JP2003128461A - 耐久性に優れたジルコニア質焼結体およびそれを用いた粉砕・分散機用部材 - Google Patents
耐久性に優れたジルコニア質焼結体およびそれを用いた粉砕・分散機用部材Info
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Abstract
耐久性にすぐれたジルコニア質焼結体およびそれを用い
た粉砕・分散機用部材の提供。 【解決手段】 (a)主として正方晶からなるY2O3
系ジルコニア質焼結体において、(b)Y2O3/Zr
O2モル比が1.5/98.5〜4/96、(c)Si
O2含有量が0.05〜2.5重量%、(d)Al2O
3含有量が0.05〜3.0重量%、(e)平均結晶粒
径が0.7μm以下、(f)SiO2/(Na2O、K
2O、CaO、Fe2O3の合計量)の重量比が5以
上、(g)かさ密度が5.70g/cm3以上であり、
かつ(h)式SiO2(重量%)×平均結晶粒径(μ
m)=0.03〜0.5を満足するものであることを特
徴とする耐久性に優れたジルコニア質焼結体およびそれ
を用いた粉砕・分散機用部材。
Description
コニア質焼結体に関する。本明細書において耐久性にす
ぐれるとは、60℃程度かそれ以上の高温あるいは温
水、高湿度雰囲気中に長時間曝されても熱劣化や転移に
よる強度低下や寸法変化がほとんど起こらず、正方晶系
ジルコニアから単斜晶系ジルコニアへの転移による熱劣
化が少ないことを指す。本発明によるジルコニア質焼結
体は耐久性に優れるため、60℃程度かそれ以上の高温
あるいは温水、高湿度雰囲気中で特に負荷のかかる条件
下で長時間曝された場合の腐食が少なく、腐食による機
械的特性の低下がなく、機械的特性が高いため粉砕機用
部材、産業用耐摩耗構造材のみならず光ファイバー用コ
ネクター等の電子及び通信機器部品としても広く利用で
きる。
は、微粉化と高純度化が要求され、使用される粉砕機
は、従来のボールミルから高速で粉砕・分散メディアを
撹拌することにより高い粉砕・分散効率を有する媒体撹
拌型粉砕機が主流となっている。このような粉砕機は粉
砕機用部材に加わる負荷がかなり大きいことから耐衝撃
性、耐摩耗性にすぐれた主として正方晶系ジルコニアか
らなるY2O3強化ジルコニア(Y−TZP)製粉砕機
用部材が用いられている。
用する場合、粉砕機内の温度上昇は避けられず、高温で
かつ水などの腐食成分に曝されると同時に、高速で粉砕
・分散メディアを攪拌するため粉砕機用部材は、かなり
の負荷を受けるので、強度や耐摩耗性などの機械的特性
に対し長時間安定した耐久性を有することが重要とな
る。
いられているジルコニアフェルールにおいても50℃以
上での長時間使用しても転移による形状変化などが生じ
ないという点での耐久性に100%の信頼性が必要であ
る。
TZP)はすぐれた機械的性質を有しているが、200
〜300℃の特定温度域において正方晶系ジルコニアか
ら単斜晶系ジルコニアへ転移し、強度低下につながる熱
劣化を起こすことが知られており、特公昭61−211
84号などにその防止法が多く提案されている。しか
し、最近60℃程度かそれ以上の高温あるいは温水、高
湿度雰囲気中で特に負荷のかかる条件下で長時間曝され
た場合において、強度や耐摩耗性などの機械的性質が低
下したり、微小な寸法変動が生じたりする問題点が明ら
かとなっており、200〜300℃での熱劣化の防止法
では改善できないことが分ってきた。
負荷のかかった場合の耐久性は、結晶構造を微細化する
ほど向上するが、その反面、水などの腐食成分に対する
抵抗性が低下するため、60℃程度かそれ以上の高温あ
るいは温水、高湿度雰囲気中で負荷のかかる状態では使
用が困難であった。
安定性にすぐれた焼結体とするため、結晶粒径をある範
囲内に限定し、Al2O3、SiO2、TiO2よりな
る第3成分を特定量添加する方法が提案されている。し
かし、Al2O3、SiO2、TiO2よりなる第3成
分を添加しても、アルカリ金属、アルカリ土類金属酸化
物などの不純物で、ガラス相が形成され、耐久性の低下
につながる危険性があり、Al2O3、SiO2、Ti
O2よりなる第3成分の添加だけでは充分な改善は得ら
れない。上記特許における防御法では200℃付近での
温水または高湿度雰囲気中に曝された場合の熱劣化は防
ぐことは可能であるが、60℃程度のより実用的な範囲
で、特に負荷のかかった場合における耐久性低下を完全
に防止するまでには至っていない。
℃程度かそれ以上の高温あるいは温水、高湿度雰囲気中
に曝された場合など特に負荷のかかった場合においても
すぐれた熱安定性、耐腐食性を示し、長時間安定し、す
ぐれた機械的特性、特に耐摩耗性を有する耐久性にすぐ
れたジルコニア質焼結体およびそれを用いた粉砕・分散
機用部材を提供する点にある。
現状を鑑み鋭意研究を重ねてきた結果、60℃程度かそ
れ以上の高温あるいは温水、高湿度雰囲気中における強
度や耐摩耗性などの機械的性質の低下は、200〜30
0℃における熱安定性によるものとは異なる原因である
ことを見出した。すなわち、200〜300℃における
熱劣化は、準安定の正方晶系ジルコニアが安定な単斜晶
系ジルコニアに転移することに起因するとされており、
Y2O3やCeO2等の安定化剤を増量することにより
熱劣化が抑制されることが知られている。
温水、高湿度雰囲気中に曝された場合の強度や機械的特
性の低下は、粒界または粒界面に不均質に存在するガラ
ス相や粒界に偏析している非晶質相、Y2O3などが水
によって応力腐食することに起因すると推考される。S
iO2はZrO2結晶粒界近傍に偏析し、熱劣化を抑制
する効果があるが、同時にアルカリ金属、アルカリ土類
金属酸化物などの不純物が共存するとZrO2結晶粒界
にガラス相を形成し、応力腐食に対する抵抗性が低下す
るという問題点を有していることが明確となった。この
ことから、SiO2の添加量だけでなく、SiO2量に
対するアルカリ金属、アルカリ土類金属酸化物などの不
純物量を制御することが重要であることを見い出した。
また、ZrO2結晶粒界におけるSiO2の偏析が均質
かつ適切な量であることが重要で、結晶粒径によって粒
界表面積が異なるため、すぐれた耐久性を有するには結
晶粒径に応じたSiO2添加量の制御が重要であること
も見い出した。
ア質焼結体において、Y2O3/ZrO2モル比、Al
2O3およびSiO2の第3成分量、結晶粒径、かさ密
度、さらには、SiO2量と平均結晶粒径の関係、Si
O2量とNa2O、K2O、CaOのアルカリ金属、ア
ルカリ土類金属酸化物や、Fe2O3、TiO2などの
不純物量との関係をある特定の範囲内に制御することに
より、60℃程度かそれ以上の高温あるいは温水、高湿
度雰囲気中での粒界腐食を抑制し、耐摩耗性などの負荷
がかかる場合でも、すぐれた耐久性を有することを見い
だし本発明を完成するに至った。
方晶からなるY2O3系ジルコニア質焼結体において、
(b)Y2O3/ZrO2モル比が1.5/98.5〜
4/96、(c)SiO2含有量が0.05〜2.5重
量%、(d)Al2O3含有量が0.05〜3.0重量
%、(e)平均結晶粒径が0.7μm以下、(f)Si
O2/(Na2O、K2O、CaO、Fe2O3の合計
量)の重量比が5以上、(g)かさ密度が5.70g/
cm3以上であり、かつ(h)式
0.03〜0.5 を満足するものであることを特徴とする耐久性に優れた
ジルコニア質焼結体に関する。本発明の第2は、TiO
2の含有量が0.3重量%以下である請求項1記載のジ
ルコニア質焼結体に関する。本発明の第3は、請求項1
または2記載の耐久性にすぐれたジルコニア質焼結体よ
りなることを特徴とする粉砕・分散機用部材に関する。
なお、本明細書において、「粉砕・分散機用部材」と
は、固体を乾式又は湿式で粉砕、分散あるいは解砕処理
するために使用する器具、治具、機械装置などにおける
固体と接触する部材の総称であり、粉砕・分散メディア
を包含するものである。「粉砕・分散機」としては、具
体的には粉砕機、分散機、解砕機、混合機、造粒機、整
粒機、撹拌機、乾燥機、運搬機などが含まれる。
ア質焼結体が充足すべき各要件について詳細に説明す
る。
2O3系ジルコニア質焼結体である点について ジルコニア質焼結体に単斜晶系ジルコニアが含有されて
いるとその結晶周辺に微細なクラックが生じ、応力が負
荷されるとこの微細なクラックを起点として微小破壊が
起こり、摩擦、衝撃、圧壊等に対する抵抗性が低下する
ので好ましくない。また、同時に60℃程度またはそれ
以上の高温あるいは温水、高湿度雰囲気中で負荷がかか
った場合の耐久性が低下するので好ましくない。一方、
立方晶系ジルコニアを含有していると結晶粒径が大きく
なり、機械的特性の低下が起こるだけでなく、結晶粒界
付近にY2O3が偏析しやすくなって耐久性の低下をき
たすので好ましくない。
ある単斜晶系ジルコニア(M)の存在の有無及び含有
量、正方晶系ジルコニア(T)及び立方晶系ジルコニア
(C)の量については以下の方法でX線回折により求め
る。即ち、焼結体及び加工した焼結体製品の表面は応力
誘起相変態により正方晶系ジルコニアから単斜晶系ジル
コニアに変態しており、真の結晶相を同定することがで
きないので、焼結体表面を鏡面にまで研磨し、X線回折
により、回折角27〜34度の範囲で測定し、単斜晶系
ジルコニアの有無及び含有量を下記で示した式から求め
る。
ルコニアは、単斜晶系ジルコニアの有無を確認した方法
と同様にして、X線回折により、回折角70〜77度の
範囲で測定し、次式により求める。
立方晶系ジルコニアを10容量%、単斜晶系ジルコニア
を5容積%まで許容することができる。
Y2O3/ZrO2モル比を1.5/98.5〜4/9
6の範囲とする点について 本発明のジルコニア焼結体におけるY2O3/ZrO2
モル比は、1.5/98.5〜4/96、好ましくは2
/98〜3.5/96.5の範囲内とする。通常ZrO
2原料中に少量含有することのあるHfO2が混入して
いても良く、このHfO2量を含めたZrO2とHfO
2の合量をZrO2量とする。Y2O3/ZrO2モル
比が1.5/98.5未満の場合には焼結体中の単斜晶
系ZrO2量が増加し、焼結体内部にクラックが発生し
て、長時間負荷のかかる状態で使用するとクラックが進
展し、割れや欠けが発生し、結果的に耐久性の低下をき
たすので好ましくない。一方、Y2O3/ZrO2モル
比が4/96を越えると正方晶系ZrO2量が低下し、
立方晶系ZrO2量が増加し、機械的特性が低下するの
で好ましくない。
の稀土類酸化物の1種または2種以上で置換したものも
用いることができる。このような稀土類酸化物として
は、CeO2、Nd2O3、Yb2O3、Dy2O3等
が安価な点で好ましい。
SiO2の含有量を0.05〜2.5重量%とする点に
ついて 本発明のジルコニア焼結体におけるSiO2は、0.0
5〜2.5重量%、好ましくは0.05〜2.0重量%
とする。SiO2はZrO2結晶粒界近傍に偏析してお
り、SiO2がZrO2結晶粒界に存在することにより
応力腐食を抑制し、さらに、ZrO2結晶粒界結合を強
化する効果があるため、負荷がかかった場合の耐久性向
上に効果がある。SiO2が2.5重量%を越える場合
は、ZrO2結晶粒界に非晶質相およびガラス相が多く
形成され、ZrO2結晶粒界結合を低下させ、応力腐食
が進みやすく、正方晶から単斜晶への変態量が低下し、
その結果、機械的性質および耐久性の低下を招くので好
ましくない。SiO2量が0.05重量%未満である
と、ZrO2結晶粒界にSiO2が存在しない部分がで
きるため、応力腐食を抑制できなくなり耐久性に対する
効果がなく好ましくない。
Al2O3の含有量を0.05〜3.0重量%とする点
について 本発明のジルコニア焼結体におけるAl2O3含有量
は、0.05〜3.0重量%、好ましくは0.05〜
2.0重量%とする。Al2O3はZrO2結晶粒界に
Al2O3結晶粒子として存在するだけでなく、ZrO
2結晶粒界及び粒界極近傍に偏析している。Al2O3
の添加は焼結性の向上、微構造の均一化に効果があるだ
けでなく、60℃程度またはそれ以上の高温あるいは温
水、高湿度雰囲気中における特性低下を抑制する効果が
ある。さらに、ZrO2結晶粒界の強化効果があるので
耐衝撃性等の機械的特性にすぐれたものとなる。Al2
O3含有量が0.05重量%未満の場合は、Al2O3
添加の効果がなく、3.0重量%を越える場合は、Zr
O2結晶粒界にAl2O3結晶粒子が多く存在すること
になり耐久性の低下が起こるので好ましくない。
平均結晶粒径を0.7μm以下とする点について 本発明のジルコニア焼結体における平均結晶粒径は、
0.7μm以下、好ましくは0.5μm以下とする。結
晶粒径は小さいほど耐摩耗性などの機械的特性が向上す
るので好ましいが、現状の微細化技術では0.1μm程
度が限界である。平均結晶粒径が0.7μmを越える場
合には耐摩耗性、耐久性が低下するだけでなく、耐摩耗
性等の機械的性質が低下するので好ましくない。なお、
平均結晶粒径は焼結体表面を鏡面まで研磨し、次いで熱
エッチングもしくは化学エッチングを施した後、走査電
子顕微鏡で観察してインターセプト法により10点測定
した平均値とする。算出式は下記の通りである。
子数、 L:測定長さ(μm)
SiO2/(Na2O、K2O、CaO、Fe2O3の
合計量)重量比を5以上とする点について 本発明のジルコニア焼結体におけるSiO2/(Na2
O、K2O、CaO、Fe2O3の合計量)重量比は5
以上、好ましくは10以上とする。SiO2/(Na2
O、K2O、CaO、Fe2O3の合計量)重量比が5
未満であると、SiO2とNa2O、K2O、CaO、
Fe2O3とがガラス相を粒界に多く形成するため、腐
食が起こり、その結果、ZrO2結晶が正方晶から単斜
晶へ変態しやすくなり、機械的特性及び耐久性の低下を
招くので好ましくない。Na2O、K2O、CaO、F
e2O3などは不純物であり、故意に入れるものではな
いから少ないほどガラス相やアモルファス相が生成しな
いので望ましいことである。しかし、今の技術ではこれ
ら不純物の合計量の最低値は0.008重量%程度であ
る。
かさ密度を5.70g/cm3以上とする点について 本発明のジルコニア焼結体におけるかさ密度は5.70
g/cm3以上、好ましくは5.80g/cm3以上と
する。かさ密度が5.70g/cm3未満の場合には摩
擦、衝撃などの外部応力に対する抵抗性が劣ると同時
に、60℃程度か温水による腐食に対する抵抗性が低下
するので好ましくない。かさ密度はSiO 2の量が増え
ると若干低くなるが特許請求の範囲に示す本発明の組成
範囲では理論密度が6.1g/cm3であるから、これ
が実質的に上限である。
0.03〜0.5 を満足する点について 本発明のジルコニア焼結体におけるSiO2(重量%)
×平均結晶粒径(μm)は、0.03〜0.5、好まし
くは0.03〜0.3の範囲とする。SiO2はZrO
2結晶粒界近傍に偏析して応力腐食を抑制し、耐久性が
向上するが、結晶粒径によって粒界表面積が異なるた
め、結晶粒界に均質にSiO2を存在させるには、結晶
粒径に対するSiO2量をある範囲内に調整することが
必要である。SiO2(重量%)×平均結晶粒径(μ
m)が0.5を超えると、ZrO2結晶粒界近傍に存在
するSiO2が余剰となり、粒界に非晶質相やガラス相
が多く形成されたり、ZrO2結晶粒界結合の低下、正
方晶から単斜晶への変態量の低下をきたし、その結果、
機械的性質、耐摩耗性、耐久性の低下を招くので好まし
くない。SiO2(重量%)×平均結晶粒径(μm)が
0.03未満であると、ZrO2結晶粒界にSiO2が
存在しないところができるため応力腐食を抑制できなく
なり、耐久性に対する効果がなく好ましくない。
TiO2を0.3重量%以下とする点について 本発明のジルコニア焼結体におけるTiO2は0.3重
量%以下、好ましくは0.2重量%以下、より好ましく
は0.1重量%以下とする。TiO2量が0.3重量%
を超えると、TiO2がZrO2に固溶し、結晶粒径の
成長を促進させ、結晶粒径が大きくなり、その結果、耐
摩耗性、耐久性の低下を招くので好ましくない。TiO
2は不純物であり、少ない方が望ましいが、今の技術で
はTiO2不純物の最低値は0.004重量%程度であ
る。
結体は種々の方法で製造できる。下記にその一例を示す
が、この方法に限定されるものでない。
ニア粉体を使用することが必要である。即ち、ZrO2
とY2O3の含有量が所定のモル比となるようにジルコ
ニウム化合物(例えばオキシ塩化ジルコニウム)の水溶
液とイットリウム化合物(例えば塩化イットリウム)の
水溶液を均一に混合し、加水分解し、水和物を得、脱水
し、乾燥後、400〜1250℃で仮焼し、Y2O3、
Al2O3、SiO2以外の不純物の少ないジルコニア
粉体を得る方法が採用される。
化合物とイットリウム化合物の水溶液の混合物に塩の水
溶液として所定量添加しても良いし、後記する仮焼粉体
の粉砕・分散時に水酸化物、炭酸化物、酸化物等の形態
で添加しても良い。
し、必要により公知の成形助剤(ワックスエマルジョ
ン、PVA、アクリル系樹脂等)を加え、スプレードラ
イヤー等の公知の方法で乾燥させて成形粉体を得る。得
られた成形粉体粒度は平均粒子径0.5μm以下、より
好ましくは0.4μm以下であることが必要である。平
均粒子径が0.5μmを越える場合には焼結性の低下や
焼結体に耐久性および機械的性質の低下を招く欠陥が多
く含有するので好ましくない。
えばプレス成形、ラバープレス成形等の方法による成形
方法でも十分に本発明の焼結体を得ることができるが、
水を含有させた有機溶媒、可溶性高分子または水などを
成形助剤として湿式または液中にて成形する方法が好ま
しい。
0℃、好ましくは1150〜1400℃で焼成すること
によって焼結体を得る。さらに、必要に応じてHIP処
理を施すことにより摩擦、衝撃、圧壊等に対する抵抗性
を高くすることができ、機械的性質の向上、さらには耐
久性の向上ができる。HIP処理は常圧焼結後、Arな
どの不活性雰囲気、またはN2もしくはO2雰囲気下で
1100〜1400℃で行うことが好ましい。
本発明はこれにより何ら限定されるものでない。
9%の硝酸イットリウムを表1〜2の組成となるように
水溶液にして混合した。次に、この水溶液を加熱環流下
で加水分解し、Y2O3が固溶した水和ジルコニウムの
沈殿物を生成させ、脱水、乾燥し、400〜1000℃
で1時間仮焼し、得られたジルコニア粉体を湿式にて粉
砕した。なお、Y2O3以外の成分については、酸化物
もしくは塩の形態で粉砕時に所定量添加混合した。
し、成形用粉体とした。この成形用粉体を転動造粒成形
法により球状に成形した。得られた成形体を1000〜
1600℃で焼成して、直径1mmの球状の焼結体を得
た。直径1mmの球状の焼結体はバレル研磨によって仕
上げて試料を作製した。これらの試料の特性を表1〜2
に示す。比較例1〜20は本発明の要件の少なくとも1
つを満たしていないケースである。
った場合の耐久性についてテストを行った。上記で得た
直径1mmの球状試料1200ccを内容量1400c
cのダイノーミル(シンマルエンタープライゼス社製:
タイプKDL−PILOT)に入れ、共立窯業製BaT
iO3粉体(平均粒子径1.5μm、比表面積1.2m
2/g)を600gと水2400ccを混合した20重
量%濃度のBaTiO 3スラリーを60℃に保持し、3
00cc/minで60〜65℃の範囲に温度調整をし
ながら循環させ、ディスク周速8m/secで24時間
を1サイクルとし、10サイクル運転するテストを行い
各サイクル毎の単位時間あたりの摩耗率を測定した。摩
耗率はテスト前後の時間あたりの重量変化率として算出
した。サイクル毎の各試料の摩耗率の最大値を表に示
す。比較例15と19については焼結体のかさ密度が充
分でなかったため、摩耗率の測定は行わなかった。
いは温水、高湿度雰囲気中で負荷のかかった場合の耐久
性と200〜300℃での熱劣化との違いを明確にする
ため、上記直径1mmの球状試料を、内容積50ccの
オートクレーブに入れ、純水を20cc添加し、200
℃の条件下で50時間保持後、冷却し、取り出した試料
のクラック有無の確認を行った。クラックの確認できな
かったものについては、試料断面の顕微鏡観察を行い、
劣化層の深さの測定を行った。
れ以上の高温あるいは温水、高湿度雰囲気中と、200
℃〜300℃での熱劣化とは異なり、本発明の耐久性に
すぐれたジルコニア質焼結体は、60℃程度かそれ以上
の高温あるいは温水、高湿度雰囲気中で負荷のかかった
場合においてもすぐれた耐久性を示すことが明らかであ
り、本発明の要件を一つでも満たさない場合は耐久性に
欠けるものとなる。
久性にすぐれるため、60℃程度かそれ以上の高温ある
いは温水、高湿度雰囲気中で曝された場合やさらには負
荷のかかる場合にも、腐食による機械的特性の低下がな
く、長時間安定した耐久性を有するものである。また、
機械的特性が高いため粉砕機用部材、産業用耐摩耗構造
材のみならず光ファイバー用コネクター等の電子及び通
信機器部品としても広く利用できる。
Claims (3)
- 【請求項1】 (a)主として正方晶からなるY2O3
系ジルコニア質焼結体において、(b)Y2O3/Zr
O2モル比が1.5/98.5〜4/96、(c)Si
O2含有量が0.05〜2.5重量%、(d)Al2O
3含有量が0.05〜3.0重量%、(e)平均結晶粒
径が0.7μm以下、(f)SiO2/(Na2O、K
2O、CaO、Fe2O3の合計量)の重量比が5以
上、(g)かさ密度が5.70g/cm3以上であり、
かつ(h)式 【数1】SiO2(重量%)×平均結晶粒径(μm)=
0.03〜0.5 を満足するものであることを特徴とする耐久性に優れた
ジルコニア質焼結体。 - 【請求項2】 TiO2の含有量が0.3重量%以下で
ある請求項1記載のジルコニア質焼結体。 - 【請求項3】 請求項1または2記載の耐久性に優れた
ジルコニア質焼結体よりなることを特徴とする粉砕・分
散機用部材。
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