JP2003070789A - 超音波ドプラ診断装置 - Google Patents

超音波ドプラ診断装置

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JP2003070789A
JP2003070789A JP2001266426A JP2001266426A JP2003070789A JP 2003070789 A JP2003070789 A JP 2003070789A JP 2001266426 A JP2001266426 A JP 2001266426A JP 2001266426 A JP2001266426 A JP 2001266426A JP 2003070789 A JP2003070789 A JP 2003070789A
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ultrasonic
frequency
spectrum
angle
observation
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JP2001266426A
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Yuji Kondo
祐司 近藤
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Aloka Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 超音波ドプラ法を用いて血流速度を測定する
際に、構成が簡単で、且つ容易に角度補正を行うことが
できる超音波ドプラ診断装置を提供すること。 【解決手段】 超音波ドプラ診断装置100は、ある超
音波ビームに対応した元受信信号を受け取り、複数の受
信信号を生成する受信信号入力ユニット102、各受信
信号のドプラ周波数解析を行う受信信号解析ユニット1
04、波数解析結果から交差角度を演算する角度推定ユ
ニット106、ビーム軸方向に対応するドプラ周波数Δ
fcと交差角度θとに基づき真の血流速度を求める血流
速度演算部108とからなる。受信信号解析ユニット1
04は、受信信号に対応した複数のドプラ周波数のスペ
クトルごとに観測周波数を特定し、それら観測周波数を
もとに、角度推定ユニット106は血流に対する超音波
ビームの交差角度を演算する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は超音波ドプラ診断装
置に関し、特に血流速度を正確に測定する超音波ドプラ
診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】血管内の血流の速度を測定する方法とし
て、超音波ドプラ法が知られている。この方法において
は、まず血流に対してある入射角度をなす超音波が送波
され、血流から反射された超音波エコーが受波される。
そして、送波した超音波の周波数に対して、反射された
超音波エコーの周波数の偏移分であるドプラ偏移周波数
が検出され、これにより血流の速度が演算される。
【0003】しかし、上記の測定で得られるのは、血流
に対する超音波ビームの交差角度(入射角度)に依存し
た速度成分である。真の血流速度を求めるためには、入
射角度を特定し、その入射角度に基づいて血流速度の大
きさを補正する必要がある。そこで、従来においては、
ユーザがマニュアルで血流方向を画像上で決定し、超音
波の入射角度を入力する方法がとられていた。この従来
手法によると、血流速度の測定ごとに画像上にて血流方
向を指定しなければならず、煩雑である。また、リアル
タイムで血流速度の大きさを求めることができない。
【0004】そこで、専用の2つの超音波探触子を利用
し、同じ測定点に対して異なる入射角度にて超音波を送
波し、2方向から反射波を受け、これにより血流速度の
大きさを測定する方法が提案されている。
【0005】この方法を図11を用いて説明する。超音
波探触子151、152は、血流に対してそれぞれの超
音波探触子151,152から生成される超音波ビーム
153,154の入射角度が異なるように配置される。
超音波ビーム153、154の血流に対する入射角度は
それぞれθ1,θ2で表わされる。超音波ビーム15
3,154に対するドプラ周波数を測定する際には、二
つの入射角度θ1,θ2の相対角度Δθ=θ1−θ2の
みがあらかじめわかっている。
【0006】送信周波数f、音速c、真の血流速度の大
きさをvとすると、各入射角度にて得られるドプラ偏移
周波数Δf1、Δf2は以下のようになる。
【0007】
【数1】 Δf1=2×f×(v/c)×cos(θ1) (数式1)
【数2】 Δf2=2×f×(v/c)×cos(θ2) (数式2) ここで、相対角度Δθを用いれば、数式2を次のように
書き表わすことができる。
【0008】
【数3】 Δf2=2×f×(v/c)×cos(θ1+Δθ) (数式3) したがって、数式1及び数式3から、真の血流速度の大
きさvは以下のように表わされる。
【0009】
【数4】 v=c/(2×f×sin(Δθ)×((Δf1)2−2×Δf1×Δf2 ×sin(Δθ)×cos(Δθ)+(Δf2)21/2 (数式4) よって、血流速度vの大きさは、送信周波数f、音速
c、ドプラ偏移周波数Δf1、Δf2、相対角度Δθが
わかれば求めることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記方
法によると、血流速度の専用の2つの超音波探触子が必
要であり、装置の規模も大きく高価なものとなる。ま
た、複数の超音波ビームの相互干渉を防ぐために、それ
ぞれの測定タイミングをずらす必要があるなど、特別な
送受信制御が必要になる。
【0011】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであり、その目的は、超音波ドプラ法を用いて
血流速度を測定する場合において、簡易な構成で、正確
に血流速度を測定できるようにすることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】(1)上記目的を達成す
るために、本発明に係る超音波ドプラ診断装置は、ビー
ム軸の方位が一致し且つビーム幅が異なる複数の超音波
ビームに対応した複数の受信信号を生成する生成手段
と、各前記受信信号ごとにドプラ成分の周波数解析を実
行し、前記複数の超音波ビームに対応した複数の周波数
解析結果を出力する周波数解析手段と、前記複数の超音
波ビームに対応した周波数解析結果に基づいて、血流に
対する前記ビーム軸の交差角度を推定する角度推定手段
と、を備えることを特徴とする。
【0013】いま、超音波探触子を起点として深さ方向
に沿って広がった超音波ビームを想定すると、当該超音
波ビームのビームエッジ方向は非平行となり、このこと
から理解されるように、超音波ビームが通過する血流上
の各地点における超音波(成分)の入射角度は厳密には
一定とはならない。つまり、超音波ビームの幅方向に沿
って入射角度が連続的に変化し、その変化内容あるいは
変化幅はビーム軸が同じであればビーム幅に依存する。
特に、ビームエッジ方位における入射角度はビーム幅に
依存する。
【0014】以上の前提の下、ビーム軸方位が一致し且
つビーム幅が異なる複数の超音波ビームについて検討す
ると、それぞれの超音波ビームについて血流上の入射角
度の変化内容は互いに異なり、特に、ビームエッジ方位
における入射角度は超音波ビーム間で相違することにな
る。このため、各超音波ビームごとのドプラ成分の周波
数解析結果には、超音波ビーム間における入射角度の変
化幅の相違が現れる。そこで、本発明は、そのようなビ
ーム幅の違いによる周波数解析結果の相違に注目し、そ
の相違を利用して、各超音波ビーム共通のビーム軸が血
流となす交差角度を推定するものである。
【0015】上記説明では超音波探触子を起点として深
さ方向に沿って広がった超音波ビームを想定したが、少
なくとも血流上において超音波ビーム間でビームエッジ
方位が異なればよく、例えば、複数の超音波ビームはフ
ォーカスされたものであってもよい。また、血流におけ
る超音波ビームの通過領域において血流速度が一様であ
る場合が望ましいが、一様でない場合であっても、その
通過領域において血流速度一定とみなして角度推定を行
うことができる。
【0016】更に、複数の超音波ビームは、同時又は順
次実際に形成することも可能であるが、望ましくは、1
つの超音波ビームを実際に形成し、その受信信号を電子
的に処理して仮想的に複数の超音波ビームを生成するよ
うにしてもよい。なお、前者の場合、上記生成手段は、
超音波を送受波するための超音波探触子、送受信回路な
どを含んでもよく、また後者の場合は、さらに電子処理
前の元となる受信信号を入力して複数の受信信号を生成
する回路などを含むようにしてもよい。
【0017】(2)望ましくは、周波数解析結果は前記
ドプラ成分のスペクトルであり、前記角度推定手段は、
前記各超音波ビームごとのスペクトルを利用して前記交
差角度を推定する。ビーム幅の異なりが各超音波ビーム
のスペクトルの相違となって現れるので、それを利用し
て交差角度を推定するものである。
【0018】望ましくは、前記角度推定手段は、前記各
超音波ビームごとにそのスペクトルから当該超音波ビー
ムのビーム幅によって規定される観測周波数を特定する
観測周波数特定部と、前記各超音波ビームごとの観測周
波数から前記交差角度を演算する角度推定部と、を備え
る。
【0019】観測周波数は、各超音波ビームごとの入射
角度の変化幅の違いを反映した周波数として、一定条件
の下で特定されるものであり、望ましくは、後述のよう
にビームエッジ方位において観測されるドプラ周波数で
ある。なお、ビームエッジは、メインビームのビーム軸
方向の音場を基準とし、そのビーム軸から音場が所定量
だけ減衰した方位として定義されるものである。
【0020】望ましくは、前記観測周波数特定部は、前
記観測周波数として、前記スペクトル上において前記超
音波ビームにおけるビームエッジ方位に対応した観測周
波数を特定することを特徴とする。
【0021】スペクトルにおけるピークは、一般には、
強度が最も大きいビーム軸方位で観測されるドプラ周波
数に相当し、周波数がそのピークに対応した周波数位置
から両側に離れるに従って、対応するスペクトルの強度
は低下する。そして、スペクトルの裾位置(立ち上がり
地点、立ち下がり地点)は、ビームエッジ方位にて観測
されるドプラ周波数に相当する。このような関係に基づ
いて、ビームエッジ方位における観測周波数を特定する
ことができる。
【0022】望ましくは、前記観測周波数特定部は、前
記スペクトルの波形に基づいて観測周波数を特定する。
望ましくは、前記観測周波数特定部は、前記スペクトル
における周波数軸方向の強度変化に基づいて観測周波数
を特定することを特徴とする。望ましくは、前記観測周
波数特定部は、前記スペクトルをその周波数軸方向に沿
って積算して得られる積算値に基づいて観測周波数を特
定することを特徴とする。また、望ましくは、前記観測
周波数特定部は、前記スペクトルをその強度軸方向に沿
って積算して得られる積算値に基づいて観測周波数を特
定する。
【0023】上記のように構成すれば、スペクトル上に
種々のノイズが存在してそのままでは観測周波数の特定
が困難な場合にも、ノイズの性状に応じて、ノイズに左
右されずに観測周波数を特定することができる。
【0024】望ましくは、前記観測周波数特定部は、前
記複数の超音波ビームに対応した複数のスペクトルのう
ちの基本スペクトルに対して当該基本スペクトルの観測
周波数を特定し、当該観測周波数に基づいて前記基本ス
ペクトル以外の各スペクトルのスペクトル強度軸方向の
閾値を決定する閾値決定部を備え、前記決定された閾値
に基づいて前記基本スペクトル以外の各スペクトル上に
おける観測周波数を特定することを特徴とする。
【0025】望ましくは、前記角度推定部は、前記各超
音波ビームごとの観測周波数から前記交差角度を求める
角度推定テーブルを含むことを特徴とする。上記構成に
よれば、特定される観測周波数と求めるべき交差角度と
の関係が複雑な場合においても、角度推定テーブルを用
いて、容易に交差角度を求めることができる。
【0026】望ましくは、前記複数の受信信号は異なる
ビーム幅で得られた3つの受信信号であり、前記角度推
定部は、前記3つの受信信号に対応する3つの観測周波
数を入力し、1つの観測周波数に対する他の2つの観測
周波数の除算結果として、第1比率及び第2比率を求め
る比率演算部と、前記第1比率の大きさと前記軸交差角
度の候補とを対応付けた第1テーブルと、前記第2比率
の大きさと前記軸交差角度の候補とを対応付けた第2テ
ーブルと、前記第1テーブルを用いて特定される複数の
候補と前記第2テーブルを用いて特定される複数の候補
とを突き合わせて、前記交差角度を推定する突き合わせ
演算部とを含む。
【0027】望ましくは、前記生成手段は、超音波ビー
ムを形成し当該超音波ビームに対応した受信信号を出力
する送受波部と、前記受信信号のレベル調整によって、
ビーム幅が異なる複数の超音波ビームに対応した複数の
受信信号を電子的に生成する生成部と、を含むことを特
徴とする。上記構成によれば、実際にビーム幅の異なる
超音波ビームを複数形成する必要がなくなる。
【0028】望ましくは、前記複数の受信信号の少なく
とも1つから血流速度を演算する手段と、前記血流速度
を前記軸交差角度によって補正する手段と、を含むこと
を特徴とする。上記補正は、演算された速度に対して行
ってもよいし、その演算前のドプラ周波数に対して行っ
てもよい。
【0029】
【発明の実施の形態】図1〜図8を用いて、本発明の実
施形態に係る角度補正の原理を説明する。
【0030】図1は、血管11内を流れている血流と、
探触子12により形成された3つの超音波ビーム14,
15,16との関係を示した図である。ここでは、原理
説明のため、各超音波ビーム14,15,16は二次元
断層画像上に図示されている。
【0031】探触子12の先端部内には、この例では、
複数の振動素子からなるアレイ振動子(図示せず)が設
けられている。もちろん、単振動子を利用することもで
きる。各超音波ビーム14,15,16は、ここでは送
波ビーム及び受波ビームを合成した合成ビームである。
【0032】図1のモデルにおいては、血管11内を流
れる血流が層流であると仮定し、すなわち速度一定であ
ることを仮定しており、その速度の大きさをvとする。
【0033】図示されるように、各超音波ビーム14,
15,16のビーム軸17の方位は一致しており、ビー
ム軸17の血流に対する交差角度(入射角度)はθであ
る。また、各超音波ビーム14,15,16は、互いに
異なるビーム幅をもち、図示の例では、超音波ビーム1
4,15,16の順で小さくなっている。
【0034】符号18,21は、ビーム軸17を含む断
面に現れる超音波ビーム14の両ビームエッジを表して
いる。また、符号19,22は、同じ断面上に現れる超
音波ビーム15の両ビームエッジを表し、符号20,2
3は、超音波ビーム16の両ビームエッジを表す。
【0035】各超音波ビーム14,15,16の一方の
ビームエッジ18,19,20とビーム軸17となす角
度は、順番にφ,φ−Δφ1,φ−Δφ2となる。ここ
で、Δφ1,Δφ2は、超音波ビーム14の広がり角度
φに対する超音波ビーム15、超音波ビーム16の広が
り角度の減少分(減少角度)である。
【0036】各超音波ビーム14,15,16はビーム
軸17上にて最大音圧をもち、ビーム軸17から遠ざか
るに従ってその音圧は徐々に低下していく。各ビームエ
ッジ18〜23は、各超音波ビーム14,15,16の
ビーム軸方向の音場を基準とし、そのビーム軸から音場
が所定量だけ減衰した方位として定義されるものであ
る。なお、前記所定量の値が変化すれば、それに応じて
各超音波ビーム14,15,16のビーム幅もそれぞれ
変化して以前とは異なった値を取るが、各ビーム幅間の
大小関係は変わらない。
【0037】ビーム幅が深さに応じて広がっていること
により、各超音波ビーム14,15,16内において、
超音波ビームが通過する血流上の各地点における入射角
度は連続的に変化している。また、その入射角度の変化
幅が各超音波ビーム14,15,16ごとに異なってい
る。超音波ビーム14の場合、θ−φからθ+φに至る
変化幅をもち、超音波ビーム15の場合は、θ−φ+Δ
φ1からθ+φ−Δφ1至る変化幅をもち、超音波ビー
ム16の場合は、θ−φ+Δφ2からθ+φ−Δφ2に
至る変化幅をもつ。
【0038】各超音波ビーム14,15,16内にて最
小値をとる入射角度(最小入射角度)θ−φ、θ−φ+
Δφ1、θ−φ+Δφ2は、それぞれビームエッジ1
8,19,20方位における超音波成分の入射角度であ
り、また、各超音波ビーム14,15,16内にて最大
値をとる入射角度(最大入射角度)θ+φ、θ+φ−Δ
φ1、θ+φ−Δφ2はビームエッジ21,22,23
方位における超音波成分の入射角度である。最小入射角
度及び最大入射角度は、超音波ビームごとに異なってお
り、各超音波ビーム14,15,16のビーム幅に依存
する。
【0039】上記のように、超音波ビームの入射角度が
ビーム幅に応じた一定の広がりをもつために、各超音波
ビーム14,15,16にて観測される血流の流速もビ
ーム幅に応じた一定の広がりをもつ。その結果、探触子
12により受信された信号を周波数解析すると、後述す
るように、ドプラ周波数がビーム幅に応じた広がりをも
っていることがわかる。
【0040】図2は、超音波ビーム14,15、16に
対応する各受信信号を周波数解析して得られたドプラ周
波数のスペクトルを表わす図である。横軸はスペクトル
の強度を表わし、縦軸は周波数を表わす。
【0041】スペクトル24,25,26は、それぞれ
超音波ビーム14,15,16に対応するスペクトルで
ある。各スペクトル24,25,26は、音圧が最も高
いビーム軸の方位で観測されるドプラ周波数Δfcにピ
ークをもつ。ピーク位置が同一であるのは、超音波ビー
ム14,15,16のビーム軸が共通であるためであ
る。
【0042】各スペクトル24,25,26は、周波数
がピークとなる周波数Δfcの位置から離れるに従って
(図中、上下方向)対応するスペクトル強度が低下す
る。スペクトル24,25,26の両裾位置における周
波数は、ビームエッジ方位において観測されたドプラ周
波数(観測周波数)である。これは、ビーム軸から遠ざ
かるに従って、各超音波ビーム14,15,16の音圧
が徐々に低下するためである。
【0043】スペクトル24の場合、高周波数側におけ
る裾位置の周波数Δfhは、ビームエッジ18(図1参
照)におけるドプラ周波数であり、低周波数側における
裾位置の周波数Δflはビームエッジ21におけるドプ
ラ周波数である。同様に、スペクトル26の両裾位置に
おける周波数Δf1h、Δf1lはそれぞれビームエッ
ジ19,22におけるドプラ周波数であり、スペクトル
26の両裾位置における周波数Δf2h、Δf2lはそ
れぞれビームエッジ20,23におけるドプラ周波数で
ある。
【0044】本実施形態においては、各超音波ビーム1
4,15,16における最小入射角度θ−φ,θ−φ+
Δφ1,θ−φ+Δφ2に対応するドプラ周波数Δf
h、Δf1h、Δf2h(観測周波数)を利用し、これ
らの観測周波数Δfh、Δf1h、Δf2hを用いて、
交差角度θを演算する。
【0045】観測周波数Δfh、Δf1h、Δf2hは
ビーム幅の違いに依存しそれを反映したものであり、つ
まりビーム幅によって規定される。それ故、後述するよ
うに各超音波ビームの受信信号(ドプラ成分)を周波数
解析して得られたスペクトル上において特定されるもの
である。
【0046】これら観測周波数Δfh、Δf1h、Δf
2hは、それぞれ対応する最小入射角度θ−φ,θ−φ
+Δφ1,θ−φ+Δφ2、送信周波数f、音速cを用
いて次式で表わされる。
【0047】
【数5】 Δfh=2×f×(v/c)×cos(θ−φ) (数式 5)
【数6】 Δf1h=2×f×(v/c)×cos(θ−φ+Δφ1) (数式 6)
【数7】 Δf2h=2×f×(v/c)×cos(θ−φ+Δφ2) (数式 7) 次に、上記3つの観測周波数Δfh、Δf1h、Δf2
hから数式5〜数式7をもとに交差角度θを求める方法
について説明する。
【0048】まず、数式5〜数式7からvを消去する
と、下記の連立方程式が得られる。
【0049】
【数8】 Δf1/Δf=cos(θ−φ+Δφ1)/cos(θ−φ) (数式8)
【数9】 Δf2/Δf=cos(θ−φ+Δφ2)/cos(θ−φ) (数式9) 上式において、方程式の数が2つであるのに対して、未
知パラメータの数がθ、φ、Δφ1、Δφ2と4つある
ので、このままでは、交差角度θを求めることはできな
い。
【0050】本実施形態においては、上記問題を解決す
るために超音波ビーム間に相関関係がある複数の超音波
ビームを用いる。具体的には、超音波ビーム15を超音
波ビーム14の音場強度を全方位一律に6dB低減させ
た超音波ビームとし、超音波ビーム16を超音波ビーム
14の音場強度を全方位一律に18dB低減させた超音
波ビームであるとする。但し、同様の超音波ビームを実
際の3回の送受波によって形成するようにしてもよい。
【0051】図3は、超音波ビームの指向性を表わす図
である。横軸は、超音波ビームのビーム軸に対する方位
を表わし、縦軸は超音波ビームの相対的な音場強度を表
わす。
【0052】実線で表わされる音場パターン28は、あ
らかじめ測定又はシミュレーションで求められた超音波
ビーム14のビームパターン(音場)である。その中心
(角度0°)にはメインビームがあり、その両側にサイ
ドローブが存在する。破線で表わされる音場パターン3
0は、音場パターン28の音場強度を一律に6dB低減
させることにより仮想的に得られる(これは図1の超音
波ビーム15の音場パターンに相当する)。なお、縦軸
の目盛は超音波ビーム14のメインビームのピーク強度
を1として規格化している。
【0053】図示のように、ある強度レベル32(図
中、一点鎖線参照)を定めると、その強度レベル32に
よって超音波ビーム14の角度幅(広がり角度の2倍:
2×φ)と、超音波ビーム15の角度幅(2×(φ−Δ
φ1))とが定まり、これらの角度幅には相関関係があ
ることがわかる。図中、上下方向に強度レベル32を変
化させれば、超音波ビーム14の角度幅(2×φ)が変
化し、それに応じて6dB低減させた場合の角度幅(2
×(φ−φ1))も変化する。これは、強度レベル32
を変化させることによって、強度レベル32によって定
義される超音波ビーム14、及び超音波ビーム15の各
ビーム幅が変化していると解釈できる。
【0054】ちなみに、超音波ビーム16に相当する音
場パターンは、音場パターン28を電子的に一律に18
dB低減させることによって、上記の音場パターン30
と同様に生成可能である。この音場の低減は実際の装置
においては後述するように受信信号のレベルシフト(振
幅圧縮)によって行うことが可能である。
【0055】図4は、超音波ビーム14の角度幅(2×
φ)と超音波ビーム15の角度幅(2×(φ−Δφ
1))との関係(−6dB関係)、及び、超音波ビーム
14の角度幅(2×φ)と超音波ビーム16の角度幅
(2×(φ−Δφ2))との関係(−18dB関係)を
表わす図である。
【0056】横軸は、超音波ビーム14の角度幅を表わ
し、縦軸は超音波ビーム14の角度幅に対する他の超音
波ビーム(超音波ビーム15,16)の角度幅の差(2
×Δφ1、2×Δφ2)を表している。符号34は上記
−6dB関係に対応したグラフであり、符号36は上記
−18dB関係に対応したグラフである。
【0057】つまり、超音波ビーム間に上記の−6dB
関係及び−18bB関係がある場合(強度を一律に所定
量ダウンさせた関係がある場合)、超音波ビーム14の
広がり角度φが決まれば、Δφ1及びΔφ2が定量的に
定まる。数式8,9に戻ると、パラメータφ、Δφ1、
Δφ2は三者相関関係にあり、よって、それらのうち1
つが特定されると他の2つを特定可能となる。すなわ
ち、それらパラメータは1つのパラメータに集約でき
る。
【0058】図4で示される関係を用いて、Δφ1、Δ
φ2を上記連立方程式(数式8、数式9)から消去すれ
ば、実質的に残るパラメータはθ及びφとなる。その結
果、パラメータの数と方程式の数が一致するので、当該
連立方程式を解くことができ、交差角度θの値を求める
ことができる。
【0059】なお、本実施形態においては探触子により
実際に形成される超音波ビームは超音波ビーム14のみ
であり、超音波ビーム15、16は、超音波ビーム14
に対応して得られる受信信号を電子的に処理して、仮想
的に得ることにする。こうすれば、1回の超音波の送受
信で、3つの超音波ビームを同時形成してそれらの信号
解析を実時間で行うことができる。
【0060】ちなみに、利得(送信強度あるいは受信感
度)を異ならせた3つの超音波ビームを実際に形成する
ことも考えられるが、利得を変更するとビームパターン
が変わってしまう場合があるため、その場合には各超音
波ビームごとにそのビームパターンをあらかじめ計測し
又はシミュレーションして求めておき、基準となる超音
波ビームを1つ定めて、その超音波ビームの角度幅と他
の2つの超音波ビームの角度幅との関係(図4参照)を
求めておく必要がある。
【0061】次に、図5、図6を用いて、測定された観
測周波数Δfh、Δf1h、Δf2hを使って、上記連
立方程式を数値的に解き、交差角度θを求める方法を示
す。図5は、数式8にて定まる交差角度θ(横軸)と比
率Δf1h/Δfh(縦軸)との関係を表わす図であ
る。符号38〜46は、広がり角度φの値を10°〜3
0°まで刻み5°で変化させた場合のグラフを示してい
る。
【0062】例えば、Δf1h/Δfh=0.7で表わ
される直線48と各グラフ38〜46との交点A1〜A
5で表わされる5つの(θ、φ)の組が、上記連立方程
式の解の候補となる。
【0063】図6は、図5と同様に、数式9にて定まる
交差角度θ(横軸)と比率Δf2h/Δfh(縦軸)と
の関係を表わす図である。符号50〜58は、広がり角
度φの値を10°〜30°まで刻み5°で変化させた場
合のグラフである。
【0064】例えば、Δf2h/Δfh=0.6で表わ
される直線60と各グラフ50〜58との交点B1〜B
5で表わされる5つの(θ、φ)の組が、上記連立方程
式の解の候補となる。
【0065】そこで、図5を用いて得られた解候補A1
〜A5と、図6を用いて得られた解候補B1〜B5とを
突き合わせて、θ及びφの値が一致するものが見つかれ
ば、その組(θ、φ)を上記連立方程式の解とみなす。
【0066】上記の例では、A3とB3がともに(θ、
φ)=(70°、20°)であることがわかるので、こ
れが上記連立方程式を満たす解である。すなわち、例え
ば、観測周波数の比率がΔf1h/Δfh=0.7、Δ
f2h/Δfh=0.6である場合は、その交差角度θ
は70°であることがわかる。
【0067】本実施形態においては、φのとる範囲とし
て10°〜30°としたが、もちろんφの取り得る範囲
はこれに限られるものではない。また、広がり角度φの
刻みを小さくすることにより、求める解の精度を更に向
上させることができる。
【0068】上記交差角度θの情報を用いて真の血流速
度を求めるためには、例えば、まず従来同様にビーム軸
方向のドプラ周波数Δfcをあらかじめ測定して見かけ
の血流速度v1を得る。送信周波数f、音速c、血流速
度の大きさvとしたとき、ドプラ周波数Δfcが次式の
関係にあるので、
【数10】 Δfc=2×f×(v/c)×cos(θ) (数式10) 見かけの血流速度の大きさv1は、
【数11】 v1=v×cos(θ)=Δfc×c/(2×f) (数式11) と表わされる。従って、上記交差角度θの情報及び、次
【数12】v=v1/cos(θ) (数式12) の関係を使って、見かけの血流速度の大きさv1の値を
補正し、真の血流速度の大きさvの情報を得る。
【0069】次に、上述したスペクトルから観測周波数
を特定する方法について、更に図7〜図9を用いて説明
する。
【0070】図7〜図9に示されているスペクトルは、
それぞれドプラ周波数のスペクトルを示す図であり、各
図の横軸はスペクトル強度を表わし、縦軸はドプラ周波
数成分を表わす。
【0071】図7は、第1の観測周波数の特定方法を説
明する図である。まず、ドプラ周波数のピークが含まれ
る周波数領域62をマニュアルであるいは自動的に設定
する。次に周波数領域62内にて、スペクトル64のう
ち雑音と思われるバックグラウンド部分66(図7
(a)中、斜線部参照)を特定し、もとのスペクトル6
4からバックグラウンド部分66を減算する(図7
(b)参照)。次に、バックグラウンド部分66が減算
されたスペクトル68に対して、高周波数側から周波数
軸方向にスペクトルの強度変化をサーチして、スペクト
ル成分が最初に出現する周波数を観測周波数Δfrとす
る。ここで、バックグラウンド部分22の決め方として
は、事前に雑音の平均的な信号レベルを計測しておき、
それを用いる。また、スペクトル成分が最初に出現する
周波数を決める方法としては、例えばスペクトルの強度
変化の度合が、あらかじめ決めておいた基準値を超えた
場合にスペクトル成分が出現したとみなすようにすれば
よい。この方法は、雑音のスペクトルがあらかじめ既知
である場合に有用である。
【0072】図8は、第2の観測周波数の特定方法を説
明する図である。
【0073】まず、対象となる周波数領域70に対し、
周波数軸方向に沿ってスペクトル72を積分して全体の
積分値(図8(a)中、斜線部参照)を求める。次に高
周波数側から周波数軸方向にスペクトル72を積分して
いき(図8(b)中、斜線部参照)、その積分値が全体
の積分値に対して所望の割合、例えば10%(図8
(c)中斜線部参照)に至った時点の周波数を観測周波
数Δfrとする。この方法は、雑音部分の波形レベル
が、必ずしも低レベルでない場合に有効である。
【0074】図9は第3の観測周波数の特定方法を説明
する図である。
【0075】スペクトル74には、血流からのドプラ成
分に対応したスペクトル76以外に、アーチファクトに
よる雑音ピーク78が存在する。
【0076】図8の方法と同様に、まず、対象となる周
波数領域73に対し、周波数軸方向にスペクトル74を
積分する。
【0077】次に、上記周波数領域73内にてスペクト
ル74の強度が極大となる位置(図8(a)中、点P、
Q)を探索し、当該複数の極大点及び及びスペクトルの
強度変化等に基づいてスペクトル強度が最大となる(図
8(a)中、点P)ピークを含むスペクトルをドプラ成
分のスペクトルと特定する。次に、特定したスペクトル
76に対し、スペクトル強度の大きさが最大となる位置
から、強度軸に沿ってスペクトル強度が減少する方向に
積分する。その積分値が最初に求めた積分値に対する所
望の割合、例えば90%に至った時点で積分操作を終了
する。終了時点におけるスペクトル強度に対応する周波
数のうち、高周波数側のものを観測周波数Δfrとす
る。ここで、当該積分操作はスペクトル76のみに対し
て行われ、雑音ピーク78が存在する部分は、積分しな
い。
【0078】こうすれば、強いピーク形状の雑音が存在
する場合においても、そのピーク値がドプラ成分のスペ
クトルのピーク値よりも小さい場合に、雑音を除去して
観測周波数を特定することができる。
【0079】以上、3種類の観測周波数の特定方法につ
いて説明したが、上記各方法は、ビーム幅の異なる超音
波ビームごとに得られる複数のスペクトルの各々に対し
て同じ方法を用いてもよいし、超音波ビームごとに異な
る方法を用いてもよい。
【0080】また、ビーム幅の異なる超音波ビームごと
に得られる複数のスペクトルから基本となるスペクトル
を一つ選択し、その選択されたスペクトルに対して、ま
ず上記いずれかの方法を用いて観測周波数を特定する。
観測周波数が特定されれば、その周波数に対応したスペ
クトルの強度が定まるので、当該スペクトル強度を閾値
として、残りのスペクトルの観測周波数を特定するよう
にしてもよい。
【0081】なお、図1で示された各超音波ビーム1
4,15,16は深さ方向に沿って広がった形状で示さ
れているが、これは原理説明のための図である。本発明
においては、実際の超音波ビームの形状は上記図示した
形状である必要はなく、超音波ビーム間で血流に対する
交差角度の変化幅が異なっていれば良い。例えば各超音
波ビームがフォーカスビームであっても各超音波ビーム
で血流に対する交差角度の変化幅が異なっていれば、本
発明が成立することは明らかである。
【0082】また、本実施形態においては、観測周波数
として血流に最小交差角度で入射する超音波(成分)の
ドプラ周波数(Δfh、Δf1h、Δf2h)を用いた
が、観測周波数として用いるドプラ周波数は上記に限ら
れるものでなく、例えば血流に最大交差角度で入射する
超音波(成分)のドプラ周波数(Δfl、Δf1l、Δ
f2l)を用いても良い。
【0083】次に、上記原理が適用された超音波ドプラ
診断装置100について図10を用いて説明する。
【0084】超音波ドプラ診断装置100は、受信信号
入力ユニット102、受信信号解析ユニット104、及
び、角度推定ユニット106、血流速度演算ユニット1
08を有する。受信信号入力ユニット102は、あるビ
ーム幅を有する単一の超音波ビームに対応した受信信号
(元受信信号)を受け取り、受取った元受信信号に基づ
いて互いに異なったビーム幅を有する超音波ビームに対
応した複数の受信信号(2つの受信信号)を電子処理に
より生成する。なお、元受信信号は本実施形態において
そのまま出力される。受信信号解析ユニット104は、
受信信号入力ユニット102から出力された3つの受信
信号を入力し、各受信信号のドプラ周波数解析(FFT
解析)を行う。角度推定ユニット106は、複数の周波
数解析結果から交差角度を演算するものである。血流速
度演算ユニット108は、ビーム軸方向に対応するドプ
ラ周波数Δfcと交差角度θとに基づき、真の血流速度
を求めるものである。
【0085】受信信号入力ユニット102は、A/D変
換器110、ビットシフト演算部112、114とから
構成される。A/D変換器110は、入力した送受信に
係る超音波ビームに対応する元受信信号を入力し、入力
した元受信信号をアナログ値からディジタル値に変換す
る。ディジタル値に変換された元受信信号は、その後、
3つに分岐され、1つは、直接、受信信号解析ユニット
104に出力される。残りの2つは、それぞれビットシ
フト演算部112、114を介して出力される。
【0086】ビットシフト演算部112は、A/D変換
器110でディジタル化された元受信信号のデータを1
ビット分ビットシフトする。1ビットのビットシフトは
元受信信号を−6dBにて低減する(1/2倍する)こ
とに相当する。ビットシフト演算部114は、A/D変
換器110でディジタル化された元受信信号のデータを
3ビット分ビットシフトする。3ビットのビットシフト
は元受信信号を−18dBにて低減する(1/8倍す
る)ことに相当する。もちろん、ビットシフト量は諸条
件に応じて適宜設定可能であり、それをユーザー可変で
きるようにしてもよい。
【0087】受信信号解析ユニット104は、直交検波
部116,118,120、FFT演算部122,12
4,126、及び、観測周波数特定部128,130,
132から構成される。
【0088】直交検波部116は、A/D変換器110
から直接入力される元受信信号を入力し、それを送信周
波数をもった基準信号と乗算し、これによりドプラ周波
数だけをもった信号を抽出して、それを複素の検波信号
I1,Q1として出力する。FFT演算部122は、検
波信号I1、及びQ1をもとに複素フーリエ変換(IF
FT)演算を実行し、リアルタイムで周波数分析を行っ
て、ドプラ周波数のスペクトルを得る(図2参照)。な
お、FFT演算部122はビーム軸方向のドプラ周波数
(平均周波数)を前記スペクトル上で特定し、その情報
を観測周波数特定部128に出力する。
【0089】観測周波数特定部128は、図7乃至図9
を用いて説明した方法にて、ドプラ周波数スペクトルか
ら最小交差角度にて入反射される信号成分のドプラ周波
数を観測周波数Δfhとして特定する。
【0090】直交検波部118、FFT演算部124、
及び、観測周波数特定部130は、−6dBの減衰度に
て減衰された受信信号に対して、A/D変換器110か
ら直接入力される元受信信号に対する上記一連の処理を
行い、観測周波数Δf1hを特定する。ただし、直交検
波部118の出力する検波信号をI2,Q2とする。
【0091】直交検波部120、FFT演算部126、
観測周波数特定部132は、−18dBの減衰度にて減
衰された受信信号に対して、A/D変換器110から直
接入力される元受信信号に対する上記一連の処理を行
い、観測周波数Δf2hを特定する。ただし、直交検波
部120の出力する検波信号をI3,Q3とする。
【0092】角度推定ユニット106は、除算回路13
4,136、記憶部138,140、候補抽出部14
2,144、及び、角度推定部146からなる。
【0093】除算回路134は、観測周波数Δfh、Δ
f1hの除算を実行し、比率Δf1h/Δfhを出力す
る。乗算回路136は、観測周波数Δfh、Δf2hの
除算を実行し、比率Δf2h/Δfhを出力する。
【0094】記憶部138は、複数の広がり角度φの値
ごとに、数式8で表わされる関係に基づいて交差角度θ
の値とΔf1h/Δfhの値が対応づけられた表(図5
参照)を第1角度推定テーブルとして記憶している。記
憶部140は、複数の広がり角φの値ごとに、数式9で
表わされる関係に基づいて交差角度θの値と対応するΔ
f2h/Δfhの値とが対応づけられた表(図6参照)
を第2角度推定テーブルとして記憶している。
【0095】候補抽出部142は、元受信信号及び受信
信号から得られたドプラ周波数のスペクトルから特定し
た観測周波数の比率Δf1h/Δfhと第1角度推定テ
ーブルとに基づいて、数式8及び数式9からなる連立方
程式の解の候補として、複数の交差角度の値と広がり角
度の値の組(θ、φ)を抽出する。解候補抽出部144
は、元受信信号及び受信信号から得られたドプラ周波数
のスペクトルから特定した観測周波数の比率Δf2h/
Δfhと第2角度推定テーブルとに基づいて、数式8及
び数式9からなる連立方程式の解候補として複数の交差
角度の値と広がり角度の値の組(θ、φ)を抽出する。
【0096】角度推定部146は、候補抽出部142か
ら得られた複数の候補と候補抽出部144から得られた
複数の候補とを突き合わせて、上記連立方程式の解とな
る1つの組(θ、φ)を判別する。
【0097】血流速度演算ユニット108は、速度演算
部148、角度補正部150とからなる。
【0098】速度演算部148は、FFT演算部122
より得られたビーム軸方向のドプラ周波数Δfc、送信
周波数f、音速cの値を入力し、それらの値から上記数
式11に基づいて、ビーム軸方向の見かけの血流速度の
大きさv1を演算する。
【0099】角度補正部150は、角度推定部146に
より推定された交差角度θ、及び速度演算部148によ
り得られた見かけの血流速度の大きさv1から上記数式
12に基づいて真の血流速度の情報を得る。
【0100】なお、図10においては上述した原理を実
現するための要部構成が示されており、超音波の送受波
を行う超音波探触子、画像形成部、表示処理部などの公
知の構成については図示省略されている。一般に、超音
波探触子としては、複数の振動素子からなるアレイ振動
子を有するものが用いられる。その超音波探触子は、体
表面上に当接して用いられ、あるいは、体腔内に挿入し
て用いられるものである。
【0101】本実施形態においては、真の血流速度の情
報を求める際に最初にビーム軸方向の見かけの血流速度
の大きさ、すなわち速度情報、に変換した上で交差角度
θに関する補正を行っているが、ビーム軸方向のドプラ
周波数Δfcに直接1/cos(θ)を乗じて、周波数
情報のままで交差角度θに関する補正を行うようにして
も良い。
【0102】また、本実施形態においては、ビットシフ
ト演算は、直交検波部116〜120に入力される前の
元受信信号及び受信信号に対して行われるが、直交検波
後のの検波信号に対して行うようにしても良い。
【0103】
【発明の効果】本発明は、上記のように構成したので簡
易な構成で、正確に血流速度を測定できる超音波ドプラ
診断装置を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る交差角度推定の原
理を説明する図である。
【図2】 ドプラ周波数のスペクトルを示す図である。
【図3】 超音波ビームの指向性を示す図である。
【図4】 超音波ビームの広がり角度φと、Δφ1、Δ
φ2との関係を示す図である。
【図5】 観測周波数の比から交差角度を推定する方法
を説明する図である。
【図6】 観測周波数の比から交差角度を推定する方法
を説明する図である。
【図7】 第1の観測周波数を特定する方法を示す図で
ある。
【図8】 第2の観測周波数を特定する方法を示す図で
ある。
【図9】 第3の観測周波数を特定する方法を示す図で
ある。
【図10】 本発明の実施の形態に係る超音波ドプラ診
断装置の構成を示す図である。
【図11】 従来の超音波ドプラ診断装置の構成を示す
図である。
【符号の説明】
12 探触子、14,15,16 超音波ビーム、20
ビーム軸、24,25,26 スペクトル、108
血液速度演算ユニット、110 A/D変換器、11
2,114 ビットシフト演算部、116,118,1
20 直交検波部、122,124,126 FFT演
算部、128,130,132 観測周波数特定部、1
34,136 除算回路、138,140 記憶部、1
42,144 候補抽出部、146 角度推定部、15
0 角度補正部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C301 AA02 DD01 DD02 EE11 EE15 GB02 HH54 JB03 JB17 JB22 JB27 JB30 JB34 JB50 KK09 4C601 DD03 DE01 EE09 EE12 GB01 GB03 JB19 JB21 JB23 JB24 JB34 JB35 JB40 JB46 JB49 JB51 JB60

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビーム軸の方位が一致し且つビーム幅が
    異なる複数の超音波ビームに対応した複数の受信信号を
    生成する生成手段と、 前記各受信信号ごとにドプラ成分の周波数解析を実行
    し、前記複数の超音波ビームに対応した複数の周波数解
    析結果を出力する周波数解析手段と、 前記複数の超音波ビームに対応した複数の周波数解析結
    果に基づいて、血流に対する前記ビーム軸の交差角度を
    推定する角度推定手段と、 を備えることを特徴とする超音波ドプラ診断装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の超音波ドプラ診断装置に
    おいて、 前記周波数解析結果は前記ドプラ成分のスペクトルであ
    り、 前記角度推定手段は、前記各超音波ビームごとのスペク
    トルに基づいて前記交差角度を推定することを特徴とす
    る超音波ドプラ診断装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の超音波ドプラ診断装置に
    おいて、 前記角度推定手段は、 前記各超音波ビームごとにそのスペクトルから当該超音
    波ビームのビーム幅によって規定される観測周波数を特
    定する観測周波数特定部と、 前記各超音波ビームごとの観測周波数から前記軸交差角
    度を演算する角度推定部と、 を備えることを特徴とする超音波ドプラ診断装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の超音波ドプラ診断装置に
    おいて、 前記観測周波数特定部は、前記観測周波数として、前記
    スペクトル上において前記超音波ビームにおけるビーム
    エッジ方位に対応した周波数を特定することを特徴とす
    る超音波ドプラ診断装置。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の超音波ドプラ診断装置に
    おいて、 前記観測周波数特定部は、前記スペクトルの波形に基づ
    いて観測周波数を特定することを特徴とする超音波診断
    装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の超音波ドプラ診断装置に
    おいて、 前記観測周波数特定部は、前記スペクトルにおける周波
    数軸方向の強度変化に基づいて観測周波数を特定するこ
    とを特徴とする超音波ドプラ診断装置。
  7. 【請求項7】 請求項5記載の超音波ドプラ診断装置に
    おいて、 前記観測周波数特定部は、前記スペクトルをその周波数
    軸方向に積算して得られる積算値に基づいて観測周波数
    を特定することを特徴とする超音波ドプラ診断装置。
  8. 【請求項8】 請求項5記載の超音波ドプラ診断装置に
    おいて、 前記観測周波数特定部は、前記スペクトルをその強度軸
    方向に積算して得られる積算値に基づいて観測周波数を
    特定することを特徴とする超音波ドプラ診断装置。
  9. 【請求項9】 請求項3記載の超音波ドプラ診断装置に
    おいて、 前記観測周波数特定部は、 前記複数の超音波ビームに対応した複数のスペクトルの
    うちの基本スペクトルに対して当該基本スペクトルの観
    測周波数を特定し、当該観測周波数に基づいて前記基本
    スペクトル以外の各スペクトルの強度軸方向の閾値を決
    定する閾値決定部を備え、 前記決定された閾値に基づいて前記基本スペクトル以外
    の各スペクトル上における観測周波数を特定することを
    特徴とする超音波ドプラ診断装置。
  10. 【請求項10】 請求項3記載の超音波ドプラ診断装置
    において、 前記角度推定部は、前記各超音波ビームごとの観測周波
    数から前記交差角度を求める角度推定テーブルを含むこ
    とを特徴とする超音波ドプラ診断装置。
  11. 【請求項11】 請求項3記載の超音波ドプラ診断装置
    において、 前記複数の受信信号は3つの異なるビーム幅に対応する
    3つの受信信号であり、 前記角度推定部は、 前記3つの受信信号に対応する3つの観測周波数を入力
    し、1つの観測周波数に対する他の2つの観測周波数の
    除算結果として、第1比率及び第2比率を求める比率演
    算部と、 前記第1比率の大きさと前記軸交差角度の候補とを対応
    付けた第1テーブルと、 前記第2比率の大きさと前記軸交差角度の候補とを対応
    付けた第2テーブルと、 前記第1テーブルを用いて特定される複数の候補と前記
    第2テーブルを用いて特定される複数の候補とを突き合
    わせて、前記交差角度を推定する突き合わせ演算部と、 を含むことを特徴とする超音波ドプラ診断装置。
  12. 【請求項12】 請求項1記載の超音波ドプラ診断装置
    において、 前記生成手段は、 超音波ビームを形成し当該超音波ビームに対応した受信
    信号を出力する送受波部と、 前記受信信号のレベル調整によって、ビーム幅が異なる
    複数の超音波ビームに対応した複数の受信信号を電子的
    に生成する生成部と、 を含むことを特徴とする超音波ドプラ診断装置。
  13. 【請求項13】 請求項1記載の超音波ドプラ診断装置
    において、 前記複数の受信信号の少なくとも1つから血流速度を演
    算する手段と、 前記血流速度の大きさを前記交差角度によって補正する
    手段と、 を含むことを特徴とする超音波ドプラ診断装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008011914A (ja) * 2006-07-03 2008-01-24 Seiko Instruments Inc 生体情報測定装置
CN115517708A (zh) * 2022-11-24 2022-12-27 苏州圣泽医疗科技有限公司 利用双晶元组确定血流速度的方法和多普勒血流检测装置

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