JP2003127176A - ハイサイクル射出成形法 - Google Patents

ハイサイクル射出成形法

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JP2003127176A
JP2003127176A JP2001330185A JP2001330185A JP2003127176A JP 2003127176 A JP2003127176 A JP 2003127176A JP 2001330185 A JP2001330185 A JP 2001330185A JP 2001330185 A JP2001330185 A JP 2001330185A JP 2003127176 A JP2003127176 A JP 2003127176A
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pressurized gas
resin
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hollow portion
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Kazuharu Yasuda
和治 安田
Nobuyoshi Umeniwa
信義 梅庭
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 中空射出成形法で湾曲部やコーナー部を有す
る厚肉で大型の中空成形品を成形する場合でも、ソリの
発生を抑制できるようにすると共に、冷却時間を確実か
つ大幅に短縮することができるようにする。 【解決手段】 溶融した樹脂と加圧ガスとを金型キャビ
ティ2内に注入し、加圧ガスが充満した中空部13を有
する樹脂で金型キャビティ2内を満たした後、金型キャ
ビティ2と捨てキャビティ3間の開閉弁4を開放し、中
空部13と捨てキャビティ3間の差圧により、中空部1
3周囲の樹脂壁の一部を破ってガス放出孔15を形成
し、中空部13内への加圧ガスの注入と、ガス放出孔1
5からの加圧ガスの放出とを行い、加圧ガスの断熱膨張
効果により成形品を冷却する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、中空成形品を短い
冷却時間で効率よく成形することができるハイサイクル
射出成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、厚肉部を有する成形品の成形に適
した成形方法として、金型キャビティ内に射出した溶融
樹脂中に加圧流体を圧入し、厚肉部に中空部を形成する
中空射出成形法が広く知られている。
【0003】また、中空成形品の射出成形に際し、冷却
時間を短縮する方法として、−10〜−20℃に冷却さ
れた窒素ガスを用いて中空部を形成した後、中空部に通
じる穴を開け、上記冷却した窒素ガスを中空部にさらに
注入すると共に、注入した窒素ガスを形成した穴から排
出して冷却する方法が知られている(特開平10−23
5723号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の中空
射出成形法によると、冷却されるのが最も遅れる厚肉部
の中心部分を中空部とすることができ、しかも中空部内
に圧入された加圧ガスの圧力で厚肉部の表面を金型表面
に押し付けることができるので、ある程度冷却時間を短
縮できると共に、ヒケやソリの発生もある程度抑制でき
る利点がある。
【0005】しかしながら、湾曲した成形品やコーナー
部を有する複雑形状の成形品などにおいては、さほど冷
却時間の短縮を図れず、またソリの発生も抑制しにくい
問題がある。これは、成形品の湾曲部やコーナー部にお
いては、圧入された加圧流体が湾曲部やコーナー部の内
縁側をショートカットして進入し、中心部を通らないこ
とから、これらの部分の厚肉部が残りやすいためと考え
られる。
【0006】一方、上記従来の中空成形品の成形におけ
る冷却時間の短縮方法は、もっぱら供給する窒素ガスを
低い温度のものとしておくことで冷却を図るものであ
る。
【0007】しかしながら、得られる成形品の外観上、
大きな穴を形成することはできないので、中空部へ注入
する窒素ガスの流量には制限があり、特に厚肉で大型の
成形品については効率的な冷却促進を図りにくい問題が
ある。
【0008】本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなさ
れたもので、中空射出成形法で湾曲部やコーナー部を有
する厚肉で大型の中空成形品を成形する場合でも、ソリ
の発生を抑制できるようにすると共に、冷却時間を確実
かつ大幅に短縮することができるようにすることを目的
とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的のた
めに、溶融した樹脂と加圧ガスとを金型キャビティ内に
注入し、加圧ガスが充満した中空部を有する樹脂で金型
キャビティ内を満たした後、中空部周囲の樹脂壁の一部
を破ってガス放出孔を形成し、中空部内への加圧ガスの
注入と、ガス放出孔からの加圧ガスの放出とを行い、加
圧ガスの断熱膨張効果により成形品を冷却することを特
徴とするハイサイクル射出成形方法を提供するものであ
る。
【0010】また、上記本発明は、断熱膨張効果による
冷却のための加圧ガスとして、1MPa以上の圧力の二
酸化炭素を用いること、金型キャビティに開閉弁を介し
て捨てキャビティが連結された金型を用い、ガス放出孔
の形成を、加圧ガスが充満した中空部を有する樹脂で金
型キャビティ内を満たした後、中空部周囲の樹脂壁の一
部を中空部と捨てキャビティ間の圧力差で破ることで行
うことを損も好ましい態様として含むものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明において使用する樹脂は、
一般の射出成形に使用される熱可塑性樹脂であれば特に
制限なく用いることができる。具体的には、例えば、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリ
ル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポ
リフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル樹
脂、全芳香族ポリエステル、ポリアセタール、ポリカー
ボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォ
ン、ポリアミド系樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテル
エーテルケトン、ポリエーテルケトンなどの一種または
二種以上を混合した組成物を用いることができる。ま
た、これらの熱可塑性樹脂には、各種充填材を配合する
ことができる。なお、上記スチレン系樹脂とは、スチレ
ンを必須原料とするホモポリマー、コポリマーおよびこ
れらのポリマーと他の樹脂より得られるポリマーブレン
ドであり、ポリスチレンまたはABS樹脂であることが
好ましい。また、ポリスチレンとは、スチレンホモポリ
マーまたはポリスチレンの樹脂相中にゴムが分布したゴ
ム強化ポリスチレンをいう。
【0012】本発明においては、溶融した上記樹脂と加
圧ガスとを金型キャビティ内に注入し、加圧ガスが充満
した中空部を有する樹脂で金型キャビティ内を満たす。
この時、樹脂は金型キャビティの内面へ十分に押し付け
られるので、金型表面の良好な再現性を得ることができ
る。
【0013】上記中空部の形成は、例えば次のようにし
て行うことができる。
【0014】(1):溶融した樹脂を金型キャビティに
ショートショットした後、金型キャビティ内の樹脂中に
加圧ガスを注入して、樹脂を金型キャビティの未充填部
へ押し広げると共に中空部を形成する方法。
【0015】(2):金型キャビティに注入される樹脂
中に加圧ガスを注入しながら、両者を同時に金型キャビ
ティに注入して金型キャビティを満たす方法。
【0016】(3):可動コアの移動や可動型の移動な
どで金型キャビティ容積を拡大・縮小可能な金型を用
い、容積が縮小された状態の金型キャビティ内に樹脂を
注入して満たした後に、金型キャビティ内の樹脂中に加
圧ガスを注入しながら金型キャビティ容積を拡大して中
空部を形成する方法。
【0017】(4):金型キャビティに開閉弁を介して
捨てキャビティが連結された金型を用い、開閉弁を閉鎖
した状態で樹脂を注入して金型キャビティに満たした
後、開閉弁を開いて加圧ガスを樹脂中に注入し、金型キ
ャビティ内の樹脂の一部を捨てキャビティに押し出しな
がら中空部を形成する方法。加圧ガスの注入開始は、開
閉弁の開放直前、開放と同時、開放直後のいずれのタイ
ミングでも良い。
【0018】上記(1)〜(4)の方法のうち、金型キ
ャビティ内での樹脂の流動が中断されることがなく、所
謂ヘジテーションマークを生じにくい点から(2)〜
(4)の方法が好ましく、制御の容易性から(3)およ
び(4)の方法がさらに好ましい。
【0019】本発明においては、上記のようにして、加
圧ガスで満たされた中空部を有する樹脂で金型キャビテ
ィを満たした後、中空部周囲の樹脂壁の一部を破ってガ
ス放出孔を形成する。このガス放出孔の形成は、例えば
次のようにして行うことができる。
【0020】(A):金型キャビティに向かって進退可
能なピンなどを備えた金型を用い、このピンが後退した
状態で、前記(1)〜(4)のいずれかの方法により、
金型キャビティを中空部を有する樹脂で満たした後、上
記ピンを金型キャビティへ突出させ、中空部周囲の樹脂
壁の一部を破ってガス放出孔を形成する方法。
【0021】(B):金型キャビティに開閉弁を介して
捨てキャビティが連結された金型を用い、開閉弁が閉じ
た状態で、前記(1)〜(3)のいずれかの方法によ
り、金型キャビティを中空部を有する樹脂で満たした
後、開閉弁を開き、中空部と捨てキャビティ間の差圧に
より、中空部周囲の樹脂壁の一部を破ってガス放出孔を
形成する方法。
【0022】(C):前記(4)の方法により、金型キ
ャビティを中空部を有する樹脂で満たした後、中空部を
有する樹脂で金型キャビティを満たした後、開閉弁を閉
鎖することなく加圧ガスの注入を継続し、中空部を捨て
キャビティへと成長させ、中空部と捨てキャビティ間の
差圧により、中空部周囲の樹脂壁の一部を破ってガス放
出孔を形成する方法。この方法の場合、適宜の大きさの
中空部の形成後、一旦開閉弁を閉じ、樹脂と金型表面と
の密着を再度図った後に開閉弁を開放してガス放出孔を
形成するようにすることもできる。
【0023】上記のようにしてガス放出孔を形成した
後、さらに加圧ガスを中空部に注入すると共に、形成し
たガス放出孔から加圧ガスを放出させると、注入された
加圧ガスの圧力が中空部内で開放され、加圧ガスが中空
部内で断熱膨張して温度が下がることが連続的に生じ、
成形品が内部から冷却されることになる。また、この断
熱膨張は、加圧ガスがガス放出孔から放出される際にも
発生することになる。
【0024】上記冷却のための加圧ガスの注入は、前記
中空部の形成時に成形品に形成されたガス注入孔から行
うのが最も簡便であるが、例えば金型キャビティに対し
て進退可能な注入ピンを備えた金型を用い、この注入ピ
ンを前進させ、中空部まで突き刺して注入することも可
能である。ガス放出孔を介して放出される加圧ガスは、
大気に排出してもよいが、回収タンクへ導いて回収する
と、再利用することができる。
【0025】前記中空部を形成するための加圧ガスと、
上記断熱膨張による冷却のための加圧ガスとしては、使
用する樹脂に対して不活性な各種ガスの単体あるいは混
合物を使用することができる。特に断熱膨張を利用した
冷却のための加圧ガスは、断熱膨張による冷却効果が大
きいものが好ましく、窒素または二酸化炭素が好まし
く、特に二酸化炭素が好ましい。また、中空部を形成す
るための加圧ガスとしては、特に断熱膨張による冷却効
果を必要とするものではないことから、冷却のための加
圧ガスとは異なる種類のガス体を選択することも可能で
ある(例えば冷却のための加圧ガスを二酸化炭素とした
場合に窒素ガスを選択するなど。)。しかし、加圧ガス
の供給系や回収系を単純にすることができることから、
両者は同種のガス体とすることが好ましく、両者とも二
酸化炭素とすることが最も好ましい。
【0026】中空部を形成するための加圧ガスの圧力
(供給源における圧力)は、通常の中空射出成形法に用
いる加圧ガスと同程度の圧力で、成形品の形状、所望と
する中空部の形状などによって異なるが、通常3MPa
以上、好ましくは5MPa以上、必要に応じて10MP
a以上の圧力に設定される。
【0027】一方、冷却のための加圧ガスの圧力(供給
源における圧力)は、所望とする冷却効果によって任意
に選択され、特に規定はなく、上記中空部を形成するた
めの加圧ガスの圧力と同じに設定しておくのが簡便であ
るが、通常1MPa以上、好ましくは5MPa以上、さ
らに好ましくは7.2MPa以上である。また、本発明
における冷却のための加圧ガスは、前記断熱膨張による
冷却効果が得られるため、ことさら低い温度にする必要
はなく、その温度(供給源における温度)は、圧力を高
めやすい0℃以上のものが用いられる。特に二酸化炭素
を用いる場合は、高い圧力を効率よく得る上で、液体状
態で圧縮することが好ましく、圧縮した液体二酸化炭素
から得られるガスを0℃以上に加温して所要の圧力で供
給源(例えば図1におけるアキュームレーター7)に蓄
えて使用することが好ましく、特に高圧(7.2MPa
以上)でも気体としての挙動を示す超臨界状態となる3
1℃以上に加温して使用することが好ましい。冷却に使
用する加圧ガスの温度の上限は、冷却を妨げない範囲で
あればよいが、一般的には60℃程度である。
【0028】中空部を形成するための加圧ガスおよび冷
却のための加圧ガスの注入は、金型のスプルーまたはラ
ンナーにガス流路を連結しておき、このガス流路からス
プルーまたはランナーを介して行ったり、金型キャビテ
ィにガス流路を連結しておき、このガス流路から金型キ
ャビティに対して直接行うことができる。また、射出ノ
ズルにガスノズルを内蔵させておき、このガスノズルか
ら行うこともできる。
【0029】冷却のための加圧ガスの圧力開放が中空部
内で良好に行われると、加圧ガスとして二酸化炭素を用
いた場合においては、中空部内で液化して液化炭酸ガス
となったり、ドライアイスが形成されることもある。す
なわち、きわめて強力な冷却効果が得られ、金型から取
り出した後も成形品の温度が下がり続けるほどの冷却を
短時間で行うことができ、大幅な成形品の冷却時間短縮
が可能となる。
【0030】次に、前記(1)の方法で中空部を形成
し、前記(B)の方法でガス放出孔を形成して、冷却用
の加圧ガスの注入と放出とを行う場合の一例を図1〜図
4に基づいて説明する。
【0031】図1は射出前の金型の断面図、図2は樹脂
を金型キャビティに射出した状態の金型の断面図、図3
は金型キャビティ内の樹脂中に加圧ガスを注入して中空
部を形成した状態の金型の断面図、図4はガス放出孔を
形成し、中空部への加圧ガスの注入と放出を行っている
状態の金型の断面図である。
【0032】図1〜図5において、1は金型、2は金型
キャビティ、3は捨てキャビティ、4は開閉弁、5はガ
ス供給流路、6はガス放出流路、7はアキュームレー
タ、8はガス供給バルブ、9はガス放出バルブ、10,
11はO−リング、12は射出ノズルである。
【0033】図示されるように、金型1は、金型キャビ
ティ2を外気に連通させる隙間がO−リング10,11
でシールされたシール金型で、金型キャビティ2の末端
側(発泡性溶融樹脂の充填が最後に行われる側)に開閉
弁4を介して連結された捨てキャビティ3を有してい
る。
【0034】金型キャビティ2には、アキュームレータ
ー7から伸びるガス供給流路5が接続されている。この
ガス供給流路5にはガス供給バルブ8が介在しており、
アキュームレーター7からの加圧ガスの供給を開閉でき
るようになっている。
【0035】捨てキャビティ3には、ガス放出流路6が
接続されている。このガス放出流路6には、捨てキャビ
ティ3の大気への開放を開閉するためのガス放出バルブ
9が設けられている。
【0036】まず、図1の状態(金型1が閉鎖され、開
閉弁4、ガス供給バルブ8およびガス放出バルブ9が閉
鎖された状態)において、射出ノズル12から溶融した
樹脂を金型キャビティ2にショートショットする。すな
わち、図2に示されるように、金型キャビテイ2を満た
すに足りない量の溶融した樹脂を金型キャビティ2に注
入する。
【0037】次いで、ガス供給バルブ8を開き、アキュ
ームレーター7に所定の圧力で蓄えられた加圧ガスをガ
ス供給流路5を介して金型キャビティ2内の樹脂中に注
入する。この加圧ガスの注入により、図3に示されるよ
うに、樹脂中に、加圧ガスが充満した中空部13が形成
されると共に、金型キャビティ2内の樹脂が未充填の金
型キャビティ2領域へと押し広げられ、金型キャビティ
2が、中空部13を有する樹脂で満たされる。また、こ
の加圧ガスの注入により、ガス注入孔14が形成され
る。
【0038】図3に示される状態で、樹脂を加圧ガスの
圧力で金型表面に十分押し付けた後、ガス放出バルブ9
と開閉弁4を開くと、中空部13と捨てキャビティ3間
の差圧により、中空部13周囲の樹脂壁の一部が捨てキ
ャビティ3へと押し出されて破れ、中空部13内の加圧
ガスが捨てキャビテイ3へと噴出して、図4に示される
ように、開閉弁4付近にガス放出孔15が形成される。
引き続きガス供給バルブ8、開閉弁4およびガス放出バ
ルブ9の開放を維持し、ガス注入孔14から中空部13
内に加圧ガスを注入すると共に、中空部13内の加圧ガ
スをガス放出孔15から放出させると、中空部13に注
入された加圧ガスは、中空部13において圧力が開放さ
れ、断熱膨張する結果、温度が下がり、成形品を内部か
ら急速に冷却する。ガス放出孔15から放出された加圧
ガスは、捨てキャビティ3およびガス放出流路6を経て
大気に排出されるが、ガス放出流路6を回収タンクへ接
続しておくことによって、これを回収することができる
のは前述したとおりである。
【0039】上記加圧ガスの断熱膨張による冷却を行う
ことにより、きわめて短時間の冷却時間で成形品を取り
出すことが可能となる。成形品の取り出しは、ガス供給
バルブ8を閉鎖してから行われる。
【0040】
【実施例】以下に実施例及び比較例を用いて本発明をさ
らに具体的に説明する。
【0041】まず、実施例及び比較例における成形材
料、成形装置、成形条件などについて説明する。
【0042】〔成形材料〕・ポリアミド66(PA6
6):旭化成製「レオナ13G43」 ・ポリスチレン(GPPS):A&Mポリスチレン製
「A&Mポリスチレン685」
【0043】〔二酸化炭素〕純度99%以上で、アキュ
ームレーターに40℃、10MPaで蓄えて使用した。
【0044】〔射出成形機〕射出成形機は、住友重機械
工業製「SG260M−S」を使用した。射出成形機の
スクリュシリンダはL/D=29のベントタイプとし
た。
【0045】〔射出シリンダ温度の設定〕射出シリンダ
温度は、PA66については280℃、GPPSについ
ては200℃とした。
【0046】実施例1 図5(a),(b)に示すように、持ち手部分の両端に
取付用の脚部を有する取っ手を形成した。各部の寸法を
図5に示す(単位はmm)。
【0047】PA66を用い、図1〜図4で説明した方
法で成形品を射出成形した。
【0048】まず、溶融したPA66を金型キャビティ
(金型温度60℃)にショートショットした後、ガス供
給バルブを開いて、アキュームレーターに40℃、10
MPaで蓄えておいた二酸化炭素を注入し、中空部を有
するPA66で金型キャビティを満たした。
【0049】次いで、開閉弁とガス放出バルブを開放
し、中空部と捨てキャビティ間の差圧により、中空部周
壁の一部を破り、ガス放出孔を形成して中空部内の二酸
化炭素を放出させると共に、上記中空部への二酸化炭素
の注入を継続し、冷却のための二酸化炭素の注入と放出
を30秒間継続した。
【0050】ガス供給バルブを閉じて二酸化炭素の注入
を停止した後、金型内で10秒間冷却してから成形品を
金型から取り出した。成形品を取り出してから30秒後
の当該成形品の表面温度は、30℃であった。
【0051】得られた成形品は、ヒケがなく、ソリの小
さいもので、中空率は40%であった。また、図5に示
すソリ量(脚部の内側への倒れ込み量)は、3mmであ
った。
【0052】実施例2 実施例1と同様な金型、方法を用いて、GPPSで成形
を行った。金型温度は40℃とした。
【0053】得られた成形品は、ヒケ、ソリのない外観
良好なものであり、取り出し直後の成形品内部には液化
炭酸ガスが認められた。成形サイクルは45秒であっ
た。
【0054】比較例1 実施例1と同様な金型を用い、通常の射出射出成形を行
った。樹脂は、実施例1と同じPA66樹脂を用い、金
型に射出充填後、樹脂保圧力を30秒間かけ、その後さ
らに30秒間冷却した後に金型を開放して成形品を取り
出した。
【0055】得られた成形品の表面温度は、取り出して
から30秒後に130℃であり、肉厚部分にはヒケが生
じた。また、図5に示すソリ量は9.0mmで、寸法制
度の劣ったものでしかなかった。
【0056】実施例3 最大肉厚20mmの自動車用アシストグリップを実施例
1と同様な方法を用いてPPにて成形した。得られた成
形品は、ヒケ、ソリのない成形品であり、中空率45
%、成形サイクル35秒であった。
【0057】
【発明の効果】本発明は、以上説明したとおり、金型の
表面転写性が良好で、ソリ、ヒケの無い中空成形品をハ
イサイクルで生産することができるものである。よっ
て、各種自動車部品、弱電機器、電子機器、事務機器な
どのハウジング、各種日用品などの熱可塑性樹脂射出成
形品を安価に提供することができ、特に、自動車部材の
アシストグリップのような厚肉部を有する中空成形品の
ハイサイクル成形が容易になり、中空成形品の品質を向
上させ、軽量化、製品デザインの自由度の増大などを図
ることが可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】樹脂を射出する前の金型の断面図である。
【図2】樹脂を金型キャビティに射出した状態の金型の
断面図である。
【図3】金型キャビティ内の樹脂中に加圧ガスを注入し
て中空部を形成した状態の金型の断面図である。
【図4】ガス放出孔を形成し、中空部への加圧ガスの注
入と放出を行っている状態の金型の断面図である。
【図5】実施例および比較例で成形した取っ手の模式図
である。
【符号の説明】
1 金型 2 金型キャビティ 3 捨てキャビティ 4 開閉弁 5 ガス供給流路 6 ガス放出流路 7 アキュームレータ 8 ガス供給バルブ 9 ガス放出バルブ 10 O−リング 11 O−リング 12 射出ノズル 13 中空部 14 ガス注入孔 15 ガス放出孔

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融した樹脂と加圧ガスとを金型キャビ
    ティ内に注入し、加圧ガスが充満した中空部を有する樹
    脂で金型キャビティ内を満たした後、中空部周囲の樹脂
    壁の一部を破ってガス放出孔を形成し、中空部内への加
    圧ガスの注入と、ガス放出孔からの加圧ガスの放出とを
    行い、加圧ガスの断熱膨張効果により成形品を冷却する
    ことを特徴とするハイサイクル射出成形方法。
  2. 【請求項2】 断熱膨張効果による冷却のための加圧ガ
    スとして、1MPa以上の圧力で、0℃以上の温度の二
    酸化炭素を用いることを特徴とする請求項1に記載のハ
    イサイクル射出成形方法。
  3. 【請求項3】 金型キャビティに開閉弁を介して捨てキ
    ャビティが連結された金型を用い、ガス放出孔の形成
    を、加圧ガスが充満した中空部を有する樹脂で金型キャ
    ビティ内を満たした後、中空部周囲の樹脂壁の一部を中
    空部と捨てキャビティ間の圧力差で破ることで行うこと
    を特徴とする請求項1または2に記載のハイサイクル射
    出成形方法。
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