JP2003128461A - 耐久性に優れたジルコニア質焼結体およびそれを用いた粉砕・分散機用部材 - Google Patents

耐久性に優れたジルコニア質焼結体およびそれを用いた粉砕・分散機用部材

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 すぐれた機械的特性、特に耐摩耗性を有する
耐久性にすぐれたジルコニア質焼結体およびそれを用い
た粉砕・分散機用部材の提供。 【解決手段】 (a)主として正方晶からなるY
系ジルコニア質焼結体において、(b)Y/Zr
モル比が1.5/98.5〜4/96、(c)Si
含有量が0.05〜2.5重量%、(d)Al
含有量が0.05〜3.0重量%、(e)平均結晶粒
径が0.7μm以下、(f)SiO/(NaO、K
O、CaO、Feの合計量)の重量比が5以
上、(g)かさ密度が5.70g/cm以上であり、
かつ(h)式SiO(重量%)×平均結晶粒径(μ
m)=0.03〜0.5を満足するものであることを特
徴とする耐久性に優れたジルコニア質焼結体およびそれ
を用いた粉砕・分散機用部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐久性に優れたジル
コニア質焼結体に関する。本明細書において耐久性にす
ぐれるとは、60℃程度かそれ以上の高温あるいは温
水、高湿度雰囲気中に長時間曝されても熱劣化や転移に
よる強度低下や寸法変化がほとんど起こらず、正方晶系
ジルコニアから単斜晶系ジルコニアへの転移による熱劣
化が少ないことを指す。本発明によるジルコニア質焼結
体は耐久性に優れるため、60℃程度かそれ以上の高温
あるいは温水、高湿度雰囲気中で特に負荷のかかる条件
下で長時間曝された場合の腐食が少なく、腐食による機
械的特性の低下がなく、機械的特性が高いため粉砕機用
部材、産業用耐摩耗構造材のみならず光ファイバー用コ
ネクター等の電子及び通信機器部品としても広く利用で
きる。
【0002】
【従来技術】近年、電子材料等の高機能材料の製造に
は、微粉化と高純度化が要求され、使用される粉砕機
は、従来のボールミルから高速で粉砕・分散メディアを
撹拌することにより高い粉砕・分散効率を有する媒体撹
拌型粉砕機が主流となっている。このような粉砕機は粉
砕機用部材に加わる負荷がかなり大きいことから耐衝撃
性、耐摩耗性にすぐれた主として正方晶系ジルコニアか
らなるY強化ジルコニア(Y−TZP)製粉砕機
用部材が用いられている。
【0003】媒体攪拌型粉砕機に粉砕機用部材として使
用する場合、粉砕機内の温度上昇は避けられず、高温で
かつ水などの腐食成分に曝されると同時に、高速で粉砕
・分散メディアを攪拌するため粉砕機用部材は、かなり
の負荷を受けるので、強度や耐摩耗性などの機械的特性
に対し長時間安定した耐久性を有することが重要とな
る。
【0004】また、光ファイバーのコネクターとして用
いられているジルコニアフェルールにおいても50℃以
上での長時間使用しても転移による形状変化などが生じ
ないという点での耐久性に100%の信頼性が必要であ
る。
【0005】一方、このY強化ジルコニア(Y−
TZP)はすぐれた機械的性質を有しているが、200
〜300℃の特定温度域において正方晶系ジルコニアか
ら単斜晶系ジルコニアへ転移し、強度低下につながる熱
劣化を起こすことが知られており、特公昭61−211
84号などにその防止法が多く提案されている。しか
し、最近60℃程度かそれ以上の高温あるいは温水、高
湿度雰囲気中で特に負荷のかかる条件下で長時間曝され
た場合において、強度や耐摩耗性などの機械的性質が低
下したり、微小な寸法変動が生じたりする問題点が明ら
かとなっており、200〜300℃での熱劣化の防止法
では改善できないことが分ってきた。
【0006】20℃程度の比較的低温での耐摩耗性等の
負荷のかかった場合の耐久性は、結晶構造を微細化する
ほど向上するが、その反面、水などの腐食成分に対する
抵抗性が低下するため、60℃程度かそれ以上の高温あ
るいは温水、高湿度雰囲気中で負荷のかかる状態では使
用が困難であった。
【0007】特開2000−302548号公報に、熱
安定性にすぐれた焼結体とするため、結晶粒径をある範
囲内に限定し、Al、SiO、TiOよりな
る第3成分を特定量添加する方法が提案されている。し
かし、Al、SiO、TiOよりなる第3成
分を添加しても、アルカリ金属、アルカリ土類金属酸化
物などの不純物で、ガラス相が形成され、耐久性の低下
につながる危険性があり、Al、SiO、Ti
よりなる第3成分の添加だけでは充分な改善は得ら
れない。上記特許における防御法では200℃付近での
温水または高湿度雰囲気中に曝された場合の熱劣化は防
ぐことは可能であるが、60℃程度のより実用的な範囲
で、特に負荷のかかった場合における耐久性低下を完全
に防止するまでには至っていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、60
℃程度かそれ以上の高温あるいは温水、高湿度雰囲気中
に曝された場合など特に負荷のかかった場合においても
すぐれた熱安定性、耐腐食性を示し、長時間安定し、す
ぐれた機械的特性、特に耐摩耗性を有する耐久性にすぐ
れたジルコニア質焼結体およびそれを用いた粉砕・分散
機用部材を提供する点にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記のような
現状を鑑み鋭意研究を重ねてきた結果、60℃程度かそ
れ以上の高温あるいは温水、高湿度雰囲気中における強
度や耐摩耗性などの機械的性質の低下は、200〜30
0℃における熱安定性によるものとは異なる原因である
ことを見出した。すなわち、200〜300℃における
熱劣化は、準安定の正方晶系ジルコニアが安定な単斜晶
系ジルコニアに転移することに起因するとされており、
やCeO等の安定化剤を増量することにより
熱劣化が抑制されることが知られている。
【0010】一方、60℃程度かそれ以上の高温または
温水、高湿度雰囲気中に曝された場合の強度や機械的特
性の低下は、粒界または粒界面に不均質に存在するガラ
ス相や粒界に偏析している非晶質相、Yなどが水
によって応力腐食することに起因すると推考される。S
iOはZrO結晶粒界近傍に偏析し、熱劣化を抑制
する効果があるが、同時にアルカリ金属、アルカリ土類
金属酸化物などの不純物が共存するとZrO結晶粒界
にガラス相を形成し、応力腐食に対する抵抗性が低下す
るという問題点を有していることが明確となった。この
ことから、SiOの添加量だけでなく、SiO量に
対するアルカリ金属、アルカリ土類金属酸化物などの不
純物量を制御することが重要であることを見い出した。
また、ZrO結晶粒界におけるSiOの偏析が均質
かつ適切な量であることが重要で、結晶粒径によって粒
界表面積が異なるため、すぐれた耐久性を有するには結
晶粒径に応じたSiO添加量の制御が重要であること
も見い出した。
【0011】本発明者らはY−TZPと同様のジルコニ
ア質焼結体において、Y/ZrOモル比、Al
およびSiOの第3成分量、結晶粒径、かさ密
度、さらには、SiO量と平均結晶粒径の関係、Si
量とNaO、KO、CaOのアルカリ金属、ア
ルカリ土類金属酸化物や、Fe、TiOなどの
不純物量との関係をある特定の範囲内に制御することに
より、60℃程度かそれ以上の高温あるいは温水、高湿
度雰囲気中での粒界腐食を抑制し、耐摩耗性などの負荷
がかかる場合でも、すぐれた耐久性を有することを見い
だし本発明を完成するに至った。
【0012】即ち、本発明の第1は、(a)主として正
方晶からなるY系ジルコニア質焼結体において、
(b)Y/ZrOモル比が1.5/98.5〜
4/96、(c)SiO含有量が0.05〜2.5重
量%、(d)Al含有量が0.05〜3.0重量
%、(e)平均結晶粒径が0.7μm以下、(f)Si
/(NaO、KO、CaO、Feの合計
量)の重量比が5以上、(g)かさ密度が5.70g/
cm以上であり、かつ(h)式
【数2】SiO(重量%)×平均結晶粒径(μm)=
0.03〜0.5 を満足するものであることを特徴とする耐久性に優れた
ジルコニア質焼結体に関する。本発明の第2は、TiO
の含有量が0.3重量%以下である請求項1記載のジ
ルコニア質焼結体に関する。本発明の第3は、請求項1
または2記載の耐久性にすぐれたジルコニア質焼結体よ
りなることを特徴とする粉砕・分散機用部材に関する。
なお、本明細書において、「粉砕・分散機用部材」と
は、固体を乾式又は湿式で粉砕、分散あるいは解砕処理
するために使用する器具、治具、機械装置などにおける
固体と接触する部材の総称であり、粉砕・分散メディア
を包含するものである。「粉砕・分散機」としては、具
体的には粉砕機、分散機、解砕機、混合機、造粒機、整
粒機、撹拌機、乾燥機、運搬機などが含まれる。
【0013】以下に本発明の耐久性にすぐれたジルコニ
ア質焼結体が充足すべき各要件について詳細に説明す
る。
【0014】(a)結晶相が主として正方晶からなるY
系ジルコニア質焼結体である点について ジルコニア質焼結体に単斜晶系ジルコニアが含有されて
いるとその結晶周辺に微細なクラックが生じ、応力が負
荷されるとこの微細なクラックを起点として微小破壊が
起こり、摩擦、衝撃、圧壊等に対する抵抗性が低下する
ので好ましくない。また、同時に60℃程度またはそれ
以上の高温あるいは温水、高湿度雰囲気中で負荷がかか
った場合の耐久性が低下するので好ましくない。一方、
立方晶系ジルコニアを含有していると結晶粒径が大きく
なり、機械的特性の低下が起こるだけでなく、結晶粒界
付近にYが偏析しやすくなって耐久性の低下をき
たすので好ましくない。
【0015】なお、本発明では、ジルコニアの結晶相で
ある単斜晶系ジルコニア(M)の存在の有無及び含有
量、正方晶系ジルコニア(T)及び立方晶系ジルコニア
(C)の量については以下の方法でX線回折により求め
る。即ち、焼結体及び加工した焼結体製品の表面は応力
誘起相変態により正方晶系ジルコニアから単斜晶系ジル
コニアに変態しており、真の結晶相を同定することがで
きないので、焼結体表面を鏡面にまで研磨し、X線回折
により、回折角27〜34度の範囲で測定し、単斜晶系
ジルコニアの有無及び含有量を下記で示した式から求め
る。
【数3】
【0016】また、正方晶系ジルコニア及び立方晶系ジ
ルコニアは、単斜晶系ジルコニアの有無を確認した方法
と同様にして、X線回折により、回折角70〜77度の
範囲で測定し、次式により求める。
【数4】
【0017】本発明においては上記X線回折から求まる
立方晶系ジルコニアを10容量%、単斜晶系ジルコニア
を5容積%まで許容することができる。
【0018】(b)本発明のジルコニア焼結体における
/ZrOモル比を1.5/98.5〜4/9
6の範囲とする点について 本発明のジルコニア焼結体におけるY/ZrO
モル比は、1.5/98.5〜4/96、好ましくは2
/98〜3.5/96.5の範囲内とする。通常ZrO
原料中に少量含有することのあるHfOが混入して
いても良く、このHfO量を含めたZrOとHfO
の合量をZrO量とする。Y/ZrOモル
比が1.5/98.5未満の場合には焼結体中の単斜晶
系ZrO量が増加し、焼結体内部にクラックが発生し
て、長時間負荷のかかる状態で使用するとクラックが進
展し、割れや欠けが発生し、結果的に耐久性の低下をき
たすので好ましくない。一方、Y/ZrOモル
比が4/96を越えると正方晶系ZrO量が低下し、
立方晶系ZrO量が増加し、機械的特性が低下するの
で好ましくない。
【0019】なお、Y添加量の30モル%まで他
の稀土類酸化物の1種または2種以上で置換したものも
用いることができる。このような稀土類酸化物として
は、CeO、Nd、Yb、Dy
が安価な点で好ましい。
【0020】(c)本発明のジルコニア焼結体における
SiOの含有量を0.05〜2.5重量%とする点に
ついて 本発明のジルコニア焼結体におけるSiOは、0.0
5〜2.5重量%、好ましくは0.05〜2.0重量%
とする。SiOはZrO結晶粒界近傍に偏析してお
り、SiOがZrO結晶粒界に存在することにより
応力腐食を抑制し、さらに、ZrO結晶粒界結合を強
化する効果があるため、負荷がかかった場合の耐久性向
上に効果がある。SiOが2.5重量%を越える場合
は、ZrO結晶粒界に非晶質相およびガラス相が多く
形成され、ZrO結晶粒界結合を低下させ、応力腐食
が進みやすく、正方晶から単斜晶への変態量が低下し、
その結果、機械的性質および耐久性の低下を招くので好
ましくない。SiO量が0.05重量%未満である
と、ZrO結晶粒界にSiOが存在しない部分がで
きるため、応力腐食を抑制できなくなり耐久性に対する
効果がなく好ましくない。
【0021】(d)本発明のジルコニア焼結体における
Alの含有量を0.05〜3.0重量%とする点
について 本発明のジルコニア焼結体におけるAl含有量
は、0.05〜3.0重量%、好ましくは0.05〜
2.0重量%とする。AlはZrO結晶粒界に
Al結晶粒子として存在するだけでなく、ZrO
結晶粒界及び粒界極近傍に偏析している。Al
の添加は焼結性の向上、微構造の均一化に効果があるだ
けでなく、60℃程度またはそれ以上の高温あるいは温
水、高湿度雰囲気中における特性低下を抑制する効果が
ある。さらに、ZrO結晶粒界の強化効果があるので
耐衝撃性等の機械的特性にすぐれたものとなる。Al
含有量が0.05重量%未満の場合は、Al
添加の効果がなく、3.0重量%を越える場合は、Zr
結晶粒界にAl結晶粒子が多く存在すること
になり耐久性の低下が起こるので好ましくない。
【0022】(e)本発明のジルコニア焼結体における
平均結晶粒径を0.7μm以下とする点について 本発明のジルコニア焼結体における平均結晶粒径は、
0.7μm以下、好ましくは0.5μm以下とする。結
晶粒径は小さいほど耐摩耗性などの機械的特性が向上す
るので好ましいが、現状の微細化技術では0.1μm程
度が限界である。平均結晶粒径が0.7μmを越える場
合には耐摩耗性、耐久性が低下するだけでなく、耐摩耗
性等の機械的性質が低下するので好ましくない。なお、
平均結晶粒径は焼結体表面を鏡面まで研磨し、次いで熱
エッチングもしくは化学エッチングを施した後、走査電
子顕微鏡で観察してインターセプト法により10点測定
した平均値とする。算出式は下記の通りである。
【数5】D=1.5xL/n D:平均結晶粒径(μm)、n:長さL当たりの結晶粒
子数、 L:測定長さ(μm)
【0023】(f)本発明のジルコニア焼結体における
SiO/(NaO、KO、CaO、Fe
合計量)重量比を5以上とする点について 本発明のジルコニア焼結体におけるSiO/(Na
O、KO、CaO、Feの合計量)重量比は5
以上、好ましくは10以上とする。SiO/(Na
O、KO、CaO、Feの合計量)重量比が5
未満であると、SiOとNaO、KO、CaO、
Feとがガラス相を粒界に多く形成するため、腐
食が起こり、その結果、ZrO結晶が正方晶から単斜
晶へ変態しやすくなり、機械的特性及び耐久性の低下を
招くので好ましくない。NaO、KO、CaO、F
などは不純物であり、故意に入れるものではな
いから少ないほどガラス相やアモルファス相が生成しな
いので望ましいことである。しかし、今の技術ではこれ
ら不純物の合計量の最低値は0.008重量%程度であ
る。
【0024】(g)本発明のジルコニア焼結体における
かさ密度を5.70g/cm以上とする点について 本発明のジルコニア焼結体におけるかさ密度は5.70
g/cm以上、好ましくは5.80g/cm以上と
する。かさ密度が5.70g/cm未満の場合には摩
擦、衝撃などの外部応力に対する抵抗性が劣ると同時
に、60℃程度か温水による腐食に対する抵抗性が低下
するので好ましくない。かさ密度はSiO の量が増え
ると若干低くなるが特許請求の範囲に示す本発明の組成
範囲では理論密度が6.1g/cmであるから、これ
が実質的に上限である。
【0025】(h)本発明のジルコニア焼結体が、式
【数6】SiO(重量%)×平均結晶粒径(μm)=
0.03〜0.5 を満足する点について 本発明のジルコニア焼結体におけるSiO(重量%)
×平均結晶粒径(μm)は、0.03〜0.5、好まし
くは0.03〜0.3の範囲とする。SiOはZrO
結晶粒界近傍に偏析して応力腐食を抑制し、耐久性が
向上するが、結晶粒径によって粒界表面積が異なるた
め、結晶粒界に均質にSiOを存在させるには、結晶
粒径に対するSiO量をある範囲内に調整することが
必要である。SiO(重量%)×平均結晶粒径(μ
m)が0.5を超えると、ZrO結晶粒界近傍に存在
するSiOが余剰となり、粒界に非晶質相やガラス相
が多く形成されたり、ZrO結晶粒界結合の低下、正
方晶から単斜晶への変態量の低下をきたし、その結果、
機械的性質、耐摩耗性、耐久性の低下を招くので好まし
くない。SiO(重量%)×平均結晶粒径(μm)が
0.03未満であると、ZrO結晶粒界にSiO
存在しないところができるため応力腐食を抑制できなく
なり、耐久性に対する効果がなく好ましくない。
【0026】(i)本発明のジルコニア焼結体における
TiOを0.3重量%以下とする点について 本発明のジルコニア焼結体におけるTiOは0.3重
量%以下、好ましくは0.2重量%以下、より好ましく
は0.1重量%以下とする。TiO量が0.3重量%
を超えると、TiOがZrOに固溶し、結晶粒径の
成長を促進させ、結晶粒径が大きくなり、その結果、耐
摩耗性、耐久性の低下を招くので好ましくない。TiO
は不純物であり、少ない方が望ましいが、今の技術で
はTiO不純物の最低値は0.004重量%程度であ
る。
【0027】本発明の耐久性にすぐれるジルコニア質焼
結体は種々の方法で製造できる。下記にその一例を示す
が、この方法に限定されるものでない。
【0028】本発明では、液相法により精製したジルコ
ニア粉体を使用することが必要である。即ち、ZrO
とYの含有量が所定のモル比となるようにジルコ
ニウム化合物(例えばオキシ塩化ジルコニウム)の水溶
液とイットリウム化合物(例えば塩化イットリウム)の
水溶液を均一に混合し、加水分解し、水和物を得、脱水
し、乾燥後、400〜1250℃で仮焼し、Y
Al、SiO以外の不純物の少ないジルコニア
粉体を得る方法が採用される。
【0029】Y以外の成分の添加はジルコニウム
化合物とイットリウム化合物の水溶液の混合物に塩の水
溶液として所定量添加しても良いし、後記する仮焼粉体
の粉砕・分散時に水酸化物、炭酸化物、酸化物等の形態
で添加しても良い。
【0030】得られた仮焼粉体を湿式により粉砕、分散
し、必要により公知の成形助剤(ワックスエマルジョ
ン、PVA、アクリル系樹脂等)を加え、スプレードラ
イヤー等の公知の方法で乾燥させて成形粉体を得る。得
られた成形粉体粒度は平均粒子径0.5μm以下、より
好ましくは0.4μm以下であることが必要である。平
均粒子径が0.5μmを越える場合には焼結性の低下や
焼結体に耐久性および機械的性質の低下を招く欠陥が多
く含有するので好ましくない。
【0031】得られた成形粉体は、公知の成形方法、例
えばプレス成形、ラバープレス成形等の方法による成形
方法でも十分に本発明の焼結体を得ることができるが、
水を含有させた有機溶媒、可溶性高分子または水などを
成形助剤として湿式または液中にて成形する方法が好ま
しい。
【0032】次いで得られた成形体を1150〜155
0℃、好ましくは1150〜1400℃で焼成すること
によって焼結体を得る。さらに、必要に応じてHIP処
理を施すことにより摩擦、衝撃、圧壊等に対する抵抗性
を高くすることができ、機械的性質の向上、さらには耐
久性の向上ができる。HIP処理は常圧焼結後、Arな
どの不活性雰囲気、またはNもしくはO雰囲気下で
1100〜1400℃で行うことが好ましい。
【0033】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれにより何ら限定されるものでない。
【0034】実施例1〜17、比較例1〜20 純度99.6%のオキシ塩化ジルコニウムと純度99.
9%の硝酸イットリウムを表1〜2の組成となるように
水溶液にして混合した。次に、この水溶液を加熱環流下
で加水分解し、Yが固溶した水和ジルコニウムの
沈殿物を生成させ、脱水、乾燥し、400〜1000℃
で1時間仮焼し、得られたジルコニア粉体を湿式にて粉
砕した。なお、Y以外の成分については、酸化物
もしくは塩の形態で粉砕時に所定量添加混合した。
【0035】次いで、得られたスラリーを乾燥、整粒
し、成形用粉体とした。この成形用粉体を転動造粒成形
法により球状に成形した。得られた成形体を1000〜
1600℃で焼成して、直径1mmの球状の焼結体を得
た。直径1mmの球状の焼結体はバレル研磨によって仕
上げて試料を作製した。これらの試料の特性を表1〜2
に示す。比較例1〜20は本発明の要件の少なくとも1
つを満たしていないケースである。
【0036】次いで、60℃において長時間負荷がかか
った場合の耐久性についてテストを行った。上記で得た
直径1mmの球状試料1200ccを内容量1400c
cのダイノーミル(シンマルエンタープライゼス社製:
タイプKDL−PILOT)に入れ、共立窯業製BaT
iO粉体(平均粒子径1.5μm、比表面積1.2m
/g)を600gと水2400ccを混合した20重
量%濃度のBaTiO スラリーを60℃に保持し、3
00cc/minで60〜65℃の範囲に温度調整をし
ながら循環させ、ディスク周速8m/secで24時間
を1サイクルとし、10サイクル運転するテストを行い
各サイクル毎の単位時間あたりの摩耗率を測定した。摩
耗率はテスト前後の時間あたりの重量変化率として算出
した。サイクル毎の各試料の摩耗率の最大値を表に示
す。比較例15と19については焼結体のかさ密度が充
分でなかったため、摩耗率の測定は行わなかった。
【0037】さらに、60℃程度かそれ以上の高温ある
いは温水、高湿度雰囲気中で負荷のかかった場合の耐久
性と200〜300℃での熱劣化との違いを明確にする
ため、上記直径1mmの球状試料を、内容積50ccの
オートクレーブに入れ、純水を20cc添加し、200
℃の条件下で50時間保持後、冷却し、取り出した試料
のクラック有無の確認を行った。クラックの確認できな
かったものについては、試料断面の顕微鏡観察を行い、
劣化層の深さの測定を行った。
【0038】表1〜2に示す結果から、60℃程度かそ
れ以上の高温あるいは温水、高湿度雰囲気中と、200
℃〜300℃での熱劣化とは異なり、本発明の耐久性に
すぐれたジルコニア質焼結体は、60℃程度かそれ以上
の高温あるいは温水、高湿度雰囲気中で負荷のかかった
場合においてもすぐれた耐久性を示すことが明らかであ
り、本発明の要件を一つでも満たさない場合は耐久性に
欠けるものとなる。
【0039】
【表1】
【表2】
【0040】
【発明の効果】本発明によるジルコニア質焼結体は、耐
久性にすぐれるため、60℃程度かそれ以上の高温ある
いは温水、高湿度雰囲気中で曝された場合やさらには負
荷のかかる場合にも、腐食による機械的特性の低下がな
く、長時間安定した耐久性を有するものである。また、
機械的特性が高いため粉砕機用部材、産業用耐摩耗構造
材のみならず光ファイバー用コネクター等の電子及び通
信機器部品としても広く利用できる。
フロントページの続き (72)発明者 河波 利夫 大阪府堺市遠里小野町3丁2番24号 株式 会社ニッカトー内 Fターム(参考) 4D063 FF13 FF37 GA05 GA10 GB05 4G031 AA01 AA04 AA08 AA12 AA21 AA29 AA30 BA18 BA20 CA01 CA04

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)主として正方晶からなるY
    系ジルコニア質焼結体において、(b)Y/Zr
    モル比が1.5/98.5〜4/96、(c)Si
    含有量が0.05〜2.5重量%、(d)Al
    含有量が0.05〜3.0重量%、(e)平均結晶粒
    径が0.7μm以下、(f)SiO/(NaO、K
    O、CaO、Feの合計量)の重量比が5以
    上、(g)かさ密度が5.70g/cm以上であり、
    かつ(h)式 【数1】SiO(重量%)×平均結晶粒径(μm)=
    0.03〜0.5 を満足するものであることを特徴とする耐久性に優れた
    ジルコニア質焼結体。
  2. 【請求項2】 TiOの含有量が0.3重量%以下で
    ある請求項1記載のジルコニア質焼結体。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の耐久性に優れた
    ジルコニア質焼結体よりなることを特徴とする粉砕・分
    散機用部材。
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