JP2003077708A - 酸化亜鉛系焼結体用添加物材料とその製造方法 - Google Patents

酸化亜鉛系焼結体用添加物材料とその製造方法

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JP2003077708A
JP2003077708A JP2001317426A JP2001317426A JP2003077708A JP 2003077708 A JP2003077708 A JP 2003077708A JP 2001317426 A JP2001317426 A JP 2001317426A JP 2001317426 A JP2001317426 A JP 2001317426A JP 2003077708 A JP2003077708 A JP 2003077708A
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oxide
zinc oxide
powder
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boron
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JP2001317426A
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Atsushi Iga
篤志 伊賀
Daiki Miyamoto
大樹 宮本
Takashi Miyamoto
敬 宮本
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Osaka Prefecture
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ZUINKUTOPIA KK
Osaka Prefecture
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】昇温過程で酸化クロム粉体が酸化ホウ素や酸化
ビスマスなど液相形成物質と反応するよりも先に酸化亜
鉛に反応して酸化亜鉛クロマイトを形成すると、酸化ク
ロムが液相に加わることが遅れ、酸化亜鉛系焼結体の諸
特性にバラツキや特性不良をもたらすのでこれを防ぐ課
題を有する。 【解決手段】酸化クロムがスムースに液相形成に寄与す
ることを促進するため、酸化クロムを予め液相形成にか
かわりの大きい酸化ホウ素と等モル比で反応させて酸化
ホウ素・酸化クロム合成物を形成しておいてこれを他の
添加物とともに酸化亜鉛粉体に添加すると、酸化亜鉛系
焼結体の諸特性のバラツキや特性不良が少なくなる。酸
化ホウ素・酸化クロム合成物自体のバラツキからくる酸
化亜鉛系焼結体の諸特性のバラツキをおさえるため、ま
とまった量の酸化ホウ素・酸化クロム合成物を製造して
おいて添加物として使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は電気回路中のサー
ジ吸収などに用いられる酸化亜鉛バリスタ用焼結体を製
造する際に添加される添加物材料およびその製造方法に
関する.
【0002】
【従来の技術】酸化亜鉛バリスタは、酸化亜鉛と基本添
加物である酸化ビスマス、酸化コバルトおよび酸化マン
ガンと、さらに性能向上のために添加される各種の酸化
物とを含む酸化亜鉛系原料粉末を成形し焼成することに
よって得られる酸化亜鉛系焼結体を用いて製造される.
酸化亜鉛バリスタの立ち上がり電圧は、電極間に存在す
る酸化亜鉛系焼結体内の酸化亜鉛粒子間の粒界の数にほ
ぼ比例して上昇することが知られている.すなわち、立
ち上がり電圧は焼結体内の一つの粒界あたり3から4ボ
ルト上昇する.したがって、厚さ1mmあたり200〜
400Vくらいの高電圧用の酸化亜鉛バリスタを製造す
るためには、平均粒径4〜20μm程度の粒径の小さい
酸化亜鉛粒子を有する酸化亜鉛焼結体を製造することが
必要である.そこで従来は、高電圧用の酸化亜鉛バリス
タを製造するためには酸化アンチモンなどの酸化亜鉛粒
子の粒成長抑制剤を添加することによって、酸化亜鉛粒
子の成長を抑制する方法が用いられてきた.酸化アンチ
モンは、酸化亜鉛バリスタの非直線抵抗特性を安定化さ
せるという重要な働きも行う。
【0003】 なお、立ち上がり電圧とは、バリスタに
1mAの電流を流した時の両端子間の電圧をいい、V1
mAで表わされる.そして厚みが1mmの試料に1mA
の電流を流した時の両端子間の電圧をこの材料の定数の
一つとし、V1mA/mmで表わしている.これは試料
1mmの厚み当たりの立ち上がり電圧ということにな
る.
【0004】 酸化亜鉛バリスタにおいて電気特性が優
れているとは、たとえば、漏れ電流が少なく、後述する
非直線抵抗指数0.1mA α 1mAが高い値を持つ
などである。また、信頼性が優れているとは、長時間電
圧を印加した場合、あるいは高温下で長時間電力負荷を
加えた場合、さらにはパルス電流を印加した場合等にお
いても、電気特性の低下などがなく、もとの電気特性が
維持されるなどの事項が挙げられる.
【0005】従来より酸化亜鉛バリスタ用焼結体を得る
とき、酸化亜鉛に酸化ビスマスや鉄族酸化物など多種の
添加物が添加され、1150℃〜1300℃の高い焼結
温度で焼成された.これらの高い温度で焼成すると大気
中においても酸化ビスマスなどの蒸発は活発である.ま
た、酸化ビスマスは多くの種類の物質と反応しやすく、
炉材や容器等のセラミックス材など多くの物質を容易に
腐食する.すなわち、高い焼結温度は電力消費のみなら
ず、酸化ビスマスなどの激しい飛散とそれに伴う炉材や
容器の消耗をもたらすので、焼成温度の低温度化が要望
されていた.又、焼成温度が高いときには、炉内の焼成
物の置かれた場所により、温度、昇温速度、酸化ビスマ
スや酸化アンチモンの蒸気圧などに差が生じ、これらを
均一に保つことが困難で、特性のバラツキを生じやすい
などの問題があった。従来の酸化亜鉛バリスタの配合組
成で焼成温度を低くすると、十分な焼結がおこなわれ
ず、そのために立ち上がり電圧が急激に高くなり、酸化
亜鉛の粒径にバラツキが生じ非直線抵抗特性が低下す
る.また、電力負荷、パルス電流負荷などによる劣化が
進みやすくなる.すなわち、焼成温度を低くするという
課題をもっていた.
【0006】 一般に、酸化亜鉛粉体に酸化アンチモン
などを添加した混合粉体に加圧成形を施して焼成する
と,昇温過程で酸化アンチモンは容易に昇華して酸化亜
鉛粒子の表面を覆い、さらに酸化アンチモンは酸化亜鉛
と反応して酸化亜鉛と酸化亜鉛の接触をさまたげ,酸化
亜鉛粒成長を抑制する働きをする.その結果、十分焼結
するためには高温を必要とする。また焼結体において、
酸化アンチモンの濃度にバラツキがあると粒成長が促進
されない部分と促進される部分が混在してしまうことに
なり、従来の製造方法では、粒径のそろった焼結体を製
造することが困難であった.従って、品質の不均一やロ
ット間の品質のバラツキが生じやすかった.
【0007】 さらに詳しく観察すると、酸化亜鉛バリ
スタの焼結体の基本組成であるZnO−Bi系に
は740℃の共晶温度をもつ共晶組成があるので、この
ZnOとBiの二者の混合物は800℃近傍の温
度においても容易に反応し焼結する。しかるに添加物の
中に酸化アンチモンが存在すると酸化アンチモンが低温
で昇華してZnOの周りを覆ってしまってZnOとBi
の二者の接触を妨げ、この反応を妨げ、焼結を困
難にする。さらにこれにBiとZnOが反応して
ZnO−ZnO間にZnO−Bi−Sb
3の強固なパイロクロア相の膜が形成され、さらに焼結
をおくらせる。ZnO−Bi −Sb系では
低温で容易に固相のパイロクロア相が形成され、液相の
Bi相の生成が妨げられ液相焼結の進行が遅れ
る。酸化アンチモンは、酸化アンチモンそのものがある
いは酸化アンチモンと酸化亜鉛との化合物が酸化亜鉛粒
子の間に存在して酸化亜鉛粒子間の接触を妨げる場合
と、化学的に安定なパイロクロアを形成して酸化亜鉛粒
子間の接触を妨げる場合とがある.
【0008】しかしながら、ここに適量のコバルト、マ
ンガン、ニッケル、クロムなどの酸化物が存在すると、
これらによって酸化亜鉛、酸化アンチモンとともにスピ
ネル相が形成され、比較的低温より液相の酸化ビスマス
相が生成されて、酸化アンチモンの昇華が抑制され、パ
イロクロア相などの膜が形成されるよりも先に、酸化亜
鉛の液相焼結がはじまる。そして高い非直線抵抗特性を
もった酸化亜鉛焼結体が得られることが明らかとなっ
た。ここで特に酸化クロムの量は少ないにもかかわらず
酸化ビスマス相の生成温度を下げるのに重要な働きをす
る。
【0009】しかし従来の酸化亜鉛バリスタは本質的な
不安定性を持っていた。従来の製造方法で作成した酸化
亜鉛バリスタの場合、n型半導体としての酸化亜鉛粒子
内では2〜7×1017個/cm3くらいの伝導電子が
存在するといわれている.通常の酸化亜鉛内には酸化亜
鉛結晶の亜鉛と酸素の原子が位置する格子点と格子点の
間に格子間亜鉛原子いわゆるインタースティシャルZn
が存在する.酸化亜鉛の導電性はこれらのインターステ
ィシャルZn原子から励起された電子によるものであ
る.従来の酸化亜鉛バリスタにおける最大の問題点の一
つは電気的不安定性である。そしてこの電気的不安定性
の一つが長時間にわたって直流または交流の電圧を素子
に印加しつづけるとV−I特性が劣化して徐々に電流が
増加することであり,他の一つは、酸化亜鉛バリスタの
焼結体に700℃前後の熱処理を施すとV−I特性が急
激に劣化することである.後者の場合漏れ電流が大きく
なって場合によっては実用化できないことが起きる。こ
れらの二つのV−I特性の劣化は酸化亜鉛バリスタの焼
結体の酸化亜鉛粒子の粒界にそって生ずる空乏層内にお
けるインタースティシャルZnの移動によって起きる。
【0010】 さらに詳しく検討すると、大気中高温で
生成された酸化亜鉛粒子では、酸化亜鉛結晶格子間にイ
ンタスティシャルZn原子が形成され、このインタステ
ィシャルZn原子がドナーとして働いて伝導帯に電子を
供給して酸化亜鉛はn−型半導体となっている.酸化亜
鉛中のインタスティシャルZn原子の濃度は雰囲気中の
酸素分圧が高いと低くなり、雰囲気温度が高くなると増
すといわれている.かかる酸化亜鉛粉体にBi
CoO、MnOなどを添加し、加圧成型して高温大気中
で焼結すると、きわめて高い非直線抵抗特性をもった酸
化亜鉛バリスタが得られた.これらの焼結体の粒界で
は、粒界の両側のn−型半導体酸化亜鉛中の伝導電子が
粒界に捕獲され、そのために粒界の両側に空乏層が形成
され、粒界の両側に電子の異動を阻止するバリアが形成
される。いわゆるダブル・ショットキ・バリアが形成さ
れる.n−型酸化亜鉛半導体の主な電気伝導の担い手は
インタスティシャルZn原子より生じた伝導電子である
ので、空乏層内にはプラス・チャージを持ったインタス
ティシャルZn原子が残っていることになる.焼結体に
外部から電圧が印加されていない場合においても、空乏
層内では強い電界が働いており、空乏層内のプラス・チ
ャージを持ったインタスティシャルZn原子は粒界に向
けて引力を受けている.このような焼結体に外部より電
圧が印加されると、電圧は薄い空乏層に対してのみ印加
されるので、一方の空乏層内ではさらに大きな電界が働
くことになり,インタスティシャルZn原子は比較的移
動しやすいので、その一部は粒界に向けて移動し、粒界
に達する.そしてプラス・チャージを持ったインタステ
ィシャルZn原子はマイナス・チャージを持った酸素原
子と結合して中性のZnOとなる.同時に粒界に捕獲さ
れていたマイナス・チャージが減少するので、バリスタ
特性をもたらせていたバリアが低くなって非直線抵抗特
性が低下する.さきにも述べたように焼結体に外部から
電圧が印加されていない場合においても、空乏層内では
強い電界が働いており、空乏層内のプラス・チャージを
持ったインタスティシャルZn原子は粒界に向けて引力
を受けている.このような状況において、素子が加熱さ
れると、熱のため、インタスティシャルZn原子は移動
しやすくなり、電界によって一部は粒界に向けて移動
し、粒界でマイナス・チャージを持った酸素原子と結合
して中性のZnOを形成し、バリスタの非直線抵抗特性
を低下させる.以上のように、酸化亜鉛結晶の半導体化
は、主として製造プロセスにおいて自然に生ずるインタ
スティシャルZn原子によってもたらされ、それ故に電
気的不安定性を伴っていた.
【0011】一方において、酸化亜鉛結晶のn−型半導
体化はAl2O3の添加によっても実施された.特に高
電流域における電流−電圧非直線抵抗特性を向上させる
には酸化亜鉛粒子内の電気伝導度を上げることが重要で
あるが、自然に生ずるインタスティシャルZn原子によ
ってもたらされる電気伝導度のみでは不十分である。そ
こで特に高電流域における電流−電圧非直線抵抗特性の
向上を計るべくドナーとしてAlが添加され,高
電流域における電流−電圧非直線抵抗特性の向上は酸化
亜鉛粒子内の電気伝導を上げることによって達成でき
た.しかし,Alが添加された場合においても、
空乏層内のプラス・チャージを持ったインタスティシャ
ルZn原子が存在すると、不安定性の問題はAl
が添加されない場合と同じで、電圧印加の際や熱処理の
際にはバリアの低下をもたらし、非直線抵抗特性が低下
しもれ電流が増大するという問題をかかえていた.上述
したようにもれ電流の増大は発熱によって素子の温度上
昇をまねき、温度上昇は非直線抵抗特性を低下させてさ
らに電流を増し、ついにはバリスタの暴走をひきおこす
危険性があった.特に、電極焼き付けや側面コートのた
めに熱処理を施した際には低電流域における非直線抵抗
特性の低下が大きいという問題をもっていた.酸化亜鉛
バリスタの焼結体に予め500℃〜600℃の熱処理を
施しておくと,AC印加に対する安定性が増すので、劣
化対策としてこの方法が採用されてきてはいるが、不安
定性が充分になくなったとは言えない. 500〜60
0℃の熱処理を施すことによって劣化の原因であった空
乏層内のインタスティシャルZnイオンが減少し,その
結果,I−V特性の不安定性が緩和されるというのであ
るが、本質的な問題解決には至っていない.
【0012】電気的特性の不安定性の原因はインタース
ティシャルZnの移動にあるので、インタースティシャ
ルZnを少なくし、ドナーとして、Zn原子がくる格子
点にAl原子を置換して酸化亜鉛粒子内の電気伝導はA
lドナーからの電子が受け持つようにする必要があっ
た。インタースティシャルZnを少なくする方法として
酸化亜鉛を高い温度で高い酸素分圧のなかに保持するこ
とが必要とかんがえられる。その方法の一つとして高酸
素圧下で酸化亜鉛バリスタを焼結することが考えられる
が、素子が大きくなると効果的にインタースティシャル
Znを少なくすることは困難である。
【0013】そこで閉鎖された焼結体内で酸素を発生し
高酸素分圧を有する閉気孔の存在するもとで酸化亜鉛バ
リスタを焼結する試みがなされた.すなわち,低温で濡
れ性のよい液相が形成されるべくホウ素を含有する物質
を添加し,そのもとでの焼結が試みられた。その結果、
このようにして焼成された酸化亜鉛系焼結体は初期特性
が優れているのみでなく、さらにAC、DC印加および
熱処理に対しても安定性が優れていた.
【0014】近年、ZnOにBiとSb
鉄族酸化物(CO,MnO,NiO)Al
を含有する系においても、適量のCrとB
が添加されると、インタースティシャルZnの発生を
抑制しながら950℃以下の低温でも焼結できることが
あきらかとなった。すなわち、かかる組成においては、
低温においてもパイオクロア相の発生を抑制し、低温に
おいても酸化ビスマスを主成分とする液相が生成されて
液相焼結が活発にすすみ、酸素を含有したクローズドポ
ア(closed pour)が形成され、インタース
ティシャルZnの発生を抑制しながら950℃以下の低
温でも焼結できることが明かとなった。
【0015】しかるにCrとBがそれぞれ
粉体のままで他の添加物とともに酸化亜鉛に添加される
と、好ましくない反応が先行することがあって必ずしも
最適の焼結が進むとは限らず、特性のバラツキや特性の
低下を招来するなどの問題を有していた。すなわち、酸
化ホウ素および酸化クロムを添加物として添加する低温
焼結型酸化亜鉛バリスタにおいて、酸化ホウ素粉体と酸
化クロム粉体とを他の添加物とともに酸化亜鉛粉体に添
加して酸化亜鉛系混合粉体を作成し成形し焼成して酸化
亜鉛系焼結体を作成するとき、昇温過程で酸化クロム粉
体が酸化ホウ素や酸化ビスマスなど液相形成物質と反応
するよりも先に酸化亜鉛に反応して酸化亜鉛クロマイト
を形成すると、酸化クロムが液相に加わることが遅れ、
酸化亜鉛系焼結体の諸特性にバラツキや特性不良をもた
らすなどの問題を有していた。
【発明が解決しようとする課題】
【0016】 本発明は、上記の酸化ホウ素および酸化
クロムを添加物として添加する製造によって生ずる問題
を解決して、低温度焼結で非直線抵抗特性などの電気特
性および信頼性に優れた酸化亜鉛バリスタを高歩留りで
製造するための酸化亜鉛系焼結体製造のための添加物を
提供することを目的とする.
【0017】
【課題を解決するための手段】酸化クロムがスムースに
液相形成に寄与することを促進するため、酸化クロムを
予め液相形成にかかわりの大きい酸化ホウ素と反応させ
て酸化ホウ素・酸化クロム合成物を形成しておいてこれ
を他の添加物とともに酸化亜鉛粉体に添加すると、酸化
亜鉛系焼結体の諸特性のバラツキや特性不良が少なくな
る。また、酸化ホウ素・酸化クロム合成物自体のバラツ
キからくる酸化亜鉛系焼結体の諸特性のバラツキをおさ
えるため、まとまった量の酸化ホウ素・酸化クロム合成
物を製造しておいて添加物として使用する。
【0018】前記目的を達成するため、すなわち、イン
タースティシャルZnの発生を防ぎながら高性能で安定
性の優れた素子を低温で焼結して得るため、他の酸化ビ
スマスや酸化アンチモンや鉄族酸化物やアルミニウム化
合物などと共に酸化亜鉛に添加して用いられる本発明の
酸化亜鉛系焼結体用添加物材料は、酸化ホウ素と酸化ク
ロムの混合物に熱処理を施して、酸化ホウ素・酸化クロ
ム含有合成物を形成してなるという構成を備えたもので
ある.
【0019】 また前記目的を達成するため、本発明の
酸化亜鉛系焼結体添加物材料は、少なくとも酸化ホウ素
と酸化クロムとを含有する混合粉体に熱処理が施されて
作られるが、酸化ホウ素と酸化クロムの他に酸化アンチ
モンと希土類酸化物より選択された一種または二種以上
の酸化物を含有する混合粉体に熱処理が施されて作られ
るという構成を備えたものである.
【0020】 また前記目的を達成するため、本発明の
酸化亜鉛系焼結体用添加物材料は、酸化ホウ素・酸化ク
ロム含有合成粉末中の酸化ホウ素と酸化クロムの組成比
がモル比で酸化ホウ素/酸化クロム=0.1〜5.0で
あるという構成を備えたものである.
【0021】 また前記目的を達成するため、本発明の
酸化亜鉛系焼結体用添加物材料はの製造方法は、少なく
とも酸化ホウ素粉体又はホウ酸(HBO)粉体と酸
化クロム粉体とを混合して混合粉体を作成する工程と、
前記混合粉体に300℃以上の温度の熱処理または溶融
の高温熱処理を施して少なくとも酸化ホウ素と酸化クロ
ムとを含有する酸化ホウ素・酸化クロム合成物を作成す
る工程と、前記酸化ホウ素・酸化クロム合成物に粉砕処
理を施す工程を含有するという構成を備えたものであ
る.
【0022】 さらにまた、前記目的を達成するため、
本発明の酸化亜鉛系焼結体用添加物材料はの製造方法
は、少なくとも酸化ホウ素粉体又はホウ酸(H
)粉体と酸化クロム粉体とを混合して混合粉体を作
成する工程が、酸化ホウ素粉体又はホウ酸(H
)粉体と酸化クロム粉体の他にさらに酸化アンチモ
ンと希土類酸化物より選択された一種または二種以上の
酸化物を含有する混合粉体を作成する工程であるという
構成を備えたものである.
【0023】
【発明の実施の形態】本発明は、酸化亜鉛バリスタを構
成する酸化亜鉛系焼結体を製造する際に、他の添加物と
共に酸化亜鉛に添加される酸化亜鉛系焼結体用添加物材
料に関するもので、本添加物材料を使用すると低温焼結
法で極めて特性劣化の小さい酸化亜鉛バリスタが得られ
るというものであり、酸化ホウ素と酸化クロムを含有す
る合成物よりなる。
【0024】
【実施例】 以下実施例においては、本発明の酸化亜鉛
系焼結体用添加物材料を添加した酸化亜鉛系焼結体を製
造して電気特性を評価しながら、さらに具体的に説明す
る。なお、下記の実施例において「重量」は、「wt」
と表示することがある。
【0025】(実施例1)Bの粉末と、Cr
の粉末(各粉末の粒径はそれぞれ、平均粒径が2〜3
μm)をモル比でB/Cr=xになるよう
に混合し、大気雰囲気下、400℃で5時間の熱処理を
施した後、安定化ジルコニアを玉石とするモノマロンポ
ットのボールミルで尾粉砕することによってB
Crの合成粉末(平均粒径約0.5〜1.5μ
m)を得た。以下、Bと、Crによって調
整される合成粉末をB・Cr合成粉末と呼
ぶ。次に、この酸化亜鉛系焼結体用添加物材料B
・Crを用いて、ZnO、前記B・Cr
合成粉末、Bi、CO、MnO、N
iO,Sb、AlOOHを、重量比で81.3
8:0.4:4.2:0.954:0.414:0.3
83;1.13:0.0012となるように配合し、湿
式法で混合粉砕した。ただし、B・Cr
成粉末のBとCr比、B/Cr
(モル比)としてx=5.0,4.0,2.0,1.
0,0.5,0.25,0.2を選択した。得られた配
合粉末を乾燥し、ディスク状に加圧成形した。次に、得
られた成形体を大気中、昇温速度50℃/時間で昇温
し、900℃で10時間保持した後、降温速度50℃/
時間で降温して焼結体を得た。得られた焼結体の試料サ
イズは厚さ1.2mm,直径は14mmであった。ま
た、得られた焼結体に700℃で保持時間が1時間の熱
処理を施した。
【0026】 次に、得られた酸化亜鉛バリスタの作成
方法を説明する。前記のようにして得た焼結体の両面に
アルミニウムを溶射することによって、アルミニウム層
を形成し、次に、この両面に形成されたアルミニウム層
の上に銅を溶射することによって電極を形成した。電極
にハンダでリード線を付けた後、リード線以外の焼結体
および電極部分を授脂塗装することによって酸化亜鉛バ
リスタを得た。
【0027】 このようにして得られた酸化亜鉛バリス
タの電気特性を評価した。初期の電気特性として、立ち
上がり電圧V1mA/mm(1mAの電流を流した時の
両端子間の1mm厚みに対する電圧)および非直線抵抗
指数0.1mA α 1mA(V1mAとV0.1mA
とを用いて求めた値) を測定した(なお、以下の記載
においては、非直線抵抗指数0.1mA α 1mA
単にα値と略称することがある)。非直線抵抗指数が大
きいほど、サージ吸収能力が大きくなる。又、直流負荷
に対する信頼性を評価した。80℃の高温雰囲気中で
0.5ワットの直流負荷を500時間印加し、冷却して
バリスタ立ち上がり電圧V1mAの変化率△V1mA
1mA(直流負荷変化率)を測定した。バリスタ立ち
上がり電圧V1mAの変化率△V1mA/V1mAが小
さいほど、酸化亜鉛バリスタの電気特性が安定してお
り、信頼性が高いことを示している。
【0028】さらに、サージに対する信頼性を評価し
た。8×20μsec,1.5kAのパルスの10回印
加によるバリスタ立ち上がり電圧V1mAの変化率△V
1mA/V1mA(サージ変化率)を測定した。表1に
試料の組成を、表2に電気特性の評価結果を示す。サー
ジ変化率の値が小さいほど、酸化亜鉛バリスタの電気特
性が安定しており、信頼性が高いことを示している。い
ずれも変化率の絶対値が5%以下の場合に信頼性が高い
ことを示している。なお、電気特性の評価結果を示す数
値は、ロット内の最小値と最大値を示した。
【0029】
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】 表1および表2より、本実施例の酸化亜
鉛系焼結体用添加物材料を添加して得た酸化亜鉛系焼結
体を用いた酸化亜鉛バリスタは、900℃という低い温
度でも焼結することができ、x=5.0の試料(試料番
号#001)およびx=0.2の試料(試料番号#00
7)を除いて非直線抵抗特性がよく、長時間の直流負荷
に対してもまたサージに対しても、立ち上がり電圧V
1mAの変化率(△V1mA/V1mA)の絶対値が5
%以下で、信頼性が優れていた。また、表2に示されて
いるように、ロット内の電気特性のバラツキも小さかっ
た。表2には示されていないが、酸化亜鉛系焼結体用添
加物材料を用いて酸化亜鉛バリスタを作成すると、ロッ
ト間の電気特性のバラツキも、ロット内の電気特性のバ
ラツキと同様に小さかった。なお,試料番号#001で
は立ち上がり電圧が高くなって測定できなかった。#0
07は、電圧負荷および熱処理による特性劣化が大きか
った。
【0032】(実施例2)モル比でBの粉末とC
の粉末とYの粉末を1:1:2、1:
2:1、2:1:1、になるよう混合した。これらの混
合粉を大気雰囲気下、410℃で5時間の熱処理を施し
た後、安定化ジルコニアを玉石とするモノマロンポット
のボールミルで尾粉砕することによってBとCr
とYよりなるB・Cr・Y
合成粉末を得た。ZnO粉末と、前記B・C
・Y合成粉末と、Bi粉末と,C
粉末と、MnO粉末と、NiO粉末と、Sb
粉末と、Al(NO・9HO粉末とを重
量比で81.38:4.2:0.8:0.8:0.95
4:0.414:0.383:0.95:0.0075
となるように配合し、湿式法で50時間混合粉砕し,ス
プレイドライアーによって酸化亜鉛混合粉末を得た.か
くして得た酸化亜鉛混合粉末を用いてバリスタを作成し
た.表3に試料の組成をを示し表4 に酸化亜鉛バリス
タの電流−電圧特性など電気特性を示す。
【0033】
【表3】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】表4にみるように、本実施例の酸化亜鉛系
焼結体用添加物材料添加の酸化亜鉛焼結体を用いた酸化
亜鉛バリスタにおいて非直線抵抗特性が優れていること
がわかる。
【0036】(実施例3)酸化アンチモンを含有しない
系についても、本酸化亜鉛系焼結体用添加物材料の添加
効果を調べた。Bの粉末とCr粉末をモル
比で1:3,1:1,1:2,2:1になるように混合
し,これらの混合粉を大気雰囲気下でそれぞれ400
℃、500℃、370℃、370℃で5時間の熱処理を
施した後、安定化ジルコニアを玉石とするモノマロンポ
ットのボールミルで尾粉砕することによってB
Crよりなる四種類のB・Cr合成
粉末を得た。
【0037】ZnO粉末と、前記B・Cr
粉末と、Bi粉末と、Co粉末と、MnO
粉末と、NiO粉末と,SnO粉末と、硝酸アルミ
ニウム(Al(NO・9HO)とを重量比で表
5となるように配合し、湿式法で18時間混合粉砕し
た.つづいて乾燥・造粒し、成形・焼成し、実施例1と
類似の方法で酸化亜鉛バリスタを得た.表5に試料の組
成を、表6に電気特性の評価結果を示す.
【0038】
【表5】
【0038】
【表5】
【0039】
【表6】
【0040】表5および表6より、本実施例の酸化亜鉛
系焼結体用添加物材料を用いて焼成してえた焼結体より
なる酸化亜鉛バリスタは、非直線抵抗特性がよく、長時
間の直流負荷に対してもまたサージに対しても、立ち上
がり電圧V1mAの変化率(△V1mA/V1mA)の
絶対値が5%以下で、信頼性が優れていた.
【0041】
【発明の効果】 以上実施例をあげて説明したように、
本発明の酸化亜鉛系焼結体用添加物材料は、焼結温度を
低くし、酸化亜鉛バリスタの不安定性の原因であるイン
タスティシャルZnの生成を抑制する効果を持つ。その
結果、本酸化亜鉛系焼結体用添加物材料を添加の焼結体
を用いて作成したバリスタは、低電流域から高電流域ま
で非直線抵抗特性などの電気特性が優れ、またインタス
ティシャルZnの移動が抑制されて直流および交流の電
圧印加並びに熱に対し極めて安定性にすぐれている。ま
た本発明は、上記酸化亜鉛バリスタ用酸化亜鉛系焼結体
を高い歩留りで製造する方法を可能ならしめるものであ
り、工業的に少量の酸化ホウ素含有合成物・酸化クロム
含有合成物を均一に焼結体内に分布させ良特性の材料お
よび素子を得ている。
【0042】さらにまた、本発明の酸化亜鉛系焼結体用
添加物材料を添加することによって、銀の融解温度より
も低い温度で酸化亜鉛系焼結体を焼結するものがある。
これら酸化亜鉛系焼結体をシート状に成形し、電極材
料と交互に積層し、焼結し、電極を所定の接続方法でつ
なぐと、積層型のバリスタがえられる。これらの酸化亜
鉛系焼結体内部に焼成の際に同時に銀電極を形成するこ
とが可能となった。その結果、銀の内部電極をもった、
高性能の積層型の酸化亜鉛バリスタを製造できるように
なった。従来の積層型のバリスタでは、良特性のものを
得ようとすると1200℃以上の焼成温度を必要とした
が、そのためには電極材料として白金などの貴金属を用
いる。しかるに、950℃以下の温度で焼結可能な酸化
亜鉛系焼結体をもちいる場合、電極材料として比較的低
価格の銀を用いることが可能となる。かくして、本発明
の利点の一つは、バリスタの内部電極として、銀を一体
化焼成できることにある。
【0043】また、本発明の酸化亜鉛系焼結体用添加物
材料は、酸化亜鉛系焼結体を低温度で焼結するのに寄与
できるので、焼結の際の電力消費を少なくすることが可
能となり、同時に焼結に用いる電気炉の炉材や容器の消
耗を少なくすることができ、省エネルギーや省資源に大
きく寄与することができる。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0038】
【表5】
【0039】
【表6】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G030 AA12 AA22 AA25 AA28 AA29 AA32 AA35 AA36 AA42 AA43 BA04 CA05 GA03 GA08 GA22 GA25 GA27 5E034 CC02 EA08

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも酸化ホウ素(B)と酸化
    クロム(Cr)とを含有する混合粉体に300℃
    以上の温度の熱処理を施しまたは溶融の高温熱処理を施
    したあと冷却・粉砕して得る酸化ホウ素・酸化クロム含
    有合成粉末よりなる酸化亜鉛系焼結体用添加物材料.
  2. 【請求項2】少なくとも酸化ホウ素と酸化クロムとを含
    有する混合粉体が、酸化ホウ素と酸化クロムの他に酸化
    アンチモンと希土類酸化物より選択された一種または二
    種以上の酸化物を含有する混合粉体であることを特徴と
    する請求項1記載の酸化亜鉛系焼結体用添加物材料.
  3. 【請求項3】酸化ホウ素・酸化クロム含有合成粉末中の
    酸化ホウ素と酸化クロムの組成比がモル比で酸化ホウ素
    /酸化クロム=0.1〜5.0であることを特徴とする
    請求項1記載の酸化亜鉛系焼結体用添加物材料.
  4. 【請求項4】 少なくとも酸化ホウ素粉体又はホウ酸
    (H3BO3)粉体と酸化クロム粉体とを混合して混合
    粉体を作成する工程と、前記混合粉体に300℃以上の
    温度の熱処理または溶融の高温熱処理を施して少なくと
    も酸化ホウ素と酸化クロムとを含有する酸化ホウ素・酸
    化クロム合成物を作成する工程と、前記酸化ホウ素・酸
    化クロム合成物に粉砕処理を施す工程を含有する酸化亜
    鉛系焼結体用添加物材料の製造方法.
  5. 【請求項5】少なくとも酸化ホウ素粉体又はホウ酸(H
    BO)粉体と酸化クロム粉体とを混合して混合粉体
    を作成する工程が、酸化ホウ素粉体又はホウ酸(H
    )粉体と酸化クロム粉体の他にさらに酸化アンチモ
    ンと希土類酸化物より選択された一種または二種以上の
    酸化物を含有する混合粉体を作成する工程であることを
    特徴とする請求項4記載の酸化亜鉛系焼結体用添加物材
    料の製造方法.
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