JP2003071613A - 切削工具 - Google Patents

切削工具

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JP2003071613A
JP2003071613A JP2001265014A JP2001265014A JP2003071613A JP 2003071613 A JP2003071613 A JP 2003071613A JP 2001265014 A JP2001265014 A JP 2001265014A JP 2001265014 A JP2001265014 A JP 2001265014A JP 2003071613 A JP2003071613 A JP 2003071613A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた耐欠損性を有し、クランプ部に発生す
る欠損を抑制することで刃先部のぶれを防止して長寿命
を実現できる切削工具を提供する。ことを特徴とする。 【解決手段】 表面に脱β層3を有すると共に、取付孔
が設けられた超硬合金の切削工具である。取付孔の内壁
部Yにおける脱β層の平均厚みをy、すくい面から逃げ面
方向に沿って60μmを超えて200μm以内の範囲を第1領
域とし、この第1領域における脱β層の平均厚みをa、
逃げ面からすくい面方向に沿って80μmを超えて500μm
以内の範囲を第2領域とし、この第2領域における脱β
層の平均厚みをcとするとき、y>aかつy>cとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超硬合金基材を持
つ切削工具に関するものである。特に、ホルダーヘのク
ランプ時における着座面の衝撃吸収性を改善し、切削時
の工具のぶれを抑えて耐欠損性を改善できる切削工具に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、超硬合金製の切削工具が広く
知られ、切削工具の使用環境がますます苛酷になるのに
伴い、超硬合金基材の表面に化学蒸着法や物理蒸着法で
各種セラミックスの硬質層を形成した切削工具も実用化
されている。特に、切削チップをホルダに固定して切削
を行うスローアウェイタイプの切削チップが広く用いら
れている。これらの工具寿命を左右する重要な因子に
は、工作機械の剛性やホルダーのクランプ方式が挙げら
れると考えられており、工作機械やホルダーの観点から
もいろいろな検討、改善がなされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、工作機械の剛
性を上げたり、ホルダーの改善をしても、断続切削等の
過酷な切削環境下においては、チップのクランプ着座面
に負担がかかり、微少チッピングが生じたり、クランプ
着座面が塑性変形を起こすことがある。それに伴って刃
先部にぶれが生じ、チップの損傷を引き起こすという問
題が生じている。
【0004】また、現在、基材表面にAl含有被覆層を設
けた工具が広範囲で使用されているが、このAl含有被覆
層はクランプ時に欠損が起こりやすくなるという問題点
がある。この場合も、やはり被覆層の欠損に伴って刃先
部にぶれが生じる要因の一つとなる。
【0005】従って、本発明の主目的は、優れた耐欠損
性を有し、クランプ部に発生する欠損を抑制することで
刃先部のぶれを防止して長寿命を実現できる切削工具を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、切削工具の部
位によって脱β層の厚みをコントロールすることで、上
記の目的を達成する。
【0007】すなわち、本発明切削工具は、表面に脱β
層を有すると共に、取付孔が設けられた超硬合金の切削
工具である。すくい面から逃げ面方向に沿って60μmを
超えて200μm以内の範囲を第1領域とし、この第1領域
における脱β層の平均厚みをa、逃げ面からすくい面方
向に沿って80μmを超えて500μm以内の範囲を第2領域
とし、この第2領域における脱β層の平均厚みをcとす
るとき、y>aかつy>cとなることを特徴とする。
【0008】本発明者らは、切削寿命安定性にとって重
要な因子であるチップとホルダーとの固定に対する安定
性を向上するために、様々な検討を行ってきた。
【0009】通常、脱β層を形成する超硬合金を焼結し
た場合、脱β層は基材表層に均一な厚みで形成されるこ
とが知られている。この脱β層は、Coリッチの靭性に富
んだ層であり、切削時に被削材との間に生じる衝撃を吸
収し、欠損を抑制する機能を果たしている。しかし、脱
β層が厚すぎると、切削時に十分な硬度が得られないた
め、弾性変形を引き起こし、ついには塑性変形による亀
裂から欠損に至る。また、脱β層が薄い、もしくは無い
と、切削時の衝撃力に耐えきれず、チッピングが生じ、
欠損に至るといった特徴を有している。
【0010】本発明者らは、以上に示した脱β層の特徴
に着目し、切削工具の部位による脱β層の厚みをコント
ロールすることで、切削性能(耐摩耗性、耐欠損性)と
寿命安定性とを両立させることに成功した。以下、本発
明の構成を詳細に説明する。
【0011】この発明において、刃先稜線部は図1に示
す通りである。すなわち、刃先断面において、すくい面
1と逃げ面2との稜線で切刃を構成する部分を刃先稜線部
Bとする。これら逃げ面、刃先稜線部、すくい面の各部
の表面に脱β層3が形成されている。
【0012】刃先稜線部Bは、刃先のチッピング等を防
止するために施されるエッジホーニング部を含む。エッ
ジホーニングには、丸ホーニングやチャンファーホーニ
ングの他、チャンファーホーニングに丸ホーニングを組
み合わせたコンビネーションホーニングがある。通常、
エッジホーニング部は脱β層が除去されている。
【0013】(取付孔の内壁部Yにおける脱β層の厚み
y)取付孔の内壁部はチップをホルダに固定するための
ボルトが貫通される個所であり、切削時に生じる衝撃を
吸収して欠損を抑制する必要がある。一方、切削抵抗の
作用する刃先稜線部周辺は耐欠損性だけでなく高い耐摩
耗性も要求される。そこで、本発明では、刃先稜線部周
辺の脱β層の厚みを取付孔内壁部の脱β層の厚みよりも
薄くしてホルダへのチャッキングに伴う取付孔周辺での
変形・欠損を抑制すると共に、刃先稜線部の耐摩耗性も
両立している。
【0014】ただし、内壁部Yにおける脱β層が厚すぎ
ると切削時に十分な硬度が得られず、弾性変形を引き起
こし、ついには塑性変形による亀裂から欠損に至る。そ
のため、ホルダーとのチャッキング性を安定化させる観
点から、取付孔内壁部の脱β層の厚みは10<y<50μmが
好ましい。脱β層の厚みがy≦10であると、切削時にホ
ルダーとのチャッキング部で衝撃が吸収しきれずに負荷
がかかり、取付孔上部付近に欠損が生じることから著し
く切削寿命が劣る。逆にy≧50であると、チャッキング
部への断続的な負荷により、弾性変形を生じて固定があ
まくなり、チップが微少移動することより切削寿命が短
くなる。
【0015】(逃げ面側の第1領域における脱β層の厚
みa)第1領域は、逃げ面側においても実質的に切削抵
抗が作用する範囲を基準に、すくい面から逃げ面に沿っ
て60μmを超えて200μm以内の範囲とした。すくい面か
ら逃げ面に沿った距離は、図1に示す距離Aとする。従っ
て、第1領域は、距離Aが60μmの地点と、距離Aが200μ
mの地点との差を言う。
【0016】この第1領域における脱β層の厚みは、5
≦a<25μmであることが好ましい。脱β層の厚みがa≧2
5である場合、十分な耐摩耗性を得ることが難しく、逆
にa<5であると、逃げ面側の靭性が低下するため、切刃
稜線部から逃げ面にかけて微少チッピングが発生する。
【0017】また、第1領域における脱β層の厚みは、
y−a≧2、特にy−a≧5であることが好適である。取付孔
内壁部における脱β層の厚みとの関係が前記の関係式を
満たすことで、耐摩耗性と耐クレータ性およびクランプ
性が向上する。
【0018】(すくい面側の第2領域における脱β層の
厚みc)第2領域は、すくい面側においても実質的に切
削抵抗が作用して切り屑が接触する範囲を基準に、逃げ
面からすくい面に沿って80μmを超えて500μm以内の範
囲とした。逃げ面からすくい面に沿った距離は、図1に
示す距離Cを示す。従って、第2領域は、距離Cが80μmの
地点と、距離Cが500μmの地点との差を言う。
【0019】この第2領域における脱β層の厚みは、5
<c<20μmであることが好ましい。脱β層の厚みがc<5
である場合、逃げ面と同様、母材の靭性が低下すること
から切削時にすくい面に欠けが生じ易い。逆にc>20で
あると、母材の弾性変形によって亀裂が発生したり、耐
クレータ性の劣化が顕著になる。
【0020】この第2領域の脱β層の厚みcは第1領域
のその厚みaよりも薄いこと、つまりa>cであることが
好ましい。c≧aであると、逃げ面摩耗より母材の欠損が
生じ易く、すくい面側の耐クレータ性が悪くなって切削
寿命が短くなる。
【0021】また、第2領域における脱β層の厚みは、
y−c≧2、特にy−c≧5であることが好適である。取付孔
内壁部における脱β層の厚みとの関係が前記の関係式を
満たすことで、耐摩耗性と耐クレータ性およびクランプ
性が向上する。
【0022】(刃先稜線部の脱β層の厚みb)刃先稜線
部の脱β層の厚みはb=0であることが好ましい。b≠0で
あると、切削時に刃先稜線部の耐摩耗性が維持できなく
なることより、異常摩耗の原因となる。通常、刃先稜線
部の脱β層は刃先処理を施す際に除去される。
【0023】(脱β層の厚み調整方法)脱β層のチップ
全体の厚み調整は焼結条件により調整することができ
る。例えば、真空雰囲気下または一定圧力の窒素雰囲気
下で1350〜1500℃にて数十分〜1時間前後程度の範囲と
し、組成、真空度、窒素圧力、保持時間を制御すること
で脱β層の厚みを調整できる。
【0024】また、チップの各部における脱β層の厚み
を調整するには研摩が好適である。前記焼結条件の制御
による脱β層の厚み調整はチップ全体にわたっての厚さ
制御しかできないが、研摩によれば工具の部位ごとに厚
さ制御を行うことができる。より具体的な研摩方法とし
ては、ブラシやブラストにより工具の各部位を選択的に
研摩することが挙げられる。
【0025】なお、刃先処理の方法として、焼結後の母
材にバレル研摩を施すことが知られている。しかし、刃
先処理で行われるバレル研摩では平面に対する研削力が
ほとんどなく、刃先部分のみに研摩が行われ、工具の特
定の部位のみ選択的に脱β層の厚みを調整することは難
しい。
【0026】(刃先処理量との関係)すくい面から見た
刃先稜線部のすくい面側境界部からの刃先処理量をα、
逃げ面から見た刃先稜線部の逃げ面側境界部からの刃先
処理量をγとするとき(図1参照)、αとγ(単位はμ
m)の関係が1≦α/γ≦2(40≦α≦80,40≦γ≦60)で
あることが好ましい。α/γ<1であると、逃げ面側の処
理量が大きくなることから、耐摩耗性が著しく低下す
る。また、α/γ>2であると、切れ刃強度が低下するた
め耐欠損性が著しく低下し、切削時に刃先稜線部の欠け
による損傷が増加するためである。
【0027】(切削工具の母材)本発明工具の母材は超
硬合金とする。すなわち、WCを主成分とする硬質相と、
鉄族金属からなる結合相とからなる超硬合金とする。硬
質相には、周期律表のIVa,Va,VIa族金属の炭化物、窒
化物、酸化物、硼化物の少なくとも一種を適量含有させ
る。
【0028】(被覆層)本発明工具は母材上に少なくと
も一層の硬質層を被覆することが好ましい。硬質層を設
けることで高速切削等の過酷な切削環境においても優れ
た切削性能を示す。この硬質層は、周期律表のIVa,V
a,VIa族金属とAlおよびSiよりなる群から選択される少
なくとも一種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素よ
りなる群から選択される少なくとも一種の非金属元素と
の化合物からなるものが好適である。より具体的には、
TiC、TiN、TiCN、TiB2、TiBN、ZrC、ZrO2、HfC、HfN、A
l2O3、SiC、SiO2、Si3N4などが挙げられる。
【0029】特に、硬質層にアルミナ(Al2O3)層を含
むことが好ましい。アルミナ層は耐熱性を向上させ、耐
クレータ性を向上させるため、高速のドライ切削のよう
な刃先部が高温になる過酷な切削環境においても、優れ
た切削性能を有する。また、アルミナは鋼との反応性が
低く溶着が生じ難いため、溶着から生じる被覆層の剥離
を効果的に抑制できる。このアルミナ層は実質的にα型
結晶形態であることが好適である。α型アルミナはκ型
アルミナに比べて高温安定型の結晶構造であり、一層耐
摩耗性に優れる。
【0030】硬質層の平均総厚みは3μm以上が好まし
い。被覆層の厚みが3μm未満では被覆層を形成すること
による耐摩耗性の改善効果が少ないからである。特に、
3μm以上のアルミナ層を設けることで耐熱性が著しく向
上し、耐クレータ摩耗性が向上する。
【0031】このような被覆層は公知のCVD法またはPVD
法により形成すれば良い。
【0032】(工具の用途)本発明切削工具の具体的用
途例には、エンドミル、切削用のチップ、フライス用の
チップ、旋削用のチップなどが挙げられる。
【0033】(被削材)本発明切削工具が特に有効な被
削材としては、低炭素鋼、中炭素鋼、高炭素鋼などの鋼
一般の他、特に溶着の生じやすいダクタイル鋳鉄、ステ
ンレスなどが挙げられる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。 (試験例1)WC−2%TaC−2%TiC−3%ZrCN−6%Co(いず
れも重量%)からなる原料粉末をボールミルで72時間湿
式混合し、乾燥した後、ISO・CNMG120408の形状の圧粉
体にプレス成型し、真空雰囲気中で焼結温度1450℃、保
持時間1時間または5〜50Torrの窒素雰囲気下で焼結を行
なって母材を作製した。次に、母材の刃先部全体に刃先
処理としてホーニング処理を施し、この後、チップの部
位ごとに研摩処理することで脱β層の研磨処理を施し
た。この刃先処理の処理量比α/γは1.5とした。チップ
における刃先稜線部、第1領域、第2領域、取付孔内壁部
の各部位は図1に示した通りである。
【0035】このようにして作製した母材の各部におけ
る脱β層の厚さを表1に示す。表1におけるa、cは、いず
れも第1領域の範囲をすくい面から逃げ面方向に沿って
60μm超200μm以内、第2領域の範囲を逃げ面からすく
い面方向に沿って80μm超500μm以内とした場合の脱β
層の平均厚みを示している。刃先稜線部の脱β層の厚み
は全て0である。
【0036】
【表1】
【0037】上述のように作製したCNMG120408チップに
刃先処理を施し、次の切削条件で一定時間(<1min)
断続切削を行うことで耐欠損性の試験を行った。その結
果を表2に示す。 被削材:SCM435 溝付き丸棒 速度V:80m/min 送り量f:0.18mm/rev 切り込み量d:2.0mm 切削方式:乾式
【0038】
【表2】
【0039】その結果、表2から明らかなように、本発
明切削工具を用いて切削を行った場合、取付孔上部のチ
ッピングが抑制され、刃先部の耐欠損性が向上している
ことがわかる。特に、y>a、y>cの少なくとも一方を満
たさない比較例は、短時間で欠損もしくは定時間削った
チップの刃先部、取付孔上部を観察した際にチッピング
が生じており明らかな差が確認された。
【0040】さらに、表1の母材上に通常のCVD法(従来
と同様の所定の温度、ガス、圧力条件)により硬質層を
被覆する。硬質層は、最内側から順にTiN(0.5)、TiCN(1
0)、Al2O3(3.0)、TiN(1.0)とした。括弧内の数値は各層
の厚みで単位はいずれもμmである。
【0041】上記のチップを用いて、以下の表3に示す
条件にて連続切削試験を行い、逃げ面の摩耗量とすくい
面のクレータ摩耗量の測定及びチッピングの有無を調べ
た。また、以下の表4に示す条件で断続切削を行って、
欠損までの時間を測定した。これらの結果を表5に示
す。
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】表5から明らかなように、本発明切削工具
を用いて切削を行った場合、優れた耐逃げ面摩耗性、耐
クレータ摩耗性及び耐欠損性、耐チッピング性が得られ
る。このため、切削工具の寿命を安定して飛躍的に向上
させることが可能である。また、試験後、各試料を観察
してみると、y>a、y>cの少なくとも一方を満たさない
比較例は、取付孔上縁部にもチッピングや欠損が生じて
いたが、実施例は取付孔上縁部にも全くチッピングや欠
損が生じていなかった。これらのことから、y>a、y>c
の双方を満たす工具が好ましく、さらにはa>cを満たす
工具が好ましいことがわかる。
【0046】(試験例2)次に、さらに詳しくy、a、c
の厚みの関係について調べてみた。試験例1と同様組成
・方法により複数の母材を作製し、下記の被覆層を形成
したチップを得た。得られた試料を表6に示す。表6にお
いて、硬質層に酸化アルミニウム(Al2O3)を含むもの
は、試料23を除いてα型酸化アルミニウムである。
【0047】(硬質層)括弧内の数値は各層の厚さで単位
はいずれもμmである。また、左側から右側に向かって
内層から外層への積層順を示している。 TiN(0.5)、TiCN(10)、Al2O3(3.0)、TiN(1.0) 総厚
み 14.5 TiN(0.5)、ZrCN(10)、Si02(3.0)、TiN(1.0) 総厚
み 14.5 TiN(0.5)、TiCN(10)、Al2O3 (3.0)、TiN(1.0) 総
厚み 14.5 TiN(0.5)、TiCN(1.0)、Al2O3(1.0)、TiN(0.2) 総
厚み 2.7 TiN(0.5)、TiCN(1.5)、Al2O3(1.0)、TiN(0.5) 総
厚み 3.5 Al2O3 :κ型酸化アルミニウム
【0048】(刃先処理量) すくい面から見た刃先稜線部のすくい面側境界部からの
刃先量:α=80μm 逃げ面から見た刃先稜線部の逃げ面側境界部からの刃先
量:γ=40μm α/γ=2
【0049】
【表6】
【0050】表6に示す試料チップを用いて、試験例1と
同様に上記表3に示す条件にて連続切削試験を行い、逃
げ面の摩耗量とすくい面のクレータ摩耗量の測定及びチ
ッピングの有無を調べた。また、試験例1と同様に上記
表4に示す条件で断続切削を行って、欠損までの時間を
測定した。これらの結果を表7に示す。
【0051】
【表7】
【0052】表6及び7から明らかなように、y≧a+2、y
≧c+2、かつ10<y<50、5≦a<25、5<c<20のとき
に、より優れた耐逃げ面摩耗性、耐クレータ摩耗性、及
び耐欠損性、耐チッピング性が得られる。特に、この試
験を通して以下のことが分かった。
【0053】(1) 10<yであると、耐欠損性により優れ
る。 (2) y<50であると、ホルダーに対するチャッキング性
により優れる。 (3) 5≦aであると、微少チッピングが生じにくく、耐
チッピング性により優れる。 (4) a<25であると、耐摩耗性により優れる。 (5) 5<cであると、すくい面に欠けが生じにくく、耐
欠損性により優れる。 (6) c<20であると、亀裂が生じにくく、耐クレータ摩
耗性により優れる。 (7) a>cであると、耐欠損性及び耐クレータ摩耗性に
より優れる。
【0054】硬質層にκ型酸化アルミニウム膜を具える
試料3-23よりも、α型酸化アルミニウム膜を具える試料
3-11の方がより耐クレータ摩耗性により優れることが確
認できた。このことから、酸化アルミニウム膜は、α型
がより望ましいことが分かる。
【0055】硬質層の総厚さが2.7μmである試料3-24よ
りも、総厚さが3.5μmである試料3-25の方が耐クレータ
摩耗性により優れることが確認できた。このことから、
硬質層の総厚さは、3.0μm以上がより望ましいことが分
かる。
【0056】(試験例3)また、表6の試料11において
すくい面から見た刃先稜線部のすくい面側境界部からの
刃先量αと逃げ面から見た刃先稜線部の逃げ面側境界部
からの刃先量γとを変えて上記と同様に試験を行った。
その結果、α/γ≧1であると、耐摩耗性により優れるこ
とが確認された。また、α/γ≦2であると、耐欠損性に
より優れることが確認された。特に、40μm≦α≦80μ
m、40μm≦γ≦60μmの場合が好ましかった。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明切削工具に
よれば、脱β層の厚さを工具の部位に応じて調整し、刃
先稜線部周辺の脱β層の厚さと取付孔における脱β層の
厚さとの関係を特定することで、優れた耐欠損性を有す
るだけでなく、チップ装着時の着座面の衝撃吸収性を向
上させることで、さらに安定した寿命を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明切削工具の縦断面図である。
【符号の説明】
1 すくい面 2 逃げ面 3 脱β層

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に脱β層を有すると共に、取付孔が
    設けられた超硬合金の切削工具であって、 前記取付孔の内壁部Yにおける脱β層の平均厚みをy、 すくい面から逃げ面方向に沿って60μmを超えて200μm
    以内の範囲を第1領域とし、この第1領域における脱β
    層の平均厚みをa、 逃げ面からすくい面方向に沿って80μmを超えて500μm
    以内の範囲を第2領域とし、この第2領域における脱β
    層の平均厚みをcとするとき、 y>aかつy>cとなることを特徴とする切削工具。
  2. 【請求項2】 刃先稜線部Bにおける脱β層の厚みをbと
    するとき、 各部位における脱β層の厚みが、10<y<50,5≦a<2
    5,5<c<20(単位はμm)であり、 a、b、c、yの関係がy−a≧2,y−c≧2,b=0,a>cを満
    たすことを特徴とする請求項1に記載の切削工具。
  3. 【請求項3】 y−a≧5,y−c≧5,b=0,a>c(10<y
    <50,5≦a<25,5<c<20)の関係を満たすことを特
    徴とする請求項1または2に記載の切削工具。
  4. 【請求項4】 すくい面から見た刃先稜線部のすくい面
    側境界部からの刃先処理量をα、逃げ面から見た刃先稜
    線部の逃げ面側境界部からの刃先処理量をγとすると
    き、αとγ(単位はμm)の関係が1≦α/γ≦2(40≦α
    ≦80,40≦γ≦60)であることを特徴とする請求項1〜3
    のいずれかに記載の切削工具。
  5. 【請求項5】 さらに工具表面に少なくとも一層の硬質
    層が被覆され、 この硬質層は、周期律表のIVa,Va,VIa族金属とAlおよ
    びSiよりなる群から選択される少なくとも一種の元素
    と、炭素、窒素、酸素および硼素よりなる群から選択さ
    れる少なくとも一種の非金属元素との化合物からなるこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の切削工
    具。
  6. 【請求項6】 硬質層にアルミナ層を含むことを特徴と
    する請求項5に記載の切削工具。
  7. 【請求項7】 アルミナ層が実質的にα型結晶形態であ
    ることを特徴とする請求項6に記載の切削工具。
  8. 【請求項8】 硬質層の平均総厚みが3μm以上であるこ
    とを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の切削工
    具。
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WO2023189127A1 (ja) * 2022-03-28 2023-10-05 京セラ株式会社 超硬合金およびこれを用いた被覆工具、切削工具

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