JP2003102765A - 眼圧調節部材および眼圧調節方法 - Google Patents

眼圧調節部材および眼圧調節方法

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JP2003102765A
JP2003102765A JP2001303852A JP2001303852A JP2003102765A JP 2003102765 A JP2003102765 A JP 2003102765A JP 2001303852 A JP2001303852 A JP 2001303852A JP 2001303852 A JP2001303852 A JP 2001303852A JP 2003102765 A JP2003102765 A JP 2003102765A
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Takashi Okano
敬 岡野
Shigeto Okano
重遠 岡野
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Abstract

(57)【要約】 【課 題】 簡単な構成および方法で眼圧の上昇を防
止すること。 【解決手段】 眼球(01)の強膜(02)および毛様
体(05)の偏平部(05a)を貫通して形成され且つ
内端が硝子体(012)に連通する眼圧調節部材装着孔
(016)の内部に配置される眼圧調節部材(1)内部
に設けられた流路形成部材には、硝子体(012)の液
圧が高くなったときに硝子体(012)中の液体が外端
側に流出可能な眼圧調節用液体流路が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、眼圧が上昇した時
に、眼圧を適切な値に調節するための眼圧調節部材およ
び眼圧調節方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図9は従来の眼圧調節部材および眼圧調
節方法の説明図である。図9において、眼球01は強膜
02、脈絡膜03、網膜04を有している。脈絡膜03
は毛様体05、角膜06につながっている。角膜06の
表面には結膜07が有る。前記毛様体05により水晶体
08が保持されている。水晶体08の外周部分の前方に
は虹彩09が有り、前記水晶体08および虹彩09の前
方には前房(前房)010が有り、虹彩09の後方には
後房011が有る。水晶体08の後方には硝子体012
が有る。また、網膜04には視神経013がつながって
いる。なお、図9において、05aは毛様体偏平部を示
し、014はテノン嚢を示し、015はチン氏体を示
す。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記眼球01中の液体
である房水は毛様体05で製造され、前房010に移動
し、さらに、眼球01の外部に移動する。この水の移動
が不十分なときには眼圧が上昇し、緑内障になり、失明
の危険がある。したがって、眼圧の上昇を防止する必要
がある。前記眼圧の上昇を防止するため、従来は、角膜
06および強膜02の境界部分またはその隣接部分を貫
通して内端部が前房010の隅角に連通する眼圧調節部
材装着孔016を形成し、前記眼圧調節部材装着孔01
6に眼圧調節部材1を挿入している。前記前房010の
圧力が上昇した場合には、前房010の液体(房水)
は、前記眼圧調節部材016に形成された眼圧調節用液
体流路を外端側に流出して、前房010の圧力が上昇す
るのを防止している。このような従来の眼圧防止方法で
は、前房010の隅角に連通する眼圧調節部材装着孔を
形成するので、手術が難しく、手術時間が30〜45分
程度必要であり、患者は1週間程度の入院が必要であっ
た。このため、患者の肉体的、精神的、経済的な負担が
大きいという問題点があった。
【0004】本発明は、前記問題点に鑑み、簡単な方法
で眼圧の上昇を防止することを、技術的課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明の眼圧調節部材は、次の構成要件(A01)〜
(A04)を備えている。 (A01)眼球(01)の強膜(02)および毛様体偏平
部(05a)を貫通して形成され且つ内端が硝子体(0
12)に連通する眼圧調節部材装着孔(016)の内部
に配置される筒状部(2a,3a,6a,7a,8
a)、(A02)前記筒状部(2a,3a,6a,7a,
8a)の外端に設けられ且つ前記筒状部(2a,3a,
6a,7a,8a)よりも外径が大きく形成された大径
外端部(2b,6b,7b,8b)であって前記強膜
(02)内に配置される前記大径外端部(2b,6b,
7b,8b)、(A03)前記筒状部(2a,3a,6
a,7a,8a)の内端に設けられ内端が眼球(01)
の硝子体(012)に接触して配置される硝子体接触端
部(3c,6c,7c,8c)、(A04)前記硝子体接
触端部(3c,6c,7c,8c)、前記筒状部(2
a,3a,6a,7a,8a)および前記大径外端部
(2b,6b,7b,8b)を貫通して設けられた流路
形成部材(4)であって、前記硝子体(012)の液圧
が高くなったときに硝子体(012)中の液体が前記大
径外端部(2b,6b,7b,8b)側に流出可能な眼
圧調節用液体流路を形成する前記流路形成部材(4)。
【0006】前記構成要件(A01)〜(A04)を備えた
本発明の眼圧調節部材では、硝子体(012)の液圧が
高くなったときに前記硝子体(012)中の液体は、眼
圧調節部材の前記硝子体接触端部(3c,6c,7c,
8c)、前記筒状部(2a,3a,6a,7a,8a)
および前記大径外端部(2b,6b,7b,8b)を貫
通して設けられた流路形成部材(4)の眼圧調節用液体
流路を通って、前記大径外端部(2b,6b,7b,8
b)側に流出する。この硝子体(012)中の液体の流
出により硝子体(012)の圧力が低下する。したがっ
て、眼球(01)の前房(010)の液体は前記圧力が
低下した硝子体(012)に移動するので、前房(01
0)の液体の圧力も低下する。したがって、眼圧の上昇
を軽減することができる。前記大径外端部(2b,6
b,7b,8b)は前記筒状部(2a,3a,6a,7
a,8a)よりも外径が大きく形成されているので、眼
圧調節部材が眼圧調節部材装着孔(016)の内端側
(硝子体(012)側)に移動するのを防止することが
できる。また、前記眼球(01)の強膜(02)および
毛様体偏平部(05a)を貫通する眼圧調節部材装着孔
(016)を形成する場合、従来の角膜(06)および
毛様体(05)の境界部分またはその隣接部分を貫通す
る眼圧調節部材装着孔(016)を形成する場合に比較
して、手術が容易で、患者の肉体的、精神的および経済
的負担も軽くなる。
【0007】前記構成要件(A01)〜(A04)を備えた
本発明の眼圧調節部材は、次の構成要件(A05)を備え
ることができる。(A05)前記筒状部(2a,3a,6
a,7a,8a)よりも外径が大きく形成された前記硝
子体接触端部(3c,6c,7c,8c)。前記構成要
件(A05)を備えた本発明の眼圧調節部材では、前記硝
子体接触端部(3c,6c,7c,8c)は前記筒状部
(2a,3a,6a,7a,8a)よりも外径が大きく
形成されているので、眼圧調節部材が眼圧調節部材装着
孔(016)の外端側(強鏡側)に移動するのを防止す
ることができる。したがって、眼圧調節部材の位置が安
定する。
【0008】前記構成要件(A01)〜(04)または構成
要件(A01)〜(A05)を備えた本発明の眼圧調節部材
は、次の構成要件(A06)を備えることができる。(A
06)前記筒状部(2a6a,7a,8a)の外端に一体
成形された前記大径外端部(2b,6b,7b,8
b)。前記構成要件(A06)を備えた本発明の眼圧調節
部材では、前記大径外端部(2b,6b,7b,8b)
が前記筒状部(2a,3a,6a,7a,8a)の外端
に一体成形されているので、部品点数が少なく、構成が
簡単になる。
【0009】また、前記構成要件(A06)を備えた本発
明の眼圧調節部材は、次の構成要件(A07)〜(A09)
を備えることができる。(A07)前記筒状部(2a,3
a,6a,7a,8a)の内端に一体成形された前記硝
子体接触端部(3c,6c,7c,8c)、(A08)前
記大径外端部(2b,6b,7b,8b)、筒状部(2
a,3a,6a,7a,8a)および前記硝子体接触端
部(3c,6c,7c,8c)を貫通して形成された貫
通孔、(A09)前記貫通孔に挿入されるとともに、前記
眼圧調節用液体流路が形成された前記流路形成部材
(4)。前記構成要件(A07)〜(A09)を備えた本発
明の眼圧調節部材では、前記大径外端部(2b,6b,
7b,8b)、前記筒状部(2a,3a,6a,7a,
8a)および前記硝子体接触端部(3c,6c,7c,
8c)が一体成形されるとともに、それらを貫通する貫
通孔が形成されているので、部品数が少なくなり、構成
が簡単になる。硝子体(012)の液体は圧力が上昇す
ると、前記貫通孔に挿入された流路形成部材(4)に形
成された眼圧調節用液体流路を通って外端側(強膜(0
2)側)に流出する。
【0010】前記構成要件(A01)〜(04)または構成
要件(A01)〜(A05)を備えた本発明の眼圧調節部材
は、次の構成要件(A07),(A08),(A010),
(A011)を備えることができる。(A07)前記筒状部
(6a,7a)の内端に一体成形された前記硝子体接触
端部(6c,7c)、(A08)前記大径外端部(6b,
7b)、筒状部(6a,7a)および前記硝子体接触端
部(6c,7c)を貫通して形成された貫通孔、(A01
0)前記硝子体接触端部(6c,7c)の貫通孔に流路
形成部材(4)が挿入された状態では外径が拡大状態と
なり、挿入されていない状態では外径が縮小状態となる
ように構成された前記硝子体接触端部(6c,7c)、
(A011)前記貫通孔に挿入されるとともに、前記眼圧
調節用液体流路が形成された前記流路形成部材(4)。
【0011】前記構成要件(A07),(A08),(A01
0),(A011)を備えた本発明の眼圧調節部材では、前
記大径外端部(6b,7b)、前記筒状部(6a,7
a)および前記硝子体接触端部(6c,7c)が一体成
形されるとともに、それらを貫通する貫通孔が形成され
ているので、部品数が少なくなり、構成が簡単になる。
一体成形された前記大径外端部(6b,7b)、前記筒
状部(6a,7a)および前記硝子体接触端部(6c,
7c)を、前記眼圧調節部材装着孔(016)に装着す
る際には、前記硝子体接触端部(6c,7c)の外径が
縮小した状態(前記貫通孔に流路形成部材(4)が挿入
されていない状態)で硝子体接触端部(6c,7c)を
眼圧調節部材装着孔(016)の外端側から挿入する。
このとき、硝子体接触端部(6c,7c)は外径が縮小
した状態であるので、挿入し易い。硝子体接触端部(6
c,7c)を眼圧調節部材装着孔(016)の内端部に
挿入した状態で、前記貫通孔に前記流路形成部材(4)
を挿入すると、硝子体接触端部(3c,6c,7c)は
外径が拡大状態となる。この外径が拡大した状態では眼
圧調節部材装着孔(016)内の眼圧調節部材(1)
は、外端側へ移動し難くなる。このため、眼圧調節部材
の位置が安定する。
【0012】前記構成要件(A01)〜(04)または構成
要件(A01)〜(A05)を備えた本発明の眼圧調節部材
は、次の構成要件(A012),(A013)を備えることが
可能である。(A012)前記筒状部(2a)および前記
大径外端部(2b)を貫通して形成された貫通孔、(A
013)前記貫通孔の外端側から内端側に挿入されるとき
に前記貫通孔を通過中は内径が縮小状態となるように弾
性変形し、前記貫通孔の内端から内方に突出した状態で
前記筒状部(2a)の外径よりも大きな外径となる前記
硝子体接触端部(3c)を有するとともに、前記眼圧調
節用液体流路が形成される前記流路形成部材(4)が挿
入される貫通孔を有する内筒(3)。
【0013】前記構成要件(A012),(A013)を備え
た本発明の眼圧調節部材では、前記筒状部(2a)およ
び前記大径外端部(2b)を貫通して形成された貫通孔
の外端側から内端側に内筒(3)を挿入するとき、前記
内筒(3)の前記硝子体接触端部(3c)は前記貫通孔
を通過中は内径が縮小状態となるように弾性変形し、前
記貫通孔の内端から内方に突出した状態で前記筒状部
(2a)の外径よりも大きな外径となる。前記大きな外
径となった内筒(3)および内筒3に挿入された流路形
成部材(4)を有する眼圧調節部材(1)は、前記眼圧
調節部材装着孔(016)内での外方(強膜(02)
側)へ移動し難くなる。このため、眼圧調節部材(1)
の位置が安定する。前記硝子体(012)の圧力が上昇
すると、硝子体(012)の液体は、前記流路形成部材
(4)の前記眼圧調節用液体流路を通って外端側(強膜
(02)側、すなわち、テノン嚢側)に流出するので、
硝子体(012)の圧力の上昇を防止することができ
る。
【0014】本発明の眼圧調節方法は、次の構成要件
(A014)を備えている。(A014)筒状部(2a,3
a,6a,7a,8a)と前記筒状部(2a,3a,6
a,7a,8a)の外端に設けた前記筒状部(2a,3
a,6a,7a,8a)より大径の大径外端部(2b,
6b,7b,8b)と前記筒状部(2a,3a,6a,
7a,8a)の内端に設けた硝子体接触端部(3c,6
c,7c,8c)と、前記硝子体接触端部(3c,6
c,7c,8c)の内端と前記大径外端部(2b,6
b,7b,8b)の外端との間に形成した眼圧調節用液
体流路とを有する眼圧調節部材(1)を、眼球(01)
の強膜(02)および毛様体偏平部(05a)を貫通し
た状態で配置し、前記眼球(01)の硝子体(012)
の液圧が高くなったときに硝子体(012)中の液体
(房水)を前記眼圧調節用液体流路から前記大径外端部
(2b,6b,7b,8b)に流出させることにより眼
圧を調節する眼圧調節方法。
【0015】前記構成要件(A014)を備えた本発明の
眼圧調節方法では、眼圧調節用液体流路が設けられた眼
圧調節部材(1)を、眼球(01)の強膜(02)およ
び毛様体偏平部(05a)を貫通した状態で配置し、前
記眼球(01)の硝子体(012)の液圧が高くなった
ときに硝子体(012)中の液体を前記流路形成部材
(4)の眼圧調節用液体流路から前記大径外端部(2
b,6b,7b,8b)に流出させることにより眼圧を
調節することができる。したがって本発明では、前記眼
球(01)の強膜(02)および毛様体偏平部(05
a)を貫通した状態で眼圧調節部材(1)を配置するた
めに、眼球(01)の強膜(02)の外側と毛様体偏平
部(05a)の内側の硝子体(012)との間に前記眼
圧調節部材(1)を挿入するための眼圧調節部材装着孔
(016)を形成する手術を行う。この手術は、従来の
眼球(01)の強膜(02)および角膜(06)の境界
部分またはその隣接部分の外側と前房(010)との間
に前記眼圧調節部材(1)を挿入するための眼圧調節部
材装着孔(016)を形成する手術に比較して、安全で
手術時間も短く、容易に行うことができる。したがっ
て、患者の肉体的、精神的および経済的負担を軽減する
ことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、図面により本発明の実施の
形態の具体例(実施例)を説明する。 (実施例1)図1は本発明の眼圧調節部材の実施例1の
説明図で、図1Aは分解斜視図、図1Bは組み立てた状
態の斜視図である。図2は本発明の眼圧調節部材の実施
例1の説明図で、図2Aは眼圧調節部材の分解断面図、
図2Bは眼圧調節部材を眼球に装着する作業途中の分解
断面図、図2Cは前記図Bよりも作業が進んだ状態の分
解斜視図、図2Dは作業が完了した状態の断面図であ
る。図3は実施例1の眼圧調節部材を眼球に装着した状
態の説明図である。図3において、眼球01の構造は、
前記従来例で説明した眼球の構造と同一であるので、同
一の符号を付して眼球の構造の説明は省略する。図3に
おいて、眼圧調節部材1は、眼球01に形成された眼圧
調節部材装着孔016に挿入された状態で使用される。
【0017】図1、図2において、眼圧調節部材1は、
シリコン樹脂製の外筒2および内筒3と、前記内筒3内
部に挿入される流路形成部材4とを有している。なお、
前記流路形成部材4の外周面は半透膜により被覆されて
いる。外筒2は、筒状部2aおよびその外端に一体的に
成形された大径外端部2bを有している。大径外端部2
bの外径は前記筒状部2aの外径よりも大きく形成され
ており、大径外端部2bの外端部の内面には内径拡大部
2cが形成されている。外筒2の内端部には3個所の切
除部2dが形成されている。
【0018】内筒3は筒状部3aとその外端に一体成形
された外端部径拡大部3bと、前記筒状部3aの内端に
一体成形された大径の硝子体接触端部3cとを有してい
る。前記筒状部3aおよび硝子体接触端部3cには軸方
向に沿う6本のスリット3dが形成されている。前記流
路形成部材4は、多孔質の通水性ポリマー樹脂により形
成されており、その内端面および外周面は半透膜により
被覆されている。また、流路形成部材4は筒状部4aお
よびその外端部形成された外端部径拡大部4bを有して
いる。外端部径拡大部4bは、前記内筒3の外端部径拡
大部3bの内面に嵌合する部分である。
【0019】(実施例1の作用)図4は前記実施例1の
眼圧調節部材を眼球の眼圧調節部材装着孔に装着する装
着方法を示す図である。図3、図4において、圧力調節
部装着孔016は、眼球01の強膜02および毛様体偏
平部05aを貫通して形成されており、その内端は硝子
体012に接触している。前記圧力調節部装着孔016
を形成するには、眼科の手術において通常行われるよう
に、結膜07をその起始部から切開し、テノン嚢014
を強膜02から剥離させて強膜02を露出させ、その後
に孔開け器具(例えば、20GのV−ランス)を用いて
強膜02側から毛様体05の偏平部05aに眼球1の中心
方向に圧力調節部装着孔016(図3参照)を開ける。
【0020】次に眼圧調節部材1の外筒2(図4B参
照)を前記圧力調節部装着孔016に圧入(挿入)す
る。次に図2A〜図2Cに示すように、前記外筒2に内
筒3を挿入する。内筒3の硝子体接触端部3cおよび筒
状部3aは、前記6本のスリット3dが形成されている
ので、前記硝子体接触端部3cが前記外筒2の筒状部2
aを通過する時には図2Bから分かるように、硝子体接
触端部3cの外径が縮小するように弾性変形する。前記
内筒3の硝子体接触端部3cは、外筒2の内端の内方に
突出すると、図2Cに示すように弾性により拡大し、元
の外径に復帰する。次に図2Dに示すように、流路形成
部材4を前記内筒3に挿入する。この状態は、前記外筒
2、内筒3および流路形成部材4を有する眼圧調節部材
1は、前記眼圧調節部材装着孔016に装着された状態
である。
【0021】本実施例1の眼圧調節部材1では、硝子体
012の液圧が高くなったときに前記硝子体012中の
液体は、眼圧調節部材1の前記硝子体接触端部3c、前
記筒状部2a,3aおよび前記大径外端部2bを貫通し
て設けられた流路形成部材4に形成された眼圧調節用液
体流路を通って、前記大径外端部2b側に流出する。こ
の硝子体012中の液体の流出により硝子体012の圧
力が低下する。したがって、眼球01の前房010の液
体は前記圧力が低下した硝子体012に移動するので、
前房010の液体の圧力も低下する。したがって、眼圧
の上昇を防止することができる。
【0022】また、前記大径外端部2bは前記筒状部2
aよりも外径が大きく形成されているので、眼圧調節部
材1が眼圧調節部材装着孔016の内端側(硝子体01
2側)に移動するのを防止することができる。前記硝子
体接触端部3cは前記筒状部2aよりも外径が大きく形
成されているので、眼圧調節部材1が眼圧調節部材装着
孔016の外端側(強鏡側)に移動するのを防止するこ
とができる。したがって、眼圧調節部材1の位置が安定
する。また、前記眼球01の強膜02および毛様体偏平
部05aを貫通する眼圧調節部材装着孔016を形成す
る場合、角膜06および毛様体05の境界部分またはそ
の隣接部分を貫通する従来の眼圧調節部材装着孔016
(図9参照)を形成する場合に比較して、手術が容易で、
患者の肉体的、精神的および経済的負担も軽くなる。
【0023】(実施例2)図5は本発明の眼圧調節部材
実施例2の説明図で、前記実施例1の図1に対応する図
である。なお、この実施例2の説明において、前記実施
例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付
して、その詳細な説明を省略する。この実施例2は、下
記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前
記実施例1と同様に構成されている。図5において、眼
圧調節部材1の内筒3は、円周方向に120°間隔で3
個の硝子体接触端部3cが配置されており、それらの間
には切除部分3eが形成されている。この実施例2も前
記実施例1と同様の作用を奏する。
【0024】(実施例3)図6は本発明の眼圧調節部材
実施例3の説明図で、図6Aは眼圧調節部材の分解断面
図、図6Bは眼圧調節部材の組み立て状態の断面図、図
6Cは眼圧調節部材の斜視図である。なお、この実施例
3の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する
構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省
略する。この実施例3は、下記の点で前記実施例1と相
違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成さ
れている。図6において、眼圧調節部材1は貫通孔が形
成された筒体6を有しており、筒体6は筒状部6a、前
記筒状部6aの外端に一体成形された大径外端部6b、
および前記筒状部6aの内端に一体成形された硝子体接
触端部6cを有している。筒体6の貫通孔の外端部内周
面には内径拡大部6dが形成され、硝子体接触端部6c
および筒状部6aの内端側部分には4本のスリット6e
が形成されている。この実施例3の筒体6の貫通孔は内
端部に行くに従って内径が小さく形成されている。した
がって、前記筒体6の貫通孔に流路形成部材4を挿入し
た時に、筒体6の内端部の硝子体接触端部6cの外径が
拡大するように構成されている。
【0025】(実施例3の作用)前記眼圧調節部材1の
筒体6を前記圧力調節部装着孔016(図3参照)に圧
入(挿入)する際、筒体6の内端部の硝子体接触端部6
cの外径が小さい状態で圧力調節部装着孔016に圧入
することができ、その後筒体6内に、流路形成部材4を
挿入すると、前記硝子体接触端部6cの外径が拡大す
る。前記硝子体接触端部6cの外径が拡大した状態では
眼圧調節部材1が眼圧調節部材装着孔016内で外端側
に移動するのを防止することができる。この実施例3の
眼圧調節部材1は前記実施例1の眼圧調節部材と同様
に、眼圧の上昇を防止することができ、且つ、手術が容
易で、患者の肉体的、精神的および経済的負担も軽くな
る。
【0026】(実施例4)図7は本発明の眼圧調節部材
実施例4の説明図で、図7Aは眼圧調節部材の分解断面
図、図7Bは眼圧調節部材の組み立て状態の断面図、図
7Cは眼圧調節部材の斜視図である。なお、この実施例
4の説明において、前記実施例3の構成要素に対応する
構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省
略する。この実施例4は、下記の点で前記実施例3と相
違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成さ
れている。図7において、眼圧調節部材1は貫通孔が形
成された筒体7を有しており、筒体7は筒状部7a、前
記筒状部7aの外端に一体成形された大径外端部7b、
および前記筒状部7aの内端に一体成形された硝子体接
触端部7cを有している。図7Aの状態において、前記
筒状部7aは内端側の外径および内径が小さくなるよう
に形成されている。筒体7の貫通孔の外端部内周面には
内径拡大部7dが形成され、硝子体接触端部7cおよび
筒状部7aの内端側部分には4本のスリット7eが形成
されている。この実施例4の筒体7の貫通孔は内端部に
行くに従って内径が小さく形成されているので、前記筒
体7の貫通孔に流路形成部材4を挿入した時に、筒体7
の内端部の硝子体接触端部7cの外径が拡大するように
構成されている。
【0027】(実施例4の作用)前記眼圧調節部材1の
筒体7を前記圧力調節部装着孔016(図3参照)に圧
入(挿入)する際、筒体7の内端部の硝子体接触端部7
cの外径が小さい状態で圧力調節部装着孔016に圧入
することができ、その後、筒体7内に、流路形成部材4
を挿入すると、前記硝子体接触端部7cの外径が拡大す
る。前記硝子体接触端部7cの外径が拡大した状態では
眼圧調節部材1が眼圧調節部材装着孔016内で外端側
に移動するのを防止することができる。この実施例4の
眼圧調節部材1は前記実施例3の眼圧調節部材と同様
に、眼圧の上昇を防止することができ、且つ、手術が容
易で、患者の肉体的、精神的および経済的負担も軽くな
る。
【0028】(実施例5)図8は本発明の眼圧調節部材
実施例5の説明図で、図8Aは眼圧調節部材の分解断面
図、図8Bは前記図8Aの矢印VIIIBから見た図であ
る。図8において、眼圧調節部材1は貫通孔が形成され
た筒体8を有しており、筒体8は筒状部8a、前記筒状
部8aの外端に一体成形された大径外端部8b、および
前記筒状部8aの内端に一体成形された硝子体接触端部
8cを有している。前記筒状部8a大径外端部8b、お
よび硝子体接触端部8cは一体成形されている。筒体8
の貫通孔の外端部内周面には内径拡大部8dが形成さ
れ、前記内径拡大部8dには、筒体8の貫通孔に流路形
成部材4を挿入した時に、外端部径拡大部4bが係合し
て、流路形成部材4が筒体8の貫通孔の内端側に移動し
ないように構成されている。前記筒体8には軸に垂直な
方向(半径方向)の複数の通水孔が形成されている。
【0029】(実施例5の作用)前記構成を備えた実施
例5の眼圧調節部材1は、外端大径部8bが筒状部8a
の外径よりも大きいので、眼圧調節部材1が眼圧調節部
材装着孔016内部で内端側に移動するのを防止するこ
とができる。また、硝子体接触端部8cが筒状部8aの
外径よりも大きいので、眼圧調節部材1が眼圧調節部材
装着孔016内部で外端側に移動するのを防止すること
ができる。この実施例5の眼圧調節部材1は前記実施例
1の眼圧調節部材と同様に、眼圧の上昇を防止すること
ができ、且つ、手術が容易で、患者の肉体的、精神的お
よび経済的負担も軽くなる。
【0030】以上、本発明の実施の形態を詳述したが、
本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、
特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、
種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例を
下記に例示する。 (1)流路形成部材4は、種々の材質の多孔質の通水性
部材により構成することが可能である。 (2)硝子体の液圧が一定以上の場合に硝子体内の液体
を外端側に移動させる半透膜を使用すれば、眼圧をより
適切に調節することが可能である。
【0031】
【発明の効果】前記構成を備えた本発明は、簡単な構成
および方法で眼圧の上昇を防止することができる。ま
た、従来の方法に比較して、急性緑内障発作、悪性緑内
障を防止する効果が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の眼圧調節部材の実施例1の説
明図で、図1Aは分解斜視図、図1Bは組み立てた状態
の斜視図である。
【図2】 図2は本発明の眼圧調節部材の実施例1の説
明図で、図2Aは眼圧調節部材の分解断面図、図2Bは
眼圧調節部材を眼球に装着する作業途中の分解断面図、
図2Cは前記図Bよりも作業が進んだ状態の分解斜視
図、図2Dは作業が完了した状態の断面図である。
【図3】 図3は実施例1の眼圧調節部材を眼球に装着
した状態の説明図である。
【図4】 図4は前記実施例1の眼圧調節部材を眼球の
眼圧調節部材装着孔に装着する装着方法を示す図であ
る。
【図5】 図5は本発明の眼圧調節部材実施例2の説明
図で、前記実施例1の図1に対応する図である。
【図6】 図6は本発明の眼圧調節部材実施例3の説明
図で、図6Aは眼圧調節部材の分解断面図、図6Bは眼
圧調節部材の組み立て状態の断面図、図6Cは眼圧調節
部材の斜視図である。
【図7】 図7は本発明の眼圧調節部材実施例4の説明
図で、図7Aは眼圧調節部材の分解断面図、図7Bは眼
圧調節部材の組み立て状態の断面図、図7Cは眼圧調節
部材の斜視図である。
【図8】 図8は本発明の眼圧調節部材実施例5の説明
図で、図8Aは眼圧調節部材の分解断面図、図8Bは前
記図8Aの矢印VIIIBから見た図である。
【図9】 図9は従来の眼圧調節部材および眼圧調節方
法の説明図である。
【符号の説明】
1…眼圧調節部材、 2a,3a,6a,7a,8a…筒状部、 2b,6b,7b,8b…大径外端部、 3c,6c,7c,8c…硝子体接触端部、 4…流路形成部材、 01…眼球、 02…強膜、 05…毛様体、 05a…毛様態偏平部、 012…硝子体、 016…眼圧調節部材装着孔、
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年11月1日(2001.11.
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正内容】
【図9】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡野 重遠 千葉県柏市向原町1−15

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の構成要件(A01)〜(A04)を備え
    た眼圧調節部材、(A01)眼球の強膜および毛様体偏平
    部を貫通して形成され且つ内端が硝子体に連通する眼圧
    調節部材装着孔の内部に配置される筒状部、(A02)前
    記筒状部の外端に設けられ且つ前記筒状部よりも外径が
    大きく形成された大径外端部であって前記強膜内に配置
    される前記大径外端部、(A03)前記筒状部の内端に設
    けられ内端が眼球の硝子体に接触して配置される硝子体
    接触端部、(A04)前記硝子体接触端部、前記筒状部お
    よび前記大径外端部を貫通して設けられた流路形成部材
    であって、前記硝子体の液圧が高くなったときに硝子体
    中の液体が前記大径外端部側に流出可能な眼圧調節用液
    体流路を形成する流路形成部材。
  2. 【請求項2】 次の構成要件(A05)を備えた請求項1
    記載の眼圧調節部材、(A05)前記筒状部よりも外径が
    大きく形成された前記硝子体接触端部。
  3. 【請求項3】 次の構成要件(A06)を備えた請求項1
    または2記載の眼圧調節部材、(A06)前記筒状部の外
    端に一体成形された前記大径外端部。
  4. 【請求項4】 次の構成要件(A07)〜(A09)を備え
    た請求項3記載の眼圧調節部材、(A07)前記筒状部の
    内端に一体成形された前記硝子体接触端部、(A08)前
    記大径外端部、筒状部および前記硝子体接触端部を貫通
    して形成された貫通孔、(A09)前記貫通孔に挿入され
    るとともに、前記眼圧調節用液体流路が形成された前記
    流路形成部材。
  5. 【請求項5】 次の構成要件(A07),(A08),(A
    010),(A011)を備えた請求項1または2記載の眼圧
    調節部材、(A07)前記筒状部の内端に一体成形された
    前記硝子体接触端部、(A08)前記大径外端部、筒状部
    および前記硝子体接触端部を貫通して形成された貫通
    孔、(A010)前記硝子体接触端部の貫通孔に流路形成
    部材が挿入された状態では外径が拡大状態となり、挿入
    されていない状態では外径が縮小状態となるように構成
    された前記硝子体接触端部、(A011)前記貫通孔に挿
    入されるとともに、前記眼圧調節用液体流路が形成され
    た前記流路形成部材。
  6. 【請求項6】 次の構成要件(A012),(A013)を備
    えた請求項1または2記載の眼圧調節部材、(A012)
    前記筒状部および前記大径外端部を貫通して形成された
    貫通孔、(A013)前記貫通孔の外端側から内端側に挿
    入されるときに前記貫通孔を通過中は内径が縮小状態と
    なるように弾性変形し、前記貫通孔の内端から内方に突
    出した状態で前記筒状部の外径よりも大きな外径となる
    前記硝子体接触端部を有するとともに、前記眼圧調節用
    液体流路が形成された前記流路形成部材。
  7. 【請求項7】 次の構成要件(A014)を備えた眼圧調
    節方法、(A014)筒状部と前記筒状部の外端に設けた
    前記筒状部より大径の大径外端部と前記筒状部の内端に
    設けた硝子体接触端部と、前記硝子体接触端部の内端と
    前記大径外端部の外端との間に形成した眼圧調節用液体
    流路とを有する眼圧調節部材を、眼球の強膜および毛様
    体偏平部を貫通した状態で配置し、前記眼球の硝子体の
    液圧が高くなったときに硝子体中の液体を前記眼圧調節
    用液体流路から前記大径外端部に流出させることにより
    眼圧を調節する眼圧調節方法。
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