JP2003129267A - 酸素発生用電極 - Google Patents
酸素発生用電極Info
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Abstract
することなく酸素のみを発生するために使用する陽極で
あって、80〜90℃という高温を含む、広い温度範囲
で使用可能な、高耐久性をもった酸素発生用電極を提供
する。 【解決手段】 チタン製の電極基体の表面に、4価のM
nを含有する、Mn−Mo−Fe、Mn−W−Feまた
はMn−Mo−W-Feの複合酸化物を、陽極析出法に
より析出させて基体を被覆した電極。
Description
素を発生するための電極の改良に関し、電解の際に塩素
を発生することなく酸素を発生させることができ、か
つ、高い温度を含む広い温度範囲にわたって使用できる
電極を提供する。
び水酸化ナトリウムを発生させ、陽極では塩素を発生さ
せ、水酸化ナトリウムと塩素とから次亜塩素酸ナトリウ
ムを生成させるために行なわれる。このための陽極とし
ては、耐食性の金属であるチタンに白金族金属の酸化物
を被覆した電極が、高性能電極として使用されている。
これに対し、通常の水電解と同様に、海水から水素と酸
素とを別々に取得することを目的とする海水電解におい
ては、陰極で水素を発生させる一方、陽極では塩素を発
生させずに、酸素のみを発生させなければならず、した
がって特殊な陽極が必要になる。
電位は塩素発生の平衡電位よりも約0.6V低く、熱力
学的には、酸素発生が容易なはずである。しかしなが
ら、塩素発生が単純な電極反応であるのに対し、酸素発
生は何段階もの素反応からなる複雑な反応であるため、
電解電位は容易に塩素発生の平衡電位を超えてしまい、
海水電解の陽極上では、多量の塩素が酸素とともに発生
してしまう。そこで、塩素発生には不活性であって、酸
素発生にのみ高活性な、特殊な陽極が求められるわけで
ある。
て、発明者らはさきに、ある種の金属の塩を溶剤に溶解
した溶液を導電性下地金属上に塗布し、乾燥してから大
気中で加熱して塩を分解させ酸化物に変える、という操
作を繰り返すことによって所定の厚さの酸化物で下地金
属を被覆し、ついで熱処理することによって下地に密着
した酸化物被覆をそなえた電極を製作し、これが食塩水
を電気分解する陽極として、塩素発生には不活性である
が酸素発生には高活性であることを確認し、すでに提案
した(特開平9−256181号)。
発生用電極は、下記の二態様を包含している。 ・金属の酸化物であって、金属成分としてMoおよびW
の1種または2種:0.2〜20モル%、ならびにM
n:残部からなる組成の酸化物をもって、導電性基体を
被覆した電極。 ・金属の酸化物であって、金属成分としてMoおよびW
の1種または2種:0.2〜20モル%、Zn:1〜3
0モル%、ならびにMn:残部からなる組成の酸化物を
もって導電性基体を被覆し、これを高温の濃厚なアルカ
リ性の液に浸漬してZnを浸出させることによって、有
効表面積を増大した電極。
たり、金属塩の塗布とそれに次ぐ焼成においてマンガン
は3価まで酸化されてMn2O3となること、そして、
このMn2O3がMoまたはWを含むとさらに酸素発生
効率が向上すること、を見出してなされたものである。
焼成法による電極の製造においては、焼成温度が低いと
結晶が十分に成長せず、そのために電極の安定性が劣
り、焼成温度が高いと、高次の酸化物が分解するため、
マンガンを、完全に3価まで酸化することができない。
さらに高次の酸化マンガンが高い活性を有することが期
待できたため、焼成法に代えて、金属塩溶液からマンガ
ン酸化物を、導電性基体金属上に陽極析出させる方法の
適用を試みた。この試みは成功し、海水電解を行なった
ときに塩素を発生することなく酸素を発生する電極とし
て、4価のマンガンからなる、活性がさらに高い電極が
得られたので、この発明もすでに開示した(特開平10
−287991号)。
たがって、金属成分としてMoおよびWの1種または2
種を0.2〜20モル%含み、残部が実質的にMnから
なる酸化物を、陽極析出法により導電性の基体に被覆し
てなる、海水電解のための酸素発生用電極である。Mn
を含有する陽極を高い電位に分極すると、Mnが過マン
ガン酸イオンとして溶解するが、30℃の塩化ナトリウ
ム溶液を用いて行なった酸素発生用電極の性能試験にお
いては、電極活物質として、MnにMoおよびWの1種
または2種を加えた安定な複酸化物を形成することによ
って、Mnの過マンガン酸イオンとしての溶解を防止す
ることができた。
0℃程度の海水を用いることが、省エネルギーになり、
高い効率をもたらす。しかし、電解温度が上昇すると、
Mnが過マンガン酸イオンとして溶解することによる電
極の劣化が起りやすくなり、常温よりさらに苛酷な環境
となる。この問題は、MnにMoおよびWの1種または
2種を加えた安定な複酸化物を形成しても、なお対応し
きれない。それゆえ、80℃程度の高温の海水環境にお
ける電気分解においても、Mnを主成分とする酸素発生
用陽極を安定して使用できるような、電極活物質が求め
られている。
nを主成分とし、MoおよびWの1種または2種を加え
た複酸化物に、Feを添加して鉄の酸化物をも複合させ
たものは、電気分解のための高い陽極電位に分極して
も、なお安定性を失わない複酸化物であって、塩素を発
生することなく酸素のみを発生させる電解に有用である
ことを見出した。
的は、発明者らの得た上記の新知見を活用し、海水を電
解して酸素を発生するための電極であって、電解の際に
塩素を発生することなく酸素を発生させることができ、
かつ、80℃またはそれ以上の高い温度を含む、広い温
度範囲にわたって使用できる電極を提供することにあ
る。
発明の酸素発生用電極は、3種または4種の金属の複合
酸化物であって、各金属成分の割合が、MoおよびWの
1種または2種(2種の場合は合計量で):0.2〜2
0モル%、Fe:0.2〜20モル%、ならびに、M
n:残部からなる組成の酸化物を、陽極析出法によりチ
タン製の導電性基体上に沈着させ、基体を被覆してなる
酸素発生用電極である。
製造する方法の一例を示す。まず、電極の基体となる導
電体には、チタンを用いる。海水中で酸素が発生する高
い酸化性環境のもとでは、チタンのもつ高い耐食性が必
要である。ただし、チタンに直接電極活物質を被覆した
電極は、電極使用の過程で、電極活物質とチタンとの間
に、TiO2からなる絶縁物の皮膜が生じ、電極が短時
間で使用不能となる。これを避けるため、中間層として
チタンの上を酸化イリジウムIrO2で被覆し、チタン
が直接海水と反応してTiO2絶縁膜を生成することを
防止する。
ブタノール溶液をチタンに刷毛塗りして乾燥したのち、
450℃に加熱して塩化イリジウムを酸化イリジウムに
変える、という操作を何回か繰り返し、最後に450℃
で1時間焼成して、チタンがIrO2で被覆された状態
を実現する。
導電性基体として用いる。所定量のMnSO4およびF
e(NH4)(SO4)とNa2WO4およびNa2MoO
4のいずれか1種または2種を含む溶液に、硫酸を加え
て所定のpHに調整し、これを温めて電解液として使用
し、上記電極基体を陽極として電解する。それによっ
て、4価のMnを含有する、Mn−Mo−Fe、Mn−
W−FeあるいはMn−Mo−W-Fe複合酸化物電極
を得ることができる。
たらきと、組成範囲の限定理由を述べる。
合は合計で):0.2〜20モル%、好ましくは7.0
〜12モル% MoおよびWは、それ自体さして高い酸素発生活性を示
す酸化物を生成する元素ではないが、MnO2と共存す
ることによって、酸素発生効率を向上させる作用を有す
る。この作用は、0.2モル%程度の少量でも認めら
れ、多量になるほど効果が確実になる。しかし、過剰に
MoおよびWを添加すると、酸素発生効率はかえって低
下してしまう。したがってMoおよびWの1種または2
種の添加量は、金属成分中の0.2〜20モル%の範囲
から選ぶ。好ましい添加量は、7.0〜12モル%であ
る。
1.0〜12モル% Feは、Mn、MoおよびWとともに複合酸化物を構成
することによって、陽極として高い電位に分極されたと
きにMnが過マンガン酸イオンとして溶解することを防
止するとともに、酸素のみの発生を保証する元素であ
る。この効果も、0.2モル%という少量の存在で認め
られ、多量に添加すると効果も増大する。しかし、Fe
も、過剰に添加すると酸素発生効率がむしろ低下する。
したがってFeの添加量は、金属成分中の0.2〜17
モル%の範囲から選ぶ。好ましい添加量の範囲は、1.
0〜12モル%である。なお、Feの一部をCoまたは
Niで置き換えることが可能であって、この添加は酸素
発生効率に影響を与えないから、3モル%未満のCoお
よびNiの添加は差し支えない。
する基礎となる元素であって、海水電解の際に酸素を発
生するMnO2を形成する。
明する。 [実施例1]0.2M MnSO4−0.003M Na
2MoO4−0.05M Fe(NH 3)(SO4)2の組
成を有する溶液に硫酸を加えてpHを1.0に調整し、
90℃に温めた。この電解液の中へ、IrO2で被覆し
たチタン電極基材を入れ、それを陽極として、600A
/m2の電流密度で20分間、最初の陽極析出を行なっ
た。新しい電解液を用いた20分間の陽極析出をさらに
2回繰り返すことによって、合計60分間の陽極析出を
実施した。
物中で各金属成分が占める割合は、74.8モル%Mn
−12.6モル%Mo−12.8モル%Feであった。
X線回折により、生成した物質は、MoとFeとを固溶
したMnO2型の単相酸化物であることが判明した。ま
た、X線光電子分光法による解析の結果、酸化物中で金
属成分の原子価は、それぞれ、Mn4+、Mo6+およ
びFe3+であった。したがってこの酸化物は、Mn
0.746Mo0.125Fe0.128O2. 062
の式で表される酸化物である。
の温度において、pH8の0.5MNaCl溶液を、1
000A/m2の電流密度で1000クーロン電解した
後、溶存する次亜塩素酸の量をヨウ素滴定法で定量し、
塩素発生効率を求めた。電解溶液の温度30,40,5
0,60,70,80および90℃において、塩素の発
生は全く検出されず、いずれも100%の酸素発生効率
が得られた。また、酸素発生効率が99%未満の電極を
用いて長時間電解したときに見られる、Mnの過マンガ
ン酸への溶解に起因して電解液が桃色に着色する現象
も、全く観察されなかった。
a2MoO4−Fe(NH3)(SO4)2を含む、90℃
の硫酸酸性溶液を用い、IrO2で被覆したチタン電極
基材を陽極として、600A/m2の電流密度で、溶液
を更新しながら20分間の陽極析出を2〜3回繰り返
し、種々の組成のMn1−x−yMoxFeyO
2−x−0.5y型の電極を得た。X線光電子分光法に
よる解析により、酸化物中で金属成分の原子価は、それ
ぞれMn4+、Mo6+およびFe3+であることを確
認した。得られた電極の金属成分の組成は、EPMAに
より分析した。
H8の0.5M NaCl溶液を、90℃で、1リット
ル中、1000A/m2の電流密度で1000クーロン
電解した後、溶存した次亜塩素酸の量をヨウ素滴定法で
定量して、塩素発生効率を求め、酸素発生効率を算出し
た。結果を表1に示す。
a2WO4−Fe(NH3)(SO4)2を含む90℃の硫
酸酸性溶液を用い、IrO2で被覆したチタン電極基材
を陽極として、600A/m2の電流密度で、溶液を更
新しながら20分間の陽極析出を2〜3回繰り返し、種
々の組成のMn1−x−yWxFeyO
2+x−0.5y型の電極を得た。X線光電子分光法に
よる解析により、酸化物中で金属成分の原子価は、それ
ぞれMn4+、W6+およびFe3+であることを確認
した。得られた電極の金属成分の組成分析は、EPMA
により行なった。
H8の0.5M NaCl溶液を、90℃で、1リット
ル中、1000A/m2の電流密度で1000クーロン
電解した後、溶存した次亜塩素酸の量をヨウ素滴定法で
定量して、塩素発生効率を求め、酸素発生効率を算出し
た。結果を表2に示す。
a2MoO4−Na2WO4−Fe(NH3)(SO4)2
を含む90℃の硫酸酸性溶液を用い、IrO2で被覆し
たチタン電極基材を陽極として、600A/m2の電流
密度で、溶液を更新しながら20分間の陽極析出を2〜
3回繰り返し、種々の組成のMn1−x−yMoxWy
FezO 2+x+y−0.5z型の電極を得た。X線光
電子分光法による解析により、酸化物中で金属成分の原
子価は、それぞれMn4+、Mo6+、W6+およびF
e 3+であることを確認した。得られた電極の金属成分
の組成は、EPMA分析により決定した。
H8の0.5M NaCl溶液を、90℃で、1リット
ル中、1000A/m2の電流密度で1000クーロン
電解した後、溶存した次亜塩素酸の量をヨウ素滴定法で
定量して、塩素発生効率を求め、酸素発生効率を算出し
た。結果を表3に示す。
して、塩素を発生させることなく酸素を発生させるため
の電極として、従来の、MnにMoおよびWの1種また
は2種を添加した複合酸化物を陽極析出法により電極基
材上に形成したものに対し、さらにFeをも加えた複合
酸化物とすることによって、これまで既知の電極が使用
できなかった80℃や90℃という高い温度でも使用可
能であって、マンガンが過マンガン酸として溶出するこ
とが避けられ、したがって長い電極寿命を享受すること
ができる。電解温度を高くできるということは、それだ
け電解を高い効率で実施できることを意味し、エネルギ
ー的にも有利である。
Claims (2)
- 【請求項1】 3種または4種の金属の複合酸化物であ
って、各金属成分の割合が、MoおよびWの1種または
2種(2種の場合は合計量で):0.2〜20モル%、
Fe:0.2〜20モル%、ならびに、Mn:残部から
なる組成の酸化物を、陽極析出法によりチタン製の導電
性基体上に沈着させ、基体を被覆してなる酸素発生用電
極。 - 【請求項2】 3種または4種の金属の複合酸化物にお
ける各金属成分の割合が、MoおよびWの1種または2
種(2種の場合は合計量で):7.0〜12モル%、F
e:1.0〜12モル%、ならびに、Mn:残部からな
る組成である、請求項1の酸素発生用電極。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001322343A JP4193390B2 (ja) | 2001-10-19 | 2001-10-19 | 酸素発生用電極 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001322343A JP4193390B2 (ja) | 2001-10-19 | 2001-10-19 | 酸素発生用電極 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003129267A true JP2003129267A (ja) | 2003-05-08 |
JP4193390B2 JP4193390B2 (ja) | 2008-12-10 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
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JP (1) | JP4193390B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007302927A (ja) * | 2006-05-09 | 2007-11-22 | Daiki Ataka Engineering Co Ltd | 酸素発生用電極 |
JP2020153000A (ja) * | 2019-03-22 | 2020-09-24 | 株式会社豊田中央研究所 | 電気化学反応デバイス |
-
2001
- 2001-10-19 JP JP2001322343A patent/JP4193390B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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