JP2003087189A - 無線基地装置、送信指向性キャリブレーション方法、および送信指向性キャリブレーションプログラム - Google Patents

無線基地装置、送信指向性キャリブレーション方法、および送信指向性キャリブレーションプログラム

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JP2003087189A
JP2003087189A JP2001280139A JP2001280139A JP2003087189A JP 2003087189 A JP2003087189 A JP 2003087189A JP 2001280139 A JP2001280139 A JP 2001280139A JP 2001280139 A JP2001280139 A JP 2001280139A JP 2003087189 A JP2003087189 A JP 2003087189A
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正悟 中尾
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 送信指向性のキャリブレーション精度を向上
させた無線基地装置、送信指向性のキャリブレーション
方法およびキャリブレーションプログラムを提供する。 【解決手段】 2本アンテナ端末またはアダプティブア
レイ基地局2から、キャリブレーションの対象となるア
ダプティブアレイ基地局1に、所望信号および干渉信号
を送り、アダプティブアレイ基地局1のすべてのアンテ
ナで一度にアレイ受信する。アダプティブアレイ基地局
1は、受信ウェイトに基づき所望信号源および干渉信号
源にビームおよびヌルを向ける送信指向性パターンを形
成し、端末または基地局2はDU比を測定する。基地局
1は、最適のDU比が得られるように受信ウェイトを補
正し、その補正値をキャリブレーション補正値に決定す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、無線基地装置、
送信指向性キャリブレーション方法、および送信指向性
キャリブレーションプログラムに関し、特に、送信指向
性のキャリブレーションが可能なアダプティブアレイ基
地局、そのようなアダプティブアレイ基地局のための送
信指向性キャリブレーション方法および送信指向性キャ
リブレーションプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、急速に発達しつつある移動体通信
システム(たとえば、Personal Handyphone System:以
下、PHS)では、電波の周波数利用効率を高めるため
に、同一周波数の同一タイムスロットを空間的に分割す
ることにより複数ユーザの無線移動端末装置(以下、端
末)を無線基地装置(以下、基地局)に空間多重接続さ
せることができるPDMA(Path Division Multiple A
ccess)方式が提案されている。
【0003】このPDMA方式では、現在のところアダ
プティブアレイ技術が採用されている。アダプティブア
レイ処理とは、端末からの受信信号に基づいて、基地局
のアンテナごとの受信係数(ウェイト)からなるウェイ
トベクトルを計算して適用制御することによって、所望
の端末からの信号を正確に抽出する処理である。
【0004】このようなアダプティブアレイ処理によ
り、各ユーザ端末のアンテナからの上り信号は、基地局
のアレイアンテナによって受信され、当該ユーザ端末の
受信ウェイトによって受信指向性を伴って分離抽出され
る。
【0005】また、基地局における受信と送信との間の
時間差が0であると仮定すると伝搬路(基地局のアンテ
ナ端と端末のアンテナ端との間の区間)に変動がないた
め、基地局から当該端末への下り信号は、受信時に得ら
れた受信ウェイトを送信ウェイト情報として適用するこ
とにより当該端末のアンテナに対する送信指向性を伴っ
て基地局のアレイアンテナから送信される。
【0006】このようなアダプティブアレイ処理は周知
の技術であり、たとえば菊間信良著の「アレーアンテナ
による適応信号処理」(科学技術出版)の第35頁〜第
49頁の「第3章 MMSEアダプティブアレー」に詳
細に説明されているので、ここではその動作原理につい
ての説明を省略する。
【0007】なお、以下の説明においては、このような
アダプティブアレイ処理を用いて端末に対する下りの送
信指向性制御を行なう基地局をアダプティブアレイ基地
局と称する。
【0008】しかしながら、たとえ上述のように、伝搬
路に変動がなくても、アダプティブアレイ基地局内にお
ける受信信号経路と送信信号経路との物理的な差違(た
とえば経路長の差、受信回路および送信回路に含まれる
アンプ、フィルタなどのデバイスの特性差など)によ
り、受信信号経路と送信信号経路とで、送受信信号間に
位相回転量、振幅変動量などの伝送特性の差が生じてし
まうことになる。
【0009】アダプティブアレイ基地局内で送受信信号
間に伝送特性の差があれば、上述のように受信ウェイト
をそのまま送信ウェイトとして用いる方法では、送信相
手先の端末に対して最適な送信指向性を向けることがで
きなくなる。
【0010】このため、通常は、工場出荷時に基地局内
の受信信号経路の伝送特性と送信信号経路の伝送特性と
の差を補償して最適の送信指向性を形成するためのキャ
リブレーションが行なわれる。
【0011】しかしながら、基地局内の受信回路および
送信回路に含まれるデバイスの特性は、経年変化や温度
変化により、出荷時とは異なってしまうため、基地局の
設置後に定期的にキャリブレーション処理を行なう必要
がある。
【0012】設置後の基地局におけるそのようなキャリ
ブレーション処理については、たとえば国際公開番号W
O00/08777号公報(国際公開日2000年2月
17日)などに開示されている。このような従来の方法
では、たとえば、アダプティブアレイ基地局のアレイア
ンテナを構成する複数のアンテナのうち、あるアンテナ
から既知の信号を送信し、残りのアンテナでこの既知の
信号をアレイ受信することにより、基地局内の受信信号
経路の伝送特性と送信信号経路の伝送特性との差を測定
し補償して送信指向性を最適化するキャリブレーション
処理を行なっていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来
は、設置後の各基地局単体でキャリブレーション処理を
行なっていた。
【0014】この方法では、既知の信号を送信するアン
テナと、これを受信するアンテナとの組合せを順次変更
しながら、基地局内の受信信号経路の伝送特性と送信信
号経路の伝送特性との差の補償を繰返していたため、次
のような問題が生じていた。
【0015】すなわち、補償を繰返すため全体のキャリ
ブレーション処理に時間を要し、また、既知の信号を送
信するアンテナを除く、残りの本数のアンテナでアレイ
受信をしていたため、アレイアンテナ全体で受信する場
合に比べて、基地局のアダプティブアレイ性能すなわち
キャリブレーション性能が劣化するという問題があっ
た。
【0016】さらに、単体の基地局のアンテナ同士の間
で近距離の信号送受信を行なっていたため、次のような
問題が生じていた。
【0017】すなわち、信号が飽和しないように送受信
の電力制御が必要であり制御が複雑化していた。また、
送信アンテナと受信アンテナとの距離が短すぎると十分
な分解能(たとえばビーム、ヌルの鋭さ)を有する指向
性パターンを形成することが困難となり、アダプティブ
アレイ性能が劣化するという問題があった。
【0018】それゆえに、この発明の目的は、アダプテ
ィブアレイ基地局のすべてのアンテナを外部からの既知
の送信信号の受信に用いることにより、基地局内で複雑
な制御を行なうことなく、短時間にかつ高精度に基地局
の送信指向性のキャリブレーション処理を行なうことが
できる無線基地装置、送信指向性キャリブレーション方
法、および送信指向性キャリブレーションプログラムを
提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】この発明の1つの局面
は、複数のアンテナを用いてアダプティブアレイ処理に
よる信号受信を行なう無線基地装置であって、特定の無
線装置から送信されてくる所定の信号を受信して、受信
した所定の信号に基づいて特定の無線装置に対する送信
指向性パターンを形成するためのウェイト情報を計算す
る手段と、計算されたウェイト情報を補正する手段と、
補正されたウェイト情報に基づく送信指向性パターンで
特定の無線装置に所定の信号を送信する手段と、特定の
無線装置で受信した所定の信号の受信レベルに関する情
報を特定の無線装置から受信して、受信した受信レベル
に関する情報に基づいて特定の無線装置における受信レ
ベルが最適となるウェイト情報の補正の値を決定する手
段とを備える。
【0020】この発明では、外部の無線装置から送られ
たキャリブレーション用の信号を、キャリブレーション
の対象となる無線基地装置のすべてのアンテナで一度に
アレイ受信することができるので、キャリブレーション
に要する時間を著しく短縮することができ、送受信信号
の電力制御を簡略化することができ、さらにキャリブレ
ーションの精度を高めることができる。
【0021】この発明の他の局面は、複数のアンテナを
用いてアダプティブアレイ処理による信号受信を行なう
無線基地装置であって、特定の無線装置から送信されて
くる所望信号および干渉信号を受信して、受信した所望
信号および干渉信号に基づいて所望信号の方向にビーム
を向けかつ干渉信号の方向にヌルを向ける送信指向性パ
ターンを形成するためのウェイト情報を計算する手段
と、計算されたウェイト情報を補正する手段と、補正さ
れたウェイト情報に基づく送信指向性パターンで特定の
無線装置に所定の信号を送信する手段と、特定の無線装
置で受信したビームの受信レベルとヌルの受信レベルと
の受信レベルに関する情報を特定の無線装置から受信し
て、受信した受信レベルに関する情報に基づいて特定の
無線装置における受信レベルに関する情報が最適となる
ウェイト情報の補正の値を決定する手段とを備える。
【0022】この発明では、外部の無線装置から送られ
たキャリブレーション用の所望信号および干渉信号を、
キャリブレーションの対象となる無線基地装置のすべて
のアンテナで一度にアレイ受信することができ、さらに
外部の無線装置で測定されたヌルとビームとの受信レベ
ル比に基づいて補正値を決定できるので、キャリブレー
ションに要する時間を著しく短縮することができ、送受
信信号の電力制御を簡略化することができ、さらにキャ
リブレーションの精度を高めることができる。
【0023】好ましくは、受信レベルに関する情報は、
ビームの受信レベルとヌルの受信レベルとの受信レベル
比である。
【0024】好ましくは、ウェイト情報を計算する手段
は、所望信号を受信するために計算された受信ウェイト
をウェイト情報として供給する手段を含む。
【0025】この発明のさらに他の局面は、複数のアン
テナを用いてアダプティブアレイ処理による信号受信を
行なう無線基地装置であって、特定の無線装置から送信
されてくる所望信号を受信して、受信した所望信号に基
づいて所望信号の方向にヌルを向ける送信指向性パター
ンを形成するためのウェイト情報を計算する手段と、計
算されたウェイト情報を補正する手段と、補正されたウ
ェイト情報に基づく送信指向性パターンで特定の無線装
置に所定の信号を送信する手段と、特定の無線装置で受
信した所定の信号の受信レベルを特定の無線装置から受
信して、受信した受信レベルに基づいて特定の無線装置
における受信レベルが最適となるウェイト情報の補正の
値を決定する手段とを備える。
【0026】この発明では、外部の無線装置から送られ
たキャリブレーション用の所望信号を、キャリブレーシ
ョンの対象となる無線基地装置のすべてのアンテナで一
度にアレイ受信することができ、さらに外部の無線装置
で測定された強制ヌルの受信レベルに基づいて補正値を
決定できるので、キャリブレーションに要する時間を著
しく短縮することができ、送受信信号の電力制御を簡略
化することができ、さらにキャリブレーションの精度を
高めることができる。
【0027】好ましくは、ウェイト情報を計算する手段
は、所望信号に基づいて受信応答ベクトルを計算する手
段と、受信応答ベクトルに基づいてウェイト情報を計算
する手段とを含む。
【0028】この発明のさらに他の局面は、複数のアン
テナを用いてアダプティブアレイ処理による信号受信を
行なう無線基地装置における送信指向性のキャリブレー
ション方法であって、特定の無線装置から送信されてく
る所定の信号を受信して、受信した所定の信号に基づい
て特定の無線装置に対する送信指向性パターンを形成す
るためのウェイト情報を計算するステップと、計算され
たウェイト情報を補正するステップと、補正されたウェ
イト情報に基づく送信指向性パターンで特定の無線装置
に所定の信号を送信するステップと、特定の無線装置で
受信した所定の信号の受信レベルに関する情報を特定の
無線装置から受信して、受信した受信レベルに関する情
報に基づいて特定の無線装置における受信レベルが最適
となるウェイト情報の補正の値を決定するステップとを
備える。
【0029】この発明では、外部の無線装置から送られ
たキャリブレーション用の信号を、キャリブレーション
の対象となる無線基地装置のすべてのアンテナで一度に
アレイ受信することができるので、キャリブレーション
に要する時間を著しく短縮することができ、送受信信号
の電力制御を簡略化することができ、さらにキャリブレ
ーションの精度を高めることができる。
【0030】この発明のさらに他の局面は、複数のアン
テナを用いてアダプティブアレイ処理による信号受信を
行なう無線基地装置における送信指向性のキャリブレー
ション方法であって、特定の無線装置から送信されてく
る所望信号および干渉信号を受信して、受信した所望信
号および干渉信号に基づいて所望信号の方向にビームを
向けかつ干渉信号の方向にヌルを向ける送信指向性パタ
ーンを形成するためのウェイト情報を計算するステップ
と、計算されたウェイト情報を補正するステップと、補
正されたウェイト情報に基づく送信指向性パターンで特
定の無線装置に所定の信号を送信するステップと、特定
の無線装置で受信したビームの受信レベルとヌルの受信
レベルとの受信レベルに関する情報を特定の無線装置か
ら受信して、受信した受信レベルに関する情報に基づい
て特定の無線装置における受信レベルに関する情報が最
適となるウェイト情報の補正の値を決定するステップと
を備える。
【0031】この発明では、外部の無線装置から送られ
たキャリブレーション用の所望信号および干渉信号を、
キャリブレーションの対象となる無線基地装置のすべて
のアンテナで一度にアレイ受信することができ、さらに
外部の無線装置で測定されたヌルとビームとの受信レベ
ル比に基づいて補正値を決定できるので、キャリブレー
ションに要する時間を著しく短縮することができ、送受
信信号の電力制御を簡略化することができ、さらにキャ
リブレーションの精度を高めることができる。
【0032】好ましくは、受信レベルに関する情報は、
ビームの受信レベルとヌルの受信レベルとの受信レベル
比である。
【0033】好ましくは、ウェイト情報を計算するステ
ップは、所望信号を受信するために計算された受信ウェ
イトを前記ウェイト情報として供給するステップを含
む。
【0034】この発明のさらに他の局面は、複数のアン
テナを用いてアダプティブアレイ処理による信号受信を
行なう無線基地装置における送信指向性のキャリブレー
ション方法であって、特定の無線装置から送信されてく
る所望信号を受信して、受信した所望信号に基づいて所
望信号の方向にヌルを向ける送信指向性パターンを形成
するためのウェイト情報を計算するステップと、計算さ
れたウェイト情報を補正するステップと、補正されたウ
ェイト情報に基づく送信指向性パターンで特定の無線装
置に所定の信号を送信するステップと、特定の無線装置
で受信した所定の信号の受信レベルを特定の無線装置か
ら受信して、受信した受信レベルに基づいて特定の無線
装置における受信レベルが最適となるウェイト情報の補
正の値を決定するステップとを備える。
【0035】この発明では、外部の無線装置から送られ
たキャリブレーション用の所望信号を、キャリブレーシ
ョンの対象となる無線基地装置のすべてのアンテナで一
度にアレイ受信することができ、さらに外部の無線装置
で測定された強制ヌルの受信レベルに基づいて補正値を
決定できるので、キャリブレーションに要する時間を著
しく短縮することができ、送受信信号の電力制御を簡略
化することができ、さらにキャリブレーションの精度を
高めることができる。
【0036】好ましくは、ウェイト情報を計算するステ
ップは、所望信号に基づいて受信応答ベクトルを計算す
るステップと、受信応答ベクトルに基づいてウェイト情
報を計算するステップとを含む。
【0037】この発明のさらに他の局面は、複数のアン
テナを用いてアダプティブアレイ処理による信号受信を
行なう無線基地装置における送信指向性のキャリブレー
ションプログラムであって、コンピュータに、特定の無
線装置から送信されてくる所定の信号を受信して、受信
した所定の信号に基づいて特定の無線装置に対する送信
指向性パターンを形成するためのウェイト情報を計算す
るステップと、計算されたウェイト情報を補正するステ
ップと、補正されたウェイト情報に基づく送信指向性パ
ターンで特定の無線装置に所定の信号を送信するステッ
プと、特定の無線装置で受信した所定の信号の受信レベ
ルに関する情報を特定の無線装置から受信して、受信し
た受信レベルに関する情報に基づいて特定の無線装置に
おける受信レベルが最適となるウェイト情報の補正の値
を決定するステップとを実行させる。
【0038】この発明では、外部の無線装置から送られ
たキャリブレーション用の信号を、キャリブレーション
の対象となる無線基地装置のすべてのアンテナで一度に
アレイ受信することができるので、キャリブレーション
に要する時間を著しく短縮することができ、送受信信号
の電力制御を簡略化することができ、さらにキャリブレ
ーションの精度を高めることができる。
【0039】この発明のさらに他の局面は、複数のアン
テナを用いてアダプティブアレイ処理による信号受信を
行なう無線基地装置における送信指向性のキャリブレー
ションプログラムであって、コンピュータに、特定の無
線装置から送信されてくる所望信号および干渉信号を受
信して、受信した所望信号および干渉信号に基づいて所
望信号の方向にビームを向けかつ干渉信号の方向にヌル
を向ける送信指向性パターンを形成するためのウェイト
情報を計算するステップと、計算されたウェイト情報を
補正するステップと、補正されたウェイト情報に基づく
送信指向性パターンで特定の無線装置に所定の信号を送
信するステップと、特定の無線装置で受信したビームの
受信レベルとヌルの受信レベルとの受信レベルに関する
情報を特定の無線装置から受信して、受信した受信レベ
ルに関する情報に基づいて特定の無線装置における受信
レベルに関する情報が最適となるウェイト情報の補正の
値を決定するステップとを実行させる。
【0040】この発明では、外部の無線装置から送られ
たキャリブレーション用の所望信号および干渉信号を、
キャリブレーションの対象となる無線基地装置のすべて
のアンテナで一度にアレイ受信することができ、さらに
外部の無線装置で測定されたヌルとビームとの受信レベ
ル比に基づいて補正値を決定できるので、キャリブレー
ションに要する時間を著しく短縮することができ、送受
信信号の電力制御を簡略化することができ、さらにキャ
リブレーションの精度を高めることができる。
【0041】好ましくは、受信レベルに関する情報は、
ビームの受信レベルとヌルの受信レベルとの受信レベル
比である。
【0042】好ましくは、ウェイト情報を計算するステ
ップは、所望信号を受信するために計算された受信ウェ
イトを前記ウェイト情報として供給するステップを含
む。
【0043】この発明のさらに他の局面は、複数のアン
テナを用いてアダプティブアレイ処理による信号受信を
行なう無線基地装置における送信指向性のキャリブレー
ションプログラムであって、コンピュータに、特定の無
線装置から送信されてくる所望信号を受信して、受信し
た所望信号に基づいて所望信号の方向にヌルを向ける送
信指向性パターンを形成するためのウェイト情報を計算
するステップと、計算されたウェイト情報を補正するス
テップと、補正されたウェイト情報に基づく送信指向性
パターンで特定の無線装置に所定の信号を送信するステ
ップと、特定の無線装置で受信した所定の信号の受信レ
ベルを特定の無線装置から受信して、受信した受信レベ
ルに基づいて特定の無線装置における受信レベルが最適
となるウェイト情報の補正の値を決定するステップと実
行させる。
【0044】この発明では、外部の無線装置から送られ
たキャリブレーション用の所望信号を、キャリブレーシ
ョンの対象となる無線基地装置のすべてのアンテナで一
度にアレイ受信することができ、さらに外部の無線装置
で測定された強制ヌルの受信レベルに基づいて補正値を
決定できるので、キャリブレーションに要する時間を著
しく短縮することができ、送受信信号の電力制御を簡略
化することができ、さらにキャリブレーションの精度を
高めることができる。
【0045】好ましくは、ウェイト情報を計算するステ
ップは、所望信号に基づいて受信応答ベクトルを計算す
るステップと、受信応答ベクトルに基づいてウェイト情
報を計算するステップとを含む。
【0046】この発明のさらに他の局面は、複数のアン
テナを用いてアダプティブアレイ処理による信号受信を
行なう無線基地装置のキャリブレーション方法であっ
て、特定の無線装置から無線基地装置に所定の信号を送
信するステップと、無線基地装置において受信した所定
の信号に基づいて特定の無線装置に対する送信指向性パ
ターンを形成するためのウェイト情報を計算するステッ
プと、計算されたウェイト情報を補正するステップと、
補正されたウェイト情報に基づいて送信指向性パターン
で無線基地装置から特定の無線装置に所定の信号を送信
するステップと、特定の無線装置において受信した所定
の信号の受信レベルに関する情報を測定するステップ
と、測定された受信レベルに関する情報を特定の無線装
置から無線基地装置に送信するステップと、無線基地装
置において受信した情報に基づいて、特定の無線装置に
おける受信レベルが最適となるウェイト情報の補正の値
を決定するステップとを備える。
【0047】この発明では、外部の無線装置から送られ
たキャリブレーション用の信号を、キャリブレーション
の対象となる無線基地装置のすべてのアンテナで一度に
アレイ受信することができるので、キャリブレーション
に要する時間を著しく短縮することができ、送受信信号
の電力制御を簡略化することができ、さらにキャリブレ
ーションの精度を高めることができる。
【0048】この発明のさらに他の局面は、複数のアン
テナを用いてアダプティブアレイ処理による信号受信を
行なう無線基地装置のキャリブレーション方法であっ
て、少なくとも2本のアンテナを有する特定の無線装置
から無線基地装置に、少なくとも2本のアンテナを用い
て無線基地装置にとっての所望信号および干渉信号をそ
れぞれ送信するステップと、無線基地装置において受信
した所望信号および干渉信号に基づいて、特定の無線装
置の所望信号を送信したアンテナに対しビームを向けか
つ干渉信号を送信したアンテナに対しヌルを向ける送信
指向性パターンを形成するためのウェイト情報を計算す
るステップと、計算されたウェイト情報を補正するステ
ップと、補正されたウェイト情報に基づく送信指向性パ
ターンで無線基地装置から特定の無線装置に所定の信号
を送信するステップと、特定の無線装置において、所望
信号を送信したアンテナで受信した所定の信号の受信レ
ベルと干渉信号を送信したアンテナで受信した所定の信
号の受信レベルとの受信レベルに関する情報を測定する
ステップと、測定された受信レベルに関する情報を特定
の無線装置から無線基地装置に送信するステップと、無
線基地装置において受信した受信レベルに関する情報に
基づいて、特定の無線装置における受信レベル比が最適
となるウェイト情報の補正の値を決定するステップとを
備える。
【0049】この発明では、外部の無線装置から送られ
たキャリブレーション用の所望信号および干渉信号を、
キャリブレーションの対象となる無線基地装置のすべて
のアンテナで一度にアレイ受信することができ、さらに
外部の無線装置で測定されたヌルとビームとの受信レベ
ル比に基づいて補正値を決定できるので、キャリブレー
ションに要する時間を著しく短縮することができ、送受
信信号の電力制御を簡略化することができ、さらにキャ
リブレーションの精度を高めることができる。
【0050】好ましくは、受信レベルに関する情報は、
所望信号を送信したアンテナにおける受信レベルと干渉
信号を送信したアンテナにおける受信レベルとの受信レ
ベル比である。
【0051】好ましくは、受信レベルに関する情報を測
定するステップは、受信レベル比を所定期間にわたって
平均したものを供給するステップを含む。
【0052】この発明のさらに他の局面は、複数のアン
テナを用いてアダプティブアレイ処理による信号受信を
行なう無線基地装置のキャリブレーション方法であっ
て、1本のアンテナを有する特定の無線装置から無線基
地装置に、1本のアンテナを用いて無線基地装置にとっ
ての所望信号を送信するステップと、無線基地装置にお
いて受信した所望信号に基づいて、特定の無線装置の前
記1本のアンテナに対しヌルを向ける送信指向性パター
ンを形成するためのウェイト情報を計算するステップ
と、計算されたウェイト情報を補正するステップと、補
正されたウェイト情報に基づく送信指向性パターンで無
線基地装置から特定の無線装置に所定の信号を送信する
ステップと、特定の無線装置において、1本のアンテナ
で受信した所定の信号の受信レベルを測定するステップ
と、測定された受信レベルを特定の無線装置から無線基
地装置に送信するステップと、無線基地装置において受
信した受信レベルに基づいて、特定の無線装置における
受信レベルが最小となるウェイト情報の補正の値を決定
するステップとを備える。
【0053】この発明では、外部の無線装置から送られ
たキャリブレーション用の所望信号を、キャリブレーシ
ョンの対象となる無線基地装置のすべてのアンテナで一
度にアレイ受信することができ、さらに外部の無線装置
で測定された強制ヌルの受信レベルに基づいて補正値を
決定できるので、キャリブレーションに要する時間を著
しく短縮することができ、送受信信号の電力制御を簡略
化することができ、さらにキャリブレーションの精度を
高めることができる。
【0054】好ましくは、受信レベルを測定するステッ
プは、受信レベルを所定期間にわたって平均したものを
測定された受信レベルとして供給するステップを含む。
【0055】好ましくは、キャリブレーション方法は無
線基地装置によって起動される。好ましくは、キャリブ
レーション方法は特定の無線装置によって起動される。
【0056】好ましくは、特定の無線装置は無線移動端
末装置である。好ましくは、特定の無線装置は他の無線
基地装置である。
【0057】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相
当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0058】[実施の形態1]図1は、この発明の実施
の形態1の基地局の送信指向性のキャリブレーション方
法の原理を模式的に示す概念図である。
【0059】この発明は、従来のように各基地局単体で
キャリブレーション処理を行なうのではなく、外部の他
の無線装置(端末または基地局)との間で信号のやり取
りをすることにより、アダプティブアレイ基地局の送信
指向性のキャリブレーション処理を行なうものであり、
特に図1に示した実施の形態1では、少なくとも2本の
アンテナを有する外部の端末または基地局との信号のや
り取りにより、アダプティブアレイ基地局の送信指向性
のキャリブレーション処理を行なうものである。
【0060】図1において、無線装置1は、キャリブレ
ーション処理の対象となるアダプティブアレイ基地局で
あり、無線装置2は、基地局1のキャリブレーションを
行なうための端末または基地局である。
【0061】以下に、図1を参照して、実施の形態1に
よる送信指向性のキャリブレーション方法の原理につい
て説明する。
【0062】まず、図1の(a)に示すように、外部の
端末または基地局2の少なくとも1本のアンテナ2aか
ら、基地局1にとって所望信号となる所定周波数の既知
の信号が送信され、少なくとも1本のアンテナ2bか
ら、基地局1にとって干渉信号となる上記所定周波数と
同一周波数の他の信号が送信される。
【0063】これらの送信信号は、アダプティブアレイ
基地局1のアレイアンテナを構成する少なくとも2本の
アンテナ1a,1bによってアレイ受信され、アダプテ
ィブアレイ処理の結果得られる受信ウェイトに基づい
て、図示するような受信指向性パターンで、アンテナ2
aからの所望信号が分離抽出される。
【0064】受信時に得られた受信ウェイトにはある補
正値が乗算されて後述する送信指向性の形成に用いられ
る。
【0065】次に、図1の(b)に示すように、アダプ
ティブアレイ基地局1は、受信時に得られ、上述の補正
値が乗算された受信ウェイトを送信ウェイトとして用い
て、図示するような送信指向性パターンを形成し、外部
の端末または基地局2に向かって信号を送信する。図示
するように、受信ウェイトを用いた送信ウェイトに基づ
いて形成された送信指向性パターンは、端末または基地
局2のアンテナのうち、所望信号を送信したアンテナ2
aにビームが向けられており、干渉信号を送信したアン
テナ2bにヌルが向けられている。
【0066】外部の端末または基地局2は、アンテナ2
aで、基地局1からのビームの信号受信電力を測定し、
アンテナ2bで、基地局1からのヌルの信号受信電力を
測定し、その比率であるDU(Desired user's power:
Undesired user's power)比を算出する。言い換える
と、DU比は、送信指向性パターンの形状におけるヌル
の深さを表わしている。
【0067】基地局1の送信指向性パターンの精度が高
いほど、アンテナ2a,2bに対してビームおよびヌル
がそれぞれより正確に向くことになり(すなわちヌルが
深くなり)、アンテナ2aでの受信電力は増大し、アン
テナ2bでの受信電力は低下することになる。すなわ
ち、DU比は高くなる。
【0068】このことから、外部の端末または基地局2
で測定されたDU比は、送信指向性が正確に形成されて
いるかを示す指標として用いることができる。すなわ
ち、端末または基地局2で測定されるDU比が最適(最
高)となるように、受信ウェイトに乗算する補正値を決
定すれば、基地局1の送信指向性のキャリブレーション
が行なわれたことになる。
【0069】図2は、図1に示した実施の形態1による
送信指向性のキャリブレーション方法の手順を示すタイ
ミング図である。
【0070】図2を参照して、左側にキャリブレーショ
ンの対象となる基地局の動作を示し、右側にキャリブレ
ーションを行なうための外部の無線装置としての少なく
とも2本のアンテナを有する端末の動作を示している。
なお、外部の無線装置として基地局(たとえばアダプテ
ィブアレイ基地局)を用いてもよいということは図1に
関連して述べたとおりである。
【0071】図2を参照して、この発明の実施の形態1
によるキャリブレーション方法の具体的な手順について
説明する。
【0072】まず、基地局側で、キャリブレーションを
起動する条件が満たされているか否かが判断される(ス
テップS1)。ここで、キャリブレーションの起動条件
とは、たとえば、前回のキャリブレーション実行時から
の所定の期間の経過を計っているキャリブレーションタ
イマが満了したこと、前回のキャリブレーション実行時
から温度が変化したことを検出したこと、干渉回避動作
(たとえば端末からのチャネル切替要求)の回数などか
ら送信指向性の劣化により通信品質が劣化したと判断さ
れたこと、などが挙げられる。
【0073】ステップS1において、これらの条件のい
ずれかが満たされていることが判断されると、基地局側
でキャリブレーションが起動され、ステップS2におい
てキャリブレーションのための測定条件が満たされてい
るか否かが判定される。ここでは、基地局が周囲の電波
環境をモニタし、干渉波が少ないこと、フェージングが
ないことなどが判断されると、キャリブレーション測定
のための条件は満たされていると判断し、キャリブレー
ション測定要求を端末側に送信する。キャリブレーショ
ン測定要求は、測定時間(後述するDU比の平均時
間)、使用する信号周波数など、キャリブレーションに
関する諸条件を含んでいる。このキャリブレーション測
定要求は、制御チャネルCCHにおける基地局から端末
への報知情報の一部として送信される。
【0074】このキャリブレーション測定要求を受けた
端末側では、ステップS3においてキャリブレーション
のための測定条件が満たされているか否かが判定され
る。ここでの測定条件は、端末の周囲に干渉波が少ない
こと、フェージングがないことなどの電波環境に関する
条件の他に、当該端末自体がキャリブレーションの実行
に適しているか否かに関する条件を含む。すなわち、当
該端末が移動していないこと、他の基地局と通信状態に
なくキャリブレーションに使用できる状態にあることな
どである。
【0075】ステップS3において、当該端末は、キャ
リブレーションのための測定条件が満たされていると判
断すると、キャリブレーション測定指示を基地局側に送
信する。このキャリブレーション測定指示は、制御チャ
ネルCCHによって端末から基地局へ送信される。
【0076】その後、制御チャネルCCHから通話チャ
ネルTCHに移行し、データ通信中に、図1に示した原
理による送信指向性のキャリブレーション処理が実行さ
れる。
【0077】まず、端末側からキャリブレーション用の
信号が基地局に送信される(ステップS4)。より具体
的には、図1の(a)に示したように、端末2の別々の
アンテナ2a,2bからそれぞれ所望信号および干渉信
号が送信される。
【0078】基地局側ではこのキャリブレーション用の
信号をアレイ受信する(ステップS5)。より具体的に
は、アダプティブアレイ基地局1は、アダプティブアレ
イ処理により、図1の(a)に示したような受信指向性
パターンで端末2からの信号を受信する。
【0079】基地局側では、所望信号の受信のために形
成された受信ウェイトにある補正値を乗算して送信ウェ
イトとし、図1の(b)に示すような送信指向性パター
ンを形成して、すなわち端末2のアンテナ2aにビーム
を向けかつアンテナ2bにヌルを向けた状態で、信号を
送信する(ステップS5)。ここで、補正値の初期値と
しては、たとえば前回のキャリブレーション時に決定さ
れていた既存の補正値を用いるものとする。
【0080】端末側では、このように基地局から送信さ
れた信号を受信し、アンテナ間の受信信号電力のDU比
を測定する(ステップS4)。より具体的には、図1の
(b)に示すように、端末2のアンテナ2aで受信した
ビームの受信電力レベルとアンテナ2bで受信したヌル
の受信電力レベルとのDU比を測定し、端末側のメモリ
に測定結果を記憶する。
【0081】このようなステップS4および5によるD
U比の測定動作を、通話チャネルのデータ通信中に、所
定の時間(キャリブレーション測定要求によって基地局
から指定された時間)にわたって繰返し実行する。
【0082】そして、所定時間が経過すると、その時間
内に端末側で測定されたDU比の平均値が端末側で計算
され、その結果が基地局側に通知される(ステップS
6)。このDU比測定結果は、通話チャネルTCHによ
って端末から基地局へ送信される。
【0083】基地局側はこのDU比測定結果を受信し、
所定値以上になっているか否かを判定する(ステップS
7)。図1に関連して説明したように、送信指向性が良
好なほど、送信指向性パターン形状におけるヌルは深く
なり(干渉成分が少なくなり)、端末側で測定されるD
U比は大きくなる。
【0084】基地局は、測定された平均DU比が所定値
以上であれば、上述のステップS5において受信ウェイ
トはすでに適切な補正値によって補正されているものと
判断し、当該補正値を最終のキャリブレーション補正値
として決定し、記録する。そして、端末側にキャリブレ
ーション終了通知を送信する(ステップS7)。
【0085】そして、基地局では、次回のキャリブレー
ション実行時まで、当該補正値を受信ウェイトに乗算す
ることにより送信ウェイトを形成する。これにより、最
適な送信指向性が形成される。
【0086】一方、測定された平均DU比が所定値以上
になっていないと基地局で判断されると、補正値を変更
してキャリブレーション処理を継続することを決定し、
キャリブレーション継続要求を端末側に送信する(ステ
ップS7)。
【0087】以後の動作は、上述のステップS3から7
までの動作の繰返しであり、端末側でキャリブレーショ
ン測定条件を再度確認し、条件が満たされていればキャ
リブレーション測定指示を基地局側に送信し、データ通
信中に上述のDU比の測定を繰返す。
【0088】このように、端末側で得られる平均DU比
が所定値以上になるまで、基地局側で受信ウェイトに乗
算する補正値を更新しながら、キャリブレーション処理
(平均DU比の測定)を継続する。そして最終的に平均
DU比が所定値以上となったときの補正値をキャリブレ
ーション補正値として決定する。
【0089】なお、上述の方法では、所定時間内に測定
されたDU比の平均値を端末側で測定し基地局側に送り
返しているが、この実施の形態1によるDU比に基づく
キャリブレーション方法はこのような方法に限定される
ものではない。
【0090】たとえば、図2のステップS4および5に
おいて基地局側で補正値を変更しながらその都度端末側
で測定されたDU比を端末から返送させ、ステップS4
および5の過程で最適な(最大の)DU比が得られた補
正値を決定するようにしてもよい。
【0091】なお、端末側からは測定された受信レベル
そのものを基地局側へ送信させ、基地局側でDU比を算
出するようにしてもよい。
【0092】図2に示した例では、基地局側においてキ
ャリブレーションの起動条件が満たされたことが判断さ
れたときに基地局側でキャリブレーション動作を起動す
るように構成したものであるが、外部の端末または他の
基地局の方でキャリブレーションを起動してもよい。
【0093】図3は、キャリブレーションの対象となる
基地局の外部の無線装置としての端末からキャリブレー
ションを起動する場合の手順を示すタイミング図であ
る。なお、外部の他の基地局から起動してもよいことは
いうまでもない。
【0094】まず、システム管理者などが端末を操作し
てキャリブレーションの起動を指示する。端末からは、
この操作に応じて、制御チャネルCCHにおいて、キャ
リブレーション測定起動指示が基地局に送信される(ス
テップS11)。
【0095】この指示を受けた基地局は、図2の例のス
テップS2で示したキャリブレーション測定条件につい
て満たしているか判断し、満たしていれば、制御チャネ
ルCCHにおいて、キャリブレーション測定要求を端末
に送信する(ステップS12)。
【0096】この要求を受けた端末は、図2の例のステ
ップS3で示したキャリブレーション測定条件について
満たしているか判断し、満たしていれば、制御チャネル
CCHにおいて、キャリブレーション測定指示を基地局
に送信する(ステップS13)。
【0097】以後、図2の例のステップS4および5で
示したDU比の測定動作、およびステップS6および7
で示した測定結果に基づく補正値の決定処理が実行され
ることになる(ステップS14および15)。これらの
DU比の測定動作および補正値の決定動作については図
2に関連してすでに説明したのでここでは繰返さない。
【0098】次に、図4は、図1〜図3に示した実施の
形態1による送信指向性キャリブレーションの対象とな
るアダプティブアレイ基地局1の構成を示すブロック図
である。
【0099】図4を参照して、キャリブレーションの対
象となるアダプティブアレイ基地局1の構成について詳
細に説明する。図4のアダプティブアレイ基地局1は、
複数本のアンテナ、たとえばアンテナ11,12からな
るアレイアンテナを備えている。アンテナ11,12
は、それぞれ、無線部21,22に接続される。無線部
21および22は全く同じ構成を有している。
【0100】無線部21は、スイッチ110と、送信部
111と、受信部112と、D/A変換器113と、A
/D変換器114とを備えている。
【0101】受信時には、アンテナ11で受信した信号
が受信部112に与えられるようにスイッチ110は切
換わる。受信部112はローノイズアンプ等を含み、与
えられた受信信号に対し、高周波から低周波への周波数
変換、増幅などの各種のアナログ信号処理を施してA/
D変換器114へ与える。A/D変換器114に与えら
れた受信信号はデジタル信号に変換されてユーザ信号処
理部50に与えられる。
【0102】一方、無線部22は、スイッチ120と、
送信部121と、受信部122と、D/A変換器123
と、A/D変換器124とを備えている。
【0103】受信時には、アンテナ12で受信した信号
が受信部122に与えられるようにスイッチ120は切
換わる。受信部122はローノイズアンプ等を含み、与
えられた受信信号に対し、高周波から低周波への周波数
変換、増幅などの各種のアナログ信号処理を施してA/
D変換器124へ与える。A/D変換器124に与えら
れた受信信号はデジタル信号に変換されてユーザ信号処
理部50に与えられる。
【0104】ユーザ信号処理部50は、後述する制御部
70の制御下に、受信および送信の指向性パターンの形
成に関する処理を実行する。すなわち、ユーザ信号処理
部50は、後述するアダプティブアレイ処理により、当
該基地局に空間多重接続している各ユーザ端末からの受
信信号を分離抽出する。分離抽出された各ユーザ端末の
受信信号は、モデム部60に与えられて、π/4シフト
QPSK復調を含む所定の処理が施され、もとの信号に
復元されて図示しない公衆回線網に供給される。
【0105】一方、送信時には、図示しない公衆回線網
から与えられた送信信号は、モデム部60を介してπ/
4シフトQPSK変調を含む所定の処理が施され、ユー
ザ信号処理部50に与えられる。
【0106】ユーザ信号処理部50は、後述するよう
に、モデム部60から入力された送信信号を所望の端末
へ送信できるように重み付けして(送信指向性を形成し
て)、無線部21のD/A変換器113および無線部2
2のD/A変換機123に与える。
【0107】無線部21のD/A変換器113でアナロ
グ信号に変換された送信信号は、ハイパワーアンプ等を
含む送信部111に与えられ、そこで、低周波から高周
波への周波数変換、送信出力レベルまでの増幅など、無
線送信に必要な各種のアナログ信号処理が施される。な
お、送信出力は、制御部70からの指示に応じてハイパ
ワーアンプのゲインを制御することによって調整され
る。
【0108】送信時には、スイッチ110は、送信部1
11とアンテナ11とを接続するように切換わり、送信
部111で無線処理された送信信号は、アンテナ11か
ら送信される。
【0109】一方、無線部22のD/A変換器123で
アナログ信号に変換された送信信号は、ハイパワーアン
プ等を含む送信部121に与えられ、そこで、低周波か
ら高周波への周波数変換、送信出力レベルまでの増幅な
ど、無線送信に必要な各種のアナログ信号処理が施され
る。なお、送信出力は、制御部70からの指示に応じて
ハイパワーアンプのゲインを制御することによって調整
される。
【0110】送信時には、スイッチ120は、送信部1
21とアンテナ12とを接続するように切換わり、送信
部121で無線処理された送信信号は、アンテナ12か
ら送信される。
【0111】制御部70は、送信指向性のキャリブレー
ション時に、モデム部60によって復調された受信信号
に含まれる相手先の端末または基地局2からの情報にし
たがって、キャリブレーション処理を実行するように、
ユーザ信号処理部50を制御する。制御部70は、中央
処理装置(CPU)、メモリなどで構成される。
【0112】ユーザ信号処理部50はデジタルシグナル
プロセッサ(DSP)を用いてソフトウェアで実現され
る。ユーザ信号処理部50において、アダプティブアレ
イ処理によって指向性パターンを形成して信号の送受信
を行なうのは、通話チャネル(TCH)においてのみで
あり、制御チャネル(CCH)においてはアダプティブ
アレイ処理は行なわず、PHSの規格に従って無線基地
局の制御処理を実行する。
【0113】図5は、図4に示したユーザ信号処理部5
0の構成を示す機能ブロック図である。ユーザ信号処理
部50は、ユーザA信号処理部50aと、ユーザB信号
処理部50bとから構成される。ユーザA信号処理部5
0aおよびユーザB信号処理部50bは全く同じ構成を
有しており、ユーザA信号処理部50aの構成のみ図示
し説明することとする。
【0114】図4のアンテナ11に対応する無線部21
の受信部112からA/D変換器114を介して与えら
れたデジタルの受信信号およびアンテナ12に対応する
無線部22の受信部122からA/D変換器124を介
して与えられたデジタルの受信信号がユーザA信号処理
部50aに与えられる。なお、無線部21および22か
らのこれらの信号は、同様にユーザB信号処理部50b
にも共通に与えられる。
【0115】以下に、ユーザA信号処理部50aに与え
られたこれらのデジタル信号の処理について説明する。
ユーザA信号処理部50aに与えられたこれらの信号に
対しては、図5に示す機能ブロック図に従って、当該ア
ダプティブアレイ基地局の図示しないDSPにより、ソ
フトウェア的にアダプティブアレイ処理が施される。
【0116】図5を参照して、無線部21,22よりユ
ーザA信号処理部50aに与えられた2系統のデジタル
受信信号からなる受信信号ベクトルx1(t),x2
(t)は、乗算器MR1,MR2のそれぞれの一方入力
に与えられるとともに、受信ウェイトベクトル計算機5
2aに与えられる。
【0117】受信ウェイトベクトル計算機52aは、周
知のアダプティブアレイアルゴリズムリズムにより、ア
ンテナごとのウェイトからなるウェイトベクトルw1
2を算出し、乗算器MR1,MR2のそれぞれの他方
入力に与えて、対応するアンテナからの受信信号ベクト
ルとそれぞれ複素乗算する。加算器AD1によりその複
素乗算結果の総和である受信信号が得られ、図4のモデ
ム部60に与えられる。
【0118】一方、送信ウェイトベクトル計算機54a
は、受信ウェイトベクトル計算機52aからの受信ウェ
イトベクトルw1,w2を補正値乗算回路55aで補正し
たウェイトベクトルを送信ウェイトベクトルとして出力
する。
【0119】図4のモデム部60からの送信信号が、乗
算器MT1,MT2のそれぞれの一方入力端子に与えら
れ、乗算器MT1,MT2のそれぞれの他方入力端子に
は、送信ウェイトベクトル計算機54aで得られた送信
ウェイトベクトルが印加される。
【0120】このように、ユーザA信号処理部50aで
送信ウェイトベクトルとの複素乗算で重み付けされたデ
ジタル送信信号はそれぞれ無線部21,22に与えられ
る。無線部21,22に与えられたデジタル送信信号
は、それぞれアンテナ11,12を介して送信される。
【0121】次に、受信ウェイトベクトル計算機52a
による受信ウェイトベクトルの算出について説明する。
【0122】まず、ユーザAからの信号をA(t),ユ
ーザBからの信号をB(t)とすると、図4のアンテナ
11での受信信号x1(t)は、次式のように表わされ
る: x1(t)=a1×A(t)+b1×B(t) ここで、a1,b1は、リアルタイムで変化する係数で
ある。
【0123】次に、アンテナ12での受信信号x2
(t)は、次式のように表わされる: x2(t)=a2×A(t)+b2×B(t) ここで、a2,b2も同様にリアルタイムで変化する係
数である。
【0124】上述の係数a1,a2は、ユーザAからの
信号電波に対し、アンテナ11,12のそれぞれの受信
信号の位相および振幅情報を表わし、係数b1,b2
は、ユーザBからの信号電波に対し、アンテナ11,1
2のそれぞれの受信信号の位相および振幅情報を表わし
ている。各ユーザは移動しているため、これらの係数は
リアルタイムで変化する。
【0125】それぞれのアンテナで受信された信号x1
(t),x2(t)は、アダプティブアレイを構成する
乗算器MR1,MR2の一方入力にそれぞれ与えられ、
これらの乗算器の他方入力には、受信ウェイトベクトル
計算機52aによってリアルタイムで計算されたそれぞ
れのアンテナでの受信信号に対する重みからなるウェイ
トベクトルw1,w2が印加される。
【0126】したがって、乗算器MR1の出力は、w1
×(a1A(t)+b1B(t))となり、乗算器MR
2の出力は、w2×(a2A(t)+b2B(t))と
なる。
【0127】これらの乗算器MR1,MR2の出力は、
加算器AD1で加算され、その出力は次のようになる: w1(a1A(t)+b1B(t))+w2(a2A
(t)+b2B(t)) これを信号A(t)に関する項と信号B(t)に関する
項とに分けると次のようになる: (w1a1+w2a2)A(t)+(w1b1+w2b2)
B(t) ここで、受信ウェイトベクトル計算機52aは、ユーザ
A,Bを識別し、所望のユーザの端末からの信号のみを
抽出できるように、上記ウェイトw1,w2を計算する。
たとえば、ユーザA信号処理部50aの受信ウェイトベ
クトル計算機52aは、所望のユーザAの端末からの信
号A(t)のみを抽出するために、係数a1,a2,b
1,b2を定数とみなし、信号A(t)の係数が全体と
して1、信号B(t)の係数が全体として0となるよう
に、ウェイトw1,w2を計算する。
【0128】このようにウェイトw1,w2を設定するこ
とにより、加算器AD1の出力信号は下記のとおりとな
る。
【0129】 出力信号=1×A(t)+0×B(t)=A(t) 上述のように、所望信号源であるユーザAからの所望信
号A(t)に対する係数が1、干渉信号源であるユーザ
Bからの干渉信号B(t)に対する係数が0となるよう
な受信ウェイトw1,w2を求めて送信ウェイトとして用
いることにより、所望信号源であるユーザAにビームが
向けられ、干渉信号源であるユーザBにヌルが向けられ
た送信指向性が形成される。
【0130】図4および図5に示す上述のアダプティブ
アレイ基地局1において、この発明の実施の形態1によ
る送信指向性のキャリブレーション処理がどのように行
なわれるかについて以下に説明する。
【0131】図1の(a)に示す外部の端末または基地
局2のアンテナ2aが、上述の所望信号源(ユーザA)
に相当し、アンテナ2bが干渉信号源(ユーザB)に相
当する。
【0132】そして、キャリブレーションの対象である
アダプティブアレイ基地局1のユーザA信号処理部50
a(図5)の受信ウェイトベクトル計算機52aによ
り、所望信号源(アンテナ2a)からの信号A(t)に
対する係数が1、干渉信号源(アンテナ2b)からの信
号B(t)に対する係数が0となるような受信ウェイト
1,w2を求め、送信ウェイトとして使用する。
【0133】これにより、図1の(b)に示すように、
所望信号源(アンテナ2a)にビームが向き、干渉信号
源(アンテナ2b)にヌルが向いた、送信指向性パター
ンが形成される。
【0134】ただし、受信ウェイトw1,w2は、補正値
乗算回路55aにより、補正値が乗算される。図1〜図
3に関連して説明したように、外部の端末または基地局
2からは、測定されたDU比情報が基地局1に送信され
てくる。
【0135】このDU比情報は、基地局1のモデム部6
0で再現され、制御部70に与えられる。制御部70
は、図2または図3で説明した手順で、外部の端末また
は基地局2から送られてきたDU比が所定値以上になっ
たことを判定するまで、受信ウェイトw1,w2に乗算さ
れる補正値を更新するよう補正値乗算回路55aを制御
する。
【0136】前述のようにアダプティブアレイ基地局1
に対し、キャリブレーションを行なう外部の無線装置2
としては、少なくとも2本のアンテナを有する端末また
は基地局(たとえばアダプティブアレイ基地局)が用い
られる。基地局の構成は基本的に図4および図5に示し
た構成と同じなのでここでは説明を繰返さない。
【0137】一方、少なくとも2本のアンテナを有する
端末(以下、2本アンテナ端末)2の構成を図6に示
す。
【0138】図6を参照して、キャリブレーションを行
なうための2本アンテナ端末2の構成について詳細に説
明する。図6の2本アンテナ端末は、少なくとも2本の
アンテナ、たとえばアンテナ31,32からなるアレイ
アンテナを備えている。アンテナ31,32は、それぞ
れ、無線部41,42に接続される。無線部41および
42は全く同じ構成を有している。
【0139】無線部41は、スイッチ210と、送信部
211と、受信部212と、D/A変換器213と、A
/D変換器214とを備えている。
【0140】受信時には、アンテナ31で受信した信号
が受信部212に与えられるようにスイッチ210は切
換わる。受信部212はローノイズアンプ等を含み、与
えられた受信信号に対し、高周波から低周波への周波数
変換、増幅などの各種のアナログ信号処理を施してA/
D変換器214へ与える。A/D変換器214に与えら
れた受信信号はデジタル信号に変換されてユーザ信号処
理部80に与えられる。
【0141】一方、無線部42は、スイッチ220と、
送信部221と、受信部222と、D/A変換器223
と、A/D変換器224とを備えている。
【0142】受信時には、アンテナ32で受信した信号
が受信部222に与えられるようにスイッチ220は切
換わる。受信部222はローノイズアンプ等を含み、与
えられた受信信号に対し、高周波から低周波への周波数
変換、増幅などの各種のアナログ信号処理を施してA/
D変換器224へ与える。A/D変換器224に与えら
れた受信信号はデジタル信号に変換されてユーザ信号処
理部80に与えられる。
【0143】ユーザ信号処理部80の内容については特
に限定されないが、たとえばアダプティブアレイ処理を
行なうユーザ処理部であることが望ましい。このような
端末をアダプティブアレイ端末と称することとする。
【0144】この場合、ユーザ信号処理部80は、接続
の相手先の基地局に対し、受信および送信の指向性パタ
ーンを形成する処理を実行する。すなわち、ユーザ信号
処理部80は、図5に関連して説明したアダプティブア
レイ処理により、当該端末2に接続している基地局から
の受信信号を分離抽出する。分離抽出された基地局から
の受信信号は、モデム部90に与えられて、π/4シフ
トQPSK復調を含む所定の処理が施され、もとの信号
に復元されて図示しないスピーカなどの音声再生装置に
供給される。
【0145】一方、送信時には、図示しないマイクなど
の音声信号源から与えられた送信信号は、モデム部90
を介してπ/4シフトQPSK変調を含む所定の処理が
施され、ユーザ信号処理部80に与えられる。
【0146】ユーザ信号処理部80は、モデム部90か
ら入力された送信信号を所望の基地局へ送信できるよう
に重み付けして(送信指向性を形成して)、無線部41
のD/A変換器213および無線部42のD/A変換機
223に与える。
【0147】無線部41のD/A変換器213でアナロ
グ信号に変換された送信信号は、ハイパワーアンプ等を
含む送信部211に与えられ、そこで、低周波から高周
波への周波数変換、送信出力レベルまでの増幅など、無
線送信に必要な各種のアナログ信号処理が施される。な
お、送信出力は、図示しない制御部からの指示に応じて
ハイパワーアンプのゲインを制御することによって調整
される。
【0148】送信時には、スイッチ210は、送信部2
11とアンテナ31とを接続するように切換わり、送信
部211で無線処理された送信信号は、アンテナ31か
ら送信される。
【0149】一方、無線部42のD/A変換器223で
アナログ信号に変換された送信信号は、ハイパワーアン
プ等を含む送信部221に与えられ、そこで、低周波か
ら高周波への周波数変換、送信出力レベルまでの増幅な
ど、無線送信に必要な各種のアナログ信号処理が施され
る。なお、送信出力は、図示しない制御部からの指示に
応じてハイパワーアンプのゲインを制御することによっ
て調整される。
【0150】送信時には、スイッチ220は、送信部2
21とアンテナ32とを接続するように切換わり、送信
部221で無線処理された送信信号は、アンテナ32か
ら送信される。
【0151】アダプティブアレイ端末のユーザ信号処理
部80の構成および動作は、たとえば図5に示したユー
ザA信号処理部50aの構成および動作と基本的に同じ
なので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0152】無線部41の受信部212および無線部4
2の受信部222は、それぞれアンテナ31および32
で受信した信号の電力レベルを測定する機能を有してお
り、これらの受信部で測定された電力レベルは、DU比
測定部100に与えられる。
【0153】図6に示した2本アンテナ端末(アダプテ
ィブアレイ端末)2を用いて、この発明の実施の形態1
による送信指向性のキャリブレーション処理がどのよう
に行われるかについて説明する。
【0154】図1の(a)に示す2本アンテナ端末2の
アンテナ2aが、たとえば図6のアンテナ31に相当
し、アンテナ2bが、たとえば図6のアンテナ32に相
当する。図6の端末2のアンテナ31からは基地局1に
とっての所望信号が送信され、アンテナ32からは基地
局1にとっての干渉信号が送信される。
【0155】そして、図1の(b)に示すように、基地
局1から向けられたビームの信号をアンテナ31で受信
し、その電力レベルが受信部212で測定される。一
方、基地局1から向けられたヌルの信号をアンテナ32
で受信し、その電力レベルが受信部222で測定され
る。
【0156】これらの測定された受信電力レベルは、D
U比測定部100に与えられ、DU比測定部100は、
前述のように所定期間にわたるDU比の平均値を求め、
モデム部90に与える。
【0157】モデム部90は、このDU比測定情報を送
信信号に挿入して、基地局1に送信する。基地局1は、
このDU比測定情報に基づいて前述のように補正値乗算
回路55a(図5)を制御する。
【0158】次に、この発明の実施の形態1による送信
指向性キャリブレーション方法のうち、図7は、図4お
よび図5に示したアダプティブアレイ基地局1側でソフ
トウェアで実行される処理を示すフロー図であり、図8
は、図6に示した2本アンテナ端末2側で実行される処
理を示すフロー図である。
【0159】図7および図8を参照して、実施の形態1
によるキャリブレーション処理について詳細に説明す
る。なお、この例では、基地局1側でキャリブレーショ
ンを起動するものであるが、図3に示したように、端末
2側でキャリブレーションを起動してもよい。
【0160】まず、基地局1側で、図2に関連して説明
したキャリブレーションの起動条件が満たされているか
否かが判定される(図7のステップS101)。起動条
件が満たされていると判定されれば、基地局1側で、図
2に関連して説明したキャリブレーションの測定条件が
満たされているか否かが判定される(図7のステップS
102)。
【0161】測定条件が満たされていると判定されれ
ば、基地局1から端末2へキャリブレーション測定要求
が送信される(図7のステップS103)。
【0162】端末2側では、基地局1からのキャリブレ
ーション測定要求を受信したか否かが判定され(図8の
ステップS201)、受信したと判定されると、図2に
関連して説明したキャリブレーションの測定条件が満た
されているか否かが判定される(図8のステップS20
2)。
【0163】測定条件が満たされていると判定されれ
ば、端末2から基地局1へキャリブレーション測定指示
が送信される(図8のステップS203)。
【0164】基地局1側では、メッセージ受信タイマが
満了するまでに(図7のステップS105)、端末2か
らのキャリブレーション測定指示を受信したか否かが判
定され(図7のステップS104)、満了するまでに受
信しなければステップS103に戻ってキャリブレーシ
ョン測定要求を再度端末2に送信する。
【0165】メッセージ受信タイマが満了するまでに
(図7のステップS105)、端末2からのキャリブレ
ーション測定指示を受信したことが判定されると(図7
のステップS104)、基地局1と端末2とのデータ通
信中に、図1および図2に関連して説明したように、端
末2によるデータ送信および受信信号のDU比の測定
(図8のステップS204)、および基地局1による受
信ウェイトの補正値を更新しながらのアレイ送受信(図
7のステップS106)が実行される。
【0166】このような基地局1と端末2との間の送受
信は、基地局1および端末2の双方において、キャリブ
レーション測定タイマが満了するまで実行される(図7
のステップS107および図8のステップS205)。
【0167】端末2側では、キャリブレーション測定タ
イマが満了するまでの期間中に測定されたDU比の平均
値が算出され、基地局1に送信される(図8のステップ
S206)。
【0168】基地局1側では、端末2からDU比の測定
結果(平均値)を受信したか否かが判定され(図7のス
テップS108)、受信したことが判定されると、その
DU比の記録および判定が実行される(図7のステップ
S109)。
【0169】そして、受信したDUの測定結果が所定の
DU比に達しているか否かが判定され(図7のステップ
S110)、達していないことが判断されれば、ステッ
プS103のキャリブレーション測定要求に戻り、ステ
ップS106のアレイ送受信時に受信ウェイトの補正値
を更新して、端末2によるDU比の測定をやり直す。
【0170】基地局1においてこのように、測定された
DU比が所定のDU比に達したと判定されるまで(図7
のステップS110)、基地局1および端末2によるキ
ャリブレーション処理は継続される。
【0171】測定されたDU比が所定のDU比に達した
と判定されると(図7のステップS110)、基地局1
から端末2にキャリブレーション終了通知が送信され
(図7のステップS111)、既存のキャリブレーショ
ン補正値が、ステップS106のアレイ送受信時に変え
られていた補正値で更新(書換え)される(図7のステ
ップS112)。そして基地局1は処理を終了する。
【0172】端末2側では、キャリブレーション終了通
知が受信されたことが判定されるまでキャリブレーショ
ン処理が実行され、キャリブレーション終了通知が受信
されたことが判定されると(図8のステップS20
7)、端末2は処理を終了する。
【0173】以上のように、この発明の実施の形態1で
は、少なくとも2本のアンテナを有する端末または他の
基地局2から、キャリブレーションの対象となるアダプ
ティブアレイ基地局1に所望信号および干渉信号を送
り、アダプティブアレイ基地局1のアレイアンテナのす
べてのアンテナでこれらの信号を一度にアレイ受信する
ように構成している。
【0174】したがって、キャリブレーションの対象と
なるアダプティブアレイ基地局1において、アンテナの
組合せを変えながらキャリブレーションを繰返す必要が
なくなり、キャリブレーションに要する時間を著しく短
縮することができ、またすべてのアンテナで受信するた
め受信性能が向上し、キャリブレーションの精度を高め
ることができる。
【0175】また、キャリブレーションの対象となる基
地局1からある程度離れた位置にある外部の端末または
他の基地局からキャリブレーション用の信号を受信して
いるので、送受信信号の電力制御が簡略化され、また外
部の端末または他の基地局2に対する送信指向性パター
ンの分解能を向上させることができる。特に、実施の形
態1で送信指向性の精度を示す指標として採用されたD
U比は、送信指向性パターンのヌルの深さを示すデータ
として瞬時に求まるものであり、キャリブレーションに
要する時間をさらに短縮させるものである。
【0176】[実施の形態2]図9は、この発明の実施
の形態2の基地局の送信指向性のキャリブレーション方
法の原理を模式的に示す概念図である。
【0177】図1に示した実施の形態1では、少なくと
も2本のアンテナを有する外部の端末または基地局との
信号のやり取りにより、アダプティブアレイ基地局のキ
ャリブレーション処理を行なうものであるが、図9に示
す実施の形態2では、1本アンテナの従来の端末との信
号のやり取りにより、アダプティブアレイ基地局の送信
指向性のキャリブレーション処理を行なうものである。
【0178】図9において、無線装置3は、キャリブレ
ーション処理の対象となるアダプティブアレイ基地局で
あり、無線装置4は、基地局3のキャリブレーションを
行なうための1本アンテナ端末である。
【0179】以下に、図9を参照して、実施の形態2に
よる送信指向性のキャリブレーション方法の原理につい
て説明する。
【0180】まず、図9の(a)に示すように、外部の
端末4の1本のアンテナ4aから、基地局3において所
望信号として扱われる所定周波数の既知の信号が送信さ
れる。
【0181】この送信信号は、アダプティブアレイ基地
局3のアレイアンテナを構成する少なくとも2本のアン
テナ3a,3bによってアレイ受信され、アダプティブ
アレイ処理の結果得られる受信ウェイトに基づいて、図
示するような受信指向性パターンで、アンテナ4aから
の所望信号が分離抽出される。
【0182】アダプティブアレイ基地局3では、アレイ
受信された受信信号に基づいて、後述する方法で受信応
答ベクトルを計算し、さらに受信応答ベクトルの方向を
干渉源とみなして当該端末4のアンテナ4aに強制的に
ヌルを向ける強制ヌルウェイトを計算する。
【0183】得られた強制ヌルウェイトにはある補正値
が乗算されて後述する送信指向性の形成に用いられる。
【0184】次に、図9の(b)に示すように、アダプ
ティブアレイ基地局3は、計算され、上述の補正値が乗
算された強制ヌルウェイトを用いて、図示するような送
信指向性パターンを形成し、外部の端末4に向かって信
号を送信する。図示するように、強制ヌルウェイトに基
づいて形成された送信指向性パターンは、端末4のアン
テナ4aにヌルが向けられており、仮に用いた受信応答
ベクトルの方向にビームが向けられている。
【0185】外部の端末4は、アンテナ4aで、基地局
3からのヌルの信号受信電力を測定する。
【0186】基地局3の送信指向性パターンの精度が高
いほど、アンテナ4aに対してヌルがより正確に向くこ
とになり(すなわちヌルが深くなり)、アンテナ4bで
の受信電力は低下することになる。
【0187】このことから、外部の端末4で測定された
受信電力レベルは、送信指向性が正確に形成されている
かを示す指標として用いることができる。すなわち、端
末4で測定される受信電力が最小となるように、強制ヌ
ルウェイトに対する補正値を決定すれば、基地局3の送
信指向性のキャリブレーションが行なわれたことにな
る。
【0188】図10は、図9に示した実施の形態2によ
る送信指向性のキャリブレーション方法の手順を示すタ
イミング図である。
【0189】図10に示した実施の形態2によるタイミ
ング図は、図2に示した実施の形態1によるタイミング
図と以下の点を除いて同じであり、共通する手順につい
ての説明は省略する。
【0190】すなわち、図10の実施の形態2のタイミ
ング図では、制御チャネルCCHから通話チャネルTC
Hに移行した後のデータ通信中に、図9に示した原理に
よる送信指向性のキャリブレーション処理が実行され
る。
【0191】まず、端末側からキャリブレーション用の
信号が基地局に送信される(ステップS24)。より具
体的には、図9の(a)に示したように、端末4の1本
のアンテナ4aから所望信号が送信される。
【0192】基地局側ではこのキャリブレーション用の
信号をアレイ受信する(ステップS25)。より具体的
には、アダプティブアレイ基地局3は、アダプティブア
レイ処理により、図9の(a)に示したような受信指向
性パターンで端末4からの信号を受信する。
【0193】基地局側では、アレイ受信した信号を復調
し、受信応答ベクトルを求める。そして、受信応答ベク
トルに基づいて、端末4のアンテナ4aに強制的にヌル
を向ける強制ヌルウェイトを形成する(ステップS2
5)。このように形成された強制ヌルウェイトにある補
正値を乗算して送信ウェイトとし、図9の(b)に示す
ような送信指向性パターンを形成して、すなわち端末4
のアンテナ4aにヌルを向けかつ仮の受信応答ベクトル
の方向にビームを向けた状態で、信号を送信する(ステ
ップS25)。ここで、補正値の初期値としては、たと
えば前回のキャリブレーション時に決定されていた既存
の補正値を用いるものとする。
【0194】端末側では、このように基地局から送信さ
れた信号を受信し、1本アンテナにおける受信信号電力
レベルを測定する(ステップS24)。より具体的に
は、図9の(b)に示すように、端末4のアンテナ4a
で受信したヌルの受信電力レベルを測定し、端末側のメ
モリに測定結果を記憶する。
【0195】このようなステップS24および25によ
る受信電力レベルの測定動作を、通話チャネルのデータ
通信中に、所定の時間(キャリブレーション測定要求に
よって基地局から指定された時間)にわたって繰返し実
行する。
【0196】そして、所定時間が経過すると、その時間
内に端末側で測定された受信電力レベルの平均値が端末
側で計算され、その結果が基地局側に通知される(ステ
ップS26)。この受信電力レベル測定結果は、通話チ
ャネルTCHによって端末から基地局へ送信される。
【0197】基地局側はこの受信電力レベル測定結果を
受信し、所定の補正値に対応する受信電力レベルとして
メモリに記憶する(ステップS27)。
【0198】図9に関連して説明したように、送信指向
性が良好なほど、端末4の1本アンテナ4aに対する送
信指向性パターン形状におけるヌルは深くなり、端末側
で測定される受信電力レベルは低くなる。
【0199】基地局は、複数の所定の補正値ごとに、上
述のステップS24〜26の受信レベルの測定を繰返
し、その結果を記憶する。そして、すべての補正値に対
して受信電力レベルの測定が終了すれば、最低の受信レ
ベルに対応する補正値を最終のキャリブレーション補正
値として決定し、記録する。そして、端末側にキャリブ
レーション終了通知を送信する(ステップS27)。
【0200】複数の所定の補正値のすべてに対して受信
電力レベルの測定が終了していない場合は、基地局は、
補正値を次の値に変更してキャリブレーション処理を継
続することを決定し、キャリブレーション継続要求を端
末側に送信する(ステップS27)。
【0201】このように、基地局側で強制ヌルウェイト
に乗算する補正値を更新しながら、キャリブレーション
処理(平均受信電力レベルの測定)を継続する。そして
最終的に平均受信電力レベルが最低となったときの補正
値をキャリブレーション補正値として決定する。
【0202】そして、基地局では、次回のキャリブレー
ション実行時まで、当該補正値を強制ヌルウェイトに乗
算することにより送信ウェイトを形成する。これによ
り、最適な送信指向性が形成される。
【0203】なお、上述の方法では、所定時間内に測定
された受信電力レベルの平均値を端末側で測定し基地局
側に送り返しているが、この実施の形態2による受信電
力レベルに基づくキャリブレーション方法はこのような
方法に限定されるものではない。
【0204】たとえば、基地局側で補正値を変更しなが
らその都度端末側で測定された受信電力レベルを端末か
ら返送させ、最適な(最小の)受信電力レベルが得られ
た補正値を決定するようにしてもよい。
【0205】図10に示した例では、基地局側において
キャリブレーションの起動条件が満たされたことが判断
されたときに基地局側でキャリブレーション動作を起動
するように構成したものであるが、外部の端末4の方で
キャリブレーションを起動してもよい。
【0206】次に、図11は、図9および図10に示し
た実施の形態2による送信指向性キャリブレーションの
対象となるアダプティブアレイ基地局3の構成を示すブ
ロック図である。
【0207】図11に示したアダプティブアレイ基地局
3は、以下の点を除いて、図4に示したアダプティブア
レイ基地局1と同じであり、共通する部分については説
明を省略する。
【0208】すなわち、図4の実施の形態1のアダプテ
ィブアレイ基地局1におけるユーザ信号処理部50およ
び制御部70が、図11の実施の形態2によるアダプテ
ィブアレイ基地局3では、ユーザ信号処理部130およ
び制御部140に置換えられている。
【0209】図12は、図11に示したユーザ信号処理
部130の構成を示す機能ブロック図である。ユーザ信
号処理部130は、ユーザA信号処理部130aと、ユ
ーザB信号処理部130bとから構成される。ユーザA
信号処理部130aおよびユーザB信号処理部130b
は全く同じ構成を有しており、ユーザA信号処理部13
0aの構成のみ図示し説明することとする。
【0210】図11のアンテナ11に対応する無線部2
1の受信部112からA/D変換器114を介して与え
られたデジタルの受信信号およびアンテナ12に対応す
る無線部22の受信部122からA/D変換器124を
介して与えられたデジタルの受信信号がユーザA信号処
理部130aに与えられる。なお、無線部21および2
2からのこれらの信号は、同様にユーザB信号処理部1
30bにも共通に与えられる。
【0211】以下に、ユーザA信号処理部130aに与
えられたこれらのデジタル信号の処理について説明す
る。ユーザA信号処理部130aに与えられたこれらの
信号に対しては、図12に示す機能ブロック図に従っ
て、当該アダプティブアレイ基地局の図示しないDSP
により、ソフトウェア的に信号処理が施される。
【0212】図12を参照して、無線部21,22より
ユーザA信号処理部130aに与えられた2系統のデジ
タル受信信号からなる受信信号ベクトルx1(t),x
2(t)は、乗算器MR1,MR2のそれぞれの一方入
力に与えられるとともに、受信ウェイトベクトル計算機
132aおよび受信応答ベクトル推定部135aに与え
られる。
【0213】受信ウェイトベクトル計算機132aは、
周知のアダプティブアレイアルゴリズムリズムにより、
アンテナごとのウェイトからなるウェイトベクトル
1,w2を算出し、乗算器MR1,MR2のそれぞれの
他方入力に与えて、対応するアンテナからの受信信号ベ
クトルとそれぞれ複素乗算する。加算器AD1によりそ
の複素乗算結果の総和である受信信号が得られ、モデム
部60に与えられる。
【0214】一方、受信応答ベクトル推定部135a
は、受信信号ベクトルx1(t),x2(t)と、図1
1のモデム部60で復調されたユーザAの信号とに基づ
いて、後述する方法で、ユーザAの端末の信号の受信応
答ベクトルを計算し、強制ヌルウェイト推定部137a
に与える。強制ヌルウェイト推定部137aは、後述す
る方法で、ユーザAの端末にヌルを向ける強制ヌルウェ
イトベクトルを推定し、補正値乗算回路138aに与え
る。補正値乗算回路138aは、強制ヌルウェイトベク
トルに補正値を乗算して補正したものを送信ウェイトベ
クトル計算機134aに与える。
【0215】送信ウェイトベクトル計算機134aに
は、受信ウェイトベクトル計算機132aで計算された
受信ウェイトベクトルも与えられる。
【0216】図11のモデム部60からの送信信号が、
乗算器MT1,MT2のそれぞれの一方入力端子に与え
られ、乗算器MT1,MT2のそれぞれの他方入力端子
には、送信ウェイトベクトル計算機134aから、補正
された強制ヌルウェイトベクトルまたは受信ウェイトベ
クトルが、制御部140からの制御信号に応じて、送信
ウェイトベクトルとして印加される。
【0217】アダプティブアレイ基地局のユーザ信号処
理部として通常の送受信動作を行なうときには受信ウェ
イトベクトルが送信ウェイトべクトルとして選択され、
送信指向性のキャリブレーション時には補正された強制
ヌルウェイトベクトルが送信ウェイトとして選択され
る。
【0218】このように、ユーザA信号処理部130a
で送信ウェイトベクトルとの複素乗算で重み付けされた
デジタル送信信号はそれぞれ無線部21,22に与えら
れる。無線部21,22に与えられたデジタル送信信号
は、それぞれアンテナ11,12を介して送信される。
【0219】次に、受信応答ベクトル推定部135aに
よる受信応答ベクトルの推定について説明する。まず、
受信応答ベクトルの計算の基本的な考え方について説明
する。
【0220】アンテナ11,12における受信信号x1
(t),x2(t)が実施の形態1に関連して説明した
式で表わされるとき、ユーザAの受信応答ベクトルHa
は、次式で表わされる: Ha=[a1,a2]T(Tは転置) ここで、A(t)とB(t)とには相関がないものとす
る。また、参照信号としてA(t)を生成するものとす
る。
【0221】受信応答ベクトル推定部135aは、受信
信号x1(t)に参照信号A*(t)(*は複素共役)
を乗じてアンサンブル平均を取ることにより、次式に基
づいてa1を算出する: E[x1(t)A*(t)]=E[a1A(t)A*
(t)]+E[b1B(t)A*(t)]≒a1 ここで、同一信号間のアンサンブル平均は1、相関が無
い信号間のアンサンブル平均はほぼ0となることから、
E[A(t)A*(t)]=1、E[B(t)A*
(t)]≒0である。
【0222】次に、受信信号x2(t)に対して同様の
計算をすることによってa2を算出する: E[x2(t)A*(t)]=E[a2A(t)A*
(t)]+E[b2B(t)A*(t)]≒a2 以上により、ユーザAの受信応答ベクトルを計算するこ
とができる。
【0223】次に、強制ヌルウェイト推定部137a
は、ユーザAの受信応答ベクトルを受け、ユーザAにヌ
ルが向くようなウェイトベクトル(以下、強制ヌルウェ
イトベクトル)を計算する。以下に、強制ヌルウェイト
ベクトルの計算の基本的な考え方について説明する。
【0224】前述のように、アダプティブアレイの出力
信号を信号A(t)に関する項と信号B(t)に関する
項とに分けると、次式のように表すことができる: (w1a1+w2a2)A(t)+(w1b1+w2b2)
B(t) このとき、ユーザAの端末からの信号A(t)を抑圧す
るために、信号A(t)の係数が全体として0となるよ
うに、重みw1,w2を計算する: w1a1+w2a2=0 受信応答ベクトル計算機132aによって、a1,a2
は既知であるから、上記の式により直接w1,w2を計算
することができる。このように計算されたウェイトを強
制ヌルウェイトと称する。
【0225】送信指向性のキャリブレーション時には、
アダプティブアレイを構成する乗算器MT1,MT2の
一方入力にはそれぞれ送信信号変調部133aから送信
信号が入力され、これらの乗算器の他方入力には強制ヌ
ルウェイト推定部137aで計算され、補正値乗算回路
138aで補正された強制ヌルウェイトベクトルが入力
される。
【0226】図11および図12に示す上述のアダプテ
ィブアレイ基地局3において、この発明の実施の形態2
による送信指向性のキャリブレーション処理がどのよう
に行なわれるかについて以下に説明する。
【0227】図9の(a)に示す外部の端末4のアンテ
ナ4aが、上述の所望信号源(ユーザA)に相当する
(ユーザBに相当する信号源は存在しない)。
【0228】そして、キャリブレーションの対象である
アダプティブアレイ基地局3のユーザA信号処理部13
0a(図12)の受信応答ベクトル推定部135aおよ
び強制ヌルウェイト推定部137aにより、所望信号源
(アンテナ4a)からの信号A(t)に対する係数が0
となるような強制ヌルウェイトw1,w2を求め、補正値
乗算回路138aで補正値を乗算したものを送信ウェイ
トとして使用する。
【0229】これにより、図9の(b)に示すように、
所望信号源(アンテナ4a)にヌルが向いた、送信指向
性パターンが形成される。
【0230】図9および図10に関連して説明したよう
に、外部の端末4からは、測定された受信信号電力レベ
ルが基地局3に送信されてくる。
【0231】この受信電力レベルは、基地局3のモデム
部60で再現され、制御部140に与えられる。制御部
140は、図10で説明した手順で、強制ヌルウェイト
1,w2に乗算される補正値を更新するよう補正値乗算
回路138aを制御する。
【0232】前述のようにアダプティブアレイ基地局3
に対し、キャリブレーションを行なう外部の無線装置2
としては、1本のアンテナを有する端末に用いられる。
【0233】この1本のアンテナを有する端末(以下、
1本アンテナ端末)4の構成を図13に示す。
【0234】図13を参照して、キャリブレーションを
行なうための1本アンテナ端末4の構成について詳細に
説明する。図13の1本アンテナ端末は、アンテナ31
を備えている。アンテナ31は無線部41に接続され
る。
【0235】無線部41は、スイッチ210と、送信部
211と、受信部212と、D/A変換器213と、A
/D変換器214とを備えている。
【0236】受信時には、アンテナ31で受信した信号
が受信部212に与えられるようにスイッチ210は切
換わる。受信部212はローノイズアンプ等を含み、与
えられた受信信号に対し、高周波から低周波への周波数
変換、増幅などの各種のアナログ信号処理を施してA/
D変換器214へ与える。A/D変換器214に与えら
れた受信信号はデジタル信号に変換されてユーザ信号処
理部150に与えられる。ユーザ信号処理部150の内
容については特に限定されない。
【0237】ユーザ信号処理部150は、所定の処理に
より当該端末4に接続している基地局からの受信信号を
抽出する。抽出された基地局からの受信信号は、モデム
部90に与えられて、π/4シフトQPSK復調を含む
所定の処理が施され、もとの信号に復元されて図示しな
いスピーカなどの音声再生装置に供給される。
【0238】一方、送信時には、図示しないマイクなど
の音声信号源から与えられた送信信号は、モデム部90
を介してπ/4シフトQPSK変調を含む所定の処理が
施され、ユーザ信号処理部150に与えられる。
【0239】ユーザ信号処理部150は、モデム部90
から入力された送信信号に所定の処理を施して、無線部
41のD/A変換器213に与える。
【0240】無線部41のD/A変換器213でアナロ
グ信号に変換された送信信号は、ハイパワーアンプ等を
含む送信部211に与えられ、そこで、低周波から高周
波への周波数変換、送信出力レベルまでの増幅など、無
線送信に必要な各種のアナログ信号処理が施される。な
お、送信出力は、図示しない制御部からの指示に応じて
ハイパワーアンプのゲインを制御することによって調整
される。
【0241】送信時には、スイッチ210は、送信部2
11とアンテナ31とを接続するように切換わり、送信
部211で無線処理された送信信号は、アンテナ31か
ら送信される。
【0242】無線部41の受信部212は、アンテナ3
1で受信した信号の電力レベルを測定する機能を有して
おり、これらの受信部で測定された電力レベルは、受信
レベル平均化部160で平均化され、モデム部90に与
えられる。
【0243】図13に示した1本アンテナ端末4を用い
て、この発明の実施の形態2による送信指向性のキャリ
ブレーション処理がどのように行われるかについて説明
する。
【0244】図9の(a)に示す1本アンテナ端末4の
アンテナ4aが、たとえば図13のアンテナ31に相当
する。図13の端末4のアンテナ31からは基地局3に
とっての所望信号が送信される。
【0245】そして、図9の(b)に示すように、基地
局3から向けられたヌルの信号をアンテナ31で受信
し、その電力レベルが受信部212で測定される。
【0246】測定された受信電力レベルは、受信レベル
平均化部160へ与えられ、受信レベル平均化部160
は、前述のように所定期間にわたる受信レベルの平均値
を求め、モデム部90に与える。
【0247】モデム部90は、この受信レベル測定情報
を送信信号に挿入して、基地局3に送信する。基地局3
は、この受信レベル測定情報に基づいて前述のように補
正値乗算回路138a(図12)を制御する。
【0248】次に、この発明の実施の形態2による送信
指向性キャリブレーション方法のうち、図14は、図1
1および図12に示したアダプティブアレイ基地局3側
でソフトウェアで実行される処理を示すフロー図であ
り、図15は、図13に示した1本アンテナ端末4側で
実行される処理を示すフロー図である。
【0249】図14および図15を参照して、実施の形
態2によるキャリブレーション処理について詳細に説明
する。なお、この例では、基地局3側でキャリブレーシ
ョンを起動するものであるが、端末4側でキャリブレー
ションを起動してもよい。
【0250】まず、基地局3側で、図10に関連して説
明したキャリブレーションの起動条件が満たされている
か否かが判定される(図14のステップS301)。起
動条件が満たされていると判定されれば、基地局3側
で、図10に関連して説明したキャリブレーションの測
定条件が満たされているか否かが判定される(図14の
ステップS302)。
【0251】測定条件が満たされていると判定されれ
ば、基地局3から端末4へキャリブレーション測定要求
が送信される(図14のステップS303)。
【0252】端末4では、基地局3からのキャリブレー
ション測定要求を受信したか否かが判定され(図15の
ステップS401)、受信したと判定されると、図10
に関連して説明したキャリブレーションの測定条件が満
たされているか否かが判定される(図15のステップS
402)。
【0253】測定条件が満たされていると判定されれ
ば、端末4から基地局3へキャリブレーション測定指示
が送信される(図15のステップS403)。
【0254】基地局3側では、メッセージ受信タイマが
満了するまでに(図14のステップS305)、端末4
からのキャリブレーション測定指示を受信したか否かが
判定され(図14のステップS304)、満了するまで
に受信しなければステップS303に戻ってキャリブレ
ーション測定要求を再度端末4に送信する。
【0255】メッセージ受信タイマが満了するまでに
(図14のステップS305)、端末4からのキャリブ
レーション測定指示を受信したことが判定されると(図
14のステップS304)、基地局3と端末4とのデー
タ通信中に、図9および図10に関連して説明したよう
に、端末4によるデータ送信および受信信号の受信電力
レベルの測定(図15のステップS404)、および基
地局3による強制ヌルウェイトに所定の補正値を乗算し
たアレイ送受信(図14のステップS306)が実行さ
れる。
【0256】このような基地局3と端末4との間の送受
信は、基地局3および端末4の双方において、キャリブ
レーション測定タイマが満了するまで実行される(図1
4のステップS307および図15のステップS40
5)。
【0257】端末4側では、キャリブレーション測定タ
イマが満了するまでの期間中に測定された電力レベルの
平均値が算出され、基地局3に送信される(図15のス
テップS406)。
【0258】基地局3側では、端末4から受信電力レベ
ルの測定結果(平均値)を受信したか否かが判定され
(図14のステップS308)、受信したことが判定さ
れると、その受信レベルの記録が実行される(図14の
ステップS309)。
【0259】そして、複数の所定の補正値での受信レベ
ルの記録がすべて終了したか否かが判定され(図14の
ステップS310)、終了していないことが判断されれ
ば、ステップS303のキャリブレーション測定要求に
戻り、ステップS306のアレイ送受信時に強制ヌルウ
ェイトに乗算する補正値を更新して、端末4による受信
レベルの測定をやり直す。
【0260】基地局3においてこのように、所定の補正
値のすべてに対して受信レベルが測定されたと判定され
るまで(図14のステップS310)、基地局3および
端末4によるキャリブレーション処理は継続される。
【0261】所定の補正値のすべてに対して受信レベル
が測定されたと判定されると(図14のステップS31
0)、基地局3から端末4にキャリブレーション終了通
知が送信される(図14のステップS311)。そし
て、すべての補正値に対する受信レベルのうち、最低の
受信レベルに対応する補正値がキャリブレーション補正
値として決定され、既存のキャリブレーション補正値
が、この決定された補正値で更新(書換え)される(図
14のステップS312)。そして基地局3は処理を終
了する。
【0262】端末4側では、キャリブレーション終了通
知が受信されたことが判定されるまでキャリブレーショ
ン処理が実行され、キャリブレーション終了通知が受信
されたことが判定されると(図15のステップS40
7)、端末4は処理を終了する。
【0263】以上のように、この発明の実施の形態2で
は、1本のアンテナを有する端末4から、キャリブレー
ションの対象となるアダプティブアレイ基地局3に所望
信号を送り、アダプティブアレイ基地局3のアレイアン
テナのすべてのアンテナでこれらの信号を一度にアレイ
受信するように構成している。
【0264】したがって、キャリブレーションの対象と
なるアダプティブアレイ基地局3において、アンテナの
組合せを変えながらキャリブレーションを繰返す必要が
なくなり、キャリブレーションに要する時間を著しく短
縮することができ、またすべてのアンテナで受信するた
め受信性能が向上し、キャリブレーションの精度を高め
ることができる。
【0265】また、キャリブレーションの対象となる基
地局3からある程度離れた位置にある外部の端末4から
キャリブレーション用の信号を受信しているので、送受
信信号の電力制御が簡略化され、また外部の端末4に対
する送信指向性パターンの分解能を向上させることがで
きる。
【0266】今回開示された実施の形態はすべての点で
例示であって制限的なものではないと考えられるべきで
ある。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求
の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味お
よび範囲内でのすべての変更が含まれることが意図され
る。
【0267】
【発明の効果】以上のように、この発明では、外部の端
末または他の基地局から、キャリブレーションの対象と
なる基地局にキャリブレーション用の信号を送り、キャ
リブレーションの対象となる基地局のアレイアンテナの
すべてのアンテナでこれらの信号を一度にアレイ受信す
るように構成している。
【0268】したがって、キャリブレーションに要する
時間を著しく短縮することができ、送受信信号の電力制
御を簡略化することができ、さらにキャリブレーション
の精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1によるキャリブレー
ション方法の原理を模式的に示す概念図である。
【図2】 この発明の実施の形態1によるキャリブレー
ション方法の手順を示すタイミング図である。
【図3】 この発明の実施の形態1によるキャリブレー
ション方法の手順の他の例を示すタイミング図である。
【図4】 この発明の実施の形態1によるキャリブレー
ションの対象となる基地局の構成を示すブロック図であ
る。
【図5】 図4に示すユーザ信号処理部50の構成を示
す機能ブロック図である。
【図6】 この発明の実施の形態1によるキャリブレー
ションを行なう端末の構成を示すブロック図である。
【図7】 この発明の実施の形態1によるキャリブレー
ションの対象となる基地局の動作を示すフロー図であ
る。
【図8】 この発明の実施の形態1によるキャリブレー
ションを行なう端末の動作を示すフロー図である。
【図9】 この発明の実施の形態2によるキャリブレー
ション方法の原理を模式的に示す概念図である。
【図10】 この発明の実施の形態2によるキャリブレ
ーション方法の手順を示すタイミング図である。
【図11】 この発明の実施の形態2によるキャリブレ
ーションの対象となる基地局の構成を示すブロック図で
ある。
【図12】 図11に示すユーザ信号処理部120の構
成を示す機能ブロック図である。
【図13】 この発明の実施の形態2によるキャリブレ
ーションを行なう端末の構成を示すブロック図である。
【図14】 この発明の実施の形態2によるキャリブレ
ーションの対象となる基地局の動作を示すフロー図であ
る。
【図15】 この発明の実施の形態2によるキャリブレ
ーションを行なう端末の動作を示すフロー図である。
【符号の説明】
1,3 基地局、2 2本アンテナ端末、4 1本アン
テナ端末、11,12,31,32 アンテナ、21,
22,41,42 無線部、50,80,130,15
0 ユーザ信号処理部、60,90 モデム部、70,
140 制御部、100 DU比測定部、160 受信
レベル平均化部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中尾 正悟 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 牧田 崇顕 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 Fターム(参考) 5J021 AA02 DB01 EA04 GA06 GA08 HA10 JA10 5K067 AA21 BB04 EE10 KK02 KK03

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のアンテナを用いてアダプティブア
    レイ処理による信号受信を行なう無線基地装置であっ
    て、 特定の無線装置から送信されてくる所定の信号を受信し
    て、前記受信した所定の信号に基づいて前記特定の無線
    装置に対する送信指向性パターンを形成するためのウェ
    イト情報を計算する手段と、 前記計算されたウェイト情報を補正する手段と、 前記補正されたウェイト情報に基づく送信指向性パター
    ンで前記特定の無線装置に所定の信号を送信する手段
    と、 前記特定の無線装置で受信した前記所定の信号の受信レ
    ベルに関する情報を前記特定の無線装置から受信して、
    前記受信した受信レベルに関する情報に基づいて前記特
    定の無線装置における受信レベルが最適となる前記ウェ
    イト情報の補正の値を決定する手段とを備えた、無線基
    地装置。
  2. 【請求項2】 複数のアンテナを用いてアダプティブア
    レイ処理による信号受信を行なう無線基地装置であっ
    て、 特定の無線装置から送信されてくる所望信号および干渉
    信号を受信して、前記受信した所望信号および干渉信号
    に基づいて前記所望信号の方向にビームを向けかつ前記
    干渉信号の方向にヌルを向ける送信指向性パターンを形
    成するためのウェイト情報を計算する手段と、 前記計算されたウェイト情報を補正する手段と、 前記補正されたウェイト情報に基づく送信指向性パター
    ンで前記特定の無線装置に所定の信号を送信する手段
    と、 前記特定の無線装置で受信した前記ビームの受信レベル
    と前記ヌルの受信レベルとの受信レベルに関する情報を
    前記特定の無線装置から受信して、前記受信した受信レ
    ベルに関する情報に基づいて前記特定の無線装置におけ
    る受信レベルに関する情報が最適となる前記ウェイト情
    報の補正の値を決定する手段とを備えた、無線基地装
    置。
  3. 【請求項3】 前記受信レベルに関する情報は、前記ビ
    ームの受信レベルと前記ヌルの受信レベルとの受信レベ
    ル比である、請求項2に記載の無線基地装置。
  4. 【請求項4】 前記ウェイト情報を計算する手段は、前
    記所望信号を受信するために計算された受信ウェイトを
    前記ウェイト情報として供給する手段を含む、請求項2
    に記載の無線基地装置。
  5. 【請求項5】 複数のアンテナを用いてアダプティブア
    レイ処理による信号受信を行なう無線基地装置であっ
    て、 特定の無線装置から送信されてくる所望信号を受信し
    て、前記受信した所望信号に基づいて前記所望信号の方
    向にヌルを向ける送信指向性パターンを形成するための
    ウェイト情報を計算する手段と、 前記計算されたウェイト情報を補正する手段と、 前記補正されたウェイト情報に基づく送信指向性パター
    ンで前記特定の無線装置に所定の信号を送信する手段
    と、 前記特定の無線装置で受信した前記所定の信号の受信レ
    ベルを前記特定の無線装置から受信して、前記受信した
    受信レベルに基づいて前記特定の無線装置における受信
    レベルが最適となる前記ウェイト情報の補正の値を決定
    する手段とを備えた、無線基地装置。
  6. 【請求項6】 前記ウェイト情報を計算する手段は、 前記所望信号に基づいて受信応答ベクトルを計算する手
    段と、 前記受信応答ベクトルに基づいて前記ウェイト情報を計
    算する手段とを含む、請求項5に記載の無線基地装置。
  7. 【請求項7】 複数のアンテナを用いてアダプティブア
    レイ処理による信号受信を行なう無線基地装置における
    送信指向性のキャリブレーション方法であって、 特定の無線装置から送信されてくる所定の信号を受信し
    て、前記受信した所定の信号に基づいて前記特定の無線
    装置に対する送信指向性パターンを形成するためのウェ
    イト情報を計算するステップと、 前記計算されたウェイト情報を補正するステップと、 前記補正されたウェイト情報に基づく送信指向性パター
    ンで前記特定の無線装置に所定の信号を送信するステッ
    プと、 前記特定の無線装置で受信した前記所定の信号の受信レ
    ベルに関する情報を前記特定の無線装置から受信して、
    前記受信した受信レベルに関する情報に基づいて前記特
    定の無線装置における受信レベルが最適となる前記ウェ
    イト情報の補正の値を決定するステップとを備えた、キ
    ャリブレーション方法。
  8. 【請求項8】 複数のアンテナを用いてアダプティブア
    レイ処理による信号受信を行なう無線基地装置における
    送信指向性のキャリブレーション方法であって、 特定の無線装置から送信されてくる所望信号および干渉
    信号を受信して、前記受信した所望信号および干渉信号
    に基づいて前記所望信号の方向にビームを向けかつ前記
    干渉信号の方向にヌルを向ける送信指向性パターンを形
    成するためのウェイト情報を計算するステップと、 前記計算されたウェイト情報を補正するステップと、 前記補正されたウェイト情報に基づく送信指向性パター
    ンで前記特定の無線装置に所定の信号を送信するステッ
    プと、 前記特定の無線装置で受信した前記ビームの受信レベル
    と前記ヌルの受信レベルとの受信レベルに関する情報を
    前記特定の無線装置から受信して、前記受信した受信レ
    ベルに関する情報に基づいて前記特定の無線装置におけ
    る受信レベルに関する情報が最適となる前記ウェイト情
    報の補正の値を決定するステップとを備えた、キャリブ
    レーション方法。
  9. 【請求項9】 前記受信レベルに関する情報は、前記ビ
    ームの受信レベルと前記ヌルの受信レベルとの受信レベ
    ル比である、請求項8に記載のキャリブレーション方
    法。
  10. 【請求項10】 前記ウェイト情報を計算するステップ
    は、前記所望信号を受信するために計算された受信ウェ
    イトを前記ウェイト情報として供給するステップを含
    む、請求項8に記載のキャリブレーション方法。
  11. 【請求項11】 複数のアンテナを用いてアダプティブ
    アレイ処理による信号受信を行なう無線基地装置におけ
    る送信指向性のキャリブレーション方法であって、 特定の無線装置から送信されてくる所望信号を受信し
    て、前記受信した所望信号に基づいて前記所望信号の方
    向にヌルを向ける送信指向性パターンを形成するための
    ウェイト情報を計算するステップと、 前記計算されたウェイト情報を補正するステップと、 前記補正されたウェイト情報に基づく送信指向性パター
    ンで前記特定の無線装置に所定の信号を送信するステッ
    プと、 前記特定の無線装置で受信した前記所定の信号の受信レ
    ベルを前記特定の無線装置から受信して、前記受信した
    受信レベルに基づいて前記特定の無線装置における受信
    レベルが最適となる前記ウェイト情報の補正の値を決定
    するステップとを備えた、キャリブレーション方法。
  12. 【請求項12】 前記ウェイト情報を計算するステップ
    は、 前記所望信号に基づいて受信応答ベクトルを計算するス
    テップと、 前記受信応答ベクトルに基づいて前記ウェイト情報を計
    算するステップとを含む、請求項11に記載のキャリブ
    レーション方法。
  13. 【請求項13】 複数のアンテナを用いてアダプティブ
    アレイ処理による信号受信を行なう無線基地装置におけ
    る送信指向性のキャリブレーションプログラムであっ
    て、コンピュータに、 特定の無線装置から送信されてくる所定の信号を受信し
    て、前記受信した所定の信号に基づいて前記特定の無線
    装置に対する送信指向性パターンを形成するためのウェ
    イト情報を計算するステップと、 前記計算されたウェイト情報を補正するステップと、 前記補正されたウェイト情報に基づく送信指向性パター
    ンで前記特定の無線装置に所定の信号を送信するステッ
    プと、 前記特定の無線装置で受信した前記所定の信号の受信レ
    ベルに関する情報を前記特定の無線装置から受信して、
    前記受信した受信レベルに関する情報に基づいて前記特
    定の無線装置における受信レベルが最適となる前記ウェ
    イト情報の補正の値を決定するステップとを実行させ
    る、キャリブレーションプログラム。
  14. 【請求項14】 複数のアンテナを用いてアダプティブ
    アレイ処理による信号受信を行なう無線基地装置におけ
    る送信指向性のキャリブレーションプログラムであっ
    て、コンピュータに、 特定の無線装置から送信されてくる所望信号および干渉
    信号を受信して、前記受信した所望信号および干渉信号
    に基づいて前記所望信号の方向にビームを向けかつ前記
    干渉信号の方向にヌルを向ける送信指向性パターンを形
    成するためのウェイト情報を計算するステップと、 前記計算されたウェイト情報を補正するステップと、 前記補正されたウェイト情報に基づく送信指向性パター
    ンで前記特定の無線装置に所定の信号を送信するステッ
    プと、 前記特定の無線装置で受信した前記ビームの受信レベル
    と前記ヌルの受信レベルとの受信レベルに関する情報を
    前記特定の無線装置から受信して、前記受信した受信レ
    ベルに関する情報に基づいて前記特定の無線装置におけ
    る受信レベルに関する情報が最適となる前記ウェイト情
    報の補正の値を決定するステップとを実行させる、キャ
    リブレーションプログラム。
  15. 【請求項15】 前記受信レベルに関する情報は、前記
    ビームの受信レベルと前記ヌルの受信レベルとの受信レ
    ベル比である、請求項14に記載のキャリブレーション
    プログラム。
  16. 【請求項16】 前記ウェイト情報を計算するステップ
    は、前記所望信号を受信するために計算された受信ウェ
    イトを前記ウェイト情報として供給するステップを含
    む、請求項14に記載のキャリブレーションプログラ
    ム。
  17. 【請求項17】 複数のアンテナを用いてアダプティブ
    アレイ処理による信号受信を行なう無線基地装置におけ
    る送信指向性のキャリブレーションプログラムであっ
    て、コンピュータに、 特定の無線装置から送信されてくる所望信号を受信し
    て、前記受信した所望信号に基づいて前記所望信号の方
    向にヌルを向ける送信指向性パターンを形成するための
    ウェイト情報を計算するステップと、 前記計算されたウェイト情報を補正するステップと、 前記補正されたウェイト情報に基づく送信指向性パター
    ンで前記特定の無線装置に所定の信号を送信するステッ
    プと、 前記特定の無線装置で受信した前記所定の信号の受信レ
    ベルを前記特定の無線装置から受信して、前記受信した
    受信レベルに基づいて前記特定の無線装置における受信
    レベルが最適となる前記ウェイト情報の補正の値を決定
    するステップと実行させる、キャリブレーションプログ
    ラム。
  18. 【請求項18】 前記ウェイト情報を計算するステップ
    は、 前記所望信号に基づいて受信応答ベクトルを計算するス
    テップと、 前記受信応答ベクトルに基づいて前記ウェイト情報を計
    算するステップとを含む、請求項17に記載のキャリブ
    レーションプログラム。
  19. 【請求項19】 複数のアンテナを用いてアダプティブ
    アレイ処理による信号受信を行なう無線基地装置のキャ
    リブレーション方法であって、 特定の無線装置から前記無線基地装置に所定の信号を送
    信するステップと、 前記無線基地装置において受信した前記所定の信号に基
    づいて前記特定の無線装置に対する送信指向性パターン
    を形成するためのウェイト情報を計算するステップと、 前記計算されたウェイト情報を補正するステップと、 前記補正されたウェイト情報に基づいて送信指向性パタ
    ーンで前記無線基地装置から前記特定の無線装置に所定
    の信号を送信するステップと、 前記特定の無線装置において受信した前記所定の信号の
    受信レベルに関する情報を測定するステップと、 前記測定された受信レベルに関する情報を前記特定の無
    線装置から前記無線基地装置に送信するステップと、 前記無線基地装置において受信した前記情報に基づい
    て、前記特定の無線装置における受信レベルが最適とな
    る前記ウェイト情報の補正の値を決定するステップとを
    備えた、キャリブレーション方法。
  20. 【請求項20】 複数のアンテナを用いてアダプティブ
    アレイ処理による信号受信を行なう無線基地装置のキャ
    リブレーション方法であって、 少なくとも2本のアンテナを有する特定の無線装置から
    前記無線基地装置に、前記少なくとも2本のアンテナを
    用いて前記無線基地装置にとっての所望信号および干渉
    信号をそれぞれ送信するステップと、 前記無線基地装置において受信した前記所望信号および
    前記干渉信号に基づいて、前記特定の無線装置の前記所
    望信号を送信したアンテナに対しビームを向けかつ前記
    干渉信号を送信したアンテナに対しヌルを向ける送信指
    向性パターンを形成するためのウェイト情報を計算する
    ステップと、 前記計算されたウェイト情報を補正するステップと、 前記補正されたウェイト情報に基づく送信指向性パター
    ンで前記無線基地装置から前記特定の無線装置に所定の
    信号を送信するステップと、 前記特定の無線装置において、前記所望信号を送信した
    アンテナで受信した前記所定の信号の受信レベルと前記
    干渉信号を送信したアンテナで受信した前記所定の信号
    の受信レベルとの受信レベルに関する情報を測定するス
    テップと、 前記測定された受信レベルに関する情報を前記特定の無
    線装置から前記無線基地装置に送信するステップと、 前記無線基地装置において受信した前記受信レベルに関
    する情報に基づいて、前記特定の無線装置における受信
    レベルに関する情報が最適となる前記ウェイト情報の補
    正の値を決定するステップとを備えた、キャリブレーシ
    ョン方法。
  21. 【請求項21】 前記受信レベルに関する情報は、前記
    所望信号を送信したアンテナにおける受信レベルと前記
    干渉信号を送信したアンテナにおける受信レベルとの受
    信レベル比である、請求項20に記載のキャリブレーシ
    ョン方法。
  22. 【請求項22】 前記受信レベルに関する情報を測定す
    るステップは、前記受信レベル比を所定期間にわたって
    平均したものを供給するステップを含む、請求項21に
    記載のキャリブレーション方法。
  23. 【請求項23】 複数のアンテナを用いてアダプティブ
    アレイ処理による信号受信を行なう無線基地装置のキャ
    リブレーション方法であって、 1本のアンテナを有する特定の無線装置から前記無線基
    地装置に、前記1本のアンテナを用いて前記無線基地装
    置にとっての所望信号を送信するステップと、 前記無線基地装置において受信した前記所望信号に基づ
    いて、前記特定の無線装置の前記1本のアンテナに対し
    ヌルを向ける送信指向性パターンを形成するためのウェ
    イト情報を計算するステップと、 前記計算されたウェイト情報を補正するステップと、 前記補正されたウェイト情報に基づく送信指向性パター
    ンで前記無線基地装置から前記特定の無線装置に所定の
    信号を送信するステップと、 前記特定の無線装置において、前記1本のアンテナで受
    信した前記所定の信号の受信レベルを測定するステップ
    と、 前記測定された受信レベルを前記特定の無線装置から前
    記無線基地装置に送信するステップと、 前記無線基地装置において受信した前記受信レベルに基
    づいて、前記特定の無線装置における受信レベルが最小
    となる前記ウェイト情報の補正の値を決定するステップ
    とを備えた、キャリブレーション方法。
  24. 【請求項24】 前記受信レベルを測定するステップ
    は、前記受信レベルを所定期間にわたって平均したもの
    を前記測定された受信レベルとして供給するステップを
    含む、請求項23に記載のキャリブレーション方法。
  25. 【請求項25】 前記キャリブレーション方法は前記無
    線基地装置によって起動される、請求項19から24の
    いずれかに記載のキャリブレーション方法。
  26. 【請求項26】 前記キャリブレーション方法は前記特
    定の無線装置によって起動される、請求項19から24
    のいずれかに記載のキャリブレーション方法。
  27. 【請求項27】 前記特定の無線装置は無線端末装置で
    ある、請求項19から24のいずれかに記載のキャリブ
    レーション方法。
  28. 【請求項28】 前記特定の無線装置は他の無線基地装
    置である、請求項19から24のいずれかに記載のキャ
    リブレーション方法。
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