JP2003075442A - 標的物質測定試薬、それを用いた標的物質の測定方法 - Google Patents

標的物質測定試薬、それを用いた標的物質の測定方法

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JP2003075442A
JP2003075442A JP2001265978A JP2001265978A JP2003075442A JP 2003075442 A JP2003075442 A JP 2003075442A JP 2001265978 A JP2001265978 A JP 2001265978A JP 2001265978 A JP2001265978 A JP 2001265978A JP 2003075442 A JP2003075442 A JP 2003075442A
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fluorescent
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Junichi Hata
純一 秦
Masahiro Furuya
昌弘 古谷
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のGC−MS等を用いた方法やELIS
A等の不均一系測定法に比べて、添加、洗浄を数段階繰
り返す必要がなく、操作が非常に簡単であリ、短時間で
測定可能な、簡便な一段階操作によって行われる均一系
環境汚染物質測定法を提供する。 【解決手段】 Ahレセプター、ARNT、ローダミン
で標識された5’−TTGC−3’の配列を含むDNA
断片、及びテルビウムイオンがガラス結晶格子に含有さ
れた蛍光体によって標識された5’−GTG−3’の配
列を含むDNA断片からなり、これらは実質的に複合体
を形成していない試薬であり、Ahレセプターにダイオ
キシン様化合物が結合すると、ARNTと上記2つのD
NA断片との複合体が形成するものであり、上記テルビ
ウムイオンと上記ローダミンは蛍光共鳴エネルギー転移
におけるドナー又はアクセプターの関係にあるものであ
る、標的物質(ダイオキシン様化合物)測定試薬。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、標的物質により誘
導される複合体の形成と、蛍光物質間で生じるエネルギ
ー転移を利用した標的物質の高感度測定法およびその試
薬に関するものである。
【0002】
【従来の技術】血液、尿等の生体成分、環境、食品中等
における水溶性の有害物質の検出は、臨床上非常に重要
な情報を得るためには不可欠であり、また、感染防止や
公害防止等の観点からもその重要性は高まっている。多
くの環境汚染物質が体内に取り込まれることによって、
ホルモン様の働きをしたり、ホルモンの働きを阻害した
りする内分泌攪乱物質(環境ホルモン)が注目を集めて
いるが、これらの多くは、生体内のホルモン受容体(ホ
ルモンレセプター)と結合することにより、生体に種々
の毒性を与えることが明らかになっている。内分泌攪乱
物質の中でも、ダイオキシン様物質は極めて微量でも非
常に強い毒性を持ち、催奇形、生殖異常、体重減少、免
疫抑制、発癌、上皮細胞異形成などを惹起する。このた
め、ダイオキシン様物質の使用、排出や曝露が規制され
ると同時に、生体におけるダイオキシン様物質の蓄積や
環境および食品等の安全性評価の一環として、それらを
測定する試みがなされている。
【0003】血液、尿等の生体成分や、環境、食品等に
おける有害汚染物質としては、例えば重金属や、溶剤、
農薬、食品添加物、医薬品等の合成化学物質や、これら
が生体内や環境中で化学反応や微生物などによる生合
成、生分解によって生じた変化体、さらにはダイオキシ
ン様化合物のように処理過程で生じた生成物、また、廃
棄物処理場の浸出物、自然毒等がある。そこで、このよ
うな有害汚染物質の濃度を測定することは、汚染度を評
価し環境保全に役立たせると共に、臨床上重要な情報を
得るためには不可欠である。しかしながら、検体中にお
ける濃度の希薄さや夾雑物の存在、さらに標的汚染物質
が低分子量であるために、個々の物質について定量はお
ろか定性すら困難な場合があり、多くの汚染物質につい
てその定量法の確立は困難である。
【0004】従来より有害汚染物質を測定する方法とし
ては、上水、河川水、湖沼水、下水中等の環境汚染物質
を定量測定するための高速液体クロマトグラフィー(H
PLC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、ガスクロ
マトグラフィー−高分解能マススペクトロメトリー(G
C−HRMS)、高速液体クロマトグラフィー−高分解
能マススペクトロメトリー(HPLC−HRMS)等が
ある。しかしながら、上記のような方法では微量成分を
検出するための充分な感度が得られないことがあるこ
と、定量する為には溶媒による抽出等による高倍率濃縮
が必要となり分析や前処理に長時間要すること、精密な
機器が必要であること、さらに操作には熟練した技術を
要すること等が問題となっている。そこで、汚染物質に
ついてより高感度で、迅速かつ簡単で、特異的で、低コ
ストな高感度測定法が望まれている。
【0005】このような問題を解決する手段として、酵
素免疫測定法(以下、ELISA法と略記)が提案され
ている。ELISA法による様々な汚染物質に対する定
量系やキットが市販されており、中でも、ダイオキシン
様物質によって活性化される生体内の一連の反応をプレ
ート上で再現することにより、ダイオキシン様物質の検
出・測定を行う方法が、特表2001−503130号
公報に記載されている。この方法は、ダイオキシン様物
質によって誘導される複合体が認識可能な配列を有する
DNAをプレート上に固定化し、該複合体構成成分が混
合された試薬および検体を添加するものである。つま
り、ダイオキシン様物質が存在すると複合体が形成され
るため、その一部を認識する一次抗体、一次抗体に特異
的で酵素が標識された二次抗体、さらに反応基質を順次
加え、その酵素反応の結果起こる発色によりダイオキシ
ン様物質の検出を行うというものである。しかしなが
ら、上記方法は添加、洗浄を数段階繰り返さなければな
らず、操作が非常に煩雑であリ、測定に数時間を要する
ため、簡便な一段階操作によって行われる均一系環境汚
染物質測定法の開発が期待されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記に鑑み、
簡便な操作でかつ測定時間が短縮された標的物質の高感
度測定法およびその試薬を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の標的物質測定試
薬は、物質A、物質B、蛍光物質Xで標識された物質
C、及び蛍光物質Yで標識された物質Dとからなり、物
質A、物質B、物質C、及び物質Dは実質的に複合体を
形成していない標的物質測定試薬であって、標的物質が
物質Aに結合することにより、物質A、物質B、物質C
及び物質Dは複合体を形成するものであり、蛍光物質X
と蛍光物質Yは蛍光共鳴エネルギー転移におけるドナー
又はアクセプターの関係にあるものである。
【0008】本発明の標的物質測定試薬が用いられる測
定原理について図1を用いて説明する。本発明の測定試
薬は、標的物質が存在しない状態では物質A、物質B、
物質C、及び物質Dは実質的に複合体を構成せず、該物
質C、Dはそれぞれ蛍光標識されている(図1の左
図)。このように複合体を実質的に構成していない状態
では、蛍光物質Xの蛍光波長(第1蛍光波長λ2)と蛍
光物質Yの励起波長(第2励起波長λ3)が重なってい
ても、蛍光物質Xと蛍光物質Yの間に距離があるため蛍
光共鳴エネルギー転移は起こらず、蛍光物質Xの励起波
長(第1励起波長λ1)を照射すると、蛍光物質Xの蛍
光(第1蛍光波長λ2)が観察される。
【0009】本発明の測定試薬中に標的物質を存在させ
ると、物質Aは標的物質と結合する(図1の右図)。標
的物質と結合した物質Aはさらに物質B〜Dと結合し複
合体を形成する。複合体が形成されると、蛍光物質Xと
蛍光物質Yの間は近接し、λ 1を照射すると、蛍光共鳴
エネルギー転移が生じて蛍光物質Yの蛍光(第2蛍光波
長λ4)が観察される。このように発光光域と吸収光域
の重なるごく近接した2種の蛍光物質間でのエネルギー
の受渡しを利用したこの方法は、蛍光共鳴エネルギー転
移法(以下FRET法という。:Fluorescence Resonan
ce Energy Transfer)と呼ばれ、このような関係にある
蛍光物質Xをドナー、蛍光物質Yをアクセプターとい
う。本発明は、このFRET法を応用した標的物質測定
方法に用いられるものである。標的物質の濃度を測定す
る場合には、波長λ2の吸光度ABSλ2、波長λ4の吸
光度ABSλ4またはABSλ2/ABSλ4等を測定す
ることによって達成することができる。
【0010】本発明で用いられる物質Aとしては、測定
しようとする標的物質に結合性を有するものであれば特
に限定されず、レセプター、抗体、抗原、等の蛋白質、
DNA、シクロデキストリン、クラウンエーテル等の環
状化合物等が挙げられる。中でも、標的物質と結合した
際に構造が変化する蛋白質が好ましい。標的物質がダイ
オキシン様化合物である場合には、Ahレセプターが好
ましい。Ahレセプターとは、細胞内でダイオキシンレ
セプターと称されるアリルハイドロカーボンレセプター
(AhR)のことで、N末端側にbHLHドメイン、一
次構造の中程にPASドメイン、さらにC末端側に比較
的グルタミンに富んだ領域を有する蛋白質である(生化
学,73,81−88(2001))。本発明で用いら
れるAhレセプターの由来としては、特に限定されるも
のではないが、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ
等の哺乳類や、ダイオキシン様物質との結合活性が存在
すればマス等の硬骨魚類、エイ等の軟骨魚類、ショウジ
ョウバエ等の昆虫類、線虫類等が挙げられる。なお、生
物種間や生物の系統の違いによってAhレセプターの多
型が存在するが、いずれを用いてもよい。好ましくは、
物質B(特に後述のARNT)との結合能の高いマウス
由来C57BL/6型Ahレセプターが挙げられる。ま
た、Ahレセプターに対する変異の導入により、リガン
ド結合性が向上したAhレセプターを用いてもよい。
【0011】本発明で用いられる物質Bとしては、標的
物質と結合した物質Aに対して結合性を有するものであ
れば特に限定されず、例えば、活性型レセプターのみを
認識しうる種々の蛋白質等が挙げられる。中でも、標的
物質がダイオキシン様化合物で、物質AとしてAhレセ
プターを用いた場合には、ARNT(Ahレセプター核
移行因子:Ah receptor nuclear translocator)が好
ましい。ARNTとは、ダイオキシンレセプターと類似
の構造を持ち、N末端側にbHLHドメイン、一次構造
の中程にPASドメイン、C末端側にグルタミンに富ん
だ領域を有し、哺乳動物だけではなく細胞種を超えた共
通生体内分子である。ARNTは、bHLHおよびPA
Sドメインを介して活性型ダイオキシンレセプターとヘ
テロダイマーを形成し、その後のダイオキシンレセプタ
ーからのHsp90およびp23の放出に寄与してい
る。本発明で用いられるARNTの由来としては、特に
限定されるものではないが、例えば、ヒト、マウス、ラ
ット、ウサギ等の哺乳類や、活性型ダイオキシンレセプ
ター様物質との結合活性が存在すれば線虫類等の由来で
あってもよい。なお、生物種間や生物の系統の違いによ
ってARNTの多型が存在するが、いずれを用いてもよ
い。また、ARNTに対する変異の導入により、ダイオ
キシン様化合物特異性が向上したARNTを用いてもよ
い。
【0012】本発明で用いられる物質Cとしては、標的
物質と結合した物質Aと直接もしくは間接的に結合し、
物質A、物質B、及び物質Dと複合体を形成し得るもの
であれば特に限定されず、DNA断片や、レセプター、
抗体等の蛋白質などが挙げられる。DNA断片の例とし
ては、標的物質がダイオキシン様化合物、物質Aとして
Ahレセプター、物質BとしてARNTを用いた場合に
は、5’−TNGCGTG−3’で表される配列を含む
DNA断片、5’−TNGC−3’で表される配列を含
むDNA断片、5’−GTG−3’で表される配列を含
むDNA断片等が好適である。ここで、「N」は(A又
はC又はG又はT又はU)あるいは(不明又は他の塩
基)を示す(以下同じ)。上記5’−TNGCGTG−
3’で表される配列はDRE (Dioxin responsive element
s)配列もしくはXRE(Xenobiotic responsive element)
配列と呼ばれ、上記Ahレセプターは5’−TNGC−
3’を、上記ARNTは5’−GTG−3’をそれぞれ
認識する。また、AhレセプターとARNTの複合体を
認識するSp1タンパク質が結合可能なDNA配列であ
るGCボックスを含むDNA断片を物質Cとして用いても
よい。蛋白質の例としては、標的物質がダイオキシン様
化合物、物質AとしてAhレセプター、物質BとしてA
RNTを用いた場合には、CBP/P300二量体タン
パク質、Sp1タンパク質などのAhレセプターとAR
NT複合体を認識するタンパク質が挙げられる。
【0013】本発明で用いられる物質Dとしては、標的
物質と結合した物質Aと直接もしくは間接的に結合し、
物質A、物質B、及び物質Cと複合体を形成し得るもの
であれば特に限定されず、DNA断片や、レセプター、
抗体等の蛋白質などが挙げられる。DNA断片の例とし
ては、標的物質がダイオキシン様化合物、物質Aとして
Ahレセプター、物質BとしてARNTを用いた場合に
は、5’−TNGCGTG−3’で表される配列を含む
DNA断片、5’−TNGC−3’で表される配列を含
むDNA断片、5’−GTG−3’で表される配列を含
むDNA断片等が好適である。ここで、「N」は(A又
はC又はG又はT又はU)あるいは(不明又は他の塩
基)を示す(以下同じ)。上記5’−TNGCGTG−
3’で表される配列はDRE (Dioxin responsive element
s)配列もしくはXRE(Xenobiotic responsive element)
配列と呼ばれ、上記Ahレセプターは5’−TNGC−
3’を、上記ARNTは5’−GTG−3’をそれぞれ
認識する。また、AhレセプターとARNTの複合体を
認識するSp1タンパク質が結合可能なDNA配列であ
るGCボックスを含むDNA断片を物質Cとして用いても
よい。蛋白質の例としては、標的物質がダイオキシン様
化合物、物質AとしてAhレセプター、物質BとしてA
RNTを用いた場合には、CBP/P300二量体タン
パク質、Sp1タンパク質などのAhレセプターとAR
NT複合体を認識するタンパク質が挙げられる。
【0014】標的物質がダイオキシン様化合物、物質A
としてAhレセプター、物質BとしてARNTを用いた
場合の、物質CとDの好ましい選択としては、物質Cと
Dのどちらか一方を5’−TNGC−3’で表される配
列を含むDNA断片、他方を5’−GTG−3’で表さ
れる配列を含むDNA断片とすることが、Ahレセプタ
ーおよびARNTとの結合力の高さから好ましい。
【0015】本発明で用いられる蛍光物質X及びYとし
ては、FRET法におけるドナー又はアクセプターの関
係になり得るものでなければならず、蛍光物質XとYが
ドナーとアクセプターの関係であっても、アクセプター
とドナーの関係であってもよい。ドナー又はアクセプタ
ーの関係である為には、ドナーとなる蛍光物質の蛍光波
長が、アクセプターとなる蛍光物質の励起波長と重なる
ものを選択すれば、特に制限されない。例えばドナーと
なる蛍光物質としては、従来より用いられているアクリ
ジン、ルシファーイエロー、フルオレセイン、ローダミ
ン、マラカイトグリーン、ピレン、フィコエリトリン、
フィコシアニン、アロフィコシアニン、4,4’−ジイ
ソシアナトジヒドロ−スチルベン−2,2’−ジスルフ
ォン酸、4−アセトアミド−4’−イソチアナト−スチ
ルベン−2,2’−スルフォン酸等の有機蛍光物質や、
1−(p−イソチオシアナトベンジル)−ジエチレン
トリアミン−N1,N2,N3,N4−テトラ酢酸−Eu3+
錯体や、芳香族アミン誘導体やβージケトン類を配位子
とする希土類金属錯体などの無機蛍光物質等が挙げられ
る。また、希土類金属錯体以外の無機蛍光物質として
は、3〜16族の金属元素、中でも希土類金属等の金属
酸化物や金属硫黄化物等のマトリックス材料との混合物
(蛍光体)が挙げられ、その蛍光強度の強さから3価の
ユウロピウム、3価のテルビニウム、3価のサマリウ
ム、3価のジスプロシウム、2価のユウロピウム等が好
ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用し
ても良い。上記蛍光体とは、コアシェル構造のコアに無
機蛍光物質を含む蛍光体や、無機化合物もしくは有機ポ
リマーからなるマトリックス内に無機蛍光物質が均一分
散されてなる蛍光体等が挙げられる。上記蛍光体は、他
の蛍光物質に比べて水溶媒中での蛍光強度および安定性
に優れており、さらに長い蛍光寿命を有しているため、
標的物質の高感度測定が可能である点で好ましい。ま
た、蛍光標識の対象である物質C、物質Dがタンパク質
の場合には、蛋白質との結合性が高い種々のグリーンフ
ルオレセントプロテイン(GFP)やその改変蛍光蛋白
質であるシアンフルオレセントプロテイン(CFP)、
イエローフルオレセントプロテイン(YFP)等の有機
蛍光蛋白質使用が可能である。一方、アクセプターとな
る蛍光物質としては、フルオレセイン、ローダミン、テ
キサスレッド、ピレン、ルシファーイエロー、リボフラ
ビン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコ
シアニン等有機系蛍光物質、種々のグリーンフルオレセ
ントプロテイン(GFP)やイエローフルオレセントプ
ロテイン(YFP)、シアンフルオレセントプロテイン
(CFP)等の有機蛍光蛋白質、上記の希土類金属錯体
や、希土類金属等の金属酸化物や金属硫黄化物等のマト
リックス材料との混合物(蛍光体)等が挙げられる。
【0016】ドナー及びアクセプターとして選択される
蛍光物質の好ましい組み合わせとしては、ドナー蛍光波
長領域とアクセプター励起光波長領域の重複、蛍光色素
の蛍光量子収率、さらには蛍光の残光性等を考慮する
と、フルオレセインとローダミンB(先に記載がドナ
ー、後の記載がアクセプター。以下同じ)、R−フィコ
エリトリンとアロフィコシアニン、フルオレセインとロ
ーダミンX、N1−(p−イソチオシアナトベンジル)
−ジエチレントリアミン−N1,N2,N3,N4−テトラ
酢酸−Eu3+錯体とフィコエリトリン、Tb3+蛍光ガラ
ス微粒子(蛍光体)とローダミンX又はEu3+蛍光ガラ
ス微粒子(蛍光体)等の組み合わせが挙げられる。ま
た、励起波長に差を設ける為に、ドナーの励起光を予め
カットするような材料でアクセプター蛍光物質の表面を
コートしておいてもよい。
【0017】上記蛍光物質X及びYを物質C、物質Dに
標識する方法としては、特に限定されるものではない
が、例えば、蛍光標識対象が蛋白質の場合には、物理的
吸着法、化学結合法等が挙げられる。化学的結合法の場
合には、蛍光物質のアミノシラン誘導体を調製し、直接
もしくは縮合試薬によって蛋白質のアミノ末端に結合さ
せる。カルボキシル末端に蛍光物質を標識する場合に
は、蛍光物質の脂肪族臭化物、カルボジイミド、カルボ
ジイミド誘導体等を調整し、水溶液中で縮合させること
により標識することができる。また、蛋白質の多くはシ
ステイン残基を有しており、これらのチオール基と発蛍
光団のアルキルハライド、マレイミド等とpH8以下で
チオエーテルを形成させることにより安定な蛍光標識蛋
白質を得ることができる。一方、蛍光標識対象がDNA
の場合には、例えば、5’−P末端と脂肪族アミン含有
蛍光色素を反応させ、安定なホスホアミデート結合を形
成させることにより結合させることができる。また、ジ
スルフィド基を含むリンカーを標的DNAに結合させ、
還元試薬を加えジスルフィド基をチオール基とした後、
蛍光物質のアルキルハライドやマレイミドとカップリン
グさせることにより、DNA内部に蛍光標識することが
できる。また、3’−OH末端を蛍光標識する場合は、
3’末端の水酸基は2−〔2−(4,4’−ジメトキシ
トリチルオキシ)エチルスルホニル〕エチル−(2−シ
アノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)−ホスホル
アミダイト(グレンリサーチ社製)を用いてリン酸化し
た後、5’−P末端と同様に蛍光標識することができ
る。また、3’−OH末端に、反応基であるアミノ基を
付加することによって、様々な蛍光色素を付加すること
が可能である。なお、蛍光標識する際には、複合体を形
成した際にドナー及びアクセプターの位置が最も近接す
るような位置にそれぞれの蛍光物質を標識することが好
ましい。
【0018】本発明の標的物質測定試薬の対象とする標
的物質としては、特に限定されるものではないが、環境
汚染物質の中でも、例えば種々の内分泌攪乱化学物質等
が挙げられるが、特に好ましくはAhレセプターに結合
しうるダイオキシン様物質である。上記ダイオキシン様
物質とは、2,3,7,8−テトラジクロロベンゾ−p
−ダイオキシン(TCDD)等のポリ塩化ジベンゾ−p
−ダイオキシン(PCDD)およびポリ塩化ジベンゾフ
ラン(PCDF)およびコプラナポリ塩化ビフェニル
(PCB)の総称で、置換塩素の数や位置によって多く
の構造異性体および同族体がある。
【0019】標的物質と上記の標的物質測定試薬とを反
応させ、ドナーを励起してドナー及び/又はアクセプタ
ーの蛍光波長を測定することを特徴とする標的物質測定
方法もまた本発明の一つである。具体的な手順として
は、上記測定試薬が添加された溶液中に、標的物質を含
む被検液を添加し反応させる。その後、適当な緩衝溶液
中でドナーの励起波長を照射してドナー及び/又はアク
セプターの蛍光波長を測定する。標的物質が存在する場
合には、エネルギー移動によりドナーの蛍光の消滅と同
時にアクセプターの発光の増加が起こるため、アクセプ
ターの蛍光強度とドナーの傾向強度の比を測定すること
により感度は向上する。ドナーの蛍光物質として希土類
金属が用いられていた場合には、蛍光強度が高く、スト
ークシフト(励起波長と蛍光波長の距離)が大きいので
測定感度も高くなる。さらに、励起停止後の残光を時間
分解的に測定することによってより高感度な測定も可能
となる。
【0020】本発明の測定方法において用いられる励起
光としては、蛍光物質XとYの選択にもよるが、例えば
4,4’−ジイソシアナトジヒドロ−スチルベン−2,
2’−ジスルフォン酸、3価のテルビニウムイオン、種
々のピレン誘導体、アクリジンや種々のその誘導体等を
用いる場合には紫外線が挙げられる。
【0021】例えば、ドナー蛍光物質として3価のテル
ビニウムイオン、アクセプター蛍光物質としてローダミ
ン(発光色 赤)が用いられた測定試薬の場合には、反
応液に紫外線を照射すると、標的物質が存在しない場合
には、緑色蛍光の消光と赤色蛍光の放射が起こる。一
方、標的物質が存在する場合には、テルビニウムイオン
に由来する緑の蛍光のみが消光することなく放射され
る。本発明の測定方法によると、赤色蛍光強度の減少と
緑色蛍光強度の増加を測定することで標的物質の濃度を
分離操作することなく、一段階で測定することが可能と
なる。また、励起停止後の蛍光物質が放射する残光を時
間分解的に測定することによってより高感度の標的物質
の測定も可能となる。
【0022】本発明の測定方法において、定量的に測定
する方法としては、通常用いられる蛍光測定方法であれ
ば特に限定されないが、励起停止後の蛍光物質が放射す
る残光を時間分解的に測定することによって、より高感
度の標的物質の測定が可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に実施例を挙げて本発明の態
様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみ
に限定されるものではない。
【0024】(実施例1) ・測定試薬の作製 バキュロウィルスを宿主とした系を用いて発現したマウ
ス由来Ahレセプターを精製し、約1mg/mlまで濃
縮してAhレセプターを作製した。これをAhRとす
る。同様にARNTを発現・精製・濃縮を行い、これを
ARNTとする。一方、5’−TTGC−3’の配列を
含むDNA断片5’−GGGGATTGC−3’にチオ
ール基を導入し、さらにフルオレセインマレイミドをカ
ップリングさせることにより、DNA断片内部にフルオ
レセインを化学的に固定し、約1mg/mlまで濃縮し
てフルオレセインで標識されたDNA断片を作製した。
これをF−DRE1とする。また、5’−GTG−3’
の配列を含むDNA断片5’−GTGACAAGCC−
3’にチオール基を導入し、さらにローダミンマレイミ
ドをカップリングさせることにより、DNA断片内部に
ローダミンを化学的に固定し、約1mg/mlまで濃縮
してローダミンで標識されたDNA断片を作製した。こ
れをDRE2−Rとする。このようにして得られたAh
R、ARNT、F−DRE1とDRE2−Rの濃縮標品
を、それぞれ、0.2μg/mlとなるように1%牛血
清アルブミンを含む10mMリン酸緩衝生理食塩水(p
H7.2)で希釈、混合し測定試薬を得た。
【0025】・2,3,7,8−テトラジクロロベンゾ
−p−ダイオキシン(TCDD)の測定 上記のようにして得られた測定試薬950μlに対し
て、10pg〜1000ng/ml濃度のTCDDを含
有する標準溶液50μlを加え、蛍光光度計を用いて波
長470nmで励起し、540および580nmの蛍光
を測定し、Abs580/Abs540値を求めた。そ
の結果、TCDDの検出範囲は1pg〜500pgであ
った。なお、試薬調整後の分析に要した時間は約30分
であった。なお、結果は従来のELISA法に比べて同
程度の感度であり、試薬調整後の分析に要した時間は約
30分で従来法(ELISA法)の6時間に比べて大幅
な短縮ができた。
【0026】(実施例2) ・測定試薬の作製 バキュロウィルスを宿主とした系を用いて発現したマウ
ス由来Ahレセプターを精製し、約1mg/mlまで濃
縮してAhレセプターを作製した。これをAhRとす
る。同様にARNTを発現・精製・濃縮を行い、これを
ARNTとする。一方、テルビウムイオンがガラス結晶
格子に含有された蛍光体(径50nm)を、5’−TT
GC−3’の配列を含むDNA断片5’−GGGGAT
TGC−3’に作用させて化学的に固定し、約1mg/
mlまで濃縮してテルビウムイオンで標識されたDNA
断片を作製した。これをTb−DRE1とする。また、
5’−GTG−3’の配列を含むDNA断片5’−GT
GACAAGCC−3’にチオール基を導入し,さらに
ローダミンマレイミドをカップリングさせることによ
り,DNA断片内部にローダミンを化学的に固定し、約
1mg/mlまで濃縮してローダミンで標識されたDN
A断片を作製した。これをDRE2−Rとする。このよ
うにして得られたARNT、Ahレセプター、Tb−D
RE1、DRE2−Rの濃縮標品を、それぞれ、0.2
μg/mlとなるように1%牛血清アルブミンを含む1
0mMリン酸緩衝生理食塩水(pH7.2)で希釈、混
合し測定試薬を得た。
【0027】・TCDDの測定 上記のようにして得られた測定試薬950μlに対し
て、10pg〜1000ng/ml濃度のTCDDを含
有する標準溶液50μlを加え、蛍光光度計を用いて波
長470nmで励起し、540および570nmの蛍光
を測定し、Abs570/Abs540値を求めた。そ
の結果、TCDDの検出範囲は0.5pg〜100pg
であった。なお、結果は従来のELISA法に比べて約
2倍の感度であり、試薬調整後の分析に要した時間は約
30分で従来法(ELISA法)の6時間に比べて大幅
な短縮ができた。
【0028】・残光測定によるTCDDの測定 同様に、上記のようにして得られた測定試薬にTCDD
を含有する標準溶液を加え、蛍光光度計を用いて波長4
70nmで励起し、570nmにおけるローダミンの発
光に由来する、残光の300マイクロ秒間の時間分解測
定をパルス光源を用いて積算的に行った。その結果、T
CDDの検出範囲は0.1pg〜100pgであった。
なお、結果は従来のELISA法に比べて約10倍の感
度であり、試薬調整後の分析に要した時間は約30分で
従来法(ELISA法)の6時間に比べて大幅な短縮が
できた。
【0029】
【発明の効果】従来のGC−MS等を用いた方法やEL
ISA等の不均一系測定法に比べて、添加、洗浄を数段
階繰り返す必要がなく、操作が非常に簡単であリ、短時
間で測定可能な、簡便な一段階操作が可能な標的物質測
定試薬及び測定方法を提供する。
【0030】
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の標的物質測定試薬が用いられる測定
原理の概念図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/566 G01N 33/566 33/58 33/58 Z // C12N 15/09 ZNA C12N 15/00 ZNAA Fターム(参考) 2G042 AA01 BD02 CA10 CB03 DA08 DA10 FA11 FB02 GA04 GA05 HA07 2G043 AA01 BA14 BA16 DA02 EA01 FA03 FA06 GA25 GB28 KA02 KA05 2G045 AA01 AA40 BA11 CA26 CB03 FA11 FB02 FB03 4B024 AA01 AA11 AA17 BA63 DA20 HA01 HA11 HA13 4B063 QA01 QA18 QQ20 QR32 QR48 QS32 QS36 QX02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 物質A、物質B、蛍光物質Xで標識され
    た物質C、及び蛍光物質Yで標識された物質Dとからな
    り、物質A、物質B、物質C、及び物質Dは実質的に複
    合体を形成していない標的物質測定試薬であって、標的
    物質が物質Aに結合することにより、物質A、物質B、
    物質C及び物質Dは複合体を形成するものであり、蛍光
    物質Xと蛍光物質Yは蛍光共鳴エネルギー転移における
    ドナー又はアクセプターの関係にあるものであることを
    特徴とする標的物質測定試薬。
  2. 【請求項2】 標的物質がダイオキシン様化合物であ
    り、物質AがAhレセプターであることを特徴とする請
    求項1記載の標的物質測定試薬。
  3. 【請求項3】 物質BがARNT(Ahレセプター核移
    行因子)であることを特徴とする請求項1、2記載の標
    的物質測定試薬。
  4. 【請求項4】 物質Cが5’−TNGC−3’表される
    配列を含むDNA断片であり、物質Dが5’−GTG−
    3’表される配列を含むDNA断片であることを特徴と
    する請求項1〜3記載の標的物質測定試薬。
  5. 【請求項5】 蛍光物質X及び/又はYが希土類金属で
    あることを特徴とする請求項1〜4記載の標的物質測定
    試薬。
  6. 【請求項6】 標的物質と上記請求項1〜5記載の測定
    試薬を反応させ、ドナーを励起してドナー及び/又はア
    クセプターの蛍光波長を測定することを特徴とする標的
    物質測定方法。
  7. 【請求項7】 ドナーを励起して、ドナー及び/又はア
    クセプターの残光波長を時間分解測定することを特徴と
    する請求項6記載の標的物質測定方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2004095024A1 (ja) * 2003-04-24 2004-11-04 Japan Science And Technology Agency 脂質セカンドメッセンジャー検出・定量用プローブとそれを用いた脂質セカンドメッセンジャーの検出および定量方法

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WO2004095024A1 (ja) * 2003-04-24 2004-11-04 Japan Science And Technology Agency 脂質セカンドメッセンジャー検出・定量用プローブとそれを用いた脂質セカンドメッセンジャーの検出および定量方法

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