JP2003121120A - スペックルを用いた2方向変形同時計測装置 - Google Patents

スペックルを用いた2方向変形同時計測装置

Info

Publication number
JP2003121120A
JP2003121120A JP2001316771A JP2001316771A JP2003121120A JP 2003121120 A JP2003121120 A JP 2003121120A JP 2001316771 A JP2001316771 A JP 2001316771A JP 2001316771 A JP2001316771 A JP 2001316771A JP 2003121120 A JP2003121120 A JP 2003121120A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
laser light
deformation
wavelength
scattered
laser
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001316771A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3858056B2 (ja
Inventor
Masakazu Uchino
正和 内野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Science and Technology Agency
Fukuoka Prefecture
Original Assignee
Fukuoka Prefecture
Japan Science and Technology Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fukuoka Prefecture, Japan Science and Technology Corp filed Critical Fukuoka Prefecture
Priority to JP2001316771A priority Critical patent/JP3858056B2/ja
Publication of JP2003121120A publication Critical patent/JP2003121120A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3858056B2 publication Critical patent/JP3858056B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Length Measuring Devices By Optical Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 異なる2方向から同時にレーザ光を照射して
変形量と変形方向の計測が可能となるスペックルを用い
た2方向変形同時計測装置を提供する。 【解決手段】 物体11に2つの異なる方向からそれぞ
れ異なる波長のレーザ光L1 、L2 を同時に照射するレ
ーザ光照射手段14と、各レーザ光L1 、L2 が物体1
1の表面で同時に散乱して生じた散乱レーザ光15から
波長別にレーザ光L1 、L2 を検知する散乱レーザ光検
知手段16と、散乱レーザ光検知手段16で波長別に検
知された各レーザ光L1 、L2 からそれぞれスペックル
干渉縞を形成してスペックル干渉縞の位相差を求めて2
つの異なる方向別に物体11の見掛けの変形量を求める
第1の変形量演算手段45と、第1の変形量演算手段4
5で求めた2つの異なる方向別の各見掛けの変形量から
物体11に生じている真の変形量及び変形方向を演算す
る第2の変形量演算手段46とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、物体の表面に異な
る2方向からレーザ光を照射して得られるスペックルパ
ターンを用いてスペックル干渉縞を形成して物体の変形
量と変形方向の計測を同時に行うことが可能なスペック
ルを用いた2方向変形同時計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】レーザ光が物体表面の粗面等によって散
乱反射することで生じるスペックルパターンを利用した
変形量の計測は、一般的に粗面で構成される実構造物の
表面の変形量の計測に非常に適している。また、レーザ
光の可干渉性を利用しているため、高温又は低温下での
物体の変形量の計測、静的及び動的な荷重が加えられる
環境下での物体の変形量の計測が可能となっている。更
に、理論的には、広範囲領域から微小領域に到るまでの
変形量の計測が可能である。スペックルパターンを利用
した変形量の計測は、分解能が数十μmと比較的粗いス
ペックル相関法と、分解能が1μm以下となるスペック
ル干渉法に大別される。スペックル相関法は、直接スペ
ックルパターンの移動より変形量を計測するため、変形
方向を含めた変形量の絶対値計測が可能になるという利
点があるが、分解能が粗いため精度の高い計測や微小な
変形量の計測には適さないという問題がある。このた
め、精度の高い計測や微小な変形量の計測には、分解能
が1μm以下となるスペックル干渉法が採用されてい
る。しかし、スペックル干渉法では物体の変形方向の変
形量を直接計測することができず、スペックル干渉縞を
形成するために照射するレーザ光の照射方向に関する変
形量しか計測できないという問題がある、そのため、一
般的な変形(物体の変形方向が照明方向からずれてい
る)の場合は、物体に対して異なる2つの方向からレー
ザ光をそれぞれ照射して計測を行ない、各計測方向にお
ける計測結果を合成して、物体としての真の変形量と、
その変形方向を求める必要があった。従って、スペック
ル干渉法を用いて物体の変形量を計測する場合は、レー
ザ光を異なる2方向から別々に照射する照射切替機構を
計測装置に設けて、レーザ光の照射方向を切り換えなが
ら、それぞれの方向の変形量を計測していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、レーザ
光の照射方向を切り換えながらそれぞれの方向の変形量
を計測する場合、レーザ光の照射方向の切替には所定の
時間を要するため、それぞれの方向の変形量を計測する
時刻に、切替に必要な所定の時間だけの時間差が生じる
ことになる。このため、変形速度が速い場合の計測や、
非常に精度の高い計測を必要とする場合は、計測誤差が
大きくなるという問題があった。本発明はかかる事情に
鑑みてなされたもので、物体の真の変形量を計測するに
際し、異なる2方向から同時にレーザ光を照射して変形
量と変形方向の計測が可能となるスペックルを用いた2
方向変形同時計測装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う本発明に
係るスペックルを用いた2方向変形同時計測装置は、物
体に2つの異なる方向からそれぞれ異なる波長のレーザ
光L1 、L2 を同時に照射するレーザ光照射手段と、前
記各レーザ光L1 、L2 が前記物体の表面で同時に散乱
して生じた散乱レーザ光から波長別に前記レーザ光L
1 、L2 を検知する散乱レーザ光検知手段と、前記散乱
レーザ光検知手段で波長別に検知された前記各レーザ光
1 、L2 からそれぞれスペックル干渉縞を形成して該
スペックル干渉縞の位相差を求めて2つの異なる方向別
に前記物体の見掛けの変形量を求める第1の変形量演算
手段と、前記第1の変形量演算手段で求めた前記各見掛
けの変形量から前記物体に生じている真の変形量及び変
形方向を演算する第2の変形量演算手段とを有する。
【0005】レーザ光照射手段により、例えば、波長が
λ1 のレーザ光L1 を、物体に対して一方の方向(例え
ば、水平方向)から、その散乱レーザ光によりスペック
ルパターンが形成される条件で照射する。同時にレーザ
光照射手段により、波長がλ2のレーザ光L2 を、物体
に対して他方の方向(例えば、垂直方向)から、その散
乱レーザ光がスペックルパターンを形成する条件で照射
する。このような構成とすることにより、物体の表面で
散乱した散乱レーザ光は、水平方向から照射した波長が
λ1 のレーザ光L1 と、垂直方向から照射した波長がλ
2 のレーザ光L2から構成されることになる。
【0006】物体の表面で散乱したレーザ光L1 、L2
を、波長λ1 と波長λ2 を個別に検知する散乱レーザ光
検知手段に入力すると、波長λ1 のレーザ光L1 の検知
信号と、波長λ2 のレーザ光L2 の検知信号がそれぞれ
個別に得られる。これらの各検知信号を第1の変形量演
算手段に入力すると、波長λ1 のレーザ光L1 の検知信
号からは波長λ1 のレーザ光L1 を物体に対して水平方
向から照射したときに得られるスペックルパターンが得
られ、波長λ2 のレーザ光L2 の検知信号からは波長λ
2 のレーザ光L2 を物体に対して垂直方向から照射した
ときに得られるスペックルパターンがそれぞれ得られ
る。また、波長がλ1 のレーザ光L1 と波長がλ2 のレ
ーザ光L2 を同時に2方向から物体に照射してその散乱
レーザ光を検知している状態で物体の変形を行うと、各
波長のレーザ光L1 、L2 に基づいた物体の変形前後の
スペックルパターンを得ることができる。そして、検知
した波長λ1 、λ2 の各レーザ光L1 、L2 から得られ
た変形前後のスペックルパターンよりスペックル干渉縞
をそれぞれ形成することができる。
【0007】スペックル干渉縞は、レーザ光を散乱する
物体表面の散乱点の位置が変形前後で移動することによ
りレーザ光の光路長が変化し、レーザ光に位相差が生じ
ることにより発生する。そして、位相差は、レーザ光の
波長、レーザ光と物体法線がなす角度、及び変形前後の
物体表面での散乱点の位置変化量に依存している。従っ
て、位相差を求めることにより、変形前後の物体表面で
の散乱点の位置変化量、すなわち物体表面の変形量を、
レーザ光の波長、レーザ光と物体法線がなす角度から算
出することができる。ここで、レーザ光と物体法線がな
す角度は測定条件から決定でき、位相差は干渉縞の位相
情報から別途求めることができる。また、波長λ1 のレ
ーザ光L1 のスペックル干渉縞は物体の水平方向に対す
る見掛けの変形量に起因した干渉縞であり、波長λ2
レーザ光L2 のスペックル干渉縞は物体の垂直方向に対
する見掛けの変形量に起因した干渉縞となっている。こ
のため、波長λ1 のレーザ光L1 のスペックル干渉縞か
ら求めた変形量は水平方向に対する見掛けの変形量に対
応し、波長λ2 のレーザ光L2 のスペックル干渉縞から
求めた変形量は垂直方向に対する見掛けの変形量に対応
している。従って、第1の変形量演算手段により、物体
の水平方向に対する見掛けの変形量と、垂直方向に対す
る見掛けの変形量をそれぞれ求めることができる。
【0008】第1の変形量演算手段により得られた物体
の水平方向に対する見掛けの変形量と、垂直方向に対す
る見掛けの変形量を、第2の変形量演算手段に入力する
と、水平方向に対する変形ベクトルと垂直方向に対する
変形ベクトルがそれぞれ決定される。次いで、水平方向
に対する変形ベクトルと垂直方向に対する変形ベクトル
の合成演算が行われる。従って、得られた合成ベクトル
の絶対値から物体としての真の変形量、合成ベクトルの
方向から物体としての変形方向をそれぞれ決定すること
ができる。
【0009】本発明に係るスペックルを用いた2方向変
形同時計測装置において、前記散乱レーザ光検知手段に
は、前記散乱レーザ光を前記波長別のレーザ光L1 、L
2 に分離する波長分離器と、前記波長分離器により分離
された各レーザ光L1 、L2 をそれぞれ検知する2台の
受光器が設けた構成とすることができる。波長分離器を
設けることにより、波長λ1 のレーザ光L1 と波長λ2
のレーザ光L2 からなる散乱レーザ光を、波長λ1 のレ
ーザ光L1 と波長λ2 のレーザ光L 2 に分離することが
できる。そして分離された波長λ1 のレーザ光L1 と波
長λ 2 のレーザ光L2 をそれぞれ専用の受光器で受光す
ることにより、波長λ1 のレーザ光L1 の情報と、波長
λ2 のレーザ光L2 の情報をそれぞれ個別に得ることが
できる。
【0010】本発明に係るスペックルを用いた2方向変
形同時計測装置において、前記波長分離器は干渉により
レーザ光の波長の選択を行う第1〜第3の波長選択フィ
ルターを有し、前記第1の波長選択フィルターは前記物
体の表面の法線に対して所定の角度をなして設けられ前
記散乱レーザ光から前記レーザ光L1 を選択透過させて
前記レーザ光L2 を反射し、前記第2の波長選択フィル
ターは前記レーザ光L1を検知する前記受光器の受光窓
に取付けられ前記レーザ光L1 のみを透過し、前記第3
の波長選択フィルターは前記レーザ光L2 を検知する前
記受光器の受光窓に取付けられ前記レーザ光L2 のみを
透過することが好ましい。第1の波長選択フィルターを
物体の表面の法線に対して所定の角度をなして設けるこ
とにより、散乱レーザ光から一方の波長、例えば波長λ
1 のレーザ光L1 を選択透過させ、他方の波長、例えば
波長λ2 のレーザ光L2 を反射することができる。更
に、波長λ1 、λ2 のレーザ光L1 、L2 からなる散乱
レーザ光を、波長λ1 のレーザ光L1 及び波長λ2 のレ
ーザ光L2 に分離すると共に、同時に光路の分離も行う
ことができる。その結果、例えば、波長λ1 のレーザ光
1 を検知する受光器の受光窓に波長λ 1 のレーザ光L
1 を選択透過する第2の波長選択フィルターを配置し、
波長λ2のレーザ光L2 を検知する受光器の受光窓に波
長λ2 のレーザ光L2 を選択透過する第3の波長選択フ
ィルターを配置することにより、各受光器に受光される
各レーザ光L1 、L2 の波長選択性の精度を向上させる
ことができる。ここで、所定の角度とは、例えば、30
〜60°の範囲の角度であり、より好ましくは45°の
角度である。一般的に市販されている波長選択フィルタ
ーは入射角が45°もしくは0°入射の仕様に設定され
ており、それをはずれた場合は、反射率、透過率が悪く
なるという計測上の問題点が生じる。そのため、角度を
45°に設定することで、第1の波長選択フィルターで
分離される波長λ1 のレーザ光L1 の強度と波長λ2
レーザ光L2 の強度を実質的に等しく調整することがで
きる。
【0011】本発明に係るスペックルを用いた2方向変
形同時計測装置において、前記散乱レーザ光検知手段に
は、前記散乱レーザ光を一括して受光し、受光した前記
散乱レーザ光から波長別に前記レーザ光L1 、L2 を選
択検知してその検知信号を出力することが可能な波長識
別受光器を設けた構成とすることができる。散乱レーザ
光検知手段に、使用する波長λ1 とλ2 の各レーザ光L
1 、L2 を選択検知することができる波長識別受光器を
用いることにより、波長λ1 及びλ2の各レーザ光L
1 、L2 からなる散乱レーザ光より、波長λ1 のレーザ
光L1 と波長λ2 のレーザ光L2 の各情報を直接得るこ
とができる。
【0012】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。ここに、図1は本発明の一実施の形
態に係るスペックルを用いた2方向変形同時計測装置の
構成を示す概念図、図2は同スペックルを用いた2方向
変形同時計測装置の散乱レーザ光検知手段の構成を示す
概念図、図3は同スペックルを用いた2方向変形同時計
測装置のブロック構成図、図4は同スペックルを用いた
2方向変形同時計測装置の計測部本体の構成を示すブロ
ック図、図5は同スペックルを用いた2方向変形同時計
測装置の変形例に係る散乱レーザ光検知手段の構成を示
す概念図である。図1に示すように、本発明の一実施の
形態に係るスペックルを用いた2方向変形同時計測装置
10は、物体11に水平方向から波長λ1 のレーザ光L
1 、垂直方向から波長λ2 のレーザ光L2 を同時に照射
するレーザ光照射手段14と、各レーザ光L1 、L2
物体11の表面で散乱して生じた散乱レーザ光15を波
長別に分離して波長λ1 のレーザ光L1 及び波長λ2
レーザ光L2 としてそれぞれ検知する散乱レーザ光検知
手段16を有している。また、スペックルを用いた2方
向変形同時計測装置10には、散乱レーザ光検知手段1
6から出力される波長λ1 のレーザ光L1 及び波長λ2
のレーザ光L2 の各検知信号からそれぞれスペックル干
渉縞を形成しスペックル干渉縞から物体11の水平方向
の見掛けの変形量と垂直方向の見掛けの変形量を算出し
て物体11としての真の変形量と変形方向を決定する計
測部本体17が設けられている。以下、これらについて
詳細に説明する。
【0013】レーザ光照射手段14は、例えば、波長λ
1 のレーザ光L1 を発振するレーザ発振器19と、波長
λ2 のレーザ光L2 を発振するレーザ発振器20と、ハ
ーフミラー21、22と、ミラー23、24、25と、
レンズ26、26a、27、27a、28、28a、2
9、29aを備えている。レーザ発振器19で得られた
波長λ1 のレーザ光L1 の進行方向内にハーフミラー2
1を配置し、レーザ光L 1 の光束の一部をハーフミラー
21で反射させてレーザ光L1 の光束の一部を分岐する
と共に、レーザ光L1 の残りの光束はハーフミラー21
を透過させる。そして、透過したレーザ光L1 の進行方
向内にレンズ26、26aを配置しレーザ光L1 を平行
光線として、物体11に対して水平方向から、更に、物
体11の法線に対して入射角θ1 で照射するようにす
る。また、ハーフミラー21で反射して分岐したレーザ
光L1 の進行方向内にミラー23を配置して、ミラー2
3で反射したレーザ光L1 がレンズ27、27aを介し
平行光線として、物体11に対して水平方向から、更
に、物体11の法線に対してレンズ26、26aを介し
て照射されるレーザ光L1 と対称となる方向から入射角
θ1 で照射するようにする。レーザ発振器20で得られ
た波長λ2 のレーザ光L2 の進行方向内にハーフミラー
22を配置し、レーザ光L2 の光束の一部をハーフミラ
ー22で反射させてレーザ光L2 の光束の一部を分岐す
ると共に、レーザ光L2 の残りの光束はハーフミラー2
2を透過させる。そして、ハーフミラー22で分岐した
レーザ光L2 の進行方向内にミラー25を配置して、ミ
ラー25で反射したレーザ光L2 がレンズ29、29a
を介し平行光線として、物体11に対して垂直方向か
ら、更に、物体11の法線に対して入射角θ2 で照射す
るようにする。また、ハーフミラー22を透過したレー
ザ光L2 の進行方向内にミラー24を配置して、ミラー
24で反射したレーザ光L2 がレンズ28、28aを介
し平行光線として、物体11に対して垂直方向から、物
体11の法線に対してレンズ29、29aを介して照射
するレーザ光L2 と対称となる方向から入射角θ2 で照
射するようにする。
【0014】このような構成とすることにより、レーザ
発振器19で発生させた波長λ1 のレーザ光L1 を2つ
の異なる光路を経由するレーザ光L1 として、物体11
に対して水平方向から、更に、物体11の法線に対して
それぞれ対称の関係となる入射角θ1 で重ね合わせて照
射することができる。また、レーザ発振器20で発生さ
せた波長λ2 のレーザ光L2 を2つの異なる光路を経由
するレーザ光L2 として、物体11に対して垂直方向か
ら、更に、物体11の法線に対してそれぞれ対称の関係
となる入射角θ2 で重ね合わせて照射することができ
る。なお、波長λ1 のレーザ光L1 としては、例えば赤
色レーザ光、波長λ2 のレーザ光L2 としては、例えば
青色レーザ光をそれぞれ使用することができる。
【0015】図2に示すように、散乱レーザ光検知手段
16には、散乱レーザ光15から波長λ1 のレーザ光L
1 と波長λ2 のレーザ光L2 を分離する波長分離器37
と、波長分離器37により分離された波長λ1 のレーザ
光L1 を検知する受光器の一例であるCCDカメラ40
と、波長λ2 のレーザ光L2 を検知する受光器の一例で
あるCCDカメラ41が設けられている。また、波長分
離器37は、干渉によりレーザ光の波長の選択を行なう
第1〜第3の波長選択フィルター42、43、44を使
用して構成している。すなわち、波長分離器37は、例
えば、物体11の表面の法線に対して45°の角度をな
して設けられ散乱レーザ光15から波長λ1 のレーザ光
1 のみを透過させて、波長λ2 のレーザ光L2 を反射
する第1の波長選択フィルター42が設けられている。
更に、波長分離器37には、透過した波長λ1 のレーザ
光L1 を検知するCCDカメラ40の受光窓に取付けら
れ波長λ1 のレーザ光L1 のみを透過する第2の波長選
択フィルター43と、第1の波長選択フィルター42で
反射した波長λ 2 のレーザ光L2 を検知するCCDカメ
ラ41の受光窓に取付けられ波長λ2 のレーザ光L2
みを透過する第3の波長選択フィルター44が設けられ
ている。なお、CCDカメラ40に設けられたレンズ部
40a、CCDカメラ41に設けられたレンズ部41a
にはそれぞれ絞りが設けられており、この絞りを調節す
ることにより、各CCDカメラ40、41の解像限界よ
りも十分に粗いスペックルパターンが得られるように調
整する。
【0016】このような構成とすることにより、始め
に、散乱レーザ光15を第1の波長選択フィルター42
により波長λ1 のレーザ光L1 と波長λ2 のレーザ光L
2 とに分離すると共に、波長λ1 のレーザ光L1 と波長
λ2 のレーザ光L2 の進行方向もそれぞれ分離すること
ができる。そして、波長λ1 のレーザ光L1 は第2の波
長選択フィルター43を介してCCDカメラ40に導入
されるので、CCDカメラ40では波長λ1 のレーザ光
1 のみに関する情報、すなわち、物体11に対して水
平方向から照射されて物体11で散乱されたレーザ光に
関する情報のみを出力することができる。同時に、波長
λ2 のレーザ光L2 は第3の波長選択フィルター44を
介してCCDカメラ41に導入されるので、CCDカメ
ラ41では波長λ2 のレーザ光L2 のみに関する情報、
すなわち、物体11に対して垂直方向から照射されて物
体11で散乱されたレーザ光に関する情報のみを出力す
ることができる。
【0017】図3、図4に示すように、計測部本体17
は、散乱レーザ光検知手段16で散乱レーザ光15から
波長別に分離されてそれぞれ検知された波長λ1 のレー
ザ光L 1 と波長λ2 のレーザ光L2 からそれぞれスペッ
クルパターンを形成し、スペックルパターンからスペッ
クル干渉縞を形成して干渉縞の位相差を求め、物体11
の水平方向及び垂直方向の各見掛けの変形量を求める第
1の変形量演算手段45を有している。更に、計測部本
体17は第1の変形量演算手段45で求めた物体11の
水平及び垂直方向の各見掛けの変形量から物体11とし
ての真の変形量と変形方向を演算する第2の変形量演算
手段46を有している。
【0018】第1の変形量演算手段45には、波長λ1
のレーザ光L1 と波長λ2 のレーザ光L2 からそれぞれ
スペックル情報を求めるλ1 演算系47とλ2 演算系4
8が設けられている。λ1 演算系47には、CCDカメ
ラ40からの出力信号に基づいてスペックルパターンを
形成するスペックルパターン形成部49と、変形前後の
スペックルパターンの輝度の差の絶対値、すなわち、減
算スペックルパターンの強度を求めることによりスペッ
クル干渉縞を形成するスペックル干渉縞形成部50と、
得られた干渉縞の画像からフーリエ変換を利用して位相
差を演算する位相情報演算部51と、位相情報演算部5
1の演算結果に基づいて水平方向の見掛けの変形量を演
算しその結果を出力する変形量演算部52が設けられて
いる。同様に、λ2 演算系48には、CCDカメラ41
からの出力信号に基づいてスペックルパターンを形成す
るスペックルパターン形成部53と、変形前後のスペッ
クルパターンの輝度の差の絶対値、すなわち、減算スペ
ックルパターンの強度を求めることによりスペックル干
渉縞を形成するスペックル干渉縞形成部54と、得られ
た干渉縞の画像からフーリエ変換を利用して位相差を演
算する位相情報演算部55と、位相情報演算部55の演
算結果に基づいて垂直方向の見掛けの変形量を演算しそ
の結果を出力する変形量演算部56が設けられている。
ここで、CCDカメラ41で撮像される画像は、第1の
波長選択フィルター42で反射されたレーザ光L2 によ
り形成されるものであるため、物体11から実際に得ら
れる画像と比較して反転した画像となっている。このた
め、スペックルパターン形成部53ではスペックルパタ
ーンを形成する際に画像の反転処理を行って、物体11
から実際に得られる画像に戻している。なお、各スペッ
クルパターン形成部49、53で得られた各スペックル
パターン、各スペックル干渉縞形成部50、54で得ら
れた各スペックル干渉縞、及び各変形量演算部52、5
6で得られた各見掛けの変形量は、モニター57にそれ
ぞれ表示することができる。
【0019】第2の変形量演算手段46には、各変形量
演算部52、56からの出力信号に基づいて、各見掛け
の変形量に対する変形ベクトルを求めるベクトル演算部
58と、求めた各変形ベクトルを合成して物体11とし
ての合成ベクトルを求めるベクトル合成部59が設けら
れている。また、ベクトル合成部59では、合成ベクト
ルの方向を物体11の変形方向、合成ベクトルの絶対値
を物体11の真の変形量としてモニター57にそれぞれ
出力する。ここで、計測部本体17としては、例えばパ
ーソナルコンピュータを使用することができ、モニター
57としては、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディ
スプレイ、プラズマ・ディスプレイなどの各種表示機器
が使用できる。
【0020】次に、本発明の一実施の形態に係るスペッ
クルを用いた2方向変形同時計測装置10の使用方法に
ついて詳細に説明する。レーザ光照射手段14のレーザ
発振器19、ハーフミラー21、ミラー23、レンズ2
6、26a、27、27aの位置をそれぞれ調整して、
レーザ発振器19で発生させた波長λ1 のレーザ光L1
の内でハーフミラー21を透過したレーザ光L1 がレン
ズ26を介して物体11に対して水平方向から、更に、
物体11の法線に対して入射角θ1 で照射するようにす
る。同時に、ハーフミラー21で反射したレーザ光L1
が再度ミラー23で反射してレンズ27を介して物体1
1に対して水平方向から、更に、物体11の法線に対し
てレンズ26を介して照射されるレーザ光L1 と対称と
なる入射角θ1 の方向から照射するようにする。同時
に、レーザ光照射手段14のレーザ発振器20、ハーフ
ミラー22、ミラー24、25、レンズ28、28a、
29、29aの位置をそれぞれ調整して、レーザ発振器
20で発生させた波長λ2 のレーザ光L2 の内でハーフ
ミラー22を透過したレーザ光L2 がミラー24で反射
しレンズ28を介して物体11に対して垂直方向から、
更に、物体11の法線に対して入射角θ2 で照射するよ
うにする。同時に、ハーフミラー22で反射したレーザ
光L2 が再度ミラー25で反射しレンズ29を介して物
体11に対して垂直方向から、更に、物体11の法線に
対してレンズ28を介して照射されるレーザ光L2 と対
称となる入射角θ2 の方向から照射するようにする。
【0021】続いて、散乱レーザ光検知手段16、計測
部本体17、モニター57をそれぞれ起動する。先ず、
レーザ発振器19を発振させてレーザ光L1 をハーフミ
ラー21とミラー23により2つのレーザ光L1 に分け
て物体11に対して水平方向から照射し、物体11の表
面で散乱したレーザ光L1 をCCDカメラ40で受光
し、スペックルパターン形成部49により形成させたス
ペックルパターンをモニター57に表示する。表示され
たスペックルパターンの状況を見ながら、レーザ発振器
19の出力を調整してスペックルパターンの輝度調整を
行うと共に、CCDカメラ40のレンズ部40aに設け
られている絞りを調節して、CCDカメラ40の解像限
界よりも十分に粗いスペックルパターンが得られるよう
にする。次いで、レーザ発振器20を発振させてレーザ
光L2 をハーフミラー22とミラー24、25により2
つのレーザ光L2 に分けて物体11に対して垂直方向か
ら照射し、物体11の表面で散乱したレーザ光L2 をC
CDカメラ41で受光し、スペックルパターン形成部5
3により形成させたスペックルパターンをモニター57
に表示する。表示されたスペックルパターンの状況を見
ながら、レーザ発振器20の出力を調整してスペックル
パターンの輝度調整を行うと共に、CCDカメラ41の
レンズ部41aに設けられている絞りを調節して、CC
Dカメラ41の解像限界よりも十分に粗いスペックルパ
ターンが得られるようにする。レーザ発振器19、20
の出力と、各CCDカメラ40、41のレンズ部40
a、41aにそれぞれ設けられている絞りの調整が完了
すると、散乱レーザ光検知手段16からの出力信号をデ
ータ処理してその結果をモニター57に表示させる計測
条件を計測部本体17に入力する。
【0022】レーザ発振器19を発振させてレーザ光L
1 をハーフミラー21とミラー23により2つのレーザ
光L1 に分けて物体11に対して水平方向から照射し、
更に、レーザ発振器20を発振させてレーザ光L2 をハ
ーフミラー22とミラー24、25により2つのレーザ
光L2 に分けて物体11に対して垂直方向から照射しな
がら、物体11に変形を加える。このとき、物体11で
散乱した散乱レーザ光15を、第1の波長選択フィルタ
ー42により波長λ1 のレーザ光L1 と波長λ2のレー
ザ光L2 とに分離し、波長λ1 のレーザ光L1 は第2の
波長選択フィルター43を介してCCDカメラ40で受
光し、波長λ2 のレーザ光L2 は第3の波長選択フィル
ター44を介してCCDカメラ41で受光させる。そし
て、各CCDカメラ40、41は、受光した波長λ1
レーザ光L1 と波長λ2 のレーザ光L2 の検知信号をそ
れぞれ出力する。CCDカメラ40、41からの各出力
信号を、第1の変形量演算手段45に設けられたλ1
算系47、λ2 演算系48にそれぞれ入力する。λ1
算系47に入力されたCCDカメラ40の出力信号は予
め設定されたデータ収集速度、すなわち予め設定された
時間間隔でスペックルパターン形成部49に入力されて
逐次スペックルパターンを形成する。これによって、物
体11の変形に伴う波長λ1のレーザ光L1 に基づくス
ペックルパターンが逐次形成されることになる。また、
λ2 演算系48に入力されたCCDカメラ41の出力信
号は予め設定されたデータ収集速度、すなわち予め設定
された時間間隔でスペックルパターン形成部53に入力
されて逐次スペックルパターンを形成する。これによっ
て、物体11の変形に伴う波長λ2 のレーザ光L2 に基
づくスペックルパターンが逐次形成されることになる。
【0023】スペックルパターン形成部49、53で得
られた各スペックルパターンのデータは、それぞれスペ
ックル干渉縞形成部50、54に入力される。各スペッ
クル干渉縞形成部50、54では、変形前のスペックル
パターンの輝度IBと変形後のスペックルパターンの輝
度IAとの差の絶対値|IB−IA|を演算する。ここ
で、a1 、a2 を物体11の表面の法線に対して対称と
なる2つの方向から照射されるレーザ光の振幅、φを反
射レーザ光及び透過レーザ光の位相、Δφを変形により
生じた位相差とすると、|IB−IA|は次式で表され
る。 |IB−IA|= 2|a12 {cosφ−cos(φ+Δφ)}| ・・・・・(1) (1)式では、位相差Δφがπの奇数倍のときは|IB
−IA|=4|(a1 2 cosφ)|となって強度が
最大となる。一方、位相差Δφがπの偶数倍のときは0
となって強度が最低となる。これによって、変形前後の
スペックルパターンからスペックル干渉縞が形成され
る。従って、各スペックル干渉縞形成部50、54から
は、形成された各スペックル干渉縞の画像データが出力
されて、それぞれ位相情報演算部51、55に入力され
る。各位相情報演算部51、55では、各スペックル干
渉縞の画像データからフーリエ変換を利用して位相差Δ
φがそれぞれ求められる。得られた各位相差Δφは、各
変形量演算部52、56に入力される。なお、モニター
57には、スペックルパターン形成部49、53で得ら
れた各スペックルパターン、スペックル干渉縞形成部5
0、54で得られた各スペックル干渉縞を表示する。
【0024】いま、物体11が変形して、水平方向に
u、垂直方向にvだけのそれぞれ見掛けの変形量が発生
したとすると、スペックルを形成する散乱点の位置も水
平方向にu、垂直方向にvだけ移動している。このた
め、波長λ1 のレーザ光L1 を2つのレーザ光L1 に分
けて物体11に対して水平方向から照射して散乱したレ
ーザ光L1 をCCDカメラ40で受光する場合、変形前
後で2つのレーザ光L1 の各光路の間に光路差が生じ
て、CCDカメラ40に到達する2つのレーザ光L1
位相に差が生じる。このときの位相差Δφ1 は次式で表
される。 Δφ1 =4πu(sinθ1 )/λ1 ・・・・・(2) 従って、変形量演算部52では(2)式から、位相情報
演算部51で出力された位相差Δφ1 を用いて物体11
の水平方向の見掛けの変形量uを求める。一干渉縞当た
りの変形量は、Δφ1 =2πなので、u=λ1 /(2s
inθ1 )となる。また、波長λ2 のレーザ光L2 を2
つのレーザ光L2 に分けて物体11に対して垂直方向か
ら照射して物体11の表面で散乱したレーザ光L2 をC
CDカメラ41で受光する場合、変形前後で2つのレー
ザ光L2 の各光路の間に光路差が生じて、CCDカメラ
41に到達する2つのレーザ光L2 の位相に差が生じ
る。このときの位相差Δφ2 は次式で表される。 Δφ2 =4πv(sinθ2 )/λ2 ・・・・・(3) 従って、変形量演算部56では(3)式から、位相情報
演算部55で出力された位相差Δφ2 を用いて物体11
の垂直方向の見掛けの変形量vを求める。一干渉縞当た
りの変形量は、Δφ2 =2πなので、v=λ2 /(2s
inθ2 )となる。
【0025】変形量演算部52で求められた物体11の
水平方向に対する見掛けの変形量uと、変形量演算部5
6で求められた物体11の垂直方向に対する見掛けの変
形量vは、第2の変形量演算手段46に設けられたベク
トル演算部58に入力される。ベクトル演算部58で
は、各変形量演算部52、56から入力された水平及び
垂直方向の各見掛けの変形量u、vから、それぞれ変形
ベクトルを演算する。そして、得られた各変形ベクトル
は、ベクトル合成部59に入力されて各変形ベクトルの
ベクトル和である合成ベクトルが演算される。このとき
得られる合成ベクトルの方向が物体11の変形方向に対
応し、合成ベクトルの絶対値が物体11の変形方向に対
する真の変形量に対応する。得られた物体11の変形方
向及び真の変形量は、モニター57に入力されて表示さ
れる。
【0026】また、図5に変形例に係る散乱レーザ光検
知手段の構成図を示す。図5では、散乱レーザ光検知手
段として、散乱レーザ光63を一括して受光し各波長の
レーザ光L1 、L2 を選択検知してその検知信号をそれ
ぞれ出力することが可能な波長識別受光器の一例である
3CCDカメラ62を使用している。3CCDカメラ6
2には、赤色レーザ光、青色レーザ光、及び緑色レーザ
光をそれぞれ個別に検知する受光素子が設けられてい
る。このため、レーザ発振器19に赤色レーザ光の発振
器を用いて、物体11に対して水平方向から照射し、レ
ーザ発振器20に青色レーザ光の発振器を用いて、物体
11に対して垂直方向からそれぞれ照射する。物体11
で散乱した散乱レーザ光63は赤色レーザ光と青色レー
ザ光から構成されることになるので、散乱レーザ光63
を3CCDカメラ62で受光すると、赤色レーザ光は赤
色レーザ光の受光素子により、青色レーザ光は青色レー
ザ光の受光素子でそれぞれ検知されて、3CCDカメラ
62からは赤色レーザ光と青色レーザ光の各検知信号が
出力されることになる。なお、3CCDカメラ62が受
光するレーザ光L1 、L2 の光量の制御は、3CCDカ
メラ62のレンズ部62aに設けられた絞りを調節する
ことにより行う。従って、レーザ発振器19で赤色レー
ザ光を物体11に対して水平方向から照射し、レーザ発
振器20で青色レーザ光を物体11に対して垂直方向か
らそれぞれ照射しながら物体11に変形を加える。その
際に、物体11で散乱した散乱レーザ光63を3CCD
カメラ62で検知し、赤色レーザ光と青色レーザ光の各
検知信号を計測部本体17に入力すると、赤色レーザ光
から得られるスペックルパターンから物体11の水平方
向に対する見掛けの変形量が得られる。また、青色レー
ザ光から得られるスペックルパターンから物体11の垂
直方向に対する見掛けの変形量が得られる。そして、水
平及び垂直の各方向の見掛けの変形量から、物体11と
しての変形方向とその方向に対する真の変形量が求ま
る。
【0027】以上、本発明の実施の形態を説明したが、
本発明は、この実施の形態に限定されるものではなく、
例えば、レーザ発振器から得られたレーザ光はハーフミ
ラーとミラーを用いて2光路のレーザ光を得たが、レー
ザ発振器から得られたレーザ光を光ファイバーに導入し
50:50に分ける光ファイバーカプラを介して接続し
た2本の光ファイバーに導入することにより2光路のレ
ーザ光を得ることも可能である。また、物体にレーザ光
を照射する際は2個のレンズを使用して平行光線とした
が、光ファイバーで2光路のレーザ光を形成した場合、
凹面鏡やレンズ等を使用してレーザ光を平行光線とする
ことも可能である。変形の時間経過と共に変化するスペ
ックルパターンを順次形成して計測部本体に設けた記憶
部に取り込むと共に、それらのスペックルパターンを記
憶部から順次読み出して解析を行うことにより、動的試
験環境下における変形量の絶対値計測、一般構造物の実
使用環境下における変形量の絶対値計測を行うことがで
きる。また、計測部本体に設けたスペックル干渉縞形成
部、位相情報演算部、変形量演算部、ベクトル演算部、
ベクトル合成部は、いずれも各機能を発現させるプログ
ラムをパーソナルコンピュータに搭載することにより形
成したが、上記各部の全て、あるいは一部を専用のマイ
クロコンピュータを用いて構成することも可能である。
各機能を専用のマイクロコンピュータを使用して構成す
ることにより、スペックルパターンの形成とその処理の
高速化が可能になって、動的環境下での変形量の絶対値
計測が更に容易となる。更に、波長の異なる2つのレー
ザ光L1 、L2 を物体に対して水平方向及び垂直方向か
らそれぞれ照射したが、波長の異なる2つのレーザ光L
1 、L2 を異なる任意の方向からそれぞれ照射するよう
にしてもよい。また、波長の異なる2つのレーザ光L
1 、L2 として、赤色レーザ光と青色レーザ光を使用し
たが、レーザ光の波長(色)は赤、緑、青の3色の中か
ら任意に選択した2色の組合せであってもよい。
【0028】
【発明の効果】請求項1〜4記載のスペックルを用いた
2方向変形同時計測装置においては、物体に2つの異な
る方向からそれぞれ異なる波長のレーザ光L1 、L2
同時に照射するレーザ光照射手段と、各レーザ光L1
2 が物体の表面で同時に散乱して生じた散乱レーザ光
から波長別にレーザ光L1 、L2 を検知する散乱レーザ
光検知手段と、散乱レーザ光検知手段で波長別に検知さ
れた各レーザ光L1 、L2からそれぞれスペックル干渉
縞を形成してスペックル干渉縞の位相差を求めて2つの
異なる方向別に物体の見掛けの変形量を求める第1の変
形量演算手段と、第1の変形量演算手段で求めた各見掛
けの変形量から物体に生じている真の変形量及び変形方
向を演算する第2の変形量演算手段とを有するので、各
波長別に求めた変形量が各波長のレーザ光L1 、L2
照射した方向の見掛けの変形量に対応することから、物
体の2方向に対する見掛けの変形量を同時に計測するこ
とが可能となる。その結果、異なる2方向の見掛けの変
形量を計測する際に各方向の計測時刻に時間差が生じな
いため、変形速度が速い場合の物体の真の変形量及び変
形方向の計測、非常に精度の高い物体の真の変形量及び
変形方向の計測が可能となる。
【0029】特に、請求項2記載のスペックルを用いた
2方向変形同時計測装置においては、散乱レーザ光検知
手段には、散乱レーザ光を波長別のレーザ光L1 、L2
に分離する波長分離器と、波長分離器により分離された
各レーザ光L1 、L2 をそれぞれ検知する2台の受光器
が設けられているので、波長別の各レーザ光L1 、L2
の情報をそれぞれ得ることができ、各波長別のレーザ光
1 、L2 のスペックルパターン及びスペックル干渉縞
を容易に形成することが可能となる。
【0030】請求項3記載のスペックルを用いた2方向
変形同時計測装置においては、波長分離器は干渉により
レーザ光の波長の選択を行う第1〜第3の波長選択フィ
ルターを有し、第1の波長選択フィルターは物体の表面
の法線に対して所定の角度をなして設けられ散乱レーザ
光からレーザ光L1 を選択透過させてレーザ光L2 を反
射し、第2の波長選択フィルターはレーザ光L1 を検知
する受光器の受光窓に取付けられレーザ光L1 のみを透
過し、第3の波長選択フィルターはレーザ光L2を検知
する受光器の受光窓に取付けられレーザ光L2 のみを透
過するので、各受光器に受光されるレーザ光L1 、L2
の波長選択の精度を向上させて精緻なスペックルパター
ン及びスペックル干渉縞を得ることができ、精度の高い
真の変形量の絶対値計測を行うことが可能となる。
【0031】請求項4記載のスペックルを用いた2方向
変形同時計測装置においては、散乱レーザ光検知手段に
は、散乱レーザ光を一括して受光し、受光した散乱レー
ザ光から波長別にレーザ光L1 、L2 を選択検知してそ
の検知信号を出力することが可能な波長識別受光器が設
けられているので、2つの波長のレーザ光L1 、L2
有する散乱レーザ光から各波長別のレーザ光L1 、L2
の情報を直接得ることができ、散乱レーザ光検知手段の
構成を簡単にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るスペックルを用い
た2方向変形同時計測装置の構成を示す概念図である。
【図2】同スペックルを用いた2方向変形同時計測装置
の散乱レーザ光検知手段の構成を示す概念図である。
【図3】同スペックルを用いた2方向変形同時計測装置
のブロック構成図である。
【図4】同スペックルを用いた2方向変形同時計測装置
の計測部本体の構成を示すブロック図である。
【図5】同スペックルを用いた2方向変形同時計測装置
の変形例に係る散乱レーザ光検知手段の別の構成を示す
概念図である。
【符号の説明】
10:スペックルを用いた2方向変形同時計測装置、1
1:物体、14:レーザ光照射手段、15:散乱レーザ
光、16:散乱レーザ光検知手段、17:計測部本体、
19、20:レーザ発振器、21、22:ハーフミラ
ー、23〜25:ミラー、26、26a、27、27
a、28、28a、29、29a:レンズ、37:波長
分離器、40:CCDカメラ、40a:レンズ部、4
1:CCDカメラ、41a:レンズ部、42:第1の波
長選択フィルター、43:第2の波長選択フィルター、
44:第3の波長選択フィルター、45:第1の変形量
演算手段、46:第2の変形量演算手段、47:λ1
算系、48:λ2 演算系、49:スペックルパターン形
成部、50:スペックル干渉縞形成部、51:位相情報
演算部、52:変形量演算部、53:スペックルパター
ン形成部、54:スペックル干渉縞形成部、55:位相
情報演算部、56:変形量演算部、57:モニター、5
8:ベクトル演算部、59:ベクトル合成部、62:3
CCDカメラ、62a:レンズ部、63:散乱レーザ光

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 物体に2つの異なる方向からそれぞれ異
    なる波長のレーザ光L1、L2 を同時に照射するレーザ
    光照射手段と、前記各レーザ光L1 、L2 が前記物体の
    表面で同時に散乱して生じた散乱レーザ光から波長別に
    前記レーザ光L1 、L2 を検知する散乱レーザ光検知手
    段と、前記散乱レーザ光検知手段で波長別に検知された
    前記各レーザ光L1 、L2 からそれぞれスペックル干渉
    縞を形成して該スペックル干渉縞の位相差を求めて2つ
    の異なる方向別に前記物体の見掛けの変形量を求める第
    1の変形量演算手段と、前記第1の変形量演算手段で求
    めた前記各見掛けの変形量から前記物体に生じている真
    の変形量及び変形方向を演算する第2の変形量演算手段
    とを有することを特徴とするスペックルを用いた2方向
    変形同時計測装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のスペックルを用いた2方
    向変形同時計測装置において、前記散乱レーザ光検知手
    段には、前記散乱レーザ光を前記波長別のレーザ光L
    1 、L2 に分離する波長分離器と、前記波長分離器によ
    り分離された各レーザ光L1 、L2 をそれぞれ検知する
    2台の受光器が設けられていることを特徴とするスペッ
    クルを用いた2方向変形同時計測装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のスペックルを用いた2方
    向変形同時計測装置において、前記波長分離器は干渉に
    よりレーザ光の波長の選択を行う第1〜第3の波長選択
    フィルターを有し、前記第1の波長選択フィルターは前
    記物体の表面の法線に対して所定の角度をなして設けら
    れ前記散乱レーザ光から前記レーザ光L1を選択透過さ
    せて前記レーザ光L2 を反射し、前記第2の波長選択フ
    ィルターは前記レーザ光L1 を検知する前記受光器の受
    光窓に取付けられ前記レーザ光L1のみを透過し、前記
    第3の波長選択フィルターは前記レーザ光L2 を検知す
    る前記受光器の受光窓に取付けられ前記レーザ光L2
    みを透過することを特徴とするスペックルを用いた2方
    向変形同時計測装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のスペックルを用いた2方
    向変形同時計測装置において、前記散乱レーザ光検知手
    段には、前記散乱レーザ光を一括して受光し、受光した
    前記散乱レーザ光から波長別に前記レーザ光L1 、L2
    を選択検知してその検知信号を出力することが可能な波
    長識別受光器が設けられていることを特徴とするスペッ
    クルを用いた2方向変形同時計測装置。
JP2001316771A 2001-10-15 2001-10-15 スペックルを用いた2方向変形同時計測装置 Expired - Lifetime JP3858056B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001316771A JP3858056B2 (ja) 2001-10-15 2001-10-15 スペックルを用いた2方向変形同時計測装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001316771A JP3858056B2 (ja) 2001-10-15 2001-10-15 スペックルを用いた2方向変形同時計測装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003121120A true JP2003121120A (ja) 2003-04-23
JP3858056B2 JP3858056B2 (ja) 2006-12-13

Family

ID=19134727

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001316771A Expired - Lifetime JP3858056B2 (ja) 2001-10-15 2001-10-15 スペックルを用いた2方向変形同時計測装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3858056B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7894077B2 (en) 2007-05-08 2011-02-22 Koh Young Technology Inc. Multi-directional projection type moire interferometer and inspection method of using the same
WO2016024488A1 (ja) * 2014-08-13 2016-02-18 ソニー株式会社 信号処理装置、信号処理方法、並びにプログラム

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102322807B (zh) * 2011-08-05 2013-04-24 北京交通大学 一种物体动态三维变形的实时测量方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7894077B2 (en) 2007-05-08 2011-02-22 Koh Young Technology Inc. Multi-directional projection type moire interferometer and inspection method of using the same
WO2016024488A1 (ja) * 2014-08-13 2016-02-18 ソニー株式会社 信号処理装置、信号処理方法、並びにプログラム
US10080091B2 (en) 2014-08-13 2018-09-18 Sony Corporation Signal processing device and signal processing method

Also Published As

Publication number Publication date
JP3858056B2 (ja) 2006-12-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI269022B (en) Phase-shifting interferometry method and system
US8179534B2 (en) Fixed wavelength absolute distance interferometer
WO2008030580A2 (en) Synchronous frequency-shift mechanism in fizeau interferometer
CN101881600A (zh) 干涉振动位移决定方法、振动频率决定方法和干涉装置
JP2017181256A (ja) 光検出装置および光検出システム
JP3426552B2 (ja) 形状計測装置
KR100916593B1 (ko) 실시간 3차원 형상 측정 시스템
US20050122529A1 (en) Measurement system of three-dimensional shape of transparent thin film using acousto-optic tunable filter
CN107036527B (zh) 同步测量绝对寻址距离与偏摆角度的光学系统与方法
KR20080090225A (ko) 편광분리 간섭계를 이용한 표면형상 측정장치 및 방법.
JP3858056B2 (ja) スペックルを用いた2方向変形同時計測装置
JP2007298281A (ja) 被検体の面形状の測定方法及び測定装置
US11965830B2 (en) Data acquisition apparatus
JP2002148025A (ja) 3次元形状測定装置
JP2003139515A (ja) スペックルを利用した変形量の絶対値計測方法
JP4625405B2 (ja) Spr測定機器
JP2013024720A (ja) 屈折率測定方法、屈折率測定装置および屈折率測定プログラム
KR100943407B1 (ko) 전사 방식의 3차원 형상 측정 시스템
KR100943405B1 (ko) 래터럴 스캔을 이용한 3차원 형상 측정 시스템
JPH07260420A (ja) 斜入射干渉計
KR20130040520A (ko) 구동 반사경 기반의 헤테로다인 간섭계 및 이를 이용한 센서
CN110455420B (zh) 波前测量设备
JPS5817305A (ja) 磁気ヘツドスペ−シング測定装置
JPS61130887A (ja) レ−ザ−ドツプラ−速度計
JP2002357407A (ja) 位相シフト干渉縞同時撮像装置における平面形状計測方法

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20031031

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20040129

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040607

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040729

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20040729

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041013

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20041013

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041013

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051201

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051213

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060208

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060613

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060711

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R154 Certificate of patent or utility model (reissue)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R154

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3858056

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100929

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110929

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120929

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120929

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120929

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130929

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250