JP2003080281A - 微生物活性状態の推定方法及びこれを用いた生物処理方法、並びに微生物活性状態推定プログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents

微生物活性状態の推定方法及びこれを用いた生物処理方法、並びに微生物活性状態推定プログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

Info

Publication number
JP2003080281A
JP2003080281A JP2001280276A JP2001280276A JP2003080281A JP 2003080281 A JP2003080281 A JP 2003080281A JP 2001280276 A JP2001280276 A JP 2001280276A JP 2001280276 A JP2001280276 A JP 2001280276A JP 2003080281 A JP2003080281 A JP 2003080281A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
biological treatment
treated
microbial activity
concentration
wastewater
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2001280276A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideki Inaba
英樹 稲葉
Shinobu Nakajima
忍 中嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Heavy Industries Ltd filed Critical Sumitomo Heavy Industries Ltd
Priority to JP2001280276A priority Critical patent/JP2003080281A/ja
Publication of JP2003080281A publication Critical patent/JP2003080281A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • Y02W10/12

Landscapes

  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Treatment Of Biological Wastes In General (AREA)
  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)
  • Complex Calculations (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 容易に運転管理でき、効率的に生物処理でき
る微生物活性状態の推定方法及びこれを用いた生物処理
方法、並びに微生物活性状態推定プログラム及び当該プ
ログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体
を提供すること。 【解決手段】 本発明は、完全混合型の生物処理槽2で
の微生物活性状態の推定方法であって、基質濃度Sin
測定し、処理排水中の基質濃度Sを測定し、Sin、Sに
基づき、定常状態の時は(dS/dt)c=(F/V)
(Sin−S)(Vは生物処理槽2の容積、(dS/d
t)cは微生物活性パラメータ)より(dS/dt)c
を算出し、非定常状態の時は、S´=[(F/V)・S
in+(dS/dt)c−A・exp(F・t/V)]/
(F/V)(Aは積分定数)よりS´を算出し、このS
´が、基質濃度の実測値Sと一致するまで(dS/d
t)cを変化させ、一致する時の(dS/dt)cを算
出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微生物活性状態の
推定方法及びこれを用いた生物処理方法、並びに微生物
活性状態推定プログラム及び当該プログラムを記録した
コンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【0002】
【従来技術】工場排水、下水、し尿の処理などにおい
て、微生物の浄化作用を用いた生物処理設備は欠かせな
いものである。中でも、設備の簡便さ、スケールアップ
の容易さなどから活性汚泥法、メタン発酵法、硝化脱窒
法において、いわゆる完全混合型の生物処理槽が主流を
占めている。
【0003】一方、微生物の挙動は複雑であり、まして
純粋培養系と違い様々な微生物が関与している排水の生
物処理においては、通常の動力学的な解析法ではなかな
か精密な解析ができず、結果として生物処理設備の運転
管理に関してほとんどが経験と勘に頼っているのが実情
である。
【0004】この、経験と勘を頼りにする運転において
も、その時々の微生物活性状態を概略で知る、あるいは
推定することは大変有用である。即ち微生物活性状態を
概略で知る、あるいは推定することによって次回どこま
で負荷をかけられるか計画したり、トラブル時に何が起
き、何が原因になっているかを客観的に捉えることがで
きる。
【0005】微生物の活性状態を表すパラメータ(以
下、「微生物活性パラメータ」という)は数多くあり、
従来より研究者の努力により体系的にまとめられてい
る。例えば、比増殖速度μ、基質比消費速度νなどの比
速度、増殖収率YX/S呼吸速度、基質に対する飽和定数
Ks等が挙げられる。そして、これを用い、回分培養
系、完全混合型連続操作系、半回分操作系、プラグフロ
ー型反応装置のそれぞれについて、それぞれの培養・反
応系の特性をうまく表現するような物質収支式が提案さ
れ、かかる物質収支式により微生物活性パラメータが算
出される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た従来の微生物活性パラメータの算出方法は、以下に示
すような課題を有する。
【0007】即ち従来の算出方法では、物質収支式より
微生物活性パラメータを算出することができても、この
微生物活性パラメータが実際の実験値と良く一致するの
は、単一の微生物の培養系において例えば単一の基質を
用い、外乱のない一定の操作条件下で運転される場合で
あり、実際の排水処理の場合は、好気、嫌気にかかわら
ず、多種の微生物が混在している混合培養系であり、基
質も、取り扱う排水の種類によりまちまちでしかも単一
の基質であることはほとんどないため、物質収支式より
算出した微生物活性パラメータが実際の実験値と一致し
ないことが多い。しかも、実プラントは、処理槽温度変
化、水量の変化、基質の変化など、常に外乱に曝されて
おり、結局のところ、その運転管理については、オペレ
ータの経験と勘に頼ることがほとんどである。こうなる
と、経験や勘のないオペレータにとっては、運転管理が
困難となり、ひいては生物処理を効率よく行うことがで
きない。
【0008】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、オペレータの経験や勘に頼ることなく容易に運
転管理を行うことができ、生物処理を効率的に行うこと
ができる微生物活性状態の推定方法及びこれを用いた生
物処理方法、並びに微生物活性状態推定プログラム及び
当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な
記録媒体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、被処理排水を生物処理して処理排水とし
て排出する完全混合型の生物処理槽における微生物活性
状態を推定する微生物活性状態の推定方法であって、前
記生物処理槽に流入する被処理排水中の基質濃度
(Sin)を測定する入口濃度測定工程と、前記生物処理
槽から流出する処理排水中の基質濃度(S)を測定する
出口濃度測定工程と、前記入口濃度測定工程及び前記出
口濃度測定工程のそれぞれで測定された前記被処理排水
中の基質濃度及び前記処理排水中の基質濃度に基づき、
定常状態にある時は、下記式:
【数5】 (上記式中、(dS/dt)cは微生物活性状態を表す
微生物活性パラメータ、Vは生物処理槽の容積、Fは、
前記被処理排水の流量を表す)より(dS/dt)cを
算出し、非定常状態にある時は、下記式:
【数6】 (上記式中、Aは積分定数、S´は処理排水中の基質濃
度の計算値を表す)に任意の(dS/dt)cを代入し
てS´を算出し、このS´が、処理排水中の基質濃度の
実測値Sと一致するまで(dS/dt)cを変化させ、
一致する時の(dS/dt)cを算出する算出工程とを
含むことを特徴とする。また、本発明は、上記微生物活
性状態の推定方法を用いて(dS/dt)cを算出し、
この(dS/dt)cに基づいて前記生物処理槽におけ
る微生物活性状態を調整する工程を含むことを特徴とす
る生物処理方法である。また、本発明は、被処理排水を
生物処理して処理排水として排出する完全混合型の生物
処理槽における微生物活性状態を推定する微生物活性状
態推定プログラムであって、コンピュータに、前記生物
処理槽に流入する被処理排水中の基質濃度(Sin)の実
測値と、前記生物処理槽から流出する処理排水中の基質
濃度(S)の実測値とに基づき、定常状態にある時は、
下記式:
【数7】 (上記式中、(dS/dt)cは微生物活性状態を表す
微生物活性パラメータ、Vは生物処理槽の容積、Fは、
前記被処理排水の流量を表す)より(dS/dt)cを
算出し、非定常状態にある時は、下記式:
【数8】 (上記式中、Vは生物処理槽2の容積、(dS/dt)
cは微生物活性状態を表す微生物活性パラメータ、tは
時間を表す)に任意の(dS/dt)cを代入してS´
を算出し、このS´が、処理排水中の基質濃度の実測値
Sと一致するまで(dS/dt)cを変化させ、一致す
る時の(dS/dt)cを算出する工程を実行させるこ
とを特徴とする。また、本発明は、上記微生物活性状態
推定プログラムを記録したことを特徴とするコンピュー
タ読み取り可能な記録媒体である。
【0010】これらの発明によれば、定常状態であるか
どうかを問わず、生物処理槽における微生物活性状態を
ほぼ的確に推定することが可能となる。従って、生物処
理において様々な微生物が関与している場合であって
も、オペレータの経験や勘に頼ることなく容易に運転管
理を行うことができる。またこうして微生物活性状態が
推定されれば、これをもとに、微生物活性状態を適切な
状態に調整することができる。更に生物処理槽において
どの程度まで負荷をかけられるか計画でき、トラブル時
に生物処理槽において何が起きているか、あるいは何が
原因で処理排水中の基質濃度が増加しているかというこ
とを客観的に把握することもできる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。
【0012】図1は、本発明の生物処理方法を実施する
生物処理設備を示すフロー図である。図1に示すよう
に、生物処理設備1は、被処理排水を生物処理して処理
排水として排出する完全混合型の生物処理槽2を備えて
いる。生物処理槽2は、生物処理を行う槽であればよ
く、例えば活性汚泥槽、メタン発酵槽、脱窒槽、硝化槽
又はこれらを改良した生物処理槽(即ちUASB法、担
体法又は膜分離法を適用した生物処理槽)等からなる。
【0013】生物処理槽2には、生物処理槽2に被処理
排水を流入させる被処理排水流入ラインL1が接続さ
れ、被処理排水流入ラインL1には、流入ポンプ(図示
せず)が設けられている。従って、流入ポンプを作動さ
せると、被処理排水は生物処理槽2に流入される。ま
た、被処理排水流入ラインL1には、被処理排水の流量
(F)を測定する流量測定手段3及び被処理排水中の基
質濃度Sin(以下、「入口基質濃度」と言う)を測定す
る入口濃度測定手段4がそれぞれ設けられている。更に
生物処理槽2には、生物処理槽2から処理排水を流出さ
せる処理排水流出ラインL2が接続され、処理排水流出
ラインL2には、処理排水中の基質濃度S(以下、「出
口基質濃度」と言う)を測定する出口濃度測定手段5が
設けられている。なお、被処理排水の流量を一定にする
場合には、流量測定手段3は設けなくてもよい。
【0014】生物処理設備1における微生物活性パラメ
ータは、上記流量測定手段3で測定された被処理排水の
流量F、入口濃度測定手段4で測定された入口基質濃度
in、出口濃度測定手段5で測定された出口基質濃度S
及び生物処理槽2の容積Vをもとに演算システム6(図
2参照)を用いて算出される。
【0015】ここで、演算システム6について図2、図
3を用いて説明する。図2は、演算システム6の斜視
図、図3は、演算システム6のシステム構成図である。
【0016】図2及び図3に示すように、演算システム
6は、コンピュータ7と、コンピュータ7に接続される
キーボード8及びマウス9と、コンピュータ7に接続さ
れるディスプレイ10とを備えている。また、コンピュ
ータ7は、記録媒体11に記録された演算プログラムを
読み取る読み取り装置12と、CPU13と、メインメ
モリ14とを備えている。
【0017】この演算システム6においては、記録媒体
11がコンピュータ7の読み取り装置12に挿入される
と、演算プログラムが記録媒体11から読み取り装置1
2により読み取られ、メインメモリ14上に格納され
る。一方、キーボード8又はマウス9によりF、Sin
S及びVが入力され、これらの入力データは、コンピュ
ータ7のメインメモリ14内に格納される。そして、演
算プログラムが実行されると、入力されたF、Sin、S
及びVをもとにして、CPU13により上記微生物活性
パラメータが算出される。
【0018】次に、前述した生物処理設備1における生
物処理方法について説明する。
【0019】先ず流入ポンプを作動し、被処理排水流入
ラインL1を経て生物処理槽2に被処理排水を流入して
生物処理する。そして、処理排水を処理排水流出ライン
L2を経て生物処理槽2から排出する。
【0020】このとき、流量測定手段3により被処理排
水の流量(F)を測定し(流量測定工程)、入口濃度測
定手段4により被処理排水中の入口基質濃度Sinを測定
する(入口濃度測定工程)。また、出口濃度測定手段5
により処理排水中の出口基質濃度Sを測定する(出口濃
度測定工程)。
【0021】ここで、基質濃度としては、例えばCOD
Cr、TOC、TOD、BOD等の濃度が挙げられる。こ
れらのうち、正確な基質濃度を測定するという観点から
は、CODCr、TOC、TODの濃度が好ましい。ま
た、基質濃度は、被処理排水中の主体となる成分物質が
明らかでありその濃度測定が可能であればその成分の濃
度でよい。このような成分物質としては、例えばメタノ
ール、エタノール、糖質等があり、これらは液体クロマ
トグラフィーやガスクロマトグラフィーによる濃度測定
が可能である。また、生物処理槽2で硝化処理又は脱窒
処理を行う場合は、アンモニア、硝酸又は亜硝酸などを
基質として採用することも可能である。
【0022】次に、上記のようにして測定された流量
F、入口基質濃度Sin、出口基質濃度S及び生物処理槽
2の容積Vをもとに、生物処理槽2における微生物活性
パラメータを算出する(算出工程)。
【0023】ここで、演算システム6を用いて微生物活
性パラメータを算出する方法について、図4のフローチ
ャートを用いて説明する。なお、微生物活性パラメータ
は、出口基質濃度変化速度、即ち基質の消費速度(dS
/dt)cで表すこととする。
【0024】先ず記録媒体11をコンピュータ7の読み
取り装置12に挿入する。すると、読み取り装置12に
より記録媒体11から演算プログラムが読み取られ、メ
インメモリ14に格納される。次に、上記測定された流
量F、入口基質濃度Sin、出口基質濃度S及び生物処理
槽2の容積Vをキーボード8又はマウス9により入力す
る(ステップS1)。入力されたデータは、コンピュー
タ7のメインメモリ14内に格納される。
【0025】次に、生物処理槽2が非定常状態にあるか
否かが判断される(ステップS2)。ここで、生物処理
槽2が非定常状態にあるか否かは、具体的には出口基質
濃度Sに基づいて次のようにして判断する。即ち出口基
質濃度Sを少なくとも3回以上、適切な時間をおいて測
定し、その測定値が少なくとも2回以上連続して増加又
は減少するか否かによって判断し、2回以上連続して増
加又は減少しない場合には定常状態にあるとみなし、2
回以上連続して増加又は減少する場合には非定常状態と
みなす。
【0026】こうして生物処理槽2が非定常状態にない
と判断された場合には、下記式:
【数9】 (上記式中、(dS/dt)cは微生物活性状態を表す
微生物活性パラメータ、Vは生物処理槽の容積、Fは前
記被処理排水の流量を表す)に基づき、微生物活性パラ
メータ(dS/dt)cが算出される(ステップS
8)。このとき、S、Sin、Fとしては、測定を始めて
から(dS/dt)cを算出する時点までに測定した測
定値の平均値が用いられる。容積Vは定数である。この
微生物活性パラメータは、S、Sin、Fに基づき、CP
U13が演算プログラムの指令に従って演算処理を行う
ことにより算出される。
【0027】上記式(1)は次のようにして導出された
ものである。即ち一般に完全混合型の生物処理槽2にお
いては、出口基質濃度Sに関して下記式(3)のような
物質収支式を立てることができる。
【0028】
【数10】
【0029】なお、基質の消費速度(dS/dt)cは
比消費速度νと菌体濃度Xを用いると、(dS/dt)
c=X・νで表される。
【0030】実際の生物処理設備1においては、理想的
な定常状態が得られ難いが、被処理排水の水質、水量等
がほとんど一定である状況下では、定常状態とみなすこ
とができ、精密な値でなくとも基本的には上記式(3)
で微生物活性パラメータ(dS/dt)cが算出され
る。ここで、生物処理槽2が定常状態にある時は、出口
基質濃度Sの時間変動がないと言える。このため、上記
(3)式においてdS/dt=0とおくことにより、上
記(1)式が導出される。
【0031】次に、上記のようにして算出された定常状
態の微生物活性パラメータ(dS/dt)cが演算プロ
グラムの指令に従ってディスプレイ10に表示され、演
算システム6の処理が終了する(ステップS7)。
【0032】一方、異常な負荷、温度の低下、阻害物質
の混入等の外乱により状態変化があった場合、特に異常
な負荷変動があった場合は、もはや定常状態とは言え
ず、生物処理槽2は非定常状態となるため、上記(1)
式によっては微生物の活性状態を的確に推定することが
できない。
【0033】そこで、生物処理槽2が非定常状態にある
ときは、以下のようにして微生物活性パラメータ(dS
/dt)cが算出される(ステップS2)。
【0034】即ち上記(1)式の微分方程式をSについ
て解くと、下記(4)式のようになる。
【0035】
【数11】
【0036】ここで、積分定数Aは次のようにして求め
られる(ステップS3)。即ち非定常状態になる前の
F、Sin、S、(dS/dt)cの値をt=0における
値とし、これらの値に基づき、上記(4)式より積分定
数Aが算出される。
【0037】こうしてAを算出したならば、このAと、
上記F、Sin、Vを上記(4)式に代入する(ステップ
S4)。F、Sinとしては、非定常状態にある期間(以
下、「非定常期間」と称する)内で測定されたF、Sin
の平均値が用いられる。即ち、非定常期間においては、
F、Sinが定数とみなされる。そして、上記(4)式に
おいてSをS´とおき、これを下記式(2)とする。
【0038】
【数12】
【0039】そして、(dS/dt)cとして任意の数
値が選択され、選択された数値が上記式(2)に代入さ
れてS´が算出される(ステップS5)。このS´は、
CPU13が演算プログラムの指令に従って演算処理を
行うことにより算出される。
【0040】次に、上記のようにして算出されたS´
が、出口基質濃度の実測値Sと比較され、これらが一致
するかどうか判断される(ステップS6)。ここで、
「一致」とは、推測結果が実情を反映し、的確な制御が
できる精度の範囲内にあることをいい、設備の規模、排
水の水質、水量などによって適切な精度を予め決めてお
く。一般に±20%以内、好ましくは±10%以内であ
れば十分な精度が得られる。そして、S´とSとが一致
しない場合には、S´とSとが一致するまで、ステップ
S5,S6の処理が繰り返し行われる。この間、(dS
/dt)cの値は試行錯誤的に変化させる。S´とSと
が一致した場合には、そのときの(dS/dt)cが、
非定常期間における平均の微生物活性パラメータとされ
る。
【0041】上記のようにしてS´とSとが一致すると
きの微生物活性パラメータ(dS/dt)cが算出され
たならば、その値が演算プログラムの指令に従ってディ
スプレイ10に表示され、こうして演算システム6の処
理が終了する(ステップS7)。
【0042】以上のようにして微生物活性パラメータが
算出され、この微生物活性パラメータに基づき、生物処
理槽2における微生物活性状態が推定される。このと
き、生物処理槽2が定常状態であるか非定常状態である
かどうかを問わず、微生物の活性状態をほぼ的確に推定
することが可能となる。従って、生物処理において様々
な微生物が関与している場合であっても、オペレータの
経験や勘に頼ることなく容易に運転管理を行うことがで
きる。
【0043】またこうして微生物活性状態が推定されれ
ば、これをもとに、生物処理槽2においてどの程度まで
負荷をかけられるか計画でき、トラブル時に生物処理槽
2において何が起きているか、あるいは何が原因で出口
基質濃度が増加しているかということを客観的に把握す
ることができる。
【0044】更に、推定された微生物活性状態をもと
に、微生物活性状態を適切な状態に調整することがで
き、長期間にわたって生物処理を効率的に行うことがで
きる。
【0045】例えば出口基質濃度Sが許容値を超えてし
まった場合、推定された微生物活性状態を基に生物処理
槽2における負荷を適切に調整することで微生物活性状
態を適切な状態とすることができる。生物処理槽2にお
ける負荷の調整は、例えば被処理排水の流量を調整する
ことにより行われ、被処理排水の流量は、流入ポンプの
回転数等を調整すること等により行われ、これにより出
口基質濃度Sが目標基質濃度まで低減される。流入ポン
プの回転数の調整は、手動で行っても良いが、制御装置
により自動的に行わせるようにしてもよい。
【0046】ここで、被処理排水の流量Fを調整するた
めには、目標とする出口基質濃度Sとその値に達するま
での時間tを設定すれば、上記(2)式より必要な被処
理排水の流量Fを決定することができる。このとき、S
in、(dS/dt)cとしては、Fを決定する事態にな
った時の値を用いる。
【0047】このようにして被処理排水の流量Fを決定
し、この流量で生物処理を行うことにより、出口基質濃
度Sの調整を的確に行うことができ、長期間にわたって
生物処理を効率よく行うことができる。
【0048】なお、微生物活性パラメータに基づく微生
物活性状態の調整は、被処理排水の流量Fの調整に限ら
れるものではない。例えば生物処理槽2の温度調整、p
H調整、曝気量調整(生物処理槽2が活性汚泥槽の場
合)、汚泥濃度の調整、汚泥の入替え、CODCr投入量
の調整等によっても行うことができる。
【0049】上記のうち汚泥濃度の調整によって微生物
活性状態の調整を行う場合、上記実施形態において生物
処理槽2を活性汚泥槽とし、活性汚泥槽にMLSS汚泥
濃度計を設置する。この場合、先ず上述した方法で現状
の(dS/dt)cを算出し、そのときのMLSS汚泥
濃度XをMLSS汚泥濃度計により測定する。そして、
下記式: (dS/dt)c=X・ν に(dS/dt)c及びXの値を代入して比消費速度ν
の値を計算する。次に、処理を正常に戻すのに必要な
(dS/dt)cを上記式(2)より算出し、これを上
記の計算で得られたνで割って必要なMLSS汚泥濃度
Xを算出する。こうして処理を正常に戻すのに必要なM
LSS汚泥濃度Xを算出できるようにしておけば、何ら
かの原因でνが低下した場合に、MLSS汚泥濃度をそ
の算出された値に設定することによりνを元の値に戻す
ことが可能となる。
【0050】更に、上記実施形態では、入口濃度測定手
段4及び出口濃度測定手段5によって入口基質濃度及び
出口基質濃度のそれぞれを測定しているが、被処理排水
及び処理排水を採取して分析することにより入口基質濃
度及び出口基質濃度を算出するようにしてもよい。
【0051】更に、上記実施形態では、測定された流量
F、入口基質濃度Sin、出口基質濃度S及び生物処理槽
2の容積Vが演算システム6に入力され、演算プログラ
ムがコンピュータ7により実行されて微生物活性パラメ
ータが算出されているが、流量測定手段3、入口基質濃
度測定手段4、出口基質濃度測定手段5が通信ケーブル
などによって演算システム6に電気的に接続される場合
には、コンピュータ7において演算プログラムを立ち上
げた状態で、流量F、入口基質濃度Sin、出口基質濃度
S及び生物処理槽2の容積Vが通信ケーブル等によって
自動的にコンピュータ7に入力されるため、キーボード
やマウスによるコンピュータへの流量F、入口基質濃度
in、出口基質濃度S、生物処理槽2の容積Vの入力が
不要となる。
【0052】また、上記実施形態では、微生物活性パラ
メータは、演算システム6によって算出されているが、
市販の表計算ソフトウェアを用いて算出してもよく、手
計算で算出してもよい。
【0053】以下、本発明の内容を、実施例を用いてよ
り具体的に説明する。
【0054】
【実施例】(実施例1)以下、本発明の生物処理方法
を、工場排水のメタン発酵処理に適用した例を示す。
【0055】原水は、CODCr濃度6,300mg/
l、BOD濃度3,200mg/lの排水とし、この原
水を容積V=1.7Lのメタン発酵槽に導入し、メタン
発酵処理した後、処理排水を排出した。そして、COD
Crをその投入量を変えてメタン発酵槽に投入し、そのと
きの処理排水中のCODCr濃度の変化を測定した。この
とき、処理排水中のCODCr濃度は手分析で測定した。
その結果を図5に示す。図5において、「△」はCOD
Cr投入量[g/日]を、「◆」は処理排水中のCODCr
度[mg/l]を示している。なお、原水の流量は、処理
排水を処理水貯留容器に貯留し、その重量に基づいて計
算した。
【0056】図5に示す結果から分かるように、COD
Cr投入量を25g/日付近(容積負荷15kg/m3
日)とした時は、処理排水中のCODCr濃度はおおむね
300mg/l前後で処理できた。しかし、CODCr
入量が30g/日(容積負荷18kg/m3/日)を超
えた時は、処理排水中のCODCr濃度は上昇していっ
た。そして、再びCODCrの投入量を25g/日前後に
落としたところ、処理排水中のCODCr濃度は300m
g/l前後に落ち着いた。その後再びCODCr投入量を
30g/日に上げると、処理排水中のCODCr濃度はそ
の前と同様に上昇したが、その後、CODCr投入量を2
5g/日まで下げないでいたところ、処理排水中のCO
Cr濃度は更に上昇していき、ついにはCODCr投入量
を23g/日まで落としても処理排水中のCODCr濃度
は上昇し続けた。
【0057】これが、何の根拠も計画もなく操作した良
い例であり、実際のプラントでは起きてはならないこと
である。
【0058】次に、上記のデータをもとに、メタン発酵
槽についての微生物活性パラメータを以下のようにして
算出した。
【0059】即ち先ず処理排水中のCODCr濃度Sを複
数回測定し、メタン発酵槽が非定常状態にあるか否かを
判断し、定常状態にある場合には、上記式(1)に基づ
いて(dS/dt)cを算出し、非定常状態にある場合
には、上記(2)式に、(dS/dt)cとして任意の
数値を代入してS´の値を算出し、こうして算出したS
´が、処理排水中のCODCr濃度の実測値Sと一致する
まで(dS/dt)cを変化させ、一致した時の(dS
/dt)cを採用した。
【0060】図6は、図5に示す処理排水中のCODCr
濃度の実測値Sに対して処理排水中のCODCr濃度の計
算値S´をプロットしたグラフであり、「◇」が処理排
水中のCODCr濃度の実測値Sを、「●」が処理排水中
のCODCr濃度の計算値S´を示している。
【0061】図7は、図5に示すCODCr投入量の変動
に応じて比消費速度νが変動する様子を示すグラフであ
る。ここで、νは、次のようにして算出した。即ち、上
記計算で求めた(dS/dt)cについては、(dS/
dt)c=X・νの関係があるので、(dS/dt)c
をXで割ってνを算出した。ここで、Xはグラニュール
汚泥濃度であるが、グラニュール汚泥は沈降性が良好で
メタン発酵槽からの流出もほとんどないため一定値とし
た。但し、分析はオペレータによる一日一回のオフライ
ン分析であるため、比消費速度νはかなり大まかなもの
となっている。しかし、大まかであるとは言え、COD
Cr投入量を30g/日以上にし、その後も高いCODCr
投入量を維持してしまった16日目を境に比消費速度ν
が減少しており、微生物活性が低下していることがはっ
きりと分かった。
【0062】図8は、以上のようにして求めた処理排水
中のCODCr濃度と比消費速度νとの関係を示すグラフ
である。図8に示すように、比消費速度は、処理排水中
のCODCr濃度が増加するに従い、低下している。この
現象は、原水に含まれる物質が未分解で処理排水中に残
留して阻害を受けているいわゆる基質阻害か、あるいは
メタン発酵処理の結果生産される物質が完全にメタン発
酵せずに残留した生産物阻害のいずれかの現象が起きて
いることが推測される。一般に、メタン発酵においてこ
のような現象が起きる時は後者の場合が多く、メタン発
酵処理の結果生産される物質とは、酢酸、プロピオン酸
の如き有機酸である。しかし、処理排水について有機酸
の濃度をガスクロマトグラフィーで測定したところ、処
理排水中に有機酸は残留していないことが分かった。ま
た、メタン発酵槽においてはpHも制御されるので、有
機酸蓄積によるpH低下が原因でもないことが分かっ
た。このことから、本ケースの場合、処理排水中のCO
Cr濃度が増加するにつれて比消費速度が低下している
のは、ある成分による基質阻害が起こっているためと推
測される。
【0063】以上の結果より、処理排水中のCODCr
度は、1000mg/l以下、好ましくは500mg/
l以下に維持するのがよいと分かった。一方、処理排水
中のCODCr濃度が1000mg/lを超えるとその状
態に曝される時間によっては更に阻害現象が加速される
ことが分かった。従って、本実施例のようなケースで
は、オンライン又はオフラインで処理排水の水質を計測
し、常に処理排水中のCODCr濃度を1000mg/l
以下に維持することで、微生物活性状態の低下を防止で
きることが分かった。
【0064】続いて上記の方法を用いて最適制御が可能
か確認した。即ちメタン発酵槽における比消費速度を推
測し、それをもとにCODCr投入量を制御した。また、
比消費速度の初期値は、CODCr投入量30g/日とし
た時の処理排水中のCODCrを約1100mg/lとし
て計算した。これによると、比消費速度は0.16(1
/日)であり、この値を用いて40時間以内にもとの状
態に戻すべくCODCr投入量を決定した。その結果、C
ODCr投入量は24g/日以下にすべきであることが分
かった。そこで、CODCr投入量を最大の24g/日に
した場合における処理排水中のCODCr濃度の計算値を
算出した。結果を図9に示す。なお、図9において、
「●」は計算値を表し、「□」はCODCr投入量を24
g/日前後に設定した時の処理排水中のCODCr濃度の
実測値を表す。また、図9においては、計算結果を理解
しやすくするために、計算値も実測値もそれぞれ300
mg/l差し引いた値をプロットしている。これは、通
常の排水中には、微生物的に難分解な成分が存在するこ
とはごく当たり前であり、本排水についても処理排水中
のCODCrは300mg/l程度残存してしまうからで
ある。
【0065】図9に示す結果より、計算値と実測値との
一致が見られたことから、おおむね推測が間違っていな
かったことが分かる。また実測値の最後の点が48時間
後に0つまり300mg/lとなっているが、これもオ
フラインの測定値であるため、その前の測定との間のい
ずれかの時点で元の状態に復元できたと推測できる。
【0066】(実施例2)次に、本発明の生物処理方法
を工場排水の硝化脱窒に適用した例を示す。
【0067】窒素化合物を含む排水について硝化槽で硝
化反応を起こさせ、硝酸イオン濃度が600mg/lで
ある排水を脱窒槽(容積V=1700(m3))で脱窒
した。脱窒槽にはMLVSS計を設置して脱窒槽内のM
LVSS濃度を測定すると共に、脱窒槽の上流側及び下
流側にそれぞれNO3−N濃度計を設置してNO3−N濃
度の測定を行った。
【0068】また、脱窒槽には、脱窒反応を促進すべく
有機炭素源としてメタノールを添加した。本実施例では
プラント納入前に行った試験により、脱窒槽に流入する
T−N濃度の約3倍のメタノール添加が最適であるとし
た。
【0069】図10は、排水の流量、処理排水中の硝酸
イオン濃度及び脱窒槽におけるMLVSS濃度との関係
を示すグラフであり、図11は、処理排水中のメタノー
ル残存濃度及びCODMn濃度との関係を示すグラフであ
る。図10、図11においては、連続して操業している
脱窒槽のある期間の解析スタート時間を0時とした。図
10では、解析初期の段階で、MLVSSが低めで0時
にすでに硝酸イオンが115mg/l残存している。そ
こから徐々に硝酸イオン濃度が上昇し、230mg/l
で安定した。これは、脱窒速度が窒素の流入速度に比べ
低いためである。一方、メタノールは、脱窒槽に流入す
るT−N濃度の3倍量を添加しているので、図11に示
すように処理排水中に残存している状態である。
【0070】ここで、図10において、原水の投入量が
比較的安定していて且つ硝酸イオンが115から230
mg/lに上昇した期間(48〜96時間)について、
実施例1と同様にして、処理排水中の基質濃度(NO3
−N)を計算した。結果を図12に示す。なお、図12
には、処理排水中のNO3−N濃度の実測値もプロット
した。図12において、NO3−N濃度の計算値は
「◆」で表し、実測値は「□」で表した。
【0071】図12に示すように、処理排水中のNO3
−N濃度の計算値と、処理排水中のNO3−N濃度の実
測値はほとんど一致することが分かった。そして、この
ときの硝酸イオン消費速度(脱窒速度)を算出したとこ
ろ、その値は18kg−N/hであった。原水中のT−
N濃度はおおむね安定して600mg/l、原水の流量
(平均原水流量)は53.7m3/hなので、脱窒槽に
流入してくる窒素量(NO3−N流入速度)は32.2
kg/hであった。これより脱窒速度が窒素の流入速度
に追いついていないことは明白である。一方、図11に
示すように、メタノールは残存傾向にあることから、脱
窒速度の低下は炭素源不足によるものではないことが分
かる。
【0072】そこで、複数ある他の脱窒槽より汚泥を投
入し、MLVSS濃度を増やしたのが114時間目であ
り(図10参照)、それを境に処理排水中のメタノール
濃度が急激に低下した(図11参照)。そして2日ほど
の遅れ時間(生物の生理的遅れと、脱窒槽滞留時間によ
る濃度変化に必要な時間の合計)をもって、処理排水中
の硝酸イオン濃度は低下し始め、216から240時間
の間の時点で0mg/lとなった(図10参照)。
【0073】この期間(216から240時間までの間
の期間)も実施例1と同様にして処理排水中のNO3
N濃度を算出した。結果を図13に示す。図13の結果
より、NO3−Nの分析誤差と分析時間間隔(24時
間)から、実測値と計算値とで若干ずれが生じている
が、このフィッティングで得られた脱窒速度は32kg
−N/hであり、汚泥を投入する前に比べ飛躍的に増大
していることが分かった。この脱窒速度は当然、流入窒
素量28.2kg/h(3日間の流入窒素量の平均)を
上回っており、汚泥の増加と残存メタノール、投入メタ
ノールの関係で脱窒反応が改善されたことは明らかであ
る。
【0074】そして、図11に示すように、硝酸イオン
濃度が0mg/lになってから後は、投入される硝酸量
以上に脱窒する必要が無いため、メタノールが急激に増
加している。なお、この期間の物質の収支関係を表1に
示す。
【0075】
【表1】
【0076】以上のように、本実施例によれば、脱窒反
応のように複雑な系においても、脱窒速度をシミュレー
ションで導き出し、そのときのメタノール残量、MLV
SSなどから汚泥の比速度が低下しているのか、MLV
SSが不足しているのか、メタノール添加量が少ないの
か判断でき、更にMLVSS添加による復調後の脱窒速
度とメタノールの変化及び脱窒が完全に行われている時
のメタノールの過剰添加を指摘することができ、最適メ
タノール添加量を推測することが可能となることが分か
った。即ち、プラント納入時の条件から変化した状態に
おいても、新たに実験室レベルの試験を行って微生物の
特性値(比速度など)や最適運転条件(ここではメタノ
ール添加量)を導き出さなくても、プラントを運転しな
がらそれらを推測し、最適運転方策を設定することがで
きることが分かった。
【0077】本実施例によって、複雑な反応系の実プラ
ントにおいても本発明の生物処理方法が有効であり、専
門知識と特殊技術が必要なラボ試験を行うことなく、ユ
ーザーレベルで排水の変化に応じた最適運転方策を採る
ことができることが分かった。
【0078】
【発明の効果】以上説明したように本発明の微生物活性
状態の推定方法及びこれを用いた生物処理方法、並びに
微生物活性状態推定プログラム及び当該プログラムを記
録したコンピュータ読取り可能な記録媒体によれば、処
理排水中の基質濃度が定常状態にあると否とにかかわら
ず、生物処理槽における微生物活性状態を、ほぼ的確に
推定することが可能となる。従って、生物処理において
様々な微生物が関与している場合であっても、オペレー
タの経験や勘に頼ることなく容易に運転管理を行うこと
ができる。またこうして推定される微生物活性状態をも
とに、生物処理槽においてどの程度まで負荷をかけられ
るか計画でき、トラブル時に生物処理槽において何が起
きているか、あるいは何が原因で処理排水中の基質濃度
が増加しているかということを客観的に把握することが
できる。更に、微生物活性状態が推定されれば、これを
もとに微生物活性状態を適切な状態に調整することがで
き、長期間にわたって生物処理を効率的に行うことがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の生物処理方法を実施する生物
処理設備の一例を示すフロー図である。
【図2】図2は、演算システムを示す斜視図である。
【図3】図3は、演算システムのシステム構成図であ
る。
【図4】図4は、演算システムを用いて微生物活性パラ
メータを算出する方法を示すフローチャートである。
【図5】図5は、実施例1に係るCODCr投入量と処理
排水中のCODCr濃度との関係を示すグラフである。
【図6】図6は、実施例1に係る処理排水中のCODCr
濃度の実測値と計算値との関係を示すグラフである。
【図7】図7は、図4に示すCODCr投入量の変動に応
じて比消費速度νが変動する様子を示すグラフである。
【図8】図8は、実施例1に係る比消費速度と処理排水
中のCODCr濃度との関係を示すグラフである。
【図9】図9は、実施例1において、微生物活性状態を
制御した場合における処理排水中のCODCr濃度の実測
値と計算値との関係を示すグラフである。
【図10】図10は、実施例2に係る排水の流量、NO
3−N濃度及びMLVSS濃度の関係を示すグラフであ
る。
【図11】図11は、実施例2に係る処理排水中のメタ
ノール残存濃度と、CODMn濃度との関係を示すグラフ
である。
【図12】図12は、実施例2に係る処理排水中のNO
3−N濃度の実測値と計算値との関係を示すグラフであ
る。
【図13】図13は、実施例2においてMLVSS濃度
を増やした場合における処理排水中のNO3−N濃度の
実測値と計算値との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…生物処理設備、2…生物処理槽、3…流量測定手
段、4…入口濃度測定手段、5…出口濃度測定手段、6
…演算システム。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B065 BC18 4D027 CA00 CA07 4D040 AA01 AA24 AA31 AA61 BB02 BB24 BB42 BB52 BB82 BB91 5B056 BB03 DD01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被処理排水を生物処理して処理排水とし
    て排出する完全混合型の生物処理槽における微生物活性
    状態を推定する微生物活性状態の推定方法であって、 前記生物処理槽に流入する被処理排水中の基質濃度(S
    in)を測定する入口濃度測定工程と、 前記生物処理槽から流出する処理排水中の基質濃度
    (S)を測定する出口濃度測定工程と、 前記入口濃度測定工程及び前記出口濃度測定工程のそれ
    ぞれで測定された前記被処理排水中の基質濃度及び前記
    処理排水中の基質濃度に基づき、定常状態にある時は、
    下記式: 【数1】 (上記式中、(dS/dt)cは微生物活性状態を表す
    微生物活性パラメータ、Vは生物処理槽の容積、Fは、
    前記被処理排水の流量を表す)より(dS/dt)cを
    算出し、非定常状態にある時は、下記式: 【数2】 (上記式中、Aは積分定数、S´は処理排水中の基質濃
    度の計算値を表す)に任意の(dS/dt)cを代入し
    てS´を算出し、このS´が、処理排水中の基質濃度の
    実測値Sと一致するまで(dS/dt)cを変化させ、
    一致する時の(dS/dt)cを算出する算出工程と、
    を含むことを特徴とする微生物活性状態の推定方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の微生物活性状態の推定
    方法を用いて(dS/dt)cを算出し、この(dS/
    dt)cに基づいて前記生物処理槽における微生物活性
    状態を調整する工程を含むことを特徴とする生物処理方
    法。
  3. 【請求項3】 被処理排水を生物処理して処理排水とし
    て排出する完全混合型の生物処理槽における微生物活性
    状態を推定する微生物活性状態推定プログラムであっ
    て、 コンピュータに、 前記生物処理槽に流入する被処理排水中の基質濃度(S
    in)の実測値と、前記生物処理槽から流出する処理排水
    中の基質濃度(S)の実測値とに基づき、定常状態にあ
    る時は、下記式: 【数3】 (上記式中、(dS/dt)cは微生物活性状態を表す
    微生物活性パラメータ、Vは生物処理槽の容積、Fは、
    前記被処理排水の流量を表す)より(dS/dt)cを
    算出し、非定常状態にある時は、下記式: 【数4】 (上記式中、Aは積分定数を表し、S´は処理排水中の
    基質濃度の計算値を表す)に任意の(dS/dt)cを
    代入してS´を算出し、このS´が、処理排水中の基質
    濃度の実測値Sと一致するまで(dS/dt)cを変化
    させ、一致する時の(dS/dt)cを算出する工程、
    を実行させることを特徴とする微生物活性状態推定プロ
    グラム。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の微生物活性状態推定プ
    ログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み
    取り可能な記録媒体。
JP2001280276A 2001-09-14 2001-09-14 微生物活性状態の推定方法及びこれを用いた生物処理方法、並びに微生物活性状態推定プログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 Withdrawn JP2003080281A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001280276A JP2003080281A (ja) 2001-09-14 2001-09-14 微生物活性状態の推定方法及びこれを用いた生物処理方法、並びに微生物活性状態推定プログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001280276A JP2003080281A (ja) 2001-09-14 2001-09-14 微生物活性状態の推定方法及びこれを用いた生物処理方法、並びに微生物活性状態推定プログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003080281A true JP2003080281A (ja) 2003-03-18

Family

ID=19104305

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001280276A Withdrawn JP2003080281A (ja) 2001-09-14 2001-09-14 微生物活性状態の推定方法及びこれを用いた生物処理方法、並びに微生物活性状態推定プログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003080281A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006041128A1 (ja) * 2004-10-13 2006-04-20 Ebara Corporation 有機性廃水の処理方法及び処理装置
JP2017159243A (ja) * 2016-03-09 2017-09-14 荏原実業株式会社 有機性排水の生物処理装置及び生物処理方法
CN115132285A (zh) * 2022-07-04 2022-09-30 山东臻智行环保科技有限公司 一种实现污水处理好氧池所需曝气量实时预测的模型方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006041128A1 (ja) * 2004-10-13 2006-04-20 Ebara Corporation 有機性廃水の処理方法及び処理装置
JP2017159243A (ja) * 2016-03-09 2017-09-14 荏原実業株式会社 有機性排水の生物処理装置及び生物処理方法
CN115132285A (zh) * 2022-07-04 2022-09-30 山东臻智行环保科技有限公司 一种实现污水处理好氧池所需曝气量实时预测的模型方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5775296B2 (ja) 下水処理場の運転支援装置及び運転支援方法
JP5833791B1 (ja) 活性汚泥における曝気量制御方法
JP4334317B2 (ja) 下水処理システム
Zhang et al. Start-up of mainstream anammox process through inoculating nitrification sludge and anammox biofilm: Shift in nitrogen transformation and microorganisms
Vanrolleghem et al. Optimal design of in-sensor-experiments for on-line modelling of nitrogen removal processes
Bogaert et al. New sensor based on pH effect of denitrification process
JP5791763B2 (ja) 生物学的水処理装置の制御装置
JP2017113725A (ja) 下水処理場の運転支援装置及び運転支援方法
JP2003080281A (ja) 微生物活性状態の推定方法及びこれを用いた生物処理方法、並びに微生物活性状態推定プログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
JP4208154B2 (ja) Bod測定方法および装置
JP4183844B2 (ja) 生物学的水処理装置の制御装置
Foxon et al. Denitrifying activity measurements using an anoxic titration (pHstat) bioassay
JPH0411279B2 (ja)
JP4248043B2 (ja) 生物学的りん除去装置
JPH0691294A (ja) 回分式活性汚泥処理の運転制御方法
JP5791762B2 (ja) 生物学的水処理装置の制御装置
JP5801506B1 (ja) 生物的脱窒装置の運転方法
JP2006142166A (ja) 生物学的廃水処理装置およびその運転制御方法
JP5575211B2 (ja) 生物学的水処理装置の制御装置
JP4451422B2 (ja) 生物学的水処理装置の制御装置
JP2000325989A (ja) 生物脱窒処理方法
JPH0475079B2 (ja)
JP2021151646A (ja) 水処理装置及び水処理方法
JP5826328B2 (ja) 生物学的水処理装置の制御装置
JP3111473B2 (ja) 活性汚泥処理制御方法

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20070628

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20071011

A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20081202