JP2003113728A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
内燃機関の制御装置Info
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- Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
Abstract
とを低減できる内燃機関の制御装置を提供することを目
的とする。 【解決手段】 基準となる回転速度と回転速度とからト
ルク余裕を算出し、このトルク余裕に基づいて内燃機関
の燃焼空燃比をリーン化するリーン化制御手段を備える
内燃機関の制御装置において、このリーン化制御手段に
よる燃料噴射量の補正に対して、ドラビリ悪化を低減す
るための最終補正値に基づいて更に燃料噴射量を補正す
る。この最終補正値の設定は、回転速度変動量に基づい
て設定される補正値と、前回の最終補正値とのうち、ド
ラビリを抑制する補正値が選択される。これにより、ド
ラビリが悪化を考慮しつつ、空燃比のリーン化を実施す
ることができる。
Description
て、エンジン回転速度のラフネスに基づいて変動を検出
し、変動を抑制する制御に係る。
を理論空燃比よりもリーン限界付近の空燃比にて制御し
ようとする所謂リーンリミット制御という技術が知られ
ている。一般的に、理論空燃比での燃焼にて内燃機関を
制御する場合、燃焼が安定しているため回転速度に大き
な変動は生じない。
空燃比にて内燃機関を制御すると、リーンな燃焼では、
燃料噴射量が少ないことから、理論空燃比での燃焼に比
して燃焼が不安定になり易いことが知られている。この
ため従来のリーンリミット制御では、ドラビリが悪化す
る直前の回転速度のばらつきを限界値として、回転速度
変動がこの限界値を越えないように制御することでリー
ンな空燃比での制御を実施している。より具体的には、
所定のリーン空燃比に制御するために、燃焼が不安定に
なることを回転速度のばらつきから検出し、検出された
ばらつきに応じて燃料噴射量を補正して、目標の回転速
度のばらつきとなるように制御する。これにより、所定
の回転変動にて制御されるので、空燃比をリーン限界付
近に制御することができるという技術である。
ンリミット制御では、回転速度の変動量に応じた燃料噴
射量の補正値を設定しているため、回転速度変動が生じ
た際に回転速度変動を抑制しようとして、燃料噴射量の
補正量が大きくなる。そのため、燃料噴射量の補正値が
ハンチングしてしまい、回転速度変動を助長し、ドラビ
リが悪化する虞がある。そして、このようなドラビリが
悪化する問題は、リーンリミット制御のみならず、所定
のパラメータに対する補正を回転速度に基づいて実施す
る制御において生じる問題である。
する規制が厳しくなり、この規制に関する要求を満たす
ための技術が広く研究されている。このため、定常走行
時を含むあらゆる運転状態で、エミッションを低減する
ことがこの規制を満たすために重要なファクターとな
る。
ミッション低減などは、上記規制を満たす上で重要な技
術の一つである。冷間始動の従来技術においては、内燃
機関の冷始動時からの運転は、始動性と安定性とを目的
として燃料噴射量を増量補正している。しかしながら、
このように冷間始動時に、上述の燃料噴射量に対する増
量補正を行なってしまうと、内燃機関の空燃比は、理論
空燃比よりもリッチな空燃比で燃焼が行われてしまう。
量に含んだ排出ガスとなって、暖機前の触媒を通過する
ことになる。暖機前の触媒は浄化率が低下しているため
に、上述の増量補正によって燃料成分を多量に含んだ排
出ガスは触媒にて十分に浄化されることなく大気に排出
されることになり、エミッションが悪化する虞がある。
そこで、上述のような背景から、冷始動時のエミッショ
ン低減を目的とした技術が要求されている。
するためには、冷始動からの運転であっても制御する空
燃比を理論空燃比よりもリーンな空燃比に制御すること
が必要となる。そこで従来では、リーン燃焼によるトル
ク不足を考慮するため、基準回転速度(実施例では、参
照回転速度と記述する)と実回転速度との偏差に基づい
て燃料噴射量の減量補正を行うことで、空燃比をリーン
となるように制御していた。
のみを考慮しているためにリーンな燃焼によってドラビ
リが悪化してしまう虞がある。この場合、回転速度変動
に応じてフィードバック的に燃料噴射量を補正をするこ
とが考えられるが、回転速度変動に基づいて燃料噴射量
に対する補正を行った場合、回転変動量が大きくなると
燃料噴射量の補正量も大きくなることから、この燃料噴
射量の補正量が不安定になって回転速度変動を助長する
という上述と同様の課題が生じる虞がある。
のであり、ドラビリの悪化を低減することができる内燃
機関の制御装置を提供することを目的とする。
によれば、内燃機関の冷間始動からの運転中に、燃料噴
射量を減量補正し、内燃機関の空燃比を理論空燃比より
もリーンな空燃比に制御するためのリーン化補正値を設
定するリーン化補正手段と、回転速度変動検出手段によ
り検出される回転速度変動に基づいて、リーン化補正値
を補正するための最終補正値を演算する最終補正手段
と、最終補正手段により補正された最終補正値に基づい
て燃料噴射量を補正する燃料噴射量補正手段とを備える
内燃機関の制御装置において、前記最終補正手段は、前
記回転速度変動検出手段により検出される回転速度変動
に基づいて燃料噴射量を算出する第1の補正量算出手段
を、最終補正手段により設定された前回の最終補正値
と、第1の補正量算出手段により算出される第1の補正
値とのうち、前記回転速度変動を抑制するいずれか一方
の補正値を選択し、前記選択された補正値に基づいて前
記リーン化補正値を補正する。
値は、例えば、回転速度変動量が大きくなるほど、燃料
噴射量をリーン化するための補正から燃焼を安定させる
補正値へと変更される。また、回転速度変動量が小さく
なるほど、燃料噴射量を減量補正して、燃焼空燃比をリ
ーンにする。この補正のみでは、回転速度変動量のみに
基づいて燃料噴射量に対する補正量が設定されるため、
燃料噴射量がハンチングし、回転変動を助長する虞があ
る。
は、最終補正手段によって上述の不都合を解消するもの
である。この最終補正手段とは、回転速度変動量に基づ
く補正値と、前回の最終補正値とを比較して、回転速度
変動を抑制する補正量を選択し、選択された補正値に基
づいてリーン化補正値を補正するので、内燃機関の制御
において、リーン化制御を実施する際にドラビリの悪化
を抑制する制御を実施することができる。
くなると、燃料噴射量を減量してさらにリーン化するこ
とができるために、回転速度変動に基づく今回の補正値
は、前回の最終補正値より燃料噴射量を減量して更にリ
ーン化する補正値に設定される。このため、前回の最終
補正値より今回の補正値のほうが燃料噴射量を小さく補
正する値となり、回転速度変動を抑制する補正値として
前回の最終補正値が選択される。
転速度変動量に基づく今回の補正値は回転速度変動量を
抑制するために燃料噴射量を減量されるのを抑制するた
めに、前回の最終補正値よりも燃料噴射量が増量される
補正値が設定される。このため回転速度変動量を抑制す
るための補正値としては、回転速度変動量に基づく補正
値が選択される。
と、回転速度変動量に基づく補正値が最終補正値として
選択されて、この最終補正値に基づいてリーン化補正値
を補正する。そして、回転速度変動量が小さくなると、
前回の最終補正値が最終補正値として選択されて、この
最終補正値に基づいてリーン化補正値を補正する。故に
いずれの場合でも、回転速度変動量を抑制する補正値が
最終補正値として設定されるので、燃料噴射量のハンチ
ングを防止して、ドラビリの悪化を抑制する制御を実施
することができる。
は、燃焼空燃比をリーンにするため、燃焼トルクがリッ
チ燃焼に比して減少する。このため、請求項2の発明に
よれば、請求項1のリーン化補正値としては、回転速度
の基準値として設定される参照回転速度と回転速度検出
手段により検出される回転速度とに基づいて設定される
のが良い。
される内燃機関の実回転速度が参照回転数と比較される
ことによって、空燃比をリーン化するのに必要なトルク
余裕を考慮して、リーン化補正値を設定することができ
るので、トルク不足による回転速度の落ち込みを防止す
ることができる。
筒から構成される内燃機関の制御装置において、前記回
転速度変動検出手段は、前記複数の気筒の各気筒におけ
る回転角速度を求め、前記回転角速度のばらつきに基づ
いて変動を検出する手段である。
速度変動を検出する回転速度変動検出手段と、内燃機関
の制御に用いられる所定のパラメータと、この所定のパ
ラメータを最終補正値に基づいて補正する最終補正手段
と、この最終補正手段により補正された所定のパラメー
タに基づいて内燃機関の制御を行う内燃機関の制御装置
において、回転速度変動検出手段により検出される回転
速度変動に基づいて所定のパラメータを補正するための
補正値を設定する補正値設定手段を備え、最終補正手段
は、第2の補正値設定手段により設定される補正値と、
この最終補正手段により設定される最終補正値の前回値
とのうち、回転速度変動を抑制するいずれかの補正値を
選択し、選択された補正値に基づいて最終補正値を設定
する。
度変動を抑制する補正値が選択されるので、燃料噴射量
を補正する補正値がハンチングすることが防止され、ド
ラビリ悪化を抑制した制御を実施することができる。
暖機制御が実施され、点火時期遅角制御が行われるとき
には、点火時期の遅角によって燃焼安定性が悪化し、回
転速度変動が発生する。すなわち、このような場合に
は、請求項5の発明のように、請求項4の所定のパラメ
ータとして、目標点火時期を設定すると良い。
いては、例えば、吸気バルブの開タイミングを進角する
と、燃焼ガスが気筒内に残留するので、燃焼が悪化す
る。この燃焼の悪化は、回転速度変動を引き起こすため
に、請求項6の発明のように、請求項4の所定パラメー
タとして、可変バルブ機構の吸気バルブおよび/または
排気バルブの目標開タイミングであっても良い。
いては、触媒を積極的に昇温させるために、点火時期を
遅角して制御している。点火時期を遅角することで、燃
焼速度を緩慢にすることができる。燃焼速度が緩慢にな
ると、燃焼行程から排気行程に移行しても、燃焼が行わ
れる。すなわち、排気通路中で燃焼が行われることとな
る。この排気通路中で行われる燃焼の燃焼熱を利用する
ことによって、触媒を早期に昇温させることが可能とな
る。
始動時の空燃比をリーンな燃焼によって制御している
と、次のような不都合を生じる可能性が挙げられる。例
えば、図15の実線にて示すように、リーン燃焼の目標
空燃比を所定A/F値とした場合は、燃焼空燃比がリー
ン側になると回転速度変動が大きくなる。これに対し
て、図中の点線、一点鎖線にて示すように点火時期が進
角側になると、この回転速度変動が大きくなる空燃比
が、実線に比してよりリーン側に移行する。このため、
触媒早期暖機のための点火時期遅角が、触媒早期暖機終
了等により、通常の点火時期に設定されると、燃焼は、
点火時期が遅角側で制御されている場合よりも、進角側
で制御されている燃焼のほうが安定するために、回転速
度変動が小さくなる。
F値に制御する場合は、冷始動時なので、空燃比センサ
等の空燃比を検出する手段がない場合には、回転変動量
に基づいて、燃料噴射補正量を演算する。ところが、上
述のように、触媒早期暖機終了等から、回転速度変動が
小さくなってしまうと、回転速度変動量に基づいて設定
される補正量が、さらに、リーンな空燃比での燃焼を実
施する補正量に設定されるため、目標リーン空燃比の所
定A/F値を越えて、さらにリーンな空燃比での燃焼が
行われてしまう虞がある。
転時に点火時期が変更されても安定して目標リーン空燃
比に制御することができる内燃機関の制御装置を提供す
ること目的とし、請求項7の発明のように、内燃機関の
回転速度変動量に影響を与えるパラメータと、リーンな
空燃比での燃焼を実施するための基本燃料噴射量を設定
する基本燃料設定手段と、内燃機関の回転速度変動量を
検出する回転速度変動量検出手段と、前記回転速度変動
量検出手段により検出される内燃機関の回転速度変動量
に基づいて、前記基本噴射量設定手段により設定される
前記基本燃料噴射量を補正するラフネス補正手段とを備
え、前記回転速度変動量に影響を与えるパラメータの値
に基づいて前記回転速度変動量検出手段により検出され
る内燃機関の回転速度変動量を補正する。
るパラメータにより、回転速度変動量が変更されても、
回転変動量を補正するので、回転変動量に基づいて基本
噴射量を補正する場合でも、目標リーン空燃比が更にリ
ーンな空燃比になることが防止される。
メータとしては、請求項8の発明のように、内燃機関の
冷始動運転時に触媒早期暖機のために点火時期と、内燃
機関の回転速度と、内燃機関に供給される吸入空気量と
のうち、少なくとも1つ以上の値に該当する。
制御が実施されている運転状態で、かつ、リーン化制御
として、例えば、目標空燃比が所定A/F値となるよう
な制御が実施されている場合において、触媒早期暖機制
御が終了した等により点火時期が進角され、回転変動量
が小さくなっても回転変動量を補正するので、回転変動
量に基づいて設定されるラフネス補正値が、常に所定A
/F値を維持できる補正値として設定される。故に、空
燃比が目標空燃比を越えてリーンな空燃比になることが
防止される。
速度変動量を補正しても良く、吸入空気量が大きくなる
と燃焼が不安定になるため吸入空気量に基づいて回転速
度変動量を補正しても良いし、回転速度が大きくなるほ
ど回転速度変動量が大きくなるため回転速度変動に基づ
いて回転速度変動量を補正しても良い。
発明を具体化した本実施の形態を図面に従って説明す
る。図1は、本実施の形態にかかるエンジン制御装置を
示す全体構成図である。
4サイクル4気筒内燃機関からなり、その吸気ポートと
排気ポートにはそれぞれ吸気管2と排気管3とが接続さ
れている。吸気管2には、図示しないアクセルペダルに
連動するスロットル弁4が設けられると共に、吸入空気
の量を検出するためのエアフローメータ5が配設されて
いる。スロットル弁4の開度はスロットルセンサ20に
より検出され、同センサ20によればスロットル全閉の
状態も併せて検出される。
には図の上下方向に往復動するピストン7が配設され、
同ピストン7はコンロッド8を介して図示しないクラン
ク軸に連結されている。ピストン7の上方にはシリンダ
6及びシリンダヘッド9にて区画された燃焼室10が形
成され、燃焼室10は吸気バルブ11及び排気バルブ1
2を介して前記吸気管2及び排気管3に連通している。
シリンダ6(ウォータジャケット)には、エンジン冷却
水の温度を検出するための水温センサ17が配設されて
いる。
14が配設されており、これら触媒コンバータ13,1
4は、排ガス中のHC,CO,NOxといった三成分を
浄化するための三元触媒からなる。上流側の触媒コンバ
ータ13は、下流側の触媒コンバータ14に比べてその
容量が小さく、エンジン始動直後の暖機が比較的早い、
いわゆるスタートキャタリストとしての役割を持つ。な
お、上流側の触媒コンバータ13は、エンジン排気ポー
ト端面から約300mm程度の位置に設けられる。
流式空燃比センサからなるA/Fセンサ15が設けら
れ、同A/Fセンサ15は排ガス中の酸素濃度(或い
は、未燃ガス中の一酸化炭素の濃度)に比例して広域で
且つリニアな空燃比信号を出力する。また、同触媒コン
バータ14の下流側には、理論空燃比(ストイキ)を境
にしてリッチ側とリーン側とで異なる電圧信号を出力す
るO2センサ16が設けられている。
ない燃料供給系から高圧燃料が供給され、インジェクタ
18は通電に伴いエンジン吸気ポートに燃料を噴射供給
する。本実施の形態では、吸気マニホールドの各分岐管
毎に1つずつインジェクタ18を有するマルチポイント
インジェクション(MPI)システムが構成されてい
る。シリンダヘッド9に配設された点火プラグ19は、
図示しないイグナイタから供給される点火用高電圧によ
り発火する。
とインジェクタ18による噴射燃料とがエンジン吸気ポ
ートにて混合され、その混合気が吸気バルブ11の開弁
動作に伴い燃焼室10内に流入する。燃焼室10内に流
入した燃料は、点火プラグ19による点火火花にて着火
され、燃焼に供される。
させるための吸気側カム軸21と、排気バルブ12を所
定のタイミングで開閉させるための排気側カム軸22と
は、図示しないタイミングベルト等を介してクランク軸
に駆動連結される。吸気側カム軸21には油圧駆動式の
吸気側可変バルブタイミング機構23が設けられ、排気
側カム軸22には同じく油圧駆動式の排気側可変バルブ
タイミング機構24が設けられている。
構23,24はそれぞれ、吸気側及び排気側カム軸2
1,22とクランク軸との間の相対的な回転位相を調整
するための位相調整式可変バルブタイミング機構として
設けられ、その動作は図示しないソレノイドバルブによ
る油圧制御に従い調整される。すなわち、吸気側及び排
気側可変バルブタイミング機構23,24の制御量に応
じて、吸気側及び排気側カム軸21,22がクランク軸
に対して遅角側或いは進角側に回動し、その動作に合わ
せて吸気及び排気バルブ11,12の開閉時期が遅角側
或いは進角側に移行する。
転位置を検出するための吸気側カム位置センサ25が設
けられ、排気側カム軸22には、同カム軸22の回転位
置を検出するための排気側カム位置センサ26が設けら
れている。
1、ROM32、RAM33、バックアップRAM34
等からなるマイクロコンピュータを中心に構成されてい
る。ECU30は、前記したエアフローメータ5、A/
Fセンサ15、O2センサ16、水温センサ17、スロ
ットルセンサ20及びカム位置センサ25,26の各々
の検出信号を入力し、各検出信号に基づいて吸入空気量
Qa、触媒上流側及び下流側の空燃比(A/F)、エン
ジン水温Tw、スロットル開度、カム位置などのエンジ
ン運転状態を検知する。またその他に、ECU30に
は、720°CA毎にパルス信号を出力する基準位置セ
ンサ27と、より細かなクランク角毎(例えば、30°
CA毎)にパルス信号を出力する回転角センサ28とが
接続され、ECU30は、これら各センサ27,28か
らのパルス信号を入力して基準クランク位置(G信号)
及びエンジン回転数Neを検知する。
エンジン運転状態に基づき、インジェクタ18による燃
料噴射の制御や、点火プラグ19による点火時期の制御
や、可変バルブタイミング機構23,24による吸排気
バルブ11,12の開閉時期の制御を実施する。
いて、ECU30が行うリーン化制御プログラムについ
て、以下で詳細に説明する。まず、図2のフローチャー
トでは、リーン化制御の実行条件を判定する処理が行わ
れる。このフローチャートは、8msec毎に繰り返し
起動されるルーチンである。ステップS100にて、リ
ーン化制御を実行するための条件を満たすか否かを判定
する。この実行条件判定では、例えば、エンジン1が始
動後であること、また、始動後から所定期間未満である
こと、フィードバック制御オープンであること等、これ
ら全ての条件を満たした場合に、実行条件が成立である
と判定される。
されると、ステップS104へ進み、リーン化制御実施
か否かを示すフラグFleanに、実施しないことを示
すべく0を入力して本ルーチンを終了する。一方、ステ
ップS100の実行条件を満たす場合には、ステップS
101以降の処理を実施する。ステップS101では、
エンジンの実回転速度Neを検出する。同様に、ステッ
プS102では、始動後の経過時間とエンジン水温Th
wとに基づいて、図4に示されるマップから参照回転速
度refNeを呼び出す。なお、参照回転速度refN
eは、実回転速度Neに対する基準値であり、リーン化
制御を実施するためのトルク余裕を判定するための参照
値である。この参照回転速度refNeの詳細について
は、図3のステップS111とステップS112にて詳
述する。
制御を実施するためのフラグFleanに1を入力して
本ルーチンを終了する。
ーン化制御のための燃料噴射量を設定するためのプログ
ラムについて説明する。このプログラムは、エンジン1
のクランク軸の回転が180°CA毎に起動されるルー
チンである。ステップS110では、図2のフローチャ
ートで設定されたリーン化制御を実施するか否かを判定
するためのフラグFleanが、1であるか否かが判定
される。ここで、フラグFleanが0である場合に
は、ステップS114へ進む。ステップS114では、
内燃機関の空燃比を理論空燃比よりもリーンな空燃比に
制御するために基本燃料噴射量Tpを補正するリーン化
補正値RVCleanに0を設定し、ステップS115
に進む。なお、リーン化補正値RVCleanは、初期
値として0が入力されている。
an=1であると判定されると、ステップS111へ進
む。ステップS111では、図2のステップS101と
S102とで検出されるエンジンの実回転速度Neと参
照回転速度refNeとに基づいて、エンジン1のトル
ク余裕ΔNeを演算する。ここで、参照回転速度ref
Neとトルク余裕ΔNeとについて説明する。
を実施する上で実回転速度Neと比較するための参照値
として用いられる。通常、内燃機関のアイドル運転で
は、吸入空気等を制御することによりエンジン回転速度
Neが所定の目標回転速度Netgになるように制御さ
れる。ところが、リーン化制御では、理論空燃比よりも
リーンな燃焼にて制御するために、理論空燃比での燃焼
に比してトルクが減少する。
んだ場合、吸入空気量を制御することでは、エンジン回
転速度Neを目標回転速度Netgに復帰させることが
できない。そこで、本実施の形態では、トルク余裕ΔN
eを参照回転速度refNeとエンジン回転速度Neと
の偏差として求めることで、トルク余裕ΔNeが大きい
ときは、今回の空燃比を前回の空燃比よりもリーンに制
御し、トルク余裕ΔNeが小さいと今回の空燃比を前回
の空燃比よりもリッチに制御することで、エンジン回転
速度Neを制御するとともに、空燃比をリーン化する制
御を実施する。
り、上述のリーン化制御についてステップS112以降
の処理について説明する。ステップS112では、ステ
ップS111にて演算されたトルク余裕ΔNeに基づい
てリーン化制御のための基本燃料噴射量に対する補正項
leanI,leanPを図5に示すマップ等から呼び
出す。この図5のマップでは、トルク余裕ΔNeに応じ
た補正項leanI,leanPが設定されており、例
えば、トルク余裕ΔNeが+20である場合には、le
anIにはleanI20が、leanPにはleanP
20が、それぞれ設定される。なお、この補正項lean
I,leanPは、数式を用いた演算によって算出され
ても良い。
補正項leanI,leanPと、前回のリーン化制御
のために設定される燃料噴射量に対するリーン化補正値
RVClean(n−1)とから、今回のリーン化制御
のための燃料噴射量に対するリーン化補正値RVCle
an(n)を算出する。因みに、このリーン化補正値R
VClean(n)は、トルク余裕ΔNeが大きい場合
には、初期値0よりも小さな負の値が設定され、トルク
余裕ΔNeが小さい場合には、略初期値0に設定される
値である。そして、ステップS115では、燃料噴射量
TAUを演算する。燃料噴射量TAUは、基本噴射量T
pに、リーン化補正値RVClean(n)を最終補正
値FFST(n)で補正した値を乗じることにより演算
される。 (TAU=Tp×(1+RVClean(n)×FFS
T(n))) 次に、ドラビリ悪化防止のための補正値FST(n)に
ついて説明する。通常、リーン燃焼での運転では理論空
燃比での運転に比して燃焼が不安定となることが知られ
ている。すなわち、燃費とエミッションを考慮して空燃
比をリーンにし続けると燃焼が不安定となることから、
エンジン回転速度Neに変動が生じてしまう。このエン
ジン回転速度Neの変動は、ドラビリ悪化の原因である
ため、このエンジン回転速度Neの変動を抑制すること
が必要となる。
補正値FST(n)は、リーン化制御によってエンジン
回転速度Neの変動が大きくならないように設定され
る。以下に図6を用いて詳細に説明する。図6のフロー
チャートは、180°CA毎に起動されるプログラムで
ある。まず、ステップS120にて、図2のフローチャ
ートで設定されたリーン化制御を実施するか否かを判定
するためのフラグFleanが、1であるか否かが判定
される。ここで、フラグFleanが0である場合に
は、ステップS128へ進む。ステップS128では、
ドラビリ悪化防止のための補正値FST(n)に1を設
定し、本ルーチンを終了する。
an=1であると判定されると、ステップS121へ進
む。ステップS121では、今回の回転角速度ω(n)
を演算する。この回転角速度ω(n)の演算は、従来よ
り知られる方法で良く、例えば、図示しないクランク軸
が30°CA回転するのに要する時間を演算することに
よって求められる。そして、この値ω(n)は、ECU
30内のRAM33に格納される。
3に格納されている過去の回転角速度ω(n−1),ω
(n−4)を呼び出す。ここで、回転角速度ω(n−
1)は前回演算された回転角速度であり、回転角速度ω
(n−4)は4回前に演算された回転角速度である。ス
テップS123,ステップS124とステップS125
とでは、上述の回転角速度ω(n),ω(n−1),ω
(n−4)とからエンジン回転速度Neの変動量を演算
する。まず、ステップS123の演算では、720°C
A間の平均角速度偏差Δωaveを算出し、ステップS
124へ進む。
ω(n)と前回の回転角速度ω(n−1)との180°
CA間の回転角速度偏差Δωを算出する。そして、ステ
ップS125にて、ステップS123にて算出された平
均角速度偏差Δωaveと180°CA間の回転角速度
偏差Δωとに基づいて、エンジンの回転変動量を示す指
標としてラフネス検出値Δωleanを算出する。図7
に示されるタイムチャートでは、180°CA間の回転
角速度偏差Δωが図中○にて、平均角速度偏差Δωav
eは図中△にて示されている。ラフネス検出指数は、Δ
ωleanで表され、この平均角速度偏差Δωaveか
ら180°CA間の回転角速度偏差Δωを差し引いた値
であり、この値が大きいときにはエンジンの変動量が大
きいことを示し、この値が小さいときにはエンジンの変
動量が小さいことを示す指標である。
指数に基づいてラフネスフィードバック補正値Klea
nを設定する。ラフネスフィードバック補正値Klea
nの設定は、例えば、図8に示されるマップにより演算
される。図8のマップによれば、ラフネスフィードバッ
ク補正値Kleanは、ラフネス検出指数Δωlean
が大きいほど、小さな値に設定され、ラフネス検出指数
Δωleanが小さいほど、大きな値に設定される。こ
のようにして、ラフネスフィードバック補正値Klea
nを設定すると、この値をステップS127にてFST
(n)に入力して本ルーチンを終了する。
eanに基づいてラフネスフィードバックを行う場合で
あっても、ドラビリを悪化させてしまう虞がある。例え
ば、上述のラフネスフィードバック制御では、ラフネス
検出指数Δωleanに基づいてフィードバック的にラ
フネスフィードバック補正値Kleanを設定している
ために、ラフネス検出指数Δωleanが大きく変動す
ると、補正項Kleanも大きく変更されてしまう。ラ
フネスフィードバック補整量Kleanは、リーン化補
正値RVCleanを補正するためであるため、リーン
化補正値RVCleanが大きく変動してしまう。そし
て、燃料噴射量TAUは、このリーン化補正値RVCl
eanに基づいて設定されるため、リーン化補正値RV
Cleanがハンチングしてしまうことで、燃料噴射量
TAUのハンチングし、ドラビリ悪化を助長する虞があ
る。 そこで、本実施の形態では、図9のフローチャー
トに示すプログラムによって、ラフネスフィードバック
制御に対するドラビリ悪化防止のための最終的な補正値
FFST(n)を算出し、リーン化補正値RVClea
nを補正する。このプログラムは、図示しないクランク
軸が180°CA回転する毎に起動されるルーチンであ
る。このプログラムについて以下に説明する。
ーチャートで設定されたリーン化制御を実施するか否か
を判定するためのフラグFleanが、1であるか否か
が判定される。ここで、フラグFleanが0である場
合には、そのまま本ルーチンを終了する。一方、フラグ
Fleanが1である場合には、ステップS131へ進
む。ステップS131では、図6のフローチャートのス
テップS127にて設定された今回のドラビリ悪化防止
のための補正値FST(n)が呼び出される。続くステ
ップS132では、前回のドラビリ悪化防止のための最
終的な補正値FFST(n−1)が呼び出される。
正値FST(n)と前回の最終補正値FFST(n−
1)とを比較する。比較した結果、今回の補正値FST
(n)のほうが小さいときには、ステップS135へ進
む。ステップS135では、今回の補正値FST(n)
に所定値Kcstを加算したものを最終的な補正値FF
ST(n)として、本ルーチンを終了する。一方、前回
の最終補正値FFST(n−1)のほうが小さい場合に
は、ステップS134に進む。ステップS134では、
前回の最終補正値FFST(n−1)に所定値Kcst
を加算して今回の最終補正値FFST(n)とし、本ル
ーチンを終了する。
動時等に空燃比をリーンな燃焼にて制御する場合に、リ
ーン化度合を進行させても、ドラビリ悪化防止のための
最終的な補正値FFST(n)を設定するので、空燃比
をリーン化する際にドラビリが悪化されることが抑制さ
れる。また、ドラビリが悪化した場合には、ドラビリに
応じて設定される補正係数Kleanが小さな値に設定
されるため、この補正係数Kleanに応じてリーン化
補正値RVCleanが補正される。このため、ドラビ
リが悪化することによって、リーン化された空燃比をリ
ッチに補正する際には、ラフネス検出指数Δωlean
に応じた補正値FST(n)が最終的な補正値FFST
(n)に設定されるので、リーン化補正値RVClea
nは、最終的な補正値FFST(n)に補正されること
により小さな値になる。つまり、前回の燃料噴射量TA
Uによるリーン化された空燃比を大きくリッチに補正す
ることができる。
ムチャートを用いて説明する。図10(c)は、エンジ
ン回転速度を示した図であり、実回転速度Neと参照回
転速度refNeとを示したものである。本実施の形態
では、実回転速度Neと参照回転速度refNeとの偏
差ΔNeをトルク余裕として算出し、図10(b)に示
すようなリーン化補正値が小さくなることによって燃料
噴射量TAUが減量補正される。このリーン化補正値R
VCleanによって燃料噴射量TAUが小さくなり、
図10(a)に示すように燃焼による空燃比がリーン側
へと移行する。従来技術では、図10(d)のラフネス
検出値にのみ応じて最終的な補正値FFST(n)を設
定するので、図10(e)の点線に示すように基本燃料
噴射量Tpに対する補正量がばらつく虞がある。そし
て、この補正値によって演算される燃料噴射量TAU
は、図10(f)に示すようにハンチングをし、回転変
動を助長する虞がある。
(e)の実線に示すようにラフネス検出値に応じて演算
される補正値FST(n)と、前回の最終補正値FFS
T(n−1)とを比較して、エンジンのラフネスを抑制
する補正値を選択する。このとき、ラフネス検出値に基
づいて回転速度の変動が安定していると判断されるとき
には、前回の最終補正値FFST(n−1)に所定値K
cstを加算した値が選択される。そして、回転速度変
動が増加したときには、ラフネス検出値に応じて設定さ
れる補正値FST(n)が最終補正値FFST(n)と
して選択される。これにより、図10(f)の実線に示
すように、回転変動が安定しているときには徐々に最終
補正値FFST(n)が大きくなり、1に近づくので、
リーン化補正値RVCleanに対する補正が小さくな
る。すると、燃料噴射量TAUが徐々に減量されて空燃
比がリーンになる。そして、また、回転変動が発生した
ときには一気に最終補正値FFST(n)が小さな値に
設定されるので、リーン化補正値RVCleanの絶対
値が小さく補正される。従って、リーン化補正値RVC
leanによるリーン化補正の影響が小さくなり、その
結果、燃料噴射量を増量する制御を実施することができ
るので、ドラビリを悪化させずに安定して空燃比のリー
ン化制御を実施することができる。
は図3のフローチャートのステップS111乃至ステッ
プS113に、回転速度変動検出手段は図6のフローチ
ャートのステップS121乃至ステップS125に、最
終補正手段は図9のフローチャートに、第1の補正量算
出手段は図6のフローチャートのステップS127に、
回転速度検出手段は図2のフローチャートのステップS
101に、参照回転速度設定手段は図2のフローチャー
トのステップS102に、それぞれ相当し、機能する。
は、冷始動時に行う燃料噴射量をリーンな空燃比にて制
御するリーン化制御において、回転速度変動量に基づい
た燃料噴射補正について説明した。本実施の形態では、
第1の実施の形態の回転速度変動量に基づいた補正方法
を用いて、点火時期の補正について説明する。
形態と同様のため説明を省略する。この構成において、
本実施の形態では、点火時期を遅角して制御するような
運転状態として、冷始動時の触媒早期暖機の点火時期制
御について説明する。触媒早期暖機時の点火時期は、触
媒を積極的に昇温させるために点火時期が遅角側に設定
される。点火時期を遅角することで、燃焼を緩慢にし排
出ガス成分の温度が高温になることで、触媒を早期に暖
機することができる。ところで、点火時期を遅角すると
燃焼が不安定になることが知られている。そのため、点
火時期を遅角させることで、燃焼不安定に起因してエン
ジン回転速度Neに変動が生じる。この回転速度Neの
変動量は、ドラビリが悪化するためドライバに違和感を
与える原因である。
SAtgに対する最終補正を実施する。この最終補正
は、回転速度Neの変動量に応じたラフネス補正値RA
Fと、所定の補正値COEFとのうち、回転速度変動を
抑制する補正値を選択し、選択した値を、最終補正値L
ACとして設定する。以下では、図11のフローチャー
トにしたがって本実施の形態の点火時期制御について説
明する。
角制御の実行条件が判定される。点火時期遅角制御の実
行条件としては、アイドル運転中であること、エンジン
冷却水温Thwが所定水温以下であること等である。こ
の実行条件を満たさない場合には、本ルーチンを終了す
る。一方、実行条件を満たすと判定された場合には、ス
テップS210へ進む。ステップS210では、点火時
期遅角制御の実行条件を受けて、エンジン運転状態に基
づくマップ等により目標点火時期SAtgが設定され、
ステップS220へ進む。
Neの変動量に基づくマップ等によりラフネス補正値R
AFを演算する。ここで、エンジン回転速度Neの変動
量は、例えば、第1の実施の形態において用いられた図
6のフローチャートのステップS126のラフネス検出
値Δωleanを算出する方法により演算されても良
い。また、この方法以外であってもエンジン回転速度N
eの変動を検出するものであれば良く、ラフネス補正値
RAFは、エンジン回転速度Neの変動量が大きくなる
ほど、点火時期を進角側に大きく補正する値が設定され
る。
ジン回転速度Neの変動量に基づいて演算されるラフネ
ス補正量RAFと、補正値COEFとを比較することに
より、回転速度Neの変動量を抑制する最終補正値LA
Cを設定する。補正値COEFは所定の補正量であり点
火時期が遅角側に設定される値となっており、また、最
終補正値LACについては、ステップS240とS25
0とで後述する。ステップS230にて、ラフネス補正
値RAFよりも所定の補正値COEFのほうが大きいと
判定されると、ステップS240へ進む。ステップS2
40では、最終補正値LACに補正値COEFを設定
し、ステップS260へ進む。ステップS260では、
点火時期SAとして、前回の点火時期SAに補正値CO
EFを加算した値を設定し、本ルーチンを終了する。
正値RAFのほうが大きいと判定されると、ステップS
250へ進み、最終補正値LACにラフネス補正値RA
Fを設定してステップS270へ進む。ステップS27
0では、点火時期SAを設定する。点火時期SAの設定
は、目標点火時期SAtgに最終補正値LACを加算し
た値を設定し、本ルーチンを終了する。
示すタイムチャートを用いて説明する。図12のタイム
チャートにおいて、図12(a)は、ラフネス相当値と
してのエンジン回転速度Neの変動量である。そして、
図12(b)は、この回転速度Neの変動量に基づいて
設定される最終補正値LACである。最終補正値LAC
は、回転速度Neの変動量が大きくなるまでは補正値C
OEFが設定され、回転変動Neの変動量が大きくなる
と、点火時期が所定値進角する補正量が設定される。そ
して、図12(a)の補正時に相当する、ラフネス相当
値が大きくなると、最終補正値LACには、ラフネス相
当値に応じて点火時期を大きく進角するラフネス補正値
RAFが設定される。この最終補正値LACに基づい
て、図12(c)に示すように、目標点火時期SAtg
が補正されて、補正後の点火時期SAになる。この補正
では、ラフネス相当値が小さいときには徐々に遅角さ
れ、ラフネス相当値が大きくなると大きく進角補正され
る。
期を直接補正することによって、ドラビリの影響を考慮
した制御を実施した。この実施の形態に代えて、図12
(d)に示すような点火時期の制御方法でも良い。図1
2(d)は、点火時期SAの遅角側のガードに対して、
ラフネス相当値に応じた補正を行う場合を示している。
このように点火時期の遅角側のガードが、ラフネス相当
値が大きくなると、ガードが大きく進角されるので、回
転速度Neの変動量を抑制することが可能となる。
ス相当値が大きくなると点火時期を大きく進角させ、ラ
フネス相当値が小さい場合には徐々に遅角側に設定する
ので、点火時期をハンチングさせることが防止される。
すなわち、点火時期は、ラフネス相当値が大きくなった
場合のみ、燃焼が安定する側に点火時期を補正するの
で、ドラビリの影響を考慮して、適宜触媒早期暖機のた
めの点火時期遅角制御を実施することが可能となる。
ための点火時期遅角制御について、記述したが、点火時
期のノッキング制御に用いても良い。この場合、ラフネ
ス相当値が小さい場合には徐々に進角させて、ラフネス
相当値が大きくなった場合には、ラフネス相当値に応じ
た遅角補正量により点火時期を大きく遅角することで、
ノック限界点付近に精度良く制御することができる。
Aの演算は、最終補正値LACを加算することによって
演算したが、乗算でも良い。本実施の形態において、第
2の補正値設定手段は図11のフローチャートのステッ
プS220に、最終補正手段は図11のフローチャート
のステップS240,ステップS250に、目標点火時
期設定手段は図11のフローチャートのステップS21
0に、それぞれ相当し、機能する。
は、触媒早期暖機のための点火時期制御について説明し
たが、本実施の形態では、吸気バルブコントロールタイ
ミングシステム(以下、VCTと称する。)に、本発明
のエンジン回転速度Neの変動量に応じた制御を適用す
る。吸気バルブの開タイミングをエンジンの上死点TD
Cを越えて進角させると、排気バルブと吸気バルブが同
時に開いている状態が長くなる。この状態が長くなる
と、燃焼室内に残留する燃焼ガスが燃焼室内に再吸入さ
れるという、所謂内部EGRガスが増加する。内部EG
Rガスが増加すると、燃焼が不安定になることが知られ
ている。そこで、本実施の形態では、吸気バルブの進角
側への制御について、図13のフローチャートを用いて
説明する。
CTの開タイミングを設定するための本実施の形態のメ
インプログラムであり、図示しないクランク角度の18
0°CA毎に起動されるルーチンである。まず、ステッ
プS300にて、本プログラムの実行条件が成立するか
否かが判定される。この実行条件としては、VCTの開
タイミングを可変に設定する運転状態であるか否かであ
る。ここで、実行条件が成立しないと、本ルーチンを終
了する。一方、実行条件が成立した場合は、ステップS
310以降の処理へと進む。
エンジン回転速度Ne、エンジン冷却水温Thw等か
ら、運転状態に応じた目標バルブ開タイミングVCTt
gをマップ等により演算し、ステップS320へ進む。
ステップS320では、エンジン回転速度Neの変動量
に基づくマップ等によりラフネス補正量を演算する。こ
こで、エンジン回転速度Neの変動量は、例えば、第1
の実施の形態において用いられた図6のフローチャート
のステップS126のラフネス検出値Δωleanを算
出する方法により演算されても良く、また、この方法以
外であってもエンジン回転速度Neの変動を検出するも
のであれば良く、ラフネス補正値RAFは、エンジン回
転速度Neの変動量が大きくなるほど、バルブ開タイミ
ングVCTを遅角側に大きく補正する値が設定される。
OEFaとラフネス補正値RAFaとで、どちらが大き
い補正値であるかを判定する。ここで、補正値COEF
aは、バルブ開タイミングを徐々に進角するために設定
される、一定の値である。この補正値COEFaのほう
がラフネス補正値RAFaよりも大きいと判定される
と、ステップS340へ進む。ステップS340では、
最終補正値LACaに補正値COEFaを設定し、ステ
ップS360へ進む。そして、ステップS360では、
バルブ開タイミングVCTが、前回のバルブ開タイミン
グVCTに最終補正値LACaを加算した値を設定し、
本ルーチンを終了する。
EFaよりもラフネス補正値RAFaのほうが大きいと
判定されると、ステップS340に進み、最終補正値L
ACaにラフネス補正値RAFaを設定し、ステップS
370へ進む。ステップS370では、バルブ開タイミ
ングVCTとして、目標バルブ開タイミングVCTtg
に最終補正値LACaを加算した値を設定し、本ルーチ
ンを終了する。
すタイムチャートを用いて説明する。図14のタイムチ
ャートにおいて、図14(a)は、ラフネス相当値とし
てのエンジン回転速度Neの変動量である。そして、図
14(b)は、この回転速度Neの変動量に基づいて設
定される最終補正値LACaである。最終補正値LAC
aは、回転速度Neの変動量が大きくなるまでは補正値
COEFaが設定され、バルブタイミングが所定値進角
する補正量が設定される。そして、図14(a)の補正
時に相当する、ラフネス相当値が大きくなる点では、最
終補正値LACaには、ラフネス相当値に応じてバルブ
開タイミングを大きく進角するラフネス補正値RAFa
が設定される。この最終補正値LACaに基づいて、図
14(c)に示すように、目標バルブ開タイミングVC
Ttgが補正されて、補正後のバルブ開タイミングVC
Tになる。この補正では、ラフネス相当値が小さいとき
には徐々に進角され、ラフネス相当値が大きくなると大
きく遅角補正される。
グVCTの進角側のガードに対して、ラフネス相当値に
応じた補正を行う場合を示している。このように点火時
期の進角側のガードが、ラフネス相当値が大きくなる
と、ガードが大きく遅角されるので、回転速度Neの変
動量を抑制することが可能となる。
ス相当値が大きくなるとバルブ開タイミングを大きく遅
角させ、ラフネス相当値が小さい場合には徐々に進角側
に設定するので、バルブ開タイミングをハンチングさせ
ることが防止される。すなわち、バルブ開タイミング
は、ラフネス相当値が大きくなった場合のみ、燃焼が安
定する側にバルブ開タイミングを補正するので、ドラビ
リの影響を考慮して、適宜運転状態に応じたバルブ開タ
イミングの制御を実施することが可能となる。
角制御について説明したが、この制御を吸気バルブの遅
角制御について適用しても良く、吸気バルブの開タイミ
ングを遅角するとHCガスが増加するために、進角側同
様に燃焼が不安定になる。この燃焼が不安定になること
に対する対策として本実施の形態を適用しても良い。
イミングVCTの演算には、最終補正値LACaに加算
することによって演算したが、乗算によって行っても良
い。
手段は図13のフローチャートのステップS320に、
最終補正手段は図13のフローチャートのステップS3
40,ステップS350に、それぞれ相当し、機能す
る。
形態では、回転速度Neの変動量に基づいて、補正量を
設定していた。特に、第1の実施の形態では、リーン化
補正値を補正するために回転速度変動量Δωleanを
用いていた。通常、冷始動時の運転状態では、触媒早期
暖機の点火時期遅角制御が実施されている。ところが、
この触媒早期暖機制御のための点火時期遅角が、他の要
求等により点火時期を進角させた場合に、次のような不
都合を生じる可能性がある。
て制御されている燃焼に比して、燃焼が安定する。する
と、リーン化補正値を補正するための補正値は回転速度
変動量に基づいて、目標の空燃比付近に制御しているた
め、回転速度変動量が小さくなることによって、空燃比
が目標空燃比を越えてさらにリーンな空燃比になってし
まう。図15は、空燃比に対する回転変動量Δωlea
nの関係を示している。この図によれば、斜線で示す直
線は、目標空燃比よりも若干リーンな空燃比である。す
なわち、リーン化補正値を補正するための補正値は、回
転速度変動量に応じて設定されるために、図15に示す
ように点火時期が進角すると、空燃比に対する回転速度
変動量Δωleanの特性が、点火時期ATDC10°
CAを示す曲線から、点線、一点鎖線へと変化する。す
なわち、点火時期の進角に伴って、回転速度変動量Δω
leanが小さくなることから、空燃比が目標空燃比を
越えてリーンになっても、回転速度変動量Δωlean
に基づいて設定される補正値はさらに空燃比がリーンに
なるように設定されてしまう。
都合を解決するための制御を実施する。本実施の形態に
おいて、第1の実施の形態と同一の部分に関しては、説
明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。図16
に示すフローチャートは、エンジンの回転速度Neの変
動量を演算するフローチャートである。このフローチャ
ートにおいて、第1の実施の形態の図6と同一のステッ
プには、同一の番号を付している。
0では、点火時期に応じた図17に示すマップにより回
転速度変動量Δωleanに対して補正値mAを演算す
る。図17のマップによれば、点火時期の遅角量が大き
くなると、補正値mAとしては小さな値(基準値1)が
設定される。
と、ステップS401へ進み、回転速度変動量Δωle
anの演算をステップS123にて演算されるΔωav
eと、ステップS124にて演算されるΔωと、ステッ
プS400にて演算される補正値mAに基づいて演算さ
れる。
により補正されるラフネス検出値Δωleanを用い
て、リーンな空燃比での燃焼を実施するための基本燃料
噴射量を補正するので、点火時期が進角されても目標空
燃比を越えて、さらにリーンな空燃比になることが防止
される。
8に示すタイムチャートを用いて説明する。図18
(b)は、エンジン回転速度Neである。エンジンが始
動して所定回転速度を越えると、図18(a)に示す点
火時期の遅角量が点火時期遅角制御により図中A点にて
目標点火遅角(リタード)量に設定される。ところが、
図中B点にて、例えば、触媒早期暖機が終了することに
伴って点火時期が進角され通常の点火時期に設定される
と、図18(c)の点線にて示すように回転速度変動量
Δωleanが小さくなる。しかしながら、本実施の形
態では、このとき点火時期の遅角量に応じて、回転速度
変動量Δωleanに対する補正を行うための補正値m
Aを図17に示すマップにより演算するため、回転速度
変動量Δωleanが実線にて示される変動量となる。
FST(n)が、図18(d)の点線にて示すような、
目標空燃比をリーンにする補正値に設定されるのを防止
し、ドラビリ悪化防止のための補正値FST(n)が、
実線にて示すように目標空燃比を維持するような補正値
に設定される。故に、図18(e)に示すように、空燃
比が点線で示すような目標空燃比を越えてさらにリーン
になることが防止され、実線にて示すように、精度良く
目標空燃比に設定することが可能となる。
に応じて補正量mAを設定したが、エンジン回転速度変
動量Δωleanに影響を与えるパラメータであれば、
これに限られるものではない。このエンジン回転速度変
動量Δωleanに影響を与えるパラメータとしては、
空気量Qやエンジン回転速度Ne等が挙げられる。例え
ば、空気量Qによって補正値mAを設定する場合には、
図19に示すようなマップにより設定すると良い。この
マップによれば、空気量Qの増加に伴って大きな補正量
が設定される。また、エンジン回転速度Neによって補
正値mAを設定する場合には、図20に示すようなマッ
プにより設定すると良い。このマップによれば、エンジ
ン回転速度Neの増加に伴って、小さな補正値mAを設
定すると良い。
はリーンな空燃比での燃焼を実施するために燃料噴射量
を設定する手段に、回転速度変動量検出手段は図16の
フローチャートのステップS121乃至ステップS12
4に、ラフネス補正手段は図16のフローチャートのス
テップS401に、それぞれ相当し機能する。
フローチャート
のフローチャート
めのマップ
じて演算されるリーン化補正値のためのマップ
めのフローチャート
るためのタイムチャート
た補正値を設定するためのマップ
演算するためのフローチャート
ャート
すフローチャート
ャート
定を示すフローチャート
ャート
す特性図
のフローチャート
補正値mAを演算するためのマップ
ャート
補正値mAを演算するためのマップ
た補正値mAを演算するためのマップ
Claims (8)
- 【請求項1】 内燃機関の冷間始動からの運転中に、燃
料噴射量を減量補正し、内燃機関の空燃比を理論空燃比
よりもリーンな空燃比に制御するためのリーン化補正値
を設定するリーン化補正手段と、 内燃機関の回転速度変動を検出する回転速度変動検出手
段と、 前記回転速度変動検出手段により検出される回転速度変
動に基づいて、前記リーン化補正値を補正するための最
終補正値を演算する最終補正手段と、 前記最終補正手段により補正された前記リーン化補正値
に基づいて燃料噴射量を補正する燃料噴射量補正手段と
を備える内燃機関の制御装置において、 前記最終補正手段は、前記回転速度変動検出手段により
検出される回転速度変動に基づいて第1の補正量を算出
する第1の補正量算出手段を備え、前記最終補正手段に
より設定された前回の最終補正値と、前記第1補正量算
出手段により算出される第1の補正値とのうち、前記回
転速度変動を抑制するいずれか一方の補正値を選択し、
前記選択された補正値に基づいて前記リーン化補正値を
補正することを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 【請求項2】 内燃機関の回転速度を検出する回転速度
検出手段と、 前記回転速度に対する基準値を示す参照回転速度を設定
する参照回転速度設定手段とを備え、 前記リーン化補正値は、前記参照回転速度設定手段によ
り設定される参照回転速度と、前記回転速度検出手段に
より検出される回転速度とに基づいて設定されることを
特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。 - 【請求項3】 複数の気筒から構成される内燃機関の制
御装置において、 前記回転速度変動検出手段は、前記複数の気筒の各気筒
における回転角速度を求め、前記回転角速度のばらつき
に基づいて変動を検出する手段であることを特徴とする
請求項1または請求項2のいずれか一方に記載の内燃機
関の制御装置。 - 【請求項4】 内燃機関の回転速度変動を検出する回転
速度変動検出手段と、内燃機関の制御に用いられる所定
のパラメータを最終補正値に基づいて補正する最終補正
手段と、前記最終補正手段により補正された前記所定の
パラメータに基づいて内燃機関の制御を行う内燃機関の
制御装置において、 前記回転速度変動検出手段により検出される回転速度変
動に基づいて前記所定のパラメータを補正するための補
正値を設定する第2の補正値設定手段を備え、 前記最終補正手段は、前記第2の補正値設定手段により
設定される補正値と、前記最終補正手段により設定され
た最終補正値の前回値とのうち、前記回転速度変動を抑
制するいずれかの補正値を選択し、前記選択された補正
値に基づいて最終補正値を設定することを特徴とする内
燃機関の制御装置。 - 【請求項5】 内燃機関の運転条件に応じて燃焼室内に
火花を飛ばすための目標点火時期を設定する目標点火時
期設定手段を備え、 前記所定のパラメータは、前記目標点火時期設定手段に
より設定される目標点火時期であることを特徴とする請
求項4に記載の内燃機関の制御装置。 - 【請求項6】 内燃機関の吸気バルブおよび/または排
気バルブの開タイミングを可変に設定する可変バルブ機
構を備え、 前記所定のパラメータは、前記可変バルブ機構の前記吸
気バルブおよび/または排気バルブの目標開タイミング
であることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の制
御装置。 - 【請求項7】 内燃機関の回転速度変動量に影響を与え
るパラメータと、 リーンな空燃比での燃焼を実施するための基本燃料噴射
量を設定する基本燃料設定手段と、 内燃機関の回転速度変動量を検出する回転速度変動量検
出手段と、 前記回転速度変動量検出手段により検出される内燃機関
の回転速度変動量に基づいて、前記基本噴射量設定手段
により設定される前記基本燃料噴射量を補正するラフネ
ス補正手段とを備え、 前記回転速度変動量に影響を与えるパラメータの値に基
づいて前記回転速度変動量検出手段により検出される内
燃機関の回転速度変動量を補正することを特徴とする内
燃機関の制御装置。 - 【請求項8】 内燃機関の冷始動運転時に触媒早期暖機
のために点火時期を遅角する点火時期制御手段と、内燃
機関の回転速度を検出する回転速度検出手段と、吸入空
気量を検出する吸入空気量検出手段とのうち、少なくと
も1つ以上の手段を備え、 前記回転速度変動量に影響を与えるパラメータは、前記
3つの手段のうちいずれか一つ以上に該当することを特
徴とする請求項7に記載の内燃機関の制御装置。
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