JP2003090429A - ロックアップクラッチの制御装置 - Google Patents

ロックアップクラッチの制御装置

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JP2003090429A
JP2003090429A JP2001279196A JP2001279196A JP2003090429A JP 2003090429 A JP2003090429 A JP 2003090429A JP 2001279196 A JP2001279196 A JP 2001279196A JP 2001279196 A JP2001279196 A JP 2001279196A JP 2003090429 A JP2003090429 A JP 2003090429A
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clutch
learning
control
speed
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Mitsukazu Tasaka
満一 田坂
Shinya Kamata
真也 鎌田
Kenji Sawa
研司 澤
Shoji Imai
祥二 今井
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロックアップクラッチが締結状態にあるとき
のシフトアップ変速時において、ロックアップクラッチ
を解放する場合に、エンジン回転が吹き上がったり、落
ち込んだりすることを防止し、これによるショックや運
転者の違和感を防止する。 【解決手段】 コントロールユニット100は、ロック
アップクラッチ26が締結された状態においてシフトア
ップ変速が生じることを判定したときにロックアップク
ラッチ26を解放状態に制御する。コントロールユニッ
ト100は、該解放時に、該解放によるエンジン回転数
の上昇及び上記シフトアップ変速によるエンジン回転数
の減少が生じないように、該解放によりエンジン回転数
が上昇したときの上昇量と、上記シフトアップ変速によ
りエンジン回転数が減少したときの減少量とに基づい
て、デューティソレノイドバルブ84のデューティ率D
1を学習する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、変速歯車機構と共
に自動変速機を構成するトルクコンバータに備えられる
ロックアップクラッチの制御装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】一般に、車両に搭載される自動変速機
は、変速歯車機構の動力伝達経路をクラッチやブレーキ
等の複数の摩擦締結要素の選択的作動により切り換えて
所定の変速段に自動的に変速するように構成されたもの
であるが、エンジンと変速歯車機構との間に介設される
トルクコンバータに、エンジン側の入力軸と自動変速機
側の出力軸とを連結・分断するロックアップクラッチが
備えられることがある。このロックアップクラッチは車
速やエンジン負荷(例えばスロットル開度で代表され
る)等の車両の運転状態に応じて予め設定された制御特
性に従ってその締結状態が制御される。
【0003】例えば、高負荷領域や低回転領域ではロッ
クアップクラッチは完全に解放され(コンバータ状
態)、トルク増大作用やショック・振動抑制作用等が発
揮される。また、低負荷領域や高回転領域ではロックア
ップクラッチは完全に締結され(ロックアップ状態)、
燃費の向上が図られる。また、低負荷低速領域等の所定
の領域では、ロックアップクラッチの入力部材と出力部
材とが所定の相対回転数でスリップする状態で締結され
(スリップ状態)、良好な燃費性能を確保しながら振動
を吸収することができる。
【0004】また、ロックアップ状態において変速が生
じるときには、ロックアップクラッチを解放してスリッ
プ状態あるいはコンバータ状態とすることがある。すな
わち、ロックアップクラッチが締結されたままで、すな
わちエンジンの出力軸と変速歯車機構の入力軸とが機械
的に連結されたままで変速されると、変速時のトルク変
動により大きな変速ショックが生じるので、ロックアッ
プクラッチを解放することでこの変速ショックを防止す
るのである。
【0005】この技術の例として、特公昭63−210
63号公報に、変速時には変速機の摩擦締結要素を作動
させる油圧が上昇あるいは低下する方向に変化すること
を利用して、その油圧が立ち上がる間の一時期だけロッ
クアップクラッチの解放側油室に所定油圧を作用させ、
これによりロックアップクラッチを一時的に解放させる
技術が開示されている。
【0006】その場合に、この技術によれば、変速機の
摩擦締結要素を作動させる油圧が立ち上がり始めたばか
りの段階、すなわち摩擦締結要素がまだほとんど機能し
ておらず、変速歯車機構の切替えまではまだ時間を要す
る段階でロックアップクラッチを解放させるので、エン
ジンはその負荷が急速に減少することととなって回転数
が上昇することとなる。その後、摩擦締結要素が機能し
て変速歯車機構の切替え(シフトアップ変速)が始まる
と、変速歯車機構の入力軸、すなわちこの入力軸に連結
されたトルクコンバータのタービン軸の回転数が低下す
ることで、エンジン回転数も低下することとなる。この
現象は、運転者に、エンジン回転数が一時急上昇する吹
き上がりが生じたと感じさせ、違和感を与える原因とな
っている。
【0007】この吹き上がりを抑制する技術として、特
開平8−159272号公報に、変速時には変速機の摩
擦締結要素を選択的に作動させる油圧が変化することを
利用する技術が開示されている。上記公報に記載の変速
機においては、摩擦締結要素の一つを制御する油圧が3
速では供給されるが4速では供給されないこと、すなわ
ち、3速から4速へのシフトアップ変速時には、この油
圧(以下「3速用油圧」という)が徐々に低下していく
ことを利用している。そして、3速用油圧の変化を、油
圧変化により作動するタイミング弁で検出して、3速用
油圧が第1の値に低下したときから第1の値よりも小さ
い第2の値に低下する間の期間だけ、ロックアップクラ
ッチの締結側油室の油圧を所定割合だけ低下させてい
る。あるいは解放側油室に締結側油室の油圧より所定割
合だけ低い油圧を供給している。すなわち、ロックアッ
プクラッチを確実に変速が進行した段階で一時的に滑ら
せてその伝達トルクを一時的に減少させているのであ
る。これにより、変速ショックを吸収しつつ、エンジン
の吹き上がりが防止される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般に
作動油はその油温が変化すると粘度も変化するから、流
動速度が変化してしまう。すなわち、前述の3速用油圧
の低下速度が油温により変化してしまうから、ロックア
ップクラッチに油圧を供給するタイミングが変動してし
まうのである。例えば、油温が高いときには、油圧が低
下するのが早くなり、この結果、ロックアップクラッチ
の解放動作が早くなって、吹き上がり等のエンジン回転
の上昇が生じ易くなる。一方、油温が低いときには、油
圧が低下するのが遅くなり、この結果、ロックアップク
ラッチの解放動作が遅くなって、タービン回転数の低下
にひきずられるようにエンジン回転数の落ち込みが生じ
易くなる。つまり、ロックアップクラッチのおかれた環
境によりロックアップクラッチの解放タイミングが変動
するため、エンジン回転の吹き上がりを安定的に解消す
ることが困難となるのである。
【0009】そこで、本発明は、ロックアップクラッチ
が締結状態にあるときのシフトアップ変速時において、
変速ショックの吸収を目的としてロックアップクラッチ
を解放する場合に、エンジン回転が吹き上がったり、落
ち込んだりすることを防止し、これにより、エンジン回
転の変動によるショックや運転者の違和感の発生をも防
止することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本願の請求項
1に記載の発明は、エンジンと変速歯車機構との間に介
設されたトルクコンバータの入出力軸間に設けられたロ
ックアップクラッチの制御装置であって、該ロックアッ
プクラッチの締結状態を制御する締結状態制御手段と、
当該車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、該
走行状態検出手段によって検出された走行状態に応じて
上記ロックアップクラッチの状態を制御すると共に、ロ
ックアップ状態で行なわれる所定のシフトアップ変速時
に該クラッチを解放側に移行させるように上記締結状態
制御手段を制御するロックアップ制御手段と、上記所定
シフトアップ変速時においてロックアップクラッチをロ
ックアップ状態から解放側に移行させるときにエンジン
回転数の上昇及び上記シフトアップ変速によるエンジン
回転数の減少が生じないように、該解放によりエンジン
回転数が上昇したときの上昇量と、上記シフトアップ変
速によりエンジン回転数が減少したときの減少量とに基
づいて、上記締結状態制御手段に対するロックアップ制
御手段の制御量を学習する学習手段とが備えられている
ことを特徴とする。
【0011】この発明によれば、ロックアップ状態で行
なわれる所定のシフトアップ変速時には、上記締結状態
制御手段に対するロックアップ制御手段の制御量に基づ
いて、ロックアップクラッチが解放側に移行することと
なる。
【0012】その場合に、該制御量は、上記解放による
エンジン回転数の上昇及び上記所定シフトアップ変速に
よるエンジン回転数の減少が生じないように学習された
ものであるから、該解放によるエンジン回転数の上昇及
び上記シフトアップ変速によるエンジン回転数の減少が
生じないのに加えて、この良好な状態を安定して維持で
きる。これにより、エンジン回転の吹き上がりや落ち込
みに伴うショック及び運転者の違和感を安定して解消す
ることができる。
【0013】加えて、上記制御量は、ロックアップクラ
ッチが解放されてエンジン回転数の上昇が生じたときの
上昇量と、上記シフトアップ変速によりエンジン回転数
の減少が生じたときの減少量とに基づいて、すなわち、
ロックアップクラッチが実際におかれた環境条件で生じ
た結果に基づいて学習されるので、環境条件が変化して
も、例えばロックアップクラッチの作動油等の温度が変
化しても、安定した制御を行なうことができる。さら
に、構成機器類に経年変化が生じても、実際に生じた結
果に基づいて学習を行って変化に追従するので、常に安
定した制御を維持することができる。
【0014】次に、請求項2に記載の発明は、上記請求
項1に記載の発明において、スロットル開度を検出する
スロットル開度検出手段が備えられ、変速指令が発生し
たときのスロットル開度とその後変速が終了するまでの
スロットル開度との偏差が所定値以上大きい場合には、
学習を禁止する学習禁止手段が備えられていることを特
徴とする。
【0015】この発明によれば、変速指令が発生したと
きのスロットル開度とその後変速が終了するまでのスロ
ットル開度との偏差が所定値以上大きい場合、例えばア
クセルペダル操作のばたつき等でスロットル開度が増減
変化した場合の誤学習が防止される。つまり、アクセル
ペダル操作のばたつき等が生じているときは、安定した
運転状態とはいえないから、そのデータは採用するに足
りないと判断して、誤学習を防止するために、学習その
ものを禁止するようにしたのである。
【0016】次に、請求項3に記載の発明は、上記請求
項1または請求項2に記載の発明において、変速中のト
ルクコンバータのタービン回転数が変速開始直前のター
ビン回転数より所定値以上大きい場合には、学習を禁止
する第2の学習禁止手段が備えられていることを特徴と
する。
【0017】この発明によれば、変速中のトルクコンバ
ータのタービン回転数が変速開始直前のタービン回転数
より所定値以上大きくなった場合、例えば変速機の変速
異常等が発生した場合の誤学習が防止される。一般に、
シフトアップ変速時には、変速中のタービン回転数は、
変速前のタービン回転数よりも小さくなるが、それにも
かかわらず変速中にタービン回転数が所定値以上上昇す
るのは、変速異常が発生した可能性が高い。そこで、異
常状態と考えられるときの値は採用するに足りないか
ら、誤学習を防止するために、学習そのものを禁止する
ようにしたのである。
【0018】そして、請求項4に記載の発明は、上記請
求項1から請求項3に記載のいずれかの発明において、
エンジンが非駆動状態の場合には、学習を禁止する第3
の学習禁止手段が備えられていることを特徴とする。
【0019】この発明によれば、エンジンが非駆動状態
の場合、すなわちスロットル開度が全閉もしくは所定値
以下の状態の場合の誤学習を防止できる。すなわち、ス
ロットル開度が全閉もしくは所定値以下の状態の場合に
は、エンジン回転が吹き上がるという現象が生じにく
く、期待されないから、そのような吹き上がり量(上昇
量)に基づいて行なう学習そのものを禁止するようにし
たのである。
【0020】
【発明の実施の形態】[全体構成]図1に示すように、
本実施の形態に係る自動変速機10は、トルクコンバー
タ20と2つの遊星歯車機構30,40とを有する。ト
ルクコンバータ20はエンジン1の出力をエンジン出力
軸(トルクコンバータ20の入力軸)2を介して入力
し、タービン軸(トルクコンバータ20の出力軸)27
を介して遊星歯車機構30,40に出力する。トルクコ
ンバータ20の反エンジン側に配置されたオイルポンプ
12はコンバータケース21及びポンプ22を介してエ
ンジン出力軸2により駆動される。
【0021】タービン軸27と第1遊星歯車機構30の
サンギヤ31との間にフォワードクラッチ51が、ター
ビン軸27と第2遊星歯車機構40のサンギヤ41との
間にリバースクラッチ52が、タービン軸27と第2遊
星歯車機構40のピニオンキャリヤ42との間に3−4
クラッチ53が備えられている。2−4ブレーキ54は
第2遊星歯車機構40のサンギヤ41を固定する。第1
遊星歯車機構30のリングギヤ33と第2遊星歯車機構
40のピニオンキャリヤ42とが連結され、これらと変
速機ケース11との間にローリバースブレーキ55とワ
ンウェイクラッチ56とが並列に配置されている。第1
遊星歯車機構30のピニオンキャリヤ32と第2遊星歯
車機構40のリングギヤ43とが連結され、これらに出
力ギヤ13が接続されている。出力ギヤ13の回転は2
つのアイドルギヤ14,15及びデファレンシャル装置
60の入力ギヤ61を介して左右の駆動軸62,63に
伝達される。
【0022】上記各締結要素51〜56を選択的に作動
させることにより遊星歯車機構30,40の動力伝達経
路が切り換わり、Dレンジの1〜4速、Sレンジの1〜
3速、Lレンジの1〜2速、及びRレンジの後退速が達
成される。表1に締結要素51〜56の作動状態と変速
段との関係を示す。
【0023】
【表1】
【0024】[ロックアップクラッチ]図2に示すよう
に、トルクコンバータ20は、エンジン出力軸2に連結
されたコンバータケース21を有する。コンバータケー
ス21にポンプ22が固設され、該ポンプ22に対向し
てタービン23が配置されている。タービン23はポン
プ22により作動油を介して駆動される。ポンプ22と
タービン23との間にトルク増大機能を有するステータ
25が備えられている。ステータ25は変速機ケース1
1にワンウェイクラッチ24を介して支持されている。
タービン23の基部23aがタービン軸27にスプライ
ン結合され、タービン23の回転がタービン軸27を介
して遊星歯車機構30,40に出力される。
【0025】タービン23の基部23aにロックアップ
クラッチ26のピストン26pが組み付けられ、タービ
ン23及びタービン軸27と一体回転する。ピストン2
6pはコンバータケース21の内部空間をフロント室
(解放用油圧室)26aとリア室(締結用油圧室)26
bとに区画する。ピストン26pはリヤ室26bに供給
される締結用油圧によりコンバータケース21に押し付
けられ、入力軸2と出力軸27とを連結(直結)する。
一方、ピストン26pはフロント室26aに供給される
解放用油圧によりコンバータケース21から離間され、
入力軸2と出力軸27とを分断する。
【0026】[油圧制御回路]図2に示すように、この
自動変速機10の油圧制御回路80には、上記フロント
室26a及びリヤ室26bへの油圧の給排を制御するロ
ックアップコントロールバルブ81が備えられている。
このバルブ81には、一定圧に調整されたコンバータ圧
が供給されるコンバータ圧ライン82と、ロックアップ
クラッチ制御用デューティソレノイドバルブ(DSV)
84で生成された制御油圧が供給される制御油圧ライン
83と、フロント室26aに通じる解放用油圧ライン8
5と、リヤ室26bに通じる締結用油圧ライン86とが
接続されている。
【0027】パイロット圧ライン87には、該パイロッ
ト圧ライン87へのパイロット圧の供給をON−OFF
するON−OFFソレノイドバルブ88が接続されてい
る。該バルブ88がOFF状態とされて、パイロット圧
が供給されていないときは、ロックアップコントロール
バルブ81のスプール81aがスプリング81bの付勢
力により図面において右側に位置し、コンバータ圧ライ
ン82と解放用油圧ライン85とが連通して、コンバー
タ圧が解放用油圧となってフロント室26aに供給され
る。これによりロックアップクラッチ26が完全解放さ
れたコンバータ状態が実現する。
【0028】これに対し、ON−OFFソレノイドバル
ブ88がON状態とされて、パイロット圧ライン87に
パイロット圧が供給されたときには、ロックアップコン
トロールバルブ81のスプール81aがスプリング81
bの付勢力に抗して図示したように左側に位置し、コン
バータ圧ライン82と締結用油圧ライン86とが連通し
て、コンバータ圧が締結用油圧となってリヤ室26bに
供給される。これによりロックアップクラッチ26が完
全締結されたロックアップ状態が実現する。
【0029】このとき同時に、制御油圧ライン83と解
放用油圧ライン85とが連通して、制御油圧が解放用油
圧Prとなってフロント室26aに供給される。これに
よりロックアップクラッチ26の締結力をDSV84に
対するデューティ率(1ON−OFF周期におけるON
時間の比率)に応じて制御することのできるスリップ状
態が実現する。
【0030】なお、この実施の形態では、デューティ率
が小さくなるほどDSV84が生成する制御油圧Prが
高くなってロックアップクラッチ26の締結力が減少す
る。また、デューティ率が大きくなるほどDSV84が
生成する制御油圧Prが低くなってロックアップクラッ
チ26の締結力が増大する。そこで、ON−OFFソレ
ノイドバルブ88をONとしてパイロット圧ライン87
にパイロット圧を供給したままとし、ロックアップコン
トロールバルブ81のスプール81aを左側に位置させ
た状態で、デューティ率を増減制御することにより、ロ
ックアップクラッチ26をコンバータ状態(デューティ
率小側:解放用油圧Pr高)、ロックアップ状態(デュ
ーティ率大側:解放用油圧Pr低)、及びスリップ状態
に切り換える。なお、デューティ率と解放用油圧Pr
(ロックアップクラッチ26の締結力)との関係が上記
と逆であってもこれに準じて同様の制御が行なえる。
【0031】[制御システム]図3に示すように、この
自動変速機10のコントロールユニット100は、車速
を検出する車速センサ101からの信号、エンジンのス
ロットル開度を検出するスロットル開度センサ102か
らの信号、エンジン回転(トルクコンバータ20の入力
回転)を検出するエンジン回転センサ103からの信
号、タービン回転(トルクコンバータ20の出力回転)
を検出するタービン回転センサ104からの信号、作動
油の温度を検出する油温センサ105からの信号、運転
者により選択されているレンジを検出するレンジスイッ
チ106からの信号、アクセルペダルの踏込み解除を検
出するアイドルスイッチ107からの信号、及びブレー
キペダルの踏込みを検出するブレーキスイッチ108か
らの信号等を入力する。
【0032】コントロールユニット100は、図4に示
すように、車速とスロットル開度とに応じて予め設定さ
れた制御特性に従って目標変速段を設定し、その目標変
速段が達成されるように、油圧制御回路80に備えられ
た複数の変速制御用ソレノイドバルブ109…109
(図3参照)に制御信号を出力する。変速制御用ソレノ
イドバルブ109…109は該制御信号を受けて油圧制
御回路80の油路を切り換えたり各摩擦要素51〜55
に供給する制御油圧を生成する。
【0033】コントロールユニット100は、同じく図
4に示すように、車速とスロットル開度とに応じて予め
設定された制御特性に従ってロックアップクラッチ26
の締結状態を制御する。すなわち、相対的に低負荷・高
回転領域は4速ロックアップ(L/U)領域及び3速ロ
ックアップ領域に設定されている。車両の運転状態が、
このロックアップ領域にある間は、ロックアップクラッ
チ制御用DSV84に対するデューティ率を大きくして
ロックアップクラッチ26を完全締結状態とする。ま
た、相対的に高負荷・低回転領域はコンバータ領域に設
定されている。車両の運転状態が、このコンバータ領域
にある間は、ON−OFFソレノイドバルブ88をON
とした状態でロックアップクラッチ制御用DSV84に
対するデューティ率を小さくしてロックアップクラッチ
26を完全解放状態とする。あるいは、ロックアップク
ラッチ制御用DSV84へのデューティ率に拘らず、O
N−OFFソレノイドバルブ88をOFFとしてロック
アップクラッチ26を確実に解放状態としてもよい。
【0034】車両の運転状態が、例えば3速ロックアッ
プ領域にあるときに、符号アで示すように、パワーオン
状態でアクセルペダルが踏み込まれて、スロットル開度
があまり変わらないまま車速が上昇して、3−4シフト
アップ変速が生じる場合には、ロックアップクラッチ制
御用DSV84に対するデューティ率を小さくしてロッ
クアップクラッチ26を解放状態とする(シフトアップ
変速時解放制御)。このシフトアップ変速時解放制御に
より、エンジン回転の吹き上がりや落ち込みを防止する
ことができると共に、これに伴うショックや運転者が受
ける違和感を防止することができる。
【0035】[シフトアップ変速時解放制御]次に、本
発明の特徴部分を構成する上記のシフトアップ変速時解
放制御の概要について説明すると、該シフトアップ変速
時解放制御は、図4の符号アで示すように、低スロット
ル状態で徐々に車速が上昇して、3速ロックアップ領域
から、4速非ロックアップ領域に移行するときを対象と
し、そのままさらに低スロットル状態で徐々に車速が上
昇した場合に、安定して4速ロックアップ領域に移行で
きるようにするものである。すなわち、仮に3速ロック
アップ領域と4速ロックアップ領域とが連続し、この2
つの領域をアップシフト方向に移行するときにロックア
ップクラッチが一時的に解放されるような制御である
と、ロックアップクラッチを一時的に解放しても、変速
後すぐにロックアップクラッチが再締結し、この結果、
エンジン回転が低下してこれに伴うショックや違和感、
またはこもり音が生じることとなる。
【0036】そこで、本実施の形態では、3速ロックア
ップ領域と4速ロックアップ領域との間に4速非ロック
アップ領域を設けることにより、3速ロックアップ領域
から4速非ロックアップ領域への移行時に、エンジン回
転に大きな変動が生じないようにさせ、その後しばらく
してからゆるやかに4速ロックアップ領域に移行させる
ことで、該移行時のショックを吸収して違和感を生じさ
せないようにさせ、これにより3速ロップアップ領域か
ら4速ロックアップ領域への移行をなめらかにショック
を発生させずに移行させることを想定したものである。
そして、本実施の形態は、上記移行のうち、3速ロック
アップ領域から4速非ロックアップ領域への移行につい
て説明するものであり、該移行時のエンジン回転数が大
きく変動しないようにすることを目的とするものであ
る。
【0037】なお、本実施の形態では、前述の通り、3
速から4速への移行時について説明するが、例えば、2
速から3速への移行や、4速から5速への移行等、ロッ
クアップ領域を有する領域間をシフトアップ変速で移行
する場合に、幅広く適用できることはいうまでもない。
【0038】以下、本実施の形態に係るロックアップク
ラッチ26のシフトアップ変速時解放制御について詳し
く説明する。
【0039】この制御は、本質的に、ロックアップクラ
ッチ制御用DSV84に対するデューティ率(DUT
Y)の制御であり、該デューティ率制御を介してロック
アップクラッチ26の締結力を制御して該クラッチ26
をロックアップ状態から解放状態に移行させる。
【0040】図4、図5に示すように、3速ロックアッ
プ状態にあるときにスロットル開度があまり変わらない
状態で車速が上昇していって、時刻t1に、4速非ロッ
クアップ領域に移行すると、自動変速機10の3速から
4速へのシフトアップ変速指令と、ロックアップクラッ
チ26の解放指令とが出力される。時刻t1までは、ロ
ックアップクラッチ制御用DSV84に対する初期デュ
ーティ率D0は100%よりも若干低い値で、ロックア
ップクラッチ26は締結された状態である。なお、初期
デューティ率D0を100%としないのは、3速領域に
おいては、アクセルペダル操作に伴ってロックアップク
ラッチ26がスリップ状態もしくは解放状態に移行する
ときに、ショックが発生する虞があるので、これを回避
するためである。
【0041】t1以後は、デューティ率はフィードフォ
ワード制御され、フィードフォワード制御中は、第1、
第2、第3のデューティ率D1,D2,D3の順に制御
される。ここで、第2デューティ率D2は0%、第3デ
ューティ率D3は100%、第1デューティ率D1が本
発明により学習される値で初期デューティ率D0と第2
デューティ率D2との間の中庸の値に設定される。つま
り、第1デューティ率D1では、ロックアップクラッチ
26がスリップするかしないかの微妙なところでバラン
スさせ、第2デューティ率D2では、ロックアップクラ
ッチ26が完全に解放されるように制御するのである。
【0042】このロックアップクラッチ26のシフトア
ップ変速時解放制御の特徴は、シフトアップ変速に伴っ
てロックアップクラッチ26が締結状態から解放状態に
移行する場合、例えば3速ロックアップ状態から4速非
ロックアップ領域に移行する場合に、エンジン回転が吹
き上がりや落ち込みを生じないように、ロックアップク
ラッチ解放時のデューティ率D1を学習して該クラッチ
26の解放を制御することにある。その場合に、このデ
ューティ率D1は、上記吹き上がりや落ち込みが発生し
たときのその量をもとに、これを解消させる方向に学習
されるから、個体差や経年変化はもとより、例えば、温
度条件等の環境条件が変動した場合にでも、その変動し
た条件に対応して緻密に学習補正することができ、これ
により、上記移行時のエンジン回転の変動を環境条件に
よらず安定して解消することができる。この結果、上記
移行時の変速ショックや、これにより運転者が受ける違
和感を解消することができる。以下、フローチャートを
参照してさらに詳しく説明する。
【0043】なお、以下に説明する実施の形態の説明に
おいては、図6のロックアップクラッチ制御用DSV8
4の制御と、図8のON−OFFソレノイドバルブ88
の制御と、図10、図11の上記デューティ率D1の学
習制御と、この学習を禁止する図9の学習禁止制御とが
並列で行なわれるが、コントロールユニットを工夫する
ことで、直列に、あるいは並列と直列を組み合わせて実
行することも可能である。
【0044】〈デューティソレノイドバルブの制御〉図
5、図6に示すように、時刻t1に、ステップS1で、
変速指令を受けると、変速前にロックアップクラッチ2
6が締結した状態(ON)であるかどうかを判定する。
その結果、ONでないときは、ステップS2で、ロック
アップクラッチ制御用DSV84をこの3−4シフトア
ップ変速の制御のために使用して、当該ロックアップク
ラッチ26のデューティ率制御を終了する。つまり、ロ
ックアップクラッチ26が変速前にロックアップ状態で
ないのであるから、そのことを前提とする当該ロックア
ップクラッチ26のデューティ率制御にロックアップク
ラッチ制御用DSV84を用いずに、その代わりに、こ
の実施の形態においてはロックアップクラッチ制御用D
SV84がこの3−4シフトアップ変速の制御のほうに
関与しているので、その変速制御を実行して終わるのあ
る。
【0045】一方、ステップS1で、変速前にロックア
ップクラッチ26がONであると判定されたときは、ス
テップS3で、変速後がロックアップクラッチ26が締
結した状態(ON)であるかどうかを判定する。この結
果、ONであると判定されたときは、本ロックアップク
ラッチ26のシフトアップ変速時解放制御の前提条件に
合致しないので、本制御が終了する。
【0046】一方、ステップS3で、締結していない状
態(OFF)であると判定されたときは、ステップS4
で変速前エンジントルクTq0に応じた学習値Daをメ
モリ内の保存領域から読み取る。該学習値Daは、後述
するが、図13に示すように変速前エンジントルクTq
0[n]により複数領域に(図例では4つの領域a〜d
に)区分して保存されている。また、ステップS5で、
図7に示すマップ1から変速前エンジントルクTq0に
応じたベースデューティ率DT1を読み取る。次いで、
ステップS6で、これらの読み取ったベースデューティ
率DT1に学習値Daを加算して第1デューティ率D1
を算出し、これを出力する。つまり、第1デューティ率
D1は、この学習値Daが常に学習されることで、適正
に学習されるようになっている。
【0047】次いで、ステップS7で、変速のイナーシ
ャフェイズ(変速に伴うタービン回転の変動で検出)が
開始したか否かを判定し、開始したと判定されるまでス
テップS7を繰り返す。そして、ステップS7でイナー
シャフェイズが開始したと判定されたときは、時刻t2
に、ステップS8で、第2デューティ率D2(0%)を
出力する。
【0048】以上により、時刻t1まで初期デューティ
率D0が出力された後、時刻t1〜t2の間、すなわち
変速指令が出力されてからイナーシャフェイズが開始す
るまでの間、第1デューティ率D1が出力されて、ロッ
クアップクラッチ26がスリップするかしないかの状態
とさせ、時刻t2のときに、第2デューティ率D2が出
力されることで、ロックアップクラッチ26を解放さ
せ、これにより、変速時のショックを吸収させるのであ
る。
【0049】〈ON−OFFソレノイドバルブの制御〉
図5、図8に示すように、時刻t1に変速指令を受ける
と、ステップS11で、変速前にロックアップクラッチ
26が締結した状態(ON)であるかどうかを判定す
る。その結果、ONでないときは、前記ステップS2と
同様の理由により、ステップS12に進んで、ON−O
FFソレノイドバルブ88をこの3−4シフトアップ変
速の制御のために使用し、当該制御を終了する。その変
速制御の動作としては、例えば該バルブ88を変速が終
了するまでOFFにして、前記ステップS2で行なわれ
る油圧のドレインを確保する。
【0050】一方、ステップS11で、変速前にロック
アップクラッチ26がONであると判定されたときは、
ステップS13で、ON−OFFソレノイドバルブ88
をON状態に維持する。すなわち、時刻t1にロックア
ップ指令がOFFであっても、上記第1、第2のデュー
ティ率D1,D2で上記ロックアップクラッチ制御用D
SV84の制御を行なうことにより、解放側油圧Prの
制御ができるように維持するのである。次いで、ステッ
プS14で、変速後にロックアップクラッチ26がON
であるかどうかを判定する。この結果、ロックアップク
ラッチ26がONであると判定されたときには、本ロッ
クアップクラッチ26のシフトアップ変速時解放制御の
前提条件に合致しないので、変速指令に対するON−O
FFソレノイドバルブ88の制御を終了する。一方、O
FFであると判定されたときは、ステップS15で変速
制御が終了したかを判定する。そして、ステップS15
では、変速制御が終了したかを繰り返して判定し、時刻
t3に、変速制御終了と判定されたときは、ステップS
16でON−OFFソレノイドバルブ88をOFFにす
る。
【0051】すなわち、時刻t3のときにステップS1
6でON−OFFソレノイドバルブ88をOFFにする
ことによって、リア室26bの油圧を抜く一方でフロン
ト室26aにコンバータ圧を作用させて、ロックアップ
クラッチ26を完全解放状態、すなわちコンバータ状態
に移行させるのである。なお、このとき変速終了後に、
ON−OFFソレノイドバルブ88をOFFとすること
と併せて、DSV84に対するデューティ率D3を10
0%としているが、これは、前記ステップS2でドレイ
ンした油圧をそのまま抜けた状態に維持するためであ
る。つまり、ON−OFFソレノイドバルブ88をOF
Fとすることにより、油圧制御回路の油路が切り換わ
り、DSV84で生成される制御油圧が4速で解放され
る摩擦要素の締結用油圧になるので、そのデューティ率
を最大にして制御油圧を最小にし、これにより上記摩擦
要素の4速での解放を確保しているのである。
【0052】[学習制御]次に、上記ロックアップクラッ
チ26の締結状態を制御する上記第1デューティ率D1
の学習、つまり図6のステップS5で読み取る学習値D
aの更新について説明する。この学習制御の特徴は、シ
フトアップ変速に伴ってロックアップクラッチ26が締
結状態から解放状態に移行する場合、例えば3速ロック
アップ領域から4速非ロックアップ領域に移行する場合
に、エンジン回転が吹き上がりや落ち込みを生じないよ
うに、学習値Daを増減調整することである。つまり、
この学習制御は、3速ロックアップ領域から4速非ロッ
クアップ領域への移行時に、ロックアップクラッチ26
を解放させても、エンジン回転が吹き上がったり、落ち
込んだりしないようにすることを狙いとする。
【0053】そして、この学習制御を適用することによ
り、3速ロックアップ領域から4速非ロックアップ領域
への移行時に、エンジン回転数の吹き上がりや落ち込み
を回避することができるので、これに伴うショックが生
じなくなる。
【0054】加えて、上記デューティ率D1は、後述す
るように、上記ロックアップクラッチ26が解放されて
エンジン回転数の上昇が生じたときの上昇量と、上記シ
フトアップ変速によりエンジン回転数の減少が生じたと
きの減少量とに基づいて、すなわち、ロックアップクラ
ッチ26が実際におかれた環境条件で生じた結果に基づ
いて学習されるので、環境条件が変化しても、例えばロ
ックアップクラッチ26の作動油の温度が変動しても、
常に安定した制御を行なうことができる。さらに、構成
機器類に経年変化が生じても、実際に生じた結果に基づ
いて学習を行って変化に追従するので、常に安定した制
御を維持することができる。
【0055】〈学習禁止制御〉先に、図9を参照して学
習禁止制御を説明する。この制御は、循環して常に実行
されている。ステップS21で、変速指令の発生を判定
された初回に限り、ステップS22で、学習禁止フラグ
F1をリセットした後、ステップS23で変速前のスロ
ットル開度TVO1を記憶する(イニシャライズ)。次
に、ステップS24で、現在のスロットル開度TVOを
読み込み、次いで、ステップS25で、変速前のスロッ
トル開度TV01と現在のスロットル開度TVOとの差
分の絶対値が、所定値α以上と判定されたときはステッ
プS27で学習は禁止される。つまり、例えばアクセル
ペダル操作のばたつき等でスロットル開度が増減変化し
た場合は、安定した運転状態とはいえないから、そのデ
ータは採用するに足りないと判断して、誤学習を防止す
るために、学習そのものを禁止するようにしたのであ
る。
【0056】次に、ステップS26で、現在のスロット
ル開度TVOが所定値β以下と判定されたときにもステ
ップS27で学習は禁止される。すなわち、スロットル
開度が全閉もしくは所定値以下の状態の場合には、エン
ジン回転が吹き上がるという現象が生じにくく、期待さ
れないから、そのような吹き上がり量(上昇量)に基づ
いて行なう学習そのものを禁止するようにしたのであ
る。
【0057】次いで、ステップS28で、変速前の自動
変速機10の出力軸(出力ギア13)の回転数を読み込
んで該回転数から変速前ギヤ比でのタービン回転Nt0
を計算し、また、ステップS29で、現在のタービン回
転Ntを読み込む。
【0058】そして、ステップS30で、上記現タービ
ン回転Ntから変速前タービン回転Nt0を減算した値
が所定値γ以上である場合には学習は禁止される。一般
に、シフトアップ変速時には、変速中のタービン回転数
(Nt)は、変速前のタービン回転数(Nt0)よりも
小さくなるが、それにもかかわらず変速中にタービン回
転数が所定値以上上昇するのは、変速異常が発生した可
能性が高い。そこで、異常状態と考えられるときの値は
採用するに足りないから、誤学習を防止するために、学
習そのものを禁止するのである。
【0059】次に、ステップS31で、作動油の油温が
所定値Θ以下の場合には、学習は禁止される。一般に、
作動油は、その温度が低いと粘性が大きくなって流れに
くくなり、ロックアップクラッチ26の解放タイミング
にばらつきが生じやすくなる。そこで、作動油の油温が
所定値Θ以下の場合には、学習データが信用するに足り
ないものになるから、学習を禁止するようにしたのであ
る。なお、所定値Θ以上の場合には、油温によらず、常
に良好な制御が行なわれることはいうまでもない。
【0060】次いで、前述の通り、ステップS21に戻
って、ステップS21〜S31の処理が繰り返し実行さ
れる。
【0061】〈学習制御〉図10に示すように、時刻t
1に、変速指令を受けると、ステップS41で、変速前
にロックアップクラッチ26が締結した状態(ON)で
あるかどうかを判定する。その結果、ONでないとき
は、本実施の形態の前提条件に合致しないからこの学習
制御を終了し、ONであるときは、ステップS42で、
変速後にロックアップクラッチ26が締結した状態(O
N)であるかどうかを判定する。そして、ONであると
きは、本実施の形態の前提条件に合致しないからこの学
習制御を終了し、ONでないときのみステップS43以
後の学習制御に移行する。
【0062】次いで、ステップS43で、タイマーTm
に所定値をセットする。このタイマーTmは、時刻t4
のときに、0となるようにカウントダウンされる。次い
で、ステップS44で、エンジン回転Ne及びタービン
回転Ntを、それぞれNe0,Nt0として記憶する。
そして、ステップS45で、変速のイナーシャフェイズ
が開始したか否かを判定する。イナーシャフェイズがま
だ開始していないときは、ステップS46で、タイマー
TmをカウントダウンしてステップS44に戻り、ステ
ップS45で、イナーシャフェイズが開始したと判定さ
れるまで、ステップS44〜S46を繰り返す。つま
り、イナーシャフェイズ開始直前のエンジン回転及びタ
ービン回転をそれぞれエンジン回転Ne0、タービン回
転Nt0として記憶するのである。
【0063】一方、ステップS45で、イナーシャフェ
イズが開始したと判定されたときは、ステップS49
で、タイマーTmをカウントダウンして、ステップS5
0でタイマーTmの値が0と判定されるまで、ステップ
S47〜S50の処理を繰り返す。つまり、イナーシャ
フェイズ開始からタイマーTmの値が0となるまでの間
のエンジン回転の最大値をNemaxとしてステップS
47で記憶し、最小値をNeminとしてステップS4
8で記憶するのである。
【0064】次いで、ステップS51で、前述の学習禁
止フラグF1が0であるか否か、すなわち学習禁止状態
となっていないかどうかを判定し、F1が0でない場合
には、学習禁止状態と判定して、学習を中止する一方、
F1が0である場合には、学習可能状態と判定して、ス
テップS52以後に進んで、ステップS52で、現在の
エンジン回転Neを読み込む。
【0065】次いで、ステップS53〜S55で、エン
ジン回転の吹き上がり量ΔN1、例えば図5の鎖線Aで
示すように吹き上がった場合の吹き上がり量を検出す
る。ステップS53で、イナーシャフェイズ開始直前の
タービン回転Nt0が現在のエンジン回転Neより大き
いか否かを判定し、大きい場合には、ステップS54
で、上記吹き上がり量ΔN1としてエンジン回転最大値
Nemaxからイナーシャフェイズ開始直前のタービン
回転Nt0を減算した値を設定し、大きくない場合に
は、エンジン回転最大値Nemaxから現在のエンジン
回転Neを減算した値を設定する。
【0066】ここで、上記ステップS53〜S55で
は、エンジン回転数の吹き上がり量を判定することが目
的にもかかわらず、ステップS53でタービン回転数N
t0とエンジン回転数Neとを比較したのは、イナーシ
ャフェイズ開始直前には、エンジン回転Ne0が既に吹
き上がって、ピークを過ぎていることも有り得て、その
場合には、エンジン回転の吹き上がりを検出できなくな
るため、イナーシャフェイズ開始直前にはまだ変動の少
ないタービン回転数Nt0と比較したのである。
【0067】一方、ステップS56〜S58では、エン
ジン回転の落ち込み量ΔN2、例えば図5の矢印Bで示
す鎖線のように落ち込んだ場合の落ち込み量を検出す
る。ステップS56で、イナーシャフェイズ開始直前の
エンジン回転Ne0が現在のエンジン回転Neより大き
いか否かを判定し、大きい場合には、ステップS57
で、上記落ち込み量ΔN2としてエンジン回転最小値N
eminから現在のエンジン回転Neを減算した値を設
定し、大きくない場合には、ステップS58で、エンジ
ン回転最小値Neminからイナーシャフェイズ開始直
前のエンジン回転Ne0を減算した値を設定する。
【0068】次いで、ステップS59で、上記エンジン
回転の吹き上がり量ΔN1と落込み量ΔN2とを加算し
て、エンジン回転の変動量ΔNを算出する。
【0069】次いで、ステップS60で、上記変動量Δ
Nに応じた学習量Dadをマップaから読み込む。その
場合に、図12に示すように、変動量ΔNがプラスのと
き(エンジン回転が吹き上がったとき)は学習量Dad
をプラスの値とし(第1デューティ率D1を締結側にす
る)、逆に変動量ΔNがマイナスのとき(エンジン回転
が落ち込んだとき)は学習量Dadをマイナスの値とす
る(第1デューティ率D1を解放側にする)。つまり、
吹き上がったときにも、落ち込んだときにも、その量が
減少して矢印Cで示すような変動のないエンジン回転数
となるように学習するのである。
【0070】次いで、ステップS61で、図13に示し
たように、変速前エンジントルクTq0に応じた学習値
Daをメモリから読み取る。ステップS62で、その読
み取った学習値Daに上記の学習量Dadを加算し、こ
の加算後の値を、再び、図13に示したように、変速前
エンジントルクTq0に応じた学習値Daにより区切ら
れた学習値保存領域a〜dに格納する。つまり、デュー
ティ率の学習値Daを更新する。また、変速前エンジン
トルクTq0の値によって、変速時のエンジン回転数の
変動状態に大きな差が生じるから、学習値Daをより緻
密に適正化するために、変速前エンジントルクTq0
[n]毎に区分して学習をするようにしたのである。これ
によりなお一層の学習精度の向上が図られる。
【0071】なお、上記の実施の形態では、変速前後で
ロックアップクラッチが締結状態から解放状態に移行さ
れる3−4変速を例に説明したが、これに限らず、変速
前後でいずれもロックアップクラッチが締結状態とされ
る変速において、該変速動作中に本発明を適用してよい
ことはいうまでもない。
【0072】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、ロック
アップクラッチが締結状態にあるときのシフトアップ変
速時において、変速ショックの吸収を目的としてロック
アップクラッチを解放する場合に、エンジン回転が吹き
上がったり、落ち込んだりすることを防止し、これによ
り、エンジン回転の変動によるショックや運転者の違和
感の発生をも防止することが可能となる。加えて、実際
におかれた環境条件で生じた結果に基づいて学習される
ので、環境条件が変化しても安定した制御を行なうこと
ができる。さらに、構成機器類に経年変化が生じても、
学習により変化に追従するので安定した制御を維持する
ことができる。さらに、信用するに足りない条件のとき
には学習を禁止するようにしたから、誤学習が防止さ
れ、信頼性の高い制御を維持することができる。本発明
は、ロックアップクラッチ付きのトルクコンバータを搭
載した自動変速機一般への幅広い利用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る自動変速機の骨子
図である。
【図2】 ロックアップクラッチと油圧制御回路との関
係図である。
【図3】 上記自動変速機の制御システム図である。
【図4】 同自動変速機の変速特性及びロックアップク
ラッチの制御特性である。
【図5】 ロックアップクラッチのシフトアップ変速時
解放制御の具体的動作の一例を示すタイムチャートであ
る。
【図6】 同制御の具体的動作の一例を示すフローチャ
ートであってデューティソレノイドバルブに係る部分で
ある。
【図7】 同制御のうちデューティソレノイドバルブの
制御で用いる特性図である。
【図8】 同制御の具体的動作の一例を示すフローチャ
ートであってロックアップコントロールバルブに係る部
分である。
【図9】 学習禁止制御の具体的動作の一例を示すフロ
ーチャートである。
【図10】 学習制御の具体的動作の一例を示すフロー
チャートであって前半部分である。
【図11】 同じく後半部分である。
【図12】 学習制御で用いる特性図である。
【図13】 学習値を変速前エンジントルク毎に区分し
て保存する領域の概念図である。
【符号の説明】
1 エンジン 2 エンジン出力軸(トルクコンバータの入力
軸) 10 自動変速機 20 トルクコンバータ 26 ロックアップクラッチ 27 タービン軸(トルクコンバータの出力軸) 30,40 遊星歯車機構(変速歯車機構) 80 油圧制御回路(締結状態制御手段) 84 ロックアップクラッチ制御用デューティソレ
ノイドバルブ 100 コントロールユニット(走行状態検出手段、
ロックアップ制御手段、学習手段、学習禁止手段) 102 スロットル開度センサ(スロットル開度検出
手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 澤 研司 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 今井 祥二 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 Fターム(参考) 3J053 CA03 CB02 CB08 CB09 CB11 CB14 CB24 DA02 DA06 EA01 EA02 EA05 FA02 FB02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンと変速歯車機構との間に介設さ
    れたトルクコンバータの入出力軸間に設けられたロック
    アップクラッチの制御装置であって、該ロックアップク
    ラッチの締結状態を制御する締結状態制御手段と、当該
    車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、該走行
    状態検出手段によって検出された走行状態に応じて上記
    ロックアップクラッチの状態を制御すると共に、ロック
    アップ状態で行なわれる所定のシフトアップ変速時に該
    クラッチを解放側に移行させるように上記締結状態制御
    手段を制御するロックアップ制御手段と、上記所定シフ
    トアップ変速時においてロックアップクラッチをロック
    アップ状態から解放側に移行させるときにエンジン回転
    数の上昇及び上記シフトアップ変速によるエンジン回転
    数の減少が生じないように、該解放によりエンジン回転
    数が上昇したときの上昇量と、上記シフトアップ変速に
    よりエンジン回転数が減少したときの減少量とに基づい
    て、上記締結状態制御手段に対するロックアップ制御手
    段の制御量を学習する学習手段とが備えられていること
    を特徴とするロックアップクラッチの制御装置。
  2. 【請求項2】 スロットル開度を検出するスロットル開
    度検出手段が備えられ、変速指令が発生したときのスロ
    ットル開度とその後変速が終了するまでのスロットル開
    度との偏差が所定値以上大きい場合には、学習を禁止す
    る学習禁止手段が備えられていることを特徴とする請求
    項1に記載のロックアップクラッチの制御装置。
  3. 【請求項3】 変速中のトルクコンバータのタービン回
    転数が変速開始直前のタービン回転数より所定値以上大
    きい場合には、学習を禁止する第2の学習禁止手段が備
    えられていることを特徴とする請求項1または請求項2
    に記載のロックアップクラッチの制御装置。
  4. 【請求項4】 エンジンが非駆動状態の場合には、学習
    を禁止する第3の学習禁止手段が備えられていることを
    特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のロ
    ックアップクラッチの制御装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010516957A (ja) * 2007-01-19 2010-05-20 ルノー・エス・アー・エス トルクコンバータのダイレクトドライブクラッチの滑りを制御する方法

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