JP2003073437A - 球状フェノール樹脂硬化物およびその製造方法 - Google Patents

球状フェノール樹脂硬化物およびその製造方法

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JP2003073437A
JP2003073437A JP2002041298A JP2002041298A JP2003073437A JP 2003073437 A JP2003073437 A JP 2003073437A JP 2002041298 A JP2002041298 A JP 2002041298A JP 2002041298 A JP2002041298 A JP 2002041298A JP 2003073437 A JP2003073437 A JP 2003073437A
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resin cured
spherical
phenol resin
less
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JP2002041298A
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Yoshihiro Matsuo
芳大 松尾
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Sumitomo Bakelite Co Ltd
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Sumitomo Bakelite Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 窒素、塩素イオン、及び灰分の含有量が少な
い球状フェノール樹脂硬化物を提供する。 【解決手段】 フェノール類とアルデヒド類とを反応さ
せて得られる球状フェノール樹脂硬化物であって、該球
状フェノール樹脂硬化物が、(a)平均粒径が0.1〜
700μm、(b)窒素含有量が1重量%以下、(c)
塩素イオン濃度が50ppm以下、(d)灰分が0.5
重量%以下、であることを特徴とする球状フェノール樹
脂硬化物であり、好ましくは前記球状フェノール樹脂硬
化物が、フェノール類とアルデヒド類とを3級アミン化
合物を用いて反応させて得られるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、球状フェノール樹
脂硬化物およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フェノール樹脂の球状化に関する研究は
従来から行われており、製品の市販も行われている。た
とえば、特公昭53−42077号公報、特公平06−
21140号公報には、樹脂の合成時もしくは硬化時に
ヘキサメチレンテトラミンを使用した球状フェノール樹
脂硬化物が開示されている。しかし、これらの球状フェ
ノール樹脂硬化物は、配合されるヘキサメチレンテトラ
ミンのために、樹脂硬化物中に1重量%以上の窒素が含
有されている。
【0003】また、特開昭57−177011号公報に
は、反応時のフェノール類(P)に対するアルデヒド類
(F)のモル比(F/P)を高く設定し、塩酸の存在下
で反応を行う球状フェノール樹脂硬化物の製造方法が開
示されている。しかし、この方法でも、反応後に塩酸を
アンモニア等の塩基で中和する必要があり、このような
中和やその後の洗浄を行っても、塩素イオンや窒素化合
物を微量になるまで除去することは難しかった。また、
フェノール樹脂合成のための出発物質として、フェノー
ル類ではなくノボラック型フェノール樹脂を用いる方法
もあるが、この場合はノボラック型フェノール樹脂とア
ルデヒド類との反応速度が小さいため、実用的な製造を
行うためには硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを
使用しなければならなかった。
【0004】近年、窒素や塩素イオンなどの含有量が少
なく、かつ金属などの不純物として存在する灰分の含有
量を低減させた球状フェノール樹脂硬化物が要求される
ようになってきた。これは、例えば後工程で熱処理を行
うような場合には、含有されるこれらの物質によって窒
素酸化物や塩化物が生成し、これらが処理設備を腐食す
る原因となり、また環境に対しても少なからず影響を及
ぼすためである。また、フェノール樹脂中の灰分として
はフェノール樹脂製造時に触媒として使用するアルカリ
金属の残存などが挙げられるが、特にリチウムイオン二
次電池用負極材など電気関係の用途においては、これら
の灰分の存在は製品性能を低下させる原因となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、窒素、塩素
イオン、及び灰分の含有量が少ない球状フェノール樹脂
硬化物を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
記載の本発明(1)〜(7)によって達成される。 (1)フェノール類とアルデヒド類とを反応させて得ら
れる球状フェノール樹脂硬化物であって、該球状フェノ
ール樹脂硬化物が、(a)平均粒径が0.1〜700μ
m、(b)窒素含有量が1重量%以下、(c)塩素イオ
ン濃度が50ppm以下、(d)灰分が0.5重量%以
下、であることを特徴とする球状フェノール樹脂硬化
物。 (2)前記(a)平均粒径が、0.1〜100μmであ
る上記(1)に記載の球状フェノール樹脂硬化物。 (3)前記(a)平均粒径が、2〜700μmである上
記(1)に記載の球状フェノール樹脂硬化物。 (4)フェノール類とアルデヒド類とを反応させて得ら
れる球状フェノール樹脂硬化物であって、該球状フェノ
ール樹脂硬化物が、(a)粒径が0.05〜2000μ
m、(b)窒素含有量が1重量%以下、(c)塩素イオ
ン濃度が50ppm以下、(d)灰分が0.5重量%以
下、であることを特徴とする球状フェノール樹脂硬化
物。 (5)前記球状フェノール樹脂硬化物が、不活性雰囲気
下において、200℃で1時間熱処理したときの加熱減
量が2重量%以下のものである上記(1)ないし(4)
のいずれかに記載の球状フェノール樹脂硬化物。 (6)上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の球状
フェノール樹脂硬化物の製造方法であって、フェノール
類とアルデヒド類とを3級アミン化合物を用いて反応さ
せる球状フェノール樹脂硬化物の製造方法。 (7)フェノール類に対するアルデヒド類のモル比を
0.9〜3.0とする上記(6)に記載の球状フェノー
ル樹脂硬化物の製造方法。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明は、フェノール類とアルデ
ヒド類とを反応させて得られ、樹脂中に含まれる窒素、
塩素イオン、及び金属などの不純物量を低減させた球状
フェノール樹脂硬化物(以下、「球状樹脂硬化物」とい
う)及びその製造方法に関するものである。
【0008】本発明の球状樹脂硬化物において、その粒
径は、用いるフェノール類、アルデヒド類、反応触媒、
縣濁剤などの種類や、反応温度、反応時間、縣濁時の撹
拌速度などの反応条件によって種々異なり、目的とする
用途に合わせて適宜条件を選択すればよい。製造の容易
さ等の点から、好ましくは、平均粒径は0.1〜700
μmである。さらには、例えば、本発明の球状樹脂硬化
物を活性炭用炭素材料として用いる場合は、平均粒径を
2〜700μmとすることが好ましく、さらには10〜
200μmとすることがより好ましい。また、本発明の
球状樹脂硬化物をリチウムイオン電池負極材料として用
いる場合は、平均粒径を0.1〜100μmとすること
が好ましく、さらに好ましくは5〜20μmである。こ
の球状樹脂硬化物を炭素化した球状炭素材をリチウムイ
オン電池負極材に用いると、充填密度を高くすることが
できるため、電池の性能が向上する。また、充填量が多
いので、抵抗が低減されるため、電気的特性を向上させ
ることができる。また、本発明の球状樹脂硬化物の粒径
は、前記と同様に製造の容易さ等の点から、実質的に
0.05〜2000μmの範囲であることが好ましい。
【0009】本発明の球状樹脂硬化物中の窒素含有量は
1重量%以下であり、好ましくは0.5重量%以下であ
る。窒素含有量は前記上限値を超えて増加することによ
り、炭素化処理時に発生する揮発分を燃焼処理する際
に、空気中の酸素や球状樹脂硬化物中に含まれる酸素成
分と反応して窒素酸化物を形成し、設備の腐食や環境の
汚染の原因となるだけでなく、これを炭素化した球状炭
素材中にも窒素原子が残留することとなり、例えばリチ
ウムイオン電池負極材に用いた場合には充放電特性が低
下する原因の一つにもなる。同様に塩素イオン濃度につ
いても、50ppm以下であり、好ましくは40ppm
以下である。塩素イオン濃度も、前記上限値を超えて増
加することにより、炭素化処理時に設備の腐食や環境の
汚染の原因となるだけでなく、炭素化処理時に通常の炭
素化反応とは異なる反応、たとえば塩素イオンによる賦
活反応などが起こり、球状炭素材の物性にも影響を与え
ることがある。また、灰分については、0.5重量%以
下であり、好ましくは0.3重量%以下である。灰分の
成分は主に金属であるが、これが前記上限値を超えて増
加することにより、これを炭素化した球状炭素材中にも
残留し、特にリチウムイオン電池負極材などの電気関係
の用途に用いた場合は、金属酸化物により電気抵抗値が
高くなるなどの問題により、特性を低下させる原因とな
る。
【0010】本発明の球状樹脂硬化物で用いられるフェ
ノール類としては特に限定されないが、例えば、フェノ
ール、オルソクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾ
ール、キシレノール、カテコール、レゾルシン、アルキ
ルフェノール類、ビスフェノール類等から選ばれた少な
くとも1種以上のフェノール類が挙げられ、通常、フェ
ノールやメタクレゾールが多く用いられる。
【0011】また、アルデヒド類としては特に限定され
ないが、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデ
ヒド、ベンズアルデヒド等あるいはこれらの混合物を用
いることができ、これらのアルデヒド類の発生源となる
物質あるいはこれらのアルデヒド類の溶液を使用するこ
ともできる。これらのアルデヒド類から選ばれた少なく
とも1種以上のアルデヒド類が使用できるが、通常はホ
ルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒドが多く用い
られる。
【0012】本発明の球状樹脂硬化物を製造する際に、
フェノール類(P)とアルデヒド類(F)との反応モル
比(F/P)については特に限定されないが、0.9〜
3.0であることが好ましく、さらに好ましくは1.2
〜2.0、特に好ましくは1.3〜1.8である。これ
により、所定の懸濁安定剤の量で目的とする粒径の球状
樹脂硬化物を効率よく得ることができる。モル比が前記
上限値を越えると、樹脂中に含有される未反応のホルム
アルデヒドの量が多くなるので、アルデヒド臭が強くな
るとともにコスト的にも不利である。一方、前記下限値
未満であると同様に未反応フェノールの量が多くなった
り、樹脂が硬化するのに長時間を要したりするようにな
る。
【0013】本発明の球状樹脂硬化物において、フェノ
ール類とアルデヒド類との反応に用いられる触媒として
は特に限定されないが、通常、アルカリ性触媒が用いら
れ、アンモニア、1級アミン化合物、2級アミン化合
物、および3級アミン化合物のようなアミン系化合物、
NaOHやKOHのようなアルカリ金属の水酸化物など
が挙げられる。これらの中でも、3級アミン化合物を用
いることが好ましい。これにより、反応系への添加量を
少量で抑えられ、かつ、フェノール類とアルデヒド類と
の反応終了時の未反応フェノール類の量を少なく抑える
ことができる。3級アミン化合物としては特に限定され
ないが、例えば、トリエチルアミン、トリメチルアミ
ン、ジアザビシクロウンデセンなどが挙げられ、通常、
コストや入手のしやすさの点からトリエチルアミンが使
用される。また、このような3級アミン化合物の配合量
についても特に限定されないが、フェノール類に対して
0.1〜5.0重量%であることが好ましく、さらに好
ましくは1.0〜3.0重量%である。3級アミン化合
物の配合量が前記上限値より多いと、球状樹脂硬化物中
に残存する窒素分が多くなることがある。また、配合量
が前記下限値より少ないと、球状樹脂硬化物の粒子を形
成することが難しくなる場合がある。
【0014】他のアルカリ性触媒、例えば、アンモニ
ア、1級アミン化合物、2級アミン化合物を用いた場合
は、3級アミンを用いた場合と比較すると、フェノール
類とアルデヒド類との反応率が低くなり、未反応フェノ
ール類の量が増加する傾向がある。また、特にアンモニ
アは分子内での窒素比率が高いため、反応系への添加量
によっては樹脂内の窒素化合物含有量が増加する。一
方、アルカリ金属の水酸化物を使用する場合は、反応条
件によっては樹脂硬化物を反応系中で球状化することが
難しくなる場合があり、また、用いたアルカリ金属が樹
脂中に残存する。
【0015】フェノール樹脂中の窒素は、樹脂の合成時
もしくは硬化時におけるヘキサメチレンテトラミンの使
用、アンモニア等のアミン化合物の触媒としての使用、
あるいは酸を用いて反応させた場合における中和剤とし
てのアンモニア等の使用などにより生ずるものである。
また、塩素イオンについては、反応に際して塩酸を使用
した場合に、この残査を完全に除去できないことにより
存在する場合が多い。そして灰分については、反応触媒
としてアルカリ金属の水酸化物を用いた場合にこれが残
存することが主な原因となる。本発明の球状樹脂硬化物
においては、フェノール類とアルデヒド類との反応にお
いて、3級アミン化合物を触媒として少量用い、かつ、
樹脂の硬化にアルデヒド類のみを使用することにより、
これらの不純物含有量が少ないフェノール樹脂を得るこ
とができる。このようにして得られた球状樹脂硬化物
は、設備の腐食や環境の汚染を低減することができ、こ
れを炭素化した球状炭素材においても電気的特性を向上
させることができるものである。
【0016】本発明の球状樹脂硬化物は特に限定されな
いが、不活性ガス雰囲気下で、200℃で1時間処理し
た場合の加熱減量が2重量%以下であることが好まし
い。さらに好ましくは1重量%以下である。加熱減量は
樹脂硬化物の架橋密度と関係があり、前記上限値以下と
することにより、特に電気用途向けの炭素材料として好
ましいものとすることができる。加熱減量が前記上限値
を上回ると架橋密度が不充分な場合があり、例えば球状
樹脂硬化物を炭素化処理してリチウムイオン電池負極材
として用いた場合に、良好な充放電特性を有する炭素材
料が得られないことがある。本発明の球状樹脂硬化物は
特に限定されないが、反応後の樹脂硬化物を不活性ガス
雰囲気下において、100〜250℃で熱処理を行うこ
とが好ましい。特に好ましくは180〜220℃であ
る。熱処理時間については特に限定されないが、加熱減
量が前記上限値以下となるように実施することが好まし
い。
【0017】本発明の球状樹脂硬化物において、フェノ
ール類とアルデヒド類との反応に用いられる溶媒として
は特に限定されないが、例えば、水、メタノールやエタ
ノールなどのアルコール類、アセトンやメチルエチルケ
トンなどのケトン類などを用いることができる。これら
中でも、環境への負荷が小さいこと、取り扱いが容易で
あることなどから、通常は水を用いるのが好ましい。
【0018】本発明の球状樹脂硬化物においては、製造
時に反応系を懸濁させて球状樹脂を得るために懸濁剤を
添加することができる。懸濁剤としては特に限定されな
いが、例えば、アラビアゴム、トラガントゴム、カルボ
キシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシ
エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニル
ブチラール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオ
キサイド等を用いることができ、これらを単独で使用あ
るいは2種以上併用しても良い。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。しか
し、本発明は実施例により限定されるものではない。ま
た、実施例、比較例で示される「部」及び「%」は全て
「重量部」及び「重量%」である。
【0020】《実施例1》攪拌装置、還流冷却器及び温
度計を備えた5Lの三口フラスコ中にフェノール100
0部、37%ホルムアルデヒド水溶液1400部、水1
600部、トリエチルアミン30部、懸濁剤としてポリ
ビニルアルコール((株)クラレ製・クラレポバールP
VA117、けん化度98%、重合度1700)30部
を入れ、100℃まで加熱して5時間還流反応を行っ
た。その後60℃の温水で3回洗浄、濾過した後、80
℃で乾燥することにより球状樹脂硬化物1100部を得
た。
【0021】《実施例2》フェノール1600部、37
%ホルムアルデヒド水溶液1546部、水700部、ト
リエチルアミン27部、ポリビニルアルコール((株)
クラレ製・クラレポバールPVA117、けん化度98
%、重合度1700)8部を入れ、100℃まで加熱し
て5時間還流反応を行った。その後60℃の温水で3回
洗浄、濾過した後、80℃で乾燥することにより球状樹
脂硬化物1800部を得た。
【0022】《実施例3》フェノールの代わりにメタク
レゾールを使用した以外は実施例1と同様の方法で行
い、球状樹脂硬化物1050部を得た。
【0023】《実施例4》攪拌装置、還流冷却器及び温
度計を備えた5Lの三口フラスコ中にフェノール100
0部、37%ホルムアルデヒド水溶液1400部、水1
600部、トリエチルアミン30部、懸濁剤としてポリ
ビニルアルコール((株)クラレ製・クラレポバールP
VA117、けん化度98%、重合度1700)120
部を入れ、100℃まで加熱して5時間還流反応を行っ
た。その後60℃の温水で3回洗浄、濾過した後、80
℃で乾燥することにより硬化物1100部を得た。得ら
れた硬化物をガス置換式の乾燥機で、窒素ガスを流通さ
せながら200℃で5時間熱処理を行った。得られた熱
処理品を卓上ミルで解砕して球状樹脂硬化物を得た。
【0024】《実施例5》フェノール1600部、37
%ホルムアルデヒド水溶液1800部、水500部、ト
リエチルアミン27部、ポリビニルアルコール((株)
クラレ製・クラレポバールPVA117、けん化度98
%、重合度1700)30部を入れ、100℃まで加熱
して5時間還流反応を行った。その後60℃の温水で3
回洗浄、濾過した後、80℃で乾燥することにより硬化
物1800部を得た。得られた硬化物をガス置換式の乾
燥機で、窒素ガスを流通させながら200℃で5時間熱
処理を行った。得られた熱処理品を卓上ミルで解砕して
球状樹脂硬化物を得た。
【0025】《実施例6》フェノールの代わりにメタク
レゾールを使用した以外は実施例4と同様の方法で行
い、硬化物1050部を得た。得られた硬化物をガス置
換式の乾燥機で、窒素ガスを流通させながら200℃で
5時間熱処理を行った。得られた熱処理品を卓上ミルで
解砕して球状樹脂硬化物を得た。
【0026】《比較例1》3Lのフラスコにフェノール
1000部と37%ホルムアルデヒド水溶液860部を
仕込み、40℃に保って撹拌しながらヘキサメチレンテ
トラミン100gを添加、ついで反応混合物の温度を9
0℃に上昇させ100分間反応させた。次に190gの
水に溶解したポリビニルアルコール((株)クラレ製・
クラレポバールPVA117、けん化度98%、重合度
1700)10gを添加し、温度を80℃に下げ、さら
に240分間反応させた後、60度の温水で洗浄して8
0℃で乾燥を行い、球状樹脂硬化物1150部を得た。
【0027】《比較例2》2Lのフラスコに塩酸112
5部と37%ホルムアルデヒド水溶液375部を仕込
み、さらに80%のフェノールと5%のホルムアルデヒ
ドとを含む混合水溶液を625g添加した。添加して2
0分間混合した後、60分間静置した。その後、更に6
0分間で80℃まで昇温し、次いで80℃で15分間保
持して反応生成物を得た。この生成物を45℃の温水で
洗浄し、0.5%のアンモニアと50%のメタノールか
らなる混合水溶液中で50℃、30分間処理し、再度4
5℃の温水で洗浄し、次いで80℃で2時間乾燥し、球
状樹脂硬化物630部を得た。
【0028】《比較例3》5Lフラスコにフェノール1
000部、37%ホルムアルデヒド水溶液1300部、
水1600部、水酸化ナトリウム30部、ポリビニルア
ルコール((株)クラレ製・クラレポバールPVA11
7、けん化度98%、重合度1700)30部を入れ、
室温から攪拌しながら100℃になるまで昇温した。1
00℃になってから1時間経過したところで、ヘキサメ
チレンテトラミン100部をフラスコに加えたあと更に
100℃で3時間保持した。その後60℃の湯で3回洗
浄、濾過した後、80℃で乾燥することにより球状樹脂
硬化物1200部を得た。
【0029】実施例および比較例で得られた球状樹脂硬
化物について、粒径、窒素含有量、塩素イオン濃度、灰
分の測定を行った。また、実施例4〜6については加熱
減量の測定も行った。結果を表1に示す。
【表1】
【0030】《測定方法》 (1)粒径:レーザー散乱型粒度分布測定装置(堀場製
作所製:LA−920)を用いて平均粒径の測定を行っ
た。 (2)窒素含有量:元素分析装置(パーキンエルマー
製:2400−2)を用いて測定を行った。 (3)塩素イオン濃度:球状フェノール樹脂硬化物3g
を秤量してテフロン(登録商標)製の容器に入れた。こ
れに水30gを入れて蓋を閉じて密閉した。この容器を
150℃のオーブンに入れて12時間保持した。12時
間後冷却して内容物を出し、上澄み液をイオンクロマト
グラフで測定することで塩素イオン濃度を算出した。 (4)灰分:球状フェノール樹脂硬化物3gを坩堝に入
れ、900℃、6時間、電気炉で保持した。6時間経過
後、電気炉から坩堝を取り出して3分経過した後、坩堝
をデシケーター中に入れて冷却した。冷却後重量を測定
し、灰分を算出した。 (5)加熱減量:球状フェノール樹脂硬化物2gを試料
として5cm四方のアルミ皿に入れて、200℃で窒素
ガスを流通させたオーブンへ入れた。1時間経過後オー
ブンを冷却し、試料の重量を測定して、次式から加熱減
量を算出した。 加熱減量(%)=(1−乾燥後重量/乾燥前重量)×1
00
【0031】実施例1〜6は、フェノール源としてフェ
ノールまたはメタクレゾールを用い、アルデヒド源とし
てはホルムアルデヒドを用いて、F/P比を好ましい範
囲内として少量のトリエチルアミンを触媒として用いて
懸濁重合反応させた球状樹脂硬化物であり、窒素含有
量、塩素イオン濃度、灰分のいずれもが低い良好なもの
となった。特に、実施例4〜6は、得られた球状樹脂硬
化物を不活性ガス中で熱処理を行っているため、加熱減
量についても良好なものとなった。一方、比較例1で
は、樹脂の硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを用
いているため、樹脂中の窒素含有量が高く、比較例2は
塩酸とホルムアルデヒドを有する系にフェノールを添加
して反応させたものであり、樹脂中に大量の塩素イオン
が残存した。また、比較例3は、触媒として水酸化ナト
リウム水溶液を用い、かつ、硬化剤としてヘキサメチレ
ンテトラミンを用いたものであり、窒素含有量、灰分の
いずれもが高い値を示すものとなった。
【0032】
【発明の効果】本発明は、フェノール類とアルデヒド類
とを反応させて得られ、樹脂中の窒素含有量、塩素イオ
ン濃度、及び灰分量が極めて少ない球状フェノール樹脂
硬化物およびその製造方法である。従って本発明の球状
フェノール樹脂硬化物は、設備の腐食や不純物による問
題を低減できるとともに、使用後の廃棄時においても、
塩素イオンが少ないことからダイオキシンの発生が抑え
られ、また、窒素含有量が低いことから、酸性雨の原因
となる窒素酸化物の抑制にも効果がある。環境問題がク
ローズアップされている現在、本フェノール樹脂球状硬
化物は環境負荷を少なくする効果も有するものである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェノール類とアルデヒド類とを反応さ
    せて得られる球状フェノール樹脂硬化物であって、該球
    状フェノール樹脂硬化物が、(a)平均粒径が0.1〜
    700μm、(b)窒素含有量が1重量%以下、(c)
    塩素イオン濃度が50ppm以下、(d)灰分が0.5
    重量%以下、であることを特徴とする球状フェノール樹
    脂硬化物。
  2. 【請求項2】 前記(a)平均粒径が、0.1〜100
    μmである請求項1に記載の球状フェノール樹脂硬化
    物。
  3. 【請求項3】 前記(a)平均粒径が、2〜700μm
    である請求項1に記載の球状フェノール樹脂硬化物。
  4. 【請求項4】 フェノール類とアルデヒド類とを反応さ
    せて得られる球状フェノール樹脂硬化物であって、該球
    状フェノール樹脂硬化物が、(a)粒径が0.05〜2
    000μm、(b)窒素含有量が1重量%以下、(c)
    塩素イオン濃度が50ppm以下、(d)灰分が0.5
    重量%以下、であることを特徴とする球状フェノール樹
    脂硬化物。
  5. 【請求項5】 前記球状フェノール樹脂硬化物が、不活
    性雰囲気下において、200℃で1時間熱処理したとき
    の加熱減量が2重量%以下のものである請求項1ないし
    4のいずれかに記載の球状フェノール樹脂硬化物。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載の球
    状フェノール樹脂硬化物の製造方法であって、フェノー
    ル類とアルデヒド類とを3級アミン化合物を用いて反応
    させる球状フェノール樹脂硬化物の製造方法。
  7. 【請求項7】 フェノール類に対するアルデヒド類のモ
    ル比を0.9〜3.0とする請求項6に記載の球状フェ
    ノール樹脂硬化物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008120857A (ja) * 2006-11-08 2008-05-29 Lignyte Co Ltd 多気泡質球状フェノール樹脂の製造方法、多気泡質球状フェノール樹脂、導電性球状粒子、フェノール樹脂炭化材料、導電性樹脂組成物、二次電池用電極、電極用炭素材料、電気二重層キャパシタ分極性電極

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