JP2003117413A - 合成樹脂の破砕装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】熱硬化性樹脂には硬い素材を含むものがある。
切断や剪断を利用した破砕装置ではカッターの刃の磨耗
が激しく、破砕装置の耐久性に問題があった。 【解決手段】互いに平行な駆動軸２及び受動軸３にそれ
ぞれ取付けられ、駆動軸２及び受動軸３を中心としてそ
れぞれ逆方向に回転可能な駆動歯車４及び受動歯車５
と、駆動歯車４を回転させる駆動手段と、駆動軸２と受
動軸３間の距離を可変する軸間距離可変手段とを備え、
互いに噛み合った駆動歯車４と受動歯車５の間に投入さ
れた被破砕材料を破砕する。そのままでは通過できない
ような厚みの被破砕材料の破片を噛み込んだときは、一
時的に駆動歯車４と受動歯車５の軸間距離Ｄを開く。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、合成樹脂の成形時
に発生するランナーやカルなどの廃プラスチックを破砕
する破砕装置に係り、特に熱硬化性樹脂の破砕に適した
破砕装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】不要となった熱可塑性樹脂は資源として
再利用可能である。そこで、このような熱可塑性樹脂か
らなる廃プラスチックを再利用し易くするために細かく
破砕する破砕装置が用いられている。熱可塑性樹脂は比
較的柔らかいので、従来の破砕装置は切断や剪断動作に
よって廃プラスチックを破砕するものが一般的である。
一方、熱硬化性樹脂の廃プラスチックは再利用できず廃
棄処分されている。しかし、合成樹脂の成形時に発生し
たランナーなどの廃プラスチックをそのままの形で廃棄
したのでは体積が大きくなってしまう問題がある。この
ような熱硬化性樹脂も破砕装置で細かくして体積を圧縮
してから廃棄することが望ましい。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、熱硬化性樹
脂の中にはガラス繊維やシリカ等の硬い素材を含むもの
がある。このような熱硬化性樹脂の破砕に従来のような
切断や剪断を利用した破砕装置を用いると、カッターの
刃の磨耗が激しく破砕装置の寿命が短くなる問題があっ
た。本発明は、硬い熱硬化性樹脂でも効率よく破砕可能
な合成樹脂の破砕装置を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は切断や剪断動作
ではなく、折り曲げ動作によって合成樹脂を破砕するこ
とにより、従来の問題を解消したものである。すなわち
本発明による合成樹脂の破砕装置は、互いに平行な駆動
軸及び受動軸にそれぞれ取付けられ、駆動軸及び受動軸
を中心としてそれぞれ逆方向に回転可能な駆動歯車及び
受動歯車と、駆動歯車を回転させる駆動手段と、駆動軸
と受動軸間の距離を可変する軸間距離可変手段とを備
え、互いに噛み合った駆動歯車と受動歯車の間に投入さ
れた被破砕材料を破砕するとともに、駆動歯車と受動歯
車の間をそのままでは通過できないような厚みの被破砕
材料の破片を噛み込んだときは、一時的に駆動歯車と受
動歯車の軸間距離が開くようにした構成を特徴とする。

【０００５】

【実施例】図２は本発明による破砕装置の一実施例を示
す平面図であり、図３はその一部を簡略化して示す正面
図、図１は歯車部分のみを拡大して正面から見た模式図
である。厚い金属板からなるベース１には、互いに平行
な駆動軸２及び受動軸３を回転自在に取付けてある。

【０００６】駆動軸２には軸方向に長い複数の歯を持っ
た駆動歯車４を取付け、駆動歯車４と同様な受動歯車５
を受動軸３に取付けてある。駆動歯車４は駆動軸２を介
しモーター６によって図１で反時計方向に回転される。
そのとき受動歯車５は噛み合った駆動歯車４に駆動され
て、駆動歯車４とは逆に時計方向に回転する。

【０００７】図１に示すように、ベース１に設けた軸受
孔７を長円形にすることにより、受動軸３は駆動軸２と
の平行状態を維持したまま一定の範囲を移動できるよう
にしてある。受動軸３の移動に伴って駆動軸２との間の
軸間距離Ｄが変化し、受動軸３は駆動軸２に近づいたり
離れたりする。

【０００８】図３に示すように、ベース１には軸９を支
点として回動可能なレバー８が取付けてある。レバー８
は、その自由端部で受動軸３を回転可能に保持してい
る。レバー８は、保持した受動軸３が駆動軸２に近づく
方向にスプリング10で付勢されており、ベース１に固定
されたストッパー11に突き当たって停止している。

【０００９】通常、受動軸３は可動範囲内の最も駆動軸
２に近い位置にスプリング10で保持されている。しかし
レバー８は、受動軸３に図で左方への力が作用したとき
左に回動し、この作用力が無くなるとスプリング10の弾
性で戻されてストッパー11に衝突する。ストッパー11
は、この際の衝撃を吸収できるようにゴムや軟質プラス
チック等の弾性材で構成するのが望ましい。レバー８及
びストッパー11は、受動歯車５を隔てた両側の位置に設
けられている。

【００１０】このように構成した破砕装置において、図
１のように回転した駆動歯車４と受動歯車５の間に被破
砕材料を投入すると、互いに噛み合って回転する駆動歯
車４と受動歯車５によって折り曲げるような力が働いて
被破砕材料は細かく破砕される。また、駆動歯車４と受
動歯車５の間をそのままでは通過できないような厚みの
被破砕材料破片を噛み込んだときには、図４に示すよう
にスプリング10に抗して受動歯車５が左方に動き、軸間
距離Ｄ（図１）が一時的に開いて、この破片を通過させ
る。したがって、このようなときでも動作が停止するよ
うなことがなく、連続運転が可能である。

【００１１】二つの歯車を噛み合わせる場合には出来る
だけ深く噛み合わせるのが普通である。しかし本発明の
破砕装置においては、受動歯車５が図で右端にあるとき
でも被破砕材料の破片が通過できるように、二つの歯車
を浅く噛み合わせて用いている。図１に示すように、駆
動歯車４と受動歯車５が最も近づいたときの、受動歯車
５の底部から駆動歯車４の歯先までの隙間Ａを歯高Ｃの
１／５から４／５の範囲の寸法とし、バックラッシュ
（二つの歯車間の遊び）Ｂを大きくとったときに良い破
砕結果が得られた。

【００１２】

【発明の効果】本発明によれば、切断や剪断動作ではな
く、折り曲げ動作によって合成樹脂が破砕されるので、
硬い素材を含む熱硬化性樹脂であっても効率よく破砕で
き、耐久性に優れた破砕装置が得られる。小型で安価に
作れるので成形機１台ごとに取付け、成形時に発生した
廃プラスチックを自動的に細かく破砕して排出するよう
に構成することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明における歯車部分のみを拡大して示す
正面図

【図２】 本発明による破砕装置の一実施例を示す平面
図

【図３】 同、破砕装置の一部を簡略化して示す正面図

【図４】 同、破砕装置の受動軸が移動した状態を示す
正面図

【符号の説明】

２ 駆動軸 ３ 受動軸 ４ 駆動歯車 ５ 受動歯車

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 互いに平行な駆動軸及び受動軸にそれぞ
   れ取付けられ該駆動軸及び受動軸を中心としてそれぞれ
   逆方向に回転可能な駆動歯車及び受動歯車と、駆動歯車
   を回転させる駆動手段と、駆動軸と受動軸間の距離を可
   変する軸間距離可変手段とを備え、互いに噛み合った駆
   動歯車と受動歯車の間に投入された被破砕材料を破砕す
   るとともに、駆動歯車と受動歯車の間をそのままでは通
   過できないような厚みの被破砕材料の破片を噛み込んだ
   ときは、一時的に駆動歯車と受動歯車の軸間距離が開く
   ようにしたことを特徴とする合成樹脂の破砕装置。
2. 【請求項２】 軸間距離可変手段が、支点を中心に揺動
   自在で自由端側に受動軸を支持したレバーと、受動軸が
   駆動軸に近づく方向に該レバーを付勢するスプリングと
   からなる請求項１の合成樹脂の破砕装置。
3. 【請求項３】 噛み合った駆動歯車と受動歯車が最も近
   づいたときの、一方の歯車の底部から他方の歯車の歯先
   までの隙間（Ａ）を歯高（Ｃ）の１／５から４／５の範
   囲の寸法とした請求項１の合成樹脂の破砕装置。