JP2003105423A - 溶銑の脱りんおよび脱硫処理方法 - Google Patents

溶銑の脱りんおよび脱硫処理方法

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JP2003105423A
JP2003105423A JP2001303096A JP2001303096A JP2003105423A JP 2003105423 A JP2003105423 A JP 2003105423A JP 2001303096 A JP2001303096 A JP 2001303096A JP 2001303096 A JP2001303096 A JP 2001303096A JP 2003105423 A JP2003105423 A JP 2003105423A
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cao
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JP2001303096A
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Masaki Miyata
政樹 宮田
Toru Matsuo
亨 松尾
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
  • Carbon Steel Or Casting Steel Manufacturing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】脱りん率が高く、脱硫処理の際の復りんがな
く、脱硫率を高くすることができる溶銑脱りん・脱硫方
法を提供する。 【解決手段】下記(1)〜(3)を特徴とする溶銑脱りん・脱
硫方法。 (1)上底吹き転炉を用いて脱炭処理する前に溶銑の脱り
んおよび脱硫処理を行う。(2)酸素ガスとともにCaOま
たはCaCOを含む脱りん剤を転炉内の溶銑表面に吹き付
けて脱りん処理を行うに際し、脱りん処理後のスラグ中
のCaO含有率(質量%)とSiO 含有率(質量%)の
比であるスラグ塩基度「CaO/SiO」の値を1.7以上
とする。(3)脱りん処理後のスラグを転炉外に排出する
ことなく、引き続き上吹きランスから窒素ガスまたは不
活性ガスとともに脱硫剤を溶銑表面に吹き付けて脱硫処
理を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶銑の脱りん処理
後に脱りんスラグの排出を行わないで、連続して溶銑脱
硫を行う溶銑の脱りんおよび脱硫処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼の製造工程においては、溶銑の脱りん
処理と脱硫処理は分離して実施する技術が主流である。
脱硫処理の後にスラグを排出せずに続けて脱りん処理を
行うと、残留するスラグ中の硫黄分が溶銑中へ戻ってし
まう。一方、先に脱りん処理を行って、スラグを排出せ
ずに続けて脱硫処理をすると、残留するスラグ中のりん
分が溶銑中に戻ってしまう。また、溶融状態の脱りんス
ラグの存在下で脱硫剤を溶銑中へ吹き込んでも、脱りん
スラグが多量のFeOを含むため脱硫反応が妨げられる。
これらの理由で、脱りん処理と脱硫処理は分離して行わ
れているのである。
【0003】溶銑の脱りん処理と脱硫処理とを分離して
行うと、全処理時間が長くなり溶銑温度が低下する。従
って、転炉を用いて脱りんまたは脱炭処理する際に加え
るスクラップ量を少なくする必要があり、スクラップの
使用比率が低下するという問題がある。
【0004】CAMP-ISIJ、vol.14 (1991)、p.1153〜1154
には、LD-ORP法という高炉溶銑を転炉方式の溶銑処理専
用炉を用いて、酸素上吹き脱りん処理と底吹き脱硫処理
とを行う方法が開示されている。この方法は、下記の利
点を有する。
【0005】転炉での粉体底吹き技術を活用し、脱り
ん中はCaCOの吹き込みによる攪拌力により脱りん反
応が促進される。
【0006】脱硫剤の高速吹き込みによって短時間脱
硫が可能になる。
【0007】脱りん後に連続して脱硫するため、溶銑
温度の低下を回避できる。
【0008】しかし、このLD-ORP法では、溶銑脱りん処
理後に脱りんスラグを排出せずに続けて脱硫処理を行う
ため、80%以上の高い脱硫率を得るには脱りん処理後の
P含有量を低くすることができない。即ち、脱りん処理
後のP含有量は約0.020%にとどまる。一方、P含有量
を0.015%以下にするような高い脱りん率を達成するた
めには、スラグ中のFeO含有率を高くする必要があり、
このような高いFeO含有率のスラグの存在下では、脱硫
効率が落ちるのである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、溶銑
脱りん処理の後に、脱りんスラグを排出しないで続けて
脱硫処理を行う方法であって、従来方法に比べて脱りん
率が高く、脱硫処理の際の復りんがなく、脱硫率を高く
することができ、しかも簡便で安価な方法を提供するこ
とにある。なお、本発明では処理後の溶銑のP含有量を
0.015%以下にするとともに80%以上の脱硫率を達成す
ることを具体的な目標とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明溶銑の脱りん・脱
硫方法は、下記(1)〜(3)を特徴とする。なお、本明細書
において物質の量に関する%はすべて質量%である。
【0011】(1)上底吹き転炉を用いて脱炭処理する前
に溶銑の脱りんおよび脱硫処理を行う溶銑の脱りんおよ
び脱硫処理方法である。
【0012】(2)酸素ガスとともにCaOまたはCaCO
を含む脱りん剤を転炉内の溶銑表面に吹き付けて脱りん
処理を行うに際し、脱りん処理後のスラグ中のCaO含有
率(質量%)とSiO 含有率(質量%)の比であるス
ラグ塩基度「CaO/SiO」の値を1.7以上とする。
【0013】(3)脱りん処理後のスラグを転炉外に排出
することなく、引き続き上吹きランスから窒素ガスまた
は不活性ガスとともに脱硫剤を溶銑表面に吹き付けて脱
硫処理を行う。
【0014】上記の方法において、使用する脱りん剤
は、CaOまたはCaCOに加えて、さらにAlおよ
びFeのうちの一方または両方を含有するものであ
ることが望ましい。また、脱硫剤は、下記からまで
の中の一つでもよく、からまでものの二つ以上を組
み合わせた混合物であってもよい。 CaO CaOと金属アルミニウムの混合物 CaOとCの混合物 CaCO CaC NaCO 本発明方法では、まず脱りん処理を行い、引き続き脱硫
処理を行う。脱りん反応は主に下記式によって進行す
る。式中の( )内はスラグ中の成分であり、[ ]
内は溶銑中の成分である。
【0015】 3(CaO)+5(FeO)+2[P]=3CaO・P+5[Fe]・・・ 溶銑脱りんスラグは溶融していないと、脱りん反応が進
みにくい。しかし、溶融している脱りんスラグは、その
後の脱硫反応を妨げる。従って、脱硫処理前に脱りんス
ラグが凝固または半凝固の状態(以下、この状態を「固
化」という)になってしまえば、脱硫反応は効率よく進
むはずである。従って、脱りんスラグが固化していれ
ば、脱硫剤を、底吹きではなく、上吹きしても脱硫が進
行し易いはずである。脱硫剤を底吹きする方法では底吹
き羽口の損耗が大きく炉の補修および操業のコストが嵩
む。
【0016】CaOによる脱りん反応は、前記の式で進
行する。従って、脱りん反応を促進するには、CaO量を
増やすことが必要である。また、脱りんスラグは溶融さ
せることが必要である。
【0017】CaOの融点は約2570℃であり、溶銑温度
(1300〜1400℃)よりかなり高い。従って、CaOを含む
脱りん剤を溶解させるために従来はCaF含有フラック
スを使用してきた。しかし、CaFは耐火物の溶損を促
進する。
【0018】本発明者は、CaOを含む脱りん剤を、酸素
をキャリアーガスとして溶銑に吹き付けると、CaOが溶
融して効率的な脱りん処理が可能になることを見出し
た。CaCOを含む脱りん剤の場合は、CaCOが溶銑
の熱によりCaOとCOに分解し、このCaOが溶融す
る。
【0019】CaOまたはCaCOを含む脱りん剤を酸素
ガスとともに溶銑に吹き付けると、吹き付け部(火点)
の溶銑温度が2000℃以上の高温となり、酸素と溶銑の反
応によりFeOが多量に生成する。このFeOが多量に生成
している高温の火点にCaOが存在すると、CaOがFeOと
反応して融点の低い化合物を生成する。従って、CaOは
速やかに溶融してスラグ化し、脱りん反応が効率的に進
行するのである。
【0020】他方、脱りん処理後のスラグに関しても下
記の知見を得た。即ち、低[Si]溶銑([Si]が約0.1
%以下)を脱りんする場合、SiOの生成が少なくなる
ため、スラグ塩基度、即ち、「CaO/SiO (重量
比)」が高くなり、生成スラグの融点が上がる。従っ
て、脱りん処理終了時に吹き付け処理をやめると、スラ
グがほぼ固化する。ただし、この場合でも、上吹き酸素
ガスで溶銑に吹き付けられたCaOは火点付近で溶融して
スラグ化するため、脱りん反応に十分寄与し、処理後の
[P]濃度を0.015%以下にまで低下させることができ
る。
【0021】一方、[Si]が約0.3%程度の溶銑を脱り
んする場合でも、CaOまたはCaCO 含有脱りん剤を上
吹き酸素と共に溶銑に吹き付けて、前記の塩基度を1.7
以上にまで高めると、スラグの融点が急激に上昇し、脱
りん処理終了後は前記のようにスラグがほぼ固化する。
なお、火点に吹き付けられた脱りん剤中のCaOまたはCa
COが火点付近で溶融しスラグ化して、脱りんに十分
寄与することはこの場合も同じである。
【0022】脱りんスラグがほぼ固化した後に、脱硫剤
を上吹きランス(サブランスもしくは主ランス)から、
窒素やアルゴン等の不活性ガスをキャリアーガスとして
溶銑に吹き付けると、脱りんスラグが溶融状態である場
合に比べ、非常に効率良く脱硫できる。これは、脱硫剤
とほぼ固化した脱りんスラグとの反応速度が極めて遅
く、脱りんスラグが脱硫反応をほとんど阻害しないから
である。また、脱硫剤による脱りんスラグの還元反応も
生じにくいので、脱硫処理時の復りん反応もほとんど生
じない。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明方法では上底吹き転炉を使
用する。そして、上吹きランスから酸素をキャリアガス
としてCaOまたはCaCOを含む脱りん剤を溶銑に吹き
付ける。このとき使用する酸素量は溶銑1トン当たり4.
9〜9.1 Nm/minが望ましい。4.9 Nm /min未満では
十分な脱りんに必要な酸素量にならないことがあり、9.
1 Nm/minを超えると過剰な脱炭反応が生じ、その後
の脱炭精錬での熱源不足が生じるおそれがある。
【0024】CaOの吹込み量は、溶銑中のSi濃度[Si]
およびP濃度[P]に依存するが、溶銑中のP濃度が約
0.1%の場合、溶銑1トン当たり5〜20kgが望ましい。
5kg未満では、スラグ中CaOの活量が小さすぎて、溶銑
中のPをスラグ中のFeOで酸化しても、スラグ中に燐酸
カルシウム(3CaO・P )の形で安定して固
定できないことがある。その結果、処理後の[P]を本
発明の目標である0.015%以下にできないおそれがあ
る。一方、20kg/tを超えると脱りん率は飽和してしま
う。CaCOの吹込み量は、CaCO中のCaOが溶銑1
トン当たり5〜20kgとなるようにすればよい。
【0025】脱りん剤はCaOまたはCaCOを含むこ
と、即ち、CaOが含有されることが必要である。実質的
にCaOまたはCaCOのみからなるものであってもよ
い。しかし、CaOまたはCaCOに加えて、Al
よびFeの中の少なくとも一種を含有させると、脱
りん率を向上させることができる。
【0026】AlはCaOと反応して脱りん剤の融点
を下げ、火点付近におけるCaOのスラグ化を促進して脱
りん率の向上をもたらす。CaO量に対するAl量の
重量比(Al/CaO)は、1/20〜1/2とするの
が望ましい。1/20未満ではAlによるCaOの融点
降下の効果が小さすぎて、脱燐率向上に寄与できないお
それがある。一方、1/2を超えると脱燐率向上効果が
飽和し、徒にスラグ量が増加するだけになる。
【0027】CaOにFeを混合すると、火点付近に
おけるFeOの濃度が増加するため、火点付近でのCaOの
スラグ化が促進される。更に、脱りん反応が進行する領
域の酸素ポテンシャルが増加するため、脱りん率が大き
く向上する。
【0028】CaOに対するFeの重量比(Fe
/CaO)は、2/3以下とするのがよい。Feは冷
却能が大きいので、2/3を超える量を添加すれば、火
点における酸素ポテンシャルは増加するものの、火点温
度が低下してCaOのスラグ化が困難となることがある。
CaOにAlおよびFeを適当量混合すると、上
記のAlとFeの効果の相乗効果により脱りん
率は飛躍的に向上する。
【0029】脱りん処理後のスラグ塩基度(CaO/SiO
、重量比)は、1.7以上とする。スラグ塩基度が1.7未
満の場合、脱りん処理終了後のスラグの固化が不十分と
なる可能性がある。スラグの固化を効果的に進めるには
このスラグ塩基度を3.0以上とすることが望ましい。ス
ラグ塩基度の上限は、CaOまたはCaCOの吹込み量の
上限値と溶銑中のSiの酸化によって生成するSiO量と
によって自ずから定まる。
【0030】スラグ塩基度の調整は、次のようにして行
う。即ち、溶銑中のSiの酸化によって生成するSiO
に対して、所定のスラグ塩基度となるCaO量を求め、そ
の量になるように吹き付ける脱りん剤のCaOまたはCaC
の配合量を決める。なお、脱りん・脱硫処理を済ま
せたのちのスラグ中のSiO量を測定しておいて、次の
処理以降におけるSiO残留量の参考とするのが望まし
い。
【0031】脱りん剤は、粒径が10〜1000μmのもので
あればよい。10μm未満だと、製造コストが高くなる。
一方、1000μmを超えると、キャリアーガスと混合して
もスムーズに流れないため、配管内に堆積するおそれが
ある。
【0032】脱りん処理の終了後は、脱りんスラグを排
出することなく、脱硫処理を行う。このとき、窒素また
は不活性ガスをキャリアガスとして脱硫剤を溶銑に吹き
付ける。脱硫剤は、前記〜の中の1種またはこれら
の2種以上の混合物を選べばよい。脱硫剤の粒径も、前
記脱りん剤とおなじく粒径が10〜1000μmのものである
ことが望ましい。
【0033】脱硫剤の中のNaCOおよびCaCO
外のものは、全て強還元性物質であるから、脱りんスラ
グ中のPを還元して復りんを生じさせる可能性が
あるが、処理処理後の脱りんスラグがほぼ固化している
ため、実質的に復りんは生じない。
【0034】上記の脱硫剤を上吹きランス(主ランスま
たはサブランス)から、窒素またはアルゴン等の不活性
ガスをキャリアーガスとして溶銑に吹き付けると、80%
以上の高い脱硫率が得られる。キャリアーガスとして窒
素または不活性ガスを用いるのは、脱硫剤が吹き付けら
れた溶銑表面近傍の酸素ポテンシャルの増加を防止して
脱硫反応を進行させやすくするためである。
【0035】
【実施例】[比較例1]試験用の上下吹き転炉に脱りん
処理前温度が1320℃の溶銑2トンを装入した。溶銑は、
[C]が4.5%、[Si]が0.25%、[P]が0.10%、
[S]が0.030%のものである。この溶銑に塊状(平均
粒径:30mm)の鉄鉱石24kgと塊状(平均粒径:30mm)の
生石灰19.3kgを上置き添加し、配合塩基度(CaO/SiO
、重量比)を1.8とした後、上吹きランスから溶銑1
トン当たり1.3 Nm/minの酸素を7分間吹き付けた。
【0036】処理中は底吹き羽口からアルゴンガスを溶
銑1t当たり0.50 Nm/min吹き込んで溶銑およびスラ
グを攪拌した。脱りん処理終了時の溶銑温度は1348℃、
スラグ塩基度は1.5で、処理後の[P]濃度は0.014%、
[S]濃度は0.029%、スラグのT.Fe濃度は10%であっ
た。
【0037】次いで、上吹きランスからの酸素吹き付け
を停止した状態で、底吹き羽口からアルゴンガスを継続
して吹き込んで溶銑およびスラグを攪拌する操作、いわ
ゆるリンスを3分間行った後、サブランスから溶銑中に
脱硫剤として溶銑1トン当たり4kgのNaCOを4分
間かけて吹き付けた。なお、リンスを3分間行ってもス
ラグフォーミングは抑えきれず、スラグは溶融状態であ
った。
【0038】NaCO 吹き付け終了時の溶銑中
[S]濃度は0.015%であり、脱硫率は50%と低かっ
た。なお、脱硫処理中に復りんは進行せず、溶銑中
[P]濃度は0.014%のままであった。
【0039】[比較例2]比較例1で使用した転炉に、
[C]が4.5%、[Si]が0.24%、[P]が0.10%、
[S]が0.030%、脱りん処理前温度が1317℃の溶銑2
トンを装入し、その溶銑に塊状(平均粒径:30mm)の鉄
鉱石24kgを上置きした後、上吹きランスから溶銑1トン
当たり1.3 Nm/minの酸素と共に粉状(平均粒径:100
μm)のCaO17.1kgを約7分間かけて溶銑に吹き付けて
配合塩基度を1.6とした。
【0040】処理中は底吹き羽口からアルゴンガスを溶
銑1トン当たり0.50 Nm/min吹き込んで溶銑およびス
ラグを攪拌した。
【0041】上記の脱りん処理終了時の溶銑温度は1346
℃、スラグ塩基度は1.6で、処理後の溶銑の[P]濃度
は0.016%、[S]濃度は0.029%、スラグのT.Fe濃度は
11%であった。
【0042】脱りん処理後、リンスを2分間行った後、
サブランスからアルゴンをキャリアーガスとして溶銑中
に4kgの粉状(平均粒径:200μm)のNaCOを4
分間かけて吹き付けた。なお、リンスを2分間行うと、
スラグフォーミングは完全に鎮静し、スラグはほぼ固化
していた。
【0043】NaCO吹き付け終了時の溶銑中[S]
濃度は0.010%であり、脱硫率は67%と低かった。ま
た、脱硫処理中に復りんは進行せず、溶銑中[P]濃度
は0.016%のままで、目標の[P]濃度、0.015%以下に
はならなかった。
【0044】[本発明例1]前記の試験転炉に[C]が
4.5%、[Si]が0.24%、[P]が0.10%、[S]が0.0
30%、脱りん処理前温度が1316℃の溶銑2トンを装入し
た。この溶銑に塊状(平均粒径:30mm)の鉄鉱石24kg
を上置きした後、上吹きランスから溶銑1トン当たり1.
3 Nm/minの酸素と共に粉状(平均粒径:100μm)の
CaO19.6kgを7分間かけて溶銑に吹き付けて配合塩基度
を1.9とした。
【0045】処理中は底吹き羽口からアルゴンガスを溶
銑1トン当たり0.50 Nm/min吹き込んで溶銑およびス
ラグを攪拌した。
【0046】脱りん処理終了時の溶銑温度は1346℃、ス
ラグ塩基度は1.9で、処理後[P]濃度は0.013%、
[S]濃度は0.029%、スラグのT.Fe濃度は9%であっ
た。
【0047】次いで、2分間のリンスを行った後、サブ
ランスからアルゴンガスをキャリアーとして溶銑中へ4
kgの粉状(平均粒径:200μm)のNaCO を4分
間かけて吹き付けた。なお、2分間のリンスによってス
ラグフォーミングは完全に鎮静し、スラグはほぼ固化し
ていた。
【0048】NaCO 吹き付け終了時の溶銑中の
[S]濃度は0.006%であり、脱硫率は80%と高かっ
た。また、脱硫処理中に復りんは進行せず、溶銑中
[P]濃度は0.013%のままで、目標の0.015%以下を達
成できた。
【0049】[本発明例2]前記の試験転炉に、[C]
が4.5%、[Si]が0.10%、[P]が0.10%、[S]が
0.030%、脱りん処理前温度が1340℃の溶銑2トンを装
入した。この溶銑に塊状(平均粒径:30mm)の鉄鉱石24
kgを上置きした後、上吹きランスから溶銑1トン当たり
1.3 Nm/minの酸素と共に粉状(平均粒径:100μm)
のCaO15kgを7分間かけて吹き付けて配合塩基度を3.5
とした。この処理中は底吹き羽口からはアルゴンガスを
溶銑1トン当たり0.50 Nm/min吹き込んで溶銑および
スラグを攪拌した。
【0050】上記の脱りん処理終了時の溶銑温度は1345
℃、スラグ塩基度は3.4で、処理後[P]濃度は0.013
%、[S]濃度は0.027%、スラグのT.Fe濃度は8%で
あった。なお、吹錬終了直後にスラグほぼ固化してい
た。
【0051】上記の脱りん処理の後、直ちにサブランス
からアルゴンガスをキャリアーとして溶銑中へ4kgの粉
状(平均粒径:200μm)の脱硫剤を4分間かけて吹き
付けた。この脱硫剤は90%のCaOと10%のAlの混合物で
ある。
【0052】脱硫剤吹き付け終了時の溶銑中[S]濃度
は0.006%であり、脱硫率は80%に達した。また、脱硫
処理中に復りんは進行せず、溶銑中[P]濃度は0.013
%のままであった。即ち、0.015%以下という目標の
[P]濃度を達成できた。
【0053】[本発明例3]前記の試験転炉に、[C]
が4.5%、[Si]が0.25%、[P]が0.10%、[S]が
0.030%、脱りん処理前温度が1314℃の溶銑2トンを装
入した。この溶銑に塊状(平均粒径:30mm)の鉄鉱石24
kgを上置きした後、上吹きランスから溶銑1トン当たり
1.3 Nm/minの酸素と共に粉状(平均粒径:100μm)
の脱りん剤24.5kgを7分間かけて吹き付けて配合塩基度
を1.85とした。脱りん剤は80%のCaOと20%のAl
の混合物である。この処理中は底吹き羽口からはアルゴ
ンガスを溶銑1トン当たり0.50 Nm/min吹き込んで溶
銑およびスラグを攪拌した。
【0054】脱りん吹錬終了時の溶銑温度は1341℃、ス
ラグ塩基度は1.8で、処理後[P]濃度は0.011%、
[S]濃度は0.026%、スラグのT.Fe濃度は8%、Al
濃度は12%であった。
【0055】2分間のリンスを行った後、サブランスか
らアルゴンガスをキャリアーとして溶銑中に4kgの粉状
(平均粒径:200μm)のCaCを4分間かけて吹き付
けた。なお、2分間のリンスによってスラグフォーミン
グは完全に鎮静し、スラグはほぼ固化していた。
【0056】CaC 吹き付け終了時の溶銑中[S]濃
度は0.003%であり、脱硫率は90%であった。また、脱
硫処理中に復りんは進行せず、溶銑中[P]濃度は0.01
1%のままで、目標の0.015%以下になっていた。
【0057】[本発明例4]前記の試験転炉に、[C]
が4.5%、[Si]が0.10%、[P]が0.10%、[S]が
0.030%、脱りん処理前温度が1341℃の溶銑2トンを装
入した。この溶銑に塊状(平均粒径:30mm)の鉄鉱石24
kgを上置きした後、上吹きランスから溶銑1トン当たり
1.3 Nm/minの酸素と共に粉状(平均粒径:100μm)
のCaO15kgを7分間かけて吹き付けて配合塩基度を3.5
とした。この処理中は底吹き羽口からはアルゴンガスを
溶銑1トン当たり0.50 Nm/min吹き込んで溶銑および
スラグを攪拌した。
【0058】脱りん吹錬終了時の溶銑温度は1342℃、ス
ラグ塩基度は3.4で、処理後の溶銑の[P]濃度は0.015
%、[S]濃度は0.024%、スラグのT.Fe濃度は8%で
あった。なお、脱りん処理終了直後にスラグほぼ固化し
ていた。
【0059】上記の処理後、で直ちにサブランスからア
ルゴンガスをキャリアーとして溶銑中へ4kgの粉状(平
均粒径:200μm)のCaOを4分間かけて吹き付けた。
【0060】CaO吹き付け終了時の溶銑中[S]濃度は
0.006%であり、脱硫率は80%であった。また、脱硫処
理中に復りんは進行せず、溶銑中[P]濃度は0.015%
のままで、目標の0.015%以下に達していた。
【0061】[本発明例5]前記の試験転炉に、[C]
が4.5%、[Si]が0.10%、[P]が0.10%、[S]が
0.030%、脱りん処理前温度が1339℃の溶銑2トンを装
入した。この溶銑に塊状(平均粒径:30mm)の鉄鉱石24
kgを上置きした後、上吹きランスから溶銑1トン当たり
1.3 Nm/minの酸素と共に粉状(平均粒径:100μm)
のCaO15kgを7分間かけて吹き付けて配合塩基度を3.5
とした。この処理中は底吹き羽口からはアルゴンガスを
溶銑1トン当たり0.50 Nm/min吹き込んで溶銑および
スラグを攪拌した。
【0062】脱りん吹錬終了時の溶銑温度は1340℃、ス
ラグ塩基度3.4で、処理後の溶銑の[P]濃度は0.014
%、[S]濃度は0.026%、スラグのT.Fe濃度は9%で
あった。なお、処理終了直後にスラグほぼ固化してい
た。
【0063】上記の処理後の溶銑にサブランスからアル
ゴンガスをキャリアーとして4kgの粉状(平均粒径:20
0μm)のCaOと2kgの粉状(平均粒径:200μm)のC
の混合粉を4分間かけて吹き付けた。この吹き付け終了
時の溶銑中[S]濃度は0.006%であり、脱硫率は80%
であった。また、脱硫処理中に復りんは進行せず、溶銑
中[P]濃度は0.014%のままで、目標の0.015%以下に
なっていた。
【0064】[本発明例6]前記の試験転炉に、[C]
が4.5%、[Si]が0.10%、[P]が0.10%、[S]が
0.030%、脱りん処理前温度が1338℃の溶銑2トンを装
入した。この溶銑に塊状(平均粒径:30mm)の鉄鉱石24
kgを上置きした後、上吹きランスから溶銑1トン当たり
1.3 Nm/minの酸素と共に粉状(平均粒径:100μm)
のCaO15kgを7分間かけて吹き付けて配合塩基度を3.5
とした。この処理中は底吹き羽口からはアルゴンガスを
溶銑1トン当たり0.50 Nm/min吹き込んで溶銑および
スラグを攪拌した。
【0065】上記の脱りん処理終了時の溶銑温度は1341
℃、スラグ塩基度は3.4で、処理後の溶銑の[P]濃度
は0.014%、[S]濃度は0.026%、スラグのT.Fe濃度は
8%であった。なお、処理終了直後にスラグほぼ固化し
ていた。
【0066】脱りん処理終了後の溶銑に、サブランスか
らアルゴンガスをキャリアーとして7kgの粉状(平均粒
径:200μm)のCaCOを4分間かけて吹き付けた。
この吹き付け終了時の溶銑中[S]濃度は0.006%であ
り、脱硫率は80%であった。また、脱硫処理中に復りん
は進行せず、溶銑中[P]濃度は0.014%のままで、目
標の0.015%以下になっていた。
【0067】[本発明例7]前記の試験転炉に、[C]
が4.5%、[Si]が0.25%、[P]が0.10%、[S]が
0.030%、脱りん処理前温度が1316℃の溶銑2トンを装
入した。この溶銑に塊状(平均粒径:30mm)の鉄鉱石20
kgを上置きした後、上吹きランスから溶銑1トン当たり
1.3 Nm/minの酸素と共に粉状(平均粒径:100μm)
の脱りん剤24.5kgを7分間かけて吹き付けて配合塩基度
を1.8とした。脱りん剤は80%CaOと20%のFe
混合粉である。この処理中は底吹き羽口からはアルゴン
ガスを溶銑1トン当たり0.50 Nm/min吹き込んで溶銑
およびスラグを攪拌した。
【0068】脱りん吹錬終了時の溶銑温度は1341℃、ス
ラグ塩基度は1.8で、処理後の溶銑の[P]濃度は0.012
%、[S]濃度は0.027%、スラグのT.Fe濃度は8%で
あった。
【0069】次いで、2分間のリンスを行った後、サブ
ランスからアルゴンガスをキャリアーとして溶銑中へ4
kgの粉状(平均粒径:200μm)のCaC を4分間か
けて吹き付けた。なお、2分間のリンスによってスラグ
フォーミングは完全に鎮静し、スラグはほぼ固化してい
た。
【0070】CaC 吹き付け終了時の溶銑中[S]濃
度は0.003%であり、脱硫率は90%に達した。また、脱
硫処理中に復りんは進行せず、溶銑中[P]濃度は0.01
2%のままであった。即ち、目標の0.015%以下に達して
いた。
【0071】
【発明の効果】本発明方法によれば、溶銑の脱りん後に
スラグを排出することなく続けて脱硫処理を行うことが
でき、高い脱りん率と脱硫率を両立させることができ
る。
フロントページの続き Fターム(参考) 4K014 AA02 AA03 AB03 AB12 AC03 AC17 4K070 AB05 AB06 AC02 AC13 AC14 AC15 AC16 AC20 AC24 AC32 AC40 BC02 EA03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上底吹き転炉を用いて脱炭処理する前に溶
    銑の脱りんおよび脱硫処理を行う溶銑の脱りんおよび脱
    硫処理方法であって、酸素ガスとともにCaOまたはCaC
    を含む脱りん剤を転炉内の溶銑表面に吹き付けて脱
    りん処理を行うに際し、脱りん処理後のスラグ中のCaO
    含有率(質量%)とSiO 含有率(質量%)の比であ
    るスラグ塩基度「CaO/SiO」の値を1.7以上とし、
    脱りん処理後のスラグを転炉外に排出することなく、引
    き続き上吹きランスから窒素ガスまたは不活性ガスとと
    もに脱硫剤を溶銑表面に吹き付けて脱硫処理を行うこと
    を特徴とする溶銑の脱りんおよび脱硫処理方法。
  2. 【請求項2】脱りん剤が、CaOまたはCaCOに加え
    て、さらにAlおよびFeのうちの一方または
    両方を含有することを特徴とする請求項1に記載の溶銑
    の脱りんおよび脱硫処理方法。
  3. 【請求項3】脱硫剤が下記からまでの中の一つまた
    は二つ以上を組み合わせた混合物である請求項1または
    請求項2に記載の溶銑の脱りんおよび脱硫処理方法。 CaO CaOと金属アルミニウムの混合物 CaOとCの混合物 CaCO CaC NaCO
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