JP2003115217A - 誘電体磁器 - Google Patents
誘電体磁器Info
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Abstract
同時焼結が可能であり、機械的強度に優れ、且つ、GH
z帯において優れた誘電特性を得ることができる誘電体
磁器を提供する。 【解決手段】 Siを20〜30質量%、Bを5〜30
質量%、Alを20〜30質量%、Caを10〜20質
量%、Znを10〜20質量%、Li、K及びNaのう
ちの少なくとも1種のアルカリ金属を0.2〜5質量%
含有する混合粉末を調合し、この混合粉末を溶融させた
後、急冷してガラスフリットを得る。その後、ガラスフ
リットを粉末状にし、無機フィラー粉末であるガーナイ
トフィラーとチタニアフィラーとを混合する。次いで、
バインダ等を投入してスラリー状にした後、成形し、1
000℃以下の温度で焼成して得る。
Description
る。更に詳しくは、低温焼結性及び機械的強度に優れ、
且つ、GHz帯において優れた誘電特性を有する誘電体
磁器に関する。本発明の誘電体磁器は電子部品として広
く利用される。特に、電子部品及び電子部品を実装する
配線基板、なかでも、多層に形成される多層配線基板等
として好適であり、更には、GHz帯で使用される高周
波用途の電子部品やそのパーケージ及び多層配線基板等
として好適である。
を実装する配線基板等として誘電体磁器が使用されてい
る。このような用途で用いられる誘電体磁器には、10
00℃以下という低温において焼結できること、及び、
機械的強度が大きいこと等が必要とされる。これまで、
このような要求を充足できる誘電体磁器として主にガラ
ス(軟化点が500〜800℃程度であり、アルミノ硼
珪酸をベースとして酸化鉛、アルカリ土類金属酸化物、
アルカリ金属酸化物及び酸化亜鉛等を含有するガラス
粉)と無機フィラー(アルミナ、ムライト、コーディエ
ライト、チタン、ジルコン、フォルステライト、ジルコ
ニア及び石英等)とから得られるものが用いられてき
た。
0914号公報、特開昭60−235744号公報、特
開昭63−239892号公報、特開平3−33026
号公報、特開平7−135379号公報及び特開平9−
208258号公報等に開示されている。これらの誘電
体の誘電損失は1MHzにおいて6×10−4〜20×
10−4程度である。
えているGHz帯における誘電損失が小さいことが特に
求められている。このため、Ag系金属及びCu系金属
等の低抵抗導体と1000℃以下で同時焼成することが
でき、機械的強度が高く、且つ、得られた焼結体におい
て反りが少ない(反りが少ないことで、寸法安定性がよ
くなりGHz帯域での使用においても伝送損失を抑える
ことができる)誘電体磁器が必要とされている。
びGHz帯における優れた誘電特性を同時に達成するこ
とは困難であった。本発明は、上記課題を解決するもの
であり、Ag系金属及びCu系金属等の低抵抗導体と同
時焼結が可能であり、機械的強度に優れ、且つ、GHz
帯において優れた誘電特性を発揮する誘電体磁器を提供
することを目的とする。
無機フィラーとガラスとを含有し、該無機フィラーと該
ガラスとの合計を100質量%とした場合に、該無機フ
ィラーを20〜60質量%、該ガラスを40〜80質量
%含有し、該ガラスは、該ガラス全体を100質量%と
した場合に、各々酸化物換算で、Siを20〜30質量
%、Bを5〜30質量%、Alを20〜30質量%、C
aを10〜20質量%、Znを10〜20質量%、L
i、Na及びKのうちの少なくとも1種のアルカリ金属
を合計で0.2〜5質量%含有することを特徴とする。
また、上記無機フィラーは、ガーナイトフィラー(ガー
ナイトからなるフィラー)及びチタニアフィラー(チタ
ニアからなるフィラー)とすることができる。更に、3
GHzにおける誘電損失を50×10−4以下とするこ
とができる。更に、3GHzにおける比誘電率を6〜1
3とすることができる。また、25〜400℃における
熱膨張係数を5〜10ppm/℃とすることができる。
更に、抗折強度を185MPa以上とすることができ
る。
属及びCu系金属等の低抵抗導体と同時焼結が可能であ
り、機械的強度に優れ、且つ、GHz帯において優れた
誘電特性を得ることができる。
上記「無機フィラー」は、その種類及び含有量等によ
り、誘電体磁器の誘電特性及び機械的特性を変化させる
ことができるものである。無機フィラーを構成する材質
としては、例えば、ガーナイト、チタニア、アルミナ、
チタン酸塩(チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウ
ム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等)、
ムライト、ジルコニア、石英、コーディエライト、フォ
ルステライト、ワラストナイト、アノーサイト、エンス
タタイト、ジオプサイト、アーケルマナイト、ゲーレナ
イト及びスピネル等を挙げることができる。これらのう
ち、高周波帯域(特にGHz帯域)における比誘電率
(以下、単に「εr」という)を大きくすることができ
るためガーナイト、チタニア、チタン酸塩、アルミナが
好ましい。また、機械的強度を向上させることができる
ためガーナイト、チタニア、ジルコニア、アルミナが好
ましい。これらは1種のみであっても、2種以上であっ
てもよい。
び機械的強度等)を調整するために2種以上を組合せて
用いることができる。例えば、誘電特性のうち高周波帯
域(特にGHz帯域)における共振周波数の温度依存性
(以下、単に「τf」という)を低く抑える(τfの絶
対値を小さく抑える)ために、τfが負の値になる無機
フィラーと正の値になる無機フィラーとを組み合わせて
用いることができる。この組合せとしては、ガーナイト
とチタニア、ガーナイトとチタン酸塩、アルミナとチタ
ン酸塩、ガーナイトとアルミナとチタン酸塩等を挙げる
ことができる。なかでも、ガーナイトフィラーとチタニ
アフィラーとの組合せは、十分な機械的強度を発揮させ
且つ焼成による反りを防止しつつ、高周波帯域(GHz
帯域)における大きなεr及び絶対値の小さいτfを得
ることができる。
の合計を100質量%とした場合に20〜60質量%
(より好ましくは30〜60質量%、更に好ましくは4
0〜55質量%)が含有される。20質量%未満である
と、ガラスが融出し焼成治具と反応する場合があり、ま
た、十分な抗折強度が得られ難い場合もあり好ましくな
い。一方、60質量%を超えると1000℃以下での焼
結が困難となる場合があり、低抵抗導体との同時焼成が
達成できなくなる場合がある。
ラーとが併用される場合、無機フィラー全体に占めるガ
ーナイトフィラーとチタニアフィラーとの合計量は50
質量%以上(より好ましくは80質量%、更に好ましく
は90質量%、100質量%であってもよい)とするこ
とが好ましい。50質量%未満であるとガーナイトフィ
ラーとチタニアフィラーとを含有する効果が十分に発揮
され難い傾向にある。更に、ガーナイトフィラーの含有
量mG(質量換算)に対するチタニアフィラーの含有量
mT(質量換算)の比であるmT/mGは0.1〜1.
5であることが好ましく、0.4〜1.0であることが
より好ましく、0.6〜0.9であることが更に好まし
い。0.1未満であるとτfの絶対値を小さく抑える効
果が得られ難くなる傾向にある。
ず、例えば、粒子状、鱗片状、繊維状(特にウィスカ)
等種々の形状とすることができるが、通常、粒子状であ
る。更に、その大きさも特に限定されないが、通常、そ
の大きさは1〜10μm(粒子形状の場合には平均粒
径)とすることが好ましい。10μmを超えて大きいと
誘電体磁器の組織が過度に粗くなる傾向にある。また、
1μm未満であっても誘電体磁器の特性に影響はない
が、製造に困難を伴う場合がある。尚、無機フィラー
は、通常、誘電体磁器の製造時に無機フィラー粉末等と
して添加された形状及び大きさのままで誘電体磁器中に
存在する。しかし、製造時にガラス粉末等として添加さ
れ、焼成により結晶質成分(アノーサイト、スピネル及
びガーナイト等)として析出したものも含む。
により、焼成温度及び誘電特性を変化させることができ
る成分である。このガラスは、無機フィラーとガラスと
の合計を100質量%とした場合に40〜80質量%
(より好ましくは40〜70質量%、更に好ましくは5
0〜60質量%)である。このガラスが40質量%未満
であると、焼成温度を1000℃以下とすることが困難
となり好ましくなく、80質量%を超えると、機械的強
度が低下し、高周波域における誘電特性も十分なもので
なくなる傾向にある。特にεrが小さくなるため好まし
くない。このガラスは、少なくともSi元素、B元素、
Al元素、Ca元素及びZn元素と、Li元素、Na元
素及びK元素のうちの少なくとも1種のアルカリ金属元
素(以下、単に「X」として表す)とを含有する。これ
らがガラス内でどのような化合物として含有されるかは
特に限定されない。
i、B、Al、Ca及びZn及びXの各々がガラス中で
どのような化合物として存在しているかに関係なく、S
iはSiO2として、BはB2O3として、AlはAl
2O3として、CaはCaOとして、ZnはZnOとし
て、XはX2Oとして各々換算するものとする。
合に、これらの各元素の各々の含有量は、Siは酸化物
換算で20〜30質量%(より好ましくは20〜27質
量%、更に好ましくは21〜25質量%)である。Si
の含有量が20質量%未満であると、ガラスの軟化温度
が低くなり過ぎ、低抵抗導体との同時焼結性が十分でな
くなり反りを生じる場合があるため好ましくなく、ま
た、εrが過度に大きくなる場合があるため好ましくな
い。一方、30質量%を超えると、εrは適度な値とす
ることができるが、焼結に要する温度が高くなるため、
このままでは低抵抗配線との同時焼結が困難となる場合
がある。これに対して、ガラス成分の配合割合を増加さ
せて焼結させることができるが、こんどは誘電損失が過
度に増加する傾向にあるため好ましくない。
Bの含有量が5質量%未満であると、焼結できる温度が
高くなり過ぎ、低抵抗導体との同時焼結性が十分でなく
なり反りを生じることが多くなるため好ましくない。一
方、30質量%を超えると、ガラスの軟化温度が低くな
り過ぎ、低抵抗導体との同時焼結性が十分でなくなり反
りを生じる場合がある。また、誘電体磁器中におけるガ
ラスの化学的安定性が低下し、耐薬品性が十分に得られ
なくなる場合があるため好ましくない。
ことにより、製造時に焼成温度を750〜950℃の範
囲で幅広く調整できるものとなる。また、15〜30質
量%とすることにより、上記に加えて、低抵抗導体との
同時焼結性が特に良好となり、反りの発生を特に効果的
に防止できるものとなる。更に、20〜30質量%とす
ることにより、上記に加えて、誘電体磁器の耐薬品性が
特に高くなり、例えば、多層配線基板の製造時のメッキ
工程において、誘電体磁器の溶解及び侵食を効果的に防
止できるものとなる。
30質量%(より好ましくは21〜29質量%、更に好
ましくは22〜26質量%)である。Alの含有量が2
0質量%未満であると、誘電体の機械的強度が十分に得
られなくなり、特に10質量%未満ではガラスの安定性
が損なわれる傾向にあり好ましくない。一方、30質量
%を超えると、焼結できる温度が高くなり過ぎて好まし
くない。
20質量%(より好ましくは12〜20質量%、更に好
ましくは15〜18質量%)である。Caの含有量が1
0質量%未満であると、ガラスの溶融性が十分に向上し
ないことがあるため好ましくない。一方、20質量%を
超えると、熱膨張係数が大きくなり過ぎる場合があり好
ましくない。
20質量%(より好ましくは10〜18質量%、更に好
ましくは11〜16質量%)である。Znの含有量が1
0質量%未満であると、低抵抗導体との同時焼結性が十
分でなくなり反りを生じるため好ましくない。一方、2
0質量%を超えると、誘電体磁器の耐薬品性が十分に得
られなくなる場合があるため好ましくない。
5質量%である。Xの含有量が0.2質量%未満である
と、ガラスのガラス転移点が高くなりすぎる場合があ
り、焼結性を阻害する恐れを生じるため好ましくない。
一方、5質量%を超えるとガラスのガラス転移点が過度
に低くなる場合があり、ガラスのみが過焼結となるため
好ましくない。
くもいずれかにより、上記範囲となっていればよい。し
かし、多層配線基板等に低抵抗導体としてAg系金属を
用いる場合、Liは含有しないことが好ましい。これに
より、Agのマイグレーションの発生を極めて効果的に
抑制することができる。
る好ましい含有量は、各々の組み合わせとすることがで
きる。即ち、例えば、Siの含有量が20〜27質量%
であり、Bの含有量が10〜30質量%であり、Alの
含有量が21〜29質量%であり、Caの含有量が12
〜20質量%であり、Znの含有量が10〜18質量%
であり、且つ、Xの含有量が0.2〜5質量%であるも
のとすることができる。更に、Siの含有量が21〜2
5質量%であり、Bの含有量が15〜30質量%であ
り、Alの含有量が22〜26質量%であり、Caの含
有量が15〜18質量%であり、Znの含有量が11〜
16質量%であり、且つ、Xの含有量は0.2〜5質量
%であるものとすることができる。
Hz(特に3〜10GHz)における誘電損失を50×
10−4以下(更には40×10−4以下、特に35×
10 −4以下、通常20×10−4以上)とすることが
できる。一般に、誘電損失は使用周波数が高くなるに従
い大きくなるが、本発明の誘電体磁器においてはGHz
帯における誘電損失を上記のように小さく抑えることが
できる。この誘電損失はガラスの組成だけでなく、無機
フィラーによっても変化させることができる。このた
め、製造時に添加する無機フィラーの組成及び量、並び
に焼成温度等の焼成条件により調整することができる。
z)におけるεrを6〜13(更には7〜13、特に9
〜13)とすることができる。一般に、εrは、使用周
波数が高くなるに従い低くなる。このεrが小さくなり
すぎると、GHz帯域で使用するためにはそれだけ大き
な誘電体磁器を得る必要があるため、小型化を図ること
が困難となる。従って、GHz帯域での使用を考えると
εrが大きいことが好ましい。これにより、GHz帯域
で使用する場合にも各種の電子部品等を小型化すること
ができる。
z)におけるτf(温度範囲:25〜80℃)を−20
〜10ppm/℃(更には−10〜10ppm/℃、特
に−10〜5ppm/℃)とすることができる。一般
に、共振周波数の温度係数は、使用周波数が高くなるに
つれて絶対値が負側に大きくなる。絶対値が負側に大き
いとパッケージ基板として使用する場合にバンドパスフ
ィルターを内蔵することが困難となり、電気的な信頼性
が低下することとなる。従って、GHz帯域での使用を
考えるとτfの絶対値が小さいことが好ましい。これに
より、GHz帯域で使用する場合にも各種の電子部品等
を安定して作動させることができる。
場合の熱膨張係数を5〜10ppm/℃とすることがで
きる。一般に、近年使用されているプリント配線基板の
熱膨張係数は13〜14ppm/℃程度であり、また、
IC等の半導体部品の熱膨張係数は3〜4ppm/℃程
度である。従って、誘電体磁器を多層配線基板等として
使用する場合には、これらプリント配線板の熱膨張係数
と半導体部品の熱膨張係数との両方により近い熱膨張係
数を有することが必要であり、本発明の誘電体磁器はこ
れを満足するものである。
は180MPa以上、特に190MPa以上)とするこ
とができる。抗折強度が160MPa以上であれば、本
発明の誘電体磁器から得られる多層配線基板や電子部品
等の製品を落下させた場合にも、その衝撃による破損を
抑えることができる。更に、GHz帯域で使用される多
層配線基板や電子部品等には、電磁シールドのためにシ
ールリング等の金具がロー付けされることがあるが、こ
のロー付け工程に課される熱応力による破損を抑えるこ
とができる。
(特に3〜10GHz)における誘電損失が50×10
−4以下であり、εrが6〜13であり、τfが−20
〜10ppm/℃であり、25〜400℃における熱膨
張係数が5〜10ppm/℃であり、且つ、抗折強度が
160MPa以上である誘電体磁器を得ることができ
る。更に、1〜15GHz(特に3〜10GHz)にお
ける誘電損失が40×10−4以下であり、εrが7〜
13であり、τfが−10〜10ppm/℃であり、2
5〜400℃における熱膨張係数が5〜10ppm/℃
であり、且つ、抗折強度が185MPa以上である誘電
体磁器を得ることができる。
ラーとチタニアフィラーとの両方が含有される場合に
は、3〜10GHzにおけるεrが9〜13であり、τ
fが−15〜0ppm/℃であり、且つ、抗折強度が1
80MPa以上である誘電体磁器を得ることができる。
更に、ガーナイトフィラーとチタニアフィラーとの両方
を含有し、且つこれら無機フィラーとガラスとの合計を
100質量%とした場合に、無機フィラーを30〜60
質量%となるように含有する場合には、3〜10GHz
におけるεrが10〜13であり、τfが−15〜0p
pm/℃であり、且つ、抗折強度が190MPa以上で
ある誘電体磁器を得ることができる。
ラーとの両方を含有し、これら無機フィラーとガラスと
の合計を100質量%とした場合に、無機フィラーを3
0〜60質量%となるように含有し、且つ、mT/mG
が0.6以上となるように含有する場合には、3〜10
GHzにおけるεrが10〜13であり、τfが−3〜
0ppm/℃であり、且つ、抗折強度が190MPa以
上である誘電体磁器を得ることができる。尚、本発明に
おける誘電損失、εr、τf、熱膨張係数及び抗折強度
は、いずれも後述する実施例における測定方法と同様な
方法によるものである。
されないが、例えば、以下の方法により得ることができ
る。即ち、無機フィラー粉末と、ガラス粉末全体を10
0質量%とした場合に、各々酸化物換算で、Siを20
〜30質量%、Bを5〜30質量%、Alを20〜30
質量%、Caを10〜20質量%、Znを10〜20質
量%、Li、Na及びKのうちの少なくとも1種のアル
カリ金属を合計で0.2〜5質量%含有するガラス粉末
とを、該無機フィラー粉末と該ガラス粉末との合計量を
100質量%とした場合に、該無機フィラー粉末が20
〜60質量%であり、該ガラス粉末が40〜80質量%
となるように配合して得られた誘電体磁器用組成物を、
温度1000℃以下で焼成する。
末としては、前記無機フィラーの粉末を適用できる他、
焼成により前記無機フィラーとなるチタン、アルミニウ
ム及びジルコニウム等の各粉末を挙げることができる。
これらのうち1種のみを用いてもよく、2種以上を併用
してもよい。また、無機フィラー粉末の粒径は特に限定
さないが、通常、1〜10μmとすることが好ましい。
10μmを超えて大きいと得られる誘電体磁器の組織が
過度に粗くなり、1μm未満であると粉砕に要する時間
が長くなると共に、取り扱いも困難となる傾向にある。
尚、無機フィラー粉末は、配合した全量が誘電体磁器中
において無機フィラーとして存在する必要はなく、その
一部が誘電体磁器中のガラスに溶解することでガラスと
して存在していてもよい。
なるように調合された原料粉末を加熱溶融させた後、急
冷してフリットとし、このフリットを粉砕することで得
ることができる。ガラス粉末に含有される各元素の含有
量については前記誘電体磁器中に含有されるガラスの量
と同様な理由を有する。更に、ガラス粉末の粒径は特に
限定さないが、通常、1〜10μmとすることができ
る。10μmを超えて大きいと特にシート形状に成形す
る際に好ましくない影響を生じる場合があり、1μm未
満であると粉砕に要する時間が長くなると共に、取り扱
いも困難となる傾向にある。尚、ガラス粉末は、配合し
た全量が誘電体磁器中においてガラスとして存在する必
要はなく、その一部が誘電体磁器中で析出することによ
り無機フィラーとして存在していてもよい。
に限定されないが560〜670℃(より好ましくは5
70〜660℃、更に好ましくは570〜640℃)で
あることが好ましい。この範囲であれば、Ag系金属
(Ag単体、Ag/Pd合金、Ag/Pt合金、Ag/
Cu合金、Ag/Au合金等)やCu系金属(Cu単体
に少量の他元素を含有するもの等)などの低抵抗導体と
の同時焼結性を特に良好に保つことができ、更には、焼
結による反りを特に効果的に抑制することができる。更
に、ガラス粉末の屈服点Mgは特に限定されないが、T
gとの温度差が30〜45℃(より好ましくは30〜4
0℃、更に好ましくは30〜38℃)であることが好ま
しい。TgとMgとの温度差がこの範囲内であれば焼成
による収縮のバラツキを効果的に抑制することができ
る。従って、高い寸法精度で電子部品や配線基板の設計
を行うことができる。
ー粉末とガラス粉末との混合割合は、前記誘電体磁器と
同様な理由から無機フィラー粉末が30〜60質量%
(ガラス粉末は40〜70質量%)となるように混合す
ることが好ましい。更に、無機フィラー粉末が40〜6
0質量%(ガラス粉末は40〜60質量%)となるよう
に配合することがより好ましく、45〜55質量%(ガ
ラス粉末は45〜55質量%)となるように配合するこ
とが更に好ましい。
ー粉末とガラス粉末のみからなってもよく、これら以外
に、例えば、バインダ、溶剤、可塑剤及び分散剤等を含
有することもできる。この誘電体磁器用組成物の性状は
特に限定されず、例えば、粉末状、スラリー状及びペー
スト状等とすることができる。更に、この誘電体磁器用
組成物は、これらの粉末、スラリー及びペースト等を各
種成形法(粉末は圧粉、CIP、HIP等、スラリー及
びペーストはドクターブレード法、スクリーン印刷法、
プレス成形法等)を用いて成形した成形体であってもよ
い。
0℃以上、より好ましくは800〜990、更に好まし
くは850〜990℃、特に好ましくは900〜980
℃)で行えることが好ましい。1000℃を超える温度
においては、多くの低抵抗導体との同時焼結が困難とな
るため好ましくない。
する。 [1]ガーナイトフィラーを含有しない誘電体磁器 (1)ガラス粉末の調製 表1に示す割合で、SiO2粉末、B2O3粉末、Al
2O3粉末、CaO粉末、ZnO粉末、Na2CO3粉
末、K2CO3粉末等の他、MgO粉末、BaO粉末、
SrO粉末及びZrO粉末を混合して原料粉末を調合し
た。得られた原料粉末を加熱溶融させた後、水に投入し
て急冷すると共に水砕させてガラスフリットを得た。こ
のガラスフリットをボールミルにて更に粉砕して、平均
粒径3μmのガラス粉末10種(ガラスNo1〜10)
を得た。
す。
を、示差熱測定装置(株式会社リガク製、形式「THE
RMOFLEX TAS 300 TG810D」)に
より測定し、表2にTg、Mg及びMg−Tgの値を各
々示した。
す。
物)の製造 上記(2)までに得られたガラス粉末10種の各々と、
無機フィラー粉末であるアルミナ粉末とを、表1に示す
ように各々50質量%の割合となるように秤量し、ボー
ルミルにて混合して混合粉末を得た。得られた混合粉末
に、バインダ(アクリル樹脂)、可塑剤{ジブチルフタ
レート(DBP)}及び溶剤(トルエン)を添加し、混
練してスラリー10種を調合した。得られた各スラリー
をドクターブレード法により、焼成後の厚みが100μ
mになるようにシート状に成形して10種類のグリーン
シートを得た。
の製造及び誘電特性の測定 上記(3)で得られた10種類のグリーンシートを各々
所定形状に打ち抜いたシート片を10枚づつ熱圧着によ
り積層し、次いで、900℃において15分間焼成して
磁器を得た。得られた各磁器を縦50mm、横50m
m、厚さ0.635mmの板状に研磨加工して、第1測
定用磁器10種を得た。この第1測定用磁器を用い、誘
電体共振器摂動法により25℃、3GHzにおいて誘電
損失及びε rを測定した。その結果を表3に示した。
す。
用)の製造及び熱膨張係数の測定 上記(3)で得られた10種のグリーンシートを所定形
状に打ち抜いたシート片を20枚づつ熱圧着により積層
し、次いで、900℃において15分間焼成して磁器を
得た。得られた磁器を縦3mm、横3mm、高さ1.6
mmの柱状に研磨加工して、第2測定用磁器10種を得
た。この第2測定用磁器を用い、25℃から400℃ま
で昇温させた時の熱膨張係数を示差膨張式熱機械分析装
置(株式会社リガク社製、型式「TMA8140C」)
を用いて測定した。その結果を表3に併記した。
用)の製造及び同時焼結性の評価 上記(3)で得られた10種のグリーンシートの所定位
置にAgペーストをスクリーン印刷法により厚さ15μ
mで印刷した。更に、このAgペースト層上に別のグリ
ーンシートを熱圧着により積層した後、このグリーンシ
ート上にも同様にAgペーストを印刷し、更に同様な作
業を繰り返してグリーンシート5枚が積層され、各層間
にAgペーストが所定のパターン形状で印刷された未焼
成積層体を得た。この未焼成積層体を直径4cmの大き
さに打ち抜き、900℃で15分焼成して低抵抗導体が
配設された第3測定用磁器10種を得た。
面からの最高位置と最低位置(平面との接触位置)との
差を計測し、その差が50μm未満(実使用上問題のな
い程度の反り)又は反りを生じていない場合には「◎」
と示し、50μmを超えるものには「×」と各々表4に
示した。
す。
その切断面をEPMA(電子プローブ・マイクロアナラ
イザ)により分析した。その結果、Agの磁器内への拡
散が認められるもののうち、その拡散距離が5μm未満
のものは「◎」、拡散距離が5〜10μmのものは
「○」、拡散距離が10μmを超えるものは「×」と判
定し、表4に併記した。
の製造及び抗折強度の測定 上記(3)で得られたグリーンシートのうち、実験例
1、2及び4にあたるものを所定形状に打ち抜いたシー
ト片を10枚づつ熱圧着により積層し、次いで、900
℃において15分間焼成して磁器を得た。得られた磁器
を縦4mm、横3mm、長さ36mmの柱状に研磨加工
して、第4測定用磁器3種を得た。この第4測定用磁器
を用いJIS R 1601に従い、その抗折強度(3
点曲げ)を測定した。この結果を表4に併記した。
℃の低温において焼結することができ、ある程度の誘電
特性は発揮できる。しかし、ガラス粉末の熱特性が良好
でないために誘電体磁器に反りを生じたり、いずれかの
誘電特性が十分に得られないものや、焼成により低抵抗
導体の拡散を生じたり、抗折強度が十分に得られない場
合があるなど、各特性を十分にバランスよく備えるもの
が得られていない。これに対して、本発明品である実験
例1及び2ではいずれも温度900℃で低抵抗導体と同
時焼結でき、且つ、全ての誘電特性において良好な値
(誘電損失38〜40×10−4、εr7.2〜7.
4、抗折強度210〜260MPa)を示している。ま
た、低抵抗導体を構成する成分の拡散及び基板の反りが
認められず、十分に大きな抗折強度が得られていること
が分かる。更に、熱膨張係数も6.1〜6.2ppm/
℃であり配線基板として用いるに好適な特性を示してい
る。
体磁器 (1)第5測定用磁器(誘電体特性測定用)の製造及び
誘電特性の測定 ガラス粉末として上記[1](1)で得られたガラスN
o1、No2、No4、No6及びNo9を用い、無機
フィラー粉末としてガーナイト粉末、チタニア粉末及び
チタン酸カルシウム粉末を用い、表5に示す組合せ及び
割合で混合し、上記[1](3)と同様にしてグリーン
シートを得た。その後、上記[1](4)と同様に焼成
し、研磨加工を行い第5測定用磁器11種を得た。得ら
れた誘電体磁器のうち焼成時に発泡した実験例11、反
りを生じた実験例19〜21を除く7種について、上記
[1](4)と同様にして、3GHzにおける比誘電率
ε r、温度25〜80℃における共振周波数の温度係数
τfを測定した。その結果を表5に併記した。
す。
用)の製造及び同時焼結性の評価 上記[1](6)と同様にして反りを測定し、同じ評価
基準により表5に、「◎」又は「×」を示した。 (3)第7測定用磁器(抗折強度測定用)の製造及び抗
折強度の測定 上記[2](1)及び(2)において発泡及び反りを生
じなかった磁器を得ることができた上記[2](1)の
グリーンシートを用いた以外は、上記[1](7)と同
様にして第7測定用磁器7種を得た。その後、同様の測
定方法により抗折強度を測定し、表5に併記した。
の低温において焼結することができた。これに対して、
実験例11では、ガラスと無機フィラーとの割合が本発
明の範囲外であったために、焼成時に発泡し、誘電体磁
器として使用できないものであった。また、実験例19
〜21では反りを生じていた。また、ガラスだけの場合
のεrは、通常、6程度である。これに対して、無機フ
ィラーがガーナイトフィラーとチタニアフィラーとであ
る誘電体磁器(実験例12〜16及び18)のεrは
9.5〜10.7と大きくすることができた。更に、τ
fも−15〜1ppm/℃と絶対値の小さい値を得るこ
とができた。一方、無機フィラーがガーナイトフィラー
とチタン酸カルシウムフィラーとである誘電体磁器(実
験例17)でもεrは11.2と大きくすることがで
き、同時にτ fも7ppm/℃と絶対値の小さい値を得
ることができた。更に、無機フィラーがガーナイトフィ
ラーとチタン酸カルシウムフィラーである誘電体磁器で
は165MPaの抗折強度が得られた。また、特に、無
機フィラーがガーナイトフィラーとチタニアフィラーで
ある誘電体磁器では180〜220MPaの極めて優れ
た抗折強度が得られた。
に、ガーナイトフィラーとチタニアフィラーとを合計で
41〜47質量%含有し、更には、ガーナイトフィラー
(m G)とチタニアフィラー(mT)との比mT/mG
が0.71〜0.76である場合に、10.3〜10.
6の大きなεrを保持し、190〜192MPaの高い
抗折強度を保持しながら、τfは−3〜1ppm/℃と
非常に小さい値に抑えられることがわかる。
Claims (6)
- 【請求項1】 無機フィラーとガラスとを含有し、該無
機フィラーと該ガラスとの合計を100質量%とした場
合に、該無機フィラーを20〜60質量%、該ガラスを
40〜80質量%含有し、該ガラスは、該ガラス全体を
100質量%とした場合に、各々酸化物換算で、Siを
20〜30質量%、Bを5〜30質量%、Alを20〜
30質量%、Caを10〜20質量%、Znを10〜2
0質量%、Li、Na及びKのうちの少なくとも1種の
アルカリ金属を合計で0.2〜5質量%含有することを
特徴とする誘電体磁器。 - 【請求項2】上記無機フィラーは、ガーナイトフィラー
及びチタニアフィラーである請求項1記載の誘電体磁
器。 - 【請求項3】 3GHzにおける誘電損失が50×10
−4以下である請求項1又は2に記載の誘電体磁器。 - 【請求項4】 3GHzにおける比誘電率が6〜13で
ある請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の誘電
体磁器。 - 【請求項5】 25〜400℃における熱膨張係数が5
〜10ppm/℃である請求項1乃至4のうちのいずれ
か1項に記載の誘電体磁器。 - 【請求項6】 抗折強度が185MPa以上である請求
項1乃至5のうちのいずれか1項に記載の誘電体磁器。
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