JP2003113446A - 耐粒界腐食性に優れた構造用ステンレス鋼 - Google Patents
耐粒界腐食性に優れた構造用ステンレス鋼Info
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Abstract
善した、溶接熱影響部の靭性に優れ、さらに低強度で高
い伸びを持つ、曲げ加工性に優れる、構造用ステンレス
鋼を提供する。 【解決手段】 C:0.02質量%未満、Si:1.0 質量%以
下、Mn:1.5 質量%以下、Al:0.10質量%以下、 Cr:1
1.0質量%以上15.0質量%以下、Ni:0.8 質量%超え3.0
質量%未満、Mo:0.5 質量%以上2.0 質量%以下およ
びN:0.05質量%超え0.10質量%以下を、所定の式を満
足する範囲にて含有する、成分組成とする。
Description
用マルテンサイト系ステンレス鋼の代替となるステンレ
ス鋼、 特に溶接および曲げ加工が多用される建築土木用
途に適合する、耐粒界腐食性に優れた構造用ステンレス
鋼に関するものである。
Cr−8質量%Ni鋼)に代表される、オーステナイト系ス
テンレス鋼を、例えばプールの上屋のような、屋外の人
目に付く部位で裸使用する等、ステンレス鋼の建築骨組
への適用が徐々に拡大している。 しかしながら,SUS304
などのオーステナイト系ステンレス鋼は、 原料コストの
高いNiを通常7〜15質量%程度で含有する、高価な材料
であるため、 よりコストが低く、しかも耐食性に優れた
鋼種が求められている。
と比較して、Ni含有量が低いためにコストの削減がはか
れるマルテンサイト系ステンレス鋼を、上記オーステナ
イト系ステンレス鋼の代替とすることが検討されてい
る。例えば、マルテンサイト系ステンレス鋼を建築骨組
等へ適用するには、建築骨組とする際に施される溶接加
工の溶接部における耐食性を改善し、 かつ溶接部以外の
母材の耐食性も優れること、さらに低強度で伸びを高く
して曲げ加工等も容易にすることが、必要になる。
ルテンサイト系ステンレス鋼は、Cr含有量が11〜15質量
%であり,SUS430(16質量%Cr含有鋼)や上記SUS304と
比較すると耐食性が不足している。 特に、溶接熱影響部
では、 Crが炭窒化物となって粒界に析出してCr欠乏層が
形成されるため、 このCr欠乏層を起点とした腐食が進行
し易く、特にCr含有量の低いマルチンサイト系ステンレ
ス鋼では、この現象が顕著であり、耐粒界腐食性の低下
が著しい。
公平4−35551 号公報では、C、S、PおよびO等の不
純物元素の含有量を極力低減することにより、 耐食性お
よび加工性をSUS430以上としたステンレス鋼が記載され
ている。 しかし、 鋼の靭性を顕著に向上させるNiの添加
量が十分でないなどの理由により、 溶接熱影響部の靭性
が不足し、 構造物には用いることが出来ない場合があっ
た。
環境での耐食性、溶接性および溶接部特性に優れた建築
構造用ステンレス鋼が記載されている。この鋼は、耐溶
接割れ性および溶接熱影響部の靭性には優れていたが、
特に注意すべき溶接部の耐粒界腐食性への対応がなされ
ていなかった。
的は、上記の問題を解決し、特に溶接熱影響部の耐粒界
腐食性を顕著に改善した、溶接熱影響部の靭性に優れ、
さらに低強度で高い伸びを持つ、曲げ加工性に優れる、
構造用ステンレス鋼を提供することにある。
を達成すべく、ステンレス鋼の成分が,母材の耐食性
(粒界腐食ではなく、孔食あるいは肉厚減少のような均
一な腐食への耐性を指す:以下、同様)および機械的性
質と、溶接部の耐粒界腐食性および靭性に及ぼす影響に
ついて詳細に調査した。その結果、以下の(a)および
(b)を同時に達成することにより、特にCrC の粒界析
出に伴う粒界腐食が顕著に防止されることを新たに見出
した。
析出を減少させる。 すなわち、C含有量の低減は、 溶接
熱影響部の靭性向上および強度を低下させ、加工性を改
善する効果をも示す。 そして、Cの低減に伴うマルテン
サイト生成量の減少はN添加で補う。
物の析出が抑制される結果、CrC の粒界析出が低減す
る。同時に、NおよびMoの添加は、母材の耐食性を改善
させる効果も示す。
として、13質量%Cr−0.8 質量%Mn−1.5 質量%Ni−1
質量%Moをベースに、CおよびNの含有量を変えた鋼に
ついて、 溶接熱影響部の耐粒界腐食性を調べた結果につ
いて、図1に示す。 なお、耐粒界腐食性は、板厚3mmの
熱延焼鈍板を酸洗してから、Y308 ワイヤを用いてMIG
による突き合わせ溶接を行い、 余盛を研削した溶接部分
を沸騰硫酸・硫酸銅溶液中に16時間浸漬したのち、 溶接
部に曲げ試験を行って、 溶接熱影響部の粒界腐食の有無
を調べて評価した。 図1に示すように、C含有量が0.02
質量%より低い領域において,N含有量が0.05質量%か
ら0.01質量%の間では、 粒界腐食は見られなかった。
たものであり、 その構成は次の通りである。 (i) C:0.02質量%未満、Si:1.0 質量%以下、Mn:1.
5 質量%以下、Al:0.10質量%以下、 Cr:11.0質量%以
上15.0質量%以下、Ni:0.8 質量%超え3.0 質量%未
満、Mo:0.5 質量%以上2.0 質量%以下およびN:0.05
質量%超え0.10質量%以下を、下記式(1) および(2) を
満足する範囲にて含有し、かつP:0.04質量%以下およ
びS:0.01質量%以下に抑制し、残部が実質的にFeおよ
び不可避的不純物の成分組成になることを特徴とする耐
粒界腐食性に優れた構造用ステンレス鋼。 記 [Cr]+1.5×[Mo]+1.2×[Ni]+ 25×[N] ≧17.0----(1) [Cr]+0.4×[Si]+0.3×[Mo]-0.4×[Mn]-0.7×[Ni]-35 ×[C]-10×[N] ≦12.0 ----(2) ここで、[Cr]、[Mo]、[Ni]、 [N] 、[Si]、[Mn]および
[C] は、 それぞれCr、Mo、Ni、N、Si、MnおよびCの
含有量(質量%)
Cu:2 質量%以下およびCo:2 質量%以下の1種または
2種を含有し、かつ下記式(3) および(4) を満足するこ
とを特徴とする耐粒界腐食性に優れた構造用ステンレス
鋼。 記 [Cr]+1.5×[Mo]+1.2×[Ni]+ 25×[N]+ 0.5×[Cu]+0.3×[Co]≧17.0---(3) [Cr]+0.4×[Si]+0.3×[Mo]-0.4×[Mn]-0.7×[Ni]-0.6×[Cu]- 35×[C] -10 ×[N] ≦12.0---(4) ここで、[Cr]、[Mo]、[Ni]、 [N] 、[Cu]、[Co]、[S
i]、[Mn]および [C]は、 それぞれCr、Mo、Ni、N、C
u、Co、Si、MnおよびCの含有量(質量%)
にTi:0.2 質量%以下、Nb:0.2 質量%以下、V:0.2
質量%以下、Zr:0.2 質量%以下およびTa:0.2 質量%
以下の1種または2種以上を含有することを特徴とする
耐粒界腐食性に優れた構造用ステンレス鋼。
いて、さらにB:0.0050質量%以下およびCa:0.0050質
量%以下の1種または2種を含有することを特徴とする
耐粒界腐食性に優れた構造用ステンレス鋼。
て、さらにW:0.10質量%以下およびMg:0.01質量%以
下の1種または2種を含有することを特徴とする耐粒界
腐食性に優れた構造用ステンレス鋼。
(以下、本発明鋼という)について詳細に説明する。 C:0.02質量%未満 本発明鋼において、 Cは、溶接後の冷却中に、 600 〜70
0 ℃付近でCrと結合してCrC となって粒界に析出し、 Cr
欠乏層を形成させるため、 粒界腐食を促進する元素であ
る。 Cの含有量が0.02質量%以上になると、その悪影響
が顕著となると共に、 溶接熱影響部の靭性が低下し、さ
らに強度も高くなり加工性も低下するため、0.02 質量%
未満に限定する。 特に、 耐粒界腐食性の観点からは、 上
限を0.012 質量%とすることが望ましい。
度を高める元素である。 しかしながら、その含有量が1.
0 質量%を超えると、鋼を顕著に脆化させて溶接熱影響
部の靭性を低下するばかりでなく、 強度が高くなり加工
性も低下することから、 1.0 質量%を上限とする。 特
に、溶接熱影響部の靭性の観点からは、0.50質量%以下
の含有が望ましい。
相生成を促進し、 溶接熱影響部に微細なマルテンサイト
組織を50体積%以上生成させることにより、 構造用ステ
ンレス鋼に要求れる溶接部の靭性を向上させる、効果を
有する。 そのためには、0.5 質量%を超えて添加するこ
とが好ましい。 しかし、過剰に添加すると耐食性を低下
させ、 また鋼の強度を高めて加工性を低下させることか
ら、1.5質量%以下に限定する。 特に、耐食性の観点か
らは、1.0 質量%以下の含有が望ましい。
介在物の形成し、 靭性の低下が顕著になるため、0.10質
量%以下に限定する。 特に、溶接熱影響部の靭性確保の
観点からは、0.05質量%以下とすることが好ましい。な
お、脱酸剤として用いるためには、0.01質量%以上で含
有することが好ましい。
元素成分であり、 十分な耐食性および耐粒界腐食性を得
るためには、11.0質量%以上が必要であり、 これを下限
とする。 特に、耐食性の観点から、Crは12.0質量%以上
添加することが好ましい。 一方、Crは鋼の靭性を低下さ
せ、特に15.0質量%を超えて含有すると、靭性の低下が
著しくなるため、15.0質量%を上限とする。特に、靭性
の観点からは、Crを14.0質量%以下とすることが望まし
い。
た高温(およそ1000〜1100℃)でのオーステナイト相生
成を促進し、 溶接熱影響部に微細なマルテンサイト組織
を50体積%以上生成させることにより、 構造用ステンレ
ス鋼の特徴である溶接部靭性を向上させる。 この効果を
得るためには、0.8 質量%を超えて添加する必要があ
る。 しかしながら、3.0 質量以上%を添加しても、その
効果が飽和するばかりでなく、 鋼の強度が高くなり加工
性が低下し、 また素材のコストが高くなるため、3.0 質
量%未満の含有とする。
および耐粒界腐食性の改善効果を得るためには、0.5 質
量%以上の含有が必要である。 一方、2.0 質量%を超え
て含有すると、 その効果が飽和するばかりでなく、 靭性
を低下させ、 また強度が高くなり加工性を低下するた
め、2.0 質量%を上限とする。 特に、耐食性および耐粒
界腐食性の観点からは、1.0 質量%以上で含有すること
が望ましい。
固溶状態のNは、 耐食性を改善させる。 また、 Nの添加
は、CrC の析出を抑制する効果があり、 耐粒界腐食性を
も改善させる。 この効果を得るためには、0.05質量%を
超える含有が必要である。 一方、Nを過度に含有する
と、固溶できなくなったNがCrN として粒界に析出する
ため、 耐粒界腐食性が低下する。 また、Cと同様に溶接
部靭性を低下させ、 さらには強度を高めて加工性を低下
させる。 すなわち、含有量が0.10質量%を超えると、そ
の悪影響が顕著となるため、0.10質量%以下に限定す
る。 特に、 溶接部靭性の観点から、 上限は0.07質量%と
することが望ましい。
る限り含有量が低い方が製造性が良好である。 したがっ
て0.04質量%を上限とする。 熱間加工性の観点からは、
含有量を0.02質量%以下にすることが望ましい。 なお、
あまりに低くすると、製鋼のコストの上昇を招くことに
なる。
低下するため、上限を0.01質量%とする。 製鋼時の脱S
処理にかかる経済的制限から熱間加工性の観点からは,
含有量を0.003 質量%以下にすることが望ましい。 な
お、あまりに低くすると、製鋼コストの上昇を招くこと
になる。
成において、上記した式(1) および(2) の2式を満たす
ことが必須となる。すなわち上記(1)式は、 母材の耐食
性に及ぼす各種元素の影響を定式化したものであり、 こ
の左辺が17.0以上であれば,SUS430(16質量%Cr含有
鋼)以上の耐食性が得られる。 母材の耐食性の改善とと
もに、 耐粒界腐食性も改善される。
いわゆるフェライト生成元素であり、構造用ステンレス
鋼の特徴である高温(およそ1000〜1100℃)でのオース
テナイト相を生じにくくする。 また,Mn、Ni、(Cu)、
CおよびNはオーステナイト生成元素であり、高温での
オーステナイト相を生じやすくする。すなわち、(2)式
の左辺の値が大きいほど高温でのオーステナイト相が生
じにくくなることを意味する。 そして、 発明者らが詳細
に調査した結果、溶接熱影響部の靭性を向上させるに
は、溶接時の入熱による溶接熱影響部の結晶粒の粗大化
を防止し、微細化することが重要である。 そして、上記
(2) 式の左辺の値が12.0以下であれば、高温でのオース
テナイト相から冷却される際のマルテンサイト相への変
態により、溶接熱影響部に微細なマルテンサイト組織が
50体積%以上生じるために、 溶接熱影響部の靭性が顕著
に向上する。
る場合には、フェライト単相あるいは高温で極少量のオ
ーステナイト相しか生じないため、溶接熱影響部でフェ
ライト粒が粗大化し、靭性が顕著に低下する。以上の知
見により、溶接熱影響部の靭性向上のため、上記(2) 式
の左辺の値を12.0以下に限定した。
成分に加えて、後述するCuおよびCoの1種または2種を
添加することが可能であり、この場合は、上記した式
(1) および(2) に替えて、上記した式(3) および(4) を
満足することが肝要である。但し、式(3) および(4) に
て表される意義は、上記の式(1) および(2) と同様であ
る。
加えて、以下の各成分を必要に応じて添加することが可
能である。 Cu:2 質量%以下およびCo:2 質量%以下の1種または
2種 CuおよびCoは、 Moと同様に耐食性の改善に有効な元素で
あるため、 必要に応じて添加する。 十分な耐食性および
耐粒界腐食性の改善効果を得るためには、 それぞれ0.3
質量%以上は添加することが好ましい。一方、それぞれ
2質量%を超えて含有すると、 効果が飽和するばかりで
なく、 靭性および加工性を低下させるため、2質量%を
上限とする。
以上をそれぞれ0.2 質量%以下 Ti,Nb,V ,ZrおよびTaは、炭化物を形成しやすい元素
であり, CrC の析出を防止し耐粒界腐食性を改善するた
め、必要に応じて添加する。 しかしながら、0.2 質量%
を超えて添加すると、これらの炭窒化物が粒界に析出す
るようになり、靭性が低下するため、0.2 質量%を上限
とする。なお、Ti,Nb,V ,ZrおよびTaの添加効果は微
量添加によっても得られるから、特に下限を設ける必要
はない。
量%以下の1種または2種 BおよびCaは、微量の添加で鋼の熱間加工性を向上する
効果があり、必要に応じて添加する。 しかしながら,0.
0050質量%を超えて添加しても、効果が飽和するばかり
でなく、耐食性が低下するため、0.0050質量%を上限と
する。なお、BおよびCaの添加効果は微量添加によって
も得られるから、特に下限を設ける必要はない。
以下の1種または2種 WおよびMgは、鋼の耐食性を改善する効果があり、 必要
に応じて添加する。 しかしながら、WおよびMgはそれぞ
れ0.10質量%および0.01質量以上で含有すると、靭性を
低下させるため、WおよびMgはそれぞれ0.10質量%およ
び0.01質量%以下に限定する。 なお、WおよびMgの添加
効果は微量添加によっても得られるから、特に下限を設
ける必要はない。
よび不可避的不純物からなる。 すなわち、残部にFe以外
にアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素および
遷移金属などが少量含有されることを意味する。これら
の元素の少量の含有は、本発明の効果を何ら妨げるもの
ではない。
に限定されず、ステンレス鋼の製造の一般に従えばよ
い。例えば、製鋼は、前記基本成分および必要に応じて
添加される成分とを、転炉あるいは電気炉等で溶製し、
VOD (Vacuum Oxygen Decarburization )あるいはAOD
(Argon Oxygen Decarurization )により2次精錬を行
う方法が好適である。溶製した溶鋼は、公知の鋳造方法
にしたがって鋼素材とすることができるが、生産性およ
び品質の観点から、連続鋳造法を適用することが好まし
い。
1000〜1250℃に加熱され、熱間圧延により所望の板厚の
熱延板とされる。この熱延板は、必要に応じて、好まし
くは600 〜800 ℃のバッチ式焼鈍を施した後、酸洗等に
より脱スケールされて製品となる。 また、用途によって
は、冷間圧延を施し、700 〜800 ℃の連続焼鈍後に酸洗
を施して、冷延焼鈍板としたのち、薄板製品となる。
MIG 、MAG およびTIG 等のアーク溶接、スポット溶接、
そしてシーム溶接などがすべて適用可能である。本発明
鋼は,C含有量が十分に低く、 溶接割れが防止されてい
るため、 溶接後の後熱処理が不要で、 溶接ままでも構造
材として十分使用可能であるが、 強度の調整などのため
に、 後熱処理を行っても良い。
げ、この発明をより具体的に説明する。まず、表1に示
す化学組成を有する50kg鋼塊を真空溶解炉で溶製し、通
常の熱間圧延により厚さ3mmの熱延板とした。その後、
アルゴン雰囲気中にて700 ℃×10時間の加熱処理後徐冷
する、焼なまし熱処理を行ってから、酸洗で脱スケール
を行って供試材とした。 かくして得られた供試材から、
寸法70mm×150mm のサンプルを採取し、JIS Z2371 に準
拠した塩水噴霧試験(SST)を24時間行って試験面の発錆
面率を測定し、耐食性を評価した。
突き合わせ溶接(ワイヤY308 ,電流:240A,電圧:19
V,溶接速度:9mm/s,シールドガス:100 %Arを20
リットル/分、 ルートギャップ:1 mm)を行い、 耐粒界
腐食性を調べるため、 溶接部を沸騰硫酸・硫酸鋼溶液中
に入れたのち、 曲げ試験を行って、 溶接熱影響部の粒界
腐食割れの有無を調べた。 試験溶液は,1.8 %H2SO4 +
6.4 %CuSO4 であり、銅片を試験終了後も残存するよう
に添加した。 なお、試験片は、 図2に示すサイズとし、
溶接余盛を研削したのち、 溶接熱影響部を中心にして、
寸法25mm×70mmを切り出した。 この試験片を試験溶液中
に入れ連続16時間沸騰試験を行ったのち、試験溶液から
取り出し、 溶接熱影響部を中心に曲げ半径3.0mm の180
度曲げを行い、 曲げの外側を拡大鏡で観察し、 粒界腐食
による割れの有無を調べた。
に示すサイズとし、 溶接余盛を研削した後、 溶接熱影響
部にノッチ加工を施し、 JIS Z2242に準拠したシャルピ
ー衝撃試験を行い、 0℃でのシャルピー衝撃値を測定し
た。さらにまた、JIS Z2201の13号B形状の試験片を採
取し、 JIS Z2241に準拠した引張試験により、 圧延方向
の破断強度および破断伸びを測定した。以上の測定並び
に評価結果を、表1に併記する。
下、試験温度0℃での溶接熱影響部のシャルピー衝撃値
(vEO ℃)は50J /cm2 以上、そして破断伸びは28%以
上であれば、 実使用環境における特性に優れ、この発明
で所期する性能が得られていることになる。
ステンレス鋼は、母材の耐食性、 溶接部の耐粒界腐食
性、 さらに溶接熱影響部の靭性が優れていることが分か
る。 また、 強度が低く伸びが高いため、 加工性にも優れ
ている。 比較鋼は、 これらのいずれかの特性が本発明鋼
に比べて劣っている。
溶接部の耐粒界腐食性が顕著に改善され、 しかも溶接熱
影響部の靭性に優れかつ加工性にも優れた、構造用に適
したステンレス鋼を提供できる。本発明鋼は、 例えば、
溶接が必須であり、 曲げ等の加工性が必要となる、建築
土木構造物にとりわけ適している。
図である。
である。
示す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】C:0.02質量%未満、 Si:1.0 質量%以下、 Mn:1.5 質量%以下、 Al:0.10質量%以下、 Cr:11.0質量%以上15.0質量%以下、 Ni:0.8 質量%超え3.0 質量%未満、 Mo:0.5 質量%以上2.0 質量%以下および N:0.05質量%超え0.10質量%以下を、下記式(1) およ
び(2) を満足する範囲にて含有し、かつ P:0.04質量%以下および S:0.01質量%以下 に抑制し、残部が実質的にFeおよび不可避的不純物の成
分組成になることを特徴とする耐粒界腐食性に優れた構
造用ステンレス鋼。 記 [Cr]+1.5×[Mo]+1.2×[Ni]+ 25×[N] ≧17.0----(1) [Cr]+0.4×[Si]+0.3×[Mo]-0.4×[Mn]-0.7×[Ni]-35 ×[C]-10×[N] ≦12.0 ----(2) ここで、[Cr]、[Mo]、[Ni]、 [N] 、[Si]、[Mn]および
[C] は、 それぞれCr、Mo、Ni、N、Si、MnおよびCの
含有量(質量%) - 【請求項2】請求項1に記載の成分組成に、さらに Cu:2 質量%以下および Co:2 質量%以下 の1種または2種を含有し、かつ下記式(3) および(4)
を満足することを特徴とする耐粒界腐食性に優れた構造
用ステンレス鋼。 記 [Cr]+1.5×[Mo]+1.2×[Ni]+ 25×[N]+ 0.5×[Cu]+0.3×[Co]≧17.0---(3) [Cr]+0.4×[Si]+0.3×[Mo]-0.4×[Mn]-0.7×[Ni]-0.6×[Cu]- 35×[C] -10 ×[N] ≦12.0---(4) ここで、[Cr]、[Mo]、[Ni]、 [N] 、[Cu]、[Co]、[S
i]、[Mn]および [C]は、 それぞれCr、Mo、Ni、N、C
u、Co、Si、MnおよびCの含有量(質量%) - 【請求項3】請求項1または2において、さらに Ti:0.2 質量%以下、 Nb:0.2 質量%以下、 V:0.2 質量%以下、 Zr:0.2 質量%以下および Ta:0.2 質量%以下 の1種または2種以上を含有することを特徴とする耐粒
界腐食性に優れた構造用ステンレス鋼。 - 【請求項4】請求項1ないし3のいずれかにおいて、さ
らに B:0.0050質量%以下および Ca:0.0050質量%以下 の1種または2種を含有することを特徴とする耐粒界腐
食性に優れた構造用ステンレス鋼。 - 【請求項5】請求項1ないし4のいずれかにおいて、さ
らに W:0.10質量%以下および Mg:0.01質量%以下 の1種または2種を含有することを特徴とする耐粒界腐
食性に優れた構造用ステンレス鋼。
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