JP2003106593A - トンネル工事における粉塵除去装置 - Google Patents

トンネル工事における粉塵除去装置

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JP2003106593A
JP2003106593A JP2001303284A JP2001303284A JP2003106593A JP 2003106593 A JP2003106593 A JP 2003106593A JP 2001303284 A JP2001303284 A JP 2001303284A JP 2001303284 A JP2001303284 A JP 2001303284A JP 2003106593 A JP2003106593 A JP 2003106593A
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Isao Maruyama
功 丸山
Mikio Ogura
幹夫 小椋
Hiroshi Soda
弘志 惣田
Koki Itaya
廣喜 板谷
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Ohmoto Gumi Co Ltd
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Ohmoto Gumi Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 (1)回収した粉塵混合気から確実に粉塵のみ
を回収して、放出する空気の清浄度を高める手段と、
(2)こうした装置能力をいかんなく発揮できる粉塵の回
収手段とを備えた粉塵除去装置を提供する。 【解決手段】 トンネル工事に際して切削部位7から発
する土砂等の粉塵Zが空気に混入した粉塵混合気Dを回
収し、この粉塵混合気Dから粉塵Zを分離して空気Aの
みを大気中へ放出する装置であって、切削部位7に向け
て空気を補充する給気コントラファン9と、切削部位7
から粉塵混合気Dを排出する排気コントラファン10と、
密閉タンク14内に封入した水に前記粉塵混合気Dを衝突
させて粉塵Zを水没させつつ空気Aを放出する粉塵分離
回収部1と、排気コントラファン10及び粉塵分離回収部
1を連結する排気風管2とからなり、この排気風管2に
粉塵混合気Dの粉塵Zと水Wとを結合させる管面噴霧部
3又は端面噴霧部5を設けた粉塵除去装置である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トンネル工事に際
して切削部位から発する土砂等の粉塵が空気に混入した
粉塵混合気を回収し、この粉塵混合気から粉塵を分離し
て空気のみを大気中へ放出する粉塵除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】トンネル工事に際して切削部位から土砂
等の粉塵(切羽)が大量に発生し、トンネル内の空気を汚
す問題がある。具体的には、視界が悪くなる直接的な問
題に加えて、なによりも作業環境を劣化させる問題が大
きい。このため、前記作業環境の改善を目指し、新鮮な
空気を新たに送り込むと共に、粉塵が空気に混入した粉
塵混合気を回収している。この新鮮な空気の送り込みや
粉塵混合気の回収については、送風用及び回収用大型送
風機(コントラファン)を切削部位近傍に配し、特に回収
用大型送風機に粉塵除去装置を接続して、粉塵と空気と
の分離を図り、空気のみを大気中へ放出していた。
【0003】例えば、特開平08-042300号「トンネル工
事における粉塵除去処理方法及び粉塵除去処理装置」で
は、水槽部の水中に有孔送気管から粉塵混合気を噴出し
て粉塵を前記水槽部で回収し、空気と共にケース本体の
空間部から空気排気部へ出ていく水滴等は、空気排気部
の除水板に付着、回収する粉塵除去装置を提案してい
る。また、特開平10-252400号「施工中トンネル内の換
気方法」では、送風用大型送風機により供給する新鮮な
空気の量を回収用大型送風機により回収する粉塵混合気
の量よりも少なくすることで、トンネル内に流れ込む空
気量を形成し、粉塵を切削部位近傍に留めておく方法を
提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特開平08-042300号が
明らかにしているように、粉塵の回収には、粉塵と水と
の結合を利用することが好ましい。ところが、前記特開
平08-042300号は水中に粉塵混合気を噴出するが、大型
送風機の送風能力を鑑みた場合、直接粉塵混合気を水中
に噴出すると爆発的に水が飛散してしまう虞れがある。
除水板はこうした飛散した水=水滴を回収するものであ
るが、あまりに水滴が発生するようでは粉塵回収が不十
分になる虞れがある。逆に考えれば、水中へ安定的に粉
塵混合気を噴出するために回収する粉塵混合気の量が制
限され、結果として粉塵除去装置の回収能力が抑えられ
てしまうことになる。粉塵混合気を直接水中に噴出する
に至った理由は、粉塵混合気中の粉塵と水との結合が難
しく、前記結合をより確実に実現するためと思われる。
これから、粉塵除去装置の能力制限を解消するには、い
かに粉塵混合気と水との結合を図るかが課題となる。
【0005】また、特開平10-252400号は、直接的な粉
塵回収の手段についてのものではないが、回収する対象
となる粉塵の四散を防止し、予め一定箇所に留めておく
という観点は重要である。なぜなら、いくら粉塵除去装
置としての回収能力が優れていても、装置に送り込む粉
塵混合気が実際に発生する粉塵をすべて含んでいなけれ
ば、作業環境改善には結びつかないからである。よっ
て、粉塵除去装置としての能力を高める一方、前記能力
をいかんなく発揮できるように、無駄なく粉塵を回収す
ることも課題として挙げることができる。以上から、
(1)回収した粉塵混合気から確実に粉塵を回収して、放
出する空気の清浄度を高めることと、(2)こうした装置
能力(粉塵の高い回収効率)をいかんなく発揮できること
とを課題として、粉塵除去装置について検討した。
【0006】
【課題を解決するための手段】検討の結果、開発したも
のが、トンネル工事に際して切削部位から発する土砂等
の粉塵が空気に混入した粉塵混合気を回収し、この粉塵
混合気から粉塵を分離して空気のみを大気中へ放出する
装置であって、切削部位に向けて空気を補充する給気部
と、切削部位から粉塵混合気を排出する排気部と、密閉
容器内に封入した水に前記粉塵混合気を衝突させて粉塵
を水没させつつ空気を放出する粉塵分離回収部と、排気
部及び粉塵分離回収部を連結する排気風管とからなり、
この排気風管に粉塵混合気の粉塵と水とを結合させる湿
潤環境部を設けてなるトンネル工事における粉塵除去装
置である。ここで、給気部及び排気部は従来のコントラ
ファンを用いるが、その他既知の給気手段又は排気手段
であっても構わない。
【0007】本発明は、粉塵除去装置における粉塵の回
収効率を高めるため、まず粉塵と水との結合を図る態様
を改良した。すなわち、粉塵分離回収部に封入した水に
粉塵混合気を衝突させて強制的に粉塵と水との結合を図
る。粉塵混合気を水面に向けて叩き付ける運動エネルギ
ーを利用して、単純に水中から粉塵混合気を噴出する場
合に比べて粉塵と水との結合を容易にしている。また、
水中ですべての粉塵混合気を噴出するわけではないの
で、水の飛散が起きにくく、仮に激しく飛散が起きて
も、水を封入する密閉容器により外部への水の飛散は起
こりえない。そして、粉塵と水との結合を促すため、本
発明では排気風管で回収してくる粉塵混合気を湿潤環境
部に通すことで、粉塵混合気に予め水を含ませた状態に
することとした。これにより、粉塵分離回収部へ至るま
でにも粉塵と水との結合が生じ、総じて回収効率を高め
ることができる。
【0008】ここで、粉塵を余すところなく回収するた
めに、本発明では給気部及び排気部をトンネル内で切削
部位を隔離する仕切カーテンを貫通して設け、給気部は
仕切カーテン内へ空気を補充し、排気部は仕切カーテン
外へ粉塵混合気を排出するようにした。すなわち、仕切
カーテンが物理的に切削部位近傍をトンネル内から隔離
して、粉塵の四散を防止したわけである。粉塵が拡散す
る空間が狭いほど、素早く粉塵を回収できることから、
例えば仕切カーテンを切削部位に近接して配するとよ
い。
【0009】本発明の特徴は、粉塵分離回収部での粉塵
の回収に先立って、粉塵と水とが結合しやすいように、
排気風管に湿潤環境部を設けた点にある。この具体的な
湿潤環境部として、大きく(a)排気風管内の湿潤環境部
と、(b)排気風管開口端面の湿潤環境部とを示すことが
できる。(a)排気風管内の湿潤環境部は、粉塵分離回収
部へ導く粉塵混合気に対して水を吹き付ける管面噴霧部
をこの排気風管の垂直管部に内蔵して構成する。そして
(b)排気風管開口端面の湿潤環境部は、粉塵分離回収部
の水面に近接する垂直管部の開口端面又は排気風管外面
に向けて水を吹き付ける端面噴霧部を外装して構成す
る。
【0010】(a)排気風管内の湿潤環境部は、管面噴霧
部から吹き付ける水により、排気風管内に水の壁を形成
する。前記水の壁は、通過する粉塵混合気に水を混合さ
せ、下流にあたる排気風管開口端面の湿潤環境の働きを
補助したり、粉塵分離回収部での粉塵と水との結合を促
進させる。水は霧状に噴射することが望ましいが、噴射
口が多数あればそれぞれが細い水流であってもよい。こ
うした水の噴射によって形成できる水の壁が粉塵混合気
の通過を遮るには、管面噴出部の各噴出孔は排気風管断
面内全周にわたって多数配置し、水平面内半径方向へ水
を噴射するとよい。また、排気風管の延在方向における
水の噴射方向は、前記半径方向で効率のよい水の噴射を
実現するため、粉塵混合気の流れに直交する排気風管断
面半径方向が好ましい。こうした管面噴出部を排気風管
の水平管部に設けた場合、重力の影響で不均一な水の噴
射となったり、噴射後の水が排気風管に溜まってしまう
虞れがある。そこで、本発明では管面噴霧部を排気風管
の垂直管部に設けて重力の影響を均一にし、粉塵混合気
と共に排気風管開口端面へ水が落下していくようにし
た。これから、管面噴霧部から噴射する水は粉塵分離回
収部から供給すると、循環して利用できる。
【0011】(b)排気風管開口端面の湿潤環境部は、垂
直管部である排気風管の開口端面又は排気風管外面に向
けて端面噴霧部から吹き付ける水により、前記開口端面
近傍を湿潤環境にするほか、開口端面から粉塵分離回収
部の水面との間に開口端面を囲む水のカーテンWCを形成
する。ここで、開口端面周囲に水の噴射口を下方に向け
て配列しても前記水のカーテンWCは形成できるが、開口
端面又は排気風管外面に向けて水を噴射することにより
水が飛散し、適度に水を散らしながら水のカーテンWCを
形成し、飛散する水を粉塵混合気に含ませやすくなる。
これから、端面噴出部の各噴出孔は排気風管断面外全周
にわたって多数配置するとよい。また、水の噴射方向は
水平面半径方向であり、開口端面の開口方向、すなわち
斜め下方であることが望ましい。しかし、開口端面又は
排気風管外面に水をぶつけて飛散させることができれ
ば、水の噴射方向の要求はそれほど厳密でなくてもよ
い。端面噴霧部の各噴出孔から噴出する水は重力の影響
を均一に受けて開口端面全周にわたって均一な水のカー
テンWCを形成しながら、落下していく。これから、端面
噴霧部から噴射する水は粉塵分離回収部から供給する
と、水が循環して利用できる。
【0012】本発明では、粉塵分離回収部の回収プール
の水面に粉塵混合気を衝突させることで粉塵を回収して
いるため、前記衝突に起因する水の飛沫が空気と共に排
出されないようにする必要がある。このとき、回収プー
ルに水没した粉塵をうまく沈降集積しないと前記水の飛
沫に粉塵が含まれる虞れがあり、粉塵の回収を妨げるだ
けでなく、空気と共に排出する場合には周辺環境の汚染
に繋がる。そこで、本発明の粉塵分離回収部は、逆円錐
台形状の密閉タンクに水を封入して上方の空気室と下方
の回収プールとを形成し、空気室は回収プールの水面に
下縁が近接又は達する通気性仕切板により入力空気室と
出力空気室とに分割して、この入力空気室には回収プー
ルの水面に開口端面を近接して排気風管を挿入連結し、
出力空気室には空気を放出する放出風管を設けた。
【0013】逆円錐台形状の密閉タンクは、回収プール
の水面に粉塵混合気を衝突させて水没した粉塵を内側面
の傾斜に添って滑り落とし、錐台下面に集積する。これ
により、例えば錐台下面に汲上ポンプ等を設けておけ
ば、粉塵を水との混合物(汚泥)として容易に回収でき
る。通気性仕切板は、粉塵回収後の空気を放出風管へ導
く出力空気室を、粉塵混合気を送り込む入力空気室から
隔離することで、水面に衝突する粉塵混合気による飛沫
が放出風管から外部へ放出されることを防止する。回収
プールに水没した空気は入力空気室又は出力空気室いず
れに出てくるか分からないため、仕切板には通気性を与
える。また、この仕切板には、回収プールの水面に衝突
させる粉塵混合気による水面からの反発力に抗する強度
が必要であるから、例えば金属製多孔板を用いる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図を参照しながら説明する。図1は本発明に基づく粉塵
除去装置全体を表す斜視図、図2は粉塵分離回収部1付
近の部分拡大斜視図、図3は排気風管2内の湿潤環境部
を構成する管面噴霧部3の部分拡大斜視図、図4は粉塵
分離回収部1の断面図、図5は排気風管開口端面4の湿
潤環境部を構成する端面噴霧部5を表す排気風管開口端
面4近傍の水平断面図であり、図6は同排気風管開口端
面4近傍の部分側面図である。
【0015】本例では、図1に見られるように、粉塵除
去装置のうち、トンネル6内の切削部位7を隔離する仕
切カーテン8、給気部を構成する給気コントラファン9
及び排気部を構成する排気コントラファン10をトンネル
6内に配している。そして、トンネル6外には排気コン
トラファン10から延びる排気風管2を接続した粉塵分離
回収部1と、粉塵分離回収部1から延びる放出風管11を
接続したサイクロン12とを配している。切削部位7近傍
をトンネル6内から隔離する仕切カーテン8と、この仕
切カーテン8を貫通して設ける給気及び排気コントラフ
ァン9,10とは必然的にトンネル6内となるが、粉塵Z
を除去、回収して空気Aのみを大気中へ放出する処理を
担う粉塵分離回収部1及びサイクロン12はトンネル6内
外いずれに設置してもよい。
【0016】仕切カーテン8は、切削部位7近傍、およ
そ切削面から20m以内に設けるとよい。従来は、粉塵除
去装置を同様の防塵用カーテン内側に配置するため、カ
ーテン自体は切削面から30〜50mの範囲で設けていた。
本発明では、排気コントラファン10で空気に粉塵Zが混
じった粉塵混合気Dを回収して別途粉塵分離回収部1で
処理するので、仕切カーテン8、給気及び排気コントラ
ファン9,10のみを切削部位7近傍、切削面に近接して
配置できる。これは、本発明の粉塵除去装置による粉塵
Zの回収効率が高く、極めて濃度の高い粉塵混合気Dで
も、粉塵Zのみを回収して清浄な空気Aのみを大気中へ
放出できることによる。粉塵Zを十分に回収できていな
い空気の大気中への放出は周辺環境の汚染をもたらして
いたが、本発明ではこうした周辺環境の汚染も防止でき
る効果がある。
【0017】仕切カーテン8でトンネル6内から隔離し
た切削部位7近傍では、高濃度で粉塵Zが空気と混ざり
あい、粉塵混合気Dを形成する。給気コントラファン9
から仕切カーテン8内への新たな空気の送り込みは、粉
塵混合気Dを押し出す作用を発揮し、排気コントラファ
ン10により排気風管2を通じて粉塵分離回収部1へ粉塵
混合気Dを送り出すことを助ける働きを有する。粉塵分
離回収部1では、粉塵混合気Dを粉塵Zと空気Aとに分
離して粉塵Zのみを回収し、空気Aは放出風管11を通じ
てサイクロン12へ送り、水Wの飛沫等を分離した後、サ
イクロン12から大気中へ放出する。粉塵分離回収部1に
おいて、既に粉塵Zはほとんど回収できているので直接
大気中へ空気Aを放出してもいいが、粉塵Zの分離回収
過程で、空気Aにはごく僅かの粉塵Zと水Wの飛沫が含
まれているので、周辺環境の汚染を考慮した場合は、本
例のようにサイクロン12を経て空気Aを大気中へ放出す
る方が好ましい。
【0018】本発明は、排気風管2に設けた管面噴霧部
3及び端面噴霧部5(湿潤環境部)と粉塵分離回収部1と
の併用により粉塵Zの高い回収効率を実現する。図2に
見られるように、粉塵分離回収部1へ至る排気風管2に
は、垂直管部13に管面噴霧部3を設けている。粉塵分離
回収部1は、逆円錐台形状の密閉タンク14に水Wを封入
して上方の空気室と下方の回収プール15とを形成し、空
気室は金属製通気性仕切板(パンチングメタル)16により
入力空気室17と出力空気室18とに分割している。この通
気性仕切板16は、粉塵混合気Dが水面19に衝突して生ず
る飛沫を防ぎながら、空気Aのみを出力空気室18へ送
る。排気風管2は、前記入力空気室17へ回収プール15の
水面19に開口端面4を近接して挿入連結し、前記開口端
面4に向けた端面噴霧部5を設けている。また、放出風
管11は出力空気室18に設けてサイクロン12へ空気Aを放
出する。回収プール15に水没した粉塵Zは密閉タンク14
の傾斜した側面に沿って滑り落ち、下端の回収円筒部20
に汚泥として集積する。本例では、こうして回収した粉
塵Zを汚泥としてサンドポンプ27により回収し、別途フ
ィルタプレス(図示略)等で圧搾、廃棄する。
【0019】管面噴霧部3は、粉塵分離回収部1の回収
プール15から汲上ポンプ21(図4参照)を用いて水Wを汲
み上げ、図3に見られるように、排気風管2内面に取り
付けた内周水管22から半径方向内向きに突出した多数の
噴射口23から水Wを霧状に噴射し、排気風管2を流れて
くる粉塵混合気Dに対して水の壁面WWを形成する。この
管面噴霧部3からの水Wと結合して回収できる粉塵Zも
あるが、むしろ粉塵混合気D内に水Wを混ぜ合わせるこ
とで、粉塵混合気Dを回収プール15の水面19に衝突させ
た際の粉塵Zの回収効率を高める働きを有する。水Wの
噴射方向は、粉塵混合気Dの流れ方向に傾斜せず、あく
まで排気風管2断面半径方向に向け、できるだけ粉塵混
合気Dを遮断する水の壁面WWを形成することが望まし
い。また、粉塵混合気Dに水Wを混ぜるという観点から
は、この管面噴霧部3が多段であると粉塵混合気Dに水
Wを混ぜる機会が増えるため好ましいが、本例のように
単独の管面噴霧部3を用いる場合、回収プール15の水面
19から3m前後の高さに設けるとよい。
【0020】こうして管面噴霧部3により水Wを混ぜ合
わせた粉塵混合気Dは、図4に見られるように、排気風
管2から鉛直方向に粉塵分離回収部1の回収プール15の
水面19に衝突して、粉塵Zを回収プール15に水没させ
る。ここで、排気風管開口端面4は回収プール15の水面
19に近接しているために、大量かつ高速な粉塵混合気D
は逃げ場がなく、ほとんどすべてがかなりの勢いで水面
19に叩き付けられる。こうして、多くの粉塵Zは前記勢
いにより回収プール15に水没して回収できるが、逆に水
面19に弾かれた粉塵Zが未回収になる虞れがある。そこ
で、本発明では排気風管開口端面4又は排気風管2外面
に向けて水Wを噴射する端面噴霧部5を設け、排気風管
開口端面4から回収プール15の水面19に向けて水のカー
テンWCを形成することで、水面19に弾かれる粉塵Zが過
剰に飛散しないようにしている。
【0021】端面噴霧部5は、図5及び図6に見られる
ように、排気風管開口端面4から少し上の排気風管2外
面に取り付けた外周水管24から排気風管2外面に向けて
斜め下方向に突出した多数の噴射口25を並べた構成で、
上述した管面噴霧部3同様、回収プール15から汲上ポン
プ26(図4参照)を用いて水Wを供給している。噴射口25
から霧状に噴射した水Wは、まず排気風管2外面に当た
って飛散するが、隣り合う噴射口25,25,…からの水Wが
互いに干渉するため、広く飛び散らずに下方へ垂れてい
く。こうして、噴射された霧状の水Wは排気風管開口端
面4を囲む水のカーテンWCを形成する。また、この噴射
された霧状の水Wは粉塵混合気Dに混ざり、粉塵Zと水
Wとの結合を促す作用を発揮する。このように、本発明
は管面噴霧部3及び端面噴霧部5それぞれから噴霧した
水Wを少しずつ粉塵混合気Dに混ぜ合わせることで、粉
塵Zと水Wとの結合を促し、回収効率を高めている。
【0022】粉塵混合気Dとして回収プール15の水面19
に衝突した空気は、粉塵Zと分離して気泡となって水面
から入力又は出力空気室17,18へ放出され、入力空気室1
7の空気Aは通気性仕切板16を通じて、また出力空気室1
8の空気Aは直接放出風管11からサイクロン12へ送る。
通気性仕切板16は、このように空気Aを通過させるが、
粉塵混合気D、粉塵Z又は水Wの飛沫が出力空気室18へ
出ていかないようにする。こうして、放出する空気Aに
は粉塵Zがほとんど含まれないことになるが、粉塵Zの
分離は完全ではなく、また粉塵混合気Dの水面19への衝
突により飛沫が含まれるため、そのまま大気中へ放出す
ると、周辺環境の汚染が問題となることもありえる。こ
のため、本例のように、更に粉塵Zを分離して粉塵分離
回収部1から放出した空気Aを更にサイクロン12で処理
し、残る僅かな粉塵Z及び飛沫を分離した後、大気中へ
放出するとよい。
【0023】
【発明の効果】本発明により、トンネル内の切削部位か
ら発生する粉塵をほとんどすべて回収し、周辺環境を汚
染する虞れのない程度に清浄化した空気のみを大気中へ
放出できるようになる。同様な効果を得る現存の装置と
してバグフィルタが存在するが、トンネル工事のように
大量の粉塵が発生する場合には、非常にコストが嵩む粉
塵除去手段となる。これに対し、本発明は装置構成が比
較的簡素であり、各部の運用コストが低廉でありながら
バグフィルタと同等の効果を発揮できる利点がある。こ
のように、本発明の粉塵除去装置は粉塵の回収効率を高
める技術的な効果を有するほか、前述のような実運用面
での費用対効果に優れた装置を提供する。
【0024】具体的にいえば、(1)回収した粉塵混合気
から確実に粉塵のみを回収して、放出する空気の清浄度
を高める手段として、排気風管に設けた管面噴霧部や、
排気風管開口端面に設けた端面噴霧部を用い、更に粉塵
混合気を密閉容器に封入した回収プールの水面に衝突さ
せることにより、粉塵の回収効率を左右する粉塵と水と
が結合する機会を増やしている。こうして、粉塵分離回
収部での粉塵の回収効率が大幅に向上するため、粉塵分
離回収部から直接空気を放出しても従来に比べて散逸す
る粉塵の量が少なく、更にサイクロンを併用することで
極めて清浄な空気の放出が可能になる。このように、本
発明は、高い粉塵の回収効率によってトンネル内の作業
環境を改善すると共に、とりわけ周辺環境を汚染しない
低公害な粉塵除去装置を提供する。
【0025】また、(2)こうした装置能力をいかんなく
発揮できる粉塵の回収手段として、仕切カーテンにより
切削部位近傍をトンネル内から隔離することで、他所か
らの粉塵の流出を防止している。更に、粉塵除去装置と
しての回収効率の高さに基づき、仕切カーテンを切削部
位に近付けて設けることができ、粉塵を回収する機能
(粉塵分離回収部)は別途トンネル外に設置できるので、
トンネル工事に要する他の装置の邪魔にならずに、粉塵
除去装置を設置、利用できるようになる。このように、
本発明は粉塵を回収する性能面のみならず、粉塵除去装
置としての運用面をも改善する効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく粉塵除去装置全体を表す斜視図
である。
【図2】粉塵分離回収部付近の部分拡大斜視図である。
【図3】排気風管内の湿潤環境部を構成する管面噴霧部
の部分拡大斜視図である。
【図4】粉塵分離回収部の断面図である。
【図5】排気風管開口端面の湿潤環境部を構成する端面
噴霧部を表す排気風管開口端面近傍の水平断面図であ
る。
【図6】同排気風管開口端面近傍の部分側面図である。
【符号の説明】
1 粉塵分離回収部 2 排気風管 3 管面噴霧部(湿潤環境部) 4 排気風管開口端面 5 端面噴霧部(湿潤環境部) 6 トンネル 7 切削部位 8 仕切カーテン 9 給気コントラファン 10 排気コントラファン 11 放出風管 12 サイクロン 13 垂直管部 14 密閉タンク 15 回収プール 16 通気性仕切板 17 入力空気室 18 出力空気室 19 水面 20 回収円筒部 21 管面噴霧部の汲上ポンプ 22 内周水管 23 管面噴霧部の噴射口 24 外周水管 25 端面噴霧部の噴射口 26 端面噴霧部の汲上ポンプ 27 サンドポンプ D 粉塵混合気 A 空気 Z 粉塵 W 水 WW 水の壁面 WC 水のカーテン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 惣田 弘志 岡山県岡山市内山下1−1−13 株式会社 大本組内 (72)発明者 板谷 廣喜 岡山県倉敷市山地271 有限会社タヌルエ ンジニアリング内 Fターム(参考) 3L058 BD00 BE08 BG01 BG03 BG05

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トンネル工事に際して切削部位から発す
    る土砂等の粉塵が空気に混入した粉塵混合気を回収し、
    該粉塵混合気から粉塵を分離して空気のみを大気中へ放
    出する装置であって、切削部位に向けて空気を補充する
    給気部と、切削部位から粉塵混合気を排出する排気部
    と、密閉容器内に封入した水に前記粉塵混合気を衝突さ
    せて粉塵を水没させつつ空気を放出する粉塵分離回収部
    と、排気部及び粉塵分離回収部を連結する排気風管とか
    らなり、該排気風管に粉塵混合気の粉塵と水とを結合さ
    せる湿潤環境部を設けてなるトンネル工事における粉塵
    除去装置。
  2. 【請求項2】 給気部及び排気部は、トンネル内で切削
    部位を隔離する仕切カーテンを貫通して設けてなり、給
    気部は仕切カーテン内へ空気を補充し、排気部は仕切カ
    ーテン外へ粉塵混合気を排出する請求項1記載のトンネ
    ル工事における粉塵除去装置。
  3. 【請求項3】 排気風管内の湿潤環境部は、粉塵分離回
    収部へ導く粉塵混合気に対して水を吹き付ける管面噴霧
    部を該排気風管の垂直管部に内蔵して構成した請求項1
    記載の粉塵除去装置。
  4. 【請求項4】 排気風管開口端面の湿潤環境部は、粉塵
    分離回収部の水面に近接する垂直管部の開口端面又は排
    気風管外面に向けて水を吹き付ける端面噴霧部を外装し
    て構成した請求項1記載の粉塵除去装置。
  5. 【請求項5】 粉塵分離回収部は、逆円錐台形状の密閉
    タンクに水を封入して上方の空気室と下方の回収プール
    とを形成し、空気室は回収プールの水面に下縁が近接又
    は達する通気性仕切板により入力空気室と出力空気室と
    に分割し、該入力空気室には回収プールの水面に開口端
    面を近接して排気風管を挿入連結し、出力空気室には空
    気を放出する放出風管を設けた請求項1記載の粉塵除去
    装置。
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