JP2003113123A - スチレンモノマーの製造方法 - Google Patents

スチレンモノマーの製造方法

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JP2003113123A
JP2003113123A JP2001305983A JP2001305983A JP2003113123A JP 2003113123 A JP2003113123 A JP 2003113123A JP 2001305983 A JP2001305983 A JP 2001305983A JP 2001305983 A JP2001305983 A JP 2001305983A JP 2003113123 A JP2003113123 A JP 2003113123A
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】エチルベンゼンを二酸化炭素の存在下、触媒と
接触させてスチレンを製造する方法において、触媒能に
優れた触媒を用いて工業的に有利なスチレンモノマーの
製造方法を提供する。 【解決手段】エチルベンゼンを二酸化炭素含有ガスの存
在下、(1)酸化バナジウム、(2)酸化ケイ素、所望
により(3)無機担体、(4)アルカリ金属成分を含む
触媒に接触させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エチルベンゼンか
らスチレンモノマーを製造する方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】スチレンモノマーは、ポリスチレンをは
じめ各種の高分子化合物の原料となる重要な物質であ
る。現在、スチレンモノマーの工業的な製造法として
は、エチルベンゼンと水蒸気の混合気体(水蒸気/エチル
ベンゼン=7〜12)を、酸化鉄及び酸化カリウムからな
る触媒に600〜650℃の温度で接触させる方法が採
用されている(触媒、Vol.38 No.7 (1996)
572-579)。しかし、この方法は、水蒸気の製造
に多大なエネルギーが必要であり、また触媒成分のカリ
ウムが揮散しやすいなどの問題を有している。近年、水
蒸気に代えて二酸化炭素を用いることにより大幅な省エ
ネルギーにつながるという試算結果が報告されている。
従来の工業触媒はこのような二酸化炭素共存下では大幅
に触媒活性が低下するので新たな触媒開発が必要とされ
る。最近、バナジウム/酸化マグネシウム触媒(Sakura
i他;Chemistry Letters,2000,526)及びバナジウム/
活性炭触媒(Sakurai他;Applied Catalysis:A,192,(2
000)281)などの有効触媒が提案されているが、その触媒
活性、触媒寿命に更なる改善の余地があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このよう
な、エチルベンゼンを二酸化炭素の存在下、触媒と接触
させてスチレンを製造する方法において、更なる触媒能
に優れた触媒を用いて工業的に有利なスチレンモノマー
の製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。すなわち、本発明によれば、第一に、エチル
ベンゼンを二酸化炭素含有ガスの存在下、下記触媒に接
触させることを特徴とするスチレンモノマーの製造方法
が提供される。 (1)バナジウム酸化物 (2)酸化ケイ素 第二に、上記触媒に更に下記成分の少なくと一種を添加
することを特徴とするスチレンモノマーの製造方法が提
供される。 (3)無機担体 (4)アルカリ金属成分
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明に係る触媒の第1成分は、バナジウム酸化
物である。バナジウム酸化物は2〜5価の酸化状態をと
ることが出来るが、酸化状態は特に限定されない。また
その結晶構造も特に限定されず、非晶質であってもかま
わない。このようなバナジウム酸化物としては、V2O5
V2O3などが挙げられる。酸化バナジウム成分の原料はバ
ナジン酸アンモニウムなど容易に入手できる試薬類を用
いることができる。
【0006】第1成分のバナジウム酸化物の含有量(含
有率)は特に限定されるものではないが、好ましい範囲
は触媒重量に対してV2O5換算で0.1重量%〜30重量%で
ある。特に好ましい範囲は1〜10重量%である。少なす
ぎれば目的の活性を得られず、多すぎれば目的以外の副
反応の進行および原料コストの上昇をまねく。
【0007】本発明に係る触媒の第2成分は酸化ケイ素
である。酸化ケイ素成分の原料は、珪酸ナトリウム、コ
ロイダルシリカ、シリカゲルなど容易に入手できる試
薬、前駆体類を用いることができる。第2成分の酸化ケ
イ素の含有量(含有率)は特に限定されるものではない
が、好ましい範囲は触媒重量に対して10〜99.9重量%で
ある。特に好ましい範囲は50〜90重量%である。また、
この酸化ケイ素と後記する無機担体成分の比率は特に限
定されない。好ましい範囲は重量比において酸化ケイ素
1に対して0〜20である。特に好ましくは2〜10である。
【0008】本発明において所望により添加される第3
成分は、無機担体である。このような無機担体として
は、たとえば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、
ゼオライト、酸化ジルコニウム、活性炭など触媒の担体
として広く一般的に用いられている物質が挙げられる。
前記の例示に限定されない。また、形状、結晶構造、表
面積などの物性は特に限定されない。このような無機担
体は市販品およびアルミナゾルから調製したものなどの
容易に入手、製造できるものを用いることができる。
【0009】本発明において所望により添加される第4
成分はアルカリ金属化合物である。アルカリ金属成分は
酸化物が望ましいが限定されない、硝酸塩、酢酸塩など
容易に入手可能な試薬が原料として用いられる。調製方
法、原料などは前記の例示に限定されない。アルカリ金
属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウ
ムなどが挙げられる。
【0010】本発明に係る触媒は、金属の硝酸塩、塩酸
塩、硫酸塩、有機酸塩、水酸化物等を用い、共沈法、含
浸法、混合法、逐次沈殿法、アルコキシド法等の公知の
方法により、あるいはこれらの方法を組み合わせること
によって製造できる。得られる触媒の結晶構造は特に限
定されない。複合酸化物などとしての特定の結晶構造を
示しても良いし、非晶質でもよい。
【0011】本発明においては、かかる触媒はその製造
後、空気中で焼成することにより触媒成分を安定な酸化
物の状態にすることが望ましい。この場合、焼成温度は
特に限定しないが、300〜1000℃の範囲が好まし
く、600〜800℃の範囲が特に好ましい。また、こ
の触媒は、活性が低下した後、空気中または酸素中で加
熱することにより再生が可能である。再生時の加熱温度
は300℃以上が好ましく、さらに好ましくは500〜
800℃で、加熱時間は特に限定しないが好ましくは1
0分〜10時間である。
【0012】なお、本発明に用いる触媒は、必ずしも前
記の4成分のみに限定されず、たとえば触媒の機械的強
度を高める目的などで適宜他の成分、例えば粘土鉱物等
を加えてもよい。
【0013】本発明において反応原料として用いるエチ
ルベンゼンは、特に高純度である必要はなく、触媒毒に
ならない成分であれば少量の不純物を含んでいてもよ
い。また、本発明の反応において使用される二酸化炭素
含有ガスは二酸化炭素ガス単独でもよいし他の共存ガス
と混合されていても良い。
【0014】共存ガスとしては空気、窒素、二酸化炭
素、ヘリウム・アルゴンなどの不活性ガス、酸素、一酸
化炭素、水蒸気、火力発電所などから出る燃焼排ガスの
なかから少なくともひとつ選ばれたガス等が挙げられ
る。特に好ましいのは不活性ガスおよび窒素であるがこ
れに限定されるものではなく、前記の例示にも限定され
ない。また、本発明において用いられる二酸化炭素含有
ガスは、NOx、SOx等の環境汚染物質を含まないほうがよ
り望ましいが、これらの汚染物質の除去処理は必ずしも
必要とされない。二酸化炭素含有ガスの使用量は、エチ
ルベンゼン1モル当り、0.1〜100モル、好ましく
は1〜20モルの割合である。
【0015】本発明において、反応温度は特に限定され
ないが、300〜800℃の範囲、好ましくは450〜
650℃である。反応温度が高すぎると目的生成物への
選択率の低下、触媒上への炭素析出が顕著になり、低す
ぎると十分な転化率が得られない。
【0016】本発明の接触反応は、固定床、流動床等い
ずれの方式でも行なうことができる。触媒の粒子径、形
状は反応器の形式に応じて任意に選択できる。また、反
応圧力は、加圧、常圧、減圧いずれでも実施できるが、
0.2〜1.5気圧(絶対圧力)の範囲が特に好まし
い。反応圧が0.2気圧未満では減圧状態を維持するた
めにエネルギー消費量が大きくなり、1.5気圧を超え
ると熱力学的制約からスチレンモノマーの収率が低下す
る。なお、前記したように、本発明の触媒は、一定時間
使用後に活性が低下した場合、空気中で再度焼成するこ
とにより活性を回復させることができる。
【0017】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
する。
【0018】実施例1 酸化アルミニウム1g に対してバナジウム原子1ミリモル
となるように計算された量のバナジン酸アンモニウム、
およびバナジン酸アンモニウムと等モル量の蓚酸を溶解
した水溶液に酸化アルミニウム(触媒学会参照触媒JRC-A
LO4同等品)、および酸化アルミニウム1gに対して2.5ml
のコロイダルシリカ(コロイド状酸化ケイ素・日産化学
製スノーテックス)を分散し、充分撹拌した後、真空乾
燥し、触媒前駆体を得た。これを空気中750℃で5時間焼
成し触媒を得た。1.4gの触媒を用い常圧流通系反応装置
でエチルベンゼンに対して11倍(モル比)のCO2を同伴ガ
スとして反応温度550度で反応を行った。エチルベンゼ
ン供給速度は0.5mmol/minであった。生成物の分析定量
はFID-ガスクロマトグラフを用いた。結果を表1に示
す。スチレン選択率は92〜97%の間で推移した。活性維
持率は((6時間後の収率)/(25分後の収率))×100の計算
式で求めた。
【0019】比較例1 コロイダルシリカを添加せずに実施例と同様に触媒を調
製し、反応、分析定量を行った。結果を表1に示す。ス
チレン選択率は実施例1とほぼ同様に92〜97%の間で推
移した。実施例1と比較例1の比較により、酸化ケイ素
を添加した触媒は初期活性においてわずかに劣るが、2
時間10分後にわずかに上回り、6時間後は大きく上回っ
た。この比較より実施例1で示した触媒が優れた触媒で
あることが明確に示された。活性維持率を比較しても実
施例1に示した触媒が極めて優れた特性をもっているこ
とがわかる。
【0020】比較例2 文献(Sakurai 他, Chemistry Letters, 2000, 526)に優
れた触媒として報告されているV/MgO触媒を調製し反応
に用いた。調製法は酸化マグネシウム1g に対してバナ
ジウム原子1ミリモルとなるように計算された量のバナ
ジン酸アンモニウム、およびバナジン酸アンモニウムと
等モル量の蓚酸水溶液に溶解した液に酸化マグネシウム
(硝酸マグネシウムを焼成して調製)を分散し、充分撹拌
した後、真空乾燥し、触媒前駆体を得た。これを空気中
750℃で5時間焼成し触媒を得た。反応条件は実施例1と
同様に行った。結果を表1に示す。スチレン選択率は92
〜97%の間で推移した。実施例1との比較で実施例1の
触媒がスチレン収率および活性維持率において大きく優
れていることが明確に示された。
【0021】
【表1】
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、エチルベンゼンを二酸
化炭素の存在下触媒と接触させてスチレンモノマーを製
造するに当り、前記した初期活性が高く、また安定な触
媒活性保持率を示す触媒を用いたことにより、スチレン
モノマーを工業的有利に製造することができる。しか
も、従来行なわれているような水蒸気を使用する方法で
はないので、水蒸気製造のための多大なエネルギー消費
を必要としない。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチルベンゼンを二酸化炭素含有ガスの存
    在下、下記触媒に接触させることを特徴とするスチレン
    モノマーの製造方法。 (1)バナジウム酸化物 (2)酸化ケイ素
  2. 【請求項2】上記触媒に更に下記成分の少なくと一種を
    添加することを特徴とする請求項1記載のスチレンモノ
    マーの製造方法。 (3)無機担体 (4)アルカリ金属成分
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103121918A (zh) * 2011-11-18 2013-05-29 中国石油化工股份有限公司 Co2气氛下的乙苯脱氢反应方法

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