JP2003105685A - パルプシートの製造方法 - Google Patents

パルプシートの製造方法

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JP2003105685A
JP2003105685A JP2001299110A JP2001299110A JP2003105685A JP 2003105685 A JP2003105685 A JP 2003105685A JP 2001299110 A JP2001299110 A JP 2001299110A JP 2001299110 A JP2001299110 A JP 2001299110A JP 2003105685 A JP2003105685 A JP 2003105685A
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広通 ▲高▼橋
Hiromichi Takahashi
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Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 嵩向上、白色度向上及び不透明度向上の少な
くとも1つがより高い水準で達成されたパルプシートを
得ることができる方法を提供する。 【解決手段】 特定方法により測定される離水度が4%
以上となる化合物を、抄紙工程におけるワイヤーパー
ト、プレスパート、ドライヤーパートから選ばれる一箇
所以上で添加し、それぞれ特定方法により測定される嵩
向上度、白色度向上度、不透明度向上度の1つ以上が特
定数値以上となる改質されたパルプシートを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、嵩、白色度や不透
明度のような光学的特性が向上したパルプシートを製造
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】地球環境保護の面から、パルプの使用量
削減が求められ、その結果、紙の軽量化と古紙パルプの
増配合が求められている。しかしながら、単に紙中のパ
ルプ量を削減して得られる紙は、紙が薄くなることによ
る不透明度低下が起こり品質の劣るものとなる。また、
紙中のパルプ量を低減させる軽量化では、板紙のように
厚さの三乗に比例する剛度を要求される紙では、剛度が
低下し望ましくない。一方、古紙パルプの配合比率を高
めると、古紙パルプ中の残インキ等による白色度の低下
や、リサイクル過程でパルプ自体が細くなること等によ
り紙厚が低下し不透明度低下が起こる。従って、紙中の
パルプ量を削減すると共に古紙パルプの配合比率を高く
すると、得られる紙の不透明度及び白色度が一段と低下
する。また、白色度の低下をもたらす古紙パルプを脱墨
や漂白により白色度を高めると得られた紙の不透明度は
更に減少し好ましくない。
【0003】軽量化による厚さの低下を防止することを
目的として、従来より種々の嵩向上方法が試みられてき
た。例えば、プレス圧を低くする製造方法は、平滑性が
低下し印刷適性が劣るという問題がある。また、架橋パ
ルプを用いる(特開平4-185792号等)、合成繊維と混抄
する(特開平3-269199号等)、パルプ繊維間に無機物等
の充填物を満たす(特開平3-124895号等)、空隙をもた
らす(特開平5-230798号等)等の方法も挙げることがで
きるが、パルプのリサイクルが不可能であったり、紙の
平滑度が損なわれたりする。市販の紙用嵩高剤としては
脂肪酸ポリアミドポリアミン型化合物があるが、性能が
充分ではない。また、嵩高剤として特定のアルコール及
び/又はそのポリオキシアルキレン付加物(W098/03730
号)、特定のエステル化合物(特許第2971447号)、特
定方法により測定される離水度が4%以上となる化合物
(特開2001-81687号)が開示されているが、それらをパ
ルプシートに定着させる工夫が必要であり、またさらな
る定着率の向上が望まれる。
【0004】一方、不透明度、白色度を向上させるため
に、炭酸カルシウム、カオリン、ホワイトカーボン等の
無機填料を多量(例えば5〜20重量%)に添加する方法
が当業界で実施されている。しかしながら、単に無機填
料を多量に添加すると紙の重量増加が著しい。たとえパ
ルプ量を削減して無機填料を添加しても、紙の軽量化を
達成できない。特に古紙パルプに無機填料を添加する場
合は多量必要となり、紙の軽量化は益々困難となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、紙の
軽量化と古紙パルプの増量に伴う前記諸問題を解決する
ことであり、具体的には、パルプ表面を改質すること
で、嵩向上、白色度向上及び不透明度向上の少なくとも
1つが、より高い水準で達成されたパルプシートを得る
ことができる方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記に定義す
る離水度が4%以上となる化合物を抄紙工程におけるワ
イヤーパート、プレスパート、ドライヤーパートから選
ばれる一箇所以上で添加し、下記(1)〜(3)の何れ
か1つ以上を満たす改質されたパルプシートを製造する
方法及びパルプシートの改質方法を提供する。また、本
発明は該方法によって得られたパルプシートを提供す
る。
【0007】離水度(%)=(α0−α)/α0×100 α:当該化合物をパルプ100重量部に対し5重量部添加
して抄紙して得た湿潤シートの含水率 α0:当該化合物をパルプに添加しないで抄紙して得た
湿潤シートの含水率 (1)嵩向上度が0.02g/cm3以上 (2)白色度向上度が0.5ポイント以上 (3)不透明度向上度が0.5ポイント以上 この(1)〜(3)は、ぞれぞれ、抄紙の際に当該化合
物を添加しないブランクに対しての向上度をいう。ここ
で、嵩は、パルプシートの坪量(g/m2)と厚み(mm)
から計算され、下記計算式により求まる緊度(g/c
m3)と同義である。
【0008】緊度=(坪量)/(厚み)×0.001 また、白色度はJIS P 8123ハンター白色度により、不透
明度はJIS P 8138A法により測定されたものである。
【0009】更に、本発明における離水度の測定方法を
詳述する。 〔離水度の測定方法〕 (A)使用パルプ JIS P 8209のパルプ試験用手すき紙の調製法により調製
した手すきパルプシートのハンター白色度(JIS P 812
3)が80±5%であるブナ由来の広葉樹晒しパルプ(以
後、LBKPという)を使用する。 (B)離水度の測定 LBKPを、25±3℃で一定量をビーターにて離解そし
てカナダ標準濾水度(JIS P 8121)で460±10mlに叩解
してパルプ濃度が1.0重量%のLBKPスラリーを得
る。
【0010】このパルプスラリーを抄紙後のシートのL
BKP分の坪量が80±2g/m2になるように量り取って
から、硫酸アルミニウムでpHを4.5に調整した後、当該
化合物の1.0重量%のエタノール溶液をパルプ100重量部
に対して5重量部(純分)添加し、丸型タッピ抄紙機にて
150メッシュワイヤー(面積200cm2)で抄紙し湿潤シー
トを得る。湿潤シートの上に坪量320±20g/m2のろ紙
(直径185mm)2枚を重ね、更にその上にコーチプレー
トを重ねコーチングした後、湿潤シートを取り出す。次
いで湿潤シートを前記のろ紙2枚で上下をはさみ、圧力
340±10kPaで5分間プレスする。プレス後、速やかに湿
潤シートの重量W(g)を秤量する。
【0011】次に105±3℃、60分間乾燥し、得られた
乾燥シートの重量Wd(g)を秤量する。
【0012】上記で求めたW、Wdから、(1)式によ
り含水率α(%)を求める。
【0013】α(%)=(W−Wd)/W×100 (1) また、当該化合物を添加しないで同様にシートを調製
し、同様にして求めた含水率をα0とする。
【0014】上記で求めた含水率α、α0から、下式
(2)より離水度を求める。
【0015】 離水度(%)=(α0−α)/α0×100 (2) このように、所定の方法により1.0重量%のLBKPス
ラリーを調製し、対パルプ5重量%の添加で離水度を測
定することにより、本発明の化合物は容易に特定され
る。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明で定義する離水度が4%以
上となる化合物はパルプ表面を疎水化するので、湿潤状
態のパルプと水溶液の界面張力が増大し、パルプシート
が脱水・乾燥されていく間にその空隙が多くなり、嵩高
いパルプシートが得られたり、光学的にも反射率が大き
くなることにより、白色度や不透明度が向上したパルプ
シートが得られるものと考えられる。また、前記化合物
の少量添加時のようにパルプ表面の一部しか疎水化され
ず、パルプ間の空隙が増大せず、嵩高性の発現が少ない
場合でも、パルプ間の水素結合数が減少することでパル
プ表面積が増大し、光学的に反射率が大きくなり、白色
度や不透明度の向上が発現するものと考えられる。な
お、白色度は明度(L値)とb値から算出され、L値が
大きいほどb値が小さいほど大きくなるが、本発明によ
る白色度向上効果はL値が増大することにより起こると
考えられる。従来、パルプ表面の疎水性と嵩高性及び光
学的特性との関係については知られていなかったが、本
発明者はこの両者に相関があることを見出した。更に上
記で規定する離水度が4%以上、好ましくは5%以上と
なる化合物を、抄紙工程におけるワイヤーパート、プレ
スパート、ドライヤーパートから選ばれる一箇所以上で
用いた場合に、添加した化合物が高い割合でパルプに定
着し、少量添加でも嵩、白色度、不透明度が向上したパ
ルプシートが得られることを見出した。なお、パルプシ
ートとはJIS P 0001に記す紙及び板紙を総称していう。
【0017】本発明において、離水度が4%以上となる
化合物は、パルプ表面に吸着するための親水基とパルプ
表面を疎水化するための疎水基を有する有機化合物が好
ましく、(A)オルガノシロキサン、(B)グリセリルエーテ
ル、(C)アミド、(D)アミン、(E)アミン酸塩、(F)4級ア
ンモニウム塩、(G)イミダゾール、(H)アルコール又はそ
のアルキレンオキサイド付加物、(I)多価アルコール
と脂肪酸のエステル、及び(J)多価アルコールと脂肪酸
のエステルであって当該エステル化合物1モル当たり平
均で0モル超12モル未満の炭素数2〜4のオキシアルキ
レン基を有するエステルからなる群から、選定すること
ができる。
【0018】(A)オルガノシロキサンは、25℃の粘度が1
0〜1,000,000mPa・sのメチルポリシロキサン、グリフ
ィン法によるHLBが1〜14のポリオキシエチレンメチ
ルポリシロキサン共重合体、HLBが1〜14のポリ(オ
キシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサ
ン共重合体等が挙げられる。
【0019】(B)グリセリルエーテルは下記一般式(a)で
示される化合物等が挙げられる。
【0020】
【化1】
【0021】(式中、R1は炭素数8〜35のアルキル基、
アルケニル基又はβ−ヒドロキシアルキル基である。) (C)アミド、(D)アミン、(E)アミン酸塩、(F)4級アンモ
ニウム塩、(G)イミダゾールは下記一般式(b)〜(j)で示
される化合物等が挙げられる。なお、アミン酸塩はイオ
ン化したものも、イオン化してないものも含む。
【0022】
【化2】
【0023】〔式中、Y1,Y2:互いに同一又は相異なっ
て、水素原子、R4、R6CO-、-(AO)n-COR3又は-(AO)n-H AO:炭素数2〜4のアルキレンオキサイド Y3:水素原子又は-COR6
【0024】
【化3】
【0025】R1:前記一般式(a)と同じ R2,R3,R6,R9:炭素数7〜35のアルキル基、アルケニル
基又はβ−ヒドロキシアルキル基 R4,R5:水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基 R7,R8:炭素数1〜3のアルキル基 R10:水素原子又はR9 n:1〜20の数で平均モル数 X-:陰イオン〕 (H)アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物と
しては、下記一般式で示される化合物が挙げられる。
【0026】RO(XO)aH 式中、Rは炭素数6〜22の直鎖もしくは分岐鎖のアルキ
ル基もしくはアルケニル基又は炭素数4〜20のアルキル
基を有するアルキルアリール基を示し、Xは同一又は異
なった炭素数2〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を
示し、aは平均付加モル数であり、0≦a≦20の範囲の数
である。
【0027】好ましくは式(1)で示される化合物
(1)である。
【0028】RO(EO)m(PO)nH (1) 式中、Rは炭素数6〜22の直鎖もしくは分岐鎖のアルキ
ル基もしくはアルケニル基又は炭素数4〜20のアルキル
基を有するアルキルアリール基を示し、Eはエチレン
基、Pはプロピレン基を示し、m,nは平均付加モル数であ
り、mは0≦m≦20の範囲の数であり、nは0≦n≦50の範
囲の数である。なお、(EO)m(PO)nは、ブロック又はラン
ダムのいずれでもよく、エチレンオキシ基とプロピレン
オキシ基のいずれが先でもよい。
【0029】好ましくは、式(1)中のRが炭素数8〜1
8の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基の化
合物である。
【0030】化合物(1)は、少なくとも二種以上のRO
Hの混合物にエチレンオキサイド(以下、EOと表記す
る)及びプロピレンオキサイド(以下、POと表記する)
のいずれか又は双方を付加して得たものも含む。また、
ROHのアルコールも含む。
【0031】上記一般式(1)で表される化合物は、炭
素数6〜22の高級アルコールやアルキルフェノール等に
EO、PO等のアルキレンオキサイド(以下AOという)を付
加したものであるが、本発明では、特にEOの平均付加モ
ル数mが0≦m≦20の範囲にあるものが使用される。平均
付加モル数mは好ましくは0≦m≦10、更に好ましくは0
≦m≦5の範囲である。mが20以下であると紙に対する嵩
高付与効果がより良好となる。又、POの平均付加モル数
nは0≦n≦50の範囲にあるものが使用され、好ましくは
0≦n≦20の範囲である。nが50以下であると経済的に有
利である。
【0032】また、一般式(1)中のRは炭素数6〜22の
直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基
又は炭素数4〜20のアルキル基を有するアルキルアリー
ル基であるが、Rとしては、炭素数8〜18の直鎖又は分
岐鎖のアルキル基又はアルケニル基が好ましい。Rがア
ルキル基又はアルケニル基の場合、炭素数が6〜22の範
囲であると、またアルキルアリール基の場合は炭素数4
〜20のアルキル基を有するアルキルアリール基である
と、紙に対する平滑性及び透気性向上効果がより良好と
なる。
【0033】一般式(1)中の(EO)m(PO)n基がポリオキ
シエチレンとポリオキシプロピレンの混合形態の場合、
C2H4O基とC3H6O基の付加形態はランダムでもブロックで
もよい。その場合、好ましくはポリオキシプロピレン基
(C3H6O基)を全平均付加モル数中の50モル%以上、特に
好ましくは70モル%以上含むものが良い。なお、R基に
結合するAO基は、EO、POのいずれが先であってもよい。
【0034】また、(I)、(J)の化合物を構成する多価ア
ルコールは、エーテル基を含んでいてもよい総炭素数2
〜24の2〜14価アルコールが好ましく、2〜8価アルコ
ールがより好ましく、3〜6価アルコールが特に好まし
い。2価アルコールとしては、エーテル基を含んでいて
もよい総炭素数2〜10のもの、例えばプロピレングリコ
ール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、
ジブチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられ
る。3価以上のアルコールとしては、エーテル基を有し
ていてもよい総炭素数3〜24のアルコールで、1分子中
の総水酸基数/総炭素数=0.4〜1であるもの、例えば
グリセリン、ポリグリセリン(平均縮合度2〜5)、ペ
ンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、アラビ
トール、ソルビトール、スタキオース、エリトリット、
アラビット、マンニット、グルコース、ショ糖等が挙げ
られる。特に好ましくはエチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、エーテル基を有
していてもよい総炭素数3〜12のアルコールで、1分子
中の水酸基数/総炭素数=0.5〜1である3価以上のア
ルコールである。更に好ましくはグリセリン、ポリグリ
セリン(平均縮合度2〜4)、ペンタエリスリトールで
ある。
【0035】また、これらのエステルを構成する脂肪酸
は、炭素数1〜24、好ましくは炭素数10〜22の脂肪酸が
挙げられ、飽和、不飽和、直鎖、分岐鎖の何れでもよ
く、特に直鎖脂肪酸が好ましい。更に好ましくは、ラウ
リン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ミ
リスチン酸、ベヘン酸である。
【0036】これらのエステルは、公知のエステル化反
応及びアルキレンオキサイド付加反応を行うことで得る
ことができる。例えば、脂肪酸と多価アルコールの混合
物に要すればエステル化触媒を添加し、150〜250℃で反
応させることによりエステルが得られ、更にアルカリ触
媒等の存在下に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを
付加することにより、アルキレンオキサイド付加エステ
ルが得られる。また、脂肪酸あるいは多価アルコールに
アルキレンオキサイドを付加後、エステル化してもよ
い。更に脂肪酸にアルキレンオキサイド付加のみを行っ
て得られる場合もある。
【0037】このエステルのエステル平均置換度は、好
ましくは1モルの多価アルコール当たり、アルコール中
のOHが10〜95当量%置換されたものであり、特に好まし
くは1モルの多価アルコール当たり1〜2モルのエステ
ル基を有するものである。
【0038】アルキレンオキサイド付加エステルを用い
る場合、AOの付加モル数は、エステル1モル当たり平均
で0モル超12モル未満であり、0.1〜6モルが好まし
い。なお、エチレングリコール等のようにAO基となり得
る多価アルコールを使用した場合においては、それらも
AO基の数に算入する。アルキレンオキサイドはEO、POが
好ましい。これらはEO、POの単独あるいはEOとPOの混合
の何れでもよい。本発明では、AO基を含まない多価アル
コールと脂肪酸のエステルを用いることが特に好まし
い。
【0039】本発明で用いられる化合物は、液体品はそ
のままで添加してもよいが、固体品は粉砕後あるいは加
熱溶融して又は水等で希釈して添加してもよい。また、
要すればノニオン系、アニオン系、カチオン系、両性系
の界面活性剤や高分子化合物を、当該化合物の乳化剤も
しくは分散剤として使用してもかまわない。好ましくは
アニオン系又はカチオン系界面活性剤や高分子化合物で
あり、更に好ましくは、下記のものである。 ・高級脂肪酸塩 例えばステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ミリ
スチン酸、ラウリン酸、ロジン酸及びトール油脂肪酸の
ナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩等。 ・高級アルコール硫酸エステル塩 例えばラウリル硫酸エステル、ミリスチル硫酸エステ
ル、パルミチル硫酸エステル、ステアリル硫酸エステル
及びオレイル硫酸エステルのナトリウム塩、カリウム
塩、及びアンモニウム塩 ・アルキルベンゼンスルフォン酸塩 例えば直鎖ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム及
び分岐鎖ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム等 ・スルホコハク酸ジエステル塩 例えばスルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルエステル
ナトリウム塩、スルホコハク酸ジイソトリデシルエステ
ルナトリウム塩及びスルホコハク酸ジシクロヘキシルス
ルホコハク酸等 ・ナフタレンスルホン酸塩−ホルムアルデヒド縮合物 ・ポリカルボン酸塩 例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びポリマレ
イン酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩及び
アンモニウム塩、あるいはアクリル酸、メタクリル酸、
マレイン酸及びスチレンの群から選ばれる2種以上から
なる共重合物のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム
塩及びアンモニウム塩等。 ・第4級アンモニウム塩 ラウリルトリメチルアンモニウム、セチルトリメチルア
ンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム及びジ
ステアリルジメチルアンモニウムの塩酸塩等。 ・水溶性高分子化合物 例えばカチオン化デンプン、アクリルアミド基を有する
化合物等その際の本発明の化合物と界面活性剤や高分子
化合物との比率は、本発明の化合物/〔界面活性剤+高
分子化合物〕=99.9/0.1〜70/30(重量比)、好まし
くは99.8/0.2〜80/20である。
【0040】本発明の化合物は、サーモメカニカルパル
プ(TMP)等の機械パルプ、LBKP等の化学パルプ
等のヴァージンパルプ、古紙パルプ等のパルプ原料に広
く適用できる。古紙パルプを配合する場合は、その配合
量は原料パルプ中10重量%以上が好ましく、30重量%以
上がより好ましい。
【0041】一般に、抄紙工程は、離解、叩解を終えた
パルプに填料や薬品類を配合した完全紙料を最終製品で
ある紙にする工程であり、クリーナー、スクリーンを備
えた白水循環系、ヘッドボックス、ワイヤーパート、プ
レスパート、ドライヤーパート、カレンダーパートなど
から構成される。
【0042】本発明の化合物は、抄紙工程中のワイヤー
パート、プレスパート、ドライヤーパートから選ばれる
一箇所以上でパルプシートとなる紙層に添加される。こ
れら特定のパートで添加することにより、パルプシート
の嵩向上、白色度向上、不透明度向上においてより優れ
た効果が得られる。
【0043】また、パートとは、そのパートの始めから
次のパートの直前までをさし、パート中の添加時期とし
ては、スプレー、塗布等により均一に紙層に添加できる
時期が望ましい。
【0044】なお、本発明の化合物を添加する紙層には
サイズ剤、填料、歩留り向上剤、濾水性向上剤、紙力向
上剤等が添加されていてもよい。
【0045】本発明の化合物は、パルプ原料100重量部
に対して0.01〜5重量部の添加、特に0.1〜2重量部の
少量添加でも、パルプシートの嵩高効果、白色度又は不
透明度等の光学的特性のうち少なくとも1つが向上す
る。
【0046】本発明の化合物を用いて得られたパルプシ
ートは、無添加シートに比べて、嵩高さの指標である緊
度が0.02g/cm3以上、好ましくは0.03g/cm3以上低
く、白色度は0.5ポイント以上、好ましくは0.7ポイント
以上高く、不透明度は0.5ポイント以上、好ましくは0.7
ポイント以上高い。
【0047】また、本発明の化合物を用いて得られたパ
ルプシートは、紙パルプ技術便覧(紙パルプ技術協会発
行、455〜460頁、1992年)に記載された品目分類の中の
新聞巻取紙、印刷・情報用紙、包装用紙、ティッシュや
ペーパータオルなどの衛生用紙等の紙、又は板紙に好適
に用いられる。
【0048】
【実施例】例中、特記しない限り「部」は重量部であ
り、「%」は重量%である。 〔実施例で用いた化合物〕表1に用いた化合物とその離
水度を示した。なお、離水度の測定時にはアドバンテッ
ク東洋(株)生産用ろ紙No.26(直径185mm、坪量320g
/m2)を用いた。
【0049】
【表1】
【0050】〔パルプ原料〕パルプ原料としては下記に
示される古紙パルプ及びヴァージンパルプを用いた。 <古紙パルプ>古紙パルプは市中回収された原料古紙
(新聞紙/チラシ=70/30%)100部に対し、60℃の温
水及び水酸化ナトリウム1部、珪酸ソーダ3部、30%過
酸化水素水3部、脱墨剤として、牛脂/グリセリン(1
/1重量比)EOPOブロック付加物(平均付加モル数=EO
70モル、PO10モル)0.3部を加え、離解後フロテーショ
ン処理、水洗、濃度調整を行い得た1%の脱墨パルプス
ラリーを用いた。このもののカナダ標準濾水度(JIS P81
21)は220mLであった。 <ヴァージンパルプ>LBKP(広葉樹晒パルプ)を、
25℃で叩解機にて離解、叩解して1%のLBKPスラリ
ーとしたものを用いた。このもののカナダ標準濾水度(J
IS P8121)は420mLであった。 〔評価項目・方法〕 ・緊度 調湿されたシートの坪量(g/m2)と厚み(mm)を測定
し、下記計算式により緊度(g/cm3)を求めた。
【0051】緊度=(坪量)/(厚み)×0.001 緊度は小さいほど嵩が高く、また緊度の0.02の差は有意
差として十分に認識されるものである。 ・白色度 JIS P 8123ハンター白色度による。白色度の0.5ポイン
トの差は有意差として十分に認識されるものである。 ・不透明度 JIS P 8138A法による。不透明度の0.5ポイントの差は
有意差として十分に認識されるものである。 実施例1 LBKPパルプスラリーを抄紙後のシートの坪量が90g
/m2になるように量り取り、丸型タッピ抄紙機にて150
メッシュワイヤー(面積200cm2)で抄紙しシートを得
た。抄紙後のシートを3.5kg/cm2で2分間プレス機にて
プレスし、パルプに対して0.7%となるよう表1に示す
化合物の1%水溶液をプレス後のシートにスプレー塗布
した。その後、シートを鏡面ドライヤーを用い105℃で
2分間乾燥した。また、比較例1として化合物を用いず
に同様の紙を製造した。比較例2としてパルプスラリー
に表1に示す化合物を添加し同様の紙を製造した。乾燥
されたシートを20℃、湿度65%の条件で1日間調湿して
から紙の緊度、白色度及び不透明度を測定した。測定値
は10回の平均値である。結果を表2に示す。なお、この
実施例は化合物をプレスパートに添加した場合に相当す
る。
【0052】
【表2】
【0053】実施例2 表1のNO.2とNo.10の化合物をパルプに対して0.7%と
なるよう表3に示す添加時期で添加し、得られた紙の評
価を行った。いずれの場合もシートを鏡面ドライヤーを
用い105℃で2分間乾燥した後、20℃、湿度65%の条件
で1日間調湿してから紙の緊度、白色度及び不透明度を
測定した。測定値は10回の平均値である。結果を表3に
併せて示す。
【0054】表3中の添加時期の〜は、以下の通り
である。 LBKPパルプスラリーを抄紙後のシートの坪量が90
g/m2になるように量り取り、丸型タッピ抄紙機にて15
0メッシュワイヤー(面積200cm2)で抄紙しシートを得た
後。ワイヤーパート添加に相当。 上記同様に抄紙した後のシートを3.5kg/cm2で2分
間プレス機にてプレスした後。プレスパート添加に相
当。 上記、次いでを施した後のシートを鏡面ドライヤ
ーを用い105℃で10秒間乾燥した後。ドライヤーパート
添加に相当。
【0055】
【表3】
【0056】実施例3 原料パルプとして古紙パルプスラリーを抄紙後のシート
の坪量が60g/m2になるように量り取り、化合物とし
て表1のNo.2とNo.10を用いて実施例1と同様に紙を
得、緊度、白色度及び不透明度を測定した。また、比較
例3として化合物を用いずに同様の紙を製造し、比較例
4としてパルプスラリーに上記化合物を添加し同様の紙
を製造し同様の評価を行った。結果を表4に示す。
【0057】
【表4】
【0058】表2〜4より、本発明の化合物をワイヤー
パート、プレスパート、ドライヤーパートから選ばれる
一箇所以上で添加すれば、古紙パルプ、ヴァージンパル
プ(LBKP)の何れにおいても、嵩、白色度、不透明
度がより向上したパルプシートが得られることがわか
る。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、少量添加でも紙の軽量
化と古紙パルプの増配合で要望される嵩向上、白色度向
上や不透明度向上等の少なくとも1つが達成されたパル
プシートが提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D21H 21/10 D21H 21/10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記に定義する離水度が4%以上となる
    化合物を抄紙工程におけるワイヤーパート、プレスパー
    ト、ドライヤーパートから選ばれる一箇所以上で添加
    し、下記(1)〜(3)の何れか1つ以上を満たす改質
    されたパルプシートを製造する方法。 離水度(%)=(α0−α)/α0×100 α:当該化合物をパルプ100重量部に対し5重量部添加
    して抄紙して得た湿潤シートの含水率 α0:当該化合物をパルプに添加しないで抄紙して得た
    湿潤シートの含水率 (1)嵩向上度が0.02g/cm3以上 (2)白色度向上度が0.5ポイント以上 (3)不透明度向上度が0.5ポイント以上
  2. 【請求項2】 下記に定義する離水度が4%以上となる
    化合物を抄紙工程におけるワイヤーパート、プレスパー
    ト、ドライヤーパートから選ばれる一箇所以上で添加
    し、下記(1)〜(3)の何れか1つ以上をパルプシー
    トに付与するパルプシートの改質方法。 離水度(%)=(α0−α)/α0×100 α:当該化合物をパルプ100重量部に対し5重量部添加
    して抄紙して得た湿潤シートの含水率 α0:当該化合物をパルプに添加しないで抄紙して得た
    湿潤シートの含水率 (1)嵩向上度が0.02g/cm3以上 (2)白色度向上度が0.5ポイント以上 (3)不透明度向上度が0.5ポイント以上
  3. 【請求項3】 前記離水度が4%以上となる化合物が、
    (A)オルガノシロキサン、(B)グリセリルエーテル、(C)
    アミド、(D)アミン、(E)アミン酸塩、(F)4級アンモニ
    ウム塩、(G)イミダゾール、(H)アルコール又はそのアル
    キレンオキサイド付加物、(I)多価アルコールと脂肪
    酸のエステル、及び(J)多価アルコールと脂肪酸のエス
    テルであって当該エステル化合物1モル当たり平均で0
    モル超12モル未満の炭素数2〜4のオキシアルキレン基
    を有するエステルからなる群から選ばれる化合物である
    請求項1又は2記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記離水度が4%以上となる化合物と共
    に(a)アニオン界面活性剤及び(b)カチオン界面活性剤か
    ら選ばれる一種以上の化合物を添加する請求項1〜3の
    何れか1項記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記離水度が4%以上となる化合物の添
    加量がパルプ100重量部に対して0.01〜5重量部である
    請求項1〜4の何れか1項記載の方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れか1項記載の方法に
    より得られたパルプシート。
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