JP3803279B2 - 水摺動シール用熱可塑性エラストマー組成物およびその用途 - Google Patents

水摺動シール用熱可塑性エラストマー組成物およびその用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水道水中における耐磨耗性に加え、耐次亜塩素酸性にも優れた水摺動シール用の熱可塑性エラストマーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、一般的に、水中、特に水道水中でのシール材など使用され得る材料としては、Q(シリコーンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンジエン共重合ゴム)、IIR(ブチルゴム)、FKM(フッ素ゴム)およびHNBR(水素添加二トリルゴム)などが好適であるとしてよく知られている。これらのなかでも、水道配管等の摺動部分のシール材としては、EPDMが最も頻繁に使用されている。
しかしながら、水道水中には消毒剤として次亜塩素酸が用いられており、近年、この次亜塩素酸によるシール材の劣化の問題が顕著となってきている。例えば、EPDMを用いた場合では、上記次亜塩素酸による劣化により、充填材として一般的に使用されているカーボンブラック等の成分が染み出してくるという、いわゆる墨汁現象が確認されている。IIRを用いた場合も同様に次亜塩素酸による劣化が問題となる。一方、FKMやHNBRは、耐磨耗性および耐次亜塩素酸性には優れるものの、コスト面でEPDM等に比べると大きなデメリットとなる。よって、汎用材料としてFKMやHNBRを使用することは現実的ではない。Qは、FKMやHNBRと同様に耐次亜塩素酸性には優れ、これらに比べるとコスト面での利便性もあるが、EPDMほどの利便性はなく、機械的強度および耐磨耗性が低いことから摺動部分のシール材のような動的用途には使用できないという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の解決しようとする課題は、耐磨耗性や、適度な硬度、柔軟性および追随性などの機械的特性に優れ、かつ、耐次亜塩素酸性にも優れた、水摺動部分のシール用熱可塑性エラストマー組成物、および、該組成物を成形してなる水摺動シール材を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。
その結果、従来公知のエチレンプロピレン系共重合体を用いて、上記課題を解決できる熱可塑性エラストマー組成物を得ることが良いのではないかと考え、種々の推測、実験を行った。やはり、従来より水中の摺動部のシール用材料として好適に使用されているEPDMなどのエチレンプロピレン系共重合体の特性を利用し、さらに改良を加えることが、上記課題の解決に直結すると考えたからである。つまり、エチレンプロピレン系共重合体を用いてどのような熱可塑性エラストマーを得るか、また、この熱可塑性エラストマーにさらにどのような成分をどのような量で配合すれば水摺動用シール材としての所望の熱可塑性エラストマー組成物となるか、を検討すればよいと考えたのである。
【0005】
かかる知見に基づく検討の結果、熱可塑性エラストマーとしては、エチレンプロピレン系共重合体とポリプロピレン樹脂とを用いてなるオレフィン系の熱可塑性エラストマーを使用すればよいと考え、これに、超高分子量ポリエチレンとポリ−N−ビニルアセトアミドとを、下記特定の割合で配合して得られる、熱可塑性エラストマー組成物、および、該組成物を成形してなる水摺動シール材であれば、上記課題を一挙に解決できることを確認し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる水摺動シール用熱可塑性エラストマー組成物は、
(A)エチレンプロピレン系共重合体とポリプロピレン樹脂とからなるオレフィン系熱可塑性エラストマーを60〜90重量%、(B)重量平均分子量1,000,000以上の超高分子量ポリエチレン9.9〜39.9重量%、および、(C)ポリ−N−ビニルアセトアミドを0.1〜20重量%含んでなる、ことを特徴とする。
【0006】
また、本発明にかかる水摺動シール材は、
上記本発明の水摺動シール用熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる、ことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施形態】
以下、本発明にかかる水摺動シール用熱可塑性エラストマー組成物および水摺動シール材に関する詳細を具体的に説明する。
本発明にかかる水摺動シール用熱可塑性エラストマー組成物(以下、本発明の熱可塑性エラストマー組成物と称することがある。)は、(A)エチレンプロピレン系共重合体とポリプロピレン樹脂とからなるオレフィン系熱可塑性エラストマー(以下、(A)のオレフィン系熱可塑性エラストマーと称することがある。)と、(B)重量平均分子量1,000,000以上の超高分子量ポリエチレン(以下、(B)の超高分子量ポリエチレンと称することがある。)と、(C)ポリ−N−ビニルアセトアミドとを含んでなる熱可塑性を備えたエラストマー組成物である。
【0008】
上記(A)のオレフィン系熱可塑性エラストマーは、エチレンプロピレン系共重合体とポリプロピレン樹脂からなるものである。エラストマーとしての効果はエチレンプロピレン系共重合体の物性により生じ、熱可塑性の効果はポリプロピレン樹脂の物性により生じる。
上記エチレンプロピレン系共重合体としては、該共重合体中に、プロピレン由来の構造単位を20〜60重量%含んでいることが好ましく、より好ましくは25〜50重量%、さらにより好ましくは30〜40重量%である。上記プロピレン由来の構造単位が20重量%未満であると、エチレンの結晶化が進行し、圧縮永久歪、低温性が低下することとなり、60重量%を超える場合は引張強度が弱くなり、また、耐磨耗性が低下することとなる。
【0009】
上記エチレンプロピレン系共重合体は、エチレンおよびプロピレン由来の構造単位以外にも、第3のモノマー由来の構造単位を含むものが好ましい。第3のモノマーとしては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、ジシクロペンタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン等の非共役ジエン系モノマーなどが挙げられる。なかでも、エチリデンノルボルネンは加硫速度が最も速く、製造面でも有利であるため好ましい。上記エチレンプロピレン系共重合体が、上記第3のモノマーに由来する構造単位を含む場合は、1種のみを含んでいても2種以上を併用して含んでいてもよい。
【0010】
上記エチレンプロピレン系共重合体が、上記第3のモノマー由来の構造単位を含む場合は、該共重合体中に、4〜15重量%含んでいることが好ましく、より好ましくは8〜13重量%である。上記第3のモノマー由来の構造単位の含有割合が4重量%未満であると、選択する加硫剤の種類(特に限定はされないが、例えば、硫黄など)によっては成形できなくなるおそれがあり、15重量%を超える場合は、二重結合を必要以上に含むことになり、劣化を起こし易くなるおそれがある。ここでいう含有割合は、上記第3のモノマー由来の構造単位が1種であっても複数種であっても、その全体としての含有割合を示すものとする。
【0011】
上述のエチレンプロピレン系共重合体としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、EPT(三井化学社製)、エスプレン(住友化学社製)などが挙げられる。
上記ポリプロピレン樹脂は、プロピレン由来の構造単位を主成分としてなる樹脂であればよく、プロピレン由来の構造単位がアイソタクチック、シンジオタクチイックまたはアタクチックのいずれかの立体化学構造をとるものであれば好ましい。
上記ポリプロピレン樹脂は、上述のように、プロピレン由来の構造単位を主成分としてなる樹脂であるが、このプロピレン由来の構造単位以外に若干他のモノマー由来の構造単位が含まれていてもよい。
【0012】
他のモノマーとしては、上記ポリプロピレン樹脂の構造単位となるよう用いた場合に、このポリプロピレン樹脂が、ホモポリマーであるポリプロピレン樹脂との間に、溶融温度において実質的に差異を形成しないものであれば特に限定はされないが、具体的には、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、2−メチル−1−プロパン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセンなどが好ましく挙げられる。これら他のモノマーは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
上記(A)のオレフィン系熱可塑性エラストマーについては、上述したエチレンプロピレン系共重合体とポリプロピレン樹脂との配合割合は、次のような比(エチレンプロピレン系共重合体(重量%)/ポリプロピレン樹脂(重量%))で表すと、30/70〜80/20であることが好ましく、より好ましくは50/50〜80/20、さらにより好ましくは50/50〜75/25である。上記配合割合の比が、30/70未満であると、物性が樹脂的傾向(ShoreA硬度が95を超える)を強め、シール材として必要な弾性を欠くものとなり、80/20を超える場合は、必要な機械的強度が低下し、いわゆる「腰の無い」ものとなる。
【0013】
上記エチレンプロピレン系共重合体と上記ポリプロピレン樹脂とのブレンド方法およびブレンド後のオレフィン系熱可塑性エラストマーとしての形態ついては、特に限定されるわけではないが、具体的には、例えば、ポリプロピレン樹脂中にエチレンプロピレン系共重合体を混合し、混練り機中でエチレンプロピレン系共重合体を動的加硫することによって行う。架橋は高せん断速度の混合機中で行うことにより、架橋エチレンプロピレン系共重合体の微細化分散が行われ、優れたTPE特性を示すこととなる。操作条件としては、特に限定はされないが、具体的には、ポリプロピレン樹脂とエチレンプロピレン系共重合体とを両方の融点以上の温度で混練りした後、加硫剤を添加してさらに混練りを継続し、所定時間経過後、排出することが好ましい。通常、一般的には、混合機、混練り機は、高速型であるほうが上記微細化分散には好ましく、また、せん断速度が速いほど、引張り強さやは破断伸びの大きいものが得られるため好ましい。
【0014】
上記高せん断速度の混合機としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、バンバリーミキサー、二軸混練り押出し機などが好ましく挙げられる。
上記動的加硫においては、加硫剤としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、有機過酸化物、硫黄、硫黄化合物、酸化亜鉛、フェノール樹脂等を挙げることができる。これらのなかでも、不純物としての影響が少ないため、有機過酸化物がより好ましい。
有機過酸化物としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、ジクミルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、パラクロルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート等が好ましく挙げられる。
【0015】
上記加硫剤、特に上記有機過酸化物の使用量は、エチレンプロピレン共重合体100重量部に対して、0.01〜20重量部であることが好ましく、より好ましくは1〜15重量部である。
また、有機過酸化物による架橋においては、一般に、有機過酸化物とともに、助剤となる共架橋剤を用いてもよい。共架橋剤としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、硫黄、硫黄化合物、キノンジオキシム、エチレンクリコール(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリールフタレート、トリメタクリルイソシアネート、
トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,2−ポリブタジエン、メタクリル酸金属塩、アクリル酸金属塩等が好ましく挙げられる。
【0016】
上記共架橋剤の使用量は、エチレンプロピレン共重合体100重量部に対して、20重量部以下であることが好ましく、より好ましくは1〜10重量部である。
上記オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、ミラストマー7030N(三井化学(株)製の商品名)などが好ましく挙げられる。
上記(A)のオレフィン系熱可塑性エラストマーについては、その硬度は、ShoreA硬度で、75度未満であることが好ましく、より好ましくは40度以上かつ75度未満、さらにより好ましくは60度以上かつ70度未満である。上記(A)オレフィン系熱可塑性エラストマーのShoreA硬度が75度以上であると、後述する(B)成分、(C)成分や、必要に応じて(D)成分など配合して得られる本発明の熱可塑性エラストマー組成物のShoreA硬度が高くなりすぎ、シール材として成形したとしてもその効果を十分発揮できないものとなるおそれがある。具体的には、相手材との追随性が悪化することにより初期段階でシール性に欠陥を招き漏れを生じることとなったり、復元性が低下することによりシール寿命が短くなってしまうなどの可能性が出てくる。
【0017】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に、上記(B)の超高分子量ポリエチレンを含むことで、耐磨耗性および耐次亜塩素酸性に劣る上記(A)のオレフィン系熱可塑性エラストマーの物性を大幅に改善することができ、ひいては、本発明の熱可塑性エラストマー組成物に優れた耐磨耗性および耐次亜塩素酸性を付与することができる。
上記(B)の超高分子量ポリエチレンについては、その重量平均分子量は、1,000,000以上であることが好ましいが、より好ましくは1,500,000以上であり、さらにより好ましくは2,000,000以上である。本発明においては、上記(B)の超高分子量ポリエチレンの重量平均分子量が1,000,000未満であると、耐磨耗性の向上および耐次亜塩素酸性の付与が不十分となり、また、(A)のオレフィン系熱可塑性エラストマーとの相溶化が進行しすぎて硬度が高くなりすぎるため、シール材として必要な柔軟性が無くなるおそれがある。
【0018】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、上記(B)超高分子量ポリエチレンは、特に限定されるわけではないが、微粉状で含まれていることが好ましい。
上記超高分子量ポリエチレンが微粉状である場合、その平均粒子径は、500μm以下であることが好ましく、より好ましくは200μm以下である。上記平均粒子径が500μmを超えると、機械的強度の大幅な低下を引き起こすことととなるおそれがある。
上記超高分子量ポリエチレンとしては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、ハイゼックスミリオン240S(三井化学(株)製の商品名、平均粒子径150μm)、ミペロン(三井化学(株)製の商品名、平均粒子径20μm)などが好ましく挙げられる。
【0019】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に、上記(C)のポリ−N−ビニルアセトアミドを含むことで、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の成形加工性を大幅に向上させることができる。また、通常一般的に成形加工性の向上のために用いるパラフィンオイル、ワックスおよび脂肪酸アミド等の潤滑剤などでは、実際成形加工できたとしても成形物は破断しやすい上、成形物を次亜塩素酸中においた場合に必要以上の粘着性を生じてしまい耐次亜塩素酸性に劣るものとなるが、上記(C)のポリ−N−ビニルアセトアミドを用いた場合は、成形加工性の向上をも達成することができるとともに、優れた耐次亜塩素酸性をも付与することができる。
【0020】
上記ポリ−N−ビニルアセトアミドは、N−ビニルアセトアミド由来の構造単位を主成分としてなるものであればよいが、上記N−ビニルアセトアミド由来の構造単位以外に、若干他のモノマー由来の構造単位が1種もしくは2種以上含まれていてもよい。
上記ポリ−N−ビニルアセトアミドとしては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、ノニオレックスF(昭和電工(株)製の商品名)などが好ましく挙げられる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記(A)オレフィン系熱可塑性エラストマー、(B)超高分子量ポリエチレン、(C)ポリ−N−ビニルアセトアミドを含むが、これら3者の配合の相互割合は、
(A)については60〜90重量%であることが好ましく、より好ましくは75〜85重量%であり、
(B)については9.9〜39.9重量%であることが好ましく、より好ましくは10〜30重量%、さらにより好ましくは15〜25重量%であり、
(C)については0.1〜20重量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10重量%、さらにより好ましくは1〜5重量%である。
上記配合の相互割合のなかでも、(A)については、60重量%未満であると、シール材として必要とされる弾発性および追随性が低下するおそれがあり、90重量%を超える場合は、シール材として必要とされる機械的強度と耐磨耗性が低下するおそれがある。
また、同様に(B)については、9.9重量%未満であると、本発明の熱可塑性エラストマー組成物において優れた耐磨耗性および耐次亜塩素酸性が発揮されず、
39.9重量%を超える場合は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の硬度が高くなりすぎ、柔軟性、追随性が低下し、成形加工性が悪くなるなどに問題が生じる。
また、同様に(C)については、0.1重量%未満であると、成型加工時に熱可塑性エラストマー組成物の流れ不良が発生するため、成形が全く不可能となる恐れがあるほか、成形体の耐次亜塩素酸性が十分とならないおそれがあり、20重量%を超える場合は、これ以上配合しても成形加工性や耐次亜塩素酸性の効果において向上が期待できず、また、シール材として必要とされる他の特性に悪影響を与えるおそれがある。
【0021】
上記(A)オレフィン系熱可塑性エラストマーと(B)超高分子量ポリエチレンとの配合割合については、特に限定はされないが、以下のような比((A)(重量%)/(B)(重量%))で表すと、90/10〜60/40であることが好ましく、より好ましくは85/15〜75/25、最も好ましくは、80/20である。
上記配合割合の比が、60/40未満であると、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の硬度が高くなりすぎ、シール材として必要とされる柔軟性、追随性および弾発性が低下し、成形加工性が悪くなるおそれがあり、90/10を超える場合は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、シール材として必要とされる機械的強度、耐磨耗性および耐次亜塩素酸性が発揮されないおそれがある。
【0022】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、上記(A)、(B)、(C)以外に、さらに何らかの他の成分を含むようにしてもよく、特に限定されるわけではない。
上記他の成分としては、特に限定はされないが、例えば、(D)ポリオレフィン主鎖にビニル系ポリマーをグラフトしたグラフトコポリマー(以下、(D)のグラフトコポリマーと称することがある。)を好ましく挙げることができる。
上記(D)のグラフトコポリマーは、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の改質材として用いることが好ましく、その役割としては、従来公知の改質材と同様に、改質材の有する官能基による化学反応または極性等によって、異材質どうしの相溶化を高め、機械的強度の改善を図ることにある。
【0023】
上記(D)のグラフトコポリマーとしては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、低密度ポリエチレンにポリスチレンをグラフト化したもの、ポリプロピレンにポリスチレンをグラフト化したもの、エチレングリシジル(メタ)アクリレート共重合体にポリスチレンをグラフト化したもの、エチレン−酢酸ビニル共重合体にポリスチレンをグラフト化したもの、エチレン−エチル(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体にポリスチレンをグラフト化したもの、エチレンエチル(メタ)アクリレート共重合体にポリスチレンをグラフト化したもの、
低密度ポリエチレンにポリメチル(メタ)アクリレート共重合体をグラフト化したもの、エチレングリシジル(メタ)アクリレート共重合体にポリメチル(メタ)アクリレート共重合体をグラフト化したもの、エチレン−酢酸ビニル共重合体にポリメチル(メタ)アクリレート共重合体をグラフト化したもの、エチレン−エチル(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体にポリメチル(メタ)アクリレート共重合体をグラフト化したもの、エチレンエチル(メタ)アクリレート共重合体にポリメチル(メタ)アクリレート共重合体をグラフト化したものなどを挙げることができる。なかでも、機械的強度の改善効果が大きいエチレングリシジル(メタ)アクリレート共重合体にポリメチル(メタ)アクリレート共重合体をグラフトしたものが好ましい。これらは、1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
【0024】
上記各種グラフトコポリマーを得る際のグラフト化の方法としては、通常一般的なグラフトコポリマーを得る場合のグラフト化の方法を用いればよく、操作条件等は適宜設定すればよい。
上記(D)のグラフトコポリマーが、本発明の熱可塑性エラストマー組成物に含まれる場合、その配合の割合は、上記(A)ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーと(B)超高分子量ポリエチレンと(C)ポリ−N−ビニルアセトアミドとの合計量に対して、0.1〜20重量%であることが好ましく、より好ましくは1〜15重量%である。上記(D)のグラフトコポリマーの配合の割合が、0.1重量%未満であると、異材質どうしの相溶化を適度に高め、機械的強度の改善を図るという効果が発揮されないおそれがあり、20重量%を超える場合は、組成物全体に占める割合が多くなりすぎるために機械的特性が低下するおそれがある。
【0025】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上述のように(A)、(B)および(C)、必要に応じて、さらに(D)などの成分を含む組成物である。一般的には、エチレンプロピレン系熱可塑性エラストマーとポリエチレンとを含む組成物を調製する場合は、両者は、実質的に完全相溶してしまうため、両者それぞれの特性を十分に発揮し得る組成物とはならず、どちらか一方の特性のみ発揮するか、両特性とも発揮しないか、のどちらかである。しかし、特に、本発明では、上記(A)成分と(B)成分とが上述したような要素であることから、(A)と(B)とは、実質的な完全相溶化ではなく、部分的な相溶化をすることができる。したがって、得られる組成物は、(A)としての柔軟性および弾発性と、(B)としての耐磨耗性および耐次亜塩素酸性と、を共に十分兼ね備えた特性を有するものとなり、水摺動シール用組成物として優れたものとなり得る。
【0026】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、(A)のオレフィン系熱可塑性エラストマーおよび(B)の超高分子量ポリエチレンのいずれにも起因しないポリエチレン樹脂、すなわち、上記(A)や(B)の合成、製造段階で生成物あるいは副生成物として生成されたポリエチレン樹脂以外のポリエチレン樹脂であって、かつ、重量平均分子量が1,000,000未満のポリエチレン樹脂が、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を得る際に(A)や(B)と共に含まれることとなり混入していたとしても、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の効果に影響を与えない範囲内の含有量であればよいとする。
【0027】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物については、その硬度は、ShoreA硬度で、40〜90度であることが好ましく、より好ましくは70〜90度である。本発明の熱可塑性エラストマー組成物のShoreA硬度が90度を超える場合は、シール材としてその効果を十分発揮できないものとなるおそれがある。具体的には、相手材との追随性が悪化することにより初期段階でシール性に欠陥を招き漏れを生じることとなったり、復元性が低下することによりシール寿命が短くなってしまうなどのおそれがある。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物については、その引張り強さは、5MPa以上であることが好ましく、より好ましくは7MPa以上である。引張り強さが5MPa未満の場合は、シール材に必要とされる物理的強度が不足し、耐久性が低下して、十分な封止機能を発揮できなくなるおそれがある。
【0028】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物については、その引張り伸びは、少なくとも100%以上であることが好ましく、より好ましくは150%以上が必要である。引張り伸びが100%未満の場合は、シール材を装置等に装着する際などの過度の負荷がかけられた場合等に破断しやすくなり、装着性、取扱い性に問題が生じるおそれがある。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物については、その摩耗量(松原式摩耗試験による摩耗量)は、1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5%以下である。摩耗量が1%を超える場合は、▲1▼ダストの発生が顕著となり、ダストのシール材へのかみ込みが発生し、シール不良を起こしやすくなるおそれがあり、また、▲2▼シール材の摩耗に伴うシール材の弾発力の低下が早く、摺動部分用シール材としての長期使用には耐えられないおそれがある。
【0029】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、特に限定はされないが、例えば放射線照射などの任意の手段により架橋を行い、耐熱性を向上させることができる。
本発明にかかる水摺動シール用熱可塑性エラストマー組成物の製造方法、つまり、上述した各種成分(A)、(B)、(C)および(D)などから本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造・調製方法としては、特に限定されるわけではなく、通常一般的なエラストマー組成物などを製造する際の製造方法および製造装置等を用いることができる。具体的には、例えば、1軸または2軸混練り押出し機、加圧ニーダー、インターナルミキサー(バンバリーミキサー)などの装置を用いた方法が好ましく挙げられ、特に、2軸混練り押出し機を用いた方法がより好ましい。
【0030】
上記混練りの際の温度は、特に限定はされないが、200〜250℃が好ましく、より好ましくは210〜240℃、さらにより好ましくは220〜230℃である。
上記混練りの時間は、特に限定はされないが、0.5〜10分が好ましく、より好ましくは1〜8分、さらにより好ましくは2〜6分である。
上記各種装置などにより混練りされた本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、その後、通常一般的に汎用の射出成形機、トランスファー成形機、押出し成形機などにより成形加工することができ、本発明にかかる水摺動シール材と得ることができる。
【0031】
なかでも、上記射出成形機としては、特に限定されるわけではないが、具体的には、可塑化と射出方式で分類すれば、プランジャー式射出成形機、スクリュープリプラ式射出成形機、インラインスクリュー式射出成形機などが挙げられ、駆動方式で分類すれば、油圧駆動式射出成形機、空気圧駆動式射出成形機、機械駆動式(電子サーボ制御によるもの)射出成形機などが挙げられ、各構成要素の配置によれば、立型射出成形機、L型射出成形機、ロータリー式射出成形機などが挙げられ、また、用途別では、ベント式射出成形機、多色多材射出成形機などが挙げられる。
【0032】
上記水摺動シール材の具体的用途としては、特に限定はされないが、例えば、食器乾燥機や洗濯機に搭載されたモーターの軸部のシール材などの、高湿度環境で使用されるシール材、上下水道に使用されるバルブの摺動部用シール材などが挙げられるが、特に摺動部であって水道水が用いられている部分のシール材、つまり水摺動シール材としては特に好ましく用いることでき、このシール材の原料となる本発明の熱可塑性エラストマー組成物の有する上記優れた特性をいかんなく発揮することができる。また、本発明の水摺動シール材は、摺動部分でない部分、つまり動的ではなく静的な部分についてもシール材として好ましく用いることができ、上記優れた特性を発揮することができる。
【0033】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、上述したような特性から、例えば、▲1▼充填剤としてのカーボンブラックは使用しなくてよいため、使用時の溶出によるいわゆる墨汁現象の問題を解消することができる。また、▲2▼熱可塑性エラストマーをベースとして含んでいるため一般的なゴムに比べ加硫剤の使用量を少なくすることができ、例えば、加硫剤として硫黄系や酸化亜鉛系の一般に有害とされる化合物を用いる場合であっても、それらの溶出が低減し、溶出不純物の少ない優れたクリーン性を達成することができるので、有害物質の溶出が懸念される用途などにおいても好ましくしようできる。また、上述したように、加硫剤の使用量を低減できるため、加硫剤の種類は、特に限定はされないが、硫黄系や酸化亜鉛系よりも、有機過酸化物系の加硫剤を用いる方がよりクリーン性に優れるため好ましい。従って、本発明の熱可塑性エラストマー組成物または該組成物より得られる水摺動シール材は、特に、食品製造ライン、医療機器、医薬製造ライン、半導体プロセスなどにおけるシール部分において、動的シール部および静的シール部に関わらず、好ましく用いることができる。
【0034】
【実施例】
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と記すことがある。
−実施例1−
(A):オレフィン系熱可塑性エラストマーとしてのミラストマー7030N(三井化学(株)製の商品名)81部、(B):超高分子量ポリエチレンとしてのハイゼックスミリオン240S(重量平均分子量2,000,000、平均粒子径150μm)(三井化学(株)製の商品名)9部、(C):ポリ−N−ビニルアセトアミドとしてのノニオレックスF(昭和電工(株)の商品名)1部、および、(D):EGMA−g−PMMA(エチレングリシジル(メタ)アクリレート共重合体にポリメチル(メタ)アクリレート共重合体をグラフト化したもの)としてモディパーA4200(日本油脂(株)製の商品名)10部を、2軸混練り押出し機に投入し、混練り時の温度230℃、ローター回転速度50rpmという条件で5分間配合・混練りし、実施例1の熱可塑性エラストマー組成物(以下、熱可塑性エラストマー組成物(1)と称す)を得た。
【0035】
この熱可塑性エラストマー組成物(1)を、インラインスクリュー式インジェクション成形機にて230℃で2mm厚シートに成形し、このシートからJIS3号試験片に準ずるシート片を切り出して、実施例1の試験片(以下、試験片(1)称す)とした。
−実施例2〜4−
(A)、(B)、(C)および(D)成分の種類や使用量、を表1に示すようにした以外は、実施例1と同様の操作を行い、熱可塑性エラストマー組成物(2)〜(4)、および、試験片(2)〜(4)を得た。
【0036】
−比較例1〜8−
(A)、(B)、(C)および(D)成分の種類や使用量、を表1に示すようにした以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例1〜8の熱可塑性エラストマー組成物(以下、比較熱可塑性エラストマー組成物(1)〜(8)と称す)、および、比較例1〜8の試験片(以下、比較試験片(1)〜(8)と称す)を得た。
得られた試験片(1)〜(4)および比較試験片(1)〜(8)を用いて、常態物性試験(ShoreA硬度、引張り強度、引張り伸び)、次亜塩素酸浸漬試験(耐次亜塩素酸性)、滑り磨耗試験(耐磨耗性)を、以下の手法、条件で行い、測定した。その結果を表1に示す。
〔常態物性試験〕
JIS K6251およびJIS K6253に準拠し、25℃条件下で、引張り強さ(MPa)、引張り伸び(破断伸び)(%)および硬度(ShoreA硬度(度))を測定した。硬度はタイプAデュロメーター(測定可能範囲はShoreA硬度10〜90度である)にて測定した。シール材として必要となる基本特性は、上記引張り強さが5MPa以上、引張り伸びが150%以上、硬度(ShoreA硬度)が40〜90度である。
〔次亜塩素酸浸漬試験〕
JIS K6258に準拠し、80℃×72時間、250ppmの次亜塩素酸ナトリウム水溶液に浸漬後、外観の変化を肉眼にて確認した。本条件下では、大きな物性変化は生じにくい。よって、表面粘着や変色などの外観異常をもって、変化があったか否かを肉眼で評価した。表1には、外観変化が無かった場合は「無」と示し、変化があった場合は、変色が顕著なときは「変色」と、粘着性増加が顕著なときは「粘着」と示した。
〔滑り磨耗試験(松原式磨耗試験)〕
JIS K7218に準拠し、試験距離10km、回転速度0.1m/s、荷重0.6N/mm2、摩擦材としてSUS304を使用し、イオン交換水中で摩耗量(%)を測定した。水摺動用シール材としては、1.0%以下であることが必要とされる。表1にはこの摩耗量(%)を示した。
得られた熱可塑性エラストマー組成物(1)〜(4)、および、比較熱可塑性エラストマー組成物(1)〜(8)それぞれを用い、シール材として図1に示すようなUパッキン(リップパッキン)1を成形した。Uパッキン1としては、内径1a=13.6mm、内径1b=13.9mm、外径1c=18.4mmのUパッキンを成形した。成形したUパッキン1(シール材)を用い、以下の方法でシール維持性試験を行った。その結果を表1に示す。
〔シール維持性試験〕
水圧0.3MPaにて可動の水圧シリンダー(円筒型、SUS304製、ストローク1.0m(往復2.0m)、内径18mm)内において、図2に示すようなピストン2の両端にUパッキン1を1つずつ装着しシリンダー内壁面との間をシールし得るようにしたものを、速度300mm/secで20万回(合計距離400km)往復させた。ピストン2としては、円柱型、SUS304製、全長2a=65mm、断面径:2b=17.5mm、2c=17mm、2d=14mmのものを使用した。
【0037】
水圧をかける水には水道水を用い、切り替えバルブを介してシリンダーの左右両端から交互に加圧してピストン2を往復させた。切り替えバルブにより加圧方向を変えるタイミングは、ピストン2がシリンダーの端まで移動したときにセンサーに感知されて行われるようにした。つまり、図1において、例えば、シリンダーの右側から水圧を加えてピストン2がシリンダー内を左に移動するようにした場合、ピストン2がシリンダーの左端まで到達するとセンサーが感知するようにし、その瞬間シリンダー左側からの水圧となるよう切り替えバルブを作動させるようにした。
【0038】
シール性を保持しているか否か(シール保持性)は、上記条件および回数でピストン2を往復させた時の、シリンダー内のピストン2の移動速度から判断した。すなわち、試験開始時と終了時でピストン2の速度に変化がない場合、シール部分で水の漏洩が無く水圧が完全に伝わっていると考えられるため、Uパッキン1によるシール性を保持しているものとし、「○」と評価した。一方、試験開始時に比べ終了時のピストン2の速度が明らかに低下している場合は、シール部分で水の漏洩が有り水圧が十分に伝わっていないと考えられるため、Uパッキン1によるシール性は保持されていないものとし、「×」と評価した。
【0039】
【表1】
Figure 0003803279
【0040】
表中の各成分の略称およびその詳細については以下のとおりである。
≪(A)成分≫
・EPC+PP:
三井化学(株)製のオレフィン系熱可塑性エラストマー(エチレンプロピレン共重合体+ポリプロピレン樹脂)、製品名:ミラストマー7030N
≪(B)成分≫
・UHMWPE:
三井化学(株)製の超高分子量ポリエチレン、製品名:ハイゼックスミリオン240S
・PEFC:
東洋カーボン(株)製のカーボンブラック、製品名:シーストGSO
・PTFE:
ダイキン工業(株)製のPTFE、製品名:ルブロン
・HDPE:
三井化学(株)製の高密度ポリエチレン、製品名:リュブマーL5220
≪(C)成分≫
・PNVA:
昭和電工(株)製のポリ−N−ビニルアセトアミド、製品名:ノニオレックスF
・PW:
大内新興(株)製のパラフィンワックス、製品名:サンノックN
・FAA:
日本化成(株)製の脂肪酸アミド、製品名:アマイドAP−1
≪(D)成分≫
・EGMA−g−PMMA:
日本油脂(株)製の、EGMA−g−PMMA(エチレングリシジル(メタ)アクリレート共重合体にポリメチル(メタ)アクリレート共重合体をグラフト化したもの)、製品名:モディパーA4200
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、耐磨耗性や、適度な硬度、柔軟性および追随性などの機械的特性に優れ、かつ、耐次亜塩素酸性にも優れた、水摺動部分のシール用熱可塑性エラストマー組成物、および、該組成物を成形してなる水摺動シール材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるシール材(Uパッキン)であり、(a)はこのシール材(Uパッキン)を上から(リップ部分の開いている方から)見た図、(b)はこのシール材(Uパッキン)のリング状部分の断面図である。
【図2】本発明の一実施例であるシール材(Uパッキン)の装着例として、ピストンに装着した場合の断面図である。
【符号の説明】
1 Uパッキン
2 ピストン

Claims (3)

  1. (A)エチレンプロピレン系共重合体とポリプロピレン樹脂とからなるオレフィン系熱可塑性エラストマー、(B)重量平均分子量1,000,000以上の超高分子量ポリエチレンおよび(C)ポリ−N−ビニルアセトアミドを含んでなり、
    3者(A)、(B)、(C)の相互割合が、(A)60〜90重量%、(B)9.9〜39.9重量%、(C)0.1〜20重量%である、
    水摺動シール用熱可塑性エラストマー組成物。
  2. さらに(D)ポリオレフィン主鎖にビニル系ポリマーをグラフトしたグラフトコポリマーを改質材として含み、この(D)の割合が前記3者(A)、(B)、(C)の合計量に対して0.1〜20重量%である、
    請求項1に記載の水摺動シール用熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 請求項1または2に記載の水摺動シール用熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる、水摺動シール材。
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