JP2003077531A - ナトリウム硫黄電池の運転方法及び装置 - Google Patents

ナトリウム硫黄電池の運転方法及び装置

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忠彦 三吉
Manabu Madokoro
間所  学
Koji Kusakabe
康次 日下部
Hisamitsu Hato
久光 波東
Tatsuo Amada
達雄 天田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電力消費者の利用する電力貯蔵用のナトリウム
硫黄電池の充放電効率を向上できるナトリウム硫黄電池
の運転方法及び装置を提供するにある。 【解決手段】ナトリウム硫黄電池110は、夜間電力を
充電電力として受給すると共に、放電電力を電力消費者
200の消費電力として供給する。制御装置120は、
ナトリウム硫黄電池110の充電電力の1日の受給時間
と放電電力の1日の供給時間との和が20〜24時間で
あり、且つ、受給時間が供給時間よりも短くなるよう
に、ナトリウム硫黄電池110の充放電を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の所属する技術分野】本発明は、負荷平準化シス
テムとして用いられるナトリウム硫黄電池の運転方法及
び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ナトリウム硫黄電池を用いて電力を夜間
貯蔵して昼間使用する負荷平準化システムは、例えば、
特許公開平8−287958号公報、特許公開平8−1
38731号公報、特許公開平11−233137号公
報などに見られるように、発電設備や送変電設備を昼間
の電力ピークに合わせて建設する必要性を抑制し、発電
設備や送変電設備の利用率を向上できるという優れた効
果を持っており、今後の普及拡大が期待されている。こ
のナトリウム硫黄電池の設置場所としては都市近郊の変
電所なども考えられるが、利用拡大のためにはもっと多
くの設置面積が必要であり、また、出来るだけ電力消費
者に近い場所へ置くほうが送電設備の節約のために望ま
しいことより、電力消費者の元,例えば、集合住宅,ス
ーパーマーケットなどの量販店,パチンコ店などの遊技
場,コンビニエンスストアやホテルなどへ設置して、電
力消費者が利用することが望ましい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ここで、電力消費者が
ナトリウム硫黄電池を利用する場合には、昼間電力料金
と夜間電力料金との差額でもって、ナトリウム硫黄電池
の購入費用や借用費用が賄えることが普及のポイントで
ある。このためには、ナトリウム硫黄電池の充放電効率
が出来るだけ高くなるように電池を運転して、ナトリウ
ム硫黄電池の利用効果を高めることが望ましいが、従来
の方法では、このように電力消費者の利用するナトリウ
ム硫黄電池の運転方法についての検討は不十分であっ
た。
【0004】さらに、電力消費者がナトリウム硫黄電池
の運転,保守・管理を実施するためには、ナトリウム硫
黄電池やこれに付随した交直変換装置などの電気機器に
対する知識や運転・保守・管理能力が必要であり、ま
た、現行の消防法では危険物取扱者がナトリウム硫黄電
池の監視を行なう必要があるという規制があり、これら
の問題が電力消費者によるナトリウム硫黄電池の利用を
困難なものにしていた。
【0005】本発明の第1の目的は、上記従来方法の欠
点を除き、電力消費者の利用する電力貯蔵用のナトリウ
ム硫黄電池の充放電効率を向上できるナトリウム硫黄電
池の運転方法及び装置を提供するにある。
【0006】また、本発明の第2の目的は、電力消費者
によるナトリウム硫黄電池の利用を容易にできるナトリ
ウム硫黄電池の運転方法及び装置を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】(1)上記第1の目的を
達成するために、本発明は、夜間電力を充電電力として
受給すると共に、放電電力を消費者の消費電力として供
給するナトリウム硫黄電池の運転方法において、前記充
電電力の1日の受給時間と前記放電電力の1日の供給時
間との和が20〜24時間であり、且つ、前記受給時間
を前記供給時間よりも短くしたものである。かかる方法
により、電力消費者の利用する電力貯蔵用のナトリウム
硫黄電池の充放電効率を向上し得るものとなる。
【0008】(2)上記(1)において、好ましくは、
前記充電電力の1日の受給時間と前記放電電力の1日の
供給時間との和を22〜24時間としたものである。
【0009】(3)上記(1)若しくは(2)におい
て、好ましくは、前記受給時間を前記供給時間の1/
1.1〜1/2としたものである。
【0010】(4)上記(1)若しくは(2)におい
て、好ましくは、複数の電力消費者に対して同じナトリ
ウム硫黄電池より前記放電電力を供給するようにしたも
のである。
【0011】(5)上記(1)若しくは(2)におい
て、好ましくは、特性測定装置によって前記ナトリウム
硫黄電池の特性を測定して異常有無を判定し、異常有り
と判定された場合に通信手段によって遠隔監視者へ伝達
すると共に、前記判定または前記遠隔監視者から通信手
段によって伝達された判定に従って、制御装置によって
前記ナトリウム硫黄電池の運転を停止するようにしたも
のである。かかる方法により、電力消費者によるナトリ
ウム硫黄電池の利用が容易にできるものとなる。
【0012】(6)上記(5)において、好ましくは、
前記特性が少なくとも電池温度と電池電圧とを含むよう
にしたものである。
【0013】(7)上記第1の目的を達成するために、
本発明は、夜間電力を充電電力として受給すると共に、
放電電力を消費者の消費電力として供給するナトリウム
硫黄電池と、このナトリウム硫黄電池の充放電を制御す
る制御装置を有するナトリウム硫黄電池の運転装置にお
いて、前記制御装置は、前記充電電力の1日の受給時間
と前記放電電力の1日の供給時間との和が20〜24時
間であり、且つ、前記受給時間が前記供給時間よりも短
くなるように、前記ナトリウム硫黄電池の充放電を制御
するようにしたものである。かかる構成により、電力消
費者の利用する電力貯蔵用のナトリウム硫黄電池の充放
電効率を向上し得るものとなる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図4を用いて、本発
明の一実施形態によるナトリウム硫黄電池の運転方法及
び装置について説明する。最初に、図1を用いて、本実
施形態によるナトリウム硫黄電池の運転装置のシステム
構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に
よるナトリウム硫黄電池の運転装置の構成を示すシステ
ム構成図である。
【0015】ナトリウム硫黄電池の運転装置100は、
ナトリウム硫黄電池(NaS電池)110と、制御装置
120と、交直変換装置(DC/AC)130と、特性
測定装置140と、記憶装置150と、通信手段160
とを備えている。
【0016】ナトリウム硫黄電池110から放電された
放電電力は、交直変換装置130によって交流電力に変
換され、電力消費者200に供給される。なお、電力消
費者200が直流電力を消費する場合には、交直変換装
置130は不要である。また、ナトリウム硫黄電池11
0から放電された放電電力は、一つの電力消費者200
だけでなく、他の電力消費者200Aにも供給すること
が可能である。複数の電力消費者200,200Aに電
力を供給する場合については、図4を用いて後述する。
また、ナトリウム硫黄電池110は、夜間電力300が
供給され、充電される。夜間電力300は、電力消費者
200にも供給される。制御装置120は、ナトリウム
硫黄電池110の充放電を制御するものであり、例え
ば、深夜は夜間電力300によってナトリウム硫黄電池
110を充電し、昼間はナトリウム硫黄電池110から
放電して、電力消費者200に電力供給するように制御
する。制御装置120によるナトリウム硫黄電池110
の運転方法の詳細については、図2を用いて後述する。
【0017】特性測定装置140は、ナトリウム硫黄電
池110の特性を測定して、異常有無を判定する。特性
測定装置140は、異常有りと判定した場合には、制御
装置120によってナトリウム硫黄電池110の運転を
停止する。または、通信手段160によって遠隔監視者
400に、この情報を伝達し、この異常情報を元に、遠
隔監視者400は、運転可否の判定をし、その判定を通
信手段160によって伝達して、制御装置120によっ
て、ナトリウム硫黄電池110の運転を停止することが
できる。
【0018】また、記憶装置150には、特性測定装置
140によって測定されたナトリウム硫黄電池110の
特性が記憶される。遠隔監視者400は、通信手段16
0によって、記憶装置150に記憶された電池特性デー
タを、例えば1日1回や1週1回などの定期的に読取っ
て、このデータと送られた電池特性などの情報とを比較
して、ナトリウム硫黄電池の運転状態を正確に判断する
ことができる。
【0019】次に、図2を用いて、本実施形態によるナ
トリウム硫黄電池の運転方法の一例について説明する。
図2は、本発明の一実施形態によるナトリウム硫黄電池
の運転方法の一例の説明図である。本実施形態による運
転方法は、制御装置120によって、自動運転制御され
る。
【0020】図2において、縦軸はナトリウム硫黄電池
の放電電力又は充電電力、横軸は時間あるいは時刻を示
している。ここで、tは放電電力の一日の供給時間、
は充電電力の一日の受給時間、t、tはそれぞ
れ充電後又は放電後の電流停止時間を示している。ま
た、この図においては放電電力P又は充電電力P
それぞれの運転時間内で一定となっているが、後述の図
3に示されているように放電や充電の電力が時間と共に
変化することも可能であり、この場合には放電電力
,充電電力Pは、それぞれ放電又は充電の平均電
力に相当する。
【0021】ここで、一般に電力消費者が使用する電力
は交流であるため、ナトリウム硫黄電池110には、図
1に示したように交直変換装置130が設置され、ま
た、運転を制御する制御装置120が設けられる。な
お、電力消費者200が使用する電力が直流の場合に
は、ナトリウム硫黄電池110の放電電力をそのまま消
費者側の負荷へ供給することもできる。
【0022】電力貯蔵用のナトリウム硫黄電池110を
運転して、その放電電力を家庭部門や業務部門などの電
力消費者200の消費電力として供給する場合、ナトリ
ウム硫黄電池110の充放電効率が出来るだけ大きくな
るように運転することが、その利用効果の向上のために
望ましい。すなわち、こうすることにより、家庭部門や
業務部門などの電力消費者200にとっては、ナトリウ
ム硫黄電池110を利用して比較的料金の安い夜間電力
を充電し、主に昼間放電して消費電力の一部又は全部を
賄うことにより、電力供給者の所有する発電装置や電力
系統から供給される昼間電力を低減して、電力料金の削
減が可能となる。さらに、場合によっては、充電電力量
を普段必要な放電電力量を賄うよりも大きくし、余分の
電力を溜めておいて、必要時に非常用電源や無停電電源
として使用することも可能である。また、ここで、電力
消費者200がナトリウム硫黄電池を購入したり、ナト
リウム硫黄電池の所有者や貸与者から借用して利用して
も良いし、ナトリウム硫黄電池から供給される放電電力
を購入して、消費電力として利用することも可能であ
る。さらに、第三者が製造者、販売者や貸与者からナト
リウム硫黄電池を購入又は借用して、ナトリウム硫黄電
池を電力消費者向けに貸出したり、放電電力を販売する
ことも可能である。また、第三者、例えばビル管理者、
エレベータ管理者又は/及び電力供給者とナトリウム硫
黄電池の製造者や販売者などとが一体となって、ナトリ
ウム硫黄電池のレンタルビジネスを行うことも可能であ
る。なお、電力消費者がナトリウム硫黄電池を借用して
利用する場合には、ナトリウム硫黄電池の購入に必要な
電力消費者の初期投資が不要となるために、ナトリウム
硫黄電池の適用範囲が広がるという利点もある。また、
これらの結果としてナトリウム硫黄電池の普及が促進し
て、夜間電力が有効利用され、電力系統を構成する発電
設備や送変電設備の利用率が向上するという利点が得ら
れる。
【0023】ここで、図1に示した運転方法で運転され
るナトリウム硫黄電池110の充放電効率μは、式
(1)で与えられる。 μ=P/P =(E―R)I/(E+R)I …(1) ここで、Eはナトリウム硫黄電池の起電力、Rは放電
抵抗、Iは放電電流、Rは充電抵抗、Iは充電電
流である。これらの値は、後述する図2や図3に示した
ように、電池の運転範囲や運転温度によって起電力や放
電抵抗、充電抵抗が変化したり、運転状況によって放電
電流や充電電流が時間変化する場合には、それぞれ放電
電力の一日の供給時間t又は充電電力の一日の受給時
間tにおける平均値に相当している。
【0024】なお、ナトリウム硫黄電池の使用に当たっ
ては、複数個の単電池を直並列接続して構成されたモジ
ュールが一般に用いられるが、式(1)はこのモジュー
ルを構成する単電池の特性を示している。また、一般に
用いられているように、ナトリウム硫黄電池を毎日繰り
返して使用する場合には、放電時と充電時の電流と時間
との積で与えられる電池容量Qはほぼ等しくなるのが一
般的であり、この結果、I=I=Qとなっ
て、式(1)は以下の式(2)のように簡略化される。 μ=(E―R)/(E+R) =(E―RQ/t)/(E+RQ/t) …(2) さらに、放電電力の一日の供給時間と充電電力の1日の
受給時間との和をtとすると、式(2)は、式(3)
に置き換えられる。 μ=(E―RQ/(t−t))/(E+RQ/t) …(3) なお、t=t+t=24時間−t−tで与え
られる。
【0025】次に、図3を用いて、本実施形態に用いら
れるナトリウム硫黄電池の充放電特性の一例について説
明する。図3は、本発明の一実施形態に用いられるナト
リウム硫黄電池の充放電特性の一例の説明図である。図
3において、縦軸は電池電圧、横軸は放電容量であり、
下側の実線が放電電圧、上側の実線が充電電圧を、図の
破線が電池の開路電圧即ち起電力Eを示している。
【0026】図3に示されるように、ナトリウム硫黄電
池の起電力は2相域と呼ばれる所定の放電容量までは一
定で、これを超えた1相域に入ると放電容量の増加につ
れて低下する。また、放電電圧はE―R、充電電
圧はE+Rで与えられ、放電末では放電電圧が低
下して電圧下限値に達した段階で電流を停止し、充電末
では充電電圧が上昇して電圧上限値に達した段階で電流
を停止することにより、運転することができる。なお、
場合によっては、起電力が一定の2相域のみで充放電し
たり、放電電力の供給時間や充電電力の受給時間が所定
の時間に達した段階で電流を停止することも可能であ
る。
【0027】また、ナトリウム硫黄電池を家庭部門や業
務部門などの消費電力として供給するためには、ナトリ
ウム硫黄電池の利用効果を高めて、ナトリウム硫黄電池
の利用による電力料金削減量をナトリウム硫黄電池利用
に必要な費用よりも出来るだけ大きくすることが重要で
あり、充放電効率が出来るだけ大きくなるように運転す
ると共に、ナトリウム硫黄電池の設備費用を低減するた
めに、単電池の使用数を低減することが望ましい。ここ
で、ナトリウム硫黄電池の単電池の起電力は約2.07
Vであるために、実用の際には単電池を直列接続して電
圧を必要値まで高める必要があるが、必要電圧が供給で
きる範囲内で単電池数を出来るだけ小さくすることが望
ましい。したがって、実用化の際には使用電圧を出来る
だけ小さくすることが望ましく、特に家庭部門や業務部
門などの消費電力として供給することが適している。即
ち、この場合には使用電圧が約100V又は約200V
と産業部門の使用電圧よりも小さくでき、使用単電池数
を少なくすることができる。なお、この目的のためには
使用電圧が約100Vであることが特に望ましく、この
場合には約200Vに比べて単電池数を約1/2に低減
することができる。また、場合によってはトランスやチ
ョッパによって電圧を高めて、単電池数を少なくするこ
とも可能である。
【0028】さらに、単電池容量を出来るだけ大きくし
て、モジュールを構成する単電池の並列数を低減するこ
とが望ましく、こうすることによって使用単電池数を少
なくして、ナトリウム硫黄電池の設備費用を低減するこ
とが容易になる。なお、単電池容量を大きくした場合に
は、単電池の放電電流や充電電流が大きくなって、式
(2)に見られるように、充放電効率が低下し易くなる
問題がある。さらに、図3に示した1相域まで単電池の
運転範囲を広げることが単電池容量の増加のためには望
ましいが、この結果として上述の様に起電力の平均値が
低下したり、後述のように放電抵抗の平均値が増加し
て、単電池の充放電効率が低下し易くなる問題がある。
これらの問題の対策として、後述のようにナトリウム硫
黄電池の運転方法を工夫することが極めて有効である。
【0029】なお、ナトリウム硫黄電池においては、固
体電解質であるβアルミナやβ”アルミナによって負極
と正極とが分離されており、放電時に固体電解質を通っ
て負極から正極へナトリウムイオンが移動し、正極室内
で硫黄と反応して多硫化ナトリウムが生成する。この
際、一般に固体電解質近傍で反応が進み易く、そのため
に固体電解質近傍に存在する多硫化ナトリウム中のナト
リウムイオン量が他の正極室内に存在する多硫化ナトリ
ウム中よりも増加して、正極室内に起電力分布を生じ、
その結果として正極室内に循環電流が流れて、放電抵抗
が増加し易い。なお、この傾向は単電池容量を大きくす
るために、運転範囲を図3の1相域まで広げた場合に特
に起こり易くなる。一方、充電の場合には、多硫化ナト
リウムが電気分解して、生成したナトリウムイオンが正
極から負極へ移動し、正極室内の固体電解質近傍に存在
する硫黄量が他の正極室内よりも大きくなる傾向がある
が、硫黄と多硫化ナトリウムが共存する場合には硫黄量
が変化しても起電力は一定であり、このために、充電時
に正極室内に循環電流が流れる可能性は放電時よりも少
ない。これらの結果として、ナトリウム硫黄電池におい
ては放電抵抗の平均値は充電抵抗の平均値よりも大きく
なる傾向にある。
【0030】このような特性をもったナトリウム硫黄電
池の充放電効率を高めるために、制御装置120では、
以下のような運転方法を採用するようにしている。
【0031】1)制御装置100は、1日の放電電力の
供給時間tと充電電力の1日の受給時間tとの和で
あるtを、出来るだけ大きくするように制御する。
【0032】ここで、同じ電池を同じ運転範囲で用いる
場合には、起電力E、放電抵抗R、充電抵抗R、電
池容量Qはほぼ一定で、式(3)において、和時間
、即ち供給時間t、受給時間tが変化すると、 δμ/δt=δμ/δt×δt/δt+δμ/
δt×δt/δt=RQ/t ×1/(E+
Q/t)+RQ/t ×(E―RQ/t)
×1/(E+RQ/t) であり、一般の運転条件では、E−RQ/t>0で
あるため、δμ/δt>0となって、和時間tが大
きいほど充放電効率μは大きくなる。したがって、充放
電効率を出来るだけ大きくするためには、制御装置12
0は、和時間tを24時間にして、電流停止時間
,tを0にすることが望ましい。
【0033】但し、ナトリウム硫黄電池の運転条件によ
り、例えば電池の利用効果を高めるために放電電流や充
電電流を大きくした場合には、放電後及び充電後に約1
時間程度以下の電流停止時間を設けて、正極室内の活物
質の組成分布をほぼ均一にすることが、その後の充電や
放電の運転制御を高めるために有効であり、この場合に
は、制御装置120は、和時間tを22〜24時間の
範囲となるように制御することが望ましい。なお、運転
状況によっては、放電後と充電後のどちらか一方のみに
電流停止時間を設けることもできる。こうすることによ
り、充放電効率を高めることが出来ると共に、ナトリウ
ム硫黄電池の運転が容易に行なえるという利点がある。
【0034】さらに、電池の電流停止時に電池の起電力
を測定して、電池の劣化や破損の有無を確認することが
ナトリウム硫黄電池の信頼性を高めるために有効で、且
つ、後述のように遠隔監視が有効に行なえる利点があ
り、このためには、放電後や充電後の電流停止時間を約
1〜2時間として、正極室内の活物質の組成分布の均一
性を高め、開路電圧の経時変化がほとんど無くなった状
態で起電力を測定することが望ましく、この場合にも、
できるだけ充放電効率を高めるためには、制御装置12
0は、和時間tを20時間以上とするように制御する
ことが望ましい。
【0035】なお、遠隔監視方法によっては、放電後と
充電後のどちらか一方のみに電流停止時間を設けること
もでき、後述のように2相域での起電力測定のために
は、充電後に電流停止時間を設けることが特に望まし
い。
【0036】2)制御装置120は、一日の放電電力の
供給時間tを、充電電力の1日の受給時間tよりも
大きくするように制御する。
【0037】ここで、上記と同様に同じ電池を同じ運転
範囲で用い、和時間tが一定の条件で、式(3)にお
いて、受給時間tが変化すると、δμ/δtは、式
(4)となる。 δμ/δt=(―(R―R)QEt −2RQEt +RQt(Et−RQ))/((E+RQ/t) ×t ×(t−t)) …(4) また、ナトリウム硫黄電池において、起電力Eは約2.
07V、和時間tは上述のように20時間以上であ
り、一方、放電抵抗Rは約1〜数mΩ、電池容量Qは
2000Ah以下であるのが一般的なため、式(4)の
Etに対して、RQは省略できて、式(4)は式
(5)のように簡略化される。 δμ/δt=(―(R―R)t −2R+R ) QE /((E+RQ/t)×t ×(t−t)) …(5) =(R(t−t)―R )QE /((E+RQ/t)×t ×t )) =(R −R )QE /((E+RQ/t)×t ×t )) したがって、充放電効率が最も大きくなる条件であるδ
μ/δt=0を満足するためには、上述のように放電
抵抗R>充電抵抗Rの場合には、供給時間t>受
給時間tとする必要があり、ナトリウム硫黄電池にお
いては一般に放電抵抗の平均値が充電抵抗の平均値より
も大きいため、充放電効率を高めるには、放電電力の供
給時間を充電電力の受給時間よりも大きくすることが望
ましい。なお、放電抵抗Rと充電抵抗Rとの関係
は、電池の特性や運転温度・運転範囲や電流によって異
なるが、ナトリウム硫黄電池においては放電抵抗R
平均値は充電抵抗Rの平均値の約1.2〜4倍の範囲
であることが多いため、この場合に充放電効率を高める
には、t/t=(R/R)1/2より、充電電力
の受給時間tを放電電力の供給時間tの1/1.1
〜1/2とすることが望ましい。
【0038】以上説明したように、本実施形態により、
ナトリウム硫黄電池の充放電効率を大きくして、その利
用効果を高めることのできる運転方法が実現される。
【0039】なお、上記の運転方法を適用する際には、
コンビニエンスストア、ホテル、遊技場や量販店などの
電灯などに用いる消費電力として利用することが望まし
い。コンビニエンスストア、ホテル、遊技場や量販店で
の電灯などに用いられる電圧は普通100Vのために、
ナトリウム硫黄電池の単電池数が少なく出来、設備費用
の低減が可能である。
【0040】また、営業はほぼ年中無休で行なわれ、且
つ、1日の内の長時間に渡って営業が行なわれるため
に、放電電力の供給時間tと充電電力の受給時間t
との和tが大きく出来て、電池の充放電効率が大きく
できること、及び、年間の運転日数が多いことから、ナ
トリウム硫黄電池を用いた電力貯蔵システムの利用効果
が特に大きくできるという利点がある。なお、三相20
0Vの電源を単相で用いる場合にも、消費電力の電圧は
実質的に100Vになり、単電池数を少なくすることが
できる。
【0041】ここで、コンビニエンスストアやホテルは
基本的に1日中営業されるため、t が22〜24時間
にできて、電池の充放電効率が特に向上する。また、ナ
トリウム硫黄電池の充放電効率が高いために充電電力量
が低減できること、及び、年間の運転日数が多いために
運転休止日にナトリウム硫黄電池を保温するのに必要な
ヒータ電力を低減できることの結果、ナトリウム硫黄電
池の使用のために消費される電力量が低減して、ナトリ
ウム硫黄電池の利用効果が向上すると共に、地球環境問
題に貢献するという利点も得られる。なお、ナトリウム
硫黄電池は、休止日に運転温度である約300℃以上に
保温さ、このためにヒータ電力が消費されれるのが一般
的である。
【0042】ここで、ナトリウム硫黄電池を利用する際
には、消防法の規制によって、危険物取扱者の資格を持
った者が監視を行う必要がある。このため、家庭部門や
業務部門の電力消費者がナトリウム硫黄電池を運転・保
守・管理する代りに、本実施形態の運転装置100のよ
うに、電池の特性測定装置140、制御装置120およ
び通信手段160を備えることにより、ナトリウム硫黄
電池の所有者である製造者、販売者や貸与者、あるい
は、上記所有者又は上記電力消費者からの委託者が、通
信手段160を用いてナトリウム硫黄電池110の遠隔
監視を行うと共に、制御装置120によってナトリウム
硫黄電池110を自動運転することが望ましい。
【0043】こうすることにより、必要な資格を持った
者によってナトリウム硫黄電池の監視ができ、ナトリウ
ム硫黄電池の信頼性向上や事故時の適切な対応が可能
で、法律に適合した正しい運転、管理が可能となる。ま
た、こうすることによって、電力消費者200が運転・
保守・管理する必要が無くなって、ナトリウム硫黄電池
の利用が容易になり、普及が促進される。また、上述の
必要な資格を持った者によって複数のナトリウム硫黄電
池の監視をすることも可能であり、その結果として、ナ
トリウム硫黄電池の監視に必要な費用が低減されるとい
う利点が得られる。
【0044】上記遠隔監視のためには、特性測定装置1
40は、ナトリウム硫黄電池の特性を測定して異常有無
を判定し、異常有りと判定された場合には通信手段16
0によって遠隔監視者400へこの情報を伝達すると共
に、上記判定に従って制御装置120はナトリウム硫黄
電池の運転を停止すること、あるいは、上記情報を元に
遠隔監視400が運転可否の判定をし、その判定を通信
手段160によって伝達して、制御装置120によって
ナトリウム硫黄電池110の運転を停止することができ
る。ここで、遠隔監視者400への情報伝達は異常有り
の場合のみでよく、通信手段160の運転時間を短くし
て、遠隔監視に必要な費用を低減することができる。
【0045】なお、前者の場合、送られた情報を遠隔監
視者400が考察して、運転停止が不要と判断した場合
には、通信手段160によって制御装置120を操作し
てナトリウム硫黄電池110の運転を再開することも可
能である。また、このように遠隔監視者400がナトリ
ウム硫黄電池110の運転状態を正確に判断するために
は、記憶装置150にナトリウム硫黄電池の電池特性を
記憶し、上記通信手段160によって電池特性データ
を、例えば1日1回や1週1回などの定期的に読取っ
て、このデータと送られた電池特性などの情報との比較
によって異常有無の判断をすることが望ましい。なお、
このように電池特性データを記憶装置150に記憶すれ
ば、遠隔監視者400が時々このデータを読み取る場合
と特性測定装置140で異常を判定した場合にのみ通信
手段160を運転すれば良い。このため記憶装置150
が無く、電池特性データや異常有無の情報を常時遠隔監
視者400へ送る場合に比べて通信手段160の運転時
間が短くなり、遠隔監視に必要な費用を低減することが
できる利点がある。
【0046】また、上記異常有無の判断のために特性測
定装置140が測定する特性としては、電池電圧、電池
電流、電池温度などが挙げられるが、電池特性の健全性
を確認するためには少なくとも電池電圧と電池温度を測
定することが望ましい。ここで、電池が破損したり短絡
すると、電流停止時の電池電圧(開路電圧)、即ち起電
力が低下したり電池温度が上昇し、また、電池抵抗が増
加すると放電時の電池電圧低下と充電時の電池電圧上昇
が起こるため、電池電圧と電池温度との測定によって電
池特性異常有無の判定が可能である。従って、電池温度
が設定値を超えたり、電池電圧が設定範囲を逸脱した
り、あるいは、電池の起電力が正常値より低下した場合
には、特性測定装置140は、電池特性が異常と判定す
る。なお、電池電圧と電池温度の測定は、電池の自動運
転のためにも有用である。
【0047】また、ナトリウム硫黄電池の場合、電池が
破損すると活物質である硫黄が外部に漏れる可能性があ
るため、特性測定装置140は、硫黄ガスや二酸化硫黄
ガスの有無を検知するガス検知器を備え、このガス検知
器により漏れたガスを検知して、この特性によって電池
異常の有無を判定することもできる。
【0048】さらに、特性測定装置140は、ナトリウ
ム硫黄電池110を設置したモジュールに設けられた温
度センサを備え、火災に伴う温度異常を検知した際に電
力消費者や遠隔監視者に通知したり、通信手段160が
故障した際に電池の運転を止めたり、遠隔監視者の元に
警報を発したりすることが望ましい。
【0049】ここで、図3で説明したように放電時や充
電時の電池電圧は電池電流によって変化するため、電池
を種々の運転パターンで運転する際には、異常有無の判
定基準となる電池電圧の設定範囲に電流変化の影響を取
り込む必要があり、判定基準の設定が比較的困難とな
る。一方、異常検出のための電池電圧として電池の起電
力を用いれば、電池の運転条件によらずに設定下限電圧
が設定でき、一般に電池が故障すると起電力が低下する
ため、電池の電流を停止した時の開路電圧即ち起電力と
設定下限電圧との比較により、電池特性異常の判定が可
能である。すなわち、電池の異常判定のためには、電池
の起電力を用いることが望ましい。なお、図3に見られ
るように、1相域では放電容量によって電池の起電力が
変化するため、起電力の判定のためには、2相域での開
路電圧すなわち起電力を測定することが望ましい。ま
た、電池の起電力は電池温度によって変化するが、この
変化量は一般に比較的小さいため、上記設定下限電圧を
選ぶ際に、起電力の温度変化を考慮して適切な設定下限
電圧を選ぶことができる。さらに、上述の硫黄ガスの判
定基準については、正常時には硫黄ガス発生の可能性は
ないため、ガス検知装置の誤差を考慮して設定上限ガス
濃度を定めることにより、電池特性異常の判定が可能で
ある。なお、ガス検知装置によっては硫黄又は二酸化硫
黄以外のガスも検知されるために、電池を室温から運転
温度に高める際にモジュールを構成する部品から有機物
のガスが発生してガス検知装置で検知されるケースもあ
り、電池特性異常の判定の際にはこの問題も考慮して判
定することが望ましい。
【0050】さらに、本実施形態の運転方法において
は、ナトリウム硫黄電池110が、図1に示したよう
に、複数の電力消費者200,200Aに貸出されて、
複数の電力消費者200,200Aの消費電力として同
じナトリウム硫黄電池110から放電電力が供給される
ことが望ましい。このような方法により、ナトリウム硫
黄電池の必要数が低減されて、設置面積低減やレンタル
料低減が可能となり、電力消費者にとっての利益が大き
い。特に、ビルの地下室や集合住宅あるいはスーパマー
ケットやコンビニエンスストアの室内などにナトリウム
硫黄電池を設置する場合、設置面積の低減は利用範囲拡
大のために極めて重要である。また、この場合には複数
の電力消費者が同じナトリウム硫黄電池を利用するため
に、別々のナトリウム硫黄電池を利用する場合に比べ
て、運転や保守・管理あるいは遠隔監視の担当者数の低
減が可能で、結果としてレンタル料が低減できるという
利点がある。なお、複数の電力消費者が同じナトリウム
硫黄電池から供給される放電電力を購入して、消費電力
として利用する場合にも同様の効果が得られる。
【0051】ここで、図4を用いて、本実施形態による
ナトリウム硫黄電池の運転方法として、複数の電力消費
者に対して同じナトリウム硫黄電池から放電電力を供給
する場合の例について説明する。図4は、本発明の一実
施形態によるナトリウム硫黄電池の運転方法として、複
数の電力消費者に対して同じナトリウム硫黄電池から放
電電力を供給する場合の一例の説明図である。図4にお
いては、図1に示したように、一つのナトリウム硫黄電
池110から2人の電力消費者200,200Aに放電
電力を供給する場合の運転方法の例を示している。
【0052】図4(A),(B),(C)の縦軸は任意
スケールの放電電力又は充電電力、横軸は時間又は時刻
を示している。図4(A)は第一の電力消費者に対する
ナトリウム硫黄電池の運転方法を示し、図4(B)は第
二の電力消費者に対する運転方法を示し、図4(C)
は、図4(A)と図4(B)の両者の合計を示してい
る。
【0053】図示の例では、図4(A)と図4(B)と
で消費電力量即ち放電電力量と放電電力のピーク値は同
じ値となっているが、放電電力のピーク位置が異なって
いる。このように、電力消費者によって電力使用の目的
や用途が異なると、放電電力のピーク位置は異なること
が一般的であり、この結果、両者の合計である図4
(C)においては、放電電力量は図4(A)と図4
(B)との和となるが、放電電力のピーク値はそれぞれ
のピーク値の和よりも小さくなる。
【0054】ナトリウム硫黄電池においては、放電電力
量と電池の充放電効率や交直変換装置の効率によって必
要な充電電力量が決まり、これによって電池容量の最低
値が規定される。一方、放電電力のピーク値の増加によ
って放電電流が増加すると、電池の放熱量の増加や電池
効率の低下が起こるため、一般に放電電力のピーク値が
大きいほど同じ放電電力量であっても大きな電池容量が
必要となる。すなわち、複数の電力消費者がそれぞれ別
のナトリウム硫黄電池を利用する場合には、個々の電力
消費者の消費電力量と消費電力のピーク値に従ってそれ
ぞれのナトリウム硫黄電池の必要電池容量が決まる。一
方、この場合の必要電池容量の和に比べて、図4のよう
に同じナトリウム硫黄電池を複数の電力消費者が利用す
る場合には、放電電力のピーク値を定める消費電力のピ
ーク値が個々の電力消費者の消費電力のピーク値の和よ
りも少なくて済むために、必要電池容量を少なくするこ
とができる。この結果、複数の電力消費者が用いるナト
リウム硫黄電池の容量や大きさが個々の電力消費者が別
々のナトリウム硫黄電池を用いる場合の和に比べて小さ
くなり、設置面積や購入費用又はレンタル費用が低減で
きるという利点がある。
【0055】同様な効果は交直変換装置130について
もあり、個々の電力消費者が別々の交直変換装置を利用
する場合には、それぞれの消費電力のピーク値で定まる
放電電力又は充電電力のピーク値によって交直変換装置
の容量が決まる。一方、複数の電力消費者が同じ交直変
換装置を利用する場合には、消費電力のピーク値が個々
の電力消費者の消費電力のピーク値の和よりも少なくて
済む理由で、交直変換装置の容量は個々の電力消費者が
別々の交直変換装置を利用する場合の容量の和よりも小
さくできる。この結果、複数の電力消費者が同じ交直変
換装置を利用する場合には、交直変換装置の低コスト化
や設置面積の低減が可能になるという利点がある。一
方、複数の電力消費者が同じナトリウム硫黄電池に接続
された別々の交直変換装置を利用する場合には、電力消
費者同士がお互いの電力利用状態に配慮する必要がな
く、独立にナトリウム硫黄電池を利用できるために、運
転の自由度が広がるという利点がある。
【0056】具体例として、電力貯蔵用二次電池として
ナトリウム硫黄電池、15kWの交直変換装置、制御装
置、特性測定装置及び遠隔監視のための通信手段とを組
み合わせた放電電力量100kWhの電力貯蔵システム
を用い、コンビニエンスストアの駐車場へ設置して、放
電電力を電圧100Vの主に電灯用の消費電力として供
給することにより、コンビニエンスストアの従量電灯料
金を低減する。なお、1日の運転時間は、図2の電流停
止時間t,tが0の場合に相当し、放電電力の供給
時間は8時から22時までの14時間、充電電力の受給
時間は22時から翌日の8時までの10時間であり、こ
の運転が基本的に毎日繰り返される。また、電力貯蔵シ
ステムからの平均放電電力は約7kWで、この放電電力
によって放電時間中の従量電灯の消費電力が全て賄わ
れ、一方、平均充電電力は約14kWで、この充電電力
は電力系統から夜間電力として供給される。なお、コン
ビニエンスストアの場合には1日中営業される場合が多
く、また電灯使用電力量は夜間の方が大きいため、この
例では、充電時間中の電灯の消費電力は平均8kWであ
り、ナトリウム硫黄電池を利用する場合には、この消費
電力も電力系統からの夜間電力として賄われる。
【0057】このようにしてナトリウム硫黄電池を用い
ることにより、電力系統から供給される電力料金の削減
が可能である。具体的には、従量電灯料金は普通には約
23円/kWh、一方夜間電力は約6円/kWhであ
り、ナトリウム硫黄電池を用いることにより、夜間電力
を有効に利用して充電電力や夜間の電灯使用電力を賄う
ことができて、約100万円/年の電力料金が削減され
る。したがって、電力消費者がナトリウム硫黄電池から
成る電力貯蔵システムを購入して使用する場合には、設
備費用が約300万円(3万円/kWh、8時間率で換
算すると24万円/kW)であれば3年間で初期投資費
用が還元され、その後の運転で利益が得られる。一方、
電力消費者が電力貯蔵システムを借用して利用する場合
には、電力消費者と貸与者とで上記電力料金の削減効果
を分け合うことになるが、電力消費者にとっては初期投
資が不要なため、例えば20万円/年程度の電力料金低
減であっても十分ナトリウム硫黄電池の利用効果が得ら
れる。また、貸与者はナトリウム硫黄電池の製造者や販
売者からナトリウム硫黄電池を購入して、この設備を電
力消費者へ貸し出すことになるが、設備購入のための費
用を借り入れてレンタルビジネスを行なう場合、設備を
6年間電力消費者へ貸し出すことにより、上記運転方法
により約100万円/年の電力料金削減効果から20万
円/年の電力消費者利益を差し引いた約80万円/年、
すなわち約7%/年の利益が得られ(設備購入費用借用
の利息を2%/年と仮定)、レンタルビジネスは十分成
立する。これらの結果、ナトリウム硫黄電池の実用化が
促進され、電力消費者や貸与者に利益が得られると共
に、電力供給者にとっては夜間電力の有効利用が図られ
るため、負荷平準化によって発電設備や送変電設備の利
用率が向上するという利点が得られる。なお、電力供給
者がナトリウム硫黄電池の貸与者としてレンタルビジネ
スを行なったり、ナトリウム硫黄電池の製造者が電力消
費者へ電力貯蔵システムを貸出して、レンタルビジネス
を行なうことも可能である。
【0058】また、ナトリウム硫黄電池の製造者にとっ
ては、上述のように、放電電力の供給時間と充電電力の
受給時間との和を出来るだけ大きくすること、及び、上
記受給時間を供給時間よりも小さくすることによって、
電池の放電電流や充電電流が大きくなっても比較的電池
の充放電効率を高く保つことができ、その結果として、
単電池容量を大きくしてナトリウム硫黄電池のモジュー
ルに用いられる単電池数を少なくすることによって、設
備費用を低減することができる。例えば、100Vの電
圧を供給するためには単電池数は約50個程度で良いた
め、全ての単電池を直列接続してモジュールを構成する
ことにより、単電池数が少なくなって設備費用の低減が
可能となる。なお、この場合には単電池の放電容量は約
2.2kWh、放電電流は約80A、充電電流は約12
0Aと大きくなるが、上述の運転方法により、交直変換
装置の効率を加えた電力貯蔵システムの効率を70%以
上に保つことができ、上記コンビニエンスストアへの適
用が可能となる。
【0059】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、単電池数を少くして電流を高めた場合にも、電力消
費者の利用するナトリウム硫黄電池の充放電効率を高め
ることが可能になり、ナトリウム硫黄電池の利用効果が
高められて、電力消費者にとって電力料金削減の効果が
得られる。また、この結果、ナトリウム硫黄電池の普及
が促進されて、負荷平準化により発電設備や送変電設備
の利用率が向上するという電力供給者にとってのメリッ
トが得られる。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、電力消費者の利用する
電力貯蔵用のナトリウム硫黄電池の充放電効率を向上で
きる。また、電力消費者によるナトリウム硫黄電池の利
用を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるナトリウム硫黄電池
の運転装置の構成を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の一実施形態によるナトリウム硫黄電池
の運転方法の一例の説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に用いられるナトリウム硫
黄電池の充放電特性の一例の説明図である。
【図4】本発明の一実施形態によるナトリウム硫黄電池
の運転方法として、複数の電力消費者に対して同じナト
リウム硫黄電池から放電電力を供給する場合の一例の説
明図である。
【符号の説明】
100…運転装置 110…ナトリウム硫黄電池 120…制御装置 130…交直変換装置 140…特性測定装置 150…記憶装置 160…通信手段 200,200A…電力消費者 300…夜間電力 400…遠隔監視者
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 日下部 康次 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所原子力事業部内 (72)発明者 波東 久光 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所原子力事業部内 (72)発明者 天田 達雄 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所原子力事業部内 Fターム(参考) 5G003 AA01 BA01 CA05 CA11 CB01 CB07 5G066 CA09 HB09 JB03 KA12 KB03 5H029 AJ02 AK05 AL13 AM15 HJ00 5H030 AA01 AS01 BB09 BB26 FF21 FF41 FF52

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】夜間電力を充電電力として受給すると共
    に、放電電力を消費者の消費電力として供給するナトリ
    ウム硫黄電池の運転方法において、 前記充電電力の1日の受給時間と前記放電電力の1日の
    供給時間との和が20〜24時間であり、且つ、前記受
    給時間が前記供給時間よりも短いことを特徴とするナト
    リウム硫黄電池の運転方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載のナトリウム硫黄電池の運転
    方法において、 前記充電電力の1日の受給時間と前記放電電力の1日の
    供給時間との和が22〜24時間であることを特徴とす
    るナトリウム硫黄電池の運転方法。
  3. 【請求項3】請求項1若しくは2のいずれか記載のナト
    リウム硫黄電池の運転方法において、 前記受給時間が前記供給時間の1/1.1〜1/2であ
    ることを特徴とするナトリウム硫黄電池の運転方法。
  4. 【請求項4】請求項1若しくは2のいずれか記載のナト
    リウム硫黄電池の運転方法において、 複数の電力消費者に対して同じナトリウム硫黄電池より
    前記放電電力を供給することを特徴とするナトリウム硫
    黄電池の運転方法。
  5. 【請求項5】請求項1若しくは2のいずれか記載のナト
    リウム硫黄電池の運転方法において、 特性測定装置によって前記ナトリウム硫黄電池の特性を
    測定して異常有無を判定し、異常有りと判定された場合
    に通信手段によって遠隔監視者へ伝達すると共に、前記
    判定または前記遠隔監視者から通信手段によって伝達さ
    れた判定に従って、制御装置によって前記ナトリウム硫
    黄電池の運転を停止することを特徴とするナトリウム硫
    黄電池の運転方法。
  6. 【請求項6】請求項5記載のナトリウム硫黄電池の運転
    方法において、 前記特性が少なくとも電池温度と電池電圧とを含むこと
    を特徴とするナトリウム硫黄電池の運転方法。
  7. 【請求項7】夜間電力を充電電力として受給すると共
    に、放電電力を消費者の消費電力として供給するナトリ
    ウム硫黄電池と、このナトリウム硫黄電池の充放電を制
    御する制御装置を有するナトリウム硫黄電池の運転装置
    において、 前記制御装置は、前記充電電力の1日の受給時間と前記
    放電電力の1日の供給時間との和が20〜24時間であ
    り、且つ、前記受給時間が前記供給時間よりも短くなる
    ように、前記ナトリウム硫黄電池の充放電を制御するこ
    とを特徴とするナトリウム硫黄電池の運転装置。
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