JP2003128892A - ポリエステル組成物および中空成形体 - Google Patents

ポリエステル組成物および中空成形体

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 食品・飲料の容器などに成形した場合、耐熱
性、透明性、紫外線遮断性に優れ、かつ、内容物の風味
を損なわないような高品質のポリエステル組成物を提供
すること。また、このような組成物を用いて飲料・食品
の容器として好適なポリエステル樹脂中空成形体を提供
すること。 【解決手段】 ポリエステル(A)とポリイミド(B)
とを含んでなる単一のガラス転移温度を有するポリエス
テル組成物であって、かつ、アミン末端基量を5×10
-6当量/g以下とし、さらに、アセトアルデヒドの含有
量を100ppm以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステル組成
物の品質を大幅に向上させたポリエステル組成物および
それを用いた中空成形体に関する。
【0002】具体的には、食品・飲料の容器などに成形
した場合、耐熱性、透明性、紫外線遮断性などに優れ、
さらに、内容物の風味を損なわないようなポリエステル
組成物、さらにこのような組成物を用いた中空成形体に
関する。
【0003】
【従来の技術】ポリエステル樹脂は、その優れた機械的
強度、透明性、耐熱性、ガスバリア性、さらに、ガラス
より軽量で取り扱いに優れるなどの特長を活かして、炭
酸飲料、茶飲料、ジュース、ミネラルウォーターなどの
飲料用容器や食品用容器などに用いられている。
【0004】しかしながら、これまで用いられてきたポ
リエチレンテレフタレート樹脂からなる中空成形体で
は、耐熱性が十分でないため、高温充填ができなかった
り、十分に洗浄殺菌されず循環再利用ができなかったり
することがある。また、紫外線遮断性が十分でなく、容
器中の飲料・食品が劣化することがある。さらに、例え
ば、ポリエチレンテレフタレート樹脂中空成形体の場合
には、ポリエチレンテレフタレート中に微量含まれる副
生成物のアセトアルデヒドが中空成形体の内容物に移行
し、内容物の風味を損なうことがある。このため、近
年、耐熱性や紫外線遮断性、フレーバー吸着性の低減な
どの点で、これまで用いられてきたポリエチレンテレフ
タレート(PET)樹脂よりさらに優れた特性をもつ素
材が要望されてきた。
【0005】このような要望から、ポリエチレンテレフ
タレート樹脂より耐熱性や紫外線遮断性、ガスバリア性
などが優れているポリエチレンナフタレート(PEN)
樹脂を使用した検討例がある。例えば、特開昭52−4
5466号公報には、耐熱性やガスバリア性に優れたP
EN樹脂から中空容器を得ることが記載されている。し
かしながら、PEN樹脂は成形性が劣るため、透明性に
優れ、肉厚分布が均一な中空成形体を得るのが困難であ
ることがある。
【0006】また、PETの耐熱性などの改良のため
に、例えば、特開平11−152396号公報に開示さ
れるように、PETにPENを混合した樹脂からなる中
空成形体に関する検討例もある。しかしながら、PET
とPENは両者の相溶性が劣るため、通常にブレンドし
ただけでは、乳白色であり透明性に劣る。そのため、透
明なブレンド物を得るために、溶融混合によるエステル
交換反応を起こす必要があるが、十分な透明性を得るた
めには、樹脂の融点以上の温度で長い反応時間が必要と
なる。ここで、反応時間を長くしたり、反応を促進する
ために溶融樹脂温度を高温にすることは、樹脂の劣化物
や熱分解物、特に、アセトアルデヒドの生成などの問題
を生じるので、フレーバー吸着や保存性の観点から、飲
料・食品用中空成形体としては、好ましくないことがあ
る。
【0007】さらに、特公平1−49384号公報に
は、耐熱性やガスバリア性を向上させるために、PET
にポリエチレンイソフタレートからなる組成物から成形
された中空成形体に関する検討例がある。しかしなが
ら、ポリエチレンイソフタレートの結晶化速度が遅く、
成形性が劣ったり、炭酸飲料を充填した場合の耐圧性が
不十分であったりすることがある。
【0008】一方、ポリエステルとポリイミドの組成物
については過去にも記述があり、例えば、ポリエステル
としてポリエチレンテレフタレートを、また、ポリイミ
ドとしてポリエーテルイミド(PEI)を用い、種々の
混合比の組成物を作成すると、PEIの重量分率の増加
に伴ってガラス転移温度が上昇することが示されている
(例えば、「JOURNAL of APPLIED
POLYMER SCIENCE」1993年,48
巻,935−937頁、「Macromolecule
s」1995年,28巻,2845−2851頁、「P
OLYMER」1997年,38巻,4043−404
8頁」等)。また、PETとPEIとの混合物からなる
二軸配向ポリエステルフィルムに関する検討例もある
(例えば、特開2000−141475号公報、特開2
000−309650号公報、特開2000−3096
51号公報など)。該検討例によると、ガラス転移温度
の上昇から熱寸法安定性の向上された磁気記録媒体用や
感熱転写リボン用、コンデンサー用として好適なベース
フィルムが提案されている。
【0009】さらに、特開平10−204268号公報
や特開平10−195292号公報には、ポリエチレン
テレフタレートと特定のポリイミドからなる樹脂組成物
およびそれからなる中空成形体に関する記述がある。し
かしながら、ポリエステルに単にポリイミドを混合した
だけでは、アミン末端やカルボキシル末端が樹脂中に多
量に残存していることがあり、それが、例えばアセトア
ルデヒドやポリエステルのオリゴマーやゲル化物などの
副生成物の生成を促進したりして、該樹脂を中空成形体
などの食品・飲料用容器として使用した場合に、内容物
の風味を損ねたり、透明性や耐熱性を低下させたりする
ことがある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、食品
・飲料の容器などに成形した場合、耐熱性、透明性、紫
外線遮断性に優れ、かつ、内容物の風味を損なわないよ
うな高品質のポリエステル組成物を提供することであ
り、特に、このような組成物から成形されたポリエステ
ル樹脂中空成形体が、飲料・食品の容器として好適なポ
リエステル樹脂中空成形体を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的に沿う本発明の
ポリエステル組成物は、ポリエステル(A)とポリイミ
ド(B)とを含んでなる単一のガラス転移温度を有する
ポリエステル組成物であって、かつ、アミン末端基量が
5×10-6当量/g以下で、さらに、アセトアルデヒド
の含有量が100ppm以下であることを特徴とするポ
リエステル組成物、このような組成物を用いてなるポリ
エステル樹脂中空成形体を特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のポリエステル組成物を構
成するポリエステル(A)は、例えば、芳香族ジカルボ
ン酸、脂環族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸な
どの酸成分やジオール成分から構成される。
【0013】芳香族ジカルボン酸成分としては、例え
ば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−
ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボ
ン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジ
フェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテル
ジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボ
ン酸等を用いることができ、なかでも好ましくは、テレ
フタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸
を用いることができる。脂環族ジカルボン酸成分として
は、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いるこ
とができる。脂肪族ジカルボン酸成分としては、例え
ば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジ
オン酸等を用いることができる。これらの酸成分は一種
のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0014】また、ジオール成分としては、例えば、エ
チレングリコール、1,2ープロパンジオール、1,3
−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3
−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−
ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2
−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサ
ンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ポリアルキレングリコール、2,2’−ビス(4’−β
−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を用いるこ
とができ、なかでも好ましくは、エチレングリコール、
1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメ
タノール、ジエチレングリコール等を用いることがで
き、特に好ましくは、エチレングリコール等を用いるこ
とができる。これらのジオール成分は一種のみを用いて
もよく、二種以上を併用してもよい。
【0015】また、ポリエステルには、ラウリルアルコ
ール、イソシアン酸フェニル等の単官能化合物が共重合
されていてもよいし、トリメリット酸、ピロメリット
酸、グリセロール、ペンタエリスリトール、2,4−ジ
オキシ安息香酸、等の3官能化合物などが、過度に分枝
や架橋をせずポリマーが実質的に線状である範囲内で共
重合されていてもよい。さらに酸成分、ジオール成分以
外に、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香
酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロ
キシカルボン酸およびp−アミノフェノール、p−アミ
ノ安息香酸などを本発明の効果が損なわれない程度の少
量であればさらに共重合せしめることができる。
【0016】本発明のポリエステル(A)は、特に限定
されないが、機械強度、生産性および取り扱い性等の点
から、エチレンテレフタレートおよび/またはエチレン
−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位を主たる
構成成分とするポリエステルおよびそれらの変性体より
なる群から選ばれた少なくとも一種であることが好まし
い。これらのうちでも、構成成分として、少なくとも8
0モル%以上のエチレンテレフタレート単位を含むポリ
エステルが特に望ましい。なぜならば、エチレンテレフ
タレート単位を主たる構成成分とするポリエステルは、
エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位
を主たる構成成分とするポリエステルよりも、成形加工
がしやすいからである。
【0017】本発明のポリエステル(A)は、種々の製
造方法により製造することができる。例えば、ポリエチ
レンテレフタレートの場合、テレフタル酸とエチレング
リコールを直接反応させて水を除去しエステル化した
後、減圧下に重縮合を行う直接エステル法、テレフタル
酸ジメチルとエチレングリコールを反応させてメチルア
ルコールを除去しエステル交換した後、減圧下に重縮合
を行うエステル交換法などが挙げられる。また、固有粘
度を上げるためやアセトアルデヒド含有量を低下させる
ために、固相重合を行うことやさらに続けて水蒸気や熱
水による処理を施すことが好ましい。
【0018】エステル交換法におけるエステル交換触媒
として、マンガン、亜鉛、コバルト、マグネシウムなど
の金属と酢酸などのカルボン酸とのカルボン酸金属塩化
合物が用いられ、また、重縮合反応の触媒として、ゲル
マニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物など
が用いられる。また、エステル交換反応の活性を低下さ
せるために、エステル反応終了後、リン酸、トリメチル
フォスフェイトなどのリン化合物を添加することもでき
る。直接エステル化法による場合は、重縮合触媒とし
て、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化
合物などが用いられる。重縮合触媒として、特に限定さ
れないが、本発明のポリエステル組成物の透明性やアセ
トアルデヒド量から、ゲルマニウム化合物が好ましく例
示される。
【0019】本発明のポリイミド(B)は、特に限定さ
れないが、環状イミド基を繰り返し単位として含有する
ポリマーであることが好ましく、溶融成形性を有するポ
リマーであることが好ましく例示される。例えば、米国
特許第4141927号明細書、特許第2622678
号公報、特許第2606912号公報、特許第2606
914号公報、特許第2596565号公報、特許第2
596566号公報、特許第2598478号公報など
に記載されるポリエーテルイミド、特許第259853
6号公報、特許第2599171号公報、特開平9−4
8852号公報、特許第2565556号公報、特許第
2564636号公報、特許第2564637号公報、
特許第2563548号公報、特許第2563547号
公報、特許第2558341号公報、特許第25583
39号公報、特許第2834580号公報に記載のポリ
マー等が挙げられる。本発明の効果が損なわれない範囲
であれば、ポリイミド(B)の主鎖に環状イミド以外の
構造単位、例えば、芳香族、脂肪族、脂環族、脂環族エ
ステル単位、オキシカルボニル単位等が含有されていて
もよいことは無論である。
【0020】本発明のポリイミド(B)は、下記一般式
で表されるものを用いるとよい。
【0021】
【化1】 上記式中のArは炭素6〜42個の炭素原子を有する芳
香族基であり、Rは6〜30個の炭素原子を有する2価
の芳香族基、2〜30個の炭素原子を有する脂肪族基お
よび4〜30個の炭素原子を有する脂環族基からなる群
より選択された少なくとも1種の2価の有機基である。
Arとしては、例えば、
【0022】
【化2】
【0023】
【化3】 を挙げることができる。Rとしては、例えば、
【0024】
【化4】
【0025】
【化5】 を挙げることができる。
【0026】これらは、本発明を阻害しない範囲内で、
1種あるいは2種以上一緒にポリマー鎖中に存在しても
よい。
【0027】本発明のポリイミド(B)は、特に限定さ
れないが、ポリエステル(A)との溶融成形性や取り扱
い性などの点から好ましい例として、例えば、下記一般
式で示されるように、ポリイミド構成成分にエーテル結
合を含有する構造単位であるポリマーであるポリエーテ
ルイミドを挙げることができる。
【0028】
【化6】 ただし、上記式中R1 は、2〜30個の炭素原子を有す
る2価の芳香族基、2〜30個の炭素原子を有する2価
の脂肪族基および2〜30個の炭素原子を有する2価の
脂環族基からなる群より選択された少なくとも1種の2
価の有機基である。
【0029】上記R1 、R2 としては、例えば、下記式
群に示される芳香族基
【0030】
【化7】 を挙げることができる。
【0031】本発明では、ガラス転移温度が350℃以
下、より好ましくは250℃以下のポリエーテルイミド
を用いると本発明の効果が得やすく、ポリエステル
(A)との相溶性、溶融成形性等の観点から、下記式で
示される構造単位を有する、2,2−ビス[4−(2,
3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無
水物とm−フェニレンジアミン、またはp−フェニレン
ジアミンとの縮合物が好ましい。
【0032】
【化8】 このポリエーテルイミドは、“ウルテム”(登録商標)
の商標名で、ジーイープラスチックス社より入手可能で
ある。
【0033】また、本発明のポリイミド(B)は、特に
限定されないが、ポリエステル(A)との溶融成形性や
取り扱い性などの点から、他の好ましい例として、一般
式中Arが、
【0034】
【化9】 であり、一般式中Rが、
【0035】
【化10】 であるポリマーを挙げることができる。
【0036】上記ポリイミドは、種々の方法によって製
造することができる。例えば、上記Arを誘導すること
ができる原料であるテトラカルボン酸および/またはそ
の酸無水物と、上記Rを誘導することができる原料であ
る脂肪族一級ジアミンおよび/または芳香族一級ジアミ
ンよりなる群から選ばれる一種もしくは二種以上の化合
物を脱水縮合することにより得られ、具体的には、ポリ
アミド酸を得て、次いで、加熱閉環する方法を例示する
ことができる。または、酸無水物とピリジン、カルボジ
イミドなどの化学閉環剤を用いて化学閉環する方法、上
記テトラカルボン酸無水物と上記Rを誘導することので
きるジイソシアネートとを加熱して脱炭酸を行って重合
する方法などを例示することができる。
【0037】上記方法で用いられるテトラカルボン酸と
しては、例えば、ピロメリット酸、1,2,3,4−ベ
ンゼンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェ
ニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニ
ルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェ
ノンテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ベンゾフ
ェノンテトラカルボン酸、ビス(2,3−ジカルボキシ
フェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)メタン、1,1’−ビス(2,3−ジカルボキシフ
ェニル)エタン、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキ
シフェニル)プロパン、2,2’−ビス(2,3−ジカ
ルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボ
キシフェニル)エーテル、ビス(2,3−ジカルボキシ
フェニル)エーテル、ビス(3,4−ジカルボキシフェ
ニル)スルホン、ビス(2,3−ジカルボキシフェニ
ル)スルホン、2,3,6,7−ナフタレンテトラカル
ボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン
酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、
2,2’−ビス[(2,3−ジカルボキシフェノキシ)
フェニル]プロパン等および/またはその酸無水物等が
用いられる。
【0038】またジアミンとしては、例えば、ベンジジ
ン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエ
タン、ジアミノジフェニルプロパン、ジアミノジフェニ
ルブタン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフ
ェニルスルホン、ジアミノジフェニルベンゾフェノン、
o, m, p−フェニレンジアミン、トリレンジアミ
ン、キシレンジアミン等およびこれらの例示した芳香族
一級ジアミンの炭化水素基を構造単位に有する芳香族一
級ジアミン等や、エチレンジアミン、1,2−プロパン
ジアミン、1,3−プロパンジアミン、2,2−ジメチ
ル−1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレ
ンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,9
−ノナメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジア
ミン、1,11−ウンデカメチレンジアミン、1,12
−ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘ
キサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサ
メチレンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、
1,4−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキ
サンジメチルアミン、2−メチル−1,3−シクロヘキ
サンジアミン、イソホロンジアミン等およびこれらの例
示した脂肪族および脂環族一級ジアミンの炭化水素基を
構造単位に有する脂肪族および脂環族一級ジアミン等を
例示することができる。
【0039】本発明のポリエステル組成物は、ポリエス
テル(A)とポリイミド(B)を含有するものであり、
相溶しているものである。
【0040】ここでいう相溶とは、得られたチップのガ
ラス転移温度(Tg)が単一であることを意味する。こ
のように両者が相溶した場合のTgは、ポリエステル
(A)のTgとポリイミド(B)のTgの間に存在する
ことが一般的に知られている。本発明でいうガラス転移
温度は、示差走査熱分析における昇温時の熱流束ギャッ
プからJIS K7121に従って求めることができ
る。示差走査熱分析による方法のみで判定しにくい場合
には、動的粘弾性測定あるいは顕微鏡観察などの形態学
的方法を併用してもよい。また、示差走査熱分析によっ
てガラス転移温度を判定する場合は、温度変調法や高感
度法を使用することも有効である。該組成物が2つ以上
のガラス転移温度を有する場合は、組成物中でポリエス
テル(A)とポリイミド(B)が相溶しておらず、本発
明の効果は得られない。
【0041】本発明のポリエステル組成物は、特に限定
されないが、そのガラス転移温度(Tg)が90〜18
0℃であることが好ましい。Tgは、より好ましくは9
5〜170℃、さらに好ましくは100〜160℃の範
囲内にあることである。ポリエステル(A)の構成成分
としてエチレンテレフタレート単位を80モル%以上含
有するポリエステル(A)とポリイミド(B)とを含有
してなるポリエステル組成物の場合、好ましいTgの範
囲は、95〜150℃であり、さらに好ましいTgの範
囲は、100〜140℃である。Tgが90℃未満であ
れば、本発明のポリエステル組成物を成形加工して、中
空成形体などの食品・飲料用容器として用いた場合、耐
熱性が不十分であることがある。また、Tgが180℃
を超える温度であれば、溶融成形性などの成形加工の点
で劣ったりすることがある。
【0042】本発明において、ポリイミド(B)をポリ
エステル(A)に添加する時期は、特に限定されない
が、ポリエステルの重合前、例えば、エステル化反応前
に添加してもよいし、重合後、溶融押出前に添加しても
よい。また、溶融押出前に、ポリエステル(A)とポリ
イミド(B)との混合物をペレタイズしてもよい。
【0043】本発明のポリエステル組成物は、アミン末
端基量が5×10-6当量/g以下である。好ましくは、
3×10-6当量/g以下で、さらに好ましくは、2×1
-6当量/g以下である。アミン末端基量が5×10-6
当量/gより大きいと、アミン末端が、例えばアセトア
ルデヒドなどの副生成物やポリエステルのオリゴマーや
ゲル化物の生成を促進したりして、該樹脂を中空成形体
などの食品・飲料用容器として使用した場合に、内容物
の風味を損ねたり、耐熱性や透明性を低下させたりする
ことがある。本発明のポリエステル組成物のアミン末端
基量を低下させるために、特に限定されないが、ポリイ
ミド(B)のアミン末端基量が、20×10-6当量/g
以下であることが好ましく、より好ましくは、10×1
-6当量/g以下であり、さらに好ましくは、7×10
-6当量/g以下である。アミン末端量を低下させるため
に、特に限定されないが、例えば、無水マレイン酸や無
水フタル酸などに代表される酸無水物などの末端封鎖作
用のある添加物やアミン末端基の発生を抑制する2,4
−ジ−tert−(ブチルフェニル)ホスファイトやビ
ス(2,4−ジ−tert−ブチル)ペンタエリトリト
ールジホスフェートなどに代表されるリン系化合物など
を添加してもよい。その添加する時期は、特に限定され
ないが、例えば、ポリイミド(B)の重合時に添加した
り、重合後、溶融押出前に添加してもよい。また、溶融
押出前に、ポリエステル(A)とポリイミド(B)との
混合物をペレタイズした場合には、その混練押出時でも
よいし、混練押出後、本発明のポリエステル組成物の溶
融押出前でもよい。
【0044】本発明のポリエステル組成物は、アセトア
ルデヒドの含有量が100ppm以下である。アセトア
ルデヒド含有量の好ましい範囲は、50ppm以下であ
り、さらに好ましくは、20ppm以下である。ポリエ
ステル組成物のアセトアルデヒド含有量が、100pp
mを超えると、例えば、ポリエステル組成物を中空成形
体に加工して用いた場合に、中空成形体の内容物にアセ
トアルデヒド臭が移り、内容物の風味や保存性を損なう
ことがあったり、耐熱性や透明性を低下させたりするこ
とがある。本発明のポリエステル組成物のアルデヒド含
有量を低下させるために、ポリエステル(A)のアセト
アルデヒド含有量が100ppm以下であることが好ま
しい。より好ましくは50ppm以下であり、さらに好
ましくは20ppm以下である。そのために、ポリエス
テル(A)を固相重合で得ることや続けて水蒸気や熱水
で処理する方法などが有効である。
【0045】本発明のポリエステル組成物は、特に限定
されないが、カルボキシル末端基量が50×10-6当量
/g以下であることが好ましい。より好ましいカルボキ
シル末端基量は、40×10-6当量/g以下であり、さ
らに好ましくは、30×10 -6当量/g以下である。ポ
リエステル組成物のカルボキシル末端基量が、50×1
-6当量/gを超えると、ポリエステル組成物の劣化が
促進されたり、アセトアルデヒドやポリエステルのオリ
ゴマーやゲル化物などが発生しやすくなったり、耐熱性
や透明性を低下させたりすることがあり、例えば、ポリ
エステル組成物を中空成形体に加工して用いた場合に、
耐熱性や強度が不十分であったり、中空成形体の内容物
の風味を損なったりすることがある。
【0046】本発明のポリエステル組成物中におけるポ
リイミド(B)の含有量は、特に限定されないが、1〜
50重量%の範囲にあることが好ましい。さらに好まし
くは、5〜30重量%の範囲であり、より好ましくは、
7〜25重量%の範囲である。ポリエステル(A)とポ
リイミド(B)の溶融粘度は大きく異なるため、ポリイ
ミド(B)の含有量が1重量%未満であれば、押出機に
て十分な混練を得て互いに相溶することが困難なことが
ある。また、ポリイミド(B)の含有量が50重量%を
超える量であれば、成形加工が困難になることがある。
【0047】本発明のポリエステル(A)の固有粘度
は、特に限定されないが、成形加工の安定性やポリイミ
ド(B)との混合性の観点から、0.60〜3(dl/
g)の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは、
0.7〜2(dl/g)である。また、本発明のポリエ
ステル組成物の固有粘度は、特に限定されないが、成形
加工の安定性などの観点から、0.55〜2(dl/
g)の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは
0.65〜1.5(dl/g)である。
【0048】本発明のポリエステル組成物は、本発明を
阻害しない範囲内で、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸
収剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、脂肪酸エステ
ル、ワックスなどの有機滑剤などが添加されてもよい。
【0049】ポリエステル(A)とポリイミド(B)を
相溶させる場合、ポリイミド(B)をポリエステル
(A)に添加する時期は、特に限定されないが、ポリエ
ステルの重合前、例えば、エステル化反応前に添加して
もよいし、重合後に溶融押出前に添加してもよい。中で
も、溶融押出前に、ポリエステル(A)とポリイミド
(B)をペレタイズして、マスターチップにすることが
溶融成形性の観点から好ましい。該ペレタイズには、ポ
リエステル(A)とポリイミド(B)を二軸混練押出機
に供給して溶融押出するのが、ポリエステル(A)とポ
リイミド(B)を相溶化させ、本発明のポリエステル組
成物やそれからなる中空成形体を得る上で、特に好まし
い。
【0050】本発明のポリエステル組成物の製造方法の
例について説明するが、これに限定されるものではな
い。ここでは、ポリエステル(A)として、ポリエチレ
ンテレフタレートを用い、ポリイミド(B)として、ポ
リエーテルイミド“ウルテム”を用いた例を示すが、用
いるポリエステルやポリイミドにより製造条件の詳細は
異なる。
【0051】まず、常法に従い、テレフタル酸とエチレ
ングリコールとをエステル化させ、または、テレフタル
酸ジメチルとエチレングリコールをエステル交換反応す
ることにより、ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレ
ート(BHT)を得る。次にこのBHTを重合槽に移送
し、真空下で280℃に加熱して重合反応を進める。こ
こで、固有粘度が0.5程度のポリエステルが得られ
る。この時、所定量のポリエーテルイミドを添加してお
いてもよい。得られたポリエステルをペレット状で減圧
下において固相重合することが好ましい。さらに、必要
に応じて、水蒸気や熱水処理を施すことも有効である。
固相重合する場合は、あらかじめ180℃以下の温度で
予備結晶化させた後、190〜250℃で1mmHg程
度の減圧下、10〜50時間固相重合させる。さらに、
熱水処理を施す場合には、90〜100℃の熱水で8時
間処理を行う。
【0052】次に、該ポリエチレンテレフタレートのペ
レット(A)とポリエーテルイミドのペレット(B)
を、一定の割合で混合して、ポリエステル(A)の融点
以上、例えば、温度270〜320℃に加熱された混練
押出機に供給して、溶融押出する。混練押出機は、特に
限定されないが、脱気式、例えばベント式2軸混練押出
機などが好ましい。このときの滞留時間は0.5〜15
分が好ましく、より好ましくは1〜10分の条件であ
る。さらに、上記条件にて相溶しない場合は、得られた
チップを再び二軸押出機に投入し相溶するまで押出を繰
り返してもよい。上記混練によって、ポリエチレンテレ
フタレートとポリエーテルイミドは相溶し、ガラス転移
点が単一のポリエステル組成物のペレットを得ることが
できる。
【0053】本発明のポリエステル組成物の用途は、特
に限定されないが、食品・飲料用の中空成形体などの成
形加工用に用いられることが好ましい。
【0054】本発明のポリエステル組成物からなる中空
成形体は、特に限定されないが、胴体部のヘイズが5%
以下であることが好ましい。より好ましいヘイズは、4
%以下、さらに好ましいヘイズは3%以下である。ヘイ
ズが5%を超えると、ポリエステル(A)とポリイミド
(B)の分散性や相溶性が不十分であったりして、本発
明の効果が発現されないことがある。また、中空成形体
が白濁したパール状光沢を呈し、商品価値がなくなるこ
とがある。
【0055】本発明のポリエステル組成物からなる中空
成形体は、特に限定されないが、胴体部の黄色度(b
値)が0.1〜10の範囲であることが好ましい。より
好ましい黄色度は、0.1〜8の範囲であり、さらに好
ましいのは、0.1〜6の範囲である。黄色度が10を
超えると、ポリエステル(A)とポリイミド(B)の分
散性や相溶性が不十分であったりして、本発明の効果が
発現されないことがある。また、中空成形体が黄味を帯
び、商品価値がなくなることがある。また、黄色度を
0.1未満にするのは、工業的に困難であることがあ
る。
【0056】本発明のポリエステル組成物からなる中空
成形体は、特に限定されないが、80℃における胴体部
収縮率が0.01〜5%の範囲であることが好ましい。
より好ましい胴体部収縮率は、0.01〜3%の範囲で
あり、さらに好ましいのは、0.01〜1%の範囲であ
る。胴体部収縮率が、5%を越えると、例えば、中空成
形体を茶飲料容器として使用した場合に、ホットフィル
(熱間充填)を行うが、耐熱性が不十分で使用に耐えら
れないことがある。また、中空成形体を加熱殺菌する場
合に、耐熱性が不十分で使用に耐えられないことがあ
る。また、胴体部収縮率が0.01%未満にするのは、
工業的に困難であることがある。
【0057】本発明のポリエステル組成物から中空成形
体は、特に限定されないが、波長370nmにおける紫
外線透過率が50%以下が好ましい。より好ましくは4
0%以下、さらに好ましくは30%以下である。紫外線
透過率が50%を越えると、中空成形体の内容物が劣化
しやすいことがある。
【0058】本発明のポリエステル組成物からなる中空
成形体は、これに他のポリマー層、例えば、他のポリエ
ステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリ塩化ビニリ
デンまたはアクリル系ポリマーからなる層を直接、ある
いは接着剤などの層を介して積層させてもよい。
【0059】本発明のポリエステル組成物からなる中空
成形体は、種々の射出成形機を用いて成形して製造する
ことができる。例えば、有底の予備成形体(パリソン)
をブローボトル金型に入れ、開口部のブローピンからエ
アを吹き込んで膨らませてボトルに成形する方法(ダイ
レクトブロー法)や、パリソンを延伸ブロー成形機によ
り延伸ブロー成形する2段階方式、あるいはパリソンの
成形と延伸ブロー成形を同一機械で行う1段階方式の延
伸ブロー成形(ストレッチブロー法)などにより成形す
ることができる。また、中空成形体のアセトアルデヒド
含有量を低下させるためには、特に限定されないが、ア
セトアルデヒドを真空吸引して系外に除去できるベント
式射出成形機を用いるのが好ましい。
【0060】本発明では、特に限定されないが、例え
ば、ストレッチブロー法を例示して説明する。本発明の
ポリエステル組成物を180℃で3時間以上真空乾燥し
た後、固有粘度が低下しないように窒素気流下あるいは
真空下で260〜320℃に加熱された押出機に供給
し、溶融可塑化したポリエステル組成物を、ダイヘッド
からスクリュー回転、プランジャ押出、アキュムレータ
ーなどの成形機を用いて、パリソンを成形する。パリソ
ン成形時の成形温度は、好ましくは230〜300℃、
より好ましくは240〜280℃の範囲である。また、
パリソンの成形サイクルは、好ましくは40秒以下、特
に30秒以下であることが好ましい。本発明のポリエス
テル組成物からなる中空成形体は、ポリエステル組成物
からパリソンを成形した後、該パリソンを面積延伸倍率
(縦延伸倍率と横延伸倍率の積)6〜15倍で延伸ブロ
ー成形することで得られる。この延伸ブロー成形に先立
って、パリソンの口頸部を加熱結晶化させてもよいし、
あるいは、延伸ブロー成形後に得られた中空成形体の口
頸部を加熱結晶化させてもよい。通常、延伸ブロー成形
前に、中空成形体の口頸部を加熱結晶化させることが好
ましい。
【0061】パリソンから延伸中空成形体を成形する際
には、パリソンを直接金型中で加熱し、ブロー流体を圧
入して上記面積延伸倍率で延伸ブローし、中空成形体に
成形することもできる。また、パリソンを延伸ブローし
て中空容器を形成し、これを冷却した後、上記金型に充
填しながら加熱下に延伸ブロー成形することにより、目
的の形状の中空成形体を成形してもよい。ブロー流体と
しては、空気、窒素、水蒸気、水などが例示されるが、
空気を用いるのが好ましい。
【0062】本発明では、上記のようにして得られた中
空成形体にヒートセット処理を施してもよい。ヒートセ
ットは、得られた中空成形体を通常は100〜200
℃、好ましくは110〜170℃の金型温度で、通常は
1秒間以上、好ましくは3秒間以上、上記金型中で保持
することにより行うことができる。このように中空成形
体をヒートセットすることによって、密度を向上させる
ことができ、強度を向上させた中空成形体を得ることが
できる。
【0063】本発明において、ダイレクトブロー成形ま
たは延伸ブロー成形、さらに、必要によりヒートセット
処理を施した中空成形体は、金型から取り出す際に、変
形、収縮などを抑制するように冷却してから取り出すの
が好ましい。ここで、冷却方法として、例えば、中空成
形体の内部に、冷却されたガスなどを吹き込むことによ
り、中空成形体の内側から外側に向かって冷却する内部
冷却法を用いるのが好ましい。このように内側から中空
成形体を冷却すると、変形、収縮などを抑制しながら中
空成形体を金型から取り出すことができる。
【0064】[物性の測定方法ならびに効果の評価方
法]特性値の測定方法ならびに効果の評価方法は次の通
りである。
【0065】(1)アミン末端基量 ポリエステル組成物の微粉末を1g採取し、フェノール
/メタノール/クロロホルム(体積比9/1/10)で
試料を溶解後、少量の水を加えて攪拌しながら、0.0
1モル塩酸溶液を用いて、電位差測定により定量して求
めた。単位は当量/gを用いた。
【0066】(2)ガラス転移温度(Tg) 擬似等温法にて下記装置および条件で比熱測定を行い、
JIS K7121に従ってガラス転移温度(Tg)を
決定した。
【0067】装置: TA Instrument社製
温度変調DSC 測定条件: 加熱温度:270〜570K(RCS冷却法) 温度校正:高純度インジウムおよびスズの融点 温度変調振幅:±1K 温度変調周期:60秒 昇温ステップ:5K 試料重量:5mg 試料容器:アルミニウム製開放型容器(22mg) 参照容器:アルミニウム製開放型容器(18mg) なお、ガラス転移温度(Tg)は下記式 ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラ
ス転移終了温度)/2 により算出した。
【0068】(3)アセトアルデヒド含有量 ポリエステル組成物の微粉末を2g採取しイオン交換水
とともに耐圧容器に仕込み、120℃で60分間、水抽
出後、高感度ガスクロマトグラフィーで定量し、ポリエ
ステル中のアセトアルデヒド量を求めた。濃度をppm
で表示した。
【0069】(4)カルボキシル末端基量 ポリエステル組成物をオルトクレゾール/クロロホルム
(重量比7/3)の90〜100℃で溶解し、アルカリ
で電位差測定して求める。単位は、当量/gを用いた。
【0070】(5)固有粘度 オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度
から下式から計算される値を用いる。すなわち、 ηsp/C=[η]+K[η]2・C ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1、Cは溶
媒100mlあたりの溶解ポリマ重量(g/100m
l、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とす
る)である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド
粘度計を用いて測定した。
【0071】(6)融点(Tm) 示唆走査熱量計として、セイコーインスツルメンツ社製
DSC(RDC220)、データ解析装置として同社製
ディスクステーション(SSC/5200)を用いて、
サンプル約5mgをアルミニウム製受皿上300℃で5
分間溶融保持し、急冷固化した後、室温から昇温速度2
0℃/分で昇温した。そのとき、観測される融解の吸熱
ピークのピーク温度を融点(Tm)とした。
【0072】(7)ヘイズ 中空成形体の胴体部からサンプル切片(厚み約0.5m
m)を切り出し、JIS−K−6714に従い、スガ試
験機製ヘイズメーターを用いて測定した。テトラリンに
浸した状態で内部ヘイズを測定した。
【0073】(8)黄色度(b値) 中空成形体の胴体部からサンプル切片(厚み約0.5m
m)を切り出し、JIS−Z8730に従い、スガ試験
機製分光光度計を用いて、刺激値直読法による測定を実
施した。
【0074】(9)中空成形体の胴体部収縮率 中空成形体に80℃の熱水を充填し、80℃の温浴中に
30分間浸した後に取り出し、処理前後の容積変化を測
定した。
【0075】(10)紫外線透過率 中空成形体の胴体部からサンプル切片(厚み約0.5m
m)を切り出し、日立製作所社製分光光度計(U−43
10)を用いて測定した。波長370nmの光線が透過
する割合(%)を示した。
【0076】
【実施例】次の実施例に基づき、本発明の実施形態を説
明する。
【0077】実施例1 テレフタル酸86重量部、およびエチレングリコール3
9重量部とのエステル化反応物を貯留分として、これに
テレフタル酸86重量部、およびエチレングリコール3
9重量部を加え、260℃でエステル化反応を続け、反
応物を重縮合缶に移す。次いで、酸化ゲルマニウムを
0.005重量部添加し、重縮合反応槽で、加熱昇温し
ながら反応系を徐々に減圧して133Paの減圧下、2
85℃で常法によりかくはん速度一定下で3時間重合反
応を進め、固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレ
ートのチップを得た。さらに、得られたポリエステルを
固相重合するために、温度150℃で予備結晶化させた
後、200〜250℃で1mmHg程度の減圧下、20
時間固相重合した。
【0078】得られたポリエチレンテレフタレート(固
有粘度0.80)のペレットを49.9重量%とポリエ
ーテルイミドのペレット“ウルテム1010”(ジーイ
ープラスチックス社 登録商標)49.9重量%と無水
マレイン酸0.2重量%を、300℃に加熱されたベン
ト式の2軸混練押出機に供給して、剪断速度100se
-1、滞留時間1分にて溶融押出し、ポリエーテルイミ
ドを50重量%含有するポリエステル組成物(I)のペ
レットを得た。さらに、該組成物(I)のペレット40
重量%をポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.8
0)のペレット60重量%と混合し、280℃に加熱さ
れたベント式の2軸混練押出機に供給して、滞留時間1
分にて溶融押出し、ポリエーテルイミドを20重量%含
有したポリエステル組成物(II)のペレットを得た。
得られたペレットは透明であり、単一のガラス転移温度
しか観測されなかった。
【0079】次に、該ポリエステル組成物を用いて中空
成形体を得るために、温度280℃に加熱された押出機
に、得られたポリエステル組成物(II)のペレットを
180℃で3時間真空乾燥した後に供給し、公知の射出
成形機により予備成形体(パリソン)を成形した。成形
温度は280℃、成形サイクルは30秒とした。このパ
リソンを胴体中央部が115℃になるように加熱し、縦
方向に2.5倍、横方向に5倍に延伸ブロー成形して、
二軸延伸ボトルを得た。
【0080】得られたポリエステル組成物およびそれか
ら成形した中空成形体の特性は、表1、2に示したとお
りであり、耐熱性、透明性、紫外線遮断性、低アルデヒ
ド含有量などの優れた特徴を有していた。
【0081】実施例2、3 ポリエーテルイミドの添加量を変える以外は、実施例1
と同様にして、ポリエステル組成物を得た。次いで、該
ポリエステル組成物から、実施例2は105℃、実施例
3は120℃で延伸ブロー成形する以外は、実施例1と
同様にして中空成形体を得た。
【0082】得られたポリエステル組成物およびそれか
ら成形した中空成形体の特性は、表1、2に示したとお
りであり、耐熱性、透明性、紫外線遮断性、低アルデヒ
ド含有量などの優れた特徴を有していた。
【0083】実施例4 ポリエステル(A)を得る際に固相重合過程を経ない以
外は、実施例1と同様にして、ポリエステル組成物およ
びそれからなる中空成形体を得た。
【0084】得られたポリエステル組成物およびそれか
ら成形した中空成形体の特性は、表1、2に示したとお
りであり、耐熱性、透明性、紫外線遮断性、低アルデヒ
ド含有量などの優れた特徴を有していた。
【0085】実施例5 ポリエチレンテレフタレートをポリエチレンナフタレー
トとする以外は、実施例1と同様にして、ポリエステル
組成物を得た。次いで、該ポリエステル組成物から、1
55℃で延伸ブロー成形する以外は、実施例1と同様に
して中空成形体を得た。
【0086】得られたポリエステル組成物およびそれか
ら成形した中空成形体の特性は、表1、2に示したとお
りであり、耐熱性、透明性、紫外線遮断性、低アルデヒ
ド含有量などの優れた特徴を有していた。
【0087】実施例6,7 本実施例ではポリエーテルイミド“ウルテム”以外の下
記ポリイミドB−1、B−2を使用して作成したポリエ
ステル組成物と該ポリエステル組成物から成形した中空
成形体の例を示す。 (1)ポリイミドB−1 イソホロンジイソシアネート200gを窒素雰囲気下で
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)3,000ml
中に添加し攪拌する。次いで、この溶液に無水ピロメリ
ット酸196gを室温で添加した後、徐々に昇温する。
その後、180℃で6時間加熱すると、二酸化炭素の発
生が終了したので、無水マレイン酸0.4g添加し、5
分間攪拌してから加熱を止めた。このポリマー溶液を水
中に展開して洗浄した後、ここで得られたポリマーを乾
燥し、下記式で示した目的のポリイミドB−1を得た。
【0088】
【化11】 (2)ポリイミドB−2 窒素気流下にて、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
147g(0.5mol)をN−メチル−2−ピロリド
ン(NMP)3,000mlに投入した。この溶液に、
トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン57g
(0.5mol)をNMP17.6gに溶解したものを
滴下し、室温で2時間、さらに50℃で4時間攪拌し、
次いで無水マレイン酸0.2gを投入し5分間攪拌し
て、ポリアミド酸溶液を得た。この溶液を冷却後、水5
00mlに投入し、ポリマーを析出させた。析出したポ
リマーを濾取し、窒素中、250℃で2時間熱処理し、
下記式で示した目的のポリイミドB−2を得た。
【0089】
【化12】 ここで得られたポリイミドB−1、B−2をポリエーテ
ルイミド“ウルテム”の代わりに使用する以外は実施例
1と同様の方法でポリエステル組成物と中空成形体を得
た。実施例6はポリイミドB−1を10重量%含有する
ポリエステル組成物およびそれからなる中空成形体であ
り、実施例7はポリイミドB−2を10重量%含有する
ポリエステル組成物およびそれからなる中空成形体であ
る。
【0090】得られたポリエステル組成物およびそれか
ら成形した中空成形体の特性は、表1、2に示したとお
りであり、耐熱性、透明性、紫外線遮断性、低アルデヒ
ド含有量などの優れた特徴を有していた。
【0091】比較例1 ポリエステル(A)を得る際に固相重合過程を経ない
で、さらに、ポリエステル組成物を作成する際に、無水
マレイン酸を添加しない以外は、実施例1と同様にし
て、ポリエステル組成物およびそれからなる中空成形体
を得た。
【0092】得られたポリエステル組成物は、アミン末
端基量やアセトアルデヒド含有量が多く、該ポリエステ
ル組成物から成形されたポリエステル中空成形体は、透
明性や耐熱性に劣る。
【0093】比較例2 ポリイミドを含有しないポリエチレンテレフタレート
を、100℃で延伸ブロー成形する以外は、実施例1と
同様にして、ポリエステル中空成形体を得た。
【0094】得られたポリエステル中空成形体は、耐熱
性や紫外線遮断性に劣る。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
【発明の効果】本発明によれば、ポリエステル組成物の
品質を大幅に向上させたポリエステル組成物、特に、食
品・飲料の容器などに成形した場合、耐熱性、透明性、
紫外線遮断性などに優れ、さらに、フレーバー吸着も少
なく、かつ、内容物の風味を損なわないようなポリエス
テル組成物、さらにこのような組成物からなるポリエス
テル樹脂中空成形体を得ることができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 3E033 AA01 BA17 BA30 CA08 CA18 CA20 FA03 4F071 AA43 AA46 AA60 AA80 AA84 AA86 AA88 AF21 AF30 AF34 AF45 AF53 AF61 AH04 AH05 BA01 BB06 BC04 4J002 CF031 CF041 CF051 CF061 CF081 CM042 GG01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステル(A)とポリイミド(B)
    とを含んでなる単一のガラス転移温度を有するポリエス
    テル組成物であって、アミン末端基量が5×10 -6当量
    /g以下であり、かつ、アセトアルデヒドの含有量が1
    00ppm以下であるポリエステル組成物。
  2. 【請求項2】 カルボキシル末端基量が50×10-6
    量/g以下である、請求項1に記載のポリエステル組成
    物。
  3. 【請求項3】 ポリイミド(B)が1〜50重量%含有
    されている、請求項1または2に記載のポリエステル組
    成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のポリエ
    ステル組成物を用いてなる中空成形体。
  5. 【請求項5】 胴体部のヘイズが5%以下であり、か
    つ、黄色度(b値)が0.1〜10である、請求項4に
    記載の中空成形体。
  6. 【請求項6】 80℃における胴体部収縮率が0.01
    〜5%である、請求項4または5に記載の中空成形体。
  7. 【請求項7】 ポリエステル(A)の構成成分が、エチ
    レンテレフタレート単位を少なくとも80モル%以上有
    している、請求項4〜6のいずれかに記載の中空成形
    体。
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