JP2003134128A - 多段伝送ネットワークの構築、修復再構築及び運用方法 - Google Patents

多段伝送ネットワークの構築、修復再構築及び運用方法

Info

Publication number
JP2003134128A
JP2003134128A JP2001324703A JP2001324703A JP2003134128A JP 2003134128 A JP2003134128 A JP 2003134128A JP 2001324703 A JP2001324703 A JP 2001324703A JP 2001324703 A JP2001324703 A JP 2001324703A JP 2003134128 A JP2003134128 A JP 2003134128A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
child
parent
route
information
message
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001324703A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoichi Hijikata
洋一 土方
Yutaka Misuno
豊 翠簾野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Radio Co Ltd
Original Assignee
Japan Radio Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Radio Co Ltd filed Critical Japan Radio Co Ltd
Priority to JP2001324703A priority Critical patent/JP2003134128A/ja
Publication of JP2003134128A publication Critical patent/JP2003134128A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 多段伝送ネットワークにおけるトラフィック
を抑え、より安定した運用を可能にする。 【解決手段】 親のゲートウエイ(GW)20−1,2
0−6はPHS公衆網に加入しており公衆+自営トラン
シーバ(TR)のデュアルモードで待ち受ける。その他
のGW20−2〜20−5,20−7は子のGWであり
自営TRモードで待ち受ける。親は、ネットワークを構
成するGWのTR番号のリストであるエントリーテーブ
ルに基づき試行的に発呼し、GW間の通信環境を調べて
経路テーブルに登録する。親は、任意の子に対する送信
/中継経路及びその期待品質を経路テーブルに基づき検
出及び比較し、最適経路テーブルに登録する。親は、最
適経路テーブルに従いポーリングを行うことにより、子
に対する設定及び子からのデータ収集を行う。子はテー
ブルを保持しない。子は他のGWから信号を受信しない
限り原則として発呼しない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、PHS移動局等に
より実現される無線ゲートウエイ(GW)により構築さ
れる多段伝送ネットワークに関する。本発明は、より詳
細には、多段伝送ネットワークの構築、修復再構築及び
運用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】無線テレメトリは、要所要所に配置され
た計測器に無線機を付設し、それらの無線機を介して各
計測器による計測結果を収集し、また各計測器に対して
必要な遠隔操作を行う自動検針技術であり、有線回線を
設置する必要がない等の利点を有している。例えば、各
家庭・事業所に配設されている電力量計(Watt Hour Me
ter:WHM)に無線機を付設し、無線テレメトリを実
施することによって、電力料金の計算に必要な情報を自
動的に計算することや、各電力量計を保守することが可
能になる。また、無線テレメトリを応用・実施可能な分
野は、このような電力検針に限られない。例えば、水道
流量、ガス流量、自動販売機売上/商品残量/釣り銭、
パーキングエリア駐車時間、ペイパービュー視聴時間
等、様々な分野における検針に無線テレメトリを採用可
能である。
【0003】無線テレメトリを効率的かつ安価に実施す
る上で、インフラストラクチャが既にかなりの程度整備
されている無線通信システムを利用することが、有効で
ある。例えば、PHS(Personal Handy phone Syste
m)は、ISDN(IntegratedServices Digital Networ
k)と親和性がよくかつ公衆網がかなり整備されている
ことから、また自営用のネットワークを構築できること
から、利用性の高い無線テレメトリを低コストで実現す
るのに適している。即ち、ISDN/PHS公衆網を利
用することによって、安価に自動検針システムを構築・
運用することができる。また、PHS移動局は、近年に
わかに小型軽量化・低消費電力化が進んでいるため、無
線テレメトリ用の無線機即ち無線によるGWとして使用
するのに適している。
【0004】PHSを用いた無線テレメトリシステムと
しては、特開平10−173789号公報に記載されて
いるように、GWとして用いられているPHS移動局間
のトランシーバ通信を有効利用したものが、既に考案さ
れている。このシステムにおいては、GWのうちPHS
公衆用基地局に直接無線接続可能なものを親、それ以外
のものを子としており、PHS公衆用基地局と親の間は
PHSの公衆モードで、親と子の間及び子と子の間は自
営トランシーバモードで接続可能である。PHS公衆用
基地局はISDN/PHS公衆網を介してホストに接続
されている。そのため、子から親へという上り方向でト
ランシーバ通信することによって、また直接親に無線接
続できない子については他の子が中継することによっ
て、各GWに対応する計測器にて得られた情報を親に集
めホストに送信することができる。その逆に、ホストか
ら親へ、親から子へ、子から他の子へという下り方向の
通信・中継によって、各GWに対して必要な情報を供給
し遠隔操作できる。
【0005】また、上掲の公報に記載されているシステ
ムでは、各GWが、システムを構成するGWのリストで
あるエントリーテーブル、GW間の通信環境を示す接続
テーブル等を保持している。接続テーブルは、対応する
計測器から得られた情報を送信する際、或いは他のGW
から受信した情報を更に他のGWに転送・中継する際、
発呼先GW即ちトランシーバモードで直接無線接続する
相手を特定するのに、利用される。接続テーブルの内容
がトランシーバ通信・中継の経路を決めることになるた
め、接続テーブルは通信環境の変動に即応して修正する
のが望ましい。そこで、各GWは、周囲のGWとの間で
自発的に接続確認通信を行って受信電界強度を測定し、
測定結果に基づく接続テーブル修正内容を、上り方向の
トランシーバ通信・中継によって、親に送信する。親
は、修正した接続テーブルを、下り方向のトランシーバ
通信・中継によって、各子に配信する。これによって、
システム全体が同一の接続テーブルを利用できるように
している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、特開平1
0−173789号公報に記載されているシステムによ
れば、PHS移動局間のトランシーバ通信を有効利用し
て、無線テレメトリを実施することができる。しかしな
がら、各GWが自発的に情報送信を行うため、輻輳即ち
発呼衝突によるビジーが生じやすい。特に、各測定器か
ら定刻に情報を得てホストに集約する必要があるシステ
ムでは、各GWによる発呼がほぼ同時となりやすく、輻
輳が顕著に発生しやすい。各GWが自発的に行う接続確
認通信も、輻輳の一因となる。修正された接続テーブル
の配信は、更に顕著に、輻輳の一因となる。
【0007】更に、接続確認通信時に発呼先GWが通信
中であった場合、実際には発呼元GW・発呼先GW間の
無線通信環境が良好であっても、発呼元GWは「これま
では接続できていた発呼先GWと接続できなくなった」
=「接続テーブルを修正する必要がある」と判断する。
これに伴い接続テーブルの修正、親への送信及び親から
子への配信が行われると、ネットワーク全体を対象とし
て、誤った修正が施された不適切な接続テーブルである
にもかかわらず配信が行われることになる。但し、親が
接続テーブルを受け取ることができれば配信が行われる
ものの、実際には上述の輻輳によって親が接続テーブル
を受信することができないことがあり得るし、親に接続
テーブルがたどり着き修正された接続テーブルの配信手
順が起動したとしても、上述のように輻輳が生じやすい
ため修正された接続テーブルを全てのGWが受け取れる
確率は低い。即ち、修正された接続テーブルの内容が適
切か不適切かを問わず、ネットワーク全体で同一の接続
テーブルを用いるというテーブル整合性は、ほとんど、
得られない。
【0008】本発明は、このような問題点を解決するこ
とを課題としてなされたものであり、無線テレメトリシ
ステム等に利用されるネットワークを構築・運用するに
当たって、上掲の公報に記載のシステムに比べ輻輳が生
じにくいようにすること、並びに経路決定の基盤となる
テーブル情報を頻繁に伝送する必要をなくすことを、そ
の目的の一つとしている。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本願出願人は、多段伝送ネットワークに関
し、構築方法、修正再構築方法及び運用方法を提案す
る。
【0010】まず、本発明にて前提としている多段伝送
ネットワークは、いずれも無線通信機能を有する複数の
無線GWにより構成される。また、この多段伝送ネット
ワークは、それら複数の無線GWのうち特定の無線GW
を親とし、他の無線GWを子として、親から子へと向か
う下り方向情報伝送及び子から親へと向かう上り方向情
報伝送を行うものとする。直接の無線リンクを形成でき
る無線GW同士であれば、その無線リンクを、下り方向
情報伝送及び上り方向情報伝送の際の経路として使用す
ることができる。しかし、直接の無線リンクを形成でき
ない無線GW同士、例えば両者の距離が大きな無線GW
同士では、直接の無線リンクを形成できない。本発明に
て想定している多段伝送ネットワークでは、そのような
親子間でも情報伝送を行えるようにするために、無線G
W相互の無線リンクと、他の子による中継とを含む経路
を、下り方向情報伝送及び上り方向情報伝送に使用す
る。例えば、親から第1の子による中継を介して第2の
子に至る経路、言い換えれば親と第1の子の間の無線リ
ンク及び第1の子と第2の子の間の無線リンクを含む経
路を介して、親と第2の子との間で下り方向情報伝送及
び上り方向情報伝送を行う。
【0011】本発明に係る運用方法は、第1に、自律的
に又はホスト、保守端末等の外部装置若しくは使用者か
らの指示に応じ、定常動作時手順を、親が開始させるこ
とを特徴としている。ここでいう定常動作時手順とは、
親から子に情報を配信・設定しまた子から親に情報を収
集するため下り方向情報伝送及び上り方向情報伝送を組
にして実行する手順である。本発明に係る運用方法は、
第2に、下り方向情報伝送を行う際、親子間情報伝送用
の経路が子毎に登録されている最適経路テーブルに基づ
き、親が経路を指示することを特徴としている。より具
体的には、最適経路テーブルに基づき親が指示した経路
を示すルート情報を含むルーティングヘッダを付した電
文により、下り方向情報伝送を行う。本発明に係る運用
方法は、第3に、上り方向情報伝送を、常に下り方向情
報伝送の折り返しとして行うことを特徴としている。よ
り具体的には、下り方向情報伝送時の電文中のルーティ
ングヘッダに含まれるルート情報により特定される経路
を、その電文を折り返す子が逆ソートしその経路を反転
した経路を示すルート情報を作成し、作成したルート情
報を含むルーティングヘッダを付した電文により上り方
向情報伝送を行う。
【0012】このように、本発明に係る運用方法におい
ては、下り方向情報伝送時の経路については直接、また
上り方向情報伝送時の経路については間接的に、親が決
定する。即ち、経路について親が制御する。また、本発
明に係る運用方法においては、下り方向情報伝送を親が
開始させ、上り方向情報伝送については常に下り方向情
報伝送の折り返しとして開始させる。即ち、下り方向情
報伝送及び上り方向情報伝送を組にした一群のイベント
を、親が開始させる。従って、親子間情報伝送の開始に
関しても経路に関しても親の制御管理下にあることか
ら、経路を決定する基盤になる情報を子が保持する必要
も、またその種の情報を親が子に配信する必要もない。
結果として、本発明に係る運用方法によれば運用中の多
段伝送ネットワーク内トラフィックが緩和され、より正
確かつ迅速に親子間情報伝送を行うことが可能になるた
め、無線テレメトリシステムに適した多段伝送ネットワ
ーク運用が可能になる。また、従来技術におけるテーブ
ル整合性不全の問題は本発明では生じ得ない。デバッグ
や保守の対象となる情報のうち有意な部分が親にあるた
め、デバッグや保守も容易である。
【0013】また、多段伝送ネットワークにおける親子
間情報伝送のトリガを親が握っているため、親が各子に
対するポーリングを行うことにより、各子に対する情報
の配信若しくは設定又は各子からの情報の収集を行うこ
とができる。具体的には、親が、情報配信・設定先又は
収集元たる複数の子のうちいずれかを最終宛先とする電
文により、下り方向情報伝送を開始させ、それへの応答
である上り方向情報伝送により、親が電文を受信する、
という手順を、対象としている子それぞれについて、目
的としている情報配信、設定又は収集が終了するか、或
いは所定上限回数試行されるまで、かつ使用する経路を
変更しながら、複数回実行する(ポーリング)。後述す
る積算データ伝送を併用すれば、ポーリングにおける親
の電文送信回数(多段伝送ネットワーク内に対する発呼
回数)を抑えることもできる。従って、各子が随時親に
情報を送信しており、多段伝送ネットワーク全体として
はほぼ無秩序に情報伝送が行われることとなる従来技術
に比べ、親子間情報伝送に係る電文の衝突、また多段伝
送ネットワーク内の輻輳が生じる恐れが少ない。
【0014】更に、多段伝送ネットワーク内トラフィッ
クに関する管理制御が親にゆだねられているため、本発
明によれば、親による流入呼制限を効果的に実行でき
る。例えば、下り方向情報伝送によって親が送信した電
文に対する応答である電文が上り方向情報伝送によって
親に到来しないうちに、親が自律的に又は外部装置若し
くは使用者からの指示に応じて下り方向情報伝送を開始
させようとしたとする。流入呼制限の範囲内であれば、
即ち許容される範囲内であれば、この下り方向情報伝送
は開始される。逆に、新たに下り方向情報伝送を開始し
たならば多段伝送ネットワーク内のトラフィックが上限
を上回るであろうと予測できる場合には、本発明では、
親は、当該新たな下り方向情報伝送を開始させることを
中止し又は開始を遅延させる(流入呼制限)。親が情報
伝送のトリガを握っているため、このような流入呼制限
によって好適にトラフィックを緩和できる。なお、多段
伝送ネットワーク内のトラフィックが所定限度を上回る
か否かの判断は、それまでに親により開始された下り方
向情報伝送のうち上り方向情報伝送による応答を親がま
だ得ていないものの回数と、所定の上限値とを比較する
ことによって、簡便に行うことができる。
【0015】更に、多段伝送ネットワークを構成する各
無線GWの動作は、概略、親による送信処理、子による
折り返し処理、子による中継処理並びに親による終端処
理に、機能区分できる。
【0016】まず、親は、下り方向情報伝送を開始させ
る場合、最適経路テーブル上に登録されている情報に基
づき最終宛先たる子までの経路を特定する。即ち、親
は、その経路端点及び途上に位置する無線GWと、その
経路上におけるそれらの無線GW間の順序を特定して、
それらに関する情報を含むルート情報を作成する。親
は、このようにして作成したルート情報を電文のルーテ
ィングヘッダにセットする。親は、その電文を、特定し
た経路上で自局の次に位置している子を無線送信先とし
て、無線送信する(以上、親による送信処理)。
【0017】次に、子は、そのルーティングヘッダ中の
ルート情報によれば自局宛である電文を他の無線GWか
ら無線受信した場合、下り方向情報伝送を折り返して上
り方向情報伝送を開始させるべきであると判断する。こ
のように判断したとき、子は、電文の受信に伴う処理又
は受信した電文中に含まれている情報に基づく処理を実
行することによって電文を作成する。例えば、対応する
計測器から収集したデータに基づき電文を作成する。子
は、更に、受信した電文に付されていたルーティングヘ
ッダ中のルート情報における各無線GWの順序を反転す
ることによって、新たにルート情報を作成する。子は、
作成した電文に、作成したルート情報を含むルーティン
グヘッダを付して、無線送信する。無線送信先は、作成
したルート情報により特定される経路上で自局の次に位
置している無線GWである(以上、子による折り返し処
理)。
【0018】また、子は、そのルーティングヘッダ中の
ルート情報によれば他局宛でありかつ自局がそのルート
情報により特定される経路に含まれている電文を他の無
線GWから無線受信した場合、その経路に沿ってその電
文を中継すべきであると判断する。このように判断した
とき、子は、その経路上で自局の次に位置している無線
GWを無線送信先として、その電文を無線送信する(以
上、子による中継処理)。なお、子による中継処理に
は、下り方向情報伝送時に実行されるもの即ち下り中継
処理と、上り方向情報伝送時に実行されるもの即ち上り
中継処理とがある。
【0019】そして、親は、送信処理にて電文を無線送
信した後に、そのルーティングヘッダ中のルート情報に
よれば自局宛である電文をそのルート情報により特定さ
れる経路上で自局の前に位置している子から無線受信し
た場合、その受信を以て上り方向情報伝送を終端させ
る。親は、電文の受信に伴う処理又は受信した電文中に
含まれている情報に基づく処理を実行する。例えば、電
文受信により子から収集したデータを公衆網を介してホ
ストに転送する(以上、親による終端処理)。
【0020】このように、本発明における親子間情報伝
送は、親及び子の協働により実現されつつも、基本的に
は、親がトリガを引いて開始させまたその経路も管理制
御する形態で、実行される。
【0021】更に、本発明においては、親子間情報伝送
の形態として、単一データ伝送、積算データ伝送、特殊
データ伝送等を、親が選択することができる。また、積
算データ伝送時には、下り積算、上り積算、上下積算等
を、親が選択することができる。これら、情報伝送形態
については、例えば、下り方向情報伝送を開始させる際
に、情報伝送形態を特定する属性情報を親がルーティン
グヘッダ中にセットすることによって、子における判別
を可能にすることができる。即ち、子は、ルーティング
ヘッダ中の属性情報に基づき、情報伝送形態を判別でき
る。
【0022】それらの情報伝送形態の中で、単一データ
伝送とは、最終宛先とする子のみを対象として情報配信
若しくは設定又は収集を行うための伝送形態である。子
は、そのルーティングヘッダ中のルート情報によれば自
局宛であり、かつ単一データ伝送に係る電文を、他の無
線GWから無線受信した場合、当該他の無線GWとの間
の無線接続を維持したままの状態で、上り方向情報伝送
用の電文を作成及び無線送信する。
【0023】また、積算データ伝送とは、最終宛先の子
のみならず自局から最終宛先の子に至る経路の途上に存
する子を対象に含めた情報配信若しくは設定又は収集を
行うための伝送形態である。子は、そのルーティングヘ
ッダ中のルート情報によれば自局宛であり、かつ積算デ
ータ伝送に係る電文を、他の無線ゲートウエイから無線
受信した場合、単一データ伝送時と同様にして上り方向
情報伝送用の電文を作成及び無線送信する。また、子
は、そのルーティングヘッダ中のルート情報によれば他
局宛でありかつ自局がそのルート情報により特定される
経路に含まれている電文であって、自局を対象に含めた
積算データ伝送に係る電文を、他の無線ゲートウエイか
ら無線受信した場合、電文の受信に伴う処理又は受信し
た電文中に含まれている情報に基づく処理を実行するこ
とによって電文に情報を付加する。より厳密には、その
電文が下り積算又は上下積算を要求しておりかつ他の子
が最終宛先とされているか、或いは、その電文が上り積
算又は上下積算を要求しておりかつ親が最終宛先とされ
ているならば、その電文の受信に伴う処理又は受信した
電文中に含まれている情報に基づく処理を実行すること
によって、電文に情報を付加する。子は、当該経路上で
自局の次に位置している無線ゲートウエイを無線送信先
として、その電文を無線送信する。
【0024】更に、特殊データ伝送とは、最終宛先とす
る子に対し他の無線GWとの無線通信を含む所定の処理
の実行を求めその結果の報告を受け取るための伝送形態
である。子は、そのルーティングヘッダ中のルート情報
によれば自局宛である電文を他の無線GWから無線受信
した場合、その電文が特殊データ伝送に係る電文であれ
ば、当該他の無線GWとの間の無線接続を一旦切断した
上で受信した電文による要求に応じた処理、その結果に
基づく電文作成及び上記新たなルート情報の作成を実行
し、その後当該他の無線GWとの間の無線接続を回復し
てその電文を無線送信する。
【0025】また、従来技術においては各子が自発的に
周囲の無線GWに対し接続確認を行い、周囲の無線GW
との間の無線リンクを形成できるか否かを調べ、その結
果等に応じて親に対し接続テーブルの修正を要求し、親
がこれに応じ修正した接続テーブルを各子に配信してい
る。本発明においては、親が最適経路テーブルを保持し
それに従い経路を決定しているため、またネットワーク
構築時に親が子との通信を行って最適経路テーブルを作
成し更に状況に応じ最適経路テーブルの修正又は再作成
を行うようにしているため、従来技術における接続確認
手順や、接続テーブルの修正要求/配信等の手順に相当
する手順を、実行する必要がない。その結果として、多
段伝送ネットワーク全体の安定な運用、輻輳の防止等を
より好適に実現できる。
【0026】本発明に係る構築方法は、本発明に係る運
用方法に従い多段伝送ネットワークを運用するのに先立
ち、又は当該運用の途中で必要が生じたときに、最適経
路テーブルを作成するため実行される。大まかには、本
発明に係る構築方法は、使用できる親子間無線リンクを
検出する手順、使用できる子子間無線リンクを検出する
よう親が子に対して要求しその結果を子が親に集約する
手順、それらの実行結果に基づき親が最適経路テーブル
を作成する手順等を、含んでいる。
【0027】まず、親子間無線リンクのうち親子間情報
伝送に係る経路又はその一部として使用できる親子間無
線リンクを検出及び特定するため、親は、多段伝送ネッ
トワークにエントリーしている各子を対象として無線リ
ンク検出処理を実行する。無線リンク検出処理とは、他
の無線GWを無線により呼び出し、その無線GWからの
無線による応答を受信できるか否かを調べる手順であ
る。応答を返してきた子と親との間の無線リンクは、親
子間情報伝送に係る経路又はその一部として使用できる
ものと見なしてよい。なお、無線リンク検出処理に当た
って、無線による呼出に無線により応答した無線GWか
らの受信信号品質を計測する処理を実行するのが望まし
い。また、受信信号品質計測のため電文交換を行うので
あれば、一旦切断を伴う特殊データ伝送ではなく、前述
した単一データ伝送にて行うのが望ましい。具体的に
は、無線リンク検出処理に際して呼出先の無線GWから
無線による応答を受信した呼出元の無線GWが、呼出先
の無線GWに対し、その属性情報が単一データ伝送であ
る電文を無線送信し、この電文を受信した呼出先の無線
GWが、呼出元との無線接続を維持したまま呼出元の無
線GWに対し折り返して、その属性情報が単一データ伝
送である電文を無線送信し、この電文を無線受信した呼
出元の無線GWが、その受信時に、上記受信信号品質の
計測を実行する。
【0028】次に、親は、子に対して、無線リンク検出
処理を実行してその結果を上り方向情報伝送により親宛
に返送するよう、下り方向情報伝送により要求する。そ
の際に用いる経路は、親子間無線リンク及び子子間無線
リンクのうち、親子間情報伝送に係る経路又はその一部
として使用できることが判明しているもののみを用いた
経路とする。従って、子はこの要求を受信することがで
きるため、子はこの要求に応えて無線リンク検出処理及
びその結果の返送を実行する。好ましくは、子に対し無
線リンク検出手順の実行及びその結果の返送を要求する
際に、親が、まだ調べられていない子子間無線リンクで
あって無線リンク検出手順を実行させる子に係る無線リ
ンクを示す情報を、当該要求に付随させてその子に対し
提供し、親から無線リンク検出手順の実行及びその結果
の返送を要求された子は、その要求に付随している情報
に基づき無線リンク検出処理における呼出先を特定す
る。親は、この手順を、子子間無線リンク全てについて
調べ終えるまで試行する。なお、子による無線リンク検
出処理に際しても、無線による呼出に無線により応答し
た無線GWからの受信信号品質を計測する処理を実行す
るのが望ましい。その際には、無線リンク検出処理の結
果に関連して、子から親へと、受信信号品質の計測結果
を含む情報を返信する。
【0029】そして、親は、最適経路選択処理を各子に
ついて実行しその結果をまとめることにより、最適経路
テーブルを作成する。最適経路選択処理とは、親子間無
線リンク及び子子間無線リンクのうち、親子間情報伝送
に係る経路又はその一部として使用できることが判明し
ているもの又はそれらの組合せであって、親が発信元と
なりいずれかの子が最終宛先となるものを、その子に係
る親子間情報伝送用の経路として選択する処理である。
これによって、多段伝送ネットワーク運用時に親が使用
する最適経路テーブルを作成できる。なお、各無線リン
クについて受信信号品質計測結果が得られているのであ
れば、その無線リンクに関する受信信号品質計測結果が
所定水準を上回っている無線リンクに限り、親子間情報
伝送に係る経路又はその一部として使用できるものと判
断する。これにより、より好適な経路を最適経路テーブ
ルに登録できる。また、好ましくは、親は、同一の無線
GWを経由する経路を除外して最適経路テーブルを作成
する。これにより、ループ化した経路を最適経路テーブ
ルに登録してしまうことを、防ぐことができる。
【0030】更に、最適経路テーブルの作成に際し、親
子間情報伝送用の経路として選択しうるものが一つの子
に対して複数個ある場合、所定上限個数を限度としてそ
れら複数個の経路を最適経路テーブルに登録するのが望
ましい。そのようにすれば、仮にいずれかの経路が不達
経路になったとしても、他の経路を使用して情報伝送を
行える可能性が残る。1個の子について複数個の経路を
最適経路テーブルに登録する際には、それらの経路の間
に、優先順位を付すのが望ましい。例えば、親は、最適
経路テーブルへの経路の登録に際して、その経路におけ
る無線GW間中継回数即ちホップ数が少ないものほど運
用時に優先して選択されることとなるよう、或いは上記
受信号品質計測結果例えば受信電界強度(又はその量子
化値)を経路に沿い加算又は積分して得られる指標値が
大きいものほど運用時に優先して選択されることとなる
よう、運用時における選択の順序を規制する優先順位を
設定する。
【0031】また、最適経路テーブル作成を補う処理と
して、最適経路テーブル最適化やネットワーク部分構築
がある。最適経路テーブル最適化とは、各子について、
最適経路テーブルに登録できる上限個数まで最適経路テ
ーブルに経路を登録させるための処理であり、ネットワ
ーク部分構築とは、その子に至る経路が発見されていな
いような子即ち孤立している子に関してその孤立状況を
解消させるための処理である。最適経路テーブルの最適
化により情報配信/収拾不能状態が生じにくくなり、ま
たネットワーク部分構築により例えば最適経路テーブル
作成のための通信と無線GWの設置作業が相前後して進
行した場合における孤立の発生等を防止でき、無線GW
設置時に気を使う必要がなくなり工事が容易になる。最
適経路テーブル最適化は、例えば、受信信号品質計測結
果が所定水準以下である無線リンクを無視して経路を選
択し最適経路テーブルに登録する、という処理を、全て
の子について登録可能な上限個数の経路が最適経路テー
ブルに登録されるに至るまで、又は上記所定水準が下限
に至るまで、当該所定水準を漸次引き下げつつ繰り返
し、親が実行することにより、実現される。ネットワー
ク部分構築は、例えば、最適経路テーブルを作成したが
いずれかの子について親子間情報伝送用の経路を特定で
きなかった場合、その子が関わる無線リンクについての
無線リンク検出処理を親又はいずれかの子がやり直し、
その結果を反映させて最適経路テーブルを再作成するこ
とにより、実現される。
【0032】更に、本発明に係る運用方法に従い多段伝
送ネットワークを運用しているときに、本発明に係る構
築方法により構築された多段伝送ネットワークを修復又
は再構築するため、次のような修復再構築方法を例えば
定期的に実行するのが望ましい。それにより、多段伝送
ネットワークを構成する各無線GWの置局状況・無線環
境等の変化や、各無線GWの設置・保守作業の進捗を反
映して、最適経路テーブルを修正又は再作成でき、従っ
て概ね常に最適な最適経路テーブルを利用可能となる。
【0033】本発明に係る修復再構築方法を実行するた
めには、まず、運用中に、各子における下り方向情報伝
送の途絶を子毎に検出し、その発生頻度に関する記録を
保存しておくか、親が下り方向情報伝送を開始してから
所定時間以上経過しても上り方向情報伝送による応答を
親が受け取ることができなかったこと(応答待ち時間経
過)を経路毎に検出し、その発生頻度に関する記録を保
存しておく。下り方向情報伝送を途絶させた子及びその
発生頻度に関する記録が保存されていれば、その記録に
基づき、親子間情報伝送用の経路又はその一部として使
用できなくなった無線リンクを特定することができる。
従って、その結果を反映させて最適経路選択処理を実行
することにより最適経路テーブルを修正すること、或い
は本発明に係る構築方法の再実行によって最適経路テー
ブルを再作成することが、可能である。また、応答待ち
時間経過が発生した経路及びその頻度に関する記録が保
存されていれば、その記録に基づき、親子間情報伝送用
に使用できなくなった経路を特定することができる。従
って、その結果を反映させて本発明に係る構築方法を再
実行することにより、最適経路テーブルを再作成するこ
とが可能である。
【0034】なお、下り方向情報伝送の途絶に関して
は、伝送失敗返送により親に情報を集めることができ
る。例えば、各子は、自局にて折り返すべき電文又は下
り方向に向け中継すべき電文を他の無線GWから無線受
信した場合、当該他の無線GWに対して、その電文に対
する折り返しの電文又はその電文を無線受信したことを
示す電文(アクノリッジの電文)を無線送信することと
する。従って、下り方向に向け電文を無線送信した無線
GWは、無線送信先の無線GW又はその無線GWとの無
線リンクが正常・健全であるならば、折り返しの電文又
はアクノリッジの電文を受信できる。しかし、無線送信
先の無線GW又はその無線GWとの無線リンクが正常・
健全でないならば、折り返しの電文もアクノリッジの電
文も受信できないであろう。そこで、各子は、下り方向
に向け電文を無線送信しようとしたが無線送信先の無線
GWが呼出に応答しなかった場合、或いは電文を無線送
信したものの当該無線送信先から折り返しの電文もその
電文を無線受信したことを示す電文も無線受信できない
場合、自局に対して電文を無線送信した上り側の無線G
Wに対し、下り方向の伝送が途絶したこと及びそれを途
絶させた無線GWを示す伝送失敗返送用の親宛の電文を
無線送信する。これにより、下り方向情報伝送の途絶に
関する情報を、親に集めることができる。また、前述の
ルート情報(及び属性情報)だけでなく、その電文が下
り方向情報伝送に係る電文か上り方向情報伝送に係る電
文かを示す方向情報をもセットできる形式のルーティン
グヘッダを使用する場合は、方向情報を使用することに
よって伝送失敗返送やアクノリッジを識別できる。例え
ば、伝送失敗返送用の電文には、方向情報として伝送失
敗返送であることを示す情報を含むルーティングヘッダ
を付す。そのルーティングヘッダ中の方向情報が伝送失
敗返送であることを示している電文を受信した子は、そ
のルーティングヘッダ中のルート情報に従い自局から見
て上り側の無線GWに、その電文を無線送信する。
【0035】本発明に係る構築方法により構築され、本
発明に係る運用方法により運用され、好ましくは本発明
に係る修復再構築方法により修復又は再構築される多段
伝送ネットワークは、無線テレメトリに好適に使用でき
る。例えば、各無線GWに、計測器との接続ポートを設
けておく。更に、互いに地理的に分散して配置された各
計測器を、それぞれ、上記接続ポートを介しいずれかの
無線GWに接続する。これにより、各計測器に対する遠
隔操作や各計測器からの計測結果の収集を、親による制
御の下に実行することができる。また、本発明における
無線GWとしては、PHS移動局を使用できる。その場
合、PHSにおける自営トランシーバ通信を利用して親
子間情報伝送を行うべく、各無線GWは、それぞれ自営
トランシーバモードで待受を行う。また、PHS公衆網
を介した外部装置との接続のため、親は、更に公衆モー
ドでも待受を行う。親子間情報伝送は、PHSにおける
PIAFSデータ伝送により行うことができる。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
関し図面に基づき説明する。
【0037】(1)ネットワーク及びGWの構成 図1に、本発明の一実施形態に係るGWを用いて構築し
た多段伝送ネットワークの一例構成を示す。この図に示
す多段伝送ネットワークは、本発明に係るGWを電力検
針に利用した例であり、PHS公衆用基地局(CS)1
2及びISDN/PHS公衆網11を介してホスト10
に接続されている。また、図示した7個のGW20−1
〜20−7は、何れもPHS移動局としての機能を有し
ている。
【0038】各GWは、無線テレメトリというシステム
目的上、原則としていずれかのWHM21に付設され
る。図中のGW20−7のように、そのGWに設けられ
ている接続ポートの個数の範囲内であれば、1個のGW
に複数個のWHM21を接続することも可能である。ま
た、図中のGW20−4及び20−6のように、対応す
るWHM21がない状態でGWを使用することもでき
る。なお、そのような形態で使用されているGW20−
4及び20−6の動作は、WHM21との間での信号・
情報授受が行われないという点で他のGWの動作と相違
しているものの、他の点では相違していない。そのた
め、以下の記載では、対応するWHM21があるGWの
構成・動作について説明する。
【0039】図示したGWのうちGW20−1及び20
−6は親、他のGW20−2〜20−5及び20−7は
子である。このネットワークでは、CS12と親との間
は公衆モードで接続し、親と子の間及び子と子の間は自
営トランシーバ(TR)モードで接続する。そのため、
親は公衆とTRのデュアルモードで待受を行い、子はT
Rモードで待受を行う。親は、CS12に公衆モードで
接続する必要があるため、PHS公衆サービスに加入し
ている。子は、CS12に直接接続する必要がないた
め、PHS公衆サービスに未加入で構わない。図示して
いないが、保守端末又は保守用GWとして用いるPHS
移動局は、PHS公衆サービスに加入するのが望まし
い。
【0040】更に、このネットワークでは、「親−子」
と表現できる1ホップのGW間通信だけでなく、「親−
子−子」と表現できる2ホップのGW間通信が可能であ
る。1ホップとは、GW20−1とGW20−2のよう
に、直接TR通信できる関係をいう。2ホップとは、G
W20−1とGW20−3のように、2個のTR通信区
間を介した経路で通信できる関係をいう。紙幅の制約が
あるため図示していないが、理論的には、「親−子−…
−子」と表現できるnホップ(n:自然数)の経路での
GW間通信も可能である。但し、ホップ数が多いほど
(即ち親を基準としてみたときのリンクの深さが深いほ
ど)、情報の伝送に長い時間がかかり、トラフィックが
増大する。そのため、ホップ数ができるだけ小さくなる
ようCS12、親及び子を配置すると共に、後述のよう
に最適経路テーブル上における優先順位をホップ数が多
いほど低くする。
【0041】図2に、本実施形態におけるGWの構成を
示す。GWにはWHM接続用のポートを単数又は複数設
ける。この図に示すGW20は、詳細は図示しないがそ
の種のポートを複数有しており、そのうち2個を使用し
て、2個のWHM21と接続されている。GW20によ
り実行される各種処理・制御は、概ね、GW制御部23
内のハードウエア及びGW制御部23にて稼働するソフ
トウエアにより担われている。以下の説明中で「GWの
動作」「親の動作」「子の動作」として説明する動作
は、特に注釈がない場合、GW制御部23が実行してい
るものとする。GW制御部23はASIC等により実現
できる。GW制御部23を動作させるためのソフトウエ
アや、各種テーブルを含めGW20としての動作に必要
な情報や、GW20が受信/収集した情報は、図示しな
いが、GW制御部23内又はGW制御部23周辺に設け
られたメモリに格納する。
【0042】GW20には、更に、アンテナ25を用い
て無線周波数信号を送受信するRF部24、GW20を
起動・リセット等させまた動作モードを設定する際操作
される操作部26例えば各種のスイッチ、GW20の動
作状態を表示する表示部27例えば数個のLED、公衆
又はTRモードでのデータ通信の際変復調を行うPIA
FSモデム28等も、設けられている。以下の説明中、
特に注釈がない場合、通信及び電界強度測定は、GW制
御部23による制御の下にRF部24及びアンテナ25
を用いて行われているものとする。
【0043】更に、図示しないが、有線保守用の端末を
接続するためのポート等を設けるとよい。有線保守とは
GW20に保守端末を有線接続して行う保守作業・手順
であり最もセキュリティの高い保守形態である。このほ
かに、PHS機能を備えた保守端末とGW20とをTR
モードで接続して実施する無線保守や、ホスト10から
網11や親等を介して行うリモート保守があり、これら
は有線保守とちがい作業者が至近まで赴く必要がない等
の利点を有している。
【0044】そして、GW20は、WHM21による計
測対象でもありまたWHM21内の回路を動作させる電
源でもあるAC100V電源22から、動作電力の供給
を受ける。通常のPHS移動局と異なり固定設置される
ため、このような電源供給方法によって、内蔵電池を省
略することが可能である。
【0045】(2)親により保持されるテーブル情報 本実施形態の特徴の一つは、経路決定の基盤となるテー
ブル情報を親のみが持ち子は原則としてそれを保持しな
いようにすること、言い換えればネットワーク内でのT
R通信・中継の経路を親が決定することとし、また経路
の最適化も親が行うようにしたことにある。より具体的
には、エントリーテーブル、経路テーブル、最適経路テ
ーブル、伝送失敗ログテーブル等を専ら親が保持・管理
・利用している。テーブル情報の伝送や接続確認通信に
よるトラフィック増大が防止されるため、衝突・輻輳が
生じにくくなり、より安定な通信と確実なデータ設定/
収集が可能になる。テーブル整合性の問題はもはや生じ
得ない。ゲートウエイ配置の自由度も増す。また、対象
となる情報・機能の多くが親に集中するため、保守・デ
バッグも容易になる。
【0046】更に、本実施形態には、テーブルの作成・
修正のための通信、子又はWHM21に対するデータ・
パラメタの設定のための通信、WHM21における計測
値(電力量データ)の収集のための通信等、子が関わる
データ伝送を、親がトリガを引いて開始させるようにし
た、という特徴もある。より具体的には、TR通信に際
しルート(経路)情報を含むルーティングヘッダを電文
に付して経路を指定する、積算データ伝送を用いても単
一経路ではカバーできない複数の子に対しては親からの
ポーリングによってデータを設定/収集する等の手法を
採用している。これにより、子による自発的な送信を避
けることができ、ネットワーク内のトラフィックの更な
る緩和と制御が可能になり、輻輳・衝突が生じにくくな
る。本実施形態には、その他、流入呼制限、多様な保守
手段等、様々な特徴がある。
【0047】
【表1】
【0048】これらの特徴に関わる要素として、親によ
り保持される各種のテーブルがある。まず、表1に示す
エントリーテーブルは、ネットワークを構成するGWを
特定するGW番号(例えばPS−ID)と、そのGWを
TRモードで発呼する際使用するTR番号とを、対応付
けるテーブルである。エントリーテーブルに登録できる
即ちエントリーできるGWの最大個数は例えば50個と
する。エントリーテーブルへの登録は、親の設置前に又
は親に対する保守時に行う。
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】また、表2に示す経路テーブルは、GW間
の無線通信環境を示す数値を登録するテーブルである。
エントリーできるGWの個数が50なら、経路テーブル
は50行×50列の対称行列となる。経路テーブルに登
録される数値は、例えば、受信電界強度である。表2に
示した例では、GWが計測した受信電界強度の生値Li
j(単位:dBμV)を経路テーブルの第2面に登録
し、経路テーブルの第1面にはそれを量子化した値を登
録している。量子化は、例えば表3に示すようにN階調
とする(N:2以上の自然数、例えば10)。測定不能
な組合せについては0を、その一方又は双方がエントリ
ーしていないGWの組合せについては−2を、電界強度
未測定の組合せについては−1を、それぞれ登録する。
なお、以下の説明では、第1面に登録される値を「レベ
ル」、第2面に登録される値を「生値」と称する。
【0052】
【表4】
【0053】表4に示す最適経路テーブルは、親から各
子に至る経路を子1個当たりm経路(m:自然数。例え
ば4)登録するテーブルである。最適経路テーブルに登
録される経路には、優先順位が付されている。具体的に
は、ホップ数が少ないほど優先順位が高く、ホップ数が
同じならその経路に沿った合計電界強度即ち経路テーブ
ル上の数値の合計が高いほど優先順位が高く、合計電界
強度も同じなら最先に選択・登録されたものが優先順位
が高い。データ伝送時には、優先順位が高い順に試行す
る。また、各経路には、ホップ数A、伝送失敗カウンタ
B、応答待ちタイマ満了カウンタC等の数値が付随して
いる。ホップ数Aは親とその子の間にあるTR通信区間
の個数を、伝送失敗カウンタBはデータ伝送失敗回数
を、応答待ちタイマ満了カウンタCは応答電文待ちタイ
マのタイムアップ回数を、それぞれ示したものであり、
後2者は例えば0からアップカウントして最大255ま
でカウントする(255以上は255の値を継続)。
【0054】
【表5】
【0055】表5に示す伝送失敗ログテーブルは、伝送
失敗回数をGWの組合せ毎に記録しておくためのテーブ
ルであり、失敗検出毎にインクリメントされる。このテ
ーブルは右上面と左下面の2面を有しており、右上面は
親がリセットされたときにクリアされ左下面は定時起動
される異常監視の起動時にクリアされる。このテーブル
上の数値は、0からアップカウントして最大255まで
カウントする(255以上は255の値を継続)。
【0056】このほかにも、当面の発呼先を数個登録し
ておくための発呼情報テーブルや、データ設定/収集済
のGWとそれ以外のGWとを識別するための処理管理テ
ーブル等を用いる。
【0057】(3)親の全体動作 図3に、親の動作の流れ及び状態遷移を示す。親は、電
源投入やスイッチ操作等に応じて起動し、タイマによる
所定時間の計数終了或いは使用者によるスイッチ操作を
待って、ネットワーク構築を開始する(301)。ネッ
トワーク構築とはエントリーテーブルに従って多段伝送
ネットワークを作り上げる作業をいい、ネットワーク構
築のためのデータ伝送を含む所定の手順に従い、親が実
行する。また、多段伝送ネットワークとは、親と子、子
と他の子、というように、GW同士がTR通信による無
線リンクを結んだネットワークである。本実施形態で
は、親1台に対したとえば最大49台までの子を設ける
ことを想定している。更に、本願では、GWとGWがT
Rモードで直接無線通信する経路即ち最小単位の経路を
リンクと称し、また単数又は複数のリンクを介した通信
経路を単に経路と称している。
【0058】後述のように、ネットワーク構築によって
経路テーブル及び最適経路テーブルが作成される(30
2)。親は、ネットワーク構築を終えた後、作成した最
適経路テーブルの最適化処理(303)及び伝送失敗ロ
グテーブルの初期化処理(304)を実行した上で、定
常動作(305)に移行する。定常動作中は、親は、所
定のスケジュールに従って、またホスト10から網11
経由で与えられる要求に応じて、データの設定/収集を
実行する。データ設定/収集は、そのヘッダ部分にルー
ト情報を設定した電文により行う(先にふれたネットワ
ーク構築の際のデータ伝送も同じくルート情報をヘッダ
中にセットした電文により行う)。また、データ設定/
収集のための通信は、子が自発的に開始するものではな
く、親が開始する。複数の経路についてのデータ設定/
収集に当たっては、親がポーリングを行う。
【0059】更に、無線環境の変化、各GWの動作不
調、GWの増設/撤去等に対処するため、親は、定常動
作中、所定時間毎に異常監視を実行し(306)、その
結果に応じネットワーク修復処理を行う(307)。異
常監視は、経路テーブルや最適経路テーブル上の情報の
うち修正する必要がある部分を検出する処理であり、ネ
ットワーク修復は、当該修正を実行する処理である。
【0060】(4)ネットワーク構築 図4に、親により実行されるネットワーク構築手順(3
02)の大まかな流れを示す。ネットワーク構築手順
は、経路テーブルの初期化(401)、1ホップGW交
信による経路テーブル及び最適経路テーブルの部分作成
(402)、多ホップGW交信による経路テーブル及び
最適経路テーブルの作成(403)、ネットワーク部分
構築による孤立解消(404)という流れで進行する。
【0061】
【表6】
【0062】経路テーブルの初期化(401)は、表6
に示すように、エントリーテーブルに基づき実行され
る。具体的には、エントリーテーブルに登録されている
GW同士の組合せ(同一GW同士の組合せを除く)につ
いては経路テーブル上に「−1」を登録し、その他につ
いては「−2」を経路テーブル上に登録する。エントリ
ーテーブルから、多段伝送ネットワークにエントリーし
ているGWを知ることができるため、これによって、エ
ントリーしているGW同士の組合せ(同一GW同士の組
合せを除く)について“未判定”を示す「−1」を経路
テーブルに登録できる。即ち、経路テーブルを初期化で
きる。なお、本願中では、経路テーブル上の同一GW同
士の組合せを斜線で示している。実際のメモリ上では、
この組合せについては常時「−2」を登録しておくか、
登録対象外とすればよい。
【0063】
【表7】
【0064】1ホップGW交信による経路テーブル及び
最適経路テーブルの部分作成(402)は、図5に示す
手順に従い実行される。この手順においては、まず、経
路テーブル上における親と子の組合せを選択し、その組
合せに係る子のTR番号をエントリーテーブルから取得
して、発呼情報テーブルに登録する(501)。即ち、
親に対応する行又は列から「−1」が登録されているG
Wを検出し、そのGWをTRモードで発呼するのに必要
なTR番号を、発呼情報テーブルに登録する。例えば、
GWとして1台の親及び4台の子がエントリーしている
多段伝送ネットワークであれば、表7に示すように、子
2〜子5のTR番号を発呼情報テーブルに登録する。
【0065】親は、発呼情報テーブル上にそのTR番号
が登録されている各GW即ち子を、TRモードで順繰り
に発呼する(502,508)。発呼先の子から応答が
なければ(503)、親は、その子との間では直接TR
通信を行うことができないと判断し、親とその子の組合
せについては経路テーブル上に「0」を登録する(50
7)。
【0066】逆に、発呼先の子が親からの呼出を受信し
てそれに応答し(510)、親がその応答を受信するこ
とによってTRモードでの呼が成立した場合(50
3)、親は、その子については直接TR通信を行うこと
ができる、即ち自局から1ホップであると判断できる。
そのため、親は、親を呼出元とし呼出に応答した子を最
終宛先とした1ホップの経路を、ルート情報として電文
のヘッダ部分にセットし、その電文によって、ネットワ
ーク構築要求を送信する(504)。このネットワーク
構築要求のヘッダ部分にセットされる情報のうち、方向
は「下り」、属性は「単一」とする。即ち、下り方向の
単一データ伝送(後述)によって、ネットワーク構築要
求の送信が行われる。
【0067】このネットワーク構築要求の最終宛先とな
っている子即ち親からの呼出に応答した1ホップの子
は、ネットワーク構築要求を受信した後(511)、受
信したネットワーク構築要求中のタイムスタンプに基づ
くクロック校正等と前後又は並行して、親に対しネット
ワーク構築応答を返信する(512)。ネットワーク構
築応答は、方向=上り、属性=単一の電文即ち上り方向
の単一データ伝送用の電文により、送信する。その電文
のヘッダ部分にセットするルート情報は、ネットワーク
構築要求中のルート情報における呼出元と最終宛先とを
入れ替えたもの即ち逆ソートしたものにする。親は、こ
のネットワーク構築応答を受信したとき、受信電界強度
の測定を行った上で、呼を切断する(505)。親は、
測定した電界強度の生値を経路テーブルの第2面に、レ
ベルを第1面に、それぞれ登録する(506)。
【0068】
【表8】
【0069】発呼情報テーブルに登録されているGW全
てについて、上述の手順が実行された段階では、経路テ
ーブルの第1面は、表8に例示するような内容となる。
即ち、親から1ホップの子についてはレベルが登録さ
れ、エントリーしているが親から1ホップの圏内に存し
ていない子については「0」が登録される。親は、これ
ら経路テーブル上の情報に基づき最適経路テーブルに経
路を登録する。例えば、表8に示した例では、親1にお
ける子2からの受信電界強度のレベルは8、子5からの
それは6であり、その他の子については測定不能を示す
0である。従って、子2及び子5については、親1−子
2、親1−子5というリンクが最高優先順位の最適経路
であると見なせるため、それらを最適経路テーブルに登
録する。最適経路テーブルに登録したこれらのリンク
は、後に述べるように、親と子3、子4との間の最適経
路の構成部分となる。
【0070】
【表9】
【0071】このようにして親から1ホップの子が検出
されとりあえずその子までの最適経路が1個ずつ決定さ
れた後、親は、多ホップGW交信により経路テーブル及
び最適経路テーブルを作成する(図4:403)。図6
に、多ホップGW交信手順を示す。この手順において
は、親は、まず作業用変数kに1をセットした上で(6
01)、経路テーブル上の情報に基づき親からkホップ
の子を一つ選択する(602)。例えば、k=1であり
経路テーブルの第1面が表8の内容であるときは、表9
に示すように子2及び子5のうち一方、例えば子2が選
択される。残りの子、例えば子5は、次回ステップ60
2を実行したとき選択される。
【0072】親は、更に、経路テーブルの第1面上、そ
の子に対応する行又は列から、「−1」が登録されてい
る子を全て選択して、その子のTR番号を発呼情報テー
ブルに登録する(603)。表9に示した例では、例え
ば子2に対応する行で「−1」が登録されているのは子
3、子4及び子5であるから、後に説明するステップ6
07で子2に送信する発呼情報テーブル上には、子3、
子4及び子5のTR番号を登録する。また、表9中で子
5に対応する行で「−1」が登録されているのは子2、
子3及び子4であるが、子2について成功裡に調べ終え
た後にはそのうち子2についての登録内容が「−1」で
はなくなっている。そのため、子2について調べるのに
成功した後に子5について調べる場合は、子5に送信す
る発呼情報テーブル上には、子3及び子4のTR番号を
登録する。
【0073】親は、最適経路テーブル上の情報に基づ
き、ステップ602で選択した子までの経路を決定し
て、その経路を特定するルート情報を作成する(60
4)。親は、決定した経路又は作成したルート情報に基
づき、その経路上で親から1ホップの子を発呼先として
特定する(605)。親は、特定した発呼先をTRモー
ドで呼び出す(606)。
【0074】呼び出された子がそれに応答する(61
6)ことによって呼が成立した後、親は、ステップ60
2にて選択した子を最終宛先とするネットワーク構築継
続要求を送信する(607)。ネットワーク構築継続要
求は、方向=下り、属性=特殊、ルート情報=ステップ
604で作成したもの、という内容のヘッダ部分を有す
る特殊データ伝送用の電文である。その電文情報として
は、ステップ603で作成した発呼情報テーブルと、作
成途中で親が保持している経路テーブルのコピーとを、
含んでいる。ステップ616で応答した子は、ステップ
607で送信されたネットワーク構築継続要求を受信す
る(617)。図示を省略したが、ネットワーク構築継
続要求を受信した子はACK電文を返送し、これを受信
した親はTRモードによる無線接続を一旦解放する。
【0075】親からネットワーク構築継続要求を受信し
た子は、受信後ACK電文を返送し無線接続の切断・解
放を待つ。親との無線接続が相手側即ち親から切断され
ると、ネットワーク構築継続要求を受信した子は、他の
子への送信(618)及び他の子からの受信(619)
を含む処理によってネットワーク構築継続応答を作成す
る。ネットワーク構築継続応答は、方向=上り、属性=
特殊、ルート情報=ステップ604で作成したものを逆
ソートしたもの、という内容のヘッダ部分を含み、電文
情報としては、更新した経路テーブルを含む特殊データ
伝送用の電文である。ネットワーク構築継続応答を作成
した後、その子は、そのルート情報により特定されてい
る経路に沿って上り側1ホップのGW即ち親に対してT
Rモードで呼を発し、親からの応答を待って、作成した
ネットワーク構築継続応答を送信し、親からのACK電
文の返送を待って、当該無線接続を切断・解放する(6
20)。親は、自局から1ホップの子からの発呼に応答
した後その子からネットワーク構築応答を受信した場
合、ACK電文を返送して無線接続の切断・解放を待つ
(608)。
【0076】ネットワーク構築継続要求を受信したGW
は、受信したネットワーク構築継続要求のヘッダ部分に
含まれているルート情報に基づき、受信したネットワー
ク構築継続要求の最終宛先を調べ、その結果に応じて、
ネットワーク構築継続応答を作成する処理を実行する。
【0077】まず、親から又は上り方向にある他のGW
から受信したネットワーク構築継続要求の最終宛先が他
局である場合は、そのGWは、受信したネットワーク構
築継続要求中のルート情報により特定される経路上で、
自局から見て下り方向にあり自局から1ホップのGWに
対して、TRモードにより呼を発し、その発呼先からの
応答を受けてネットワーク構築継続要求をその発呼先の
GWに転送し、発呼先からのACK電文の返送を受けて
TRモードによる無線接続を一旦解放する(618)。
従って、ネットワーク構築継続要求は、伝送失敗が生じ
ない限り、ステップ604で決定された経路に沿って、
k−1回の中継を受け、最終宛先即ち親からkホップの
子まで、送信される。
【0078】また、親から又は上り方向にある他のGW
から受信したネットワーク構築継続要求の最終宛先が自
局である場合は、その子は、受信したネットワーク構築
継続要求中の発呼情報テーブルに基づき、図5にて親が
実行していた手順と同様の手順を実行する。即ち、受信
した発呼情報テーブルに登録されている各GWに対して
順繰りに、TRモードによる発呼、それに対する応答の
受信及びネットワーク構築要求の送信(618)と、ネ
ットワーク構築応答の受信、受信電界強度測定、ACK
電文の受信及び呼の切断(619)とを実行する。
【0079】ネットワーク構築要求を送信した子は、測
定した受信電界強度に基づき、ネットワーク構築継続要
求により取得した経路テーブルを修正・更新し、更新し
た経路テーブルを電文情報として含むネットワーク構築
継続応答を作成する。先に述べたとおり、作成されるネ
ットワーク構築継続応答は、方向=上り、属性=特殊、
ルート情報=ステップ604で作成したものを逆ソート
したもの、という内容のヘッダ部分を含む電文である。
ネットワーク構築継続応答を作成した子は、ネットワー
ク構築応答中のルート情報により特定されている経路に
沿って上り方向にある1ホップのGW即ち他の子又は親
に対し、TRモードで呼を発し、発呼先からの応答を待
って、作成したネットワーク構築継続応答を送信し、相
手側からのACK電文の返送を待って、当該無線接続を
切断・解放する(620)。なお、本実施形態では、経
路の決定及び管理を親が実行するため、子は、更新した
経路テーブルを保持し続ける必要はない。
【0080】下り方向にある1ホップの子から呼出を受
けそれに応答し、更にネットワーク構築継続応答を受信
した子は、発呼元の子に対してACK電文を返送して相
手側からの切断を待ち(619)、無線接続が解放・切
断された後に、受信したネットワーク構築継続応答中の
ルート情報により特定される経路に沿って自局から1ホ
ップ上り側にあるGWに対し、TRモードで呼を発し、
発呼先からの応答を待ってネットワーク構築継続応答を
転送・送信し、相手側からのACK電文の返送を待っ
て、当該無線接続を切断・解放する(620)。
【0081】また、ネットワーク構築継続要求中のルー
ト情報に従って発呼した先が、所定回数以上発呼しても
応答しない場合等、伝送失敗発生時には、当該発呼元の
子は、ネットワーク構築継続要求中のルート情報により
特定される経路に従って、自局から1ホップ上り側のG
Wに対しTRモードで呼を発し、方向=伝送失敗返送と
いうヘッダ部分を含む電文を親に宛てて送信し、発呼先
からのACK電文の返送を待って無線接続を切断・解放
する(620)。
【0082】
【表10】
【0083】親は、ネットワーク構築継続応答を受信し
子との無線接続を切断・解放した後、受信した電文を判
別する(609)。受信した電文が方向=上りの応答ル
電文(後述)である場合、その電文中の電文情報には、
更新された経路テーブルが含まれているため、親は、受
信した電文中の電文情報に基づき、自局が保持している
経路テーブルを更新する(610)。親は、更に、更新
された経路テーブルに基づき最適経路テーブルに情報を
追加し又はその再計算を行う(612)。例えば表10
に示した例では、親から1ホップの子2及び子5双方に
ついて調べ終えた時点で、親1−子2、親1−子5とい
う1ホップの経路に加え、親1−子2−親1、親1−子
2−子4が判明しているが、親1−子2−親1の経路に
ついては後述する重複禁止ルールに違反しているため最
適経路テーブルへの登録対象とならず、親1−子2−子
4が最適経路テーブルに登録される。
【0084】また、ステップ608で受信した電文が伝
送失敗返送である場合、親は、伝送失敗返送の送信元の
GWと、そのGWが伝送に失敗した相手たるGWとの組
合せについて、経路テーブル上に測定不能を示す情報
(「0」)を登録し(611)、ステップ612に移行
する。また、ネットワーク構築継続要求の送信後所定時
間待ってもネットワーク構築継続応答を受信できなかっ
た場合のように、ステップ608で電文を受信できなか
った場合には、経路テーブル及び最適経路テーブルの内
容に影響する処理は行わず、次の子を調べる手順に移行
する。
【0085】
【表11】
【0086】
【表12】
【0087】親は、親からkホップの子全てについて、
ステップ602以降の処理を繰り返す(613)。kホ
ップの子全てについて経路テーブルへの登録を終えた場
合は、kをインクリメントしてステップ602以降の処
理を繰り返す(615)。その過程で、エントリーして
いるGW同士の組合せ(同GW同士の組合せを除く)全
てを調べおえ、表11に例示するように経路テーブル上
に「−1」がなくなったとき、図6に示した手順を終え
る(614)。この時点では、表12に示すように、最
適経路テーブルも一応完成している。
【0088】
【表13】
【0089】この後、親は、ネットワーク部分構築によ
る孤立解消処理(図4:404)を実行する。図7に、
そのためのネットワーク部分構築手順を示す。この図に
示す手順は、図4に示す多ホップGW交信(403)を
終えた後の段階で、経路テーブル上に“孤立中の子”が
散見される場合に実行される(701)。“孤立”と
は、表13に例示する子3のように、受信電界強度が顕
著に低く又は伝送失敗が生じたため、エントリーしてい
る何れのGWとの間にも有効な即ち使用できるリンクを
有していると認め難い状態をいう。例えば、エントリー
テーブル上に登録されているGWの据付・起動が、1ホ
ップGW交信(402)や多ホップGW交信(403)
の実行よりも後になってしまった場合、“エントリーテ
ーブルに登録されているにもかかわらずそのGWはどの
GWからの発呼にも応じない”といった状況が生じう
る。図7に示す手順は、このような状況に対処するため
ネットワーク構築手順中で実行される手順であり、原則
として、“孤立中の子”がなくなるまで繰り返される
(707)。
【0090】
【表14】
【0091】
【表15】
【0092】
【表16】
【0093】図7に示す手順においては、親は、経路テ
ーブル上、孤立中の子に対応する行及び列(但し「−
2」の部分を除く)を、未測定を示す情報で埋める(7
02)。即ち、第1面を例としていうと、「−1」で埋
める。この置き換えによって、例えば表13に示した経
路テーブルは表14に示す内容に変わる。親は、孤立中
の子を最終宛先として、先に説明した1ホップGW交信
或いは多ホップGW交信と同様の処理を実行する(70
3,704)。これらの処理については、所定回数を上
限として、リトライを許す(706)。ステップ703
又は704の実行の結果、表15に例示するように孤立
が解消されれば(705)、親は、図7に示す手順を終
了する。他にも未解消の孤立がある場合は(707)、
親は、残っている孤立中の子について図7に示す手順を
繰り返す。図7に示す手順が成功裡に進めば、表16に
例示するように、最適経路テーブル上に各子に対し少な
くとも1個の最適経路が対応付けられた状態となる。
【0094】(5)最適経路テーブルの最適化 図3に示したように、ネットワーク構築手順が終了した
時点で、即ち最適経路テーブルが一応完成した時点で、
親は、最適経路テーブルの最適化処理を実行する(30
3)。最適経路テーブルの最適化処理は、できるだけ電
界強度の強いリンクをデータ伝送に使用することができ
るよう、最適経路テーブルを編集する処理であり、図8
にその手順が示されている。
【0095】
【表17】
【0096】図8に示す手順においては、親は、まず、
現在の経路テーブルの第1面を他の記憶領域に転写し、
それをワーク用経路テーブルとする(801)。即ち、
図8に示す手順では経路テーブルを操作しその結果に基
づき最適経路テーブルを編集するため、元々の経路テー
ブルのコピーに当たるワーク用経路テーブルを操作対象
とし、元々の経路テーブルは保存しておく。親は、量子
化階調の中間程度の値(量子化階調数が10であれば例
えば5)に初期設定されているしきい値Ethを用い
て、ワーク用経路テーブル上の低レベル値を「0」に置
換する(802)。例えば、表17に示す例では、Et
h=5以下のレベル値が全て「0」に置換されている。
【0097】親は、ワーク用経路テーブルの内容に基づ
き経路探索(後述)を行って、最適経路テーブルを再作
成する(803)。ここに、最適経路テーブルには、前
述のように、子1個当たり第m経路まで登録可能である
が、経路探索を行っても、エントリーしている全ての子
について第m経路まで発見できるとは限らない。そこ
で、最下位の優先順位を有する経路即ち第m経路が、ス
テップ803で再作成した最適経路テーブル上に登録さ
れていない子がある場合は(804)、親は、しきい値
Ethを1低減して(806)元々の経路テーブルの第
1面からワーク用経路テーブルを再作成し(801)、
しきい値Ethが下限値例えば1に達するのを限度とし
て(805)、同様の処理を繰り返す。
【0098】また、繰り返しに際しては、発見済の経路
の優先順位は固定しておく(807)。例えば、ある子
についてEth=5の処理で第1経路を発見できたが第
2経路を発見できなかった場合、しきい値Ethを4に
下げて処理を再実行することとなるが、発見済の第1経
路については第1経路という優先順位のまま固定し、E
th=4の処理では第2経路以下の優先順位の経路を探
索する。これによって、できるだけ電界強度の高いリン
クを高優先順位の経路中で使用しつつ、低優先順位の経
路をも検出することが可能になり、更に、必要な処理時
間も短縮される。
【0099】(6)伝送失敗ログテーブルの初期化
【表18】
【0100】
【表19】
【0101】図3に示す手順では、親は、定常動作に移
行する前に、伝送失敗ログテーブルを初期化する(30
4)。具体的には、表18に示すように、まず経路テー
ブルの第1面の情報を伝送失敗ログテーブルに転写する
ことによって、存在しない組合せを「−2」に一括設定
する。更に、経路テーブルの転写によって「0」となっ
た組合せについては、一括して、リンクなしを示す「−
1」に変換する。また、経路テーブルの転写によって自
然数となった組合せについては、一括して、伝送失敗履
歴なしを示す「0」に変換する。これによって、定常動
作開始時に、表19に示すように、初期化された伝送失
敗ログテーブルを得ることができる。
【0102】(7)経路探索−具体例 最適経路テーブルの最適化処理に関する説明でふれたと
おり、本実施形態にて親として機能するGWには、経路
探索の機能がある。経路探索とは、親から任意の子まで
の経路を検出し、検出した経路それぞれに対して第1か
ら第mの優先順位を付す機能である。経路探索機能を実
現するに当たっては、一般に多数存在しうる経路の中か
らどの経路を選択すべきでどの経路を選択すべきでない
かに関する条件、即ち経路探索条件と、選択できる一般
に複数の経路に対してどのような基準で優先順位を付す
かを決める条件、即ち優先順位条件とを、適切に決める
必要がある。
【0103】本実施形態の場合、経路探索条件として
は、ループを含む経路を避けるため同じGWが複数回登
場する経路は選択しないようにする、という重複禁止ル
ールと、受信電界強度のレベルが所定のしきい値を下回
るリンクは選択しないようにする、という弱電界排除ル
ールを使用している。また、優先順位条件としては、ホ
ップ数が少ないものを上位にする、ホップ数が同じであ
れば合計電界強度が高いものを上位にする、ホップ数及
び合計電界強度が共に同じであれば先に発見したものを
上位にする、という3個の条件を使用している。なお、
ここでいう「合計電界強度」とは、経路テーブルの第1
面にリンク毎に登録されているレベル値を、経路に沿っ
て総和したものをさしている。
【0104】
【表20】
【0105】経路探索に必要な条件は以上の通りであ
る。理解を容易にするため、ここでは、図9及び表20
に示す具体例に従って、かつ図10に示す流れに沿っ
て、説明を行う。まず、図9中、「親1」「子2」等の
表記が付されている円はGWであり、GW間を接続する
直線はリンクであり、リンクに付記されている数字は経
路テーブルの第1面に登録されているレベル値である。
この場合の経路テーブルの第1面は、表20に示す内容
となる。逆に言えば、図9は表20の経路テーブルの内
容を可視的に表現したものである。
【0106】
【表21】
【0107】経路探索に当たっては、予め、親からどの
子に至る経路を探索するのか、即ち目的とする子を決め
ておく。例えば、子4を目的とする。その上で、親は、
目的とする子から1ホップのGWを、経路テーブル上か
ら検出する(図10:1001)。図9及び表20に示
した例では、子4から1ホップのGW、即ち子4に対応
する行又は列に自然数が登録されているGWは、表21
中の「1ホップ」の欄に示したように、子2と子5であ
る。次に、親は、目的とする子と、目的とする子から1
ホップのGWと、の間のリンクについて、電界強度又は
そのレベル値を基準値と比較する(1002:弱電界排
除ルール)。前者が後者を上回っていれば、そのリンク
は採用できるものとする。例えば基準値が5であるな
ら、子4から子2へのリンクはレベル=6、子4から子
5へのリンクはレベル=8であって、何れも基準値を上
回るレベルであるため、両リンクとも採用できる。
【0108】この段階で、リンクが親に到達すること即
ちリンク先が親であることもあるし、そうでないことも
ある。子4−子2、子4−子5のリンクは何れも親に到
達していないため、親は、リンク先の子即ち子2及び子
5から1ホップのGWを、経路テーブルから検出し、リ
ンクをつないで経路を延ばす(1003)。例えば、子
2から1ホップのGWとしては親1、子3及び子4があ
り、子5から1ホップのGWとしては親1及び子4があ
る。従って、子4から2ホップの経路であって子2との
リンクに関する弱電界排除ルールに対抗できる経路とし
ては、表21中の「2ホップ」の欄に示した5通りの経
路があるといえる。親は、それらの経路に関し、重複禁
止ルール及び弱電界排除ルールに基づき採否判別を行う
(1004)。即ち、子2又は子5からのリンクそれぞ
れについてレベル値と基準値との比較を行い、また表2
1中の「2ホップ」の欄に示した5通りの経路における
ループの有無を調べる。ここで示している例では、新た
に延ばした何れのリンクも弱電界排除ルールに対抗でき
る採用可能なリンクであるが、子4−子2−子4の経路
と、子4−子5−子4の経路は、いずれも「子4」が複
数回登場しているため採用できないと判別される。ま
た、子4−子2−親1、子4−子5−親1の経路につい
ては、親に到達しているため、最適経路テーブルへの登
録対象とすることができることから、以後の繰り返し実
行からは除外され、残った経路である子4−子2−子3
の端点である子3について、1ホップの子の検出(10
05)以降の処理が実行される。
【0109】
【表22】
【0110】繰り返しの結果として、親に到達していな
い経路がなくなると(又は所定上限回数まで繰り返した
後)、親は、優先順位条件に従って優先順位付与を行う
(1006)。表21中で「親に到達したため登録」と
表記されている経路は、子4−子2−親1、子4−子5
−親1、子4−子2−子3−親1の3通りある。これら
3経路の中で、前2者は2ホップの経路であり、最後の
ものは3ホップの経路である。従って、データ伝送所要
時間や中継回数がかさむ最後の経路は、3経路の中で最
も低い優先順位が付され、第3経路となる。更に、前2
者のうち、子4−子2−親1の経路における合計電界強
度は15、子4−子5−親1の経路における合計電界強
度は18であり、子4−子5−親1の経路の方が良好な
無線伝送を期待できる。そのため、子4−子5−親1は
最も優先順位が高い第1経路、子4−子2−親1はその
次に優先順位が高い第2経路とされる。結果として、表
22に示すような優先順位が付され、これに従い最適経
路テーブルへの登録が行われることになる。
【0111】(8)定常動作、通信手順及び電文構成 定常動作(図3:305)中、親は、網11を介してホ
スト10から発せられた要求や、予め定められているス
ケジュール等に従い、単一データ伝送、積算データ伝送
等の形態によって、各子に対してデータ設定を行いまた
各子からデータを収集する。定常動作中、親は、定期的
に異常監視(306)及びネットワーク修復(307)
を実行する。
【0112】異常監視は、伝送失敗ログテーブル上に記
録した伝送失敗履歴や最適経路テーブル上の伝送失敗カ
ウンタ、応答待ちタイマ満了カウンタに基づき、最適経
路テーブル上に登録されているが実際にはデータ伝送に
成功した履歴のない経路やデータ伝送に頻繁に失敗する
経路を、不達経路として検出する手順である。ネットワ
ーク修復は、異常監視手順にて検出された不達経路を迂
回する、という条件付きで、経路探索による最適経路の
登録し直しや、孤立解消のためのネットワーク部分構築
を実行する手順である。なお、親は、これらの手順の実
施状況に応じ、ホスト10に対し警報を発する。例え
ば、孤立が発生したとき或いは孤立を解消できないとき
に警報を発する。また、異常監視手順の実行結果にもよ
るが、ネットワーク構築をやり直す必要がある場合もあ
る。その場合は、例えば、まずホスト10へ警報を発
し、保守端末からの指令に応じて図3の手順を起動する
等の形態をとる。
【0113】また、親は、定常動作中に限らず、流入呼
制限を実行している。流入呼制限に当たっては、親は、
ネットワーク構築、定常動作等のために多段伝送ネット
ワーク内に要求等を発してからそれに対する応答を得る
までの一連のイベント群を、単位として扱っている。即
ち、多段伝送ネットワークで実行されているこのような
イベント群と、親にてキューイングしている(将来実行
されるであろう)イベント群の合計が、上限個数、例え
ば3群に達している状態では、仮にホスト10から網1
1を介して要求があったとしても、それは受け付けない
(図19参照)。これによって、多段伝送ネットワーク
内のトラフィックは緩和される。
【0114】また、当該イベント群の始まりとなるの
は、親が自発的に又はホスト10若しくは保守端末から
の要求に応じて発する各種の要求である。子が開始させ
ることはない。複数の子に情報を設定し又は複数の子か
ら情報を得ようとする場合、親自身が決めた順序で親が
子をポーリングする。例えば、定常動作中のWHM検針
値定時収集等のように、多段伝送ネットワーク内の全て
の子を対象としてデータ設定/収集を行う場合、図20
に示すように、親は、最適経路テーブル上の第1経路の
ホップ数が最も多い子から順に選択して(2001)、
後述する上り積算データ伝送等により応答電文を収集す
る(2002)という処理を、未収集の子がなくなるま
で(2003)を続ける。その途上でデータ取得済の子
から再度データを取得することがあり得るが、その場合
は後から得たデータを採用する(親のメモリ上にデータ
を上書きする)。また、どの子からデータを取得済かに
関しては、子と収集状況とを対応付ける処理管理テーブ
ルを用いて管理する。
【0115】更に、本実施形態では、PHSのTRモー
ドを利用しているため、図3に示した手順を実行する際
にGW間で実行される通信手順は、原則として、従来か
らPHSのTRモードで使用されていたものに準拠して
いる。例えば、親1から子2を介して子3に要求を発
し、子3による応答を求める場合は、図11に示すよう
な通信手順となる。即ち、発呼元は制御チャネルである
SCCHを用いて呼出を行い、発呼先は同じくSCCH
を用いてこれに応答し、発呼元はこの応答を得た上で通
話チャネルにより要求ル電文、応答ル電文等を送信し、
発呼先はこれを受信した上で通話チャネルによりACK
電文を返信し、ACK電文を受信した発呼元は制御チャ
ネルであるFACCHを用いてTRモードによる無線接
続を切断・解放する。要求ル電文又は応答ル電文を受信
したGWがACK電文の送信なしで自らFACCHによ
り切断することもある。
【0116】
【表23】
【0117】表23に示すように、図11に現れた電文
名称のうち「要求ル電文」は要求ルーティング電文を、
「応答ル電文」は応答ルーティング電文を、それぞれ略
したものである。要求ル電文は親から子に対する要求の
ための、応答ル電文はそれに対する応答のための電文で
ある。要求ル電文、応答ル電文共に、図12(a)に示
す電文構成を有している。図12(a)に示す電文構成
中、「電文情報」の部分は、例えば親から子に対して与
える指令を示す指令コードや、親が子に設定するデータ
或いは子から親に収集するデータ等をセットする部分で
ある。この電文構成におけるヘッダ部分は「ルート情
報」を含む「ルーティングヘッダ」であり、このルーテ
ィングヘッダは図12(b)に示す構成を有している。
【0118】図12(b)中、「方向」は多段伝送ネッ
トワーク内での電文の伝送方向を示す情報であり、図1
中に示した「上り」「下り」の他に、「伝送失敗返送」
「ACK」の2種類がある。「伝送失敗返送」は自局か
ら見て下り側1ホップの子に対する伝送に失敗した子が
親を最終宛先としてその旨を通知すること又はそれを親
方向に中継することをさしており、従って上り伝送の特
殊な形態であるといえる。「ACK」は要求ル電文、応
答ル電文又は伝送失敗返送を受信又は中継するGWがそ
の送信側のGWに対し発するアクノリッジ即ち確認をさ
しており、その性質上、図11からも読みとれるよう
に、上り下り何れの方向にも伝送されうる。但し、方向
=ACKの電文即ちACK電文は、中継されることはな
く、表23に示されるように1区間(1リンク)で授受
されるにとどまる。
【0119】
【表24】
【0120】図12(b)中、「属性」はその電文がど
のような目的及び形態でデータを伝送するのかを示す情
報であり、「単一」「上り積算」「下り積算」「上下積
算」「特殊」の各種類がある。これらは図13に示す各
伝送形態に対応している。なお、図13はデータ収集を
例として描いたものであるが、いわゆる当業者であれ
ば、データ設定時についてはこの図から容易に類推でき
るであろう。
【0121】まず、図13(a)及び表24に示すよう
に、「単一」は、最終宛先たる子のみにデータを設定し
又はその子のみからデータを収集するための伝送、即ち
単一データ伝送のための電文であることを、表してい
る。
【0122】次に、図13(b)〜(d)及び表24に
示すように、「上り積算」「下り積算」「上下積算」
は、最終宛先たる子から親に至る経路に含まれる全ての
子にデータを設定し又はそれらの子全てからデータを収
集するための伝送、即ち積算データ伝送のための電文で
あることを、表している。積算データ伝送によりデータ
を設定/収集する場合は、図12(c)及び図13
(b)〜(d)に示すように、電文情報を累積的に付加
する。「上り積算」「下り積算」「上下積算」の区別
は、それぞれ図13(c),(b),(d)に示されて
いるとおり、上り方向の伝送でデータ設定/収集を行う
か、下り方向の伝送でデータ設定/収集を行うか、それ
ともその双方で行うか、の違いである。
【0123】そして、図13(e)及び表24に示すよ
うに、「特殊」は、ネットワーク構築時等に使用される
特殊データ伝送用の電文であることを示している。例え
ば、先の説明中のネットワーク構築継続要求等がこの種
の電文である。また、特殊データ伝送は、図11に示し
たように、最終宛先の子にて一旦無線接続が切断・解放
される点で、最終宛先の子が要求ル電文受信後無線接続
を切断・解放しないまま応答ル電文を送信する単一又は
積算データ伝送と異なっている。
【0124】また、図12(b)中、「タイムスタン
プ」は送信時刻を、「ルート情報」は経路を表してい
る。「ルート情報」は、要求ル電文の場合、最適経路テ
ーブル上の情報に基づき親が発生させ、応答ル電文及び
伝送失敗返送の場合、要求ル電文中のルート情報を最終
宛先又は返送元の子で逆ソートして発生させる。即ち、
本実施形態では、経路決定の基盤となる最適経路テーブ
ル等の情報を配信することなしに多段伝送ネットワーク
を構築・運用できるよう、親で発生させたルート情報又
はそれを逆ソートしたものを用いる。なお、ACK電文
のルート情報は受信した電文の発呼元及び発呼先で決ま
る。また、ルート情報は、呼出元、中継、最終宛先の各
GWのTR番号をハイフンでつなぎ、更にホップ数を付
加した構成を有している。例えば要求ル電文では、「ホ
ップ数+親のTR番号+中継する子のTR番号+…+最
終宛先の子のTR番号」という内容になり、応答ル電文
では、「ホップ数+要求時の最終宛先の子のTR番号+
中継する子のTR番号+…+親のTR番号」という内容
になる。
【0125】(9)各部の処理 図11にも記したように、定常動作中やネットワーク構
築時に多段伝送ネットワーク内で実行されるデータ伝送
は、親により実行される送信処理(図14)、経路途中
の子により実行される下り中継処理(図15)、最終宛
先の子により実行される折り返し処理(図16)、経路
途中の子により実行される上り中継処理(図17)、並
びに親により実行される終端処理(図18)に分解でき
る。以下、まず各処理毎に説明した上で、個別の状況に
おける処理の流れを例示する。
【0126】図14に示す手順では、データ伝送の必要
が生じたときに親はまず要求ル電文を作成する(140
1)。但し、流入呼制限に抵触する場合は作成しない。
トラフィック上の問題が現存し又は予測される場合には
要求ル電文の作成を中止又は遅延させる。作成する電文
には、親が作成したオリジナルの電文情報又はホスト1
0からの要求に基づく電文情報をセットする。更に、そ
の電文のヘッダには、方向として下りをセットし、デー
タ伝送の形態に応じた属性をセットし、現在時刻に応じ
たタイムスタンプをセットする。そして、どの子を最終
宛先とするかに応じて最適経路テーブルを参照して経路
を決める。最初の試行であれば、第1経路を選択するの
が望ましい。親は、決めた経路に基づきルート情報を作
成して、電文のヘッダ部分にセットする。
【0127】親は、作成したルート情報中で自局のTR
番号に直接ハイフン連結されているTR番号を、即ち経
路上で自局から1ホップの子のTR番号を、発呼先のT
R番号として特定する(1402)。親は、特定したT
R番号を用いてTRモードで発呼し、発呼先からの応答
を待つ(1403)。発呼先が呼出に応答しなかった場
合には(1404)、所定の上限回数を限度として繰り
返し発呼する(1405)。その甲斐もなく発呼先に着
呼できなかった場合は、最適経路テーブルを参照するこ
とにより、最終宛先の子に至る経路の中でより優先順位
が低い経路を選択し(1406)、ステップ1401か
ら処理を繰り返す。その際、着呼できなかった発呼先を
通る経路を選択対象から除外してもよい。最終宛先の子
に至る全ての経路について試行したがなおそのそれらの
経路における発呼先の何れにも着呼できなかった場合に
は、送信を断念する(1407)。
【0128】親は、発呼先が呼出に応答した場合は、そ
の発呼先に対してPIAFSデータ通信により、作成し
た電文を送信する(1403)。発呼先=最終宛先であ
るならば、その発呼先は、親からの要求ル電文に応じて
折り返し処理を実行し、応答ル電文を返送する(図1
6:1604,1612)。また、発呼先≠最終宛先で
あるならば、その発呼先は、親からの要求ル電文に応じ
て下り中継処理を実行すべく、ACK電文を返送する
(図15:1504)。親は、発呼先から応答ル電文又
はACK電文を受信すると、その発呼先との無線接続に
係る呼を自ら切断し、無線チャネルを解放する(140
8,1410)。受信した電文が応答ル電文なら、親
は、受信した電文を記憶し、処理を終端する(140
9)。これに対し、受信した電文がACK電文なら、親
は、送信した要求ル電文がいくつかの子を経て最終宛先
の子に至り、折り返されて応答ル電文が到着するのを待
つべく、応答電文待ちタイマを起動する(1411)。
なお、応答電文待ちタイマによる計数時間を、経路長例
えばホップ数に応じて変化させることも可能である。
【0129】次に、図15に示す手順では、子は、他局
からTRモードで電文を受信したとき、その電文に付さ
れているヘッダを解析し(1501)、方向や最終宛先
を調べる。方向が上り又は伝送失敗返送である場合は
(1502)、下り中継の対象ではなく上り中継の対象
であるため後述する上り中継処理に移行する(151
0)。図示していないが、方向がACKなら無線接続を
切断・解放する。最終宛先が自局である場合も(150
3)、下り中継の対象ではなく折り返しの対象であるた
め後述する折り返し処理に移行する(1511)。これ
らに該当しない場合、即ち方向が下りであり他局を最終
宛先としている場合は、下り中継の対象であると判断し
て、その発呼元を宛先とするACK電文を返送し(15
04)、当該発呼先による無線接続切断・解放を待つ
(1505)。
【0130】このようにして上り側のGWとの無線接続
が切断・解放された後、子は、その電文のルーティング
ヘッダの解析(1501)により得られたルート情報中
で、自局のTR番号の位置に対して、その電文に先立っ
てSCCHにより受信したTR番号が、どのような位置
関係にあるかを調べる。これによって、ルート情報に係
る経路に沿い自局から見て下り側に1ホップのGWを特
定することができる。子は、これによって、どのGWを
発呼先としてTRモードによる発呼及び送信を行えばよ
いかを、特定する(1506)。子は、特定したTR番
号に係る子に対してTRモードで発呼し、受信した電文
と同内容の要求ル電文を送信する(1507)。但し、
下り積算や上下積算の場合は、自局で作成又は収集した
データであって親が要求したものを、親に対する自局に
よる応答即ち応答電文として付加して、要求ル電文を送
信する。発呼したが着呼できなかった場合は(150
8)、所定の上限回数を限度として(1509)繰り返
し発呼を試行する。その甲斐もなく着呼できなかった場
合は、子は、ステップ1521からの処理即ち伝送失敗
返送に関する処理に移行する。
【0131】伝送失敗返送に当たっては、子は、方向=
伝送失敗返送、属性=受信済の要求ル電文のそれと同
じ、ルート情報=受信済の要求ル電文中のルート情報を
逆ソートしたもの、という内容を含むヘッダを付した電
文を作成する(1521)。その際、親に対する自局の
応答である応答電文を作成して付加する。子は、作成し
たルート情報中で自局のTR番号に隣接する上り側に1
ホップのGWのTR番号を以て、発呼先として特定する
(1522)。しかる後、子は、発呼及び送信を実行す
る(1523)。即ち、子は、特定した発呼先に対して
呼を発し、その発呼先が呼出に応答するのを待って、ス
テップ1521で作成した電文即ち伝送失敗返送を送信
し、発呼先からACK電文が返送される(図17:17
01,図18:1809a)のを待って(1524)、
その発呼先との無線接続を切断・解放し(1513)処
理を終端する(1514)。なお、子は、発呼先が呼出
に応答しない場合には所定の上限回数を限度として発呼
を繰り返す(1525)。その甲斐もなく発呼及び送信
に成功するに至らなかった場合は(1524)、下り中
継処理を終端する(1514)。
【0132】他方、ステップ1507で発呼及び送信に
成功した場合は(1508)、その子は、発呼先の子か
らどのような電文が返送されてくるかに応じて、異なる
処理を実行する。例えば、発呼先≠最終宛先である場合
及び発呼先=最終宛先かつ属性=特殊である場合はその
発呼先はACK電文を返送してくる(1504,図1
6:1606)。発呼先から受信した電文がACK電文
である場合は(1512)、子は、自ら無線接続に係る
呼を切断し無線チャネルを解放して(1513)、処理
を終端する(1514)。また、発呼先=最終宛先であ
る場合(属性=特殊である場合を除く)はその発呼先は
応答ル電文を返送してくる(図16:1604)。子
は、発呼先から受信した電文が応答ル電文である場合は
(1512)、その発呼先との無線接続を切断・解放し
(1515)、受信した応答ル電文の内容を記憶し(1
516)、受信した応答ル電文のルート情報中で自局の
TR番号に隣接する上り側に1ホップのGWのTR番号
を以て発呼先として特定し(1517)、特定した発呼
先に対して呼を発し、その発呼先が呼出に応答するのを
待って受信・記憶済の応答ル電文を送信し(151
8)、発呼先からACK電文が返送される(図17:1
701,図18:1813)のを待ってその発呼先との
無線接続を切断・解放し(1513)又は発呼先が自ら
無線接続を切断・解放するのを待って(図14:140
8)、処理を終端する(1514)。なお、受信した応
答ル電文の属性が上り積算又は上下積算であった場合
は、親に対する自局の応答である応答電文を作成・付加
して送信する。また、子は、発呼先が呼出に応答しない
場合には所定の上限回数を限度として発呼を繰り返す
(1520)。その甲斐もなく発呼及び送信に成功する
に至らなかった場合は(1519)、下り中継処理を終
端する(1514)。
【0133】図16に示す手順は、先にも述べたとお
り、受信した電文が最終宛先=自局の電文であると判別
した子によって、実行される(図15:1511)。こ
の手順、即ち子による折り返し処理の内容は、受信した
電文の属性が特殊か否かにより異なる。受信した電文の
属性が特殊でない場合(1602)、子は、その電文を
受信した後も現在の無線接続を維持しつつ、受信した電
文中の電文情報に応じた処理例えば収集済の検針データ
に基づく応答電文の作成を実行する(1602)。この
時点での無線接続先は、ルート情報により特定される経
路上で自局から見て1ホップ親寄りのGWである。この
接続状態を保ったまま、子は、受信した電文中のルート
情報を逆ソートすることによって生成したルート情報
と、受信した電文による要求への応答である応答電文と
を含む応答ル電文を作成し(1603)、現在の無線接
続先に送信する(1604)。無線接続先のGWは、こ
の応答ル電文を受信すると無線接続を切断・解放するか
ACK電文を返送する(図14:1408,図17:1
701)。無線接続先が切断した後又は無線接続先から
のACK電文に応じて自ら切断した後(1605)、子
による図示の処理は終了する。
【0134】他方、属性=特殊、最終宛先=自局の電文
を受信した子は、先に図11に例示したとおり、一旦、
無線接続を切断・解放する。例えば、発呼元に対してA
CK電文を返送して(1606)相手側による切断・解
放(図14:1410,図15:1513)を待つ(1
607)。子は、受信した特殊データ伝送の電文のルー
ティングヘッダを保存し(1608)受信した電文に応
じた処理を実行する(1609)。例えば、受信した電
文がネットワーク構築継続要求であった場合、その電文
中の電文情報に含まれている発呼情報テーブルに基づ
き、ネットワーク構築要求の送信、ネットワーク構築応
答の受信、受信電界強度の測定、測定結果に基づく経路
テーブルの更新等を実行する。
【0135】電文内容に応じた処理を実行した子は、ス
テップ1608で保存してあるルーティングヘッダと、
ステップ1609における処理結果とに基づき、応答ル
電文を作成する(1610)。即ち、ルート情報の逆ソ
ートによりルート情報を作成し、処理結果に基づき応答
電文を作成して電文情報とし、それらから応答ル電文を
作成する。その属性は特殊、方向は上りとする。子は、
作成した応答ル電文中のルート情報における自局のTR
番号の位置に基づき、発呼先のGWを特定して(161
1)、その発呼先に対する発呼及び作成した応答ル電文
の送信を実行する(1612)。より詳細には、その発
呼先をTRモードで呼び出し、発呼先が応答したら応答
ル電文を送信し、発呼先がACK電文を返送したら(図
17:1701,図18:1813)呼に係る無線接続
を切断・解放して(1615)又は発呼先による切断・
解放を待って(図14:1408)、処理を終端する
(1616)。なお、作成した電文の送信のための発呼
は、所定の上限回数を限度として繰り返し試行する(1
614)。その甲斐なく不成功に終わった場合は、処理
を終端する(1616)。また、図16の手順の全部又
は一部、例えば特殊データ伝送に関連する部分は、親も
実行する。
【0136】図17に示す手順は、先に説明したとお
り、方向=上り又は伝送失敗返送の電文を受信した子に
より実行される(図15:1510)。この手順におい
ては、子はまず現在の無線接続先に対してACK電文を
返送することにより(1701)相手側による無線接続
の切断・解放を促し、切断されるのを待って(170
2)発呼及び応答ル電文送信を実行する(1704)。
即ち、受信した電文中のルート情報と、SCCHによる
呼出中のTR番号とに基づき、当該ルート情報により特
定される経路に沿い自局から上り側に1ホップのGWを
特定し(1703)、そのGWに対してTRモードで発
呼する(1704)。なお、受信した応答ル電文の属性
が上り積算又は上下積算である場合は、電文情報中の要
求電文に基づく処理を実行して、自局からの親に対する
応答である応答電文を作成し電文に付加する(1703
a)。子は、発呼先が呼出に応答するのを待って、作成
した応答ル電文を送信し、発呼先からACK電文が返送
されるのを待って、呼に係る無線接続を切断・解放して
(1707)処理を終端する(1708)。なお、作成
した電文の送信のための発呼は、所定の上限回数を限度
として繰り返し試行する(1706)。その甲斐なく不
成功に終わった場合は、処理を終端する(1708)。
【0137】図18に示した手順は、図14に示した送
信処理を成功裡に実行しステップ1411にて応答電文
待ちタイマを起動した親により、実行される。この手順
においては、親は、応答電文待ちタイマがタイムアウト
するまでを限度として(1802)、いずれかの子から
電文が到来するのを待つ(1801)。
【0138】応答電文待ちタイマがタイムアウトする前
に電文を受信した親は、その電文のルーティングヘッダ
を解析することによって(1810)、その電文の方向
や最終宛先を調べる。方向が上りでありかつ最終宛先が
自局である場合(1811,1812)は、親は、発呼
元即ち経路に沿って自局から1ホップ下り側の子に対し
て、ACK電文を返送し(1813)、相手側による無
線接続切断・解放(図16:1615,図17:170
7)を促すか、自ら切断・解放する一方、受信した応答
ル電文特にその電文情報を記憶し必要な処理を実行する
(1814)。例えば、ホスト10からの要求に応じて
子からWHM21の検針データを収集するため図14の
手順により要求ル電文を送信し、それへの応答と見られ
る応答ル電文を受信した場合は、その応答ル電文中の電
文情報に含まれている検針データを必要に応じ加工して
ホスト10に送信する、といった処理を実行する。ま
た、受信した電文の方向が伝送失敗返送である場合(1
808)は、親は、伝送失敗ログテーブル上の情報のう
ち、伝送失敗が生じたリンクに関する情報を修正(例え
ば失敗回数をインクリメント)し(1809)、当該経
路に関して、最適経路テーブル上の伝送失敗カウンタ
(表4中のB)をインクリメントし(1804)、後述
するステップ1805以降を実行する。受信した電文の
方向及び最終宛先がこのような条件を満たしていない場
合は、引き続き、応答電文待ち(1801,1802)
に入る。なお、受信した電文がACK電文である場合は
FACCHにより切断する。
【0139】期待する電文を受信できないまま応答電文
待ちタイマがタイムアウトしてしまった場合(180
2)、親は、送信した要求ル電文中のルート情報により
特定される経路に関して、最適経路テーブル中の応答待
ちタイマ満了カウンタ(表4中のC)をインクリメント
する(1803)。親は、更に、最適経路テーブル上、
次に優先順位の高い経路を選択して図14に示した手順
を再実行する(1805)。もし、その再実行によって
も、期待する電文を受信できないまま応答電文待ちタイ
マがタイムアウトしまう状況や伝送失敗返送が到来する
状況が生じた場合は、更に優先順位の低い経路を選択し
てステップ1805を繰り返す。最下位の経路まで試行
したがなお成功しえないままであった場合は(180
6)、そのまま処理を終端させるか、ホストへの警報等
を実行する(1807)。
【0140】(10)具体例 第1の例として、親1−子2の経路で単一データ伝送を
実行する場合を考える。この場合、親は図14に示した
送信処理を実行し、方向=下り、属性=単一、ルート情
報=(親1)−(子2)というルーティングヘッダが付
された要求ル電文を送信する(1403)。経路に沿っ
て親1から1ホップ下り側の子は子2であるため、親が
TRモードで発呼する先は子2である(1402)。子
2は、受信した電文のルーティングヘッダから、その電
文が、方向=下り、属性=単一で自局を最終宛先として
いる電文であることを検出し(1501〜1503)、
図16に示す折り返し処理を実行する(1511)。属
性が単一であり特殊ではないため(1601)、子2は
親1との無線接続を維持したままで(1602)要求ル
電文に応じた処理を実行し(1603)方向=上り、属
性=単一、ルート情報=(子2)−(親1)の応答ル電
文を作成して(1604)、作成した応答ル電文を親1
に送信する(1604)。親1はこの応答ル電文の受信
に応じ無線接続を切断し(1408)受信した電文中の
電文情報に関する処理を実行すべく送信処理を終端する
(1409)。
【0141】第2の例として、親1−子2−子3の経路
で単一データ伝送を実行する場合を考える。この場合、
親は図14に示した送信処理を実行し、方向=下り、属
性=単一、ルート情報=(親1)−(子2)−(子3)
というルーティングヘッダが付された要求ル電文を送信
する(1403)。経路に沿って親1から1ホップ下り
側の子は子2であるため、親がTRモードで発呼する先
は子2である(1402)。子2は、受信した電文のル
ーティングヘッダから、その電文が、方向=下り、属性
=単一で他局を最終宛先としている電文であることを検
出し(1501〜1503)、親1にACK電文を送信
する(1504)。親1はこれに応じて無線接続を切断
・解放し(1410)応答電文待ちタイマをセットして
(1411)応答電文待ち状態に入る(1801,18
02)。子2は、親1による切断を待って(1505)
子3を発呼し要求ル電文を送信する(1507)。
【0142】子3は、受信した要求ル電文のルーティン
グヘッダから、その電文が、方向=下り、属性=単一で
自局を最終宛先としている電文であることを検出し(1
501〜1503)、図16に示す折り返し処理を実行
する(1511)。属性が単一であり特殊ではないため
(1601)、子3は子2との無線接続を維持したまま
で(1602)要求ル電文に応じた処理を実行し(16
03)方向=上り、属性=単一、ルート情報=(子3)
−(子2)−(親1)の応答ル電文を作成して(160
4)、作成した応答ル電文を子2に送信する(160
4)。子2は、受信した応答ル電文のルーティングヘッ
ダから、その電文が上りの電文であることを検出し(1
501,1502)、図17の上り中継処理を実行する
(1510)。子2は子3に対してACK電文を送信す
るか自ら無線接続を切断し(1701,1702)、子
3はACK電文に応じて無線接続を切断・解放するか子
2による切断・解放を待つ(1605)。
【0143】子2は、受信した応答ル電文中のルート情
報に基づき発呼先を親1と特定し(1703)、親1を
発呼して応答ル電文を送信する(1704)。応答電文
待ち状態に入っていた親1は、子2からの応答ル電文が
応答電文待ちタイマのタイムアウト前に到来した場合
(1801,1802)、その応答ル電文のルーティン
グヘッダから方向=上り、最終宛先=自局であることを
検出して(1810〜1812)、子2にACK電文を
返送する(1813)。子2はこのACK電文に応じて
無線接続を切断・解放する(1707)。親1は受信し
た応答ル電文特にその電文情報に関する処理を実行し
(1814)処理を終端する。
【0144】これらの例から明らかなように、本実施形
態によれば、親又は子が図14〜図18に示した手順を
実行することによって、無線テレメトリに必要なデータ
伝送、例えば親から各子への情報設定や各子から親への
情報収集を行うことができる。また、特殊データ伝送の
活用によってネットワーク構築等を実施できる。それら
の実現に際して、各GWがテーブル情報例えば経路テー
ブルや最適経路テーブルを保持する必要はなく、従って
テーブル整合性の維持・確保のためテーブル情報を伝送
しあう必要もないことから、従来技術で生じていた問題
点、特にテーブル伝送に伴う輻輳の発生や衝突等による
テーブル整合性の損逸といった問題点は、生じようがな
い。また、データ設定/収集、ネットワーク構築/修復
等のための通信が、親により開始されているため、親が
多段伝送ネットワーク内のトラフィックをコントロール
することができる。多数の子からデータを収集等するに
は親がポーリングを行えばよく、また、ホスト10から
の要求に対しても親が流入呼制限を課すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るゲートウエイ(G
W)を用いて構築した多段伝送ネットワークの構成を示
す図である。
【図2】 本実施形態に係るGWの構成を示す図であ
る。
【図3】 親の全体動作及び状態遷移の概略を示す図で
ある。
【図4】 ネットワーク構築手順を示す図である。
【図5】 1ホップGW交信手順及びそれに応じた子の
動作を示す図である。
【図6】 多ホップGW交信手順及びそれに応じた子の
動作を示す図である。
【図7】 ネットワーク部分構築手順を示す図である。
【図8】 最適経路テーブル最適化手順を示す図であ
る。
【図9】 ネットワーク構成の一例を示す図である。
【図10】 経路探索原理を示す図である。
【図11】 ネットワーク構築時及びデータ伝送時にお
ける信号のやり取りを示す図である。
【図12】 (a)は基本的な電文構成を、(b)はル
ーティングヘッダの構成を、(c)は積算時における電
文構成を、それぞれ示す図である。
【図13】 各種伝送形態を示す図であり、特に(a)
は単一データ伝送を、(b)は下り積算データ伝送を、
(c)は上り積算データ伝送を、(d)は上下積算デー
タ伝送を、(e)は特殊データ伝送を、それぞれ示す図
である。
【図14】 親により実行される送信処理手順を示す図
である。
【図15】 子により実行される下り中継処理手順を示
す図である。
【図16】 子により実行される折り返し処理手順を示
す図である。
【図17】 子により実行される上り中継処理手順を示
す図である。
【図18】 親により実行される終端処理手順を示す図
である。
【図19】 流入呼制限を示す図である。
【図20】 全子対象データ伝送を示す図であり、特に
(a)はネットワーク構成の一例を、(b)は手順を、
それぞれ示す図である。
【符号の説明】
10 ホスト、11 ISDN/PHS公衆網、12
PHS基地局(CS)、20,20−1,…20−7
ゲートウエイ(GW)、21 電力量計(WHM)、2
3 GW制御部。
【手続補正書】
【提出日】平成15年1月16日(2003.1.1
6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H04Q 7/30 Fターム(参考) 5K033 BA08 CB06 DA01 DA17 5K051 AA01 BB05 CC12 DD15 FF16 5K067 BB04 BB21 DD57 EE10 EE16 HH11 HH22 HH23

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 いずれも無線通信機能を有する複数の無
    線ゲートウエイのうち特定の無線ゲートウエイを親とし
    他の無線ゲートウエイを子として、また無線ゲートウエ
    イ相互の無線リンクを含みかつ必要な場合には更に他の
    子による中継を含む経路を利用して、親から子へと向か
    う下り方向情報伝送及び子から親へと向かう上り方向情
    報伝送を行う多段伝送ネットワークの運用方法であっ
    て、 最適経路テーブルに基づき親が指示した経路を示すルー
    ト情報を含むルーティングヘッダを付した電文により、
    下り方向情報伝送を行う手順と、 この経路を反転した経路を示すルート情報を含むルーテ
    ィングヘッダを付した電文により、かつ常に下り方向情
    報伝送の折り返しとして、上り方向情報伝送を行う手順
    と、 を含む定常動作時手順を、親子間情報伝送用の経路が子
    毎に登録されている上記最適経路テーブルに基づき、か
    つ自律的に又はホスト、保守端末等の外部装置若しくは
    使用者からの指示に応じ、親が開始させることを特徴と
    する運用方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の運用方法において、 複数の子に情報を配信若しくは設定し又は複数の子から
    情報を収集する際、親が、それら複数の子のうちいずれ
    かを最終宛先とする電文により下り方向情報伝送を開始
    させそれへの応答である上り方向情報伝送により電文を
    受信する、という手順を、対象としている子それぞれに
    ついて当該情報配信若しくは設定又は収集が終了するか
    又は所定上限回数試行されるまで、かつ使用する経路を
    変更しながら、複数回実行することを特徴とする運用方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の運用方法におい
    て、 下り方向情報伝送によって親が送信した電文に対する応
    答である電文が上り方向情報伝送によって親に到来しな
    いうちに、親が自律的に又は外部装置若しくは使用者か
    らの指示に応じて下り方向情報伝送を開始させようとし
    た場合でも、新たに下り方向情報伝送を開始したならば
    多段伝送ネットワーク内のトラフィックが上限を上回る
    であろうと予測できる場合には、親は、当該新たな下り
    方向情報伝送を開始させることを中止し又は開始を遅延
    させることを特徴とする運用方法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の運用方法において、 多段伝送ネットワーク内のトラフィックが所定限度を上
    回るか否かの判断は、それまでに親により開始された下
    り方向情報伝送のうち上り方向情報伝送による応答を親
    がまだ得ていないものの回数と、所定の上限値とを比較
    して、行うことを特徴とする運用方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれか記載の運用方
    法において、 親は、下り方向情報伝送を開始させる場合、最適経路テ
    ーブル上に登録されている情報に基づき最終宛先たる子
    までの経路を特定し、その経路端点及び途上に位置する
    無線ゲートウエイを特定する情報及びその経路上におけ
    るそれらの無線ゲートウエイ間の順序を特定する情報を
    含むルート情報を作成し、特定した経路上で自局の次に
    位置している子を無線送信先として、当該ルート情報を
    そのルーティングヘッダ中にセットした電文を無線送信
    し、 子は、そのルーティングヘッダ中のルート情報によれば
    自局宛である電文を他の無線ゲートウエイから無線受信
    した場合、下り方向情報伝送を折り返して上り方向情報
    伝送を開始させるべきであると判断し、電文の受信に伴
    う処理又は受信した電文中に含まれている情報に基づく
    処理を実行することによって電文を作成し、受信した電
    文に付されていたルーティングヘッダ中のルート情報に
    おける各無線ゲートウエイの順序を反転することによっ
    て新たに作成したルート情報を含むルーティングヘッダ
    を付して、かつ作成したルート情報により特定される経
    路上で自局の次に位置している無線ゲートウエイを無線
    送信先として、作成した電文を無線送信し、 子は、そのルーティングヘッダ中のルート情報によれば
    他局宛でありかつ自局がそのルート情報により特定され
    る経路に含まれている電文を他の無線ゲートウエイから
    無線受信した場合、その経路に沿ってその電文を中継す
    べきであると判断し、その経路上で自局の次に位置して
    いる無線ゲートウエイを無線送信先として、その電文を
    無線送信し、 親は、自局による上記無線送信後に、そのルーティング
    ヘッダ中のルート情報によれば自局宛である電文をその
    ルート情報により特定される経路上で自局の前に位置し
    ている子から無線受信した場合、その受信を以て上り方
    向情報伝送を終端させ、電文の受信に伴う処理又は受信
    した電文中に含まれている情報に基づく処理を実行する
    ことを特徴とする運用方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の運用方法において、 親は、情報伝送形態として、最終宛先とする子のみを対
    象として情報配信若しくは設定又は収集を行うための単
    一データ伝送、最終宛先の子のみならず自局から最終宛
    先の子に至る経路の途上に存する子を対象に含めた情報
    配信若しくは設定又は収集を行うための積算データ伝
    送、並びに最終宛先とする子に対し他の無線ゲートウエ
    イとの無線通信を含む所定の処理の実行を求めその結果
    の報告を受け取るための特殊データ伝送のうち、いずれ
    かを採り、 子は、そのルーティングヘッダ中のルート情報によれば
    自局宛である電文を他の無線ゲートウエイから無線受信
    した場合、その電文が単一データ伝送又は積算データ伝
    送に係る電文であれば、当該他の無線ゲートウエイとの
    間の無線接続を維持したままの状態で上り方向情報伝送
    用の電文を作成及び無線送信し、また、その電文が特殊
    データ伝送に係る電文であれば、当該他の無線ゲートウ
    エイとの間の無線接続を一旦切断した上で受信した電文
    による要求に応じた処理、その結果に基づく電文作成及
    び上記新たなルート情報の作成を実行し、その後当該他
    の無線ゲートウエイとの間の無線接続を回復してその電
    文を無線送信し、 子は、そのルーティングヘッダ中のルート情報によれば
    他局宛でありかつ自局がそのルート情報により特定され
    る経路に含まれている電文を他の無線ゲートウエイから
    無線受信した場合、その電文が自局を対象に含めた積算
    データ伝送に係る電文であれば、電文の受信に伴う処理
    又は受信した電文中に含まれている情報に基づく処理を
    実行することによって電文に情報を付加し、当該経路上
    で自局の次に位置している無線ゲートウエイを無線送信
    先として、その電文を無線送信することを特徴とする運
    用方法。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の運用方法において、 親は、情報伝送形態として積算データ伝送を採るに当た
    って、経路途上の子に対して下り方向情報伝送時におけ
    る情報付加を要求する下り積算、経路途上の子に対して
    上り方向情報伝送時における情報付加を要求する上り積
    算、並びに経路途上の子に対して下り方向情報伝送時及
    び上り方向情報伝送時双方における情報付加を要求する
    上下積算のうち、いずれかの情報伝送形態を採り、 子は、そのルーティングヘッダ中のルート情報によれば
    他局宛であり、自局がそのルート情報により特定される
    経路に含まれており、かつ自局を対象に含めた積算デー
    タ伝送に係る電文を他の無線ゲートウエイから無線受信
    した場合、その電文が下り積算又は上下積算を要求して
    おりかつ他の子が最終宛先とされているか或いはその電
    文が上り積算又は上下積算を要求しておりかつ親が最終
    宛先とされているならば、その電文の受信に伴う処理又
    は受信した電文中に含まれている情報に基づく処理を実
    行することによって電文に情報を付加し、当該経路上で
    自局の次に位置している無線ゲートウエイを無線送信先
    として、その電文を無線送信することを特徴とする運用
    方法。
  8. 【請求項8】 請求項6又は7記載の運用方法におい
    て、 親は、下り方向情報伝送を開始させる際に、情報伝送形
    態を特定する属性情報をルーティングヘッダ中にセット
    し、子は、ルーティングヘッダ中の属性情報に基づき情
    報伝送形態を判別することを特徴とする運用方法。
  9. 【請求項9】 請求項5乃至8のいずれか記載の運用方
    法に従い多段伝送ネットワークを運用するのに先立ち、
    又は当該運用の途中で必要が生じたときに、最適経路テ
    ーブルを作成するため実行される構築方法であって、 他の無線ゲートウエイを無線により呼び出しその無線ゲ
    ートウエイからの無線による応答を受信できるか否かを
    調べる無線リンク検出処理を、多段伝送ネットワークに
    エントリーしている各子を対象として親が実行すること
    により、親子間無線リンクのうち親子間情報伝送に係る
    経路又はその一部として使用できる親子間無線リンクを
    特定し、 親子間無線リンク及び子子間無線リンクのうち親子間情
    報伝送に係る経路又はその一部として使用できることが
    判明しているもののみを用いた経路での下り方向情報伝
    送により、親が子に対し、無線リンク検出処理を実行し
    てその結果を上り方向情報伝送により親宛に返送するよ
    う要求し、子がこの要求に応えて無線リンク検出処理及
    びその結果の返送を実行する手順を、子子間無線リンク
    全てについて調べ終えるまで試行し、 親子間無線リンク及び子子間無線リンクのうち親子間情
    報伝送に係る経路又はその一部として使用できることが
    判明しているもの又はそれらの組合せであって、親が発
    信元となりいずれかの子が最終宛先となるものをその子
    に係る親子間情報伝送用の経路として選択する最適経路
    選択処理を、親が、各子について実行し、その結果をま
    とめることにより親が最適経路テーブルを作成すること
    を特徴とする構築方法。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の構築方法において、 子に対し無線リンク検出手順の実行及びその結果の返送
    を要求する際に、親が、まだ調べられていない子子間無
    線リンクであって無線リンク検出手順を実行させる子に
    係る無線リンクを示す情報を、当該要求に付随させてそ
    の子に対し提供し、 親から無線リンク検出手順の実行及びその結果の返送を
    要求された子は、その要求に付随している情報に基づき
    無線リンク検出処理における呼出先を特定することを特
    徴とする構築方法。
  11. 【請求項11】 請求項9又は10記載の構築方法にお
    いて、 親が、同一の無線ゲートウエイを経由する経路を除外し
    て最適経路テーブルを作成することを特徴とする構築方
    法。
  12. 【請求項12】 請求項9乃至11のいずれか記載の構
    築方法において、 無線リンク検出処理が、無線による呼出に無線により応
    答した無線ゲートウエイからの受信信号品質を計測する
    処理を含み、 無線リンク検出処理の結果に関連して子から親へ返送さ
    れる情報が、その子により実行された無線リンク検出処
    理にて得られた上記受信信号品質の計測結果を含み、 親は、その無線リンクに関する受信信号品質計測結果が
    所定水準を上回っている無線リンクに限り、親子間情報
    伝送に係る経路又はその一部として使用できるものと判
    断することを特徴とする構築方法。
  13. 【請求項13】 請求項12記載の構築方法において、 無線リンク検出処理に際して呼出先の無線ゲートウエイ
    から無線による応答を受信した呼出元の無線ゲートウエ
    イが、呼出先の無線ゲートウエイに対し、その属性情報
    が単一データ伝送である電文を無線送信し、この電文を
    受信した呼出先の無線ゲートウエイが、呼出元との無線
    接続を維持したまま呼出元の無線ゲートウエイに対し折
    り返して、その属性情報が単一データ伝送である電文を
    無線送信し、この電文を無線受信した呼出元の無線ゲー
    トウエイが、その受信時に、上記受信信号品質の計測を
    実行することを特徴とする構築方法。
  14. 【請求項14】 請求項12又は13記載の構築方法に
    おいて、 親子間情報伝送用の経路として選択しうるものが一つの
    子に対して複数個ある場合、所定上限個数を限度として
    それら複数個の経路を最適経路テーブルに登録すること
    とし、 親は、最適経路テーブルへの経路の登録に際して、その
    経路における無線ゲートウエイ間中継回数即ちホップ数
    が少ないものほど運用時に優先して選択されることとな
    るよう、或いは上記受信号品質計測結果を経路に沿い加
    算又は積分して得られる指標値が大きいものほど運用時
    に優先して選択されることとなるよう、運用時における
    選択の順序を規制する優先順位を設定することを特徴と
    する構築方法。
  15. 【請求項15】 請求項14記載の構築方法において、 受信信号品質計測結果が所定水準以下である無線リンク
    を無視して経路を選択し最適経路テーブルに登録する、
    という処理を、全ての子について登録可能な上限個数の
    経路が最適経路テーブルに登録されるに至るまで、又は
    上記所定水準が下限に至るまで、当該所定水準を漸次引
    き下げつつ繰り返し、親が実行することを特徴とする構
    築方法。
  16. 【請求項16】 請求項9乃至15のいずれか記載の構
    築方法において、 最適経路テーブルを作成したがいずれかの子について親
    子間情報伝送用の経路を特定できなかった場合、その子
    が関わる無線リンクについての無線リンク検出処理を親
    又はいずれかの子がやり直し、その結果を反映させて最
    適経路テーブルを再作成することを特徴とする構築方
    法。
  17. 【請求項17】 請求項9乃至16のいずれか記載の構
    築方法により構築された多段伝送ネットワークを修復又
    は再構築するため、請求項5乃至8のいずれか記載の運
    用方法に従い当該多段伝送ネットワークを運用している
    ときに実行される修復再構築方法であって、 運用中に、各子における下り方向情報伝送の途絶を検出
    しその発生頻度に関する記録を子毎に保存しておき、 親子間情報伝送用の経路又はその一部として使用できな
    くなった無線リンクを運用中に保存しておいた記録に基
    づき特定し、その結果を反映させて、最適経路選択処理
    の実行による最適経路テーブルの修正又は請求項9乃至
    16のいずれか記載の構築方法の再実行による最適経路
    テーブル再作成を、実行することを特徴とする修復再構
    築方法。
  18. 【請求項18】 請求項5乃至8のいずれか記載の運用
    方法において、 各子は、自局にて折り返すべき電文又は下り方向に向け
    中継すべき電文を他の無線ゲートウエイから無線受信し
    た場合、当該他の無線ゲートウエイに対して、その電文
    に対する折り返しの電文又はその電文を無線受信したこ
    とを示す電文を無線送信し、 各子は、下り方向に向け電文を無線送信しようとしたが
    無線送信先の無線ゲートウエイが呼出に応答しなかった
    場合、或いは電文を無線送信したものの当該無線送信先
    から折り返しの電文もその電文を無線受信したことを示
    す電文も無線受信できない場合、自局に対して電文を無
    線送信した上り側の無線ゲートウエイに対し、下り方向
    の伝送が途絶したこと及びそれを途絶させた無線ゲート
    ウエイを示す伝送失敗返送用の親宛の電文を無線送信す
    ることにより、 請求項17記載の修復再構築方法を実施するための情報
    を親に集めることを特徴とする運用方法。
  19. 【請求項19】 請求項18記載の運用方法において、 ルーティングヘッダは、少なくとも、上記ルート情報
    と、下り方向情報伝送か上り方向情報伝送かを示す方向
    情報とを含み、 伝送失敗返送用の電文に付されているルーティングヘッ
    ダは、方向情報として、伝送失敗返送であることを示す
    情報を含み、 そのルーティングヘッダ中の方向情報が伝送失敗返送で
    あることを示している電文を受信した子は、そのルーテ
    ィングヘッダ中のルート情報に従い自局から見て上り側
    の無線ゲートウエイに、その電文を無線送信することを
    特徴とする運用方法。
  20. 【請求項20】 請求項9乃至16のいずれか、18又
    は19記載の構築方法により構築された多段伝送ネット
    ワークを修復又は再構築するため、請求項5乃至8のい
    ずれか記載の運用方法に従い当該多段伝送ネットワーク
    を運用しているときに実行される修復再構築方法であっ
    て、 運用中に、親が下り方向情報伝送を開始してから所定時
    間以上経過しても上り方向情報伝送による応答を親が受
    け取ることができなかったことを検出しその発生頻度に
    関する記録を経路毎に保存しておき、 親子間情報伝送に使用できなくなった経路を運用中に保
    存しておいた記録に基づき特定し、その結果を反映させ
    て請求項9乃至16のいずれか記載の構築方法を再実行
    することにより、最適経路テーブルを再作成することを
    特徴とする修復再構築方法。
  21. 【請求項21】 請求項1乃至8のいずれか記載の運用
    方法であって、請求項9乃至16のいずれか、18又は
    19記載の構築方法により構築された多段伝送ネットワ
    ークを運用対象とする運用方法において、 各無線ゲートウエイに、計測器との接続ポートを設け、 互いに地理的に分散して配置された各計測器を、それぞ
    れ、上記接続ポートを介しいずれかの無線ゲートウエイ
    に接続したことを特徴とする運用方法。
  22. 【請求項22】 請求項21記載の運用方法において、 PHSにおける自営トランシーバ通信を利用して親子間
    情報伝送を行うべく、各無線ゲートウエイは、それぞれ
    PHS移動局により実現しかつ自営トランシーバモード
    で待受を行うこととし、 PHS公衆網を介した外部装置との接続のため、親は、
    更に公衆モードでも待受を行い、 更に、親子間情報伝送を、PHSにおけるPIAFSデ
    ータ伝送により行うことを特徴とする運用方法。
JP2001324703A 2001-10-23 2001-10-23 多段伝送ネットワークの構築、修復再構築及び運用方法 Pending JP2003134128A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001324703A JP2003134128A (ja) 2001-10-23 2001-10-23 多段伝送ネットワークの構築、修復再構築及び運用方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001324703A JP2003134128A (ja) 2001-10-23 2001-10-23 多段伝送ネットワークの構築、修復再構築及び運用方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003134128A true JP2003134128A (ja) 2003-05-09

Family

ID=19141386

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001324703A Pending JP2003134128A (ja) 2001-10-23 2001-10-23 多段伝送ネットワークの構築、修復再構築及び運用方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003134128A (ja)

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006067077A (ja) * 2004-08-25 2006-03-09 Brother Ind Ltd 処理装置、ツリー型ネットワークシステム、処理プログラム、及び記録媒体
JP2008090368A (ja) * 2006-09-29 2008-04-17 Ricoh Elemex Corp 集中検針システム及び集中検針装置
JP2008529324A (ja) * 2004-12-30 2008-07-31 サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド 端末データフォーマットと、端末データフォーマットを利用した通信制御システム及び方法
JP2008294740A (ja) * 2007-05-24 2008-12-04 Denso Corp 車両通信システム用路側機
JP2009253823A (ja) * 2008-04-09 2009-10-29 Mitsubishi Electric Corp 自動計量システム
JP2010136007A (ja) * 2008-12-03 2010-06-17 Mitsubishi Electric Corp データ収集方法およびデータ収集システム
JP2010166383A (ja) * 2009-01-16 2010-07-29 Mitsubishi Electric Corp データ収集方法およびデータ収集システム
CN103208857A (zh) * 2013-03-19 2013-07-17 国电南瑞科技股份有限公司 基于变电站svg一次接线图的五防闭锁拓扑分析方法
JP2013214836A (ja) * 2012-03-30 2013-10-17 Fujitsu Ltd 通信装置、経路構築方法及び経路構築プログラム
JP2013546218A (ja) * 2010-10-01 2013-12-26 コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ 無線ネットワークでデータパケットを負荷分散するデバイス及び方法
JP2014501047A (ja) * 2010-10-01 2014-01-16 コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ 無線ネットワークでデータパケット送信をスケジューリングするデバイス及び方法
JP2014175828A (ja) * 2013-03-08 2014-09-22 Mitsubishi Electric Corp ゲートウェイ装置及び情報収集システム
JP2020043573A (ja) * 2014-09-05 2020-03-19 華為技術有限公司Huawei Technologies Co.,Ltd. サービスを構成する方法及び装置

Cited By (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4496889B2 (ja) * 2004-08-25 2010-07-07 ブラザー工業株式会社 処理装置、ツリー型ネットワークシステム、処理プログラム、及び処理方法
JP2006067077A (ja) * 2004-08-25 2006-03-09 Brother Ind Ltd 処理装置、ツリー型ネットワークシステム、処理プログラム、及び記録媒体
JP2008529324A (ja) * 2004-12-30 2008-07-31 サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド 端末データフォーマットと、端末データフォーマットを利用した通信制御システム及び方法
JP2008090368A (ja) * 2006-09-29 2008-04-17 Ricoh Elemex Corp 集中検針システム及び集中検針装置
JP2008294740A (ja) * 2007-05-24 2008-12-04 Denso Corp 車両通信システム用路側機
JP2009253823A (ja) * 2008-04-09 2009-10-29 Mitsubishi Electric Corp 自動計量システム
JP2010136007A (ja) * 2008-12-03 2010-06-17 Mitsubishi Electric Corp データ収集方法およびデータ収集システム
JP2010166383A (ja) * 2009-01-16 2010-07-29 Mitsubishi Electric Corp データ収集方法およびデータ収集システム
US10397823B2 (en) 2010-10-01 2019-08-27 Signify Holding B.V. Device and method for scheduling data packet transmission in wireless networks
JP2013546218A (ja) * 2010-10-01 2013-12-26 コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ 無線ネットワークでデータパケットを負荷分散するデバイス及び方法
JP2014501047A (ja) * 2010-10-01 2014-01-16 コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ 無線ネットワークでデータパケット送信をスケジューリングするデバイス及び方法
US9526030B2 (en) 2010-10-01 2016-12-20 Philips Lighting Holding B.V. Device and method for load balancing for data packet transmissions in wireless networks
JP2013214836A (ja) * 2012-03-30 2013-10-17 Fujitsu Ltd 通信装置、経路構築方法及び経路構築プログラム
JP2014175828A (ja) * 2013-03-08 2014-09-22 Mitsubishi Electric Corp ゲートウェイ装置及び情報収集システム
CN103208857A (zh) * 2013-03-19 2013-07-17 国电南瑞科技股份有限公司 基于变电站svg一次接线图的五防闭锁拓扑分析方法
JP2020043573A (ja) * 2014-09-05 2020-03-19 華為技術有限公司Huawei Technologies Co.,Ltd. サービスを構成する方法及び装置
US11196620B2 (en) 2014-09-05 2021-12-07 Huawei Technologies Co., Ltd. Method and apparatus for NaaS device configuring service
US11552841B2 (en) 2014-09-05 2023-01-10 Huawei Technologies Co., Ltd. Method and apparatus for configuring service
JP7245760B2 (ja) 2014-09-05 2023-03-24 華為技術有限公司 サービスを構成する方法及び装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7554459B2 (en) Method and system for remote updates of meters for metering the consumption of electricity, water or gas
JP2003134128A (ja) 多段伝送ネットワークの構築、修復再構築及び運用方法
EP1278342B1 (en) Method and system for controlling communication network and router used in the network
JP5836477B2 (ja) データ通信装置、データ通信システム及びデータ通信方法
JP4948054B2 (ja) 管理装置及び通信端末装置及び通信システム及び通信管理方法
EP1064760A2 (en) Routing method for wireless and distributed systems
JPWO2006067922A1 (ja) 無線ノードの電源管理方法
CN107566264B (zh) 一种基于树型网络的通讯方法、节点及通讯系统
KR102047848B1 (ko) IoT 제어 네트워크의 장애 복구 방법 및 그 시스템
JP5991635B2 (ja) 電力線搬送通信端末および検針端末
JP2013503589A (ja) メータ検針無線メッシュネットワーク内のノードのネットワークアドレスフィールド及び関連するシステム
US8619628B2 (en) Enhanced reliability routing protocol
JP5875696B2 (ja) データ配信システム、配信装置、端末装置、データ配信方法
AU727575B2 (en) Dynamically controlled routing
CN105960770A (zh) 用于操作网络中节点和节点设备的方法
JP2001237875A (ja) 無線パケットの中継経路構築方法
JP2011130283A (ja) ネットワーク間データ配信システム、情報通信端末、コンテンツ配信サーバ
JP3454155B2 (ja) 無線通信ネットワークシステム
EP1986379A1 (en) Wireless data communication system
US7230944B1 (en) System and method of host routing when host computer is within a home network and/or a complementary network
JP7072731B1 (ja) 通信システム、集約装置、中央装置、端末、通信方法および通信プログラム
JP2002186056A (ja) 計測データ収集システム
Raychoudhury et al. Top k-leader election in wireless ad hoc networks
KR20100062877A (ko) 센서 네트워크에서의 이웃 노드 발견 및 보고 방법
JP2000307595A (ja) 無線アドホック通信ネットワーク通信制御プログラムを記憶した記憶媒体

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20041025

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20041102

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050104

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050510