JP2003101385A - 共振フィルタ、デュプレクサならびにこれらの特性調整方法 - Google Patents

共振フィルタ、デュプレクサならびにこれらの特性調整方法

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JP2003101385A JP2001291381A JP2001291381A JP2003101385A JP 2003101385 A JP2003101385 A JP 2003101385A JP 2001291381 A JP2001291381 A JP 2001291381A JP 2001291381 A JP2001291381 A JP 2001291381A JP 2003101385 A JP2003101385 A JP 2003101385A
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resonators
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数の共振子を含むチップと実装基板とによ
ってパッケージ化された共振フィルタにおいて、一部の
共振子について電気的特性の測定や調整をを行うことに
よって共振フィルタの電気的特性を調整できるようにす
る。 【解決手段】 共振フィルタ1は、複数の共振子を含む
チップ10と、パッケージ化のためにチップ10が実装
される実装基板30とを備えている。チップ10はフリ
ップチップボンディングによって実装基板30に実装さ
れている。チップ10は、直列共振子16と並列共振子
17とを有している。チップ10を実装基板30に実装
する前においては、直列共振子16と並列共振子17
は、互いに電気的に分離されている。チップ10を実装
基板30に実装すると、実装基板30の導体部32を介
して直列共振子16と並列共振子17が電気的に接続さ
れてフィルタ回路が完成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の共振子を含
む共振フィルタ、この共振フィルタを含むデュプレク
サ、ならびにこれらの特性調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年飛躍的に普及してきた携帯電話等の
移動体通信機器では、年々、小型化、および使用周波数
の高周波化が進められている。そのため、移動体通信機
器に使用される電子部品にも、小型化、および対応可能
な周波数の高周波化が要望されている。
【0003】移動体通信機器には、1つのアンテナを送
信と受信とに共用させるために送信信号の経路と受信信
号の経路とを切り替えるデュプレクサを備えているもの
がある。このデュプレクサは、送信信号を通過させ、受
信信号を遮断するフィルタと、受信信号を通過させ、送
信信号を遮断するフィルタとを備えている。
【0004】近年、上記デュプレクサにおけるフィルタ
には、弾性表面波フィルタが用いられることがある。弾
性表面波フィルタは、2GHzまでの周波数に対応で
き、また、セラミックフィルタに比べて小型化が可能で
あるという特徴を有する。しかし、今後、移動体通信機
器の使用周波数が2GHz以上となった場合、弾性表面
波フィルタがそのような周波数に対応するには、現状で
は技術的課題が多い。
【0005】そこで、最近、特開2000−27807
8号公報に示されるように、薄膜バルクアコースティッ
ク共振子(Thin Film Bulk Acoustic Resonator;以
下、FBARとも記す。)と呼ばれるデバイスが注目さ
れている。このFBARは、圧電薄膜の厚み方向の共振
を利用した圧電共振子である。FBARでは、圧電薄膜
の厚みを変えることにより共振周波数を変えることがで
きる。また、FBARは、数GHzの周波数まで対応す
ることが可能であると考えられる。
【0006】ところで、共振子を用いたフィルタとして
は、例えばラダー型フィルタがある。このラダー型フィ
ルタは、基本構成として直列共振子と並列共振子とを含
む。ラダー型フィルタは、必要に応じて、複数の基本構
成が縦続接続されて構成される。
【0007】ここで、例えば上記のラダー型フィルタの
ように複数の共振子を含むフィルタをパッケージ化する
ことを考える。この場合には、フィルタの構成要素を含
むチップを形成し、このチップを実装基板に実装して、
パッケージを製造することになる。このようなパッケー
ジ化を考える場合、チップにおいて複数の共振子が電気
的に接続され、フィルタの回路が完成した状態となるよ
うにチップを構成するのが一般的である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ラダー型フ
ィルタでは、例えば、直列共振子の共振周波数と並列共
振子の反共振周波数を、フィルタの所望の通過帯域の中
心周波数に合わせる。この場合、並列共振子の共振周波
数から直列共振子の反共振周波数までの周波数範囲が、
フィルタの通過帯域となる。このように、ラダー型フィ
ルタでは、各共振子の共振周波数および反共振周波数を
正確に制御することが重要である。本出願において、フ
ィルタの通過帯域を決める周波数や、通過帯域の中心周
波数をフィルタの動作周波数と言う。
【0009】一方、FBARでは、所望の共振周波数や
反共振周波数を得るためには、圧電薄膜や電極の厚みを
正確に制御することが必要である。しかしながら、これ
らの厚みを完璧に制御することは困難である。そのた
め、ラダー型フィルタの直列共振子や並列共振子にFB
ARを用いる場合には、各共振子(FBAR)毎の共振
周波数や反共振周波数を測定し、それらが所望の値から
ずれている場合には何らかの方法でそれらを調整するこ
とが必要になる。
【0010】しかしながら、前述のように、フィルタの
回路が完成した状態となるようにチップを構成した場合
には、フィルタの動作周波数等の、フィルタ全体の電気
的特性は測定できても、チップ内の一部の共振子の共振
周波数や反共振周波数を測定したり、必要に応じてそれ
らを調整することは困難である。そのため、この場合に
は、フィルタの電気的特性を調整することが難しいとい
う問題点がある。
【0011】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その第1の目的は、複数の共振子を有するチップ
と、このチップが実装された実装基板とを有する共振フ
ィルタであって、一部の共振子について電気的特性の測
定や調整を行うことによって、共振フィルタの電気的特
性を調整できるようにした共振フィルタおよびこの共振
フィルタを含むデュプレクサを提供することにある。
【0012】本発明の第2の目的は、複数の共振子を有
するチップと、このチップが実装された実装基板とを有
する共振フィルタにおいて、一部の共振子について電気
的特性の調整を行うことによって、共振フィルタの電気
的特性を調整できるようにした共振フィルタの特性調整
方法を提供することにある。
【0013】本発明の第3の目的は、複数の共振子を有
するチップと、このチップが実装された実装基板とを有
する共振フィルタを含むデュプレクサにおいて、共振フ
ィルタ内の一部の共振子について電気的特性の調整を行
うことによって、デュプレクサの電気的特性を調整でき
るようにしたデュプレクサの特性調整方法を提供するこ
とにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の共振フィルタ
は、複数の共振子を含むフィルタ回路を有するものであ
って、複数の共振子を有すると共に、少なくとも1つの
共振子は他の共振子から電気的に分離された状態となっ
ているチップと、チップが実装された実装基板とを備
え、チップは、フィルタ回路が完成するように少なくと
も1つの共振子と他の共振子とを電気的に接続するため
の外部の導体との電気的接続のための複数の接続電極を
有し、実装基板は、チップが実装される際にチップの接
続電極に電気的に接続されることによって、フィルタ回
路が完成するように少なくとも1つの共振子と他の共振
子とを電気的に接続する導体部を有するものである。
【0015】本発明の共振フィルタでは、複数の共振子
を有するチップにおいて少なくとも1つの共振子は他の
共振子から電気的に分離されている。従って、チップを
実装基板に実装する前に、少なくとも1つの共振子につ
いて、電気的特性の測定や調整を行うことが可能であ
る。また、本発明の共振フィルタでは、チップを実装基
板に実装する際に、チップの接続電極が実装基板の導体
部に電気的に接続され、これによりフィルタ回路が完成
する。なお、共振子の電気的特性は、共振子の共振周波
数および反共振周波数を含む。
【0016】本発明の共振フィルタにおいて、共振子
は、圧電性を有する圧電薄膜と、圧電薄膜の両面に配置
され、圧電薄膜に対して励振用電圧を印加するための2
つの励振用電極とを有していてもよい。
【0017】また、本発明の共振フィルタにおいて、フ
ィルタ回路は、直列共振子と並列共振子とを含むラダー
型のフィルタ回路であってもよい。
【0018】また、本発明の共振フィルタにおいて、チ
ップは、フェースダウンボンディングによって実装基板
に実装されていてもよい。この場合、チップは、フリッ
プチップボンディングによって実装基板に実装されてい
てもよい。
【0019】また、本発明の共振フィルタにおいて、チ
ップは、他の共振子から分離された共振子の電気的特性
を調整するための調整部を含んでいてもよい。
【0020】本発明の共振フィルタの特性調整方法は、
本発明の共振フィルタの電気的特性を調整する方法であ
って、チップを実装基板に実装する前に、少なくとも1
つの共振子について電気的特性を調整する工程と、この
調整後のチップを実装基板に実装する工程とを備えたも
のである。なお、共振フィルタの電気的特性は、共振フ
ィルタの動作周波数を含む。
【0021】本発明のデュプレクサは、送信信号を通過
させ、受信信号を遮断する第1のフィルタと、受信信号
を通過させ、送信信号を遮断する第2のフィルタとを備
え、アンテナに接続されるものであって、第1のフィル
タと第2のフィルタの少なくとも一方を本発明の共振フ
ィルタとしたものである。
【0022】本発明のデュプレクサの特性調整方法は、
上記の本発明のデュプレクサの電気的特性を調整する方
法であって、共振フィルタのチップを実装基板に実装す
る前に、少なくとも1つの共振子について電気的特性を
調整する工程と、調整後のチップを実装基板に実装する
工程とを備えたものである。なお、デュプレクサの電気
的特性は、第1のフィルタおよび第2のフィルタの各動
作周波数を含む。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。 [第1の実施の形態]まず、図1および図2を参照し
て、本発明の第1の実施の形態に係る共振フィルタの構
成について説明する。図1は本実施の形態に係る共振フ
ィルタの平面図、図2は図1におけるA−A線断面を拡
大して示す断面図である。
【0024】本実施の形態に係る共振フィルタ1は、複
数の薄膜圧電共振子を含むフィルタ回路を有し、パッケ
ージ化されたものである。図1に示したように、共振フ
ィルタ1は、複数の薄膜圧電共振子を有するチップ10
と、このチップ10が実装された実装基板30とを備え
ている。なお、図1は、チップ10における、後述する
基体、バリア層および圧電薄膜を省略して描いている。
【0025】図2に示したように、チップ10は、フェ
ースダウンボンディングの一種であるフリップチップボ
ンディングによって実装基板30に実装されている。す
なわち、チップ10の一方の面(図2における下側の
面)には、突起状の接続電極であるバンプ21が設けら
れ、実装基板30の一方の面(図2における上側の面)
には、それぞれ所定のパターンに形成された信号用導体
部32,33と接地用導体部34,35(図1参照)と
が設けられている。チップ10は、バンプ21が設けら
れた一方の面が、実装基板30の一方の面に対向するよ
うに配置され、バンプ21が導体部32,33,35の
所定の位置に電気的に接続される。
【0026】次に、図3ないし図5を参照して、チップ
10の構成について詳しく説明する。図3はバンプ21
を形成する前のチップ10の要部を示す平面図、図4は
図3のB−B線断面図、図5はバンプ21を形成した後
のチップ10の要部を示す平面図である。なお、図4で
は、水平方向の寸法よりも垂直方向の寸法、すなわち厚
みを大きく描いている。上方から見たときのチップ10
の大きさは、例えば縦2mm、横2mmである。
【0027】チップ10は、基体11と、この基体11
の上に配置されたバリア層12と、このバリア層12の
上に配置された下部電極13A,13Bと、この下部電
極13A,13Bの上に配置された圧電薄膜14と、こ
の圧電薄膜14の上に配置された上部電極15A,15
Bとを備えている。
【0028】図3および図4に示したように、基体11
には空洞11aが設けられている。図3に示したよう
に、上方から見たときの空洞11aの形状は矩形になっ
ている。基体11には、例えばSi基板が用いられる。
【0029】バリア層12は、基体11の空洞11aに
対応する領域にも下部電極13A,13Bを配置できる
ように、基体11と下部電極13A,13Bとを隔てる
絶縁層である。バリア層12の材料には、例えば窒化ケ
イ素(SiN)が用いられる。
【0030】圧電薄膜14は、圧電性を有する薄膜であ
る。圧電薄膜14の材料には、例えばZnOが用いられ
る。下部電極13A,13Bおよび上部電極15A,1
5Bは、それぞれ、主として金属よりなり、例えばクロ
ム(Cr)層の上に金(Au)層を積層して形成され
る。下部電極13A,13Bおよび上部電極15A,1
5Bの各平面形状は、いずれも、一方向に長い矩形をな
している。これらの電極13A,13B,15A,15
Bの長辺の長さは例えば300μm、短辺の長さは例え
ば100μmである。
【0031】図3に示したように上方から見たときに、
下部電極13Aと上部電極15Aは一方向に沿って配置
されている。下部電極13Aの右側の端部は空洞11a
に対応する領域内に配置され、下部電極13Aの左側の
端部は空洞11aに対応する領域の外に配置されてい
る。また、上部電極15Aの左側の端部は空洞11aに
対応する領域内に配置され、上部電極15Aの右側の端
部は空洞11aに対応する領域の外に配置されている。
下部電極13Aの右側の端部近傍の一部と上部電極15
Aの左側の端部近傍の一部は、圧電薄膜14を介して互
いに対向するように配置されている。そして、下部電極
13Aと上部電極15Aの互いに重なる部分と、これら
の間に配置された圧電薄膜14の一部とによって、直列
共振子16が形成されている。この直列共振子16は、
圧電性を有する圧電薄膜14と、圧電薄膜14の両面に
配置され、圧電薄膜14に対して励振用電圧を印加する
ための2つの励振用電極である下部電極13Aおよび上
部電極15Aを有する薄膜圧電共振子である。上方から
見たときに、下部電極13Aの左端から上部電極15A
の右端までの長さは例えば500μmであり、直列共振
子16の大きさは、例えば縦100μm、横100μm
である。
【0032】また、図3に示したように上方から見たと
きに、上部電極15Bは、上部電極15Aに対して所定
の間隔を空けて平行に配置されている。下部電極13B
は上部電極15Bに対して直交するように配置されてい
る。下部電極13Bの図3における上側の端部は空洞1
1aに対応する領域内に配置され、下部電極13Bの図
3における下側の端部は空洞11aに対応する領域の外
に配置されている。また、上部電極15Bの左側の端部
は空洞11aに対応する領域内に配置され、上部電極1
5Bの右側の端部は空洞11aに対応する領域の外に配
置されている。下部電極13Bの上側の端部近傍の一部
と上部電極15Bの左側の端部近傍の一部は、圧電薄膜
14を介して互いに対向するように配置されている。そ
して、下部電極13Bと上部電極15Bの互いに重なる
部分と、これらの間に配置された圧電薄膜14の一部と
によって、並列共振子17が形成されている。この並列
共振子17は、圧電性を有する圧電薄膜14と、圧電薄
膜14の両面に配置され、圧電薄膜14に対して励振用
電圧を印加するための2つの励振用電極である下部電極
13Bおよび上部電極15Bを有する薄膜圧電共振子で
ある。上方から見たときの並列共振子17の大きさは、
例えば縦100μm、横100μmである。
【0033】圧電薄膜14において、下部電極13Aの
左側の端部近傍の部分に対応する位置と、下部電極13
Bの図3における下側の端部近傍の部分に対応する位置
には、それぞれスルーホール14a,14bが形成され
ている。
【0034】図5に示したように、下部電極13Aの左
側の端部近傍の部分、下部電極13Bの下側の端部近傍
の部分、上部電極15Aの右側の端部近傍の部分および
上部電極15Bの右側の端部近傍の部分の上には、それ
ぞれ、バンプ21が形成されている。バンプ21は、例
えば金によって形成される。バンプ21の直径は、例え
ば約60μmである。また、バンプ21は、バンプボン
ダーによって形成される。
【0035】次に、図6ないし図8を参照して、実装基
板30の構成について詳しく説明する。図6は実装基板
30の平面図、図7は図6における下側から見た実装基
板30の側面図、図8は実装基板30の底面図である。
実装基板30の大きさは、例えば縦5mm、横5mm、
厚み1mmである。また、実装基板30の材料には、例
えばガラスエポキシが用いられる。
【0036】実装基板30の上面には、信号用導体部3
2,33と接地用導体部34,35とが設けられてい
る。信号用導体部32は、実装基板30の上面における
中央部分から左側の端部まで延びている。信号用導体部
33は、実装基板30の上面における中央部分から右側
の端部まで延びている。実装基板30の上面において、
信号用導体部32の右側の端部と信号用導体部33の左
側の端部は、所定の間隔を空けて対向している。接地用
導体部34は、信号用導体部32,33の図6における
上側に、信号用導体部32,33に対して所定の間隔を
空けて配置されている。接地用導体部35は、信号用導
体部32,33の図6における下側に、信号用導体部3
2,33に対して所定の間隔を空けて配置されている。
接地用導体部35の一部は、信号用導体部32の右側の
端部と信号用導体部33の左側の端部とが対向する領域
に向けて突出している。
【0037】実装基板30の下面には、左側の端部近傍
の部分に信号用導体部36が設けられ、右側の端部近傍
の部分に信号用導体部37が設けられ、広い領域にわた
って接地用導体部38が設けられている。信号用導体部
36,37は、それぞれ、接地用導体部38に対して所
定の間隔を空けて隔てられている。
【0038】実装基板30の4つの側面には、それぞ
れ、端面スルーホール39が3つずつ設けられている。
信号用導体部32は1つの端面スルーホール39を介し
て信号用導体部36に電気的に接続されている。同様
に、信号用導体部33は他の1つの端面スルーホール3
9を介して信号用導体部37に電気的に接続されてい
る。
【0039】また、接地用導体部34が設けられた領域
内には3つのスルーホール40が設けられ、接地用導体
部35が設けられた領域内にも3つのスルーホール40
が設けられている。接地用導体部34は、3つのスルー
ホール40と5つの端面スルーホール39とを介して接
地用導体部38に接続されている。同様に、接地用導体
部35も、3つのスルーホール40と5つの端面スルー
ホール39とを介して接地用導体部38に接続されてい
る。
【0040】図6に示したように、信号用導体部32,
33の幅は例えば0.6mmである。また、図6および
図8に示したように、接地用導体部34,35,38に
おいて、端面スルーホール39に接続される部分の長さ
は例えば0.5mm、幅は例えば0.6mmである。ま
た、信号用導体部32,33と接地用導体部34との間
隔、および信号用導体部32,33と接地用導体部35
との間隔は、それぞれ例えば0.5mmである。また、
端面スルーホール39の直径は例えば0.4mmであ
り、ピッチは例えば1.27mmである。また、スルー
ホール40の直径は例えば0.3mmであり、ピッチは
例えば0.8mmである。
【0041】また、信号用導体部32,33および接地
用導体部34,35,38はそれぞれ、例えば、銅(C
u)層の上にニッケル(Ni)層と金(Au)層を順に
積層して形成される。この場合、銅層の厚みは例えば1
8μmであり、ニッケル層と金層を合わせた厚みは例え
ば5μmである。
【0042】次に、本実施の形態に係る共振フィルタ1
の製造方法について説明する。この製造方法は、前述の
構成のチップ10を作製する工程と、前述の構成の実装
基板30を作製する工程と、チップ10を実装基板30
に実装すると共に、その際に、実装基板30の導体部3
2を、チップ10の上部電極15Aに接続されたバンプ
21および上部電極15Bに接続されたバンプ21に電
気的に接続させることによってフィルタ回路を完成させ
る工程とを備えている。
【0043】図1および図2に示したように、チップ1
0は、バンプ21が形成された面を下にして実装基板3
0の上面の上に配置され、フリップチップボンディング
によって実装基板30に実装される。このとき、下部電
極13Aはバンプ21を介して信号用導体部33に電気
的に接続される。上部電極15Aはバンプ21を介して
信号用導体部32に電気的に接続される。下部電極13
Bはバンプ21を介して接地用導体部35に電気的に接
続される。上部電極15Bはバンプ21を介して信号用
導体部32に電気的に接続される。フリップチップボン
ディングによってチップ10を実装基板30に実装する
際には、チップ10に熱、圧力および超音波振動が加え
られる。
【0044】このようにして、パッケージ化された共振
フィルタ1が製造される。この共振フィルタ1は、実装
基板30の端面スルーホール39の近辺において他の基
板にはんだ付けされることによって、他の基板に対して
電気的に接続され、且つ機械的に固定される。
【0045】以上説明したように、本実施の形態に係る
共振フィルタ1において、チップ10は直列共振子16
と並列共振子17とを有している。直列共振子16は、
下部電極13Aと、上部電極15Aと、これらの間に配
置された圧電薄膜14とを有している。並列共振子17
は、下部電極13Bと、上部電極15Bと、これらの間
に配置された圧電薄膜14とを有している。チップ10
を実装基板30に実装する前においては、直列共振子1
6と並列共振子17は、互いに電気的に分離されてい
る。
【0046】チップ10を実装基板30に実装すると、
下部電極13Aが信号用導体部33に電気的に接続さ
れ、上部電極15A,15Bが共に信号用導体部32に
電気的に接続され、下部電極13Bが接地用導体部35
に電気的に接続される。これにより、導体部32を介し
て上部電極15A,15Bが電気的に接続される。その
結果、直列共振子16と並列共振子17が電気的に接続
されて、直列共振子16と並列共振子17を含むラダー
型のフィルタ回路が完成する。
【0047】本実施の形態に係る共振フィルタ1におい
て、導体部32,33の一方はフィルタ回路の入力端と
なり、他方はフィルタ回路の出力端となる。
【0048】図9は、導体部33を入力端とし、導体部
32を出力端とした場合のフィルタ回路の構成を示す回
路図である。図9に示した構成では、直列共振子16の
一端が入力端41に接続され、他端が出力端42に接続
されている。並列共振子17の一端は、直列共振子16
と出力端42との接続点に接続されている。並列共振子
17の他端は接地されている。
【0049】図10は、本実施の形態に係る共振フィル
タ1が図9に示したフィルタ回路を含む場合におけるチ
ップ10内の共振子16,17の状態を示す回路図であ
る。なお、図10では、図9との比較を容易にするため
に、直列共振子16の下部電極13Aが入力端41に接
続され、直列共振子16の上部電極15Aが出力端42
に接続され、並列共振子17の下部電極13Bが接地さ
れた状態にして表している。図10に示したように、チ
ップ10では、上部電極15Aに接続されたバンプ21
と上部電極15Bに接続されたバンプ21との間におい
て、直列共振子16と並列共振子17とが互いに電気的
に分離されている。このチップ10を実装基板30に実
装すると、実装基板30の導体部32によって、上部電
極15Aに接続されたバンプ21と上部電極15Bに接
続されたバンプ21とが電気的に接続され、これによ
り、直列共振子16と並列共振子17とが互いに電気的
に接続されて、図9に示したフィルタ回路が完成する。
【0050】図11は、導体部32を入力端とし、導体
部33を出力端とした場合のフィルタ回路の構成を示す
回路図である。図11に示した構成では、直列共振子1
6の一端が入力端41に接続され、他端が出力端42に
接続されている。並列共振子17の一端は、直列共振子
16と入力端41との接続点に接続されている。並列共
振子17の他端は接地されている。
【0051】図12は、本実施の形態に係る共振フィル
タ1が図11に示したフィルタ回路を含む場合における
チップ10内の共振子16,17の状態を示す回路図で
ある。なお、図12では、図11との比較を容易にする
ために、直列共振子16の上部電極15Aが入力端41
に接続され、直列共振子16の下部電極13Aが出力端
42に接続され、並列共振子17の下部電極13Bが接
地された状態にして表している。図12に示したよう
に、チップ10では、上部電極15Aに接続されたバン
プ21と上部電極15Bに接続されたバンプ21との間
において、直列共振子16と並列共振子17とが互いに
電気的に分離されている。このチップ10を実装基板3
0に実装すると、実装基板30の導体部32によって、
上部電極15Aに接続されたバンプ21と上部電極15
Bに接続されたバンプ21とが電気的に接続され、これ
により、直列共振子16と並列共振子17とが互いに電
気的に接続されて図11に示したフィルタ回路が完成す
る。
【0052】次に、本実施の形態に係る共振フィルタ1
の作用および特性調整方法について説明する。本実施の
形態に係る共振フィルタ1は、直列共振子16と並列共
振子17とを含むラダー型のフィルタ回路を有してい
る。
【0053】直列共振子16において、下部電極13A
と上部電極15Aとの間には、高周波の励振用電圧が印
加される。この励振用電圧は圧電薄膜14に印加され
る。これにより、圧電薄膜14のうち、下部電極13A
と上部電極15Aとの間に配置された部分が励振され、
この部分に厚み方向に進行する縦波が発生する。この部
分は、励振用電圧の周波数が所定の共振周波数のときに
共振する。
【0054】同様に、並列共振子17において、下部電
極13Bと上部電極15Bとの間には、高周波の励振用
電圧が印加される。この励振用電圧は圧電薄膜14に印
加される。これにより、圧電薄膜14のうち、下部電極
13Bと上部電極15Bとの間に配置された部分が励振
され、この部分に厚み方向に進行する縦波が発生する。
この部分は、励振用電圧の周波数が所定の共振周波数の
ときに共振する。
【0055】ここで、図13を参照して、本実施の形態
におけるフィルタ回路の設計方法について説明する。図
13において、(a)は直列共振子16および並列共振
子17のアドミッタンスの周波数特性を概念的に表し、
(b)はフィルタ回路の伝送特性(減衰量)を表すS
21パラメータの周波数特性を概念的に表している。本
実施の形態では、図13に示したように、直列共振子1
6の共振周波数frsと並列共振子17の反共振周波数
apを、フィルタ回路の所望の通過帯域の中心周波数
に合わせる。この場合、並列共振子17の共振周波
数frpから直列共振子16の反共振周波数fasまで
の周波数範囲が、フィルタ回路の通過帯域となる。この
ように、本実施の形態におけるフィルタ回路では、各共
振子16,17の共振周波数および反共振周波数を正確
に制御することが重要である。
【0056】一方、薄膜圧電共振子である直列共振子1
6および並列共振子17では、所望の共振周波数や反共
振周波数を得るためには、圧電薄膜14や電極13A,
13B,15A,15Bの厚みを正確に制御することが
必要である。しかしながら、これらの厚みを完璧に制御
することは困難である。そのため、各共振子16,17
毎の共振周波数や反共振周波数を測定し、それらが所望
の値からずれている場合には何らかの方法でそれらを調
整することが必要になる。
【0057】ここで、本実施の形態との比較のために、
図14に示したような比較例のチップ110を考える。
この比較例のチップ110は、本実施の形態におけるチ
ップ10とは、直列共振子および並列共振子の配置と下
部電極および上部電極の構造のみが異なるものである。
チップ110は、本実施の形態における直列共振子16
および並列共振子17の代わりに、直列共振子116お
よび並列共振子117を有している。また、チップ11
0は、本実施の形態における下部電極13A,13Bの
代わりに、下部電極113A,113Bを有している。
また、チップ110は、本実施の形態における上部電極
15A,15Bの代わりに、1つの上部電極115を有
している。上部電極115は直列共振子116および並
列共振子117に接続されている。従って、比較例のチ
ップ110では直列共振子116と並列共振子117と
が電気的に接続されており、チップ110においてフィ
ルタ回路が完成した状態となっている。
【0058】図14に示したような比較例のチップ11
0では、フィルタの動作周波数等の、フィルタ回路全体
の電気的特性は測定できても、チップ110内の直列共
振子116および並列共振子117の共振周波数や反共
振周波数を測定したり、必要に応じてそれらを調整する
ことは困難である。そのため、このようなチップ110
を用いたフィルタでは、フィルタの動作周波数等の電気
的特性を調整することが難しい。
【0059】これに対し、本実施の形態では、チップ1
0において直列共振子16と並列共振子17は互いに電
気的に分離されている。従って、チップ10を実装基板
30に実装する前に、各共振子16,17について、独
立に電気的特性の測定や調整を行うことができる。これ
により、共振フィルタ1の動作周波数等の電気的特性を
調整することが可能になる。
【0060】また、本実施の形態では、チップ10を実
装基板30に実装する際に、チップ10のバンプ21が
実装基板30の導体部32,33,35に電気的に接続
される。このとき、導体部32によって、直列共振子1
6と並列共振子17とが電気的に接続され、フィルタ回
路が完成する。従って、チップ10を実装基板30に実
装する工程以外に、チップ10内の直列共振子16と並
列共振子17を電気的に接続するための余分な工程は不
要である。
【0061】ここで、図15を参照して、本実施の形態
において共振子16,17の電気的特性を測定する方法
の一例を説明する。この方法では、図15に示したよう
に、直列共振子16の電気的特性を測定する際には、ネ
ットワークアナライザに接続された信号側プローブ51
Sを下部電極13Aに接触させ、ネットワークアナライ
ザに接続された接地側プローブ51Gを上部電極15A
に接触させる。そして、ネットワークアナライザを用い
て、直列共振子16のアドミッタンスの周波数特性等の
電気的特性を測定する。
【0062】同様に、並列共振子17の電気的特性を測
定する際には、信号側プローブ51Sを下部電極13B
に接触させ、接地側プローブ51Gを上部電極15Bに
接触させる。そして、ネットワークアナライザを用い
て、並列共振子17のアドミッタンスの周波数特性等の
電気的特性を測定する。
【0063】また、直列共振子16の電気的特性の調整
は、例えば上部電極15Aの厚みを変えることによって
行うことができる。同様に、並列共振子17の電気的特
性の調整は、例えば上部電極15Bの厚みを変えること
によって行うことができる。
【0064】次に、図16ないし図20を参照して、本
実施の形態における共振フィルタの特性調整の具体例に
ついて説明する。
【0065】この例では、最初に、以下のようなチップ
10を作製した。すなわち、このチップ10では、バリ
ア層12の厚みは200nm、下部電極13A,13B
の厚みは90nm、圧電薄膜14の厚みは1μm、上部
電極15Aの厚みは70nm、上部電極15Bの厚みは
77nmである。バリア層12はSiNで形成し、圧
電薄膜14はZnOで形成した。電極13A,13B,
15A,15Bは、下地との密着性を高めるために5n
m程度のCr層を成膜した後、その上にAu層を成膜し
て形成した。上記の電極13A,13B,15A,15
Bの厚みは、Cr層とAu層との合計の厚みである。
【0066】次に、作製されたチップ10について、図
15を参照して説明した方法によって、直列共振子16
と並列共振子17のアドミッタンスの周波数特性を測定
した。図16は直列共振子16のアドミッタンスの周波
数特性の測定結果を示し、図17は並列共振子17のア
ドミッタンスの周波数特性の測定結果を示している。図
16に示した測定結果から、直列共振子16の共振周波
数は1.919GHz、直列共振子16の反共振周波数
は1.976GHzであることが分かった。また、図1
7に示した測定結果から、並列共振子17の共振周波数
は1.894GHz、並列共振子17の反共振周波数は
1.949GHzであることが分かった。このように、
上部電極15Aと上部電極15Bの厚みが異なることか
ら、直列共振子16の共振周波数および反共振周波数
と、並列共振子17の共振周波数および反共振周波数と
は異なっている。
【0067】前述のように、直列共振子16の共振周波
数と並列共振子17の反共振周波数とを一致させること
が重要である。本例では、理論計算から、上部電極15
Bの厚みが85nmで、他の要素の厚みが上記の通りで
あれば、直列共振子16の共振周波数と並列共振子17
の反共振周波数とが一致することが分かっていた。従っ
て、上部電極15Bは、厚みが85nmとなるように成
膜したが、数nmの膜厚を完全に制御することは非常に
難しいため、実際の上部電極15Bの厚みは77nmし
かなかった。
【0068】図16に示した特性の直列共振子16と図
17に示した特性の並列共振子17とを用いて、図9に
示したフィルタ回路を構成し、そのフィルタ回路の伝送
特性(減衰量)を表すS21パラメータの周波数特性を
測定した。測定結果を図18に示す。図18に示した特
性では、所望のフィルタ特性に比べて、通過帯域での挿
入損失が大きく、通過帯域が狭くなっていた。
【0069】図14に示したような比較例のチップ11
0では、フィルタ回路全体の電気的特性は測定できて
も、チップ110内の直列共振子116および並列共振
子117の共振周波数や反共振周波数を測定したり、必
要に応じてそれらを調整することは困難である。そのた
め、比較例のチップ110では、フィルタ回路の特性の
測定結果が所望の特性になっていない場合でも、フィル
タ回路の特性を調整することが難しい。
【0070】これに対し、本実施の形態におけるチップ
10では、図16および図17に示したように、直列共
振子16の電気的特性と並列共振子17の電気的特性
を、互いに独立して測定することができる。
【0071】本例では、図17に示した測定結果から、
並列共振子17の電気的特性が所望の特性になっていな
いことが分かった。そこで、並列共振子17の上部電極
15Bの厚みを測定したところ、その厚みは、所望の厚
み85nmに対して8nm足りない77nmであること
が分かった。そのため、本例では、最初に作製されたチ
ップ10において、並列共振子17の上部電極15Bの
上に新たに電極の材料を成膜して、上部電極15Bの厚
みを77nmから85nmへ変えた。その後、並列共振
子17のアドミッタンスの周波数特性を測定したとこ
ろ、図19に示す結果が得られた。このときの並列共振
子17の反共振周波数は、図16に示した特性の直列共
振子16の共振周波数とほぼ一致した。
【0072】上述のようにして並列共振子17の上部電
極15Bの厚みを調整した後に、フィルタ回路を構成
し、そのフィルタ回路の伝送特性(減衰量)を表すS
21パラメータの周波数特性を測定した。測定結果を図
20に示す。図20に示した特性では、図18に示した
特性に比べて、通過帯域での挿入損失が小さく、通過帯
域が広くなっており、所望のフィルタ特性に近づいてい
た。
【0073】以上説明したように、本実施の形態に係る
共振フィルタおよびその特性調整方法によれば、チップ
10において直列共振子16と並列共振子17は互いに
電気的に分離されているので、チップ10を実装基板3
0に実装する前に、各共振子16,17について独立に
電気的特性の測定や調整を行って、共振フィルタの電気
的特性を調整することができる。
【0074】また、本実施の形態によれば、フリップチ
ップボンディングによってチップ10を実装基板30に
実装する際に、導体部32によって直列共振子16と並
列共振子17とが電気的に接続され、フィルタ回路が完
成する。従って、本実施の形態によれば、チップ10を
実装基板30に実装する工程以外に、チップ10内の直
列共振子16と並列共振子17を電気的に接続するため
の余分な工程は不要である。
【0075】ところで、複数の共振子を含むフィルタを
パッケージ化する場合、フィルタの構成要素を含むチッ
プを形成し、このチップをフェースアップボンディング
によって実装基板に実装して、パッケージを製造するこ
とも考えられる。フェースアップボンディングでは、ワ
イヤボンディングが用いられることが多い。そこで、チ
ップ内で複数の共振子が互いに電気的に分離された状態
となるようにチップを製造し、このチップをワイヤボン
ディングを用いて実装基板に実装すると共に、ワイヤボ
ンディングを用いて複数の共振子を電気的に接続してフ
ィルタ回路を完成させることも考えられる。
【0076】しかし、ワイヤボンディングを用いて複数
の共振子を電気的に接続する方法では、チップの端子を
ワイヤによって実装基板上の導体部に接続する工程以外
に、複数の共振子をワイヤによって接続する工程が必要
になる。また、ワイヤボンディングを用いて複数の共振
子を電気的に接続する方法は、ワイヤの分だけパッケー
ジの厚み(高さ)が大きくなるため、フィルタの小型化
には不向きである。更に、ワイヤボンディングを用いて
複数の共振子を電気的に接続する方法では、ワイヤによ
って余分なインダクタが形成され、このインダクタによ
ってフィルタの動作周波数のずれが生じる。
【0077】これに対し、本実施の形態のように、フリ
ップチップボンディングによってチップ10を実装基板
30に実装すると共に、その際に直列共振子16と並列
共振子17とが電気的に接続されてフィルタ回路が完成
するようにした場合には、上述のようなワイヤボンディ
ングを用いて複数の共振子を電気的に接続する場合の不
具合が生じない。
【0078】[第2の実施の形態]次に、本実施の形態
の第2の実施の形態に係る共振フィルタおよびその特性
調整方法について説明する。本実施の形態では、第1の
実施の形態と同様に、チップ10において直列共振子1
6と並列共振子17を電気的に分離すると共に、チップ
10に、直列共振子16と並列共振子17のそれぞれの
電気的特性を調整するための調整部を設けている。
【0079】図21は、本実施の形態に係る共振フィル
タにおけるチップ10内の共振子16,17の状態を示
す回路図である。本実施の形態におけるチップ10は、
直列共振子16および並列共振子17の他に、直列共振
子16の電気的特性を調整するための調整部61と、並
列共振子17の電気的特性を調整するための調整部62
とを備えている。調整部61の一端は直列共振子16の
一端に接続されている。調整部62の一端は並列共振子
17の一端に接続されている。直列共振子16の他端は
バンプ21に接続され、並列共振子17の他端は他のバ
ンプ21に接続され、これら2つのバンプ21,21は
互いに電気的に分離されている。なお、図21では、便
宜上、調整部61の他端が入力端41に接続され、直列
共振子16の他端が出力端42に接続され、調整部62
の他端が接地された状態にして表している。
【0080】図22は、本実施の形態におけるチップ1
0の要部を示す平面図である。本実施の形態におけるチ
ップ10は、第1の実施の形態における下部電極13
A,13Bおよび上部電極15A,15Bの代わりに、
下部電極63A,63Bおよび上部電極65A,65B
を備えている。
【0081】図22に示したように上方から見たとき
に、下部電極63Aと上部電極65Aは一方向に沿って
配置されている。下部電極63Aの左側の端部は空洞1
1aに対応する領域内に配置され、下部電極63Aの右
側の端部は空洞11aに対応する領域の外に配置されて
いる。また、上部電極65Aの右側の端部は空洞11a
に対応する領域内に配置され、上部電極65Aの左側の
端部は空洞11aに対応する領域の外に配置されてい
る。下部電極63Aの左側の端部近傍の一部と上部電極
65Aの右側の端部近傍の一部は、圧電薄膜14を介し
て互いに対向するように配置されている。そして、下部
電極63Aと上部電極65Aの互いに重なる部分と、こ
れらの間に配置された圧電薄膜14の一部とによって、
直列共振子16が形成されている。
【0082】また、図22に示したように上方から見た
ときに、下部電極63Bは、下部電極63Aに対して所
定の間隔を空けて平行に配置されている。上部電極65
Bは下部電極63Bに対して直交するように配置されて
いる。下部電極63Bの左側の端部は空洞11aに対応
する領域内に配置され、下部電極63Bの右側の端部は
空洞11aに対応する領域の外に配置されている。ま
た、上部電極65Bの図22における上側の端部は空洞
11aに対応する領域内に配置され、上部電極65Bの
図22における下側の端部は空洞11aに対応する領域
の外に配置されている。上部電極65Bの上側の端部近
傍の一部と下部電極63Bの左側の端部近傍の一部は、
圧電薄膜14を介して互いに対向するように配置されて
いる。そして、下部電極63Bと上部電極65Bの互い
に重なる部分と、これらの間に配置された圧電薄膜14
の一部とによって、並列共振子17が形成されている。
【0083】圧電薄膜14において、下部電極63Aの
右側の端部近傍の部分に対応する位置と、下部電極63
Bの右側の端部近傍の部分に対応する位置には、それぞ
れ、スルーホール14a,14bが形成されている。
【0084】本実施の形態では、上部電極65Aの左側
の端部に調整部70が接続され、上部電極65Aの下側
の端部に調整部80が接続されている。下部電極63A
の右側の端部近傍の部分、下部電極63Bの右側の端部
近傍の部分、調整部70の左側の端部近傍の部分および
調整部80の図22における下側の端部近傍の部分の上
には、それぞれ、バンプ21が形成されている。
【0085】調整部70,80は、上部電極65A,6
5Bと同一平面上に配置されている。調整部70,80
は、それぞれ、切断され得る部分である切断予定部を1
つ以上含み、この切断予定部の状態に応じてインピーダ
ンスが変化するものである。本実施の形態では、特に、
調整部70,80は、切断予定部の状態に応じてインダ
クタンスが変化するようになっている。
【0086】図22には、調整部70,80の形状の一
例を示している。この例では、調整部70は、右側の端
部と左側の端部との間に形成された枝部71,72を有
している。枝部71,72の右側の端部同士は互いに連
結され、枝部71,72の左側の端部同士も互いに連結
されている。枝部72は枝部71よりも長くなってい
る。枝部71の両端部には切断予定部73,74が設け
られている。枝部72の両端部には切断予定部75,7
6が設けられている。
【0087】また、図22に示した調整部80は、図2
2における上側の端部と下側の端部との間に形成された
枝部81,82を有している。枝部81,82の上側の
端部同士は互いに連結され、枝部81,82の下側の端
部同士も互いに連結されている。枝部82は枝部81よ
りも長くなっている。枝部81の両端部には切断予定部
83,84が設けられている。枝部82の両端部には切
断予定部85,86が設けられている。
【0088】図22に示した調整部70では、切断予定
部73〜76のいずれをも切断しなければ、調整部70
の両端部は枝部71および枝部72によって接続され
る。この状態を第1の状態と呼ぶ。また、調整部70で
は、図23に示したように、切断予定部75,76を切
断すると調整部70の両端部は枝部71によって接続さ
れる。この状態を第2の状態と呼ぶ。また、調整部70
では、図24に示したように、切断予定部73,74を
切断すると調整部70の両端部は枝部72によって接続
される。この状態を第3の状態と呼ぶ。切断予定部73
〜76の切断には、例えば強度の大ききなレーザービー
ムが用いられる。また、切断予定部73〜76を切断す
る際には、切断された部分によって調整部70に大きな
静電容量成分が発生しないように、ある程度の幅をもっ
て切断予定部73〜76を切断するのが好ましい。第1
の状態と第2の状態と第3の状態とでは、互いに調整部
70のインダクタンスが異なる。調整部70は直列共振
子16に対して直列に接続されているので、調整部70
のインダクタンスが変化すると直列共振子16の共振周
波数が変化する。このようにして、切断予定部73〜7
6を切断しない状態で直列共振子16の共振周波数を測
定し、必要に応じて、切断予定部75,76を切断した
り、切断予定部73,74を切断したりすることによっ
て、直列共振子16の共振周波数を調整することが可能
である。
【0089】同様に、図22に示した調整部80では、
切断予定部83〜86を切断しない状態で並列共振子1
7の共振周波数を測定し、必要に応じて、切断予定部8
5,86を切断したり、切断予定部83,84を切断し
たりすることによって、並列共振子17の共振周波数を
調整することが可能である。
【0090】上述のように必要に応じて共振子16,1
7の共振周波数を調整した後のチップ10は、バンプ2
1が形成された面を下にして実装基板30の上面の上に
配置され、フリップチップボンディングによって実装基
板30に実装される。このとき、調整部70の一端部は
バンプ21を介して信号用導体部33に電気的に接続さ
れる。下部電極63A,63Bはそれぞれバンプ21を
介して信号用導体部32に電気的に接続される。調整部
80の一端部はバンプ21を介して接地用導体部35に
電気的に接続される。このようにして、パッケージ化さ
れた共振フィルタが形成される。
【0091】本実施の形態において、調整部70,80
における切断予定部は予め定められているので、切断予
定部の状態と調整部70,80のインダクタンスとの関
係は、予め知ることができる。従って、本実施の形態に
おけるチップ10では、第1の実施の形態と同様に、共
振子16,17の電気的特性を測定した後、調整部7
0,80の切断予定部の状態を選択することによって調
整部70,80のインダクタンスを、予め知られた量だ
け変えることができる。従って、本実施の形態によれ
ば、各共振子16,17の共振周波数を容易に調整する
ことが可能になる。
【0092】なお、本実施の形態において、調整部7
0,80は、切断され得る部分である切断予定部を1つ
以上含み、切断予定部の状態に応じてインダクタンスが
変化するものであればよい。従って、調整部70,80
の形状や調整部70,80のインダクタンスの調整の方
法は、前述の形状や方法に限定されない。また、調整部
70,80は、切断予定部の状態に応じてキャパシタン
スが変化するものであってもよい。また、本実施の形態
において、調整部70,80の一方を省略してもよい。
【0093】本実施の形態におけるその他の構成、作用
および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0094】[第3の実施の形態]次に、本実施の形態
の第3の実施の形態に係る共振フィルタおよびその特性
調整方法について説明する。本実施の形態に係る共振フ
ィルタにおけるフィルタ回路は、図9に示したフィルタ
回路を基本構成とし、複数の基本構成が縦続接続されて
構成されている。
【0095】本実施の形態におけるチップ10は、複数
の直列共振子および複数の並列共振子を含んでいる。本
実施の形態に係るチップ10において、複数の直列共振
子および並列共振子は、全てが互いに電気的に分離され
ていてもよいし、一部の直列共振子または並列共振子の
みが他の直列共振子または並列共振子から電気的に分離
されていてもよい。
【0096】図25は、本実施の形態におけるチップ1
0内の共振子の状態の一例を示す回路図である。この例
では、チップ10は、3個の直列共振子161,16
2,163と3個の並列共振子171,172,173
を含み、これらは互いに電気的に分離されている。直列
共振子161,162,163の構成は第1の実施の形
態における直列共振子16と同様である。並列共振子1
71,172,173の構成は第1の実施の形態におけ
る並列共振子17と同様である。
【0097】1段目の直列共振子161の下部電極13
Aはフィルタ回路の入力端41に接続されるようになっ
ている。この直列共振子161の上部電極15Aにはバ
ンプ211,213が接続されている。1段目の並列共
振子171の下部電極13Bは接地されるようになって
いる。この並列共振子171の上部電極15Bにはバン
プ212が接続されている。2段目の直列共振子162
の下部電極13Aにはバンプ214が接続されている。
この直列共振子162の上部電極15Aにはバンプ21
5,217が接続されている。2段目の並列共振子17
2の下部電極13Bは接地されるようになっている。こ
の並列共振子172の上部電極15Bにはバンプ216
が接続されている。3段目の直列共振子163の下部電
極13Aにはバンプ218が接続されている。この直列
共振子163の上部電極15Aにはバンプ219が接続
されている。また、この上部電極15Aはフィルタ回路
の出力端42に接続されるようになっている。3段目の
並列共振子173の下部電極13Bは接地されるように
なっている。この並列共振子173の上部電極15Bに
はバンプ220が接続されている。
【0098】図25に示した構成のチップ10が実装さ
れる実装基板30には、バンプ211,212同士、バ
ンプ213,214同士、バンプ215,216同士、
バンプ217,218同士、バンプ219,220同士
をそれぞれ接続する複数の導体部が設けられている。図
25に示した構成のチップ10を、この実装基板30に
実装すると、上記の組み合わせのバンプ同士が互いに電
気的に接続され、3段構成のラダー型フィルタ回路が完
成する。なお、図25に示した構成において、バンプ2
13,217を省略し、実装基板30の1つの導体部に
よってバンプ211,212,214を接続し、実装基
板30の他の1つの導体部によってバンプ215,21
6,218を接続するようにしてもよい。
【0099】図26は、本実施の形態におけるチップ1
0内の共振子の状態の他の例を示す回路図である。この
例では、チップ10は、3個の直列共振子161,16
2,163と3個の並列共振子171,172,173
を含んでいる。本例では、直列共振子161,162,
163は直列に接続されている。
【0100】1段目の直列共振子161の下部電極13
Aはフィルタ回路の入力端41に接続されるようになっ
ている。この直列共振子161の上部電極15Aにはバ
ンプ221が接続されている。1段目の並列共振子17
1の下部電極13Bは接地されるようになっている。こ
の並列共振子171の上部電極15Bにはバンプ222
が接続されている。2段目の直列共振子162の下部電
極13Aは、直列共振子161の上部電極15Aに接続
されている。この直列共振子162の上部電極15Aに
はバンプ223が接続されている。2段目の並列共振子
172の下部電極13Bは接地されるようになってい
る。この並列共振子172の上部電極15Bにはバンプ
224が接続されている。3段目の直列共振子163の
下部電極13Aは、直列共振子162の上部電極15A
に接続されている。この直列共振子163の上部電極1
5Aにはバンプ225が接続されている。また、この上
部電極15Aはフィルタ回路の出力端42に接続される
ようになっている。3段目の並列共振子173の下部電
極13Bは接地されるようになっている。この並列共振
子173の上部電極15Bにはバンプ226が接続され
ている。
【0101】図26に示した構成のチップ10が実装さ
れる実装基板30には、バンプ221,222同士、バ
ンプ223,224同士、バンプ225,226同士を
それぞれ接続する複数の導体部が設けられている。図2
6に示した構成のチップ10を、この実装基板30に実
装すると、上記の組み合わせのバンプ同士が互いに電気
的に接続され、3段構成のラダー型フィルタ回路が完成
する。
【0102】本実施の形態では、チップ10内において
他の共振子から電気的に分離された共振子について電気
的特性の測定や調整を行うことによって、共振フィルタ
の電気的特性を調整することができる。
【0103】なお、本実施の形態におけるチップ10内
の共振子の状態は、図25または図26に示した状態に
限らず、少なくとも1つの共振子が、他の共振子から電
気的に分離されたものであればよい。また、本実施の形
態に係る共振フィルタにおけるフィルタ回路は、図11
に示したフィルタ回路を基本構成とし、複数の基本構成
が縦続接続されて構成されたものであってもよい。ま
た、縦続接続する基本構成の数は3に限らない。
【0104】また、本実施の形態において、第2の実施
の形態と同様に、チップ10内において他の共振子から
電気的に分離された共振子の電気的特性を調整するため
の調整部を設けてもよい。
【0105】本実施の形態におけるその他の構成、作用
および効果は、第1または第2の実施の形態と同様であ
る。
【0106】[第4の実施の形態]次に、本実施の形態
の第4の実施の形態に係るデュプレクサについて説明す
る。図27は本実施の形態に係るデュプレクサの回路図
である。本実施の形態に係るデュプレクサ90は、図示
しないアンテナに接続されるアンテナ端子91,92
と、アンテナに対して送信信号を出力する図示しない送
信回路に接続される送信信号端子93,94と、アンテ
ナからの受信信号を入力する図示しない受信回路に接続
される受信信号端子95,96とを備えている。
【0107】デュプレクサ90は、更に、送信信号を通
過させ、受信信号を遮断する第1のフィルタ97と、受
信信号を通過させ、送信信号を遮断する第2のフィルタ
98とを備えている。フィルタ97,98は、それぞ
れ、2つの入力端子と2つの出力端子とを有している。
【0108】フィルタ97の2つの入力端子はそれぞれ
送信信号端子93,94に接続されている。フィルタ9
7の2つの出力端子はそれぞれアンテナ端子91,92
に接続されている。フィルタ98の一方の入力端子は4
分の1波長位相変換器99を介してアンテナ端子91に
接続され、他方の入力端子はアンテナ端子92に接続さ
れている。フィルタ98の2つの出力端子はそれぞれ受
信信号端子95,96に接続されている。
【0109】本実施の形態に係るデュプレクサ90で
は、フィルタ97,98の少なくとも一方として、第1
ないし第3のいずれかの実施の形態に係る共振フィルタ
が用いられている。フィルタ97,98の双方が第1な
いし第3のいずれかの実施の形態に係る共振フィルタで
ある場合には、フィルタ97の実装基板とフィルタ98
の実装基板は共通であってもよい。
【0110】以下、フィルタ97,98の双方が第1の
実施の形態に係る共振フィルタであって、且つフィルタ
97の実装基板とフィルタ98の実装基板が共通である
場合の例について説明する。図28は本例におけるデュ
プレクサ90の平面図、図29は図28におけるC部を
拡大して示す平面図である。
【0111】図28に示したように、この例では、デュ
プレクサ90は、実装基板130と、この実装基板13
0にフリップチップボンディングによって実装された送
信用チップ10Tおよび受信用チップ10Rとを備えて
いる。
【0112】実装基板130の一方の面には、一端部が
図示しないアンテナに接続される導体部131と、それ
ぞれ一端部が導体部131の他端部に接続された送信用
導体部132および受信用導体部133と、一端部が送
信用導体部132の他端部に対して所定の間隔を空けて
対向するように配置された送信用導体部134と、一端
部が受信用導体部133の他端部に対して所定の間隔を
空けて対向するように配置された受信用導体部135と
が設けられている。送信用導体部134の他端部は図示
しない送信回路に接続されるようになっている。送信用
導体部134の他端部は送信信号端子93に対応する。
受信用導体部135の他端部は図示しない受信回路に接
続されるようになっている。受信用導体部135の他端
部は受信信号端子95に対応する。導体部131の一端
部はアンテナ端子91に対応する。
【0113】受信用導体部133の一部は、鉤状に屈曲
しており、この部分が4分の1波長位相変換器99にな
っている。また、図28における接地用導体部136
は、図27における端子92,94,96およびこれら
に接続された信号線の部分に対応する。
【0114】実装基板130の一方の面には、更に、接
地用導体部136が設けられている。この接地用導体部
136は、実装基板130の一方の面の大部分を占めて
いる。接地用導体部136と導体部131〜135と
は、所定の間隔を空けて隔てられている。接地用導体部
136は、導体部132,134の端部同士が対向する
領域に向けて突出する突出部136aと、導体部13
3,135の端部同士が対向する領域に向けて突出する
突出部136bとを有している。
【0115】送信用チップ10Tは、導体部132,1
34の端部同士が対向する領域に配置され、導体部13
2,134の各端部と突出部136aの端部に電気的に
接続されている。受信用チップ10Rは、導体部13
3,135の端部同士が対向する領域に配置され、導体
部133,135の各端部と突出部136bの端部に電
気的に接続されている。チップ10T,10Rの構成
は、第1の実施の形態におけるチップ10と同様であ
る。ただし、送信用チップ10Tと受信用チップ10R
とでは、上部電極15A,15Bの厚みを変える等の方
法により、通過帯域を異ならせている。
【0116】図29に示したように、送信用チップ10
Tにおいて、下部電極13Aはバンプ21を介して送信
用導体部132に電気的に接続される。上部電極15A
はバンプ21を介して送信用導体部134に電気的に接
続される。下部電極13Bはバンプ21を介して接地用
導体部136の突出部136aに電気的に接続される。
上部電極15Bはバンプ21を介して送信用導体部13
4に電気的に接続される。これにより、フィルタ97が
完成する。
【0117】図示しないが、同様に、受信用チップ10
Rにおいて、下部電極13Aはバンプ21を介して受信
用導体部135に電気的に接続される。上部電極15A
はバンプ21を介して受信用導体部133に電気的に接
続される。下部電極13Bはバンプ21を介して接地用
導体部136の突出部136bに電気的に接続される。
上部電極15Bはバンプ21を介して受信用導体部13
3に電気的に接続される。これにより、フィルタ98が
完成する。
【0118】本実施の形態に係るデュプレクサ90で
は、送信回路から送られてきた送信信号は、フィルタ9
7を通過してアンテナに送られる。また、アンテナから
の受信信号は、4分の1波長位相変換器99を通過し
て、4分の1波長だけ位相がずれた信号に変換された
後、フィルタ98を通過して受信回路に送られる。
【0119】本実施の形態に係るデュプレクサ90で
は、フィルタ97,98の少なくとも一方として、第1
ないし第3のいずれかの実施の形態に係る共振フィルタ
を用いている。従って、本実施の形態によれば、フィル
タ97,98の少なくとも一方において、一部の共振子
についての電気的特性の測定や調整を行うことによって
フィルタの電気的特性を調整し、結果的にデュプレクサ
90の電気的特性を調整することが可能になる。
【0120】本実施の形態におけるその他の構成、作用
および効果は、第1ないし第3の実施の形態と同様であ
る。
【0121】なお、本発明は上記各実施の形態に限定さ
れず、種々の変更が可能である。例えば、チップを実装
基板に実装する方法としては、フリップチップボンディ
ング以外のフェースダウンボンディングを用いもよい。
【0122】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1ないし6
のいずれかに記載の共振フィルタでは、複数の共振子を
有するチップにおいて少なくとも1つの共振子は他の共
振子から電気的に分離されている。従って、本発明によ
れば、チップと実装基板とを有する共振フィルタにおい
て、一部の共振子について電気的特性の測定や調整を行
うことによって、共振フィルタの電気的特性を調整する
ことが可能になるという効果を奏する。
【0123】また、請求項7記載の共振フィルタの特性
調整方法では、請求項1ないし6のいずれかに記載の共
振フィルタにおいて、チップを実装基板に実装する前
に、少なくとも1つの共振子について電気的特性を調整
し、この調整後のチップを実装基板に実装する。従っ
て、本発明によれば、チップと実装基板とを有する共振
フィルタにおいて、一部の共振子について電気的特性の
測定や調整を行うことによって、共振フィルタの電気的
特性を調整することが可能になるという効果を奏する。
【0124】また、請求項8記載のデュプレクサでは、
受信信号を遮断する第1のフィルタと、受信信号を通過
させ、送信信号を遮断する第2のフィルタの少なくとも
一方を、請求項1ないし6のいずれかに記載の共振フィ
ルタとしている。従って、本発明によれば、この共振フ
ィルタにおいて、一部の共振子について電気的特性の測
定や調整を行うことによって、デュプレクサの電気的特
性を調整することが可能になるという効果を奏する。
【0125】また、請求項9記載のデュプレクサの特性
調整方法では、請求項8記載のデュプレクサにおいて、
チップを実装基板に実装する前に、少なくとも1つの共
振子について電気的特性を調整し、この調整後のチップ
を実装基板に実装する。従って、本発明によれば、複数
の共振子を有するチップと、このチップが実装された実
装基板とを有するデュプレクサにおいて、共振フィルタ
内の一部の共振子について電気的特性の調整を行うこと
によって、デュプレクサの電気的特性を調整することが
可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る共振フィルタ
の平面図である。
【図2】図1におけるA−A線断面を拡大して示す断面
図である。
【図3】バンプを形成する前の図1におけるチップの要
部を示す平面図である。
【図4】図3のB−B線断面図である。
【図5】バンプを形成した後の図1におけるチップの要
部を示す平面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における実装基板の
平面図である。
【図7】図6における下側から見た実装基板の側面図で
ある。
【図8】本発明の第1の実施の形態における実装基板の
底面図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態におけるフィルタ回
路の構成の一例を示す回路図である。
【図10】図9に示した例におけるチップ内の共振子の
状態を示す回路図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態におけるフィルタ
回路の構成の他の例を示す回路図である。
【図12】図11に示した例におけるチップ内の共振子
の状態を示す回路図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態におけるフィルタ
回路の設計方法を説明するための説明図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態に対する比較例の
チップの構成を示す平面図である。
【図15】本発明の第1の実施の形態において共振子の
電気的特性を測定する方法の一例を説明するための説明
図である。
【図16】本発明の第1の実施の形態における直列共振
子のアドミッタンスの周波数特性の測定結果の一例を示
す特性図である。
【図17】本発明の第1の実施の形態における並列共振
子のアドミッタンスの周波数特性の測定結果の一例を示
す特性図である。
【図18】図16に示した特性の直列共振子と図17に
示した特性の並列共振子とを用いて構成したフィルタ回
路の伝送特性の測定結果を示す特性図である。
【図19】本発明の第1の実施の形態における並列共振
子のアドミッタンスの周波数特性の測定結果の他の例を
示す特性図である。
【図20】図16に示した特性の直列共振子と図19に
示した特性の並列共振子とを用いて構成したフィルタ回
路の伝送特性の測定結果を示す特性図である。
【図21】本発明の第2の実施の形態に係る共振フィル
タにおけるチップ内の共振子の状態を示す回路図であ
る。
【図22】本発明の第2の実施の形態におけるチップの
要部を示す平面図である。
【図23】図22に示したチップの状態の一例を示す平
面図である。
【図24】図22に示したチップの状態の他の例を示す
平面図である。
【図25】本発明の第3の実施の形態におけるチップ内
の共振子の状態の一例を示す回路図である。
【図26】本発明の第3の実施の形態におけるチップ内
の共振子の状態の他の例を示す回路図である。
【図27】本発明の第4の実施の形態に係るデュプレク
サの回路図である。
【図28】本発明の第4の実施の形態に係るデュプレク
サの構成の一例を示す平面図である。
【図29】図28におけるC部を拡大して示す平面図で
ある。
【符号の説明】
1…共振フィルタ、10…チップ、11…基体、12…
バリア層、13A,13B…下部電極、14…圧電薄
膜、15A,15B…上部電極、16…直列共振子、1
7…並列共振子、21…バンプ、30…実装基板、3
2,33…信号用導体部、34,35…接地用導体部。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の共振子を含むフィルタ回路を有す
    る共振フィルタであって、 前記複数の共振子を有すると共に、少なくとも1つの共
    振子は他の共振子から電気的に分離された状態となって
    いるチップと、 前記チップが実装された実装基板とを備え、 前記チップは、フィルタ回路が完成するように前記少な
    くとも1つの共振子と他の共振子とを電気的に接続する
    ための外部の導体との電気的接続のための複数の接続電
    極を有し、 前記実装基板は、前記チップが実装される際に前記チッ
    プの前記接続電極に電気的に接続されることによって、
    フィルタ回路が完成するように前記少なくとも1つの共
    振子と他の共振子とを電気的に接続する導体部を有する
    ことを特徴とする共振フィルタ。
  2. 【請求項2】 前記共振子は、圧電性を有する圧電薄膜
    と、前記圧電薄膜の両面に配置され、前記圧電薄膜に対
    して励振用電圧を印加するための2つの励振用電極とを
    有することを特徴とする請求項1記載の共振フィルタ。
  3. 【請求項3】 前記フィルタ回路は、直列共振子と並列
    共振子とを含むラダー型のフィルタ回路であることを特
    徴とする請求項1または2記載の共振フィルタ。
  4. 【請求項4】 前記チップは、フェースダウンボンディ
    ングによって前記実装基板に実装されていることを特徴
    とする請求項1ないし3のいずれかに記載の共振フィル
    タ。
  5. 【請求項5】 前記チップは、フリップチップボンディ
    ングによって前記実装基板に実装されていることを特徴
    とする請求項4記載の共振フィルタ。
  6. 【請求項6】 前記チップは、他の共振子から分離され
    た共振子の電気的特性を調整するための調整部を有する
    ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の
    共振フィルタ。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかに記載の共
    振フィルタの電気的特性を調整する方法であって、 前記チップを前記実装基板に実装する前に、前記少なく
    とも1つの共振子について電気的特性を調整する工程
    と、 前記調整後の前記チップを前記実装基板に実装する工程
    とを備えたことを特徴とする共振フィルタの特性調整方
    法。
  8. 【請求項8】 送信信号を通過させ、受信信号を遮断す
    る第1のフィルタと、受信信号を通過させ、送信信号を
    遮断する第2のフィルタとを備え、アンテナに接続され
    るデュプレクサであって、前記第1のフィルタと第2の
    フィルタの少なくとも一方は、請求項1ないし6のいず
    れかに記載の共振フィルタであることを特徴とするデュ
    プレクサ。
  9. 【請求項9】 請求項8記載のデュプレクサの電気的特
    性を調整する方法であって、 前記共振フィルタの前記チップを前記実装基板に実装す
    る前に、前記少なくとも1つの共振子について電気的特
    性を調整する工程と、 前記調整後の前記チップを前記実装基板に実装する工程
    とを備えたことを特徴とするデュプレクサの特性調整方
    法。
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