JP2003123219A - 磁気テープ及び磁気テープの製造方法 - Google Patents

磁気テープ及び磁気テープの製造方法

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JP2003123219A
JP2003123219A JP2001320601A JP2001320601A JP2003123219A JP 2003123219 A JP2003123219 A JP 2003123219A JP 2001320601 A JP2001320601 A JP 2001320601A JP 2001320601 A JP2001320601 A JP 2001320601A JP 2003123219 A JP2003123219 A JP 2003123219A
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magnetic tape
sputtering
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Application number
JP2001320601A
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English (en)
Inventor
Kazuyuki Usuki
一幸 臼杵
Shoichi Nishikawa
正一 西川
Makoto Nagao
信 長尾
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】垂直磁気記録方式により高密度記録が可能な磁
気テープとその製造方法とを提供する。 【解決手段】磁気テープ10を、長尺状に形成すると共
に、可とう性非磁性からなる支持体14の一方の面に、
耐食性を改善する下地層15、磁気的に情報を記録する
磁気記録層16、磁気記録層16を劣化や摩耗から保護
する保護層18、及び潤滑剤の付与により走行耐久性お
よび耐食性を改善する潤滑膜20を、この順に積層して
構成した。磁気記録層16は、希土類遷移金属合金から
なり且つ膜面に対して垂直方向の保磁力が1500Oe
〜4000Oeの範囲にある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気テープ及び磁
気テープの製造方法に係り、特に、垂直磁気記録が可能
な磁気テープとその磁気テープの製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、インターネットの普及により、パ
ーソナル・コンピュータを用いて大容量の動画情報や音
声情報の処理を行う等、コンピュータの利用形態が変化
してきている。これに伴い、ハードディスク等の磁気記
録媒体に要求される記憶容量も増大している。
【0003】ハードディスクはメディア、ヘッド、シス
テム等の様々な技術革新によって、その面記録密度およ
びその記憶容量が飛躍的に増大しつづけている。特に大
規模サーバーに保存されるデータ量は膨大であり、その
バックアップ方法が深刻な問題となってきている。
【0004】現在、ハードディスクドライブに記録され
たデータのバックアップはコンピューターバックアップ
テープを用いて行われているが、磁気テープの記録密度
の増加速度よりもハードディスクの記録密度の増加速度
が著しく高いため、システム当たりに必要なテープ巻数
が非常に多く、またそのバックアップに要する時間も長
大となってきている。一方で、光ディスクはランダムア
クセスが可能であるものの、1枚当たりの記憶容量は磁
気テープよりもさらに小さく、バックアップには不向き
である。
【0005】以上のような背景から磁気テープの高容量
化と高転送レート化は非常に期待されているものの、超
高容量磁気テープの実用化はいくつかの課題のために現
実のものになっていない。
【0006】その一つの原因として磁気テープに使用さ
れる磁性層の構造があげられる。現在市販されている磁
気テープの磁性層は大きく分けて鉄系の磁性微粒子を高
分子バインダーに分散させて溶液を塗布して作製した塗
布型媒体とコバルト系合金を真空中の斜め蒸着法で成膜
した蒸着型媒体に分けられる。しかし、これらの媒体の
磁性層は、ともに、ハードディスクで使用されているス
パッタリングで成膜したコバルト系合金の強磁性金属薄
膜と比較するとノイズが高く、高記録密度特性には適し
ていない。
【0007】そこで、ハードディスクと同様にスパッタ
リングによる強磁性金属薄膜テープを作製しようとする
試みはいくつか報告されているものの、実用化には至っ
ていない。これはハードディスクの製造ではスパッタリ
ング時に基板を200℃程度まで加熱しているが、これ
と同様の製造方法を磁気テープに適用しようとすると、
磁気テープで一般的なポリエチレンテレフタレートやポ
リエチレンナフタレートでは耐熱性が不足し、変形して
しまうためである。また、支持体として、耐熱性に優れ
ている芳香族ポリアミドフィルムを使用しても、製造工
程中でフィルムの熱膨張、熱収縮、湿度膨張などの寸法
変化が生じるため、変形の少ない磁気テープを作製する
ことが困難であった。また、芳香族ポリアミドフィルム
は価格が非常に高いため、製造コストが高くなるという
問題もあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の問題点に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、
高密度記録特性に優れた磁気テープを安価に提供するこ
とにある。本発明の他の目的は、高密度記録特性に優れ
た磁気テープを再現性よく製造する磁気テープの製造方
法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の磁気テープは、可とう性非磁性支持体の一
方の面に、希土類遷移金属合金からなり且つ膜面に対し
て垂直方向の保磁力が1500Oe〜4000Oeの範
囲にある磁気記録層を形成したことを特徴とする。
【0010】本発明の磁気テープは、希土類遷移金属合
金からなり且つ膜面に対して垂直方向の保磁力が150
0Oe〜4000Oeの範囲にある磁気記録層を備えて
いるので、垂直磁気記録方式により高密度記録が可能で
ある。垂直方向保磁力が1500Oe未満では、十分な
電磁変換特性を得ることができず、垂直方向保磁力が4
000Oeを超えると、記録部をレーザ光で加熱する熱
アシスト記録を行なわないと磁気記録を行なうことが困
難になる。また、可とう性非磁性支持体を用いているの
で、安価に製造することができる。
【0011】可とう性非磁性支持体の厚さは、体積記録
密度と機械強度の観点から3μm〜15μmの範囲が好
ましい。3μm未満では機械強度が不足し、15μmを
超えると体積記録密度が低下する。
【0012】希土類遷移金属合金としては、テルビウ
ム、ガドリニウム、ネオジウム、及びジスプロシウムか
ら選択される少なくとも1種の希土類金属と、鉄及びコ
バルトの少なくとも一方の遷移金属とを含有する合金が
好ましい。この中でも、テルビウム−鉄−コバルト合
金、またはジスプロシウム−鉄−コバルトが特に好まし
い。可とう性非磁性支持体はガラス基板等に比べて耐熱
性に劣るため、磁気記録層の成膜温度を上げることがで
きないが、これら合金の磁性膜は室温近傍で成膜した場
合にも十分な磁気特性を得ることができる。
【0013】希土類金属として少なくともテルビウムを
含有する場合には、テルビウムの含有量が14〜18原
子%である合金がより好ましい。テルビウムの含有量を
14〜18原子%の範囲とすることにより、磁気記録層
の垂直方向の保磁力を1500Oe〜4000Oeの範
囲とすることができる。
【0014】また、希土類遷移金属合金は、クロム及び
ニッケルの少なくとも一方を更に含有していてもよい。
クロムやニッケルを含有することにより耐食性が向上す
る。
【0015】磁気記録層は、可とう性非磁性支持体の一
方の面に、下地層を介して設けられていてもよく、磁気
記録層上には、磁気記録層を保護する保護層が設けられ
ていてもよい。この保護層は、磁気ヘッド材質と同等ま
たはそれ以上の硬度を有する硬質炭素膜、及び無機窒化
物で構成された窒化物膜の少なくとも一方を備えている
のが好ましい。
【0016】上記の磁気テープは、可とう性非磁性支持
体の一方の面に、希土類遷移金属合金をターゲットとし
たスパッタリングにより、該ターゲットと略同じ組成の
希土類遷移金属合金からなる磁気記録層を形成して、製
造するのが好ましい。希土類遷移金属合金は、その組成
により保磁力等の磁気特性や成膜性が変化する。スパッ
タリングによれば組成制御が容易であり、ターゲットで
ある希土類遷移金属合金と略同じ組成の合金からなる磁
気記録層を形成することで、同じ特性を備えた磁気テー
プを再現性よく製造することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
実施の形態について詳細に説明する。 (磁気記録媒体)本実施の形態に係る磁気テープ10
は、図1に示すように、長尺状に形成されると共に可と
う性非磁性材料からなる支持体14の一方の面に、磁気
記録層の磁気特性を制御するための下地層15、磁気的
に情報を記録する磁気記録層16、磁気記録層16を劣
化や摩耗から保護する保護層18、及び潤滑剤の付与に
より走行耐久性および耐食性を改善する潤滑膜20が、
この順に積層されて構成されている。なお、後述する通
り、支持体14と下地層15との間に、熱伝導、熱拡散
速度を制御するための誘電体層を設けても良い。
【0018】磁気テープ10は、例えば、図2に示すよ
うに、カートリッジ100内に収納されている。カート
リッジ100には、供給リール102、巻き取りリール
104、及びテープ支持部材106、108が設けられ
ており、磁気テープ10は、これらのリール及び支持部
材に磁気記録層側を外側にして巻き掛けられている。そ
して、巻き取りリール104の矢印A方向への回転に伴
い、磁気テープ10は矢印B方向に搬送される。また、
カートリッジ100には、テープ支持部材106と10
8との間を搬送される磁気テープ10表面が露出するよ
うに、開閉自在に構成された主リッド110が設けられ
ている。この主リッド110を開いて磁気テープ10表
面を露出させた状態で、磁気ヘッド(図示せず)を磁気
テープ10に接触させて、情報の記録及び再生が行われ
る。
【0019】磁気テープ10の幅は、その使用されるシ
ステムによって異なるが、一般的には1/4〜1/2イ
ンチのものが多い。
【0020】支持体14は、磁気ヘッドと磁気ディスク
とが接触した時の衝撃を回避するために、可とう性高分
子材料等の可とう性非磁性材料で構成されている。可と
う性高分子材料としては、芳香族ポリイミド、芳香族ポ
リアミド、芳香族ポリアミドイミド、ポリエーテルケト
ン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミド、ポ
リサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチ
レンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
カーボネート、トリアセテートセルロース、フッ素樹脂
等からなる樹脂フィルムが挙げられる。
【0021】支持体14の表面は、磁気ヘッドによる記
録を行うために、可能な限り平滑であることが好まし
い。支持体14表面の凹凸は、信号の記録再生特性を著
しく低下させる。具体的には、後述する下塗り層を使用
する場合では、光学式の表面粗さ計で測定した表面粗さ
が平均中心線粗さRaで5nm以内、好ましくは2nm
以内、触針式粗さ計で測定した突起高さが1μm以内、
好ましくは0.1μm以内である。また、下塗り膜を用
いない場合では、光学式の表面粗さ計で測定した表面粗
さが平均中心線粗さRaで3nm以内、好ましくは1n
m以内、触針式粗さ計で測定した突起高さが0.1μm
以内、好ましくは0.06μm以内である。
【0022】支持体表面には、平面性の改善を目的とし
て下塗り層を設けることが好ましい。磁気記録層16を
スパッタリング等で形成するため、下塗り層は耐熱性に
優れることが好ましく、下塗り層の材料としては、例え
ば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコン
樹脂、フッ素系樹脂等を使用することができる。熱硬化
型ポリイミド樹脂、熱硬化型シリコン樹脂は、平滑化効
果が高く、特に好ましい。下塗り層の厚みは、0.1μ
m〜3.0μmが好ましい。支持体14に他の樹脂フィ
ルムをラミネートする場合には、ラミネート加工前に下
塗り層を形成してもよく、ラミネート加工後に下塗り層
を形成してもよい。
【0023】熱硬化性ポリイミド樹脂としては、例え
ば、丸善石油化学社製のビスアリルナジイミド「BAN
I」のように、分子内に末端不飽和基を2つ以上有する
イミドモノマーを、熱重合して得られるポリイミド樹脂
が好適に用いられる。このイミドモノマーは、モノマー
の状態で支持体表面に塗布した後に、比較的低温で熱重
合させることができるので、原料となるモノマーを支持
体上に直接塗布して硬化させることができる。また、こ
のイミドモノマーは汎用溶剤に溶解させて使用すること
ができ、生産性、作業性に優れると共に、分子量が小さ
く、その溶液粘度が低いために、塗布時に凹凸に対する
回り込みが良く、平滑化効果が高い。
【0024】熱硬化性シリコン樹脂としては、有機基が
導入されたケイ素化合物を原料としてゾルゲル法で重合
したシリコン樹脂が好適に用いられる。このシリコン樹
脂は、二酸化ケイ素の結合の一部を有機基で置換した構
造からなりシリコンゴムよりも大幅に耐熱性に優れると
共に、二酸化ケイ素膜よりも柔軟性に優れるため、可と
う性フィルムからなる支持体上に樹脂膜を形成しても、
クラックや剥離が生じ難い。また、原料となるモノマー
を支持体上に直接塗布して硬化させることができるた
め、汎用溶剤を使用することができ、凹凸に対する回り
込みも良く、平滑化効果が高い。更に、縮重合反応は、
酸やキレート剤などの触媒の添加により比較的低温から
進行するため、短時間で硬化させることができ、汎用の
塗布装置を用いて樹脂膜を形成することができる。
【0025】下塗り層の表面には、磁気ヘッドとの真実
接触面積を低減し、摺動特性を改善することを目的とし
て、微小突起(テクスチャ)を設けることが好ましい。
また、微小突起を設けることにより、支持体のハンドリ
ング性も良好になる。微小突起を形成する方法として
は、球状シリカ粒子を塗布する方法、エマルジョンを塗
布して有機物の突起を形成する方法などが使用できる
が、下塗り層の耐熱性を確保するため、球状シリカ粒子
を塗布して微小突起を形成するのが好ましい。
【0026】微小突起の高さは5nm〜60nmが好ま
しく、l0nm〜30mmがより好ましい。微小突起の
高さが高すぎると磁気ヘッドと媒体のスペーシングロス
によって信号の記録再生特性が劣化し、微小突起が低す
ぎると摺動特性の改善効果が少なくなる。微小突起の密
度は0.1〜100個/μm2が好ましく、1〜10個
/μm2がより好ましい。微小突起の密度が少なすぎる
場合は摺動特性の改善効果が少なくなり、多過ぎると凝
集粒子の増加によって高い突起が増加して記録再生特性
が劣化する。
【0027】また、バインダーを用いて微小突起を支持
体表面に固定することもできる。バインダーには、十分
な耐熱性を備えた樹脂を使用することが好ましく、耐熱
性を備えた樹脂としては、熱硬化型ポリイミド樹脂、熱
硬化型シリコン樹脂を使用することが特に好ましい。
【0028】磁気記録層16の記録特性と耐食性とを改
善する目的で、支持体14と磁気記録層16との間に下
地層15を設けることが好ましい。磁気記録層に使用さ
れる希土類遷移金属合金は一般的にアモルファスの垂直
磁気記録膜であり且つ記録膜内での磁気的な相互作用が
非常に強い。光磁気ディスクではレーザ光で加熱され保
磁力や相互作用が弱まった状態で記録されるが、信号を
磁気ヘッドで記録しようとする場合には、希土類遷移金
属合金からなる磁気記録層単独では磁壁移動モードの記
録となりやすく磁化反転不良や高ノイズ等の問題を引き
起こす。このため、下地層15に適度の表面粗さや結晶
構造を設けることによって、磁気記録層内の磁気ドメイ
ンを容易に生成することができ、スピン反転モードの磁
気記録とすることができる。
【0029】下地層15には、例えば、チタン、アルミ
ニウム、クロム、ニッケルなどの金属、またはこれらの
金属と他の金属との合金、リン化ニッケル等のリン化合
物、グラファイトや無定形カーボンなどの炭素等が挙げ
られる。また、後述する誘電体材料も使用することがで
きる。この中でも、チタン、アルミニウム及びクロムか
ら選択される少なくとも1種の金属、チタン、アルミニ
ウム及びクロムから選択される少なくとも1種の金属を
含む合金、及び炭素が好ましい。下地層15は、スパッ
タ法、真空蒸着法、CVD法等のいわゆる真空成膜法で
作成できるが、この際に成膜条件及び膜厚の調整によっ
て適度な表面粗さ、結晶構造を付与する必要がある。表
面粗さとしてはRmaxで5〜20nm、粒子のサイズ
として1〜30nm程度が好ましい。膜厚は10nm〜
200nmが好ましい。
【0030】支持体14と下地層15との間に、誘電体
層を設けてもよい。誘電体層は、レーザ照射時及びレー
ザ照射後の磁気記録層16の温度を制御すると共に、水
分や酸素などの磁気記録層16の腐食や酸化に関与する
物質が支持体側から移動してくるのを遮蔽する。誘電体
層には光磁気記録で一般的に使用される誘電体材料を使
用することができる。
【0031】誘電体材料としては、例えば、シリカ、ア
ルミナなどの酸化物(Si−O、Al−O)、窒化ケイ
素、窒化アルミニウムなどの窒化物(Si−N、Al−
N)、硫化亜鉛等の硫化物(Zn−S)、リン化ニッケ
ル等のリン化物、ケイ素化タンタル(Ta−Si)、グ
ラファイト、無定型カーボンなどの炭素等が挙げられる
が、耐腐食性を備え、磁気記録層に含まれる金属材料と
酸素との反応を抑制し、且つ高い熱伝導率を有する材料
が好ましく、チッ化珪素(Si−N)、チッ化アルミニ
ウム(Al−N)等の無機窒化物、及び炭素が特に好ま
しい。この誘電体層は、スパッタリング法や化学気相反
応法(CVD法)などにより形成することができる。誘
電体層の膜厚は、10nm〜200nmが好ましい。
【0032】また、単磁極ヘッドと組合わせて使用する
場合には、下地層15と磁気記録層16との間に軟磁性
材料からなる裏打ち層を設けてもよい。軟磁性材料とし
てはパーマロイ、センダスト等を使用することができ
る。裏打ち層の膜厚は、50nm〜500nmが好まし
く、50nm〜500nmがより好ましい。
【0033】磁気記録層16は、そのディスク面に対し
て垂直な方向の保磁力(垂直方向保磁力)が1500O
e〜4000Oeの範囲である。垂直方向保磁力が15
00Oe未満では、十分な電磁変換特性を得ることがで
きず、垂直方向保磁力が4000Oeを超えると、熱ア
シスト無しで磁気記録を行なうことが困難になる。垂直
方向保磁力は、磁力の安定化と磁気記録の容易さとのバ
ランスから、2000〜3500Oeの範囲が好まし
く、2500〜3000Oeの範囲がより好ましい。
【0034】磁気記録層16には、磁気記録材料として
希土類遷移金属合金を使用する。希土類遷移金属合金は
垂直磁気異方性を有しており、垂直磁気記録が可能であ
ると共に、光磁気特性にも優れている。また、希土類遷
移金属合金は、非晶質(アモルファス)であるため、結
晶粒によるノイズが発生しない。また、その組成により
静磁気特性と光磁気特性とを広範囲にわたって制御する
ことができる。
【0035】希土類遷移金属合金としては、TbCo、
TbFe、TbFeCo、NdFeCo、GdFeC
o、DyFeCo、TbGdFe、TbNdFe、Tb
GdFeCoなど、テルビウム(Tb)、ガドリニウム
(Gd)、ネオジウム(Nd)、及びジスプロシウム
(Dy)から選択される少なくとも1種の希土類金属
と、鉄(Fe)及びコバルト(Co)の少なくとも一方
の遷移金属とを含有する合金が好ましい。また、これら
合金の耐食性を改善するために、クロム(Cr)やニッ
ケル(Ni)を適宜添加してもよい。更に、磁気ドメイ
ンの形成を補助する目的でシリコン(Si)やボロン
(B)などを添加してもよい。
【0036】上記した合金の中でも、TbFeCo、D
yFeCoが特に好ましい。可とう性非磁性支持体はガ
ラス基板等に比べて耐熱性に劣るため、磁気記録層の成
膜温度を上げることができないが、これら合金の磁性膜
は室温近傍で成膜した場合にも十分な磁気特性を得るこ
とができる。
【0037】また、希土類遷移金属合金がテルビウムを
含有する場合には、図3に示すように、テルビウムの含
有量が多くなるに従い垂直方向保磁力が大きくなり、テ
ルビウムの含有量が14〜18原子%である場合に垂直
方向保磁力が1500Oe〜4000Oeの範囲となっ
て、垂直磁気記録を行う場合に良好な記録特性を得るこ
とができる。
【0038】磁気記録層16の作製方法としては、真空
蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法及
びイオン注入法等の物理的蒸着法(PVD法)、化学的
蒸着法(CVD法)等を挙げることができるが、組成制
御が容易である点で、スパッタリング法が特に好まし
い。コーティングする希土類遷移金属合金をターゲット
としたスパッタリングにより、このターゲットと略同じ
組成の合金からなる磁性膜を形成することができる。
【0039】スパッタリングの方法としては、一般的な
DCスパッタリング、RFスパッタリングの他に、DC
パルススパッタ、RFバイアススパッタ、反応性スパッ
タなどが使用できる。スパッタリングの際には、構成す
る元素を独立したターゲットとして、これらのターゲッ
ト上に基板を回転させて通過させる共スパッタ法や、そ
のうちの一部または全部を合金ターゲットとして構成
し、スパッタする方法のいずれも使用可能である。ま
た、元素分布や再現性の問題はあるが、基本となるター
ゲットの一部に導入したい元素からなるチップやシート
を設置することで合金化するスパッタ法も使用すること
ができる。また、ウエブ状の支持体を搬送しながらスパ
ッタリングを行なう連続スパッタ法では、キャンに沿わ
せてスパッタリングを行なうことができ、支持体の熱ダ
メージを低減することができる。
【0040】磁気記録層16の層厚としては、10nm
〜100nmが好ましく、20〜50nmが特に好まし
い。このように、希土類遷移金属合金からなる垂直磁気
記録層は、スパッタリング法により作製することがで
き、室温で成膜できるため、可とう性非磁性支持体を使
用しているにもかかわらず、基板変形がなく平面性に優
れている。
【0041】保護層18は、磁気記録層16に含まれる
金属材料の腐蝕を防止し、磁気ヘッドとの接触による摩
耗を防止して、走行耐久性、耐食性を改善するために設
けられる。希土類遷移金属は非常に腐食し易いため、保
護層18を設けることが特に好ましい。
【0042】保護層18には、シリカ、アルミナ、テタ
ニア、ジルコニア、酸化コバルト、酸化ニッケルなどの
酸化物、窒化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素などの窒
化物、炭化ケイ素、炭化クロム、炭化ホウ素等の炭化
物、グラファイト、無定型カーボンなどの炭素等の材料
を使用することができる。
【0043】保護層18としては、磁気ヘッド材質と同
等またはそれ以上の硬度を有する硬質膜であり、摺動中
に焼き付きを生じ難くその効果が安定して持続するもの
が、摺動耐久性に優れており好ましい。また、同時にピ
ンホールが少ないものが、耐食性に優れておりより好ま
しい。更に、レーザによるトラッキング信号の読み出し
を高精度で行なうためには、使用するレーザ光に対して
充分な透明性を有することが好ましい。このような保護
膜としては、CVD法で作製されるDLC(ダイヤモン
ドライクカーボン)と呼ばれる硬質炭素膜が挙げられ
る。
【0044】保護層18は、性質の異なる2種類以上の
薄膜を積層した構成とすることができる。例えば、表面
側に摺動特性を改善するための硬質炭素保護膜を設け、
磁気記録層側に耐食性を改善するための窒化珪素などの
窒化物保護膜を設けることで、耐食性と耐久性とを高い
次元で両立することが可能となる。
【0045】保護層18上には、走行耐久性および耐食
性を改善するために、潤滑膜20が設けられる。潤滑膜
20には、公知の炭化水素系潤滑剤、フッ素系潤滑剤、
極圧添加剤等の潤滑剤が使用される。
【0046】炭化水素系潤滑剤としては、ステアリン
酸、オレイン酸等のカルボン酸類、ステアリン酸ブチル
等のエステル類、オクタデシルスルホン酸等のスルホン
酸類、リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類、
ステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコ
ール類、ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類、
ステアリルアミン等のアミン類などが挙げられる。
【0047】フッ素系潤滑剤としては、上記炭化水素系
潤滑剤のアルキル基の一部または全部をフルオロアルキ
ル基もしくはパーフルオロポリエーテル基で置換した潤
滑剤が挙げられる。パーフルオロポリエーテル基として
は パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオ
ロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピ
レンオキシド重合体(CF2CF2CF2O)n、パーフル
オロイソプロピレンオキシド重合体(CF(CF3)C
2O)n、またはこれらの共重合体等である。具体的に
は、分子量末端に水酸基を有するパーフルオロメチレン
−パーフルオロエチレン共重合体(アウジモント社製、
商品名「FOMBLIN Z-DOL」)等が挙げられる。
【0048】極圧添加剤としては、リン酸トリラウリル
等のリン酸エステル類、亜リン酸トリラウリル等の亜リ
ン酸エステル類、トリチオ亜リン酸トリラウリル等のチ
オ亜リン酸エステルやチオリン酸エステル類、二硫化ジ
ベンジル等の硫黄系極圧剤などが挙げられる。
【0049】上記の潤滑剤は単独もしくは複数を併用し
て使用することができ、潤滑剤を有機溶剤に溶解した溶
液を、スピンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビ
アコート法、ディップコート法等で保護層18表面に塗
布するか、真空蒸着法により保護層18表面に付着させ
ればよい。潤滑剤の塗布量としては、1〜30mg/m
2が好ましく、2〜20mg/m2が特に好ましい。
【0050】また、耐食性をさらに高めるために、防錆
剤を併用することが好ましい。防錆剤としては、ベンゾ
トリアゾール、ベンズイミダゾール、プリン、ピリミジ
ン等の窒素含有複素環類およびこれらの母核にアルキル
側鎖等を導入した誘導体、ベンゾチアゾール、2−メル
カプトンベンゾチアゾール、テトラザインデン環化合
物、チオウラシル化合物等の窒素および硫黄含有複素環
類およびこの誘導体等が挙げられる。これら防錆剤は、
潤滑剤に混合して保護層18上に塗布してもよく、潤滑
剤を塗布する前に保護層18上に塗布し、その上に潤滑
剤を塗布してもよい。防錆剤の塗布量としては、0.1
〜10mg/m2が好ましく、0.5〜5mg/m2が特
に好ましい。
【0051】支持体の磁性層とは反対面(バック面)に
はバックコート層を設けることが好ましい。バックコー
ト層はバック面と摺動部剤が摺動する際のバック面の摩
耗を防止する潤滑効果のほか、バックコート層へ上述の
潤滑剤や防錆剤を添加したり、バックコート自体のpH
を制御することで磁性層の耐食性をさらに高める効果を
有する。
【0052】バックコートはカーボンブラック、炭酸カ
ルシウム、アルミナ等の非磁性粉体と塩化ビニルやポリ
ウレタンなどの樹脂結合剤、さらに潤滑剤や硬化剤を有
機溶剤に分散した溶液をグラビア法やワイヤーバー法な
どで塗布し、乾燥することで作製できる。
【0053】バックコートに防錆剤や潤滑剤を付与する
方法としては、前記の溶液中に溶解しても良いし、作製
したバックコート上にオーバーコートしても良い。
【0054】(トラッキング情報の記録)磁気記録層1
6には、トラッキングのために予め磁化された領域(磁
化領域)が形成されていてもよい。例えば、図4(A)
及び(B)に示すように、磁気記録層16を、ディスク
面に対して垂直方向に磁化(プリフォーマット磁化)す
ることができる。図4に示す例では、磁化領域は、支持
体14と反対側の表面を記録面とした場合、支持体側が
S極で記録面側がN極になる方向に磁化された磁化領域
16Aと、支持体側がN極で記録面側がS極になる方向
に磁化された磁化領域16Bと、で構成されている。こ
れら磁化領域16A及び磁化領域16Bは、磁気テープ
10の幅方向に交互に配列されて、リニアトラックが形
成されている。磁化領域16A及び磁化領域16Bは、
その磁化方向の相違によりトラッキング・ガイドとして
使用することができ、磁気カー効果を利用してトラッキ
ング・サーボが行われる。
【0055】磁気記録層16をプリフォーマットする方
法は、特に限定されない。例えば、磁気ヘッドにより磁
化領域を書き込んでもよく、磁気転写により磁化領域を
形成してもよい。微細なパターンの磁化領域を短時間で
形成するためには、磁気転写により磁化領域を形成する
のが特に好ましい。
【0056】(情報の記録・再生)次に、上記の磁気テ
ープへの情報の記録方法及び記録された情報の再生方法
について説明する。
【0057】磁気ヘッドとしては、垂直磁気記録用に作
製された単磁極ヘッドなどの垂直磁気記録ヘッド、ある
いは長手磁器記録方式に使用されるリングヘッドを用い
て、垂直磁気記録を行なうことができる。単磁性ヘッド
を使用する場合には、既に説明したように裏打ち層を設
けておくことが好ましい。再生には高感度のMRヘッ
ド、GMRヘッドを使用することが好ましい。
【0058】磁気テープを搬送すると共に、この磁気テ
ープに対して磁気ヘッドを押し当てると、磁気テープと
磁気ヘッドとは非常に弱い力で安定に接触摺動する。情
報記録時には、この安定に接触摺動している状態で、記
録磁界制御回路から磁気ヘッドに制御信号を供給し、情
報に対応する磁界を磁気記録層に印加することにより、
磁気的に情報の記録を行なう。一方、情報再生時には、
同様に、安定に接触摺動している状態で、磁気的に記録
された情報を読み出すことができる。
【0059】(スパッタリング装置)図5は、本発明の
磁気記録媒体の下地層及び磁性層を好適に製造しうる高
分子フィルムからなる非磁性支持体の片面もしくは両面
にスパッタ成膜可能な連続スパッタリング装置1の一例
を示すものである。本発明では片面にのみスパッタリン
グする。連続スパッタリング装置1は、送り出し軸、巻
き取り軸および連続ウェブを支持し且つスパッタリング
・ターゲットと対向するメインドラムを具備する。該連
続スパッタリング装置1は、図示せぬ真空排気ポンプに
より1.0×10-5Torr以下まで真空排気可能であ
り且つ図示せぬマスフロー・コントローラを通じてスパ
ッタガスを導入し、6×l0-4〜1×10-2Torrの
範囲の任意のスパッタ圧力に設定可能であるスパッタ室
13内に配設されている。
【0060】図5に示した如く、連続スパッタリング装
置1において、非磁性支持体よりなる連続ウェブWは、
送り出し軸2より送り出され、複数の送り出し側パスロ
ーラ3と送り出し側ダンサーロール4を介して、一対の
加熱ドラム21、22から成膜ドラムである2基のメイ
ンドラム5A及びメインドラム5Bへ搬送されている。
さらに連続ウェブWは、メインドラム5A及び5Bに沿
って搬送支持された後、複数の巻き取り側パスローラ6
と、巻き取り側ダンサーロール7を介して、巻き取り軸
8で巻き取られている。また、搬送される際の連続ウェ
ブWの張力は、送り出し側ダンサーロール4及び巻き取
り側ダンサーロール7により、一定に保持されている。
【0061】連続ウェブWの張力範囲は、成膜条件等に
もよるが、1kgf/m〜50kgf/mの範囲で適宜
選択される。
【0062】なお、送り出し軸2、メインドラム5A、
5B及び巻き取り軸8は、それぞれ図示せぬ駆動装置に
より回転駆動されている。
【0063】前記加熱ドラム21、22は、蒸気等を用
いるジャケット式ドラム、或いは誘導加熱方式ドラム等
が適宜選択され、温度制御により加熱ドラム及びメイン
ドラムの表面温度を25℃から280℃までの範囲で任
意の温度に調節可能となっている。一方、メインドラム
は水冷されている。
【0064】送り出し側でメインドラム5Bに対向した
位置(図中下段右側)には、メインドラム5Bに沿わせ
た状態の連続ウェブWの表面にTi等よりなる非磁性下
地層をスパッタ成膜するための第1スパッタリング・タ
ーゲット9Bが配設されている。この第1スパッタリン
グ・ターゲット9Bには、直流スパッタリング電源10
Bが接続されており、直流スパッタリング電源10Bか
らスパッタパワーを第1スパッタリング・ターゲット9
Bに印加することで、連続ウェブWの裏面上にCr系合
金よりなる非磁性下地層をスパッタ成膜する。
【0065】巻き取り側でメインドラム5Aに対向した
位置(図中下段左側)には、メインドラム5Bに沿わせ
た状態の連続ウェブWの裏面に希土類遷移金属よりなる
磁性層をスパッタ成膜するための第2スパッタリング・
ターゲット13Bが配設されている。この第2スパッタ
リング・ターゲット13Bには、直流スパッタリング電
源14Aが接続されており、直流スパッタリング電源1
4Bからスパッタ・パワーを第2スパッタリング・ター
ゲット13Bに印加することで、連続ウェブWの裏面上
に形成された非磁性下地層上にさらに希土類遷移金属よ
りなる磁性層をスパッタ成膜する。同等に、スパッタリ
ング・ターゲット11Bは炭素(C)などの保護層用に
使用できる。
【0066】なお、スパッタ室内のスパッタ圧力は、図
示せぬマスフローコントローラを通じてスパッタガス
(例えば、Arガス)を導入し、6×10-4〜1×10
-2Torrの範囲の任意のスパッタ圧力に設定されてい
る。なぜならば、スパッタ圧力が下限値の6×10-4
orr以下では、これらスパッタリング・カソードのグ
ロー放電を安定維持することが困難となるためである。
また、スパッタ圧力の上限値である1×10-2Torr
については、この上限値以上のスパッタ圧力を得ること
がガス導入系/真空排気系の装置の要因により困難とな
るためである。
【0067】次に、上記実施態様の動作について説明す
る。
【0068】先ず始めに、連続ウェブWは、送り出し軸
2より送り出され、複数の送り出し側パスローラ3と送
り出し側ダンサーロール4を介して、一対の加熱ドラム
21、22からメインドラム5Aへ搬送される。そし
て、メインドラム5Aへ搬送された連続ウェブWは、次
にメインドラム5Bへ搬送され、メインドラム5Bで冷
却且つ搬送支持されながら第1スパッタリング・ターゲ
ット9Bの前方に搬送され、前記連続ウェブWの表面に
Ti等よりなる非磁性下地層がスパッタ成膜される。さ
らに、Cr系合金よりなる非磁性下地層がスパッタ成膜
された連続ウェブWは、メインドラム5Bで搬送支持さ
れながら第2スパッタリング・ターゲット13Bの前方
に搬送され、前記非磁性下地層上に希土類遷移金属より
なる磁性層がスパッタ成膜される。Co系合金よりなる
磁性層がスパッタ成膜された連続ウェブWは、メインド
ラム5Bでさらに搬送支持された後に、複数の巻き取り
側パスローラ6と巻き取り側ダンサーロール7を介し
て、巻き取り軸8により巻き取られる。
【0069】なお、製造する磁気記録媒体の用途に応じ
て、磁性層のスパッタ成膜後に保護層や潤滑層を順次形
成する工程を追加することも可能である。
【0070】以上説明した通り、本実施の形態に係る磁
気テープでは、 (1)希土類遷移金属合金からなり且つ膜面に対して垂
直方向の保磁力が1500Oe〜4000Oeの範囲に
ある磁気記録層を備えているので、熱アシストすること
なく、垂直磁気記録方式により高密度記録が可能であ
る。また、記録の磁化方向を膜面に対して垂直としたこ
とにより、半径方向に交互に配列された磁化方向が異な
る磁区が、相互にその磁力を弱め合うことがなくなり、
記録領域の磁力が安定化する。 (2)樹脂フィルム等の可とう性非磁性支持体を用いて
いるので、磁気ヘッドと安定に接触摺動し、安定したヘ
ッド走行が可能となる。ハードディスクでは、非接触で
磁気記録を行う必要があり、磁気ヘッドと磁気ディスク
との距離をこれ以上短くするのは困難であるが、磁気テ
ープでは、磁気ヘッドと磁気テープとが接触摺動の状態
で記録を行うので、垂直磁気記録による高密度化に対し
て非常に有効である。また、ハードディスクの場合に
は、磁気ヘッドと磁気ディスクとが接触時の衝撃で破損
し易く信頼性が低いという問題があるが、磁気テープの
場合は、磁気ヘッドと接触しても、テープが撓むことが
できるため接触衝撃を緩和することができる。このため
磁気テープでは信頼性の高い接触記録が可能となる。 (3)磁気記録層を構成する希土類遷移金属合金は、そ
の組成により保磁力等の磁気特性や成膜性が変化する
が、スパッタリングにより磁気記録層を形成すれば、組
成制御が容易であり、ターゲットである希土類遷移金属
合金と略同じ組成の合金からなる磁気記録層を形成する
ことができ、同じ特性を備えた磁気テープを再現性よく
製造することができる。
【0071】
【実施例】(実施例1)厚み6.3μm、表面粗さRa
=1.5nmのポリエチレンナフタレートフィルム上に
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、フェニ
ルトリエトキシシラン、塩酸、アルミニウムアセチルア
セトネート、エタノールからなる下塗り液をグラビアコ
ート法で塗布した後、100℃で乾燥と硬化を行い、厚
み0.2μmのシリコン樹脂からなる下塗り層を作製し
た。この下塗り層上に粒子径25nmのシリカゾルと前
記下塗り波を混合した塗布液をグラビアコート法で塗布
して、下塗り層上に高さ15nmの突起を10個/μm
2の密度で形成した。
【0072】次に、図5に示したウェブスパッタ装置に
この原反を設置し、水冷したキャン上にフィルムを密着
させながら搬送し、下塗り層上に、DCマグネトロンス
パッタ法でTiからなる下地層を60nmの厚みで形成
し、引き続きTb16Fe75Co9からなる磁性層を
30nmの厚みで形成した。
【0073】次に、この原反をウェブ式のCVD装置に
設置し、エチレンガス、窒素ガス、アルゴンガスを反応
ガスとして用いたRFプラズマCVD法でC:H:N=
62:29:7mol比からなる窒素添加DLC保護膜
を10nmの厚みで形成した。なお、このとき磁性層に
は−400Vのバイアスを印加した。
【0074】次に、原反のバック面にカーボンブラッ
ク、炭酸カルシウム、ステアリン酸、ニトロセルロー
ス、ポリウレタン、イソシアネート硬化剤をメチルエチ
ルケトンに溶解、分散したバックコート液をワイヤーバ
ー法で塗布し、100℃で乾燥して、厚み0.5μmの
バックコート層を作成した。
【0075】その後、保護層表面に分子末端に水酸基を
有するパーフルオロポリエーテル系潤滑剤(アウジモン
ト社製「FOMBLIN Z一DOL」)をフッ素系潤
滑剤(住友スリーエム社製「HFE−7200」)に溶
解した溶液をグラビアコート法で塗布し、厚みlnmの
潤滑層を形成した。次にこの原反を幅8mmにスリッテ
ィングした後、テープバーニッシュした後、8mmビデ
オカセット用のカートリッジに組み込んで、磁気テープ
を作製した。
【0076】(比較例1)実施例1において下地層の組
成をCr、磁性層の組成をCo80Cr20とし、下地
層、磁性層のスパッタリング時のベースフィルム温度を
150℃とした以外は実施例1と同様に磁気テープを作
製した。
【0077】(評価方法) 磁気特性:保磁力HcをVSMで測定した。 カッピング:磁気テープを長さ100mmに切断し、
これを平滑なガラス板に静置し、そのテープ幅を測定す
ることで、テープ幅方向の変形=カッビングを評価し
た。つまり変形のないテープは8.0mmであり、変形
が大きい程、値が小さくなる。 C/N:再生トラック幅2.2μm、再生ギャップ
0.26μmのMRヘッドを用いて、線記録密度130
kFCIの記録再生を行い、再生信号/ノイズ(C/
N)比を測定した。なお、このときテープ/ヘッドの相
対速度は10m/sec、ヘッド加重は3gfとした。 耐久性:市販8mmVTRでスチル再生を行い、出力
が初期値−3dBとなった時点で走行を中止し、耐久時
間とした。なお、環境は23℃10%RHとし、試験は
最大24時間とした。
【0078】実施例及び比較例の磁気テープについて上
記〜項目の評価を行なった。評価結果を表1に示
す。
【0079】
【表1】
【0080】上記表1に示す結果から分かるように、本
発明の磁気テープは記録特性と耐久性とが共に優れてい
る。一方、磁性層に希土類遷移金属合金を使用しなかっ
た比較例では保磁力は高いものの、変形が大きく、記録
特性が若干低下し、耐久性は著しく悪化した。テープ表
面を顕微鏡観察したところ、磁性層に微細なクラックが
発生していた。
【0081】(実施例2)厚み6.3μm、表面粗さR
a=1.5nmのポリエチレンナフタレートフィルム上
に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、フェ
ニルトリエトキシシラン、塩酸、アルミニウムアセチル
アセトネート、エタノールからなる下塗り液をグラビア
コート法で塗布した後、100℃で乾燥と硬化を行い、
厚み0.2μmのシリコン樹脂からなる下塗り層を作成
した。この下塗り層上に粒子径25nmのシリカゾルと
前記下塗り液を混合した塗布液をグラビアコート法で塗
布して、下塗り層上に高さ15nmの突起を10個/μ
2の密度で形成した。
【0082】次に、図5に示したウェブスパッタ装置に
この原反を設置し、水冷したキャン上にフィルムを密着
させながら搬送し、下塗り層上に、DCマグネトロンス
パッタ法でTiからなる下地層を60nmの厚みで形成
し、引き続きFe85Co15合金ターゲット上に5m
m角、厚さ1mmのTbチップを乗せ、厚み30nmの
TbFeCo合金磁性層を形成した。この際、FeCo
ターゲット上のTbのチップ面積を変化させることでT
b:(FeCo)比率を変化させた。
【0083】次に、この原反をウェブ式のCVD装置に
設置し、エチレンガス、窒素ガス、アルゴンガスを反応
ガスとして用いたRFプラズマCVD法でC:H:N=
62:29:7mol比からなる窒素添加DLC保護膜
を10nmの厚みで形成した。なおこのとき磁性層には
−400Vのバイアスを印加した。次に原反のバック面
にカーボンブラック、炭酸カルシウム、ステアリン酸、
ニトロセルロース、ポリウレタン、イソシアネート硬化
剤をメチルエチルケトンに溶解、分散したバックコート
液をワイヤーバー法で塗布し、100℃で乾燥して、厚
み0.5μmのバックコート層を作成した。
【0084】その後、保護層表面に分子末端に水酸基を
有するパーフルオロポリエーテル系潤滑剤(アウジモン
ト社製「FOMBLIN Z一DOL」)をフッ素系潤
滑剤(住友スリーエム社製「HFE−7200」)に溶
解した溶液をグラビアコート法で塗布し、厚み1nmの
潤滑層を形成した。次にこの原反を幅8mmにスリッテ
ィングした後、テープバーニッシュした後、8mmビデ
オカセット用のカートリッジに組み込んで、磁気テープ
を作製した。
【0085】作製した磁気テープの磁性層組成はあらか
じめICP発光分光分析法と蛍光X線分析を使用した検
量線を作成しておき、蛍光X線分析を行うことで、T
b:Fe:Coの元素分析を行った。垂直方向の保磁力
はカー効果測定装置を用いて、カーヒステリシス曲線か
ら求めた。作製した磁気テープの電磁変換特性の評価
は、実施例1と同様にC/N比を測定することにより行
った。本実施例ではC/Nが33dB以上無ければ十分
な電磁変換特性が得られたということはできない。結果
を表2に示す。
【0086】
【表2】
【0087】上記表2から分かるように、垂直方向保磁
力が1500Oe未満では、C/Nが33dBに届か
ず、垂直方向保磁力が4000Oeを超えると、C/N
が急激に低下する。即ち、垂直方向保磁力が1500O
e〜4000Oeの範囲以外では、熱アシスト無しで磁
気記録を行なうことが困難になる。一方、垂直方向保磁
力が1500Oe〜4000Oeの範囲では、C/Nが
33dB以上と十分な電磁変換特性が得られており、磁
気記録特性は良好である。特に、2000Oe〜300
0Oeの範囲では、C/Nが42dB以上と高く、優れ
た磁気記録特性を示している。
【0088】
【発明の効果】本発明の磁気テープは、垂直磁気記録方
式により高密度記録を行うことができる、という効果を
奏する。また、本発明の磁気テープの製造方法は、組成
制御が容易であり、同じ特性を備えた磁気テープを再現
性よく製造することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る磁気テープの積層構成を示
す斜視図である。
【図2】磁気テープがカートリッジに収納された形態を
示す概略図である。
【図3】テルビウムの含有量と磁気記録層の垂直方向保
持力との関係を示す線図である。
【図4】(A)は磁化トラックが設けられた磁気記録層
表面の磁化状態を示す図であり、(B)は(A)のA−
A線断面図である。
【図5】ウェブスパッタ装置の概略構成図である。
【符号の説明】
10 磁気テープ 14 支持体 15 下地層 16 磁気記録層 18 保護層 20 潤滑膜 100 カートリッジ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長尾 信 神奈川県小田原市扇町2町目12番1号 富 士写真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 4K029 AA11 AA25 BA26 BC06 BD11 CA05 DC04 5D006 BB01 BB07 CB01 DA08 EA03 FA09 5D112 AA02 AA05 AA22 BA01 BB01 FA04 FB02 5E049 AA00 BA06 GC02

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】可とう性非磁性支持体の一方の面に、希土
    類遷移金属合金からなり且つ膜面に対して垂直方向の保
    磁力が1500Oe〜4000Oeの範囲にある磁気記
    録層を形成した磁気テープ。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の磁気テープを製造する磁
    気テープの製造方法であって、 可とう性非磁性支持体の一方の面に、希土類遷移金属合
    金をターゲットとしたスパッタリングにより、該ターゲ
    ットと略同じ組成の希土類遷移金属合金からなる磁気記
    録層を形成して、 磁気テープを製造する磁気テープの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006249471A (ja) * 2005-03-09 2006-09-21 Fuji Photo Film Co Ltd 成膜方法
US11145322B2 (en) * 2008-05-05 2021-10-12 International Business Machines Corporation Protecting a sensitive device from corrosion

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