JP2003113297A - 二軸延伸ポリ乳酸系フィルム - Google Patents

二軸延伸ポリ乳酸系フィルム

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JP2003113297A
JP2003113297A JP2001307104A JP2001307104A JP2003113297A JP 2003113297 A JP2003113297 A JP 2003113297A JP 2001307104 A JP2001307104 A JP 2001307104A JP 2001307104 A JP2001307104 A JP 2001307104A JP 2003113297 A JP2003113297 A JP 2003113297A
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film
acid
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Norio Yoshiga
法夫 吉賀
Eiji Yoshida
英二 吉田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐スクラッチ性に優れた、生分解性の二軸延
伸ポリ乳酸系フィルムを提供すること。 【解決手段】 二軸延伸ポリ乳酸系フィルムは、ポリ乳
酸に、平均一次粒径が1〜400nm、連鎖係数が3〜
200である連鎖状粒子を0.005〜5質量%を含有
する樹脂組成物を主成分とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二軸延伸ポリ乳酸
系フィルムに関し、特に、耐スクラッチ性に優れた二軸
延伸ポリ乳酸系フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック製品の廃棄処理問題が近年
クローズアップされてきた。ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラ
スチック材料は燃焼時の発熱量が多く、燃焼処理中に燃
焼炉をいためるおそれがあり、また現在でも使用量の多
いポリ塩化ビニルはその自己消化性のため燃焼すること
ができない。このような焼却できない材料も含めプラス
チック製品は土中に埋設処理されることが多いが、これ
らは化学的に安定で生分解性がないため、ほとんど分解
されることなく残留し、蓄積される。そのため、ゴミ処
理用地の能力を短期間で飽和させてしまう。そこで、燃
焼熱量が低く、かつ人体等に安全である生分解性の材料
が要求され、多くの研究がなされてきた。その一つとし
て、ポリ乳酸が知られている。ポリ乳酸は、燃焼熱量が
ポリエチレンの半分以下であり、土中や水中で自然に加
水分解が進行し、次いで微生物により無害な分解物とな
る。現在、ポリ乳酸を用いたフィルムやシート、ボトル
などの容器(成型物)等の開発が盛んに行われている。
【0003】近年においては、フィルムやシートの加工
工程において、例えば、カレンダーや巻き取り、製品の
組み込み工程等において、工程速度の高速化が求められ
ている。しかし、ポリ乳酸のフィルムやシートは、フィ
ルム走行時に接触するロールやガイドによって表面傷が
つきやすく、特に高速度でフィルム走行させる場合に
は、なおさらであった。そのため、高速工程においても
フィルム表面に傷がつきにくい、耐スクラッチ性に優れ
たフィルムが求められていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点を
解決すべくなされたものであり、本発明の目的は、生分
解性を有し、かつ、耐スクラッチ性に優れた二軸延伸ポ
リ乳酸系フィルムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の二軸延伸ポリ乳
酸系フィルムは、ポリ乳酸に、平均一次粒径が1〜40
0nm、連鎖係数が3〜200である連鎖状粒子を0.
005〜5質量%含有する樹脂組成物を主成分とするこ
とを特徴とする。前記樹脂組成物に無機粒子を含有する
ことが好ましく、また有機系潤滑剤を含有することが好
ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の二軸延伸ポリ乳酸系フィ
ルムは、ポリ乳酸100質量%に対して連鎖状粒子を
0.005〜5質量%、好ましくは、0.01〜2質量
%含有する。連鎖状粒子をかかる範囲で含有していない
と、耐スクラッチ性が不良となる。本発明において使用
される連鎖状粒子は、長さ方向に連続して棒状となって
いる棒状形態でも、微細な粒子が連続してつながった数
珠形態でもよいが、数珠形態のものの方が耐スクラッチ
性がより良好となるので好ましい。また、連鎖状粒子に
おいて微細な粒子同士は、互いに共有結合やイオン結合
等により結合していても構わないし、単に凝着している
だけでも良いが、フィルム中で連鎖状の形態を保持する
ためには、共有結合やイオン結合等のような強い結合形
態で結合していることが好ましい。さらにまた、微細な
粒子の連結状態は、直鎖状に連結していても良いが、ジ
グザグ状または二重連鎖や三重連鎖状に連結していても
構わない。
【0007】連鎖状粒子の平均一次粒径は、1〜400
nmである。1nmよりも小さいと、ハンドリング性に
問題が生じる。400nmを超えると、フィルム表面の
突起高さが高くなっている連鎖状粒子は削り取られやす
く、また、突起高さにバラツキが生じやすいので、耐ス
クラッチ性は悪くなる。本発明において、連鎖状粒子
は、連鎖係数が3〜200の範囲内であることが必要で
あり、好ましくは5〜100の範囲である。連鎖係数が
3より小さいとき、又は200より大きい場合には、良
好な耐スクラッチ性は得られない。連鎖状粒子は途中で
分岐していてもよい。連鎖状粒子の分岐指数が1〜50
の範囲内にあると、特に耐スクラッチ性が良好となるの
で好ましい。
【0008】ここで、連鎖状粒子の平均一次粒径とは、
連鎖状粒子を含有するフィルムを厚さ方向に1000オ
ングストローム程度の超薄切片とし、透過型電子顕微鏡
を用いて、約5万〜50万倍の倍率で連鎖状粒子を観察
した時に、これ以上分割することができない粒子を一次
粒子とし、これらの中で最も小さな粒子の大きさを一次
粒径とする。また、顕微鏡の50視野について、一次粒
径を平均した値を平均一次粒径とする。ただし、一次粒
子が共有結合等により強く結合されていて、一次粒子の
確認が困難である場合には、連鎖状に繋がった粒子の太
さを一次粒子とみなすものとする。また、連鎖係数と
は、連鎖状に繋がっている粒子の最も長い部分を長径と
し、その長径方向に、一次粒子が何個繋がっているかを
測定し、顕微鏡の50視野について、平均した値を連鎖
係数とする。ただし、一次粒子が強く結合されていて、
一次粒子の確認が困難である場合には、連鎖状粒子の長
径をその一次粒径(太さ)で割った値を連鎖係数とす
る。分岐指数とは、連鎖状に繋がっている粒子の最も長
い部分を主鎖とし、主鎖から分岐している分岐数をい
う。
【0009】本発明において、連鎖状粒子の硬度は、モ
ース硬度で5〜10の範囲であることが好ましい。この
範囲内であれば、フィルムの表面を補強する効果が大き
く、耐スクラッチ性がより一層良好になる。
【0010】連鎖状粒子の製造法は、特に限定されない
が、例えば、連鎖状シリカ粒子を例にとって説明する
と、水ガラスなどを原料として、イオン交換法等によっ
て粒子を合成する際に、適当な大きさに粒子が成長した
時点でカチオン等を添加する。このようにして、微細な
粒子を結合させた連鎖状粒子を得ることができる。ま
た、一旦結合した状態の粒子をそのまま更に成長させる
ことにより、粒子間の結合をさらに強いものとすること
ができる。
【0011】本発明の二軸延伸ポリ乳酸系フィルムは、
耐ブロッキング性を得るために無機粒子を含有すること
が好ましい。無機粒子としては、二酸化チタン、酸化ア
ルミニウム、酸化ジルコニウム、カオリナイト等の金属
酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリ
ウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸
リチウム、硫酸バリウム、フッカリチウム等の金属の塩
等が挙げられる。良好な耐ブロッキングを維持しつつ、
透明性にも優れたフィルムが得られることを考慮する
と、ポリ乳酸と屈折率の近い粒子であるシリカを使用す
ることが好ましく、特に、1次粒子が凝集してできた凝
集体のシリカ粒子、破砕型シリカ、ガラスフィラーが好
ましい。また、無機粒子の平均粒径と添加量はフィルム
の厚みによって適宜選択されが、通常、平均粒径は0.
5〜5μmであることが好ましく、添加量は0.03〜
5質量%が好ましい。本範囲内であれば、耐スクラッチ
性を劣化させることなく、ブロッキング性の改良効果を
得ることができる。
【0012】乳酸系ポリマーは連鎖状粒子、あるいは、
連鎖状粒子と無機粒子を含有するため、粘度の上昇を招
き、フィルム作成時に押出しにくくなる場合がある。そ
こで、本発明においては、ポリ乳酸系樹脂組成物に有機
系潤滑剤を添加することが好ましい。ポリ乳酸系樹脂組
成物に有機系潤滑剤を添加すると、押出し不良を防ぐこ
とができる。有機系潤滑剤の添加量は、ポリ乳酸系樹脂
組成物100質量部に対して、0.001〜0.1質量
部含有することが好ましい。本発明に使用される有機系
潤滑剤としては、例えば、炭化水素樹脂、脂肪酸エステ
ル、パラフィン、高級脂肪酸、脂肪族ケトン、脂肪酸ア
ミド等が挙げられるが、高級脂肪酸のビスアミド及び高
級脂肪酸の金属塩を併用することが好ましく、ポリ乳酸
系樹脂組成物100質量部に対して、それぞれ0.00
1〜0.05質量部の範囲で添加することが好ましい。
ここで、高級脂肪酸のビスアミドとは、メチレンビス・
ステアリン酸アミド、エチレンビス・ステアリン酸アミ
ド、エチレンビス・ラウリン酸アミド、エチレンビス・
バルミチン酸アミド、エチレンビス・オレイン酸アミド
等が挙げられる。これらの中では、エチレンビス・ステ
アリン酸アミドが好ましい。また、高級脂肪酸の金属塩
としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグ
ネシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、
ステアリン酸アルミニウム等が挙げられる。なお、有機
系潤滑剤は、ポリ乳酸系樹脂組成物のペレットに添加す
ると、ペレットの凝集をも防ぐことができ、成形条件の
温度範囲を広くすることができるので好ましい。
【0013】本発明において使用されるポリ乳酸は、構
造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、構造単位が
D−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸
及びD−乳酸であるポリ(DL−乳酸)やこれらの混合
体を主成分とするものをいう。本発明においては、さら
には、後述する他のヒドロキシカルボン酸単位との共重
合体であってもよく、また少量の鎖延長剤残基を含んで
もよい。ポリ乳酸の構成としてはD−乳酸:L−乳酸=
100:0〜94:6または0:100〜6:94であ
ることが好ましい。かかる範囲を外れる構成のポリ乳酸
は、結晶性が低くなり耐熱性に劣るものとなる。ポリ乳
酸に共重合される上記他のヒドロキシカルボン酸単位と
しては、乳酸の光学異性体(L−乳酸に対してはD−乳
酸、D−乳酸に対してはL−乳酸)、グリコール酸、3
−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキ
シ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪
酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳
酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族ヒドロ
キシカルボン酸やカプロラクトン、ブチロラクトン、バ
レロラクトン等のラクトン類が挙げられる。
【0014】ポリ乳酸系重合体の重合方法としては、縮
合重合法、開環重合法等公知の方法を採用することがで
きる。例えば、縮合重合法では、L−乳酸またはD−乳
酸、あるいはこれらの混合物等を直接脱水縮合重合して
任意の組成を有するポリ乳酸系重合体を得ることができ
る。また、開環重合法(ラクチド法)では、乳酸の環状
2量体であるラクチドを、必要に応じて重合調節剤等を
用いながら、適当な触媒を使用してポリ乳酸系重合体を
得ることができる。
【0015】本発明において使用されるポリ乳酸系重合
体は、重量平均分子量が6万〜70万であることが好ま
しく、より好ましくは8万〜40万、特に好ましくは1
0万〜30万である。分子量が小さすぎると機械物性や
耐熱性等の実用物性がほとんど発現されず、大きすぎる
と溶融粘度が高すぎて成形加工性に劣る。
【0016】本発明に使用されるポリ乳酸系重合体を用
いて食品衛生性試験の溶出試験を行うと、かかる試験に
おいて溶出してくるものは、ラクチド、乳酸のオリゴマ
ー、乳酸である。ラクチドは体内に吸収されても直ぐに
乳酸に変化し、乳酸及び乳酸のオリゴマーはそれぞれ食
品添加物として使用されているものであり、人体等に対
する安全性は保障されている。
【0017】次に、連鎖状粒子又は連鎖状粒子及び無機
粒子をポリ乳酸に含有せしめる方法を説明する。ポリ乳
酸への添加方法としては、例えば、二軸混練押出機等を
用いて混合することができる。特に、ベント式二軸混練
押出機などを用いて粒子をポリマー中に混練すると、連
鎖係数を本発明の範囲内とするのに有効である。更にこ
のようにして得られたポリマーを、再度ベント式二軸混
練押出機で再混練すると、粒子が微細化され、フィルム
表面の平均突起高さ等を適当な範囲とすることができ
る。このとき、微細なガラスビーズ等をメディアとして
分散させると、連鎖係数を本発明の範囲とするのに好ま
しい。
【0018】本発明においては、ポリ乳酸に連鎖状粒子
又は連鎖状粒子及び無機粒子を押出機等で含有せしめ、
ポリ乳酸系樹脂組成物のペレットを形成し、その後、フ
ィルム成形することが好ましい。なお、連鎖状粒子の含
有量を調節するためには、高濃度のマスターペレットを
製膜時に希釈する方法を用いることが好ましい。
【0019】本発明においてポリ乳酸のペレットを形成
する場合に、ペレットの形状は、直径1〜4mmで0.
8〜50mm3であることが好ましく、直径2〜3mm
で9〜20mm3であることが好ましい。ポリ乳酸のペ
レットに有機系潤滑剤を添加する方法は、二軸混練押出
機を用いて連鎖状粒子又は連鎖状粒子及び無機粒子と一
緒に混練する方法、あるいは、例えば、タンブラー、リ
ボンミキサー等を用いて、連鎖状粒子又は連鎖状粒子及
び無機粒子を含有したペレットと有機系潤滑剤とを混合
することができる。
【0020】例えば、ポリ乳酸系フィルムを押出成形法
により製造する場合には、公知のTダイ法、インフレー
ション法等が適用でき、これらの方法により未延伸フィ
ルムを得ることができる。押出し温度は、用いるポリ乳
酸の融解温度(Tm)〜(Tm+70℃)の範囲、より
好ましくは、(Tm+20℃)〜(Tm+50℃)の範囲
である。押出し温度が低すぎると、押出機に対して負荷
がかかりすぎるために安定して押出し成形を行うことが
困難となりやすい。また、逆に、押出し温度が高すぎる
と、ポリ乳酸が分解しやすくなるので好ましくない。ポ
リ乳酸系フィルムを製造するのに用いる押出機のダイと
しては、環状又は線状のスリットを有するものを用いる
ことができる。また、ダイの温度については、押出温度
と同様の温度が適用される。
【0021】ポリ乳酸系未延伸フィルムの二軸延伸は、
一軸目の延伸と二軸目の延伸を逐次に行っても、同時に
行っても良い。延伸温度は、用いるポリ乳酸の(Tg)
〜(Tg+50℃)の範囲が好ましい。さらに好ましく
は、Tg+10℃〜Tg+40℃の範囲である。延伸温
度が低すぎると延伸が困難であり、逆に高すぎると厚み
均一性または得られたフィルムの機械的強度が低下し好
ましくない。
【0022】縦、横の延伸はそれぞれ1段階でも多段階
に分けて行っても良いが、それぞれの延伸方向に最終的
には少なくとも3倍以上、好ましくは、3.5倍以上、
また、縦・横面積倍率で9倍以上、更に好ましくは12
倍以上延伸することが厚みの均一性や機械的性質の点か
ら好ましい。縦・横延伸比がそれぞれ3倍以下、または
面積倍率が9倍以下では、厚み均一性の良いフィルムは
得るのが困難になり、また、機械的強度等の物性の充分
な向上が得られ難い。さらに必要に応じて、熱固定処
理、縦弛緩処理、または横弛緩処理などを施してもよ
い。さらに好ましくは、二軸延伸後に熱固定される。
【0023】尚、二軸延伸フィルムにおける長手方向
は、縦延伸方向を意味し、また、幅方向は横延伸方向を
意味する。延伸倍率の上限は、特に限定されない。ただ
し、延伸中にフィルムが破断しないように制御されるこ
とが好ましい。
【0024】ポリ乳酸系フィルムは、その製造プロセス
中に、他の樹脂との共押出し工程またはコーティング工
程を設けて、複層フィルムとしてもよい。
【0025】本発明の二軸延伸ポリ乳酸系フィルムに
は、諸物性を調整する目的で、熱安定剤、光安定剤、光
吸収剤、滑剤、可塑剤、無機充填材、着色剤、顔料等を
添加することもできる。
【0026】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。なお、実施例において、部と記載するものは、質量
部を示す。
【0027】ポリ乳酸の製造 L−ラクタイド100部及びオクタン酸第一スズ0.0
1部と、ラウリルアルコール0.03部を、攪拌機を備
えた肉厚の円筒型ステンレス製重合容器へ挿入し、真空
で2時間脱気した後、窒素ガスで置換した。この混合物
を窒素雰囲気下で攪拌しつつ、200℃で3時間加熱し
た。温度をそのまま保ちながら、排気管及びガラス製受
器を介して、真空ポンプにより徐々に脱気し、反応容器
内を3mmHgまで減圧にした。脱気開始から1時間
後、モノマーや低分子量揮発分の流出がなくなったの
で、容器内を窒素置換し、容器下部からモノマーを紐状
に抜き出してペレット化し、L−乳酸ポリマーを得た。
このL−乳酸ポリマーの重量平均分子量Mwは約18万
であった。なお、ポリマーの重量平均分子量はポリスチ
レンを標準としてゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィーにより測定した。
【0028】(実施例1)直径が25mmの同方向小型
2軸押出機を用いて、上記ポリ乳酸を100質量%と、
連鎖状粒子を0.007質量%と、無機粒子としてシリ
カ0.08質量%とを200℃で溶融混合し、ストラン
ド形状に押し出してペレットを作製した。作製したペレ
ットを押出機に供給して、Tダイを介して押し出し、そ
の後キャスティングロールにて急冷して、厚み135μ
mのフィルムを得た。得られたフィルムを長手方向に7
5℃で3倍にロール延伸、幅手方向に75℃で3倍にテ
ンター延伸した。さらに、145℃、30秒間で熱処理
を行い、厚み15μmの熱固定延伸フィルムを得た。
【0029】得られた二軸延伸フィルムについて、下記
に示す耐スクラッチ性の評価を行った。その結果を表1
に示す。耐スクラッチ性の評価: フィルムをテープ状に切断し、
入側張力90g、走行速度250m/分で、ガイドピン
(表面粗さが約2500nmの表面を持ったステンレス
製ガイドピン)上を巻き付け角60゜で走行させ、その
時につく傷の量を下記基準に基づき、目視評価を行っ
た。ただし、評価基準「△」以上は耐スクラッチ性良好
である。評価基準 全く傷がないもの ◎ ほとんど傷がないもの ○ 浅い傷があるもの △ 深い傷があるもの ×
【0030】(実施例2〜4、比較例1〜2)実施例1
において、連鎖状粒子の添加量を表1に示すように変更
した以外は実施例1と同様にして、二軸延伸ポリ乳酸系
フィルムを得た。得られたフィルムについて、実施例1
と同様にして、耐スクラッチ性の評価を行った。その結
果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】表1から明らかなように、連鎖状粒子を
0.005〜5質量%の範囲内で添加した実施例1〜4
は、耐スクラッチ性が良好であることが分かった。一
方、連鎖状粒子の含有量が上記範囲外の比較例1及び2
は、耐スクラッチ性が劣ったものであることが分かっ
た。
【0033】(実施例5)実施例3において、無機粒子
としてシリカを混合溶融しない以外は実施例3と同様に
して、二軸延伸ポリ乳酸系フィルムを作成した。実施例
3および5で得られた二軸延伸ポリ乳酸系フィルムにつ
いて、耐ブロッキング性をそれぞれ評価した。ただし、
耐ブロッキング性の評価は、JIS−Z0219に準じ
て行った。評価の結果、実施例3において得られた二軸
延伸ポリ乳酸系フィルムは、接触したフィルム間で互い
に滑り、粘着や接着が全く生じなかった。一方、実施例
5において得られた二軸延伸ポリ乳酸系フィルムは、剥
がすことはできたが、フィルム間で粘着しており、表面
に傷がついていた。
【0034】(実施例6)実施例3において、ペレット
作成時にポリ乳酸系樹脂組成物100質量部に対して、
エチレンビス・ラウリン酸アミドを0.005質量部添
加した以外は実施例3と同様にして、二軸延伸ポリ乳酸
系フィルムを作成した。実施例6で使用したペレットを
用いてフィルムの作成を行った場合には、10時間連続
の押出しを行っても粘度上昇を生じることなく押出機を
運転することができた。また、ホッパーでのペレットの
滞留時間を長くしても、ペレット供給口であるホッパー
でペレット凝集は生じなかった。一方、実施例3で使用
したペレットを用いてフィルムの作成を行った場合に
は、5時間程度の連続押出を行うと、粘度が上昇し、膜
厚変動が生じた。
【0035】
【発明の効果】以上、詳しく説明したように、本発明に
よれば、耐スクラッチ性に優れた、生分解性の二軸延伸
ポリ乳酸系フィルムを提供することができる。さらに、
耐ブロッキング性やペレットの凝集を生じない二軸延伸
ポリ乳酸系フィルムを提供することもできる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA43 AB18 AB21 AB24 AB25 AB26 AB28 AB30 AC09 AC12 AF13 AF14 AF22 BB06 BB08 BC01 4J002 CF181 DE047 DE097 DE137 DE147 DG047 DH047 DJ016 DJ037 DL007 EG008 EG038 EP008 FD17 GG00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリ乳酸に、平均一次粒径が1〜400
    nm、連鎖係数が3〜200である連鎖状粒子を0.0
    05〜5質量%含有する樹脂組成物を主成分とすること
    を特徴とする二軸延伸ポリ乳酸系フィルム。
  2. 【請求項2】 前記樹脂組成物に無機粒子を含有するこ
    とを特徴とする請求項1に記載の二軸延伸ポリ乳酸系フ
    ィルム。
  3. 【請求項3】 前記樹脂組成物に、さらに有機系潤滑剤
    を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の
    二軸延伸ポリ乳酸系フィルム。
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