JP2003113567A - 不織布およびフィルター - Google Patents

不織布およびフィルター

Info

Publication number
JP2003113567A
JP2003113567A JP2001311818A JP2001311818A JP2003113567A JP 2003113567 A JP2003113567 A JP 2003113567A JP 2001311818 A JP2001311818 A JP 2001311818A JP 2001311818 A JP2001311818 A JP 2001311818A JP 2003113567 A JP2003113567 A JP 2003113567A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
fibers
molecular weight
polyethylene
dtex
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001311818A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3849852B2 (ja
Inventor
Shigeki Tanaka
茂樹 田中
Godo Sakamoto
悟堂 阪本
Katsuji Oda
勝二 小田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP2001311818A priority Critical patent/JP3849852B2/ja
Publication of JP2003113567A publication Critical patent/JP2003113567A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3849852B2 publication Critical patent/JP3849852B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Abstract

(57)【要約】 【課題】フィルター等に好適な分散性に優れ、繊維形状
が長手方向に均一なポリエチレン繊維よりなる不織布を
提供すること。 【解決手段】単繊維繊度が1.5dtex以下で繊維断
面の形状が長手方向にそってほぼ均一であってカットフ
ァイバーとしたときの分散不良糸の割合が2.0%以下
である高強度ポリエチレン短繊維よりなる不織布とその
不織布を少なくとも1層に用いてなることを特徴とする
フィルター。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フィルター、電池
セパレータ、摩擦コントロール(摩擦低減)など広範囲
の不織布用途に利用可能な新規な分散性の良いポリエチ
レン繊維よりなる不織布およびフィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】高強度ポリエチレン繊維に関しては例え
ば、特公昭60−47922号公報に開示されるごと
く、超高分子量のポリエチレンを原料にし、いわゆる
“ゲル紡糸法”により従来にない高強度・高弾性率繊維
が得られることが知られており、既に産業上利用されて
いる。これらの高強度ポリエチレン繊維は不織布化して
用いても優れた強度や弾性率が利用することが可能であ
り、種々の用途への適用が検討されている。特に、近年
各種フィルター用に各種オレフィン系の繊維が使用され
つつあるが、フィルターとして用いた場合のろ過媒体へ
の溶出あるいは混入物量を極力小さくしたいという要求
に対して、添加物量の少ないポリエチレンよりなる繊維
が求められていた。また、本発明の目的のひとつであ
る、フィルター材にポリエチレン繊維を用いる際には、
繊維を細くするほどより高いろ過精度を得ることが可能
となる。また、高密度ポリエチレン繊維は、繊維にろ過
する粒子がついても、払い落としや逆洗浄などにより除
去することが容易であり、再生して何度も用いるのに適
している。さらに、高密度ポリエチレンは、耐薬品性も
良好でありフィルターとして非常に好適な素材である。
【0003】特開平12−1111公報に開示されるが
ごとく、超高分子量にポリエチレンを原料にし、いわゆ
る“ゲル紡糸法”により、従来にない、低繊度の高強度
・高弾性率繊維が開示されている。しかしながら、本方
法によって得られる繊維は、長手方向の形状の変動が大
きく均質な太さあるいは断面形状の繊維をつくることは
容易ではなかった。また、このようにゲル紡糸法用いて
低繊度の高強度ポリエチレン繊維を製造する場合、溶媒
を用いることから繊維の細化過程や延伸工程において、
繊維が固化する前に相互に接触して融着が生じてしまう
欠点があった。特に極細の繊維を得る場合紡糸張力が高
くなることにより延伸張力も上昇し融着が起こりやすく
なる。また、特許第3034934号に重量平均分子量
600,000〜1,500,000である高分子量ポ
リエチレンを延伸して製造される単繊維繊度が16.7
dtex以下の高強度ポリエチレン繊維が開示されてい
るが、該特許で到達されている単繊維繊度は高々2.4
dtexであり、本発明で得られる様な1.5dtex
以下であるような高強度ポリエチレン繊維は得られてい
ない。
【0004】溶融紡糸による高強度ポリエチレン繊維に
関しては例えば、USP4228118に開示されてい
る。同特許によれば、強度17.1cN/dtex、弾
性率754cN/dtexの高強度ポリエチレン繊維が
開示されているもののその繊維の単繊維繊度はたかだか
2.0dtexである。このように溶融紡糸では、1.
5dtex以下であるような高強度ポリエチレン繊維は
得られていない。また、発明者らの知る範囲では、一般
的な機械的特性を有する高密度ポリエチレン繊維さえ
も、不織布として用いられるようなグレードの物は市販
されていない。その理由として、通常のポリエチレン繊
維は応力がかかるとクリープを起こしやすく、不織布用
に捲縮をつけておいても、カーディングなどの処理によ
り繊維一本一本をほぐすときに繊維がのびてその効果が
維持できないことも原因として考えられる。また、延伸
を均一に行うことが難しく、繊維の長手方向に、レゾナ
ンスなど紡糸不安定現象に起因すると推定される繊維径
あるいは繊維形状の斑を生じやすく問題である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これらの広範な要求に
対応するもっとも有効な手段は繊維の強度を維持したま
ま単繊維繊度を低減することである。しかしながら溶融
紡糸により得られる10.0cN/dtexを越えるよ
うな高強度ポリエチレン繊維の単繊維繊度は2.0乃至
5.0dtexが通常であり、例えば本発明のような
1.5dtex以下はもとより1.0dtexというレ
ベルにおいての低繊度の糸は、仮に極く瞬間的にそれを
得ることができても、工業的に実施し得る十分の生産性
でそれらを得ることは困難であり、仮に可能となっても
繊維の物性が著しく低下し、実用に供せられるものでは
無いと推定される。一方ゲル紡糸を用いることで、0.
5dtex以下の高強度ポリエチレン繊維を得ることが
可能であるが、ゲル紡糸で得られた単繊維繊度の低い高
強度ポリエチレン繊維には、単繊維間の融着が多数存在
し、目的とする分散性の良い均一な低繊度の糸を得るこ
とは極めて困難であると考えられる。また、繊維の断面
形状も長手方向に変動を生じやすく、均質な繊維および
不織布を得ることは容易ではない。
【0006】繊度が低く融着の少ない高強度ポリエチレ
ン繊維を得るのが困難である原因について、発明者らは
以下のように推定している。すなわち、溶融紡糸に於い
てはポリマー中の分子鎖のからみ合いが非常に多いため
にノズルからポリマーを押し出し引き取った後充分延伸
を行えないことが挙げられる。さらに、溶融紡糸を行う
為には、分子量が100万を越える様な超高分子量ポリ
マーは実質的に使用することが不可能である。その為、
たとえ低繊度ができたとしても強度が低いものとなる。
逆に、分子量が100万を越える超高分子量のポリエチ
レンを用いた、分子鎖のからみあいを少なくするために
前述のゲル紡糸という手法があるが、極細の繊維を得る
ために紡糸・延伸張力が高くなることや、溶剤を紡糸時
使うことや繊維の融点以上で延伸を行うことにより繊維
に融着が生じてしまい、目的とする繊度の均一な糸を得
ることができない。特にカットファーバーを抄紙した場
合は、融着した繊維が厚み斑となって欠点となり、不織
布の物性が低下する。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、下記
の構成からなる。 1.単繊維繊度が1.5dtex以下で繊維断面の形状
が長手方向にそってほぼ均一であってカットファイバー
としたときの分散不良糸の割合が2.0%以下である短
繊維よりなることを特徴とする不織布。 2.短繊維が引っ張り強度が10cN/dtex以上、
引っ張り弾性率が200cN/dtex以上のポリエチ
レン系繊維であることを特徴とする1に記載の不織布。 3.1に記載の不織布を少なくとも1層に用いてなるこ
とを特徴とするフィルター。 また好ましくはポリエチレン系成分と他のオレフィン系
成分からなる複合繊維を少なくとも一部に用いてなるこ
とを特徴とする1に記載の不織布。以下本発明を詳述す
【0008】本発明における不織布を構成する高強度ポ
リエチレン繊維の単繊維の平均繊度は1.5dtex以
下であることが肝要で、1.0dtex以下であること
が好ましい、特に好ましくは0.5dtex以下であ
る。1.5dtexを超えると繊維の低繊度化に対して
の効果が小さくなり、不織布を薄い厚みに調整すること
が困難となる。また、低目付になると不織布の斑が顕著
となり好ましくない。布帛にした場合の剛直さに関し
て、0.5dtex付近を境にして布帛の柔軟度に関し
ての官能的評価で臨界点があることが実験的に判明して
いる。また、不織布をフィルターとしても用いる際にろ
過精度を高くするためには、一般的な傾向として繊維径
は細ければ細いほどろ過精度が高くなる方向にある。
【0009】このように本発明の繊維は平均繊度の極め
て小さいものであるが、従来の知見による製造法では、
その繊維の機械的物性は低いものとなる。つまり、単繊
維繊度が1.5dtex以下であり、引っ張り強度10
cN/dtex、引っ張り弾性率200cN/dtex
を越える様な高強度ポリエチレン繊維は、ゲル紡糸の様
な複雑な手法を用いるしか達成することは容易ではな
く、不織布用途への適用は考えられなかった。一方、前
述のようにゲル紡糸法を用いると、極細の繊維を得るた
めに紡糸・延伸張力が高くなることや、溶剤を紡糸時使
うことや繊維の融点以上で延伸を行うことにより繊維に
融着が生じてしまい、目的とする繊度の均一で分散性の
良い繊維を得ることが難しい。特に20mm以下の長さ
のショートカットファーバーを抄紙した場合融着した繊
維が欠点となり、不織布の物性が低下する。つまりこれ
まで用いられた手法では、低繊度かつ高強度・高弾性率
かつ繊維間の融着の無い高強度ポリエチレン系繊維を得
ることはできなかった。しかしながら、発明者らは鋭意
努力し例えば後述の製造方法を採用することにより、低
繊度であるにもかかわらず、強度及び弾性率が従来のも
のと同等程度かつ分散性に優れる繊維を用いた不織布を
得ることを可能とした。また、繊維強度が高いほど、繊
維をギロチンカッターなどでカットした際の繊維端部で
の融着も少ないことが実験的に確認された。さらに、紡
糸工程において、繊維強度をより高くする製法ほど紡糸
張力が高くなるためか、繊維の長手方向の形状の均一性
が向上する傾向にあった。
【0010】本発明に係る繊維を製造する方法は、上述
のごとく慎重でかつ新規な製造法を採用する必要があ
り、例えば以下のような方法が推奨されるが、それに限
定されるものでは無い。すなわち本発明に係る繊維の製
造に当たっては、原料ポリエチレンの重量平均分子量が
60,000〜600、000であることが望ましく、
繊維状態での重量平均分子量が50,000〜300,
000であり、重量平均分子量と数平均分子量の比(M
w/Mn)が4.5以下となることが望ましい。好まし
くは、原料ポリエチレンの重量平均分子量が60,00
0〜300、000であることが重要であり、繊維状態
での重量平均分子量が50,000〜200,000で
あり、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/M
n)が4.0以下となることが重要である。さらに好ま
しくは、原料ポリエチレンの重量平均分子量が60,0
00〜200、000であることが重要であり、繊維状
態での重量平均分子量が50,000〜150,000
であり、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/M
n)が3.0以下となることが望ましい。
【0011】本発明におけるポリエチレン系繊維の原料
は、その繰り返し単位が実質的にエチレンであることを
特徴とし、少量の他のモノマー例えばα−オレフィン,
アクリル酸及びその誘導体,メタクリル酸及びその誘導
体,ビニルシラン及びその誘導体などとの共重合体であ
っても良いし、これら共重合物どうし、あるいはエチレ
ン単独ポリマーとの共重合体、さらには他のα−オレフ
ィン等のホモポリマーとのブレンド体であってもよい。
特にプロピレン,ブテンー1などのαオレフィンと共重
合体を用いることで短鎖あるいは長鎖の分岐をある程度
含有させることは本繊維を製造する上で、特に紡糸・延
伸においての製糸上の安定を与えることとなり、より好
ましい。しかしながらエチレン以外の含有量が増えすぎ
るとかえって延伸の阻害要因となるため、高強度・高弾
性率繊維を得るという観点からはモノマー単位で0.2
mol%以下、好ましくは0.1mol%以下であるこ
とが望ましい。もちろんエチレン単独のホモポリマーで
あっても良い。また、繊維状態の分子量分布を上記値に
コントロールする為に溶解押し出し工程や紡糸工程で意
図的にポリマーを劣化させても良いし、予め狭い分子量
分布を持つ例えばメタロセン触媒を用いて重合されたポ
リエチレンを使っても良い。
【0012】原料ポリエチレンの重量平均分子量が6
0,000未満となると溶融成形加工をし易いものの分
子量が低い為に実際に得られる糸の強度は小さいものと
なる。また、原料ポリエチレンの重量平均分子量が60
0、000を越えるような高分子量ポリエチレンでは溶
融粘度が極めて高くなり、溶融成型加工が極めて困難と
なる。又、繊維状態の重量平均分子量と数平均分子量の
比が4.5以上となると同じ重量平均分子量のポリマー
を用いた場合と比較し最高延伸倍率が低く又、得られた
糸の強度も低くなる。これは、緩和時間の長い分子鎖が
延伸を行う際に延びきることができずに破断が生じしま
うことと、分子量分布が広くなることによって低分子量
成分が増加するために分子末端が増加することにより強
度低下が起こると推測している。
【0013】本発明の推奨する製造方法においては、こ
のようなポリエチレンを押し出し機で溶融押し出ししギ
アポンプにて定量的に紡糸口金を介して吐出させる。押
し出された糸は一定の温度に保たれた保温筒を通り、そ
の後急冷された後所定の速度で引き取られる。保温区間
は、概繊維の結晶分散温度より高く概繊維の融点より低
いことが望ましい。さらに望ましくは、概繊維の融点よ
り少なくとも10度低く概繊維の結晶分散温度より少な
くとも10度以上高くすると良い。急冷する為には通常
気体が用いられるが、もちろん冷却効率を上げる為に液
体を用いても良い。気体に関しては空気、液体に関して
は水を用いることが望ましい。
【0014】該繊維を延伸することにより、場合によっ
ては多段に延伸することにより高強度のポリエチレン系
繊維を製造することが可能となる。この時紡糸した糸状
を巻き取ること無し連続的に延伸しても良いし、一度巻
き取った後に延伸してもよい。
【0015】本発明においては、まずノズル下で紡糸口
金から押しだされた糸状を保温区間に於いて概繊維の結
晶分散温度より高く概繊維の融点より低い温度で保温
し、その後すぐに急冷させることが重要である。これに
より、高い紡糸速度で紡糸が可能となり、また低繊度ま
で延伸が可能な未延伸しを得ることが可能となる、さら
に繊維数が増加した場合でも繊維の融着を防止すること
が可能となる。さらに、繊維断面形状はかなり均一なも
のとなる.なお、本発明でいう繊維断面の形状が長手方
向にそってほぼ均一であるということは、繊維の断面を
任意の位置で切り出した際に、その形状が目視でほぼ相
似であり、また単糸レベルの繊維径の変動係数が30%
程度より小さい値であることをいう。従来の乾式紡糸で
は、紡糸ノズルのオリフィス形状が円形であっても脱溶
剤過程で繊維断面形状が変形するという現象があった
り、また溶液を用いる紡糸系では溶液の濃度のゆらぎな
どによると推定される理由から繊維径も長手方向に変動
する場合があったりして、本発明の均質な繊維断面形状
とは異なるものである。
【0016】本発明において、先述のような手段により
得られたポリエチレン系繊維は、一般的にカーディング
法やエアレイ法、抄紙法などの製法により不織布化され
る。不織布は形態安定性をよくするために、カレンダー
法などにより充填率が0.1から0.6の間にあるよう
に密度調節をすることが好ましく、特に好ましくは0.
15〜0.5,さらに好ましくは0.2〜0.4であ
る。ここで、充填率とは体積充填率をいい、見かけの密
度に対する繊維体積が占める割合をいう。充填率が0.
6より高いとフィルム化してしまし、通気性がなくなり
あまり好ましくない。特にフィルターとしては使用不可
能となる。一方、充填率が0.1より小さくなると繊維
の素抜けが増えるため形態安定性が低下してあまり好ま
しくない。特に摩擦コントロール用途の滑り材などとし
て用いる際には、平滑性を良くするために熱カレンダー
処理や熱プレス処理などをして、充填率を0.2以上の
高めにすることが好ましい。
【0017】また、形態安定性を良くするために、全不
織布重量に対してポリオレフィン系複合繊維を5〜70
%程度混繊してもちいることも好ましい。ここで、複合
繊維は分割繊維で細い繊維を生じるタイプでも良く、あ
るいは芯鞘型やサイドバイサイド型など低融点成分を含
む物であっても良い。これらの複合繊維は、細い繊維
が、ニードルパンチ加工やウォーターパンチ加工などで
繊維の絡みを良くしてしたり、熱処理により低融点成分
を溶かして接着するなどにより形態安定性を良くするも
のである。その他、第3成分として別のオレフィン、ビ
ニロンやポリエステルなどの繊維を混合して不織布にす
ることも用途により好ましい。
【0018】本発明の不織布をフィルター用途に用いる
際には、本発明の不織布を1層以上、好ましくは積層し
て用いることが好ましい。原因は明らかではないが、積
層枚数を大きくすることにより、ろ過性能を高くかつろ
過ライフを長くすることが可能となった。
【0019】以下に本発明における特性値に関する測定
法および測定条件を説明する。(強度・弾性率)本発明
における引っ張り強度,弾性率は、オリエンティック社
製「テンシロン」を用い、試料長200mm(チャック
間長さ)、伸長速度100%/分の条件で歪ー応力曲線
を雰囲気温度20℃、相対湿度65%条件下で測定し、
曲線の破断点での応力を強度(cN/dtex)、曲線
の原点付近の最大勾配を与える接線より弾性率(cN/
dtex)を計算して求めた。なお、各値は10回の測
定値の平均値を使用した。
【0020】(重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn
及びMw/Mn)重量平均分子量Mw、数平均分子量M
n及びMw/Mnは、ゲル・パーミエーション・クロマ
トグラフィー(GPC)によって測定した。GPC装置
としては、Waters製GPC 150C ALC/
GPCを持ち、カラムとしてはSHODEX製GPC
UT802.5を一本UT806Mを2本用いて測定し
た。測定溶媒は、o−ジクロロベンゼンを使用しカラム
温度を145度した。試料濃度は1.0mg/mlと
し、200マイクロリットル注入し測定した。分子量の
検量線は、ユニバーサルキャリブレーション法により分
子量既知のポリスチレン試料を用いて構成されている。
【0021】(分散性試験)あらかじめ脱油を行った1
0mm長にカットした繊維を約0.02g秤量し、30
0mlの蒸留水に投入し、回転数が60rpmのスター
ラにて1分間攪拌する。その後、#300メッシュの金
属性フィルターにて濾し取り、室温で24時間風乾させ
る。乾燥後、ルーペで観察しながら、繊維が2本以上融
着している繊維塊をピックアップする。その重量を秤量
し、分散不良糸の含有率を算出する。n=10の試験を
行い、その平均値で評価した。分散不良糸の割合は以下
の式で計算される。 分散不良糸の割合(%)=(分散不良糸の重量)×10
0÷(カットファイバーの重量)
【0022】(ろ過性能)純粋にJIS8種試験ダスト
とJIS7種試験ダストを重量比で、1:1の比で混合
してのち100PPMの濃度で懸濁させて、直径50m
mの資料を200cc/分のろ過速度でろ過試験を実施
した。入口濃度と出口濃度の比から、ろ過効率を計算し
た。以下、実施例をもって本発明を説明する。
【0023】
【実施例】(実施例1)重量平均分子量115,00
0、重量平均分子量と数平均分子量の比が2.3である
高密度ポリエチレンを0.8mm10Hからなる紡糸口
金から290度で単孔吐出量0.5g/minの速度で
押し出した。押し出された繊維は、110度に加熱され
た長さ15cmの保温筒を通りその後20度に保たれた
冷却バスでクエンチされ、300m/min速度で巻き
取られる。該未延伸糸を、100度に加熱し10m/m
inで供給し2倍の延伸を行った。さらにその後130
度まで加熱し7倍の延伸を行い、延伸糸を得た。得られ
た繊維の物性を表1に示した。得られた繊維を、クリン
パで1インチあたり12の捲縮をかけたあと、50mm
にカットした。繊維をカーディング法で目付100g/
m2の不織布としたが、加工工程でのトラブルもなく、
繊維も一本一本分散して不織布化できた。温度35度の
フラットカレンダーにより熱プレスしたところ、充填率
0.4に不織布を調整できた。不織布の表面が平滑化さ
れ、摩擦コントロールに好適であることが確認された。
ろ過精度は、ろ過開始後2分で、ろ過精度が68%、ラ
イフが約24分と良好であった。
【0024】(実施例2)実施例1において、2段目の
延伸倍率を14倍にした以外は実施例1と同様に紡糸実
験を行った。得られた繊維の物性を表1に示した。さら
に、温度85度のフラットカレンダーにより95ミクロ
ンのクリアランスをつけて熱プレスした。得られた目付
100g/m2の不織布は充填率が0.35であり、非
常に均質であった。ろ過精度は、ろ過開始後2分で、ろ
過精度が75%、ライフが約19分と良好であった。
【0025】(実施例3)実施例2の不織布を3枚積層
してろ過精度を測定した。ろ過精度は、ろ過開始後2分
で、ろ過精度が89%、ライフが約31分と良好であっ
た。
【0026】(比較例1)重量平均分子量3,200,
000、重量平均分子量と数平均分子量の比が6.3で
ある超高分子量ポリエチレンを10wt%およびデカヒ
ドロナフタレン90wt%のスラリー状の混合物を分散
しながら230度の温度に設定したスクリュー型の混練
り機で溶解し、170℃に設定した直径0.2mmを2
000ホール有する口金に計量ポンプにて単孔吐出量
0.08g/minで供給した。ノズル直下に設置した
スリット状の気体供給オリフィスにて1.2m/分の速
度で100℃に調整した窒素ガスをできるだけ糸条に均
等に当たるようにして繊維の表面のデカリンを積極的に
蒸発させ、その直後30度に設定された空気流にて実質
的に冷却し、ノズル下流に設置されたネルソン状のロー
ラーにて50m/分の速度で引き取られた、この際に糸
状に含有される溶剤は元の重量の約半分まで低下してい
た。引き続き、得られた繊維を100度の加熱オーブン
下で3倍に延伸した、引き続きこの繊維を149度に設
置した加熱オーブン中にて4.6倍で延伸した。途中破
断することなく均一な繊維が得ることができた。得られ
た繊維の物性を表1に示した。実施例2とポリエチレン
繊維が異なる以外は全く同じ方法で不織布化した。不織
布は、繊維が融着して太い繊維のように見えるところが
多く斑が大きかった。ろ過精度は、ろ過開始後2分で、
ろ過精度が71%とまずまずであったが、ライフが約1
1分と問題であった。繊維が束状に融着しているところ
はほぼフィルム化しており、ろ過に寄与していないこと
が原因と推定された。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】フィルター等に好適な分散性に優れ、繊
維形状が長手方向に均一なポリエチレン繊維よりなる不
織布の提供を可能とした。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D019 AA01 BA13 BB03 DA01 4L047 AA14 AB07 BA08 CC12 EA10 5H021 CC02 CC03 EE04 HH00 HH03 HH06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単繊維繊度が1.5dtex以下で繊維断
    面の形状が長手方向にそってほぼ均一であってカットフ
    ァイバーとしたときの分散不良糸の割合が2.0%以下
    である高強度ポリエチレン短繊維よりなることを特徴と
    する不織布。
  2. 【請求項2】高強度ポリエチレン短繊維が引っ張り強度
    が10cN/dtex以上、引っ張り弾性率が200c
    N/dtex以上のポリエチレン系繊維であることを特
    徴とする請求項1に記載の不織布。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の不織布を少なくとも1層
    に用いてなることを特徴とするフィルター。
JP2001311818A 2001-10-09 2001-10-09 不織布およびフィルター Expired - Fee Related JP3849852B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001311818A JP3849852B2 (ja) 2001-10-09 2001-10-09 不織布およびフィルター

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001311818A JP3849852B2 (ja) 2001-10-09 2001-10-09 不織布およびフィルター

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003113567A true JP2003113567A (ja) 2003-04-18
JP3849852B2 JP3849852B2 (ja) 2006-11-22

Family

ID=19130575

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001311818A Expired - Fee Related JP3849852B2 (ja) 2001-10-09 2001-10-09 不織布およびフィルター

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3849852B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007098259A (ja) * 2005-10-04 2007-04-19 Toray Ind Inc フィルター基材およびフィルターユニット
JP2010094666A (ja) * 2008-09-17 2010-04-30 Toray Ind Inc エレクトレット濾材およびその製造方法
JP7442379B2 (ja) 2020-04-15 2024-03-04 日本バイリーン株式会社 不織布濾材

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007098259A (ja) * 2005-10-04 2007-04-19 Toray Ind Inc フィルター基材およびフィルターユニット
JP2010094666A (ja) * 2008-09-17 2010-04-30 Toray Ind Inc エレクトレット濾材およびその製造方法
JP7442379B2 (ja) 2020-04-15 2024-03-04 日本バイリーン株式会社 不織布濾材

Also Published As

Publication number Publication date
JP3849852B2 (ja) 2006-11-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4839228A (en) Biconstituent polypropylene/polyethylene fibers
US5133917A (en) Biconstituent polypropylene/polyethylene fibers
KR100951222B1 (ko) 고강도 폴리에틸렌 섬유
WO2002048436A1 (fr) Fibre en polyethylene haute resistance
AU641147B2 (en) Biconstituent polypropylene/polyethylene bonded fibers
JP2003013326A (ja) ポリケトン繊維、その製造方法及びポリケトン撚糸物
JP2010148481A (ja) 組紐
JP3734077B2 (ja) 高強度ポリエチレン繊維
AU606357B2 (en) Biconstituent polypropylene/polyethylene fibers
JPWO2009028590A1 (ja) 生産性の高い高強度ポリエチレン繊維、及びその前駆体、並びに前駆体の製造方法
JP2001303358A (ja) 耐摩耗性に優れた高性能釣糸
JP2003522853A (ja) ポリプロピレン繊維
JP3666635B2 (ja) 均一性に優れた高強度ポリエチレン繊維
JP3849852B2 (ja) 不織布およびフィルター
JP4337233B2 (ja) 高強度ポリエチレン繊維およびその製造方法
JP4011265B2 (ja) ポリプロピレン繊維及びその製造方法
JP3849851B2 (ja) 高強度ポリエチレン繊維不織布および電池セパレータ
JP2003027333A (ja) ポリケトン繊維
JP2004019050A (ja) 耐切創性に優れるポリエチレン繊維、織編物及びその利用
JP7432994B2 (ja) 延伸複合繊維、不織布及び延伸複合繊維の製造方法
JP2005264349A (ja) ポリフェニレンサルファイド繊維および工業用織物
JP2018053412A (ja) ポリエチレンスパンボンド不織布
JP2000226721A (ja) 高強度ポリエチレン繊維
JP3165758B2 (ja) ポリプロピレン系長繊維不織布
WO2020095947A1 (ja) 不織布及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040929

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060313

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060330

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060525

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A132

Effective date: 20060608

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060718

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060810

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060823

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 3849852

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090908

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100908

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100908

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110908

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120908

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130908

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees