JP2003081816A - アスピリン含有経皮吸収貼付剤 - Google Patents

アスピリン含有経皮吸収貼付剤

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粘着基剤層中に薬効成分としてアスピリンを
含有する経皮吸収貼付剤であって、アスピリンの保存安
定性と経皮吸収性が共に優れた経皮吸収貼付剤を提供す
ること。 【解決手段】 支持体上に、アスピリンを含有するシリ
コーン系粘着基剤層を設けた、アスピリンの保存安定性
と経皮吸収性が共に優れたアスピリン含有経皮吸収貼付
剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粘着基剤層中に薬
効成分としてアスピリンを含有する経皮吸収貼付剤に関
し、さらに詳しくは、アスピリンの保存安定性と経皮吸
収性に優れた経皮吸収貼付剤に関する。本発明のアスピ
リン含有経皮吸収貼付剤は、粘着基剤層中のアスピリン
の分解が抑制されているため、長期間にわたって安定的
に保存することができる。
【0002】
【従来の技術】アスピリン(即ち、アセチルサリチル
酸)は、代表的な非ステロイド系消炎鎮痛薬の一つであ
り、解熱、消炎、鎮痛などの他、近年、脳卒中、心筋梗
塞、末梢循環不全の再発予防のための抗血小板剤とし
て、一般家庭や医療機関等で広く用いられている。アス
ピリンは、一般に、内服剤として経口投与されている
が、副作用として消化管障害や耳鳴りが現われることが
ある。
【0003】アスピリンの経口投与に伴う副作用を緩和
するために、アスピリンの坐剤が用いられている。しか
し、坐剤は、適用部位が直腸に限定されており、投与が
わずらわしい。また、アスピリンの内服剤や坐剤は、全
身性の鎮痛解熱剤として作用する反面、投与後には短時
間で薬効が失われてしまうため、薬効の持続性を確保す
るには、頻繁に投与を行う必要がある。また、腸溶錠も
開発されているが、消化管障害を完全に防ぐには到って
いない。
【0004】アスピリン製剤の副作用を抑制し、薬効を
持続させるために、アスピリンの外用製剤化の検討がな
されている。アスピリンを外用製剤化して経粘膜投与ま
たは経皮投与することができれば、経口投与による胃腸
障害などの副作用を緩和もしくは抑制することが期待で
きる。また、外用製剤の剤型によっては、適用が簡単か
つ容易になる。特に、外用製剤の経皮投与により、アス
ピリンを徐々に経皮吸収させることができれば、薬効を
長時間にわたって持続させることが可能となり、薬物投
与量を精密に制御することもできる。
【0005】しかし、アスピリンの外用製剤化には、克
服すべき諸問題がある。最も重要な問題点は、アスピリ
ンが加水分解を受け易いことである。アスピリンは、水
と加熱するか、あるいはアルカリ性水溶液に溶解させる
と、加水分解されてサリチル酸と酢酸になることが知ら
れているが、湿った空気中でも徐々に加水分解されてし
まう。このように、アスピリンは、僅かな水分の存在下
でも徐々に加水分解を受けて、薬効を喪失してしまう。
【0006】アスピリンの外用製剤は、アスピリンの少
なくとも一部を溶解状態で含有するため、アスピリンを
結晶状態で含有している内服薬に比べて、水分の影響を
受け易く、保存安定性に劣る。そのため、アスピリンの
外用製剤は、適用時に薬効を喪失していたり、所定量を
投与することができなくなるといった問題があった。
【0007】また、アスピリンの外用製剤化は、アスピ
リンを安定して含有することに加えて、適用が簡単かつ
容易であること、さらには、投与量を精密に制御できる
ことが求められている。しかし、これまでに提案されて
いるアスピリン含有外用製剤は、これらの要求に充分に
応えることができていない。
【0008】具体的に、アスピリン含有外用製剤とし
て、例えば、アスピリンを薬効成分とする水溶液、懸濁
液、ゲル、軟膏、パップ剤、貼付剤(テープ剤)などが
提案されている。しかし、これらの中で、水溶液、懸濁
液、ゲル、軟膏などの製剤は、主として鼻粘膜投与され
ており、経皮投与には不向きである。外用製剤の鼻粘膜
投与は、必ずしも適用が容易ではなく、不快感を与える
こともある。一方、これらの製剤を経皮投与すると、経
皮吸収性が不充分であったり、皮膚面に塗布した製剤が
衣服に付着したり、ベトツキ感がして不快であったり、
投与量を精密に制御することができないなどの問題が生
じる。
【0009】しかも、アスピリンは、水溶液や懸濁液な
どの剤型にすると、製剤中の水分と接触して加水分解を
受けるため、早期に薬効を喪失してしまう。ゲルや軟膏
などの製剤は、アスピリンの水溶液や懸濁液などに比較
すれば、保存安定性が比較的良好である。しかし、これ
らの製剤中においても、アスピリンは、その一部または
全部が溶解状態で存在しているため、水分の影響を受け
易く、保存安定性が充分ではない。ハイドロゲル剤であ
るパップ剤は、アスピリンの保存安定性が不充分であ
り、皮膚面への接着性にも劣っている。
【0010】外用製剤の中でも、薬物を含有する粘着基
剤層が支持体上に形成された形態の貼付剤は、一般に、
皮膚への適用が簡単かつ容易であり、薬物投与量の制御
や薬効の持続性の点でも優れている。そのため、アスピ
リンを含有する貼付剤について、幾つかの提案がなされ
ている。
【0011】例えば、特開平6−72879号公報に
は、支持体上に、アスピリンを含有する粘着基剤層が設
けられている経皮吸収製剤において、粘着基剤として特
定のアクリル系共重合体を使用することが提案されてい
る。このアスピリン含有経皮吸収製剤は、アスピリンの
経皮吸収性が良好であり、保存安定性も改善されてい
る。しかし、アクリル系粘着剤を粘着基剤とするアスピ
リン含有経皮吸収製剤は、比較的短期間の保存安定性は
良好であるものの、保存期間が長くなると、アスピリン
の加水分解が急速に進行する。
【0012】そこで、特開平6−183980号公報に
は、アクリル系粘着剤を粘着基剤とするアスピリン含有
貼付剤を袋体に収納するとともに、袋体を真空乾燥機に
より真空乾燥し、次いで、袋体内部を乾燥空気で置換
し、しかる後、ホットメルト粘着剤層を形成した袋体の
開封部を熱圧着して密封することにより、アスピリン含
有貼付剤の保存安定性を改善する方法が提案されてい
る。
【0013】上記公報には、真空乾燥により粘着基剤層
中の含水率を0.15重量%以下とするために、アスピ
リン含有貼付剤を袋体に収納した後、真空乾燥機に入れ
て、常温で24時間真空乾燥を行ったことが記載されて
いる。しかし、この方法は、貼付剤の含水率を低下させ
るために、長時間の真空乾燥を行わなければならず、処
理が煩雑で生産性に劣る。しかも、この方法を採用して
も、長期間にわたって充分な保存安定性を得ることが困
難である。
【0014】また、貼付剤における薬物の経皮吸収性
は、薬物の種類、粘着剤の組成などによって大きく影響
されるため、アスピリンを単に粘着基剤層に含有させた
だけでは、経皮吸収性に優れた貼付剤を得ることはでき
ない。実際、粘着基剤として、アクリル系粘着剤に代え
て、汎用のゴム系粘着剤を用いても、アスピリンの経皮
吸収性が良好な貼付剤を得ることができない。したがっ
て、アスピリンの経皮吸収性と保存安定性とを共に満足
するアスピリン含有経皮吸収貼付剤を得ることは、従来
技術水準からみて、極めて困難な課題であった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、粘着
基剤層中に薬効成分としてアスピリンを含有する経皮吸
収貼付剤であって、アスピリンの保存安定性と経皮吸収
性が共に優れた経皮吸収貼付剤を提供することにある。
【0016】本発明者らは、前記目的を達成するために
鋭意研究した結果、支持体上に、アスピリンを含有する
シリコーン系粘着基剤層を設けることにより、アスピリ
ンの経皮吸収性が良好であり、かつ、アスピリンの加水
分解が高度に抑制されて、長期間にわたって安定的に保
存することができるアスピリン含有経皮吸収貼付剤の得
られることを見いだした。また、特定の化合物を経皮吸
収促進剤として使用することにより、貼付剤の保存安定
性を損なうことなく、アスピリンの経皮吸収性を顕著に
高めることができることを見いだした。本発明は、これ
らの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、支持体上に、アスピリンを含有するシリコーン系粘
着基剤層を設けたことを特徴とするアスピリン含有経皮
吸収貼付剤が提供される。また、本発明によれば、シリ
コーン系粘着基剤層が、経皮吸収促進剤としてプロピレ
ングリコール脂肪酸エステルをさらに含有する前記アス
ピリン含有経皮吸収貼付剤が提供される。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明では、粘着基剤として、シ
リコーン系粘着剤を使用する。シリコーン系粘着剤とし
ては、特に限定されず、粘着剤の技術分野において使用
されているものであれば使用することができる。シリコ
ーン系粘着剤は、一般に、シリコーンゴムとシリコーン
レジンからなるシリコーン組成物を溶剤に溶解させた粘
着剤溶液として使用される。シリコーン系粘着剤溶液を
支持体などの表面に塗布し、乾燥することによって、粘
着基剤層を形成することができる。粘着基剤層は、乾燥
時または乾燥後に、必要に応じて加熱キュアすることが
できる。粘着剤溶液には、必要に応じて、縮合触媒、充
填剤、可塑剤、その他の添加剤などを含有させることが
できる。
【0019】シリコーンゴムとしては、ビニルシリコー
ンゴム、フェニルメチルシリコーンゴム、フェニルビニ
ルシリコーンゴムなどが代表的なものである。粘着剤用
のシリコーンゴムの平均分子量は、通常、15,000
〜500,000程度である。シリコーンゴムは、必要
に応じて加熱キュアすることにより、凝集力を付与する
ことができる。加熱キュアする場合には、所望により、
有機過酸化物などの縮合触媒を存在させることができ
る。
【0020】シリコーンレジンは、一般に、数種のオル
ガノクロルシランの混合物を加水分解し、次いで、脱水
縮合反応させることにより得られる複雑な三次元構造を
有する樹脂である。シリコーンレジンは、シラノール基
(SiOH)が粘着剤としての濡れ、粘着性など特性に
関与する。
【0021】シリコーン系粘着剤溶液の代表的な組成
は、シリコーンゴム100重量部に対して、シリコーン
レジン70〜150重量部、好ましくは80〜120重
量部、縮合触媒0〜1重量部、好ましくは0〜0.5重
量部、及び溶剤100〜150重量部である。溶剤とし
ては、ヘプタン、トルエン、キシレンなどが挙げられ
る。シリコーン系粘着剤の凝集力が不足する場合には、
軽質無水珪酸、酸化チタンなどの充填剤を加えることに
より、それを補うことができる。これらの充填剤は、シ
リコーンゴム100重量部に対して、通常、0〜150
重量部、好ましくは0〜100重量部の割合で使用され
る。
【0022】アスピリンは、メタノール、エタノール、
アセトンなどの良溶剤に溶解させる。得られたアスピリ
ン溶液は、シリコーン系粘着剤溶液に添加する。アスピ
リンは、粘着基剤層を構成する全固形分基準で、通常1
〜30重量%、好ましくは3〜25重量%、より好まし
くは5〜20重量%の割合で使用する。アスピリンの含
有量が少なすぎると、薬効及び薬効の持続性が低下す
る。アスピリンの含有量が多すぎると、シリコーン系粘
着剤の中に均一に溶解もしくは分散させることが困難に
なる。粘着基剤層を形成する全固形分基準とは、溶剤以
外の全成分の重量を基準とすることを意味するものとす
る。
【0023】本発明では、アスピリンの経皮吸収性を高
めるために、粘着基剤層に経皮吸収促進剤を含有させる
ことができる。経皮吸収促進剤としては、例えば、プロ
ピレングリコール、プロピレングリコール脂肪酸エステ
ル、オレイン酸、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチル
スルホキシド、エタノール、リモネンなどが挙げられ
る。
【0024】これらの経皮吸収促進剤の中でも、シリコ
ーン系粘着剤からなる粘着基剤中でのアスピリンの経皮
吸収性を顕著に高める観点から、プロピレングリコール
脂肪酸エステルが好ましい。プロピレングリコール脂肪
酸エステルとしては、プロピレングリコールモノカプリ
レート、プロピレングリコールモノラウレートなどが好
ましい。
【0025】経皮吸収促進剤は、シリコーン系粘着剤溶
液に添加して使用する。経皮吸収促進剤は、粘着基剤層
を構成する全固形分基準で、通常0〜30重量%の割合
で使用される。経皮吸収促進剤を添加する場合には、好
ましくは1〜30重量%、より好ましくは2〜25重量
%、さらに好ましくは3〜20重量%の割合で添加す
る。経皮吸収促進剤の使用量が少なすぎると、アスピリ
ンの経皮吸収性を高める作用が低下する。経皮吸収促進
剤の使用量が多すぎると、貼付剤の粘着性が低下した
り、アスピリンの安定性が損なわれるおそれが生じる。
【0026】本発明では、一般に、溶液塗工法により、
粘着基剤層を形成する。シリコーン系粘着剤、アスピリ
ン、必要に応じて、経皮吸収促進剤、充填剤などを含有
する粘着剤溶液を支持体上及び/または剥離紙上に塗工
し、乾燥して、粘着基剤層を形成する。支持体及び剥離
紙のそれぞれの面上に粘着基剤層を形成し、両層を粘着
面同士で貼り合わせてもよい。
【0027】より具体的に、粘着剤溶液を、ナイフコー
ター、コンマコーター、リバースコーター等の塗工機を
用いて、例えば、シリコーン処理したPETフィルムな
どの剥離紙上に均一に塗布する。塗布後、40〜120
℃程度の温度に保持した乾熱雰囲気下に1〜10分間程
度の時間置き、有機溶剤を揮散させる。その際、使用す
る有機溶剤の種類及び塗布する粘着基剤層の厚さによ
り、適切な乾燥条件を設定する。粘着剤溶液を塗布後、
乾燥時にシリコーン系粘着剤を加熱キュアしてもよい。
【0028】支持体としては、フィルム(シートを含
む)、不織布、織布、和紙などの柔軟性を有するものが
使用される。支持体は、それぞれ単層で用いることがで
きるが、所望により、不織布とフィルムのラミネート複
合体などのように積層体として使用することもできる。
【0029】フィルム(シート)の材質としては、ポリ
エチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹
脂;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂;
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系
樹脂;セロハン、ポリビニルアルコール、エチレン・ビ
ニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビ
ニリデン、ポリスチレン、ポリウレタン系樹脂、ポリア
クリロニトリル、フッ素系樹脂、スチレン・イソプレン
・スチレンブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・
スチレンブロック共重合体、スチレン・エチレン・プロ
ピレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・ブタジ
エンゴム、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリアミ
ド、ポリスルホンなどが挙げられる。
【0030】不織布の材質としては、レーヨン、ポリア
ミド、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系
樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ
エステルエーテル、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹
脂、ポリビニルアルコール、スチレン・イソプレン・ス
チレンブロック共重合体などが挙げられる。編布の材質
としては、コットン、レーヨン、アクリル系樹脂、ポリ
エステル系樹脂、ポリビニルアルコールなどが挙げられ
る。
【0031】支持体の材質としては、アスピリンに対す
る親和性がないものが、粘着基剤中のアスピリンを吸収
もしくは放出し難いので好ましい。支持体と粘着基剤層
との接着性を高めるために、その表面にコロナ放電処
理、プラズマ処理を施したり、下塗り剤を塗布してもよ
い。支持体の厚みは、通常10〜200μm、好ましく
は15〜100μmである。
【0032】貼付剤を使用するまでの間に、粘着基剤層
の表面を保護するために、粘着基剤層の表面に剥離紙を
配置する。剥離紙としては、剥離処理したポリエチレン
テレフタレート(PET)フィルム、剥離処理したポリ
エチレンラミネート上質紙、剥離処理したグラシン紙な
どが挙げられる。剥離紙としては、アスピリンを吸収・
吸着しにくい材質からなるものであることが好ましい。
剥離紙の厚みは、通常500μm以下、好ましくは15
〜200μmである。
【0033】本発明のアスピリン含有経皮吸収貼付剤
は、図1に断面図を示すように、支持体1上に、アスピ
リンを含有するシリコーン粘着基剤層2が設けられ、該
粘着基剤層の表面は、剥離紙3により保護されている。
このアスピリン含有経皮吸収貼付剤は、袋体などに密封
して保存することが好ましい。
【0034】本発明のアスピリン含有経皮吸収貼付剤
は、従来のアクリル系粘着剤を用いたアスピリン含有経
皮吸収貼付剤に比べて、保存安定性が顕著に改善されて
おり、40℃、相対湿度(RH)75%の恒温槽に6ヶ
月以上保存しても、初期値に対するアスピリンの残存率
が約90重量%またはそれを超える高い値を示す。
【0035】従来のアクリル系粘着剤を用いたアスピリ
ン含有経皮吸収貼付剤は、経皮吸収促進剤を加えると、
保存安定性が著しく損なわれる。これに対して、本発明
のアスピリン含有経皮吸収貼付剤は、プロピレングリコ
ール脂肪酸エステルなどの経皮吸収促進剤を含有させる
ことにより、保存安定性を実質的に損なうことなく、ア
スピリンの経皮吸収性を顕著に高めることができる。
【0036】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明
についてより具体的に説明するが、本発明は、これらの
実施例のみに限定されるものではない。
【0037】[実施例1] 1.粘着剤溶液の調製工程 シリコーン系粘着剤(ダウコーニング社製、商品名Q7
−4501)のヘプタン溶液(固形分濃度70重量%)
32.5gを攪拌しながら、アスピリンのメタノール溶
液(濃度33.3重量%)を加え、均一に溶解して、全
固形分基準で10重量%のアスピリンを含有する粘着剤
溶液を調製した。
【0038】2.経皮吸収貼付剤の製造工程 上記で調製した粘着剤溶液を厚さ25μmのPETフィ
ルム上に塗工し、次いで、90℃の恒温槽にて3分間乾
燥して、厚さ50μmの粘着基剤層を形成した。同様
に、上記で調製した粘着剤溶液を厚さ50μmのPET
フィルムを剥離処理してなる剥離紙上に塗工し、乾燥し
て、厚さ50μmの粘着基剤層を形成した。これら両者
を粘着基剤面同士で貼り合わせて、合計厚さ100μm
の粘着基剤層を有するアスピリン含有経皮吸収貼付剤を
作製した。
【0039】[実施例2]実施例1の工程1において、
粘着剤溶液中に、経皮吸収促進剤としてプロピレングリ
コールモノカプリレートを全固形分基準で10重量%と
なる割合で添加したこと以外は、実施例1と同様にし
て、アスピリン含有経皮吸収貼付剤を作製した。
【0040】[比較例1]アクリル系粘着剤(アクリル
酸イソノニル96重量%とアクリル酸4重量%の共重合
体)の酢酸エチル溶液(濃度35.7重量%)に、アス
ピリンを全固形分基準で10重量%になるように溶解さ
せて、粘着剤溶液を調製した。この粘着剤溶液を用いた
こと以外は、実施例1と同様にしてアスピリン含有経皮
吸収貼付剤を作製した。
【0041】[比較例2]比較例1において、粘着剤溶
液中に、経皮吸収促進剤としてプロピレングリコールモ
ノカプリレートを全固形分基準で10重量%となる割合
で添加して、粘着剤溶液を調製した。この粘着剤溶液を
用いたこと以外は、比較例1と同様にしてアスピリン含
有経皮吸収貼付剤を作製した。
【0042】[比較例3]スチレン・イソプレン・スチ
レンブロック共重合体(SIS)16重量部、粘着付与
剤(荒川化学社製、商品名アルコンP−100)24重
量部、及びトルエン60重量部を含有するゴム系粘着剤
溶液に、アスピリンのメタノール溶液(濃度33.3重
量%)を加え、均一に溶解して、全固形分基準で10重
量%のアスピリンを含有する粘着剤溶液を調製した。こ
の粘着剤溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にし
てアスピリン含有経皮吸収貼付剤を作製した。
【0043】[比較例4]比較例3において、粘着剤溶
液中に、経皮吸収促進剤としてプロピレングリコールモ
ノカプリレートを全固形分基準で10重量%となる割合
で添加して、粘着剤溶液を調製した。この粘着剤溶液を
用いたこと以外は、比較例3と同様にしてアスピリン含
有経皮吸収貼付剤を作製した。
【0044】上記の各実施例及び比較例で作製した各貼
付剤について、粘着基剤中の各成分の種類と含有量を表
1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】<貼付剤の特性評価> (1)粘着基剤中の薬物の定量:15×15mmの方形
の経皮吸収貼付剤から剥離紙を除去した後、10mlの
アセトン中に浸漬し、30分振盪した後、メタノールを
10ml加えて粘着基剤を沈殿させた。この液の上清を
採取し、高速液体クロマトグラフィにてアスピリンを定
量した。このアスピリン量を粘着基剤中のアスピリン含
有量とした。
【0047】(2)経皮吸収貼付剤の保存安定性:各経
皮吸収貼付剤をアルミニウム包材に封入し、40℃、7
5%RHの恒温槽で保存した。経時的に取り出して、粘
着基剤中のアスピリン含有量を定量し、そして、経皮吸
収貼付剤の粘着基剤中のアスピリン初期含有量に対する
アスピリン残存率(重量%)を求めた。結果を表2に示
す。
【0048】
【表2】
【0049】(3)ラットの皮膚透過性:ペントバルビ
タール麻酔下、ヘアレスラットの腹部皮膚を剥離し、皮
下脂肪を除去して約3cm×3cmの摘出皮膚片を得
た。図2に示すように、この皮膚片5に、15mmφの
経皮吸収貼付剤4を貼付し、直ちに、容量8〜10ml
の横型拡散セル10に皮膚5を貼りつけた。レシーバー
槽9にレシーバー液7として食塩水を満たし、マグネッ
ト攪拌装置8により、レシーバー液7の攪拌を行った。
試験開始から2時間毎に採取口6からレシーバー液7の
一部を採取して、高速液体クロマトグラフィにより、ア
スピリンを定量した。この方法により、アスピリンの皮
膚透過量を測定した。アスピリンの累積透過量と時間と
の関係をプロットして、図3に示した。
【0050】<考察>表2に示す実験結果から明らかな
ように、アスピリンを含有するシリコーン系粘着基剤層
を設けた本発明のアスピリン含有経皮吸収貼付剤(実施
例1及び2)は、40℃で6ケ月経過後でも、初期値に
対するアスピリン残存率が90重量%を超えており、優
れた保存安定性を示す。また、本発明のアスピリン含有
経皮吸収貼付剤は、経皮吸収促進剤としてプロピレング
リコールモノカプリレートを含有させたもの(実施例
2)であっても、高いアスピリン残存率を示し、保存安
定性が実質的に損なわれていないことが分かる。
【0051】これに対して、アスピリンを含有するアク
リル系粘着基剤層を設けた経皮吸収貼付剤(比較例1及
び2)は、初期段階での保存安定性は良好であるけれど
も、6ケ月経過後には、アスピリンの加水分解が急速に
進んでいる。特に、経皮吸収促進剤としてプロピレング
リコールモノカプリレートを含有させたもの(比較例
2)は、6ケ月経過後のアスピリン残存率が約30重量
%にまで低下しており、保存安定性が著しく劣るもので
ある。
【0052】アスピリンを含有するSIS系粘着基剤層
を設けた経皮吸収貼付剤(比較例3及び4)は、図3に
示すように、アスピリンの皮膚透過性(経皮吸収性)が
不充分であり、経皮吸収促進剤としてプロピレングリコ
ールモノカプリレートを含有させたもの(比較例4)で
も、経皮吸収性は改善されていない。
【0053】また、図3に示すように、本発明のアスピ
リン含有経皮吸収貼付剤(実施例1及び2)は、アスピ
リンの経皮吸収性が良好であり、経皮吸収促進剤として
プロピレングリコールモノカプリレートを含有させたも
の(実施例2)は、アスピリンの経皮吸収性が顕著に向
上していることが分かる。
【0054】一方、図3に示すように、アクリル系粘着
基剤を用いた場合(比較例1及び2)は、アスピリンの
経皮吸収性に優れるものの、表2に示すように、保存安
定性が不充分であるか、著しく劣っている。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、粘着基剤層中に薬効成
分としてアスピリンを含有する経皮吸収貼付剤であっ
て、アスピリンの保存安定性と経皮吸収性が共に優れた
経皮吸収貼付剤が提供される。本発明の貼付剤は、アス
ピリンを経皮吸収させるため、経口投与に伴う消化管障
害などの副作用が抑制される。また、本発明の貼付剤
は、皮膚に貼付するだけでアスピリンを投与することが
できるため、適用が簡単かつ容易である。
【0056】さらに、本発明の貼付剤は、アスピリンを
持続的に経皮吸収させることができるため、薬効の持続
性に優れている。しかも、本発明の貼付剤は、保存安定
性に優れているため、アスピリンの含有量の変動が少な
く、投与量を精密に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のアスピリン含有経皮吸収貼付
剤の構造を示す断面略図である。
【図2】図2は、ラットの皮膚に対するアスピリン透過
性を測定するのに使用した横型拡散セルの断面略図であ
る。
【図3】図3は、実施例及び比較例で作製した経皮吸収
貼付剤のラットの皮膚に対するアスピリンの経皮吸収性
を示すグラフである。
【符号の説明】
1:支持体 2:アスピリン含有シリコーン粘着基剤層 3:剥離紙 4:経皮吸収貼付剤 5:ラットの皮膚 6:採取口 7:レシーバー液 8:マグネット攪拌装置 9:レシーバー槽 10:横型拡散セル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C076 AA76 BB31 CC05 DD46 EE17 FF34 FF66 4C086 AA01 AA02 DA17 MA63 NA10 ZA08

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、アスピリンを含有するシリ
    コーン系粘着基剤層を設けたことを特徴とするアスピリ
    ン含有経皮吸収貼付剤。
  2. 【請求項2】 シリコーン系粘着基剤層が、経皮吸収促
    進剤としてプロピレングリコール脂肪酸エステルをさら
    に含有する請求項1記載のアスピリン含有経皮吸収貼付
    剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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