JP2003128747A - 紫外線硬化/熱硬化型樹脂組成物、および表面賦形薄膜成形物とその製造方法 - Google Patents

紫外線硬化/熱硬化型樹脂組成物、および表面賦形薄膜成形物とその製造方法

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JP2003128747A
JP2003128747A JP2001322004A JP2001322004A JP2003128747A JP 2003128747 A JP2003128747 A JP 2003128747A JP 2001322004 A JP2001322004 A JP 2001322004A JP 2001322004 A JP2001322004 A JP 2001322004A JP 2003128747 A JP2003128747 A JP 2003128747A
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Kyoji Kitamura
恭司 北村
Hitoshi Doi
仁 土居
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Omron Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微細な形状を精度よく賦形された耐熱性に優
れた樹脂薄膜成形物、該樹脂薄膜成形物を形成可能な樹
脂組成物、該樹脂組成物を用いた上記樹脂薄膜成形物の
製造方法、上記樹脂薄膜成形物より作製された光拡散性
反射板および該光拡散性反射板を搭載した反射型液晶表
示装置を提供すること。 【解決手段】 1分子中に1個以上の(メタ)アクリロイ
ル基と1個以上のエポキシ基を共有する化合物、光重合
開始剤およびエポキシ樹脂硬化剤を必須成分とする紫外
線硬化/熱硬化型樹脂組成物。上記樹脂組成物を用いて
薄膜を形成する工程、形成された薄膜を紫外線により硬
化する工程、紫外線硬化された薄膜に押し型を使用して
賦形する工程および賦形された薄膜を熱により硬化する
工程からなる表面賦形薄膜成形物の製造方法。上記方法
によって製造された光拡散性反射板および該光拡散性反
射板が部材として装着されている反射型液晶表示装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は微細な形状の賦形加
工性に優れた樹脂組成物、特に反射型液晶表示装置に用
いられる光拡散機能を有する反射板(以下、光拡散性反
射板と称する。)の製造に適した樹脂組成物、表面賦形
薄膜成形物、特に光拡散性反射板の製造方法、光拡散性
反射板、およびその光拡散性反射板を部材として装着し
た反射型液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、表面に微細な形状が賦形され
た樹脂フィルムやシートの成形物が数多く知られてい
る。そのような樹脂フィルムやシートの成形物として
は、例えば、最も代表的な例として光拡散性反射板が挙
げられる。光拡散性反射板は微細な凹凸形状が表面に賦
形された樹脂薄膜が基板上に形成された構造をなしてお
り、反射型液晶表示装置において液晶表示パネルの裏面
に配置され、液晶表示パネルを透過した入射光を反射し
て、バックライトなしで液晶画面を表示する機能を有し
ている。即ち、光拡散性反射板は、液晶表示装置の視認
性等の光学的特性が向上するように、表面に賦形された
微細な凹凸形状によって、液晶表示パネルを透過した入
射光を拡散しながら反射する機能を有している。
【0003】そのような光拡散性反射板の代表的な製造
技術としては次の4例が具体例として挙げられる。特開
平5-323371号公報に記載の製造技術においては、有機絶
縁膜上にフォトレジストを塗布し、フォトマスクを使用
した露光とエッチングおよび熱処理により、先端の丸い
柱状の凸部を形成する。その底面部の直径は3〜50μm、
高さは10μm以下で、隣接する柱状凸部間は1μm以上離
れており、その配置は不規則であることを特徴としてい
る。次に、柱状凸部が形成された全面に金属薄膜層を形
成して光拡散反射板を得るという製造技術である。しか
しながら、この製造技術においては以下のような問題が
あった。
【0004】・柱状凸部の高さを調整できない。 ・先端の丸い柱状の凸部で構成されているため、入射光
が広範囲に拡散反射されるので、正面方向の明るさが不
十分となる。 ・柱状凸部の先端を丸くするための熱処理はフォトレジ
スト硬化物の軟化点以上の温度、即ち120〜250℃(実施
例では200℃×30分)の範囲で行うとされているが、こ
の熱処理では、柱状凸部全体も変形することになり問題
が生じる。また、フォトレジスト硬化物の軟化点が低い
ので、反射型液晶表示素子の製造工程において要求され
る耐熱性としては不十分である。
【0005】特開平8-227071号公報に記載の製造技術に
おいては、ポリイミド・フィルム表面に鋳型を押し当て
て微小な角錐形状の凸部を形成、配列する。角錐形状は
三角錐、四角錐、六角錐および八角錐と四角錐を組み合
わせた形状であり、各角錐が100%の密度で配列されて
おり、各角錐の側面の底辺に対する傾斜角は5〜25°で
あることを特徴としている。次に、その表面全面に金属
光沢のある金属(実施例ではアルミニウム)を蒸着して
金属薄膜層を形成して光反射板を得る。しかしながら、
この製造技術においては以下のような問題があった。
【0006】・ポリイミド・フィルム表面に微小な角錐
形状の凸部を形成する方法については何ら具体的な説明
がないので全く不明であるが、ガラス転移点(一般的に
350℃以上、融点なし)が非常に高温であるポリイミド
・フィルム表面に鋳型を押し当てるだけで底辺が2.5〜1
0.4μm(実施例)のような非常に微小な角錐を成形する
ことは極めて困難である。 ・従って、規則正しい形状の角錐を均一に配列すること
は困難である。 ・各角錐の稜線が集合する底面隅の点部を形成すること
は不可能であり、鋳型を押し当ててもその部位は平面状
となってしまうため光拡散反射性は低下する。
【0007】また、特開平11-42649号公報に記載の製造
技術においては、凹部の深さが0.1〜3μmの範囲であ
り、凹部内面の傾斜角分布が-18〜+18°の範囲であり、
さらに凹部のピッチが5〜50μmの範囲で不規則に配置さ
れた金属製母型を作製し、次にシリコーン樹脂などを使
用して樹脂製転写型を作製する。ガラス基板上にフォト
レジスト系感光性樹脂液を塗布した後、プリベーク(80
〜100℃×1分以上)により溶剤を除去して感光性樹脂薄
膜(2〜5μm厚)を形成する。この薄膜に上記した転写
型を型押し(30〜50kg/cm2×30秒〜10分)した後、取り
外し、ガラス基板裏側から紫外線を照射(50mJ/cm2
上)して感光性樹脂薄膜を硬化させ、さらにポストベー
ク(約240℃×1分以上)により硬化を完了させる。次
に、凹部が配置された全面にアルミニウムなどを蒸着し
て金属薄膜層を形成して光拡散反射板を得るという製造
技術である。しかしながら、この製造技術においては以
下のような問題があった。
【0008】・硬化前の感光性樹脂薄膜は強度、硬度な
どの膜物性が十分ではなく、非常に微小な凸部からなる
転写型の型押しによる凹状賦形は非常に困難であり、形
状崩れ、膜破壊等を起こしやすい。 ・転写型の型押し後の離型性が良好ではなく、凹部の形
状不良や感光性樹脂薄膜の剥離等を起こしやすい。 ・フォトレジスト系感光性樹脂は硬化反応時に副生成物
を生成するものが多いので問題がある。また、一般的に
硬化収縮率が大きいので精度の良い賦形は難しい。
【0009】さらに、特開2000-9910号公報に記載の製
造技術においては、フォトレジストのような感光性樹脂
を用いてフォトリソグラフィー法により基板上に離散的
に配置された多数の柱状体を形成する。柱状体は円柱で
も角柱でもよく、高さは2〜8μmであり、柱状体の間隔
は1〜50μmの範囲である。次に、この柱状体の配置され
た面に液状樹脂を塗布すると、各柱状体間の平面部に流
れ込んだ樹脂は表面張力により、柱状体間で凹状に湾曲
した表面となる。液状樹脂としては、熱硬化型、紫外線
硬化型、溶剤溶解型の何れでもよく、硬化または乾燥に
より各柱状体間に凹状の樹脂膜を形成する。続いて、軟
化点以上の温度で加熱処理を施して各柱状体の角を丸く
する。最後に、表面全体に金属を蒸着して金属薄膜層を
形成して光拡散反射板を得る。しかしながら、この製造
技術においては以下のような問題があった。
【0010】・高さ10μm以下で、1〜50μmの間隔で不
規則に配置された柱状体の間にある平面部に液状樹脂を
均一に、しかも柱状体の高さよりも低く塗布することは
非常に困難である。その上、柱状体底部のまわりに空隙
を残さずに液状樹脂を塗布することはさらに困難であ
る。 ・加熱処理により柱状体頭部の角を丸くする工程の加熱
条件として180℃×10分(実施例)が例示されている。
柱状体の軟化点または融点がこのような低い温度では、
反射型液晶表示素子の製造工程において要求される耐熱
性としては不十分である。 ・上記加熱処理では柱状体頭部ばかりではなく、当然、
柱状体全体も変形するはずであり、その結果として、柱
状体間に形成された凹状の樹脂膜も形状に変化を生じて
しまい光拡散反射性は低下する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、従来
の製造技術では樹脂薄膜の表面に微細な形状を精度よく
賦形することは困難であった。従来の光拡散性反射板の
代表的4例の製造技術における問題点をまとめると次の
ようになる。 ・光拡散性反射面を構成する微細な凹部および凸部を精
度よく形成できず、賦形加工性が十分ではない。従っ
て、光拡散性反射面を設計通りに精度よく形成すること
ができない。 ・光拡散性反射面の耐熱性が不十分である。
【0012】本発明は表面に微細な形状を精度よく賦形
された耐熱性に優れた樹脂薄膜成形物、そのような樹脂
薄膜成形物を形成可能な樹脂組成物、該樹脂組成物を用
いた上記樹脂薄膜成形物の製造方法を提供することを目
的としている。
【0013】特に、本発明は、微細な形状を精度よく賦
形された耐熱性に優れた光拡散性反射板、そのような光
拡散性反射板を形成可能な樹脂組成物、該樹脂組成物を
用いた上記光拡散性反射板の製造方法を提供することを
目的としている。
【0014】また、本発明は、上記光拡散性反射板を搭
載した反射型液晶表示装置を提供することも目的として
いる。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)1分子中
に1個以上の(メタ)アクリロイル基(アクリロイル基
とメタクリロイル基を表わす。以下、同様に表記す
る。)と1個以上のエポキシ基を共有する化合物、(B)
光重合開始剤、および(C)エポキシ樹脂硬化剤を必須
成分とする紫外線硬化/熱硬化型樹脂組成物に関する。
【0016】また、本発明は、(1)上記樹脂組成物を
用いた薄膜の形成工程、(2)形成された薄膜の紫外線
による硬化工程(第1段硬化)、(3)紫外線硬化された
薄膜への押し型を使用した賦形工程、および(4)賦形
された薄膜の熱による硬化工程(第2段硬化)からなる
ことを特徴とする表面に微細な賦形加工された耐熱性に
優れた樹脂薄膜成形物の製造方法に関する。
【0017】さらに、本発明は、上記方法によって製造
されたことを特徴とする光拡散性反射板、および該光拡
散性反射板が部材として装着されていることを特徴とす
る反射型液晶表示装置に関する。
【0018】本発明の発明者等は、(メタ)アクリロイ
ル基とエポキシ基を共有する化合物を含有する紫外線硬
化/熱硬化型樹脂組成物を用いて、(メタ)アクリロイ
ル基の紫外線硬化と微細な凹凸の表面への賦形、およ
び、それに続くエポキシ基の熱硬化という2段硬化法に
より、前記の目的を達成できることを見い出し本発明に
到達した。即ち、本発明の紫外線硬化/熱硬化型樹脂組
成物を用いて、紫外線硬化による第1段硬化を行って得
られた膜物性の良好な樹脂薄膜表面に、押し型を使用し
て微細な凹凸を賦形した後、熱硬化による第2段硬化に
よって完全硬化をさせると、微細な形状を設計通りに精
度よく賦形された耐熱性に優れた樹脂薄膜成形物を得る
ことができることを見い出した。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の紫外線硬化/熱硬化型樹
脂組成物は、微細な形状を設計通りに精度よく賦形でき
る加工性、即ち賦形加工性および耐熱性に優れており、
微細な形状を精度よく賦形された耐熱性に優れた樹脂薄
膜成形物、特に光拡散性反射板の製造に好適である。以
下に本発明の樹脂組成物を用いて光拡散性反射板を製造
する場合を例として説明するが、本発明の樹脂組成物お
よび該樹脂組成物を用いた表面賦形薄膜成形物の製造方
法は、微細な賦形加工性が要求される光拡散性反射板以
外の表面微細賦形薄膜成形物、例えば、フレネル・レン
ズ、レンチキュラー・レンズ、マイクロ・レンズ、プリ
ズム・シート、光拡散シート、回析格子などを形成する
場合にもそのまま適用できる。
【0020】[樹脂組成物]本発明の樹脂組成物は紫外
線および熱のいずれによっても硬化反応可能な紫外線硬
化/熱硬化型であり、(A)1分子中に1個以上の(メ
タ)アクリロイル基と1個以上のエポキシ基を共有する
化合物、(B)光重合開始剤、および(C)エポキシ樹脂
硬化剤を必須成分として含有している。但し、本発明の
樹脂組成物は、紫外線および熱の一方だけでは硬化反応
は完了せず、紫外線硬化後、熱硬化することによっての
み完全硬化物となることができる。
【0021】(A)1分子中に1個以上の(メタ)アクリ
ロイル基と1個以上のエポキシ基を共有する化合物(以
下、化合物(A)と称する。) 化合物(A)は、(メタ)アクリロイル基を1個以上有す
ることによって後述の光拡散性反射板の製造方法におけ
る第1段硬化としての紫外線硬化を行うことが可能とな
り、またエポキシ基を1個以上有することによって第2段
硬化としての熱硬化を行うことが可能となる。化合物
(A)を含有する樹脂組成物を用いて、後述のように第1
段硬化としての紫外線硬化、微細形状の賦形、および第
2段硬化としての熱硬化を順次行うことにより、微細な
形状を精度よく表面に賦形された耐熱性に優れた光拡散
性反射板を製造することができる。(メタ)アクリロイ
ル基またはエポキシ基のいずれか一方の基のみを1分子
中に1個以上有する化合物を化合物(A)の代わりに用い
た場合は、紫外線硬化または熱硬化のいずれか一方の硬
化反応しか行えず、そのようにして形成された樹脂薄膜
では賦形加工性と耐熱性の両方を付与することは不可能
である。即ち、賦形加工性を付与すれば耐熱性は不良と
なり、一方、耐熱性を保持させれば賦形加工性は付与で
きなくなってしまう。また、1分子中に1個以上の(メ
タ)アクリロイル基を有する化合物と1分子中に1個以上
のエポキシ基を有する化合物とを化合物(A)の代わり
に併用しても、紫外線硬化反応後は(メタ)アクリロイ
ル基を有する化合物の硬化物とエポキシ基を有する化合
物の混合物となり、微細な形状を賦形することはできな
い。
【0022】化合物(A)が1分子中に有する(メタ)ア
クリロイル基およびエポキシ基の各個数およびそれらの
合計数は、化合物(A)が紫外線および熱のいずれによ
っても硬化反応が可能である限り特に制限されるもので
はない。このため、化合物(A)が1分子中に有する(メ
タ)アクリロイル基およびエポキシ基の合計数は化合物
(A)の分子量や物性などを考慮して適宜決定されるの
が適当である。より良好な賦形加工性と優れた耐熱性を
共に付与するためには、化合物(A)としては、1分子中
に(メタ)アクリロイル基とエポキシ基をそれぞれ2個
以上有する化合物が好ましい。(メタ)アクリロイル基
以外では、ビニル基やビニルエーテル基なども紫外線重
合反応性を有しているが、硬化反応性が不十分である。
さらに、ビニル基やビニルエーテル基とエポキシ基を共
に有する化合物では、紫外線硬化後の膜物性が十分では
ないため賦形加工性は不良であり、熱硬化後も耐熱性を
有する硬化膜とはならない。
【0023】化合物(A)が1分子中に有する(メタ)ア
クリロイル基およびエポキシ基の個数割合については、
微細な形状の賦形加工性と耐熱性を保持させるために
は、(メタ)アクリロイル基とエポキシ基の合計個数の
うちの1/5〜4/5が(メタ)アクリロイル基であるのが好
ましく、2/5〜3/5が(メタ)アクリロイル基であるのが
より好ましい。ここでは化合物(A)が1分子中に有する
(メタ)アクリロイル基およびエポキシ基の個数割合を
規定しているが、化合物(A)として2種類以上の化合物
を併用する場合には使用されている全ての化合物が有す
る(メタ)アクリロイル基およびエポキシ基の個数割合
が上記範囲内であればよい。
【0024】化合物(A)としては(メタ)アクリロイ
ル基変性エポキシ樹脂が有用である。(メタ)アクリロ
イル基変性エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキ
シ基を有するエポキシ化合物、即ち、エポキシ樹脂にお
けるエポキシ基の一部が(メタ)アクリロイル基によっ
て変性された分子構造を有する化合物である。具体的に
は、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロ
イルアミノ基等の(メタ)アクリロイル基含有基によっ
て変性されたエポキシ樹脂である。エポキシ樹脂のエポ
キシ基に(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド
等を反応させて製造するのが一般的である。
【0025】1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエ
ポキシ樹脂のエポキシ基としては具体的には、エポキシ
エーテル基、エポキシアミノ基、エポキシエステル基等
である。また、エポキシ樹脂の骨格構造による分類で
は、芳香族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環族
エポキシ樹脂、トリアジン環やヒダントイン環を有する
複素環族エポシキ樹脂、フェノール、クレゾールおよび
ビスフェノールA等のノボラック型エポキシ樹脂、トリ
ス(ヒドロキシフェニル)メタン縮合型エポキシ樹脂、
ビスフェノール・エピクロルヒドリン縮合型エポキシ樹
脂等が挙げられる。これら以外に、脂環式エポキシ樹脂
もある。本発明の光拡散性反射板の耐熱性は優れている
が、さらなる耐熱性の向上には、ベンゼン環や複素環を
有する(メタ)アクリロイル基変性エポキシ樹脂の使用
が好ましく、特に骨格にベンゼン環を2個以上有する
(メタ)アクリロイル基変性エポキシ樹脂の使用がより
好ましい。
【0026】芳香族エポキシ樹脂の具体例としては、ビ
スフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノール
Sなどのビスフェノール系ジグリシジルエーテル、ビス
フェノールAビス(グリシジルオキシプロピルエーテ
ル)、ビフェニルおよび3,5,3',5'-テトラメチルビフェ
ニルの4,4'-ジグリシジルエーテル、ナフタレン-1,6-ジ
グリシジルエーテル、ジナフチルメタン-2,7,2',7'-テ
トラグリシジルエーテル、トリフェニルメタン-4,4',
4”-トリグリシジルエーテル、1,2-テトラキス(p-グリ
シジルフェニルエーテル)エタン、1,3-トリス(p-グリ
シジルフェニルエーテル)-1-メチルプロパン、9,9-ビ
ス(p-グリシジルフェニルエーテル)フルオレン、N,N-
ジグリシジルアニリン、N,N-ジグリシジル-o-、-m-およ
び-p-トルイジン、ビス(N,N-ジグリシジル-p-アミノフ
ェニル)メタン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメ
チル)ベンゼン、m-およびp-ジグリシジルアミノフェニ
ルグリシジルエーテル、o-、m-およびp-フタル酸ジグリ
シジルエステル等がある。
【0027】脂肪族エポキシ樹脂の具体例としては、エ
チレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチル
グリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロ
パントリグリシジルエーテル、ペンタエリスルトールテ
トラグリシジルエーテル等がある。脂環族エポキシ樹脂
の具体例としては、水添ビスフェノールAおよび水添ビ
スフェノールFのジグリシジルエーテル、1,3-ビス(N,N
-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,2-ビ
ス(グリシジルオキシカルボ)シクロヘキサン、4,5-ビ
ス(グリシジルオキシカルボ)シクロヘキセン、4,5-ビ
ス(グリシジルオキシカルボ)-2-メチルシクロヘキセ
ン等がある。
【0028】トリアジン環やヒダントイン環を有する複
素環族エポキシ樹脂の具体例としては、トリグリシジル
イソシアヌレート、3,5-ジグリシジル-1,1-ジメチルヒ
ダントイン等がある。フェノール、クレゾールおよびビ
スフェノールA等のノボラック型やトリス(ヒドロキシ
フェニル)メタン縮合型のようないわゆるポリフェノー
ル縮合型エポキシ樹脂の具体例としては、フェノール・
ノボラック型、o-クレゾール・ノボラック型、ビスフェ
ノールAノボラック型、ジフェノール・ノボラック型、
テトラヒドロナフトール・ノボラック型、ジシクロペン
タジエニルフェノール・ノボラック型等のようなポリフ
ェノール縮合型エポキシ樹脂がある。その分子量として
は、500〜5000が好ましく、1000〜4000がより好まし
い。
【0029】ビスフェノール・エピクロルヒドリン縮合
型エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールAや
ビスフェノールF等とエピクロルヒドリンとの縮合型エ
ポキシ樹脂がある。その分子量としては、350〜3000が
好ましく、350〜1500がより好ましい。脂環式エポキシ
樹脂の具体例としては、1,2-オキシシクロヘキシル-4-
カルボン酸・4-(1,2-オキシシクロヘキシル)メチルア
ルコールエステル、アジピン酸・[5-(1,2-オキシ-4-
メチルシクロヘキシル)メチル]アルコールジエステル
等がある。
【0030】本発明の(メタ)アクリロイル基変性エポ
キシ樹脂は、エポキシ樹脂が有する全エポキシ基数より
も少ないモル数の(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリ
ルアミドを反応させる方法によって得ることができ、本
発明に特別の方法というものはない。
【0031】例えば、メタクリル酸を用いてエポキシ樹
脂のエポキシ基を変性する場合には、所定量のエポキシ
樹脂とメタクリル酸とを、トリエチルアミン等のアミン
系触媒存在下、有機溶媒中で室温または加温下で反応さ
せればよい。有機溶媒としては上記エポキシ樹脂とメタ
クリル酸とを溶解し、しかも両者と反応しない有機溶剤
であればよい。例えば、脂肪族系のエステル類、エーテ
ル類、エステルエーテル類やケトン類が好適である。そ
れらの沸点としては100〜200℃の範囲が好ましい。反応
終了後、有機溶媒および触媒の留去あるいは再沈殿等に
よりメタクリロイル基変性エポキシ樹脂、即ち、化合物
(A)が収率よく得られる。
【0032】(B)光重合開始剤 光重合開始剤(B)は本発明の化合物(A)の(メタ)ア
クリロイル基の紫外線重合反応を開始させるための必須
成分である。本発明の樹脂組成物においては、光重合開
始剤(B)を含有させないと第1段硬化としての紫外線硬
化反応が有効に行われないため、第1段硬化後において
微細な形状の賦形が不可能となる。
【0033】光重合開始剤(B)としては、本発明に限
定されるものはなく、紫外線硬化等の光硬化反応に一般
的に使用されている光重合開始剤は全て使用できる。即
ち、ベンゾインエーテル類、α−ヒドロキシフェニルケ
トン類、ベンジルジアルキルケタール類、フェニルホス
フィンオキサイド類、ベンゾインオキシムケトン類、ベ
ンゾフェノン類、ベンジル類、アセトフェノン類、アン
トラキノン類、チオキサントン類、ベンゾイルベンゾエ
ート類、α,α−ジアルコキシアセトフェノン類、アミ
ノベンゾフェノン類等である。本発明では、このような
光重合開始剤を単独で、あるいは2種以上を組み合わせ
て使用することができる。また、アミン化合物、硫黄化
合物、燐化合物のような増感剤を併用してもよい。本発
明においては光重合開始剤(B)の配合量は化合物(A)
に対して0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%であ
る。
【0034】(C)エポキシ樹脂硬化剤 エポキシ樹脂硬化剤(C)は、本発明の化合物(A)のエ
ポキシ基の熱架橋反応による架橋構造を形成するための
化合物である。本発明においてはエポキシ樹脂硬化剤
(C)を含有させないと第2段硬化としての熱硬化反応が
有効に行われないため、第1段硬化後の微細形状の賦形
が良好に行われたとしても、耐熱性を保持することがで
きない。
【0035】本発明のエポキシ樹脂硬化剤(C)は、本
発明に限定されるものはなく、通常のエポキシ樹脂の硬
化に使用されている硬化剤は全て使用できる。即ち、触
媒型硬化剤としては、芳香族系3級アミン類、イミダゾ
ール類、ルイス酸類等があり、重付加型硬化剤として
は、脂肪族系ポリアミン類、脂環族系ポリアミン類、芳
香族系ポリアミン類、ジシアンジアミド、カルボン酸ジ
ヒドラジド類等のポリアミン系硬化剤、ポリアミン類を
ダイマー酸、ケトン類、エポキシ類、チオ尿素等で変性
するか、マンニッヒ反応、マイケル反応等により変性さ
れた変性ポリアミン系硬化剤、脂肪族系、脂環族系、芳
香族系カルボン酸無水物類等のカルボン酸無水物系硬化
剤、ノボラック型フェノール樹脂、フェノール型ポリマ
ー類等のポリフェノール系硬化剤、ポリサルファイド
類、チオエステル類、チオエーテル類等の硫黄含有化合
物系硬化剤、イソシアネート・プレポリマー類、ブロッ
ク化イソシアネート類等のイソシアネート系硬化剤、カ
ルボン酸基含有ポリエステル類等のポリエステル系硬化
剤等がある。
【0036】第2段硬化である熱硬化後の耐熱性をより
優れたものとするには、硬化剤として、芳香族系3級ア
ミン類、イミダゾール類、脂環族系ポリアミン類、芳香
族系ポリアミン類、ジシアンジアミド、脂環族系や芳香
族系カルボン酸無水物類、ノボラック型フェノール樹脂
等を使用するのが好ましい。また、保存安定性を良好な
ものとするには、ジシアンジアミド、脂環族系カルボン
酸無水物類、ノボラック型フェノール樹脂等の使用が好
ましい。
【0037】本発明では、このようなエポキシ樹脂硬化
剤を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用する
ことができる。本発明においてはエポキシ樹脂硬化剤
(C)の配合量は化合物(A)に対して、触媒型硬化剤の
場合は1〜15重量%、好ましくは2〜10重量%であり、重
付加型硬化剤の場合は、3〜90重量%、好ましくは5〜70
重量%である。また、上記したエポキシ樹脂硬化剤
(C)に加えて少量のアミン化合物、硫黄化合物、燐化
合物等の硬化促進剤を添加してもよい。
【0038】(D)1分子中に1個以上の(メタ)アクリ
ロイル基または1分子中に2個以上のエポキシ基を有する
化合物(以下、化合物(D)と称する。) 本発明の樹脂組成物は、化合物(A)、光重合開始剤
(B)およびエポキシ樹脂硬化剤(C)を必須成分とする
が、樹脂組成物の硬化性や賦形加工性および耐熱性をよ
り向上させるには、さらに化合物(D)を配合すること
が好ましい場合が多い。
【0039】化合物(D)としては、1分子中に1個以上
の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(以下、化合
物(d1)と称する。)および1分子中に2個以上のエポキ
シ基を有する化合物(以下、化合物(d2)と称する。)
とからなる化合物群から選択される1種類以上の化合物
が使用される。2種類以上の化合物(d1)または2種類以
上の化合物(d2)を使用してもよく、また、1種類以上
の化合物(d1)と1種類以上の化合物(d2)を併用して
もよい。
【0040】化合物(d1)は、樹脂組成物の粘性、相溶
性、塗布薄膜形成性、紫外線硬化性等や第1段硬化膜の
物性、賦形加工性等の調整や向上に寄与する。化合物
(d1)は、1分子中に1個以上の(メタ)アクリロイル基
を有する脂肪族、脂環族、芳香族や複素環族化合物であ
り、化合物(A)、光重合開始剤(B)およびエポキシ樹
脂硬化剤(C)との溶解性や相溶性の良好な液状化合物
が好ましい。化合物(d1)としては、t-ブチル(メタ)
アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジ
シクロペンチニル(メタ)アクリレート、トリシクロデ
カニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリ
レート、ベンジル(メタ)アクリレート、ビフェニル
(メタ)アクリレート、フェノキシフェニル(メタ)ア
クリレート、N-(メタ)アクリロイルモルホリン、ネオ
ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロ
ールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフ
ェノールAやビスフェノールFのエチレンオキサイド2モ
ル付加物ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロ
パントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトール
トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパン
テトラ(メタ)アクリレート等が主要例として挙げられ
る。中でもトリ(メタ)アクリレート以上の多価(メ
タ)アクリレート化合物の使用が特に好ましい。
【0041】化合物(d2)は、樹脂組成物の粘性、相溶
性、塗布薄膜形成性や第1段硬化膜の物性、賦形加工性
等の調整と向上および賦形加工薄膜の耐熱性の向上に寄
与する。化合物(d2)は、1分子中に2個以上のエポキシ
基を有する脂肪族、脂環族、芳香族や複素環族化合物で
あり、化合物(A)、光重合開始剤(B)およびエポキシ
樹脂硬化剤(C)との相溶性および化合物(d1)との相
溶性の良好な化合物が好ましい。化合物(d2)として
は、前記したエポキシ樹脂、即ち、芳香族エポキシ樹
脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、トリア
ジン環やヒダントイン環を有する複素環族エポキシ樹
脂、フェノール、クレゾールおよびビスフェノールA等
のノボラック型エポキシ樹脂、トリス(ヒドロキシフェ
ニル)メタン縮合型エポキシ樹脂、ビスフェノール・エ
ピクロルヒドリン縮合型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ
樹脂等がある。いずれも、本発明の化合物(A)を得る
ための原料となるエポキシ樹脂でもある。化合物(d2)
の具体例も前記したエポキシ樹脂と同じである。
【0042】本発明において、化合物(D)を配合する
場合には、その配合量は化合物(D)の種類によっても
異なるが、化合物(A)に対して100重量%以下、好まし
くは70重量%以下である。100重量%を越えると、本発
明の化合物(A)の特長が発現できなくなるので好まし
くない。
【0043】本発明の樹脂組成物は粘度の調整や塗布性
の向上のため、適当で適量な有機溶媒に溶解して使用さ
れるのが一般的である。適当な有機溶媒としては、芳香
族類、脂肪族のエステル類、エーテル類、ケトン類やエ
ーテルエステル類あるいは複素環類等であるが、本発明
に限定されるものはない。有機溶媒の沸点は100〜200℃
が好ましい。
【0044】本発明の樹脂組成物には必要に応じて、化
合物(A)の第1段硬化および第2段硬化を阻害しない範
囲であれば重合禁止剤、消泡剤、揺変性付与剤、レベリ
ング剤、帯電防止剤、光安定剤、カップリング剤、熱安
定剤、着色剤などの添加剤を少量添加してもよい。
【0045】[樹脂組成物の薄膜形成]本発明の樹脂組
成物を用いて表面に精密な賦形加工された耐熱性に優れ
た薄膜成形物を製造するには、まず本発明の樹脂組成物
を用いて基板上に薄膜を形成する。即ち、樹脂組成物を
基板上に塗布し、有機溶媒を気化することによって薄膜
を形成する。塗布は公知の塗布方法、例えば、バーコー
ト法、スピンコート法、ナイフコート法、ディッピング
コート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法等を用
いて所定の膜厚が得られるように行なえばよい。10μm
以下の膜厚の場合はスピンコート法が適している。
【0046】薄膜が形成される基板は特に制限されない
が、耐熱性や表面平滑性の優れているガラス基板が好ま
しい。含有される有機溶媒の気化に特別な方法というも
のはないが、本発明の樹脂組成物の溶液を塗布後、室温
か加温下で常圧下あるいは減圧下に放置すればよい。有
機溶媒気化後の膜厚は成形物の用途によって異なるが、
光拡散性反射板の場合では通常、1〜15μm、好ましくは
3〜10μmである。
【0047】[第1段硬化]続いて、基板上に形成され
た本発明の樹脂組成物薄膜を紫外線により硬化する(第
1段硬化)。薄膜に紫外線を照射することによって、薄
膜中の化合物(A)あるいは化合物(A)と化合物(d1)
との混合物を十分に光硬化させる。即ち、化合物(A)
あるいは化合物(A)と化合物(d1)との混合物は光重
合開始剤による(メタ)アクリロイル基の重合性二重結
合の重合反応によって硬化する。第1段硬化によって得
られたエポキシ基を含有する硬化薄膜は押し型による微
細な賦形加工に耐えるだけの強度、密着性等の膜物性を
有しており、賦形加工性は非常に良好である。この第1
段硬化を行なわないで押し型による賦形加工をしようと
しても、薄膜には全く強度等の物性はなく、破壊や変形
が起きるだけではなく、粘着性もあるので表面の賦形は
不可能である。
【0048】紫外線照射量は、通常、500〜5000mJ/cm
で十分に硬化する。紫外線の光源としては、超高圧水銀
灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライド灯、カー
ボンアーク灯、キセノン灯等がある。高圧水銀灯あるい
はメタルハライド灯の使用が好適である。紫外線の照射
は塗布薄膜の表面側から、あるいは透明基板であれば基
板の裏面側から行うことができる。また、塗布薄膜を透
明なフィルムやガラス板で被覆した状態で紫外線を照射
してもよい。
【0049】[表面賦形加工]続いて、紫外線硬化され
た薄膜に、押し型を使用して微細な賦形加工をする。押
し型としては金属製やセラミック製が最適である。即
ち、紫外線硬化された薄膜に押し型を押圧して、押し型
の微細形状を薄膜に転写させた後、離型する。上記した
ように、硬化薄膜は賦形され易い良好な膜物性を有する
ため、微細形状の賦形を比較的低圧で行なうことが可能
である。従って、薄膜の基板からの剥離や破壊あるいは
賦形の形状崩れ等は全くなく、離型性は非常に良好であ
る。
【0050】賦形加工の温度および時間は賦形が最良と
なるように適宜決定すればよいが、通常、100〜200℃で
3〜20秒間が好適である。押し型の圧力としては25〜75M
Pa程度の低圧で十分である。本発明の方法によれば、10
μm以下の寸法の微細で複雑な凹凸形状を精密に賦形す
ることができる。
【0051】硬化薄膜に賦形するための押し型の微細な
形状は本発明の方法にあっては自由で任意であり、上記
したようにμm単位の寸法の微細な凹凸形状であっても
硬化薄膜に良好な賦形が可能である。本発明においては
押し型の転写率が深さ方向で95%以上という良好な賦形
加工性を示す。
【0052】[第2段硬化]最後に、賦形された第1段硬
化薄膜を加熱により完全硬化させる(第2段硬化)。賦
形された薄膜を加熱することによって、薄膜中に残存含
有されるエポキシ基を熱硬化させる。即ち、表面賦形後
の第1段硬化薄膜中に残存するエポキシ基を、あるいは
化合物(d2)が含有するエポキシ基と一緒に、エポキシ
樹脂硬化剤によって架橋硬化させる。この場合、触媒型
硬化剤では開環架橋硬化反応となり、重付加型硬化剤で
は重付加架橋硬化反応となる。本発明においては、微細
形状の賦形後に、このような熱硬化によって賦形薄膜を
完全硬化させるため、加熱硬化による賦形薄膜の硬化収
縮は殆どなく、賦形状態がそのまま保持され、しかも耐
熱性の優れた賦形薄膜とすることができる。
【0053】加熱硬化条件は使用するエポキシ樹脂硬化
剤の種類によって異なるが、通常、硬化温度は150〜250
℃であり、硬化時間は15分〜5時間である。
【0054】このようにして得られた第2段硬化後の賦
形薄膜は軟化温度は250℃以上であり、優れた耐熱性を
有している。従って、例えば、光反射板とするために高
温条件下で蒸着法、スパッタリング法、イオン・プレイ
ティング法等の常法により金属薄膜の蒸着を行っても、
微細な形状は変形することがない。
【0055】本発明の方法によれば、例えば図1に示す
ような特開2000−267084号公報に開示されている光拡散
性反射板のような微細で複雑な形状でも精密に薄膜の表
面に賦形することができる。
【0056】図1に示す賦形薄膜1の形状においては、複
数列の尾根部3と複数列の谷部4がY軸方向に沿って交互
に繰り返している。各尾根部3は、X軸方向に沿って延び
ており、尾根部3の高さが周期的に変化し、尾根部3の頂
点3aと最下点3bが交互に配列されている。谷部4は一
定高さとなっている。従って、尾根部3と谷部4の間に位
置している帯状の傾斜面5も、X軸方向に沿って延びてお
り、尾根部3の頂点3aと谷部4を結ぶ稜線5aの左右の面
5b、5cは異なる方向に傾いている。このように、尾根
部3と谷部4の間の稜線5aの両側の面5b、5cで入射光
を異なる方向に反射させることができるため、面5b、5
cの傾きを適正化することにより出射光を両目の視野の
方向にのみ出射させることができる。尾根部と谷部の寸
法、例えば、尾根部における頂点間の距離rと谷部間の
距離s、尾根部の頂点の高さtはいずれも5μm以下であ
る。
【0057】本発明の方法によれば、図1で例示したよ
うな微細で複雑な形状を薄膜に精密に賦形できるため、
視認性に優れた反射型液晶表示装置の部材としての光拡
散性反射板を提供できる。
【0058】
【実施例】以下の実施例により本発明を具体的に示す
が、本発明は実施例に限定されるものではない。試験と
測定は次記する方法に従った。 賦形加工性試験 縦3.0mm×横3.0mm×高さ1.0mmの表面に深さ1μmで先端
間隔2μmの断面が三角形の形状を配列した賦形用金型を
用いた。厚さ0.7mmのガラス基板上の紫外線硬化(第1段
硬化)した樹脂薄膜と賦形用金型を加熱板間にはさみ、
50MPaの加圧下、所定の温度と時間で樹脂薄膜表面に賦
形加工した。続いて、所定の温度と時間で加熱硬化(第
2段硬化)した。賦形後の樹脂薄膜表面の中央部を1mmに
わたって三角形状の賦形状態を触針式表面凹凸計(KLA
Tencor社製:型式HRP-100)を用いて測定し、樹脂薄膜
表面の賦形状態を測定し、金型寸法に対する深さ方向の
転写率を算出した。
【0059】軟化温度 ガラス基板上の加熱硬化(第2段硬化)した樹脂薄膜を
試験片としてJIS K7196の試験方法に準じて針入モード
式TMA測定装置(理学電機(株)製:型式TAS100)を用い
て測定した。
【0060】(実施例1)オルソクレゾール・ノボラッ
ク型エポキシ樹脂(平均分子量=約1700、エポキシ当量
=約210g/eq)85.0gとメタクリル酸18.1gとをエチレン
グリコールメチルエーテルアセテート210.0g中でトリエ
チルアミン0.4gを触媒とする常法に従って反応させてメ
タクリロイル基とエポキシ基を共有する化合物を合成
し、続いてメタノールを用いる再沈殿法により精製し、
さらに乾燥して粉末状の化合物(I)を得た。
【0061】この化合物(I)7.0gとトリメチロールプ
ロパントリメタクリレート3.0gをエチレングリコールジ
エチルエーテル20.0gに溶解した溶液に、光重合開始剤
として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパ
ン−1−オン0.3gとエポキシ樹脂硬化剤として2−エチル
−4−メチルイミダゾール1.0gを添加し、溶解して紫外
線硬化/熱硬化型樹脂組成物(1)の溶液とした。
【0062】ガラス基板上にバーコーターを用いて樹脂
組成物(1)の溶液を塗布した後、室温放置し、次いで
加温により溶媒を気化させて、厚さ約10μmの樹脂組成
物(1)の塗布膜を形成した。この塗布膜に水冷式高圧
水銀灯により照射量3600mJ/cm2の紫外線を照射し硬化
(第1段硬化)させた。この硬化薄膜表面に賦形用金型
を用いて150℃で10秒間かけて賦形加工した後、200℃で
30分間加熱硬化(第2段硬化)させた。得られた硬化薄
膜の表面賦形状態を測定したところ、先端部と谷部にわ
ずかに丸みはあるものの賦形状態は非常に良好であり、
転写率は95%であった。また、この硬化薄膜の軟化温度
は250℃以上であった。
【0063】(実施例2)実施例1の樹脂組成物(1)の
トリメチロールプロパントリメタクリレートの代わりに
ビスフェノールAジグリシジルエーテルを同量使用する
以外は実施例1と同じ樹脂組成とした紫外線硬化/熱硬
化型樹脂組成物(2)の溶液を得た。次に、実施例1と同
様の手順に従って樹脂組成物(2)を2段硬化させて表面
に賦形された硬化薄膜を得た。得られた硬化薄膜の表面
賦形状態を測定したところ、先端部と谷部にわずかに丸
みがあるものの賦形状態は非常に良好であり、転写率は
95%であった。また、この硬化薄膜の軟化温度は250℃
以上であった。
【0064】(実施例3)N,N,N',N'−テトラグリシジル
−4,4'−ジアミノジフェニルメタン84.5gとメタクリル
酸34.4gとをメチルイソブチルケトン80.0g中でトリエチ
ルアミン0.4gを触媒とする常法に従って反応させてメタ
クリロイル基とエポキシ基を共有する化合物を合成し、
続いて減圧下で未反応のメタクリル酸と触媒および溶媒
を留去して液状の化合物(II)を得た。この化合物(I
I)10.0gをエチレングリコールメチルエーテルアセテー
ト20.0gに溶解した溶液に、光重合開始剤として2−メチ
ル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モリフォリノ
プロパン−1−オン0.3gとエポキシ樹脂硬化剤として4、
4’−ジアミノジフェニルスルホン3.0gを混合し、溶解
して紫外線硬化/熱硬化型樹脂組成物(3)の溶液とし
た。ガラス基板上にスピンコーターを用いて樹脂組成物
(3)の溶液を塗布した後、室温に放置し、次いで加温
により溶剤を気化させて、厚さ約10μmの樹脂組成物
(3)の塗布膜を形成した。
【0065】この塗布膜に水冷式高圧水銀灯により照射
量3600mJ/cm2の紫外線を照射し硬化(第1段硬化)させ
た。この硬化薄膜表面に賦形用金型を用いて150℃で10
秒間かけて賦形加工した後、200℃で2時間加熱硬化(第
2段硬化)させた。得られた硬化薄膜の表面賦形状態を
測定したところ、先端部と谷部にわずかに丸みはあるも
のの賦形状態は非常に良好であり、転写率は96%であっ
た。また、この硬化薄膜の軟化温度は250℃以上であっ
た。
【0066】(実施例4)トリグリシジルイソシアヌレ
ート89.2gとメタクリル酸38.7gとをエチレングリコール
エチルエーテルアセテート130.0g中でトリエチルアミン
0.7gを触媒とする常法に従って反応させてメタクリロイ
ル基とエポキシ基を共有する化合物を合成し、続いて減
圧下で未反応のメタクリル酸と触媒および溶媒を留去し
て固体の化合物(III)を得た。この化合物(III)6.0g
とジメチロールトリシクロデカンジメタクリレート4.0g
をエチレングリコールジエチルエーテル20.0gに溶解し
た溶液に、光重合開始剤としてイルガキュア1700(チバ
・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製品)0.2gとエポキシ
樹脂硬化剤としてメチルナジック酸無水物2.7gおよび硬
化促進剤としてトリフェニルホスフィン0.1gを混合し、
溶解して紫外線硬化/熱硬化型樹脂組成物(4)の溶液
とした。ガラス基板上にスピンコーターを用いて樹脂組
成物(4)の溶液を塗布したのち室温に放置し、次いで
加温により溶媒を気化させて厚さ約10μmの樹脂組成物
(4)の塗布膜を形成した。
【0067】この塗布膜に水冷式高圧水銀灯により照射
量3600mJ/cm2の紫外線を照射し硬化(第1段硬化)させ
た。この硬化薄膜表面に賦形用金型を用いて150℃で10
秒間かけて賦形加工した後、200℃で2時間加熱硬化(第
2段硬化)させた。得られた硬化薄膜の表面賦形加工状
態を測定したところ、先端部と谷部にわずかに丸みはあ
るものの賦形状態は非常に良好であり、転写率は96%で
あった。また、この硬化薄膜の軟化温度は250℃以上で
あった。
【0068】この賦形された硬化薄膜の表面に常法に従
ってアルミニウムを厚さ約0.1μm蒸着し光拡散性反射板
を作製した。この光拡散反射板の可視光の30°角での反
射率を標準白色板(酸化マグネシウム)を基準とした方
法により測定したところ350%であり、非常に良好な値
を示した。また、反射光は殆ど無彩色であった。
【0069】(比較例1)実施例1の樹脂組成物(1)の
溶液を用いて実施例1と同じ手順に従って、ガラス基板
上に塗布膜を形成し、続いて紫外線硬化(第1段硬化)
させ、賦形加工しないまま加熱硬化(第2段硬化)させ
て硬化薄膜を得た。この硬化薄膜表面に150℃において
圧力や時間を変えて賦形加工を試みたが、薄膜が硬くて
柔軟性に欠けるため崩れた形状としかならず賦形状態は
非常に不良であった。転写率は測定できなかった。加熱
板温度200℃および250℃においても賦形加工を試みたが
同様な結果しか得られなかった。
【0070】(比較例2)実施例1の樹脂組成物(1)の
光重合開始剤である2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フ
ェニルプロパン−1−オンを配合しない以外は実施例1と
同じ樹脂成分とした樹脂組成物(a)の溶液を得た。こ
の樹脂組成物(a)の溶液を実施例1と同様にしてガラス
基板上に塗布し、溶媒を気化させたのち、形成された塗
布膜に紫外線を照射量10000mJ/cm2になるまで照射した
が、塗布膜の硬化現象は認められなかった。
【0071】(比較例3)実施例1の樹脂組成物(1)の
エポキシ樹脂硬化剤である2−エチル−4−メチルイミダ
ゾールを配合しない以外は実施例1と同じ樹脂成分とし
た樹脂組成物(b)の溶液を得た。次に、実施例1と同様
の手順と条件に従って樹脂組成物(b)を2段硬化させて
賦形加工した硬化薄膜を得た。この硬化薄膜の表面の賦
形状態を測定したが、賦形は崩れてしまい、形状をなし
ていなかった。転写率は測定できなかった。
【0072】(比較例4)実施例2の樹脂組成物(2)に
エポキシ樹脂硬化剤である2−エチル−4−メチルイミダ
ゾールを配合しない以外は実施例2と同じ樹脂成分とし
た樹脂組成物(c)の溶液を得た。次に、実施例1と同様
の手順と条件に従って樹脂組成物(c)を2段硬化させて
賦形加工した硬化薄膜を得た。この硬化薄膜の表面の賦
形状態を測定したが、賦形は崩れてしまい、形状をなし
ていなかった。転写率は測定できなかった。
【0073】(比較例5)実施例3の樹脂組成物(3)の
溶液を用いて実施例3と同じ手順と条件に従ってガラス
基板上に塗布膜を形成し、続いて紫外線硬化(第1段硬
化)させ、賦形加工しないまま加熱硬化(第2段硬化)
させて硬化薄膜を得た。この硬化薄膜表面に150℃にお
いて圧力や時間を変えて賦形加工を試みたが、薄膜が硬
くて柔軟性に欠けるため崩れた形状としかならず、賦形
状態は非常に不良であった。転写率は測定できなかっ
た。加熱板温度200℃および250℃においても賦形加工を
試みたが同様な結果しか得られなかった。
【0074】(比較例6)実施例3の樹脂組成物(3)の
エポキシ樹脂硬化剤である4,4’−ジアミノジフェニル
スルホンを配合しない以外は実施例3と同じ樹脂成分と
した樹脂組成物(d)の溶液を得た。次に、実施例3と同
様の手順と条件に従って樹脂組成物(d)を2段硬化させ
て賦形加工した硬化薄膜を得た。この硬化薄膜の表面賦
形状態を測定したが、賦形は崩れてしまい、形状をなし
ていなかった。転写率は測定できなかった。
【0075】(比較例7)実施例4の樹脂組成物(4)の
溶液を用いて実施例4と同じ手順と条件に従ってガラス
基板上に塗布膜を形成し、続いて紫外線硬化(第1段硬
化)させ、賦形加工しないまま加熱硬化(第2段硬化)
させて硬化薄膜を得た。この硬化薄膜表面に150℃にお
いて圧力や時間を変えて賦形加工を試みたが崩れた形状
としかならず、賦形状態は非常に不良であった。転写率
は測定できなかった。加熱板温度200℃および250℃にお
いても賦形加工を試みたが、同様な結果しか得られなか
った。
【0076】(比較例8)実施例4の樹脂組成物(4)の
エポキシ樹脂硬化剤であるメチルナジック酸無水物と硬
化促進剤であるトリフェニルホスフィンを配合しない以
外は実施例4と同じ樹脂組成とした樹脂組成物(e)の溶
液を得た。次に、実施例4と同様の手順と条件に従って
樹脂組成物(e)を2段硬化させて賦形加工した硬化薄膜
を得た。この硬化薄膜の表面状態を測定したが、賦形は
崩れてしまい、形状をなしてはいなかった。転写率は測
定できなかった。
【0077】
【発明の効果】本発明は以下に示すような効果を実現で
きる。 ・押し型を使用した低圧での微細な寸法の賦形が可能で
ある。 ・第1段硬化後の膜物性が良好なので、押し型による賦
形時に薄膜の崩れ、膜破壊や基板からの剥離がない。従
って、微細で寸法精度のよい賦形が可能である。 ・加熱硬化(第2段硬化)により、賦形された薄膜の膜
物性は一層向上し、耐熱性にも優れた薄膜となる。 ・得られた光拡散性反射板は耐熱性に優れるため、液晶
表示素子の製造工程で耐熱性不良が原因となる問題を生
じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による賦形が可能な微細な表面形状を
有する光拡散性反射板の一例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
1:賦形された薄膜層、2:基板、3:尾根部、4:谷部、
5:傾斜面。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 1/04 G02B 1/04 4J027 5/02 5/02 C 4J036 5/08 5/08 A C G02F 1/1335 520 G02F 1/1335 520 G03F 7/004 511 G03F 7/004 511 7/027 515 7/027 515 // B29K 63:00 B29K 63:00 B29L 9:00 B29L 9:00 31:00 31:00 Fターム(参考) 2H025 AA13 AA16 AB20 AC01 AD01 BC13 BC74 BJ00 CC20 FA39 2H042 BA05 BA15 BA20 DA02 DA11 DA21 DB08 DC08 DC12 DD01 DE04 2H091 FA16Y FA16Z FB03 FB04 FB06 FC22 FC23 FC25 FD06 LA04 4F100 AB01B AB10B AB33B AK25A AK25J AK53A AK53J AL01A AL05A BA02 BA07 CA02A CA30A EH46 EH66 EJ17 EJ42 EJ54 GB41 JJ03 JL04 YY00A 4F209 AA39 AB04 AG05 AH78 AH81 PA02 PB01 PC05 PW43 4J027 AE01 BA07 BA11 BA13 BA19 BA26 BA28 CB10 CC05 CD08 4J036 AA01 CA21 DA01 HA02 JA15

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)1分子中に1個以上の(メタ)アク
    リロイル基と1個以上のエポキシ基を共有する化合物、 (B)光重合開始剤、および (C)エポキシ樹脂硬化剤 を必須成分とする紫外線硬化/熱硬化型樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (D)1分子中に1個以上の(メタ)アク
    リロイル基または1分子中に2個以上のエポキシ基を有す
    る化合物をさらに配合した請求項1に記載の樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 (1)請求項1または2に記載の樹脂組成
    物を用いて薄膜を形成する工程、 (2)形成された薄膜を紫外線により硬化する工程(第1
    段硬化)、 (3)紫外線硬化された薄膜に押し型を使用して賦形す
    る工程、および (4)賦形された薄膜を熱により硬化する工程(第2段硬
    化) からなることを特徴とする表面賦形薄膜成形物の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の方法によって製造され
    た薄膜成形物の表面に金属薄膜を積層したことを特徴と
    する光拡散性反射板。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の光拡散性反射板が部材
    として装着されていることを特徴とする反射型液晶表示
    装置。
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