JP2003073129A - 溶融ガラスの撹拌方法およびガラス溶融炉 - Google Patents

溶融ガラスの撹拌方法およびガラス溶融炉

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JP2003073129A JP2001265707A JP2001265707A JP2003073129A JP 2003073129 A JP2003073129 A JP 2003073129A JP 2001265707 A JP2001265707 A JP 2001265707A JP 2001265707 A JP2001265707 A JP 2001265707A JP 2003073129 A JP2003073129 A JP 2003073129A
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molten glass
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stirring
stirring blade
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Masakazu Iwata
正和 岩田
Hideo Yoshizaki
英夫 吉崎
Masaaki Yoneyama
正顕 米山
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Nippon Electric Glass Co Ltd
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B5/00Melting in furnaces; Furnaces so far as specially adapted for glass manufacture
    • C03B5/16Special features of the melting process; Auxiliary means specially adapted for glass-melting furnaces
    • C03B5/18Stirring devices; Homogenisation
    • C03B5/187Stirring devices; Homogenisation with moving elements

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Abstract

(57)【要約】 【課題】脈理や泡等の不均質欠陥のないガラス製品を得
るため、溶融ガラスを高度に均質化することができる溶
融ガラスの撹拌方法およびガラス溶融炉を提供する。 【解決手段】本発明の溶融ガラス撹拌方法は、耐熱性材
料からなる回転軸11と、回転軸11の外周に内周端1
2a、13aが固着された耐熱性材料からなる2枚の螺
旋翼12、13とを備え、螺旋翼12、13の軸方向の
長さHが、回転軸を中心とする螺旋翼12、13の半径
rの1.2倍以上であり、かつ、螺旋翼12、13のリ
ード角が22°〜58°であるひねり形状を持つガラス
用スターラー10を使用し、このスターラーをガラス中
に浸漬回転することを特徴とする。また、ガラス溶融炉
は、原料投入口および溶融ガラス取出口を備えてガラス
を収容するポットと、該ポット周辺の加熱手段と、前記
スターラーを備えたポット式のガラス溶融炉、あるいは
原料を溶解する溶解室と、該溶解室からスロート部を通
じて導入されるガラスの気泡を除く清澄室と、該清澄室
から流出するガラスを成形部に供給するフィーダー部と
を有し、前記スターラーを備えたガラス溶融炉である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス製品の製造
業において、溶融ガラスの撹拌方法と、その撹拌方法を
実施するガラス溶融炉に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラスを溶融する際に発生する諸問題の
うち、成形される溶融ガラスをどのようにして均質化す
るかということについては、ガラス製品の外観、強度等
と直接関連するため、これまで多数の考案がおこなわれ
てきた。原料投入工程、溶融工程、清澄工程、そして最
後の成形工程に至る各工程段階でおこなわれてきた均質
化の方法として、原料粒径変更や原料偏析防止、粗溶融
カレットの使用、さらにガラス生地に添加された清澄剤
による脱泡効果を利用する均質化、溶融ガラスに種々の
装置を使用して物理的な力を加え撹拌することによる均
質化、など種々の改善、考案による均質化の方法が図ら
れている。
【0003】このような各種の均質化方法の中で、とり
わけ溶融ガラスの成形工程直前でおこなわれる撹拌装置
による混合操作は、最終製品の品質を決定するものであ
るため重要な操作であると言える。このため、ガラス溶
融炉のフィーダー部にスターラー、パドラー、ブレンダ
ー、ローター、チューブなどの名称がつけられた各種撹
拌装置を設置して成形工程直前の溶融ガラスの均質化が
おこなわれてきた。この中でも比較的よく使用される均
質化手段として、1枚の螺旋状翼が回転軸に取り付けら
れたスターラーをガラス溶融炉のフィーダーに設置して
回転させて使用する撹拌方法がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、1枚の
螺旋状翼を備えたスターラーによる撹拌装置を使用する
方法は、混合能力に限界があり多量のガラスを長期間連
続生産する粘性の高い溶融ガラスを供給するためのガラ
ス溶融炉では、必ずしも十分な撹拌が行えているという
わけではなかった。これまで行われた撹拌装置による均
質化の方法の中である程度の成果をおさめたものは、図
9に示すような実公昭47−3160で考案されたヘリ
カルリボン翼スターラーを4台直列に配置した撹拌装置
を使用する方法である。この装置は、特に光学ガラスを
溶融し撹拌することを目的とした装置であり、図9に示
したヘリカルリボン翼スターラーを1機だけ使用した場
合にはドーナツリング状の不均質部が溶融ガラス中に発
生するので、この現象を克服するため、溶融ガラスの流
れに対して直列にスターラーを配列することで溶融ガラ
スの均質化を図ったものである。この装置は、光学ガラ
スのように製品一つ当たりのガラスの量が比較的少ない
製品については充分対応が可能なものである。しかし、
製品一つ当たりの体積が大きいガラス製品、例えば近
年、大型のガラス製品として利用が拡大している液晶デ
ィスプレイ用板ガラス、ブラウン管用ファンネルガラ
ス、ブラウン管用フェースガラスあるいはプラズマディ
スプレイ用板ガラスなどの高速生産に対して使用しよう
とすれば、溶融ガラスの流速を上げねばならないため翼
の高速回転と装置そのもののスケールアップが必要とな
り、非常に大型のヘリカルリボン翼を準備するかあるい
は数10本のスターラーを設置して使用するといった方
法が考えられるが、経済的にも構造強度的にも実現不可
能である。
【0005】また、ある程度の効果が得られる撹拌装置
は多数考案されているものの、上記のように大量の大型
ガラス製品を高速で連続生産するような大型のガラス溶
融炉では、ガラス溶融炉の溶融ガラスが流れる流路の断
面積が大きく、流路内の流れに速度勾配が生じ、炉内構
造、使用耐火物の種類、温度条件、炉内圧力条件など多
岐に渡る複数の要因が関与する結果、溶融ガラスの流れ
に死所が形成されやすくなるため溶融ガラス中の特定成
分の蒸発に伴いスカムと呼ばれる不均質ガラスが発生し
たり、充分バッチ反応が終了していない不均質な溶融ガ
ラスが異常に早く成形域にまで到ってしまうといったこ
とが起こる場合もある。このような場合に撹拌装置の撹
拌能力が低いと、流れてくる溶融ガラスの全てを取り込
んで撹拌することができないため、一部の不均質なガラ
スが撹拌装置の横をすり抜けて成形工程にまで到達し、
製品中に脈理またはコード、ノットなどと呼ばれる欠陥
を生じ、製品の品位が損なわれることになってしまう。
【0006】一方、ガラス製品として液晶用板ガラス、
プラズマディスプレイ用板ガラス、ブラウン管用ファン
ネルガラス、ブラウン管用フェースガラスなどは、用途
として映像を伝達する技術分野において人間に直接各種
情報を伝えるインターフェースとしての機能が重要視さ
れており高精細化と映像情報量などの増大にともない、
より均質度の高い製品が必須になっているためガラスの
均質性は光学ガラスのレベルと同等以上の品位が要求さ
れるのは言うまでもない。そして近年の情報技術分野の
急拡大に伴って、この分野のガラス製品に対する需要は
非常に大きくなり、ある特定のガラス製品を市場におけ
る需要に応じて高速・大量に生産する必要性が高まって
いるため、これまでの生産数量を格段に増加しなければ
ならない状況となってきている。
【0007】本発明は、上記課題を鑑みてなされたもの
であり、光学ガラスのレベルと同等以上の品位が得ら
れ、また、製品一つ当たりの体積が大きいガラス製品に
も適応可能な溶融ガラスの撹拌方法およびガラス溶融炉
を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、多量の溶
融ガラスを必要とする大型ガラス製品の高速生産するよ
うな場合にも対応できるような撹拌能力の極めて高い溶
融ガラスの均質化方法について詳細な調査を実施し、一
般に使用されるスターラーにおいて1枚の螺旋状翼の螺
旋周期内にもう一枚の螺旋翼を回転軸に対して軸対称位
置に形成した構造とし、計2枚の翼を持つ2条螺旋翼と
することで撹拌効果が著しく改善し、さらにその螺旋の
傾斜角を種々変更することによって最適な傾斜角範囲、
すなわち螺旋のリード角が22°〜58°に相当するひ
ねり形状範囲、より好ましくは30°〜50°に相当す
るひねり形状範囲において、泡を巻き込む事がないよう
な少ない回転数で高速大量生産にも対応できるより効果
的な撹拌がおこなえ、この装置をガラス溶融炉に設置し
て翼部分を溶融ガラス中に浸漬し、回転軸を中心として
翼を右回りあるいは左回りに回転することで溶融ガラス
の流れに効果的な上昇流または下降流を生じさせること
により溶融ガラスを十分に取り込んで均質化が実現でき
ることを見いだした。
【0009】即ち、本発明に係る溶融ガラスの撹拌方法
は、耐熱材料からなるスターラーの撹拌翼を溶融ガラス
中に浸漬して回転させることにより該溶融ガラスを撹拌
する溶融ガラスの撹拌方法において、前記スターラー
が、内周端を回転軸の外周に固着して対向配置された2
枚の螺旋状の撹拌翼を有し、該撹拌翼の軸方向長さが撹
拌翼の半径の1.2倍以上であり、且つ該撹拌翼のリー
ド角が22°〜58°であり、該スターラーが具備する
2枚の螺旋状の撹拌翼を溶融ガラス中に浸漬し回転させ
て溶融ガラス中に生じる上昇流または下降流により該溶
融ガラスを撹拌することを特徴とするものである。
【0010】また、本発明のガラス溶融炉は、原料投入
口および溶融ガラス取り出し口を備えて溶融ガラスを収
容するポットと、該ポットの周辺に設けられた加熱手段
と、耐熱材料からなり回転軸に撹拌翼を有して前記ポッ
トに収容された溶融ガラス中に撹拌翼を浸漬して回転さ
せることにより該溶融ガラスを撹拌するスターラーとを
有するガラス溶融炉において、前記スターラーが、内周
端を回転軸の外周に固着して対向配置された2枚の螺旋
状の撹拌翼を有し、該撹拌翼の軸方向長さが撹拌翼の半
径の1.2倍以上、好ましくは1.8倍以上であり、且
つ該撹拌翼のリード角が22°〜58°、好ましくは3
0°〜50°であり、該スターラーを前記ポットに収容
された溶融ガラス中に撹拌翼を浸漬した状態に配設して
いることを特徴とするものである。
【0011】本発明の撹拌方法およびガラス溶融炉で使
用する溶融ガラス用スターラーの構造について図2に示
す。図中、スターラー3は回転軸4の外周端に1枚の螺
旋翼5の内周端5aを固着した構造となっている。ねじ
について規定しているJISB0101(1994)で
使用される用語に従えば、これは螺旋周期内に1枚の螺
旋翼5を持つ構造であり、1条の螺旋翼スターラーと命
名することができる。これに対して本発明の撹拌方法で
使用する溶融ガラス用スターラー10の構造は回転軸1
1に対しての螺旋翼12とその同じ螺旋周期内にもう一
枚の螺旋翼13とが対称位置にそれぞれの内周端12
a、13aを直接固着した構造となっており、2枚の螺
旋翼を持つ2条螺旋翼スターラーと呼ぶことができる。
図3は螺旋翼のひねり形状の角度について示す説明図で
ある。図3(A)の螺旋翼の翼外周端の描く軌跡を模式
的に図中央(B)に表す。螺旋翼のひねり形状はねじ用
語にある「リード角」をβとし、螺旋翼が軸に沿って1
回転の螺旋を描く際の軸方向の距離を表す「リード」を
Lとし、螺旋翼の回転軸を中心とした半径をrと表す
と、tanβ=L/2πrの関係がある。この式は、図
3(B)の影を付けた部分を平面に展開した図3(C)
の直角三角形においてリード角βは螺旋翼の外周端が回
転軸の周りを1回転した時に描く軌跡を回転軸に垂直に
設置した面に投影してできる円の円周2πrを底辺と
し、リードLを高さとした直角三角形の斜角であると定
義することから導き出せる式である。
【0012】本発明の撹拌方法で使用する2条螺旋翼を
有するスターラー10は、このリード角βが22°〜5
8°であり撹拌効率が大きくなる。これはリード角βが
22°より小さくなると螺旋翼12と螺旋翼13との軸
方向の間隔が小さくなるために、螺旋翼12、13の相
互の間で捕らえられる溶融ガラスの容量が少なくなりす
ぎ、スターラー10が1回転することで上下方向に移動
する溶融ガラスの量が減るので、同じ溶融ガラスの量を
上下方向に移動させるためには、回転数を大きくする必
要があり、あまりに回転数が大きくしすぎると回転軸と
溶融ガラスの生地表面との接触部分で発生した皺がその
まま溶融ガラス中に引き込まれて多数の気泡となり、製
品中に混入することで製品の品位を損なうことになる。
リード角βが22°以上であると、気泡を巻き込むこと
のないより少ない回転で効率的にガラスを撹拌すること
ができる。一方、リード角βが58°より大きくなると
螺旋翼12、13の回転運動によって生み出される回転
軸方向の力が溶融ガラスにうまく伝わらなくなるので、
スターラー10付近を流れる溶融ガラスの螺旋翼12、
13からのすり抜け現象が起こる。その結果、効率的に
溶融ガラスが撹拌されなくなる。
【0013】さらに、スターラー10の螺旋翼12、1
3のリード角βが30°以上で50°以下の範囲である
と、螺旋翼12、13から溶融ガラスに回転軸方向の力
が効率的に伝わることにより一層効果的な撹拌が行われ
る。
【0014】なお、本発明の撹拌方法で使用するの溶融
ガラス用スターラー10は、リード角βが22°〜58
°の範囲内であれば、2枚の螺旋翼12、13のリード
角βを意図的に互いに異なった角度に設定することがで
きるばかりでなく、回転軸11の外周に取り付けられて
いる2枚の螺旋翼12、13についてそれぞれリード角
βが22°〜58°の範囲内で軸の周りを回る内に徐々
に角度を変えた形状を設定することもでき、さらにリー
ド角βが30°〜50°の範囲内で徐々に角度を変えた
形状とする方がより効果的であることは言うまでもな
い。
【0015】本発明の撹拌方法で使用する溶融ガラス用
スターラー10に用いる螺旋翼としては、図1の螺旋翼
の軸方向長さHが回転軸11を中心とする螺旋翼12、
13の回転軸11を中心とする半径rの1.2倍以上で
あることが重要である。これはスターラーの回転により
取り込まれた溶融ガラスを上下方向に効果的に移動させ
るために必要であり、螺旋翼12、13の軸方向長さH
が回転軸11を中心とする螺旋翼の半径rの1.2倍よ
り短い場合、溶融ガラスを移動させる効果が不十分であ
るため十分な撹拌が行えず、不均質なガラスを撹拌した
場合に均質化することができない。また螺旋翼12、1
3の軸方向長さHが回転軸を中心とする螺旋翼12、1
3の半径rの1.8倍より長ければ、溶融ガラスの移動
がより顕著なものとなるためいっそう好ましい。一方で
螺旋翼12、13の軸方向長さHは、長い程撹拌効果は
大きいもののそれは回転軸11を中心とする半径rの1
0倍程度までであり、高温状態での長期的な構造強度を
維持するという観点からも回転軸11を中心とする螺旋
翼の半径rの10倍より大きくすることは望ましくはな
い。さらに構造的に強固な範囲を指定するなら7倍以下
とするとより好適である。
【0016】螺旋翼12、13の軸方向長さHが回転軸
11を中心とする螺旋翼12、13の半径rの1.2倍
以下、あるいはリード角βが22°未満であるか、また
は58°を越える場合、溶融ガラスを上下方向に移動さ
せる撹拌効果が小さくなる。これを克服するために螺旋
翼12、13の周囲に溶融ガラスの流れをしぼる案内筒
あるいはチューブと称する円筒状の耐火物製障壁を設置
することで対応しようとする提案もなされているが、こ
のような障壁を回転する螺旋翼12、13の近傍に設置
すると、短期間のガラス溶融では効果があっても長期間
の溶融になると障壁周囲近傍の溶融ガラスの表面生地が
流動し難くなり、その結果、溶融ガラス表面に異質ガラ
スが発生しやすくなり、スターラー10の撹拌能力で均
質化できる以上の多量のスカムが溶融ガラスの生地表面
に発生することになって、長期的には均質な溶融ガラス
が得られ難くなるため望ましくない。
【0017】また、本発明の撹拌方法で使用する溶融ガ
ラス用スターラー10は、撹拌効果を向上させる目的で
螺旋翼12、13の軸方向の長さHを2枚の螺旋翼1
2、13それぞれについて異なる長さに設定することが
できる。この場合、螺旋翼12、13の軸方向長さHを
それぞれの螺旋翼12、13について、回転軸11を中
心とする螺旋翼12、13の半径rの1.2倍から10
倍の範囲内で自由に変更することが可能である。そして
螺旋翼12、13の軸方向長さHの範囲は1.8倍から
7倍までの範囲内での設定がより好適である。
【0018】なお、本発明の撹拌方法で使用する溶融ガ
ラス用撹拌スターラー10は、2枚の螺旋翼12、13
の回転軸11を中心とする半径rをそれぞれ異なる大き
さに設定することができるばかりでなく、螺旋翼12、
13の軸方向長さHが回転軸11を中心とする螺旋翼1
2、13の半径rの1.2倍から10倍の範囲、より好
ましくは1.8倍から7倍の範囲内で螺旋翼12、13
が軸の周囲を回る内に螺旋翼12、13の半径rの大き
さを徐々に変更することも可能である。
【0019】さらに、2枚の螺旋翼12、13それぞれ
についてのリード角βの回転軸周りでの角度変更と螺旋
翼12、13の軸方向長さHの変更、回転軸11を中心
とる螺旋翼12、13の半径rの変更については、組み
合わせておこなうこともできるのは言うまでもない。
【0020】そして回転軸11に取り付けられた2枚の
螺旋翼12、13は、望ましい撹拌効果を得るため必要
に応じて回転軸11に対して対称の位置からずらした位
置で固定することができる。これに加えて、2枚の螺旋
翼12、13について回転軸11を中心とする半径r、
軸方向の長さH、リード角βの変更と組み合わせること
も可能である。
【0021】また、本発明の撹拌方法で使用する溶融ガ
ラス用のスターラー10は、回転軸11の外周に内側端
12a、13aが固着された螺旋翼12、13であるこ
とが重要である。螺旋翼12、13の内側端12a、1
3aが回転軸11の外周に固着されていない翼形状、例
えば、ヘリカルリボン形状であればスターラーの回転軸
付近に溶融ガラスに翼からの力がうまく伝わらない箇所
が生じるため効果的な撹拌が行えないからである。
【0022】さらに、本発明の撹拌方法で使用する溶融
ガラス用のスターラー10は、2枚の螺旋翼12、13
を有することが重要である。螺旋翼が1枚のスターラー
では回転軸の一回の回転で捕らえることができるガラス
量が少ないため、同じ回転数では2枚の螺旋翼を持つス
ターラーより撹拌効果が劣る。そこで撹拌効果を上げる
ために回転数をあげれば、気泡を溶融ガラス中に巻き込
むため、回転数を上げるのは限界があり、その結果十分
な混合は行えないからである。
【0023】なお、螺旋翼12、13の表面には溶融ガ
ラスの流れをスムーズにするための窪みや溝あるいは鱗
状の模様に代表されるような特定形状を繰り返すような
複数の凹凸を施すことも可能である。また、溶融ガラス
の流れを妨げない範囲で、複数の孔を穿つことも可能で
ある。特に浸食の激しい螺旋翼12、13先端部のみに
耐蝕性の異材質を被覆したり、取り付けたりすることも
できる。また、溶融ガラスの流れを妨げない範囲で、こ
のような表面構造の変更を複数選択して同時に採用する
ことも可能である。
【0024】なお、本発明の撹拌方法で使用するスター
ラー10は、構造強度を重視する場合、平坦なプレート
状翼を複数枚互いに溶着することで全体として螺旋状に
見える螺旋翼12、13としてもよい。ただし、構造的
には強度は高くなるものの溶融ガラスの流れをスムーズ
に流すという点では曲線状の翼に比較して劣る。
【0025】さらに、本発明のガラス溶融炉は、ガラス
原料を溶解する溶解室と、該溶解室からスロート部を通
じて導入される溶融ガラスの気泡を取り除く清澄室と、
該清澄室から流出する溶融ガラスを成形部に供給するフ
ィーダー部とを有するガラス溶融炉において、前記スタ
ーラーが、内周端を回転軸の外周表面に固着して対向配
置された2枚の螺旋状の撹拌翼を有し、該撹拌翼の軸方
向長さが撹拌翼の半径の1.2倍以上、好ましくは1.
8倍以上であり、且つ該撹拌翼のリード角が22°〜5
8°、好ましくは30°〜50°であり、該スターラー
を前記前記清澄室とフィーダー部との間の溶融ガラス中
に撹拌翼を浸漬した状態に配設していることを特徴とす
るものである。清澄前の溶融ガラスの撹拌をおこなうと
溶融ガラス中に1mm以下の微細な泡が非常に多数発生
するため、清澄工程以降で溶融ガラス中からの脱泡が困
難になり、ガラス製品の欠陥となるためである。
【0026】一般に、ガラス溶融炉では、調合原料のバ
ッチを炉内に投入し、バッチから発生した気泡を溶融ガ
ラスから十分脱泡した後、具体的には清澄によってガラ
ス原料のガラス化反応により発生した炭酸ガス、酸素な
どの気泡が溶融ガラス中から抜けきった後、成形までの
間に撹拌により溶融ガラスの均質化を行う。このため、
撹拌される溶融ガラスは一般にガス脱泡のための清澄域
での温度よりも低温ではあるものの、少なくとも室温か
らすれば数百℃上の高温状態であり、溶融ガラス用スタ
ーラーは少なくとも300℃以上の高温に1ヶ月以上の
長期間耐え得る耐熱材料により構成される。さらに、こ
の材料の耐熱温度は、高温であるほど望ましいが、同時
にガラスに対する耐蝕性、構造強度を維持するに足るも
のである必要性があり、炉内雰囲気との反応性が低く、
かつ、経済的にもガラス製品の製造に見合った価格をも
つ材料である必要性があり、より望ましくは500℃以
上の高温で3ヶ月以上の寿命を有することである。
【0027】本発明の撹拌方法で使用する溶融ガラス用
スターラー10に用いる材料としては、白金、白金−ロ
ジウム合金、等の白金族系の金属あるいはその合金以外
に、ジルコニアなどの強度補強成分を添加した白金属系
の金属、(アルミナ、ジルコニア等の)酸化物、窒化
物、炭化物あるいは複数のセラミックス成分を混合した
ファインセラミックス、炭素あるいは炭素繊維、金属添
加炭素材料、繊維強化金属(FRM)、繊維強化炭素
(FRC)、傾斜機能材料を構成部材として複数選択す
ることも可能であり、高温部位と低温部位で異なる材料
を使用したり耐蝕性の必要とされる部位や高強度を要求
される部位で異なる材料を必要に応じて使い分けること
も可能である。
【0028】また、溶融ガラス用スターラー10を中空
構造として内部に高強度を補償する金属材料やセラミッ
ク材料あるいはそれらを複数選択して全体に充填した
り、必要箇所に局部的に充填したりすることも可能であ
る。特に耐熱性を要求される部位には耐熱性表面コート
材を使用したりすることも可能である。
【0029】また、中空構造として内部に高強度を補償
する金属材料やセラミック材料あるいはそれらを複数選
択して全体に充填したり、必要箇所に局部的に充填した
りすることも可能である。また特に耐熱性を要求される
部位には耐熱性表面コート材を使用したりすることも可
能である。
【0030】本発明で使用する2条螺旋翼12、13を
有するスターラー10の製造法としてはムク棒状の白金
系の金属材料を回転軸として使用しても良いが、経済的
観点からあるいは構造強度的観点から見て通常は中空状
の棒の一端を封止し、翼は延展した白金系の金属材料を
溶接することにより回転軸に直接取り付け、回転軸中に
耐熱材料を充填することにより作製するのが一般的であ
る。
【0031】本発明の撹拌方法は、2条螺旋翼を溶融ガ
ラス炉の清澄工程と成形工程の間の溶融ガラス中に螺旋
翼を浸漬し、螺旋軸を中心として右回りあるいは左回り
に回転することで溶融ガラス中に上方向あるいは下方向
の流れを強制的に生み出し、そこに不均質ガラスを取り
込むことにより不均質ガラスを分散させることにより均
質化をおこなうものであるが、成形工程においてどのよ
うな成形方法を採用してもそれにより影響を受けること
はなく、あらゆる成形方法に対して適用することが可能
である。
【0032】本発明の撹拌方法は、溶融ガラスの材質の
種類に依存するものではなく大量に高速生産されるあら
ゆるガラス製品に対応するものであるが、光学ガラスな
どの1製品当たりの容積が小さいガラス製品の少量生産
をおこなうような容積の小さいガラス溶融炉においても
使用することができることは言うまでもない。
【0033】また、発明の撹拌方法を適用する均質化装
置は、耐熱性材料からなる回転軸とその外周端に内周端
を取り付けた2枚の螺旋状翼よりなるものであるが、回
転軸下部の翼に駆動部からの回転を伝えるため、軸上部
に駆動系を熱から保護するカバーを取り付けることがで
きる。さらに装置を構成するスターラーは、複数本のス
ターラーを位置と高さを変えて設置することにより、清
澄後の溶融ガラスを残らず取り込むことにより確実に均
質度を向上させることができる。
【0034】複数本のスターラーで構成される装置で
は、炉内の設置位置によりスターラーの回転速度を変え
たり、溶融ガラス温度の変動にしたがって回転速度の変
更をおこなえる。溶融ガラスの生地高さの変動によりス
ターラーのガラス生地中への浸漬部位の長さも調節する
ことが可能である。また、複数設置するスターラーはス
ターラー間の間隔を撹拌翼が接触しない限り接近させる
ことができる。さらにスターラーのガラス生地への設置
方向は、一般的にはガラス生地表面に対して垂直方向に
設置するものであるが、炉の設計次第では意図的に傾斜
させてガラス生地中に浸漬設置することもできる。また
炉床に対してのスターラー回転軸の角度も通常は垂直で
あるが、炉の構造次第で炉床が傾斜した箇所に対して設
置して使用することも可能である。
【0035】
【発明の実施の形態】次に、本発明の溶融ガラスの撹拌
方法について実施の形態を図面を参照して説明する。
図1の10に本発明の溶融ガラスの撹拌方法に使用する
2条螺旋翼を取り付けたスターラーを示す。スターラー
は、溶融ガラス中に浸漬される螺旋翼の部位とこの螺旋
翼に動力源からの回転を伝える回転軸11よりなる。回
転軸に対して対称的に配置した2枚の螺旋翼はそれぞれ
12、13で表される。本発明の溶融ガラスの撹拌方法
で使用する溶融ガラススターラーはその2枚の螺旋翼1
2、13が、直接回転軸の外周に内周端12a、13a
が取り付けられており、ヘリカルリボン翼のように棒、
板などの他の構造部材で取り付けられているわけではな
い。このため、回転軸に沿って回転した時に溶融ガラス
の流れの死所が発生し難く、ドーナツリング状の不均質
部が発生せず、その結果として溶融ガラスの撹拌が速や
かに行える。翼の表面には流れをスムーズにするための
窪みや溝あるいは鱗状の模様に代表されるような特定形
状を繰り返すような凹凸を施すことも可能である。また
流れを妨げない範囲で孔を穿つことも可能である。さら
に特に浸食の激しい翼先端部のみに耐蝕性の異材質を被
覆したり、取り付けたりすることもできる。また、この
ような表面構造の変更を、溶融ガラスの流れを妨げない
範囲で複数選択して同時に採用することも可能である。
【0036】さらに、図4に本発明の溶融ガラス撹拌方
法で使用する溶融ガラス用スターラーを溶融ガラス炉内
に配置した代表的な配列状態を示す。図中4本の2条螺
旋翼スターラーは、溶融ガラスの流れを横切るように1
列に配置している。この溶融ガラス炉内における配列
は、図8に示すように、スターラーの配列及び本数とも
種々のパターンが可能であり、溶融するガラスの組成、
温度条件などの一連の操炉条件、炉の構造、必要とされ
るガラス品位などにより適宜変更が可能である。
【0037】また、溶融ガラス炉内に複数配列される2
条螺旋状スターラーは、必要に応じて、それぞれ個別に
耐熱材料の種類、螺旋翼の軸方向長さ、螺旋翼の半径、
リード角、螺旋翼表面の凹凸、穴、溝、窪み等の形状を
変更することができる。そしてそれは螺旋翼の軸方向の
長さが螺旋翼の半径の1.2倍〜10倍、より好ましく
は1.8倍〜7倍の範囲内であり、また螺旋翼のリード
角が22°〜58°、より好ましくは30°〜70°の
範囲内において変更が可能である。
【0038】なお、本発明の溶融ガラスの撹拌方法にお
いて使用する2条螺旋翼スターラーからなる撹拌装置
は、溶融ガラス炉内で他の溶融ガラス用均質化装置及び
方法と併用することによってさらにその効果を高めるこ
とができるため、必要に応じて種々の装置及び方法と組
合わせて併用することが可能である。
【0039】さらに、本発明の溶融ガラスの撹拌方法で
は、スターラーを回転させることにより生じるガラスの
上昇流あるいは下降流の流速あるいは流量をさらに大き
なものにするため、スターラーの周囲に耐火物を使用し
て囲いを構築したり、堰を設けたりすることで溶融ガラ
スの流量を絞り込むことが可能である。またその場合に
ガラス表面からのガラス成分の蒸発を抑制するために構
造体全体を囲う耐火性カバーを併設して、局所的な炉圧
調整をおこなう等の工夫も採用できる。
【0040】複数の溶融ガラススターラーの溶融ガラス
炉内における設置位置は、炉内のスターラー設置本数に
より種々の配置が可能であり、必要に応じて広範囲に分
散配置しても良く、また重要な一カ所に集中配置しても
よい。
【0041】また、本発明の溶融ガラスの撹拌方法で使
用するスターラーは、必要に応じ溶融ガラス炉内で溶融
ガラスに浸漬した状態で上下運動をすることによりガラ
ス溶融炉の深い箇所から浅い箇所まで広範囲な撹拌を実
現することが可能である。
【0042】さらに操炉条件により場合によっては、複
数あるスターラーの内の何本かの撹拌翼を溶融ガラス生
地表面上に引き上げたり、炉内におけるスターラー配置
の変更をガラスを溶融しながら高温状態でおこなうこと
も可能である。
【0043】また、本発明の溶融ガラス撹拌方法は、連
続生産用のガラス溶融炉を対象としたものであるが、必
要に応じてバッチ式の溶融炉、あるいは真空炉、還元雰
囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などの各種雰囲気を
使用する溶融雰囲気濃度を制御できる溶融炉や間接加熱
電気炉、全電融炉を含む各種電気炉などの加熱方法を異
とする溶融炉にも適用できる。
【0044】次に、本発明のガラス溶融炉の実施形態に
ついて図面を参照して説明する。図6には、バッチ式の
生産で使用するポット炉に本発明のガラス溶融方法を適
用したガラス溶融炉を示す。ポット炉は、ポット上部に
投入口を設け、原料を投入してガラスをポット下部より
流し出す構造となっている。具体的には、ガラス原料は
図中15に示した原料投入機により白金製ポット18内
に投入され、白金ポット18の近傍に設置された発熱体
16により加熱溶解後、充分泡切れするまで加熱され、
その後本発明で使用する溶融ガラススターラー10によ
り撹拌される。白金ポット外周近傍は、耐熱性煉瓦17
により熱的に遮蔽されているが、ポット18下部には溶
融後のガラスを流し出す白金製ノズル19が接続されて
おり、ノズルヒーター20によりノズル内のガラス塊を
加熱溶融することでポット内で溶融状態になっているガ
ラスを流出させることができる。
【0045】ガラス原料の投入方法としては、スクリュ
ーフィーダー、振動フィーダー、ブランケットフィーダ
ー、オシレーションバッチフィーダーなど必要に応じて
種々の方法を使用することが可能である。溶融ガラスス
ターラー10は、必要に応じて回転軸11方向に上下動
させることが可能であり、左右回転をプログラム制御に
よりおこなうことができるのは言うまでもない。また、
本件で説明したポット18は、スターラー10に比較し
て充分小さいため、1本のスターラーにより撹拌操作が
可能となるが、ポットサイズに応じて複数本のスターラ
ーを併用することもできる。ポット炉構造としては、本
件で図示した以外に2槽式のポット、全電融タイプのポ
ット炉、光学ガラスの溶解用ポット炉、2重坩堝構造の
ポットの撹拌用としても本撹拌方法は使用できる。
【0046】またポット18の材質としては、溶融する
ガラス材質によって種々変更が可能であり、その場合の
選択の基準としては、高温状態における構造的な強度、
ガラス材質に対しての浸食性、耐熱性、耐スポーリング
性などであり、選択できる材質は白金、白金−ロジウム
合金、等の白金族系の金属あるいはその合金以外に、ジ
ルコニアなどの強度補強成分を添加した白金属系の金
属、(アルミナ、ジルコニア等の)酸化物、窒化物、炭
化物あるいは複数のセラミックス成分を混合したファイ
ンセラミックス、炭素あるいは炭素繊維、金属添加炭素
材料、繊維強化金属(FRM)、繊維強化炭素(FR
C)、傾斜機能材料を構成部材として複数選択すること
も可能であり、高温部位と低温部位で異なる材料を使用
したり耐蝕性の必要とされる部位や高強度を要求される
部位で異なる材料を必要に応じて使い分けることも可能
である。また、ポット外周に使用される耐火煉瓦として
は、必要に応じて焼成煉瓦として珪石煉瓦、粘土質耐火
煉瓦、高アルミナ質煉瓦、炭化珪素質耐火煉瓦、クロム
煉瓦、マグネシア煉瓦、ドロマイト煉瓦、シリマナイト
質煉瓦、シアン化合物アルミナ質煉瓦、ムライト質煉
瓦、ジルコン質煉瓦、ムライト質煉瓦、アランダム質煉
瓦、不焼性煉瓦として黒鉛質煉瓦、炭化珪素黒鉛質煉
瓦、高アルミナ煉瓦、不定形耐火物としてキャスタブル
耐火物、プラスチック耐火物、耐火モルタルなどが使用
でき、さらに溶融石英煉瓦、各種ファイバーボード、不
定形耐火物繊維材料も使用可能であり、複数の材料の併
用が可能である。
【0047】また、加熱方法としては、本件で示した発
熱体による間接加熱による方式以外に発熱体による直接
通電方式、液体、固体、気体燃料の燃焼炎による直接・
間接加熱方式などを選択でき、複数の方法の併用が可能
である。さらに、ノズルヒーター20については、ノズ
ルヒーターのみの加熱で不十分な場合にはガス燃焼炎を
補助的に使用することもできる。また、白金製ノズル1
9から流出したガラスは、通常カーボン等のガラスと濡
れにくい材質を採用した型枠の中に鋳込み成形すること
によってインゴットを得ることが多いが、必要に応じて
プレス成型機と連動させたり、ダウンドロー成形機でロ
ッド成形をおこなったり、あるいは高速噴射炎中に落下
させて微細なガラスビーズ成形をおこなったりすること
が可能であり、必用に応じてそれ以外の成形方法を採用
することもできる。また本件では白金製ノズルはポット
中央部に1カ所だけであるが、これも必要に応じて複数
のノズルを取り付けて同時に多数の成形を平行しておこ
なうことも可能である。
【0048】図7には、連続生産で使用するタンク炉に
本発明のガラス溶融方法を適用したガラス溶融炉を示
す。ガラス原料は、図中21の原料投入口に設置した投
入用フィーダーからタンク炉の溶解室28に投入され、
ガス燃焼炎吹き出し口(ポート)27からのガス燃焼炎
により加熱されることで溶解する。そしてさらにガラス
化反応を促進するため溶解室内に設置した電極25から
直接通電をおこなうことでガラス生地温度を上昇させて
いる。その後、溶融ガラスはスロート30を経て清澄室
29に流れ込み、さらにガラス中に残存する微細な気泡
を清澄すると同時に溶融ガラス生地の均質化の一助とす
べく清澄室の下部に設置してあるバブリング用ノズル2
4よりバブリングをおこなっている。清澄後の溶融ガラ
スは、フィーダー22において本発明の溶融ガラススタ
ーラー10がガラス流れ方向Sに対して垂直方向に1列
に6本並んだゾーンに流れ込み、交互に左右逆方向に回
転しているスターラー10によって均質化される。均質
化されたガラスはガラス取り出し口23から成形ゾーン
へ流れていくことになる。溶融ガラススターラー10
は、必要に応じて回転軸11方向に上下動させることが
可能であり、回転方向、回転数などをプログラム制御に
よりおこなうことができ、その配列については図8の1
0に示したような種々の配列が可能であり、スターラー
の本数も必要に応じて増減が可能である。また本件のガ
ラス溶融炉ではスターラー以外の均質化のための撹拌装
置、即ちパドラー、ブレンダー、ローター、チューブ等
との併用が可能である。
【0049】また、使用する耐熱煉瓦17は、溶融する
ガラスの材質及びタンク炉の構造部位によって種々の材
質の選択が可能であり、前述したように焼成煉瓦として
珪石煉瓦、粘土質耐火煉瓦、高アルミナ質煉瓦、炭化珪
素質耐火煉瓦、クロム煉瓦、マグネシア煉瓦、クロマグ
煉瓦、ドロマイト煉瓦、シリマナイト質煉瓦、シアン化
合物アルミナ質煉瓦、アルミナジルコニアシリカ質煉
瓦、酸化クロム煉瓦、ムライト質煉瓦、ジルコン質煉
瓦、ムライト質煉瓦、アランダム質煉瓦、不焼性煉瓦と
して黒鉛質煉瓦、炭化珪素黒鉛質煉瓦、高アルミナ煉
瓦、不定形耐火物としてキャスタブル耐火物、プラスチ
ック耐火物、耐火モルタルなどが使用でき、さらに溶融
石英煉瓦、各種ファイバーボード、不定形耐火物繊維材
料も使用可能であり、複数の材料を必用部位に併用する
ことができる。
【0050】また、特に構造上浸食されやすく耐蝕性が
問題になる場合には、白金などの金属を内張することで
保護することも可能である。またガラス溶融炉の構造に
ついても上記で示した構造以外に例えば溶解室と清澄室
が耐火物障壁により明確に分割されていない構造であっ
ても良く、また一つの溶解室に複数のフィーダーがそれ
ぞれ成形ゾーンにつながるように接続している構造も可
能である。
【0051】また、コールドトップタイプの全電融炉や
電気を使用しないガス燃焼のみで溶解するタイプの炉に
も使用できる。また燃焼炎の燃料としては重油などの液
体、カーボンなどの固体、天然ガスや酸素などの気体を
使用でき、複数の燃料を併用した燃焼炎を利用すること
もできる。また成形ゾーンでは製造する製品形態に応じ
た成形方法、例えば板ガラスならばロール成形、フュー
ジョン成形、フロート成形、スロットダウンドロー成
形、管ガラスならばダウンドロー成形、ダンナー成形、
ベロ成形、ブラウン管用ならばプレス成形、光学部品な
らば低温モールド成型、鋳込み成形、ファイバー用なら
ばブッシング成形、火炎吹飛ばしによるステープル法、
遠心力成形、吹きつけ法、容器ならばプレス成形、ブロ
ー成形を採用することができそれ以外にも必要に応じて
特殊な成型法と組み合わせることは可能であり、成形後
の徐冷または冷却ゾーンについても成形ゾーン同様に製
品に応じた徐冷または冷却が可能である。
【0052】
【実施例】以下、本発明の溶融ガラスの撹拌方法につい
ての実施例及び比較例に基づいて詳細に説明する。
【0053】
【表1】
【0054】(実施例)図4は本発明の溶融ガラスの撹
拌方法により溶融ガラス中に4本のスターラーを一列に
併設した場合について、ガラス溶融炉内で上から見たガ
ラス生地の流れを表している。図中M、N、P、Qの位
置にはいずれも2条螺旋翼スターラ10が設置されてお
り、翼の回転方向は交互に逆方向で回転している。炉内
8カ所の流れの上手からSの方向に帯状の着色したガラ
スを溶融ガラス中に流し、炉内をリボン状に流れてきた
帯状の着色ガラスが4本のスターラーによって巻き込ま
れて混合されるかどうかを8本の内何本のガラスリボン
が混合されるかを混合率として観察して比較することに
よって撹拌の効果を確認した。一方、図5(A)には8
本のガラスリボンが全てM、N、P、Qの位置にある2
条螺旋翼スターラで混合される場合を表し、この場合混
合率は、100%である。他方、図5(B)には8本の
着色したガラスリボンが上手よりM、N、P、Qの位置
にある1条螺旋翼スターラの方向に流れて行くが、8本
の内、着色ガラスリボン2本がスターラーに取り込まれ
ることなくスターラーの横をすり抜けている。このため
混合率は75%になる。
【0055】表1に示すように、No.1の条件では、
プラズマディスプレイ用のガラスを使用し、本発明の撹
拌方法で使用する2枚の螺旋翼を有するスターラーを図
4の同配置とし、回転方向も図4と同じ条件で回転数を
25rpm、リード角を40°、翼軸方向長さHと翼半
径長さLの比を2とした場合、8本の着色リボン状ガラ
スは全てスターラーに取り込まれ、混合率は100%と
なった。またNo.2〜6の条件では、リード角を22
°〜57°に変更した場合について調査したが、いずれ
も混合率は100%あった。No.7、8では翼軸方向
長さHと翼半径長さLの比を1.5、2.3としたがい
ずれも混合率は、100%である。また、No.9、1
0ではスターラーの回転数を20、35rpmとした
が、いずれも混合率は100%となり、均質化のレベル
は充分高いものである。
【0056】
【表2】
【0057】(比較例)一方、表2に示すように、比較
例のNo.11では、実施例と同じ条件のガラス、撹拌
装置を使用しリード角が20°の場合は、8本の着色リ
ボン状ガラスの内2本がスターラー横をすり抜けてしま
い、混合率は75%と低い値となった。一方、No.1
2ではリード角が65°の場合については、8本の内1
本がすり抜けたため混合率は88%となり充分な均質性
が得られない。また、No.13、14では翼軸方向長
さHと翼半径長さLの比を0.5、1とした場合につい
て調べたところ、混合率は75%となり充分な均質性が
得られていない。No.15では螺旋翼が1枚の1条螺
旋翼について調べたが、混合力が非常に弱く63%とい
う結果であり、均質性は不十分なものである。
【0058】
【発明の効果】上記の構造を有する溶融ガラス用スター
ラーを使用する撹拌方法により溶融ガラス中に効果的な
上下方向の流れを生じさせることができるため、不均質
ガラスを確実にスターラーに取り込んで撹拌することが
できる。またこの撹拌方法を適用したガラス溶融炉は、
特に単位製品当たりの容積が大きいガラス製品を撹拌す
る溶融炉として好適なガラス溶融炉である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の撹拌方法に使用するスターラーの説明
図。
【図2】1条螺旋翼スターラーと対比して本発明の撹拌
方法で使用する2条螺旋翼スターラーの構造を示す説明
図。
【図3】螺旋翼のリード角の説明図。
【図4】本発明の2条螺旋翼スターラー4本をガラス溶
融炉中に配置した説明図であって、(A)は斜視図、
(B)は平面図。
【図5】2条螺旋翼に取り込まれる溶融ガラス流れの説
明図であって、(A)は本発明の模式図、(B)は1条
螺旋翼に取り込まれない溶融ガラス流れの模式図。
【図6】本発明の溶融ガラスの撹拌方法を採用したバッ
チ式生産を行う本発明のガラス溶融炉の説明図。
【図7】本発明の溶融ガラスの撹拌方法を採用した連続
生産を行う本発明のガラス溶融炉の説明図であって、
(A)は平面図、(B)は側面図。
【図8】複数本の2条螺旋翼スターラーを種々の位置に
配置する本発明のガラス溶融炉の配置図。
【図9】従来のへリカルリボン翼をもつスターラーの説
明図。
【符号の説明】
5、12、13 螺旋翼 10 2条螺旋翼スターラー 11 回転軸 12a、13a 螺旋翼の内周端 14 溶融ガラス r 螺旋翼の回転軸を中心とする半径 H 螺旋翼の回転軸方向長さ L リード β リード角 M、N、P、Q 本発明の溶融ガラス用スターラーの配
置位置 S ガラス生地の流れ方向

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐熱材料からなるスターラーの撹拌翼を
    溶融ガラス中に浸漬して回転させることにより該溶融ガ
    ラスを撹拌する溶融ガラスの撹拌方法において、 前記スターラーが、内周端を回転軸の外周に固着して対
    向配置された2枚の螺旋状の撹拌翼を有し、該撹拌翼の
    軸方向長さが撹拌翼の半径の1.2倍以上であり、且つ
    該撹拌翼のリード角が22°〜58°であり、該スター
    ラーが具備する撹拌翼を溶融ガラス中に浸漬し回転させ
    て溶融ガラス中に生じる上昇流または下降流により該溶
    融ガラスを撹拌することを特徴とする溶融ガラスの撹拌
    方法。
  2. 【請求項2】 撹拌翼の軸方向の長さが該撹拌翼の半径
    の1.8倍以上であり、且つ該撹拌翼のリード角が30
    °〜50°であるスターラーを使用することを特徴とす
    る請求項1に記載の溶融ガラスの撹拌方法。
  3. 【請求項3】 原料投入口および溶融ガラス取出口を備
    えて溶融ガラスを収容するポットと、該ポットの周辺に
    設けられた加熱手段と、耐熱材料からなり回転軸に撹拌
    翼を有して前記ポットに収容された溶融ガラス中に撹拌
    翼を浸漬して回転させることにより該溶融ガラスを撹拌
    するスターラーとを有するガラス溶融炉において、 前記スターラーが、内周端を回転軸の外周に固着して対
    向配置された2枚の螺旋状の撹拌翼を有し、該撹拌翼の
    軸方向長さが撹拌翼の半径の1.2倍以上であり、且つ
    該撹拌翼のリード角が22°〜58°であり、該スター
    ラーを前記ポットに収容された溶融ガラス中に撹拌翼を
    浸漬した状態に配設していることを特徴とするガラス溶
    融炉。
  4. 【請求項4】 ガラス原料を溶解する溶解室と、該溶解
    室からスロート部を通じて導入される溶融ガラスの気泡
    を取り除く清澄室と、該清澄室から流出する溶融ガラス
    を成形部に供給するフィーダー部とを有するガラス溶融
    炉において、 前記スターラーが、内周端を回転軸の外周に固着して対
    向配置された2枚の螺旋状の撹拌翼を有し、該撹拌翼の
    軸方向長さが撹拌翼の半径の1.2倍以上であり、且つ
    該撹拌翼のリード角が22°〜58°であり、該スター
    ラーを前記清澄室とフィーダー部との間の溶融ガラス中
    に撹拌翼を浸漬した状態に配設していることを特徴とす
    るガラス溶融炉。
  5. 【請求項5】 スターラーが、撹拌翼の軸方向の長さが
    該撹拌翼の半径の1.8倍以上であり、且つ該撹拌翼の
    リード角が30°〜50°であることを特徴とする請求
    項3または4に記載のガラス溶融炉。
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