JP3605377B2 - 分子認識蛍光体、それを用いた標的物質の測定方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、標的物質により誘導される複合体の解離と、蛍光物質間で生じるエネルギー転移を利用した標的物質の高感度測定法およびその試薬に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
血液、尿等の生体成分、環境、食品中等における水溶性の有害物質の検出は、臨床上非常に重要な情報を得るためには不可欠であり、また、感染防止や公害防止等の観点からもその重要性は高まっている。
多くの環境汚染物質が体内に取り込まれることによって、ホルモン様の働きをしたり、ホルモンの働きを阻害したりする内分泌攪乱物質(環境ホルモン)が注目を集めているが、これらの多くは、生体内のホルモン受容体(ホルモンレセプター)と結合することにより、生体に種々の毒性を与えることが明らかになっている。
内分泌攪乱物質の中でも、ダイオキシン様物質は極めて微量でも非常に強い毒性を持ち、催奇形、生殖異常、体重減少、免疫抑制、発癌、上皮細胞異形成などを惹起する。このため、ダイオキシン様物質の使用、排出や曝露が規制されると同時に、生体におけるダイオキシン様物質の蓄積や環境および食品等の安全性評価の一環として、それらを測定する試みがなされている。
【0003】
血液、尿等の生体成分や、環境、食品等における有害汚染物質としては、例えば重金属や、溶剤、農薬、食品添加物、医薬品等の合成化学物質や、これらが生体内や環境中で化学反応や微生物などによる生合成、生分解によって生じた変化体、さらにはダイオキシン様化合物のように処理過程で生じた生成物、また、廃棄物処理場の浸出物、自然毒等がある。そこで、このような有害汚染物質の濃度を測定することは、汚染度を評価し環境保全に役立たせると共に、臨床上重要な情報を得るためには不可欠である。
しかしながら、検体中における濃度の希薄さや夾雑物の存在、さらに標的汚染物質が低分子量であるために、個々の物質について定量はおろか定性すら困難な場合があり、多くの汚染物質についてその定量法の確立は困難である。
【0004】
従来より有害汚染物質を測定する方法としては、上水、河川水、湖沼水、下水中等の環境汚染物質を定量測定するための高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、ガスクロマトグラフィー−高分解能マススペクトロメトリー(GC−HRMS)、高速液体クロマトグラフィー−高分解能マススペクトロメトリー(HPLC−HRMS)等がある。しかしながら、上記のような方法では微量成分を検出するための充分な感度が得られないことがあること、定量する為には溶媒による抽出等による高倍率濃縮が必要となり分析や前処理に長時間要すること、精密な機器が必要であること、さらに操作には熟練した技術を要すること等が問題となっている。
そこで、汚染物質についてより高感度で、迅速かつ簡単で、特異的で、低コストな高感度測定法が望まれている。
【0005】
このような問題を解決する手段として、酵素免疫測定法(以下、ELISA法と略記)が提案されている。ELISA法による様々な汚染物質に対する定量系やキットが市販されており、中でも、ダイオキシン様物質によって活性化される生体内の一連の反応をプレート上で再現することにより、ダイオキシン様物質の検出・測定を行う方法が、特表2001−503130号公報に記載されている。この方法は、ダイオキシン様物質によって誘導される複合体が認識可能な配列を有するDNAをプレート上に固定化し、該複合体構成成分が混合された試薬および検体を添加するものである。つまり、ダイオキシン様物質が存在すると複合体が形成されるため、その一部を認識する一次抗体、一次抗体に特異的で酵素が標識された二次抗体、さらに反応基質を順次加え、その酵素反応の結果起こる発色によりダイオキシン様物質の検出を行うというものである。
しかしながら、上記方法は添加、洗浄を数段階繰り返さなければならず、操作が非常に煩雑であリ、測定に数時間を要するため、簡便な一段階操作によって行われる均一系環境汚染物質測定法の開発が期待されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記に鑑み、簡便な操作でかつ測定時間が短縮された標的物質の高感度測定法およびその試薬を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の標的物質測定試薬は、蛍光物質Xで標識された物質Aと蛍光物質Yで標識された物質Bからなる複合体と、物質Mからなる標的物質測定試薬であって、標的物質と結合した物質Aに物質Mが結合することにより、該複合体の物質Aと物質Bが解離するものであり、蛍光物質Xと蛍光物質Yは蛍光共鳴エネルギー転移におけるドナーとアクセプターの関係にあるものである。
【0008】
また、もう一つの本発明の標的物質測定試薬は、物質Aと蛍光物質Xで標識された物質Bと蛍光物質Yで標識された物質Cからなる複合体と、物質Mからなる標的物質測定試薬であって、
標的物質と結合した物質Aに、物質Mが結合することにより、該複合体の物質Bと物質Cが解離するものあり、蛍光物質Xと蛍光物質Yは蛍光共鳴エネルギー転移におけるドナーとアクセプターの関係にあるものである。
【0009】
本発明の標的物質測定試薬が用いられる測定原理について図1及び図2を用いて説明する。
本発明の測定試薬は、標的物質が存在しない状態では物質AとBは複合体を構成しており、それぞれ物質A、Bは蛍光標識されている(図1の左図)。このように複合体が構成されている状態では、蛍光物質Xの蛍光波長(第1蛍光波長l2)と蛍光物質Yの励起波長(第2励起波長l3)が重なっていれば、蛍光物質Xの励起波長(第1励起波長l1)を照射すると、蛍光物質Xと蛍光物質Yの間が近接しているため蛍光共鳴エネルギー転移が生じ、蛍光物質Yの蛍光(第2蛍光波長l4)が観察される。このような励起光域と吸収光域の重なるごく近接した2種の蛍光物質間でのエネルギ−の受渡しを利用したこの方法は、蛍光共鳴エネルギー転移法(以下FRET法という。:Fluorescence Resonance Energy Transfer)と呼ばれ、このような関係にある蛍光物質Xをドナー、蛍光物質Yをアクセプターという。本発明は、このFRET法を応用した標的物質測定方法に用いられるものである。
【0010】
本発明の測定試薬中に標的物質を存在させると、物質Aは標的物質と結合する(図1の右図)。標的物質と結合した物質Aはさらに物質Mと結合し、その後物質Bが解離して複合体は解体される。よって、蛍光物質Xと蛍光物質Yの間に距離が生じ、l1を照射しても蛍光共鳴エネルギーの転移は起こらず、そのまま蛍光物質Xの蛍光(第1蛍光波長l2)が観察されることになる。
標的物質の濃度を測定する場合には、波長l2の吸光度ABSl2、波長l4の吸光度ABSl4またはABSl2/ABSl4等を測定することによって達成することができる。
【0011】
次にもう一つの本発明の標的物質測定試薬について説明する。
本発明の測定試薬は、標的物質が存在しない状態では物質AとBとCは複合体を構成しており、それぞれ物質B、Cは蛍光標識されている(図2の左図)。このように複合体が構成されている状態では、蛍光物質Xの励起波長l1を照射すると蛍光共鳴エネルギーの転移が生じて蛍光物質Yの蛍光(第2蛍光波長l4)が観察される。そこで、本発明の測定試薬中に標的物質を存在させると、物質Aは標的物質と結合する(図2の右図)。標的物質と結合した物質Aは物質Mと結合し、その後物質BとCは解離して複合体は解体される。よって、蛍光物質Xと蛍光物質Yの間に距離が生じ、l1を照射しても蛍光共鳴エネルギーの転移は起こらず、そのまま蛍光物質Xの蛍光(第1蛍光波長l2)が観察されることになる。
標的物質の濃度を測定する場合には、波長l2の吸光度ABSl2、波長l4の吸光度ABSl4またはABSl2/ABSl4等を測定することによって達成することができる
【0012】
本発明で用いられる物質Aとしては、測定しようとする標的物質に結合性を有するものであれば特に限定されず、レセプター、抗体、抗原、等の蛋白質、DNA、シクロデキストリン、クラウンエーテル等の環状化合物等が挙げられる。中でも、標的物質と結合した際に構造が変化する蛋白質が好ましい。標的物質がダイオキシン様化合物である場合には、Ahレセプターが好ましい。Ahレセプターとは、細胞内でダイオキシンレセプターと称されるアリルハイドロカーボンレセプター(AhR)のことで、N末端側にbHLHドメイン、分子の中程にPASドメイン、さらにC末端側に比較的グルタミンに富んだ領域を有する蛋白質である(生化学,73,81−88(2001))。本発明で用いられるAhレセプターの由来としては、特に限定されるものではないが、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ等の哺乳類や、ダイオキシン様物質との結合活性が存在すればマス等の硬骨魚類、エイ等の軟骨魚類、ショウジョウバエ等の昆虫類、線虫類等が挙げられる。
なお、生物種間や生物の系統の違いによってAhレセプターの多型が存在するが、いずれを用いてもよい。好ましくは、物質M(特に後述のARNT)との結合能の高いマウス由来C57BL/6型Ahレセプターが挙げられる。また、Ahレセプターに対する変異の導入により、リガンド結合性が向上したAhレセプターを用いてもよい。
【0013】
本発明で用いられる物質Bとしては、物質Aと複合体を形成し、物質Aが物質Mと結合した後、物質Aから解離して複合体を解体するものであれば特に限定されず、例えば、シャペロン、コシャペロン蛋白質など種々の蛋白質等が挙げられる。
中でも、標的物質がダイオキシン様化合物で、物質Aとしてダイオキシンレセプターを用いた場合には、物質BとしてはHsp90、p23が好ましい。
上記Hsp90とは、90kDaの熱ショック蛋白質の一つであり、生体内の様々な分子と会合し、その機能を制御している蛋白質である。特に、ホルモンとその受容体との構造安定化に必要な蛋白質とされている。したがって、本発明においてダイオキシンレセプターとHsp90の複合体の解離を利用する測定系を用いた場合には、Hsp90によってダイオキシンレセプターのコンフォメーションが安定化され、ダイオキシンとの結合能が向上することにより、感度は向上する。
本発明で用いられるHsp90の由来としては、特に限定されるものではないが、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ等の哺乳類や、ダイオキシンレセプターとの結合活性が存在し、かつ、ダイオキシン特異的なダイオキシンレセプターより解離できれば、マス等の硬骨魚類、エイ等の軟骨魚類、ショウジョウバエ等の昆虫類、線虫類等の由来でもよい。なお、物質Aとしてダイオキシンレセプターを用いた場合には、同じ由来の生物種のHsp90を用いることが好ましい。また、変異の導入により、ダイオキシン特異性を向上させたHsp90を用いてもよい。
上記p23とは、哺乳動物などにあるHsp90のコシャペロン蛋白質の一つであり、Hsp90のATP結合ドメインであるN末端に近い領域と結合する蛋白質である。また、p23は種々のホルモンレセプターやステロイドレセプターの不活性型とも結合する。p23は、ダイオキシンレセプターとHsp90とで複合体を形成し、AhRの活性型安定化に寄与するので、本発明においてダイオキシンレセプター、Hsp90の複合体の解離を利用する測定系を用いた場合には、ダイオキシンとの結合能が向上することにより、感度が向上する。
本発明に用いられるp23の由来としては、上記のような種々の機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、AhR、Hsp90、ARNT等複合体を構成する他の物質と同じ生物種由来のものが好ましい。
なお、物質Bは直接物質Aと結合している必要はなく、他の物質を介して総合的に物質Aと複合体を形成していればよい。
【0014】
本発明で用いられる物質Cとしては、物質A及び物質Bと複合体を形成し、物質Aが物質Mと結合した後、物質Bから解離して複合体を解体するものであれば特に限定されず、シャペロン、コシャペロン蛋白質などの種々の蛋白質等が挙げられる。中でも、標的物質がダイオキシン様化合物で、物質AとしてダイオキシンレセプターであるAhRを用いた場合には、上記Hsp90やp23が好ましい。さらに、標的物質がダイオキシン様化合物で、物質AとしてダイオキシンレセプターであるAhR、物質BとしてHsp90を用いた場合には、上記p23が好ましい。
なお、物質Cは直接物質A及びBと結合している必要はなく、他の物質を介して総合的に物質A及びBと複合体を形成していればよい。
【0015】
本発明で用いられる物質Mとしては、標的物質と結合した物質Aに対して結合性を有するものであれば特に限定されず、例えば、活性型レセプターのみを認識しうる種々の蛋白質等が挙げられる。中でも、標的物質がダイオキシン様化合物で、物質AとしてダイオキシンレセプターであるAhRを用いた場合には、ARNT(Ahレセプター核移行因子:Ah receptor nuclear translocator)が好ましい。ARNTとは、ダイオキシンレセプターと類似の構造を持ち、N末端側にbHLHドメイン、分子の中程にPASドメイン、C末端側にグルタミンに富んだ領域を有し、哺乳動物だけではなく細胞種を超えた共通生体内分子である。ARNTは、bHLHおよびPASドメインを介して活性型ダイオキシンレセプターとヘテロダイマーを形成し、その後のダイオキシンレセプターからのHsp90およびp23の放出に寄与している。
本発明で用いられるARNTの由来としては、特に限定されるものではないが、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ等の哺乳類や、活性型ダイオキシンレセプター様物質との結合活性が存在すれば線虫類等の由来であってもよい。なお、生物種間や生物の系統の違いによってARNTの多型が存在するが、いずれを用いてもよい。また、ARNTに対する変異の導入により、ダイオキシン様化合物特異性が向上したARNTを用いてもよい。
【0016】
本発明で用いられる蛍光物質X及びYとしては、FRET法におけるドナー及びアクセプターの関係になり得るものでなければならない。その為には、ドナーとなる蛍光物質の蛍光波長が、アクセプターとなる蛍光物質の励起波長と重なるものを選択すれば、特に制限されない。
例えばドナーとなる蛍光物質としては、従来より用いられているアクリジン、ルシファーイエロー、フルオレセイン、ローダミン、マラカイトグリーン、ピレン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、4、4’−ジイソシアナトジヒドロ−スチルベン−2、2’−ジスルフォン酸、4−アセトアミド−4’−イソチアナト−スチルベン−2、2’−スルフォン酸等の有機蛍光物質や、N1−(p−イソチオシアナトベンジル)−ジエチレントリアミン−N1、N2、N3、N4−テトラ酢酸−Eu3+錯体や、芳香族アミン誘導体やβージケトン類を配位子とする希土類金属錯体などの無機蛍光物質等が挙げられる。また、希土類金属錯体以外の無機蛍光物質としては、3〜16族の金属元素、中でも希土類金属等の金属酸化物や金属硫黄化物等のマトリックス材料との混合物(蛍光体)が挙げられ、その蛍光強度の強さから3価のユウロピウム、3価のテルビニウム、3価のサマリウム、3価のジスプロシウム、2価のユウロピウム等が好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用しても良い。上記蛍光体とは、コアシェル構造のコアに無機蛍光物質を含む蛍光体や、無機化合物もしくは有機ポリマーからなるマトリックス内に無機蛍光物質が均一分散されてなる蛍光体等が挙げられる。上記蛍光体は、他の蛍光物質に比べて水溶媒中での蛍光強度および安定性に優れており、さらに長い蛍光寿命を有しているため、標的物質の高感度測定が可能である点で好ましい。
また、蛍光標識の対象である物質A、物質B、物質Cがタンパク質の場合には、蛋白質との結合性が高い種々のグリーンフルオレセントプロテイン(GFP)やその改変蛍光蛋白質であるシアンフルオレセントプロテイン(CFP)、イエローフルオレセントプロテイン(YFP)等の有機蛍光蛋白質使用が可能である。
一方、アクセプターとなる蛍光物質としては、フルオレセイン、ローダミン、テキサスレッド、ピレン、ルシファーイエロー、リボフラビン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン等有機系蛍光物質、種々のグリーンフルオレセントプロテイン(GFP)やイエローフルオレセントプロテイン(YFP)、シアンフルオレセントプロテイン(CFP)等の有機蛍光蛋白質、上記の希土類金属錯体や、希土類金属等の金属酸化物や金属硫黄化物等のマトリックス材料との混合物(蛍光体)等が挙げられる。
【0017】
ドナー及びアクセプターとして選択される蛍光物質の好ましい組み合わせとしては、ドナー蛍光波長領域とアクセプター励起光波長領域の重複、蛍光色素の蛍光量子収率、さらには蛍光の残光性等を考慮すると、フルオレセインとローダミンB(先に記載がドナー、後の記載がアクセプター。以下同じ)、R−フィコエリトリンとアロフィコシアニン、フルオレセインとローダミンX、N1−(p−イソチオシアナトベンジル)−ジエチレントリアミン−N1、N2、N3、N4−テトラ酢酸−Eu3+錯体とフィコエリトリン、Tb3+蛍光ガラス微粒子(蛍光体)とローダミンX又はEu3+蛍光ガラス微粒子(蛍光体)等の組み合わせが挙げられる。
また、励起波長に差を設ける為に、ドナーの励起光を予めカットするような材料でアクセプター蛍光物質の表面をコートしておいてもよい。
【0018】
上記蛍光物質X及びYを物質A、物質B、物質Cに標識する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、蛍光標識対象が蛋白質の場合には、物理的吸着法、化学結合法等が挙げられる。化学的結合法の場合には、蛍光物質のアミノシラン誘導体を調製し、直接もしくは縮合試薬によって蛋白質のアミノ末端に結合させる。カルボキシル末端に蛍光物質を標識する場合には、蛍光物質の脂肪族臭化物、カルボジイミド、カルボジイミド誘導体等を調整し、水溶液中で縮合させることにより標識することができる。また、蛋白質の多くはシステイン残基を有しており、これらのチオール基と発蛍光団のアルキルハライド、マレイミド等とpH8以下でチオエーテルを形成させることにより安定な蛍光標識蛋白質を得ることができる。一方、蛍光標識対象がDNAの場合には、例えば、5’−P末端と脂肪族アミン含有蛍光色素を反応させ、安定なホスホアミデート結合を形成させることにより結合させることができる。また、ジスルフィド基を含むリンカーを標的DNAに結合させ、還元試薬を加えジスルフィド基をチオール基とした後、蛍光物質のアルキルハライドやマレイミドとカップリングさせることにより、DNA内部に蛍光標識することができる。
【0019】
本発明の標的物質測定試薬の対象とする標的物質としては、特に限定されるものではないが、環境汚染物質の中でも、例えば種々の内分泌攪乱化学物質等が挙げられるが、特に好ましくはAhRに結合しうるダイオキシン様物質である。上記ダイオキシン様物質とは、2、3、7、8−テトラジクロロベンゾ−p−ダイオキシン (TCDD)等のポリ塩化ジベンゾ−p−ダイオキシン(PCDD)およびポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)およびコプラナポリ塩化ビフェニル(PCB)の総称で、置換塩素の数や位置によって多くの構造異性体および同族体がある。
【0020】
標的物質と上記の標的物質測定試薬とを反応させ、ドナーを励起してドナー及び/又はアクセプターの蛍光波長を測定することを特徴とする標的物質測定方法もまた本発明の一つである。
具体的な手順としては、上記測定試薬が添加された溶液中に、標的物質を含む被検液を添加し反応させる。その後、適当な緩衝溶液中でドナーの励起波長を照射してドナー及び/又はアクセプターの蛍光波長を測定する。標的物質が存在する場合には、エネルギー移動によりドナーの蛍光の消滅と同時にアクセプターの発光の増加が起こるため、アクセプターの蛍光強度とドナーの傾向強度の比を測定することにより感度は向上する。ドナーの蛍光物質として希土類金属が用いられていた場合には、蛍光強度が高く、ストークシフト(励起波長と蛍光波長の距離)が大きいので測定感度も高くなる。さらに、励起停止後の残光を時間分解的に測定することによってより高感度な測定も可能となる。
【0021】
本発明の測定方法において用いられる励起光としては、蛍光物質XとYの選択にもよるが、例えば4、4’−ジイソシアナトジヒドロ−スチルベン−2、2’−ジスルフォン酸、3価のテルビニウムイオン、種々のピレン誘導体、アクリジンや種々のその誘導体等を用いる場合には紫外線が挙げられる。
【0022】
例えば、ドナー蛍光物質として3価のテルビニウムイオン、アクセプター蛍光物質としてローダミン(発光色 赤)が用いられた測定試薬の場合には、反応液に紫外線を照射すると、標的物質が存在しない場合には、緑色蛍光の消光と赤色蛍光の放射が起こる。一方、標的物質が存在する場合には、テルビニウムイオンに由来する緑の蛍光のみが消光することなく放射される。
本発明の測定方法によると、赤色蛍光強度の減少と緑色蛍光強度の増加を測定することで標的物質の濃度を分離操作することなく、一段階で測定することが可能となる。また、励起停止後の蛍光物質が放射する残光を時間分解的に測定することによってより高感度の標的物質の測定も可能となる。
【0023】
本発明の測定方法において、定量的に測定する方法としては、通常用いられる蛍光測定方法であれば特に限定されないが、励起停止後の蛍光物質が放射する残光を時間分解的に測定することによって、より高感度の標的物質の測定が可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0025】
(実施例1)
・測定試薬の作製
バキュロウィルスを宿主とした系を用いて発現したマウス由来Ahレセプターを精製し、10mgのAhレセプターに対して100mgのフルオレセインイソチオシアネート(シグマ社製;FITC)を炭酸緩衝液中で作用させて化学的に固定し、約1mg/mlまで濃縮してFITCで標識されたAhレセプターを作製した。これをAhR−Fとする。
同様にHsp90を発現・精製し、ローダミンを作用させて化学的に固定し、約1mg/mlまで濃縮してローダミンで標識されたHsp90を作製した。これをHsp90−Rとする。
上記のようにして得られたAhR−FとHsp90−Rを試験管内で混合し、複合体を形成していないAhR−FおよびHsp90−Rとの分離を行って、AhR−F/Hsp90−R複合体を作製した。
同様に物質Mとして、ARNTを発現・精製し、約1mg/mlまで濃縮した。
このようにして得られたAhR−F/Hsp90−RおよびARNTの濃縮標品を、それぞれ、0.2mg/mlとなるように1%牛血清アルブミンを含む10mMリン酸緩衝生理食塩水(pH7.2)で希釈、混合し測定試薬を得た。
【0026】
・2、3、7、8−テトラジクロロベンゾ−p−ダイオキシン(TCDD) の測定
上記のようにして得られた測定試薬950mlに対して、10pg〜1000ng/ml濃度のTCDDを含有する標準溶液50mlを加え、蛍光光度計を用いて波長470nmで励起し、540および580nmの蛍光を測定し、Abs540/Abs580値を求めた。その結果、TCDDの検出範囲は20pg〜2ngであった。なお、試薬調整後の分析に要した時間は約30分であった。
なお、結果は従来のELISA法に比べて若干劣る感度であったが、試薬調整後の分析に要した時間は約30分で従来法(ELISA法)の6時間に比べて大幅な短縮ができた。
【0027】
(実施例2)
・測定試薬の作製
バキュロウィルスを宿主とした系を用いて発現したマウス由来Ahレセプターを精製し、10mgAhレセプターに対してテルビウムイオンがガラス結晶格子に含有された蛍光体(径50nm)100mgを、そのアミノシラン誘導体を用いて化学的に固定し、約1mg/mlまで濃縮してテルビウムイオンで標識された Ahレセプターを作製した。これをAhR−Tbとする。
同様にHsp90を発現・精製し、ローダミンを作用させて化学的に固定し、約1mg/mlまで濃縮してローダミンで標識されたHsp90を作製した。これをHsp90−Rとする。
上記のようにして得られたAhR−TbとHsp90−Rを試験管内で混合し、複合体を形成していないAhR−FおよびHsp90−Rとの分離を行って、AhR−Tb/Hsp90−R複合体を作製した。
同様に物質Mとして、ARNTを発現・精製し、約1mg/mlまで濃縮した。
このようにして得られたAhR−Tb/Hsp90−RおよびARNTの濃縮標品を、それぞれ、0.2mg/mlとなるように1%牛血清アルブミンを含む10mMリン酸緩衝生理食塩水(pH7.2)で希釈、混合し測定試薬を得た。
【0028】
・TCDDの測定
上記のようにして得られた測定試薬950mlに対して、10pg〜1000ng/ml濃度のTCDDを含有する標準溶液50mlを加え、蛍光光度計を用いて波長470nmで励起し、540および570nmの蛍光を測定し、Abs540/Abs570値を求めた。その結果、TCDDの検出範囲は1pg〜100pgであった。
なお、結果は従来のELISA法に比べて若干劣る感度であったが、試薬調整後の分析に要した時間は約30分で従来法(ELISA法)の6時間に比べて大幅な短縮ができた。
【0029】
・残光測定によるTCDDの測定
同様に、上記混合液にTCDDを含有する標準溶液を加え、蛍光光度計を用いて波長470nmで励起し、570nmにおけるローダミンの発光に由来する、残光の300マイクロ秒間の時間分解測定をパルス光源を用いて積算的に行った。その結果、TCDDの検出範囲は0.5pg〜100pgであった。
なお、結果は従来のELISA法と同等の感度であり、試薬調整後の分析に要した時間は約30分で従来法(ELISA法)の6時間に比べて大幅な短縮ができた。
【0030】
【発明の効果】
従来のGC−MS等を用いた方法やELISA等の不均一系測定法に比べて、添加、洗浄を数段階繰り返す必要がなく、操作が非常に簡単であリ、短時間で測定可能な、簡便な一段階操作が可能な標的物質測定試薬及び測定方法を提供する。
【0031】
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の標的物質測定試薬が用いられる測定原理の概念図。
【図2】請求項2の標的物質測定試薬が用いられる測定原理の概念図。
【発明の属する技術分野】
本発明は、標的物質により誘導される複合体の解離と、蛍光物質間で生じるエネルギー転移を利用した標的物質の高感度測定法およびその試薬に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
血液、尿等の生体成分、環境、食品中等における水溶性の有害物質の検出は、臨床上非常に重要な情報を得るためには不可欠であり、また、感染防止や公害防止等の観点からもその重要性は高まっている。
多くの環境汚染物質が体内に取り込まれることによって、ホルモン様の働きをしたり、ホルモンの働きを阻害したりする内分泌攪乱物質(環境ホルモン)が注目を集めているが、これらの多くは、生体内のホルモン受容体(ホルモンレセプター)と結合することにより、生体に種々の毒性を与えることが明らかになっている。
内分泌攪乱物質の中でも、ダイオキシン様物質は極めて微量でも非常に強い毒性を持ち、催奇形、生殖異常、体重減少、免疫抑制、発癌、上皮細胞異形成などを惹起する。このため、ダイオキシン様物質の使用、排出や曝露が規制されると同時に、生体におけるダイオキシン様物質の蓄積や環境および食品等の安全性評価の一環として、それらを測定する試みがなされている。
【0003】
血液、尿等の生体成分や、環境、食品等における有害汚染物質としては、例えば重金属や、溶剤、農薬、食品添加物、医薬品等の合成化学物質や、これらが生体内や環境中で化学反応や微生物などによる生合成、生分解によって生じた変化体、さらにはダイオキシン様化合物のように処理過程で生じた生成物、また、廃棄物処理場の浸出物、自然毒等がある。そこで、このような有害汚染物質の濃度を測定することは、汚染度を評価し環境保全に役立たせると共に、臨床上重要な情報を得るためには不可欠である。
しかしながら、検体中における濃度の希薄さや夾雑物の存在、さらに標的汚染物質が低分子量であるために、個々の物質について定量はおろか定性すら困難な場合があり、多くの汚染物質についてその定量法の確立は困難である。
【0004】
従来より有害汚染物質を測定する方法としては、上水、河川水、湖沼水、下水中等の環境汚染物質を定量測定するための高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、ガスクロマトグラフィー−高分解能マススペクトロメトリー(GC−HRMS)、高速液体クロマトグラフィー−高分解能マススペクトロメトリー(HPLC−HRMS)等がある。しかしながら、上記のような方法では微量成分を検出するための充分な感度が得られないことがあること、定量する為には溶媒による抽出等による高倍率濃縮が必要となり分析や前処理に長時間要すること、精密な機器が必要であること、さらに操作には熟練した技術を要すること等が問題となっている。
そこで、汚染物質についてより高感度で、迅速かつ簡単で、特異的で、低コストな高感度測定法が望まれている。
【0005】
このような問題を解決する手段として、酵素免疫測定法(以下、ELISA法と略記)が提案されている。ELISA法による様々な汚染物質に対する定量系やキットが市販されており、中でも、ダイオキシン様物質によって活性化される生体内の一連の反応をプレート上で再現することにより、ダイオキシン様物質の検出・測定を行う方法が、特表2001−503130号公報に記載されている。この方法は、ダイオキシン様物質によって誘導される複合体が認識可能な配列を有するDNAをプレート上に固定化し、該複合体構成成分が混合された試薬および検体を添加するものである。つまり、ダイオキシン様物質が存在すると複合体が形成されるため、その一部を認識する一次抗体、一次抗体に特異的で酵素が標識された二次抗体、さらに反応基質を順次加え、その酵素反応の結果起こる発色によりダイオキシン様物質の検出を行うというものである。
しかしながら、上記方法は添加、洗浄を数段階繰り返さなければならず、操作が非常に煩雑であリ、測定に数時間を要するため、簡便な一段階操作によって行われる均一系環境汚染物質測定法の開発が期待されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記に鑑み、簡便な操作でかつ測定時間が短縮された標的物質の高感度測定法およびその試薬を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の標的物質測定試薬は、蛍光物質Xで標識された物質Aと蛍光物質Yで標識された物質Bからなる複合体と、物質Mからなる標的物質測定試薬であって、標的物質と結合した物質Aに物質Mが結合することにより、該複合体の物質Aと物質Bが解離するものであり、蛍光物質Xと蛍光物質Yは蛍光共鳴エネルギー転移におけるドナーとアクセプターの関係にあるものである。
【0008】
また、もう一つの本発明の標的物質測定試薬は、物質Aと蛍光物質Xで標識された物質Bと蛍光物質Yで標識された物質Cからなる複合体と、物質Mからなる標的物質測定試薬であって、
標的物質と結合した物質Aに、物質Mが結合することにより、該複合体の物質Bと物質Cが解離するものあり、蛍光物質Xと蛍光物質Yは蛍光共鳴エネルギー転移におけるドナーとアクセプターの関係にあるものである。
【0009】
本発明の標的物質測定試薬が用いられる測定原理について図1及び図2を用いて説明する。
本発明の測定試薬は、標的物質が存在しない状態では物質AとBは複合体を構成しており、それぞれ物質A、Bは蛍光標識されている(図1の左図)。このように複合体が構成されている状態では、蛍光物質Xの蛍光波長(第1蛍光波長l2)と蛍光物質Yの励起波長(第2励起波長l3)が重なっていれば、蛍光物質Xの励起波長(第1励起波長l1)を照射すると、蛍光物質Xと蛍光物質Yの間が近接しているため蛍光共鳴エネルギー転移が生じ、蛍光物質Yの蛍光(第2蛍光波長l4)が観察される。このような励起光域と吸収光域の重なるごく近接した2種の蛍光物質間でのエネルギ−の受渡しを利用したこの方法は、蛍光共鳴エネルギー転移法(以下FRET法という。:Fluorescence Resonance Energy Transfer)と呼ばれ、このような関係にある蛍光物質Xをドナー、蛍光物質Yをアクセプターという。本発明は、このFRET法を応用した標的物質測定方法に用いられるものである。
【0010】
本発明の測定試薬中に標的物質を存在させると、物質Aは標的物質と結合する(図1の右図)。標的物質と結合した物質Aはさらに物質Mと結合し、その後物質Bが解離して複合体は解体される。よって、蛍光物質Xと蛍光物質Yの間に距離が生じ、l1を照射しても蛍光共鳴エネルギーの転移は起こらず、そのまま蛍光物質Xの蛍光(第1蛍光波長l2)が観察されることになる。
標的物質の濃度を測定する場合には、波長l2の吸光度ABSl2、波長l4の吸光度ABSl4またはABSl2/ABSl4等を測定することによって達成することができる。
【0011】
次にもう一つの本発明の標的物質測定試薬について説明する。
本発明の測定試薬は、標的物質が存在しない状態では物質AとBとCは複合体を構成しており、それぞれ物質B、Cは蛍光標識されている(図2の左図)。このように複合体が構成されている状態では、蛍光物質Xの励起波長l1を照射すると蛍光共鳴エネルギーの転移が生じて蛍光物質Yの蛍光(第2蛍光波長l4)が観察される。そこで、本発明の測定試薬中に標的物質を存在させると、物質Aは標的物質と結合する(図2の右図)。標的物質と結合した物質Aは物質Mと結合し、その後物質BとCは解離して複合体は解体される。よって、蛍光物質Xと蛍光物質Yの間に距離が生じ、l1を照射しても蛍光共鳴エネルギーの転移は起こらず、そのまま蛍光物質Xの蛍光(第1蛍光波長l2)が観察されることになる。
標的物質の濃度を測定する場合には、波長l2の吸光度ABSl2、波長l4の吸光度ABSl4またはABSl2/ABSl4等を測定することによって達成することができる
【0012】
本発明で用いられる物質Aとしては、測定しようとする標的物質に結合性を有するものであれば特に限定されず、レセプター、抗体、抗原、等の蛋白質、DNA、シクロデキストリン、クラウンエーテル等の環状化合物等が挙げられる。中でも、標的物質と結合した際に構造が変化する蛋白質が好ましい。標的物質がダイオキシン様化合物である場合には、Ahレセプターが好ましい。Ahレセプターとは、細胞内でダイオキシンレセプターと称されるアリルハイドロカーボンレセプター(AhR)のことで、N末端側にbHLHドメイン、分子の中程にPASドメイン、さらにC末端側に比較的グルタミンに富んだ領域を有する蛋白質である(生化学,73,81−88(2001))。本発明で用いられるAhレセプターの由来としては、特に限定されるものではないが、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ等の哺乳類や、ダイオキシン様物質との結合活性が存在すればマス等の硬骨魚類、エイ等の軟骨魚類、ショウジョウバエ等の昆虫類、線虫類等が挙げられる。
なお、生物種間や生物の系統の違いによってAhレセプターの多型が存在するが、いずれを用いてもよい。好ましくは、物質M(特に後述のARNT)との結合能の高いマウス由来C57BL/6型Ahレセプターが挙げられる。また、Ahレセプターに対する変異の導入により、リガンド結合性が向上したAhレセプターを用いてもよい。
【0013】
本発明で用いられる物質Bとしては、物質Aと複合体を形成し、物質Aが物質Mと結合した後、物質Aから解離して複合体を解体するものであれば特に限定されず、例えば、シャペロン、コシャペロン蛋白質など種々の蛋白質等が挙げられる。
中でも、標的物質がダイオキシン様化合物で、物質Aとしてダイオキシンレセプターを用いた場合には、物質BとしてはHsp90、p23が好ましい。
上記Hsp90とは、90kDaの熱ショック蛋白質の一つであり、生体内の様々な分子と会合し、その機能を制御している蛋白質である。特に、ホルモンとその受容体との構造安定化に必要な蛋白質とされている。したがって、本発明においてダイオキシンレセプターとHsp90の複合体の解離を利用する測定系を用いた場合には、Hsp90によってダイオキシンレセプターのコンフォメーションが安定化され、ダイオキシンとの結合能が向上することにより、感度は向上する。
本発明で用いられるHsp90の由来としては、特に限定されるものではないが、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ等の哺乳類や、ダイオキシンレセプターとの結合活性が存在し、かつ、ダイオキシン特異的なダイオキシンレセプターより解離できれば、マス等の硬骨魚類、エイ等の軟骨魚類、ショウジョウバエ等の昆虫類、線虫類等の由来でもよい。なお、物質Aとしてダイオキシンレセプターを用いた場合には、同じ由来の生物種のHsp90を用いることが好ましい。また、変異の導入により、ダイオキシン特異性を向上させたHsp90を用いてもよい。
上記p23とは、哺乳動物などにあるHsp90のコシャペロン蛋白質の一つであり、Hsp90のATP結合ドメインであるN末端に近い領域と結合する蛋白質である。また、p23は種々のホルモンレセプターやステロイドレセプターの不活性型とも結合する。p23は、ダイオキシンレセプターとHsp90とで複合体を形成し、AhRの活性型安定化に寄与するので、本発明においてダイオキシンレセプター、Hsp90の複合体の解離を利用する測定系を用いた場合には、ダイオキシンとの結合能が向上することにより、感度が向上する。
本発明に用いられるp23の由来としては、上記のような種々の機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、AhR、Hsp90、ARNT等複合体を構成する他の物質と同じ生物種由来のものが好ましい。
なお、物質Bは直接物質Aと結合している必要はなく、他の物質を介して総合的に物質Aと複合体を形成していればよい。
【0014】
本発明で用いられる物質Cとしては、物質A及び物質Bと複合体を形成し、物質Aが物質Mと結合した後、物質Bから解離して複合体を解体するものであれば特に限定されず、シャペロン、コシャペロン蛋白質などの種々の蛋白質等が挙げられる。中でも、標的物質がダイオキシン様化合物で、物質AとしてダイオキシンレセプターであるAhRを用いた場合には、上記Hsp90やp23が好ましい。さらに、標的物質がダイオキシン様化合物で、物質AとしてダイオキシンレセプターであるAhR、物質BとしてHsp90を用いた場合には、上記p23が好ましい。
なお、物質Cは直接物質A及びBと結合している必要はなく、他の物質を介して総合的に物質A及びBと複合体を形成していればよい。
【0015】
本発明で用いられる物質Mとしては、標的物質と結合した物質Aに対して結合性を有するものであれば特に限定されず、例えば、活性型レセプターのみを認識しうる種々の蛋白質等が挙げられる。中でも、標的物質がダイオキシン様化合物で、物質AとしてダイオキシンレセプターであるAhRを用いた場合には、ARNT(Ahレセプター核移行因子:Ah receptor nuclear translocator)が好ましい。ARNTとは、ダイオキシンレセプターと類似の構造を持ち、N末端側にbHLHドメイン、分子の中程にPASドメイン、C末端側にグルタミンに富んだ領域を有し、哺乳動物だけではなく細胞種を超えた共通生体内分子である。ARNTは、bHLHおよびPASドメインを介して活性型ダイオキシンレセプターとヘテロダイマーを形成し、その後のダイオキシンレセプターからのHsp90およびp23の放出に寄与している。
本発明で用いられるARNTの由来としては、特に限定されるものではないが、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ等の哺乳類や、活性型ダイオキシンレセプター様物質との結合活性が存在すれば線虫類等の由来であってもよい。なお、生物種間や生物の系統の違いによってARNTの多型が存在するが、いずれを用いてもよい。また、ARNTに対する変異の導入により、ダイオキシン様化合物特異性が向上したARNTを用いてもよい。
【0016】
本発明で用いられる蛍光物質X及びYとしては、FRET法におけるドナー及びアクセプターの関係になり得るものでなければならない。その為には、ドナーとなる蛍光物質の蛍光波長が、アクセプターとなる蛍光物質の励起波長と重なるものを選択すれば、特に制限されない。
例えばドナーとなる蛍光物質としては、従来より用いられているアクリジン、ルシファーイエロー、フルオレセイン、ローダミン、マラカイトグリーン、ピレン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、4、4’−ジイソシアナトジヒドロ−スチルベン−2、2’−ジスルフォン酸、4−アセトアミド−4’−イソチアナト−スチルベン−2、2’−スルフォン酸等の有機蛍光物質や、N1−(p−イソチオシアナトベンジル)−ジエチレントリアミン−N1、N2、N3、N4−テトラ酢酸−Eu3+錯体や、芳香族アミン誘導体やβージケトン類を配位子とする希土類金属錯体などの無機蛍光物質等が挙げられる。また、希土類金属錯体以外の無機蛍光物質としては、3〜16族の金属元素、中でも希土類金属等の金属酸化物や金属硫黄化物等のマトリックス材料との混合物(蛍光体)が挙げられ、その蛍光強度の強さから3価のユウロピウム、3価のテルビニウム、3価のサマリウム、3価のジスプロシウム、2価のユウロピウム等が好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用しても良い。上記蛍光体とは、コアシェル構造のコアに無機蛍光物質を含む蛍光体や、無機化合物もしくは有機ポリマーからなるマトリックス内に無機蛍光物質が均一分散されてなる蛍光体等が挙げられる。上記蛍光体は、他の蛍光物質に比べて水溶媒中での蛍光強度および安定性に優れており、さらに長い蛍光寿命を有しているため、標的物質の高感度測定が可能である点で好ましい。
また、蛍光標識の対象である物質A、物質B、物質Cがタンパク質の場合には、蛋白質との結合性が高い種々のグリーンフルオレセントプロテイン(GFP)やその改変蛍光蛋白質であるシアンフルオレセントプロテイン(CFP)、イエローフルオレセントプロテイン(YFP)等の有機蛍光蛋白質使用が可能である。
一方、アクセプターとなる蛍光物質としては、フルオレセイン、ローダミン、テキサスレッド、ピレン、ルシファーイエロー、リボフラビン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン等有機系蛍光物質、種々のグリーンフルオレセントプロテイン(GFP)やイエローフルオレセントプロテイン(YFP)、シアンフルオレセントプロテイン(CFP)等の有機蛍光蛋白質、上記の希土類金属錯体や、希土類金属等の金属酸化物や金属硫黄化物等のマトリックス材料との混合物(蛍光体)等が挙げられる。
【0017】
ドナー及びアクセプターとして選択される蛍光物質の好ましい組み合わせとしては、ドナー蛍光波長領域とアクセプター励起光波長領域の重複、蛍光色素の蛍光量子収率、さらには蛍光の残光性等を考慮すると、フルオレセインとローダミンB(先に記載がドナー、後の記載がアクセプター。以下同じ)、R−フィコエリトリンとアロフィコシアニン、フルオレセインとローダミンX、N1−(p−イソチオシアナトベンジル)−ジエチレントリアミン−N1、N2、N3、N4−テトラ酢酸−Eu3+錯体とフィコエリトリン、Tb3+蛍光ガラス微粒子(蛍光体)とローダミンX又はEu3+蛍光ガラス微粒子(蛍光体)等の組み合わせが挙げられる。
また、励起波長に差を設ける為に、ドナーの励起光を予めカットするような材料でアクセプター蛍光物質の表面をコートしておいてもよい。
【0018】
上記蛍光物質X及びYを物質A、物質B、物質Cに標識する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、蛍光標識対象が蛋白質の場合には、物理的吸着法、化学結合法等が挙げられる。化学的結合法の場合には、蛍光物質のアミノシラン誘導体を調製し、直接もしくは縮合試薬によって蛋白質のアミノ末端に結合させる。カルボキシル末端に蛍光物質を標識する場合には、蛍光物質の脂肪族臭化物、カルボジイミド、カルボジイミド誘導体等を調整し、水溶液中で縮合させることにより標識することができる。また、蛋白質の多くはシステイン残基を有しており、これらのチオール基と発蛍光団のアルキルハライド、マレイミド等とpH8以下でチオエーテルを形成させることにより安定な蛍光標識蛋白質を得ることができる。一方、蛍光標識対象がDNAの場合には、例えば、5’−P末端と脂肪族アミン含有蛍光色素を反応させ、安定なホスホアミデート結合を形成させることにより結合させることができる。また、ジスルフィド基を含むリンカーを標的DNAに結合させ、還元試薬を加えジスルフィド基をチオール基とした後、蛍光物質のアルキルハライドやマレイミドとカップリングさせることにより、DNA内部に蛍光標識することができる。
【0019】
本発明の標的物質測定試薬の対象とする標的物質としては、特に限定されるものではないが、環境汚染物質の中でも、例えば種々の内分泌攪乱化学物質等が挙げられるが、特に好ましくはAhRに結合しうるダイオキシン様物質である。上記ダイオキシン様物質とは、2、3、7、8−テトラジクロロベンゾ−p−ダイオキシン (TCDD)等のポリ塩化ジベンゾ−p−ダイオキシン(PCDD)およびポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)およびコプラナポリ塩化ビフェニル(PCB)の総称で、置換塩素の数や位置によって多くの構造異性体および同族体がある。
【0020】
標的物質と上記の標的物質測定試薬とを反応させ、ドナーを励起してドナー及び/又はアクセプターの蛍光波長を測定することを特徴とする標的物質測定方法もまた本発明の一つである。
具体的な手順としては、上記測定試薬が添加された溶液中に、標的物質を含む被検液を添加し反応させる。その後、適当な緩衝溶液中でドナーの励起波長を照射してドナー及び/又はアクセプターの蛍光波長を測定する。標的物質が存在する場合には、エネルギー移動によりドナーの蛍光の消滅と同時にアクセプターの発光の増加が起こるため、アクセプターの蛍光強度とドナーの傾向強度の比を測定することにより感度は向上する。ドナーの蛍光物質として希土類金属が用いられていた場合には、蛍光強度が高く、ストークシフト(励起波長と蛍光波長の距離)が大きいので測定感度も高くなる。さらに、励起停止後の残光を時間分解的に測定することによってより高感度な測定も可能となる。
【0021】
本発明の測定方法において用いられる励起光としては、蛍光物質XとYの選択にもよるが、例えば4、4’−ジイソシアナトジヒドロ−スチルベン−2、2’−ジスルフォン酸、3価のテルビニウムイオン、種々のピレン誘導体、アクリジンや種々のその誘導体等を用いる場合には紫外線が挙げられる。
【0022】
例えば、ドナー蛍光物質として3価のテルビニウムイオン、アクセプター蛍光物質としてローダミン(発光色 赤)が用いられた測定試薬の場合には、反応液に紫外線を照射すると、標的物質が存在しない場合には、緑色蛍光の消光と赤色蛍光の放射が起こる。一方、標的物質が存在する場合には、テルビニウムイオンに由来する緑の蛍光のみが消光することなく放射される。
本発明の測定方法によると、赤色蛍光強度の減少と緑色蛍光強度の増加を測定することで標的物質の濃度を分離操作することなく、一段階で測定することが可能となる。また、励起停止後の蛍光物質が放射する残光を時間分解的に測定することによってより高感度の標的物質の測定も可能となる。
【0023】
本発明の測定方法において、定量的に測定する方法としては、通常用いられる蛍光測定方法であれば特に限定されないが、励起停止後の蛍光物質が放射する残光を時間分解的に測定することによって、より高感度の標的物質の測定が可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0025】
(実施例1)
・測定試薬の作製
バキュロウィルスを宿主とした系を用いて発現したマウス由来Ahレセプターを精製し、10mgのAhレセプターに対して100mgのフルオレセインイソチオシアネート(シグマ社製;FITC)を炭酸緩衝液中で作用させて化学的に固定し、約1mg/mlまで濃縮してFITCで標識されたAhレセプターを作製した。これをAhR−Fとする。
同様にHsp90を発現・精製し、ローダミンを作用させて化学的に固定し、約1mg/mlまで濃縮してローダミンで標識されたHsp90を作製した。これをHsp90−Rとする。
上記のようにして得られたAhR−FとHsp90−Rを試験管内で混合し、複合体を形成していないAhR−FおよびHsp90−Rとの分離を行って、AhR−F/Hsp90−R複合体を作製した。
同様に物質Mとして、ARNTを発現・精製し、約1mg/mlまで濃縮した。
このようにして得られたAhR−F/Hsp90−RおよびARNTの濃縮標品を、それぞれ、0.2mg/mlとなるように1%牛血清アルブミンを含む10mMリン酸緩衝生理食塩水(pH7.2)で希釈、混合し測定試薬を得た。
【0026】
・2、3、7、8−テトラジクロロベンゾ−p−ダイオキシン(TCDD) の測定
上記のようにして得られた測定試薬950mlに対して、10pg〜1000ng/ml濃度のTCDDを含有する標準溶液50mlを加え、蛍光光度計を用いて波長470nmで励起し、540および580nmの蛍光を測定し、Abs540/Abs580値を求めた。その結果、TCDDの検出範囲は20pg〜2ngであった。なお、試薬調整後の分析に要した時間は約30分であった。
なお、結果は従来のELISA法に比べて若干劣る感度であったが、試薬調整後の分析に要した時間は約30分で従来法(ELISA法)の6時間に比べて大幅な短縮ができた。
【0027】
(実施例2)
・測定試薬の作製
バキュロウィルスを宿主とした系を用いて発現したマウス由来Ahレセプターを精製し、10mgAhレセプターに対してテルビウムイオンがガラス結晶格子に含有された蛍光体(径50nm)100mgを、そのアミノシラン誘導体を用いて化学的に固定し、約1mg/mlまで濃縮してテルビウムイオンで標識された Ahレセプターを作製した。これをAhR−Tbとする。
同様にHsp90を発現・精製し、ローダミンを作用させて化学的に固定し、約1mg/mlまで濃縮してローダミンで標識されたHsp90を作製した。これをHsp90−Rとする。
上記のようにして得られたAhR−TbとHsp90−Rを試験管内で混合し、複合体を形成していないAhR−FおよびHsp90−Rとの分離を行って、AhR−Tb/Hsp90−R複合体を作製した。
同様に物質Mとして、ARNTを発現・精製し、約1mg/mlまで濃縮した。
このようにして得られたAhR−Tb/Hsp90−RおよびARNTの濃縮標品を、それぞれ、0.2mg/mlとなるように1%牛血清アルブミンを含む10mMリン酸緩衝生理食塩水(pH7.2)で希釈、混合し測定試薬を得た。
【0028】
・TCDDの測定
上記のようにして得られた測定試薬950mlに対して、10pg〜1000ng/ml濃度のTCDDを含有する標準溶液50mlを加え、蛍光光度計を用いて波長470nmで励起し、540および570nmの蛍光を測定し、Abs540/Abs570値を求めた。その結果、TCDDの検出範囲は1pg〜100pgであった。
なお、結果は従来のELISA法に比べて若干劣る感度であったが、試薬調整後の分析に要した時間は約30分で従来法(ELISA法)の6時間に比べて大幅な短縮ができた。
【0029】
・残光測定によるTCDDの測定
同様に、上記混合液にTCDDを含有する標準溶液を加え、蛍光光度計を用いて波長470nmで励起し、570nmにおけるローダミンの発光に由来する、残光の300マイクロ秒間の時間分解測定をパルス光源を用いて積算的に行った。その結果、TCDDの検出範囲は0.5pg〜100pgであった。
なお、結果は従来のELISA法と同等の感度であり、試薬調整後の分析に要した時間は約30分で従来法(ELISA法)の6時間に比べて大幅な短縮ができた。
【0030】
【発明の効果】
従来のGC−MS等を用いた方法やELISA等の不均一系測定法に比べて、添加、洗浄を数段階繰り返す必要がなく、操作が非常に簡単であリ、短時間で測定可能な、簡便な一段階操作が可能な標的物質測定試薬及び測定方法を提供する。
【0031】
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の標的物質測定試薬が用いられる測定原理の概念図。
【図2】請求項2の標的物質測定試薬が用いられる測定原理の概念図。
Claims (8)
- 蛍光物質Xで標識された物質Aと蛍光物質Yで標識された物質Bからなる複合体と、物質Mからなる標的物質測定試薬であって、
標的物質と結合した物質Aに物質Mが結合することにより、該複合体の物質Aと物質Bが解離するものであり、蛍光物質Xと蛍光物質Yは蛍光共鳴エネルギー転移におけるドナーとアクセプターの関係にあるものであることを特徴とする標的物質測定試薬。 - 物質Aと蛍光物質Xで標識された物質Bと蛍光物質Yで標識された物質Cからなる複合体と、物質Mからなる標的物質測定試薬であって、
標的物質と結合した物質Aに、物質Mが結合することにより、該複合体の物質Bと物質Cが解離するものあり、蛍光物質Xと蛍光物質Yは蛍光共鳴エネルギー転移におけるドナーとアクセプターの関係にあるものであることを特徴とする標的物質測定試薬。 - 標的物質がダイオキシン様化合物であり、物質AがAhレセプターであることを特徴とする請求項1、2記載の標的物質測定試薬。
- 物質BがHsp90又はp23であることを特徴とする請求項1〜3記載の標的物質測定試薬。
- 物質MがARNT(Ahレセプター核移行因子)であることを特徴とする請求項1〜4記載の標的物質測定試薬。
- 蛍光物質X及び/又はYが希土類金属であることを特徴とする請求項1〜5記載の標的物質測定試薬。
- 標的物質と上記請求項1〜6記載の測定試薬を反応させ、ドナーを励起してドナー及び/又はアクセプターの蛍光波長を測定することを特徴とする標的物質測定方法。
- ドナーを励起して、ドナー及び/又はアクセプターの残光波長を時間分解測定することを特徴とする請求項7記載の標的物質測定方法。
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