JP2001016067A - バルク波素子及びそれを用いたバルク波装置 - Google Patents

バルク波素子及びそれを用いたバルク波装置

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JP2001016067A JP11185932A JP18593299A JP2001016067A JP 2001016067 A JP2001016067 A JP 2001016067A JP 11185932 A JP11185932 A JP 11185932A JP 18593299 A JP18593299 A JP 18593299A JP 2001016067 A JP2001016067 A JP 2001016067A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡便な構成で高性能で且つ信頼に優れたバル
ク波素子及びそれを用いたバルク波装置を提供するこ
と。 【解決手段】 基体1上に、振動緩衝体5を介して厚み
滑り振動を生じる圧電材料から成る振動体2を配設する
とともに、該振動体2の厚み滑り振動の振動方向に対し
直交する方向に、互いに対向する励振電極3を配設した
ことを特徴とするバルク波素子Sとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、通信機器等に内蔵
される共振器や周波数帯域フィルタに使用できるバルク
波素子及びそれを用いたバルク波装置に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】近年、電波を利用し通信を行な
う電子機器用の帯域通過フィルタ等の周波数フィルタ
(以下、単にフィルタともいう)、発信器等の電子部品
として、多くの弾性表面波(Surface Acoustic Wave 、
以下、SAWともいう)装置やバルク波(Bulk Acousti
c Waveで、以下、BAWともいう)共振子、BAWフィ
ルタが用いられている。
【0003】特に、移動体通信分野において、携帯電話
等の携帯端末装置のRF(Radio Frequency :無線周波
数あるいは高周波)ブロック及びIF(Intermidiate F
requency:中間周波数)ブロックのフィルタとして多用
されている。また、自動車電話及び携帯電話等の移動体
無線機器を使用した通信システムにおけるIFブロック
上では、移動体通信情報の伝送量増大に伴い、高周波で
あり広帯域なIFフィルタが望まれている。
【0004】一般的に、IFフィルタはSAW若しくは
BAWを使用したフィルタで構成される。SAWフィル
タは、圧電基板の表面を伝搬するため携帯電話の低背化
できる。ところが、広帯域フィルタを作製するためには
伝搬路を大きくする必要があり、これにより素子サイズ
が大きくなり、装置の実装面積が大きくなるという欠点
を有する。
【0005】また、BAWフィルタは、各種様々な波の
モードを用いてフィルタを構成させている。例えば、図
9に示すように、ZnO等の圧電薄膜から成る振動体2
を基体1上に空隙部4を介して励振電極3で挟み、これ
に交番電界を加えることで厚み縦振動を励振させ、高周
波フィルタを実現させている。ここで、空隙部4でもっ
て振動体2の振動動作を妨げないように工夫している
(例えば、Jpn. J. Appl. Phys. Vol.32(1993)pp.2321-
2324を参照)。
【0006】しかしながら、従来のフィルタに用いる振
動体は、波長を短くするための材料の薄膜化が必要であ
るが、スパッタ法やCVD法等の薄膜形成法では、周波
数制御のための均一な厚み制御が困難であり、また、特
性の優れた圧電基板材料を再現性良く成長させることは
困難である。
【0007】また、従来の厚み縦振動による振動体の周
波数調整法は、厚み方向に対向電極を配設し、この対向
電極上に薄い樹脂や金属を形成し、これらの周波数調整
膜の質量効果により周波数を変化させていた。このた
め、対向電極自体の質量と周波数調整膜の質量により、
厚み縦方向の振動のダンピングが大きく、少量の周波数
調整膜で特性劣化が生じ、この劣化の許容範囲、つまり
周波数調整範囲が小さくなる。
【0008】そこで、本発明は従来の諸問題に鑑みて提
案されたものであり、簡便な構成で高性能で且つ信頼に
優れたバルク波素子及びそれを用いたバルク波装置を提
供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明のバルク波素子は、基体上に、厚み滑り振動
が生じる圧電材料から成る振動体を振動緩衝体を介して
配設するとともに、振動体の厚み滑り振動の振動方向に
対し直交する方向に、相対向する一対の励振電極を配設
したことを特徴とする。
【0010】また、上記バルク波素子の複数を、直列及
び/又は並列に電気接続又は振動接続したことを特徴と
するバルク波装置とする。
【0011】なお、振動接続とは、振動体を連結させる
ことにより、複数の一対になった対向電極間で発生した
バルク波が、振動モードの結合により高次のモード共振
を発生させるようにしたことをいう。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に係るバルク波素子及びそ
れを用いたバルク波装置の実施形態を図面に基づき詳細
に説明する。
【0013】図1に断面図、図2に上面平面図にて示す
ように、本発明に係るバルク波素子Sは、基体1上に例
えばゴムや樹脂等の高分子材料により振動緩衝体5を形
成し、セラミック又は単結晶の厚み滑り振動を生じる圧
電材料から成る振動体2を配設して成るものである。ま
た、該振動体2の前記滑り振動の振動方向に対し直交す
る方向に、互いに対向する一対の電極3を配設して成
る。
【0014】ここで、振動体2に配設された電極3は、
振動緩衝体5及び引き出し部基体9上に形成された引き
出し電極6を通じて電気信号を伝送することが可能であ
る。また、周波数調整膜7を配設して振動体2の音響イ
ンピーダンスを変化させ、振動体2の振動周波数を調整
することも可能である。研磨により薄肉になった振動体
2を支持する素子固定材8を配設することも重要であ
る。
【0015】上記構成のバルク波素子の複数を、図5に
等価回路で示すように、直列及び(/又は)並列に電気
接続又は振動接続(振動体を連結させることにより、複
数の一対になった対向電極間で発生したバルク波が、振
動モードの結合により高次のモード共振を発生させるよ
うにしたこと)してバルク波装置を構成することができ
る。図3には、複数のバルク波素子をラダー型回路に電
気接続したバルク波装置の上面図を示す。
【0016】ラダー型回路における直列共振子S1は、
共振周波数を並列共振子S2の共振周波数より高く設定
するため、素子S1及び素子S2の振動体の厚みが異な
っている。そのため、図3に示す例では直列共振子S1
や並列共振子S2がそれぞれ圧電材の厚みを一定にする
ため横並びに配設させた。また、引き出し部基体、振動
緩衝体や振動体上に引き出し電極を形成し、ラダー型回
路に構成させるよう電極を配設させた。
【0017】また、図4に振動モード結合共振器Mを形
成した場合のバルク波装置の上面平面図を示す。結合共
振器Mでは、バルク波素子中で振動している波が振動体
2を通じて横方向に結合される。図6に、この結合共振
器Mの振動モードの概念図を示す。図6に示すように、
横方向に結合された波は偶振動モードm1と奇振動モー
ドm2に分解され、それぞれ共振周波数が存在し、その
偶奇モード共振周波数間で通過帯域が形成可能である。
【0018】なお、上記実施形態では、バルク波装置に
おいてバルク波素子の電気接続を電極の引き回しにより
行ったが、電気接続方法はワイヤボンドやAuバンプを
用いたフリップチップにより接続する若しくは導電性樹
脂を塗布し接続を行う構成も可能である。
【0019】また、バルク素子を構成する振動体は、P
ZTセラミック,タンタル酸リチウム単結晶,ニオブ酸
リチウム単結晶,水晶,四ほう酸リチウム単結晶,ラン
ガサイト型結晶構造を有する単結晶,ニオブ酸カリウム
単結晶,ガリウム砒素単結晶等が主に適用可能である。
【0020】また、電極や引出し電極を構成する材料
は、アルミニウム、アルミニウム・銅合金、アルミニウ
ム・チタン合金、アルミニウム・珪素合金、金、銀、銀
・パラジウム合金が主に適用できる。また、電極の密着
度向上や電気抵抗の削減のため下地材が必要な場合に
は、クロム,チタン,銅を用いてもよい。
【0021】また、振動緩衝体5や周波数調整膜7に
は、シリコーン樹脂等が好適に使用可能である。
【0022】また、素子固定材8には、エポキシ系やシ
リコーン系の樹脂,Agペースト,金属等の貼り付けな
どが使用可能である。
【0023】また、本発明は上記形態に限定されるもの
でなく、共振子及びフィルタだけでなく、デュプレクサ
にも本発明が適用が可能であり、本発明の要旨を逸脱し
ない範囲で種々の変更は何等差し支えない。
【0024】
【実施例】以下により具体的な実施例について説明す
る。
【0025】〔実施例1〕図1に示したバルク波素子S
において、振動体としてPZTセラミックを用いた。作
製した素子は振動体の厚みを10μm、対向電極の幅を
300μm、対向電極の厚みを600μmとし、電極は
下面にCuを200Å厚みに、上面にAgを10000
Åの厚みに蒸着法にて形成した。
【0026】この作製工程を図8(a)〜(h)に示
す。
【0027】まず、図8(a)に示すように、振動体2
の片側主面に電極3を帯状に下地金属膜Cu(200Å
厚)と主電極金属膜Ag(10000Å厚)を蒸着で形
成した。
【0028】次に、図8(b)に示すように、エレクト
ロンワックス10を10μm程度に均一になるよう塗布
した。その後、図8(c)に示すように、振動体2の電
極に見合った電極3と同一形成条件による引き出し電極
を形成した引き出し部基体9を押し付け、前記ワックス
10と固着させた。そして、振動体2が所望の厚み(1
0μm)になるまで研磨した。
【0029】次に、図8(d)に示すように、振動体2
の他方主面に電極3を形成し、エレクトロンワックス1
0と該振動体の電極に見合った引き出し電極を形成した
引き出し部基体9を押し付け、前記ワックス10と固着
させた。その後、図8(e)に示すようにダイシングソ
ーで個々の振動体2となるように切り離した。
【0030】一方、図8(f)に示すように基体1には
シリコーン樹脂の振動緩衝体5を塗布しておき、図8
(g)に示すように、図8(e)で示した振動体2を含
む部位を図8(f)に示すように基体1上に載置した。
【0031】その後、素子全体を加圧加熱し、基体1と
接合させ、最後に、図8(h)に示すように、エポキシ
系樹脂から成る素子固定材8のを塗布し加熱固着させ、
エレクトロンワックス10をアルカリ性除去剤で取り払
い、引き出し電極をマスク蒸着した。また、引出し電極
6に電気端子を接続し、電気特性を測定しつつ、シリコ
ーン樹脂から成る周波数調整膜7を塗布し、バルク波素
子Sの周波数を調整した。
【0032】〔実施例2〕図3に示したバルク波装置
は、上記実施例1と同様な構造のバルク波素子Sを図3
の如くにラダー型回路に電気接続したバルク波装置とし
たものである。ただし、電極の構造として、直列共振子
S1は振動体の厚みを10μm、対向電極幅を300μ
m、対向電極厚みを600μmとし、並列共振子S2は
振動体の厚みを11μm、対向電極幅を500μm、対
向電極の厚みを600μmとして作製した。
【0033】図7に上記バルク波装置のフィルタ電気特
性を示す。ここで、横軸は周波数fを中心周波数f0
割った規格化周波数であり、縦軸は伝送の減衰量であ
る。評価方法は、入出力端子に3.5mm径のコネクタ
を接続し、ネットワークアナライザで測定した。その結
果、フィルタ特性が中心周波数170MHz、減衰量2
dB、帯域幅35MHzの良好な値を得ることが判明し
た。
【0034】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
従来のセラッミク焼成法や単結晶育成法により得られた
優れた圧電基板を、均質に且つ大量に育成された基板を
デバイスの所望の厚みに薄片化が可能で、高周波に適用
可能なバルク波素子及びそれを用いたバルク波装置を提
供できる。
【0035】また、周波数調整の範囲の拡大を行うた
め、厚み滑り振動を用いることで、厚み縦振動の周波数
調整と異なり、対向電極の膜上ではなく、振動方向側に
周波数調整膜を付加し調整できる。すなわち、振動のダ
ンピングが厚み縦振動の場合と比較すると、対向電極の
質量分相当の周波数調整膜を付加しても良好な特性を提
供可能であり、周波数調整膜の厚み調整による周波数調
整範囲の拡大が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るバルク波素子の断面図である。
【図2】本発明に係るバルク波素子の上面平面図であ
る。
【図3】本発明に係るバルク波素子を用いたバルク波装
置であるラダー型フィルタの上面平面図である。
【図4】本発明に係るバルク波素子を用いたバルク波装
置である振動モード結合共振器の上面平面図である。
【図5】図3に示すラダー型フィルタの等価回路図であ
る。
【図6】図4に示す振動モード結合共振器の振動モード
の概念図である。
【図7】実施例2のバルク波装置の電気特性を示す特性
図である。
【図8】(a)〜(h)は、それぞれ本発明に係るバル
ク波素子の作製工程を説明する斜視図である。
【図9】従来のバルク波素子の断面図である。
【符号の説明】
1:基体 2:振動体 3:励振電極 4:空隙部 5:振動緩衝体 6:引き出し電極 7:周波数調整膜 8:素子固定材 9:引き出し部基体 10:エレクトロンワックス S:バルク波素子 S1:バルク波素子の直列共振子 S2:バルク波素子の並列共振子 M:振動モード結合共振器 m1:偶振動モード m2:奇振動モード

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に、厚み滑り振動が生じる圧電材
    料から成る振動体を振動緩衝体を介して配設するととも
    に、前記振動体の厚み滑り振動の振動方向に対し直交す
    る方向に、相対向する一対の励振電極を配設したバルク
    波素子。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のバルク波素子の複数
    を、直列及び/又は並列に電気接続又は振動接続したこ
    とを特徴とするバルク波装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100446258B1 (ko) * 2002-07-08 2004-09-01 쌍신전자통신주식회사 압전단결정을 이용한 고주파 체적음향파소자 및 그 제조방법
JP2014532360A (ja) * 2011-10-05 2014-12-04 サントル ナスィオナル ド ラ ルシェルシュ スィアンティフィク(セ.エン.エル.エス.) 微細加工された垂直構造物に基づくバルク波共振器
CN110010755A (zh) * 2019-03-13 2019-07-12 电子科技大学 具有缓冲层的单晶薄膜的制备方法、单晶薄膜及谐振器

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