JP2003074562A - 転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受

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JP2003074562A
JP2003074562A JP2001265129A JP2001265129A JP2003074562A JP 2003074562 A JP2003074562 A JP 2003074562A JP 2001265129 A JP2001265129 A JP 2001265129A JP 2001265129 A JP2001265129 A JP 2001265129A JP 2003074562 A JP2003074562 A JP 2003074562A
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Japan
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outer ring
ring
rolling
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rolling bearing
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JP2001265129A
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Shigeru Okita
滋 沖田
Yasuo Murakami
保夫 村上
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Publication date
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C33/00Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
    • F16C33/30Parts of ball or roller bearings
    • F16C33/58Raceways; Race rings
    • F16C33/583Details of specific parts of races
    • F16C33/585Details of specific parts of races of raceways, e.g. ribs to guide the rollers
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C19/00Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement
    • F16C19/02Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows
    • F16C19/04Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows for radial load mainly
    • F16C19/06Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows for radial load mainly with a single row or balls

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  • General Engineering & Computer Science (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高振動,高荷重,高温条件下で使用されても
早期剥離や焼付きが発生しにくく長寿命な転がり軸受を
提供する。 【解決手段】 内外輪2,3と転動体4とを備えるとと
もに、下記式で定義されるはめ合い率Fが0%であるは
め合いで、外輪2がハウジング8に取り付けられグリー
ス10で潤滑された転がり軸受1において、所定量の合
金成分を含有し且つ残部が鉄及び不可避の不純物である
鋼で内外輪2,3を構成し、内輪3の残留オーステナイ
ト量を0〜6体積%、外輪2の残留オーステナイト量を
6〜20体積%とし、内外輪2,3の軌道面2a,3a
の表面硬さをHRC57以上65以下とした。 F=(DE −DH )/DE ×100(%) ここで、DE は外輪2の外径、DH はハウジング8の内
径である。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、転がり軸受に係
り、特に、高振動,高荷重,高温が作用するエンジン補
機類(オルタネータ,電磁クラッチ,中間プーリ,カー
エアー用コンプレッサ,水ポンプ等)に好適に使用可能
なグリース潤滑の転がり軸受に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、自動車の小型化,軽量化に伴い、
エンジン補機類に対しても小型化,軽量化が求められて
おり、さらに高性能化,高出力化も求められている。例
えばオルタネータ用の軸受は、エンジンの作動時に、高
速回転に伴う高振動,高荷重(4〜20G程度)がベル
トを介して作用するとともに、高温となる。そのため、
オルタネータ用の軸受には、グリース潤滑されている軸
受を用いると焼付きが生じてロックしやすいという問題
や、固定輪である外輪の軌道面に早期剥離が生じやすい
という問題があり、その結果、十分な寿命が得られてい
なかった。 【0003】高振動,高荷重下で使用される軸受の寿命
向上を図る技術としては、例えば、特許第213084
3号明細書に、高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)で形成
された固定輪である外輪に対して通常の焼入れを施した
後に、サブゼロ処理又は250〜380℃での焼戻し処
理を施すことにより、固定輪の残留オーステナイト量
(γR )を0.05〜6体積%とすることが開示されて
いる。すなわち、固定輪の残留オーステナイト量を少な
くすることによって、固定輪の硬さを高く維持し、且つ
高振動,高荷重下における固定輪の軌道面の塑性変形を
低減して早期剥離を防止しようとしている。 【0004】また、エンジン補機類用の転がり軸受に特
有の問題である固定輪の組織変化による早期剥離を防止
する対策として、「SAEテクニカルペーパー:SAE
950944(開催日1995年2月27日〜3月2
日)」の第1項〜第14項には、オルタネータ用軸受の
疲労メカニズムを解明し、封入グリースをEグリースか
らMグリースに変更することが開示されている。このM
グリースはダンパー効果が高いので、高振動,高荷重下
で使用される軸受に用いると、振動及び負荷を十分に吸
収して固定輪の早期剥離を防止することができる。 【0005】一方、特許第2013772号明細書に
は、Cを0.95〜1.10質量%、Si又はAlを1
〜2質量%、Mnを0.50質量%以下、Crを0.9
0〜1.60質量%、酸素を13ppm以下含有し、且
つ残部が鉄及び不可避の不純物である鋼で軌道輪を形成
し、焼入れ後に230℃〜300℃の高温で焼き戻しを
施して残留オーステナイト量を8体積%以下とし、且つ
表面硬度をHRC60以上とする技術が開示されてい
る。この技術は、高温使用時において高い寸法安定性と
優れた転動寿命を有する軸受を得ることを目的としてい
る。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特許第
2130843号明細書及び前記SAEテクニカルペー
パーに開示された技術では、高振動,高荷重下で使用さ
れる軸受の固定輪の早期剥離防止効果は得られるが、エ
ンジン補機類用の軸受では高温使用時の耐焼付き性をさ
らに向上することが望まれる。 【0007】すなわち、雰囲気温度が120℃以上の高
温で長時間使用される場合には、回転輪である内輪の温
度が、固定輪である外輪の温度より10℃以上高くなり
やすい。これは、回転により軸受に発生した摩擦熱はシ
ャフト及びハウジングを通じて放熱されるが、内輪が固
定されているシャフトよりも外輪が固定されているハウ
ジングの方が放熱条件が良いためである。そして、外輪
より温度の高い内輪の方が残留オーステナイト量の分解
量が多くなるため、内輪の軌道径が膨張して軸受隙間が
減少し、その結果、焼付きが生じやすくなる。 【0008】一方、特許第2013772号明細書に記
載の軸受は、固定輪を形成する鋼のSi又はAlの含有
量が1〜2質量%と多いため、酸素の含有量を13pp
m以下に規定しているものの、転がり寿命を著しく低下
させるSi系やAl系の介在物が生じやすくなる傾向が
ある。また、残留オーステナイト量を8体積%以下とす
ることにより、高温使用時の寸法安定性が良好となる傾
向にあるが、内外輪ともに残留オーステナイト量を低く
したため、軸受隙間が減少して焼付きが生じやすくな
る。 【0009】つまり、エンジン補機類用の転がり軸受は
高速回転で使用される場合が多いので、転がり疲労に対
する対策や、エンジン補機類用の転がり軸受に特有の組
織変化を伴う剥離現象に対する対策とともに、軸受寸法
の経時変化や発熱に伴う寸法変化により生じる焼付きに
対しても、十分な対策が必要となる。また、高温により
グリースの劣化が促進されるため、潤滑能力が低下して
焼付きが発生しやすいくなる。 【0010】そこで、本発明は、上記のような従来の転
がり軸受が有する問題点を解決し、高振動,高荷重,高
温条件下で使用されても早期剥離や焼付きが発生しにく
く長寿命な転がり軸受を提供することを課題とする。 【0011】 【課題を解決するための手段】転がり軸受の焼付きに関
しては、軸受隙間が大きく影響することが知られてい
る。当然、隙間が小さいと焼付きが起こりやすくなる。
転がり軸受の隙間が小さくなる原因としては、前述の内
外輪の温度差と残留オーステナイトの分解とがある。 【0012】温度上昇や転がり繰返し応力に伴って残留
オーステナイトが分解すると、軸受が膨張して寸法が経
時変化する。そして、内輪回転の場合は、残留オーステ
ナイトの分解は外輪よりも内輪において生じやすく、軸
受隙間が減少する。さらに、この寸法の経時変化は、内
輪は軸に組み込まれていて内径が広げられているため、
同一温度であっても膨張量が大きくなる傾向にある。 【0013】外輪回転の場合であっても、外輪はハウジ
ング,プーリー等に拘束されているため、残留オーステ
ナイトが分解した分だけ自由に膨張することができない
のに対し、内輪は自由に膨張することができるため、軸
受隙間が減少してしまう。そこで、本発明者らは、内輪
の残留オーステナイト量を外輪よりも少なくすること
で、転がり軸受に発生する焼付きが抑えられると考え、
転がり軸受の焼付き試験を行った。 【0014】エンジン補機類用の転がり軸受について
は、転がり寿命の評価方法が複数あるが、代表的なもの
に焼付きを評価する試験と、エンジン補機類用の軸受に
特有の固定輪に発生する組織変化による早期剥離を評価
する試験とがある。前者の試験は、高速,高荷重下で潤
滑剤の劣化による焼付きを評価するものであるが、焼付
き評価試験においても、しばしば軸受材料に組織変化が
発生して剥離が生じる場合がある。 【0015】一方、後者の試験は、エンジン補機類用の
転がり軸受を実機のエンジンで評価するか、又は、実機
のエンジンをシミュレートした評価試験機(日本機械学
会論文集,第63巻615号C編,1997.11)を
用いて軸受材料に発生した組織変化により、剥離を再現
させるものである。本発明者らは、内輪と外輪の残留オ
ーステナイト量を種々変化させ、色々な組合せで焼付き
試験を行い、組織変化により剥離した軸受の残留オース
テナイト量を調査した結果、外輪の残留オーステナイト
量が低い場合に、組織変化による剥離が発生しやすい可
能性があることを突き止めた。 【0016】エンジン補機類用の軸受に特有の組織変化
による剥離は、軸受が振動を受ける場合や、固定輪が不
安定な状態となっている場合に、曲げ応力等が加わり転
がり接触によるせん断応力を含めた複合応力となること
によって発生するとされている(日本鉄鋼協会講演論文
集第137回春季講演大会CAMP−ISIJ Vo
l.12(1999)−351)。そこで、前記焼付き
試験において組織変化による剥離が発生した軸受の試験
後の状態を詳細に調査した結果、外輪とハウジングとの
間に僅かな隙間があることが判明した。 【0017】つまり、外輪の残留オーステナイト量が低
い場合は、残留オーステナイトの分解による膨張量も少
なくなるので、外輪とハウジングとの間に僅かな隙間が
生じることとなる。そのため、焼付き試験中に外輪が不
安定な状態となりやすく、前述のように複合応力が加わ
って、焼付きを評価する試験において組織変化による剥
離が発生したものである。 【0018】また、エンジン補機類の軽量化のために、
軸受のハウジングをアルミニウム製又はアルミニウム合
金製としている場合がある。この場合には、使用時に温
度が上昇すると、線膨張率の違いからハウジングと軸受
との間に隙間が生じやすくなるので、前述のような理由
により組織変化による剥離が発生しやすくなる。これら
のことから、エンジン補機類用の軸受においては、外輪
には適量の残留オーステナイトが必要であり、逆に内輪
は残留オーステナイト量が少ない方が好ましいことが分
かった。 【0019】よって、本発明の転がり軸受は次のような
構成とした。すなわち、本発明の転がり軸受は、内輪
と、外輪と、前記内輪と前記外輪との間に転動自在に配
設された複数の転動体と、を備えるとともに、下記式で
定義されるはめ合い率Fが0.05%以下であるはめ合
いで、前記外輪がハウジングに取り付けられるグリース
潤滑の転がり軸受において、前記内輪及び前記外輪を、
炭素を0.65〜1.20質量%、ケイ素を0.10〜
0.70質量%、マンガンを0.20〜1.20質量
%、クロムを0.20〜1.80質量%、酸素を16p
pm以下含有し、且つ残部が鉄及び不可避の不純物であ
る鋼で構成し、前記内輪の残留オーステナイト量を0〜
6体積%、前記外輪の残留オーステナイト量を6〜20
体積%とし、前記内輪及び前記外輪の軌道面の表面硬さ
をHRC57以上65以下としたことを特徴とする。 【0020】F=(DE −DH )/DE ×100(%) ここで、DE は前記外輪の外径、DH は前記ハウジング
の内径である。このような構成であれば、比較的軽いし
まりばめ又はすきまばめで外輪がハウジングに取り付け
られるとともに、高振動,高荷重,高温条件下で使用さ
れても、早期剥離や焼付きが発生しにくく長寿命であ
る。 【0021】以下に、各数値限定の臨界的意義について
述べる。 (1)はめ合い率F 前述の焼付き試験条件において、外輪とハウジングとの
はめ合い率Fを変化させて試験を行った結果、表1及び
それをグラフ化した図1に示すように、比較的軽いしま
りばめ又はすきまばめで外輪を取り付けた場合に、組織
変化による剥離が発生しやすいという問題があることが
確認された。これは、外輪とハウジングとの間に僅かな
隙間があると、外輪が不安定な状態になりやすいため、
前述のように複合応力が加わったことが原因であると考
えられる。 【0022】 【表1】 【0023】このような剥離が発生しやすいはめ合い率
Fは、表1及び図1から分かるように0.05%以下で
ある。はめ合い率Fが0.05%を超える場合は、適度
なしまりばめとなっているため、複合応力による剥離は
生じない。しかしながら、はめ合い率Fが0.08%以
上の過大なしまりばめとすると、軸受隙間が小さくなっ
て焼付きが生じやすくなるので、好ましくない。また、
転がり軸受をハウジングに取り付ける際の組立性を考え
ると、はめ合い率Fが0.05%以下である軽いしまり
ばめ又はすきまばめとすることが好ましい。 【0024】そこで、このようなはめ合い率の転がり軸
受に本発明を適用すれば、残留オーステナイトの膨張に
よって外輪とハウジングとの間の隙間が適正な値とな
り、前記問題が解決されて早期剥離や焼付きが発生しに
くくなるので、大きな長寿命化効果が得られる。そし
て、はめ合い率Fが0.02%以下であると、組織変化
による剥離が非常に高い確率で発生するので、このよう
な転がり軸受に本発明を適用すれば、より大きな長寿命
化効果が得られる。 【0025】はめ合い率Fが負の値をとる場合、すなわ
ち、すきまばめで外輪がハウジングに取り付けられてい
る場合は、組織変化による剥離が生じやすいが、外輪と
ハウジングとの間の隙間が大きすぎると、軸受の振動が
大きくなりすぎたり、フレッティング摩耗が発生した
り、場合によっては軸受がハウジング内で回転するクリ
ープが発生する場合がある。よって、はめ合い率Fは−
0.05%以上であることが好ましい。 【0026】なお、表1の試験は以下のようにして行っ
たものである。まず、軸受は、内外輪及び転動体がSU
J2製の深溝玉軸受(JIS呼び番号6303)であ
り、軸受隙間は10〜15μmである。そして、前述の
早期剥離対策用のグリースではなく、エンジン補機類用
の転がり軸受に一般的に使用されるEA2グリース(日
石三菱社製)が封入されている。また、内外輪は、通常
の焼入れと230〜250℃で90〜120分間の焼戻
しとが施されて、軌道面の表面硬さがHRC60、残留
オーステナイト量が1体積%とされている。ハウジング
は、アルミニウム合金ダイカスト5種(JIS H 5
302)で構成されている。 【0027】試験条件は、回転速度が20000rp
m、荷重条件がP(負荷荷重)/C(動定格荷重)=
0.20、温度が150℃である。また、L10を寿命値
とし、各軸受とも10個ずつ試験し、1500時間で試
験を打ち切った。 (2)炭素(C) Cの含有量は、0.65〜1.20質量%である必要が
ある。 【0028】Cは鋼に硬さを付与する元素であり、Cの
含有量が0.65質量%未満であると、転がり軸受に要
求される硬さ(スケールCの場合のロックウェル硬さ
(HRC)で57以上)を確保できない場合がある。ま
た、Cはマトリックスに固溶するとともに他の合金成分
元素(特にCr)と結合して炭化物となるが、Cの含有
量が1.20質量%を超えると、製鋼時に巨大炭化物が
生成しやすくなって、疲労寿命や耐衝撃性が低下するお
それがある。 【0029】(3)ケイ素(Si) Siの含有量は、0.10〜0.70質量%である必要
がある。Siは製鋼時に脱酸剤として作用し、焼入れ性
を向上させるとともに、組織変化を遅延させる元素であ
り、0.10質量%未満では脱酸効果が十分ではない。
高温,高速条件で使用されるエンジン補機類用の軸受に
おいては、高い焼戻し抵抗性が要求されるため、0.2
0質量%以上とすることが好ましい。 【0030】一方、Siの含有量が多すぎると、冷間で
の加工性が著しく低下するとともに、靱性や耐久性を著
しく低下させると考えられているケイ酸塩系介在物が生
じるおそれがある。よって、Siの含有量は0.70質
量%以下とする必要があり、0.36質量%以下とする
ことが好ましい。 (4)マンガン(Mn) Mnの含有量は、0.20〜1.20質量%である必要
がある。 【0031】Mnは鋼の焼入れ性を向上させる効果のあ
る元素であり、0.20質量%未満であるとその効果が
不十分となる。一方、Mnの含有量が1.20質量%を
超えると熱間加工性が低下する。なお、Sの存在により
寿命低下の要因となり得る介在物であるMnSが生じる
ため、Sの含有量を0.02質量%以下としてMnSの
生成量を少なくすることが好ましい。 【0032】(5)クロム(Cr) Crの含有量は、0.20〜1.80質量%である必要
がある。Crは焼入れ性を向上させ、炭化物球状化を促
進させる元素であるが、含有量が0.20質量%未満で
あると、これらの作用が実質的に発揮されない。一方、
Crの含有量が1.80質量%を超えると、炭化物が粗
大化して平均結晶粒が大きくなり、また、被削性を劣化
させる場合があるので、これらのことを避けるために
は、Crの含有量の上限値は1.80質量%とする必要
がある。 【0033】(6)酸素(O) Oは鋼において酸化物系の介在物(例えば、Al2 3
やCaO)を生成し、転がり寿命を低下させる元素であ
り、その含有量が16ppmを超えると転がり寿命の低
下が著しくなるため、16ppmを上限値とした。 (7)内外輪の残留オーステナイト量 前述したように、高速回転で使用されるエンジン補機類
用の転がり軸受は、焼付き防止対策として、内輪の残留
オーステナイト量を少なくすることが望ましい。焼付き
試験の結果、残留オーステナイト量が6体積%を超える
と焼付きが発生しやすくなるので、内輪の残留オーステ
ナイト量は0〜6体積%とする必要がある。 【0034】一方、外輪の残留オーステナイト量が少な
すぎると、組織変化をともなう剥離が発生しやすくなる
傾向がある。焼付き評価を含めた寿命試験の結果を示す
図2のグラフから分かるように、外輪の残留オーステナ
イト量が6体積%未満の場合や20体積%を超える場合
は寿命が低下してしまう。よって、外輪の残留オーステ
ナイト量は6〜20体積%とする必要がある。なお、安
定して優れた寿命を得るためには、8〜15体積%とす
ることがより好ましい。 【0035】このように、内輪の残留オーステナイト量
よりも外輪の残留オーステナイト量を多くすると、転が
り軸受の温度が上昇したときに外輪の残留オーステナイ
トが膨張して、外輪とハウジングとの間の隙間が適正な
値となるので、前述のような理由により焼付きの発生を
抑制することができる (8)軌道面の表面硬さ 前述したように、高温,高速環境下での焼付きを防ぐた
めに、内輪については残留オーステナイト量を少なくす
る必要があるので、高温焼戻し処理が施される。しか
し、高温で焼戻しを行うと、硬さが低下する傾向があ
る。軌道面の表面硬さがHRC57未満であると、一般
的な転がり寿命や摩擦摩耗等、軸受に必要な諸機能が低
下してしまう。 【0036】また、残留オーステナイト量を削減しても
硬さが低下しない方法としてサブゼロ処理がある。しか
し、軌道面の表面硬さがHRC65超過となるようなサ
ブゼロ処理を行うと、表面の靱性が低下したり、マルテ
ンサイト変態応力による割れが発生するおそれがある。
したがって、内輪の表面硬さはHRC57以上65以下
とする必要がある。なお、表面硬さをHRC57〜61
とすれば、残留オーステナイト量がより少なくなり、且
つ靱性が優れたものとなって、長寿命となるのでより好
ましい。 【0037】 【発明の実施の形態】本発明に係る転がり軸受の実施の
形態を、図面及び表を参照しながら詳細に説明する。図
3は、本発明の一実施形態である転がり軸受を示す断面
図である。この転がり軸受1はJIS呼び番号6303
の深みぞ玉軸受であり、外輪2がハウジング8に固定さ
れて固定輪となり、内輪3はシャフト7に外嵌されて回
転輪となっている。また、外輪2と内輪3との間には、
保持器5により保持された多数の転動体4が配設され、
保持器5の両側位置の外輪2と内輪3との間には、シー
ル部材6,6が装着されている。 【0038】また、シール部材6,6によって囲まれる
空間にはグリース10が封入されている。このグリース
10は、前述の早期剥離対策用のグリースではなく、一
般的にエンジン補機類用の転がり軸受に一般的に使用さ
れるEA2グリース(日石三菱社製)である。そして、
この転がり軸受1は、はめ合い率Fが0%のはめあいで
外輪2がハウジング8に取り付けられており、シャフト
7の回転に伴って内輪3が回転し、この回転による振
動,荷重は、シャフト7から内輪3及び転動体4を介し
て外輪2の負荷圏に作用する。 【0039】ここで、内外輪2,3は、下記の表2に示
す組成の鉄鋼材料で形成され(生産性及び製造コストを
考慮して、内外輪2,3は同種の鋼とした)、下記のい
ずれかの熱処理条件で焼入れ・焼戻しすることによっ
て、内外輪2,3の軌道面2a,3aの表面硬さ(HR
C)及び残留オーステナイト量(γR )が、下記の表
3,4に示す値となっているものである。 【0040】 【表2】【0041】 【表3】 【0042】 【表4】 【0043】なお、実施例及び比較例ともに、転動体4
は高炭素クロム軸受鋼2種(SUJ2)で形成し、下記
の条件Iの熱処理を施した。また、内外輪2,3の軌道
面の表面粗さを0.01〜0.03μmRa、転動体4
の表面粗さを0.003〜0.010μmRaとした。
また、ハウジング8は、アルミニウム合金ダイカスト5
種(JIS H 5302)で構成されている。ただ
し、ハウジング8は鋼製でもよい。 【0044】〔熱処理条件〕 条件I:830〜860℃で30〜60分間保持した後
に油冷して焼入れし、130〜170℃で90〜120
分間焼戻しを施した。 条件II:830〜860℃で30〜60分間保持した後
に油冷して焼入れし、180〜220℃で90〜120
分間焼戻しを施した。 【0045】条件III :830〜860℃で30〜60
分間保持した後に油冷して焼入れし、230〜250℃
で90〜120分間焼戻しを施した。 条件IV:830〜860℃で30〜60分間保持した
後に油冷して焼入れし、260〜300℃で90〜12
0分間焼戻しを施した。 条件V:830〜860℃で30〜60分間保持した後
に油冷して焼入れし、320〜400℃で90〜120
分間焼戻しを施した。 【0046】条件VI:830〜860℃で30〜60
分間保持した後に油冷して焼入れし、−60℃で30分
間サブゼロ処理した。そして、130〜180℃で90
〜120分間焼戻しを施した。 条件VII:830〜860℃で100〜200分間、浸
炭窒化雰囲気中で保持した後に油冷して焼入れし、18
0〜220℃で90〜120分間焼戻しを施した。 【0047】このようにして作製された転がり軸受1
(実施例1〜16及び比較例1〜17)に対し、以下の
ようにして寿命試験を行った。試験方法及びその条件
は、表1の説明において前述したものと同一である。そ
して、同種の試験軸受をそれぞれ10個ずつ用意して、
焼付きや剥離などの異常が生じるまでの時間を測定し
た。10個の試験軸受の結果のうち、異常が生じるまで
の時間が最も短い時間を寿命とした。試験結果を表3,
4に示す。 【0048】なお、この条件での転がり軸受1の計算寿
命(理論的な最大寿命)は1350時間であるため、試
験打ち切り時間を1500時間とした。そして、10個
の試験軸受すべてが、前記試験打ち切り時間までに焼付
きや剥離などの異常が生じなかった場合には、寿命を1
500時間とした。以下に、寿命試験の結果について考
察する。 【0049】実施例1〜10は、鋼種を種々変更し、熱
処理条件を一定としている。実施例1〜10は、本発明
の要件(鋼の種類,残留オーステナイト量,及び軌道面
の表面硬さ)を全て満たしているので、大変優れた寿命
を示した。ただし、実施例1は、鋼中の炭素量がやや少
なく硬さがやや低いため、実施例2〜9よりも寿命が若
干低かった。よって、鋼中の炭素の含有量は、0.8質
量%以上がより好ましいと言える。 【0050】次に、実施例11〜16は、鋼種を同一と
し、熱処理条件を種々変更している。実施例11〜16
は、本発明の要件(鋼の種類,残留オーステナイト量,
及び軌道面の表面硬さ)を全て満たしているので、大変
優れた寿命を示した。ただし、実施例12,14は内輪
の焼戻し温度が高く硬さがやや低いため、実施例11及
び実施例15よりも寿命が若干低かった。よって、焼戻
し温度は250℃以下が好ましい。 【0051】また、実施例13は、外輪の残留オーステ
ナイト量がやや低いため、膨張による軸受の安定保持効
果がやや弱くなり、若干寿命が低かった。よって、外輪
の残留オーステナイト量は8体積%以上が望ましい。さ
らに、実施例16は外輪の残留オーステナイト量が20
体積%とやや高いため、膨張によりハウジングとの激し
い干渉が生じて、外輪が損傷する事例が見られた。その
ため、外輪の残留オーステナイト量は15体積%以下が
望ましい。 【0052】次に、比較例1〜17の寿命が劣っていた
理由について説明する。比較例1は鋼中の炭素量が少な
いため、十分な硬さが得られなかった。また、比較例2
は鋼中の酸素量が多いため、非金属介在物が多量に存在
していた。さらに、比較例3,7は焼戻し温度が高すぎ
るため、十分な硬さが得られなかった。さらにまた、比
較例4,8は軌道面の表面硬さが高すぎるため、靱性が
低かった。 【0053】さらに、比較例5,6,9,10は内輪の
残留オーステナイト量が多すぎるため、焼付きが発生し
た。さらに、比較例11〜15及び17は外輪の残留オ
ーステナイト量が少なすぎるため、組織変化をともなう
剥離が多発した。さらに、比較例16は外輪の残留オー
ステナイト量が多すぎるため、膨張によりハウジングと
の激しい干渉が生じて、外輪が損傷する事例が多発し
た。 【0054】このように、本実施形態の転がり軸受は、
はめ合い率Fが0%のはめあいで外輪2がハウジング8
に取り付けられており、しかも、高振動,高荷重,高温
が作用するような環境下において使用されるため、前述
したように早期剥離や焼付きが生じやすい。しかしなが
ら、本実施形態の転がり軸受は、本発明の前述の要件を
全て満たしているため、早期剥離や焼付きが生じにくく
長寿命である。 【0055】なお、本実施形態は本発明の一例を示した
ものであって、本発明は本実施形態に限定されるもので
はない。例えば、本実施形態においては、外輪とハウジ
ングとのはめ合い率Fを0%としたが、本発明は、はめ
合い率Fが0.05%以下の場合に好適であることは勿
論である。 【0056】また、本実施形態においては、転がり軸受
として深みぞ玉軸受を例示して説明したが、本発明は、
他の種類の転がり軸受にも適用可能であることは勿論で
ある。例えば、アンギュラ玉軸受,円筒ころ軸受,針状
ころ軸受,円すいころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジ
アル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ
軸受等のスラスト形の転がり軸受があげられる。 【0057】 【発明の効果】以上のように、本発明の転がり軸受は、
内外輪を形成する鋼の組成、内外輪の残留オーステナイ
ト量、及び内外輪の軌道面の表面硬さを所定の値に限定
したので、はめ合い率Fが0.05%以下であるはめあ
いで外輪がハウジングに取り付けられ、且つ高振動,高
荷重,高温条件下で使用されても、早期剥離や焼付きが
発生しにくく長寿命である。
【図面の簡単な説明】 【図1】はめ合い率Fと剥離発生率との相関を示すグラ
フである。 【図2】外輪の残留オーステナイト量と軸受の寿命との
相関を示すグラフである。 【図3】本発明の一実施形態である転がり軸受を示す断
面図である。 【符号の説明】 1 転がり軸受 2 外輪 2a 軌道面 3 内輪 3a 軌道面 4 転動体 8 ハウジング 10 グリース
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J101 AA02 AA32 AA62 BA53 BA54 DA03 EA02 EA63 FA33 GA21 GA24 GA29

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 内輪と、外輪と、前記内輪と前記外輪と
    の間に転動自在に配設された複数の転動体と、を備える
    とともに、下記式で定義されるはめ合い率Fが0.05
    %以下であるはめ合いで、前記外輪がハウジングに取り
    付けられるグリース潤滑の転がり軸受において、 前記内輪及び前記外輪を、炭素を0.65〜1.20質
    量%、ケイ素を0.10〜0.70質量%、マンガンを
    0.20〜1.20質量%、クロムを0.20〜1.8
    0質量%、酸素を16ppm以下含有し、且つ残部が鉄
    及び不可避の不純物である鋼で構成し、 前記内輪の残留オーステナイト量を0〜6体積%、前記
    外輪の残留オーステナイト量を6〜20体積%とし、 前記内輪及び前記外輪の軌道面の表面硬さをHRC57
    以上65以下としたことを特徴とする転がり軸受。 F=(DE −DH )/DE ×100(%) ここで、DE は前記外輪の外径、DH は前記ハウジング
    の内径である。
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WO2009145135A1 (ja) * 2008-05-28 2009-12-03 Ntn株式会社 グリース封入軸受
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