JP2003119537A - 切削性に優れたアルミニウム合金 - Google Patents
切削性に優れたアルミニウム合金Info
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Abstract
しなくても、Pb添加材と同等以上の切削性を有するア
ルミニウム合金を提供する。 【解決手段】 Mg0.2〜1.5mass%、Si
0.2〜2.0mass%を含有し、さらにSnもしく
はBiのいずれか1種以上の元素を総量で0.5〜2.
5mass%含み、残部がアルミニウムと不可避的不純
物とからなるAl−Mg−Si系合金であって、Mg/
Si比が質量比で1.73以下であるアルミニウム合
金。
Description
削性に優れたアルミニウム合金に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、切削性に優れたアルミニウム合金
としては、JIS2011合金や6262合金等の鉛を
添加した合金が使用されてきた。しかし、近年環境問題
に対する配慮の観点から、鉛を添加しない、かつ、切削
性に優れたアルミニウム合金が要求されるようになっ
た。ところで6262合金(Pb−Bi添加)の代替と
して、Sn−Bi添加合金が提案されているが、切粉分
断性はPb−Bi添加材には及ばなかった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明はAl−Mg−
Si系合金において、鉛を添加しなくても、Pb添加材
と同等以上の切削性を有するアルミニウム合金の提供を
目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】上記の課題は下記の手段
によって達成された。すなわち本発明は (1)Mg0.2〜1.5mass%、Si0.2〜
2.0mass%を含有し、さらにSnもしくはBiの
いずれか1種以上の元素を総量で0.5〜2.5mas
s%含み、残部がアルミニウムと不可避的不純物とから
なるAl−Mg−Si系合金であって、Mg/Si比が
質量比で1.73以下であることを特徴とするアルミニ
ウム合金を提供するものである。本発明で鉛を添加しな
いとは、地金に鉛を添加しないという意味であり、具体
的には鉛の含有量が0.05mass%以下であること
をいう。 【0005】 【発明の実施の形態】本発明のアルミニウム合金におい
てMg、Si添加は、Mg2Si等の化合物として強度
向上に寄与すると考えられる。下限未満ではその効果が
小さく、上限を超えると押出性等の加工性が低下する。
Sn、Biの低融点元素の添加は、切粉分断性を向上さ
せる。すなわち、Sn、Biはアルミニウムにほとんど
固溶しないため、化合物として存在する。この化合物
が、切削や孔空け等の刃先での加工発熱により溶融し、
切粉にノッチができるため、切粉分断性が向上すると考
えられる。融点は、単体Sn232℃、単体Bi271
℃だが、Sn−Bi化合物となると139℃に低下する
ため、その効果は大きい。よって、Sn、Biの両者添
加が望ましく、共晶組成となる質量比でのSn:Bi=
43:57近傍での添加が望ましい。下限未満ではその
効果が小さく、上限を超えると粒界腐食が発生し耐食性
が低下する。 【0006】しかし、Sn−Bi添加材の切粉分断性
は、Pb−Bi添加材よりも劣った。その理由について
鋭意検討の結果、以下のことが判明した。すなわち、従
来の6262合金ではPb−Bi化合物を形成し易い
が、Sn、BiはMgとの反応性が高いため、Sn−B
i化合物に比べ、Mg−Sn、Mg−Bi、Mg−Sn
−Bi等の化合物を形成し易くなる。融点は、Mg−S
n771℃、Mg−Bi821℃と著しく高くなり、切
粉分断性が低下する。そこで、MgをMg2Si化合物
のバランス組成(Mg/Si質量比=1.73)以下、
すなわちSi過剰サイドとし、上記のMg−Sn、Mg
−Bi、Mg−Sn−Bi等の化合物を形成し難くす
る。これにより、Sn、BiはSn−Bi化合物を形成
し易くなり、本来の低融点元素としての効果を発揮す
る。さらに好ましくは、Si過剰量が0.1mass%
以上、すなわち、Si mass%−(Mg mass%
/1.73)≧0.1mass%を満たす場合であり、
切削性はより向上する。なお、ここでのmass%は合
金中の各成分の含有量である。 【0007】なお、本合金は、Fe1.0mass%以
下、Ni1.0mass%以下のうちの1種または2種
を含んでも良いし、Cu0.1〜2.0mass%を含
んでも良いし、Cr0.02〜0.4mass%、Zr
0.02〜0.25mass%、Mn0.05〜1.4
mass%のうちの1種または2種以上を含んでも良い
し、Zn3.0mass%以下を含んでも良いし、Ti
1.5mass%以下を含んでも良い。その他の元素に
ついても、特に規定するものではない。 【0008】Fe、Ni添加は、化合物を形成し、切粉
分断性が向上する。多すぎると粗大化合物を形成し易
く、強度低下や靭性低下を招く。Cu添加は、強度が向
上するため、切粉分断性も向上する。少なすぎるとその
効果が小さく、多すぎると耐食性が低下する。Cr、Z
r、Mn添加は、再結晶粒を微細にし、強度向上、靭性
向上に効果がある。少なすぎるとその効果が不十分であ
り、多すぎると粗大化合物を形成し強度低下や靭性低下
を招く。Zn添加は、耐食性を向上させる。多すぎる
と、腐食減量が多くなり耐食性が劣化する。Ti添加
は、鋳造組織を微細化し、強度向上、靭性向上する。多
すぎると粗大化合物を形成し、強度低下、靭性低下を招
く。 【0009】なお、本合金では、製造条件や調質は特に
制限はない。通常の製造条件で、用途に合った調質を選
択すれば良い。例えば、熱間加工上がりのT1でも良い
し、溶体化・人工時効を施したT6でも良いし、溶体化
・冷間加工・人工時効を施したT8でも良い。なお、強
度が大きい方が切粉分断性は優れるため、溶体化後に冷
間加工や人工時効を施すT3、T8、T6、T9等の調
質が望ましい。 【0010】 【実施例】次に本発明を実施例に基づきさらに詳細に説
明する。表1に示す組成の合金を溶解し、直径220m
mの鋳塊を得た。この鋳塊に550℃で6時間の均質化
処理を施し、400℃での押出により直径12mmの押
出丸棒とした。次いで、530℃で2時間の溶体化の
後、直ちに水焼入れし、さらに180℃で8時間の人工
時効を施した。これらの丸棒を用いて、外削による切削
試験を行なった。切削条件は、回転数5000rpm、
切込み量2mm、送り量0.1mm/rev.である。
切粉分断性は、切粉100個当たりの質量で評価した。
評価水準は、Aは4g以下、Bは4gを越え8g以下、
Cは8gを越え30g以下、Dは30gより大とした。
表1から明らかなように、比較例試料11、12と従来
例の試料6061は鉛を含まず、切削性が劣る。従来例
の試料6262は鉛を含有し、切削性が優れる。これに
対し鉛を添加しない本発明の合金材試料1〜10は、従
来例であるPb添加材と同等以上の切粉分断性を有し、
Sn、Biの同時添加材で切粉分断性が特に優れる。 【0011】 【表1】 【0012】 【発明の効果】本発明合金は、Al−Mg−Si系合金
において鉛を添加しなくても、Sn、Biの1種以上を
添加し、Mg/Si比を質量比で1.73以下とするこ
とにより、Pb添加材と同等以上の切削性を有する。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 Mg0.2〜1.5mass%、Si
0.2〜2.0mass%を含有し、さらにSnもしく
はBiのいずれか1種以上の元素を総量で0.5〜2.
5mass%含み、残部がアルミニウムと不可避的不純
物とからなるAl−Mg−Si系合金であって、Mg/
Si比が質量比で1.73以下であることを特徴とする
アルミニウム合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001314398A JP2003119537A (ja) | 2001-10-11 | 2001-10-11 | 切削性に優れたアルミニウム合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001314398A JP2003119537A (ja) | 2001-10-11 | 2001-10-11 | 切削性に優れたアルミニウム合金 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003119537A true JP2003119537A (ja) | 2003-04-23 |
Family
ID=19132721
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001314398A Pending JP2003119537A (ja) | 2001-10-11 | 2001-10-11 | 切削性に優れたアルミニウム合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003119537A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008144213A (ja) * | 2006-12-08 | 2008-06-26 | Furukawa Sky Kk | Oh基を含むアルコール液に対する耐食性に優れた快削アルミニウム合金押出材 |
DE102010007664A1 (de) * | 2009-03-03 | 2010-09-09 | Dongyang Gangchul Co., Ltd. | Al-Si-Mg-Legierung und Verfahren zur Herstellung derselben |
WO2015144303A3 (fr) * | 2014-03-24 | 2016-06-02 | Constellium Extrusion Decin S.R.O. | Produit filé en alliage 6xxx apte au décolletage et présentant une faible rugosité après anodisation |
JP7323668B1 (ja) | 2022-03-29 | 2023-08-08 | 株式会社Uacj | 切削加工用アルミニウム合金押出材、ブレージングシート屑のリサイクル方法、及びアルミニウム合金押出材の製造方法 |
-
2001
- 2001-10-11 JP JP2001314398A patent/JP2003119537A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008144213A (ja) * | 2006-12-08 | 2008-06-26 | Furukawa Sky Kk | Oh基を含むアルコール液に対する耐食性に優れた快削アルミニウム合金押出材 |
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WO2015144303A3 (fr) * | 2014-03-24 | 2016-06-02 | Constellium Extrusion Decin S.R.O. | Produit filé en alliage 6xxx apte au décolletage et présentant une faible rugosité après anodisation |
JP7323668B1 (ja) | 2022-03-29 | 2023-08-08 | 株式会社Uacj | 切削加工用アルミニウム合金押出材、ブレージングシート屑のリサイクル方法、及びアルミニウム合金押出材の製造方法 |
JP2023146389A (ja) * | 2022-03-29 | 2023-10-12 | 株式会社Uacj | 切削加工用アルミニウム合金押出材、ブレージングシート屑のリサイクル方法、及びアルミニウム合金押出材の製造方法 |
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