JP2003125750A - マイクロピペット、インジェクション装置およびマイクロインジェクションの方法 - Google Patents

マイクロピペット、インジェクション装置およびマイクロインジェクションの方法

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JP2003125750A
JP2003125750A JP2002200703A JP2002200703A JP2003125750A JP 2003125750 A JP2003125750 A JP 2003125750A JP 2002200703 A JP2002200703 A JP 2002200703A JP 2002200703 A JP2002200703 A JP 2002200703A JP 2003125750 A JP2003125750 A JP 2003125750A
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micropipette
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pressure
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Yukio Hiramoto
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NARISHIGE KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明では、インジェクション液を注入させ
る量または核を吸引させたときの位置を調節することが
できるマイクロピペットおよびインジェクション装置を
提供することを課題とする。 【解決手段】 マイクロピペット1の先端から後方に離
れた所定位置に後方に向かって広がるテーパ部12aを
設ける。このテーパ部12aの内径が小さい部分に培養
液6の界面を位置させておいて、マイクロピペット1内
の空気Aにインジェクション装置2により低い圧力を加
えることで、精子Sをマイクロピペット1内に吸引させ
る。このとき、培養液6の界面がテーパ部12aの内径
の大きい部分に移動し、所定位置で止まる。そのため、
マイクロピペット1のテーパ部12aで培養液6の界面
の位置を調節するだけで、精子Sをマイクロピペット1
内に吸引させたときの精子Sの位置を調節できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として生命科学
におけるマイクロインジェクション、核移植および体外
受精などを行うためのマイクロピペットに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、生物学や基礎医学やバイオテクノ
ロジの分野では、生物の微小な器官、組織、細胞などを
顕微鏡で観察しながら機械的操作を行うマイクロマニピ
ュレーションと呼ばれる作業が行われている。このマイ
クロマニピュレーションとしては、組織の中から細胞を
採取したり、細胞の中から核や細胞質を採取したり、採
取した核や細胞質を別の細胞に移植する作業や、細胞内
にさまざまな物質を注入させるいわゆるマイクロインジ
ェクションと呼ばれる作業などがある。このマイクロマ
ニピュレーションを行うための実験器具および装置とし
ては、マイクロピペット、インジェクション装置および
マニピュレータなどが主に使用されている。細胞内にD
NA溶液などの液体(以下、インジェクション液とい
う。)を注入する作業においては、まず、インジェクシ
ョン装置のシリンジでマイクロピペット内の圧力を低く
して、インジェクション液をマイクロピペット内に吸い
込む。つぎに、このマイクロピペットをマニピュレータ
により3次元的に微動操作してマイクロピペットの先端
を細胞内に差し込む。インジェクション装置のシリンジ
でマイクロピペット内の圧力を高くするとチューブおよ
びインジェクションホルダを介してマイクロピペット内
のインジェクション液が細胞内に注入される。一方、細
胞内の核や細胞質を吸引する作業においては、インジェ
クション装置のシリンジでマイクロピペット内の圧力を
低くすることによりマイクロピペット内に細胞内の核や
細胞質を吸引する。ここで、マイクロピペットは、外径
が約1mm程度のガラス管の一端を外側に向かって先細
りとなるテーパ形状に加工したものである。そして、マ
イクロインジェクションを行う場合には、このマイクロ
ピペットのテーパ形状となった先端部にインジェクショ
ン液を封入し、その後端部にインジェクション液にシリ
ンジからの圧力を伝達させる媒体として気体または液体
を封入する。また、細胞内の核や細胞質を吸引する場合
には、マイクロピペットの先端部に細胞や核の培養液を
封入し、その後端部に前記媒体として気体または液体を
封入する。
【0003】このような従来のマイクロピペットでは、
インジェクション装置によりマイクロピペット内の圧力
を高くしてインジェクション液を注入する場合、そのイ
ンジェクション液はほぼ一定の速度で細胞内に連続的に
注入され続ける。逆に、マイクロピペット内の圧力を低
くして細胞内の核や細胞質を吸引する場合、ほぼ一定の
速度でマイクロピペット内に余分な細胞質が連続的に吸
引され続け、また、核がマイクロピペットの先端より後
方に離れた位置まで吸い込まれてしまう。この現象は、
マイクロピペット内から細胞内に注入させるインジェク
ション液の量がシリンジの操作によるピストンの移動量
に比べて極めて少ないため、マイクロピペット内の圧力
はマイクロピペットの先端からのインジェクション液の
流出では、ほとんど変化しないことにより発生するもの
である。また、マイクロピペット内に細胞内の核や細胞
質を吸引するときにも、同様の原因により、この現象が
発生する。
【0004】このような現象の発生を防止するために、
従来は、顕微鏡で細胞の体積の増加または減少が認めら
れたときにマイクロピペットを引き抜く方法を行ってい
たが、この方法は作業者のかんに頼るものであるため、
誤差が大きく、定量的な操作には向かなかった。そこ
で、ブレーキ付きのマイクロピペットを用いる方法や、
水銀を利用する方法で定量的な操作が行われるようにな
った。これらの方法のうちブレーキ付きのマイクロピペ
ットを用いる方法では、マイクロピペットの一部に内径
が小さい部分を作り、その部分に粘度の高い液を入れて
抵抗を大きくして、インジェクション液の注入や細胞内
の核などの吸引を遅くすることができた。一方、水銀を
利用する方法は、水銀を入れたマイクロピペットの基部
から圧力を加えると水銀が先端方向に向かって移動し、
圧力が大きいほど水銀界面は先細りしている先端に近い
位置で止まることから、水銀界面とマイクロピペット先
端部とで囲まれた部分の体積は圧力を調節することによ
って変えることができるということを利用したものであ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ブレーキ付きのマイクロピペットを用いる方法では、細
胞内にインジェクション液を注入する場合、マイクロピ
ペットから流出させるインジェクション液の速度を遅く
することはできたが、細胞内に所定量のインジェクショ
ン液が注入された後でも、そのインジェクション液の動
きを完全には止めることができなかった。また、細胞内
の核や細胞質を吸引するような場合でも、同様の理由で
培養液の吸引を完全には止めることができず、余分な細
胞質がマイクロピペット内に吸い込まれ続けるという問
題や核がマイクロピペットの先端より後方に離れた位置
に吸い込まれるという問題が生じた。すなわち、インジ
ェクション液を注入させる量または核を吸引させたとき
の位置を調節することが困難であった。一方、従来の水
銀を利用する方法では、インジェクション液を注入させ
る量または核を吸引させたときの位置を調節することが
できたが、マイクロピペットの先端に形成されているテ
ーパ形状の内径が小さい部分を利用しているので、マイ
クロピペットの先端の太さやインジェクション液の量を
自由に設定することができなかった。また、水銀の毒性
も問題であったため、この水銀を利用する方法で実験を
行うことが法律上規制されることが多く、実質的にその
使用ができなくなってきた。
【0006】そこで、本発明の課題は、インジェクショ
ン液を注入させる量または核などを吸引させたときの核
などの位置を調節することができるマイクロピペットお
よびインジェクション装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決した本発
明のうちの請求項1に記載の発明は、微量の液体や微小
固体を注入または吸引するためのマイクロピペットであ
って、マイクロピペットの先端から後方に離れた所定位
置に、圧力調節液が入り、かつ、後方に行くにしたがっ
て拡幅するテーパを有する圧力調節部が設けられ、この
圧力調節部に接触する前記圧力調節液の界面の面積が増
減することにより、微量の液体や微小固体の注入または
吸引を調節することを特徴とする。
【0008】ここで、「圧力調節液」としては、種々の液
体を用いることができる。たとえば、インジェクション
液や培養液などをそのまま圧力調節液として利用しても
よいし、インジェクション液などに混合しないパラフィ
ン油などを圧力調節液として利用してもよいし、さら
に、表面張力の大きい水などを圧力調節液として利用し
てもよい。ただし、水などのインジェクション液や培養
液と混合しやすい液体を圧力調節液として利用する場合
には、この水などがインジェクション液などに混合しな
いように、この水とインジェクション液などの間にこれ
らの液体と混合しないパラフィン油などを介在させる必
要がある。
【0009】請求項1に記載の発明によれば、たとえ
ば、インジェクション液を細胞内に注入する場合は、ま
ず、圧力調節液と空気(気体)との界面を圧力調節部の
内径が大きい部分に位置させておく。マイクロピペット
内の空気の圧力を上げれば、圧力調節液と空気との界面
は圧力調節部の内径が小さい部分に移動する。この圧力
調節液と空気との界面が小さくなると、空気の圧力によ
り界面を圧力調節液側に押す力が減り、この力が表面張
力により界面を空気側に押す力と等しくなった位置で、
この界面の動きが止まる。また、マイクロピペット内に
細胞内の核などを吸引する場合は、まず、圧力調節液と
空気との界面を圧力調節部の内径が小さい部分に位置さ
せておく。マイクロピペット内の空気の圧力を下げれ
ば、圧力調節液と空気との界面は圧力調節部の内径が大
きい部分に移動する。この圧力調節液と空気との界面が
大きくなると、表面張力により界面を空気側に押す力が
減り、この力が空気の圧力により界面を圧力調節液側に
押す力と等しくなった位置で、この界面の動きが止ま
る。したがって、マイクロピペットの圧力調節部で圧力
調節液と空気との界面の位置を圧力により調節するだけ
で、細胞内にインジェクション液を注入させる量や細胞
内の核などをマイクロピペット内に吸引させたときの位
置を調節することができる。マイクロピペットの先端か
ら後方に離れた所定位置に圧力調節部が設けられている
ので、マイクロピペットの先端の太さや形を自由に設定
することができる。さらに、この圧力調節部の内径が最
も小さい部分まで十分に利用できるので、水銀よりも表
面張力が小さい液体を圧力調節液として使用することが
できる。
【0010】請求項2に記載の発明は、マイクロピペッ
ト内の圧力を連結手段を介して加圧手段で調節すること
により微量の液体や微小固体を注入または吸引させるイ
ンジェクション装置であって、前記マイクロピペットと
して請求項1に記載のマイクロピペットを使用したこと
を特徴とする。
【0011】請求項2に記載の発明によれば、たとえ
ば、加圧手段を操作することで連結手段を介してマイク
ロピペット内の空気の圧力を調節することができる。し
たがって、請求項1に記載の発明による効果に加え、加
圧手段の操作により、細胞内に注入するインジェクショ
ン液の量や細胞内の核などをマイクロピペット内に吸引
させたときの位置を調節することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明に
係るマイクロピペットおよびインジェクション装置の詳
細について説明する。図1(a)に示すように、マイク
ロピペット1は、外径が約1mm程度の円管となる基部
11と、この基部11の一端から外側に向かって先細り
のテーパ形状となる先端部12とを有している。この先
端部12には、図1(b)に示すように、その先端から
後方に離れた所定位置に、一度内径が絞られた後、後方
に行くにしたがって拡幅するテーパ部(圧力調節部)1
2aが形成されている。このマイクロピペット1の先端
部12は、外径が約1mm程度のガラス管の先端をマイ
クロピペット製作器(図示せず)により加熱して引っ張
ることで形成される。また、この先端部12のテーパ部
12aは、マイクロフォージ(図示せず)によりこの先
端部12の所定部を電熱線で加熱して縮ませることで形
成される。ここで、マイクロピペット1はまっすぐなま
までも使用できるが、その先端とテーパ部12aを含む
先端部12は、操作の際に容器の中で水平に保っておく
ことが必要なので、マイクロピペット1は基部11と先
端部12の間の適当な位置で熱を加えることにより20
〜30度程度曲げて、先端部12を斜め上から容器の中
に入れることができるようにして使うことが多い。そこ
で、本実施形態でも、マイクロピペット1の基部11と
先端部12の間を曲げた状態にして使用することとす
る。
【0013】このマイクロピペット1の基部11の後端
には、図2(a)および(b)に示すように、右側のイ
ンジェクション装置2Rのインジェクションホルダ21
Rの一端が取り付けられ、このインジェクションホルダ
21Rの他端には可とう性を有するチューブ(連結手
段)22Rの一端が取り付けられる。このチューブ22
Rの他端にはシリンジ(加圧手段)23Rが取り付けら
れるとともに、このシリンジ23Rから一端側に離れた
適所に連結管24Rが設けられる。この連結管24Rに
チューブ25Rの一端が取り付けられ、このチューブ2
5Rの他端に圧力計26Rが取り付けられる。そして、
前記シリンジ23Rはピストン運動によって圧力を調節
するものであり、この圧力を伝達させる媒体として空気
Aを利用する。マイクロピペット1が取り付けられるイ
ンジェクションホルダ21Rは、マニピュレータ3Rに
保持され、このマニピュレータ3Rは倒立顕微鏡5のス
テージ51に固定されている。なお、マニピュレータ3
Rは、前記マイクロピペット1を前後、左右および上下
に、精密に動かすことができる装置である。そして、こ
れらのインジェクション装置2Rやマニピュレータ3R
は、倒立顕微鏡5を挟んだ左側にも一つずつ配設され
る。この倒立顕微鏡5は、前記ステージ51の上方に光
源ランプ52、ランプハウス53、視野絞り54、開口
絞り55および集光器56を備え、その下方に対物レン
ズ57を備えるものである。そして、前記ステージ51
の左側の下部には、このステージ51を動かすための十
字動つまみ58が設けられている。左側のインジェクシ
ョンホルダ21Lには、細胞を保持するためのホールド
用マイクロピペットHが取り付けられる。このホールド
用マイクロピペットHは、その先端の内径が保持すべき
細胞の外径よりも小さくなっている。なお、細胞を保持
する方法はホールド用マイクロピペットHを使用しない
他の方法であってもよく、たとえば、細胞を容器の底に
貼り付ける方法や、2枚のカバーガラス片の間に挟む方
法などがある。そして、前記倒立顕微鏡5の十字動つま
み58を操作すると、このステージ51の中央に載置さ
れる容器Yとその両側に固定されるマニピュレータ3
L,3Rが一緒に動く。そのため、このマニピュレータ
3L,3Rにインジェクションホルダ21L,21Rを
介して取り付けられるホールド用マイクロピペットH、
マイクロピペット1がステージ51を動かすことによっ
て、容器Yの中の試料と一緒に動くことになる。
【0014】次に、顕微授精の実験における、マイクロ
ピペット1、インジェクション装置2L,2Rおよびマ
ニピュレータ3L,3Rの使用方法について、図2およ
び図3を参照して説明する。ここで、この顕微授精で使
用するマイクロピペット1の先端の内径は、このマイク
ロピペット1内に吸引すべき精子の外径より大きくなっ
ている。まず、ステージ51の十字動つまみ58を操作
してマイクロピペット1の先端部12を倒立顕微鏡5の
視野内に持って来て、マニピュレータ3Rを操作して、
図3(a)に示すように、マイクロピペット1の先端か
らテーパ部12aを含む先端部12を水平に保ったま
ま、培養液6の入った容器Yの中に入れる。このマイク
ロピペット1内の空気Aの圧力をシリンジ23Rにより
調節することで、図3(a)に示すような所定量の圧力
調節液としての培養液6をマイクロピペット1内にあら
かじめ吸引させておく。そして、マニピュレータ3L,
3Rを操作することにより、倒立顕微鏡5の視野内にマ
イクロピペット1の先端部12とホールド用マイクロピ
ペットHの先端を位置させる。まず、シリンジ23Lを
操作して卵子Oをホールド用マイクロピペットHの先端
に吸い付けて固定したのち、図3(b)に示すように、
精子Sの浮遊液を容器Yに加える。そして、作業者は対
物レンズ57を通して観察しながら、マニピュレータ3
Rを操作して、その先端を容器Yの培養液6の中に浮遊
している精子Sに近づけ、マイクロピペット1内の空気
Aの圧力をシリンジ23Rにより調節して、精子Sを培
養液6とともにマイクロピペット1内に吸引させる。そ
して、マニピュレータ3Rを操作して、図3(c)に示
すように、マイクロピペット1の先端を卵子Oに近づ
け、このマイクロピペット1内の空気Aの圧力をシリン
ジ23Rにより高くして、精子Sを卵子Oに接触、ある
いは卵子O内に注入する。
【0015】以下に、本発明であるマイクロピペット1
内における圧力調節液としての培養液6が作動する原理
について詳細に説明する。このマイクロピペット1で
は、培養液6と空気Aとの界面を挟んで発生するシリン
ジ23Rによる圧力と培養液6内の圧力との圧力差によ
りこの界面に加えられる力と、この界面の表面張力によ
りこの界面に加えられる力とのバランスを利用してい
る。したがって、図4に示すように、シリンジ23Rに
よる圧力Pmと培養液6内の圧力Piとの圧力差により
この界面に加えられる力Fpと、この界面の表面張力T
によりこの界面に加えられる力Ftとの関係を以下の式
で表すことができる。 Fp=πR2(Pm−Pi) ・・・ (1) Ft=2πRTcos(α+θ) ・・・ (2) (R:培養液6の界面の半径、Pm:シリンジ23Rに
より培養液6の界面に加えられる圧力、Pi:培養液6
側から培養液6の界面に加えられる圧力、T:培養液6
の空気Aに対する表面張力、α:培養液6とマイクロピ
ペット1の内壁との接触角、θ:マイクロピペット1の
中心軸と内壁との角度) ここで、培養液6と空気Aとの界面が止まっている場合
には、力Fpと力Ftが釣り合っているので、前記
(1)および(2)式より以下の式が導かれる。 πR2(Pm−Pi)=2πRTcos(α+θ) ・・・ (3) ここで、マイクロピペット1内に吸引する圧力調節液は
容器Y内の培養液6であり、かつ、このマイクロピペッ
ト1の培養液6が入っている先端部12が水平になって
いるので、マイクロピペット1のテーパ部12aに位置
する界面に培養液6側から加えられる圧力Piをゼロと
みなしても問題なくなる(厳密には、マイクロピペット
1の先端と容器Y中の培養液6の表面のわずかなレベル
の差を考慮する必要があるが、これは一般に1mm以下
であり、無視することができる)。そのため、最終的に
以下の式が導かれる。 Pm=2Tcos(α+θ)/R ・・・ (4) シリンジ23Rにより空気Aの圧力Pmを変化させる
と、培養液6の界面の位置が移動していき、この界面の
半径Rが所定値になったところ(Pm=2Tcos(α
+θ)/Rとなったところ)で界面が止まることにな
る。
【0016】前記の(4)式に基づいて、マイクロピペ
ット1内で起こる現象について、以下に説明する。精子
Sをマイクロピペット1内に吸引する場合では、図3
(a)に示すように、精子Sを吸引する前に培養液6の
界面をテーパ部12aの内径が小さい部分に位置させて
おく。そして、シリンジ23Rによりマイクロピペット
1内の空気Aの圧力Pmを低くすると、(4)式の関係
がPm<2Tcos(α+θ)/Rとなり、培養液6の
界面が後方に向かって移動しようとする。この界面の後
方に移動しようとする力、すなわち吸引力により、図3
(b)に示すように、精子Sがマイクロピペット1内に
吸引される。このとき、培養液6の界面は後方に向かう
につれて、その半径Rが大きくなっていき、(4)式の
関係がPm=2Tcos(α+θ)/Rとなった位置
で、この界面の動きが止まる。そのため、この界面が止
まった位置に対応したマイクロピペット1の先端近傍の
位置で精子Sも留まることになる。
【0017】そして、マニピュレータ3Rを操作してマ
イクロピペット1の先端を卵子Oに近づけると、このマ
イクロピペット1内に吸引された精子Sがマイクロピペ
ット1の先端近傍の所定位置に留まったまま運ばれるこ
とになる。そして、シリンジ23Rによりマイクロピペ
ット1内の空気Aの圧力Pmを高くすると、(4)式の
関係がPm>2Tcos(α+θ)/Rとなり、培養液
6の界面が前方に向かって移動する。この界面は、前方
に向かうにつれてその半径Rが小さくなっていき、
(4)式の関係がPm=2Tcos(α+θ)/Rとな
った位置で、図3(c)に示すように、この界面の動き
が止まる。そのため、培養液6の界面が前方に移動して
いる間、マイクロピペット1内の精子Sが卵子O近傍に
排出され、この界面が止まったときに培養液6の動きも
止まり、所定量の精子Sが卵子Oに接触、あるいは卵子
O内に注入されることになる。ここで、実際には、精子
Sの大きさなどが図示したものより小さいため、培養液
6の界面がテーパ部12aの範囲内で移動するとマイク
ロピペット1の先端の微小範囲でこの精子Sが吸引また
は注入される。しかし、図3においては、説明の便宜
上、培養液6の界面の移動量や精子Sなどの移動量を大
きく表現している。以下の説明に用いる図面について
も、同様に表現している。
【0018】次に、細胞から核を取り出す実験を行う場
合について、図2および図5を参照して説明する。ここ
で、この実験で使用するマイクロピペット1の先端の内
径は、細胞内から取り出すべき核の外径よりも大きくな
っている。さらに、細胞内の核を吸引するときには、細
胞の細胞膜を破る必要があるので、マイクロピペット1
の先端を鋭利な状態にしておくことが望ましい。したが
って、以下で説明する実験において、細胞の細胞膜を破
る必要がある実験では、マイクロピペット1の先端は鋭
利な状態になっているものとする。マイクロピペット1
内の空気Aの圧力をシリンジ23Rにより調節すること
で、図5(a)に示すような所定量の培養液6をマイク
ロピペット1内にあらかじめ吸引させておく。左側のマ
ニピュレータ3Lおよびシリンジ23Lを操作して、図
5(a)に示すように、ホールド用マイクロピペットH
の先端に細胞C1を吸い付けて固定させる。右側のマニ
ピュレータ3Rを操作して、図5(b)に示すように、
マイクロピペット1の先端を核Dに最も近い細胞表面か
ら細胞C1内に押し込んで、細胞C1の核D(微小固
体)近傍に位置させる。そして、マイクロピペット1内
の空気Aの圧力をシリンジ23Rにより低くして、図5
(c)に示すように、細胞C1の核Dと細胞膜をマイク
ロピペット1内に吸い込む。この核Dと細胞膜をさらに
マイクロピペット1内に吸い込ませると、図5(d)に
示すように、細胞膜が鋭いマイクロピペット1の先端で
破られ、今まで細胞膜に加えられていた吸引力が細胞C
1内の細胞質および核Dに作用するが、培養液6の界面
が所定位置で止まるため、核Dがマイクロピペット1内
の所定位置で留まることになる。以上により、細胞C1
から核Dを取り出す実験が終了する。
【0019】次に、マイクロピペット1内の先端近傍で
保持する核Dを別の細胞に移植する方法について、図2
および図6を参照して説明する。まず、前記のように、
あらかじめマイクロピペット1内に細胞C1から核Dを
取り出しておく(図5参照)。そして、左側のマニピュ
レータ3Lおよびシリンジ23Lを操作して、図6
(a)に示すように、ホールド用マイクロピペットHの
先端に、あらかじめ核が取り出されている細胞C2を吸
い付けて固定させる。再び右側のマニピュレータ3Rを
操作して、マイクロピペット1の先端を細胞C2内に押
し込む。そして、マイクロピペット1内の空気Aの圧力
をシリンジ23Rにより低くして、図6(b)に示すよ
うに、細胞C2の細胞膜を破る。この細胞膜が破れたと
き、今まで細胞膜に加えられていた吸引力が細胞C2内
の細胞質に作用するため、核Dとその周りにある細胞質
が細胞C2の細胞質とともに、マイクロピペット1内の
先端より後方に離れた位置まで勢いよく吸引される。し
かし、培養液6の界面はマイクロピペット1内のテーパ
部12aの所定位置で止まるため、核Dなども所定位置
で止まることになる。そして、マイクロピペット1内の
空気Aの圧力を高くして、図6(c)に示すように、マ
イクロピペット1内の核Dとその周りの細胞質をマイク
ロピペット1の先端付近まで押し出し、この核Dを細胞
C2内に移植したのち、図6(d)に示すように、マイ
クロピペット1を徐々に引き抜くことにより核移植の実
験が終了する。なお、ここでは、あらかじめ細胞C2の
核をマイクロピペット1により取り出しておいてから核
移植を行う方法を説明したが、他の方法として、核が取
り出されていない細胞C2内に細胞C1の核Dをマイク
ロピペット1により移植したあとに、細胞C2内の核を
取り出す方法がある。この方法には、マイクロピペット
1を細胞C2内に差し込む操作を一回だけ行えばよいと
いう利点がある。
【0020】次に、マイクロインジェクションの実験に
ついて説明する。均質の液体を注射するマイクロインジ
ェクションの実験においては、核や精子のような小固体
と違って液の動きを顕微鏡で直接観察することができな
いから、液の動きを制御する別の工夫が必要である。マ
イクロインジェクションの実験では、細胞内に注入しよ
うとする液と細胞自体の入っている媒体(通常は培養
液)とは一般に異なるから、図7(a)および(b)に
示すように、それらを別の容器Y1およびY2に入れ、
倒立顕微鏡5のステージ51の上に置く。容器Y1中の
培養液6の中にはホールド用マイクロピペットHに保持
された細胞C3を入れ、容器Y2中のインジェクション
液7の中にはマイクロピペット1の先端部12を入れ
る。インジェクション液7は毛管現象によってマイクロ
ピペット1の中に入ってくるが、空気Aとの界面がテー
パ部12aの内径が大きい部分の所定位置に止まってい
るようにシリンジ23Rを使って空気Aの圧力を調節し
ておく。容器Y1および容器Y2の液面のレベル(高
さ)を等しくしておく。次に、図7(c)に示すよう
に、マイクロピペット1の先端を容器Y1の中でホール
ド用マイクロピペットHに保持されている細胞C3のす
ぐ近くに持ってくる。以上の操作は倒立顕微鏡5で観察
しながら行う。容器Y1と容器Y2の位置やマイクロピ
ペット1の先端とテーパ部12a内の界面の位置などは
顕微鏡的にはかなり離れているが、ステージ51の十字
動つまみ58やマニピュレータ3R,3Lを適当に使っ
て視野の中央に置いて容易に操作することができる。イ
ンジェクション液7が培養液6と混ざらないような場合
は、マイクロピペット1の先端のところでインジェクシ
ョン液7と培養液6との間に界面ができ、それを隔てて
圧力差が発生するため、空気Aの圧力を調節して界面を
マイクロピペット1の先端で動かないようにするが、両
液とも水溶液の場合には一般に界面はできず、圧力差も
発生しないから両液の接触は先端部に限られている(た
だし、長時間のうちには両液は拡散によって、多少は混
じると考えられる)。また、マイクロピペット1の先端
を容器Y2から容器Y1中に移す際に先端の位置(レベ
ル)の変化のため、微量の液の混合が起こる可能性もあ
る。インジェクション液7に対する培養液6の混合を完
全に避けるには、マイクロピペット1の先端を培養液6
中に入れる直前に空気Aの圧力をわずか(水柱1mm圧
程度)あげて、マイクロピペット1の先端が培養液6中
にある間、インジェクション液7を少量ずつ培養液6内
に放出する方法もある。液体をマイクロインジェクショ
ンするためのマイクロピペット1は核移植などのように
先端の太いものでなく、先端が細く鋭利なものが使用で
きるから、先端を細胞C3内に差し込んだだけで細胞膜
や細胞外被を破壊できる場合が多い。通常は、先端を細
胞C3内に差し込んだのち、空気Aの圧力を上げればイ
ンジェクション液7は細胞C3内に注入される。マイク
ロピペット1の先端を細胞C3内に差し込んだだけでは
細胞膜や細胞外被が破壊されないような場合には核移植
の場合と同様な方法で細胞膜や細胞外被を破壊したのち
に空気Aの圧力を上げてインジェクション液7を注入す
る。細胞C3内がその周りの培養液6中より圧力が高い
場合には、マイクロピペット1を細胞C3内に差し込む
と細胞質がマイクロピペット1の中に押し出されようと
する。この場合には、まず、空気Aの圧力を調節して細
胞質がマイクロピペット1の方に流れないようにし、そ
の後でさらに圧力を加えてマイクロインジェクションす
る。このように、細胞C3内にマイクロインジェクショ
ンされるインジェクション液7の界面はテーパ部12a
の内径が小さい部分の所定位置で止まるため、この界面
が止まったときにインジェクション液7の注入も終了す
る。
【0021】前述の方法においては、図7(c)に示す
ように、マイクロピペット1のテーパ部12aは水平に
なっているため、空気Aの圧力と界面による吸引力が釣
り合っていて液の動きのない状態では、先端と界面の先
端側との圧力差(図4に示す圧力Pi)はゼロである。
したがって、このマイクロピペット1内でも前記(4)
式の関係(Pm=2Tcos(α+θ)/R)が成り立
つことになる。このマイクロピペット1では、表面張力
Tおよび接触角αは一定と考えられるから、角度θが一
定ならば空気Aの圧力Pmは界面の半径Rに反比例す
る。図8(a)に示すように、マイクロピペット1の空
気Aの圧力Pmと毛管現象による吸引力とのバランスに
よって決まる界面の位置と1/Pmの関係を調べた場
合、1/Pmが軸に沿って直線的に変化する範囲があれ
ば半径Rもその範囲で直線的に変わっている。すなわ
ち、テーパが一定であることが分かる。このテーパが一
定の範囲内で圧力Pmを変化させて界面の位置を動かし
た場合に、マイクロピペット1の先端を通って押し出さ
れるインジェクション液7の量は次のようにして求める
ことができる。界面が平面であると仮定すれば押し出さ
れるインジェクション液7の量は、図8(b),(c)
に示すように、切断直円錐の体積(π/3)(R1 3−R
2 3)(1/tanθ)に等しい。ここに、R1およびR2
はそれぞれ界面を動かす前、および動かした後のマイク
ロピペット1の内面の半径(内径)である。界面の動い
た距離Δxは顕微鏡を通して測定できる。したがって、
tanθは(R1−R2)/Δxとして求めることができ
る。界面の形は実際には平面ではなく、図8(b),
(c)に示すように、球面の一部と考えられるから、そ
のための補正を行えば界面の動きによって動いたインジ
ェクション液7の量Vは次式で求められる。 V=(π/3)(R1 3−R2 3)[(1/tanθ)−2+3tan(α+θ)− 1.5tan2(α+θ)+0.5tan3(α+θ)] ・・・ (5)
【0022】マイクロピペット1が、液の中に入ってい
るときには、液とマイクロピペット1の外面の境界で光
が屈折するために、顕微鏡観察によってマイクロピペッ
ト1の内面の半径R1,R2や接触角αを測定するために
は特別の工夫が必要である。接触角αはマイクロピペッ
ト1の内面のガラスとそれに接している液の種類によっ
て決まるから、たとえばインジェクション液7とマイク
ロピペット1との接触角αを知るためには、次のような
方法によって知ることができる。図9に示すように、マ
イクロピペット1と同じ種類のガラスででき、一端を封
じた毛細管Gの中ほどにインジェクション液7を入れ、
空気相A1を残したまま全体を屈折率がガラスと等しい
液L(たとえば、グリセロールと水とを混合して屈折率
をガラスのものと等しくした液)の中に入れる。顕微鏡
で観察すると液Lとガラスとの境界は全く見えず、図9
のように封じられた端の部分に残された空気相A1と、
それに接して管内に入れたインジェクション液7とが見
える。毛細管壁と液Lとの境界での光の屈折がないか
ら、接触角αをそのまま観察測定できる。マイクロピペ
ット1の半径(内径)は顕微鏡観察によって測定する
が、外液とマイクロピペットの外面の境界で起こる光の
屈折を考慮する必要がある。その場合、顕微鏡で観察、
測定される見掛け上の値に一定の係数を掛けることによ
って算出する。その係数は、外液の屈折率、マイクロピ
ペット1のガラスの屈折率およびマイクロピペット1の
内径と外径の比によって決まるから、あらかじめマイク
ロピペット1の素材と同じガラスでできたガラス管でさ
まざまな内径と外径の比を持ったものを使ってそれぞれ
について外液の中につけたときの見掛け上の内径と外径
の比を調べておき、見掛けの内径から真の内径を求める
補正係数を決める。以上のような方法によって、インジ
ェクション液7の空気Aとの界面の半径R 1,R2、接触
角α、およびテーパ角θ(または、tanθ)を求める
ことによって(5)式から空気Aの圧力を変えた場合の
インジェクション液7の動いた量、すなわちマイクロピ
ペット1の先端から押し出される液量を求めることがで
きる。細胞C3内にインジェクションする場合には、マ
イクロピペット1の先端を細胞C3内に入れてから、ス
テージ51の十字動つまみ58を動かしてテーパ部12
aを倒立顕微鏡5の視野内に入れて、空気Aの圧力をシ
リンジ23Rによって変えて界面の半径をR1からR2
で(距離にしてΔxだけ)動かせば量Vのインジェクシ
ョン液7がマイクロピペット1の先端から押し出され
る。なお、tanθ(すなわちテーパ)が一定の範囲で
はR1,R2を別の値にしても、押し出される液量を
(5)式を使って算出することができる。この方法で
は、細胞C3の位置がテーパ部12aの位置から離れて
いるので、細胞C3内にインジェクション液7が注入さ
れるのを直接顕微鏡で観察することができないが、次の
方法を使えばマイクロピペット1を差し込んだ細胞C3
を顕微鏡の視野内に入れたままインジェクションができ
る。すなわち、(4)式に示すように、空気Aの圧力P
mによってバランスされている界面の半径Rは圧力Pm
に反比例する。したがって、半径R1,R2のうちの一方
が前記の方法で測定されているならば、他方は圧力比か
ら求めることができる。すなわち、R2=R1(P1
2)、R1=R2(P2/P1)である。ここに、P1,P
2はそれぞれ界面の半径がR1およびR2の位置で安定し
ているときの圧力である。以上のことから、細胞C3に
マイクロインジェクションするのに先立ってインジェク
ション液7の中に水平に置いたマイクロピペット1を使
って得られた結果から、空気Aの圧力をP1からP2に変
えれば(5)式で示されたVの量のインジェクション液
7が細胞C3内に注入される。次に、あらかじめ決めら
れた量のインジェクション液7をマイクロインジェクシ
ョンする簡単な方法について説明する。この方法は、圧
力計26Rを見ながらシリンジ23Rで調節するだけ
で、所定の液量Vaとなるインジェクション液7を細胞
内に注入させる方法であり、以下に、その原理について
説明する。前記で説明した操作によって、液量Vのイン
ジェクション液7をインジェクションすることが可能で
あることがマイクロピペット1をインジェクション液7
中に水平に置いた位置で確かめられた場合、所定の液量
Vaのインジェクション液7を注入するためには、同じ
マイクロピペット1の中でインジェクトする前の界面の
半径がR1の(Va/V)1/3倍になるように、インジェ
クションした後の界面の半径がR2の(Va/V)1/3
になるように設定すればよいことが(5)式からわか
る。半径R1の位置に界面がある場合の空気Aの圧力は
1であり、RはPに反比例するから、半径R1(Va/
V)1/3の場合には、圧力はP1/[(Va/V)1/3]に
なる。同様にして、半径R2(Va/V)1/3の場合には
圧力はP2/[(Va/V)1/3]になる。すなわち、空気
Aの圧力を圧力計26を使ってインジェクションする前
に圧力をP1(V/Va)1/3に設定し、インジェクショ
ンした後には圧力をP2(V/Va)1/3に設定すればV
aの液量が注入されることになる。また、界面の位置を
顕微鏡で観察しながら空気Aの圧力をシリンジ23Rで
調整することによってVaの液をインジェクトする場合
には、次のような手順で行う。まず、ステージ51の十
字動つまみ58を使ってマイクロピペット1のテーパ部
12aを顕微鏡の視野内に移動させる。次に、シリンジ
23Rによって空気Aの圧力をP1(V/Va)1/3に設
定する。この操作によって界面の半径はR1(Va/
V)1/3になっている。空気Aの圧力をP2(V/Va)
1/3に設定すればVaの量の液がインジェクトされる。
界面の動きを顕微鏡で観察しながら空気Aの圧力を上げ
て、界面をΔx(Va/V)1/3だけ動かしても同じく
Va量の液がインジェクトされる。以上のように、マイ
クロピペット1は個々のものでテーパ角θや接触角αが
一定とみなすことのできる範囲を調べておけば、顕微鏡
による観察、測定、空気Aの圧力の測定調節によってイ
ンジェクトする液の量を定量的に制御できる。
【0023】以上は細胞C3内の圧力がゼロと仮定した
場合のことであるが、細胞C3内の圧力が培養液内の圧
力と異なる場合には細胞C3内にマイクロピペット1を
差し込んだ後に空気Aの圧力を細胞C3内の圧力とバラ
ンスさせたのち、上記のようにして求めた圧力をさらに
加えれば(5)式で示されたVの量の液が細胞C3内に
注入されるはずである。しかし、これはインジェクショ
ン液7を細胞C3内に注入しても細胞C3の内圧は変わ
らないと仮定したものである。細胞膜や細胞上被に弾性
があって細胞の体積が増加すると内圧が高くなるような
場合には細胞膜や細胞上被の弾性に関する情報が必要で
あり、圧力の大きさだけではインジェクトした量を求め
ることができない。一方、前記のようなマイクロピペッ
ト1のテーパ部12aにある界面の動きを直接顕微鏡で
観察測定しながら(5)式を使って注入量を決定する方
法を使えば、細胞膜や細胞上被の弾性値には無関係に細
胞内に入った液の量を求めることができる。
【0024】以上により、本実施形態において、次のよ
うな効果を得ることができる。 (i)精子Sをマイクロピペット内に吸引させる場合、
培養液6の界面は(4)式の関係がPm=2Tcos
(α+θ)/Rとなった位置で止まるので、マイクロピ
ペット1内に吸引した精子Sをマイクロピペット1内の
先端の所定位置に留めておくことができる。したがっ
て、培養液6の界面の位置を圧力で調節するだけで、マ
イクロピペット1内での精子Sの位置を調節することが
できる。 (ii)精子Sを卵子O内に注入する場合、培養液6の界
面は(4)式の関係がPm=2Tcos(α+θ)/R
となった位置で止まるので、卵細胞O内に精子Sのみを
注入させることができる。 (iii)マイクロピペット1内に細胞C1内の核Dを吸
引する場合、シリンジ23Rによる圧力で移動する培養
液6の界面が所定位置で止まるので、この位置に対応し
た位置で核Dや細胞質も止まる。そのため、従来のよう
に核や細胞質を吸い込み続けることがなくなる。したが
って、培養液6の界面の位置を圧力で調節するだけで、
マイクロピペット1内での核Dなどの位置を調節するこ
とができる。 (iv)細胞C2内に核Dを注入する場合、シリンジ23
Rによる圧力で移動する培養液6の界面が所定位置で止
まる。したがって、マイクロピペット1内の核Dととも
に所定量の細胞質だけが細胞C2内に注入されるので、
従来のように不要な培養液が細胞内に注入され続けるこ
とがなくなる。 (v)インジェクション液7の界面がテーパ部12aの
内径が小さい部分の所定位置で止まることで、インジェ
クション液7の注入も終了するため、所定量のインジェ
クション液7を細胞内に注入することができる。したが
って、インジェクション液7の界面の位置を圧力で調節
するだけで、細胞内に注入させるインジェクション液7
の量を調節することができる。 (vi)所定量のインジェクション液7を細胞内に注入す
るには、あらかじめマイクロピペット1内の圧力をP1
からP2に変化させたときに排出する体積Vを算出して
おくことにより、圧力計26Rを見ながらシリンジ23
Rでマイクロピペット1内の圧力をP1(V/Va)1/3
からP2(V/Va)1/3に変化させるだけで、所定の体
積Vaとなるインジェクション液7を細胞内に注入させ
ることができる。したがって、作業者が圧力計26Rを
見ながらシリンジ23Rを操作するだけで、容易に所定
量のインジェクション液7を細胞内に注入させることが
できる。
【0025】以上、本発明は、本実施形態に限定される
ことなく様々な形態で実施される。 (I)本実施形態では圧力調節液として培養液またはイ
ンジェクション液を利用したが、本発明はこれに限定さ
れるものではない。たとえば、インジェクション液の後
側に接するように、このインジェクション液と混合しな
いパラフィン油を封入して、このパラフィン油を圧力調
節液として利用してもよい。この場合は、パラフィン油
と空気Aとの界面の位置を圧力で調節するだけで、細胞
内に注入させるインジェクション液の量を調節すること
ができる。さらに、この場合は、インジェクション液と
パラフィン油との界面が位置する部分のテーパ形状が緩
やかであるため、この界面の面積と移動距離とを倒立顕
微鏡を通して測定すれば、注入したインジェクション液
の量を精密に知ることができる。また、インジェクショ
ン液とパラフィン油との界面の面積をあらかじめ測定し
ておけば、マイクロインジェクションを行うときに、倒
立顕微鏡でこの界面を観察しながら、その移動距離を測
定することにより、所定量のインジェクション液を注入
することができる。また、インジェクション液の後側に
接するようにパラフィン油を封入し、このパラフィン油
の後側に接するように水を封入して、この水を圧力調節
液として利用してもよい。この場合は、水の界面の位置
を圧力で調節するだけで、細胞内に注入させるインジェ
クション液の量を調節することができる。さらに、水と
インジェクション液との間に介在するパラフィン油の断
面積や移動距離を倒立顕微鏡を通して測定することによ
り、注入したインジェクション液の量を精密に知ること
ができる。また、マイクロピペット内に水、パラフィン
油およびインジェクション液といった三相の液体を封入
させることにより、水とインジェクション液との間に介
在するパラフィン油が目印の役割を果たす。そのため、
二相の液体の界面を観察することに比べて、著しく観察
が容易になる。さらに、パラフィン油を挟んで水とイン
ジェクション液が分離しているため、たとえば、水をさ
らに表面張力の高い別の液体にするなど、圧力調節液と
して利用する液体を自由に設定することができる。 (II)本実施形態ではシリンジから圧力を伝える媒体を空
気としたが、本発明はこれに限定されず、たとえば、媒
体が空気以外の気体であってもよい。 (III)本実施形態ではマイクロピペットの先端部を先細
りのテーパ形状としたが、本発明はこれに限定されず、
たとえば、先端部が円管状になっていてもよい。この場
合においても、その先端から後方に離れた所定位置のテ
ーパ部で細胞内に注入させるインジェクション液の量の
調節を行うことができる。さらに、マイクロピペットの
テーパ形状となる先端部の先端の内径を大きな径にして
も同様にテーパ部で注入および吸引の調節が行うことが
できるので、様々な細胞の核の大きさに対応させること
ができる。 (IV)また、テーパ部の先細り度の形状などは、適宜に変
更が可能であることは言うまでもない。たとえば、テー
パ部の傾斜を緩やかなものにすると、インジェクション
装置の圧力により細胞内に注入される液体の量が多くな
り、逆にテーパ部の傾斜を急なものにすると、この圧力
により細胞内に注入される液体の量が少なくなる。した
がって、このテーパ部の先細り度が異なるマイクロピペ
ットを選択するだけで、細胞内に液体を注入させる量や
細胞内の核などをマイクロピペット内に吸引させるため
にマイクロピペット内の液体を吸引する量を調節でき
る。また、テーパが一定でも、そのテーパ部内の界面の
位置を広い範囲で変えることができるので、細胞内に液
体を注入させる量などを広い範囲で調節することができ
る。 (V)また、本発明のマイクロピペットは、本実施形態で
示したような細胞から核を取り出す実験などに利用され
るだけでなく、たとえば、バイオプシー(生検)で組織
の中に埋もれている細胞や組織の一部を採取したり、細
胞膜や細胞外皮を破壊したりする実験などのいろいろな
実験に利用することができる。さらに、生命科学以外の
分野で、1マイクロリットルから1フェムトリットルオ
ーダーの微量の液体の注入や吸引にも利用することがで
きる。
【0026】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、表面張
力と圧力差のバランスにより、マイクロピペットの圧力
調節部での圧力調節液の界面の位置が自由に調節できる
ので、細胞内にインジェクション液を注入する量や細胞
内の核などをマイクロピペット内に吸引させたときの位
置を調節できる。また、マイクロピペットの先端から後
方に離れた所定位置に圧力調節部が設けられるので、マ
イクロピペットの先端の太さを自由に設定することがで
きる。
【0027】請求項2に記載の発明によれば、請求項1
に記載の発明による効果に加え、加圧手段の操作によ
り、細胞内にインジェクション液を注入する量や細胞内
の核などをマイクロピペット内に吸引させたときの位置
を調節できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したマイクロピペットを示した側
面図(a)と、図1(a)の破線で囲まれる部分の要部
拡大図(b)である。
【図2】図1のマイクロピペットを使用する実験に必要
な各装置の全体を示した概略図(a)と、この各装置を
上から見た平面図(b)である。
【図3】本発明のマイクロピペット内に精子を吸引する
前の状態を示した要部拡大図(a)と、マイクロピペッ
ト内に精子を吸引した状態を示した要部拡大図(b)
と、マイクロピペットから精子を排出した状態を示した
要部拡大図(c)である。
【図4】本発明のマイクロピペットで微量の液体や微小
固体を定量的に注入または吸引させる原理を示した要部
拡大図である。
【図5】マイクロピペット内に細胞内の核を吸引する前
の状態を示した要部拡大図(a)と、マイクロピペット
の先端を細胞内に押し込んだ状態を示した要部拡大図
(b)と、マイクロピペットで細胞の核と細胞膜を吸引
した状態を示した要部拡大図(c)と、マイクロピペッ
トで細胞膜を破るとともに細胞内の核などを吸引した状
態を示した要部拡大図(d)である。
【図6】本発明のマイクロピペットの先端近傍で核を保
持しながら、その先端を細胞内に押し込んだ状態を示し
た要部拡大図(a)と、マイクロピペットで細胞の細胞
膜を破った状態を示した要部拡大図(b)と、マイクロ
ピペット内から核などを細胞内に注入する過程を示した
要部拡大図(c)と、細胞内に核などを注入する作業が
完了した状態を示した要部拡大図(d)である。
【図7】マイクロインジェクションの実験における倒立
顕微鏡のステージ上の培養液を入れる容器を示した平面
図(a)と、インジェクション液を入れる容器を示した
平面図(b)と、細胞が入った培養液中にマイクロピペ
ットを入れた状態を示した断面図(c)である。
【図8】圧力の逆数と位置の関係を示した図(a)と、
マイクロインジェクション前後の界面の状態を示した断
面図(b)と、断面図(b)の要部拡大図(c)であ
る。
【図9】接触角を測定する方法を示した平面図である。
【符号の説明】
1 マイクロピペット 11 基部 12 先端部 12a テーパ部(圧力調節部) 2L,2R インジェクション装置 21L,21R インジェクションホルダ 22L,22R チューブ(連結手段) 23L,23R シリンジ(加圧手段) 3L,3R マニピュレータ 5 倒立顕微鏡 6 培養液(圧力調節液) 7 インジェクション液(圧力調
節液) A 空気 A1 空気相 C1,C2,C3 細胞 S 精子(微小固体) D 核(微小固体) O 卵子 Y,Y1,Y2,Y3 容器 G 毛細管
【手続補正書】
【提出日】平成14年10月3日(2002.10.
3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】インジェクション液7の空気Aとの界面の
半径R1,R2、接触角α、およびテーパ角θ(または、
tanθ)を求めることによって(5)式から空気Aの
圧力を変えた場合のインジェクション液7の動いた量、
すなわちマイクロピペット1の先端から押し出される液
量を求めることができる。細胞C3内にインジェクショ
ンする場合には、マイクロピペット1の先端を細胞C3
内に入れてから、ステージ51の十字動つまみ58を動
かしてテーパ部12aを倒立顕微鏡5の視野内に入れ
て、空気Aの圧力をシリンジ23Rによって変えて界面
の半径をR1からR2まで(距離にしてΔxだけ)動かせ
ば量Vのインジェクション液7がマイクロピペット1の
先端から押し出される。なお、tanθ(すなわちテー
パ)が一定の範囲ではR1,R2を別の値にしても、押し
出される液量を(5)式を使って算出することができ
る。この方法では、細胞C3の位置がテーパ部12aの
位置から離れているので、細胞C3内にインジェクショ
ン液7が注入されるのを直接顕微鏡で観察することがで
きないが、次の方法を使えばマイクロピペット1を差し
込んだ細胞C3を顕微鏡の視野内に入れたままインジェ
クションができる。すなわち、(4)式に示すように、
空気Aの圧力Pmによってバランスされている界面の半
径Rは圧力Pmに反比例する。したがって、半径R1
2のうちの一方が前記の方法で測定されているなら
ば、他方は圧力比から求めることができる。すなわち、
2=R1(P1/P2)、R1=R2(P2/P1)である。
ここに、P1,P2はそれぞれ界面の半径がR1およびR2
の位置で安定しているときの圧力である。以上のことか
ら、細胞C3にマイクロインジェクションするのに先立
ってインジェクション液7の中に水平に置いたマイクロ
ピペット1を使って得られた結果から、空気Aの圧力を
1からP2に変えれば(5)式で示されたVの量のイン
ジェクション液7が細胞C3内に注入される。次に、あ
らかじめ決められた量のインジェクション液7をマイク
ロインジェクションする簡単な方法について説明する。
この方法は、圧力計26Rを見ながらシリンジ23Rで
調節するだけで、所定の液量Vaとなるインジェクショ
ン液7を細胞内に注入させる方法であり、以下に、その
原理について説明する。前記で説明した操作によって、
液量Vのインジェクション液7をインジェクションする
ことが可能であることがマイクロピペット1をインジェ
クション液7中に水平に置いた位置で確かめられた場
合、所定の液量Vaのインジェクション液7を注入する
ためには、同じマイクロピペット1の中でインジェクト
する前の界面の半径がR1の(Va/V)1/3倍になるよ
うに、インジェクションした後の界面の半径がR2
(Va/V)1/3倍になるように設定すればよいことが
(5)式からわかる。半径R1の位置に界面がある場合
の空気Aの圧力はP1であり、RはPに反比例するか
ら、半径R1(Va/V)1/3の場合には、圧力はP1
[(Va/V)1/3]になる。同様にして、半径R2(Va
/V)1/3の場合には圧力はP2/[(Va/V)1/3]に
なる。すなわち、空気Aの圧力を圧力計26を使ってイ
ンジェクションする前に圧力をP1(V/Va)1/3に設
定し、インジェクションした後には圧力をP2(V/V
a)1/3に設定すればVaの液量が注入されることにな
る。また、界面の位置を顕微鏡で観察しながら空気Aの
圧力をシリンジ23Rで調整することによってVaの液
をインジェクトする場合には、次のような手順で行う。
まず、ステージ51の十字動つまみ58を使ってマイク
ロピペット1のテーパ部12aを顕微鏡の視野内に移動
させる。次に、シリンジ23Rによって空気Aの圧力を
1(V/Va)1/3に設定する。この操作によって界面
の半径はR1(Va/V)1/3になっている。空気Aの圧
力をP2(V/Va)1/3に設定すればVaの量の液がイ
ンジェクトされる。界面の動きを顕微鏡で観察しながら
空気Aの圧力を上げて、界面をΔx(Va/V)1/3
け動かしても同じくVa量の液がインジェクトされる。
以上のように、マイクロピペット1は個々のものでテー
パ角θや接触角αが一定とみなすことのできる範囲を調
べておけば、顕微鏡による観察、測定、空気Aの圧力の
測定調節によってインジェクトする液の量を定量的に制
御できる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図9
【補正方法】削除
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】削除

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微量の液体や微小固体を注入または吸引
    するためのマイクロピペットであって、 マイクロピペットの先端から後方に離れた所定位置に、
    圧力調節液が入り、かつ、後方に行くにしたがって拡幅
    するテーパを有する圧力調節部が設けられ、 この圧力調節部に接触する前記圧力調節液の界面の面積
    が増減することにより、微量の液体や微小固体の注入ま
    たは吸引を調節することを特徴とするマイクロピペッ
    ト。
  2. 【請求項2】 マイクロピペット内の圧力を連結手段を
    介して加圧手段で調節することにより微量の液体や微小
    固体を注入または吸引させるインジェクション装置であ
    って、 前記マイクロピペットとして請求項1に記載のマイクロ
    ピペットを使用したことを特徴とするインジェクション
    装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のマイクロピペットを用
    いて微量の液体や微小固体を注入または吸引するマイク
    ロインジェクションの方法であって、 前記マイクロピペットの基部側の圧力を変化させて前記
    圧力調節部のテーパの範囲内において前記圧力調節液の
    界面を移動させることにより、この移動する界面が前記
    圧力と毛管現象による吸引力とが釣り合った位置で停止
    して、微量の液体や微小固体が所定量だけ注入または吸
    引されることを特徴とするマイクロインジェクションの
    方法。
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