JP2003129037A - 水摺動シール用熱可塑性エラストマー組成物およびその用途 - Google Patents

水摺動シール用熱可塑性エラストマー組成物およびその用途

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JP2003129037A JP2001328303A JP2001328303A JP2003129037A JP 2003129037 A JP2003129037 A JP 2003129037A JP 2001328303 A JP2001328303 A JP 2001328303A JP 2001328303 A JP2001328303 A JP 2001328303A JP 2003129037 A JP2003129037 A JP 2003129037A
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憲 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐磨耗性や、適度な硬度、柔軟性および追随
性などの機械的特性に優れ、かつ、耐次亜塩素酸性にも
優れた、水摺動部分のシール用熱可塑性エラストマー組
成物、および、該組成物を成形してなる水摺動シール材
を提供する。 【解決手段】 本発明にかかる水摺動シール用熱可塑性
エラストマー組成物は、(A)エチレンプロピレン系共
重合体とポリプロピレン樹脂とからなるオレフィン系熱
可塑性エラストマー、(B)重量平均分子量1,00
0,000以上の超高分子量ポリエチレンおよび(C)
ポリ−N−ビニルアセトアミドを含んでなり、3者
(A)、(B)、(C)の相互割合が、(A)60〜9
0重量%、(B)9.9〜39.9重量%、(C)0.
1〜20重量%である、ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水道水中における
耐磨耗性に加え、耐次亜塩素酸性にも優れた水摺動シー
ル用の熱可塑性エラストマーに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、一般的に、水中、特に水道水
中でのシール材など使用され得る材料としては、Q(シ
リコーンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンジエン
共重合ゴム)、IIR(ブチルゴム)、FKM(フッ素
ゴム)およびHNBR(水素添加二トリルゴム)などが
好適であるとしてよく知られている。これらのなかで
も、水道配管等の摺動部分のシール材としては、EPD
Mが最も頻繁に使用されている。しかしながら、水道水
中には消毒剤として次亜塩素酸が用いられており、近
年、この次亜塩素酸によるシール材の劣化の問題が顕著
となってきている。例えば、EPDMを用いた場合で
は、上記次亜塩素酸による劣化により、充填材として一
般的に使用されているカーボンブラック等の成分が染み
出してくるという、いわゆる墨汁現象が確認されてい
る。IIRを用いた場合も同様に次亜塩素酸による劣化
が問題となる。一方、FKMやHNBRは、耐磨耗性お
よび耐次亜塩素酸性には優れるものの、コスト面でEP
DM等に比べると大きなデメリットとなる。よって、汎
用材料としてFKMやHNBRを使用することは現実的
ではない。Qは、FKMやHNBRと同様に耐次亜塩素
酸性には優れ、これらに比べるとコスト面での利便性も
あるが、EPDMほどの利便性はなく、機械的強度およ
び耐磨耗性が低いことから摺動部分のシール材のような
動的用途には使用できないという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の解決
しようとする課題は、耐磨耗性や、適度な硬度、柔軟性
および追随性などの機械的特性に優れ、かつ、耐次亜塩
素酸性にも優れた、水摺動部分のシール用熱可塑性エラ
ストマー組成物、および、該組成物を成形してなる水摺
動シール材を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するため鋭意検討を行った。その結果、従来公知の
エチレンプロピレン系共重合体を用いて、上記課題を解
決できる熱可塑性エラストマー組成物を得ることが良い
のではないかと考え、種々の推測、実験を行った。やは
り、従来より水中の摺動部のシール用材料として好適に
使用されているEPDMなどのエチレンプロピレン系共
重合体の特性を利用し、さらに改良を加えることが、上
記課題の解決に直結すると考えたからである。つまり、
エチレンプロピレン系共重合体を用いてどのような熱可
塑性エラストマーを得るか、また、この熱可塑性エラス
トマーにさらにどのような成分をどのような量で配合す
れば水摺動用シール材としての所望の熱可塑性エラスト
マー組成物となるか、を検討すればよいと考えたのであ
る。
【0005】かかる知見に基づく検討の結果、熱可塑性
エラストマーとしては、エチレンプロピレン系共重合体
とポリプロピレン樹脂とを用いてなるオレフィン系の熱
可塑性エラストマーを使用すればよいと考え、これに、
超高分子量ポリエチレンとポリ−N−ビニルアセトアミ
ドとを、下記特定の割合で配合して得られる、熱可塑性
エラストマー組成物、および、該組成物を成形してなる
水摺動シール材であれば、上記課題を一挙に解決できる
ことを確認し、本発明を完成するに至った。すなわち、
本発明にかかる水摺動シール用熱可塑性エラストマー組
成物は、(A)エチレンプロピレン系共重合体とポリプ
ロピレン樹脂とからなるオレフィン系熱可塑性エラスト
マーを60〜90重量%、(B)重量平均分子量1,0
00,000以上の超高分子量ポリエチレン9.9〜3
9.9重量%、および、(C)ポリ−N−ビニルアセト
アミドを0.1〜20重量%含んでなる、ことを特徴と
する。
【0006】また、本発明にかかる水摺動シール材は、
上記本発明の水摺動シール用熱可塑性エラストマー組成
物を成形してなる、ことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施形態】以下、本発明にかかる水摺動シール
用熱可塑性エラストマー組成物および水摺動シール材に
関する詳細を具体的に説明する。本発明にかかる水摺動
シール用熱可塑性エラストマー組成物(以下、本発明の
熱可塑性エラストマー組成物と称することがある。)
は、(A)エチレンプロピレン系共重合体とポリプロピ
レン樹脂とからなるオレフィン系熱可塑性エラストマー
(以下、(A)のオレフィン系熱可塑性エラストマーと
称することがある。)と、(B)重量平均分子量1,0
00,000以上の超高分子量ポリエチレン(以下、
(B)の超高分子量ポリエチレンと称することがあ
る。)と、(C)ポリ−N−ビニルアセトアミドとを含
んでなる熱可塑性を備えたエラストマー組成物である。
【0008】上記(A)のオレフィン系熱可塑性エラス
トマーは、エチレンプロピレン系共重合体とポリプロピ
レン樹脂からなるものである。エラストマーとしての効
果はエチレンプロピレン系共重合体の物性により生じ、
熱可塑性の効果はポリプロピレン樹脂の物性により生じ
る。上記エチレンプロピレン系共重合体としては、該共
重合体中に、プロピレン由来の構造単位を20〜60重
量%含んでいることが好ましく、より好ましくは25〜
50重量%、さらにより好ましくは30〜40重量%で
ある。上記プロピレン由来の構造単位が20重量%未満
であると、エチレンの結晶化が進行し、圧縮永久歪、低
温性が低下することとなり、60重量%を超える場合は
引張強度が弱くなり、また、耐磨耗性が低下することと
なる。
【0009】上記エチレンプロピレン系共重合体は、エ
チレンおよびプロピレン由来の構造単位以外にも、第3
のモノマー由来の構造単位を含むものが好ましい。第3
のモノマーとしては、特に限定はされないが、具体的に
は、例えば、ジシクロペンタジエン、メチレンノルボル
ネン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエ
ン、シクロオクタジエン等の非共役ジエン系モノマーな
どが挙げられる。なかでも、エチリデンノルボルネンは
加硫速度が最も速く、製造面でも有利であるため好まし
い。上記エチレンプロピレン系共重合体が、上記第3の
モノマーに由来する構造単位を含む場合は、1種のみを
含んでいても2種以上を併用して含んでいてもよい。
【0010】上記エチレンプロピレン系共重合体が、上
記第3のモノマー由来の構造単位を含む場合は、該共重
合体中に、4〜15重量%含んでいることが好ましく、
より好ましくは8〜13重量%である。上記第3のモノ
マー由来の構造単位の含有割合が4重量%未満である
と、選択する加硫剤の種類(特に限定はされないが、例
えば、硫黄など)によっては成形できなくなるおそれが
あり、15重量%を超える場合は、二重結合を必要以上
に含むことになり、劣化を起こし易くなるおそれがあ
る。ここでいう含有割合は、上記第3のモノマー由来の
構造単位が1種であっても複数種であっても、その全体
としての含有割合を示すものとする。
【0011】上述のエチレンプロピレン系共重合体とし
ては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、E
PT(三井化学社製)、エスプレン(住友化学社製)な
どが挙げられる。上記ポリプロピレン樹脂は、プロピレ
ン由来の構造単位を主成分としてなる樹脂であればよ
く、プロピレン由来の構造単位がアイソタクチック、シ
ンジオタクチイックまたはアタクチックのいずれかの立
体化学構造をとるものであれば好ましい。上記ポリプロ
ピレン樹脂は、上述のように、プロピレン由来の構造単
位を主成分としてなる樹脂であるが、このプロピレン由
来の構造単位以外に若干他のモノマー由来の構造単位が
含まれていてもよい。
【0012】他のモノマーとしては、上記ポリプロピレ
ン樹脂の構造単位となるよう用いた場合に、このポリプ
ロピレン樹脂が、ホモポリマーであるポリプロピレン樹
脂との間に、溶融温度において実質的に差異を形成しな
いものであれば特に限定はされないが、具体的には、例
えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキ
セン、2−メチル−1−プロパン、3−メチル−1−ペ
ンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−
ヘキセンなどが好ましく挙げられる。これら他のモノマ
ーは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。上記
(A)のオレフィン系熱可塑性エラストマーについて
は、上述したエチレンプロピレン系共重合体とポリプロ
ピレン樹脂との配合割合は、次のような比(エチレンプ
ロピレン系共重合体(重量%)/ポリプロピレン樹脂
(重量%))で表すと、30/70〜80/20である
ことが好ましく、より好ましくは50/50〜80/2
0、さらにより好ましくは50/50〜75/25であ
る。上記配合割合の比が、30/70未満であると、物
性が樹脂的傾向(ShoreA硬度が95を超える)を
強め、シール材として必要な弾性を欠くものとなり、8
0/20を超える場合は、必要な機械的強度が低下し、
いわゆる「腰の無い」ものとなる。
【0013】上記エチレンプロピレン系共重合体と上記
ポリプロピレン樹脂とのブレンド方法およびブレンド後
のオレフィン系熱可塑性エラストマーとしての形態つい
ては、特に限定されるわけではないが、具体的には、例
えば、ポリプロピレン樹脂中にエチレンプロピレン系共
重合体を混合し、混練り機中でエチレンプロピレン系共
重合体を動的加硫することによって行う。架橋は高せん
断速度の混合機中で行うことにより、架橋エチレンプロ
ピレン系共重合体の微細化分散が行われ、優れたTPE
特性を示すこととなる。操作条件としては、特に限定は
されないが、具体的には、ポリプロピレン樹脂とエチレ
ンプロピレン系共重合体とを両方の融点以上の温度で混
練りした後、加硫剤を添加してさらに混練りを継続し、
所定時間経過後、排出することが好ましい。通常、一般
的には、混合機、混練り機は、高速型であるほうが上記
微細化分散には好ましく、また、せん断速度が速いほ
ど、引張り強さやは破断伸びの大きいものが得られるた
め好ましい。
【0014】上記高せん断速度の混合機としては、特に
限定はされないが、具体的には、例えば、バンバリーミ
キサー、二軸混練り押出し機などが好ましく挙げられ
る。上記動的加硫においては、加硫剤としては、特に限
定はされないが、具体的には、例えば、有機過酸化物、
硫黄、硫黄化合物、酸化亜鉛、フェノール樹脂等を挙げ
ることができる。これらのなかでも、不純物としての影
響が少ないため、有機過酸化物がより好ましい。有機過
酸化物としては、特に限定はされないが、具体的には、
例えば、ジクミルパーオキサイド、2,4−ジクロロベ
ンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイ
ド、t−ブチルジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパ
ーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブ
チルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5
−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、α,α’−ビ
ス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t
−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、パラク
ロルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾ
エート等が好ましく挙げられる。
【0015】上記加硫剤、特に上記有機過酸化物の使用
量は、エチレンプロピレン共重合体100重量部に対し
て、0.01〜20重量部であることが好ましく、より
好ましくは1〜15重量部である。また、有機過酸化物
による架橋においては、一般に、有機過酸化物ととも
に、助剤となる共架橋剤を用いてもよい。共架橋剤とし
ては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、硫
黄、硫黄化合物、キノンジオキシム、エチレンクリコー
ル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリー
ルフタレート、トリメタクリルイソシアネート、トリア
リルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、1,2−ポリブタジエン、メタ
クリル酸金属塩、アクリル酸金属塩等が好ましく挙げら
れる。
【0016】上記共架橋剤の使用量は、エチレンプロピ
レン共重合体100重量部に対して、20重量部以下で
あることが好ましく、より好ましくは1〜10重量部で
ある。上記オレフィン系熱可塑性エラストマーとして
は、特に限定はされないが、具体的には、例えば、ミラ
ストマー7030N(三井化学(株)製の商品名)など
が好ましく挙げられる。上記(A)のオレフィン系熱可
塑性エラストマーについては、その硬度は、Shore
A硬度で、75度未満であることが好ましく、より好ま
しくは40度以上かつ75度未満、さらにより好ましく
は60度以上かつ70度未満である。上記(A)オレフ
ィン系熱可塑性エラストマーのShoreA硬度が75
度以上であると、後述する(B)成分、(C)成分や、
必要に応じて(D)成分など配合して得られる本発明の
熱可塑性エラストマー組成物のShoreA硬度が高く
なりすぎ、シール材として成形したとしてもその効果を
十分発揮できないものとなるおそれがある。具体的に
は、相手材との追随性が悪化することにより初期段階で
シール性に欠陥を招き漏れを生じることとなったり、復
元性が低下することによりシール寿命が短くなってしま
うなどの可能性が出てくる。
【0017】本発明の熱可塑性エラストマー組成物に、
上記(B)の超高分子量ポリエチレンを含むことで、耐
磨耗性および耐次亜塩素酸性に劣る上記(A)のオレフ
ィン系熱可塑性エラストマーの物性を大幅に改善するこ
とができ、ひいては、本発明の熱可塑性エラストマー組
成物に優れた耐磨耗性および耐次亜塩素酸性を付与する
ことができる。上記(B)の超高分子量ポリエチレンに
ついては、その重量平均分子量は、1,000,000
以上であることが好ましいが、より好ましくは1,50
0,000以上であり、さらにより好ましくは2,00
0,000以上である。本発明においては、上記(B)
の超高分子量ポリエチレンの重量平均分子量が1,00
0,000未満であると、耐磨耗性の向上および耐次亜
塩素酸性の付与が不十分となり、また、(A)のオレフ
ィン系熱可塑性エラストマーとの相溶化が進行しすぎて
硬度が高くなりすぎるため、シール材として必要な柔軟
性が無くなるおそれがある。
【0018】本発明の熱可塑性エラストマー組成物にお
いては、上記(B)超高分子量ポリエチレンは、特に限
定されるわけではないが、微粉状で含まれていることが
好ましい。上記超高分子量ポリエチレンが微粉状である
場合、その平均粒子径は、500μm以下であることが
好ましく、より好ましくは200μm以下である。上記
平均粒子径が500μmを超えると、機械的強度の大幅
な低下を引き起こすことととなるおそれがある。上記超
高分子量ポリエチレンとしては、特に限定はされない
が、具体的には、例えば、ハイゼックスミリオン240
S(三井化学(株)製の商品名、平均粒子径150μ
m)、ミペロン(三井化学(株)製の商品名、平均粒子
径20μm)などが好ましく挙げられる。
【0019】本発明の熱可塑性エラストマー組成物に、
上記(C)のポリ−N−ビニルアセトアミドを含むこと
で、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の成形加工性
を大幅に向上させることができる。また、通常一般的に
成形加工性の向上のために用いるパラフィンオイル、ワ
ックスおよび脂肪酸アミド等の潤滑剤などでは、実際成
形加工できたとしても成形物は破断しやすい上、成形物
を次亜塩素酸中においた場合に必要以上の粘着性を生じ
てしまい耐次亜塩素酸性に劣るものとなるが、上記
(C)のポリ−N−ビニルアセトアミドを用いた場合
は、成形加工性の向上をも達成することができるととも
に、優れた耐次亜塩素酸性をも付与することができる。
【0020】上記ポリ−N−ビニルアセトアミドは、N
−ビニルアセトアミド由来の構造単位を主成分としてな
るものであればよいが、上記N−ビニルアセトアミド由
来の構造単位以外に、若干他のモノマー由来の構造単位
が1種もしくは2種以上含まれていてもよい。上記ポリ
−N−ビニルアセトアミドとしては、特に限定はされな
いが、具体的には、例えば、ノニオレックスF(昭和電
工(株)製の商品名)などが好ましく挙げられる。本発
明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記(A)オレフ
ィン系熱可塑性エラストマー、(B)超高分子量ポリエ
チレン、(C)ポリ−N−ビニルアセトアミドを含む
が、これら3者の配合の相互割合は、(A)については
60〜90重量%であることが好ましく、より好ましく
は75〜85重量%であり、(B)については9.9〜
39.9重量%であることが好ましく、より好ましくは
10〜30重量%、さらにより好ましくは15〜25重
量%であり、(C)については0.1〜20重量%であ
ることが好ましく、より好ましくは0.5〜10重量
%、さらにより好ましくは1〜5重量%である。上記配
合の相互割合のなかでも、(A)については、60重量
%未満であると、シール材として必要とされる弾発性お
よび追随性が低下するおそれがあり、90重量%を超え
る場合は、シール材として必要とされる機械的強度と耐
磨耗性が低下するおそれがある。また、同様に(B)に
ついては、9.9重量%未満であると、本発明の熱可塑
性エラストマー組成物において優れた耐磨耗性および耐
次亜塩素酸性が発揮されず、39.9重量%を超える場
合は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の硬度が高
くなりすぎ、柔軟性、追随性が低下し、成形加工性が悪
くなるなどに問題が生じる。また、同様に(C)につい
ては、0.1重量%未満であると、成型加工時に熱可塑
性エラストマー組成物の流れ不良が発生するため、成形
が全く不可能となる恐れがあるほか、成形体の耐次亜塩
素酸性が十分とならないおそれがあり、20重量%を超
える場合は、これ以上配合しても成形加工性や耐次亜塩
素酸性の効果において向上が期待できず、また、シール
材として必要とされる他の特性に悪影響を与えるおそれ
がある。
【0021】上記(A)オレフィン系熱可塑性エラスト
マーと(B)超高分子量ポリエチレンとの配合割合につ
いては、特に限定はされないが、以下のような比
((A)(重量%)/(B)(重量%))で表すと、9
0/10〜60/40であることが好ましく、より好ま
しくは85/15〜75/25、最も好ましくは、80
/20である。上記配合割合の比が、60/40未満で
あると、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の硬度が
高くなりすぎ、シール材として必要とされる柔軟性、追
随性および弾発性が低下し、成形加工性が悪くなるおそ
れがあり、90/10を超える場合は、本発明の熱可塑
性エラストマー組成物において、シール材として必要と
される機械的強度、耐磨耗性および耐次亜塩素酸性が発
揮されないおそれがある。
【0022】本発明の熱可塑性エラストマー組成物にお
いては、上記(A)、(B)、(C)以外に、さらに何
らかの他の成分を含むようにしてもよく、特に限定され
るわけではない。上記他の成分としては、特に限定はさ
れないが、例えば、(D)ポリオレフィン主鎖にビニル
系ポリマーをグラフトしたグラフトコポリマー(以下、
(D)のグラフトコポリマーと称することがある。)を
好ましく挙げることができる。上記(D)のグラフトコ
ポリマーは、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の改
質材として用いることが好ましく、その役割としては、
従来公知の改質材と同様に、改質材の有する官能基によ
る化学反応または極性等によって、異材質どうしの相溶
化を高め、機械的強度の改善を図ることにある。
【0023】上記(D)のグラフトコポリマーとして
は、特に限定はされないが、具体的には、例えば、低密
度ポリエチレンにポリスチレンをグラフト化したもの、
ポリプロピレンにポリスチレンをグラフト化したもの、
エチレングリシジル(メタ)アクリレート共重合体にポ
リスチレンをグラフト化したもの、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体にポリスチレンをグラフト化したもの、エチ
レン−エチル(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共
重合体にポリスチレンをグラフト化したもの、エチレン
エチル(メタ)アクリレート共重合体にポリスチレンを
グラフト化したもの、低密度ポリエチレンにポリメチル
(メタ)アクリレート共重合体をグラフト化したもの、
エチレングリシジル(メタ)アクリレート共重合体にポ
リメチル(メタ)アクリレート共重合体をグラフト化し
たもの、エチレン−酢酸ビニル共重合体にポリメチル
(メタ)アクリレート共重合体をグラフト化したもの、
エチレン−エチル(メタ)アクリレート−無水マレイン
酸共重合体にポリメチル(メタ)アクリレート共重合体
をグラフト化したもの、エチレンエチル(メタ)アクリ
レート共重合体にポリメチル(メタ)アクリレート共重
合体をグラフト化したものなどを挙げることができる。
なかでも、機械的強度の改善効果が大きいエチレングリ
シジル(メタ)アクリレート共重合体にポリメチル(メ
タ)アクリレート共重合体をグラフトしたものが好まし
い。これらは、1種のみ用いても2種以上を併用しても
よい。
【0024】上記各種グラフトコポリマーを得る際のグ
ラフト化の方法としては、通常一般的なグラフトコポリ
マーを得る場合のグラフト化の方法を用いればよく、操
作条件等は適宜設定すればよい。上記(D)のグラフト
コポリマーが、本発明の熱可塑性エラストマー組成物に
含まれる場合、その配合の割合は、上記(A)ポリオレ
フィン系熱可塑性エラストマーと(B)超高分子量ポリ
エチレンと(C)ポリ−N−ビニルアセトアミドとの合
計量に対して、0.1〜20重量%であることが好まし
く、より好ましくは1〜15重量%である。上記(D)
のグラフトコポリマーの配合の割合が、0.1重量%未
満であると、異材質どうしの相溶化を適度に高め、機械
的強度の改善を図るという効果が発揮されないおそれが
あり、20重量%を超える場合は、組成物全体に占める
割合が多くなりすぎるために機械的特性が低下するおそ
れがある。
【0025】本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、
上述のように(A)、(B)および(C)、必要に応じ
て、さらに(D)などの成分を含む組成物である。一般
的には、エチレンプロピレン系熱可塑性エラストマーと
ポリエチレンとを含む組成物を調製する場合は、両者
は、実質的に完全相溶してしまうため、両者それぞれの
特性を十分に発揮し得る組成物とはならず、どちらか一
方の特性のみ発揮するか、両特性とも発揮しないか、の
どちらかである。しかし、特に、本発明では、上記
(A)成分と(B)成分とが上述したような要素である
ことから、(A)と(B)とは、実質的な完全相溶化で
はなく、部分的な相溶化をすることができる。したがっ
て、得られる組成物は、(A)としての柔軟性および弾
発性と、(B)としての耐磨耗性および耐次亜塩素酸性
と、を共に十分兼ね備えた特性を有するものとなり、水
摺動シール用組成物として優れたものとなり得る。
【0026】本発明の熱可塑性エラストマー組成物にお
いては、(A)のオレフィン系熱可塑性エラストマーお
よび(B)の超高分子量ポリエチレンのいずれにも起因
しないポリエチレン樹脂、すなわち、上記(A)や
(B)の合成、製造段階で生成物あるいは副生成物とし
て生成されたポリエチレン樹脂以外のポリエチレン樹脂
であって、かつ、重量平均分子量が1,000,000
未満のポリエチレン樹脂が、本発明の熱可塑性エラスト
マー組成物を得る際に(A)や(B)と共に含まれるこ
ととなり混入していたとしても、本発明の熱可塑性エラ
ストマー組成物の効果に影響を与えない範囲内の含有量
であればよいとする。
【0027】本発明の熱可塑性エラストマー組成物につ
いては、その硬度は、ShoreA硬度で、40〜90
度であることが好ましく、より好ましくは70〜90度
である。本発明の熱可塑性エラストマー組成物のSho
reA硬度が90度を超える場合は、シール材としてそ
の効果を十分発揮できないものとなるおそれがある。具
体的には、相手材との追随性が悪化することにより初期
段階でシール性に欠陥を招き漏れを生じることとなった
り、復元性が低下することによりシール寿命が短くなっ
てしまうなどのおそれがある。本発明の熱可塑性エラス
トマー組成物については、その引張り強さは、5MPa
以上であることが好ましく、より好ましくは7MPa以
上である。引張り強さが5MPa未満の場合は、シール
材に必要とされる物理的強度が不足し、耐久性が低下し
て、十分な封止機能を発揮できなくなるおそれがある。
【0028】本発明の熱可塑性エラストマー組成物につ
いては、その引張り伸びは、少なくとも100%以上で
あることが好ましく、より好ましくは150%以上が必
要である。引張り伸びが100%未満の場合は、シール
材を装置等に装着する際などの過度の負荷がかけられた
場合等に破断しやすくなり、装着性、取扱い性に問題が
生じるおそれがある。本発明の熱可塑性エラストマー組
成物については、その摩耗量(松原式摩耗試験による摩
耗量)は、1%以下であることが好ましく、より好まし
くは0.5%以下である。摩耗量が1%を超える場合
は、ダストの発生が顕著となり、ダストのシール材へ
のかみ込みが発生し、シール不良を起こしやすくなるお
それがあり、また、シール材の摩耗に伴うシール材の
弾発力の低下が早く、摺動部分用シール材としての長期
使用には耐えられないおそれがある。
【0029】本発明の熱可塑性エラストマー組成物にお
いては、特に限定はされないが、例えば放射線照射など
の任意の手段により架橋を行い、耐熱性を向上させるこ
とができる。本発明にかかる水摺動シール用熱可塑性エ
ラストマー組成物の製造方法、つまり、上述した各種成
分(A)、(B)、(C)および(D)などから本発明
の熱可塑性エラストマー組成物の製造・調製方法として
は、特に限定されるわけではなく、通常一般的なエラス
トマー組成物などを製造する際の製造方法および製造装
置等を用いることができる。具体的には、例えば、1軸
または2軸混練り押出し機、加圧ニーダー、インターナ
ルミキサー(バンバリーミキサー)などの装置を用いた
方法が好ましく挙げられ、特に、2軸混練り押出し機を
用いた方法がより好ましい。
【0030】上記混練りの際の温度は、特に限定はされ
ないが、200〜250℃が好ましく、より好ましくは
210〜240℃、さらにより好ましくは220〜23
0℃である。上記混練りの時間は、特に限定はされない
が、0.5〜10分が好ましく、より好ましくは1〜8
分、さらにより好ましくは2〜6分である。上記各種装
置などにより混練りされた本発明の熱可塑性エラストマ
ー組成物は、その後、通常一般的に汎用の射出成形機、
トランスファー成形機、押出し成形機などにより成形加
工することができ、本発明にかかる水摺動シール材と得
ることができる。
【0031】なかでも、上記射出成形機としては、特に
限定されるわけではないが、具体的には、可塑化と射出
方式で分類すれば、プランジャー式射出成形機、スクリ
ュープリプラ式射出成形機、インラインスクリュー式射
出成形機などが挙げられ、駆動方式で分類すれば、油圧
駆動式射出成形機、空気圧駆動式射出成形機、機械駆動
式(電子サーボ制御によるもの)射出成形機などが挙げ
られ、各構成要素の配置によれば、立型射出成形機、L
型射出成形機、ロータリー式射出成形機などが挙げら
れ、また、用途別では、ベント式射出成形機、多色多材
射出成形機などが挙げられる。
【0032】上記水摺動シール材の具体的用途として
は、特に限定はされないが、例えば、食器乾燥機や洗濯
機に搭載されたモーターの軸部のシール材などの、高湿
度環境で使用されるシール材、上下水道に使用されるバ
ルブの摺動部用シール材などが挙げられるが、特に摺動
部であって水道水が用いられている部分のシール材、つ
まり水摺動シール材としては特に好ましく用いることで
き、このシール材の原料となる本発明の熱可塑性エラス
トマー組成物の有する上記優れた特性をいかんなく発揮
することができる。また、本発明の水摺動シール材は、
摺動部分でない部分、つまり動的ではなく静的な部分に
ついてもシール材として好ましく用いることができ、上
記優れた特性を発揮することができる。
【0033】本発明の熱可塑性エラストマー組成物にお
いては、上述したような特性から、例えば、充填剤と
してのカーボンブラックは使用しなくてよいため、使用
時の溶出によるいわゆる墨汁現象の問題を解消すること
ができる。また、熱可塑性エラストマーをベースとし
て含んでいるため一般的なゴムに比べ加硫剤の使用量を
少なくすることができ、例えば、加硫剤として硫黄系や
酸化亜鉛系の一般に有害とされる化合物を用いる場合で
あっても、それらの溶出が低減し、溶出不純物の少ない
優れたクリーン性を達成することができるので、有害物
質の溶出が懸念される用途などにおいても好ましくしよ
うできる。また、上述したように、加硫剤の使用量を低
減できるため、加硫剤の種類は、特に限定はされない
が、硫黄系や酸化亜鉛系よりも、有機過酸化物系の加硫
剤を用いる方がよりクリーン性に優れるため好ましい。
従って、本発明の熱可塑性エラストマー組成物または該
組成物より得られる水摺動シール材は、特に、食品製造
ライン、医療機器、医薬製造ライン、半導体プロセスな
どにおけるシール部分において、動的シール部および静
的シール部に関わらず、好ましく用いることができる。
【0034】
【実施例】以下に、実施例により、本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定される
ものではない。なお、以下では、便宜上、「重量部」を
単に「部」と記すことがある。 −実施例1− (A):オレフィン系熱可塑性エラストマーとしてのミ
ラストマー7030N(三井化学(株)製の商品名)8
1部、(B):超高分子量ポリエチレンとしてのハイゼ
ックスミリオン240S(重量平均分子量2,000,
000、平均粒子径150μm)(三井化学(株)製の
商品名)9部、(C):ポリ−N−ビニルアセトアミド
としてのノニオレックスF(昭和電工(株)の商品名)
1部、および、(D):EGMA−g−PMMA(エチ
レングリシジル(メタ)アクリレート共重合体にポリメ
チル(メタ)アクリレート共重合体をグラフト化したも
の)としてモディパーA4200(日本油脂(株)製の
商品名)10部を、2軸混練り押出し機に投入し、混練
り時の温度230℃、ローター回転速度50rpmとい
う条件で5分間配合・混練りし、実施例1の熱可塑性エ
ラストマー組成物(以下、熱可塑性エラストマー組成物
(1)と称す)を得た。
【0035】この熱可塑性エラストマー組成物(1)
を、インラインスクリュー式インジェクション成形機に
て230℃で2mm厚シートに成形し、このシートから
JIS3号試験片に準ずるシート片を切り出して、実施
例1の試験片(以下、試験片(1)称す)とした。 −実施例2〜4− (A)、(B)、(C)および(D)成分の種類や使用
量、を表1に示すようにした以外は、実施例1と同様の
操作を行い、熱可塑性エラストマー組成物(2)〜
(4)、および、試験片(2)〜(4)を得た。
【0036】−比較例1〜8− (A)、(B)、(C)および(D)成分の種類や使用
量、を表1に示すようにした以外は、実施例1と同様の
操作を行い、比較例1〜8の熱可塑性エラストマー組成
物(以下、比較熱可塑性エラストマー組成物(1)〜
(8)と称す)、および、比較例1〜8の試験片(以
下、比較試験片(1)〜(8)と称す)を得た。得られ
た試験片(1)〜(4)および比較試験片(1)〜
(8)を用いて、常態物性試験(ShoreA硬度、引
張り強度、引張り伸び)、次亜塩素酸浸漬試験(耐次亜
塩素酸性)、滑り磨耗試験(耐磨耗性)を、以下の手
法、条件で行い、測定した。その結果を表1に示す。 〔常態物性試験〕JIS K6251およびJIS K
6253に準拠し、25℃条件下で、引張り強さ(MP
a)、引張り伸び(破断伸び)(%)および硬度(Sh
oreA硬度(度))を測定した。硬度はタイプAデュ
ロメーター(測定可能範囲はShoreA硬度10〜9
0度である)にて測定した。シール材として必要となる
基本特性は、上記引張り強さが5MPa以上、引張り伸
びが150%以上、硬度(ShoreA硬度)が40〜
90度である。 〔次亜塩素酸浸漬試験〕JIS K6258に準拠し、
80℃×72時間、250ppmの次亜塩素酸ナトリウ
ム水溶液に浸漬後、外観の変化を肉眼にて確認した。本
条件下では、大きな物性変化は生じにくい。よって、表
面粘着や変色などの外観異常をもって、変化があったか
否かを肉眼で評価した。表1には、外観変化が無かった
場合は「無」と示し、変化があった場合は、変色が顕著
なときは「変色」と、粘着性増加が顕著なときは「粘
着」と示した。 〔滑り磨耗試験(松原式磨耗試験)〕JIS K721
8に準拠し、試験距離10km、回転速度0.1m/
s、荷重0.6N/mm2、摩擦材としてSUS304
を使用し、イオン交換水中で摩耗量(%)を測定した。
水摺動用シール材としては、1.0%以下であることが
必要とされる。表1にはこの摩耗量(%)を示した。得
られた熱可塑性エラストマー組成物(1)〜(4)、お
よび、比較熱可塑性エラストマー組成物(1)〜(8)
それぞれを用い、シール材として図1に示すようなUパ
ッキン(リップパッキン)1を成形した。Uパッキン1
としては、内径1a=13.6mm、内径1b=13.
9mm、外径1c=18.4mmのUパッキンを成形し
た。成形したUパッキン1(シール材)を用い、以下の
方法でシール維持性試験を行った。その結果を表1に示
す。 〔シール維持性試験〕水圧0.3MPaにて可動の水圧
シリンダー(円筒型、SUS304製、ストローク1.
0m(往復2.0m)、内径18mm)内において、図
2に示すようなピストン2の両端にUパッキン1を1つ
ずつ装着しシリンダー内壁面との間をシールし得るよう
にしたものを、速度300mm/secで20万回(合
計距離400km)往復させた。ピストン2としては、
円柱型、SUS304製、全長2a=65mm、断面
径:2b=17.5mm、2c=17mm、2d=14
mmのものを使用した。
【0037】水圧をかける水には水道水を用い、切り替
えバルブを介してシリンダーの左右両端から交互に加圧
してピストン2を往復させた。切り替えバルブにより加
圧方向を変えるタイミングは、ピストン2がシリンダー
の端まで移動したときにセンサーに感知されて行われる
ようにした。つまり、図1において、例えば、シリンダ
ーの右側から水圧を加えてピストン2がシリンダー内を
左に移動するようにした場合、ピストン2がシリンダー
の左端まで到達するとセンサーが感知するようにし、そ
の瞬間シリンダー左側からの水圧となるよう切り替えバ
ルブを作動させるようにした。
【0038】シール性を保持しているか否か(シール保
持性)は、上記条件および回数でピストン2を往復させ
た時の、シリンダー内のピストン2の移動速度から判断
した。すなわち、試験開始時と終了時でピストン2の速
度に変化がない場合、シール部分で水の漏洩が無く水圧
が完全に伝わっていると考えられるため、Uパッキン1
によるシール性を保持しているものとし、「○」と評価
した。一方、試験開始時に比べ終了時のピストン2の速
度が明らかに低下している場合は、シール部分で水の漏
洩が有り水圧が十分に伝わっていないと考えられるた
め、Uパッキン1によるシール性は保持されていないも
のとし、「×」と評価した。
【0039】
【表1】
【0040】表中の各成分の略称およびその詳細につい
ては以下のとおりである。 ≪(A)成分≫ ・EPC+PP:三井化学(株)製のオレフィン系熱可
塑性エラストマー(エチレンプロピレン共重合体+ポリ
プロピレン樹脂)、製品名:ミラストマー7030N ≪(B)成分≫ ・UHMWPE:三井化学(株)製の超高分子量ポリエ
チレン、製品名:ハイゼックスミリオン240S ・PEFC:東洋カーボン(株)製のカーボンブラッ
ク、製品名:シーストGSO ・PTFE:ダイキン工業(株)製のPTFE、製品
名:ルブロン ・HDPE:三井化学(株)製の高密度ポリエチレン、
製品名:リュブマーL5220 ≪(C)成分≫ ・PNVA:昭和電工(株)製のポリ−N−ビニルアセ
トアミド、製品名:ノニオレックスF ・PW:大内新興(株)製のパラフィンワックス、製品
名:サンノックN ・FAA:日本化成(株)製の脂肪酸アミド、製品名:
アマイドAP−1 ≪(D)成分≫ ・EGMA−g−PMMA:日本油脂(株)製の、EG
MA−g−PMMA(エチレングリシジル(メタ)アク
リレート共重合体にポリメチル(メタ)アクリレート共
重合体をグラフト化したもの)、製品名:モディパーA
4200
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、耐磨耗性や、適度な硬
度、柔軟性および追随性などの機械的特性に優れ、か
つ、耐次亜塩素酸性にも優れた、水摺動部分のシール用
熱可塑性エラストマー組成物、および、該組成物を成形
してなる水摺動シール材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるシール材(Uパッキ
ン)であり、(a)はこのシール材(Uパッキン)を上
から(リップ部分の開いている方から)見た図、(b)
はこのシール材(Uパッキン)のリング状部分の断面図
である。
【図2】本発明の一実施例であるシール材(Uパッキ
ン)の装着例として、ピストンに装着した場合の断面図
である。
【符号の説明】
1 Uパッキン 2 ピストン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 39/02 C08L 39/02 51/06 51/06 C10M 107/04 C10M 107/04 107/06 107/06 149/06 149/06 F16J 15/18 F16J 15/18 C 15/20 15/20 // C10N 20:04 C10N 20:04 30:00 30:00 Z 30:06 30:06 40:34 40:34 Fターム(参考) 3J043 AA07 BA08 CB13 DA02 4F071 AA13 AA14 AA15 AA20 AA37 AA77 AA81 AF02 AF22 BA01 BB03 BB05 BB06 BC05 4H017 AA04 AB07 AC14 AD06 AE02 4H104 CA02A CA03A CE03C EA03A LA04 LA20 PA19 4J002 BB02Y BB11X BB15W BJ004 BN035 BN125 GJ02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)エチレンプロピレン系共重合体とポ
    リプロピレン樹脂とからなるオレフィン系熱可塑性エラ
    ストマー、(B)重量平均分子量1,000,000以
    上の超高分子量ポリエチレンおよび(C)ポリ−N−ビ
    ニルアセトアミドを含んでなり、 3者(A)、(B)、(C)の相互割合が、(A)60
    〜90重量%、(B)9.9〜39.9重量%、(C)
    0.1〜20重量%である、水摺動シール用熱可塑性エ
    ラストマー組成物。
  2. 【請求項2】さらに(D)ポリオレフィン主鎖にビニル
    系ポリマーをグラフトしたグラフトコポリマーを改質材
    として含み、この(D)の割合が前記3者(A)、
    (B)、(C)の合計量に対して0.1〜20重量%で
    ある、請求項1に記載の水摺動シール用熱可塑性エラス
    トマー組成物。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の水摺動シール用
    熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる、水摺動シ
    ール材。
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JP2013519847A (ja) * 2010-02-10 2013-05-30 アルベルト ボルディニョン, 改良型シール手段を備えたガススプリング
WO2015098339A1 (ja) * 2013-12-27 2015-07-02 日本バルカー工業株式会社 架橋ゴム成形体の製造方法

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