JP2003068847A - 接着力測定方法、積層膜及び半導体素子 - Google Patents

接着力測定方法、積層膜及び半導体素子

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JP2003068847A
JP2003068847A JP2001254655A JP2001254655A JP2003068847A JP 2003068847 A JP2003068847 A JP 2003068847A JP 2001254655 A JP2001254655 A JP 2001254655A JP 2001254655 A JP2001254655 A JP 2001254655A JP 2003068847 A JP2003068847 A JP 2003068847A
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laminated
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peeling
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Takenori Narita
武憲 成田
Masahiro Hashimoto
政弘 橋本
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Hitachi Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 上層膜がより薄くより硬い膜である場合にも
ピール強度の測定が可能でありしかも、ばらつきが小さ
く、再現性の良い接着力測定方法を提供する。 【解決手段】 基板、基板上に形成された第一の膜、第
一の膜の上に形成された第二の膜、第二の膜の上に形成
された樹脂膜からなる所定幅の試料を作製し、該試料の
第一の膜と第二の膜の界面を部分的に剥離させた後、基
板を固定し、部分的に剥離させた第二の膜と樹脂膜の端
部を引張試験機を用いて基板面に対して所定の引張り角
度及び所定の速度で、所定の距離を引っ張り、第一の膜
と第二の膜の界面を剥離させるために必要な引張荷重を
所定の距離にわたって測定し、該所定の距離間の該試料
の単位幅あたりの引張荷重の平均値をピール強度とす
る、第一の膜とその上に積層した第二の膜からなる積層
膜の接着力測定方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体素子用の層
間絶縁膜として有用な低誘電率膜と上層膜との界面な
ど、積層膜中の層間界面の接着力測定方法、低誘電率膜
と上層膜界面など、層間界面の接着性が良好な積層膜及
びその積層膜を有する半導体素子に関する。
【0002】
【従来の技術】LSIの高集積化による配線の微細化に
ともない、配線間容量の増大による信号遅延時間の増大
が問題となってきている。デバイスの配線間容量を低減
し、LSIの動作速度を向上するため、より低誘電率な
層間絶縁膜が求められている。そのため、従来から用い
られている比誘電率4.2程度の化学気相成長(Che
mical Vapor Deposition;CV
D)法による酸化珪素(SiO2 )膜に代わる層間絶縁
膜として、比誘電率3.0以下が達成可能な有機SOG
(Spin On Glass)膜、有機ポリマー膜等
を、LSIの層間絶縁膜へ適用することが検討されてい
る。
【0003】LSIの層間絶縁膜に適用する低誘電率膜
に要求される特性としては、耐熱性、プラズマ耐性、機
械強度、上下層膜との接着性等の特性があげられる。微
細化したLSIの多層配線工程においては、絶縁膜のグ
ローバル平坦化のため、及びダマシン法を用いた銅(C
u)配線形成のため、化学機械研磨(Chemical
Mechanical Polishing;CM
P)が必須となる。CMP工程では、Siウエハー上に
形成した膜に機械的な力が加わることから、機械強度及
び、低誘電率膜と上層膜、下層膜との接着性は特に重要
な特性となる。比誘電率が3.0以下の低誘電率膜とし
て有力と考えられている有機ポリシロキサン膜、有機ポ
リマー膜は、従来のCVD法で形成したSiO2膜より
も誘電率は低いが、膜の機械強度及び上層膜、下層膜と
の接着性が低いことが問題となっている。
【0004】特に、上層膜、下層膜との接着性の問題に
ついては、CMPを行った際の低誘電率膜と上層膜との
剥離の問題が、低誘電率膜の適用検討が進むにつれて、
顕在化している。LSIの高性能化に寄与する低誘電率
絶縁膜を用い、高歩留り、高信頼性を達成するため、特
に低誘電率膜と上層膜界面の接着性改善が強く望まれて
いる。
【0005】従来から行われている薄膜の接着力測定方
法としては、碁盤目テープ剥離法、スタッドプル法、ス
クラッチ法、ピール法等があげられる。低誘電率膜と上
層膜の接着力測定にも、これらの方法を適用することが
検討されている。しかし、これらの方法では、接着力の
測定結果と、実際にCMPを行った際の剥離発生との対
応が不完全であり、また、接着力の測定自体が困難な場
合があるという問題があった。
【0006】そこで、低誘電率膜と上層膜の接着力改善
及び、CMP条件の改良を進める上で、より正確で、再
現性の良い接着力測定方法の開発が強く望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のピー
ル法による測定方法と比べて、上層膜がより薄くより硬
い膜である場合にもピール強度の測定が可能でありしか
も、ばらつきが小さく、再現性の良い接着力測定方法、
LSIのCMP工程に耐える接着力を有する比誘電率
3.0以下の低誘電率膜と上層膜からなる積層膜及び、
これを用いることにより、高性能化と、高信頼性、高歩
留りを達成した半導体素子を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、第一の膜とそ
の上に積層した第二の膜からなる積層膜における第一の
膜と第二の膜の界面の接着力を測定する接着力測定方法
であって、基板、基板上に形成された第一の膜、第一の
膜の上に形成された第二の膜、第二の膜の上に形成され
た樹脂膜からなる所定幅の試料を作製し、該試料の第一
の膜と第二の膜の界面を部分的に剥離させた後、基板を
固定し、部分的に剥離させた第二の膜と樹脂膜の端部を
引張試験機を用いて基板面に対して所定の引張り角度及
び所定の速度で、所定の距離を引っ張り、第一の膜と第
二の膜の界面を剥離させるために必要な引張荷重を所定
の距離にわたって測定し、該所定の距離間の該試料の単
位幅あたりの引張荷重の平均値をピール強度とする接着
力測定方法に関する。本発明は、また、引張荷重の平均
値として、引張荷重の凸点平均を用いる前記の接着力測
定方法に関する。本発明は、また、第一の膜とその上に
積層した第二の膜からなる積層膜であって、前記の方法
を用いて、引張り速度500mm/min、引張り角度
85〜90度で測定を行った場合のピール強度が0.4
9N/mm(50gf/mm)以上である積層膜及びそ
の積層膜を有する半導体素子に関する。 [発明の詳細な説明]
【0009】本発明は、第一の膜とその上に積層した第
二の膜からなる積層膜における第一の膜と第二の膜の界
面の接着力を測定する接着力測定方法であって、人手に
よらず引張試験機を用い、膜の引き剥がし速度を一定に
して引張荷重を測定する方法である。この方法では、膜
の引き剥がし距離と引張荷重の関係が得られ、一定距離
引き剥がしたときの引張荷重の平均値を計算することが
できる。この方法では当然のことながら、引張り速度の
ばらつきによる引張り強度のばらつきは無く、測定者に
よる影響もない。また、この方法では、サンプルの内の
場所による接着力の変動が有っても、ピール強度として
一定距離引き剥がした時の引張荷重の平均値を用いるこ
とで、再現性の良い結果が得られる。この方法により、
得られるピール強度の再現性を、従来の方法と比較して
飛躍的に向上することができる。また、上層膜に対する
接着力が強く、十分な引っ張り強度を有する樹脂膜を積
層することで、上層膜が、1μm以下の薄膜である場合
も、SiO2のような硬い膜である場合にもピール法に
より接着力を測定することが可能であり、また基板に垂
直方向に膜を引っ張り剥離させるために必要な引張荷重
が単位幅あたり0.49N/mm(50gf/mm)以
上である積層膜の接着力測定が可能である。加えて、引
き剥がす膜の補強に蒸着膜を用いるのではなく、樹脂フ
ィルムを貼り付けるという方法を用いて試験試料を作製
するので、作製に要する時間も短縮される。
【0010】この方法では、従来のピール法では難しか
った、LSIの層間絶縁膜に用いられる1μm以下の薄
膜や、SiO2膜のような硬い膜からなる積層膜の接着
力測定が可能である。例えば、LSIの多層配線に用い
る低誘電率膜として検討されている、有機含有ポリシロ
キサン膜及び有機ポリマー膜と、それらの膜の上層に形
成したSiO膜等のハードマスクとの接着力測定が可
能である。得られた接着力と、SiO膜上にバリアメ
タルとCu膜を形成し、Cu−CMPを行った際に発生
する剥がれの程度との間に相関があり、Cu−CMP時
の剥離対策を検討する際に極めて有効な評価方法である
ことが確認されている。
【0011】本発明における基板としては、例えば、セ
ラミック板、ガラス板、銅、アルミニウム、ステンレ
ス、42アロイ等の金属/合金板、シリコンウエハーな
どが挙げられる。また、本発明における第一の膜は、比
誘電率が3.0以下であることが好ましい。第一の膜と
しては、例えば、有機ポリマー膜、有機含有ポリシロキ
サン膜などが挙げられる。第一の膜の厚みは0.1〜
1.5μmとすることが好ましく、0.15〜1.0μ
mとすることがより好ましい。第二の膜としては、化学
気相成長法により形成した膜であることが好ましい。第
二の膜としては、例えば、酸化珪素膜、銅、アルミニウ
ム、タングステン等の金属膜などが挙げられる。第二の
膜の厚みは0.05〜2.0μmとすることが好まし
く、0.01〜1.5μmとすることがより好ましい。
【0012】本発明における第二の膜の上に形成する樹
脂膜は、第二の膜に対する接着力が接着力を測定する界
面の接着力より強く、接着力を測定する界面を剥離させ
るために十分な引っ張り強度を有する膜であれば限定は
されない。樹脂膜は、引っ張り強度と柔軟性を有するこ
とから、膜を折り曲げて引っ張る本発明の接着力測定に
適している。樹脂膜の厚みは10〜150μmとするこ
とが好ましく、50〜100μmとすることがより好ま
しい。樹脂膜を形成するには、塗布液からスピンコート
法等により積層しても、あらかじめフィルム状に形成し
たもの(以下単にフィルムという)を熱圧着等により積
層しても良い。あらかじめ形成したフィルムを圧着する
場合は、そのフィルム自身が接着力を有するフィルムを
用いれば、第二の膜に直接圧着することが可能である。
また、フィルムと第二の膜の間に接着層となる別の膜を
介して圧着することにより、第二の膜に対する接着力は
有さないが、強い引っ張り強度を有するというフィルム
を用いることも可能である。塗布液から樹脂膜を形成す
る場合も、フィルムを圧着する場合も、樹脂膜を形成後
に第二の膜と樹脂膜の接着力を高めるため、必要により
キュアを行っても良い。
【0013】樹脂膜の形成に用いられるフィルムとして
は、例えば、以下のようなものが使用可能である。ポリ
エチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエス
テルフィルム、ナイロンフィルム、ポリスチレンフィル
ム、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂フイルム、エチレ
ン−アクリル酸共重合樹脂フイルム、ポリ塩化ビニルフ
ィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリカーボネー
トフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリイミ
ドフィルム、セロハン、アイオノマーフィルム、フッ素
樹脂フィルム。
【0014】フィルムを圧着する場合の接着層として
は、例えば、以下のようなものが使用可能である。ビニ
ル系接着剤、アクリル系接着剤、ポリアミド系接着剤、
エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤、ポリウレタン系接着
剤。接着層はフィルムと独立していても、あらかじめフ
ィルム上に形成されていても良い。
【0015】本発明の接着力測定を行うためには、一定
幅を有する長方形の試料を作製する必要がある。試料の
作製方法としては、基板上に積層膜(第一の膜とその上
に積層した第二の膜からなる積層膜)を形成し、あらか
じめ一定幅に切断してから該積層膜の第二の膜の上に樹
脂膜を形成する方法と、基板上に積層膜(第一の膜とそ
の上に積層した第二の膜からなる積層膜)を形成し、該
積層膜の第二の膜の上に樹脂膜を形成してから一定幅に
切断する方法があり、どちらを用いてもよい。作製方法
は、試料の大きさ、材質、樹脂膜の種類等に合わせて選
択するのが良い。本発明の方法では測定結果の再現性が
良いことから、1種類のサンプルにつき3回程度測定す
れば十分であり、従来法より少ない試料で測定が可能で
ある。また、測定時間も短縮できる。
【0016】基板としてのSiウエハー上に形成した積
層膜(第一の膜とその上に積層した第二の膜からなる積
層膜)の界面の接着力を測定する場合には、第二の膜の
上に樹脂膜を形成後、ダイシング装置を用いて一定幅に
切断する方法が同一幅の試料を複数個作製する方法とし
て優れている。ダイシング装置が利用できない場合は、
Siウエハーを一定幅に劈開により切断してから樹脂膜
を形成しても良い。
【0017】図1は本発明に用いられる試料の一例を示
し、この試料は、基板1、基板1の上に形成された第一
の膜2、第一の膜2の上に形成された第二の膜3及び第
二の膜3の上に形成された樹脂膜4からなる幅dの長方
形である。一定幅に作製した試料を用いて積層膜(第一
の膜とその上に積層した第二の膜からなる積層膜)の界
面の接着力を測定するためには、図1に示すように、試
料の端から、接着力を測定する界面、即ち第一の膜2と
第二の膜3との界面で膜を剥離させる必要がある。基板
1にSiウエハーを用いた場合には、図3−(a)に示
すように、積層膜を形成していないSiウエハー(基板
1)の裏側にダイヤモンドペンで傷を付けて劈開し、図
3−(b)に示すように試料を折り曲げて引っ張ること
により、接着力を測定する界面から膜を剥がすことがで
きる。基板に他の材料を用いても同様の方法が適用可能
である。
【0018】試料作製のために、膜を端から剥離させた
ときに、接着力を測定しようとする界面では剥離せず、
第一の膜と基板との界面で剥離が発生する場合には、第
一の膜と、基板の接着力を改善することが好ましい。そ
のためには、基板をカップリング剤で処理したり、基板
と第一の膜の両方に接着性が良い膜をあらかじめ基板に
積層する方法を用いることができる。
【0019】逆に、試料作製のために、膜を端から剥離
させたときに、第二の膜と樹脂膜の界面で剥離が発生す
る場合には、第二の膜と樹脂膜の接着力を改善すること
が好ましい。その方法としては、第二の膜との接着性が
良い樹脂膜を選択する方法、第二の膜と樹脂膜との間に
両者との接着性が良い別の膜を形成する方法が用いられ
る。ただし、第二の膜と樹脂膜の接着力を改善しても、
剥離させる界面の接着力がそれより強い接着力を有する
場合には、第二の膜と樹脂膜との界面で剥離が起きる場
合が有る。その場合は、樹脂膜を剥離させるピール強度
を測定し、その結果が、接着力を測定する界面に要求さ
れるピール強度を超えていれば、接着力を測定しようと
する界面は十分な接着力を有していることが分かる。
【0020】図1のように作製した試料の接着力の測定
は、図2に示すように、第二の膜3と樹脂膜4からなる
積層膜の剥離させた部分を保持し、基板1を固定した状
態で、基板面に対して所定の引張り角度θで引っ張り、
第一の膜2から第二の膜3を剥離させることにより行
う。このとき、剥離させるために必要な引張荷重から界
面の接着力が得られる。膜を剥離させるために必要な引
張荷重は、引っ張り角度θによって変化することから、
接着力を比較するためには角度θをそろえる必要があ
る。また、試料の幅dを有する辺に対して垂直方向に剥
離が進むように剥離させる必要がある。それにより、幅
dに比例した引張荷重が得られる。
【0021】引張試験機を用いて引張り強度を測定する
場合は、図4に示すように、試料を引張試験機のロード
セル8の移動方向に対して、一定角度φで固定するが、
通常φは90度である。試料の固定は瞬間接着剤等を用
いて行うことができる。固定の際には、引き剥がし時の
引張り角度θが所定の角度になるようにする。試料のあ
らかじめ引き剥がした部分とロードセルの接続は、針
金、ロープ、鎖等の接続具7を間に介して行い、試料と
それらの接続はクリップ6又は粘着テープ等を用いて行
うことができる。試料に加わる不要な力が小さく、引っ
張り時の伸びが比較的小さいことから、鎖を用いて試料
とロードセル8を接続するのが好ましい。
【0022】この方法では、測定により、第二の膜3と
樹脂膜4からなる積層膜が引き剥がされると、引張り角
度θが変化する。θの変化は小さい方が好ましいことか
ら、試料とロードセル8の距離は遠い方が好ましい。引
き剥がし開始時のθが90度の場合、90〜85度の間
で測定を行うためには、試料とロードセル8の距離を引
き剥がし距離の12倍以上にすることが好ましい。試料
の引き剥がし距離としては4cm程度が適しており、そ
の場合試料とロードセルの距離は50cm以上が好まし
い。θが85〜90度の間で測定を行った場合には、θ
の変化による引張荷重の変化は小さく観察されない。ま
た、試料の幅dは1〜10mmとすることが好ましく、
1.5〜5mmとすることがより好ましい。
【0023】引張り速度は、測定試料によって適切な速
度を決定する必要がある。引張り速度が早いほど引張荷
重は大きな値が得られることから、接着力を比較する場
合は全て同じ引張り速度で測定する必要がある。CMP
の検討でハードマスク(第二の膜)と下層の低誘電率材
(第一の膜)の接着力を測定する場合には、引張り速度
は100mm/min〜1500mm/min程度が好
ましい。引張り速度が早いほど引張荷重が大きくなり測
定の感度が上がることから、500mm/min〜15
00mm/minの範囲が特に好ましい。逆に、引張り
速度が速すぎると、樹脂膜が切れてしまう場合がある。
【0024】測定結果は、引張り距離と引張荷重が数値
で記録されることが好ましい。測定には、コンピュータ
で制御された市販の引張試験機を用いることが可能であ
る。ピール強度としては、一定距離引き剥がした場合の
その距離内での単位幅あたりの引張荷重の平均値を用い
る。平均値を計算する場合、試料の端の影響を除くた
め、必要に応じて測定の始まり部分と終り部分の所定距
離を計算から除いても良い。平均値の計算方法として
は、適切な範囲の全ての測定結果を平均する全平均、横
軸:引き剥がし距離、縦軸:引張荷重のグラフにした場
合に、グラフの凸点の平均を取る凸点平均及び、グラフ
の凹点の平均をとる凹点平均等の計算方法がある。これ
らの平均値は試料の接着力に対してほぼ同じ傾向を示
す。従来のテンションゲージを用いた測定法では、引張
荷重の最大値を読み取っていたことから、引張試験機で
得られる引張荷重の凸点の引張荷重に相当する値を測定
していたと考えられる。従来の測定方法がCMPの剥離
と対応していることから、引張試験機を用いた測定のピ
ール強度として、凸点平均を試料の単位幅あたりの値に
換算した値を用いるのが好ましいと考えられる。
【0025】本発明の接着力測定方法を用い、LSIの
層間絶縁膜として適用が検討されている低誘電率膜(第
一の膜とする)とその上層に積層されるSiO2膜(第
二の膜とする)の接着力改善の検討を効率的に行うこと
ができる。例えば、低誘電率膜として、塗布法によって
形成した有機含有ポリシロキサン膜を用いることができ
る。塗布法によって形成される有機含有ポリシロキサン
膜は一般に有機SOG膜と呼ばれ、膜の組成、密度を制
御することにより比誘電率3.0〜1.8が達成可能で
ある。例えば、実用化が近いとされる比誘電率2.8の
有機含有ポリシロキサン膜を用いる場合、有機含有ポリ
シロキサン膜がウエハー表面に露出した状態では、LS
Iの多層配線形成プロセスで用いられるプラズマ及び薬
品により、有機含有ポリシロキサン膜が劣化し、絶縁膜
としての信頼性が低下する可能性がある。そのため、有
機含有ポリシロキサン膜の上にSiO2膜を積層するこ
とで、プロセス中の膜の劣化を防止することができる。
このSiO2膜は、プラズマCVD法により形成するの
が一般的であるが、このSiO2膜と有機含有ポリシロ
キサン膜の界面の接着力が弱いため、Cuダマシンプロ
セスのCu−CMPを行う際に有機含有ポリシロキサン
膜とその上に積層したSiO2膜の界面で剥離が発生す
ることが問題となっている。そこで、有機含有ポリシロ
キサン膜の表面を酸素プラズマで処理した場合の有機含
有ポリシロキサン膜と、その上に積層したSiO2膜と
の接着力の改善を検討する。有機含有ポリシロキサン膜
とSiO2膜の界面のピール強度と、有機含有ポリシロ
キサン膜、有機含有ポリシロキサン膜の上に積層したS
iO2膜、バリア膜及びCu膜からなる積層膜を形成
し、Cu−CMPを行ったときの剥離発生との対応を調
べる。ここで、バリア膜は、下地絶縁膜との接着性向上
やCu膜が下地絶縁膜中を拡散する事を防ぐ事などを目
的として形成される。検討の結果、Cu−CMP時の剥
離発生に対して十分なマージンを有する有機含有ポリシ
ロキサン膜とその上に積層したSiO2膜との界面のピ
ール強度は、0.98N/mm(100gf/mm)以
上であることを見出せる。CMP工程で積層膜に加わる
応力は、有機ポリシロキサン膜を用いた場合と低誘電率
膜として有機ポリマー膜を用いた場合とで同程度であ
る。従って、Cu−CMP時の剥離発生に対して十分な
マージンを有する有機ポリマー膜と上層のSiO2膜界
面のピール強度は、0.98N/mm(100gf/m
m)以上である。
【0026】CMP工程での剥離(Cu−CMPの場
合)は、有機含有ポリシロキサン膜又は有機ポリマー膜
上に積層したSiO2膜をグローバル平坦化のために研
磨するCMPプロセスにおいても、積層膜に加わる応力
はCu−CMPの場合と同程度である。従って、有機含
有ポリシロキサン膜又は有機ポリマー膜とその上に積層
したSiO2膜界面のピール強度が0.98N/mm
(100gf/mm)以上であれば、SiO2のCMP
プロセスにおいても十分な剥離耐性を有する。
【0027】また、バリア膜とCu膜を低誘電率膜上に
直接積層してCu−CMPを行う検討もされているが、
その場合は低誘電率膜とバリア膜の界面の接着が問題と
なる。この場合も、CMP工程で発生する応力はSiO
2を積層した場合と同じであることから、低誘電率膜と
バリア膜金属の接着力が0.98N/mm(100gf
/mm)以上であれば、十分な剥離耐性を有する。
【0028】有機ポリシロキサン膜の作製方法として
は、有機ポリシロキサン塗布液を用いるスピンコート法
を用いるのが一般的である。例えば、スピンコート後、
ホットプレートでプリベークを行い、最後に炉を用いて
最終硬化を行う。プリベークは通常50〜350℃の温
度で、2〜3枚のホットプレートを用いて低温から段階
的に昇温して行う。最終硬化温度は400〜450℃
で、雰囲気は、有機基の分解を防ぐため、窒素雰囲気を
用いるのが好ましい。
【0029】有機ポリシロキサン膜の塗布液として、ア
ルコキシシランの部分加水分解縮合物の溶液を用いるの
が好ましい。塗布液の製造法としては、例えば、アルコ
キシシラン類を、溶剤及び触媒の存在下に水を添加して
加水分解縮合反応させる方法がある。この場合、必要に
応じて加熱を行ってもよい。触媒としては、塩酸、硝
酸、硫酸などの無機酸、ギ酸、シュウ酸、酢酸などの有
機酸等が使用できる。通常、生成物の分子量を、ゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により求め
た標準ポリスチレン換算重量平均分子量で500〜10
000の範囲に設定するのが、溶液の保管安定性、溶剤
への溶解性の観点から好ましい。ついで必要に応じて系
内に存在する水を蒸留などにより除去し、さらに触媒を
イオン交換樹脂などで除去してもよい。
【0030】アルコキシシラン類としては例えば以下の
ものが使用可能である。テトラメトキシシラン、テトラ
エトキシシラン、テトラプロポキシシランなどのテトラ
アルコキシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチ
ルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、
フェニルトリメトキシシランなどのモノアルキルトリア
ルコキシシラン類、ビニルトリメトキシシラン、ビニル
トリエトキシシランなどのモノアルケニルトリアルコキ
シシラン類、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、
トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ペンタフル
オロブチルトリメトキシシラン、ノナフルオロヘキシル
トリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメ
トキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシ
シラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシ
ラン、ヘプタデカフルオロウンデシルトリメトキシシラ
ン、(4−ペルフルオロブチルフェニル)トリメトキシ
シラン、(4−ペルフルオロヘキシルフェニル)トリメ
トキシシラン、(4−ペルフルオロオクチルフェニル)
トリメトキシシランなどの含フッ素アルコキシシラン
類、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポ
キシシラン類、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシ
ラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどの脂
肪族アミノシラン類、アミノフェニルトリメトキシシラ
ン、アミノフェニルトリエトキシシラン、N−フェニル
−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどの含芳香
環アミノシラン類。
【0031】加水分解縮合反応及び塗布液に用いる溶剤
としては例えば以下のものが使用可能である。メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコ
ール系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、
酢酸ブチル等の酢酸エステル系溶媒、エチレングリコー
ルモノメチルアセテート、エチレングリコールジアセテ
ート等のグリコールアセテート系溶媒、N,N−メチル
−2ピロリドン等のアミド系溶媒、グリコールエーテル
系溶媒等。
【0032】有機ポリシロキサン膜の酸素プラズマ処理
には、プラズマエッチングに用いられる平行平板型のR
IE(Reactive Ion Etching)装
置が使用可能である。
【0033】SiO2膜としては、従来からLSIの層
間絶縁膜として用いられているプラズマCVD法によっ
て形成されるSiO2膜を用いることができる。製膜に
用いるガスとしては、SiH4とN2Oまたは、Si(O
254とO2の組み合わせが使用可能である。また、
プラズマCVD装置は市販の装置を用いることができ
る。
【0034】本発明の接着力測定において、Cu−CM
Pを行うときの構造に近づけるため、SiO2膜(第二
の膜)上に金属膜を形成してもよい。この場合、樹脂膜
は金属膜上に形成される。SiO2膜上に金属膜を積層
することにより、接着力が変化する可能性がある場合
は、金属膜を積層して接着力測定を行うのが好ましい。
金属膜としては、Al、Cu、Ti、Ta、TiN、T
aN等の膜が挙げられ、厚みは0.01〜1.5μmと
することが好ましい。また、CMPにおける剥離がどの
界面から起きているかが不明である場合には、実際と同
じ構造の積層膜を形成し、本発明の接着力測定方法によ
る測定を行った後、膜を剥離させた部分を分析すること
により、積層膜のどの界面が剥離しているかを知ること
が可能である。
【0035】Cu−CMP後剥離の有無を調べるために
は、SiO2膜上にバリアメタルとCu膜を積層する。
バリアメタルは、Ti、TiN、Ta、TaN等が用い
られ、市販のスパッタ装置で製膜できる。また、Cuは
スパッタ又はメッキにより製膜でき、これも市販の装置
が使用可能である。
【0036】Cu−CMPは、Cu−CMP用として市
販されている研磨液を用いることができ、研磨パッド及
び研磨装置も一般的に使用されているものが使用可能で
ある。Cu−CMP用の研磨液としては、従来の砥粒を
含むタイプに対し、エロージョンや、キズを低減できる
砥粒を含まないタイプが提案されているおり、それを用
いることも可能である。また、Cu−CMP後のバリア
メタル研磨も市販の研磨液、研磨パッド及び研磨装置を
用いて行うことが出来る。
【0037】Cu−CMP後の剥離発生の有無は、目視
又は顕微鏡を用いて行うことができる。定量化するため
には剥離した部分の大きさと、剥離した場所の数を測定
する方法が用いられる。
【0038】CMPによる剥離の発生と、本発明の接着
力測定方法によって得られるピール強度を比較すること
で、CMPによる剥離が発生しないために必要なピール
強度を見出すことができる。その後のプロセスマージン
の確認や、別の低誘電率材料、接着改良プロセス等を用
いた場合は、CMPの剥離に対して必要なピール強度が
得られるかどうかを確認すれば良く、実際にCMPを行
って剥離の発生を評価する回数を大幅に削減できる。ま
た、CMP工程の剥離の検討では、評価結果にばらつき
が伴うが、実際にCMPを行う方法で評価結果のばらつ
きまで確認するためには、多数の評価ウエハーを必要と
し、現実的ではない。それに対し、本発明の接着力測定
方法を用いれば、数回の測定の平均値を求めることによ
り、再現性のある、信頼度の高いデータが得られる。ま
た、ウエハー面内の接着力のばらつきを評価することも
容易である。従って、本発明の接着力測定方法を用いて
接着力改善の検討を行うことにより、検討に要する時間
とコストを大幅に削減することが可能となる。また、C
MPに対して十分な接着力を有する低誘電率膜とSiO
2膜からなる積層膜を半導体素子の層間絶縁膜として用
いることで、高集積化したLSIの高性能化、高歩留ま
り、高信頼性が達成される。本発明の半導体素子として
は、例えば、DRAM、SRAM、EPROM、マスク
ROM、EEPROM、フラッシュメモリーなどの記憶
素子、マイクロプロセッサー、ASICなどの論理回路
素子などに代表される集積回路素子が挙げられる。
【0039】
【実施例】以下、本発明の実施例及びその比較例によっ
て本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの
実施例に限定されるものではない。 実施例1 モノメチルトリエトキシシラン1モルに対し、テトラエ
トキシシラン0.3モルの比率でこれらを混合し、加水
分解縮合反応により有機含有ポリシロキサン塗布液Aを
得た。500mlのフラスコ内でモノメチルトリエトキ
シシラン(1モル)、テトラエトキシシラン(0.3モ
ル)と溶媒のプロピレングリコールモノプロピルエーテ
ル(150ml)を混合し、撹拌を行いながら水で希釈
した硝酸を滴下し、加水分解縮反応を行った。このとき
の実験室の気温は23℃で、フラスコの温度制御は行わ
なかった。添加した水の量は、用いたアルコキシシラン
のアルコキシ基と等モルで、硝酸はアルコキシシラン
1.0モルに対し、0.01モルとした。反応混合物の
不揮発分濃度は、10重量%に調整した。水で希釈した
硝酸の滴下終了後、2時間程度撹拌を行った後、反応混
合物(塗布液A)を密閉容器に移して23℃で2日間放
置した。放置後のシロキサンオリゴマーの分子量をGP
Cで測定した結果、ポリスチレン換算の数平均分子量は
1000程度、重量平均分子量は1500程度であっ
た。その後は冷凍庫(−18℃)で保管を行った。
【0040】得られた塗布液Aを用いてスピンコート法
により基板上に5000rpmで塗布し、次いでベーク
及び最終硬化を行い、有機含有ポリシロキサン膜の形成
を行った。有機含有ポリシロキサン膜の最終硬化後の膜
厚は、0.3μmになった。基板はベアの8インチシリ
コンウエハーを用いた。スピンコート後のベークは、ホ
ットプレートで80℃/90sec、150℃/90s
ec、250℃/90secのベークを連続することに
より行った。最終硬化は、縦型炉を用いて窒素雰囲気中
で、425℃/30minの処理を行った。
【0041】得られた有機含有ポリシロキサン膜の誘電
率の測定を行った結果、比誘電率は2.8であった。誘
電率の測定では、抵抗率0.1Ω・cm以下のシリコン
ウエハーに形成した有機含有ポリシロキサン膜上に、直
径2mmのAl電極を形成し、Al電極とシリコンウエ
ハーで形成されるキャパシターの容量を測定し、その容
量値と膜厚及び、Al電極の面積から比誘電率を計算し
た。容量測定はインピーダンスアナライザを用いて10
kHzで行った。また、膜厚は、エリプソメトリーを用
いて測定した。
【0042】次に、最終硬化後のシリコンウエハーの有
機含有ポリシロキサン膜(第一の膜)の酸素プラズマ処
理による表面処理を、平行平板型のRIE装置CSE−
1110(アルバック(株)製)を用いて行った。表面
処理は、表1に示すNo.1〜7の条件にて行った。N
o.1〜7の条件では、処理圧力1.3〜13.3Pa
(10mTorr〜100mTorr)で処理を行っ
た。酸素ガス流量は、圧力に合わせて15〜100sc
cmに設定した。全ての条件で、Rfパワーは200
W、処理時間は30秒にした。表面処理は各条件で2枚
ずつ行い、1枚を接着力測定に用い、1枚をCu−CM
Pの評価に用いた。
【0043】表面処理を行ったウエハーすべてに、プラ
ズマCVDによりSiO2膜(第二の膜)を有機含有ポ
リシロキサン膜(第一の膜)上に積層した。装置はP−
5000(アプライドマテリアル(株)製)を用い、ソ
ースガスはSi(OC25 4と、O2を用いた。ウエハ
ー温度350度、処理圧力1.2kPa(9Torr)
で、厚さ100nmのSiO2膜を積層した。
【0044】SiO2膜を積層後、スパッタによりAl
を200nm積層し、更にその上に樹脂膜を形成し、接
着力の評価を行った。樹脂膜としては、ポリイミドフィ
ルムにあらかじめエポキシ系接着フィルムを積層した2
層構造のフィルムを用いた。用いたポリイミドフィルム
は厚さ25μmのUPILEX(宇部興産(株)製)
で、エポキシ系接着フィルムは厚さ25μmのSD−5
00(日立化成工業(株)製)を用いた。十分な引張り
強度を得るため、この2層構造のフィルムを試料表面に
2枚積層した。フィルムの圧着は180℃に加熱したホ
ットプレート上にウエハーを置き、40℃に加熱したロ
ーラーを用いて行った。圧着後は、SD−500の硬化
のため、180℃のオーブンで1時間硬化させた。硬化
後は、20mm×60mmにウエハーを劈開し、さらに
ダイシング装置を用いてウエハーを2mm×60mmに
切断し、試料を作成した。その後、試料をよく乾燥さ
せ、Siウエハーの裏側にダイヤモンドペンで傷を付け
て図3(a)に示すように劈開し、図3(b)に示すよ
うに試料を折り曲げて引っ張り、膜を端から剥離させ、
図1に示すような(Al膜は図示せず)接着力を測定す
る界面が部分的に剥離した接着力測定用の試料を作製し
た。このとき、端まで剥離させたときの剥離距離が3〜
4cmになるようにした。剥離させた部分の膜の色及び
SEMによる断面観察により、剥離は有機含有ポリシロ
キサン膜(第一の膜)と上層SiO2膜(第二の膜)の
界面で起きていることを確認した。次に、図4に示すよ
うに、引張試験機の試料台9に試料のウエハーを固定
し、剥離した膜の端とロードセル8を50cmの鎖(接
続具7)を介して接続した。このとき、鎖の端にクリッ
プ6を接続し、クリップ6で試料の端を挟んだ。試料と
ロードセル8の移動方向の角度φ、剥離開始時の引張り
角度θは共に90度とした。引張試験機は島津製作所
(株)製のAGS−Hを用いた。引張試験機の制御、デ
ータ処理にはコンピュータを使用し、ソフトウエアはF
actory OSHIKIBU(Ver.1.00.
0004)を使用し、ピールモードで測定を行った。ま
た、ロードセルはAGS−2Hを用いた。引張り速度
は、500mm/minで、試料の端まで引き剥がしを
行い(距離:45〜55mm)引張荷重を測定した。測
定時の引張荷重と、引き剥がし距離は付属のコンピュー
タに取り込まれる。得られた結果から、ソフトウエアに
より引張荷重の凸点平均を計算し、試料の幅2mmで除
して単位幅あたりの値に換算し、ピール強度とした。平
均値の計算では、試料の端の影響を避けるため、剥がれ
始めと終りの5mm分を平均値の計算から除いた。各表
面処理条件について3回ずつ測定を行った。
【0045】Cu−CMPの評価を行うウエハーには、
SiO2膜上にTaNを10nm積層し、次いでTaを
20nm積層し、最後にCuを200nm積層した。T
aN、Ta、Cuの製膜はスパッタで行った。Cu−C
MPでは、研磨液は砥粒フリー研磨液 HS−4000
(日立化成工業(株)製)、研磨パッドはIC−100
0単層、格子溝パッド(ロデール(株)製)、研磨装置
は、定盤直径24インチ、2プラテン型のメタル用研磨
装置(ラップマスター(株)社製)を用いた。研磨条件
は、荷重200g/cm2、定盤回転数40rpm、ウ
エハーホルダ回転数40rpm、研磨液供給量200c
c/min、研磨時間2分とし、プラテンは、第一プラ
テンを用いた。この条件でのCuの研磨速度は140n
m/minであった。研磨後はウエハーを水で洗浄し、
乾燥させた後、剥離の観察を行った。剥離の観察結果を
表1に示す。No.1〜4のウエハーで発生した剥離
は、剥離部分の膜の色及びSEMによる断面観察の結
果、有機含有ポリシロキサン膜と、有機含有ポリシロキ
サン膜上のSiO2膜の界面で発生していることを確認
した。また、剥離が発生しなかったNo.5〜7のウエ
ハーでは、Cuの研磨残りや、キズも発生していないこ
とを目視で確認した。
【0046】表1に実施例の結果を示す。表1のピール
強度の欄において、平均値とは3回の測定によりそれぞ
れ算出した3つのピール強度の平均値である。また、3
つのピール強度の値のうち最大のものを最大値とし、最
小のものを最小値とした。表1から、ピール強度のばら
つきは、3回の測定から算出したピール強度の平均値に
対して±5%程度であることが分かる。また、表1か
ら、ピール強度の平均値が0.51N/mm(52gf
/mm)では、異物が原因と考えられる直径0.5mm
以下の小さな剥離のみが発生していることから、Cu−
CMPで剥離が発生しないために必要な最低限のピール
強度の平均値は、0.49N/mm(50gf/mm)
程度であることが分かる。実際のLSIのプロセスにお
いて、CMPを行う場合には、異物の影響を考慮したマ
ージンが必要である。表1の結果から、ピール強度の平
均値が0.98N/mm(100gf/mm)以上であ
れば、異物起因の剥離に対しても十分なマージンがある
と考えられる。また、ピール強度の平均値が1.47N
/mm(150gf/mm)以上であれば、より大きな
異物に対しても剥離が起こらなくなり、より高歩留まり
が達成可能である。
【0047】比較例1 比較のため、実施例1の接着力測定と同様、有機含有ポ
リシロキサン膜を表面処理したウエハーにSiO膜、
Alを積層したものを用い、テンションゲージによるピ
ール強度測定を行った。樹脂膜として、ポリイミドフィ
ルムにあらかじめエポキシ系接着フィルムを積層した2
層構造のフィルムを用いた。用いたポリイミドフィルム
は厚さ25μmのUPILEX(宇部興産(株)製)
で、エポキシ系接着フィルムは厚さ25μmのDF−4
00(日立化成工業(株)製)を用いた。フィルムの圧
着は180℃に加熱したホットプレート上にウエハーを
置き、40℃に加熱したローラーを用いて行った。圧着
後は、DF−400の硬化のため、180℃のオーブン
で1時間硬化させた。硬化後は、20mm×60mmに
ウエハーを劈開し、さらにダイシング装置を用いてウエ
ハーを2mm×60mmに切断し、試料を作製した。そ
の後、試料をよく乾燥させ、Siウエハーの裏側にダイ
ヤモンドペンで傷を付けて図3(a)に示すように劈開
し、図3(b)に示すように試料を折り曲げて引っ張
り、膜の端から剥離させ、図1に示すような測定用の試
料を作製した(Al膜は図示せず)。剥離させた部分の
膜の色及びSEMによる断面観察により、剥離は有機含
有ポリシロキサン膜と上層のSiO2膜の界面で起きて
いることを確認した。次に、図2に示すように、ウエハ
ーを固定し、剥離した膜の端をテンションゲージに接続
し、テンションゲージを介して膜を引っ張り、剥離させ
た。このときテンションゲージは手で持ち、角度θを9
0度に保って膜を剥離させた。ウエハーの固定は手で行
い、試料とテンションゲージは市販の粘着テープで接続
した。引張荷重は、連続的に約2cm剥離させた時の引
張荷重の最大値をテンションゲージで読み取った。用い
たテンションゲージは、最大荷重が30g、300g、
500gで、引張荷重に応じて適当な最大荷重のテンシ
ョンゲージを選択した。各条件について5回測定を行っ
た。得られたピール強度のうち、最大値、最小値及び平
均値を表2に示した。
【0048】表2の結果を見ると、ピール強度は平均値
に対して±10%程度のばらつきがあり、表1の実施例
のばらつき±5%と比較してばらつきが大きいことが分
かる。また、テンションゲージで測定する方法では、異
なる測定者が測定した場合に、接着力の大小関係は変わ
らないが、測定の平均値が±10%程度変動する場合が
ある。
【0049】実施例2 実施例1におけるCu−CMPで剥離が発生しなかった
表面処理条件No.5〜7のウエハーを用いて、実施例
1と同様にTaN、Taを積層し、Ta/TaNのCM
Pを行った。研磨液は、砥粒入りの研磨液 HS−50
00X−4(日立化成工業(株)製)、研磨パッドはI
C−1000単層、格子溝パッド(ロデール(株)
製)、研磨装置は、実施例1と同一の研磨装置を用い、
第二プラテンを用いて研磨を行った。研磨条件は、荷重
200g/cm2、定盤回転数30rpm、ウエハーホ
ルダ回転数30rpm、研磨液供給量200cc/mi
n、研磨時間1分とした。この条件でのTa、TaNの
研磨速度は50nm/minであった。研磨後は、水洗
し、乾燥させて観察を行った。膜の剥離は無く、研磨残
りやキズの発生も無い良好な結果が得られた。
【0050】剥離が発生しなかった表面処理条件No.
5〜7のウエハーを用い、実施例1と同様にして別途C
u−CMP評価用のウエハーを作製した。研磨速度を速
くするため、荷重400g/cm、定盤回転数100
rpm、ウエハーホルダ回転数100rpmとし、その
他は実施例1と同じ条件を用いてCu−CMPを行っ
た。その結果も、剥離は発生しなかった。このときのC
uの研磨レートは、220nm/minで、より速い研
磨速度で研磨しても剥離は発生しないことを確認した。
【0051】実施例1の有機含有ポリシロキサン膜と、
表面処理条件No.5のウエハーを用いて、全ての配線
層の絶縁膜に有機含有ポリシロキサン膜とCVDSiO
2膜の積層膜を適用した6層配線を有するLSIを試作
し、90%以上の歩留まりが得られることを確認した。
また、配線層の絶縁膜として従来のSiO2膜を用いた
場合と比較してLSIの動作速度を20%向上できた。
【0052】
【表1】
【表2】
【発明の効果】本発明の接着力測定方法では、高い接着
力を有する界面の接着力を高精度で測定することが可能
であるため、LSIのCMP工程における剥離の発生と
接着力の関係を正確に把握することが可能となる。その
結果、CMPに耐えるための接着力改善の検討を効率的
に行うことが可能になる。また、十分な接着力を有する
低誘電率膜と上層膜の積層膜を半導体素子の層間絶縁膜
として適用することにより、CMP耐性が向上し、広い
プロセスマージンを確保できるため、LSIの高性能化
と、高信頼性、高歩留りが達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】接着力測定用試料の形状を示す斜視図である。
【図2】接着力測定方法を表す側面図である。
【図3】本発明の接着力測定用試料の作成方法である。
【図4】本発明の引張試験機による接着力測定方法を示
す図である。
【符号の説明】
1 基板 2 第一の膜 3 第二の膜 4 樹脂膜 6 クリップ 7 接続具 8 ロードセル 9 試料台
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5F033 HH08 HH11 HH18 HH19 HH21 HH32 HH33 MM01 MM05 MM13 PP15 PP26 RR04 RR21 SS02 SS15 SS22 TT04 WW00 WW09 XX12 XX37

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一の膜とその上に積層した第二の膜か
    らなる積層膜における第一の膜と第二の膜の界面の接着
    力を測定する接着力測定方法であって、基板、基板上に
    形成された第一の膜、第一の膜の上に形成された第二の
    膜、第二の膜の上に形成された樹脂膜からなる所定幅の
    試料を作製し、該試料の第一の膜と第二の膜の界面を部
    分的に剥離させた後、基板を固定し、部分的に剥離させ
    た第二の膜と樹脂膜の端部を引張試験機を用いて基板面
    に対して所定の引張り角度及び所定の速度で、所定の距
    離を引っ張り、第一の膜と第二の膜の界面を剥離させる
    ために必要な引張荷重を所定の距離にわたって測定し、
    該所定の距離間の該試料の単位幅あたりの引張荷重の平
    均値をピール強度とする接着力測定方法。
  2. 【請求項2】 引張荷重の平均値として、引張荷重の凸
    点平均を用いる請求項1記載の接着力測定方法。
  3. 【請求項3】 第一の膜が比誘電率が3.0以下の膜で
    あり、第二の膜が酸化珪素膜であり、第二の膜である酸
    化珪素膜と樹脂膜との間に金属膜を形成する請求項1記
    載の接着力測定方法。
  4. 【請求項4】 第一の膜とその上に積層した第二の膜か
    らなる積層膜であって、請求項2記載の方法を用いて、
    引張り速度500mm/min、引張り角度85〜90
    度で測定を行った場合のピール強度が0.49N/mm
    (50gf/mm)以上である積層膜。
  5. 【請求項5】 比誘電率3.0以下の第一の膜上に、第
    二の膜を積層した請求項4記載の積層膜。
  6. 【請求項6】 第二の膜が、化学気相成長法により形成
    した膜である請求項5記載の積層膜。
  7. 【請求項7】 第二の膜が、酸化珪素膜である請求項5
    記載の積層膜。
  8. 【請求項8】 第二の膜が、金属膜である請求項5記載
    の積層膜。
  9. 【請求項9】 比誘電率3.0以下の第一の膜が有機含
    有ポリシロキサン膜である請求項5記載の積層膜。
  10. 【請求項10】 比誘電率3.0以下の第一の膜が有機
    ポリマー膜である請求項5記載の積層膜。
  11. 【請求項11】 請求項4、5、6、7、8、9又は1
    0記載の積層膜を有する半導体素子。
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