JP2003073978A - 開繊されたテープ状糸条の製造方法 - Google Patents

開繊されたテープ状糸条の製造方法

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JP2003073978A
JP2003073978A JP2001266145A JP2001266145A JP2003073978A JP 2003073978 A JP2003073978 A JP 2003073978A JP 2001266145 A JP2001266145 A JP 2001266145A JP 2001266145 A JP2001266145 A JP 2001266145A JP 2003073978 A JP2003073978 A JP 2003073978A
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fiber
yarn
fiber tape
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Eiji Fujioka
英治 藤岡
Atsushi Tsunoda
角田  敦
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Du Pont Toray Co Ltd
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Du Pont Toray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課 題】 本発明は、高機能繊維を連続的に効率
よく開繊することができる高機能繊維テープ状糸条の製
造方法および該方法により製造された高機能繊維テープ
状糸条を提供すること。 【解決手段】 複数本の高機能繊維のモノフィラメント
からなるマルチフィラメントを樹脂処理し、次いでこれ
を開繊処理することを特徴とする開繊された高機能繊維
テープ状糸条の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、開繊されたテープ
状糸条の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、合成樹脂等のマトリックスに、強
化材として繊維等を混入またははさみこんだ繊維強化の
複合材料が数多く開発され市販されている。これらの繊
維強化複合材料は、マトリックスと強化材の選択に応じ
て、強度、耐熱性、耐食性、電気特性または軽量性な
ど、目的に応じて優れた性能を得ることができ、航空宇
宙、陸上輸送、船舶、建築、土木、工業用部品またはス
ポーツ用品等の広い分野に利用されており、大きな社会
的需要を有している。
【0003】かかる繊維強化複合材料の中で最近注目さ
れている繊維としては、アラミド繊維に代表される高機
能繊維である。高機能繊維素材は、強度、耐熱性、耐食
性、電気特性または軽量性などのさまざまな好ましい性
質を有しており、複合材料の素材として更なる発展が期
待されている。
【0004】例えば、マルチフィラメントを強化繊維材
料として用いる場合には、下記する2点を満たしている
ことが望ましい。1点目として、各フィラメントとマト
リックスとの接触面積を大きくして、接合強度を構造的
に強化できることが望ましい。このためには、強化材料
としてのマルチフィラメントを構成する各々のフィラメ
ント1本1本のすべての表面がマトリックスに密着して
いて、しかも各フィラメントとマトリックスが強固に接
着していることが好ましく、このような構造になったと
き始めて、当該複合材料は最大の機能を発揮しうる。2
点目として、マルチフィラメントを構成する各モノフィ
ラメントの間にマトリックスを一様に均一に浸透させる
ことが望ましい。しかし、これはしばしば困難である。
【0005】そこで、これらの課題の対策として、マル
チフィラメントを薄い一定の幅のテープ状にしてマトリ
ックスがマルチフィラメント内部にまで浸透しやすくす
るためのマルチフィラメントの開繊方法が考案されてい
る。例えば、特許第3064019号公報に記載の方法
は、アラミド繊維等の高機能有機合成繊維等の有用性が
非常に高い繊維では、下記するように充分な開繊効果が
得られず、必ずしも満足すべきものではない。
【0006】上述したように高機能繊維、中でも強力繊
維を高い開繊度で開繊することにより、さらにこのよう
な繊維の使用範囲が拡大されると考えられ、該強力繊維
を高い開繊度で、しかも連続的に開繊する方法の出現が
望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高機能繊維
を連続的に効率よく開繊することができる高機能繊維テ
ープ状糸条の製造方法および該方法により製造された高
機能繊維テープ状糸条を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討を行った。特許第3064019
号公報の記載に従って、パラ系アラミド繊維マルチフィ
ラメントの開繊を行ったが、十分に開繊しなかったた
め、種々の条件について検討を行い、マルチフィラメン
トの巻き取り速度に着目した。従来、紡糸後、マルチフ
ィラメントをワインダーに巻き取る速度は、約700m
/分程度で行っていた。この際、巻き取られるマルチフ
ィラメントにS撚りとZ撚りが交互にかかり、いわゆる
仮撚り状態の糸条になっていた。この仮撚り状態の糸条
を該特許公報の記載に従って開繊処理を行ったところ、
マルチフィラメントは連続的に開繊されず、開繊部分と
非開繊部分が交互に現れる状態になった。そこで、紡糸
後、高速でワインダーに巻き取られたマルチフィラメン
トに一般にサイジング剤と呼ばれる樹脂溶液を含浸させ
乾燥し、先の巻き取り速度より低速でマルチフィラメン
トをワインダーに巻きなおした後、開繊処理すると開繊
度合いが高まることを知見した。さらに本発明者らは、
上記のようにマルチフィラメントに樹脂溶液を含浸させ
た後、好ましくは約1〜100m/分程度の低速で、該
マルチフィラメントを巻きなおす操作を行うと仮撚りが
緩和され、このように処理したマルチフィラメントに開
繊処理を施すと、意外にもマルチフィラメント糸条がさ
らに十分に開繊されることを知見した。なお、この場合
において、樹脂含浸と低速巻きなおしを同時に、つまり
低速巻きなおししながら樹脂含浸してもよい。
【0009】すなわち、本発明は、(1)複数本の高機
能繊維のモノフィラメントからなるマルチフィラメント
を樹脂処理し、次いでこれを開繊処理することを特徴と
する開繊された高機能繊維テープ状糸条の製造方法、
(2)複数本の高機能繊維のモノフィラメントからなる
マルチフィラメントを、所望により加撚した後樹脂処理
し、樹脂処理したマルチフィラメントを巻き取り速度1
〜100m/分で巻き取り、次いで巻き取ったマルチフ
ィラメントを開繊することを特徴とする開繊された高機
能繊維テープ状糸条の製造方法、(3)開繊を空気流で
行うことを特徴とする前記(1)または(2)に記載の
開繊された高機能繊維テープ状糸条の製造方法、(4)
空気流が吸引気流であることを特徴とする前記(3)に
記載の開繊された高機能繊維テープ状糸条の製造方法、
(5)複数本が、5〜10000本であって、開繊され
た高機能繊維テープ状糸条の幅が、5〜50mmである
ことを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載
の開繊された高機能繊維テープ状糸条の製造方法、
(6)高機能繊維が、アラミド繊維であることを特徴と
する前記(1)〜(5)のいずれかに記載の開繊された
高機能繊維テープ状糸条の製造方法、(7)樹脂処理前
のポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維が、30重
量%以上の水分を含有していることを特徴とする前記
(6)に記載の開繊された高機能繊維テープ状糸条の製
造方法、(8)高機能繊維のモノフィラメントの直径
が、0.1〜100μmであることを特徴とする前記
(1)〜(7)のいずれかに記載の開繊された高機能繊
維テープ状糸条の製造方法、(9)前記(1)〜(8)
のいずれかに記載の製造方法により製造された開繊され
た高機能繊維テープ状糸条、(10)前記(9)に記載
の開繊された高機能繊維テープ状糸条を含有する複合材
料、(11)前記(9)に記載の開繊された高機能繊維
テープ状糸条を含有する膜材、に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の開繊された高機能繊維テ
ープ状糸条の製造方法は、複数本の高機能繊維のモノフ
ィラメントからなるマルチフィラメントを樹脂処理し、
次いでこれを開繊処理することを特長としている。かか
る要件さえ満たしていれば、どのような材料または形態
をとってもよい。以下、好ましい態様について説明す
る。
【0011】本発明にかかるマルチフィラメントは、高
機能繊維のモノフィラメントを引き揃えることにより作
製される。この時、所望により、撚りを加えてもよく、
加撚方法は公知の手段に従ってよく、撚り方向はS撚り
でもZ撚りでもよい。また、マルチフィラメントは引き
揃えた後、一旦巻き取られてもよく、撚りはこの巻き取
りの際に生じる仮撚りであってもよい。
【0012】本発明に用いられる高機能繊維としては、
例えば全芳香族ポリアミド繊維(以下、アラミド繊維と
記述する)等のポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポ
リケトン繊維、芳香族ポリエステル繊維等のポリエステ
ル繊維、炭素繊維、ガラス繊維またはポリパラフェニレ
ンベンゾビスオキサゾール繊維(以下PBO繊維と記述
する)等が挙げられる。中でも、有機合成繊維であるこ
とが好ましく、中でも特に、高機能繊維としてアラミド
繊維が好ましく用いられる。
【0013】本発明に用いられるアラミド繊維は、その
成分によりパラ系とメタ系とに分けられる。パラ系は強
力や弾性に優れ、引張り強力はナイロン(強力タイプ)
の2.5倍の強さがあり、メタ系は耐熱性、難燃性に優
れている。本発明に用いられるアラミド繊維としては、
上記したパラ系、メタ系のどちらを使用してもよく、具
体的には、パラ系アラミド繊維として、ポリパラフェニ
レンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン株式会社
製、商品名ケブラー)およびコポリパラフェニレン−
3,4’−ジフェニルエーテルテレフタルアミド繊維
(帝人株式会社製、商品名テクノーラ)等が挙げられ、
メタ系アラミド繊維として、例えば、ポリメタフェニレ
ンイソフタルアミド繊維(デュポン社製、商品名ノーメ
ックス)等が挙げられる。中でも、ポリパラフェニレン
テレフタルアミド繊維(東レ・デュポン株式会社製、商
品名ケブラー)が特に好適に用いられる。
【0014】上記ポリパラフェニレンテレフタルアミド
繊維の中でも、紡糸後の約30重量%程度以上の水分を
含んだ状態の繊維(例えば、東レ・デュポン株式会社製
のケブラー糸)を用いることが好ましい。水分を含んだ
状態の乾燥していない繊維の表面は、結晶間の間隙が大
きい。このような繊維に対して、後で説明する樹脂処理
を施すと、結晶内部にも樹脂が進入し、樹脂がより強固
に繊維に固着する効果が実現できる。
【0015】また本発明で用いられる他のポリアミド繊
維とは、主鎖中にアミド結合を有している高分子化合物
であればどのようなものでもよく、ナイロン6、ナイロ
ン66等のナイロンが、ポリアミド繊維の中でも好まし
く用いられる。
【0016】本発明で使用されるポリエチレン繊維は、
エチレンの重合体であればどのようなものでもよく、ホ
モポリマーであってもよいし、炭素数3〜10程度の低
級α−オレフィン類、例えばプロピレン、ブテン、ペン
テン、ヘキセン等とのコポリマーであってもよい。上記
ポリエチレン繊維の中でも特に、超高分子量ポリエチレ
ン繊維が好ましく用いられる。該超高分子量ポリエチレ
ンとしては、分子量が20万程度以上、好ましくは60
万程度以上のものが好適に用いられる。超高分子量ポリ
エチレン繊維として、ダイニーマ(商品名 東洋紡株式
会社製)等の市販品を用いてもよい。
【0017】本発明で使用されるポリケトン繊維は、主
鎖にケトン基を含み、優れた耐熱性を有する高分子化合
物ならばどのようなものでもよく、具体的にはポリエー
テルケトン繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維また
はポリエーテルケトンケトン繊維等が挙げられる。
【0018】本発明で使用されるポリエステル繊維は、
主鎖中にエステル結合を有する高分子化合物であればど
のようなものでもよい。また、該ポリエステル繊維の中
でも特に、芳香族ポリエステル繊維が好ましい。好まし
い具体例として、ベクトラン(商品名 株式会社クラレ
製)等が挙げられる。
【0019】本発明で使用されうる炭素繊維は、公知ま
たはそれに準ずる方法で製造できるものならどのような
ものでも採用することができ、例えば市販の繊維、例え
ばトレカ(商品名 東レ株式会社製)を用いることもで
きる。また、本発明で使用されるガラス繊維は、例えば
Eガラス、Dガラス、Tガラス、CガラスおよびHガラ
ス等が挙げられる。これらガラス繊維は、公知またはそ
れに準ずる方法に従って製造できるものならどのような
ものでもよく、市販品を用いることもできる。本発明で
使用されるPBO繊維は、公知またはそれに準ずる方法
で製造できるものが便宜に採用でき、例えば市販の繊
維、例えばザイロン(商品名 東洋紡株式会社製)を用
いることができる。
【0020】本発明で用いられる高機能繊維のモノフィ
ラメントは、直径が約0.1〜100μm程度であるこ
とが好ましい。高機能繊維のモノフィラメントの直径
が、約0.1μm程度以下であると、製造工程の管理が
困難になり、コストが上がるため好ましくない。また、
約100μm程度以上であると、モノフィラメントとし
て太すぎて、薄物の布帛を作製することが困難となるお
それがあるため、好ましくない。
【0021】高機能繊維のモノフィラメントは、紡糸
後、一旦ワインダーと呼ばれる糸巻き取り機にて巻き取
られてもよく、または紡糸後、上述したにもかかわらず
所望により乾燥し、樹脂処理を行ってもよい。また、モ
ノフィラメントをワインダーで巻き取る際に、所望によ
り乾燥してもよく、乾燥には自体公知の手段を用いてよ
い。例えば、熱風乾燥またはホットロールによる乾燥等
が挙げられる。しかし、上述したように特に高機能繊維
がパラ系アラミド繊維である場合は、乾燥せずに水分を
含有した状態で、後述する樹脂処理を行うことが好まし
い。
【0022】上記高機能繊維のモノフィラメントを、複
数本引き揃えてマルチフィラメントを形成する。モノフ
ィラメントからマルチフィラメントを得る方法として
は、公知の方法に従ってよく、また所望により、マルチ
フィラメント形成時に撚りをかけてもよい。撚りは、S
撚りまたはZ撚りのいずれでもかまわず、公知の撚り機
で製造できる。該撚りは、故意に撚りをかけたものだけ
でなく、高機能繊維製造時の巻き取る際にできる仮撚り
も含んでいる。また、撚り数についても特に限定されな
いが、後の開繊処理のために、大きな撚り数であること
は好ましくなく、低撚糸が好ましい。
【0023】また、上記高機能繊維のモノフィラメント
を、複数本引き揃えてマルチフィラメントを形成する
際、モノフィラメントの本数は特に限定されないが、約
5〜10000本程度であることが好ましい。上述した
ように、通常はマルチフィラメントを巻き取る。この場
合の巻き取り速度は、高速(例えば、700m/分)で
もよい。
【0024】上記巻き取られたマルチフィラメントに、
樹脂処理を施す。本明細書中、樹脂処理とは、マルチフ
ィラメントに、例えばエポキシ樹脂等のサイジング剤と
呼ばれる樹脂を含浸させる処理をいうが、通常は樹脂処
理と乾燥処理と巻き取り処理は一体的に行われる。
【0025】より具体的には、樹脂処理工程は、マルチ
フィラメントを樹脂溶液が入った浴槽に通過させ、つい
で樹脂を含浸させたマルチフィラメントを乾燥させ、乾
燥したマルチフィラメントを先のワインダー巻き取り速
度より遅い速度で、再度ワインダーに巻きなおす工程で
ある。この工程によって、先のマルチフィラメント巻き
取り時にできた仮撚り、または所望により設けられた撚
りが、部分的または全体的に解撚される。乾燥は、自体
公知の手段を用いてよく、例えば熱風乾燥またはホット
ロールによる乾燥等が挙げられ、乾燥温度は、約150
〜250℃程度であることが好ましい。樹脂処理におけ
るワインダーで巻き取る時の速度は、従来行われていた
速度よりも遅いこと、特にモノフィラメントを引き揃え
てマルチフィラメントとした後、ワインダーに巻き取っ
た速度よりも遅いことを特長としており、具体的には約
1〜100m/分程度であることが好ましい。約1m/
分程度以下である場合、工業的に生産に時間がかかるた
め好ましくなく、約100m/分程度以上であると、撚
りがかかっているマルチフィラメントを実質的に解撚す
ることが困難となるおそれがあり好ましくない。
【0026】該樹脂処理に用いられる樹脂としては、例
えばエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂またはアクリル樹
脂等が挙げられる。これら樹脂は、通常は水溶液の形態
でマルチフィラメントに付与される。この際、樹脂は、
水溶液総重量に対して、約0.1〜5重量%程度含まれ
ていることが好ましい。
【0027】本発明で使用されるエポキシ樹脂として
は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフ
ェノールF型エポキシ樹脂、環状脂肪エポキシ樹脂、フ
ェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ハイ
ドロキノン型、臭素化ノボラック型、キシレン変性ノボ
ラック型、フェノールグリオキザール型、トリスオキシ
フェニルメタン型、トリスフェノールPA型、ビスフェ
ノールAノボラック型のエポキシ樹脂等のポリフェノー
ルノボラック・エポキシ樹脂などが挙げられ、市販品を
用いてもかまわない。市販品としては、例えば、油化シ
ェルエポキシ株式会社製のエピコート828、エピコー
ト815等が挙げられる。
【0028】本発明で使用されるポリウレタン樹脂は、
主鎖中にウレタン結合を有する重合体であればどのよう
なものでもよく、例えばジイソシアナ−トと多価アルコ
ールとで構成された高分子化合物が挙げられる。該ジイ
ソシアナートとしては、例えばエチレンジイソシアナー
ト、トリメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジ
イソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、オ
クタメチレンジイソシアナート、ノナメチレンジイソシ
アナート、2,2’−ジメチルペンタンジイソシアナー
ト等の脂肪族ジイソシアナート、例えばフェニレンジイ
ソシアナート、トリレンジイソシアナート、エチルフェ
ニレンジイソシアナート、イソプロピルフェニレンジイ
ソシアナート、ジメチルフェニレンジイソシアナート、
ジエチルフェニレンジイソシアナート、ジイソプロピル
フェニレンジイソシアナート、トリメチルベンゼントリ
イソシアナート、ベンゼントリイソシアナート、ナフタ
リンジイソシアナート、メチルナフタレンジイソシアナ
ート、ビフェニルジイソシアナート、トリジンジイソシ
アナート等の芳香族ジイソシアナートが挙げられる。ま
た、多価アルコールとしては、例えばエチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジ
プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペン
チルグリコール、グリコール、トリエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、シクロブタンジオール、
シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シ
クロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、シク
ロヘキサンジメタノール等の脂肪族ジオール、例えばジ
ヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゼン、ビスフ
ェノールA、キシリレングリコール、ジ(2−ヒドロキ
シエトキシ)ベンゼン、テトラブロムビスフェノールA
等の芳香族ジオール、ジブロモネオペンチルグリコー
ル、ジクロロネオペンチルグリコール等のハロゲン化ジ
オール、ポリエチレングリコール、ポリメチレングリコ
ール等のポリオール等が挙げられる。これらを原料にし
て製造されるウレタン樹脂は、公知またはそれに準ずる
方法によって製造されてもよく、市販品を用いてもよ
い。
【0029】本発明で使用されるアクリル樹脂は、アク
リロニトリル単位(−CHCHCN−)を主成分とし
て形成された長鎖状合成高分子からなる樹脂であればよ
い。該アクリル樹脂の原料としては、アクリロニトリ
ル、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル
等のアクリル酸のエステル、アクリルアミド等のアクリ
ル酸誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル
等のメタクリル酸誘導体が使用される。該アクリル樹脂
は、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよ
い。また、コポリマーを製造する時は、所望により該原
料の他に、酢酸ビニル、ビニルスルホン酸およびその
塩、塩化ビニルまたはビニルピリジン等を混合して重合
してもよい。
【0030】樹脂処理後、開繊処理を行う。この工程
で、マルチフィラメントの糸幅を広げる。該開繊処理は
公知の方法に従って行われてよく、例えば水流による開
繊、液体を媒体とした振動による開繊、ロールによる加
圧での加工による開繊または空気流を用いた開繊等が挙
げられ、公知の手段に従ってよい。本発明では中でも、
空気流、特に吸引気流を用いた開繊が好ましく用いられ
る。以下、空気流を用いた開繊(以下、空気開繊と略
す)の好ましい態様について説明する。
【0031】本発明で行われる空気開繊を行う装置を図
1に示す。図1において、符号F1はマルチフィラメン
トを示している。このマルチフィラメントは、上述して
きたように樹脂処理後乾燥し、遅い速度でワインダーに
巻き取られたマルチフィラメントである。図示しない給
糸機から、好ましくは約1〜100m/分程度、例えば
5m/分の流送速度で線状に連続的に流送されてくるマ
ルチフィラメントF1は、フィーダー手段を構成するフ
ロントフィーダー1に引き取られ、バックフィーダー4
方向へ調速制御されて約2cmのオーバーフィード量が
生ずるように送り出される。このフロントフィーダー1
とバックフィーダー4との間には、上流側に加熱手段2
としての熱風送風器、下流側に風道手段3としての吸引
風道管が配設されており、熱風送風器2はマルチフィラ
メントF1の上方から熱風を吹き付けて、樹脂を帯熱柔
軟化させながら、上記マルチフィラメントF1を吸引風
道管3に送り込む。この時、熱風の温度は、約80〜1
50℃程度が好ましい。図中の帯熱柔軟流域hにおいて
は、マルチフィラメントF1の内部深くまで熱が浸透し
て樹脂が柔軟化し、マルチフィラメントF1の構成フィ
ラメント相互の集束結合力が緩められる。そして、この
熱浸透が進んで相互の集束結合力が緩められた帯熱柔軟
状態のマルチフィラメントF1は、吸引風道管3に導入
される。この吸引風道管3には、気流コントロールバル
ブ3bとバキュームポンプ3cとが付帯されており、当
該吸引風道管3の吸引口3aに吸引気流を連続的に発生
させるようになっている。そして、マルチフィラメント
F1はフロントフィーダー1とバックフィーダー4とで
構成されるフィーダー手段によって、吸引風道管の吸引
口3aの中に所望の撓み量が生ずるように調速制御され
ている。
【0032】こうして、帯熱柔軟流域hを経由して、吸
引風道管3の吸引口3aに導かれてきたマルチフィラメ
ントF1の樹脂は、熱の浸透により全体が柔軟化して構
成フィラメントの集束がゆるくなった状態で吸引風道管
の吸引口3aに導かれ、そこで吸引気流と接触する。そ
して、このとき、マルチフィラメントF1を結合してい
た樹脂は熱で柔軟化して構成フィラメントの集束がゆる
くなった状態で、吸引口3aで弓なりに撓曲して移動す
る際に集束が緩んだ各構成フィラメントの間を吸引気流
が吹き通り、各構成フィラメントを幅外方へ解き分けて
マルチフィラメントF1全体は幅方向へシート状に広げ
られると同時に、その際の吸引気流は、帯熱状態にある
当該マルチフィラメントの樹脂を強制空冷して硬化さ
せ、開繊された高機能繊維テープ状糸条F2の安定した
形態にセットさせる役割も有する。こうして、所定幅サ
イズの安定な製品形態にセットされた高機能繊維テープ
状糸条F2は、巻取機(図示せず)で巻き取られる。な
お、図1中、吸引風道管3で示される空気流発生装置
は、上述のような空気を吸引する装置の代わりに、空気
を押出する装置でもよいが、空気吸引装置がより好まし
い。さらに、図1中、加熱手段2は、熱風送風器である
が、例えば加熱用ホットロール、超音波発生器、高周波
誘電加熱器またはセラミック遠赤外線ヒーター等を適宜
選択して用いることができる。熱風送風器を使用するこ
とがより好ましい。開繊処理によって開繊された高機能
繊維テープ状糸条の糸幅は、約5〜50mm程度である
ことが好ましい。
【0033】本発明の製造方法により得られた開繊され
た高機能繊維テープ状糸条は、どのような目的で用いら
れてもよく、例えば複合材料を構成するための素材とし
て特に好適に用いられる。
【0034】複合材料とは、2種類以上の素材を組み合
わせることで、さまざまな特性(強度・剛性・靭性・化
学的特性など)を発揮させることを目的として作られた
材料のことである。ここでいう「素材の組み合わせ」と
は、原子レベルより十分大きいサイズでの組み合わせを
意味しており、μmのオーダーで組み合わせた材料を含
む。複合材料は、通常は母相と強化相にわけられ、母相
および強化相の材料で区分する方法と、強化相の形状
(次元)で区分する方法がある。母相には主に金属、プ
ラスチックまたはセラミック等が用いられ、強化相に
は、炭素、ガラス、セラミック等の無機材料または合成
樹脂等の有機材料等、さまざまな材料が用途に応じて用
いられている。さらに、強化相の形状(次元)は、粒子
(0次元)、繊維(1次元)、織物(2次元)、3次元
織物(3次元)に大別することができ、強化繊維には短
繊維を用いたものと、長繊維を用いたものがある。一般
に広く用いられているものは、母相にプラスチック、強
化相に炭素繊維あるいはガラス繊維を用いた強化繊維プ
ラスチック(Fiber Reinforced Plastics: FRP)であ
る。ガラス繊維強化プラスチックは耐腐食性が良好であ
るため、例えば小型船舶やタンクなどに使われることが
多く、炭素繊維強化複合材料は比強度、比剛性が極めて
高いため、例えばスポーツ用品、航空宇宙機器等に多く
使用される。
【0035】上述したように、本発明の製造方法によっ
て得られた高機能繊維テープ状糸条も、1次元、2次元
または3次元の強化相である複合材料の素材として好適
に用いられる。例えば、高機能繊維テープ糸条を使用し
て織物を形成し、該織物にさらに樹脂を含浸させて複合
材料を作製する。得られた複合材料は、例えば気球や飛
行船などの航空分野で保護材料として好適に使用され
る。
【0036】さらに、本発明により得られた高機能繊維
テープ糸条からなる布帛を既成の合成樹脂フィルム等に
張りあわせて、強化フィルム膜材を形成してもよい。該
膜材も、航空分野等において好適に用いられる。
【0037】
【実施例】本発明を実施例を挙げてさらに説明する。し
かし、本発明がこれに限定されないことはいうまでもな
い。
【0038】以下に示す実施例で使用した材料の詳細
は、次のとおりである。 ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デ
ュポン社製 商品名ケブラー) 繊維径が3000dのモノフィラメントを12本引き揃
えた糸条であり、紡糸後、常に水分含有率が30重量%
以上の水分を含有するEG糸を使用した。樹脂処理剤 エポキシバインダー(製品名 エポルジョン、日本エヌ
・エス・シー株式会社製)2.5重量%とアミノプロピ
ルトリエトキシシラン0.5重量%を含有する水溶液で
ある。
【0039】〔実施例1〕ポリパラフェニレンテレフタ
ルアミド繊維を、通常の方法により紡糸し、上述のよう
に引き揃えて、700m/分でワインダーに巻き取っ
て、マルチフィラメントを作製した。該繊維は、ワイン
ダーで巻き取る際に、S撚りまたはZ撚りの仮撚りがか
かっているため、開繊処理を行う前に、該仮撚りを解く
ために、ワインダーを用いて該繊維を巻き返した。より
詳細には、仮撚りのかかったポリパラフェニレンテレフ
タルアミド繊維を樹脂処理剤が入っている浴槽に通過さ
せ、樹脂処理槽通過後200℃の熱風で1分間乾燥させ
て、巻き取り速度3m/分でワインダーに巻き取った。
ついで、開繊処理を行った。より詳細には、巻き返した
ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維を上述の吸引
風道型連続開繊糸条製造装置を用いて開繊した。この時
の該繊維の送り速度は5m/分であり、また開繊時の空
気を吸引する風速は20〜40m/秒、風道管の直径は
12mmと設定した。また、開繊時にエポキシ樹脂を溶
融状態にするため、100℃の熱風をかけながら開繊し
た。その結果、連続的に該繊維を開繊することができ、
始めの糸幅が2.5mmであったのが、開繊後8mmに
まで糸幅が広がった。モノフィラメントを並列に並べた
時の糸幅は、計算上36mmであるので、糸幅が8mm
であるということは、モノフィラメントが約4〜5層に
並んでテープ状になっていると考えられる。また、開繊
時に熱風をかけた時とかけない時では、開繊状況に大き
な差は生じなかった。
【0040】
【発明の効果】本発明の開繊された高強力繊維テープ状
糸条の製造方法によれば、効率よく連続的に高強力繊維
マルチフィラメントを開繊することができる。また、本
発明により得られるテープ状糸条は、例えば複合材料の
素材として好適に用いられる有用な素材である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の開繊処理を行う装置に関する模式図
である。
【符号の説明】
1 フロントフィーダー 2 加熱手段 3 風道手段 3a 吸引口 3b 気流コントロールバルブ 3c バキュームポンプ 4 バックフィーダー F1 マルチフィラメント F2 開繊された高機能繊維テープ状糸条 h 帯熱柔軟領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L033 AA08 AB01 AC11 BA96 CA49 4L036 MA04 MA06 MA24 MA33 MA34 MA37 PA17 PA26 RA24 UA07 UA21 UA25

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数本の高機能繊維のモノフィラメント
    からなるマルチフィラメントを樹脂処理し、次いでこれ
    を開繊処理することを特徴とする開繊された高機能繊維
    テープ状糸条の製造方法。
  2. 【請求項2】 複数本の高機能繊維のモノフィラメント
    からなるマルチフィラメントを、所望により加撚した後
    樹脂処理し、樹脂処理したマルチフィラメントを巻き取
    り速度1〜100m/分で巻き取り、次いで巻き取った
    マルチフィラメントを開繊することを特徴とする開繊さ
    れた高機能繊維テープ状糸条の製造方法。
  3. 【請求項3】 開繊を空気流で行うことを特徴とする請
    求項1または2に記載の開繊された高機能繊維テープ状
    糸条の製造方法。
  4. 【請求項4】 空気流が吸引気流であることを特徴とす
    る請求項3に記載の開繊された高機能繊維テープ状糸条
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 複数本が、5〜10000本であって、
    開繊された高機能繊維テープ状糸条の幅が、5〜50m
    mであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記
    載の開繊された高機能繊維テープ状糸条の製造方法。
  6. 【請求項6】 高機能繊維が、アラミド繊維であること
    を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の開繊され
    た高機能繊維テープ状糸条の製造方法。
  7. 【請求項7】 高機能繊維のモノフィラメントの直径
    が、0.1〜100μmであることを特徴とする請求項
    1〜6のいずれかに記載の開繊された高機能繊維テープ
    状糸条の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方
    法により製造された開繊された高機能繊維テープ状糸
    条。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の開繊された高機能繊維
    テープ状糸条を含有する複合材料。
  10. 【請求項10】 請求項8に記載の開繊された高機能繊
    維テープ状糸条を含有する膜材。
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