JP2003066563A - 銀塩光熱写真ドライイメージング材料、その画像記録方法及びその画像形成方法 - Google Patents

銀塩光熱写真ドライイメージング材料、その画像記録方法及びその画像形成方法

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JP2003066563A
JP2003066563A JP2001257728A JP2001257728A JP2003066563A JP 2003066563 A JP2003066563 A JP 2003066563A JP 2001257728 A JP2001257728 A JP 2001257728A JP 2001257728 A JP2001257728 A JP 2001257728A JP 2003066563 A JP2003066563 A JP 2003066563A
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silver salt
photosensitive
imaging material
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JP2001257728A
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Hideki Takiguchi
秀樹 滝口
Seiwa Morita
聖和 森田
Ayumi Nishijima
歩 西島
Yasushi Usagawa
泰 宇佐川
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Konica Minolta Inc
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、高感度、低カブリでありな
がら、保存安定性に優れ、かつ熱現像後の銀画像安定性
に優れた銀塩光熱写真ドライイメージング材料、その画
像記録方法及びその画像形成方法を提供することにあ
る。 【解決手段】 非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子及び
感光性ハロゲン化銀粒子を含有する感光性乳剤、銀イオ
ン還元剤、バインダー及び架橋剤を含有する銀塩光熱写
真ドライイメージング材料において、該銀イオン還元剤
の少なくとも一種が下記一般式(A)で表されるビスフ
ェノール誘導体であり、かつ銀塗布量が0.5g/m2
以上、1.5g/m2以下であり、かつ該感光性ハロゲ
ン化銀粒子がその内部にヘテロ環式化合物を含有してい
ることを特徴とする銀塩光熱写真ドライイメージング材
料。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、銀塩光熱写真ドラ
イイメージング材料、その画像記録方法及びその画像形
成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、医療や印刷製版の分野では、画像
形成材料の湿式処理に伴う廃液が作業性の上で問題とな
っており、環境保全や省スペース化の観点からも処理廃
液の低減が強く望まれている。
【0003】その為、レーザ・イメージャーやレーザ・
イメージセッターのような効率的な露光が可能で、かつ
高解像度で鮮明な黒色画像を形成することができる写真
技術用途の光熱写真材料に関する技術が必要とされてき
ている。
【0004】上記光熱写真材料に係る技術として、例え
ば、D.モーガン(Morgan)とB.シェリー(S
hely)による米国特許第3,152,904号、同
3,487,075号又はD.H.クロスタベール(K
losterboer)による「ドライシルバー写真材
料(Dry Silver Photographic
Materials)」(Handbook of
Imaging Materials,Marcel
Dekker,Inc.第48頁、1991)等に記載
されているように、支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲ
ン化銀及び還元剤を含有する銀塩光熱写真ドライイメー
ジング材料が知られている。この銀塩光熱写真ドライイ
メージング材料では、溶液系処理薬品を一切使用しない
ため、より簡便で環境を損なわないシステムをユーザー
に提供することができる利点を有している。
【0005】これらの銀塩光熱写真ドライイメージング
材料は、感光性層中に設置された感光性ハロゲン化銀粒
子を光センサーとし、有機銀塩を銀イオンの供給源と
し、内蔵された還元剤によって通常80〜140℃で熱
現像することで画像を形成させ、定着を行わないことが
特徴である。
【0006】しかしながら、銀塩光熱写真ドライイメー
ジング材料においては、有機銀塩、感光性ハロゲン化銀
粒子及び還元剤を含有するため、熱現像前の保存期間に
カブリが生じ易い。また、露光後、通常80〜250℃
で熱現像するだけで定着を行わないため、熱現像後にお
いても、ハロゲン化銀、有機銀塩及び還元剤等の全部あ
るいは一部が残留するため、長期間の保存過程で、熱や
光により金属銀が生じ、銀画像の色調等の画質が変化し
易いという問題がある。
【0007】これらの問題を解決するための技術が、例
えば、特開平6−208192号、同8−267934
号、米国特許第5,714,311号、欧州特許第1,
096,310号及びこれらの特許文献に引用されてい
る文献等において開示されているが、これらの開示技術
の多くは、ある程度の効果を呈するものの、市場におい
て要求されるレベルを満たすための技術としてはまだ充
分なものではない。
【0008】一方、銀塩光熱写真ドライイメージング材
料のいわば永遠のテーマとして、更なる高画質化が要望
されている。特に、医療用画像の分野では、より正確な
診断を可能にするための高画質化技術の開発が要望され
ている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は上記
の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高感
度、低カブリでありながら、保存安定性に優れ、かつ熱
現像後の銀画像安定性に優れた銀塩光熱写真ドライイメ
ージング材料、その画像記録方法及びその画像形成方法
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、以
下の手段により達成された。
【0011】1.非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子及
び感光性ハロゲン化銀粒子を含有する感光性乳剤、銀イ
オン還元剤、バインダー及び架橋剤を含有する銀塩光熱
写真ドライイメージング材料において、該銀イオン還元
剤の少なくとも一種が前記一般式(A)で表されるビス
フェノール誘導体であり、かつ銀塗布量が0.5g/m
2以上、1.5g/m2以下であり、かつ該感光性ハロゲ
ン化銀粒子がその内部にヘテロ環式化合物を含有してい
ることを特徴とする銀塩光熱写真ドライイメージング材
料。
【0012】2.前記感光性ハロゲン化銀粒子が、沃臭
化銀であることを特徴とする前記1項に記載の銀塩光熱
写真ドライイメージング材料。
【0013】3.前記感光性ハロゲン化銀粒子が粒径
0.030μm以上で、かつ0.055μm以下のハロ
ゲン化銀粒子の銀換算含有量が、前記銀塗布量の3%以
上、15%以下であることを特徴とする前記1又は2項
に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0014】4.非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子及
び感光性ハロゲン化銀粒子を含有する感光性乳剤、銀イ
オン還元剤、バインダー、及び架橋剤を含有する銀塩光
熱写真ドライイメージング材料において、該銀イオン還
元剤の少なくとも一種が前記一般式(A)で表されるビ
スフェノール誘導体であり、かつ100℃以上の温度で
現像処理した後の感光性層の熱転移点温度が、46℃以
上、200℃以下であることを特徴とする銀塩光熱写真
ドライイメージング材料。
【0015】5.銀塗布量が0.5g/m2以上、1.
5g/m2以下であり、かつ前記感光性ハロゲン化銀粒
子が、その内部にヘテロ環式化合物を含有していること
を特徴とする前記4項に記載の銀塩光熱写真ドライイメ
ージング材料。
【0016】6.前記感光性ハロゲン化銀粒子が、沃臭
化銀であることを特徴とする前記4又は5項に記載の銀
塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0017】7.前記感光性ハロゲン化銀粒子が粒径
0.030μm以上で、かつ0.055μm以下のハロ
ゲン化銀粒子の銀換算含有量が、前記銀塗布量の3%以
上、15%以下であることを特徴とする前記4〜6項の
いずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料。
【0018】8.前記非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒
子が、結晶成長抑制剤又は分散剤として機能する化合物
の存在下で形成されたものであることを特徴とする前記
1〜7項のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイ
メージング材料。
【0019】9.前記結晶成長抑制剤又は分散剤として
機能する化合物が、ヒドロキシル基又はカルボキシル基
を有する有機化合物であることを特徴とする前記8項に
記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0020】10.感光性層又は非感光性層が、省銀化
剤を含有することを特徴とする前記1〜9項のいずれか
1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0021】11.前記省銀化剤の少なくとも一種が、
シラン化合物であることを特徴とする前記10項に記載
の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0022】12.感光性層が2層以上からなることを
特徴とする前記1〜11項のいずれか1項に記載の銀塩
光熱写真ドライイメージング材料。
【0023】13.前記1〜12項のいずれか1項に記
載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に画像を記録
する画像記録方法において、露光を走査レーザ光が縦マ
ルチであるレーザ光走査露光機により行うことを特徴と
する画像記録方法。
【0024】14.前記1〜12項のいずれか1項に記
載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料の画像形成方
法において、熱現像処理を施した後の該銀塩光熱写真ド
ライイメージング材料の色相角habが、180度<hab
<270度であることを特徴とする画像形成方法。
【0025】以下、本発明の詳細について説明する。は
じめに、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料
(以下、単に感光材料ともいう)に用いられる感光性ハ
ロゲン化銀粒子(以下、単にハロゲン化銀粒子ともい
う)について説明する。なお、本発明における感光性ハ
ロゲン化銀粒子とは、ハロゲン化銀結晶の固有の性質と
して本来的に光吸収することができ、又は人為的に物理
化学的な方法により可視光ないし赤外光を吸収すること
ができ、かつ紫外光領域から赤外光領域の光波長範囲内
のいずれかの領域の光を吸収したときに、ハロゲン化銀
結晶内又は結晶表面において、物理化学的変化が起こり
得るように処理製造されたハロゲン化銀結晶粒子をい
う。
【0026】本発明に用いられるハロゲン化銀粒子自体
は、P.Glafkides著Chimie et P
hysique Photographique(Pa
ulMontel社刊、1967年)、G.F.Duf
fin著 Photographic Emulsio
n Chemistry(The Focal Pre
ss刊、1966年)、V.L.Zelikman e
t al著Making and Coating P
hotographic Emulsion(The
Focal Press刊、1964年)等に記載され
た方法を用いてハロゲン化銀粒子乳剤として調製するこ
とができる。即ち、酸性法、中性法、アンモニア法等の
いずれでもよく、又可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反
応させる形成としては、片側混合法、同時混合法、それ
らの組合せ等のいずれを用いてもよいが、上記方法の中
でも形成条件をコントロールしつつハロゲン化銀粒子を
調製する、いわゆるコントロールドダブルジェット法が
好ましい。ハロゲン組成としては特に制限はなく、塩化
銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀
のいずれであってもよいが、請求項2又は6に係る発明
では、沃臭化銀であることが特徴である。
【0027】沃臭化銀の場合は、沃度含有量は0.02
〜6mol%/Agmolの範囲であることが好まし
い。沃度はハロゲン化銀粒子全体に分布するように含有
させても、あるいはハロゲン化銀粒子の特定個所、例え
ば、粒子の中心部の沃度の濃度を高くし、表面近傍にお
ける濃度を低く又は実質上ゼロとなるようなコア/シェ
ル型構造としてもよい。
【0028】粒子形成は、通常、ハロゲン化銀種粒子
(核粒子)生成と粒子成長の2段階に分けられ、一度に
これらを連続的に行う方法でもよく、あるいは核(種粒
子)形成と粒子成長を分離して行う方法でもよい。粒子
形成条件としては、pAg、pH等をコントロールして
粒子形成を行うコントロールドダブルジェット法が粒子
形状やサイズのコントロールができる点で好ましい。例
えば、核生成と粒子成長を分離して行う方法の場合に
は、先ず、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩をゼラチン水
溶液中で均一、急速に混合させて核生成(核生成工程)
を行った後、コントロールされたpAg、pH等のもと
で、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を供給しつつ、粒子
成長させる粒子成長工程によりハロゲン化銀粒子を調製
する。
【0029】本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、
画像形成後の白濁や色調(黄色味)を低く抑えるため、
及び良好な画質を得るためにハロゲン化銀粒子の粒径が
小さい方が好ましく、平均粒径が0.02μm未満の粒
子を計測対象外としたときの値として、0.030μm
以上、0.055μm以下が好ましい。
【0030】なお、ここでいう粒径とは、ハロゲン化銀
粒子が立方体或いは八面体のいわゆる正常晶である場合
には、ハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。また、ハロ
ゲン化銀粒子が平板状粒子である場合には、主表面の投
影面積と同面積の円像に換算したときの直径をいう。
【0031】本発明において、ハロゲン化銀粒子は単分
散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記
式で求められる粒径の変動係数が30%以下をいう。好
ましくは20%以下であり、更に好ましくは15%以下
である。
【0032】粒径の変動係数=粒径の標準偏差/粒径の
平均値×100(%)ハロゲン化銀粒子の形状としては
立方体、八面体、14面体粒子、平板状粒子、球状粒
子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子などを挙げることがで
きるが、これらのなかで、特に、立方体、八面体、14
面体、平板状ハロゲン化銀粒子が好ましい。
【0033】平板状ハロゲン化銀粒子を用いる場合の平
均アスペクト比は、好ましくは1.5以上、100以
下、より好ましくは2以上、50以下がよい。これらは
米国特許第5,264,337号、同第5,314,7
98号、同第5,320,958号等に記載されてお
り、容易に目的の平板状粒子を得ることができる。更
に、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ま
しく用いることができる。
【0034】ハロゲン化銀粒子外表面の晶癖について
は、特に制限はないが、ハロゲン化銀粒子表面への増感
色素の吸着反応において、晶癖(面)選択性を有する分
光増感色素を使用する場合には、その選択性に適応する
晶癖を相対的に高い割合で有するハロゲン化銀粒子を使
用することが好ましい。例えば、ミラー指数〔100〕
の結晶面に選択的に吸着する増感色素を使用する場合に
は、ハロゲン化銀粒子外表面において〔100〕面の占
める割合が高いことが好ましく、この割合が50%以
上、更には70%以上、特に80%以上であることが好
ましい。なお、ミラー指数〔100〕面の比率は、増感
色素の吸着における〔111〕面と〔100〕面との吸
着依存性を利用したT.Tani,J.Imaging
Sci.,29,165(1985年)により求める
ことができる。
【0035】本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、
粒子形成時に平均分子量が5万以下の低分子量ゼラチン
を用いて調製することが好ましいが、特に、ハロゲン化
銀粒子の核形成時に用いることが好ましい。低分子量ゼ
ラチンは、平均分子量5万以下のものであり、好ましく
は2000〜40000、更には5000〜25000
である。ゼラチンの平均分子量はゲル濾過クロマトグラ
フィーで測定することができる。低分子量ゼラチンは、
通常用いられる平均分子量10万程度のゼラチン水溶液
にゼラチン分解酵素を加えて酵素分解したり、酸又はア
ルカリを加えて加熱し加水分解したり、大気圧下又は加
圧下での加熱により熱分解したり、超音波照射して分解
したり、それらの方法を併用したりして得ることができ
る。
【0036】核形成時の分散媒の濃度は、5質量%以下
が好ましく、0.05〜3.0質量%の低濃度で行うの
がより有効である。
【0037】本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、
粒子形成時に下記の一般式で示されるポリエチレンオキ
シド化合物を用いることが好ましい。
【0038】一般式 YO(CH2CH2O)m(CH(CH3)CH2O)p(C
2CH2O)nY 式中、Yは水素原子、−SO3M、又は−CO−B−C
OOMを表し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、アン
モニウム基又は炭素原子数5以下のアルキル基にて置換
されたアンモニウム基を、Bは有機2塩基性酸を形成す
る鎖状又は環状の基を表す。m及びnは各々0〜50を
pは1〜100を表す。
【0039】上記一般式で表されるポリエチレンオキシ
ド化合物は、感光材料を製造するに際し、ゼラチン水溶
液を製造する工程、ゼラチン溶液に水溶性ハロゲン化物
及び水溶性銀塩を添加する工程、ハロゲン化銀乳剤を支
持体上に塗布する工程等、乳剤原料を撹拌したり、移動
したりする場合の著しい発泡に対する消泡剤として好ま
しく用いられてきたものであり、消泡剤として用いる技
術は、例えば、特開昭44−9497号に記載されてお
り、上記一般式で表されるポリエチレンオキシド化合物
も、核形成時の消泡剤としても機能する。
【0040】上記一般式で表されるポリエチレンオキシ
ド化合物は、銀に対して1質量%以下で用いるのが好ま
しく、より好ましくは0.01〜0.1質量%で用い
る。
【0041】上記一般式で表されるポリエチレンオキシ
ド化合物は、核形成時に存在していればよく、核形成前
の分散媒中に予め加えておくのが好ましいが、核形成中
に添加してもよいし、核形成時に使用する銀塩水溶液や
ハライド水溶液に添加して用いてもよい。好ましくはハ
ライド水溶液若しくは両方の水溶液に0.01〜2.0
質量%で添加して用いることである。又、核形成工程の
少なくとも50%に亘る時間で存在せしめるのが好まし
く、更に好ましくは70%以上に亘る時間で存在せしめ
る。上記一般式で表されるポリエチレンオキシド化合物
は、粉末で添加しても、メタノール等の溶媒に溶かして
添加してもよい。
【0042】なお、核形成時の温度は5〜60℃、好ま
しくは15〜50℃であり、一定の温度であっても、昇
温パターン(例えば、核形成開始時の温度が25℃で、
核形成中徐々に温度を挙げ、核形成終了時の温度が40
℃の様な場合)やその逆のパターンであっても前記温度
範囲内で制御するのが好ましい。
【0043】核形成に用いる銀塩水溶液及びハライド水
溶液の濃度は、3.5モル/L以下が好ましく、更には
0.01〜2.5モル/Lの低濃度域で使用されるのが
好ましい。核形成時の銀イオンの添加速度は、反応液1
L当たり1.5×10-3〜3.0×10-1モル/分が好
ましく、更に好ましくは3.0×10-3〜8.0×10
-2モル/分である。
【0044】核形成時のpHは1.7〜10の範囲に設
定できるが、アルカリ側のpHでは形成する核の粒径分
布を広げるため、好ましくはpH2〜6である。又、核
形成時のpBrは0.05〜3.0程度、好ましくは
1.0〜2.5、更には1.5〜2.0がより好まし
い。
【0045】本発明において、核形成後にヘテロ環式化
合物をハロゲン化銀粒子の内部に含有させることが特徴
の一つであり、感度及び画像保存性上好ましい。
【0046】ここで用いられるヘテロ環式化合物として
は、例えば、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピ
リミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリ
アジン、インドール、インダゾール、プリン、チアジア
ゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナ
フチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、
プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジ
ン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズ
イミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾー
ル、インドレニン、テトラザインデンであり、好ましく
はイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピ
リダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾー
ル、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチ
リジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、テト
ラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾ
ール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、テトラ
ザインデンである。
【0047】なお、上記のヘテロ環式化合物は置換基を
有していても良く、置換基として好ましくは、アルキル
基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリー
ルオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカ
ルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキ
シ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ
基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルア
ミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニ
ル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シ
アノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヘテロ
環基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、
アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルア
ミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキ
シカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファ
モイル基、カルバモイル基、ウレイド基、リン酸アミド
基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基で
あり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコ
キシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ
基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモ
イル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環
基である。
【0048】本発明のハロゲン化銀粒子は、いかなる方
法で感光性層に添加されてもよく、このときハロゲン化
銀粒子は還元可能な銀源(脂肪族カルボン酸銀塩)に近
接するように配置するのが好ましい。
【0049】本発明のハロゲン化銀は予め調製してお
き、これを脂肪族カルボン酸銀塩粒子を調製するための
溶液に添加することが、ハロゲン化銀調製工程と脂肪族
カルボン酸銀塩粒子調製工程を分離して扱え、製造コン
トロール上も好ましいが、英国特許第第1,447,4
54号に記載されている様に、脂肪族カルボン酸銀塩粒
子を調製する際に、ハライドイオン等のハロゲン成分を
脂肪族カルボン酸銀塩形成成分と共存させ、これに銀イ
オンを注入することで、脂肪族カルボン酸銀塩粒子の生
成とほぼ同時に生成させることもできる。又、脂肪族カ
ルボン酸銀塩にハロゲン含有化合物を作用させ、脂肪族
カルボン酸銀塩のコンバージョンによりハロゲン化銀粒
子を調製することも可能である。即ち、予め調製された
脂肪族カルボン酸銀塩の溶液もしくは分散液、又は脂肪
族カルボン酸銀塩を含むシート材料にハロゲン化銀形成
成分を作用させて、脂肪族カルボン酸銀塩の一部を感光
性ハロゲン化銀に変換することもできる。
【0050】ハロゲン化銀粒子形成成分としては、無機
ハロゲン化合物、オニウムハライド類、ハロゲン化炭化
水素類、N−ハロゲン化合物、その他の含ハロゲン化合
物があり、その具体例には、米国特許第4,009,0
39号、同第3,457,075号、同第4,003,
749号、英国特許第1,498,956号及び特開昭
53−27027号、同53−25420号に詳説され
る金属ハロゲン化物、ハロゲン化アンモニウム等の無機
ハロゲン化物、例えば、トリメチルフェニルアンモニウ
ムブロマイド、セチルエチルジメチルアンモニウムブロ
マイド、トリメチルベンジルアンモニウムブロマイドの
様なオニウムハライド類、例えば、ヨードフォルム、ブ
ロモフォルム、四塩化炭素、2−ブロム−2−メチルプ
ロパン等のハロゲン化炭化水素類、N−ブロム琥珀酸イ
ミド、N−ブロムフタルイミド、N−ブロムアセトアミ
ド等のN−ハロゲン化合物、その他、例えば、塩化トリ
フェニルメチル、臭化トリフェニルメチル、2−ブロム
酢酸、2−ブロムエタノール、ジクロロベンゾフェノン
等がある。この様に、ハロゲン化銀を有機酸銀とハロゲ
ンイオンとの反応により有機酸銀塩中の銀の一部又は全
部をハロゲン化銀に変換することによって調製すること
もできる。また、別途調製したハロゲン化銀に脂肪族カ
ルボン酸銀塩の一部をコンバージョンすることで製造し
たハロゲン化銀粒子を併用してもよい。
【0051】これらのハロゲン化銀粒子は、別途調製し
たハロゲン化銀粒子、脂肪族カルボン酸銀塩のコンバー
ジョンによるハロゲン化銀粒子とも、脂肪族カルボン酸
銀塩1モルに対し0.001〜0.7モル、好ましくは
0.03〜0.5モルで使用するのが好ましい。
【0052】本発明に用いられるハロゲン化銀粒子に
は、元素周期律表の6族から11族に属する遷移金属の
イオンを含有することが好ましい。上記の金属として
は、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、
Re、Os、Ir、Pt、Auが好ましい。これらは、
1種類でも同種或いは異種の金属錯体を2種以上併用し
てもよい。これらの金属イオンは、金属塩をそのままハ
ロゲン化銀に導入してもよいが、金属錯体又は錯体イオ
ンの形でハロゲン化銀に導入できる。好ましい含有率
は、銀1モルに対し1×10-9〜1×10-2モルの範囲
が好ましく、1×10 -8〜1×10-4モルの範囲がより
好ましい。本発明においては、遷移金属錯体又は錯体イ
オンとしては、下記一般式で表されるものが好ましい。
【0053】一般式〔ML6m 式中、Mは元素周期表の6〜11族の元素から選ばれる
遷移金属、Lは配位子を表し、mは0、−、2−、3−
又は4−を表す。Lで表される配位子の具体例として
は、ハロゲンイオン(例えば、弗素イオン、塩素イオ
ン、臭素イオン、沃素イオン)、シアナイド、シアナー
ト、チオシアナート、セレノシアナート、テルロシアナ
ート、アジド及びアコの各配位子、ニトロシル、チオニ
トロシル等が挙げられ、好ましくはアコ、ニトロシル及
びチオニトロシル等である。アコ配位子が存在する場合
には、配位子の一つ又は二つを占めることが好ましい。
Lは同一でもよく、また異なっていてもよい。
【0054】これらの金属のイオン又は錯体イオンを提
供する化合物は、ハロゲン化銀粒子形成時に添加し、ハ
ロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましく、ハロ
ゲン化銀粒子の調製、つまり核形成、成長、物理熟成、
化学増感の前後のどの段階で添加してもよいが、特に、
核形成、成長、物理熟成の段階で添加するのが好まし
く、更には核形成、成長の段階で添加するのが好まし
く、最も好ましくは核形成の段階で添加する。添加に際
しては、数回に渡って分割して添加してもよく、ハロゲ
ン化銀粒子中に均一に含有させることもできるし、例え
ば、特開昭63−29603号、特開平2−30623
6号、同3−167545号、同4−76534号、同
6−110146号、同5−273683号等に記載さ
れている様に粒子内に分布を持たせて含有させることも
できる。
【0055】これらの金属化合物は、水或いは適当な有
機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコー
ル類、ケトン類、エステル類、アミド類)に溶解して添
加することができるが、例えば、金属化合物粉末の水溶
液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶
解した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩溶液又は水溶
性ハライド溶液中に添加しておく方法、或いは銀塩溶液
とハライド溶液が同時に混合されるとき第3の水溶液と
して添加し、3液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を
調製する方法、粒子形成中に必要量の金属化合物の水溶
液を反応容器に投入する方法、或いはハロゲン化銀調製
時に予め金属のイオン又は錯体イオンをドープしてある
別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させる方法等があ
る。特に、金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合
物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を水溶
性ハライド溶液に添加する方法が好ましい。粒子表面に
添加する時には、粒子形成直後、物理熟成時途中もしく
は終了時又は化学熟成時に必要量の金属化合物の水溶液
を反応容器に投入することもできる。
【0056】別途調製した感光性ハロゲン化銀粒子は、
脱塩工程により不要な塩類等を、例えば、ヌードル法、
フロキュレーション法、限外濾過法、電気透析法等の公
知の脱塩法により脱塩することができるが、脱塩しない
で用いることもできる。
【0057】本発明に係る非感光性脂肪族カルボン酸銀
塩は、還元可能な銀源であり、炭素数10〜30、好ま
しくは15〜25の脂肪族カルボン酸の銀塩が好まし
い。好適な銀塩の例としては、以下のものが挙げられ
る。
【0058】例えば、没食子酸、蓚酸、ベヘン酸、ステ
アリン酸、アラキジン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等
の銀塩が挙げられ、好ましい銀塩としてはベヘン酸銀、
アラキジン酸銀及びステアリン酸銀が挙げられる。又、
本発明においては、脂肪族カルボン酸銀塩が2種以上混
合されていることが、現像性を上げ高濃度、高コントラ
ストの銀画像を形成する上で好ましく、例えば、2種以
上の脂肪族カルボン酸混合物に銀イオン溶液を混合して
調製することが好ましい。
【0059】脂肪族カルボン酸銀塩化合物は、水溶性銀
化合物と銀と錯形成する化合物を混合することにより得
られるが、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9
−127643号に記載されている様なコントロールド
ダブルジェット法等が好ましく用いられる。例えば、有
機酸にアルカリ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウムなど)を加えて有機酸アルカリ金属塩ソー
プ(例えば、ベヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリ
ウムなど)を作製した後に、コントロールドダブルジェ
ット法により、前記ソープと硝酸銀などを混合して脂肪
族カルボン酸銀塩の結晶を作製する。その際にハロゲン
化銀粒子を混在させてもよい。
【0060】本発明に係る脂肪族カルボン酸銀塩におい
て、平均円相当径が0.05μm以上、0.8μmであ
ることが好ましく、平均厚さが0.005μm以上、
0.07μm以下であることが好ましく、特に好ましく
は、平均円相当径が0.2μm以上、0.5μmであり
平均厚さ0.01μm以上、0.05μm以下である。
【0061】平均円相当径が0.05μm以下では透明
性には優れるが、画像保存性が悪く、また平均粒径が
0.8μm以上では失透が激しい。平均厚さが0.00
5μm以下では、表面積が大きく現像時の銀イオン供給
が急激に行われ、特に低濃度部では銀画像に使われず
に、膜中に残存する銀イオンが多量に存在する結果、画
像保存性が著しく劣化する。また、平均厚さが0.07
μm以上では、表面積が小さくなり、画像安定性は向上
するが、現像時の銀供給が遅く、特に高濃度部での現像
銀形状の不均一を招き、結果最高濃度が低くなりやす
い。
【0062】平均円相当径を求めるには、分散後の脂肪
族カルボン酸銀塩を希釈してカーボン支持膜付きグリッ
ド上に分散し、透過型電子顕微鏡(例えば、日本電子
製、2000FX型)、直接倍率5000倍にて撮影を
行い、スキャナにてネガをデジタル画像として取り込
み、適当な画像処理ソフトを用いて粒径(円相当径)を
300個以上測定し、平均粒径を算出することができ
る。
【0063】平均厚さを求めるには、下記に示すような
TEM(透過型電子顕微鏡)を用いた方法により算出す
ることができる。
【0064】まず、支持体上に塗布された感光性層を接
着剤により適当なホルダーに貼り付け、支持体面と垂直
な方向にダイヤモンドナイフを用いて厚さ0.1〜0.
2μmの超薄切片を作製する。作製された超薄切片を、
銅メッシュに支持させ、グロー放電により親水化された
カーボン膜上に移し、液体窒素により−130℃以下に
冷却しながら透過型電子顕微鏡(以下TEMと称す)を
用いて、倍率5,000倍乃至40,000倍にて明視
野像を観察し、画像はフィルム、イメージングプレー
ト、CCDカメラなどに素早く記録する。この際、観察
される視野としては、切片に破れや弛みがない部分を適
宜選択することが好ましい。
【0065】カーボン膜としては、極薄いコロジオン、
ホルムバールなど有機膜に支持されたものを使用するこ
とが好ましく、更に好ましくは、岩塩基板上に形成し基
板を溶解除去して得るか、または、上記有機膜を有機溶
媒、イオンエッチングにより除去して得られたカーボン
単独の膜である。TEMの加速電圧としては80ないし
400kVが好ましく、特に好ましくは80ないし20
0kVである。
【0066】その他、電子顕微鏡観察技法、及び試料作
製技法の詳細については「日本電子顕微鏡学会関東支部
編/医学・生物学電子顕微鏡観察法」(丸善)、「日本
電子顕微鏡学会関東支部編/電子顕微鏡生物試料作製
法」(丸善)をそれぞれ参考にすることができる。
【0067】適当な媒体に記録されたTEM画像は、画
像1枚を少なくとも1024画素×1024画素、好ま
しくは2048画素×2048画素以上に分解し、コン
ピュータによる画像処理を行うことが好ましい。画像処
理を行うためには、フィルムに記録されたアナログ画像
はスキャナなどでデジタル画像に変換し、シェーディン
グ補正、コントラスト・エッジ強調などを必要に応じ施
すことが好ましい。その後、ヒストグラムを作製し、2
値化処理によって脂肪族カルボン酸銀に相当する箇所を
抽出する。
【0068】上記抽出した脂肪族カルボン酸銀塩粒子の
厚さを、300個以上適当なソフトでマニュアル測定
し、平均値を求める。
【0069】前記の形状を有する脂肪族カルボン酸銀塩
粒子を得る方法としては、特に限定されないが、例え
ば、有機酸アルカリ金属塩ソープ形成時の混合状態また
は前記ソープに硝酸銀を添加する際の混合状態などを良
好に保つことや、ソープに対する有機酸の割合、ソープ
と反応する硝酸銀の割合を最適に設定することなどが有
効である。
【0070】本発明において、平板状の脂肪族カルボン
酸銀塩粒子(平均円相当径が0.05μm以上、0.8
μm以下であり、且つ平均厚さが0.005μm以上、
0.07μm以下の脂肪族カルボン酸銀塩粒子をいう)
は、必要に応じバインダーや界面活性剤などと共に予備
分散した後、メディア分散機または高圧ホモジナイザな
どで分散粉砕することが好ましい。上記予備分散方法と
しては、例えば、アンカー型、プロペラ型等の一般的攪
拌機や高速回転遠心放射型攪拌機(ディゾルバ)、高速
回転剪断型撹拌機(ホモミキサ)を使用することができ
る。
【0071】また、上記メディア分散機としては、例え
ば、ボールミル、遊星ボールミル、振動ボールミルなど
の転動ミルや、媒体攪拌ミルであるビーズミル、アトラ
イター、その他バスケットミルなどを用いることが可能
であり、高圧ホモジナイザとしては壁、プラグなどに衝
突するタイプ、液を複数に分けてから高速で液同士を衝
突させるタイプ、細いオリフィスを通過させるタイプな
ど様々なタイプを用いることができる。
【0072】メディア分散時に使用されるセラミックス
ビーズに用いられるセラミックスとしては、例えば、A
23、BaTiO3、SrTiO3、MgO、ZrO、
BeO、Cr23、SiO2、SiO2−Al23、Cr
23−MgO、MgO−CaO、MgO−C、MgO−
Al23(スピネル)、SiC、TiO2、K2O、Na
2O、BaO、PbO、B23、SrTiO3(チタン酸
ストロンチウム)、BeAl24、Y3Al512、Zr
2−Y23(立方晶ジルコニア)、3BeO−Al2
3−6SiO2(合成エメラルド)、C(合成ダイヤモン
ド)、Si2O−nH2O、チッカ珪素、イットリウム安
定化ジルコニア、ジルコニア強化アルミナ等が好まし
い。分散時におけるビーズや分散機との摩擦による不純
物生成が少ない等の理由から、イットリウム安定化ジル
コニア、ジルコニア強化アルミナ(これらジルコニアを
含有するセラミックスを以下においてジルコニアと略
す)が特に好ましく用いられる。
【0073】本発明に係る平板状脂肪族カルボン酸銀塩
粒子を分散する際に用いられる装置類において、脂肪族
カルボン酸銀塩粒子が接触する部材の材質として、例え
ば、ジルコニア、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素など
のセラミックス類またはダイヤモンドを用いることが好
ましく、中でもジルコニアを用いることが好ましい。上
記分散を行う際、バインダー濃度は脂肪族カルボン酸銀
質量の0.1〜10%添加することが好ましく、予備分
散から本分散を通して液温が45℃を上回らないことが
好ましい。また、本分散の好ましい運転条件としては、
例えば、高圧ホモジナイザを分散手段として用いる場合
には、29〜100MPa、運転回数は2回以上が運転
条件として好ましい。又、メディア分散機を分散手段と
して用いる場合には、周速が6〜13m/秒が好ましい
条件として挙げられる。
【0074】請求項8に係る発明では、非感光性脂肪族
カルボン酸銀塩粒子が、結晶成長抑制剤又は分散剤とし
て機能する化合物の存在下で形成されたものであること
が特徴である。また、請求項9の係る発明では、結晶成
長抑制剤又は分散剤として機能する化合物が、ヒドロキ
シル基又はカルボキシル基を有する有機化合物であるこ
とが特徴である。
【0075】本発明において、脂肪族カルボン酸銀粒子
に対する結晶成長抑制剤ないし分散剤として機能する化
合物とは、脂肪族カルボン酸銀粒子の製造工程におい
て、当該化合物を共存させた条件下で脂肪族カルボン酸
銀を製造したときに、共存させない条件下で製造したと
きより小粒径化や単分散化する機能、効果を有する化合
物をいう。具体例として、炭素数が10以下の一価アル
コール類、好ましくは第2級アルコール、第3級アルコ
ール、エチレングリコール、プロピレングリコールなど
のグリコール類、ポリエチレングリコールなどポリエー
テル類、グリセリンが挙げられる。好ましい添加量とし
ては、脂肪族カルボン酸銀に対して10〜200質量%
である。
【0076】一方で、イソヘプタン酸、イソデカン酸、
イソトリデカン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン
酸、イソステアリン酸、イソアラキジン酸、イソベヘン
酸、イソヘキサコ酸など、それぞれ異性体を含む分岐脂
肪族カルボン酸も好ましい。この場合、好ましい側鎖と
して、炭素数4以下のアルキル基又はアルケニル基が挙
げられる。また、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノ
ール酸、リノレン酸、モロクチン酸、エイコセン酸、ア
ラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサ
ペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、セラコレン酸など
の脂肪族不飽和カルボン酸が挙げられる。好ましい添加
量は、脂肪族カルボン酸銀の0.5〜10mol%であ
る。
【0077】グルコシド、ガラクトシド、フルクトシド
などの配糖体類、トレハロース、スクロースなどトレハ
ロース型二糖類、グリコーゲン、デキストリン、デキス
トラン、アルギン酸など多糖類、メチルセロソルブ、エ
チルセロソルブなどのセロソルブ類、ソルビタン、ソル
ビット、酢酸エチル、酢酸メチル、ジメチルホルムアミ
ドなど水溶性有機溶媒、ポリビニルアルコール、ポリア
クリル酸、アクリル酸共重合体、マレイン酸共重合体、
カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセル
ロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビ
ニルピロリドン、ゼラチンなどの水溶性ポリマー類も好
ましい化合物として挙げられる。好ましい添加量として
は脂肪族カルボン酸銀に対して0.1〜20質量%であ
る。
【0078】炭素数が10以下のアルコール、好ましく
は、第二級アルコール、第三級アルコールは、粒子製造
工程での脂肪族カルボン酸ナトリウムの溶解度を上げる
ことにより減粘し、攪拌効率を上げることで単分散で、
かつ小粒径化する。分岐脂肪族カルボン酸及び脂肪族不
飽和カルボン酸は、脂肪族カルボン酸銀が結晶化する際
にメイン成分である直鎖脂肪族カルボン酸銀よりも立体
障害性が高く、結晶格子の乱れが大きくなるため大きな
結晶は生成せず、結果的に小粒径化する。
【0079】前述のように、従来のハロゲン化銀写真感
光材料と比較して、銀塩光熱写真ドライイメージング材
料の構成上の最大の相違点は、後者の材料中には、現像
処理の前後を問わず、カブリやプリントアウト銀(焼出
し銀)の発生の原因となり得る感光性ハロゲン化銀、有
機銀塩及び還元剤が多量含有されていることである。こ
のため、銀塩光熱写真ドライイメージング材料には、現
像前ばかりでなく現像後の保存安定性を維持するため
に、高度のカブリ防止及び画像安定化技術が必須である
が、従来はカブリ核の成長及び現像を抑制する芳香族性
複素環化合物の他に、カブリ核を酸化消滅する機能を有
する酢酸水銀のような水銀化合物が、非常に有効な保存
安定化剤として使用されていたが、この水銀化合物の使
用は安全性、環境保全性の点で問題であった。
【0080】以下、本発明の銀塩光熱写真ドライイメー
ジング材料に用いられるカブリ防止及び画像安定化剤に
ついて説明する。
【0081】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料においては、還元剤としては、後述するように、主
にビスフェノール類を還元剤を用いることが特徴の一つ
であるが、これらの水素を引き抜くことができる活性種
を発生することにより、還元剤を不活性化できる化合物
が含有されていることが好ましい。好適には無色の光酸
化性物質として、露光時にフリーラジカルを反応活性種
として生成可能な化合物が好ましい。
【0082】従って、これらの機能を有する化合物であ
ればいかなる化合物でもよいが、複数の原子からなる有
機フリーラジカルが好ましい。かかる機能を有し、かつ
銀塩光熱写真ドライイメージング材料に格別の弊害を生
じることのない化合物であれば、いかなる構造をもった
化合物でもよい。
【0083】又、これらのフリーラジカルを発生する化
合物としては、発生するフリーラジカルに、還元剤と反
応し不活性化するに充分な時間接触できる位の安定性を
もたせるために炭素環式、又は複素環式の芳香族基を有
するものが好ましい。
【0084】これらの化合物の代表的なものとして、以
下に示すビイミダゾリル化合物、ヨードニウム化合物を
挙げることができる。
【0085】ビイミダゾリル化合物としては、以下の一
般式〔1〕により表されるものが挙げられる。
【0086】
【化2】
【0087】式中、R1、R2及びR3(同一又は相異な
る)の各々は、アルキル基(例えば、メチル、エチル、
ヘキシル)、アルケニル基(例えば、ビニル、アリ
ル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、オ
クチルオキシ)、アリール基(例えば、フェニル、ナフ
チル、トリル)、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、アリ
ールオキシ基(例えば、フェノキシ)、アルキルチオ基
(例えば、メチルチオ、ブチルチオ)、アリールチオ基
(例えば、フェニルチオ)、アシル基(例えば、アセチ
ル、プロピオニル、ブチリル、バレリル)、スルフォニ
ル基(例えば、メチルスルフォニル、フェニルスルフォ
ニル)、アシルアミノ基、スルフォニルアミノ基、アシ
ルオキシ基(例えば、アセトキシ、ベンゾキシ)、カル
ボキシル基、シアノ基、スルフォ基及びアミノ基を示
す。これらのうちより好適な置換基はアリール基、アル
ケニル基及びシアノ基である。
【0088】上記のビイミダゾリル化合物は、米国特許
第3,734,733号及び英国特許第1,271,1
77号に記載されている製造方法及びそれに準じた方法
により製造することができる。
【0089】好ましい具体例としては、例えば、特開2
000−321711に記載されている化合物例を挙げ
ることができる。
【0090】又、同様に好適な化合物として、以下の一
般式〔2〕で示されるヨードニウム化合物を挙げること
ができる。
【0091】
【化3】
【0092】式中、Q1は5、6または7員環を完成す
るのに必要な原子を包含し、かつ該必要な原子は炭素原
子、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる。R
1、R2及びR3(同一又は相異なる)の各々は、水素原
子、アルキル基(例えば、メチル、エチル、ヘキシ
ル)、アルケニル基(例えば、ビニル、アリル)、アル
コキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、オクチルオキ
シ)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル、トリ
ル)、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、アリールオキシ
基(例えば、フェノキシ)、アルキルチオ基(例えば、
メチルチオ、ブチルチオ)、アリールチオ基(例えば、
フェニルチオ)、アシル基(例えば、アセチル、プロピ
オニル、ブチリル、バレリル)、スルフォニル基(例え
ば、メチルスルフォニル、フェニルスルフォニル)、ア
シルアミノ基、スルフォニルアミノ基、アシルオキシ基
(例えば、アセトキシ、ベンゾキシ)、カルボキシル
基、シアノ基、スルフォ基及びアミノ基を示す。これら
のうちより好適な置換基はアリール基、アルケニル基及
びシアノ基である。
【0093】R4はアセテート、ベンゾエート、トリフ
ルオロアセテートのようなカルボキシレート基及びO-
を示す。Wは0又は1を表す。
【0094】X-はアニオン性対イオンであり、好適な
例としては、CH3CO2 -、CH3SO3 -及びPF6 -であ
る。R3がスルフォ基又はカルボキシル基のときは、W
は0で、且つR4はO-である。なお、R1、R2及びR3
の何れかは互いに結合して環を形成してもよい。
【0095】これらのうち特に好ましい化合物は以下の
一般式〔3〕で表される。
【0096】
【化4】
【0097】一般式〔3〕において、R1、R2、R3
4、X-及びW等は、各々、前記一般式〔2〕と同義で
あり、Yは炭素原子(−CH=;ベンゼン環)を表す
か、又は窒素原子(−N=;ピリジン環)を表す。
【0098】上記のヨードニウム化合物は、Org.S
yn.,1961及び「Fieser著Advance
d Organic Chemistry」(Rein
hold,N.Y.,1961)に記載されている製造
方法及びそれに準じた方法によって合成できる。
【0099】好ましい具体例としては、例えば、特開2
000−321711に記載されている化合物例を挙げ
ることができる。
【0100】上記の一般式〔1〕及び〔2〕で表される
化合物の添加量は、10-3〜10-1モル/m2、好まし
くは5×10-3〜5×10-2モル/m2である。なお、
当該化合物は、本発明の感光材料において、いかなる構
成層中にも含有させることができるが、還元剤の近傍に
含有させることが好ましい。
【0101】又、還元剤を不活性化し、還元剤が脂肪族
カルボン酸銀塩を銀に還元できないようにする化合物と
して、反応活性種がハロゲン原子でないものが好ましい
が、ハロゲン原子を活性種として放出する化合物も、ハ
ロゲン原子でない活性種を放出する化合物と併用するこ
とにより、使用することができる。ハロゲン原子を活性
種として放出できる化合物も多くのものが知られてお
り、併用により良好な効果が得られる。
【0102】これらの活性ハロゲン原子を生成する化合
物の具体例としては、以下に挙げる一般式〔4〕の化合
物がある。
【0103】
【化5】
【0104】一般式〔4〕中、Q2はアリール基または
ヘテロ環基を表す。X1、X2及びX3は、各々、水素原
子、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル
基、アリールオキシカルボニル基、スルフォニル基、ア
リール基を表すが、少なくとも一つはハロゲン原子であ
る。Yは−C(=O)−、−SO−または−SO2−を
表す。
【0105】Q2で表されるアリール基は、単環または
縮環していてもよく、好ましくは炭素数6〜30の単環
または二環のアリール基(例えば、フェニル、ナフチル
等)であり、より好ましくはフェニル基、ナフチル基で
あり、更に好ましくはフェニル基である。
【0106】Q2で表されるヘテロ環基は、N、Oまた
はSの少なくとも一つの原子を含む3乃至10員の飽和
もしくは不飽和のヘテロ環基であり、これらは単環であ
ってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
【0107】ヘテロ環基として好ましくは、縮合環を有
していてもよい5乃至6員の不飽和ヘテロ環基であり、
より好ましくは縮合環を有していてもよい5乃至6員の
芳香族ヘテロ環基である。更に好ましくは窒素原子を含
む縮合環を有していてもよい5乃至6員の芳香族ヘテロ
環基であり、特に好ましくは窒素原子を1乃至4原子含
む縮合環を有していてもよい5乃至6員の芳香族ヘテロ
環基である。このようなヘテロ環基におけるヘテロ環と
して、好ましくはイミダゾール、ピラゾール、ピリジ
ン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾー
ル、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、
チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラ
ジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シン
ノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、
フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾー
ル、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズ
チアゾール、インドレニン、テトラザインデンであり、
より好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、
ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チ
アジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジ
ン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノ
リン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベン
ズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾー
ル、テトラザインデンであり、更に好ましくはイミダゾ
ール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、
トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、キノリ
ン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾ
リン、シンノリン、テトラゾール、チアゾール、ベンズ
イミダゾール、ベンズチアゾールであり、特に好ましく
はピリジン、チアジアゾール、キノリン、ベンズチアゾ
ールである。
【0108】Q2で表されるアリール基及びヘテロ環基
は−Y−C(X1)(X2)(X3)の他に置換基を有し
ていても良く、置換基として好ましくはアルキル基、ア
ルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキ
シ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニ
ル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、
アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリ
ールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、
スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、ウ
レイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、
スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヘテロ環基であ
り、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキ
シ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、
アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボ
ニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル
基、カルバモイル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハ
ロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、
更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ
基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、ス
ルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル
基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基で
あり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲ
ン原子である。
【0109】X1、X2及びX3は、好ましくはハロゲン
原子、ハロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニ
ル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、
スルファモイル基、スルホニル基、ヘテロ環基であり、
より好ましくはハロゲン原子、ハロアルキル基、アシル
基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニ
ル基、スルホニル基であり、更に好ましくはハロゲン原
子、トリハロメチル基であり、特に好ましくはハロゲン
原子である。ハロゲン原子の中でも好ましくは塩素原
子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは塩素
原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子であ
る。
【0110】Yは−C(=O)−、−SO−または−S
2−を表し、好ましくは−SO2−である。
【0111】これらの化合物の添加量は、実質的にハロ
ゲン化銀の生成によるプリントアウト銀の増加が問題に
ならない範囲が好ましく、前記活性ハロゲンラジカルを
生成しない化合物に対する比率で、最大150%以下、
更に好ましくは100%以下であることが好ましい。
【0112】なお、上記の化合物の他に、本発明の銀塩
光熱写真ドライイメージング材料中には、従来カブリ防
止剤として知られている化合物が含まれてもよいが、上
記の化合物と同様な反応活性種を生成することができる
化合物であっても、カブリ防止機構が異なる化合物であ
ってもよい。例えば、米国特許第3,589,903
号、同第4,546,075号、同第4,452,88
5号、特開昭59−57234号、米国特許第3,87
4,946号、同第4,756,999号、特開平9−
288328号、同9−90550号に記載されている
化合物が挙げられる。更に、その他のカブリ防止剤とし
ては、米国特許第5,028,523号及び欧州特許第
600,587号、同第605,981号、同第63
1,176号に開示されている化合物が挙げられる。
【0113】本発明においては、銀イオン還元剤の少な
くとも一種が、前記一般式(A)で表されるビスフェノ
ール誘導体であることが特徴であり、単独又は他の異な
る化学構造を有する還元剤と併せて用いることができ
る。本発明に係る銀塩光熱写真イメージング材料におい
て、銀塩光熱写真ドライイメージング材料の保存におけ
るカブリ発生等による性能劣化及び熱現像後の銀画像の
保存における色調劣化等を、予想外に抑制することが出
来る。
【0114】本発明においては、還元剤としては、前記
一般式(A)で表されるビスフェノール誘導体を用いる
ことが一つの特徴である。
【0115】前記一般式(A)中、Xが表すカルコゲン
原子としては、硫黄、セレン、テルルであり、好ましく
は硫黄原子である。Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素
数が7以下の脂肪族基または6員環以下の環状基を表
し、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素
原子、臭素原子等であり、炭素数が7以下の脂肪族基と
しては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基、ヘキシル基、ヘプチル基、ビニル基、アリル
基、ブテニル基、ヘキサジエニル基、エテニル−2−プ
ロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペ
ニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル
基等であり、6員環以下の環状基としては、脂環式基、
ヘテロ環基を含み、炭素環式基としては、シクロブテン
基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロヘ
キシル基、シクロへキセニル基、シクロヘキサジエニル
基、フェニル基等の4〜6員環が好ましく、ヘテロ環基
としては、ピラゾール環、ピロール環、ピロリジン環、
ピリミジン環、ピラジン環、ピリジン環、トリアジン
環、チアゾール環、フラン環、ピラン環等の5、6員環
が好ましく、特に好ましくは、水素原子又はシクロアル
キル基、シクロアルケニル基、フェニル基などの環状構
造を有する基である。
【0116】これらの基は、更に置換基を有していても
良く、置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素
原子、塩素原子、臭素原子等)、シクロアルキル基(例
えば、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等)、シク
ロアルケニル基(例えば、1−シクロアルケニル基、2
−シクロアルケニル基等)、アルコキシ基(例えば、メ
トキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等)、アルキルカ
ルボニルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基等)、ア
ルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、トリフルオロメ
チルチオ基等)、カルボキシル基、アルキルカルボニル
アミノ基(例えば、アセチルアミノ基等)、ウレイド基
(例えば、メチルアミノカルボニルアミノ基等)、アル
キルスルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルア
ミノ基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メタンス
ルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基等)、カ
ルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N,N−ジメ
チルカルバモイル基、N−モルホリノカルボニル基
等)、スルファモイル基(スルファモイル基、N,N−
ジメチルスルファモイル基、モルフォリノスルファモイ
ル基等)、トリフルオロメチル基、ヒドロキシル基、ニ
トロ基、シアノ基、アルキルスルホンアミド基(例え
ば、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基
等)、アルキルアミノ基(例えばアミノ基、N,N−ジ
メチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基等)、スル
ホ基、ホスフォノ基、サルファイト基、スルフィノ基、
アルキルスルホニルアミノカルボニル基(例えば、メタ
ンスルホニルアミノカルボニル基、エタンスルホニルア
ミノカルボニル基等)、アルキルカルボニルアミノスル
ホニル基(例えば、アセトアミドスルホニル基、メトキ
シアセトアミドスルホニル基等)、アルキニルアミノカ
ルボニル基(例えば、アセトアミドカルボニル基、メト
キシアセトアミドカルボニル基等)、アルキルスルフィ
ニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルフィニル
アミノカルボニル基、エタンスルフィニルアミノカルボ
ニル基等)等が挙げられる。また、置換基が二つ以上あ
る場合は、同じでも異なっていても良い。
【0117】R′、R″は、各々水素原子、ハロゲン原
子又は置換基を表し、ハロゲン原子としては、例えば、
フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、置換基
としては、例えば、アルキル基、アリール基、シクロア
ルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキ
ニル基、アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシル
アミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カ
ルバモイル基、アルキルチオ基、スルホニル基、アルキ
ルスルホニル基、スルフィニル基、シアノ基、ヘテロ環
基等が挙げられる。複数のR′、R″は同じでも異なっ
ていても良い。
【0118】R′は炭素数2以上が好ましい。R″は炭
素数1〜5が好ましく、さらに好ましくは炭素数1であ
る。これらの基は更に置換基を有していても良く、置換
基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素
原子、臭素原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、iso
−ペンチル基、2−エチル−ヘキシル基、オクチル基、
デシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキ
シル基、シクロヘプチル基等)、アルケニル基(例え
ば、エテニル−2−プロペニル基、3−ブテニル基、1
−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−
メチル−3−ブテニル基等)、シクロアルケニル基(例
えば、1−シクロアルケニル基、2−シクロアルケニル
基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、1−プロ
ピニル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エ
トキシ基、プロポキシ基等)、アルキルカルボニルオキ
シ基(例えば、アセチルオキシ基等)、アルキルチオ基
(例えば、メチルチオ基、トリフルオロメチルチオ基
等)、カルボキシル基、アルキルカルボニルアミノ基
(例えば、アセチルアミノ基等)、ウレイド基(例え
ば、メチルアミノカルボニルアミノ基等)、アルキルス
ルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ基
等)、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニ
ル基、トリフルオロメタンスルホニル基等)、カルバモ
イル基(例えば、カルバモイル基、N,N−ジメチルカ
ルバモイル基、N−モルホリノカルボニル基等)、スル
ファモイル基(スルファモイル基、N,N−ジメチルス
ルファモイル基、モルフォリノスルファモイル基等)、
トリフルオロメチル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シ
アノ基、アルキルスルホンアミド基(例えば、メタンス
ルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基等)、アルキ
ルアミノ基(例えばアミノ基、N,N−ジメチルアミノ
基、N,N−ジエチルアミノ基等)、スルホ基、ホスフ
ォノ基、サルファイト基、スルフィノ基、アルキルスル
ホニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルホニル
アミノカルボニル基、エタンスルホニルアミノカルボニ
ル基等)、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(例
えば、アセトアミドスルホニル基、メトキシアセトアミ
ドスルホニル基等)、アルキニルアミノカルボニル基
(例えば、アセトアミドカルボニル基、メトキシアセト
アミドカルボニル基等)、アルキルスルフィニルアミノ
カルボニル基(例えば、メタンスルフィニルアミノカル
ボニル基、エタンスルフィニルアミノカルボニル基等)
等が挙げられる。
【0119】本発明に係る前記一般式(A)で示される
化合物の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【0120】
【化6】
【0121】
【化7】
【0122】
【化8】
【0123】
【化9】
【0124】その他、米国特許第3,589,903
号、同第4,021,249号若しくは英国特許第1,
486,148号各明細書及び特開昭51−51933
号、同50−36110号、同50−116023号、
同52−84727号若しくは特公昭51−35727
号公報に記載されたポリフェノール化合物、例えば、
2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、6,
6′−ジブロモ−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−
ビナフチル等の米国特許第3,672,904号明細書
に記載されたビスナフトール類、更に、例えば、4−ベ
ンゼンスルホンアミドフェノール、2−ベンゼンスルホ
ンアミドフェノール、2,6−ジクロロ−4−ベンゼン
スルホンアミドフェノール、4−ベンゼンスルホンアミ
ドナフトール等の米国特許第3,801,321号明細
書に記載されているようなスルホンアミドフェノール又
はスルホンアミドナフトール類も挙げることができる。
【0125】前記一般式(A)で表される化合物を始め
とする還元剤の使用量は、好ましくは銀1モル当り1×
10-2〜10モル、特に1×10-2〜1.5モルであ
る。
【0126】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料に使用される還元剤の量は、有機銀塩や還元剤の種
類、その他の添加剤によって変化するが、一般的には有
機銀塩1モル当たり0.05〜10モル、好ましくは
0.1〜3モルが適当である。又この量の範囲内におい
て、上述した還元剤は2種以上併用されてもよい。本発
明においては、前記還元剤を塗布直前に感光性ハロゲン
化銀及び有機銀塩粒子及び溶媒からなる感光乳剤溶液に
添加混合して塗布した方が、停滞時間による写真性能変
動が小さく好ましい場合がある。
【0127】本発明に係る感光性ハロゲン化銀には、化
学増感を施すことができる。例えば、特願2000−0
57004及び特願2000−061942に記載され
ている方法等により、硫黄、セレン、テルル等のカルコ
ゲンを放出する化合物や金イオンなどの貴金属イオンを
放出する貴金属化合物の利用により、化学増感中心(化
学増感核)を形成付与できる。特に、ルコゲン原子を含
有する有機増感剤により化学増感されているのが好まし
い。
【0128】これらカルコゲン原子を含有する有機増感
剤は、ハロゲン化銀へ吸着可能な基と不安定カルコゲン
原子部位を有する化合物であることが好ましい。
【0129】これらの有機増感剤としては、特開昭60
−150046号、特開平4−109240号、同11
−218874号等に開示されている種々の構造を有す
る有機増感剤を用いることができるが、それらのうち、
カルコゲン原子が炭素原子又はリン原子と二重結合で結
ばれている構造を有する化合物の少なくとも1種である
ことが好ましい。
【0130】有機増感剤としてのカルコゲン化合物の使
用量は、使用するカルコゲン化合物、ハロゲン化銀粒
子、化学増感を施す際の反応環境などにより変わるが、
ハロゲン化銀1モル当たり、10-8〜10-2モルが好ま
しく、より好ましくは10-7〜10-3モルを用いる。化
学増感環境としては、特に制限はないが、感光性ハロゲ
ン化銀粒子上のカルコゲン化銀又は銀核を消滅或いはそ
れらの大きさを減少させ得る化合物の存在下において、
又特に銀核を酸化しうる酸化剤の共存下において、カル
コゲン原子を含有する有機増感剤を用いてカルコゲン増
感を施すことが好ましく、該増感条件として、pAgと
しては6〜11が好ましく、より好ましくは7〜10で
あり、pHは4〜10が好ましく、より好ましくは5〜
8、又温度としては30℃以下で増感を施すことが好ま
しい。
【0131】従って、本発明の銀塩光熱写真ドライイメ
ージング材料においては、感光性ハロゲン化銀が、該粒
子上の銀核を酸化しうる酸化剤の共存下において、カル
コゲン原子を含有する有機増感剤を用いて、温度30℃
以下において化学増感を施され、かつ脂肪族カルボン酸
銀塩と混合して分散され、脱水及び乾燥された感光性乳
剤を用いることが好ましい。
【0132】また、これらの有機増感剤を用いた化学増
感は、分光増感色素またはハロゲン化銀粒子に対して、
吸着性を有するヘテロ原子含有化合物の存在下で行われ
ることが好ましい。ハロゲン化銀に吸着性を有する化合
物の存在下化学増感を行うことで、化学増感中心核の分
散化を防ぐことができ高感度、低カブリを達成できる。
分光増感色素については後述するが、ハロゲン化銀に吸
着性を有するヘテロ原子含有化合物とは、特開平3−2
4537号に記載されている含窒素複素環化合物が好ま
しい例として挙げられる。含窒素複素環化合物におい
て、複素環としては、例えば、ピラゾール環、ピリミジ
ン環、1,2,4−トリアゾール環、1,2,3−トリ
アゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,
3−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール
環、1,2,5−チアジアゾール環、1,2,3,4−
テトラゾール環、ピリダジン環、1,2,3−トリアジ
ン環、これらの環が2〜3個結合した環、例えばトリア
ゾロトリアゾール環、ジアザインデン環、トリアザイン
デン環、ペンタアザインデン環などを挙げることができ
る。単環の複素環と芳香族環の縮合した複素環、例え
ば、フタラジン環、ベンズイミダゾール環、インダゾー
ル環、ベンズチアゾール環なども適用できる。
【0133】これらの中で好ましいのはアザインデン環
であり、かつ置換基としてヒドロキシル基を有するアザ
インデン化合物、例えば、ヒドロキシトリアザインデ
ン、テトラヒドロキシアザインデン、ヒドロキシペンタ
アザインデン化合物等が更に好ましい。
【0134】複素環にはヒドロキシル基以外の置換基を
有してもよい。置換基としては、例えば、アルキル基、
置換アルキル基、アルキルチオ基、アミノ基、ヒドロキ
シアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、
アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボ
ニル基、ハロゲン原子、シアノ基などを有してもよい。
【0135】これ含複素環化合物の添加量は、ハロゲン
化銀粒子の大きさや組成その他の条件等に応じて広い範
囲に亘って変化するが、おおよその量はハロゲン化銀1
モル当たりの量で10-6〜1モルの範囲であり、好まし
くは10-4〜10-1モルの範囲である。
【0136】本発明に係る感光性ハロゲン化銀には、金
イオンなどの貴金属イオンを放出する化合物を利用して
貴金属増感を施すことができる。例えば、金増感剤とし
て、塩化金酸塩や有機金化合物が利用できる。
【0137】又、上記の増感法の他、還元増感法等も用
いることができ、還元増感の貝体的な化合物として、例
えば、アスコルビン酸、2酸化チオ尿素、塩化第1ス
ズ、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、
ポリアミン化合物等を用いることができる。また、乳剤
のpHを7以上またはpAgを8.3以下に保持して熟
成することにより還元増感することができる。
【0138】本発明において、化学増感を施されるハロ
ゲン化銀は、有機銀塩の存在下で形成されたのでも、有
機銀塩の存在しない条件下で形成されたものでも、ま
た、両者が混合されたものでもよい。
【0139】本発明における感光性ハロゲン化銀には、
分光増感色素を吸着させ分光増感を施すことが好まし
い。分光増感色素としてシアニン色素、メロシアニン色
素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロ
シアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、スチリル色
素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソ
ノール色素等を用いることができる。例えば、特開昭6
3−159841号、同60−140335号、同63
−231437号、同63−259651号、同63−
304242号、同63−15245号、米国特許第
4,639,414号、同第4,740,455号、同
第4,741,966号、同第4,751,175号、
同第4,835,096号に記載された増感色素が使用
できる。
【0140】本発明に使用される有用な増感色素は、例
えば、リサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略
す)17643IV−A項(1978年12月p.2
3)、RD18431X項(1978年8月p.43
7)に記載もしくは引用された文献に記載されている。
特に、各種レーザイメージャーやスキャナーの光源の分
光特性に適した分光感度を有する増感色素を用いるのが
好ましい。例えば、特開平9−34078号、同9−5
4409号、同9−80679号に記載の化合物が好ま
しく用いられる。
【0141】有用なシアニン色素は、例えば、チアゾリ
ン核、オキサゾリン核、ピロリン核、ピリジン核、オキ
サゾール核、チアゾール核、セレナゾール核及びイミダ
ゾール核などの塩基性核を有するシアニン色素である。
有用なメロシアニン染料で好ましいものは、上記の塩基
性核に加えて、チオヒダントイン核、ローダニン核、オ
キサゾリジンジオン核、チアゾリンジオン核、バルビツ
ール酸核、チアゾリノン核、マロノニトリル核及びピラ
ゾロン核などの酸性核も含む。
【0142】本発明においては、特に赤外に分光感度を
有する増感色素を用いることもできる。好ましく用いら
れる赤外分光増感色素としては、例えば米国特許第4,
536,473号、同第4,515,888号、同第
4,959,294号等に開示されている赤外分光増感
色素が挙げられる。
【0143】赤外分光増感色素については、ベンズアゾ
ール環のベンゼン環上にスルフィニル基が置換されてい
ることを特徴とした長鎖のポリメチン色素が特に好まし
い。
【0144】上記の赤外増感色素は、例えば、エフ・エ
ム・ハーマー著、The Chemistry of
Heterocyclic Compounds第18
巻、The Cyanine Dyes and Re
lated Compounds(A.Weissbe
rger ed.Interscience社刊、Ne
w York 1964年)に記載の方法によって容易
に合成することができる。
【0145】これらの赤外増感色素の添加時期は、ハロ
ゲン化銀調製後の任意の時期でよく、例えば、溶剤に添
加して、或いは微粒子状に分散した、いわゆる固体分散
状態でハロゲン化銀粒子或いはハロゲン化銀粒子/脂肪
族カルボン酸銀塩粒子を含有する感光性乳剤に添加でき
る。又、前記のハロゲン化銀粒子に対し吸着性を有する
ヘテロ原子含有化合物と同様に、化学増感に先立ってハ
ロゲン化銀粒子に添加し吸着させた後、化学増感を施す
こともでき、これにより化学増感中心核の分散化を防ぐ
ことができ高感度、低カブリを達成できる。
【0146】本発明において、上記の分光増感色素は単
独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、
増感色素の組合せは、特に強色増感の目的でしばしば用
いられる。
【0147】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料に用いられる感光性ハロゲン化銀、脂肪族カルボン
酸銀塩を含有する乳剤は、増感色素とともに、それ自身
分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に
吸収しない物質であって、強色増感効果を発現する物質
を乳剤中に含ませ、これによりハロゲン化銀粒子が強色
増感されていてもよい。
【0148】有用な増感色素、強色増感を示す色素の組
合せ及び強色増感を示す物質は、RD17643(19
78年12月発行)第23頁IVのJ項、あるいは特公平
9−25500号、同43−4933号、特開昭59−
19032号、同59−192242号、特開平5−3
41432号等に記載されているが、強色増感剤として
は、下記で表される複素芳香族メルカプト化合物が又は
メルカプト誘導体化合物が好ましい。
【0149】Ar−SM 式中、Mは水素原子またはアルカリ金属原子であり、A
rは1個以上の窒素、硫黄、酸素、セレニウム、または
テルリウム原子を有する芳香環または縮合芳香環であ
る。好ましくは、複素芳香環はベンズイミダゾール、ナ
フトイミダゾール、ベンズチアゾール、ナフトチアゾー
ル、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、ベンズ
セレナゾール、ベンズテルラゾール、イミダゾール、オ
キサゾール、ピラゾール、トリアゾール、トリアジン、
ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリ
ン、キノリン、またはキナゾリンである。しかしなが
ら、他の複素芳香環も含まれる。
【0150】なお、脂肪族カルボン酸銀塩又はハロゲン
化銀粒子乳剤の分散物中に含有させたときに実質的に上
記のメルカプト化合物を生成するメルカプト誘導体化合
物も含まれる。特に下記で表されるメルカプト誘導体化
合物が、好ましい例として挙げられる。
【0151】Ar−S−S−Ar 式中のArは上記で表されたメルカプト化合物の場合と
同義である。
【0152】上記の複素芳香環は、例えば、ハロゲン原
子(例えば、塩素、臭素、ヨウ素)、ヒドロキシル基、
アミノ基、カルボキシル基、アルキル基(例えば、1個
以上の炭素原子、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有
するもの)及びアルコキシ基(例えば、1個以上の炭素
原子、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するもの)
からなる群から選ばれる置換基を有しうる。
【0153】上記の強色増感剤の他に、特願平2000
−70296に開示されている下記一般式〔5〕で表さ
れる化合物と大環状化合物を強色増感剤として使用でき
る。
【0154】
【化10】
【0155】式中、H31Arは芳香族炭化水素基または
芳香族複素環基を表し、T31は脂肪族炭化水素基からな
る2価の連結基または連結基を表し、J31は酸素原子、
硫黄原子または窒素原子を一つ以上含む2価の連結基ま
たは連結基を表す。Ra、Rb、Rc及びRdは各々、
水素原子、アシル基、脂肪族炭化水素基、アリール基ま
たは複素環基を表し、またはRaとRb、RcとRd、
RaとRc或いはRbとRdの間で結合して含窒素複素
環基を形成することができる。M31は分子内の電荷を相
殺するに必要なイオンを表し、k31は分子内の電荷を
相殺するに必要なイオンの数を表す。
【0156】一般式〔5〕において、T31で表される脂
肪族炭化水素基からなる2価の連結基としては、直鎖、
分岐または環状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜
20、より好ましくは1〜16、更に好ましくは1〜1
2)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より
好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜12)、アル
キニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは
2〜16、更に好ましくは2〜12)であり、置換基を
有していてもよく、例えば脂肪族炭化水素基としては、
直鎖、分岐または環状のアルキル基(好ましくは炭素数
1〜20、より好ましくは1〜16、更に好ましくは1
〜12)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、
より好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜12)、
アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好まし
くは2〜16、更に好ましくは2〜12)であり、アリ
ール基としては、炭素数6〜20の単環または縮環のア
リール基(例えば、フェニル、ナフチル等が挙げられ、
好ましくはフェニル)であり、複素環基としては、3〜
10員の飽和、不飽和のヘテロ環基(例えば、2−チア
ゾリル、1−ピペラジニル、2−ピリジル、3−ピリジ
ル、2−フリル、2−チエニル、2−ベンズイミダゾリ
ル、カルバゾリル、等)であり、これらの基中のヘテロ
環は単環であっても、他の環と縮合環を形成してもよ
い。これらの各基は任意の個所に置換基を有していても
よく、例えば、アルキル基(シクロアルキル基、アラル
キル基を含み、好ましくは炭素数1〜20、より好まし
くは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であ
り、例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プ
ロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ヘプチ
ル、n−オクチル、n−デシル、n−ウンデシル、n−
ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シク
ロヘキシル、ベンジル、フェネチル等が挙げられ
る。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、よ
り好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2
〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3
−ペンテニル等が挙げられる。)、アルキニル基(好ま
しくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜1
2、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパ
ルギル、3−ペンチニル等が挙げられる。)、アリール
基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数
6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例え
ば、フェニル、p−トリル、O−アミノフェニル、ナフ
チル等が挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素
数、0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好
ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルア
ミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミ
ノ、ジフェニルアミノ、ジベンジルアミノ等が挙げられ
る。)、イミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好
ましくは炭素数1〜18、特に好ましくは炭素数1〜1
2であり、例えばメチルイミノ、エチルイミノ、プロピ
ルイミノ、フェニルイミノ等)アルコキシ基(好ましく
は炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特
に好ましくは炭素数1〜8であり、例えば、メトキシ、
エトキシ、ブトキシ等)、アリールオキシ基(好ましく
は炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特
に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオ
キシ、2−ナフチルオキシ等が挙)、アシル基(好まし
くは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、
特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチ
ル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等)、アルコキ
シカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ま
しくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12
であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボ
ニル等)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭
素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好
ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシ
カルボニル等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1
〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましく
は炭素数1〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイ
ルオキシ等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜
20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは
炭素数1〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾ
イルアミノ等)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ま
しくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜1
6、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメト
キシカルボニルアミノ等)、アリールオキシカルボニル
アミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは
炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であ
り、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ等)、スル
ホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ま
しくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12
であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスル
ホニルアミノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素
数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ま
しくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、
メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェ
ニルスルファモイル等)、カルバモイル基(好ましくは
炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に
好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイ
ル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェ
ニルカルバモイル等)、アルキルチオ基(好ましくは炭
素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好
ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エ
チルチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜
20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは
炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ等)、スル
ホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは
炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であ
り、例えばメタンスルホニル、トシル等)、スルフィニ
ル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素
数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例
えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル等)が
挙げられる。ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、
より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数
1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フ
ェニルウレイド等)、リン酸アミド基(好ましくは炭素
数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ま
しくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸ア
ミド、フェニルリン酸アミド等)、ヒドロキシル基、メ
ルカプト基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素
原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、
スルフィノ基、カルボキシル基、ホスホノ基、ホスフィ
ノ基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、ヒドラジノ基、ヘ
テロ環基(例えば、イミダゾリル、ベンズイミダゾリ
ル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル、ピ
リジル、フリル、ピペリジル、モルホリノ等)等が挙げ
られる。
【0157】上記の基のうちヒドロキシル基、メルカプ
ト基、スルホ基、スルフィノ基、カルボキシル基、ホス
ホノ基、ホスフィノ基等のような塩形成可能な基は塩で
あってもよい。これらの置換基は更に置換されてもよ
い。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異な
ってもよい。置換基として好ましくは、アルキル基、ア
ラルキル基、アルコキシ基、アリール基、アルキルチオ
基、アシル基、アシルアミノ基、イミノ基、スルファモ
イル基、スルホニル基、スルホニルアミノ基、ウレイド
基、アミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヘテロ環基、
アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、スルホ基、
カルバモイル基、カルボキシル基であり、より好ましく
はアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アルキルチ
オ基、アシル基、アシルアミノ基、イミノ基、スルホニ
ルアミノ基、ウレイド基、アミノ基、ハロゲン原子、ニ
トロ基、ヘテロ環基、アルコキシカルボニル基、ヒドロ
キシル基、スルホ基、カルバモイル基、カルボキシル基
であり、更に好ましくはアルキル基、アルコキシ基、ア
リール基、アルキルチオ基、アシルアミノ基、イミノ
基、ウレイド基、アミノ基、ヘテロ環基、アルコキシカ
ルボニル基、ヒドロキシル基、スルホ基、カルバモイル
基、カルボキシル基である。アミジノ基としては、置換
基を有するものを含み、置換基としては、例えば、アル
キル基(メチル、エチル、ピリジルメチル、ベンジル、
フェネチル、カルボキシベンジル、アミノフェニルメチ
ル等の各基)、アリール基(フェニル、p−トリル、ナ
フチル、o−アミノフェニル、o−メトキシフェニル等
の各基)、複素環基(2−チアゾリル、2−ピリジル、
3−ピリジル、2−フリル、3−フリル、2−チエノ、
2−イミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル等
の各基)等が挙げられる。
【0158】J31で表される酸素原子、硫黄原子または
窒素原子を一つ以上含む2価の連結基としては、例えば
以下のものが挙げられる。また、これらの組み合わせで
あってもよい。
【0159】
【化11】
【0160】ここで、Re及びRfは各々、前述したR
a〜Rdに定義した内容に同義である。
【0161】H31Arで表される芳香族炭化水素基とし
ては、好ましくは炭素数6〜30のものであり、より好
ましくは炭素数6〜20の単環または縮環のアリール基
であり、例えば、フェニル、ナフチル等が挙げられ、特
に好ましくはフェニルである。H31Arで表される芳香
族複素環基としてはN、O及びSのうちの少なくとも一
つの原子を含む5〜10員の不飽和のヘテロ環基であ
り、これらの基中のヘテロ環は単環であってもよいし、
更に他の環と縮合環を形成してもよい。このようなヘテ
ロ環基中のヘテロ環として好ましくは、5〜6員の芳香
族ヘテロ環、及びそのベンゾ縮合環であり、より好まし
くは窒素原子を含む5〜6員の芳香族ヘテロ環、及びそ
のベンゾ縮合環であり、更に好ましくは窒素原子を1〜
2原子含む5〜6員の芳香族ヘテロ環、及びそのベンゾ
縮合環である。
【0162】ヘテロ環基の具体例としては、例えば、チ
オフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾー
ル、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、
トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チア
ジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジ
ン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノ
リン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フ
ェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、
ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチア
ゾール、ベンゾチアゾリン、ベンゾトリアゾール、テト
ラザインデン、カルバゾール、等から誘導される基が挙
げられる。ヘテロ環基として好ましくは、イミダゾー
ル、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、インドール、イ
ンダゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノ
リン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサ
ゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベ
ンゾチアゾール、ベンゾチアゾリン、ベンゾトリアゾー
ル、テトラザインデン、カルバゾールからなる基であ
り、更に好ましくは、イミダゾール、ピリジン、ピラジ
ン、キノリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾー
ル、ベンゾオキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾ
チアゾール、ベンゾチアゾリン、ベンゾトリアゾール、
カルバゾールから誘導される基が挙げられる。
【0163】H31Arで表される芳香族炭化水素基並び
に芳香族複素環基は置換基を有していてもよく、置換基
としては、例えば、T31の置換基として挙げた基と同様
のものを挙げることができ、好ましい範囲も同様であ
る。これらの置換基は更に置換されてもよく、また、置
換基が二つ以上ある場合には各々、同じでも異なっても
よい。H31Arで表される基は好ましくは芳香族複素環
基である。
【0164】Ra、Rb、Rc、Rdで表される脂肪族
炭化水素基、アリール基及び複素環基は、前記T31に於
て脂肪族炭化水素基、アリール基及び複素環基の例とし
て挙げたと同様のものを挙げることができ、好ましい範
囲も同様である。Ra、Rb、Rc、Rdで表されるア
シル基としては炭素数1〜12の脂肪族或いは芳香族の
基であり、具体的にはアセチル、ベンゾイル、ホルミ
ル、ピバロイル等の基が挙げられる。RaとRb、Rc
とRd、RaとRc或いはRbとRdの間で結合して形
成する含窒素複素環基としては3〜10員の飽和、不飽
和のヘテロ環基(例えば、ピペリジン環、ピペラジン
環、アクリジン環、ピロリジン環、ピロール環、モルフ
ォリン環等の環基)が挙げられる。
【0165】M31で表される分子内の電荷を相殺するに
必要なイオンとして、酸アニオンの具体例としては、例
えばハロゲンイオン(例えば、塩素イオン、臭素イオ
ン、沃素イオン等)、p−トルエンスルホン酸イオン、
過塩素酸イオン、4フッ化ホウ素イオン、硫酸イオン、
メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、メタンスルホン
酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等が挙
げられる。
【0166】本発明に係る強色増感剤は、有機銀塩及び
ハロゲン化銀粒子を含む感光性層中に銀1モル当たり
0.001〜1.0モルで用いるのが好ましい。特に好
ましくは、銀1モル当たり0.01〜0.5モルの量が
好ましい。
【0167】請求項10に係る発明では、感光性層又は
非感光性層が、省銀化剤を含有することが特徴である。
【0168】本発明において使用される省銀化剤とは、
一定の銀画像濃度を得るために必要な銀量を低減化し得
る化合物をいう。この低減化する機能の作用機構は種々
考えられるが、現像銀の被覆力を向上させる機能を有す
る化合物が好ましい。ここで、現像銀の被覆力とは、銀
の単位量当たりの光学濃度をいう。この省銀化剤は感光
性層又は非感光性層、更にはそのいずれにも存在せしめ
ることができる。
【0169】省銀化剤としては、下記一般式〔H〕で表
されるヒドラジン誘導体、下記一般式(G)で表せるビ
ニル化合物、下記一般式(P)で表される4級オニウム
化合物等が好ましい例として挙げられる。
【0170】
【化12】
【0171】
【化13】
【0172】一般式〔H〕において、式中、A0はそれ
ぞれ置換基を有してもよい脂肪族基、芳香族基、複素環
基又は−G0−D0基を、B0はブロッキング基を表し、
1、A2はともに水素原子、又は一方が水素原子で他方
はアシル基、スルホニル基又はオキザリル基を表す。こ
こで、G0は−CO−基、−COCO−基、−CS−
基、−C(=NG11)−基、−SO−基、−SO2
基又は−P(O)(G1 1)−基を表し、G1は単なる
結合手、−O−基、−S−基又は−N(D1)−基を表
し、D1は脂肪族基、芳香族基、複素環基又は水素原子
を表し、分子内に複数のD1が存在する場合、それらは
同じであっても異なってもよい。D0は水素原子、脂肪
族基、芳香族基、複素環基、アミノ基、アルコキシ基、
アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基を
表す。好ましいD0としては、水素原子、アルキル基、
アルコキシ基、アミノ基等が挙げられる。
【0173】一般式〔H〕において、A0で表される脂
肪族基は、好ましくは炭素数1〜30のものであり、特
に炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が
好ましく、例えばメチル基、エチル基、t−ブチル基、
オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基が挙げら
れ、これらは更に適当な置換基(例えば、アリール基、
アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、ア
リールチオ基、スルホキシ基、スルホンアミド基、スル
ファモイル基、アシルアミノ基、ウレイド基等)で置換
されていてもよい。
【0174】一般式〔H〕において、A0で表される芳
香族基は、単環又は縮合環のアリール基が好ましく、例
えばベンゼン環又はナフタレン環が挙げられ、A0で表
される複素環基としては、単環又は縮合環で窒素、硫
黄、酸素原子から選ばれる少なくとも一つのヘテロ原子
を含む複素環が好ましく、例えばピロリジン環、イミダ
ゾール環、テトラヒドロフラン環、モルホリン環、ピリ
ジン環、ピリミジン環、キノリン環、チアゾール環、ベ
ンゾチアゾール環、チオフェン環、フラン環が挙げられ
る。A0の芳香族基、複素環基及び−G0−D0基は置換
基を有していてもよい。A0として、特に好ましいもの
はアリール基及び−G0−D0基である。
【0175】又、一般式〔H〕において、A0は耐拡散
基又はハロゲン化銀吸着基を、少なくとも一つ含むこと
が好ましい。耐拡散基としては、カプラー等の不動性写
真用添加剤にて常用されるバラスト基が好ましく、バラ
スト基としては、写真的に不活性であるアルキル基、ア
ルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、フェニル
基、フェノキシ基、アルキルフェノキシ基等が挙げら
れ、置換基部分の炭素数の合計は8以上であることが好
ましい。
【0176】一般式〔H〕において、ハロゲン化銀吸着
促進基としては、チオ尿素、チオウレタン基、メルカプ
ト基、チオエーテル基、チオン基、複素環基、チオアミ
ド複素環基、メルカプト複素環基或いは特開昭64−9
0439号に記載の吸着基等が挙げられる。
【0177】一般式〔H〕において、B0はブロッキン
グ基を表し、好ましくは−G0−D0基であり、G0は−
CO−基、−COCO−基、−CS−基、−C(=NG
11)−基、−SO−基、−SO2−基又は−P(O)
(G11)−基を表す。好ましいG0としては−CO−
基、−COCO−基が挙げられ、G1は単なる結合手、
−O−基、−S−基又は−N(D1)−基を表し、D1
脂肪族基、芳香族基、複素環基又は水素原子を表し、分
子内に複数のD1が存在する場合、それらは同じであっ
ても異なってもよい。D0は水素原子、脂肪族基、芳香
族基、複素環基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオ
キシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基を表し、好ま
しいD0としては水素原子、アルキル基、アルコキシ
基、アミノ基等が挙げられる。A1、A2はともに水素原
子、又は一方が水素原子で他方はアシル基(アセチル
基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基等)、スル
ホニル基(メタンスルホニル基、トルエンスルホニル基
等)、又はオキザリル基(エトキザリル基等)を表す。
【0178】これら一般式〔H〕で表される化合物は、
公知の方法により容易に合成することができる。例え
ば、米国特許第5,464,738号、同第5,49
6,695号を参考にして合成することができる。
【0179】その他に好ましく用いることのできるヒド
ラジン誘導体は、米国特許第5,545,505号カラ
ム11〜20に記載の化合物H−1〜H−29、米国特
許第5,464,738号カラム9〜11に記載の化合
物1〜12である。これらのヒドラジン誘導体は公知の
方法で合成することができる。
【0180】一般式(G)において、XとR40はシスの
形で表示してあるが、XとR40がトランスの形も一般式
(G)に含まれる。この事は具体的化合物の構造表示に
おいても同様である。
【0181】一般式(G)において、Xは電子吸引性基
を表し、Wは水素原子、アルキル基、アルケニル基、ア
ルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、
アシル基、チオアシル基、オキサリル基、オキシオキサ
リル基、チオオキサリル基、オキサモイル基、オキシカ
ルボニル基、チオカルボニル基、カルバモイル基、チオ
カルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキ
シスルフィニル基、チオスルフィニル基、スルファモイ
ル基、オキシスルフィニル基、チオスルフィニル基、ス
ルフィナモイル基、ホスホリル基、ニトロ基、イミノ
基、N−カルボニルイミノ基、N−スルホニルイミノ
基、ジシアノエチレン基、アンモニウム基、スルホニウ
ム基、ホスホニウム基、ピリリウム基、インモニウム基
を表す。
【0182】R40はハロゲン原子、ヒドロキシル基、ア
ルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、ア
ルケニルオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボ
ニルオキシ基、アミノカルボニルオキシ基、メルカプト
基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ
基、アルケニルチオ基、アシルチオ基、アルコキシカル
ボニルチオ基、アミノカルボニルチオ基、ヒドロキシル
基又はメルカプト基の有機又は無機の塩(例えば、ナト
リウム塩、カリウム塩、銀塩等)、アミノ基、アルキル
アミノ基、環状アミノ基(例えば、ピロリジノ基)、ア
シルアミノ基、オキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環基
(5〜6員の含窒素ヘテロ環、例えばベンツトリアゾリ
ル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル
基等)、ウレイド基、スルホンアミド基を表す。Xと
W、XとR40は、それぞれ互いに結合して環状構造を形
成してもよい。XとWが形成する環としては、例えばピ
ラゾロン、ピラゾリジノン、シクロペンタンジオン、β
−ケトラクトン、β−ケトラクタム等が挙げられる。
【0183】一般式(G)について更に説明すると、X
の表す電子吸引性基とは、置換基定数σpが正の値をと
りうる置換基のことである。具体的には、置換アルキル
基(ハロゲン置換アルキル等)、置換アルケニル基(シ
アノビニル等)、置換・未置換のアルキニル基(トリフ
ルオロメチルアセチレニル、シアノアセチレニル等)、
置換アリール基(シアノフェニル等)、置換・未置換の
ヘテロ環基(ピリジル、トリアジニル、ベンゾオキサゾ
リル等)、ハロゲン原子、シアノ基、アシル基(アセチ
ル、トリフルオロアセチル、ホルミル等)、チオアセチ
ル基(チオアセチル、チオホルミル等)、オキサリル基
(メチルオキサリル等)、オキシオキサリル基(エトキ
サリル等)、チオオキサリル基(エチルチオオキサリル
等)、オキサモイル基(メチルオキサモイル等)、オキ
シカルボニル基(エトキシカルボニル等)、カルボキシ
ル基、チオカルボニル基(エチルチオカルボニル等)、
カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルホニル基、
スルフィニル基、オキシスルホニル基(エトキシスルホ
ニル等)、チオスルホニル基(エチルチオスルホニル
等)、スルファモイル基、オキシスルフィニル基(メト
キシスルフィニル等)、チオスルフィニル基(メチルチ
オスルフィニル等)、スルフィナモイル基、ホスホリル
基、ニトロ基、イミノ基、N−カルボニルイミノ基(N
−アセチルイミノ等)、N−スルホニルイミノ基(N−
メタンスルホニルイミノ等)、ジシアノエチレン基、ア
ンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ピリ
リウム基、インモニウム基が挙げられるが、アンモニウ
ム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、インモニウム
基等が環を形成したヘテロ環状のものも含まれる。σp
値として0.30以上の置換基が特に好ましい。
【0184】Wとして表されるアルキル基としては、メ
チル、エチル、トリフルオロメチル等が、アルケニル基
としてはビニル、ハロゲン置換ビニル、シアノビニル等
が、アルキニル基としてはアセチレニル、シアノアセチ
レニル等が、アリール基としてはニトロフェニル、シア
ノフェニル、ペンタフルオロフェニル等が、ヘテロ環基
としてはピリジル、ピリミジル、トリアジニル、スクシ
ンイミド、テトラゾリル、トリアゾリル、イミダゾリ
ル、ベンゾオキサゾリル等が挙げられる。Wとしてはσ
p値が正の電子吸引性基が好ましく、更にはその値が
0.30以上のものが好ましい。
【0185】上記R40の置換基の内、好ましくはヒドロ
キシル基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチオ
基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基又はメルカプト基の
有機又は無機の塩、ヘテロ環基が挙げられ、更に好まし
くはヒドロキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基又
はメルカプト基の有機又は無機の塩、ヘテロ環基が挙げ
られ、特に好ましくはヒドロキシル基、ヒドロキシル基
又はメルカプト基の有機又は無機の塩が挙げられる。
【0186】また上記X及びWの置換基の内、置換基中
にチオエーテル結合を有するものが好ましい。
【0187】一般式(P)において、Q3は窒素原子又
は燐原子を表し、R41、R42、R43及びR44は、各々水
素原子又は置換基を表し、X-はアニオンを表す。尚、
41〜R44は互いに連結して環を形成してもよい。
【0188】R41〜R44で表される置換基としては、例
えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基
等)、アルケニル基(例えば、アリル基、ブテニル基
等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基、ブチニ
ル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル
基等)、複素環基(例えば、ピペリジニル基、ピペラジ
ニル基、モルホリニル基、ピリジル基、フリル基、チエ
ニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロチエニル
基、スルホラニル基等)、アミノ基等が挙げられる。
【0189】R41〜R44が互いに連結して形成しうる環
としては、例えば、ピペリジン環、モルホリン環、ピペ
ラジン環、キヌクリジン環、ピリジン環、ピロール環、
イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環等が
挙げられる。
【0190】R41〜R44で表される基は、ヒドロキシル
基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボキシル
基、スルホ基、アルキル基、アリール基等の置換基を有
してもよい。R41、R42、R43及びR44としては、水素
原子及びアルキル基が好ましい。
【0191】X-が表すアニオンとしては、例えば、ハ
ロゲンイオン、硫酸イオン、硝酸イオン、酢酸イオン、
p−トルエンスルホン酸イオン等の無機及び有機のアニ
オンが挙げられる。
【0192】上記4級オニウム化合物は公知の方法に従
って容易に合成でき、例えば、上記テトラゾリウム化合
物は、Chemical Reviews vol.5
5p.335〜483に記載の方法を参考にできる。上
記省銀化剤の添加量は、脂肪族カルボン酸銀塩1モルに
対し10-5〜1モル、好ましくは10-4〜5×10 -1
ルの範囲である。
【0193】請求項11に係る発明では、省銀化剤の少
なくとも一種が、シラン化合物であることが特徴であ
る。
【0194】本発明において、省銀化剤として用いるシ
ラン化合物としては、特願2001−192698明細
書に記載されているような一級または二級アミノ基を2
個以上有するアルコキシシラン化合物あるいはその塩で
あることが好ましい。
【0195】ここで、一級または二級アミノ基を2個以
上有するとは、一級アミノ基のみを2個以上、二級アミ
ノ基のみを2個以上、さらには一級アミノ基と二級アミ
ノ基をそれぞれ1個以上含むことを指し、アルコキシシ
ラン化合物の塩とは、アミノ基とオニウム塩を形成しう
る無機酸あるいは有機酸とアルコキシシラン化合物との
付加物をさす。
【0196】このようなアルコキシシラン化合物あるい
はその塩としては、下記に記載するようなものを挙げる
ことができるが、本発明においては、分子内一級または
二級アミノ基を2個以上有するアルコキシシラン化合物
あるいはその塩で有れば、これらの化合物に限定されな
い。
【0197】
【化14】
【0198】
【化15】
【0199】
【化16】
【0200】これらの化合物において、アルコキシシリ
ルを形成するアルコキシ基としては、飽和炭化水素から
なるアルコキシ基が好ましく、更には、メトキシ基、エ
トキシ基、イソプロポキシ基がより保存安定性に優れる
ことから好ましい。また、熱現像前の保存条件による感
度変動を低減する目的においては、分子内に不飽和炭化
水素基を有さない化合物がより好ましい。なお、これら
のアルコキシシラン化合物あるいはその塩は1種単独で
も2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0201】また、画像形成層が少なくとも1個以上の
一級アミノ基を有するアルコキシシラン化合物とケトン
化合物との脱水縮合反応から形成されるシフ塩基を含有
することが好ましい。
【0202】このようなシフ塩基を用いることにより、
省銀化することができ、かつ熱現像前の保存時条件によ
らず低カブリで感度変動も少なく、ガンマも極端に立た
ない画像が得られる。さらに、あらかじめ一級アミン部
分が封鎖されているため、後述する画像形成層形成塗工
液を調製する際にケトン系溶剤を用いる場合には、塗工
液調製後の時間経時による感度変動を抑制することがで
きる。
【0203】上記のアルコキシシラン化合物とシフ塩基
を形成する為に用いられるケトン化合物としては、特に
制限なく用いることができるが、後述する画像形成方法
により画像を形成した際に生じる臭気の問題から、沸点
が150℃以下のものが好ましく、さらには100℃以
下のものがより好ましい。
【0204】このようなシフ塩基としては、下記に示す
化合物を挙げることができるが、1個以上の一級アミノ
基を有するアルコキシシラン化合物とケトン化合物との
脱水縮合反応から形成されるシフ塩基で有れば、これら
に限定されない。
【0205】
【化17】
【0206】
【化18】
【0207】なお、上述の化合物の中で、より省銀化す
る目的のためには、分子内に1個以上の二級アミノ基を
有するシフ塩基がより好ましい。尚、これらのシフ塩基
は1種単独でも2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0208】省銀化剤として、アルコキシシラン化合物
あるいはその塩、またはシフ塩基を画像形成層中に添加
する場合は、銀1モルに対して通常0.00001〜
0.05モルの範囲で添加するのが好ましい。また、ア
ルコキシシラン化合物あるいはその塩と、シフ塩基の両
方を画像形成層に添加する場合も同様の範疇となる。
【0209】しかしながら、上述のアルコキシシラン化
合物またはシフ塩基の銀1モルに対する添加量が少しで
も多くなると、後述する画像形成方法で形成された未露
光部の画像濃度が高くなる場合がある。そこで、添加す
るアルコキシシラン化合物またはシフ塩基の銀1モルに
対する添加量の依存性を緩和する目的で、さらに、画像
形成層に分子内に2個以上のイソシアネート基を有する
イソシアネート化合物を添加するのが好ましい。イソシ
アネート化合物としては、後述する架橋剤として使用さ
れるイソシアネート化合物を用いることが出来る。
【0210】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料に好適なバインダーは、透明又は半透明で、一般に
無色であり、天然ポリマー合成樹脂やポリマー及びコポ
リマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば:ゼラ
チン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒド
ロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セル
ロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリド
ン)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ
(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ
(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン
酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ
(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)
類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニ
ルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタ
ン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポ
リ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ
(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ
(アミド)類がある。親水性でも非親水性でもよい。
【0211】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料の感光性層に好ましいバインダーはポリビニルアセ
タール類であり、特に好ましいバインダーはポリビニル
ブチラールである。詳しくは後述する。又、上塗り層や
下塗り層、特に保護層やバックコート層等の非感光性層
に対しては、より軟化温度の高いポリマーであるセルロ
ースエステル類、特にトリアセチルセルロース、セルロ
ースアセテートブチレート等のポリマーが好ましい。な
お、必要に応じて、上記のバインダーは2種以上を組み
合わせて用いうる。
【0212】このようなバインダーは、バインダーとし
て機能するのに効果的な範囲で用いられる。効果的な範
囲は当業者が容易に決定しうる。例えば、感光性層にお
いて少なくとも脂肪族カルボン酸銀塩を保持する場合の
指標としては、バインダーと脂肪族カルボン酸銀塩との
割合は15:1〜1:2、特に8:1〜1:1の範囲が
好ましい。即ち、感光性層のバインダー量が1.5〜6
g/m2であることが好ましい。更に好ましくは1.7
〜5g/m2である。1.5g/m2未満では未露光部の
濃度が大幅に上昇し、使用に耐えない場合がある。
【0213】請求項4に係る発明では、100℃以上の
温度で現像処理した後の熱転移点温度が、46℃以上、
200℃以下であることが特徴であり、より好ましく
は、70℃以上、105℃以下である。本発明でいう熱
転移点温度とは、VICAT軟化点又は環球法で示した
値であり、示差走査熱量計(DSC)、例えばEXST
AR 6000(セイコー電子社製)、DSC220C
(セイコー電子工業社製)、DSC−7(パーキンエル
マー社製)等を用いて、熱現像済みの感光性層を単離し
て測定した際の吸熱ピークをさす。一般的に高分子化合
物はガラス転移点Tgを有しているが、銀塩光熱写真ド
ライイメージング材料においては、感光性層に用いてい
るバインダー樹脂のTg値よりも低いところに、大きな
吸熱ピークが出現する。この熱転移点温度に着目し鋭意
検討を行った結果、この熱転移点温度を46℃以上、2
00℃以下にすることにより、形成された塗膜の堅牢性
が増すのみならず、感度、最大濃度、画像保存性など写
真性能が大幅に向上することを新たに見出し、本発明に
至った。
【0214】ガラス転移温度(Tg)は、ブランドラッ
プらによる“重合体ハンドブック”III−139頁からI
II−179頁(1966年、ワイリー アンド サン社
版)に記載の方法で求めたものであり、バインダーが共
重合体樹脂である場合のTgは下記の式で求められる。
【0215】Tg(共重合体)(℃)=v1Tg1+v2
Tg2+・・・+vnTgn 式中、v1、v2・・・vnは共重合体中の単量体の質量
分率を表し、Tg1、Tg2・・・Tgnは、共重合体中
の各単量体から得られる単一重合体のTg(℃)を表
す。上式に従って計算されたTgの精度は、±5℃であ
る。
【0216】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料において、支持体上に脂肪族カルボン酸銀塩、感光
性ハロゲン化銀粒子、還元剤等を含有する感光性層に含
有するバインダーとしては、従来公知の高分子化合物を
用いることができる。Tgが70〜105℃、数平均分
子量が1,000〜1,000,000、好ましくは1
0,000〜500,000、重合度が約50〜1,0
00程度のものである。このような例としては、塩化ビ
ニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、ア
クリル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アク
リロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、
スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、
ビニルアセタール、ビニルエーテル等のエチレン性不飽
和モノマーを構成単位として含む重合体または共重合体
よりなる化合物、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂が
ある。
【0217】また、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アル
キド樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、エ
ポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げら
れる。これらの樹脂については、朝倉書店発行の「プラ
スチックハンドブック」に詳細に記載されている。これ
らの高分子化合物に、特に制限はなく、誘導される重合
体のガラス転移温度(Tg)が70〜105℃の範囲に
あれば、単独重合体でも共重合体でもよい。
【0218】このようなエチレン性不飽和モノマーを構
成単位として含む重合体または共重合体としては、アク
リル酸アルキルエステル類、アクリル酸アリールエステ
ル類、メタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸
アリールエステル類、シアノアクリル酸アルキルエステ
ル類、シアノアクリル酸アリールエステル類などを挙げ
ることができ、それらのアルキル基、アリール基は置換
されていてもされていなくてもよく、具体的にはメチ
ル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチ
ル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、
アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ベンジル、クロロ
ベンジル、オクチル、ステアリル、スルホプロピル、N
−エチル−フェニルアミノエチル、2−(3−フェニル
プロピルオキシ)エチル、ジメチルアミノフェノキシエ
チル、フルフリル、テトラヒドロフルフリル、フェニ
ル、クレジル、ナフチル、2−ヒドロキシエチル、4−
ヒドロキシブチル、トリエチレングリコール、ジプロピ
レングリコール、2−メトキシエチル、3−メトキシブ
チル、2−アセトキシエチル、2−アセトアセトキシエ
チル、2−エトキシエチル、2−iso−プロポキシエ
チル、2−ブトキシエチル、2−(2−メトキシエトキ
シ)エチル、2−(2−エトキシエトキシ)エチル、2
−(2−ブトキシエトキシ)エチル、2−ジフェニルホ
スホリルエチル、ω−メトキシポリエチレングリコール
(付加モル数n=6)、アリル、ジメチルアミノエチル
メチルクロライド塩などを挙げることができる。
【0219】その他、下記のモノマー等が使用できる。
ビニルエステル類:その具体例としては、ビニルアセテ
ート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニ
ルイソブチレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロ
アセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルフェニ
ルアセテート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニルな
ど;N−置換アクリルアミド類、N−置換メタクリルア
ミド類及びアクリルアミド、メタクリルアミド:N−置
換基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、t
ert−ブチル、シクロヘキシル、ベンジル、ヒドロキ
シメチル、メトキシエチル、ジメチルアミノエチル、フ
ェニル、ジメチル、ジエチル、β−シアノエチル、N−
(2−アセトアセトキシエチル)、ジアセトンなど;オ
レフィン類:例えば、ジシクロペンタジエン、エチレ
ン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、イソプレン、クロロプレン、ブタ
ジエン、2,3−ジメチルブタジエン等;スチレン類:
例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチ
ルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、
tert−ブチルスチレン、クロルメチルスチレン、メ
トキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレ
ン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ビニル安息香
酸メチルエステルなど;ビニルエーテル類:例えば、メ
チルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシル
ビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、ジメ
チルアミノエチルビニルエーテルなど;N−置換マレイ
ミド類:N−置換基として、メチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、tert−ブチル、シクロヘキシル、ベン
ジル、n−ドデシル、フェニル、2−メチルフェニル、
2,6−ジエチルフェニル、2−クロルフェニルなどを
有するものなど;その他として、クロトン酸ブチル、ク
ロトン酸ヘキシル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジ
ブチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マ
レイン酸ジブチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチ
ル、フマル酸ジブチル、メチルビニルケトン、フェニル
ビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン、グリシジ
ルアクリレート、グリシジルメタクリレート、N−ビニ
ルオキサゾリドン、N−ビニルピロリドン、アクリロニ
トリル、メタアクリロニトリル、メチレンマロンニトリ
ル、塩化ビニリデンなどを挙げることができる。
【0220】これらのうち、特に好ましい例としては、
メタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸アリー
ルエステル類、スチレン類等が挙げられる。このような
高分子化合物のなかでも、アセタール基を持つ高分子化
合物を用いることが好ましい。アセタール基を持つ高分
子化合物では、生成する脂肪族カルボン酸との相溶性に
優れるため膜の柔軟化を防ぐ効果が大きく好ましい。
【0221】アセタール基を持つ高分子化合物として
は、下記一般式(V)で表される化合物が、特に好まし
い。
【0222】
【化19】
【0223】式中、R51はアルキル基、置換アルキル
基、アリール基または置換アリール基を表すが好ましく
はアリール基以外の基である。R52は無置換アルキル
基、置換アルキル基、無置換アリール基、置換アリール
基、−COR53または−CONHR53を表す。R53はR
51と同義である。
【0224】R51、R52、R53で表される無置換アルキ
ル基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、特に
好ましくは炭素数1〜6である。これらは直鎖であって
も分岐していてもよく、好ましくは直鎖のアルキル基が
好ましい。このような無置換アルキル基としては、例え
ば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n
−アミル基、t−アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘ
キシル基、n−ヘプシル基、n−オクチル基、t−オク
チル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デ
シル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基等が挙げ
られるが、特に好ましくはメチル基もしくはプロピル基
である。
【0225】無置換アリール基としては、炭素数6〜2
0のものが好ましく、例えばフェニル基、ナフチル基等
が挙げられる。上記のアルキル基、アリール基に置換可
能な基としては、アルキル基(例えば、メチル基、n−
プロピル基、t−アミル基、t−オクチル基、n−ノニ
ル基、ドデシル基等)、アリール基(例えば、フェニル
基等)、ニトロ基、水酸基、シアノ基、スルホ基、アル
コキシ基(例えば、メトキシ基等)、アリールオキシ基
(例えば、フェノキシ基等)、アシルオキシ基(例え
ば、アセトキシ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセ
チルアミノ基等)、スルホンアミド基(例えば、メタン
スルホンアミド基等)、スルファモイル基(例えば、メ
チルスルファモイル基等)、ハロゲン原子(例えば、フ
ッ素原子、塩素原子、臭素原子)、カルボキシ基、カル
バモイル基(例えば、メチルカルバモイル基等)、アル
コキシカルボニル基(例えば、メトキシルボニル基
等)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル基等)
などが挙げられる。この置換基が2つ以上あるときは、
同じでも異なっていてもよい。置換アルキル基の総炭素
数は、1〜20が好ましく、置換アリール基の総炭素数
は6〜20が好ましい。
【0226】R52としては、−COR53(R53はアルキ
ル基またはアリール基)、−CONHR53(R53はアリ
ール基)が好ましい。a、b、cは各繰り返し単位の質
量をモル(mol)%で示した値であり、aは40〜8
6モル%、bは0〜30モル%、cは0〜60モル%の
範囲で、a+b+c=100モル%となる数を表し、特
に好ましくは、aが50〜86モル%、bが5〜25モ
ル%、cが0〜40モル%の範囲である。a、b、cの
各組成比をもつ各繰り返し単位は、それぞれ同一のもの
のみで構成されていても、異なるもので構成されていて
もよい。
【0227】本発明で用いることのできるポリウレタン
樹脂としては、構造がポリエステルポリウレタン、ポリ
エーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリ
ウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステ
ルポリカーボネートポリウレタン、ポリカプロラクトン
ポリウレタンなど公知のものが使用できる。ここに示し
たすべてのポリウレタンについて、必要に応じ、−CO
OM、−SO3M、−OSO3M、−P=O(OM)2
−O−P=O(OM)2、(Mは水素原子、またはアル
カリ金属塩基を表す)、−N(R542、−N+(R54
3(R54は炭化水素基を表し、複数のR54は同じでも異
なっていてもよい)、エポキシ基、−SH、−CNなど
から選ばれる少なくともひとつ以上の極性基を共重合ま
たは付加反応で導入したものを用いることが好ましい。
このような極性基の量は10-1〜10-8モル/gであ
り、好ましくは10-2〜10-6モル/gである。これら
極性基以外に、ポリウレタン分子末端に少なくとも1個
ずつ、合計2個以上のOH基を有することが好ましい。
OH基は硬化剤であるポリイソシアネートと架橋して3
次元の網状構造を形成するので、分子中に多数含むほど
好ましい。特に、OH基が分子末端にある方が、硬化剤
との反応性が高いので好ましい。ポリウレタンは、分子
末端にOH基を3個以上有することが好ましく、4個以
上有することが特に好ましい。ポリウレタンを用いる場
合は、ガラス転移温度が70〜105℃、破断伸びが1
00〜2000%、破断応力は0.5〜100N/mm
2が好ましい。
【0228】本発明において、上記一般式(V)で表さ
れる高分子化合物は、「酢酸ビニル樹脂」桜田一郎編
(高分子化学刊行会、1962年)等に記載の一般的な
合成方法で合成することができる。
【0229】以下に、代表的な合成方法の例を挙げる
が、本発明はこれらの代表的な合成例に限定されるもの
ではない。
【0230】合成例1:P−1の合成 日本合成(株)製のポリビニルアルコール(ゴーセノー
ルGH18)20gと純水180gを仕込み、ポリビニ
ルアルコールが10質量%溶液になるように純水に分散
した後、これを95℃に昇温してポリビニルアルコール
を溶解した後、75℃まで冷却して、ポリビニルアルコ
ール水溶液を用意し、更にこのポリビニルアルコール水
溶液に、酸触媒として10質量%の塩酸を1.6g添加
し、これを滴下液Aとした。ついで、ブチルアルデヒ
ド、アセトアルデヒドのmol比4:6の混合物11.
5gを計量し、これを滴下液Bとした。冷却管と攪拌装
置を取り付けた1000mlの4ツ口フラスコに100
mlの純水を入れ、85℃に加温し強攪拌した。これに
滴下液Aと滴下液Bを75℃に保温した滴下ロートを用
いて、攪拌下で2時間を要して同時滴下した。この際、
攪拌速度に注意をして、析出する粒子の融着を防止しな
がら反応を行った。滴下終了後、酸触媒として10質量
%の塩酸を7g追加し、温度85℃で2時間攪拌を行
い、十分に反応を行った。その後、40℃まで冷却し、
重曹を用いて中和し、水洗を5回繰り返した後、濾別し
てポリマーを取り出し乾燥し、P−1を得た。得られた
P−1を、DSCを用いてTgを測定したところ、Tg
は83℃であった。
【0231】表1に記載のその他の高分子化合物(ポリ
マー)も同様に合成した。これらの高分子化合物をバイ
ンダーとして単独で用いてもよいし、2種類以上をブレ
ンドして用いてもよい。本発明の感光性銀塩含有層(好
ましくは感光性層)には上記ポリマーを主バインダーと
して用いる。ここで言う主バインダーとは「感光性銀塩
含有層の全バインダーの50質量%以上を上記ポリマー
が占めている状態」をいう。従って、全バインダーの5
0質量%未満の範囲で他のポリマーをブレンドして用い
てもよい。これらのポリマーとしては、本発明のポリマ
ーが可溶となる溶媒であれば、特に制限はない。より好
ましくはポリ酢酸ビニル、ポリアクリル樹脂、ウレタン
樹脂などが挙げられる。
【0232】以下に、本発明に好ましく用いられる高分
子化合物の構成を示す。なお、表中のTgは、セイコー
電子工業(株)製示差走査熱量計(DSC)により測定
した値である。
【0233】
【表1】
【0234】なお、表1中、P−9はソルーシア社製ポ
リビニルブチラール樹脂B−79である。
【0235】本発明においては、上記バインダーに対し
架橋剤を用いることにより膜付きがよくなり、現像ムラ
が少なくなることは知られているが、保存時のカブリ抑
制や、現像後のプリントアウト銀の生成を抑制する効果
もある。
【0236】本発明で用いられる架橋剤としては、従来
ハロゲン化銀写真感光材料用として使用されている種々
の架橋剤、例えば、特開昭50−96216号に記載さ
れているアルデヒド系、エポキシ系、エチレンイミン
系、ビニルスルホン系、スルホン酸エステル系、アクリ
ロイル系、カルボジイミド系、シラン化合物系架橋剤を
用いうるが、好ましいのは以下に示すイソシアネート系
化合物、シラン化合物、エポキシ化合物又は酸無水物で
ある。
【0237】好適なものの一つである下記一般式〔8〕
で表わされるイソシアネート系及びチオイソシアネート
系架橋剤について説明する。
【0238】一般式〔8〕 X2=C=N−L−(N=C=X2v 式中、vは1または2であり、Lはアルキル基、アルケ
ニル基、アリール基またはアルキルアリール基で、v+
1価の連結基であり、X2は酸素または硫黄原子であ
る。
【0239】なお、上記一般式〔8〕で表せる化合物に
おいて、アリール基のアリール環は置換基を有し得る。
好ましい置換基の例は、ハロゲン原子(例えば、臭素原
子または塩素原子)、ヒドロキシル基、アミノ基、カル
ボキシル基、アルキル基及びアルコキシ基から選択され
る。
【0240】上記イソシアネート系架橋剤は、イソシア
ネート基を少なくとも2個有しているイソシアネート類
及びその付加体(アダクト体)であり、更に、具体的に
は、脂肪族ジイソシアネート類、環状基を有する脂肪族
ジイソシアネート類、ベンゼンジイソシアネート類、ナ
フタレンジイソシアネート類、ビフェニルイソシアネー
ト類、ジフェニルメタンジイソシアネート類、トリフェ
ニルメタンジイソシアネート類、トリイソシアネート
類、テトライソシアネート類、これらのイソシアネート
類の付加体及びこれらのイソシアネート類と2価又は3
価のポリアルコール類との付加体が挙げられる。
【0241】具体例としては、特開昭56−5535号
の10頁から12頁に記載されているイソシアネート化
合物を利用することができる。
【0242】なお、イソシアネートとポリアルコールの
アダクト体は、特に層間接着を良くし、層の剥離や画像
のズレ及び気泡の発生を防止する能力が高い。かかるイ
ソシアネートは銀塩光熱写真ドライイメージング材料の
どの部分に置かれてもよい。例えば支持体中(特に支持
体が紙の場合、そのサイズ組成中に含ませることができ
る)、感光性層、表面保護層、中間層、アンチハレーシ
ョン層、下引き層等の支持体の感光性層側の任意の層に
添加でき、これらの層の中の1層又は2層以上に添加す
ることができる。
【0243】又、本発明において使用することが可能な
チオイソシアネート系架橋剤としては、上記のイソシア
ネート類に対応するチオイソシアネート構造を有する化
合物も有用である。
【0244】本発明において使用される上記架橋剤の量
は、銀1モルに対して0.001〜2モル、好ましくは
0.005から0.5モルの範囲である。
【0245】本発明において含有させることが出来るイ
ソシアネート化合物及びチオイソシアネート化合物は、
上記の架橋剤として機能する化合物であることが好まし
いが、上記の一般式においてvが零(0)、即ち当該官
能基を一つのみ有する化合物であっても良い結果が得ら
れる。
【0246】本発明において架橋剤として使用できるシ
ラン化合物の例としては、特願平2000−07790
4に記載されている一般式(1)又は一般式(2)で表
せる化合物が挙げられる。
【0247】これらの一般式において、R1、R2
3、R4、R5、R6、R7及びR8はそれぞれ置換されて
もよい直鎖、分枝又は環状の炭素数1〜30のアルキル
基(メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデ
シル基、シクロアルキル基等)、アルケニル基(プロペ
ニル基、ブテニル基、ノネニル基等)、アルキニル基
(アセチレン基、ビスアセチレン基、フェニルアセチレ
ン基等)、アリール基又はヘテロ環基(フェニル基、ナ
フチル基、テトラヒドロピラン基、ピリジル基、フリル
基、チオフェニル基、イミダゾール基、チアゾール基、
チアジアゾール基、オキサジアゾール基等)を表し、置
換基としては電子吸引性の置換基又は電子供与性の置換
基いずれをも有することができる。
【0248】R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及び
8から選ばれる置換基の少なくとも1つが耐拡散性基
又は吸着性基であることが好ましく、特にR2が耐拡散
性基又は吸着性基であることが好ましい。
【0249】なお、耐拡散性基は、バラスト基とも呼ば
れ炭素数が6以上の脂肪族基や炭素数が3以上のアルキ
ル基が導入されているアリール基等が好ましい。耐拡散
性は、バインダーや架橋剤の使用量によって異なるが、
耐拡散性の基を導入することにより、室温状態の分子内
の移動距離が抑制され経時での反応を抑制できる。
【0250】架橋剤として用いることができるエポキシ
化合物としては、エポキシ基を1個以上有するものであ
ればよく、エポキシ基の数、分子量、その他に制限はな
い。エポキシ基はエーテル結合やイミノ結合を介してグ
リシジル基として分子内に含有されることが好ましい。
またエポキシ化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマ
ー等のいずれであってもよく、分子内に存在するエポキ
シ基の数は通常1〜10個程度、好ましくは2〜4個で
ある。エポキシ化合物がポリマーである場合は、ホモポ
リマー、コポリマーのいずれであってもよく、その数平
均分子量Mnの特に好ましい範囲は2000〜2000
0程度である。
【0251】エポキシ化合物としては、下記一般式
〔9〕で表される化合物が好ましい。
【0252】
【化20】
【0253】一般式
〔9〕において、R90で表されるア
ルキレン基の置換基は、ハロゲン原子、水酸基、ヒドロ
キシアルキル基又はアミノ基から選ばれる基であること
が好ましい。またR90で表される連結基中にアミド連結
部分、エーテル連結部分、チオエーテル連結部分を有し
ていることが好ましい。X9で表される2価の連結基と
しては−SO2−、−SO2NH−、−S−、−O−、又
は−NR91−が好ましい。ここでR91は1価の基であ
り、電子吸引基であることが好ましい。
【0254】これらのエポキシ化合物は、1種のみを用
いても2種以上を併用してもよい。その添加量は特に制
限はないが、1×10-6〜1×10-2モル/m2の範囲
が好ましく、より好ましくは1×10-5〜1×10-3
ル/m2の範囲である。
【0255】エポキシ化合物は、感光性層、表面保護
層、中間層、アンチハレーション層、下引き層等の支持
体の感光性層側の任意の層に添加でき、これらの層の中
の1層又は2層以上に添加することができる。又、併せ
て支持体の感光性層と反対側の任意の層に添加すること
ができる。尚、両面に感光性層が存在するタイプの感材
ではいずれの層であってもよい。
【0256】酸無水物は下記の構造式で示される酸無水
物基を少なくとも1個有する化合物である。
【0257】−CO−O−CO− 酸無水物はこのような酸無水基を1個以上有するもので
あればよく、酸無水基の数、分子量、その他に制限はな
いが、一般式〔B〕で表される化合物が好ましい。
【0258】
【化21】
【0259】一般式〔B〕において、Zは単環又は多環
系を形成するのに必要な原子群を表す。これらの環系は
未置換であってもよく、置換されていてもよい。置換基
の例には、アルキル基(例えば、メチル、エチル、ヘキ
シル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、
オクチルオキシ)、アリール基(例えば、フェニル、ナ
フチル、トリル)、ヒドロキシル基、アリールオキシ基
(例えば、フェノキシ)、アルキルチオ基(例えば、メ
チルチオ、ブチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フ
ェニルチオ)、アシル基(例えば、アセチル、プロピオ
ニル、ブチリル)、スルホニル基(例えば、メチルスル
ホニル、フェニルスルホニル)、アシルアミノ基、スル
ホニルアミノ基、アシルオキシ基(例えば、アセトキ
シ、ベンゾキシ)、カルボキシル基、シアノ基、スルホ
基、及びアミノ基が含まれる。置換基としては、ハロゲ
ン原子を含まないものが好ましい。
【0260】これらの酸無水物は、1種のみを用いても
2種以上を併用してもよい。その添加量は特に制限はな
いが、1×10-6〜1×10-2モル/m2の範囲が好ま
しく、より好ましくは1×10-5〜1×10-3モル/m
2の範囲である。
【0261】本発明において酸無水物は、感光性層、表
面保護層、中間層、アンチハレーション層、下引き層等
の支持体の感光性層側の任意の層に添加でき、これらの
層の中の1層又は2層以上に添加することができる。
又、前記エポキシ化合物と同じ層に添加すしてもよい。
【0262】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料は、熱現像処理にて写真画像を形成するもので、還
元可能な銀源(脂肪族カルボン酸銀塩)、感光性ハロゲ
ン化銀粒子、還元剤及び必要に応じて銀の色調を調整す
る色調剤を通常(有機)バインダーマトリックス中に分
散した状態で含有していることが好ましい。
【0263】好適な色調剤の例は、RD17029号、
米国特許第4,123,282号、同第3,994,7
32号、同第3,846,136号及び同第4,02
1,249号に開示されている。特に好ましい色調剤と
してはフタラジノン又はフタラジンとフタル酸類、フタ
ル酸無水物類の組み合わせである。
【0264】なお、従来医療診断用の出力画像の色調に
関しては、冷調の画像調子の方が、レントゲン写真の判
読者にとって、より的確な記録画像の診断観察結果が得
やすいと言われている。ここで冷調な画像調子とは、純
黒調もしくは黒画像が青味を帯びた青黒調であり、温調
な画像調子とは、黒画像が褐色味を帯びた温黒調である
ことを言う。
【0265】色調に関しての用語「より冷調」及び「よ
り温調」は、最低濃度Dmin及び光学濃度D=1.0
における色相角habにより求められる。色相角habは国
際照明委員会(CIE)が1976年に推奨した知覚的
にほぼ均等な歩度を持つ色空間であるL***色空間
の色座標a*、b*を用いて次の式によって求める。
【0266】hab=tan-1(b*/a*) 請求項14に係る発明では、色相角habの範囲が180
度<hab<270度であることが特徴であり、更に好ま
しくは200度<hab<270度、最も好ましくは22
0度<hab<260度である。
【0267】本発明においては、銀塩光熱写真ドライイ
メージング材料の表面層に(感光性層側、又支持体をは
さみ感光性層の反対側に非感光性層を設けた場合に
も)、現像前の取り扱いや熱現像後の画像の傷つき防止
のためマット剤を含有することが好ましく、バインダー
に対し、質量比で0.1〜30%含有することが好まし
い。
【0268】マット剤の材質は、有機物及び無機物のい
ずれでもよい。例えば、無機物としては、スイス特許第
330,158号等に記載のシリカ、仏国特許第1,2
96,995号等に記載のガラス粉、英国特許第1,1
73,181号等に記載のアルカリ土類金属又はカドミ
ウム、亜鉛等の炭酸塩等をマット剤として用いることが
できる。有機物としては、米国特許第2,322,03
7号等に記載の澱粉、ベルギー特許第625,451号
や英国特許第981,198号等に記載された澱粉誘導
体、特公昭44−3643号等に記載のポリビニルアル
コール、スイス特許第330,158号等に記載のポリ
スチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,
079,257号等に記載のポリアクリロニトリル、米
国特許第3,022,169号等に記載されたポリカー
ボネートの様な有機マット剤を用いることができる。
【0269】マット剤は平均粒径が0.5〜10μmで
あることが好ましく、更に好ましくは1.0〜8.0μ
mである。又、粒子サイズ分布の変動係数としては、5
0%以下であることが好ましく、更に、好ましくは40
%以下であり、特に好ましくは30%以下となるマット
剤である。
【0270】ここで、粒子サイズ分布の変動係数は、下
記の式で表される値である。 (粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100 本発明に係るマット剤の添加方法は、予め塗布液中に分
散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布
した後、乾燥が終了する以前にマット剤を噴霧する方法
を用いてもよい。また複数の種類のマット剤を添加する
場合は、両方の方法を併用してもよい。
【0271】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料に用いる支持体の素材としては、各種高分子材料、
ガラス、ウール布、コットン布、紙、金属(例えば、ア
ルミニウム)等が挙げられるが、情報記録材料としての
取り扱い上は可撓性のあるシート又はロールに加工でき
るものが好適である。従って本発明の銀塩光熱写真ドラ
イイメージング材料における支持体としては、プラスチ
ックフィルム(例えばセルロースアセテートフィルム、
ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフ
ィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアミ
ドフィルム、ポリイミドフィルム、セルローストリアセ
テートフィルム又はポリカーボネートフィルム等)が好
ましく、本発明においては2軸延伸したポリエチレンテ
レフタレートフィルムが特に好ましい。支持体の厚みと
しては50〜300μm程度、好ましくは70〜180
μmである。
【0272】本発明においては帯電性を改良するため
に、金属酸化物及び/または導電性ポリマーなどの導電
性化合物を構成層中に含ませることができる。これらは
いずれの層に含有させてもよいが、好ましくは下引層、
バッキング層、感光性層と下引の間の層などに含まれ
る。本発明においては米国特許第5,244,773号
カラム14〜20に記載された導電性化合物が好ましく
用いられる。
【0273】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料は、支持体上に少なくとも1層の感光性層を有して
いる。支持体の上に感光性層のみを形成してもよいが、
感光性層の上に少なくとも一層の非感光性層を形成する
のが好ましい。例えば、感光性層の上には保護層が、感
光性層を保護する目的で、又支持体の反対の面には感光
材料間の、或いは感光材料ロールにおいてくっつきを防
止する為に、バックコート層が設けられるのが好まし
い。これらの保護層やバックコート層に用いるバインダ
ーとしては熱現像層よりもガラス転移点が高く、擦り傷
や、変形の生じにくいポリマー、例えばセルロースアセ
テート、セルロースアセテートブチレート等のポリマー
が、前記のバインダーのなかから選ばれる。なお、階調
調整等のために、請求項12に係る発明では、感光性層
が2層以上からなることが特徴であり、例えば、感光性
層を支持体の一方の側に2層以上設けても、あるいは支
持体の両側に1層以上設置してもよい。
【0274】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料においては、感光性層を透過する光の量または波長
分布を制御するために感光性層と同じ側または反対の側
にフィルター層を形成するか、感光性層に染料又は顔料
を含有させることが好ましい。
【0275】用いられる染料としては、感光材料の感色
性に応じて種々の波長領域の光を吸収する公知の化合物
が使用できる。
【0276】例えば、本発明の銀塩光熱写真ドライイメ
ージング材料を赤外光による画像記録材料とする場合に
は、特願平11−255557号に開示されているよう
なチオピリリウム核を有するスクアリリウム染料(本明
細書ではチオピリリウムスクアリリウム染料と呼ぶ)及
びピリリウム核を有するスクアリリウム染料(本明細書
ではピリリウムスクアリリウム染料と呼ぶ)、又スクア
リリウム染料に類似したチオピリリウムクロコニウム染
料、又はピリリウムクロコニウム染料を使用することが
好ましい。
【0277】尚、スクアリリウム核を有する化合物と
は、分子構造中に1−シクロブテン−2−ヒドロキシ−
4−オンを有する化合物であり、クロコニウム核を有す
る化合物とは分子構造中に1−シクロペンテン−2−ヒ
ドロキシ−4,5−ジオンを有する化合物である。ここ
で、ヒドロキシル基は解離していてもよい。以下本明細
書ではこれらの色素を便宜的に一括してスクアリリウム
染料とよぶ。
【0278】なお、染料としては特開平8−20195
9号の化合物も好ましい。本発明の銀塩光熱写真ドライ
イメージング材料は、上述した各構成層の素材を溶媒に
溶解又は分散させた塗布液を作り、それら塗布液を複数
同時に重層塗布した後、加熱処理を行って形成されるこ
とが好ましい。ここで「複数同時に重層塗布」とは、各
構成層(例えば感光性層、保護層)の塗布液を作製し、
これを支持体へ塗布する際に各層個別に塗布、乾燥の繰
り返しをするのではなく、同時に重層塗布を行い乾燥す
る工程も同時に行える状態で各構成層を形成しうること
を意味する。即ち、下層中の全溶剤の残存量が70質量
%以下となる前に、上層を設けることである。
【0279】各構成層を複数同時に重層塗布する方法に
は特に制限はなく、例えばバーコーター法、カーテンコ
ート法、浸漬法、エアーナイフ法、ホッパー塗布法、エ
クストリュージョン塗布法などの公知の方法を用いるこ
とができる。これらのうちより好ましくはエクストリュ
ージョン塗布法と呼ばれる前計量タイプの塗布方式であ
る。該エクストリュージョン塗布法はスライド塗布方式
のようにスライド面での揮発がないため、精密塗布、有
機溶剤塗布に適している。この塗布方法は感光性層を有
する側について述べたが、バックコート層を設ける際、
下引きとともに塗布する場合についても同様である。
【0280】請求項1に係る発明では、銀塗布量が、
0.5g/m2以上、1.5g/m2以下であることが特
徴であり、更には1.0g/m2以上、1.5g/m2
下が好ましい。また、請求項3、7に係る発明では、ハ
ロゲン化銀粒子乳剤において、粒径0.030μm以
上、0.055μm以下のハロゲン化銀粒子の銀換算含
有量が、銀塗布量が0.5g/m2以上1.5g/m2
下の範囲で、3%以上、15%以下であることが特徴で
ある。
【0281】当該塗布銀量の内、ハロゲン化銀に由来す
るものは全銀量に対して2〜18%を占めることが好ま
しい、更には3〜15%がより好ましい。
【0282】また本発明において、0.01μm以上
(球相当換算粒径)のハロゲン化銀粒子の塗布密度は1
×1014個/m2以上、1×1018個/m2以下が好まし
い。更には、1×1015個/m2以上、1×1017個/
2以下が好ましい。
【0283】更に本発明の脂肪族カルボン酸銀塩の塗布
密度は、0.01μm以上(球相当換算粒径)のハロゲ
ン化銀粒子1個当たり、10-17g以上、10-15g以
下、更には10-16g以上、10-14g以下が好ましい。
【0284】上記のような範囲内の条件において塗布し
た場合には、一定塗布銀量当たりの銀画像の光学的最高
濃度、即ち、銀被覆量(カバーリング・パワー)及び銀
画像の色調等の観点から好ましい結果が得られる。
【0285】本発明において、現像条件は使用する機
器、装置、或いは手段に依存して変化するが、典型的に
は適した高温において、像様に露光した銀塩光熱写真ド
ライイメージング材料を加熱することを伴う。露光後に
得られた潜像は、中程度の高温(例えば、約100〜2
00℃)で十分な時間(一般には約1秒〜約2分間)、
銀塩光熱写真ドライイメージング材料を加熱することに
より現像することができる。加熱温度が100℃以下で
は短時間に十分な画像濃度が得られず、又200℃以上
ではバインダーが溶融し、ローラーへの転写など、画像
そのものだけでなく搬送性や、現像機等へも悪影響を及
ぼす。加熱することで脂肪族カルボン酸銀塩(酸化剤と
して機能する)と還元剤との間の酸化還元反応により銀
画像を生成する。この反応過程は、外部からの水等の処
理液の一切の供給なしに進行する。
【0286】加熱する機器、装置、手段はホットプレー
ト、アイロン、ホットローラー、炭素又は白色チタン等
を用いた熱発生器として典型的な加熱手段で行ってよ
い。より好ましくは本発明の保護層の設けられた銀塩光
熱写真ドライイメージング材料は、保護層を有する側の
面を加熱手段と接触させ加熱処理するのが、均一な加熱
を行う上で、又熱効率、作業性の点などから好ましく、
該面をヒートローラに接触させながら搬送し加熱処理し
て現像することが好ましい。
【0287】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料の露光は、当該感光材料に付与した感色性に対し、
適切な光源を用いることが望ましい。例えば、当該感光
材料を赤外光に感じ得るものとした場合は、赤外光域な
らば如何なる光源にも適用可能であるが、レーザパワー
がハイパワーであることや、感光材料を透明にできる等
の点から、赤外半導体レーザ(780nm、820n
m)がより好ましく用いられる。
【0288】本発明において、露光はレーザ走査露光に
より行うことが好ましいが、その露光方法には種々の方
法が採用できる。例えば、第1の好ましい方法として、
感光材料の露光面と走査レーザ光のなす角が実質的に垂
直になることがないレーザ走査露光機を用いる方法が挙
げられる。
【0289】ここで、「実質的に垂直になることがな
い」とは、レーザ走査中に最も垂直に近い角度として、
好ましくは55度以上、88度以下、より好ましくは6
0度以上、86度以下、更に好ましくは65度以上、8
4度以下、最も好ましくは70度以上、82度以下であ
ることをいう。
【0290】レーザ光が、感光材料に走査されるときの
感光材料露光面でのビームスポット直径は、好ましくは
200μm以下、より好ましくは100μm以下であ
る。これは、スポット径が小さい方がレーザ入射角度の
垂直からのずらし角度を減らせる点で好ましい。なお、
ビームスポット直径の下限は10μmである。このよう
なレーザ走査露光を行うことにより干渉縞様のムラの発
生等のような反射光に係る画質劣化を減じることが出来
る。
【0291】また、第2の方法として、請求項13に係
る発明である、露光を縦マルチである走査レーザ光を発
するレーザ走査露光機を用いて行うことが好ましい。縦
単一モードの走査レーザ光に比べて干渉縞様のムラの発
生等の画質劣化が減少する。
【0292】縦マルチ化するには、合波による戻り光を
利用する、高周波重畳をかけるなどの方法がよい。な
お、縦マルチとは露光波長が単一でないことを意味し、
通常露光波長の分布が5nm以上、好ましくは10nm
以上になるとよい。露光波長の分布の上限には特に制限
はないが、通常60nm程度である。
【0293】なお、上述した第1、第2の態様の画像記
録方法において、走査露光に用いるレーザとしては、一
般によく知られている、ルビーレーザ、YAGレーザ、
ガラスレーザ等の固体レーザ;HeNeレーザ、Arイ
オンレーザ、Krイオンレーザ、CO2レーザ、COレ
ーザ、HeCdレーザ、N2レーザ、エキシマーレーザ
等の気体レーザ;InGaPレーザ、AlGaAsレー
ザ、GaAsPレーザ、InGaAsレーザ、InAs
Pレーザ、CdSnP2レーザ、GaSbレーザ等の半
導体レーザ;化学レーザ、色素レーザ等を用途に併せて
適時選択して使用できるが、これらの中でもメンテナン
スや光源の大きさの問題から、波長が600〜1200
nmの半導体レーザを用いるのが好ましい。なお、レー
ザ・イメージャやレーザ・イメージセッタで使用される
レーザにおいて、銀塩光熱写真ドライイメージング材料
に走査されるときの該材料露光面でのビームスポット径
は、一般に短軸径として5〜75μm、長軸径として5
〜100μmの範囲であり、レーザ光走査速度は銀塩光
熱写真ドライイメージング材料固有のレーザ発振波長に
おける感度とレーザパワーによって、感光材料毎に最適
な値に設定することができる。
【0294】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0295】実施例1 《支持体1の作製》濃度0.170に青色着色したポリ
エチレンテレフタレートフィルムベース(厚み175μ
m)の片方の面に、0.5kV・A・min/m2のコ
ロナ放電処理を施した後、その上に下記の下引塗布液A
を用いて下引層aを、乾燥膜厚が0.2μmになるよう
に塗設した。更に、もう一方の面に同様に0.5kV・
A・min/m2のコロナ放電処理を施した後、その上
に下記の下引塗布液Bを用い、下引層bを、乾燥膜厚が
0.1μmとなるように塗設した。その後、複数のロー
ル群からなるフィルム搬送装置を有する熱処理式オーブ
ンの中で、130℃にて15分熱処理を行って支持体1
を作製した。
【0296】(下引塗布液Aの調製)n−ブチルアクリ
レート30質量%、t−ブチルアクリレート20質量
%、スチレン25質量%及び2−ヒドロキシエチルアク
リレート25質量%の共重合体ラテックス液(固形分3
0%)270g、界面活性剤(UL−1)0.6g及び
メチルセルロース0.5gを混合した。更に、シリカ粒
子(サイロイド350、富士シリシア社製)1.3gを
水100gに添加し、超音波分散機(ALEXCorp
oration(株)製、Ultrasonic Ge
nerator、周波数25kHz、600W)にて3
0分間分散処理した分散液を加え、最後に水で1000
mlに仕上げて、下引塗布液Aとした。
【0297】(下引塗布液Bの調製)下記コロイド状酸
化スズ分散液37.5g、n−ブチルアクリレート20
質量%、t−ブチルアクリレート30質量%、スチレン
27質量%及び2−ヒドロキシエチルアクリレート28
質量%の共重合体ラテックス液(固形分30%)3.7
g、n−ブチルアクリレート40質量%、スチレン20
質量%、グリシジルメタクリレート40質量%の共重合
体ラテックス液(固形分30%)14.8gと0.1g
の界面活性剤UL−1とを混合し、水で1000mlに
仕上げて下引塗布液Bとした。
【0298】〈コロイド状酸化スズ分散液の調製〉塩化
第2スズ水和物65gを、水/エタノール混合溶液20
00mlに溶解して均一溶液を調製した。次いで、これ
を煮沸し、共沈殿物を得た。生成した沈殿物をデカンテ
ーションにより取り出し、蒸留水にて数回水洗した。沈
殿物を洗浄した蒸留水中に硝酸銀を滴下し、塩素イオン
の反応がないことを確認後、洗浄した沈殿物に蒸留水を
添加し、全量を2000mlとする。更に、30%アン
モニア水を40ml添加し、水溶液を加温して、容量が
470mlになるまで濃縮してコロイド状酸化スズ分散
液を調製した。
【0299】
【化22】
【0300】《バック面側塗布》メチルエチルケトン
(MEK)830gを攪拌しながら、セルロースアセテ
ートブチレート(Eastman Chemical
社、CAB381−20)84.2g及びポリエステル
樹脂(Bostic社、VitelPE2200B)
4.5gを添加し、溶解した。次いで、溶解した液に、
0.30gの赤外染料1を添加し、更にメタノール4
3.2gに溶解したF系活性剤(旭硝子社、サーフロン
KH40)4.5gとF系活性剤(大日本インク社、メ
ガファッグF120K)2.3gを添加して、溶解する
まで十分に攪拌を行った。最後に、メチルエチルケトン
に1質量%の濃度でディゾルバ型ホモジナイザにて分散
したシリカ(W.R.Grace社、シロイド64X6
000)を75g添加、攪拌しバック面側用の塗布液を
調製した。
【0301】
【化23】
【0302】このように調製したバック面塗布液を、前
記作製した支持体1の下引層a上に、乾燥膜厚が3.5
μmになるように押し出しコーターにて塗布、乾燥を行
った。乾燥温度100℃、露点温度10℃の乾燥風を用
いて5分間かけて乾燥した。
【0303】 《感光性ハロゲン化銀乳剤の調製》 〔感光性ハロゲン化銀乳剤1の調製〕 (溶液A1) フェニルカルバモイル化ゼラチン 88.3g 化合物A(*1)(10%メタノール水溶液) 10ml 臭化カリウム 0.32g 水で5429mlに仕上げる (溶液B1) 0.67mol/L硝酸銀水溶液 2635ml (溶液C1) 臭化カリウム 51.55g 沃化カリウム 1.47g 水で660mlに仕上げる (溶液D1) 臭化カリウム 154.9g 沃化カリウム 4.41g 塩化イリジウム(1%溶液) 0.93ml 水で1982mlに仕上げる (溶液E1) 0.4mol/L臭化カリウム水溶液 下記銀電位制御量 (溶液F1) 水酸化カリウム 0.71g 水で20mlに仕上げる (溶液G1) 56%酢酸水溶液 18.0ml (溶液H1) 無水炭酸ナトリウム 1.72g 水で151mlに仕上げる (*1)化合物A: HO(CH2CH2O)n(CH(CH3)CH2O)17(CH2CH2O)mH (m+n=5〜7) 特公昭58−58288号に記載の混合攪拌機を用い
て、溶液A1に、溶液B1の1/4量及び溶液C1の全
量を温度30℃、pAg8.09に制御しながら、同時
混合法により4分45秒を要して添加し、核形成を行っ
た。1分後、溶液F1の全量を添加した。この間pAg
の調整を、溶液E1を用いて適宜行った。6分間経過
後、溶液B1の3/4量及び溶液D1の全量を、温度3
0℃、pAg8.09に制御しながら、同時混合法によ
り14分15秒かけて添加した。5分間攪拌した後、4
0℃に降温し、溶液G1を全量添加し、ハロゲン化銀乳
剤を沈降させた。沈降部分2000mlを残して上澄み
液を取り除き、水を10L加え、攪拌後、再度ハロゲン
化銀乳剤を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、
上澄み液を取り除き、更に水を10L加え、攪拌後、ハ
ロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分1500mlを
残し、上澄み液を取り除いた後、溶液H1を加え、60
℃に昇温し、更に120分攪拌した。最後にpHが5.
8になるように調整し、銀量1モル当たり1161gに
なるように水を添加し、乳剤を得た。
【0304】この乳剤は平均粒子サイズ0.040μ
m、粒子サイズの変動係数12%、〔100〕面比率9
2%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった。
【0305】次に、上記乳剤に硫黄増感剤S−5(0.
5%メタノール溶液)240mlを加え、更にこの増感
剤の1/20モル相当の金増感剤Au−5を添加し、5
5℃にて120分間攪拌して化学増感を施した。これを
感光性ハロゲン化銀乳剤1とする。
【0306】
【化24】
【0307】〔感光性ハロゲン化銀乳剤2の調製〕上記
感光性ハロゲン化銀乳剤1の調製において、核生成後に
溶液F1の全量を添加した後に、4−ヒドロキシ−6−
メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデンの5%水
溶液を20ml添加した以外は同様にして感光性ハロゲ
ン化銀乳剤2を調製した。
【0308】なお、この乳剤は平均粒子サイズ0.04
2μm、粒子サイズの変動係数14%、〔100〕面比
率93%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった。
【0309】〔感光性ハロゲン化銀乳剤3の調製〕上記
感光性ハロゲン化銀乳剤1の調製において、核生成後に
溶液F1の全量を添加した後に、ベンズイミダゾールの
5%水溶液を20ml添加した以外は同様にして感光性
ハロゲン化銀乳剤3を調製した。
【0310】なお、この乳剤は平均粒子サイズ0.04
1μm、粒子サイズの変動係数13%、〔100〕面比
率91%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった。
【0311】〔感光性ハロゲン化銀乳剤4の調製〕上記
感光性ハロゲン化銀乳剤1の調製において、沃化カリウ
ムを全く使用しなかった以外は、同様にして、感光性ハ
ロゲン化銀乳剤4を調製した。
【0312】なお、この乳剤は平均粒子サイズ0.04
2μm、粒子サイズの変動係数14%、〔100〕面比
率93%の単分散立方体臭化銀粒子であった。
【0313】〔感光性ハロゲン化銀乳剤5の調製〕上記
感光性ハロゲン化銀乳剤4の調製において、核生成後に
溶液F1の全量を添加した後に、4−ヒドロキシ−6−
メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデンの5%
水溶液を20ml添加した以外は同様にして、感光性ハ
ロゲン化銀乳剤5を調製した。
【0314】なお、この乳剤は平均粒子サイズ0.04
3μm、粒子サイズの変動係数15%、〔100〕面比
率91%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった。
【0315】〔感光性ハロゲン化銀乳剤6の調製〕上記
感光性ハロゲン化銀乳剤4の調製において、核生成後に
溶液F1の全量を添加した後に、ベンズイミダゾールの
5%水溶液を20ml添加した以外は同様にして、感光
性ハロゲン化銀乳剤6を調製した。
【0316】なお、この乳剤は平均粒子サイズ0.04
3μm、粒子サイズの変動係数14%、〔100〕面比
率90%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった。
【0317】《感光性層塗布液の調製》 (粉末脂肪族カルボン酸銀塩Aの調製)4720mlの
純水に、ベヘン酸130.8g、アラキジン酸67.7
g、ステアリン酸43.6g及びパルミチン酸2.3g
を80℃で溶解した。次に1.5モル/Lの水酸化ナト
リウム水溶液540.2mlを添加し、濃硝酸6.9m
lを加えた後、55℃に冷却して脂肪酸ナトリウム溶液
を得た。該脂肪酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保っ
たまま、45.3gの上記の感光性ハロゲン化銀乳剤1
と純水450mlを添加し、5分間攪拌した。
【0318】次に、1モル/Lの硝酸銀溶液702.6
mlを2分間かけて添加し、10分間攪拌し、脂肪族カ
ルボン酸銀塩分散物を得た。その後、得られた脂肪族カ
ルボン酸銀塩分散物を水洗容器に移し、脱イオン水を加
えて攪拌後、静置させて脂肪族カルボン酸銀塩分散物を
浮上分離させ、下方の水溶性塩類を除去した。その後、
排水の電導度が50μS/cmになるまで脱イオン水に
よる水洗、排水を繰り返し、遠心脱水を実施した後、得
られたケーキ状の脂肪族カルボン酸銀塩を、気流式乾燥
機フラッシュジェットドライヤー(株式会社セイシン企
業製)を用いて、窒素ガス雰囲気及び乾燥機入り口熱風
温度の運転条件により、含水率が0.1%になるまで乾
燥して、粉末脂肪族カルボン酸銀塩Aを得た。脂肪族カ
ルボン酸銀塩組成物の含水率測定には赤外線水分計を使
用した。
【0319】(予備分散液Aの調製)ポリビニルブチラ
ール樹脂P−9 14.57gをメチルエチルケトン
(以下、MEKと略す)1457gに溶解し、VMA−
GETZMANN社製ディゾルバDISPERMAT
CA−40M型にて攪拌しながら、上記粉末脂肪族カル
ボン酸銀塩Aを500g、徐々に添加して十分に混合す
ることにより予備分散液Aを調製した。
【0320】(感光性乳剤分散液Aの調製)上記調製し
た予備分散液Aを、ポンプを用いてミル内滞留時間が
1.5分間となるように、0.5mm径のジルコニアビ
ーズ(東レ製トレセラム)を内容積の80%充填したメ
ディア型分散機DISPERMAT SL−C12EX
型(VMA−GETZMANN社製)に供給し、ミル周
速8m/sにて分散を行なうことにより感光性乳剤分散
液Aを調製した。
【0321】(安定剤液の調製)1.0gの安定剤1、
0.31gの酢酸カリウムをメタノール4.97gに溶
解し安定剤液を調製した。
【0322】(赤外増感色素液Aの調製)19.2mg
の赤外増感色素1、1.488gの2−クロロ−安息香
酸、2.779gの安定剤2及び365mgの5−メチ
ル−2−メルカプトベンズイミダゾールを、31.3m
lのMEKに暗所にて溶解し、赤外増感色素液Aを調製
した。
【0323】(添加液aの調製)現像剤としての1,1
−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)
−3,5,5−トリメチルヘキサン(現像剤1)を2
7.98gと1.54gの4−メチルフタル酸、0.4
8gの前記赤外染料1をMEK110gに溶解し、添加
液aとした。
【0324】(添加液bの調製)3.56gのカブリ防
止剤2、3.43gのフタラジンをMEK40.9gに
溶解し、添加液bとした。
【0325】(感光性層塗布液Aの調製)不活性気体雰
囲気下(窒素97%)において、前記感光性乳剤分散液
A(50g)及びMEK15.11gを攪拌しながら2
1℃に保温し、カブリ防止剤1(10%メタノール溶
液)390μlを加え、1時間攪拌した。更に臭化カル
シウム(10%メタノール溶液)494μlを添加して
20分攪拌した。続いて、前記安定剤液167mlを添
加して10分間攪拌した後、1.32gの前記赤外増感
色素液Aを添加して1時間攪拌した。その後、温度を1
3℃まで降温して更に30分攪拌した。13℃に保温し
たまま、バインダー樹脂としてポリビニルアセタール樹
脂P−1を13.31g添加して30分攪拌した後、テ
トラクロロフタル酸(9.4質量%MEK溶液)1.0
84gを添加して15分間攪拌した。更に攪拌を続けな
がら、12.43gの添加液a、1.6mlのDesm
odurN3300/モーベイ社製の脂肪族イソシアネ
ート(10%MEK溶液)、4.27gの添加液bを順
次添加し攪拌することにより感光性層塗布液Aを得た。
【0326】《表面保護層塗布液の調製》MEK(メチ
ルエチルケトン)865gを攪拌しながら、セルロース
アセテートブチレート(Eastman Chemic
al社、CAB171−15)を96g、ポリメチルメ
タクリル酸(ローム&ハース社、パラロイドA−21)
を4.5g、ビニルスルホン化合物(VSC)を1.5
g、ベンズトリアゾールを1.0g、F系活性剤(旭硝
子社、サーフロンKH40)を1.0g、添加し溶解し
た。次に下記マット剤分散液30gを添加して攪拌し、
表面保護層塗布液を調製した。
【0327】(マット剤分散液の調製)セルロースアセ
テートブチレート(Eastman Chemical
社、7.5gのCAB171−15)をMEK42.5
gに溶解し、その中に、炭酸カルシウム(Specia
lity Minerals社、Super−Pfle
x200)5gを添加し、ディゾルバ型ホモジナイザに
て8000rpmで30min分散し、マット剤分散液
を調製した。
【0328】
【化25】
【0329】《銀塩光熱写真ドライイメージング材料試
料の作製》上記調製した感光性層塗布液Aと表面保護層
塗布液とを、公知のエクストルージョン型コーターを用
いて、前記作製した支持体1の下引層b上に、同時に重
層塗布することにより試料101を作製した。塗布は、
感光性層が塗布銀量1.5g/m2、表面保護層が乾燥
膜厚で2.5μmになる様にして行った。その後、乾燥
温度75℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて、10分
間乾燥を行い、試料101を作製した。
【0330】次いで、感光性層塗布液A中の感光性ハロ
ゲン化銀乳剤の種類及び現像剤(添加液a中の比較現像
剤)を表2に記載したものに変更した以外は、試料10
1と同様にして、試料102〜112を作製した。ま
た、感光性層塗布液A中の感光性ハロゲン化銀乳剤とし
てハロゲン化銀乳剤2を用い、現像剤及びバインダーを
表3に記載したものに変更した以外は、試料101と同
様にして、試料113〜122を作製した 《各特性値の評価》 (露光及び現像処理)上記のように作製した各試料の感
光性層塗設面側から、高周波重畳にて波長800〜82
0nmの縦マルチモード化された半導体レーザを露光源
とした露光機により、レーザ走査による露光を与えた。
この際に、試料の露光面と露光レーザ光の角度を75度
として画像を形成した。この方法は、当該角度を90度
とした場合に比べ、ムラが少なく、かつ予想外に鮮鋭性
等が良好な画像が得られた。
【0331】その後、ヒートドラムを有する自動現像機
を用いて、試料の表面保護層とドラム表面が接触するよ
うにして、110℃で15秒熱現像処理した。その際、
露光及び現像は23℃、50%RHに調湿した部屋で行
った。
【0332】(感度、カブリ濃度及び最高濃度の測定)
上記のようにして得られた形成画像を濃度計を用いて濃
度測定を行い、横軸−露光量、縦軸−濃度からなる特性
曲線を作成した。特性曲線において、感度は未露光部分
よりも1.0高い濃度を与える露光量の逆数を感度と定
義し、最小濃度カブリ濃度(最小濃度)及び最高濃度を
測定した。なお、感度及び最高濃度は、試料101のそ
れぞれを100とする相対値で表した。
【0333】(熱転移点温度の測定)テフロン(R)板
の上に、前記と同一組成の各感光性層塗布液及び表面保
護層塗布液を、各々ワイヤーバーを用いて同一条件とな
るように塗布、乾燥させた後、最高濃度が得られる条件
で同様に露光、現像した後、テフロン(R)板より塗設
した構成層を剥離した。剥離した試料約10mgをアル
ミ製のパンに装填し、示差走査型熱量計(セイコー電子
社製、EXSTAR6000)を用い、JISK712
1に従って各試料の熱転移点温度を測定した。測定の際
の昇温条件としては、0〜200℃までは10℃/mi
nで昇温し、0℃までの冷却は20℃/minで行い、
この操作を2回繰り返して、各試料の熱転移点温度を求
めた。
【0334】(現像前保存性の評価)各試料を、下記に
示す2条件で10日間保存した後、それぞれの感度測定
と同一方法で露光、現像を行った後、得られた画像の感
度及び最小濃度の測定を行い、各試料の条件Aに対する
条件Bの最小濃度(Dmin)及び感度の各変化率を下
式より求め、現像前保存性の尺度とした。
【0335】条件A:25℃、55%RH 条件B:40℃、80%RH 変化率=条件Bにおける最小濃度又は感度/条件Aにお
ける最小濃度又は感度×100(%) (現像後の画像保存性の評価) 〈最小濃度(Dmin)変化率の測定〉上記感度測定と
同様の方法で作製した熱現像済みの各試料を、45℃、
55%RHの環境下で、市販の白色蛍光灯を試料表面に
おける照度が500luxとなるように配置し、3日間
連続照射を施した。蛍光灯照射済み試料の最小濃度(D
2)と蛍光灯未照射試料の最小濃度(D1)をそれぞれ測
定し、下式より最小濃度変化率(%)を算出した。
【0336】最小濃度変化率=D2/D1×100(%) 〈最高濃度(Dmax)変化率の測定〉上記最小濃度変
化率の測定と同様の方法で作製した熱現像済みの各試料
を、25℃及び45℃の環境下で3日間放置した後、各
々の最高濃度を測定し、下式より最高濃度変化率を測定
し、これを画像保存性の尺度とした。
【0337】最高濃度変化率=45℃保存試料の最高濃
度/25℃保存試料の最高濃度×100(%) (色相角の測定)色相角habは、現像処理済み試料の最
小濃度部及び光学濃度1.0の部分をCIEにより規定
された常用光源D65を測色用の光源として、2°視野
で分光測色計CM−508d(ミノルタ社製)を用いて
測定して求めた。
【0338】以上により得られた色相角を除く結果を、
表2及び表3に示す。
【0339】
【表2】
【0340】
【表3】
【0341】表2、表3より明らかなように、本発明の
銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、比較に比べ、
感度が同等以上でありながら、カブリ(最小濃度)が低
く、現像処理前保存性及び現像処理後の画像保存性に優
れていることが判る。また、表中には記載していない
が、本発明の試料は、全てがCIEで規定される色相角
の値も180°を越え、かつ270°未満であり、冷調
な画像調子を有し、診断画像として適切な出力画像が得
られることが確認された。
【0342】実施例2 以下に示す以外は実施例1と同様にして、銀塩光熱写真
ドライイメージング材料を作製した。
【0343】《粉末脂肪族カルボン酸銀塩の調製》 (粉末脂肪族カルボン酸銀塩Bの調製)4720mlの
純水にベヘン酸104.6g、アラキジン酸54.2
g、ステアリン酸34.9g、パルミチン酸1.8gを
80℃で溶解した。次に1.5モル/Lの水酸化ナトリ
ウム水溶液432.2mlを添加し、濃硝酸5.5ml
を加えた後、55℃に冷却して脂肪酸ナトリウム溶液を
得た。該脂肪酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保った
まま、36.2gの実施例1で調製した感光性ハロゲン
化銀乳剤2と純水450mlを添加し5分間攪拌した。
【0344】次に1モル/Lの硝酸銀溶液562.1m
lを2分間かけて添加し、10分間攪拌し脂肪族カルボ
ン酸銀塩分散物を得た。その他の工程は、実施例1に記
載の粉末脂肪族カルボン酸銀塩Aと同様にして、粉末脂
肪族カルボン酸銀塩Bを調製した。
【0345】(粉末脂肪族カルボン酸銀塩Cの調製)4
720mlの純水にベヘン酸130.8g、アラキジン
酸67.7g、ステアリン酸43.6g、パルミチン酸
2.3gを80℃で溶解した。次に1.5モル/Lの水
酸化ナトリウム水溶液540.2mlを添加し濃硝酸
6.9mlを加えた後、55℃に冷却して脂肪酸ナトリ
ウム溶液を得た。上記の脂肪酸ナトリウム溶液の温度を
55℃に保ったまま、t−ブチルアルコール347ml
を添加し20分間攪拌した後、45.3gの実施例1で
調製した感光性ハロゲン化銀乳剤2と純水450mlを
添加し5分間攪拌した。その他の工程は、実施例1に記
載の粉末脂肪族カルボン酸銀塩Aと同様にして、粉末脂
肪族カルボン酸銀塩Cを調製した。
【0346】(粉末脂肪族カルボン酸銀塩Dの調製)4
720mlの純水にベヘン酸130.8g、アラキジン
酸67.7g、ステアリン酸32.2g、パルミチン酸
2.3g、イソアラキジン酸17.0gを80℃で溶解
した。次に1.5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液5
40.2mlを添加し濃硝酸6.9mlを加えた後、5
5℃に冷却して脂肪酸ナトリウム溶液を得た。上記の脂
肪酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、4
5.3gの実施例1で調製した感光性ハロゲン化銀乳剤
2と純水450mlを添加し5分間攪拌した。その他の
工程は、実施例1に記載の粉末脂肪族カルボン酸銀塩A
と同様にして、粉末脂肪族カルボン酸銀塩Dを調製し
た。
【0347】(粉末脂肪族カルボン酸銀塩Eの調製)4
720mlの純水にベヘン酸130.8g、アラキジン
酸67.7g、ステアリン酸37.6g、パルミチン酸
2.3g、オレイン酸6.0gを80℃で溶解した。次
に1.5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液540.2
mlを添加し濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷
却して脂肪酸ナトリウム溶液を得た。上記の脂肪酸ナト
リウム溶液の温度を55℃に保ったまま、45.3gの
実施例1で調製した感光性ハロゲン化銀乳剤2と純水4
50mlを添加し5分間攪拌した。その他の工程は、実
施例1に記載の粉末脂肪族カルボン酸銀塩Aと同様にし
て、粉末脂肪族カルボン酸銀塩Eを調製した。
【0348】(粉末脂肪族カルボン酸銀塩Fの調製)4
720mlの純水にベヘン酸130.8g、アラキジン
酸67.7g、ステアリン酸43.6g、パルミチン酸
2.3g及びポリビニルアルコール1.5g(クラレ社
製PVA―205)を80℃で溶解した。次に1.5モ
ル/Lの水酸化ナトリウム水溶液540.2mlを添加
し濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して脂肪
酸ナトリウム溶液を得た。上記の脂肪酸ナトリウム溶液
の温度を55℃に保ったまま、45.3gの実施例1で
調製した感光性ハロゲン化銀乳剤2と純水450mlを
添加し5分間攪拌した。その他の工程は、実施例1に記
載の粉末脂肪族カルボン酸銀塩Aと同様にして、粉末脂
肪族カルボン酸銀塩Fを調製した。
【0349】《予備分散液B〜Fの調製》実施例1に記
載の予備分散液Aの調製において、粉末脂肪族カルボン
酸銀塩Aに代えて、粉末脂肪族カルボン酸銀塩B〜Fを
用いた以外は同様にして、予備分散液B〜Fを調製し
た。
【0350】《感光性乳剤分散液B〜Fの調製》実施例
1に記載の感光性乳剤分散液Aの調製において、予備分
散液Aに代えて、予備分散液B〜Fを用いた以外は同様
にして、感光性乳剤分散液B〜Fを調製した。
【0351】《感光性層塗布液B〜Fの調製》実施例1
に記載の感光性層塗布液Aにおいて、感光性乳剤分散液
Aに代えて、感光性乳剤分散液B〜Fを用いた以外は同
様にして、感光性層塗布液B〜Fを調製した。
【0352】《銀塩光熱写真ドライイメージング材料試
料201の作製》感光性層塗布液Aと実施例1に記載の
表面保護層塗布液を用いて、実施例1と同様にして試料
201を作製した。
【0353】次いで、上記試料201において、感光性
層塗布液中の現像剤(添加液a中の現像剤)及び感光性
乳剤分散液を表4に記載したものに変更した以外は同様
にして、試料202〜210を作製した。
【0354】なお、いずれの試料も感光性層塗布液中の
バインダー樹脂としてはP−1を使用して、感光性層の
熱転移温度を約55℃に調整した。
【0355】〈脂肪族カルボン酸銀塩の粒径と厚さの測
定〉分散後の脂肪族カルボン酸銀塩A〜Fを希釈して、
カーボン支持膜付きグリッド上に分散し、透過型電子顕
微鏡(日本電子製、2000FX型)を用いて直接倍率
5000倍で撮影し、スキャナーにてネガをデジタル画
像として取り込み、画像処理装置LUZEXIII(ニコ
レ社製)を用いて300個の粒径を測定し、平均粒径値
を求めた。
【0356】次に、厚さを求めるため、支持体上に塗布
された感光性層を接着剤によりホルダーに貼り付け、支
持体面と垂直な方向にダイヤモンドナイフを用いて厚さ
0.1〜0.2μmの超薄切片を作製した。超薄切片を
銅メッシュに支持させ、グロー放電により親水化された
カーボン膜上に移し、液体窒素により−130℃以下に
冷却しながら上記透過型電子顕微鏡を用いて、倍率5,
000〜40,000で明視野像を観察し、画像をフィ
ルムに記録した。この画像を画像処理装置LUZEXII
I(ニコレ社製)を用いて、300個の厚さを測定し、
この平均値を求めた。
【0357】《各特性値の評価》露光、現像処理及び各
種の評価は、実施例1に記載の方法と同様にして行い、
色相角を除く各結果を表4に示す。なお、感度及び最高
濃度は、試料201のそれぞれを100とした相対値で
表示した。
【0358】
【表4】
【0359】表4より明らかなように、本発明の銀塩光
熱写真ドライイメージング材料は、比較例に対し、高感
度でありながら、カブリが低く、現像処理前の保存性及
び現像処理後の画像保存性に優れていることが判る。ま
た、表中には記載していないが、本発明の試料は、全て
がCIEで規定される色相角の値も180°を越え、か
つ270°未満であり、冷調な画像調子を有し、診断画
像として適切な出力画像が得られることが確認された。
【0360】実施例3 《支持体2の作製》実施例1で作製した支持体1におい
て、前記下引塗布液Bに下記省銀化剤A及び省銀化剤B
を、それぞれ0.2g及び0.9gを追加した以外は、
実施例1に記載の方法と同様の方法にして、支持体2を
作製した。
【0361】
【化26】
【0362】《感光性ハロゲン化銀乳剤aの調製》実施
例1に記載の感光性ハロゲン化銀乳剤2の調製におい
て、「上記乳剤に硫黄増感剤S−5(0.5%メタノー
ル溶液)240mlを加え、更にこの増感剤の1/20
モル相当の金増感剤Au−5を添加し、55℃にて12
0分間攪拌して化学増感を施した」なる処理工程を除い
た以外は同様にして、感光性ハロゲン化銀乳剤aを調製
した。
【0363】《感光性乳剤分散液a及び感光性層塗布液
aの調製》実施例1に記載の感光性層塗布液Cにおい
て、感光性ハロゲン化銀乳剤2に代えて、上記感光性ハ
ロゲン化銀乳剤aを用いた以外同様にして、感光性乳剤
分散液a及び感光性層塗布液aを調製した。
【0364】《銀塩光熱写真ドライイメージング材料試
料301の作製》公知のエクストルージョン型コーター
を用いて、支持体1又は支持体2の下引層b面上に、感
光性層2層及び保護層1層の計3層を同時に重層塗布す
ることにより試料301を作製した。塗布は、感光性乳
剤分散液Cからなる感光性層(上層)の塗布銀量が0.
7g/m2、感光性乳剤分散液aからなる感光性層(下
層)の塗布銀量が0.3g/m2、表面保護層は乾燥膜
厚で2.5μmになる様にして行った。その後、乾燥温
度50℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて、10分間
乾燥を行い、試料301を作製した。
【0365】次いで、上記試料301の作製において、
感光性層塗布液中の現像剤(添加液a中の現像剤)を表
5に記載の内容に変更した以外は同様にして、試料30
2〜306を作製した。なお、いずれの試料も感光性層
塗布液中のバインダーとしてはP−1を使用して、感光
性層の熱転移温度は約55℃に調整した。
【0366】《各特性値の評価》露光、現像処理及び各
種の評価は、実施例1に記載の方法と同様にして行い、
色相角を除く結果を表5に示す。なお、感度及び最高濃
度は、試料301のそれぞれを100とした相対値で表
示した。
【0367】
【表5】
【0368】表5から明らかなように、本発明の銀塩光
熱写真ドライイメージング材料は、感光性層が2層から
なる系でも、比較例に対し、高感度でありながら、カブ
リが低く、現像処理前の保存性及び現像処理後の画像保
存性に優れていることが判る。また、表中には記載して
いないが、本発明の試料は、全てがCIEで規定される
色相角の値も180°を越え、かつ270°未満であ
り、冷調な画像調子を有し、診断画像として適切な出力
画像が得られることが確認された。
【0369】
【発明の効果】本発明によって高感度、低カブリで、か
つ生保存性、画像保存性に優れた銀塩光熱写真ドライイ
メージング材料とそれを用いた画像記録方法及び画像形
成方法を提供することができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宇佐川 泰 東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会 社内 Fターム(参考) 2H123 AB00 AB03 AB23 AB25 AB28 BA12 BB00 BB12 BB31 CA02 CB00 CB03

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子及び
    感光性ハロゲン化銀粒子を含有する感光性乳剤、銀イオ
    ン還元剤、バインダー及び架橋剤を含有する銀塩光熱写
    真ドライイメージング材料において、該銀イオン還元剤
    の少なくとも一種が下記一般式(A)で表されるビスフ
    ェノール誘導体であり、かつ銀塗布量が0.5g/m2
    以上、1.5g/m2以下であり、かつ該感光性ハロゲ
    ン化銀粒子がその内部にヘテロ環式化合物を含有してい
    ることを特徴とする銀塩光熱写真ドライイメージング材
    料。 【化1】 〔式中、Xはカルコゲン原子又はCHRを表し、Rは水
    素原子、ハロゲン原子、炭素数が7以下の脂肪族基また
    は6員環以下の環状基を表す。R′、R″は各々水素原
    子または置換基を表す。〕
  2. 【請求項2】 前記感光性ハロゲン化銀粒子が、沃臭化
    銀であることを特徴とする請求項1に記載の銀塩光熱写
    真ドライイメージング材料。
  3. 【請求項3】 前記感光性ハロゲン化銀粒子が粒径0.
    030μm以上で、かつ0.055μm以下のハロゲン
    化銀粒子の銀換算含有量が、前記銀塗布量の3%以上、
    15%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記
    載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
  4. 【請求項4】 非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子及び
    感光性ハロゲン化銀粒子を含有する感光性乳剤、銀イオ
    ン還元剤、バインダー、及び架橋剤を含有する銀塩光熱
    写真ドライイメージング材料において、該銀イオン還元
    剤の少なくとも一種が前記一般式(A)で表されるビス
    フェノール誘導体であり、かつ100℃以上の温度で現
    像処理した後の感光性層の熱転移点温度が、46℃以
    上、200℃以下であることを特徴とする銀塩光熱写真
    ドライイメージング材料。
  5. 【請求項5】 銀塗布量が0.5g/m2以上、1.5
    g/m2以下であり、かつ前記感光性ハロゲン化銀粒子
    が、その内部にヘテロ環式化合物を含有していることを
    特徴とする請求項4に記載の銀塩光熱写真ドライイメー
    ジング材料。
  6. 【請求項6】 前記感光性ハロゲン化銀粒子が、沃臭化
    銀であることを特徴とする請求項4又は5に記載の銀塩
    光熱写真ドライイメージング材料。
  7. 【請求項7】 前記感光性ハロゲン化銀粒子が粒径0.
    030μm以上で、かつ0.055μm以下のハロゲン
    化銀粒子の銀換算含有量が、前記銀塗布量の3%以上、
    15%以下であることを特徴とする請求項4〜6のいず
    れか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材
    料。
  8. 【請求項8】 前記非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子
    が、結晶成長抑制剤又は分散剤として機能する化合物の
    存在下で形成されたものであることを特徴とする請求項
    1〜7のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメ
    ージング材料。
  9. 【請求項9】 前記結晶成長抑制剤又は分散剤として機
    能する化合物が、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を
    有する有機化合物であることを特徴とする請求項8に記
    載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
  10. 【請求項10】 感光性層又は非感光性層が、省銀化剤
    を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1
    項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
  11. 【請求項11】 前記省銀化剤の少なくとも一種が、シ
    ラン化合物であることを特徴とする請求項10に記載の
    銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
  12. 【請求項12】 感光性層が2層以上からなることを特
    徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の銀塩光
    熱写真ドライイメージング材料。
  13. 【請求項13】 請求項1〜12のいずれか1項に記載
    の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に画像を記録す
    る画像記録方法において、露光を走査レーザ光が縦マル
    チであるレーザ光走査露光機により行うことを特徴とす
    る画像記録方法。
  14. 【請求項14】 請求項1〜12のいずれか1項に記載
    の銀塩光熱写真ドライイメージング材料の画像形成方法
    において、熱現像処理を施した後の該銀塩光熱写真ドラ
    イイメージング材料の色相角habが、180度<hab
    270度であることを特徴とする画像形成方法。
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US7153645B2 (en) 2003-08-08 2006-12-26 Konica Minolta Medical & Graphic, Inc. Silver salt photo-thermal photographic dry imaging material, an image recording method and an image forming method

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