JP2003124511A - 積層構造体、その製造法方法、化合物半導体素子および発光素子 - Google Patents

積層構造体、その製造法方法、化合物半導体素子および発光素子

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JP2003124511A
JP2003124511A JP2001312135A JP2001312135A JP2003124511A JP 2003124511 A JP2003124511 A JP 2003124511A JP 2001312135 A JP2001312135 A JP 2001312135A JP 2001312135 A JP2001312135 A JP 2001312135A JP 2003124511 A JP2003124511 A JP 2003124511A
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Takashi Udagawa
隆 宇田川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来のp形リン化硼素系半導体層の形成手段に
おける、添加するp形不純物の僅かな量的変動により、
リン化硼素結晶層の抵抗が敏感に変動してしまう問題を
解決する。 【解決手段】リン化硼素系半導体層の気相成長の際に、
n形不純物とp形不純物の双方を添加し、かつn形不純
物の添加に依る層内の電子濃度を上回る正孔を生成する
様にp形不純物を添加して、p形のリン化硼素系半導体
層を得る。好ましくは、気相成長時にn形不純物と共
に、複数のp形不純物を添加してp形リン化硼素系半導
体層を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、p形不純物を添加
したp形リン化硼素系半導体層を備えた積層構造体、及
びその積層構造体から構成された化合物半導体素子に関
し、特に所望の導電性を有するp形リン化硼素系半導体
層を備えた積層構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、III−V族化合物半導体の
一種として、リン化硼素(BP)が知られている(寺本
巌著、「半導体デバイス概論」(1995年3月30
日、(株)培風館発行、28頁参照)。共有結合性の珪
素(Si)半導体のフィリップスのイオン結合度を0と
して、リン化硼素は、フィリップスのイオン結合度が
0.006と小さくほとんど共有結合性の半導体である
(Philips著、「半導体結合論」(1985年7
月25日、(株)吉岡書店発行第3刷、51頁参照)。
また、リン化硼素は立方晶の閃亜鉛鉱(zinc−bl
end)型の結晶である(上記の「半導体デバイス概
論」、28頁参照)。
【0003】併せて、立方晶閃亜鉛鉱結晶型の半導体で
は、窒化ガリウム(GaN)等の六方晶ウルツ鉱(Wu
rtzite)型半導体結晶とは異なり価電子帯が縮退
している(生駒 俊明、生駒 英明共著、「化合物半導
体の基礎物性入門」(1991年9月10日、(株)培
風館発行、初版)、14〜17頁参照)。このため、リ
ン化硼素には、例えば、イオン結合度を0.500と高
くするウルツ鉱結晶型のGaNに比較して(上記の「半
導体結合論」、51頁参照)、p形の伝導層を得られ易
い特徴が備わっている。
【0004】この特徴に依り、従来からp形のリン化硼
素半導体層は例えば、レーザーダイオード(LD)用途
の電極を形成するためのコンタクト層として利用されて
いる(特開平10−242567号公報参照)。また、
砒化ガリウム(GaAs)、炭化珪素(SiC)、また
はGaN単結晶基板上に、p形リン化硼素半導体層を緩
衝層として備えている積層構造体から、LD或いは発光
ダイオード(LED)を構成する技術が開示されてい
る。また、p形不純物を添加したリン化硼素と窒化アル
ミニウム・ガリウム(AlXGa1-XN:0≦X≦1)と
の混晶を発光層として発光素子を構成する従来技術例も
ある(特開平2−275682号公報参照)。従来技術
では、p形のリン化硼素半導体層は、p形不純物をマグ
ネシウム(Mg)、または亜鉛(Zn)等とした有機金
属熱分解気相成長法(MOCVD)法に依り形成されて
いる(米国特許6,069,021号参照)。
【0005】また、珪素単結晶(シリコン)を基板とし
て成長させたリン化硼素半導体層を備えた積層構造体か
ら短波長の可視光を出射する発光素子を構成する技術が
開示されている(米国特許6,069,021号参
照)。従来技術において、珪素単結晶を基板とした場
合、基板の表面をなす結晶面と同一の面指数の結晶面が
積重してなるリン化硼素半導体層がもたらされるのは公
知となっている(応用物理学会発行、「応用物理」、第
45巻第9号(1976)、891〜897頁参照)。
例えば、{100}結晶面を表面とする{100}−珪
素単結晶基板上には、{100}結晶面が積重してなる
{100}−リン化硼素半導体層が成長するのが知られ
ている。また、{111}−珪素単結晶基板上には、
{111}−リン化硼素半導体層が成長することとなっ
ている(Jpn.J.Appl.Phys.,13
(3)(1974)、411〜416頁参照参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来技術では、p形リ
ン化硼素系結晶層は、1種類のp形不純物をドーピング
することにより得られている。例えば、p形不純物とし
てマグネシウム(Mg)のみをドーピングすることによ
り形成されている。イオン結合性の少ないリン化硼素系
結晶には、p形不純物は容易に且つ効率的に取り込まれ
る。このため、従来のp形リン化硼素系半導体層の形成
手段では、添加するp形不純物の僅かな量的変動によ
り、リン化硼素結晶層の抵抗が敏感に変動してしまう問
題が発生していた。特に、p形不純物の添加量の僅かな
変動に因ってp形不純物が過剰に取り込まれると結晶性
は悪化し、抵抗の高いリン化硼素系半導体層がもたらさ
れるのみとなり問題となっている。
【0007】珪素単結晶基板表面と同一の指数の結晶面
からなるリン化硼素系単結晶層が得られる温度範囲は狭
いことが知られている(上記の「応用物理」、第45巻
参照)。例えば、1030℃から1080℃の50℃の
狭き範囲に限られている。また、この様な高温では、p
形不純物の熱拡散が顕著となり、従い、層内のp形不純
物の濃度が変動する。このため、所望の正孔(hol
e)濃度を有するp形リン化硼素系半導体層を安定して
得るに支障を来している。
【0008】本発明は、第1に所望の導電性を有するp
形リン化硼素系半導体層を安定して提供できる技術手段
を提示すると共に、そのp形リン化硼素系半導体層を備
えた化合物半導体素子用途の積層構造体を提供する。ま
た、第2に、従来より低温において、安定して形成する
に優位なp形リン化硼素系半導体層の結晶構造的な構成
を提示する。これをもって、高温環境下でのp形不純物
の顕著な熱拡散を抑制する技術手段に依り、所望する正
孔濃度のp形リン化硼素系半導体層を安定して得ること
の出来ない従来技術の問題点の解決を図るものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、次の
(1)乃至(8)項に記載の特徴を有する積層構造体を
提供するものである。 (1)単結晶基板上に形成された、n形不純物とp形不
純物の双方が添加されたp形リン化硼素(BP)系半導
体層を備えていることを特徴とする積層構造体。 (2)前記p形リン化硼素系半導体層に、複数のp形不
純物が添加されていることを特徴とする上記(1)に記
載の積層構造体。 (3)前記p形リン化硼素系半導体層に添加する複数の
p形不純物の一種を、マグネシウム(Mg)としたこと
を特徴とする上記(2)に記載の積層構造体。 (4)前記p形リン化硼素系半導体層に添加する複数の
p形不純物の一種を、ベリリウム(Be)としたことを
特徴とする上記(2)に記載の積層構造体。 (5)前記p形リン化硼素系半導体層に添加する複数の
p形不純物の一種を、亜鉛(Zn)としたことを特徴と
する上記(2)に記載の積層構造体。 (6)前記p形リン化硼素系半導体層が、単結晶基板の
表面をなす結晶面とは異なる面指数の結晶面を、単結晶
基板の表面に平行に配列してなる結晶層から構成されて
いることを特徴とする上記(1)乃至(5)の何れか1
項に記載の積層構造体。 (7)前記p形リン化硼素系半導体層が、単結晶基板の
表面に平行に配列した{110}結晶面からなる{11
0}結晶層から構成されていることを特徴とする上記
(6)に記載の積層構造体。 (8)前記{110}結晶層から構成されたp形リン化
硼素系半導体層が、非晶質または多結晶のリン化硼素系
半導体からなる緩衝層を介して、単結晶基板上に設けら
れていることを特徴とする上記(7)に記載の積層構造
体。また本発明は、次の(9)項に記載の積層構造体の
製造方法を提供するものである。 (9)前記p形リン化硼素系半導体層を気相成長法によ
り形成することを特徴とする上記(1)乃至(8)の何
れか1項に記載の積層構造体の製造方法。
【0010】また、本発明は次の(10)乃至(12)
項に記載の化合物半導体素子あるいは発光素子を提供す
る。 (10)上記(1)乃至(8)の何れか1項に記載の積
層構造体を用いて構成した化合物半導体素子。 (11)上記p形リン化硼素系半導体層とn形III−
V族化合物半導体層とのpn接合を具備することを特徴
とする上記(10)に記載の化合物半導体素子。 (12)上記(11)に記載の化合物半導体素子からな
る発光素子。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施形態に係わる
リン化硼素系半導体層は、一般式BαAlβGaγIn
1- α - β - γ1- δAsδ(0<α≦1、0≦β<1、0
≦γ<1、0<α+β+γ≦1、0≦δ<1)で表記さ
れるリン化硼素系半導体から好適に構成できる。また例
えば、一般式BαAlβGaγIn1- α - β - γ1- δ
δ(0<α≦1、0≦β<1、0≦γ<1、0<α+β
+γ≦1、0<δ<1)で表記される窒素(N)を含む
リン化硼素系半導体から構成できる。好ましくは、構成
元素数が少なく、簡便に構成できる2元結晶或いは3元
混晶から構成する。例えば、単量体リン化硼素(B
P)、リン化アルミニウム・硼素混晶(BαAlβP、
但し0<α≦1、α+β=1)、リン化硼素・ガリウム
混晶(BαGaδP、但し0<α≦1、α+δ=1)、
或いはリン化硼素・インジウム混晶(BαIn1- αP、
但し0<α≦1)などから構成する。
【0012】p形リン化硼素系半導体層は、例えば、珪
素単結晶(シリコン)、リン化ガリウム(GaP)、砒
化ガリウム(GaAs)、炭化珪素(SiC)、或いは
リン化硼素(BP)(J.Electrochem.
Soc.,120(1973)、p.p.802〜80
6.、及び米国特許5,042,043号公報参照)
等の単結晶を基板として気相成長法に依り成膜する。n
形またはp形伝導性の低抵抗の単結晶を利用すると、基
板にオーミック(Ohmic)電極を設置できるため、
LED等を簡便に構成できる。特に、抵抗率を10ミリ
オーム(mΩ)以下、より望ましくは1mΩ以下とする
低い比抵抗(抵抗率)の導電性単結晶基板は、順方向電
圧(所謂、Vf)の低いLED、或いは放熱性に優れる
LDをもたらすに貢献できる。
【0013】p形リン化硼素系半導体層を形成するため
の気相成長法としては、例えば、トリエチル硼素((C
253B)/ホスフィン(PH3)/水素(H2)成長
反応系を利用したMOCVD法がある(Inst.Ph
ys.Conf.Ser.,No.129(IOP P
ublishing Ltd.,1993)、157〜
162頁参照)。また、三塩化硼素(BCl3)/三塩
化リン(PCl3)/H2反応系ハロゲン(haloge
n)気相成長法、或いはジボラン(B26)/PH3
2反応系ハイドライド(hydride)気相成長法
を例示できる。また、分子線エピタキシャル成長法を例
示できる(J.Solid State Chem.,
133(1997)、269〜272頁参照)。p形リ
ン化硼素結晶層を形成するには、総じて、約250℃〜
1200℃の温度範囲が適する。約250℃〜750℃
の比較的低温の温度領域は、非晶質或いは多結晶のリン
化硼素半導体層を得るに適する(米国特許6,194,
744B1号参照)。約750℃〜約1200℃のより
高温度は単結晶のp形リン化硼素系半導体層を得るに有
利である。約1200℃を越える高温では、例えばB13
2の様な多量体が発生し(J.Am.Ceram.S
oc.,47(1)(1964)、44〜46頁)、組
成的に均質なリン化硼素系半導体層を得るに支障とな
る。
【0014】本発明の第1の実施形態では、気相成長時
に、n形不純物とp形不純物の双方を添加しつつ、p形
のリン化硼素系半導体層を得る。即ち、リン化硼素系半
導体層の成膜時に、n形不純物の添加に依る層内の電子
濃度を上回る正孔を生成する様にp形不純物を添加し
て、p形のリン化硼素系半導体層を得る。p形リン化硼
素系半導体層の気相成長時に添加(doping)する
n形不純物には、珪素(Si)等の第IV族元素に加
え、錫(Sn)、硫黄(S)、テルル(Te)、セレン
(Se)等の第VI族元素を例示できる。珪素の添加源
としては、シラン(SiH4)類、四塩化珪素(SiC
4)等のハロゲン化珪素、またテトラメチル珪素
((CH34Si)等の有機珪素化合物を例示できる。
また、有機錫化合物、硫化水素(H2S)、有機テルル
化合物、セレン化水素(H2Se)もn形不純物の添加
源として利用できる。p形不純物には、マグネシウム
(Mg)、亜鉛(Zn)及びベリリウム(Be)等の第
II族元素を例示できる。添加源として、これらの第I
I族元素の有機金属化合物を利用できる。
【0015】イオン結合性の小さなリン化硼素系半導体
層に、p形不純物と同時に添加したn形不純物は、電気
的に活性化し、ドナー(donor)となり、アクセプ
タ(acceptor)を補償する作用を発揮する。こ
のため、p形不純物の添加量の変化量に応じた正孔濃度
の変化量を縮小させることができる。即ち、p形不純物
の添加量に対して、正孔濃度の変化量を鈍化させられ、
正孔濃度の制御が容易となるため、所望の正孔濃度のp
形リン化硼素系半導体層を安定して得るに寄与できる。
p形不純物の添加量を一定とした場合、n形不純物の添
加量を増大させる程、正孔濃度の変化量を緩やかとでき
る。本発明の第1の実施形態に係わる正孔濃度を例えば
1×1018cm-3程度とするp形リン化硼素系半導体層
は、例えば、ダブルヘテロ(DH)接合型発光部をなす
p形クラッド(clad)層として備えた発光素子用途
の積層構造体を得るに利用できる。リン化硼素系半導体
層の伝導形及びそのキャリア濃度は、例えば、一般的な
ホール(Hall)効果法により調査できる。
【0016】第1の実施形態に係わる効用をより良く説
明するために、図4に、一般的な常圧MOCVD法に依
り亜鉛(Zn)を添加したリン化硼素半導体層を得る際
の、正孔濃度と亜鉛のドーパント源であるジメチル亜鉛
((CH32Zn)の供給量との関係を示す。亜鉛を単
独で添加した場合、正孔濃度は亜鉛の添加量の増加と共
に増加し、やがて飽和する傾向を一般的に呈する。しか
し、亜鉛を単独に添加した場合では、亜鉛の添加量の増
大にともなう、正孔濃度の増加率は大きい。例えば、
(CH32Znの供給量を僅か0.4モル(mole)
増大させると、正孔濃度は約1桁増加してしまう。正孔
濃度(p:単位cm-3)と、アクセプタ濃度(Na:単
位cm-3)及びドナー濃度(Nd:単位cm-3)とは、
p=Na−Nd(Na>Nd)の関係にある。従って、
アクセプタを発生させる亜鉛(Zn)と同時に、ドナー
を発生する珪素(Si)を添加すると、ドナーにより一
部のアクセプタは電気的に補償され、得られる正孔濃度
(=p)は減少する。(CH32Znの供給量(Q:単
位mol.)に対する正孔濃度(p)の変化率(=p/
Q)は、亜鉛(Zn)を単独で添加した場合、Na>>
Ndであるため、Na/Q(cm-3/mol.)で近似
される。一方、同時に珪素(Si)を添加するとNdは
増加し、変化率(=p/Q)は(Na−Nd)/Qに低
下させられる。例えば、珪素(Si)の添加量を毎分
0.8×10-6モルと一定とした場合の、亜鉛(Zn)
の供給量と正孔濃度の関係を図4に併せて示す。Qに対
しPを緩やに変化させられる。即ち、p形リン化硼素系
半導体層の正孔濃度を安定して制御するに貢献できる。
【0017】珪素等のn形不純物の添加量は、亜鉛等の
p形不純物の供給量の増大に拘わらず、Na≧Ndの関
係を与える一定量とできる。また、亜鉛の添加量を増大
させると共に、Na≧Ndの関係を維持できる様に添加
量を増大させても構わない。同時に添加する珪素の量を
増大させる手法に依れば、Naの増加と共にNdも増加
させられ、(CH32Znの供給量に対して広範囲に亘
り、正孔濃度の変化率を小さくでき、従って、正孔濃度
を精密に制御できる。p形不純物である例えば、亜鉛
(Zn)の添加源には、ジメチル亜鉛((CH32
n)やジエチル亜鉛((C252Zn)を例示でき
る。マグネシウム(Mg)の添加源として、例えば、ビ
スシクロペンタジエニルマグネシウム(bis−(C5
52Mg)等を利用できる。添加源の供給量は、例え
ば、電子式質量流量制御計(MFC)等の流量制御機器
を利用して制御できる。Na≦Ndとなる状況を招く様
に、n形不純物を過剰に添加するのは、リン化硼素系半
導体層の伝導形をn形に反転させるため不都合である。
【0018】本発明の第2の実施形態では、気相成長時
にn形不純物と共に、複数種のp形不純物を添加してp
形リン化硼素系半導体層を得ることとする。n形不純物
を同時に添加することに依って、リン化硼素系半導体層
へのp形不純物の溶解度が増加する。このため、高い正
孔濃度のp形リン化硼素系半導体層を得られる。例え
ば、n形不純物の珪素(Si)の供給量を0.5×10
-6モル/分と一定として、亜鉛(Zn)とマグネシウム
(Mg)とを同時にリン化硼素半導体層に添加した際
の、p形不純物のドーピング源の供給量の合計と正孔濃
度との関係を図5に示す。亜鉛と共にマグネシウムをp
形不純物として添加することにより、亜鉛をp形不純物
として単独に添加した場合に比較して、より高い正孔濃
度のp形リン化硼素半導体層が帰結されるのが示されて
いる。この様に、異種のp形不純物を同時に添加する
と、高い正孔濃度のp形リン化硼素系半導体層を安定し
て得るに特に、効果がある。例えば、n形不純物を珪素
(Si)とし、加えて亜鉛(Zn)とマグネシウム(M
g)とを同時に添加することに依り、1×1019cm-3
を越える高い正孔濃度のp形リン化硼素系半導体層を得
ることができる。例えば、正孔濃度を約5×1018cm
-3〜5×1019cm-3とするp形リン化硼素系半導体層
は、HBTのベース(base)層として好適に利用で
きる。
【0019】本発明の第3の実施形態では、気相成長法
に依る成膜時にn形不純物と同時に添加する複数種のp
形不純物の一種を特に、マグネシウム(Mg)として、
p形リン化硼素系半導体層を形成する。マグネシウム
(Mg)は、リン化硼素系半導体に対してドーピングの
効率が高く、1×1018cm-3を越える高い正孔濃度の
p形リン化硼素系半導体層を得るに好適である。マグネ
シウム(Mg)と共に添加するp形不純物の種類は限定
されない。しかし、多種に及ぶと各p形不純物の供給量
を制御するに煩雑となるため、通常は2〜3種に留めて
おくのが好都合である。例えば、マグネシウム(Mg)
に加え亜鉛(Zn)を同時に添加して、1×1019cm
-3を越える高い正孔濃度のp形リン化硼素系半導体層を
得る手段を例示できる。併せて添加するn形不純物は、
p形不純物の添加量に対応して増加するアクセプタを電
気的に補償するため、p形不純物の添加量に対する正孔
濃度の変化量を見掛け上、鈍化させられる。従って、正
孔濃度を精密に制御するに貢献する。
【0020】本発明の第4の実施形態では、気相成長法
に依る成膜時にn形不純物と同時に添加する複数種のp
形不純物の一種を特に、ベリリウム(Be)として、p
形リン化硼素系半導体層を形成する。ベリリウム(B
e)は、硼素(B)(原子半径=0.98Å)と略同等
の原子半径(=1.12Å)を有する。従って、原子濃
度にして1×1019cm-3を越える高濃度に添加して
も、顕著に結晶格子に伸縮を来さずに層内に歪みを発生
させることなく、結晶性の良好なp形リン化硼素系半導
体層を得ることができる。ベリリウム(Be)と共に添
加するp形不純物の種類は限定されない。しかし、多種
に及ぶと各p形不純物の供給量を制御するに煩雑となる
ため、通常は2〜3種に留めておくのが好都合である。
例えば、ベリリウム(Be)に加え亜鉛(Zn)を同時
に添加して、1×1019cm-3を越える高い正孔濃度の
p形リン化硼素系半導体層を得る手段を例示できる。こ
の様な高い正孔濃度のp形リン化硼素系半導体層は導電
性に優れるため、例えば、素子駆動電流を発光領域に全
般的に拡散させる電流拡散層として利用できる。
【0021】また、本発明の第5の実施形態では、p形
リン化硼素系半導体層に添加する複数のp形不純物の一
種を亜鉛(Zn)としてp形リン化硼素系半導体層を構
成する。気相成長時に亜鉛(Zn)と共に添加できるp
形不純物には、例えば、マグネシウム(Mg)やベリリ
ウム(Be)を例示できる。亜鉛(Zn)の原子半径は
1.38Åであり、マグネシウム(Mg)の原子半径は
1.60Åである。従って、亜鉛(Zn)と共にマグネ
シウム(Mg)を添加すると、マグネシウム(Mg)を
単独で添加する場合に比較して結晶格子の拡張をより良
く抑制でき、よって、結晶性に優れる正孔濃度の高いp
形リン化硼素系半導体層を得ることができる。また、硼
素(B)より原子半径の大きな亜鉛(Zn)と逆に小さ
なベリリウム(Be:原子半径=1.12Å)を同時に
添加すれば、硼素(B)原子のベリリウム(Be)に依
る置換に起因する結晶格子の縮小を抑制するに効果を上
げられ、結晶性に優れる高い正孔濃度のp形リン化硼素
層を得るに寄与できる。
【0022】p形リン化硼素系半導体層を広い温度範囲
に亘り、安定して得るために、本発明の第6の実施形態
では、p形リン化硼素系半導体層が、単結晶基板の表面
をなす結晶面とは異なる面指数の結晶面を、単結晶基板
の表面に平行に配列してなる結晶層から構成されたもの
とする。例えば、{100}結晶面を表面とする結晶基
板上に、基板の表面に平行に配列した{100}結晶面
とは別の結晶面が積重してなる結晶層からp形リン化硼
素系半導体層を構成する。また、例えば、{111}結
晶面を表面とする結晶基板上に、基板の表面に平行に配
列した{111}結晶面とは別の結晶面が積重してなる
結晶層からp形リン化硼素系半導体層を構成する。
【0023】特に第7の実施形態では、p形リン化硼素
系半導体層を、単結晶基板の表面に平行に配列した{1
10}結晶面からなる{110}結晶層から構成する。
例えば、{100}結晶面を表面とする結晶基板上に、
基板の表面に平行に配列した{110}結晶面を積重さ
せてなる結晶層からp形リン化硼素系半導体層を構成す
る。また、例えば、{111}結晶面を表面とする結晶
基板上に、基板の表面に平行に配列した{110}結晶
面を積重してなる結晶層からp形リン化硼素系半導体層
を構成する。
【0024】基板表面を構成する結晶面に拘わらず、
{110}結晶面からなるp形リン化硼素結晶層は、結
晶基板上に低温で形成された非晶質または多結晶からな
る緩衝層を設ける技術手段に依ると効果的に得られる。
緩衝層は、基板とp形リン化硼素半導体層との格子不整
合性を緩和して、ミスフィット(misfit)転位等
の結晶欠陥密度の小さいp形リン化硼素系半導体層をも
たらす作用を発揮する(上記の米国特許6,029,0
21号参照)。特に、硼素(B)を構成元素として含む
含硼素III−V族化合物半導体層からなる緩衝層は、
硼素原子の成長サイト(site)の提供に依り、連続
性のあるp形リン化硼素系半導体層をもたらすに貢献で
きる。例えば、非晶質または多結晶のBαAlβGaγ
In1- α - β - γ1- δAsδ層(0<α≦1、0≦β<
1、0≦γ<1、0<α+β+γ≦1、0≦δ<1)
は、MOCVD法に依り、成長温度を約250℃〜75
0℃の比較的に低温として形成できる。緩衝層の結晶形
態或いは緩衝層上のp形リン化硼素系半導体層を構成す
る結晶面は、例えば、一般的なX線回折法、電子線回折
法に依る回折像の解析から知れる。緩衝層を構成する非
晶質層または多結晶層の層厚は望ましくは約1nm以上
で100nm以下、更に望ましくは2nm以上で50n
m以下とする。
【0025】緩衝層の介在に依り、{110}結晶面を
積重してなるp形リン化硼素系半導体層の得られる温度
範囲を拡幅することができる。例えば、トリエチル硼素
((C 253B)/ホスフィン(PH3)/水素
(H2)反応系常圧(略大気圧)MOCVD手段では、
約750℃〜約1200℃の広い温度範囲において、
{110}結晶面からなる単量体のリン化硼素半導体層
を得られる。特に、上記のMOCVD気相成長法におい
て、成長速度を好ましくは、毎分2nm以上で30nm
以下とし、併せて、原料の供給量比率(=PH3/(C2
53B供給量比率)を好ましくは15以上で60以下
の範囲とすると、室温での禁止帯幅(band ga
p)を3.0±0.2eVとする{110}結晶面から
なるp形のリン化硼素半導体層をもたらせる。例えば、
室温での禁止帯幅を3.0eVとする単量体のリン化硼
素とリン化ガリウム(GaP:室温禁止帯幅≒2.3e
V)とを混晶化させれば、室温禁止帯幅を約2.7eV
とする窒化リン化ガリウム混晶(B0.50Ga0.50P)も
構成できる。この様な室温で高い禁止帯幅を有するリン
化硼素系半導体層を例えば、窒化ガリウム・インジウム
(GaXIn1-XN:0<X<1)井戸層に対する障壁層
として利用すれば、例えば、量子井戸構造の発光層を備
えた発光素子用途の積層構造体を提供できる。禁止帯幅
は、例えば屈折率(=n)と消衰係数(=k)から求め
られる複素誘電率の虚数部(ε2=2・n・k)の光エ
ネルギー依存性から求められる。
【0026】また、p形リン化硼素系半導体層を、基板
表面をなす結晶面に拘わらず一定の{110}結晶面か
ら構成れば、基板表面をなす結晶面の方位の相違に因る
ドーピング効率の変動を回避できる利点がある。即ち、
所望する正孔濃度のp形リン化硼素系半導体層を安定し
て得ることができる。安定して得られる正孔濃度や抵抗
を有するp形リン化硼素系半導体層を利用すれば、特性
に優れる化合物半導体素子を安定して帰結できる積層構
造体を構成できる。例えば、(100)結晶面を表面と
する硼素(B)を添加したp形珪素単結晶基板(シリコ
ン)上に次項(1)乃至(4)項に記載の構成からなる
機能層を順次積層させれば、p形リン化硼素系半導体層
とn形III−V族化合物半導体層とのpn接合を具備
する発光素子用途の積層構造体を構成できる。 (1)(C253B/PH3/H2反応系常圧MOCV
D法に依り350℃で成長させた、層厚を約10nmと
した、非晶質を主体とする多結晶からなる、亜鉛(Z
n)を添加したp形リン化硼素からなる緩衝層 (2)上記のMOCVD法に依り、850℃で成長させ
た、層厚を約1000nmとする、珪素(Si)とベリ
リウム(Be)とを共に添加した、{110}結晶面か
ら構成されるp形のリン化硼素からなる下部クラッド
(clad)層 (3)トリメチルガリウム((CH3)Ga)/トリメ
チルインジウム((CH33In)/アンモニア(NH
3)/H2反応系常圧MOCVD法に依り、850℃で成
長させた、層厚を50nmとする、珪素(Si)を添加
したn形Ga0.90In0.10Nからなる発光層 (4)(C253B/PH3/H2反応系常圧MOCV
D法に依り、400℃で成長させた、層厚を約500n
mとした、非晶質を主体とする、珪素(Si)を添加し
たn形リン化硼素からなる上部クラッド層。
【0027】特に、上記の(2)と(4)に記載のリン
化硼素からなる下部クラッド層および上部クラッド層
を、室温での禁止帯幅を3.0±0.2eVとする単量
体のリン化硼素から構成すれば、下部及び上部クラッド
層に依るキャリアの「閉じ込め」作用と、上部クラッド
層の発光を外部へ効率的に透過する作用を顕現できるた
め、例えば、高強度の発光を呈するヘテロ接合型LED
用途の積層構造体を提供できる。pn接合型DH構造の
LEDは、上記の積層構造体の最表層をなす上部クラッ
ド層の表面にオーミック(Ohmic)性の表面電極を
設け、また、基板の裏面にオーミック性の裏面電極を配
置すれば構成できる。p形リン化硼素系半導体層へのp
形オーミック電極は、例えば、金・亜鉛(Au・Zn)
合金、金・ベリリウム(Au・Be)合金等から構成で
きる。また、金・ゲルマニウム(Au・Ge)合金、金
・インジウム(Au・In)合金、並びに金・錫(Au
・Sn)合金などの金合金等からn形オーミック電極を
形成できる。また、このLEDを利用して、発光ランプ
を構成できる。例えば、表面に銀(Ag)或いはアルミ
ニウム(Al)等の金属を鍍金したカップ(cup)内
にLEDを固定し、LEDの表面及び裏面電極と外部端
子を結線した後、カップ及びLEDを囲繞する様にエポ
キシ樹脂等で封止すればランプを構成できる。また、複
数のランプを直列或いは並列に接続すれば、定電流駆動
型または定電圧駆動型の光源を構成できる。
【0028】
【作用】p形リン化硼素系半導体層を気相成長させるに
際し、p形不純物と同時に添加するn形不純物は、ドナ
ーとして働き、p形不純物の添加にともない発生するア
クセプタを電気的に補償する作用を有する。このため、
p形不純物の添加量に対する正孔濃度の変化量を緩やか
とすることができる。
【0029】
【実施例】(第1実施例)本第1実施例では、珪素単結
晶(シリコン)基板上に設けられたp形リン化硼素半導
体層を備えたLED用途の積層構造体を例にして本発明
を具体的に説明する。
【0030】本第1実施例に係わる積層構造体1Aの断
面模式図を図1に示す。基板101は、<110>方向
に角度にして7.3°傾斜させた(111)結晶面を表
面とする、リン(P)を添加したn形珪素単結晶から構
成した。基板101表面には、層厚を約15nmとした
非晶質を主体とするリン化硼素(BP)からなる緩衝層
102を設けた。緩衝層102は、トリエチル硼素
((C253B)/ホスフィン(PH3)/水素
(H2)系常圧MOCVD法により350℃で成長し
た。
【0031】緩衝層102上には、上記のMOCVD気
相成長法を利用して、850℃で成長させた、珪素(S
i)を添加したn形リン化硼素半導体層を下部クラッド
層103として積層させた。珪素のドーピング源に
は、、ジシラン(Si26)−水素混合ガスを利用し
た。下部クラッド層103のキャリア濃度は2×1018
cm-3とし、層厚は700nmとした。また、下部クラ
ッド層103をなすn形リン化硼素半導体層は、成長速
度を毎分約30nmとし、原料供給量比率(=PH3
(C253B)を40に設定して成膜したため、基板
101表面に略平行に配列した{110}結晶面から主
に構成されるものとなった。また、そのn形リン化硼素
半導体層の室温での禁止帯幅は3.0eVであった。
【0032】下部クラッド層103上には、トリメチル
ガリウム((CH33Ga)/トリメチルインジウム
((CH33In)/アンモニア(NH3)/H2系常圧
MOCVD法により850℃で、n形の窒化ガリウム・
インジウム混晶(Ga0.80In0. 20N)からなる発光層
104を積層させた。Ga0.80In0.20N層のキャリア
濃度は3×1017cm-3とし、また、層厚は90nmと
した。
【0033】発光層104上には、上記の(C253
B/PH3/H2系常圧MOCVD法により850℃で、
n形不純物として珪素(Si)を、p形不純物としてマ
グネシウム(Mg)及び亜鉛(Zn)の2種をドーピン
グした、p形リン化硼素半導体層を上部クラッド層10
5として積層した。珪素のドーピング源には、Si26
−水素混合ガスを利用した。マグネシウム(Mg)及び
亜鉛(Zn)のドーピング源は各々、ビスシクロペンタ
ジエニルマグネシウム(bis−(C552Mg)及
びジメチル亜鉛((CH32Zn)を用い、水素との混
合ガスにして使用した。珪素(Si)の供給量は毎分
1.0×10-6モルに、亜鉛(Zn)の供給量は毎分2
×10-6モルに、また、マグネシウム(Mg)の供給量
は毎分3×10-6モルに各々、設定した。上部クラッド
層105の正孔濃度は4±0.1×1018cm-3とし、
層厚は約700nmとした。また、上部クラッド層10
5をなすp形リン化硼素半導体層は、成長速度を毎分約
30nmとし、原料供給量比率(=PH3/(C253
B)を40に設定して成膜したため、室温での禁止帯幅
は約3.0eVであった。
【0034】上記の如く、(111)結晶面を表面とす
る珪素単結晶基板上に各機能層102〜105を順次積
層させて、pn接合型ダブルヘテロ構造の発光部を備え
た発光素子用途の積層構造体1Aを構成した。特に、本
発明に依る高い正孔濃度と禁止帯幅を有するp形リン化
硼素半導体層は、発光層104へのキャリアの閉じ込め
と共に発光を外部に透過する機能を備えた上部クラッド
層105として有効に働く。
【0035】次に上記の積層構造体1Aから、発光ダイ
オード(LED)を作製する例を具体的に説明する。
【0036】図2に作製したLED1Bの平面模式図を
示す。また、図3に、図2に示す破線X−X’に沿った
LED1Bの断面模式図を示す。図2及び図3におい
て、図1に示した積層構造体1Aと同一の構成要素につ
いては同一の符号を付してある。
【0037】LED1Bの作製は次のように行った。p
n接合型ダブルヘテロ構造のLED1Bを作製するにあ
たり、積層構造体1Aの上部クラッド層105の中央に
は、金・亜鉛(Au・Zn)合金からなる円形(直径=
120μm)のオーミック性のp形表面電極106を配
置した。また、n形珪素単結晶基板101の裏面の略全
面には、アルミニウム(Al)からなるオーミック性の
n形裏面電極107を設けた。両電極106、107と
も、電極材料を被着した後、窒素気流中において、42
0℃で3分間、合金化(alloying)のための熱
処理を施した。その後、個別の発光素子に分離して、L
ED1Bを作製した。
【0038】LED1Bに、20ミリアンペア(mA)
の順方向(forward)電流を通流したところ、次
の(a)〜(d)項に記載の特性が得られた。 (a)発光中心波長:430nm (b)輝度:6ミリカンデラ(mcd) (c)順方向電圧:3ボルト(V) (d)逆方向電圧:8V(逆方向電流=10μA) 特に、発光透過層(窓層)を兼用する上部クラッド層1
05を、本発明に係わる手段に依って達成された高い正
孔濃度で低抵抗のp形リン化硼素半導体層から構成した
ために、円形表面電極106の写影領域以外の発光層1
04の領域からは略均等の強度の発光がもたらされるこ
ととなった。即ち、本発明に係わる正孔濃度の高いp形
リン化硼素半導体層を利用すれば、表面電極106より
供給されるLED駆動電流を発光層104の広範囲な領
域に亘り都合良く拡散でき、従って、発光をもたらせる
領域を拡張できるため、発光強度が高く且つ均一なLE
D1Bが作製できた。
【0039】
【発明の効果】本発明では、p形の伝導を呈するリン化
硼素系半導体層を気相成長法に依り得るに際し、n形不
純物と、併せてp形不純物とを添加することとしたの
で、高い正孔濃度のp形リン化硼素系半導体層を安定し
て得るに貢献でき、従って、低抵抗のp形リン化硼素半
導体層を必要とする化合物半導体素子用途の積層構造体
を簡便に構成できる。例えば、pn接合型ヘテロ接合構
造の発光ダイオード用途の積層構造体を簡便に提供で
き、本発明に係わるp形リン化硼素系半導体層を具備す
る積層構造体からは、発光の強度とその均一性に優れる
青色LEDを提供できる効果がある。
【0040】また本発明では、p形の伝導を呈するリン
化硼素系半導体層を気相成長法に依り得るに際し、n形
不純物と併せて添加するp形不純物種を複数種としたの
で、更に高い正孔濃度のp形リン化硼素系半導体層を簡
便に得られ、従って、低抵抗のp形リン化硼素半導体層
を必要とする化合物半導体素子用途の積層構造体を簡便
に構成できる。例えば、pn接合型ヘテロ接合構造の発
光ダイオード用途の積層構造体を簡便に提供でき、本発
明に係わるp形リン化硼素系半導体層を具備する積層構
造体からは、発光の強度とその均一性に優れる青色LE
Dを提供できる効果がある。
【0041】また本発明では、p形の伝導を呈するリン
化硼素系半導体層を、{110}結晶面を基板表面に平
行に積重させた{110}リン化硼素系半導体層から構
成することとしたので、従来に無く広い温度範囲におい
てp形リン化硼素系半導体層を得るに効果を挙げられ
る。従って、n形不純物とp形不純物の双方を添加した
p形リン化硼素系半導体層を必要とする化合物半導体素
子用途の積層構造体を簡便に構成できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に記載のLED用途の積層構造体の
断面模式図である。
【図2】第1実施例に記載の積層構造体から作製したL
EDの平面模式図である。
【図3】図2に示すLEDの破線X−X’に沿った断面
模式図である。
【図4】p形不純物の添加量と正孔濃度との関係を示す
図である。
【図5】複数のp形不純物の添加量と正孔濃度との関係
を示す図である。
【符号の説明】
1A 積層構造体 1B LED 101 単結晶基板 102 緩衝層 103 下部クラッド層 104 発光層 105 上部クラッド層 106 表面電極 107 裏面電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G077 AA03 BE42 DB08 EB01 ED06 EF03 HA02 SA04 TB05 TC02 TK06 4M104 AA04 BB02 BB12 CC01 DD79 DD83 FF31 GG04 HH15 5F041 AA41 CA04 CA23 CA34 CA40 CA49 CA53 CA57 CA65

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単結晶基板上に形成された、n形不純物と
    p形不純物の双方が添加されたp形リン化硼素(BP)
    系半導体層を備えていることを特徴とする積層構造体。
  2. 【請求項2】前記p形リン化硼素系半導体層に、複数の
    p形不純物が添加されていることを特徴とする請求項1
    に記載の積層構造体。
  3. 【請求項3】前記p形リン化硼素系半導体層に添加する
    複数のp形不純物の一種を、マグネシウム(Mg)とし
    たことを特徴とする請求項2に記載の積層構造体。
  4. 【請求項4】前記p形リン化硼素系半導体層に添加する
    複数のp形不純物の一種を、ベリリウム(Be)とした
    ことを特徴とする請求項2に記載の積層構造体。
  5. 【請求項5】前記p形リン化硼素系半導体層に添加する
    複数のp形不純物の一種を、亜鉛(Zn)としたことを
    特徴とする請求項2に記載の積層構造体。
  6. 【請求項6】前記p形リン化硼素系半導体層が、単結晶
    基板の表面をなす結晶面とは異なる面指数の結晶面を、
    単結晶基板の表面に平行に配列してなる結晶層から構成
    されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1
    項に記載の積層構造体。
  7. 【請求項7】前記p形リン化硼素系半導体層が、単結晶
    基板の表面に平行に配列した{110}結晶面からなる
    {110}結晶層から構成されていることを特徴とする
    請求項6に記載の積層構造体。
  8. 【請求項8】前記{110}結晶層から構成されたp形
    リン化硼素系半導体層が、非晶質または多結晶のリン化
    硼素系半導体からなる緩衝層を介して、単結晶基板上に
    設けられていることを特徴とする請求項7に記載の積層
    構造体。
  9. 【請求項9】前記p形リン化硼素系半導体層を気相成長
    法により形成することを特徴とする請求項1乃至8の何
    れか1項に記載の積層構造体の製造方法。
  10. 【請求項10】請求項1乃至8の何れか1項に記載の積
    層構造体を用いて構成した化合物半導体素子。
  11. 【請求項11】前記p形リン化硼素系半導体層とn形I
    II−V族化合物半導体層とのpn接合を具備すること
    を特徴とする請求項10に記載の化合物半導体素子。
  12. 【請求項12】請求項11に記載の化合物半導体素子か
    らなる発光素子。
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