JP2003073715A - 焼結含油軸受の製造方法 - Google Patents

焼結含油軸受の製造方法

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JP2003073715A
JP2003073715A JP2001268804A JP2001268804A JP2003073715A JP 2003073715 A JP2003073715 A JP 2003073715A JP 2001268804 A JP2001268804 A JP 2001268804A JP 2001268804 A JP2001268804 A JP 2001268804A JP 2003073715 A JP2003073715 A JP 2003073715A
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diameter portion
die
green compact
core rod
peripheral surface
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JP2001268804A
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English (en)
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Kiyotaka Matsukawa
清喬 松川
Takio Tsukuda
多喜男 佃
Shinji Miyazaki
真二 宮崎
Takuji Harano
拓治 原野
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Nippon Kagaku Yakin Co Ltd
Original Assignee
Nippon Kagaku Yakin Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軸受の仕上げ加工が不要あるいは加工時間を
短縮することが可能であるとともに、内周面に表面開口
率の異なる粗部と密部とを設けることが可能な焼結含油
軸受の製造方法を提供すること。 【解決手段】 内孔に小径部と大径部とを有するダイを
用い、その大径部に配置した圧粉体をコアロッドを固定
した状態で下パンチ及びダイのいずれか一方を軸方向に
移動させ小径部へ絞り込んでダイより抜出し、圧粉体の
内周面を概ね真円に仕上げる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、VTRのキャプス
タンモータやCD−ROMのディスク媒体用のスピンド
ルモータ等に使用され、広い回転速度域にわたってシャ
フトを軸支する焼結含油軸受の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、VTRのキャプスタンモータ用軸
受やCD−ROMのスピンドルモータ用軸受には、高精
度で安価な焼結含油軸受が広く使用されている。そし
て、近年、VTRやCD−ROMの高機能化に伴い、広
い回転速度領域に使用可能なモータ用軸受が必要とされ
ている。
【0003】一般に、軸受の表面開口率を大きくする
と、自己給油作用によって油の供給が促進されて、高回
転速度領域での油切れが防止でき潤滑特性が向上する。
一方、表面開口率を小さくすれば、油の逃げが防止でき
るので、安定した油膜の形成が可能となり、低回転速度
領域での潤滑特性が向上する。したがって、表面開口率
の大きい粗部と表面開口率の小さい密部とを有する軸受
は、広い回転速度領域に使用可能なモータ用軸受として
期待できる。
【0004】内周面に粗部と密部とを有する焼結含油軸
受は公知であり、例えば、以下に示す方法で作製されて
いる。図11は、従来の焼結含油軸受の製造方法におけ
る圧粉体の成形工程を示す模式的な断面図である。原料
粉末51は、上下方向を軸方向とする外型のダイ53
と、ダイ53内に同軸的に配置され、軸方向中間部の外
周面に図示しない凹部と凸部とを有するコアロッド54
と、ダイ53とコアロッド54間に摺動自在に嵌合され
た下パンチ55との間に充填される(図11(a))。
次いで、上パンチ56を下降させてダイ53とコアロッ
ド54との間に摺動自在に嵌合させ原料粉末51を加圧
圧縮して圧粉体52とする(図11(b))。そして、
上パンチ56がダイ53より上昇した後、下パンチ55
を上昇させてダイ53から圧粉体52を抜き出す(図1
1(c))。そして、圧粉体52を排出するとともに、
下パンチ55を下降させる(図11(d)。
【0005】このようにして作製した圧粉体は、内周面
にコアロッドの凹部と凸部とが転写賦与された凹部と凸
部とを有し、焼結工程を経た後、機械加工による内径仕
上げ加工を施される。この仕上げ加工の際に、焼結体の
内周面の凸部が圧縮されて、ほぼ真円の円筒面が形成さ
れる。ここで、圧粉体内周面に形成されていた凸部と凹
部は、仕上げ代の違いから、それぞれ、密部と粗部とな
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
の、従来の方法では、軸受の仕上げ加工に機械加工が必
要であり、加工工程数が多い、そして仕上げ加工ツール
の損耗等により製造コストが増加するという問題があっ
た。
【0007】そこで、本発明は、上記課題を解決し、軸
受の仕上げ加工が不要あるいは加工時間を短縮すること
が可能な焼結含油軸受の製造方法を提供することを目的
とした。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の焼結含油軸受の製造方法は、外型のダイ
と、ダイ内に同軸的に配置されたコアロッドと、ダイと
コアロッド間に摺動自在に嵌合された下パンチとから形
成される空隙に原料粉末を充填し、下パンチと上パンチ
とを軸方向に移動させ、原料粉末を加圧圧縮して圧粉体
となし、後に圧粉体を焼結する焼結含油軸受の製造方法
において、上記ダイは内孔に小径部と大径部とを有し、
該大径部に配置された圧粉体を、コアロッドを固定した
状態で下パンチ及びダイのいずれか一方を軸方向に移動
させて上記小径部へ絞り込んでダイより抜出し、圧粉体
の内周面を概ね真円に仕上げることを特徴とする。
【0009】本発明の製造方法によれば、成形した圧粉
体をダイの大径部に配置し、コアロッドを固定した状態
で下パンチ及びダイのいずれか一方を軸方向に移動させ
て小径部へ絞り込んで抜出すようにしたので、ダイの大
径部と小径部との差に相当する分だけ圧粉体が大径とな
り、ダイの小径部からの圧縮力とコアロッドとの壁摩擦
により、圧粉体は塑性変形して内周面が概ね真円状に加
工される。
【0010】また、本発明の製造方法は、上記大径部が
円周方向に対向する少なくとも1対の凹部を有し、大径
部において圧粉体を成形して配置するとともに、1対以
上の凹部を転写賦形して圧粉体の外周面に複数の凸設部
を形成することができる。
【0011】また、本発明の製造方法は、上記大径部
が、円周方向に形成された環状凹部から成るものを用い
ることができる。
【0012】また、本発明の製造方法は、上記コアロッ
ドに、1段目の小径部と2段目の大径部とから成る段付
き形状から成り、2段目の大径部が長手方向に延びる1
以上の凸条部と凹溝部とが交互に配置されて成るものを
用い、2段目の大径部をダイの内周面に形成された凹部
の軸方向全長にわたって延在せしめて圧粉体を成形し、
コアロッドを下降せしめて1段目の小径部を圧粉体の内
周面の軸方向全長にわたって延在せしめて、圧粉体をダ
イの小径部に絞り込むことができる。
【0013】また、本発明の製造方法は、上記圧粉体を
ダイの小径部で成形し、次いでダイを軸方向に移動せし
め、スプリングバックにより離型した圧粉体を大径部に
配置することができる。
【0014】また、本発明の製造方法は、上記のダイの
小径部に、大径部と連続しスプリングバック量を絞る第
1の絞り部と、第1の絞り部より小径の第2の絞り部と
から成るものを用いることができる。
【0015】また、本発明の製造方法は、上記コアロッ
ドに、軸方向中間部の外周面に、複数の所定幅の凹溝部
と凸条部とが交互に配置されたアンダーカットを有する
ものを用いることができる。
【0016】本発明の製造方法により作製された焼結含
油軸受は、内周面に、表面開口率が大である粗部と、粗
部より表面開口率の小さい密部とを複数有している。粗
部は、油を多く保持し、シャフト回転時に密部へ油を供
給し、循環させるので、密部において安定した油膜が形
成され、広い回転速度領域に使用可能な軸受となる。ま
た、圧粉体の内周面が概ね真円に仕上げられており、仕
上げ加工を不要とすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。 実施の形態1.図1は、本実施の形態において使用され
る外型のダイ1の模式縦断面図、そして図2は図1のI
I−II′線に沿った横断面図を示している。ダイ1
は、上下方向を軸方向とし内孔1aを有し、内孔1aに
は対向する一対の凹部1e,1eが円周方向に形成さ
れ、内孔は前記の一対の凹部1e,1eを含む円周面か
ら成る大径部1bと、傾斜面から成る段部1gを介して
大径部と連続する小径部1c,1dとから構成されてい
る。大径部は図2に示すように、一対の凹部1e,1e
と一対の凸部1f,1fとから成り、凹部1eと凸部1
fが交互に円周方向に配置されて構成されている。
【0018】図3(a)〜図3(d)は、本実施の形態
に係る焼結含油軸受の製造方法において、圧粉体の成形
工程を示す模式断面図である。粉末充填時には、ダイ1
と、ダイ1内面に同軸的に配置された真円状のコアロッ
ド2と、ダイ1とコアロッド2との間に摺動自在に嵌合
された下パンチ3とが配置され、原料粉末5がダイ1と
コアロッド2との空隙に充填される(図3(a))。次
いで、上パンチ4を下降させてダイ1とコアロッド2と
の間に嵌入し、上パンチ4と下パンチ3とにより原料粉
末5を加圧圧縮して圧粉体6とする(図3(b))。こ
の時、圧粉体6の下端面はダイ1の大径部1bの下端に
概ね一致させられている。その後、図3(c)に示すよ
うに、コアロッド2を固定した状態で、上パンチ4を上
昇させた後、下パンチ3を上昇させて圧粉体6の抜出し
を行う。次いで、圧粉体6をダイ11から排出する(図
3(d))。
【0019】本実施の形態においては、抜出し時におい
て、ダイ1の小径部1cからの圧縮力と、真円状のコア
ロッド2との壁摩擦により、圧粉体6の内周面がほぼ真
円に仕上げられる。
【0020】また、本実施の形態によれば、圧粉体6は
成形時に、ダイ1の大径部1bの凹凸形状を転写賦形さ
れ、外周面には、凸設部と凹溝部とが交互に配置された
アンダーカットを有する。よって、抜出し時に、圧粉体
の外周面の凸設部はダイ1の小径部1cからの圧縮力に
より、ポーラスが微細化されて表面開口率が小さい密部
となり、一方、外周面の凹溝部は表面開口率の大きい粗
部となる。外周面に密部と粗部とが形成されると同時
に、内周面にも外周面の密部と粗部に対応して、それぞ
れ密部と粗部が形成される。これにより、内周面が円周
方向に配置された粗部と密部とを有し、粗部から密部へ
の油の供給が容易であり、キャプスタンモータ用やスピ
ンドルモータ用の広い回転速度領域のモータ用に好適な
軸受を作製することができる。
【0021】なお、本実施の形態では、ダイの大径部
が、円周面に交互に配置された1対の凹部と凸部から成
る例を示したが、凹部と凸部は一対に限定されるもので
はなく、複数対の凹部と凸部を用いることができる。複
数の凹部と凸部を交互に形成することにより、粗部から
密部への油の供給がより容易に行われる。
【0022】実施の形態2.図4は、本実施の形態にお
いて使用される外型のダイ11の模式縦断面図である。
ダイ11は、上下方向を軸方向とし内孔11aを有し、
内孔11aには円周方向に環状凹部11bが形成され、
環状凹部11bは大径部を兼ねている。内孔は大径部1
1bと、後に述べる、大径部と連続する小径部11c,
11dとから構成されている。
【0023】図5は、本実施の形態において使用される
コアロッド12の斜視図である。コアロッド12は、1
段目の小径部12aと、2段目の大径部12bとから成
る段付き形状を有し、さらに、2段目の大径部12b
は、長手方向に延びる一対の、凸条部12c,12cと
凹溝部12d,12dとが交互に配置されて構成されて
いる。
【0024】図6(a)〜図6(e)は、本実施の形態
2における圧粉体の成形工程を示す模式断面図である。
本実施の形態は、上記の環状凹部から成る大径部11b
を有するダイ11と、上記の段付き形状のコアロッド1
2とを用い、ダイに代えてコアロッドにより圧粉体の内
周面に軸方向に凹凸形状を賦与するようにした点が実施
の形態1と相違する。
【0025】ダイ11と、ダイ11の内面に同軸的に配
置された段付き形状のコアロッド12と、ダイ11とコ
アロッド12との間に摺動自在に嵌合された下パンチ3
とが配置され、原料粉末5がダイ11とコアロッド12
との空隙に充填される(図6(a))。次いで、上パン
チ4を下降させてダイ11とコアロッド12との間に嵌
入し、コアロッド12を上昇させると同時に、上パンチ
4と下パンチ3とにより原料粉末5を加圧圧縮して圧粉
体6とする(図6(b))。この時、圧粉体6の下端面
をダイの大径部11bの下端に概ね一致させる。なお、
コアロッド12を上昇させて、圧粉体6の内孔全長にわ
たり2段目の大径部12bを延在させることにより、コ
アロッド12の外周面の、凸条部12cと凹溝部12d
とを圧粉体6の内周面に転写賦形する。次いで、図6
(c)に示すように、コアロッド12を下降させて、圧
粉体6の内孔全長にわたり1段目の小径部12aを延在
させる。次いで、図6(d)に示すように、コアロッド
12を固定した状態で、上パンチ4を上昇させた後に、
下パンチ3を上昇させて圧粉体6の抜出しを行い、圧粉
体6をダイ11から排出する(図6(e))。
【0026】本実施の形態においては、大径部に環状凹
部を用いて、実施の形態1に比べ絞り込み量を大きくし
たので、抜出し時に、ダイの小径部からの圧縮力と、コ
アロッドとの壁摩擦をより増加させ、圧粉体の内周面の
真円度をより高めることができる。
【0027】また、本実施の形態では、圧粉体6は成形
時に、コアロッド12の2段目の大径部12bの凹凸形
状を転写賦形され、内周面には、凸条部と凹溝部とが交
互に配置される。抜出し時に、圧粉体6の内周面の凸条
部はダイ11の小径部11cからの圧縮力とコアロッド
12の1段目の小径部12aとの壁摩擦により、ポーラ
スが微細化されて表面開口率が小さい密部となる。一
方、圧粉体6の内周面の凹溝部は表面開口率の大きい粗
部となる。ここで、凹溝部はコアロッド12の1段目の
小径部12aとは当初接触していないため、抜出し時、
ダイ11の小径部11cからの圧縮力とコアロッド12
の1段目の小径部12aとの壁摩擦が小さく、凸条部よ
りもポーラスが微細化されることがない。そのため、粗
部と密部との表面開口率の差を大きくすることができ
る。よって、本実施の形態においても、内周面の円周方
向に配置された粗部と密部とを有し、粗部から密部への
油の供給が容易であり、キャプスタンモータ用やスピン
ドルモータ用の広い回転速度領域のモータ用に好適な軸
受を作製することができる。
【0028】実施の形態3.図7は、本実施の形態にお
いて使用されるコアロッド22の斜視図である。コアロ
ッド22は、軸方向の中間部に形成された成形部22b
と、真円部22aとから構成されている。成形部22b
は、円周方向に複数のV字状の凸条部22cとV字状の
凹溝部22dとが交互に配置されてアンダーカットを形
成している。
【0029】図8は、本実施の形態3における圧粉体の
成形工程を示す模式断面図である。ダイには実施の形態
2に使用したと同様の大径部を兼ねる環状凹部を有する
ダイ11を用いている。コアロッドに上記の軸方向中間
部に成形部を有するコアロッド22を用い、圧粉体をダ
イの小径部で成形し、ダイを軸方向に移動せしめ、スプ
リングバックにより離型した圧粉体を上記大径部に配置
した点が、実施の形態1と相違する。
【0030】ダイ11と、ダイ11の内面に同軸的に配
置されたコアロッド22と、ダイ11とコアロッド22
との間に摺動自在に嵌合された下パンチ3とが配置さ
れ、原料粉末5がダイ11とコアロッド22との空隙に
充填される(図8(a))。ここで、下パンチ3の上端
は、原料粉末5が大径部11bの中に入らないように、
大径部11bの上端よりも上に位置するように配置され
ている。次いで、上パンチ4を下降させてダイ11とコ
アロッド22との間に嵌入し、コアロッド22を上昇さ
せると同時に、上パンチ4と下パンチ3とにより原料粉
末5を小径部11cにおいて加圧圧縮して圧粉体6とす
る(図8(b))。この時、圧粉体6の下端面を大径部
11bの上端よりも上に位置させて、ダイ11の小径部
11cで圧粉体を形成する。これにより、コアロッド2
2の外周面の凹凸形状を圧粉体6の内周面に転写賦形
し、複数の凸条部と凹溝部とが交互に配置されたアンダ
ーカットを形成する。次いで、図8(c)に示すよう
に、下パンチ3と上パンチ4とで圧粉体6を保持したま
ま、ダイ11を上昇させて、圧粉体6を大径部11bへ
移動させ、スプリングバックによりダイ11の小径部1
1cより離型させて圧粉体6の内径と外径を膨張させ
る。次いで、図8(d)に示すように、コアロッド11
を固定した状態で、上パンチ4を上昇させた後、下パン
チ3を上昇させて圧粉体6の抜出しを行う。そして、圧
粉体6を排出するとともに、下パンチ3を下降させる
(図8(e))。
【0031】本実施の形態においても、実施の形態1と
同様の効果が得られ、抜出し時に、ダイ11の小径部1
1cからの圧縮力と、コアロッド22の真円部22aと
の壁摩擦により、圧粉体6の内周面がほぼ真円に仕上げ
られる。
【0032】本実施の形態によれば、図8(c)に示し
たように、圧粉体6を大径部11bに移動させること
で、スプリングバック量を増加させ、次式で規定される
圧粉体の内周面へのアンダーカット量を内周面の直径の
0.7%程度まで増加させることが可能となる。アンダ
ーカット量≦スプリングバック量+圧粉体の弾性変形量
これにより、抜出しに際し、アンダーカット量を多く取
ることができるため、塑性変形によるポーラスの潰し量
をより増加させることができる。これにより、内周面の
粗部と密部との表面開口率の差を大きくすることが可能
となり、アンダーカットの形状により用途に応じた表面
開口率を容易に得ることができる。また、コアロッドの
アンダーカット量に対する高い寸法精度が不要となり、
より安価なコアロッドを使用することができる。
【0033】実施の形態4.図9は、本実施の形態にお
いて使用されるダイの模式縦断面図である。ダイ21
は、上下方向を軸方向とし内孔21aを有し、内孔21
aは、小径部21c,21dと大径部21bとから成
る。さらに、小径部21cは、第1絞り部21eと、傾
斜面からなる段部21iにより連続し第1絞り部21e
より小径の第2絞り部21fとから成る。大径部21b
は、傾斜面からなる段部21hと21gを介して、それ
ぞれ第1絞り部と小径部21dと連続している。
【0034】図10は、本実施の形態における圧粉体の
成形工程を示す模式断面図である。ダイには実施の形態
3に使用したと同様の軸方向中間部に成形部を有するコ
アロッド22を用いている。ダイに上記の2段の絞り部
を有するダイ21を用いて圧粉体をダイより抜出す点が
実施の形態1と相違する。
【0035】ダイ21と、ダイ21の内面に同軸的に配
置されたコアロッド22と、ダイ21とコアロッド22
との間に摺動自在に嵌合された下パンチ3とが配置さ
れ、原料粉末5がダイ21とコアロッド22との空隙に
充填される(図10(a))。ここで、下パンチ3の上
端は、原料粉末5が大径部21bの中に入らないよう
に、大径部21bの上端よりも上に位置するように配置
されている。次いで、上パンチ4を下降させてダイ21
とコアロッド22との間に嵌入し、コアロッド22を上
昇させると同時に、上パンチ4と下パンチ3とにより原
料粉末5を小径部21cにおいて加圧圧縮して圧粉体6
とする(図10(b))。この時、圧粉体6の下端面を
大径部21bの上端よりも上に位置させる。これによ
り、コアロッド22の外周面の凹凸形状を圧粉体6の内
周面に転写賦形し、複数の凸条部と凹溝部とが交互に配
置されたアンダーカットを形成する。次いで、図10
(c)に示すように、ダイ21のみを上昇させて、圧粉
体6を環大径部21bへ移動させ、スプリングバックに
より圧粉体6の内径と外径を膨張させて、コアロッド2
2より離型させる。次いで、図10(d)に示すよう
に、コアロッド22を固定した状態で、上パンチ4を上
昇させた後、下パンチ3を上昇させて圧粉体6の抜出し
を行い、まず圧粉体6を第1絞り部21eで絞り込む。
続いて、図10(e)に示すように圧粉体6を第2絞り
部21fで絞り込んだ後、圧粉体6を排出するととも
に、下パンチ3を下降させる(図10(f))。
【0036】本実施の形態においても、実施の形態3の
場合と同様な効果が得られる。すなわち、抜出し時に、
ダイ21の小径部21cからの圧縮力と、コアロッド2
2の真円部22aとの壁摩擦により、圧粉体6の内周面
がほぼ真円に仕上げられる。また、抜出しに際し、スプ
リングバックにより突出量の増加した凸条部に対して、
ダイ21の小径部21cからの圧縮力が増加するため、
塑性変形によるポーラスの潰しが促進され、表面開口率
がより小さくなり、内周面の粗部と密部との表面開口率
の差を大きくすることができる。
【0037】さらに、本実施の形態においては、抜出し
に際し、スプリングバックにより膨張した圧粉体6を2
段階で絞り込むが、第1の絞り部21eでは概ねスプリ
ングバック量を絞り込む。次いで、第2の絞り部21f
でさらに圧粉体6を絞り込む。実施の形態3のように、
一旦スプリングバックさせた圧粉体を1段階で絞り込む
と、ダイからの圧縮力の一部が弾性変形により圧粉体に
吸収され、ポーラスの潰しが不十分となる可能性があ
る。本実施の形態によれば、ダイからの圧縮力は塑性変
形によるポーラスの潰しに有効に利用され、表面開口率
がより小さくなる。これにより、円周方向に配置された
凹凸形状を有する圧粉体であっても、アンダーカットの
形状に応じて、粗部と密部の表面開口率の差をより大き
くすることができる。
【0038】なお、実施の形態1から4では、コアロッ
ドを固定した状態で、上パンチを上昇させた後、下パン
チを上昇させて圧粉体を抜出した例を示したが、上パン
チと下パンチとで圧粉体を保持した状態でダイを下降さ
せて圧粉体を抜出すこともできる。
【0039】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の焼結含油軸
受の製造方法によれば、内周面に大径部を有するダイを
用い、大径部に配置した圧粉体をコアロッドを固定した
状態で下パンチ又はダイを軸方向に移動させ大径部と連
続する小径部へ絞り込んでダイより抜出すようにしたの
で、仕上げ加工を行うことなく、圧粉体の内周面を概ね
真円に仕上げることができる。これにより軸受の生産コ
ストの低減が可能となる。
【0040】また、本発明の製造方法では、ダイの大径
部に、円周方向に対向する少なくとも1対の凹部を有す
るものを用い、大径部において圧粉体を成形して配置
し、大径部の内周面の凹部を転写賦形して圧粉体の外周
面に複数の凸設部を形成するようにしたので、抜出し時
に、圧粉体の内周面に粗部と密部とを形成することがで
き、軸受の生産コストをより低減することが可能とな
る。
【0041】また、本発明の製造方法では、ダイの大径
部に、円周方向に形成された環状凹部を用いるようにし
たので、ダイの小径部への絞り込み量を大きくすること
ができ、圧粉体の内周面をより容易に真円に仕上げるこ
とができる。
【0042】また、本発明の製造方法では、1段目の小
径部と、2段目の大径部とから成る段付き形状であり、
2段目の大径部が長手方向に延びる1以上の凸条部と凹
溝部とが交互に配置されて成るコアロッドを用い、2段
目の大径部を環状凹部の軸方向全長にわたって延在せし
めて圧粉体を成形し、コアロッドを下降せしめて1段目
の小径部を圧粉体の内周面の軸方向全長にわたって延在
せしめて、圧粉体をダイの小径部に絞り込むようにした
ので、コアロッドの形状に応じて抜出し時に圧粉体の内
周面の粗部と密部との表面開口率の差を大きくすること
ができる。
【0043】また、本発明の製造方法では、圧粉体をダ
イの小径部で成形し、ダイを軸方向に移動せしめ、スプ
リングバックにより離型した圧粉体を大径部に配置する
ようにしたので、スプリングバックによりアンダーカッ
ト量や形状パターンを多くすることができ、抜出し時に
圧粉体の内周面の粗部と密部との表面開口率の差を大き
くすることができるので、広い範囲の用途に使用可能と
なる。
【0044】また、本発明の製造方法では、ダイの小径
部を、大径部と連続しスプリングバック量を絞る第1の
絞り部と、第1の絞り部より小径の第2の絞り部とで構
成するようにしたので、圧粉体の内周面の粗部と密部と
の表面開口率の差をより大きくする。
【0045】また、本発明の製造方法は、軸方向中間部
の外周面に、複数の所定幅の凹溝部と凸条部とが交互に
配置されたアンダーカットを有するコアロッドを用いる
ようにしたので、コアロッドの外周面の形状に応じて圧
粉体の内周面の表面開口率を容易に変化させることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1に係る製造方法に用い
たダイの構造を示す模式縦断面図である。
【図2】 本発明の実施の形態1に係る製造方法に用い
たダイの構造を示す、図1のII−II′線に沿った模
式横断面図である。
【図3】 本発明の実施の形態1に係る製造方法の圧粉
体の成形工程を示す模式断面図である。
【図4】 本発明の実施の形態2に係る製造方法に用い
たダイの構造を示す模式横断面図であり、大径部の横断
面を示している。
【図5】 本発明の実施の形態2に係る製造方法に用い
たコアロッドの構造を示す斜視図である。
【図6】 本発明の実施の形態2に係る製造方法の圧粉
体の成形工程を示す模式断面図である。
【図7】 本発明の実施の形態3に係る製造方法に用い
たコアロッドの構造を示す斜視図である。
【図8】 本発明の実施の形態3に係る製造方法の圧粉
体の成形工程を示す模式断面図である。
【図9】 本発明の実施の形態4に係る製造方法に用い
たダイの構造を示す模式縦断面図である。
【図10】 本発明の実施の形態4に係る製造方法の圧
粉体の成形工程を示す模式断面図である。
【図11】 従来の軸受の製造方法における圧粉体の成
形工程を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1,11,21 ダイ、1a,11a,21a 内孔、
1b,11b,21b大径部、1c,1d,21c,2
1d 小径部、1e 凹部、1f 凸部、1g,21
g,21h,21i 段部、21e 第1絞り部、21
f 第2絞り部、2,12,22 コアロッド、12a
小径部、12b 大径部、12c 凸条部、12d
凹溝部、22a 真円部、22b 成形部、22c 凸
条部、22d 凹溝部、3 下パンチ、4 上パンチ、
5 原料粉末、6 圧粉体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮崎 真二 三重県亀山市能褒野町字大野2067番1 日 本科学冶金株式会社内 (72)発明者 原野 拓治 大阪府寝屋川市大成町12番32号 日本科学 冶金株式会社内 Fターム(参考) 3J011 AA07 BA02 DA01 DA02 JA02 KA02 LA01 RA03 SB19 4K018 CA15 KA03

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外型のダイと、ダイ内に同軸的に配置さ
    れたコアロッドと、ダイとコアロッド間に摺動自在に嵌
    合された下パンチとから形成される空隙に原料粉末を充
    填し、下パンチと上パンチとを軸方向に移動させ、原料
    粉末を加圧圧縮して圧粉体となし、後に圧粉体を焼結す
    る焼結含油軸受の製造方法において、 上記ダイは内孔に小径部と大径部とを有し、該大径部に
    配置された圧粉体を、コアロッドを固定した状態で下パ
    ンチ及びダイのいずれか一方を軸方向に移動させて上記
    小径部へ絞り込んでダイより抜出し、圧粉体の内周面を
    概ね真円に仕上げることを特徴とする焼結含油軸受の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 上記大径部は、円周方向に対向する少な
    くとも1対の凹部を有し、上記大径部において圧粉体を
    成形して配置するとともに、上記の1対以上の凹部を転
    写賦形して上記圧粉体の外周面に複数の凸設部を形成す
    ることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記大径部は、円周方向に形成された環
    状凹部から成ることを特徴とする請求項1記載の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 上記コアロッドは、1段目の小径部と、
    2段目の大径部とから成る段付き形状であり、上記2段
    目の大径部が長手方向に延びる1以上の凸条部と凹溝部
    とが交互に配置されて成り、 上記2段目の大径部を上記環状凹部の軸方向全長にわた
    って延在せしめて圧粉体を成形し、コアロッドを下降せ
    しめて上記1段目の小径部を圧粉体の内周面の軸方向全
    長にわたって延在せしめて、圧粉体をダイの小径部に絞
    り込むことを特徴とする請求項3記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記圧粉体をダイの小径部で成形し、ダ
    イを軸方向に移動せしめ、スプリングバックにより離型
    した圧粉体を上記大径部に配置することを特徴とする請
    求項3記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記のダイの小径部は、大径部と連続し
    スプリングバック量を絞る第1の絞り部と、第1の絞り
    部より小径の第2の絞り部とから成ることを特徴とする
    請求項5記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 上記コアロッドは、軸方向中間部の外周
    面に、複数の所定幅の凹溝部と凸条部とが交互に配置さ
    れて成ることを特徴とする請求項5又は6に記載の製造
    方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103072283A (zh) * 2012-12-30 2013-05-01 南京肯特复合材料有限公司 内嵌环形磁铁的空心ptfe零件生产方法
WO2024034287A1 (ja) * 2022-08-12 2024-02-15 住友電工焼結合金株式会社 金型、及び粉末成形体の製造方法

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