JP2003090506A - ボイラ伝熱管異材継手溶接部の損傷診断法と装置 - Google Patents

ボイラ伝熱管異材継手溶接部の損傷診断法と装置

Info

Publication number
JP2003090506A
JP2003090506A JP2001278198A JP2001278198A JP2003090506A JP 2003090506 A JP2003090506 A JP 2003090506A JP 2001278198 A JP2001278198 A JP 2001278198A JP 2001278198 A JP2001278198 A JP 2001278198A JP 2003090506 A JP2003090506 A JP 2003090506A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
damage
boiler
pipe
maximum value
low alloy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001278198A
Other languages
English (en)
Inventor
Motoroku Nakao
元六 仲尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Power Ltd
Original Assignee
Babcock Hitachi KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Babcock Hitachi KK filed Critical Babcock Hitachi KK
Priority to JP2001278198A priority Critical patent/JP2003090506A/ja
Publication of JP2003090506A publication Critical patent/JP2003090506A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボイラの過熱器管又は再熱器管に使用されて
いるフェライト系CrMo鋼とオーステナイト系SUS
鋼の異材継手溶接部に生じる特有のき裂発生型材料損傷
を高精度に診断評価する方法と装置を提供すること。 【解決手段】 (1)ボイラの過熱器管又は再熱器管の異
材継手溶接部に生じるき裂を対象としCrMo鋼の管
内面水蒸気酸化スケール12の厚さの最大値13、管内面
水蒸気酸化スケール厚さの最大値13と最小値14の比及び
起動停止繰返し数を関数としたインデックスにより損
傷度及び余寿命を決定する。(2)前記異材継手溶接部の
損傷をCrMo鋼の管内面水蒸気酸化スケール厚さの
最大値13、管内面水蒸気酸化スケール厚さの最大値13
と最小値14の比及び起動停止繰返し数のべき乗積とし
たインデックスにより損傷度や余寿命を診断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、火力発電システム
に関わり、特にボイラの過熱器や再熱器管の異種金属溶
接継手(以下異材継手又はDMW:Dissimilar Metal W
eldと略称する)に発生するき裂発生材料損傷診断方法
と装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図7に示す火力発電用ボイラ1の過熱器
2や再熱器3の伝熱管の材質は、使用されるメタル温度
及び圧力条件により使い分けられており、概略で500
℃以下の低温部ではSTB410等の炭素鋼、500〜
550℃ではSTBA24を代表とするフェライト系低
合金鋼(以下、CrMo鋼と略称する)、550℃以上
ではSUS321HTBやSUS347HTBを代表と
するオーステナイト系ステンレス鋼(以下SUS鋼と略
称する)が使用されている。
【0003】図7に、火力発電用ボイラの断面概要図
(図7(a))及び過熱器管の構造図(図7(b))の
一例を示す。過熱器入口管寄4及び過熱器出口管寄7を
備えた過熱器2では、過熱器入口管寄4から比較的低温
の蒸気が流入する低温部伝熱管5にCrMo鋼、前記比
較的低温の蒸気が熱吸収により比較的高温となる蒸気が
流入する高温部伝熱管6にSUS鋼が使用されている。
【0004】図8は、過熱器2のCrMo鋼からなる低
温部伝熱管5とSUS鋼からなる高温部伝熱管6の異材
継手の代表的な構成を示す。CrMo鋼に比べSUS鋼
の方が高温強度が高いこと、異材継手は溶接後熱処理と
して行う応力除去焼鈍(通常SR処理と称される)によ
りクリープ強度が向上すること、異材継手の溶接は欠陥
が出やすい等の理由から、現地溶接でなく、設備が整っ
ており、温度、湿度等の管理の行き届いた製造工場にお
いて行うことが望ましい。
【0005】CrMo鋼からなる低温部伝熱管5とSU
S鋼からなる高温部伝熱管6の異材継手は設計強度上外
径や肉厚が異なる場合があり、このため異材継手は、内
径を変化させたSUS鋼からなる短管8を挟んで製作さ
れることがある。
【0006】通常は、まず低温部伝熱管(CrMo鋼
管)5と短管8を異材溶接金属(Ni基合金)9で溶接
し、SR処理をした後に高温部伝熱管(SUS鋼管)6
と短管8をSUS溶接金属10で溶接する方法がとられ
る。
【0007】以前は、低温部伝熱管5と短管8との溶接
継手部に使用する溶加材料(溶接ワイヤ)としてSUS
系溶接金属を用いることがあったが、異材溶接金属とし
てNi基合金系溶接金属を使った場合に比べ、低温部伝
熱管(CrMo鋼)5に対してSUS溶接金属の方が線
膨張率の差が大きく、熱応力により早期にき裂等の損傷
が生じるので、最近はほとんどNi基合金9の溶接金属
が用いられていた。
【0008】しかしながら、最新の報告では、前記のよ
うに異材継手の溶接に熱膨張率がCrMo鋼とSUS鋼
の中間のNi基合金(通常インコネル182又はインコ
ネル82と称されるNi基合金が用いられている)を用
いても、長時間運転又は起動停止の多いボイラにおいて
は、異材継手のCrMo鋼側溶接境界部で、き裂発生型
の材料損傷が生じることが報告されている(出典:B.Do
oley、W.McNaughton:Boiler Tube Failures:Theory and
Practice、 Vol.1:Boiler Tube Fundamentals、Chapter 3
5、 Volume 3、 Dissimilar Metal Weld Failures、 pp35-
1(1995-6))。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】図9は、異材継手にき
裂発生型材料損傷が生じたときの模式図である。ボイラ
過熱器管や再熱器管の異材継手の溶接部のき裂は、管外
面からの周方向及び管内面側に進展するき裂であり、図
9に示す溶接部と母材との境界(CrMo鋼からなる低
温部伝熱管(母材)5とNi基溶接金属9からなる溶接
部の境界)にき裂(境界割れ)11が発生する。き裂発
生までの運転時間は3万〜15万時間といわれており、
熱応力値(温度差、拘束力)が高く、かつ繰返し数が多
いほど短時間にき裂11が生じ易いといわれているが、
現状のき裂評価手法は定性的な段階を出ておらず、損傷
度を精度よく診断評価する手法がないのが実情である。
【0010】過熱器管内は10〜30Mpa、500〜
600℃の高温高圧蒸気環境であり、異材継手で図9に
示したようなき裂11が発生すると、過熱器管の破断に
つながり、緊急運転停止や大幅な修理工事に繋がる問題
となる。また高温高圧蒸気が噴出するため、安全上も多
大な問題点を生じさせる。
【0011】本発明の課題は、従来技術の問題点を解決
し、ボイラの過熱器管又は再熱器管に使用されているフ
ェライト系CrMo鋼とオーステナイト系SUS鋼の異
材継手の溶接部に生じる特有のき裂発生型材料損傷を高
精度に診断評価する方法と装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題は、下記の方法
を採用することにより解決できる。 (1)ボイラの過熱器管又は再熱器管の異材継手の溶接
部に生じるき裂を対象とし、CrMo鋼の管内面水蒸
気酸化スケール厚さの最大値、管内面水蒸気酸化スケ
ール厚さの最大値と最小値の比及び起動停止繰返し数
を関数としたインデックスにより損傷度及び余寿命を決
定する。 (2)前記異材継手の溶接部の損傷を、CrMo鋼の
管内面水蒸気酸化スケール厚さの最大値、管内面水蒸
気酸化スケール厚さの最大値と最小値の比及び起動停
止繰返し数のべき乗積としたインデックスにより診断す
る。 (3)前記異材継手の溶接部の損傷を、CrMo鋼の管
内面水蒸気酸化スケール厚さ測定装置及び異材継手溶接
部の損傷診断装置により、オンライン又はオフラインに
より損傷度や余寿命を診断したり、その結果を図示す
る。
【0013】
【作用】ボイラの過熱器又は再熱器管の異材継手の溶接
部の損傷を調査検討した結果、き裂発生型材料損傷の損
傷度、すなわち損傷の進展度は、当該異材継手溶接部の
メタル温度が長時間の間、高温度状態にあること、異材
継手の溶接部から数メートル以内の部位又はサポートや
後流側伝熱管等関連部材との温度差や拘束力に基づく発
生応力、応力の上昇や下降の繰返し数に依存することが
明らかとなった。
【0014】これは、異材継手の溶接部のき裂発生型材
料損傷のメカニズムが、クリープ及びクリープ疲労によ
るものであることにより、高温で長時間、高い応力がか
かり、また応力の繰返し数が多いほど損傷が進むことに
なる。
【0015】ガス温度1000〜1300℃の雰囲気中
に設置している過熱器や再熱器管のメタル温度を継続的
に実測することは困難であり、負荷される熱応力を実測
することもできない。更に、燃料、燃料燃焼条件、運転
モード及び負荷は、経時的に変化するのが通常であり、
経時的なメタル温度変化履歴を累積的に解析することが
重要となる。
【0016】運転モードや燃焼条件によって変化する過
熱器管又は再熱器管のメタル温度の時間履歴と等価な数
値や温度差から生じる熱応力値が測定し得る代替値で評
価できれば、異材継手の溶接部の損傷度を診断できるこ
とになる。
【0017】本発明は、異材継手溶接部の温度の履歴を
管内の水蒸気酸化スケール厚さで評価しようとするもの
である。
【0018】過熱器や再熱器管の内面は、高温高圧の過
熱水蒸気と接しているため伝熱管と水蒸気の直接反応に
より酸化スケール(以下、水蒸気酸化スケールと称す
る。)が生じる。該水蒸気酸化スケールの成長は、拡散
支配のため放物線則に従い、その反応速度定数(Kp)
がアレニウス型になることが知られている。
【0019】 Y2=Kp・t (1) Kp=A・exp(−Q/RT) (2) ここで、Y:水蒸気酸化スケール厚さ(mm)、Kp:
反応速度定数、t:時間(h)、R:気体定数、T:絶
対温度(K)、A、Q:材料定数(CrとSi量の影響
を受ける)である。
【0020】(1)式及び(2)式から伝熱管の管内の
水蒸気酸化スケール厚さが、温度と時間の関数であり、
材料のクリープ強度やミクロ組織劣化を評価するラルソ
ンミラーパラメータ(P=T(C+log(t)、T:
絶対温度、C:定数、t:時間)と同等の温度・時間関
数で整理できるため、異材継手溶接部のメタル温度の履
歴を、水蒸気酸化スケール厚さの測定値から推定するこ
とができる。
【0021】図10は、STBA24鋼の水蒸気酸化ス
ケール厚さの温度と時間の関係を示す。図10は、実験
室的な水蒸気酸化試験により、温度及び時間の条件に応
じた水蒸気酸化スケール厚さから(2)式での材料定数
AとQを算出して求めたものである。図7に示すボイラ
の過熱器2内において、例えば運転時間が50,000
時間で厚さ500μmの水蒸気酸化スケールが生成して
おれば、等価メタル温度は572℃となり、572℃で
50,000時間と等価な熱履歴を受けたことになり、
熱履歴条件を評価することができる。
【0022】異材継手溶接部の温度履歴の推定に用いる
管内の水蒸気酸化スケール厚さの測定位置に関し、ここ
ではCrMo鋼側のスケール厚さを測定するのは次の理
由による。図9に示す溶接金属のNi基合金9や隣接の
SUS鋼からなる短管8に比べCrMo鋼からなる過熱
器低温部伝熱管5の方が水蒸気酸化がされやすく、スケ
ールが剥離しにくいことから、スケールがそのまま残存
しており、CrMo鋼側の水蒸気酸化スケールの厚さを
測定した方が高精度に予測可能である。また異材継手溶
接部の損傷は、より高温側で生じることから、管周方向
での最大値で評価すべきである。
【0023】次に、異材継手の溶接部でのき裂発生を支
配する管軸方向の熱応力は、当該部位の温度差、別の見
方をすれば異材継手溶接部の最高温度と最低温度の差に
起因しているが、炉内雰囲気が800〜1200℃であ
るため、この熱応力を実測することが不可能である。先
に述べたように過熱器管や再熱器管のメタル温度は、管
内面の水蒸気酸化スケールの厚さ測定から推定すること
ができるので、異材継手の溶接部の管周方向又は熱応力
に影響を及ぼす範囲でのスケール厚さを測定し、その最
大値(最高温度)と最小値(最低温度)の比や差から熱
応力に等価な数値を求めることができる。
【0024】異材継手溶接管のクリープ疲労によるき裂
発生及び進展は、先に述べた管の昇温(温度)、熱応力
値(温度差)に加えて、その繰返し数の影響を受ける。
そこで本発明の異材継手材料損傷診断法での評価指数に
は、熱応力の繰返し数に相当合致するボイラの起動停止
回数も関数とすることができる。
【0025】具体的には、 (1)ボイラの過熱器管又は再熱器管の異材継手の溶接
部に生じるき裂を対象とし、フェライト系鋼の管内面
水蒸気酸化スケール厚さの最大値(tsmax)、管
内水蒸気酸化スケール厚さの最大値(tsmax)と最
小値(tsmin)の比(Rt)及び起動停止繰返し
数(SS)を関数としたインデックス(DMW−L)に
より損傷度を評価診断し、交換時期を決定するものであ
る。 (2)また、前記異材継手の溶接部の損傷を、フェラ
イト系鋼の管内面水蒸気酸化スケール厚さの最大値(t
smax)、管内水蒸気酸化スケール厚さの最大値
(tsmax)と最小値(tsmin)の比(Rt)及
び起動停止繰返し数(SS)のべき乗積とした式
(3)のインデックス(DMW−L)'により診断する
こともできる。 (DMW−L)'=α×tsmaxβ×Rtγ×SSδ (3)
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的実施例を図
面をもって説明する。 実施例1 図1は、本発明になるボイラ過熱器又は再熱器管におけ
る異材継手の溶接部き裂発生型材料損傷手法の一実施例
である。
【0026】(1)加熱温度、加熱時間、(2)熱応力
(温度差)及び(3)繰返し数の影響因子に対して、
フェライト系のCrMo鋼の管内面水蒸気酸化スケール
厚さの最大値(tsmax)、管内水蒸気酸化スケー
ル厚さの最大値(tsmax)と最小値(tsmin)
の比(Rt)、起動停止繰返し数(SS)を代替評価
診断項目とし、これらの数値の関数としたインデックス
(DMW−L)により損傷度を評価診断するものであ
る。
【0027】フェライト系鋼側の水蒸気酸化スケール厚
さの最大値(tsmax)13や水蒸気酸化スケール厚
さの最小値(tsmin)14は、抜管サンプル材の断
面観察法(破壊測定法)や超音波内面スケール厚さ測定
法(非破壊検査法)のいずれの方法でも測定可能であ
り、精度、測定期間、予算に応じて選定すればよい。各
管内水蒸気酸化スケール厚さの最大値(tsmax)と
最小値(tsmin)は、通常、管の周方向及び軸方向
に数点から十数点測定して求められる。
【0028】上記フェライト系CrMo鋼の管内面水
蒸気酸化スケール12の厚さの最大値(tsmax)、
管内水蒸気酸化スケール厚さの最大値(tsmax)
と最小値(tsmin)の比(Rt)、起動停止繰返
し数(SS)を関数とした指数(DMW−L)により損
傷度を評価診断する方法が本発明の基本的な構成である
が、本発明はその他に、関数的には、前記各項目のべき
乗の積で評価するする方法でも良く、指数(DMW−
L)'により損傷度を評価診断する方法は、前記インデ
ックス(DMW−L)による方法より評価度度合い有意
差が大きく、評価がより明確に行える。
【0029】 (DMW−L)'=α×tsmaxβ×Rtγ×SSδ (3) ここで、(DMW−L)':異材継手溶接部のき裂発生
インデックス(Dissimilar Metal Weld-Lifeの略、DM
W−L=1.0で寿命としたインデックス)、α、β、
γ、δ:全体係数及び各項目の指数である。α、β、
γ、δは、異材継手のクリープ疲労実験や実機管の調査
結果の回帰により求まるものである。
【0030】なお、フェライト系CrMo鋼のtsma
x、tsminは、異材継手の溶接部から2m以内の範
囲で、周方向の厚さを測定し、その最大値及び最小値を
それぞれtsmax、tsminと定義できるが、極大
値や極小値等適正な値にならない場合などは、火炉に面
した高温側とその反対の低温側について、複数点測定
し、統計解析により最大値や最小値を求めて、tsma
x、tsminの代表値とするとより高精度に診断でき
る。
【0031】図2は、き裂発生寿命と本発明での診断指
数(DMW−L)'の関係線図である。両者間に誤差
(図2の点線)を考慮した直線関係を持たせ、き裂発生
寿命が1になった時点(き裂発生時点)を寿命とし、各
項目の数値を入力して、診断指数(DMW−L)'を求
め、その値からき裂発生寿命を診断するものである。ク
リープや疲労等の損傷診断の事例から、き裂発生寿命が
0.5以下では、通常運転を継続し、0.5〜0.75
では、精密検査すると共に更新時期を計画すべきであ
る。0.75以上では、短期にき裂発生に至るので早期
に更新すべきといえる。こうした評価から損傷度を診断
できると同時に更新時期が設定可能である。
【0032】図3は、ボイラ複数缶の材料調査とき裂発
生寿命評価結果から、各項目の指数及び係数を回帰分析
によって求め、異材継手の溶接部のき裂発生材料損傷を
診断した一例である。ここで示したプラントと同型で同
じような運用がなされるボイラにおいては、この係数及
び指数を用いて、き裂発生寿命が評価診断できる。
【0033】図3で診断したプラントは、異材継手溶接
部の溶接金属がNi基のインコネル82系であるが、本
手法は、Ni基の別の溶接金属(インコネル182系)
やステンレス鋼(SUS309系等)にも適用できる。
溶接金属の材質が変化した場合には、診断指数(DMW
−L)'を構成する式(3)の係数や指数が変化するの
で、別の回帰解析が必要となる。
【0034】実施例2 図4は、実施例1での異材継手の溶接部の損傷や余寿命
を診断する方法の具体的な装置構成の一例である。図4
は、オンライン診断の例であるが、水蒸気酸化スケール
厚さ等の測定結果をオフラインで入力し、診断、表示す
る方法も本発明に含まれる。
【0035】図4では、管内面の水蒸気酸化スケール厚
さ測定用超音波端子15を図8で説明した過熱器低温部
伝熱管5と過熱器高温部伝熱管6を溶接接続した異材継
手溶接部のCrMo鋼側に設置し、管内水蒸気酸化スケ
ール厚さ測定装置16により周方向のスケール厚さを複
数点測定し、その結果を異材継手の溶接金属であるNi
基合金9から成る溶接部の損傷及び余寿命診断装置17
にインプットし、解析、診断するようにしたものであ
る。
【0036】図5は、異材継手の溶接部の損傷及び余寿
命診断装置17のCRT等モニター画面の一例である。
起動停止回数SS等オフラインで入力する項目とtsm
ax、Rt等計器測定結果から自動的に入力される項目
及び(DMW−L)等の解析診断結果が表示されるよう
にしたものである。
【0037】事業用ボイラでは、過熱器管を例にとって
も伝熱管は炉幅方向に50〜150本、ガス流れ方向
(奥行き方向)に3〜10段あり、対象数は、膨大な数
になる。これらの多大な数の対象部位について、全て調
査することは長時間が必要であり、更に全体の損傷度や
余寿命分布が表示できれば、有効な診断手法となる。
【0038】図6は、異材継手の溶接部の余寿命分布の
表示結果の一例である。ある部分的な検査に基づく解析
結果と炉内ガス温度分布や管内水蒸気温度分布により炉
幅方向及び奥行き方向(2段目、3段目)の余寿命分布
を表示したものである。
【0039】
【発明の効果】本発明は、以上のような構成であること
から、過熱器や再熱器管異材継手溶接部に生じる複雑な
影響因子のき裂発生型材料損傷を高精度且つ簡易的に診
断評価でき、適切な更新時期を設定できるので経済的且
つ安定したプラント運転が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明になるボイラ過熱器又は再熱器管異材
継手の溶接部き裂発生型材料損傷手法の一実施例を示す
図である。
【図2】 本発明になるき裂発生寿命と診断インデック
ス(DMW−L)'の関係線図である。
【図3】 本発明になる異材継手溶接部のき裂発生材料
損傷を診断した一例である。
【図4】 本発明になる異材継手溶接部の損傷や余寿命
を診断する方法の具体的な装置構成の一例である。
【図5】 本発明になる異材継手溶接部の損傷及び余寿
命診断装置のCRT等モニター画面の一例である。
【図6】 本発明になる異材継手溶接部の余寿命分布の
表示結果の一例である。
【図7】 火力発電用ボイラの断面概要図(図7
(a))と過熱器管の構造図(図7(b))の一例を示
す図である。
【図8】 過熱器のCrMo鋼からなる低温部伝熱管と
SUS鋼からなる高温部伝熱管の異材継手の代表的な構
成を示す図である。
【図9】 異材継手にき裂発生型材料損傷が生じたとき
の模式図である。
【図10】 STBA24鋼の水蒸気酸化スケール厚さ
の温度と時間の関係を示すデータである。
【符号の説明】
1 ボイラ 2 吊下型過熱器 3 吊下型再熱器 4 過熱器入口管寄 5 過熱器低温部伝熱管(フェライト系鋼) 6 過熱器高温部伝熱管(オーステナイト系ステンレス
鋼) 7 過熱器出口管寄 8 短管(SUS) 9 異材溶接金属(Ni基合金) 10 SUS溶接金属 11 異材継手溶接境界割
れ 12 CrMo鋼内面水蒸気酸化スケール 13 水蒸気酸化スケール厚さの最大値(tsmax) 14 水蒸気酸化スケール厚さの最小値(tsmin) 15 管内水蒸気酸化スケール厚さ測定用超音波端子 16 管内水蒸気酸化スケール厚さ測定装置 17 異材継手溶接部の損傷及び余寿命診断装置

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ボイラの過熱器又は再熱器管のフェライ
    ト系低合金鋼とオーステナイト系ステンレス鋼の異材継
    手溶接部に対して、フェライト系低合金鋼管内面の水
    蒸気酸化スケール厚さの代表最大値(tsmax)又は
    前記最大値(tsmax)と等価な温度−時間数値、
    フェライト系低合金鋼管内面の水蒸気酸化スケール厚さ
    の代表最大値(tsmax)と代表最小値(tsmi
    n)の比(Rt=tsmax/tsmin)及びボイ
    ラの起動停止回数(SS)の関数によりき裂発生型材料
    損傷度や余寿命を算出することを特徴とするボイラ伝熱
    管異材継手溶接部の損傷診断法。
  2. 【請求項2】 ボイラの過熱器又は再熱器管のフェライ
    ト系低合金鋼とオーステナイト系ステンレス鋼の異材継
    手溶接部に対して、フェライト系低合金鋼管内面の水
    蒸気酸化スケール厚さの代表最大値(tsmax)又は
    前記最大値(tsmax)と等価な温度−時間数値、
    フェライト系低合金鋼管内面の水蒸気酸化スケール厚さ
    の代表最大値(tsmax)と代表最小値(tsmi
    n)の比(Rt=tsmax/tsmin)及びボイ
    ラの起動停止回数(SS)のべき乗の積からなる関数
    (=α×tsmaxβ×Rtγ×SSδ)によりき裂発
    生型材料損傷度や余寿命を算出することを特徴とするボ
    イラ伝熱管異材継手溶接部の損傷診断法。
  3. 【請求項3】 ボイラの過熱器又は再熱器管のフェライ
    ト系低合金鋼とオーステナイト系ステンレス鋼の異材溶
    接部のき裂発生型材料損傷を診断したり余寿命を評価す
    る損傷診断法において、フェライト系低合金鋼側の管内
    面水蒸気酸化スケール厚さ測定装置及び異材継手溶接部
    の損傷及び余寿命診断装置により、オンライン又はオフ
    ラインによりき裂発生型材料損傷度や余寿命を算出した
    り、診断結果を表示することを特徴とするボイラ伝熱管
    異材継手溶接部の損傷診断法。
  4. 【請求項4】 ボイラの過熱器又は再熱器管のフェライ
    ト系低合金鋼とオーステナイト系ステンレス鋼の異材継
    手溶接部に対して、フェライト系低合金鋼管内面の水蒸
    気酸化スケール厚さの測定器と、該測定器で得られる
    フェライト系低合金鋼管内面の水蒸気酸化スケール厚さ
    の代表最大値(tsmax)又は前記最大値(tsma
    x)と等価な温度−時間数値、フェライト系低合金鋼
    管内面の水蒸気酸化スケール厚さの代表最大値(tsm
    ax)と代表最小値(tsmin)の比(Rt=tsm
    ax/tsmin)及びボイラの起動停止回数(S
    S)の関数によりき裂発生型材料損傷度や余寿命を算出
    する演算器を備えたことを特徴とするボイラ伝熱管異材
    継手溶接部の損傷診断装置。
  5. 【請求項5】 ボイラの過熱器又は再熱器管のフェライ
    ト系低合金鋼とオーステナイト系ステンレス鋼の異材継
    手溶接部に対して、フェライト系低合金鋼管内面の水蒸
    気酸化スケール厚さの測定器と、該測定器で得られる
    フェライト系低合金鋼管内面の水蒸気酸化スケール厚さ
    の代表最大値(tsmax)又は前記最大値(tsma
    x)と等価な温度−時間数値、フェライト系低合金鋼
    管内面の水蒸気酸化スケール厚さの代表最大値(tsm
    ax)と代表最小値(tsmin)の比(Rt=tsm
    ax/tsmin)及びボイラの起動停止回数(S
    S)のべき乗の積からなる関数(=α×tsmaxβ×
    Rtγ×SSδ)によりき裂発生型材料損傷度や余寿命
    を算出する演算器を備えたことを特徴とするボイラ伝熱
    管異材継手溶接部の損傷診断装置。
JP2001278198A 2001-09-13 2001-09-13 ボイラ伝熱管異材継手溶接部の損傷診断法と装置 Pending JP2003090506A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001278198A JP2003090506A (ja) 2001-09-13 2001-09-13 ボイラ伝熱管異材継手溶接部の損傷診断法と装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001278198A JP2003090506A (ja) 2001-09-13 2001-09-13 ボイラ伝熱管異材継手溶接部の損傷診断法と装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003090506A true JP2003090506A (ja) 2003-03-28

Family

ID=19102606

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001278198A Pending JP2003090506A (ja) 2001-09-13 2001-09-13 ボイラ伝熱管異材継手溶接部の損傷診断法と装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003090506A (ja)

Cited By (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003149366A (ja) * 2001-11-19 2003-05-21 Japan Nuclear Cycle Development Inst States Of Projects 溶接継手付きラッパ管及びその製造方法
JP2004034940A (ja) * 2002-07-08 2004-02-05 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 舶用ボイラの過熱管取付け方法、過熱器構造、及び過熱管
JP2009139137A (ja) * 2007-12-04 2009-06-25 Babcock Hitachi Kk ボイラ用炭素鋼及びMo鋼の黒鉛化損傷診断法
JP2010017610A (ja) * 2008-07-08 2010-01-28 Ihi Corp 粉砕ミルの設計強度評価方法
JP2010160028A (ja) * 2009-01-07 2010-07-22 Toshiba Corp 異材継手部の破壊強度評価方法
JP2011064381A (ja) * 2009-09-16 2011-03-31 Babcock Hitachi Kk ボイラ伝熱管のメタル温度推定方法ならびに寿命推定方法
JP2013122085A (ja) * 2011-10-21 2013-06-20 Hitachi Power Europe Gmbh 蒸気発生器の組み立てられた管壁において応力低減をもたらすための方法
JP2013542077A (ja) * 2010-10-01 2013-11-21 ローズマウント インコーポレイテッド 溶接プロセスで使用するための試験ブロックおよび製造ワークピース上の溶接プロセスを認定する方法
CN103499438A (zh) * 2013-09-25 2014-01-08 南京工业大学 基于剩余寿命的材质适应性评价方法
CN104907717A (zh) * 2014-03-14 2015-09-16 阿尔斯通技术有限公司 用于焊接导管连接以用于高温应用的工艺
JP2015190950A (ja) * 2014-03-28 2015-11-02 三菱日立パワーシステムズ株式会社 寿命評価方法及び寿命評価装置
JP2016153754A (ja) * 2015-02-20 2016-08-25 三菱日立パワーシステムズ株式会社 溶接部の温度推定方法
CN108548171A (zh) * 2018-04-24 2018-09-18 华电电力科学研究院有限公司 用于消除锅炉高温受热面u型管弯头处氧化皮堵塞的装置及方法
JP2018169253A (ja) * 2017-03-29 2018-11-01 三菱日立パワーシステムズ株式会社 溶接継手の破壊再現方法、溶接継手の寿命予測方法、溶接継手の破壊再現装置及び溶接継手の寿命予測装置
JP2019138856A (ja) * 2018-02-14 2019-08-22 三菱重工業株式会社 損傷状態判定装置、損傷状態判定方法、プログラム
JP2021004787A (ja) * 2019-06-26 2021-01-14 三菱パワー株式会社 損傷リスク評価方法、システムの保守管理方法およびリスク評価装置
CN112326658A (zh) * 2020-10-30 2021-02-05 西安热工研究院有限公司 一种锅炉管计算当量温度时确认参数的方法
JP2021110039A (ja) * 2019-12-30 2021-08-02 武▲漢▼大学 超臨界高温蒸気におけるマルテンサイト耐熱鋼の酸化膜の厚さの計算方法
CN113930250A (zh) * 2021-10-15 2022-01-14 包头钢铁(集团)有限责任公司 一种预防干熄焦锅炉过热器损坏的方法

Cited By (24)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003149366A (ja) * 2001-11-19 2003-05-21 Japan Nuclear Cycle Development Inst States Of Projects 溶接継手付きラッパ管及びその製造方法
JP2004034940A (ja) * 2002-07-08 2004-02-05 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 舶用ボイラの過熱管取付け方法、過熱器構造、及び過熱管
JP2009139137A (ja) * 2007-12-04 2009-06-25 Babcock Hitachi Kk ボイラ用炭素鋼及びMo鋼の黒鉛化損傷診断法
JP2010017610A (ja) * 2008-07-08 2010-01-28 Ihi Corp 粉砕ミルの設計強度評価方法
JP2010160028A (ja) * 2009-01-07 2010-07-22 Toshiba Corp 異材継手部の破壊強度評価方法
JP2011064381A (ja) * 2009-09-16 2011-03-31 Babcock Hitachi Kk ボイラ伝熱管のメタル温度推定方法ならびに寿命推定方法
JP2013542077A (ja) * 2010-10-01 2013-11-21 ローズマウント インコーポレイテッド 溶接プロセスで使用するための試験ブロックおよび製造ワークピース上の溶接プロセスを認定する方法
US10273551B2 (en) 2011-10-21 2019-04-30 Mitsubishi Hitachi Power Systems Europe Gmbh Method for generating a stress reduction in erected tube walls of a steam generator
JP2013122085A (ja) * 2011-10-21 2013-06-20 Hitachi Power Europe Gmbh 蒸気発生器の組み立てられた管壁において応力低減をもたらすための方法
CN103499438A (zh) * 2013-09-25 2014-01-08 南京工业大学 基于剩余寿命的材质适应性评价方法
CN104907717A (zh) * 2014-03-14 2015-09-16 阿尔斯通技术有限公司 用于焊接导管连接以用于高温应用的工艺
JP2015190950A (ja) * 2014-03-28 2015-11-02 三菱日立パワーシステムズ株式会社 寿命評価方法及び寿命評価装置
JP2016153754A (ja) * 2015-02-20 2016-08-25 三菱日立パワーシステムズ株式会社 溶接部の温度推定方法
JP2018169253A (ja) * 2017-03-29 2018-11-01 三菱日立パワーシステムズ株式会社 溶接継手の破壊再現方法、溶接継手の寿命予測方法、溶接継手の破壊再現装置及び溶接継手の寿命予測装置
US11378526B2 (en) 2018-02-14 2022-07-05 Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. Faulted condition determination device and faulted condition determination method
JP2019138856A (ja) * 2018-02-14 2019-08-22 三菱重工業株式会社 損傷状態判定装置、損傷状態判定方法、プログラム
CN110161060A (zh) * 2018-02-14 2019-08-23 三菱重工业株式会社 损伤状态判定装置和损伤状态判定方法
CN110161060B (zh) * 2018-02-14 2022-07-29 三菱重工业株式会社 损伤状态判定装置、损伤状态判定方法以及记录介质
CN108548171A (zh) * 2018-04-24 2018-09-18 华电电力科学研究院有限公司 用于消除锅炉高温受热面u型管弯头处氧化皮堵塞的装置及方法
JP2021004787A (ja) * 2019-06-26 2021-01-14 三菱パワー株式会社 損傷リスク評価方法、システムの保守管理方法およびリスク評価装置
JP2021110039A (ja) * 2019-12-30 2021-08-02 武▲漢▼大学 超臨界高温蒸気におけるマルテンサイト耐熱鋼の酸化膜の厚さの計算方法
JP7161656B2 (ja) 2019-12-30 2022-10-27 武▲漢▼大学 超臨界高温蒸気におけるマルテンサイト耐熱鋼の酸化膜の厚さの計算方法
CN112326658A (zh) * 2020-10-30 2021-02-05 西安热工研究院有限公司 一种锅炉管计算当量温度时确认参数的方法
CN113930250A (zh) * 2021-10-15 2022-01-14 包头钢铁(集团)有限责任公司 一种预防干熄焦锅炉过热器损坏的方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2003090506A (ja) ボイラ伝熱管異材継手溶接部の損傷診断法と装置
CN101013067A (zh) 高温炉管剩余寿命评估方法及装置
KR20140043160A (ko) 손상 평가 방법 및 유지 보수 평가 지표의 책정 방법
JP5276497B2 (ja) 配管溶接部の寿命評価方法
JP2015188928A (ja) 寿命評価方法及び寿命評価装置
WO2019159940A1 (ja) プラントの検査方法
JP6254033B2 (ja) 寿命評価方法及び寿命評価装置
JP3652418B2 (ja) ボイラ水壁管の腐食疲労損傷診断予測方法
JP2003106947A (ja) クリープ余寿命評価方法
JP4464548B2 (ja) 金属部材の表面き裂深さ解析方法
JP3458271B2 (ja) 伝熱管の余寿命評価装置
JP3332971B2 (ja) フェライト系耐熱鋼の劣化診断方法
JP5492057B2 (ja) 耐熱鋼溶接部の損傷予測方法
Kapayeva et al. Ultrasonic evaluation of the combined effect of corrosion and overheating in grade 20 steel water-wall boiler tubes
Bulatovic et al. Failure of steam line causes determined by NDT testing in power and heating plants
JP2008032480A (ja) 耐熱鋼の損傷評価方法及びその装置
JP2014145657A (ja) 金属部材の寿命評価方法及び寿命評価装置
JP2000234986A (ja) 亀裂進展評価システムと方法
JP2013228119A (ja) ボイラ伝熱管の亀裂損傷の診断方法および診断装置
JPH0875107A (ja) 高温耐圧部の寿命評価法
JP2965716B2 (ja) 配管寿命診断法
Middleton et al. The integrity of materials in high temperature components; performance and life assessment
Tonti Residual life evaluation techniques, defect assessment procedures and monitoring in coal power plants
JP2002286444A (ja) 高温配管の亀裂検出方法
RU2585796C1 (ru) Способ контроля качества изделий