットは柔軟性にも優れ
ることから、緑化施工面が曲面であっても施工すること
ができる。
【0035】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0036】(実施例1) <育成栽培用容器の作製>ビーズ発泡による成型方法に
より、発泡倍率35%のポリスチレン樹脂発泡体を用い
て、図1に示したような、内部が幅250×長さ500
mm、外形が幅270×長さ520mm×高さ60m
m、底部内面の傾斜角度が4.5度、底部内面の溝の深
さが2mmの育成栽培用容器を得た。
【0037】<土壌基盤材の調製>繊維長50〜150
mmのピートモス40体積%、パーライト40体積%、
山砂20体積%の割合で混合することにより、三相分布
が気相率59.5%、液相率19.0%、固相率21.
5%であり、仮比重が0.60g/mL(PF値1.
8)の土壌基盤材を得た。
【0038】<セダムの育成>育成栽培用容器12基の
各々に土壌基盤材3Lづつを充填し、充分潅水を行っ
た。この各々にベンケイソウ科セダム属の一種であるメ
キシコマンネングサの芯芽を育成栽培用容器1基当り8
4芽の挿芽した。その後、遮光育成を2週間行い、完全
発根した活着率100%の幼苗ユニットを得た。得られ
た幼苗ユニットの遮光を止め、直射日光の下で潅水を繰
り返しながら1ヶ月間の育成を行った。この時点でのメ
キシコマンネングサの芽株数は141芽株、緑被率は約
80%に達した。また、この時点で土壌基盤材と育成栽
培用容器との隙間は約1mmあった。更に、人工的潅水
を停止し、1ヶ月間の自然条件による養生を行った。こ
の時点でのメキシコマンネングサの芽株数は153芽
株、緑被率は約96%に達し、土壌基盤と育成栽培用容
器との隙間は約2.5mmとなった。これを緑化施工用
ユニットとした。なお、芽株数としては、分株も含め土
壌基盤材へ着根している健全な芽の数を計数した。
【0039】<施工>得られたメキシコマンネングサの
緑化施工用ユニットを10月に12基づつ以下の3区に
分け、ブチルゴム製両面粘着テープを用いて、ユニット
底面を施工面に貼り付けて固定し、そのまま放置した。 A区:3階建既築の鉄筋コンクリートビル屋上への施工 B区:高さ1.8mの鉄筋コンクリート製の塀上への施
工 C区:ステンレス板で覆われた高さ2mの屋根部への施
【0040】<評価>施工後4カ月経過後(2月上旬:
厳寒期)及び10カ月経過後(8月上旬:高温多湿期)
に各区の芽株数、緑被率、土壌基盤表面温度、施工面下
温度、外気温を測定した。結果を表1に示した。
【0041】
【表1】
【0042】表1より、緑被率90%以上の過密植生で
の施工であるにもかかわらず、厳寒期を経過した時点で
の芽株数及び高温多湿期を経過した時点での芽株数が施
工時より減少していなかった。このことから、本発明の
緑化施工用ユニットは過密植生であっても日本特有の気
候において充分に生育可能であることがわかった。ま
た、ヒートアイランド現象の軽減に最も影響を及ぼす緑
被率においても大きな変化がなく、土壌基盤表面温度
は、高温多湿期でも外気温に対しわずかに上昇する程度
であった。更に、緑化施工面下温度は厳寒期においては
外気温よりも高く、高温多湿期においては外気温よりも
低かった。このことから、緑化施工用ユニットがヒート
アイランド現象の軽減及び省エネルギーへ大きく貢献し
得ることがわかった。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、土壌基盤材内の長期過
湿状態を回避して根腐れによる枯死を防止することがで
き、かつ、土壌基盤材表面が異常な高温度になることを
回避して熱焼枯死を防止することのできる多肉植物の育
成栽培用容器を提供することができる。この育成栽培用
容器に長繊維ピートモスをベースとした透水性、通気性
に優れた軽重量の混合土壌を土壌基盤材として充填し、
多肉植物を育成栽培する方法により、緑被率90%以上
に多肉植物が育成栽培された緑化施工用ユニットを得る
ことができ、この緑化施工用ユニットを緑化施工場所に
持ちこみ、接着剤等を用いて、施工面へ貼り付け固定に
するという簡便な緑化工法により、日本特有の気候であ
る厳寒期及び高温多湿期を経過しても、多肉植物の枯死
による衰退を招くことはなく、更に、施工時に既に高緑
被率に育成栽培されていることから通年にわたっての施
工が可能となる。また、緑化施工用ユニットを貼り付け
固定することが困難な場合には、緑化施工用ユニットか
ら育成栽培されている多肉植物と土壌基盤材とを取り出
し、生育排水マット上に敷き並べる方法や、施工用ユニ
ットごとカッターナイフ等で切断し、施工することによ
り緑化を行うことができる。本発明により、緑化本来の
目的である、ヒートアイランド現象の軽減及び省エネル
ギーへ貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の育成栽培用容器の一実施態様を示す
平面図及び断面図である。
【図2】 本発明の育成栽培用容器において側壁の下端
が切り取られた態様を示す断面図である。
【図3】 本発明の育成栽培用容器において底部の内面
に窪みが形成された態様を示す平面図である。
【図4】 緑化施工用ユニットを連結して緑化施工面に
接着した一実施態様を示す断面図である。
【図5】 生育排水マット上に多肉植物並びに土壌基盤
材を敷きつめた状態を示す模式図である。
【符号の説明】
1 育成栽培用容器 2 側壁 3 底部 4 排水口 5 溝 6 排水溝 7 面取り部 8 切り取り部 9 窪み 10 土壌基盤材 11 多肉植物 12 空隙 13 接着剤 14 多肉植物 15 土壌基盤材 16 貫根透水シート 17 立体構造繊維 18 防根透水シート 19 生育排水マット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) E02D 17/20 102 A01G 27/00 502E Fターム(参考) 2B022 AB04 BA02 BA12 BA16 BB01 2B027 NC02 NC05 NC13 NC14 NC24 NC25 NC27 NC36 ND01 NE03 QA05 QB03 QC02 QC28 QC48 UA03 UA10 UA13 2D044 DA17

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排水手段と貯水手段とを有することを特
    徴とする多肉植物の育成栽培用容器。
  2. 【請求項2】 底部及び側壁から構成される多肉植物の
    育成栽培用容器であって、前記底部及び/又は壁面の下
    部には排水口が設けられ、前記底部の内面は前記排水口
    に向かって傾斜し、かつ、前記底部の内面には貯水機能
    を有する溝及び/又は窪みが形成され、前記底部の外面
    には排水溝が形成されていることを特徴とする多肉植物
    の育成栽培用容器。
  3. 【請求項3】 底部と側壁とからなる直方体の多肉植物
    の育成栽培用容器であって、前記底部には長手方向の中
    心線上に排水口が設けられ、前記底部の内面は側壁と底
    部との交線から前記排水口に向かって傾斜し、かつ、前
    記低部の内面には貯水機能を有する溝及び/又は窪みが
    形成され、前記底部の外面には長手方向の中心線上に排
    水溝が形成されており、前記側壁の下端が面取りされて
    いることを特徴とする多肉植物の育成栽培用容器。
  4. 【請求項4】 底部の内面は、側壁と底部との交線から
    排水口に向かって2.25〜6.75度の角度で傾斜し
    ていることを特徴とする請求項3記載の多肉植物の育成
    栽培用容器。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3又は4記載の多肉植物
    の育成栽培用容器に土壌基盤材を充填し、多肉植物を育
    成栽培する多肉植物の育成栽培方法であって、前記土壌
    基盤材は、繊維長30〜150mmの長繊維質ピートモ
    スを30〜40体積%含有し、三相分布が固相15〜2
    0%、気相50〜60%、液相15〜30%であること
    を特徴とする多肉植物の育成栽培方法。
  6. 【請求項6】 土壌基盤材が充填された請求項1、2、
    3又は4記載の多肉植物の育成栽培用容器に多肉植物が
    育成栽培されてなる多肉植物の緑化施工用ユニットであ
    って、前記土壌基盤材は、繊維長30〜150mmの長
    繊維質ピートモスを30〜40体積%含有し、三相分布
    が固相15〜20%、気相50〜60%、液相15〜3
    0%であることを特徴とする多肉植物の緑化施工用ユニ
    ット。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の多肉植物の緑化施工用ユ
    ニットを、緑化施工面へ固定することを特徴とする多肉
    植物の緑化工法。
  8. 【請求項8】 請求項6記載の多肉植物の緑化施工用ユ
    ニットから育成栽培されている多肉植物と土壌基盤材と
    を取り出し、貫根透水シート、立体構造繊維及び防根透
    水シートからなる生育排水マット上に敷き並べることを
    特徴とする多肉植物の緑化工法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2011005216A1 (en) * 2009-07-06 2011-01-13 Housing And Development Board A plant tray
CN104380943A (zh) * 2014-10-08 2015-03-04 云南集创园艺科技有限公司 石莲叶片弥雾扦插快速繁殖方法

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