JP2003315954A - 銀塩光熱写真ドライイメージング材料、画像記録方法及び画像形成方法 - Google Patents

銀塩光熱写真ドライイメージング材料、画像記録方法及び画像形成方法

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JP2003315954A
JP2003315954A JP2002119143A JP2002119143A JP2003315954A JP 2003315954 A JP2003315954 A JP 2003315954A JP 2002119143 A JP2002119143 A JP 2002119143A JP 2002119143 A JP2002119143 A JP 2002119143A JP 2003315954 A JP2003315954 A JP 2003315954A
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silver
silver salt
atom
imaging material
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JP2002119143A
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Akio Miura
紀生 三浦
Kiyoshi Fukusaka
潔 福坂
Kazuaki Nakamura
和明 中村
Ryohei Iwamoto
良平 岩本
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Konica Minolta Inc
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Konica Minolta Inc
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高感度、低カブリ、生保存性、熱現像後の銀
画像の安定性に優れ、ダイナミックレンジが広く、低銀
量でも最高濃度が高く、且つ、銀色調が良好である銀塩
光熱写真ドライイメージング材料、画像記録方法及び画
像形成方法を提供する。 【解決手段】 非感光性有機銀塩粒子、感光性ハロゲン
化銀粒子を含有する感光性乳剤、銀イオン還元剤、及び
バインダを含有する感光性層を支持体上に少なくとも一
層有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料におい
て、該銀イオン還元剤の少なくとも一種が下記一般式
(S)で表されることを特徴とする銀塩光熱写真ドライ
イメージング材料。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、銀塩光熱写真ドラ
イイメージング材料、画像記録方法及び画像形成方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、医療や印刷製版の分野では、画像
形成材料の湿式処理に伴う廃液が作業性の上で問題とな
っており、近年では環境保全、省スペースの観点からも
処理廃液の減量が強く望まれている。
【0003】その為レーザ・イメージャーやレーザ・イ
メージセッターのような効率的な露光が可能で、高解像
度で鮮明な黒色画像を形成することができる写真技術用
途の光熱写真材料に関する技術が必要とされてきてい
る。
【0004】かかる技術として、例えばD.モーガン
(Morgan)とB.シェリー(Shely)による
米国特許第3,152,904号、同第3,487,0
75号またはD.H.クロスタベール(Kloster
boer)による「ドライシルバー写真材料(Dry
Silver Photographic Mater
ials)」(Handbook of Imagin
g Materials,Marcel Dekke
r,Inc.第48頁、1991)等に記載されている
ように、支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化銀及び
還元剤を含有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料
(単に感光材料ともいう)が知られている。
【0005】この銀塩光熱写真ドライイメージング材料
では、溶液系処理薬品を一切使用しないため、より簡便
で環境を損なわないシステムをユーザーに提供すること
ができる。
【0006】ところで、これらの銀塩光熱写真ドライイ
メージング材料は、感光層中に設置された感光性ハロゲ
ン化銀粒子を光センサーとし、有機銀塩を銀イオンの供
給源とし、内蔵された還元剤によって通常、80℃〜1
40℃で熱現像することで画像を形成させ、定着を行わ
ないことが特徴である。
【0007】しかしながら、銀塩光熱写真ドライイメー
ジング材料においては、有機銀塩、感光性ハロゲン化銀
粒子及び還元剤を含有するため、熱現像前の保存期間に
カブリが生じ易い。また露光後、通常、80℃〜250
℃で熱現像するだけで定着を行わないため、熱現像後に
おいても、ハロゲン化銀、有機銀塩及び還元剤等が全部
または一部残留併存するため、長期間の保存において、
熱や光により金属銀が生じ、銀画像の色調等の画質が変
化し易いという問題がある。
【0008】これらの問題を解決するための技術が、特
開平6−208192号、同8−267934号、米国
特許第5,714,311号、欧州特許1096310
号及びこれらの特許文献に引用されている文献等におい
て開示されているが、これらの開示技術はある程度の効
果を有するものの、市場において要求されるレベルを満
たすための技術としてはまだ充分なものではない。
【0009】また一方で、銀塩光熱写真ドライイメージ
ング材料のいわば永遠のテーマとして、更なる高画質化
が要望されている。特に、医療用画像の分野では、一層
正確な診断を可能にする高画質化が要望されている。特
に、さまざまな診断ニーズに適合できるダイナミックレ
ンジが広い材料が必要とされてきた。
【0010】更に、材料の低コスト化や生産性向上のた
めに塗布銀量の削減が要望されている。ただし単なる銀
量の削減は画像濃度の低下を招き好ましくない。低銀量
で画像濃度を低下させないためには単位面積当たりの現
像点数を増やしカバーリングパワーを増大させることが
有効である。従来から印刷用の感光材料では造核剤によ
る「伝染現像」を利用してカバーリングパワーを増大さ
せ、低銀量で高い画像濃度を得る技術が確立されている
(特表平10−512061号、および特表平11−5
11571号等に記載)。
【0011】しかし、従来公知の造核剤および従来公知
の銀イオン還元剤を用いた感光材料は保存性が悪く、ま
た画像銀の色調が黄色みを帯びるため、診断性の劣化を
引き起こし好ましくないという欠点を有していた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高感
度、低カブリでありながら、生保存性に優れ、さらに熱
現像後における銀画像の安定性に優れ、ダイナミックレ
ンジが広く、低銀量でも最高濃度が高く、かつ銀色調が
良好である銀塩光熱写真ドライイメージング材料、該イ
メージング材料を用いる画像記録方法及び画像形成方法
を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記の構成1〜12により達成された。
【0014】1.非感光性有機銀塩粒子、感光性ハロゲ
ン化銀粒子を含有する感光性乳剤、銀イオン還元剤、及
びバインダを含有する感光性層を支持体上に少なくとも
一層有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料におい
て、該銀イオン還元剤の少なくとも一種が前記一般式
(S)で表されることを特徴とする銀塩光熱写真ドライ
イメージング材料。
【0015】2.前記一般式(S)で表される化合物
が、前記一般式(T)で表されることを特徴とする前記
1に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0016】3.銀塗布量が、0.5g/m2〜1.5
g/m2であることを特徴とする前記1または2に記載
の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0017】4.100℃以上の温度で現像処理した後
の感光性層の熱転移点温度が、46℃〜200℃である
ことを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の銀
塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0018】5.バインダのTg(ガラス転移温度)
が、70℃〜105℃であることを特徴とする前記1〜
4のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージ
ング材料。
【0019】6.非感光性有機銀塩粒子が、該非感光性
有機銀塩粒子に対する結晶成長抑制剤または分散剤とし
て機能する化合物の存在下において調製されたことを特
徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の銀塩光熱写
真ドライイメージング材料。
【0020】7.結晶成長抑制剤または分散剤として機
能する化合物が、ヒドロキシル基またはカルボキシル基
を有する有機化合物であることを特徴とする前記6に記
載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0021】8.感光性層または非感光性層が、省銀化
剤を含有することを特徴とする前記1〜7のいずれか1
項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0022】9.省銀化剤が、前記一般式(X)で表さ
れることを特徴とする前記1〜8のいずれか1項に記載
の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0023】10.感光性層を2層以上有することを特
徴とする前記1〜9のいずれか1項に記載の銀塩光熱写
真ドライイメージング材料。
【0024】11.前記1〜10のいずれか1項に記載
の銀塩光熱写真ドライイメージング材料への画像記録時
の走査レーザー光が縦マルチである、レーザー光走査露
光機を用いて露光を行うことを特徴とする画像記録方
法。
【0025】12.前記1〜10のいずれか1項に記載
の銀塩光熱写真ドライイメージング材料を熱現像した後
の当該感光材料の色相角habが、180°を超え27
0°未満であることを特徴とする画像形成方法。
【0026】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
銀塩光熱写真ドライイメージング材料(単に本発明の感
光材料ともいう)に用いられる感光性ハロゲン化銀粒子
(単にハロゲン化銀粒子ともいう)について説明する。
なお、本発明における感光性ハロゲン化銀粒子とは、ハ
ロゲン化銀結晶の固有の性質として本来的に光吸収する
ことができ、または人為的に物理化学的な方法により可
視光ないし赤外光を吸収することができ、且つ紫外光領
域から赤外光領域の光波長範囲内のいずれかの領域の光
を吸収したときに、当該ハロゲン化銀結晶内及び/また
は結晶表面において、物理化学的変化が起こり得るよう
に処理製造されたハロゲン化銀結晶粒子をいう。
【0027】(感光性ハロゲン化銀粒子)本発明に係る
感光性ハロゲン化銀粒子自体は、P.Glafkide
s著Chimie et Physique Phot
ographique(PaulMontel社刊、1
967年)、G.F.Duffin著 Photogr
aphic Emulsion Chemistry
(The Focal Press刊、1966年)、
V.L.Zelikman et al著Making
and Coating Photographic
Emulsion(The Focal Press
刊、1964年)等に記載された方法を用いてハロゲン
化銀粒子乳剤として調製することができる。即ち、酸性
法、中性法、アンモニア法等のいずれでもよく、また、
可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形成として
は、片側混合法、同時混合法、それらの組合せ等のいず
れを用いてもよいが、上記方法の中でも形成条件をコン
トロールしつつハロゲン化銀粒子を調製する、所謂コン
トロールドダブルジェット法が好ましい。ハロゲン組成
としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化
銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよ
い。
【0028】粒子形成は通常、ハロゲン化銀種粒子
(核)生成と粒子成長の2段階に分けられ、一度にこれ
らを連続的に行う方法でもよく、又核(種粒子)形成と
粒子成長を分離して行う方法でもよい。粒子形成条件あ
るpAg、pH等をコントロールして粒子形成を行うコ
ントロールドダブルジェット法が粒子形状やサイズのコ
ントロールが出来るので好ましい。例えば、核生成と粒
子成長を分離して行う方法を行う場合には、先ず可溶性
銀塩と可溶性ハロゲン塩をゼラチン水溶液中で均一、急
速に混合させ核(種粒子)生成(核生成工程)した後、
コントロールされたpAg、pH等のもとで、可溶性銀
塩と可溶性ハロゲン塩を供給しつつ、粒子成長させる粒
子成長工程によりハロゲン化銀粒子を調製する。粒子形
成後、脱塩工程により不要な塩類等をヌードル法、フロ
キュレーション法、限外濾過法、電気透析法等の公知の
脱塩法により除く事で所望のハロゲン化銀乳剤を得るこ
とが出来る。
【0029】本発明に係る感光性ハロゲン化銀粒子は、
画像形成後の白濁や色調(黄色味)を低く抑えるため、
及び良好な画質を得るために平均粒径が小さい方が好ま
しく、平均粒径は0.02μm未満の粒子を計測の対象
外としたときの値として、0.035μm以上、0.0
55μm以下が好ましい。なおここでいう粒径とは、ハ
ロゲン化銀粒子が立方体或いは八面体のいわゆる正常晶
である場合には、ハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。
また、ハロゲン化銀粒子が平板状粒子である場合には、
主表面の投影面積と同面積の円像に換算したときの直径
をいう。
【0030】本発明において、ハロゲン化銀粒子は単分
散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記
式で求められる粒径の変動係数が30%以下をいう。好
ましくは20%以下であり、更に好ましくは15%以下
である。
【0031】粒径の変動係数%=粒径の標準偏差/粒径
の平均値×100ハロゲン化銀粒子の形状としては立方
体、八面体、14面体粒子、平板状粒子、球状粒子、棒
状粒子、ジャガイモ状粒子などを挙げることができる
が、これらの内、特に立方体、八面体、14面体、平板
状ハロゲン化銀粒子が好ましい。
【0032】平板状ハロゲン化銀粒子を用いる場合の平
均アスペクト比は、好ましくは1.5以上、100以
下、より好ましくは2以上、50以下がよい。これらは
米国特許第5,264,337号、同第5,314,7
98号、同第5,320,958号等に記載されてお
り、容易に目的の平板状粒子を得ることができる。更
に、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ま
しく用いることができる。
【0033】ハロゲン化銀粒子外表面の晶癖については
特に制限はないが、ハロゲン化銀粒子表面への銀増感色
素の吸着反応において、晶癖(面)選択性を有する分光
増感色素を使用する場合には、その選択性に適応する晶
癖を相対的に高い割合で有するハロゲン化銀粒子を使用
することが好ましい。例えば、ミラー指数〔100〕の
結晶面に選択的に吸着する増感色素を使用する場合に
は、ハロゲン化銀粒子外表面において〔100〕面の占
める割合が高いことが好ましく、この割合が50%以
上、更には70%以上、特に80%以上であることが好
ましい。なお、ミラー指数〔100〕面の比率は、増感
色素の吸着における〔111〕面と〔100〕面との吸
着依存性を利用したT.Tani,J.Imaging
Sci.,29,165(1985年)により求める
ことができる。
【0034】本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、
該粒子形成時に平均分子量5万以下の低分子量ゼラチン
を用いて調製することが好ましいが、特にハロゲン化銀
粒子の核形成時に用いることが好ましい。低分子量ゼラ
チンは、平均分子量5万以下のものであり、好ましくは
2000〜40000、更には5000〜25000で
ある。ゼラチンの平均分子量はゲル濾過クロマトグラフ
ィーで測定することができる。低分子量ゼラチンは、通
常用いられる平均分子量10万程度のゼラチン水溶液に
ゼラチン分解酵素を加えて酵素分解したり、酸またはア
ルカリを加えて加熱し加水分解したり、大気圧下または
加圧下での加熱により熱分解したり、超音波照射して分
解したり、それらの方法を併用したりして得ることがで
きる。
【0035】核形成時の分散媒の濃度は5質量%以下が
好ましく、0.05〜3.0質量%の低濃度で行うのが
より有効である。
【0036】本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、
該粒子形成時に下記の一般式で示されるポリエチレンオ
キシド化合物を用いることが好ましい。
【0037】一般式 YO(CH2CH2O)m(CH(CH3)CH2O)p(C
2CH2O)nY 式中、Yは水素原子、−SO3M、または−CO−B−
COOMを表し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、ア
ンモニウム基または炭素原子数5以下のアルキル基にて
置換されたアンモニウム基を、Bは有機2塩基性酸を形
成する鎖状または環状の基を表す。m及びnは各々0〜
50をpは1〜100を表す。
【0038】上記の一般式で表されるポリエチレンオキ
シド化合物は、ハロゲン化銀写真感光材料を製造するに
際し、ゼラチン水溶液を製造する工程、ゼラチン溶液に
水溶性ハロゲン化物及び水溶性銀塩を添加する工程、乳
剤を支持体上に塗布する工程等、乳剤原料を撹拌した
り、移動したりする場合の著しい発泡に対する消泡剤と
して好ましく用いられてきたものであり、消泡剤として
用いる技術は、例えば特開昭44−9497号に記載さ
れている。上記一般式で表されるポリエチレンオキシド
化合物は核形成時の消泡剤としても機能する。
【0039】上記一般式で表されるポリエチレンオキシ
ド化合物は、銀に対して1質量%以下で用いるのが好ま
しく、より好ましくは0.01質量%〜0.1質量%で
用いる。
【0040】上記一般式で表されるポリエチレンオキシ
ド化合物は核形成時に存在していればよく、核形成前の
分散媒中に予め加えておくのが好ましいが、核形成中に
添加してもよいし、核形成時に使用する銀塩水溶液やハ
ライド水溶液に添加して用いてもよい。好ましくはハラ
イド水溶液若しくは両方の水溶液に0.01質量%〜
2.0質量%で添加して用いることである。又、核形成
工程の少なくとも50%に亘る時間で存在せしめるのが
好ましく、更に好ましくは70%以上に亘る時間で存在
せしめる。上記一般式で表されるポリエチレンオキシド
化合物は粉末で添加しても、メタノール等の溶媒に溶か
して添加してもよい。
【0041】なお、核形成時の温度は5℃〜60℃、好
ましくは15℃〜50℃であり、一定の温度であって
も、昇温パターン(例えば、核形成開始時の温度が25
℃で、核形成中徐々に温度を挙げ、核形成終了時の温度
が40℃の様な場合)やその逆のパターンであっても前
記温度範囲内で制御するのが好ましい。
【0042】核形成に用いる銀塩水溶液及びハライド水
溶液の濃度は3.5モル/リットル以下が好ましく、更
には0.01モル/リットル〜2.5モル/リットルの
低濃度域で使用されるのが好ましい。核形成時の銀イオ
ンの添加速度は、反応液1L当たり1.5×10-3
3.0×10-1モル/分が好ましく、更に好ましくは
3.0×10-3〜8.0×10-2モル/分である。
【0043】核形成時のpHは1.7〜10の範囲に設
定できるが、アルカリ側のpHでは形成する核の粒径分
布を広げるため好ましくはpH2〜6である。又、核形
成時のpBrは0.05〜3.0程度、好ましくは1.
0〜2.5、更には1.5〜2.0がより好ましい。
【0044】本発明に係るハロゲン化銀粒子はいかなる
方法で感光性層(単に感光層ともいう)に添加されても
よく、このときハロゲン化銀粒子は還元可能な銀源(脂
肪族カルボン酸銀塩)に近接するように配置するのが好
ましい。
【0045】本発明に係るハロゲン化銀は予め調製して
おき、これを脂肪族カルボン酸銀塩粒子を調製するため
の溶液に添加するのが、ハロゲン化銀調製工程と脂肪族
カルボン酸銀塩粒子調製工程を分離して扱えるので製造
コントロール上も好ましいが、英国特許第1,447,
454号に記載されている様に、脂肪族カルボン酸銀塩
粒子を調製する際にハライドイオン等のハロゲン成分を
脂肪族カルボン酸銀塩形成成分と共存させ、これに銀イ
オンを注入する事で脂肪族カルボン酸銀塩粒子の生成と
ほぼ同時に生成させることも出来る。又、脂肪族カルボ
ン酸銀塩にハロゲン含有化合物を作用させ、脂肪族カル
ボン酸銀塩のコンバージョンによりハロゲン化銀粒子を
調製することも可能である。即ち、予め調製された脂肪
族カルボン酸銀塩の溶液もしくは分散液、または脂肪族
カルボン酸銀塩を含むシート材料にハロゲン化銀形成成
分を作用させて、脂肪族カルボン酸銀塩の一部を感光性
ハロゲン化銀に変換することもできる。
【0046】ハロゲン化銀粒子形成成分としては、無機
ハロゲン化合物、オニウムハライド類、ハロゲン化炭化
水素類、N−ハロゲン化合物、その他の含ハロゲン化合
物があり、その具体例については米国特許第4,00
9,039号、同第3,457,075号、同第4,0
03,749号、英国特許第1,498,956号及び
特開昭53−27027号、同53−25420号に詳
説される金属ハロゲン化物、ハロゲン化アンモニウム等
の無機ハロゲン化物、例えばトリメチルフェニルアンモ
ニウムブロマイド、セチルエチルジメチルアンモニウム
ブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムブロマイ
ドの様なオニウムハライド類、例えばヨードフォルム、
ブロモフォルム、四塩化炭素、2−ブロム−2−メチル
プロパン等のハロゲン化炭化水素類、N−ブロム琥珀酸
イミド、N−ブロムフタルイミド、N−ブロムアセトア
ミド等のN−ハロゲン化合物、その他、例えば塩化トリ
フェニルメチル、臭化トリフェニルメチル、2−ブロム
酢酸、2−ブロムエタノール、ジクロロベンゾフェノン
等がある。この様にハロゲン化銀を有機酸銀とハロゲン
イオンとの反応により有機酸銀塩中の銀の一部または全
部をハロゲン化銀に変換することによって調製する事も
できる。また、別途調製したハロゲン化銀に脂肪族カル
ボン酸銀塩の一部をコンバージョンすることで製造した
ハロゲン化銀粒子を併用してもよい。
【0047】これらのハロゲン化銀粒子は、別途調製し
たハロゲン化銀粒子、脂肪族カルボン酸銀塩のコンバー
ジョンによるハロゲン化銀粒子とも、脂肪族カルボン酸
銀塩1モルに対し0.001モル乃至0.7モル、好ま
しくは0.03モル乃至0.5モル使用するのが好まし
い。
【0048】本発明に係るハロゲン化銀粒子には、周期
表の6族から11族に属する遷移金属のイオンを含有す
ることが好ましい。上記の金属としては、W、Fe、C
o、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、I
r、Pt、Auが好ましい。これらは1種類でも同種或
いは異種の金属錯体を2種以上併用してもよい。
【0049】これらの金属イオンは金属塩をそのままハ
ロゲン化銀に導入してもよいが、金属錯体または錯体イ
オンの形でハロゲン化銀に導入できる。好ましい含有率
は銀1モルに対し1×10-9モルから、1×10-2モル
の範囲が好ましく、1×10 -8〜1×10-4の範囲がよ
り好ましい。本発明においては、遷移金属錯体または錯
体イオンは下記一般式で表されるものが好ましい。
【0050】一般式 〔ML6m式中、Mは周期表の6
〜11族の元素から選ばれる遷移金属、Lは配位子、m
は0、−、2−、3−または4−を表す。Lで表される
配位子の具体例としては、ハロゲン化物(弗化物、塩化
物、臭化物及び沃化物)、シアン化物、シアナート、チ
オシアナート、セレノシアナート、テルロシアナート、
アジド及びアコの各配位子、ニトロシル、チオニトロシ
ル等が挙げられ、好ましくはアコ、ニトロシル及びチオ
ニトロシル等である。アコ配位子が存在する場合には、
配位子の一つまたは二つを占めることが好ましい。Lは
同一でもよく、また異なっていてもよい。
【0051】これらの金属のイオンまたは錯体イオンを
提供する化合物は、ハロゲン化銀粒子形成時に添加し、
ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましく、ハ
ロゲン化銀粒子の調製、つまり核形成、成長、物理熟
成、化学増感の前後のどの段階で添加してもよいが、特
に核形成、成長、物理熟成の段階で添加するのが好まし
く、更には核形成、成長の段階で添加するのが好まし
く、最も好ましくは核形成の段階で添加する。添加に際
しては、数回に渡って分割して添加してもよく、ハロゲ
ン化銀粒子中に均一に含有させることもできるし、特開
昭63−29603号、特開平2−306236号、同
3−167545号、同4−76534号、同6−11
0146号、同5−273683号等に記載されている
様に粒子内に分布を持たせて含有させることもできる。
【0052】これらの金属化合物は、水或いは適当な有
機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコー
ル類、ケトン類、エステル類、アミド類)に溶解して添
加することができるが、例えば金属化合物の粉末の水溶
液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶
解した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩溶液または水
溶性ハライド溶液中に添加しておく方法、或いは銀塩溶
液とハライド溶液が同時に混合されるとき第3の水溶液
として添加し、3液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子
を調製する方法、粒子形成中に必要量の金属化合物の水
溶液を反応容器に投入する方法、或いはハロゲン化銀調
製時に予め金属のイオンまたは錯体イオンをドープして
ある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させる方法等
がある。特に、金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属
化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を
水溶性ハライド溶液に添加する方法が好ましい。粒子表
面に添加する時には、粒子形成直後または物理熟成時途
中もしくは終了時または化学熟成時に必要量の金属化合
物の水溶液を反応容器に投入することもできる。
【0053】別途調製した感光性ハロゲン化銀粒子はヌ
ードル法、フロキュレーション法、限外濾過法、電気透
析法等の公知の脱塩法により脱塩することができるが、
脱塩しないで用いる事もできる。
【0054】(非感光性有機銀塩)本発明に係る非感光
性有機銀塩は還元可能な銀源であり、銀イオンを含有す
る有機酸の塩で、非感光性である。本発明において用い
られる有機酸としては、脂肪族カルボン酸、炭素環式カ
ルボン酸、複素環式カルボン酸、複素環式化合物等が用
いられる。
【0055】本発明に係る非感光性有機酸銀塩の例とし
ては、Research Disclosure第17
029及び29963に記載されており、脂肪族カルボ
ン酸の銀塩(例えば、没食子酸、シュウ酸、ベヘン酸、
アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン
酸等の銀塩);銀のカルボキシアルキルチオ尿素塩(例
えば、1−(3−カルボキシプロピル)チオ尿素、1−
(3−カルボキシプロピル)−3,3−ジメチルチオ尿
素等);アルデヒドとヒドロキシ置換芳香族カルボン酸
との重合反応生成物の銀錯体(例えば、アルデヒド類
(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデ
ヒド等)とヒドロキシ置換芳香族カルボン酸類(例え
ば、サリチル酸、安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息
香酸、5,5−チオジサリチル酸等)との重合反応生成
物の銀錯体等)、チオン類の銀塩または錯体(例えば、
3−(2−カルボキシエチル)−4−ヒドロキシメチル
−4−チアゾリン−2−チオン、及び3−カルボキシメ
チル−4−チアゾリン−2−チオン)、イミダゾール、
ピラゾール、ウラゾール、1,2,4−チアゾール及び
1H−テトラゾール、3−アミノ−5−ベンジルチオ−
1,2,4−トリアゾール及びベンゾトリアゾールから
選択される窒素酸と銀との錯体また塩;サッカリン、5
−クロロサリチルアルドキシム等の銀塩;及びメルカプ
チド類の銀塩等が挙げられる。
【0056】上記記載の有機銀塩の中でも、脂肪族カル
ボン酸の銀塩が好ましく用いられ、炭素数10〜30、
更に好ましくは15〜25の脂肪族カルボン酸の銀塩で
ある。好適な銀塩の例としては以下のものが挙げられ
る。
【0057】没食子酸、蓚酸、ベヘン酸、ステアリン
酸、アラキジン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の銀
塩。これらの内、好ましい銀塩としてはベヘン酸銀、ア
ラキジン酸銀及びステアリン酸銀が挙げられる。又、本
発明においては脂肪族カルボン酸銀塩が2種以上混合さ
れていることが、現像性を上げ高濃度、高コントラスト
の銀画像を形成する上で好ましく、例えば2種以上の脂
肪族カルボン酸混合物に銀イオン溶液を混合して調製す
ることが好ましい。
【0058】脂肪族カルボン酸銀塩化合物は、水溶性銀
化合物と銀と錯形成する化合物を混合することにより得
られるが、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9
−127643号に記載されている様なコントロールド
ダブルジェット法等が好ましく用いられる。例えば、有
機酸にアルカリ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウムなど)を加えて有機酸アルカリ金属塩ソー
プ(例えば、ベヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリ
ウムなど)を作製した後に、コントロールドダブルジェ
ット法により、前記ソープと硝酸銀などを混合して脂肪
族カルボン酸銀塩の結晶を作製する。その際にハロゲン
化銀粒子を混在させてもよい。
【0059】本発明に係る脂肪族カルボン酸銀塩におい
ては、熱現像後の画像の透明性向上、画像保存性向上の
観点から、平均円相当径が0.05μm〜0.8μmの
範囲に調整することが好ましく、また、熱現像時の銀イ
オン供給が適切に行われ、得られた画像の保存性向上の
観点から、平均厚さが0.005μm〜0.07μmに
調整することが好ましい、特に好ましくは、平均円相当
径が0.2μm〜0.5μm、平均厚さを0.01μm
〜0.05μmの範囲に調整することである。
【0060】平均円相当径を求めるには、分散後の脂肪
族カルボン酸銀塩を希釈してカーボン支持膜付きグリッ
ド上に分散し、透過型電子顕微鏡(日本電子製、200
0FX型)、直接倍率5000倍にて撮影を行った。ス
キャナにてネガをデジタル画像として取り込み、適当な
画像処理ソフトを用いて粒径(円相当径)を300個以
上測定し、平均粒径を算出する。
【0061】平均厚さを求めるには、下記に示すような
TEM(透過型電子顕微鏡)を用いた方法により算出す
る。
【0062】まず、支持体上に塗布された感光層を接着
剤により適当なホルダーに貼り付け、支持体面と垂直な
方向にダイヤモンドナイフを用いて厚さ0.1〜0.2
μmの超薄切片を作製する。作製された超薄切片を、銅
メッシュに支持させ、グロー放電により親水化されたカ
ーボン膜上に移し、液体窒素により−130℃以下に冷
却しながら透過型電子顕微鏡(以下TEMと称す)を用
いて、倍率5,000倍乃至40,000倍にて明視野
像を観察し、画像はフィルム、イメージングプレート、
CCDカメラなどに素早く記録する。この際、観察され
る視野としては、切片に破れや弛みがない部分を適宜選
択することが好ましい。
【0063】カーボン膜としては極薄いコロジオン、ホ
ルムバールなど有機膜に支持されたものを使用すること
が好ましく、更に好ましくは、岩塩基板上に形成し基板
を溶解除去して得るか、または、上記有機膜を有機溶
媒、イオンエッチングにより除去して得られたカーボン
単独の膜である。TEMの加速電圧としては80ないし
400kVが好ましく、特に好ましくは80ないし20
0kVである。
【0064】その他、電子顕微鏡観察技法、及び試料作
製技法の詳細については「日本電子顕微鏡学会関東支部
編/医学・生物学電子顕微鏡観察法」(丸善)、「日本
電子顕微鏡学会関東支部編/電子顕微鏡生物試料作製
法」(丸善)をそれぞれ参考にすることができる。
【0065】適当な媒体に記録されたTEM画像は、画
像1枚を少なくとも1024画素×1024画素、好ま
しくは2048画素×2048画素以上に分解しコンピ
ュータによる画像処理を行うことが好ましい。画像処理
を行うためには、フィルムに記録されたアナログ画像は
スキャナなどでデジタル画像に変換し、シェーディング
補正、コントラスト・エッジ強調などを必要に応じ施す
ことが好ましい。その後、ヒストグラムを作製し2値化
処理によって脂肪族カルボン酸銀に相当する箇所を抽出
する。
【0066】上記抽出した脂肪族カルボン酸銀塩粒子の
厚さを300個以上適当なソフトでマニュアル測定し、
平均値を求める。
【0067】前記記載の形状を有する脂肪族カルボン酸
銀塩粒子を得る方法としては、特に限定されないが、有
機酸アルカリ金属塩ソープ形成時の混合状態及び/また
は前記ソープに硝酸銀を添加する際の混合状態などを良
好に保つ事や、ソープに対する有機酸の割合、ソープと
反応する硝酸銀の割合を最適にすることなどが有効であ
る。
【0068】本発明に用いられる平板状脂肪族カルボン
酸銀塩粒子(平均円相当径が0.05μm以上、0.8
μm以下であり、且つ平均厚さが0.005μm以上、
0.07μm以下の脂肪族カルボン酸銀塩粒子をいう)
は、必要に応じバインダや界面活性剤などと共に予備分
散した後、メディア分散機または高圧ホモジナイザなど
で分散粉砕することが好ましい。上記予備分散にはアン
カー型、プロペラ型等の一般的攪拌機や高速回転遠心放
射型攪拌機(ディゾルバ)、高速回転剪断型撹拌機(ホ
モミキサ)を使用することができる。
【0069】また、上記メディア分散機としては、ボー
ルミル、遊星ボールミル、振動ボールミルなどの転動ミ
ルや、媒体攪拌ミルであるビーズミル、アトライター、
その他バスケットミルなどを用いることが可能であり、
高圧ホモジナイザとしては壁、プラグなどに衝突するタ
イプ、液を複数に分けてから高速で液同士を衝突させる
タイプ、細いオリフィスを通過させるタイプなど様々な
タイプを用いることができる。
【0070】メディア分散時に使用されるセラミックス
ビーズに用いられるセラミックスとしては、例えばAl
23、BaTiO3、SrTiO3、MgO、ZrO、B
eO、Cr23、SiO2、SiO2−Al23、Cr2
3−MgO、MgO−CaO、MgO−C、MgO−
Al23(スピネル)、SiC、TiO2、K2O、Na
2O、BaO、PbO、B23、SrTiO3(チタン酸
ストロンチウム)、BeAl24、Y3Al512、Zr
2−Y23(立方晶ジルコニア)、3BeO−Al2
3−6SiO2(合成エメラルド)、C(合成ダイヤモン
ド)、Si2O−nH2O、チッカ珪素、イットリウム安
定化ジルコニア、ジルコニア強化アルミナ等が好まし
い。分散時におけるビーズや分散機との摩擦による不純
物生成が少ない等の理由から、イットリウム安定化ジル
コニア、ジルコニア強化アルミナ(これらジルコニアを
含有するセラミックスを以下においてジルコニアと略
す)が特に好ましく用いられる。
【0071】本発明に用いられる平板状脂肪族カルボン
酸銀塩粒子を分散する際に用いられる装置類において、
該脂肪族カルボン酸銀塩粒子が接触する部材の材質とし
てジルコニア、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素などの
セラミックス類またはダイヤモンドを用いることが好ま
しく、中でもジルコニアを用いることが好ましい。上記
分散を行う際、バインダ濃度は脂肪族カルボン酸銀質量
の0.1〜10%添加することが好ましく、予備分散か
ら本分散を通して液温が45℃を上回らないことが好ま
しい。また、本分散の好ましい運転条件としては、例え
ば高圧ホモジナイザを分散手段として用いる場合には、
29.42〜98.06MPa、運転回数は2回以上が
好ましい運転条件として挙げられる。又、メディア分散
機を分散手段として用いる場合には、周速が6m/秒か
ら13m/秒が好ましい条件として挙げられる。
【0072】本発明において、脂肪族カルボン酸銀粒子
に対する結晶成長抑制剤ないし分散剤として機能する化
合物とは、脂肪族カルボン酸銀粒子の製造工程におい
て、当該化合物を共存させた条件下で脂肪族カルボン酸
銀を製造したときに、共存させない条件下で製造したと
きより小粒径化や単分散化する機能、効果を有する化合
物をいう。具体例として、炭素数が10以下の一価アル
コール類、好ましくは第2級アルコール、第3級アルコ
ール、エチレングリコール、プロピレングリコールなど
のグリコール類、ポリエチレングリコールなどポリエー
テル類、グリセリンが挙げられる。好ましい添加量とし
ては、脂肪族カルボン酸銀に対して10質量%〜200
質量%である。
【0073】一方で、イソヘプタン酸、イソデカン酸、
イソトリデカン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン
酸、イソステアリン酸、イソアラキジン酸、イソベヘン
酸、イソヘキサコ酸など、それぞれ異性体を含む分岐脂
肪族カルボン酸も好ましい。この場合、好ましい側鎖と
して、炭素数4以下のアルキル基またはアルケニル基が
挙げられる。また、パルミトレイン酸、オレイン酸、リ
ノール酸、リノレン酸、モロクチン酸、エイコセン酸、
アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコ
サペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、セラコレン酸な
どの脂肪族不飽和カルボン酸が挙げられる。好ましい添
加量は、脂肪族カルボン酸銀の0.5モル%〜10モル
%である。
【0074】グルコシド、ガラクトシド、フルクトシド
などの配糖体類、トレハロース、スクロースなどトレハ
ロース型二糖類、グリコーゲン、デキストリン、デキス
トラン、アルギン酸など多糖類、メチルセロソルブ、エ
チルセロソルブなどのセロソルブ類、ソルビタン、ソル
ビット、酢酸エチル、酢酸メチル、ジメチルホルムアミ
ドなど水溶性有機溶媒、ポリビニルアルコール、ポリア
クリル酸、アクリル酸共重合体、マレイン酸共重合体、
カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセル
ロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビ
ニルピロリドン、ゼラチンなどの水溶性ポリマー類も好
ましい化合物として挙げられる。好ましい添加量は、脂
肪族カルボン酸銀に対して0.1質量%〜20質量%で
ある。
【0075】炭素数が10以下のアルコール好ましく
は、第二級アルコール、第三級アルコールは、仕込み工
程での脂肪族カルボン酸ナトリウムの溶解度を上げるこ
とにより減粘し、攪拌効率を上げることで単分散且つ小
粒径化する。分岐脂肪族カルボン酸及び脂肪族不飽和カ
ルボン酸は、脂肪族カルボン酸銀が結晶化する際にメイ
ン成分である直鎖脂肪族カルボン酸銀よりも立体障害性
が高く、結晶格子の乱れが大きくなるため大きな結晶は
生成せず、結果的に小粒径化する。
【0076】前述のように、従来のハロゲン化銀写真感
光材料と比較して、銀塩光熱写真ドライイメージング材
料の構成上の最大の相違点は、後者の材料中には、現像
処理の前後を問わず、カブリやプリントアウト銀(焼出
し銀)の発生の原因となり得る感光性ハロゲン化銀、有
機銀塩及び還元剤が多量含有されていることである。こ
のため、銀塩光熱写真ドライイメージング材料には、現
像前ばかりでなく現像後の保存安定性を維持するため
に、高度のカブリ防止及び画像安定化技術が必須である
が、従来はカブリ核の成長及び現像を抑制する芳香族性
複素環化合物の他に、カブリ核を酸化消滅する機能を有
する酢酸水銀のような水銀化合物が、非常に有効な保存
安定化剤として使用されていたが、この水銀化合物の使
用は安全性、環境保全性の点で問題であった。
【0077】(カブリ防止剤、画像安定化剤)以下にお
いて、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に
用いられるカブリ防止及び画像安定化剤について説明す
る。
【0078】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料においては、還元剤としては、後述するように、主
にビスフェノール類の還元剤が用いられているので、こ
れらの水素を引き抜くことができる活性種を発生するこ
とにより還元剤を不活性化できる化合物が含有されてい
ることが好ましい。好適には無色の光酸化性物質とし
て、露光時にフリーラジカルを反応活性種として生成可
能な化合物が好ましい。
【0079】従ってこれらの機能を有する化合物であれ
ばいかなる化合物でもよいが、複数の原子からなる有機
フリーラジカルが好ましい。かかる機能を有し、且つ銀
塩光熱写真ドライイメージング材料に格別の弊害を生じ
ることのない化合物であればいかなる構造をもった化合
物でもよい。
【0080】又、これらのフリーラジカルを発生する化
合物としては、発生するフリーラジカルに、還元剤と反
応し不活性化するに充分な時間接触できる位の安定性を
もたせるために炭素環式、または複素環式の芳香族基を
有するものが好ましい。
【0081】これらの化合物の代表的なものとして以下
に挙げるビイミダゾリル化合物、ヨードニウム化合物を
挙げることができる。
【0082】ビイミダゾリル化合物としては、以下に示
す一般式〔1〕で表される化合物が好ましく用いられ
る。
【0083】
【化4】
【0084】式中、R1、R2及びR3(同一または相異
なる)の各々はアルキル基(例えば、メチル基、エチル
基、ヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル
基、アリル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、
エトキシ基、オクチルオキシ基)、アリール基(例え
ば、フェニル基、ナフチル基、トリル基)、ヒドロキシ
ル基、ハロゲン原子、アリールオキシ基(例えば、フェ
ノキシ基)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、
ブチルチオ基)、アリールチオ基(例えば、フェニルチ
オ基)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル
基、ブチリル基、バレリル基)、スルフォニル基(例え
ば、メチルスルフォニル基、フェニルスルフォニル基
等)、アシルアミノ基、スルフォニルアミノ基、アシル
オキシ基(例えば、アセトキシ基、ベンゾキシ基等)、
カルボキシル基、シアノ基、スルフォ基またはアミノ基
を示す。これらのうちより好適な置換基はアリール基、
アルケニル基、シアノ基等である。
【0085】上記のビイミダゾリル化合物は、米国特許
第3,734,733号及び英国特許第1,271,1
77号に記載されている製造方法及びそれに準じた方法
により製造することができる。好ましい具体例として
は、例えば、特開2000−321711に記載されて
いる化合物例を挙げることができる。
【0086】又、同様に好適な化合物として、以下に示
す一般式〔2〕で示されるヨードニウム化合物が挙げら
れる。
【0087】
【化5】
【0088】式中、Q1は5、6または7員環を完成す
るのに必要な原子を包含し、且つ該必要な原子は、炭素
原子、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる。
1、R2及びR3(同一または相異なる)の各々は水素
原子、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、ヘキ
シル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル
基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ
基、オクチルオキシ基等)、アリール基(例えば、フェ
ニル基、ナフチル基、トリル基等)、ヒドロキシル基、
ハロゲン原子、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ
基)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、ブチル
チオ基)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ
基)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル
基、ブチリル基、バレリル基等)、スルフォニル基(例
えば、メチルスルフォニル基、フェニルスルフォニル基
等)、アシルアミノ基、スルフォニルアミノ基、アシル
オキシ基(例えば、アセトキシ基、ベンゾキシ基等)、
カルボキシル基、シアノ基、スルフォ基及びアミノ基を
示す。これらのうちより好適な置換基はアリール基、ア
ルケニル基及びシアノ基である。
【0089】R4はアセテート、ベンゾエート、トリフ
ルオロアセテートのようなカルボキシレート基及びO−
を示す。Wは0または1を表す。
【0090】X-はアニオン性対イオンであり、好適な
例としてはCH3CO2-、CH3SO3 -及びPF6-であ
る。
【0091】R3がスルフォ基またはカルボキシル基の
ときは、Wは0で、且つ、R4はO−である。
【0092】なお、R1、R2及びR3の何れかは互いに
結合して環を形成してもよい。これらのうち特に好まし
い化合物は以下の一般式〔3〕で表される。
【0093】
【化6】
【0094】ここにおいて、R1、R2、R3、R4、X-
及びW等は前記一般式〔2〕と同義であり、Yは炭素原
子(−CH=;ベンゼン環)を表すか、または窒素原子
(−N=;ピリジン環)を表す。
【0095】上記のヨードニウム化合物はOrg.Sy
n.,1961及び”Fieser著Advanced
Organic Chemistry”(Reinh
old,N.Y.,1961)に記載されている製造方
法及びそれに準じた方法によって合成できる。
【0096】好ましい具体例としては、例えば、特開2
000−321711に記載されている化合物例が挙げ
ることができる。
【0097】上記の一般式〔1〕及び〔2〕で表される
化合物の添加量は、10-3〜10-1モル/m2、好まし
くは5×10-3〜5×10-2モル/m2である。なお、
当該化合物は、本発明の感光材料において、いかなる構
成層中にも含有させることができるが、還元剤の近傍に
含有させることが好ましい。
【0098】又、還元剤を不活性化し還元剤が脂肪族カ
ルボン酸銀塩を銀に還元できないようにする化合物とし
て、反応活性種がハロゲン原子でないものが好ましい
が、ハロゲン原子を活性種として放出する化合物も、ハ
ロゲン原子でない活性種を放出する化合物と併用するこ
とにより、使用することができる。ハロゲン原子を活性
種として放出できる化合物も多くのものが知られてお
り、併用により良好な効果が得られる。
【0099】これらの活性ハロゲン原子を生成する化合
物の具体例としては、以下に挙げる一般式〔4〕で表さ
れる化合物が挙げられる。
【0100】
【化7】
【0101】一般式〔4〕中、Q2はアリール基または
ヘテロ環基を表す。X1、X2及びX3は、各々水素原
子、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル
基、アリールオキシカルボニル基、スルフォニル基また
は、アリール基を表すが、少なくとも一つはハロゲン原
子である。Yは、−C(=O)−、−SO−または−S
2−を表す。
【0102】Q2で表されるアリール基は、単環または
縮環していてもよく、好ましくは炭素数6〜30の単環
または二環のアリール基(例えば、フェニル基、ナフチ
ル基等)であり、より好ましくはフェニル基、ナフチル
基であり、更に好ましくはフェニル基である。
【0103】Q2で表されるヘテロ環基は、N、Oまた
はSの少なくとも一つの原子を含む3乃至10員の飽和
もしくは不飽和のヘテロ環基であり、これらは単環であ
ってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
【0104】ヘテロ環基として好ましくは、縮合環を有
していてもよい5乃至6員の不飽和ヘテロ環基であり、
より好ましくは縮合環を有していてもよい5乃至6員の
芳香族ヘテロ環基である。更に好ましくは窒素原子を含
む縮合環を有していてもよい5乃至6員の芳香族ヘテロ
環基であり、特に好ましくは窒素原子を1乃至4原子含
む縮合環を有していてもよい5乃至6員の芳香族ヘテロ
環基である。このようなヘテロ環基におけるヘテロ環と
して、好ましくはイミダゾール、ピラゾール、ピリジ
ン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾー
ル、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、
チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラ
ジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シン
ノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、
フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾー
ル、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾ
チアゾール、インドレニン、テトラザインデンであり、
より好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、
ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チ
アジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジ
ン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノ
リン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベン
ゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾー
ル、テトラザインデンであり、更に好ましくはイミダゾ
ール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、
トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、キノリ
ン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾ
リン、シンノリン、テトラゾール、チアゾール、ベンゾ
イミダゾール、ベンゾチアゾールであり、特に好ましく
はピリジン、チアジアゾール、キノリン、ベンゾチアゾ
ールである。
【0105】Q2で表されるアリール基及びヘテロ環基
は−Y−C(X1)(X2)(X3)の他に置換基を有し
ていても良く、置換基として好ましくはアルキル基、ア
ルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキ
シ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニ
ル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、
アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリ
ールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、
スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、ウ
レイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、
スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヘテロ環基であ
り、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキ
シ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、
アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボ
ニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル
基、カルバモイル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハ
ロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、
更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ
基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、ス
ルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル
基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基で
あり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲ
ン原子である。
【0106】X1、X2及びX3で表される置換基として
は、各々ハロゲン原子、ハロアルキル基、アシル基、ア
ルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、
カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ヘ
テロ環基が好ましいが、更に好ましくは、ハロゲン原
子、ハロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル
基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基(アル
キルスルホニル基、アリールスルホニル基)であり、更
に好ましくはハロゲン原子、トリハロメチル基であり、
特に好ましくはハロゲン原子である。ハロゲン原子の中
でも好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であ
り、更に好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好
ましくは臭素原子である。
【0107】Yは、−C(=O)−、−SO−または、
−SO2−を表すが、中でも好ましく用いられるのは、
−SO2−である。
【0108】これらの化合物の添加量は、実質的にハロ
ゲン化銀の生成によるプリントアウト銀の増加が問題に
ならない範囲が好ましく、前記活性ハロゲンラジカルを
生成しない化合物に対する比率で、最大150%以下、
更に好ましくは100%以下であることが好ましい。
【0109】なお、上記の化合物の他に、本発明の銀塩
光熱写真ドライイメジング材料中には、従来カブリ防止
剤として知られている化合物が含まれてもよいが、上記
の化合物と同様な反応活性種を生成することができる化
合物であっても、カブリ防止機構が異なる化合物であっ
てもよい。例えば、米国特許第3,589,903号、
同第4,546,075号、同第4,452,885
号、特開昭59−57234号、米国特許第3,87
4,946号、同第4,756,999号、特開平9−
288328号、同9−90550号に記載されている
化合物が挙げられる。更に、その他のカブリ防止剤とし
ては、米国特許第5,028,523号及び欧州特許第
600,587号、同第605,981号、同第63
1,176号に開示されている化合物が挙げられる。
【0110】本発明においては、銀イオン還元剤の少な
くとも一種がビスフェノール誘導体である特定の化合物
を単独または他の異なる化学構造を有する還元剤と併せ
て用いる。本発明に係る銀塩光熱写真イメージング材料
において、光熱写真イメージング材料の保存中のカブリ
発生等による性能劣化及び熱現像後の銀画像の保存にお
ける色調劣化等を予想外に抑制することが出来る。ま
た、特に省銀化剤との併用において低銀量でも最高濃度
が高く、銀色調が良好でかつ処理変動耐性に優れた画像
が得られる等、驚くべき効果を得ることが出来る。特
に、一般式(X)で表される省銀化剤との併用において
その効果は顕著である。
【0111】(銀イオン還元剤(単に、還元剤ともい
う))本発明に用いられる還元剤としては、前記一般式
(S)または(T)で表されるビスフェノール誘導体が
好ましい。
【0112】一般式(S)中、Zは炭素原子とともに芳
香族ヘテロ環または置換基を環上に有する芳香族炭素環
を構成するのに必要な原子群を表すが、芳香族ヘテロ環
として好ましくは縮合環を有していてもよい5乃至6員
の芳香族ヘテロ環である。更に好ましくは窒素原子を含
む縮合環を有していてもよい5乃至6員の芳香族ヘテロ
環であり、特に好ましくは窒素原子を1乃至4原子含む
縮合環を有していてもよい5乃至6員の芳香族ヘテロ環
である。このようなヘテロ環として、好ましくはイミダ
ゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジ
ン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドー
ル、インダゾール、プリン、チアジアゾール、オキサジ
アゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノ
キサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アク
リジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾー
ル、チアゾール、オキサゾール、ベンゾイミダゾール、
ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、インドレニ
ン、テトラザインデンであり、より好ましくはイミダゾ
ール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、
トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、オキサジ
アゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノ
キサリン、キナゾリン、シンノリン、テトラゾール、チ
アゾール、オキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾ
オキサゾール、ベンゾチアゾール、テトラザインデンで
あり、更に好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミ
ジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジ
ン、チアジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリ
ジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、テトラ
ゾール、チアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチア
ゾールであり、特に好ましくはピリジン、チアジアゾー
ル、キノリン、ベンゾチアゾールである。また、置換基
を有する芳香族炭素環としては、単環でも縮環していて
もよく、好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の
芳香族炭素環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環等が
挙げられるが、好ましく用いられるのは、ベンゼン環で
ある。
【0113】上記の二環の芳香族炭素環の置換基として
好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、
アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、ア
シル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカル
ボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキ
シカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミ
ノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバ
モイル基、スルホニル基、ウレイド基、リン酸アミド
基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル
基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、より好ましくはアル
キル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ
基、アシル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル
アミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホ
ニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウ
レイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、
ニトロ基、ヘテロ環基であり、更に好ましくはアルキル
基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ア
シル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基(アルキ
ルアミノスルホニル基、アリールアミノスルホニル基
等)、スルファモイル基、カルバモイル基、ハロゲン原
子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、特に好ま
しくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子である。
【0114】置換位置としては式中、Cで示された環上
の炭素原子の隣接位であることが好ましい。Zと炭素原
子から構成される上記環は芳香族環を含む他の環と如何
様にも縮環してよい。また環上には任意の置換基を有す
ることができる。
【0115】R0′、R0″は、各々水素原子、アルキル
基、アリール基、または複素環基を表すが、アルキル基
として具体的には炭素数1〜10のアルキル基であるこ
とが好ましい。具体例としてはメチル基、エチル基、プ
ロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチ
ル基、ペンチル基、iso−ペンチル基、2−エチル−
ヘキシル基、オクチル基、デシル基、シクロヘキシル
基、シクロヘプチル基、1−メチルシクロヘキシル基、
エテニル−2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メ
チル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチ
ル−3−ブテニル基、1−シクロアルケニル基、2−シ
クロアルケニル基、エチニル基、1−プロピニル基等が
挙げられる。
【0116】上記の中でも好ましいのは、メチル基、エ
チル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、シクロ
ヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基等であり、更
に好ましくは、メチル基、tert−ブチル基、1−メ
チルシクロヘキシル基であり、特に好ましくは、メチル
基である。
【0117】アリール基としては、具体的にはフェニル
基、ナフチル基、アントラニル基等が挙げられる。
【0118】複素環基としては、具体的にはピリジン
基、キノリン基、イソキノリン基、イミダゾール基、ピ
ラゾール基、トリアゾール基、オキサゾール基、チアゾ
ール基、オキサジアゾール基、チアジアゾール基、テト
ラゾール基等の芳香族ヘテロ環基やピペリジノ基、モル
ホリノ基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロチエニ
ル基、テトラヒドロピラニル基等の非芳香族ヘテロ環基
が挙げられる。これらの基はさらに置換基を有していて
も良く、該置換基としては前述の環上の置換基をあげる
ことができる。また、複数のR0′、R0″は同じでも異
なっていても良いが、最も好ましくはすべてがメチル基
の場合である。
【0119】Q0はベンゼン環上に置換可能な基を表す
が、具体的には炭素数1〜25のアルキル基(メチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert
ert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘ
キシル基等)、ハロゲン化アルキル基(トリフルオロメ
チル基、パーフルオロオクチル基等)、シクロアルキル
基(シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)、アルキ
ニル基(プロパルギル基等)、グリシジル基、アクリロ
イル基、メタクリロイル基、アリール基(フェニル基
等)、複素環基(ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾ
リル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラ
ジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾ
リル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル
基等)、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、ヨウ素原
子、フッ素原子等)、アルコキシ基(メトキシ基、エト
キシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、シクロ
ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシル
オキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、
アルコキシカルボニル基(メチルオキシカルボニル基、
エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基
等)、アリールオキシカルボニル基(フェニルオキシカ
ルボニル基等)、スルホンアミド基(メタンスルホンア
ミド基、エタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミ
ド基、ヘキサンスルホンアミド基、シクロヘキサンスル
ホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等)、スルフ
ァモイル基(アミノスルホニル基、メチルアミノスルホ
ニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノス
ルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキ
シルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル
基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、ウレタン基
(メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレ
イド基、シクロヘキシルウレイド基、フェニルウレイド
基、2−ピリジルウレイド基等)、アシル基(アセチル
基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、
シクロヘキサノイル基、ベンゾイル基、ピリジノイル基
等)、カルバモイル基(アミノカルボニル基、メチルア
ミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロ
ピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル
基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミ
ノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基
等)、アミド基(アセトアミド基、プロピオンアミド
基、ブタンアミド基、ヘキサンアミド基、ベンズアミド
基等)、スルホニル基(メチルスルホニル基、エチルス
ルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスル
ホニル基、フェニルスルホニル基、2−ピリジルスルホ
ニル基等)、アミノ基(アミノ基、エチルアミノ基、ジ
メチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミ
ノ基、アニリノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シアノ
基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシ
ル基、オキザモイル基等を挙げることができる。又これ
らの基は更にこれらの基で置換されていてもよい。n及
びmは0〜2の整数を表すが、最もこのましくはn、m
ともに0の場合である。
【0120】一般式(T)中、Q1及びQ2は水素原子、
ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ
環基を表すが、ハロゲン原子として具体的には塩素、臭
素、フッ素、ヨウ素が挙げられる。好ましくはフッ素、
塩素、臭素である。アルキル基として具体的には炭素数
1〜10のアルキル基であることが好ましい。具体例と
してはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル
基、ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、is
o−ペンチル基、2−エチル−ヘキシル基、オクチル
基、デシル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、
1−メチルシクロヘキシル基、エテニル−2−プロペニ
ル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル
基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、
1−シクロアルケニル基、2−シクロアルケニル基、エ
チニル基、1−プロピニル基等が挙げられる。より好ま
しくは、メチル基、およびエチル基である。アリール基
として具体的にはフェニル基、ナフチル基が挙げられ
る。ヘテロ環基としてはピリジル基、フリル基、チエニ
ル基、オキサゾリル基等の5〜6員環のヘテロ芳香族基
が好ましく挙げられる。Q1及びQ2として好ましくは水
素原子、またはメチル基でありもっとも好ましくはメチ
ル基である。
【0121】Z2は炭素原子、G1、及びG2とともに5
〜6員の芳香族環を構成するのに必要な原子群を表す
が、該環の具体例としてはイミダゾール、ピラゾール、
ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリア
ゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリ
ン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フ
タラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、
シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリ
ン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾ
ール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベン
ゾチアゾール、インドレニン、テトラザインデンであ
り、より好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジ
ン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジ
ン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フ
タラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、
シンノリン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾー
ル、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾ
チアゾール、テトラザインデン、フェニル、ナフチル、
アントラニルが挙げられる。好ましくは、ピリジン、フ
ェニルであり、最も好ましくはフェニルである。
【0122】R0′、R0″、Rx、Q0、n、及びmは一
般式(S)におけるものと同義である。
【0123】以下に、一般式(S)、(T)で表される
化合物の具体例を列記するが本発明はこれらに限定され
ない。
【0124】
【化8】
【0125】
【化9】
【0126】
【化10】
【0127】
【化11】
【0128】また、一般式(S)、(T)で表される化
合物は従来公知の方法を参照して合成することができ
る。ここで、好ましい合成スキームを一般式(S)を例
にとり以下に図示する。
【0129】
【化12】
【0130】即ち、好ましくは2当量のフェノール及び
1当量のアルデヒドを無溶媒で、もしくは適当な有機溶
媒で溶解または懸濁させ、触媒量の酸を加えて、好まし
くは−20℃〜120℃の温度下で0.5〜60時間反
応させることにより好収率で目的とする一般式(S)で
表される化合物を得ることができる。一般式(T)で表
される化合物についても同様である。
【0131】有機溶媒としては、炭化水素系有機溶媒が
好ましく、具体的にはベンゼン、トルエン、キシレン、
ジクロロメタン、クロロホルム等が挙げられるが、好ま
しく用いられるのはトルエンである。さらに収率の点か
らは無溶媒で反応させることが最も好ましい。酸触媒と
してあらゆる無機酸、有機酸を使用することができる
が、濃塩酸、p−トルエンスルホン酸、及び燐酸が好ま
しく用いられる。触媒量としては対応するアルデヒドに
対して0.001当量〜1.5当量使用することが好ま
しい。反応温度としてより好ましくは15℃〜60℃)
が好ましく、反応時間としては、3〜20時間がより好
ましい。
【0132】本発明では米国特許第3,589,903
号、同第4,021,249号若しくは英国特許第1,
486,148号各明細書及び特開昭51−51933
号、同50−36110号、同50−116023号、
同52−84727号若しくは特公昭51−35727
号公報に記載されたポリフェノール化合物、例えば、
2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、6,
6′−ジブロモ−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−
ビナフチル等の米国特許第3,672,904号明細書
に記載されたビスナフトール類、更に、例えば、4−ベ
ンゼンスルホンアミドフェノール、2−ベンゼンスルホ
ンアミドフェノール、2,6−ジクロロ−4−ベンゼン
スルホンアミドフェノール、4−ベンゼンスルホンアミ
ドナフトール等の米国特許第3,801,321号に記
載されているようなスルホンアミドフェノールまたはス
ルホンアミドナフトール類も銀イオン還元剤として用い
ることができる。
【0133】前記一般式(S)及び(T)で表される化
合物を始めとする還元剤の使用量は好ましくは銀1モル
当り1×10-2〜10モル、特に1×10-2〜1.5モ
ルである。
【0134】本発明の光熱写真ドライイメージング材料
に使用される還元剤の量は、有機銀塩や還元剤の種類、
その他の添加剤によって変化するが、一般的には有機銀
塩1モル当たり0.05モル乃至10モル好ましくは
0.1モル乃至3モルが適当である。又この量の範囲内
において、上述した還元剤は2種以上併用されてもよ
い。本発明においては、前記還元剤を塗布直前に感光性
ハロゲン化銀及び有機銀塩粒子及び溶媒からなる感光乳
剤溶液に添加混合して塗布した方が、停滞時間による写
真性能変動が小さく好ましい場合がある。
【0135】本発明に係る感光性ハロゲン化銀には化学
増感を施すことができる。例えば、特願2000−57
004及び特開2001−249426に記載されてい
る方法等により、硫黄などのカルコゲンを放出する化合
物や金イオンなどの貴金属イオンを放出する貴金属化合
物の利用により、化学増感中心(化学増感核)を形成付
与できる。以下に示すカルコゲン原子を含有する有機増
感剤により化学増感されているのが好ましい。
【0136】これらカルコゲン原子を含有する有機増感
剤は、ハロゲン化銀へ吸着可能な基と不安定カルコゲン
原子部位を有する化合物であることが好ましい。
【0137】これらの有機増感剤としては、特開昭60
−150046号、特開平4−109240号、同11
−218874号等に開示されている種々の構造を有す
る有機増感剤を用いることができるが、それらのうちカ
ルコゲン原子が炭素原子またはリン原子と二重結合で結
ばれている構造を有する化合物の少なくとも1種である
ことが好ましい。
【0138】有機増感剤としてのカルコゲン化合物の使
用量は、使用するカルコゲン化合物、ハロゲン化銀粒
子、化学増感を施す際の反応環境などにより変わるが、
ハロゲン化銀1モル当たり、10-8〜10-2モルが好ま
しく、より好ましくは10-7〜10-3モルを用いる。化
学増感環境としては、特に制限はないが、感光性ハロゲ
ン化銀粒子上のカルコゲン化銀または銀核を消滅或いは
それらの大きさを減少させ得る化合物の存在下におい
て、又特に銀核を酸化しうる酸化剤の共存下において、
カルコゲン原子を含有する有機増感剤を用いてカルコゲ
ン増感を施すことが好ましく、該増感条件として、pA
gとしては6〜11が好ましく、より好ましくは7〜1
0であり、pHは4〜10が好ましく、より好ましくは
5〜8、又温度としては30℃以下で増感を施すことが
好ましい。
【0139】従って、本発明の銀塩光熱写真ドライイメ
ージング材料においては、感光性ハロゲン化銀が、該粒
子上の銀核を酸化しうる酸化剤の共存下において、カル
コゲン原子を含有する有機増感剤を用いて、温度30℃
以下において化学増感を施され、且つ脂肪族カルボン酸
銀塩と混合して分散され、脱水及び乾燥された感光性乳
剤を用いることが好ましい。
【0140】また、これらの有機増感剤を用いた化学増
感は、分光増感色素またはハロゲン化銀粒子に対して、
吸着性を有するヘテロ原子含有化合物の存在下で行われ
る事が好ましい。ハロゲン化銀に吸着性を有する化合物
の存在下化学増感を行うことで、化学増感中心核の分散
化を防ぐことができ高感度、低カブリを達成できる。分
光増感色素については後述するが、ハロゲン化銀に吸着
性を有するヘテロ原子含有化合物とは、特開平3−24
537号に記載されている含窒素複素環化合物が好まし
い例として挙げられる。含窒素複素環化合物において、
複素環としてはピラゾール環、ピリミジン環、1,2,
4−トリアゾール環、1,2,3−トリアゾール環、
1,3,4−チアジアゾール環、1,2,3−チアジア
ゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,2,5
−チアジアゾール環、1,2,3,4−テトラゾール
環、ピリダジン環、1,2,3−トリアジン環、これら
の環が2〜3個結合した環、例えばトリアゾロトリアゾ
ール環、ジアザインデン環、トリアザインデン環、ペン
タアザインデン環などを挙げることができる。単環の複
素環と芳香族環の縮合した複素環、例えばフタラジン
環、ベンゾイミダゾール環、インダゾール環、ベンゾチ
アゾール環なども適用できる。
【0141】これらの中で好ましいのはアザインデン環
であり、且つ置換基としてヒドロキシル基を有するアザ
インデン化合物、例えばヒドロキシトリアザインデン、
テトラヒドロキシアザインデン、ヒドロキシペンタアザ
インデン化合物等が更に好ましい。
【0142】複素環にはヒドロキシル基以外の置換基を
有してもよい。置換基としては、例えばアルキル基、置
換アルキル基、アルキルチオ基、アミノ基、ヒドロキシ
アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ア
リールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニ
ル基、ハロゲン原子、シアノ基などを有してもよい。
【0143】これ含複素環化合物の添加量は、ハロゲン
化銀粒子の大きさや組成その他の条件等に応じて広い範
囲に亘って変化するが、おおよその量はハロゲン化銀1
モル当たりの量で10-6モル〜1モルの範囲であり、好
ましくは10-4モル〜10-1モルの範囲である。
【0144】本発明に係る感光性ハロゲン化銀には、金
イオンなどの貴金属イオンを放出する化合物を利用して
貴金属増感を施すことができる。例えば、金増感剤とし
て、塩化金酸塩や有機金化合物が利用できる。
【0145】又、上記の増感法の他、還元増感法等も用
いることができ、還元増感の貝体的な化合物としては、
アスコルビン酸、2酸化チオ尿素、塩化第1スズ、ヒド
ラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミ
ン化合物等を用いることができる。また、乳剤のpHを
7以上またはpAgを8.3以下に保持して熟成するこ
とにより還元増感することができる。
【0146】化学増感を施されるハロゲン化銀は、有機
銀塩の存在下で形成されたのでも、有機銀塩の存在しな
い条件下で形成されたものでも、また、両者が混合され
たものでもよい。
【0147】本発明に係る感光性ハロゲン化銀には、分
光増感色素を吸着させ分光増感を施すことが好ましい。
分光増感色素としてシアニン色素、メロシアニン色素、
コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシア
ニン色素、ホロポーラーシアニン色素、スチリル色素、
ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノー
ル色素等を用いることができる。例えば、特開昭63−
159841号、同60−140335号、同63−2
31437号、同63−259651号、同63−30
4242号、同63−15245号、米国特許第4,6
39,414号、同第4,740,455号、同第4,
741,966号、同第4,751,175号、同第
4,835,096号に記載された増感色素が使用でき
る。
【0148】本発明に使用される有用な増感色素は、例
えばRD17643IV−A項(1978年12月p.2
3)、同18431X項(1978年8月p.437)
に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に
各種レーザイメージャーやスキャナーの光源の分光特性
に適した分光感度を有する増感色素を用いるのが好まし
い。例えば、特開平9−34078号、同9−5440
9号、同9−80679号に記載の化合物が好ましく用
いられる。
【0149】有用なシアニン色素は、例えばチアゾリン
核、オキサゾリン核、ピロリン核、ピリジン核、オキサ
ゾール核、チアゾール核、セレナゾール核及びイミダゾ
ール核などの塩基性核を有するシアニン色素である。有
用なメロシアニン染料で好ましいものは、上記の塩基性
核に加えて、チオヒダントイン核、ローダニン核、オキ
サゾリジンジオン核、チアゾリンジオン核、バルビツー
ル酸核、チアゾリノン核、マロノニトリル核及びピラゾ
ロン核などの酸性核も含む。
【0150】本発明においては、特に赤外に分光感度を
有する増感色素を用いることもできる。好ましく用いら
れる赤外分光増感色素としては、例えば米国特許第4,
536,473号、同第4,515,888号、同第
4,959,294号等に開示されている赤外分光増感
色素が挙げられる。
【0151】赤外分光増感色素については、ベンゾアゾ
ール環のベンゼン環上にスルフィニル基が置換されてい
ることを特徴とした長鎖のポリメチン色素が特に好まし
い。
【0152】上記の赤外増感色素は、例えばエフ・エム
・ハーマー著、The Chemistry of H
eterocyclic Compounds第18
巻、The Cyanine Dyes and Re
lated Compounds(A.Weissbe
rger ed.Interscience社刊、Ne
w York 1964年)に記載の方法を参照し、合
成することができる。
【0153】これらの赤外増感色素の添加時期はハロゲ
ン化銀調製後のどの時点でもよく、例えば溶剤に添加し
て、或いは微粒子状に分散した所謂固体分散状態でハロ
ゲン化銀粒子或いはハロゲン化銀粒子/脂肪族カルボン
酸銀塩粒子を含有する感光性乳剤に添加できる。又、前
記のハロゲン化銀粒子に対し吸着性を有するヘテロ原子
含有化合物と同様に、化学増感に先立ってハロゲン化銀
粒子に添加し吸着させた後、化学増感を施すこともで
き、これにより化学増感中心核の分散化を防ぐことがで
き高感度、低カブリを達成できる。
【0154】本発明において、上記の分光増感色素は単
独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、
増感色素の組合せは、特に強色増感の目的でしばしば用
いられる。
【0155】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料に用いられる感光性ハロゲン化銀、脂肪族カルボン
酸銀塩を含有する乳剤は、増感色素とともに、それ自身
分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に
吸収しない物質であって、強色増感効果を発現する物質
を乳剤中に含ませ、これによりハロゲン化銀粒子が強色
増感されていてもよい。
【0156】有用な増感色素、強色増感を示す色素の組
合せ及び強色増感を示す物質は、RD17643(19
78年12月発行)第23頁IVのJ項、あるいは特公平
9−25500号、同43−4933号、特開昭59−
19032号、同59−192242号、特開平5−3
41432号等に記載されているが、強色増感剤として
は、下記で表される複素芳香族メルカプト化合物がまた
はメルカプト誘導体化合物が好ましい。
【0157】Ar−SM 式中、Mは水素原子またはアルカリ金属原子であり、A
rは1個以上の窒素、硫黄、酸素、セレニウム、または
テルリウム原子を有する芳香環または縮合芳香環であ
る。好ましくは、複素芳香環はベンゾイミダゾール、ナ
フトイミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾー
ル、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、ベンゾ
セレナゾール、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オ
キサゾール、ピラゾール、トリアゾール、トリアジン、
ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリ
ン、キノリン、またはキナゾリンである。しかしなが
ら、他の複素芳香環も含まれる。
【0158】尚、脂肪族カルボン酸銀塩及び/またはハ
ロゲン化銀粒子乳剤の分散物中に含有させたときに実質
的に上記のメルカプト化合物を生成するメルカプト誘導
体化合物も含まれる。特に下記で表されるメルカプト誘
導体化合物が、好ましい例として挙げられる。
【0159】Ar−S−S−Ar 式中のArは上記で表されたメルカプト化合物の場合と
同義である。
【0160】上記の複素芳香環は、例えばハロゲン原子
(例えば、Cl、Br、I)、ヒドロキシル基、アミノ
基、カルボキシル基、アルキル基(例えば、1個以上の
炭素原子、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するも
の)及びアルコキシ基(例えば、1個以上の炭素原子、
好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するもの)からな
る群から選ばれる置換基を有しうる。
【0161】上記の強色増感剤の他に、特願2000−
70296に開示されている下記に示す一般式〔5〕で
表される化合物と大環状化合物を強色増感剤として使用
できる。
【0162】
【化13】
【0163】式中、H31Arは芳香族炭化水素基または
芳香族複素環基を表し、T31は脂肪族炭化水素基からな
る2価の連結基または連結基を表し、J31は酸素原子、
硫黄原子または窒素原子を一つ以上含む2価の連結基ま
たは連結基を表す。Ra、Rb、Rc及びRdは各々、
水素原子、アシル基、脂肪族炭化水素基、アリール基ま
たは複素環基を表し、またはRaとRb、RcとRd、
RaとRc或いはRbとRdの間で結合して含窒素複素
環基を形成することができる。M31は分子内の電荷を相
殺するに必要なイオンを表し、k31は分子内の電荷を相
殺するに必要なイオンの数を表す。
【0164】一般色〔5〕において、T31で表される脂
肪族炭化水素基からなる2価の連結基としては、直鎖、
分岐または環状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜
20、より好ましくは1〜16、更に好ましくは1〜1
2)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より
好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜12)、アル
キニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは
2〜16、更に好ましくは2〜12)であり、置換基を
有していてもよく、例えば脂肪族炭化水素基としては、
直鎖、分岐または環状のアルキル基(好ましくは炭素数
1〜20、より好ましくは1〜16、更に好ましくは1
〜12)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、
より好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜12)、
アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好まし
くは2〜16、更に好ましくは2〜12)であり、アリ
ール基としては、炭素数6〜20の単環または縮環のア
リール基(例えば、フェニル、ナフチル等が挙げられ、
好ましくはフェニル)であり、複素環基としては、3〜
10員の飽和、不飽和のヘテロ環基(例えば、2−チア
ゾリル、1−ピペラジニル、2−ピリジル、3−ピリジ
ル、2−フリル、2−チエニル基、2−ベンゾイミダゾ
リル基、カルバゾリル基等)であり、これらの基中のヘ
テロ環は単環であっても、他の環と縮合環を形成しても
よい。これらの各基は任意の個所に置換基を有していて
もよく、例えば、アルキル基(シクロアルキル基、アラ
ルキル基を含み、好ましくは炭素数1〜20、より好ま
しくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8で
あり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、
iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル
基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、
n−ウンデシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピ
ル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル
基、フェネチル基等が挙げられる。)、アルケニル基
(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2
〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビ
ニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基
等が挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは、炭素
数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ま
しくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル基、3
−ペンチニル基等が挙げられる。)、アリール基(好ま
しくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜2
0、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えば、フ
ェニル基、p−トリル基、O−アミノフェニル基、ナフ
チル基等が挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素
数、0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好
ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ基、メチル
アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチ
ルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジベンジルアミノ基
等が挙げられる。)、イミノ基(好ましくは炭素数1〜
20、より好ましくは炭素数1〜18、特に好ましくは
炭素数1〜12であり、例えばメチルイミノ基、エチル
イミノ基、プロピルイミノ基、フェニルイミノ基等)ア
ルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましく
は炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であ
り、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基
等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、
より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数
6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチ
ルオキシ基等が挙)、アシル基(好ましくは炭素数1〜
20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは
炭素数1〜12であり、例えば、アセチル基、ベンゾイ
ル基、ホルミル基、ピバロイル基等)、アルコキシカル
ボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは
炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であ
り、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニ
ル基等)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭
素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好
ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシ
カルボニル基等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数
1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好まし
くは炭素数1〜10であり、例えばアセトキシ基、ベン
ゾイルオキシ基等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素
数1〜20、より好ましくは炭素1〜16、特に好まし
くは炭素数1〜10であり、例えばアセチルアミノ基、
ベンゾイルアミノ基等)、アルコキシカルボニルアミノ
基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数
2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例え
ばメトキシカルボニルアミノ等)、アリールオキシカル
ボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ま
しくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12
であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ等)、
スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より
好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜
12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼ
ンスルホニルアミノ基等)、スルファモイル基(好まし
くは炭素数0〜20、より好ましくは炭素0〜16、特
に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモ
イル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモ
イル基、フェニルスルファモイル基等)、カルバモイル
基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素1
〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば
カルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカル
バモイル基、フェニルカルバモイル基等)、アルキルチ
オ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素
数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例
えばメチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基
(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素6〜
16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフ
ェニルチオ基等)、スルホニル基(好ましくは炭素数1
〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましく
は炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニル基、
トシル基等)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜
20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは
炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、
ベンゼンスルフィニル基等が挙げられる。)、ウレイド
基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数
1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例え
ばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基
等)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、よ
り好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1
〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニル
リン酸アミド等)、ヒドロキシル基、メルカプト基、ハ
ロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原
子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、スルフィノ
基、カルボキシル基、ホスホノ基、ホスフィノ基、ニト
ロ基、ヒドロキサム酸基、ヒドラジノ基、ヘテロ環基
(例えば、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、チアゾ
リル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル、ピリジル、フ
リル、ピペリジル、モルホリノ等)等が挙げられる。
【0165】上記の基のうちヒドロキシル基、メルカプ
ト基、スルホ基、スルフィノ基、カルボキシル基、ホス
ホノ基、ホスフィノ基等のような塩形成可能な基は塩で
あってもよい。これらの置換基は更に置換されてもよ
い。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異な
ってもよい。置換基として好ましくは、アルキル基、ア
ラルキル基、アルコキシ基、アリール基、アルキルチオ
基、アシル基、アシルアミノ基、イミノ基、スルファモ
イル基、スルホニル基、スルホニルアミノ基、ウレイド
基、アミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヘテロ環基、
アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、スルホ基、
カルバモイル基、カルボキシル基であり、より好ましく
はアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アルキルチ
オ基、アシル基、アシルアミノ基、イミノ基、スルホニ
ルアミノ基、ウレイド基、アミノ基、ハロゲン原子、ニ
トロ基、ヘテロ環基、アルコキシカルボニル基、ヒドロ
キシル基、スルホ基、カルバモイル基、カルボキシル基
であり、更に好ましくはアルキル基、アルコキシ基、ア
リール基、アルキルチオ基、アシルアミノ基、イミノ
基、ウレイド基、アミノ基、ヘテロ環基、アルコキシカ
ルボニル基、ヒドロキシル基、スルホ基、カルバモイル
基、カルボキシル基である。アミジノ基としては、置換
基を有するものを含み、置換基としては、例えばアルキ
ル基(メチル、エチル、ピリジルメチル、ベンジル、フ
ェネチル、カルボキシベンジル、アミノフェニルメチル
等の各基)、アリール基(フェニル、p−トリル、ナフ
チル、o−アミノフェニル、o−メトキシフェニル等の
各基)、複素環基(2−チアゾリル、2−ピリジル、3
−ピリジル、2−フリル、3−フリル、2−チエノ、2
−イミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル等の
各基)等が挙げられる。
【0166】J31で表される酸素原子、硫黄原子または
窒素原子を一つ以上含む2価の連結基としては、例えば
以下のものが挙げられる。また、これらの組み合わせで
あってもよい。
【0167】
【化14】
【0168】ここで、Re及びRfは各々、前述したR
a〜Rdに定義した内容に同義である。
【0169】H31Arで表される芳香族炭化水素基とし
ては、好ましくは炭素数6〜30のものであり、より好
ましくは炭素数6〜20の単環または縮環のアリール基
であり、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げら
れ、特に好ましくはフェニル基である。H31Arで表さ
れる芳香族複素環基としてはN、O及びSのうちの少な
くとも一つの原子を含む5〜10員の不飽和のヘテロ環
基であり、これらの基中のヘテロ環は単環であってもよ
いし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。このよう
なヘテロ環基中のヘテロ環として好ましくは、5〜6員
の芳香族ヘテロ環、及びそのベンゾ縮合環であり、より
好ましくは窒素原子を含む5〜6員の芳香族ヘテロ環、
及びそのベンゾ縮合環であり、更に好ましくは窒素原子
を1〜2原子含む5〜6員の芳香族ヘテロ環、及びその
ベンゾ縮合環である。
【0170】ヘテロ環基の具体例としては、例えばチオ
フェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾー
ル、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、
トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チア
ジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジ
ン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノ
リン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フ
ェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、
ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチア
ゾール、ベンゾチアゾリン、ベンゾトリアゾール、テト
ラザインデン、カルバゾール、等から誘導される基が挙
げられる。ヘテロ環基として好ましくは、イミダゾー
ル、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、インドール、イ
ンダゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノ
リン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサ
ゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベ
ンゾチアゾール、ベンゾチアゾリン、ベンゾトリアゾー
ル、テトラザインデン、カルバゾールからなる基であ
り、更に好ましくは、イミダゾール、ピリジン、ピラジ
ン、キノリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾー
ル、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾ
チアゾール、ベンゾチアゾリン、ベンゾトリアゾール、
カルバゾールから誘導される基が挙げられる。
【0171】H31Arで表される芳香族炭化水素基並び
に芳香族複素環基は置換基を有していてもよく、置換基
としては、例えばT31の置換基として挙げた基と同様
のものを挙げることができ、好ましい範囲も同様であ
る。これらの置換基は更に置換されてもよく、また、置
換基が二つ以上ある場合には各々、同じでも異なっても
よい。H31Arで表される基は好ましくは芳香族複素環
基である。
【0172】Ra、Rb、Rc、Rdで表される脂肪族
炭化水素基、アリール基及び複素環基は、前記T31に於
て脂肪族炭化水素基、アリール基及び複素環基の例とし
て挙げたと同様のものを挙げることができ、好ましい範
囲も同様である。Ra、Rb、Rc、Rdで表されるア
シル基としては炭素数1〜12の脂肪族或いは芳香族の
基であり、具体的にはアセチル、ベンゾイル、ホルミ
ル、ピバロイル等の基が挙げられる。RaとRb、Rc
とRd、RaとRc或いはRbとRdの間で結合して形
成する含窒素複素環基としては3〜10員の飽和、不飽
和のヘテロ環基(例えば、ピペリジン環、ピペラジン
環、アクリジン環、ピロリジン環、ピロール環、モルフ
ォリン環等の環基)が挙げられる。
【0173】M31で表される分子内の電荷を相殺するに
必要なイオンとして、酸アニオンの具体例としては、例
えばハロゲンイオン(例えば、塩素イオン、臭素イオ
ン、沃素イオン等)、p−トルエンスルホン酸イオン、
過塩素酸イオン、4フッ化ホウ素イオン、硫酸イオン、
メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、メタンスルホン
酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等が挙
げられる。
【0174】本発明に用いられる強色増感剤は、有機銀
塩及びハロゲン化銀粒子を含む感光層中に銀1モル当た
り0.001〜1.0モルで用いるのが好ましい。特に
好ましくは、銀1モル当たり0.01〜0.5モルの量
が好ましい。
【0175】本発明に使用される省銀化剤とは、一定の
銀画像濃度を得るために必要な銀量を低減化し得る化合
物をいう。この低減化する機能の作用機構は種々考えら
れるが、現像銀の被覆力を向上させる機能を有する化合
物が好ましい。ここで、現像銀の被覆力とは、銀の単位
量当たりの光学濃度をいう。この省銀化剤は感光層また
は非感光層、更にはそのいずれにも存在せしめることが
できる。
【0176】省銀化剤としては、下記一般式〔H〕で表
されるヒドラジン誘導体、下記一般式(G)で表せるビ
ニル化合物、下記一般式(P)で表される4級オニウム
化合物等が好ましい例として挙げられる。
【0177】
【化15】
【0178】
【化16】
【0179】一般式〔H〕において、式中、A0はそれ
ぞれ置換基を有してもよい脂肪族基、芳香族基、複素環
基または−G0−D0基を、B0はブロッキング基を表
し、A1、A2はともに水素原子、または一方が水素原
子で他方はアシル基、スルホニル基またはオキザリル基
を表す。ここで、G0は−CO−基、−COCO−基、
−CS−基、−C(=NG11)−基、−SO−基、−
SO2−基または−P(O)(G11)−基を表し、G1
は単なる結合手、−O−基、−S−基または−N
(D1)−基を表し、D1は脂肪族基、芳香族基、複素環
基または水素原子を表し、分子内に複数のD1が存在す
る場合、それらは同じであっても異なってもよい。D0
は水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アミノ
基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ
基、アリールチオ基を表す。好ましいD0としては、水
素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基等が挙げ
られる。
【0180】一般式〔H〕において、A0で表される脂
肪族基としては、好ましくは炭素数1〜30のものであ
り、特に炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアル
キル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、ter
t−ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジ
ル基が挙げられ、これらは更に適当な置換基(例えば、
アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキ
ルチオ基、アリールチオ基、スルホキシ基、スルホンア
ミド基、スルファモイル基、アシルアミノ基、ウレイド
基等)で置換されていてもよい。
【0181】一般式〔H〕において、A0で表される芳
香族基としては、単環または縮合環のアリール基が好ま
しく、例えばベンゼン環またはナフタレン環が挙げられ
る。
【0182】一般式〔H〕において、A0で表される複
素環基としては、単環または縮合環で窒素、硫黄、酸素
原子から選ばれる少なくとも一つのヘテロ原子を含む複
素環が好ましく、例えばピロリジン環、イミダゾール
環、テトラヒドロフラン環、モルホリン環、ピリジン
環、ピリミジン環、キノリン環、チアゾール環、ベンゾ
チアゾール環、チオフェン環、フラン環が挙げられる。
0の芳香族基、複素環基及び−G0−D0基は置換基を
有していてもよい。A0として、特に好ましいものはア
リール基及び−G0−D0基である。
【0183】又、一般式〔H〕において、A0は耐拡散
基またはハロゲン化銀吸着基を、少なくとも一つ含むこ
とが好ましい。耐拡散基としては、カプラー等の不動性
写真用添加剤にて常用されるバラスト基が好ましく、バ
ラスト基としては、写真的に不活性であるアルキル基、
アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、フェニル
基、フェノキシ基、アルキルフェノキシ基等が挙げら
れ、置換基部分の炭素数の合計は8以上であることが好
ましい。
【0184】一般式〔H〕において、ハロゲン化銀吸着
促進基としては、チオ尿素、チオウレタン基、メルカプ
ト基、チオエーテル基、チオカルボニル基(チオン基と
もいう)、複素環基、チオアミド複素環基、メルカプト
複素環基或いは特開昭64−90439号に記載の吸着
基等が挙げられる。
【0185】一般式〔H〕において、B0はブロッキン
グ基を表し、好ましくは−G0−D0基であり、G0は−
CO−基、−COCO−基、−CS−基、−C(=NG
11)−基、−SO−基、−SO2−基又は−P(O)
(G11)−基を表す。好ましいG0としては−CO−
基、−COCO−基が挙げられ、G1は単なる結合手、
−O−基、−S−基又は−N(D1)−基を表し、D1
脂肪族基、芳香族基、複素環基又は水素原子を表し、分
子内に複数のD1が存在する場合、それらは同じであっ
ても異なってもよい。D0は水素原子、脂肪族基、芳香
族基、複素環基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオ
キシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基を表し、好ま
しいD0としては水素原子、アルキル基、アルコキシ
基、アミノ基等が挙げられる。A1、A2はともに水素原
子、又は一方が水素原子で他方はアシル基(アセチル
基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基等)、スル
ホニル基(メタンスルホニル基、トルエンスルホニル基
等)、又はオキザリル基(エトキザリル基等)を表す。
【0186】これら一般式〔H〕で表される化合物は、
公知の方法により容易に合成することができる。例え
ば、米国特許第5,464,738号、同第5,49
6,695号を参考にして合成することができる。
【0187】その他に好ましく用いることのできるヒド
ラジン誘導体は、米国特許第5,545,505号カラ
ム11〜20に記載の化合物H−1〜H−29、同第
5,464,738号カラム9〜11に記載の化合物1
〜12である。これらのヒドラジン誘導体は公知の方法
で合成することができる。
【0188】一般式(G)において、XとR40はシスの
形で表示してあるが、XとR40がトランスの形も一般式
(G)に含まれる。この事は具体的化合物の構造表示に
おいても同様である。
【0189】一般式(G)において、Xは電子吸引性基
を表し、Wは水素原子、アルキル基、アルケニル基、ア
ルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、
アシル基、チオアシル基、オキサリル基、オキシオキサ
リル基、チオオキサリル基、オキサモイル基、オキシカ
ルボニル基、チオカルボニル基、カルバモイル基、チオ
カルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキ
シスルフィニル基、チオスルフィニル基、スルファモイ
ル基、オキシスルフィニル基、チオスルフィニル基、ス
ルフィナモイル基、ホスホリル基、ニトロ基、イミノ
基、N−カルボニルイミノ基、N−スルホニルイミノ
基、ジシアノエチレン基、アンモニウム基、スルホニウ
ム基、ホスホニウム基、ピリリウム基、インモニウム基
を表す。
【0190】R40はハロゲン原子、ヒドロキシル基、ア
ルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、ア
ルケニルオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボ
ニルオキシ基、アミノカルボニルオキシ基、メルカプト
基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ
基、アルケニルチオ基、アシルチオ基、アルコキシカル
ボニルチオ基、アミノカルボニルチオ基、ヒドロキシル
基またはメルカプト基の有機または無機の塩(例えば、
ナトリウム塩、カリウム塩、銀塩等)、アミノ基、アル
キルアミノ基、環状アミノ基(例えば、ピロリジノ
基)、アシルアミノ基、オキシカルボニルアミノ基、ヘ
テロ環基(5〜6員の含窒素ヘテロ環、例えばベンツト
リアゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テト
ラゾリル基等)、ウレイド基、スルホンアミド基を表
す。XとW、XとR40は、それぞれ互いに結合して環
状構造を形成してもよい。XとWが形成する環として
は、例えばピラゾロン、ピラゾリジノン、シクロペンタ
ンジオン、β−ケトラクトン、β−ケトラクタム等が挙
げられる。
【0191】一般式(G)について更に説明すると、X
の表す電子吸引性基とは、置換基定数σpが正の値をと
りうる置換基のことである。具体的には、置換アルキル
基(ハロゲン置換アルキル等)、置換アルケニル基(シ
アノビニル等)、置換・未置換のアルキニル基(トリフ
ルオロメチルアセチレニル、シアノアセチレニル等)、
置換アリール基(シアノフェニル等)、置換・未置換の
ヘテロ環基(ピリジル、トリアジニル、ベンゾオキサゾ
リル等)、ハロゲン原子、シアノ基、アシル基(アセチ
ル、トリフルオロアセチル、ホルミル等)、チオアセチ
ル基(チオアセチル、チオホルミル等)、オキサリル基
(メチルオキサリル等)、オキシオキサリル基(エトキ
サリル等)、チオオキサリル基(エチルチオオキサリル
等)、オキサモイル基(メチルオキサモイル等)、オキ
シカルボニル基(エトキシカルボニル等)、カルボキシ
ル基、チオカルボニル基(エチルチオカルボニル等)、
カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルホニル基、
スルフィニル基、オキシスルホニル基(エトキシスルホ
ニル等)、チオスルホニル基(エチルチオスルホニル
等)、スルファモイル基、オキシスルフィニル基(メト
キシスルフィニル等)、チオスルフィニル基(メチルチ
オスルフィニル等)、スルフィナモイル基、ホスホリル
基、ニトロ基、イミノ基、N−カルボニルイミノ基(N
−アセチルイミノ等)、N−スルホニルイミノ基(N−
メタンスルホニルイミノ等)、ジシアノエチレン基、ア
ンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ピリ
リウム基、インモニウム基が挙げられるが、アンモニウ
ム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、インモニウム
基等が環を形成したヘテロ環状のものも含まれる。σp
値として0.30以上の置換基が特に好ましい。
【0192】Wとして表されるアルキル基としては、メ
チル、エチル、トリフルオロメチル等が、アルケニル基
としてはビニル、ハロゲン置換ビニル、シアノビニル等
が、アルキニル基としてはアセチレニル、シアノアセチ
レニル等が、アリール基としてはニトロフェニル、シア
ノフェニル、ペンタフルオロフェニル等が、ヘテロ環基
としてはピリジル、ピリミジル、トリアジニル、スクシ
ンイミド、テトラゾリル、トリアゾリル、イミダゾリ
ル、ベンゾオキサゾリル等が挙げられる。Wとしてはσ
p値が正の電子吸引性基が好ましく、更にはその値が
0.30以上のものが好ましい。
【0193】上記R40の置換基の内、好ましくはヒドロ
キシル基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチオ
基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基またはメルカプト基
の有機または無機の塩、ヘテロ環基が挙げられ、更に好
ましくはヒドロキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル
基またはメルカプト基の有機または無機の塩、ヘテロ環
基が挙げられ、特に好ましくはヒドロキシル基、ヒドロ
キシル基またはメルカプト基の有機または無機の塩が挙
げられる。
【0194】また上記X及びWの置換基の内、置換基中
にチオエーテル結合を有するものが好ましい。
【0195】一般式(P)において、Q3は窒素原子又
は燐原子を表し、R41、R42、R43及びR44は、各々水
素原子または、置換基を表し、X-はアニオンを表す。
尚、R41〜R44は互いに連結して環を形成してもよい。
【0196】R41〜R44で表される置換基としては、各
々アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチ
ル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル
基(アリル基、ブテニル基等)、アルキニル基(プロパ
ルギル基、ブチニル基等)、アリール基(フェニル基、
ナフチル基等)、複素環基(ピペリジニル基、ピペラジ
ニル基、モルホリニル基、ピリジル基、フリル基、チエ
ニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロチエニル
基、スルホラニル基等)、アミノ基等が挙げられる。
【0197】R41〜R44が互いに連結して形成しうる環
としては、ピペリジン環、モルホリン環、ピペラジン
環、キヌクリジン環、ピリジン環、ピロール環、イミダ
ゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環等が挙げら
れる。
【0198】R41〜R44で表される基はヒドロキシル
基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボキシル
基、スルホ基、アルキル基、アリール基等の置換基を有
してもよい。R41、R42、R43及びR44としては、水素
原子及びアルキル基が好ましい。
【0199】X-が表すアニオンとしては、ハロゲンイ
オン、硫酸イオン、硝酸イオン、酢酸イオン、p−トル
エンスルホン酸イオン等の無機及び有機のアニオンが挙
げられる。
【0200】上記4級オニウム化合物は公知の方法に従
って容易に合成でき、例えば上記テトラゾリウム化合物
は、Chemical Reviews vol.55
p.335〜483に記載の方法を参照し、合成可能
である。
【0201】更に、本発明に係る省銀化剤として最も好
ましくは前記一般式(X)で表される化合物であり、以
下詳述する。
【0202】一般式(X)においてR1xおよびR2xは水
素原子、または置換基を表すが、置換基の例としては、
炭素数1〜25のアルキル基(メチル基、エチル基、プ
ロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等)、ハロゲン
化アルキル基(トリフルオロメチル基、パーフルオロオ
クチル基等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基、
シクロペンチル基等)、アルキニル基(プロパルギル基
等)、グリシジル基、アクリレート基、メタクリレート
基、アリール基(フェニル基等)、複素環基(ピリジル
基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、
フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル
基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スリホラニル
基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基
等)、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、ヨウ素原
子、フッ素原子等)、アルコキシ基(メトキシ基、エト
キシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、シクロ
ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシル
オキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、
アルコキシカルボニル基(メチルオキシカルボニル基、
エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基
等)、アリールオキシカルボニル基(フェニルオキシカ
ルボニル基等)、スルホンアミド基(メタンスルホンア
ミド基、エタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミ
ド基、ヘキサンスルホンアミド基、シクロヘキサンスル
ホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等)、スルフ
ァモイル基(アミノスルホニル基、メチルアミノスルホ
ニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノス
ルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキ
シルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル
基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、ウレタン基
(メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレ
イド基、シクロヘキシルウレイド基、フェニルウレイド
基、2−ピリジルウレイド基等)、アシル基(アセチル
基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、
シクロヘキサノイル基、ベンゾイル基、ピリジノイル基
等)、カルバモイル基(アミノカルボニル基、メチルア
ミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロ
ピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル
基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミ
ノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基
等)、アミド基(アセトアミド基、プロピオンアミド
基、ブタンアミド基、ヘキサンアミド基、ベンズアミド
基等)、スルホニル基(メチルスルホニル基、エチルス
ルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスル
ホニル基、フェニルスルホニル基、2−ピリジルスルホ
ニル基等)、アミノ基(アミノ基、エチルアミノ基、ジ
メチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミ
ノ基、アニリノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シアノ
基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシ
ル基、オキザモイル基等を挙げることができる。又これ
らの基は更にこれらの基で置換されていてもよい。
1x、R2xとしては、水素原子、炭素数1〜3のアルキ
ル基が好ましく、特に好ましくは水素原子である。
【0203】R3xは水素原子、または置換基を表すが、
置換基の例としては上述のR1x、およびR2xと同じもの
を挙げることができる。好ましくは水素原子、炭素数1
〜3のアルキル基であり特に好ましくは水素原子であ
る。
【0204】X1xは−S−、−O−、又は−N(R3x
−を表すが、好ましくは−N(R3x)−であり、特に好
ましくは−NH−である。nxは2又は3を表すが、2
であることが好ましい。mxは1〜3の整数を表すが、
1または2が好ましく、特に1であることが好ましい。
【0205】X2xは耐拡散性基、ハロゲン化銀への吸着
基、またはシリル基を表すが、耐拡散性基としては、炭
素数が6以上の脂肪族基や炭素数が3以上のアルキル基
が導入されているアリール基等が好ましい。耐拡散性
は、系中のバインダや架橋剤の使用量によって異なる
が、耐拡散性の基を導入することにより、室温状態で系
内での移動距離が抑制され経時安定性が向上できる。耐
拡散性を評価する方法は、両端が開口しているキャピラ
リー内にバインダを入れ架橋し、キャピラリーの1開口
面に被検化合物を接触存在させて、一定温度、一定時間
経過後、移動した量を赤外分光法、質量分析法、アイソ
トープ法、NMR法等により調べて行う。拡散の程度は
温度や時間を変化させて調べることができ、拡散を10
0倍〜1億倍まで遅くすることが可能であるが、拡散性
を過度に抑えると本来の機能が損なわれるため、室温下
での拡散速度が10倍〜100万倍程度に遅くなるよう
な基の導入が適当である。
【0206】吸着性基としては、芳香族基、硫黄や窒素
原子を少なくとも1つ含む基やアルキレンオキサイド基
やカルボキシル基が挙げられる。好ましい吸着性基とし
てはメルカプト基、チオエーテル基、チオウレイド基、
または窒素原子を含む1級〜3級のアミノ基やピリジン
基、キノリン基、イソキノリン基、イミダゾール基、ピ
ラゾール基、トリアゾール基、オキサゾール基、チアゾ
ール基、オキサジアゾール基、チアジアゾール基、テト
ラゾール基等のヘテロ環基が挙げられる。吸着性基もハ
ロゲン化銀に対しての吸着量を調べることにより評価で
きる。吸着量の測定は、被検物質をハロゲン化銀を含む
溶液に添加し、ハロゲン化銀を濾別したあとの溶液の濃
度を測定することによりハロゲン化銀に吸着した量を算
出することができる。吸着量は、ハロゲン化銀溶液の銀
イオン濃度、ハロゲン化銀の粒子形状、粒子径によって
異なるが、ここでは有機銀に添加するハロゲン化銀の形
状、粒子径、電位等の条件で測定するのが望ましい。好
ましい例は、沃素を0.1〜10モル%含む平均粒子径
10〜300nmの立方晶、八面体または平板粒子の沃
臭化銀をpAgが6〜8の条件で25℃±5℃、1時間
〜48時間放置した後のハロゲン化銀粒子の吸着量を測
定することである。沃素を含まない臭化銀粒子や塩化銀
粒子で測定してもよい。ハロゲン化銀粒子の表面積の3
%〜100%範囲で被覆すると算出された場合は吸着性
と判定することができる。吸着性の試験は、色素、染
料、安定化剤、カブリ抑制剤等を添加しないハロゲン化
銀乳剤で調べることが好ましいが、実際の系に近い色
素、安定化剤、カブリ抑制剤等の添加されたハロゲン化
銀乳剤で測定してもよい。
【0207】シリル基としては具体的には水素原子、ヒ
ドロキシル基、アルキル基、アリール基、ハロゲン原
子、アミノ基、シロキシ基、アシルオキシ基、アルコキ
シル基、またはアリールオキシ基が置換したシリル基が
挙げられる。好ましくは炭素数1から3のアルコキシル
基が置換したシリル基でありより好ましくはトリエトキ
シシリル基、トリメトキシシリル基である。
【0208】qxは1から3の整数を表すが、好ましく
は1または2でありより好ましくは1である。
【0209】Lxは2〜6価の連結基を表すが、好まし
くは2価の連結基である。連結基として具体的にはアル
キレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、ヘテロ環基、
ヘテロ原子(酸素、窒素、硫黄原子等)、またはこれら
基を任意に組み合わせた基が挙げられる。好ましくは炭
素数が2から4のアルキレン基である。
【0210】以下に、一般式(X)で表される化合物の
具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0211】
【化17】
【0212】
【化18】
【0213】
【化19】
【0214】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料においては、省銀化剤を一種単独で含有するもので
あっても、2種以上を含有するものであってもよい。ま
た、省銀化剤は有機銀塩を含有する感光性層に含有させ
ることが好ましいが、隣接する非感光性層に含有させて
もよい。添加量は、非感光性有機銀塩1モルに対し10
-5〜1モル、好ましくは10-4〜5×10-1モルの範囲
である。
【0215】省銀化剤は溶液形態、乳化分散形態、固体
微粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液に含有せ
しめ、本発明に係る材料に含有させてもよい。溶液形態
での添加としては、酢酸エチル、メチルエチルケトン、
トルエン、メタノール、またはシクロヘキサノン等の低
沸点有機溶剤に溶解して塗布液に添加する方法が挙げら
れる。乳化分散形態での添加としては、ジブチルフタレ
ート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリア
セテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢
酸エチル、メチルエチルケトン、またはシクロヘキサノ
ンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物
を作製して塗布液に添加する方法が挙げられる。固体微
粒子分散物形態としては、一般式(X)で表される化合
物の粉末を適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、
振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ローラー
ミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を作製
して塗布液に添加する方法が挙げられる。尚、その際に
保護コロイド(例えば、ポリビニルアルコール)、界面
活性剤(例えばトリイソプロピルナフタレンスルホン酸
ナトリウム(3つのイソプロピル基の置換位置が異なる
ものの混合物)などのアニオン性界面活性剤)を用いて
もよい。水分散物には防腐剤(例えばベンゾイソチアゾ
リノンナトリウム塩)を含有させることができる。本発
明においては省銀化剤を溶液形態、または固体微粒子分
散物形態として塗布液に用いることが好ましい。
【0216】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料に好適なバインダは、透明または半透明で、一般に
無色であり、天然ポリマー合成樹脂やポリマー及びコポ
リマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば:ゼラ
チン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒド
ロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セル
ロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリド
ン)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ
(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ
(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン
酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ
(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)
類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニ
ルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタ
ン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポ
リ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ
(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ
(アミド)類がある。親水性でも非親水性でもよい。
【0217】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料の感光層に好ましいバインダはポリビニルアセター
ル類であり、特に好ましいバインダはポリビニルブチラ
ールである。詳しくは後述する。又、上塗り層や下塗り
層、特に保護層やバックコート層等の非感光層に対して
は、より軟化温度の高いポリマーであるセルロースエス
テル類、特にトリアセチルセルロース、セルロースアセ
テートブチレート等のポリマーが好ましい。なお、必要
に応じて、上記のバインダは2種以上を組み合わせて用
いうる。
【0218】このようなバインダは、バインダとして機
能するのに効果的な範囲で用いられる。効果的な範囲は
当業者が容易に決定しうる。例えば、感光層において少
なくとも脂肪族カルボン酸銀塩を保持する場合の指標と
しては、バインダと脂肪族カルボン酸銀塩との割合は1
5:1〜1:2、特に8:1〜1:1の範囲が好まし
い。即ち、感光層のバインダ量が1.5〜6g/m2
あることが好ましい。更に好ましくは1.7〜5g/m
2である。1.5g/m2未満では未露光部の濃度が大幅
に上昇し、使用に耐えない場合がある。
【0219】本発明では、100℃以上の温度で現像処
理した後の熱転移点温度が、46℃以上、200℃以下
であることが特徴である。本発明でいう熱転移点温度と
は、VICAT軟化点または環球法で示した値であり、
示差走査熱量計(DSC)、例えばEXSTAR 60
00(セイコー電子社製)、DSC220C(セイコー
電子工業社製)、DSC−7(パーキンエルマー社製)
等を用いて、熱現像済みの感光層を単離して測定した際
の吸熱ピークをさす。一般的に高分子化合物はガラス転
移点Tgを有しているが、銀塩光熱写真ドライイメージ
ング材料においては、感光層に用いているバインダ樹脂
のTg値よりも低いところに、大きな吸熱ピークが出現
する。この熱転移点温度に着目し鋭意検討を行った結
果、この熱転移点温度を46℃以上、200℃以下にす
ることにより、形成された塗膜の堅牢性が増すのみなら
ず、感度、最大濃度、画像保存性など写真性能が大幅に
向上することを新たに見出し、本発明に至った。
【0220】ガラス転移温度(Tg)は、ブランドラッ
プらによる“重合体ハンドブック”III−139頁〜III
−179頁(1966年、ワイリー アンド サン社
版)に記載の方法で求めたものであり、バインダが共重
合体樹脂である場合のTgは下記の式で求められる。
【0221】Tg(共重合体)(℃)=v1Tg1+v
2Tg2+・・・+vnTgn 式中、v1、v2・・・vnは共重合体中の単量体の質
量分率を表し、Tg1、Tg2・・・Tgnは、共重合
体中の各単量体から得られる単一重合体のTg(℃)を
表す。上式に従って計算されたTgの精度は、±5℃で
ある。
【0222】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料において、支持体上に脂肪族カルボン酸銀塩、感光
性ハロゲン化銀粒子、還元剤等を含有する感光層に含有
するバインダとしては、従来公知の高分子化合物を用い
ることができる。Tgが70〜105℃、数平均分子量
が1,000〜1,000,000、好ましくは10,
000〜500,000、重合度が約50〜1,000
程度のものである。このような例としては、塩化ビニ
ル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アク
リル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリ
ロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、ス
チレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビ
ニルアセタール、ビニルエーテル等のエチレン性不飽和
モノマーを構成単位として含む重合体または共重合体よ
りなる化合物、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂があ
る。
【0223】また、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アル
キド樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、エ
ポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げら
れる。これらの樹脂については、朝倉書店発行の「プラ
スチックハンドブック」に詳細に記載されている。これ
らの高分子化合物に、特に制限はなく、誘導される重合
体のガラス転移温度(Tg)が70〜105℃の範囲に
あれば、単独重合体でも共重合体でもよい。
【0224】このようなエチレン性不飽和モノマーを構
成単位として含む重合体または共重合体としては、アク
リル酸アルキルエステル類、アクリル酸アリールエステ
ル類、メタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸
アリールエステル類、シアノアクリル酸アルキルエステ
ル類、シアノアクリル酸アリールエステル類などを挙げ
ることができ、それらのアルキル基、アリール基は置換
されていてもされていなくてもよく、具体的にはメチ
ル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチ
ル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、
アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ベンジル、クロロ
ベンジル、オクチル、ステアリル、スルホプロピル、N
−エチル−フェニルアミノエチル、2−(3−フェニル
プロピルオキシ)エチル、ジメチルアミノフェノキシエ
チル、フルフリル、テトラヒドロフルフリル、フェニ
ル、クレジル、ナフチル、2−ヒドロキシエチル、4−
ヒドロキシブチル、トリエチレングリコール、ジプロピ
レングリコール、2−メトキシエチル、3−メトキシブ
チル、2−アセトキシエチル、2−アセトアセトキシエ
チル、2−エトキシエチル、2−iso−プロポキシエ
チル、2−ブトキシエチル、2−(2−メトキシエトキ
シ)エチル、2−(2−エトキシエトキシ)エチル、2
−(2−ブトキシエトキシ)エチル、2−ジフェニルホ
スホリルエチル、ω−メトキシポリエチレングリコール
(付加モル数n=6)、アリル、ジメチルアミノエチル
メチルクロライド塩などを挙げることができる。
【0225】その他、下記のモノマー等が使用できる。
ビニルエステル類:その具体例としては、ビニルアセテ
ート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニ
ルイソブチレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロ
アセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルフェニ
ルアセテート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニルな
ど;N−置換アクリルアミド類、N−置換メタクリルア
ミド類及びアクリルアミド、メタクリルアミド:N−置
換基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、t
ert−ブチル、シクロヘキシル、ベンジル、ヒドロキ
シメチル、メトキシエチル、ジメチルアミノエチル、フ
ェニル、ジメチル、ジエチル、β−シアノエチル、N−
(2−アセトアセトキシエチル)、ジアセトンなど;オ
レフィン類:例えば、ジシクロペンタジエン、エチレ
ン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、イソプレン、クロロプレン、ブタ
ジエン、2,3−ジメチルブタジエン等;スチレン類:
例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチ
ルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、
tert−ブチルスチレン、クロルメチルスチレン、メ
トキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレ
ン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ビニル安息香
酸メチルエステルなど;ビニルエーテル類:例えば、メ
チルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシル
ビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、ジメ
チルアミノエチルビニルエーテルなど;N−置換マレイ
ミド類:N−置換基として、メチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、tert−ブチル、シクロヘキシル、ベン
ジル、n−ドデシル、フェニル、2−メチルフェニル、
2,6−ジエチルフェニル、2−クロルフェニルなどを
有するものなど;その他として、クロトン酸ブチル、ク
ロトン酸ヘキシル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジ
ブチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マ
レイン酸ジブチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチ
ル、フマル酸ジブチル、メチルビニルケトン、フェニル
ビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン、グリシジ
ルアクリレート、グリシジルメタクリレート、N−ビニ
ルオキサゾリドン、N−ビニルピロリドン、アクリロニ
トリル、メタアクリロニトリル、メチレンマロンニトリ
ル、塩化ビニリデンなどを挙げることができる。
【0226】これらのうち、特に好ましい例としては、
メタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸アリー
ルエステル類、スチレン類等が挙げられる。このような
高分子化合物のなかでも、アセタール基を持つ高分子化
合物を用いることが好ましい。アセタール基を持つ高分
子化合物では、生成する脂肪族カルボン酸との相溶性に
優れるため膜の柔軟化を防ぐ効果が大きく好ましい。
【0227】アセタール基を持つ高分子化合物として
は、下記一般式(V)で表される化合物が、特に好まし
い。
【0228】
【化20】
【0229】式中、R51はアルキル基、置換アルキル
基、アリール基または置換アリール基を表すが好ましく
はアリール基以外の基である。R52は無置換アルキル
基、置換アルキル基、無置換アリール基、置換アリール
基、−COR53または−CONHR53を表す。R53はR
51と同義である。
【0230】R51、R52、R53で表される無置換アルキ
ル基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、特に
好ましくは炭素数1〜6である。これらは直鎖であって
も分岐していてもよく、好ましくは直鎖のアルキル基が
好ましい。このような無置換アルキル基としては、例え
ば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル
基、n−アミル基、tert−アミル基、n−ヘキシル
基、シクロヘキシル基、n−ヘプシル基、n−オクチル
基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n
−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−オク
タデシル基等が挙げられるが、特に好ましくはメチル基
もしくはプロピル基である。
【0231】無置換アリール基としては、炭素数6〜2
0のものが好ましく、例えばフェニル基、ナフチル基等
が挙げられる。上記のアルキル基、アリール基に置換可
能な基としては、アルキル基(例えば、メチル基、n−
プロピル基、tert−アミル基、tert−オクチル
基、n−ノニル基、ドデシル基等)、アリール基(例え
ば、フェニル基等)、ニトロ基、水酸基、シアノ基、ス
ルホ基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基等)、アリ
ールオキシ基(例えば、フェノキシ基等)、アシルオキ
シ基(例えば、アセトキシ基等)、アシルアミノ基(例
えば、アセチルアミノ基等)、スルホンアミド基(例え
ば、メタンスルホンアミド基等)、スルファモイル基
(例えば、メチルスルファモイル基等)、ハロゲン原子
(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、カルボ
キシ基、カルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル
基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシル
ボニル基等)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニ
ル基等)などが挙げられる。この置換基が2つ以上ある
ときは、同じでも異なっていてもよい。置換アルキル基
の総炭素数は、1〜20が好ましく、置換アリール基の
総炭素数は6〜20が好ましい。
【0232】R52としては、−COR53(R53はアル
キル基またはアリール基)、−CONHR53(R53はア
リール基)が好ましい。a、b、cは各繰り返し単位の
質量をモル(mol)%で示した値であり、aは40〜
86モル%、bは0〜30モル%、cは0〜60モル%
の範囲で、a+b+c=100モル%となる数を表し、
特に好ましくは、aが50〜86モル%、bが5〜25
モル%、cが0〜40モル%の範囲である。a、b、c
の各組成比をもつ各繰り返し単位は、それぞれ同一のも
ののみで構成されていても、異なるもので構成されてい
てもよい。
【0233】本発明で用いることのできるポリウレタン
樹脂としては、構造がポリエステルポリウレタン、ポリ
エーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリ
ウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステ
ルポリカーボネートポリウレタン、ポリカプロラクトン
ポリウレタンなど公知のものが使用できる。ここに示し
たすべてのポリウレタンについて、必要に応じ、−CO
OM、−SO3M、−OSO3M、−P=O(OM)2
−O−P=O(OM)2、(Mは水素原子、またはアル
カリ金属塩基を表す)、−N(R542、−N+(R54
3(R54は炭化水素基を表し、複数のR54は同じでも異
なっていてもよい)、エポキシ基、−SH、−CNなど
から選ばれる少なくともひとつ以上の極性基を共重合ま
たは付加反応で導入したものを用いることが好ましい。
このような極性基の量は10-1〜10-8モル/gであ
り、好ましくは10-2〜10-6モル/gである。これら
極性基以外に、ポリウレタン分子末端に少なくとも1個
ずつ、合計2個以上のOH基を有することが好ましい。
OH基は硬化剤であるポリイソシアネートと架橋して3
次元の網状構造を形成するので、分子中に多数含むほど
好ましい。特に、OH基が分子末端にある方が、硬化剤
との反応性が高いので好ましい。ポリウレタンは、分子
末端にOH基を3個以上有することが好ましく、4個以
上有することが特に好ましい。ポリウレタンを用いる場
合は、ガラス転移温度が70℃〜105℃、破断伸びが
100%〜2000%、破断応力は0.5N/mm2
100N/mm2が好ましい。
【0234】本発明に係る上記一般式(V)で表される
高分子化合物は、「酢酸ビニル樹脂」桜田一郎編(高分
子化学刊行会、1962年)等に記載の一般的な合成方
法で合成することができる。以下に、代表的な合成方法
の例を挙げるが、本発明はこれらの代表的な合成例に限
定されない。
【0235】合成例1:P−1の合成 日本合成(株)製のポリビニルアルコール(ゴーセノー
ルGH18)20gと純水180gを仕込み、ポリビニ
ルアルコールが10質量%溶液になるように純水に分散
した後、これを95℃に昇温してポリビニルアルコール
を溶解した後、75℃まで冷却して、ポリビニルアルコ
ール水溶液を用意し、更にこのポリビニルアルコール水
溶液に、酸触媒として10質量%の塩酸を1.6g添加
し、これを滴下液Aとした。ついで、ブチルアルデヒ
ド、アセトアルデヒドのmol比1:1の混合物11.
5gを計量し、これを滴下液Bとした。冷却管と攪拌装
置を取り付けた1000mlの4ツ口フラスコに100
mlの純水を入れ、85℃に加温し強攪拌した。これに
滴下液Aと滴下液Bを75℃に保温した滴下ロートを用
いて、攪拌下で2時間を要して同時滴下した。この際、
攪拌速度に注意をして、析出する粒子の融着を防止しな
がら反応を行った。滴下終了後、酸触媒として10質量
%の塩酸を7g追加し、温度85℃で2時間攪拌を行
い、十分に反応を行った。その後、40℃まで冷却し、
重曹を用いて中和し、水洗を5回繰り返した後、濾別し
てポリマーを取り出し乾燥し、P−1を得た。得られた
P−1を、DSCを用いてTgを測定したところ、Tg
は75℃であった。
【0236】表1に記載のその他の高分子化合物(ポリ
マー)も同様に合成した。これらの高分子化合物をバイ
ンダとして単独で用いてもよいし、2種類以上をブレン
ドして用いてもよい。本発明に係る感光性銀塩含有層
(好ましくは感光層)には上記ポリマーを主バインダと
して用いる。ここで言う主バインダとは「感光性銀塩含
有層の全バインダの50質量%以上を上記ポリマーが占
めている状態」をいう。従って、全バインダの50質量
%未満の範囲で他のポリマーをブレンドして用いてもよ
い。これらのポリマーとしては、本発明に係るポリマー
が可溶となる溶媒であれば、特に制限はない。より好ま
しくはポリ酢酸ビニル、ポリアクリル樹脂、ウレタン樹
脂などが挙げられる。
【0237】以下に、本発明に好ましく用いられる高分
子化合物の構成を示す。なお、表中のTgは、セイコー
電子工業(株)製示差走査熱量計(DSC)により測定
した値である。
【0238】
【表1】
【0239】なお、表1中、P−9はソルーシア社製ポ
リビニルブチラール樹脂B−79である。
【0240】本発明においては、上記バインダに対し架
橋剤を用いることにより膜付きがよくなり、現像ムラが
少なくなることは知られているが、保存時のカブリ抑制
や、現像後のプリントアウト銀の生成を抑制する効果も
ある。
【0241】本発明で用いられる架橋剤としては、従来
ハロゲン化銀写真感光材料用として使用されている種々
の架橋剤、例えば特開昭50−96216号に記載され
ているアルデヒド系、エポキシ系、エチレンイミン系、
ビニルスルホン系、スルホン酸エステル系、アクリロイ
ル系、カルボジイミド系、シラン化合物系架橋剤を用い
うるが、好ましいのは以下に示すイソシアネート系化合
物、シラン化合物、エポキシ化合物または酸無水物であ
る。
【0242】好適なものの一つである下記一般式〔8〕
で表わされるイソシアネート系及びチオイソシアネート
系架橋剤について説明する。
【0243】一般式〔8〕 X2=C=N−L−(N=C=X2v 式中、vは1または2であり、Lはアルキル基、アルケ
ニル基、アリール基またはアルキルアリール基で、v+
1価の連結基であり、X2は酸素または硫黄原子であ
る。
【0244】なお、上記一般式〔8〕で表せる化合物に
おいて、アリール基のアリール環は置換基を有し得る。
好ましい置換基の例は、ハロゲン原子(例えば、臭素原
子または塩素原子)、ヒドロキシル基、アミノ基、カル
ボキシル基、アルキル基及びアルコキシ基から選択され
る。
【0245】上記イソシアネート系架橋剤は、イソシア
ネート基を少なくとも2個有しているイソシアネート類
及びその付加体(アダクト体)であり、更に、具体的に
は、脂肪族ジイソシアネート類、環状基を有する脂肪族
ジイソシアネート類、ベンゼンジイソシアネート類、ナ
フタレンジイソシアネート類、ビフェニルイソシアネー
ト類、ジフェニルメタンジイソシアネート類、トリフェ
ニルメタンジイソシアネート類、トリイソシアネート
類、テトライソシアネート類、これらのイソシアネート
類の付加体及びこれらのイソシアネート類と2価または
3価のポリアルコール類との付加体が挙げられる。
【0246】具体例としては、特開昭56−5535号
の10頁〜12頁に記載されているイソシアネート化合
物を利用することができる。
【0247】なお、イソシアネートとポリアルコールの
アダクト体は、特に層間接着を良くし、層の剥離や画像
のズレ及び気泡の発生を防止する能力が高い。かかるイ
ソシアネートは銀塩光熱写真ドライイメージング材料の
どの部分に置かれてもよい。例えば支持体中(特に支持
体が紙の場合、そのサイズ組成中に含ませることができ
る)、感光層、表面保護層、中間層、アンチハレーショ
ン層、下引き層等の支持体の感光層側の任意の層に添加
でき、これらの層の中の1層または2層以上に添加する
ことができる。
【0248】又、本発明において使用することが可能な
チオイソシアネート系架橋剤としては、上記のイソシア
ネート類に対応するチオイソシアネート構造を有する化
合物も有用である。
【0249】本発明において使用される上記架橋剤の量
は、銀1モルに対して0.001〜2モル、好ましくは
0.005〜0.5モルの範囲である。
【0250】本発明において含有させることが出来るイ
ソシアネート化合物及びチオイソシアネート化合物は、
上記の架橋剤として機能する化合物であることが好まし
いが、上記の一般式においてvが零(0)、即ち当該官
能基を一つのみ有する化合物であっても良い結果が得ら
れる。
【0251】本発明において架橋剤として使用できるシ
ラン化合物の例としては、特願2000−77904に
記載されている一般式(1)または一般式(2)で表せ
る化合物が挙げられる。
【0252】これらの一般式において、R1、R2
3、R4、R5、R6、R7及びR8はそれぞれ置換されて
もよい直鎖、分枝または環状の炭素数1〜30のアルキ
ル基(メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ド
デシル基、シクロアルキル基等)、アルケニル基(プロ
ペニル基、ブテニル基、ノネニル基等)、アルキニル基
(アセチレン基、ビスアセチレン基、フェニルアセチレ
ン基等)、アリール基またはヘテロ環基(フェニル基、
ナフチル基、テトラヒドロピラン基、ピリジル基、フリ
ル基、チオフェニル基、イミダゾール基、チアゾール
基、チアジアゾール基、オキサジアゾール基等)を表
し、置換基としては電子吸引性の置換基または電子供与
性の置換基いずれをも有することができる。
【0253】R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及び
8から選ばれる置換基の少なくとも1つが耐拡散性基
または吸着性基であることが好ましく、特にR2が耐拡
散性基または吸着性基であることが好ましい。
【0254】なお、耐拡散性基は、バラスト基とも呼ば
れ炭素数が6以上の脂肪族基や炭素数が3以上のアルキ
ル基が導入されているアリール基等が好ましい。耐拡散
性は、バインダや架橋剤の使用量によって異なるが、耐
拡散性の基を導入することにより、室温状態の分子内の
移動距離が抑制され経時での反応を抑制できる。
【0255】架橋剤として用いることができるエポキシ
化合物としては、エポキシ基を1個以上有するものであ
ればよく、エポキシ基の数、分子量、その他に制限はな
い。エポキシ基はエーテル結合やイミノ結合を介してグ
リシジル基として分子内に含有されることが好ましい。
またエポキシ化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマ
ー等のいずれであってもよく、分子内に存在するエポキ
シ基の数は通常1〜10個程度、好ましくは2〜4個で
ある。エポキシ化合物がポリマーである場合は、ホモポ
リマー、コポリマーのいずれであってもよく、その数平
均分子量Mnの特に好ましい範囲は2000〜2000
0程度である。
【0256】エポキシ化合物としては下記一般式
〔9〕
で表される化合物が好ましい。
【0257】
【化21】
【0258】一般式
〔9〕において、R90で表されるア
ルキレン基の置換基は、ハロゲン原子、水酸基、ヒドロ
キシアルキル基又はアミノ基から選ばれる基であること
が好ましい。またR90で表される連結基中にアミド連結
部分、エーテル連結部分、チオエーテル連結部分を有し
ていることが好ましい。X9で表される2価の連結基と
しては−SO2−、−SO2NH−、−S−、−O−、又
は−NR91−が好ましい。ここでR91は1価の基であ
り、電子吸引基であることが好ましい。
【0259】これらのエポキシ化合物は、1種のみを用
いても2種以上を併用してもよい。その添加量は特に制
限はないが、1×10-6〜1×10-2モル/m2の範囲
が好ましく、より好ましくは1×10-5〜1×10-3
ル/m2の範囲である。
【0260】エポキシ化合物は、感光層、表面保護層、
中間層、アンチハレーション層、下引き層等の支持体の
感光層側の任意の層に添加でき、これらの層の中の1層
又は2層以上に添加することができる。又、併せて支持
体の感光層と反対側の任意の層に添加することができ
る。尚、両面に感光層が存在するタイプの感材ではいず
れの層であってもよい。
【0261】酸無水物は下記の構造式で示される酸無水
物基を少なくとも1個有する化合物である。
【0262】−CO−O−CO−酸無水物はこのような
酸無水基を1個以上有するものであればよく、酸無水基
の数、分子量、その他に制限はないが、一般式〔B〕で
表される化合物が好ましい。
【0263】
【化22】
【0264】一般式〔B〕において、Zは単環または多
環系を形成するのに必要な原子群を表す。これらの環系
は未置換であってもよく、置換されていてもよい。置換
基の例には、アルキル基(例えば、メチル、エチル、ヘ
キシル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキ
シ、オクチルオキシ)、アリール基(例えば、フェニ
ル、ナフチル、トリル)、ヒドロキシル基、アリールオ
キシ基(例えば、フェノキシ)、アルキルチオ基(例え
ば、メチルチオ、ブチルチオ)、アリールチオ基(例え
ば、フェニルチオ)、アシル基(例えば、アセチル、プ
ロピオニル、ブチリル)、スルホニル基(例えば、メチ
ルスルホニル、フェニルスルホニル)、アシルアミノ
基、スルホニルアミノ基、アシルオキシ基(例えば、ア
セトキシ、ベンゾキシ)、カルボキシル基、シアノ基、
スルホ基、及びアミノ基が含まれる。置換基としては、
ハロゲン原子を含まないものが好ましい。
【0265】これらの酸無水物は、1種のみを用いても
2種以上を併用してもよい。その添加量は特に制限はな
いが、1×10-6〜1×10-2モル/m2の範囲が好ま
しく、より好ましくは1×10-5〜1×10-3モル/m
2の範囲である。
【0266】本発明において酸無水物は、感光層、表面
保護層、中間層、アンチハレーション層、下引き層等の
支持体の感光層側の任意の層に添加でき、これらの層の
中の1層又は2層以上に添加することができる。又、前
記エポキシ化合物と同じ層に添加してもよい。
【0267】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料は、熱現像処理にて写真画像を形成するもので、還
元可能な銀源(脂肪族カルボン酸銀塩)、感光性ハロゲ
ン化銀粒子、還元剤及び必要に応じて銀の色調を調整す
る色調剤を通常(有機)バインダマトリックス中に分散
した状態で含有していることが好ましい。
【0268】好適な色調剤の例は、RD17029号、
米国特許第4,123,282号、同第3,994,7
32号、同第3,846,136号及び同第4,02
1,249号に開示されている。特に好ましい色調剤と
してはフタラジノンまたはフタラジンとフタル酸類、フ
タル酸無水物類の組み合わせである。
【0269】なお、従来医療診断用の出力画像の色調に
関しては、冷調の画像調子の方が、レントゲン写真の判
読者にとって、より的確な記録画像の診断観察結果が得
やすいと言われている。ここで冷調な画像調子とは、純
黒調もしくは黒画像が青味を帯びた青黒調であり、温調
な画像調子とは、黒画像が褐色味を帯びた温黒調である
ことを言う。
【0270】色調に関しての用語「より冷調」及び「よ
り温調」は、最低濃度Dmin及び光学濃度D=1.0
における色相角habにより求められる。色相角habは国
際照明委員会(CIE)が1976年に推奨した知覚的
にほぼ均等な歩度を持つ色空間であるL***色空間
の色座標a*、b*を用いて次の式によって求める。
【0271】hab=tan-1(b*/a*) 本発明において、好ましいhabの範囲は180°<hab
<270°であり、更に好ましくは200°<hab<2
70°、最も好ましくは220°<hab<260°であ
る。
【0272】本発明においては、銀塩光熱写真ドライイ
メージング材料の表面層に(感光層側、又支持体をはさ
み感光層の反対側に非感光層を設けた場合にも)、現像
前の取り扱いや熱現像後の画像の傷つき防止のためマッ
ト剤を含有することが好ましく、バインダに対し、質量
比で0.1〜30%含有することが好ましい。
【0273】マット剤の材質は、有機物及び無機物のい
ずれでもよい。例えば、無機物としては、スイス特許第
330,158号等に記載のシリカ、仏国特許第1,2
96,995号等に記載のガラス粉、英国特許第1,1
73,181号等に記載のアルカリ土類金属またはカド
ミウム、亜鉛等の炭酸塩等をマット剤として用いること
ができる。有機物としては、米国特許第2,322,0
37号等に記載の澱粉、ベルギー特許第625,451
号や英国特許第981,198号等に記載された澱粉誘
導体、特公昭44−3643号等に記載のポリビニルア
ルコール、スイス特許第330,158号等に記載のポ
リスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第
3,079,257号等に記載のポリアクリロニトリ
ル、米国特許第3,022,169号等に記載されたポ
リカーボネートの様な有機マット剤を用いることができ
る。
【0274】マット剤は平均粒径が0.5〜10μmで
あることが好ましく、更に好ましくは1.0〜8.0μ
mである。又、粒子サイズ分布の変動係数としては、5
0%以下であることが好ましく、更に、好ましくは40
%以下であり、特に好ましくは30%以下となるマット
剤である。
【0275】ここで、粒子サイズ分布の変動係数は、下
記の式で表される値である。 (粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100 本発明に係るマット剤の添加方法は、予め塗布液中に分
散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布
した後、乾燥が終了する以前にマット剤を噴霧する方法
を用いてもよい。また複数の種類のマット剤を添加する
場合は、両方の方法を併用してもよい。
【0276】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料に用いる支持体の素材としては、各種高分子材料、
ガラス、ウール布、コットン布、紙、金属(例えば、ア
ルミニウム)等が挙げられるが、情報記録材料としての
取り扱い上は可撓性のあるシートまたはロールに加工で
きるものが好適である。従って本発明の銀塩光熱写真ド
ライイメージング材料における支持体としては、プラス
チックフィルム(例えばセルロースアセテートフィル
ム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレー
トフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリ
アミドフィルム、ポリイミドフィルム、セルローストリ
アセテートフィルムまたはポリカーボネートフィルム
等)が好ましく、本発明においては2軸延伸したポリエ
チレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。支持体
の厚みとしては50μm〜300μm程度、好ましくは
70μm〜180μmである。
【0277】本発明においては帯電性を改良するため
に、金属酸化物及び/または導電性ポリマーなどの導電
性化合物を構成層中に含ませることができる。これらは
いずれの層に含有させてもよいが、好ましくは下引層、
バッキング層、感光層と下引の間の層などに含まれる。
本発明においては米国特許第5,244,773号カラ
ム14〜20に記載された導電性化合物が好ましく用い
られる。
【0278】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料は、支持体上に少なくとも1層の感光層を有してい
る。支持体の上に感光層のみを形成してもよいが、感光
層の上に少なくとも一層の非感光層を形成するのが好ま
しい。例えば、感光層の上には保護層が、感光層を保護
する目的で、又支持体の反対の面には感光材料間の、或
いは感光材料ロールにおいてくっつきを防止する為に、
バックコート層が設けられるのが好ましい。これらの保
護層やバックコート層に用いるバインダとしては熱現像
層よりもガラス転移点が高く、擦り傷や、変形の生じに
くいポリマー、例えばセルロースアセテート、セルロー
スアセテートブチレート等のポリマーが、前記のバイン
ダのなかから選ばれる。なお、ラチチュードを広げる目
的で、感光層を支持体の一方の側に2層以上または支持
体の両側に各1層以上設置することは本発明にとって好
ましい態様のひとつである。
【0279】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料においては、感光層を透過する光の量または波長分
布を制御するために感光層と同じ側または反対の側にフ
ィルター層を形成するか、感光層に染料または顔料を含
有させることが好ましい。
【0280】用いられる染料としては、感光材料の感色
性に応じて種々の波長領域の光を吸収する公知の化合物
が使用できる。
【0281】例えば、本発明の銀塩光熱写真ドライイメ
ージング材料を赤外光による画像記録材料とする場合に
は、特開2001−83655に開示されているような
チオピリリウム核を有するスクアリリウム染料(本明細
書ではチオピリリウムスクアリリウム染料と呼ぶ)及び
ピリリウム核を有するスクアリリウム染料(本明細書で
はピリリウムスクアリリウム染料と呼ぶ)、又スクアリ
リウム染料に類似したチオピリリウムクロコニウム染
料、またはピリリウムクロコニウム染料を使用すること
が好ましい。
【0282】尚、スクアリリウム核を有する化合物と
は、分子構造中に1−シクロブテン−2−ヒドロキシ−
4−オンを有する化合物であり、クロコニウム核を有す
る化合物とは分子構造中に1−シクロペンテン−2−ヒ
ドロキシ−4,5−ジオンを有する化合物である。ここ
で、ヒドロキシル基は解離していてもよい。以下本明細
書ではこれらの色素を便宜的に一括してスクアリリウム
染料とよぶ。
【0283】なお、染料としては特開平8−20195
9号の化合物も好ましい。本発明の銀塩光熱写真ドライ
イメージング材料は、上述した各構成層の素材を溶媒に
溶解または分散させた塗布液を作り、それら塗布液を複
数同時に重層塗布した後、加熱処理を行って形成される
ことが好ましい。ここで「複数同時に重層塗布」とは、
各構成層(例えば感光層、保護層)の塗布液を作製し、
これを支持体へ塗布する際に各層個別に塗布、乾燥の繰
り返しをするのではなく、同時に重層塗布を行い乾燥す
る工程も同時に行える状態で各構成層を形成しうること
を意味する。即ち、下層中の全溶剤の残存量が70質量
%以下となる前に、上層を設けることである。
【0284】各構成層を複数同時に重層塗布する方法に
は特に制限はなく、例えばバーコーター法、カーテンコ
ート法、浸漬法、エアーナイフ法、ホッパー塗布法、エ
クストリュージョン塗布法などの公知の方法を用いるこ
とができる。これらのうちより好ましくはエクストリュ
ージョン塗布法と呼ばれる前計量タイプの塗布方式であ
る。該エクストリュージョン塗布法はスライド塗布方式
のようにスライド面での揮発がないため、精密塗布、有
機溶剤塗布に適している。この塗布方法は感光層を有す
る側について述べたが、バックコート層を設ける際、下
引きとともに塗布する場合についても同様である。
【0285】なお、本発明において、塗布銀量は銀塩光
熱写真イメージング材料の目的に応じた適量を選ぶこと
が好ましいが、医療用画像を目的とする場合には、0.
1g/m2以上、2.5g/m2以下が好ましい。更には
0.5g/m2以上、1.5g/m2以下が好ましい。当
該塗布銀量の内、ハロゲン化銀に由来するものは全銀量
に対して2%〜18%を占めることが好ましい、更には
3〜15%がより好ましい。
【0286】また本発明において、0.01μm以上
(球相当換算粒径)のハロゲン化銀粒子の塗布密度は1
×1014個/m2以上、1×1018個/m2以下が好まし
い。更には、1×1015個/m2以上、1×1017個/
2以下が好ましい。
【0287】更に本発明に係る脂肪族カルボン酸銀塩の
塗布密度は、0.01μm以上(球相当換算粒径)のハ
ロゲン化銀粒子1個当たり、10-17g以上、10-15
以下、更には10-16g以上、10-14g以下が好まし
い。
【0288】上記のような範囲内の条件において塗布し
た場合には、一定塗布銀量当たりの銀画像の光学的最高
濃度、即ち、銀被覆量(カバーリング・パワー)及び銀
画像の色調等の観点から好ましい結果が得られる。
【0289】本発明において、現像条件は使用する機
器、装置、或いは手段に依存して変化するが、典型的に
は適した高温において、像様に露光した銀塩光熱写真ド
ライイメージング材料を加熱することを伴う。露光後に
得られた潜像は、中程度の高温(例えば、約100℃〜
200℃)で十分な時間(一般には約1秒〜約2分
間)、銀塩光熱写真ドライイメージング材料を加熱する
ことにより現像することができる。加熱温度が100℃
以下では短時間に十分な画像濃度が得られず、又200
℃以上ではバインダが溶融し、ローラーへの転写など、
画像そのものだけでなく搬送性や、現像機等へも悪影響
を及ぼす。加熱することで脂肪族カルボン酸銀塩(酸化
剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応によ
り銀画像を生成する。この反応過程は、外部からの水等
の処理液の一切の供給なしに進行する。
【0290】加熱する機器、装置、手段はホットプレー
ト、アイロン、ホットローラー、炭素または白色チタン
等を用いた熱発生器として典型的な加熱手段で行ってよ
い。より好ましくは本発明の保護層の設けられた銀塩光
熱写真ドライイメージング材料は、保護層を有する側の
面を加熱手段と接触させ加熱処理するのが、均一な加熱
を行う上で、又熱効率、作業性の点などから好ましく、
該面をヒートローラに接触させながら搬送し加熱処理し
て現像することが好ましい。
【0291】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料の露光は、当該感光材料に付与した感色性に対し、
適切な光源を用いることが望ましい。例えば、当該感光
材料を赤外光に感じ得るものとした場合は、赤外光域な
らば如何なる光源にも適用可能であるが、レーザパワー
がハイパワーである事や、感光材料を透明にできる等の
点から、赤外半導体レーザ(780nm、820nm)
がより好ましく用いられる。
【0292】本発明において、露光はレーザ走査露光に
より行うことが好ましいが、その露光方法には種々の方
法が採用できる。例えば、第1の好ましい方法として、
感光材料の露光面と走査レーザ光のなす角が実質的に垂
直になることがないレーザ走査露光機を用いる方法が挙
げられる。
【0293】ここで、「実質的に垂直になることがな
い」とは、レーザ走査中に最も垂直に近い角度として、
好ましくは55度以上、88度以下、より好ましくは6
0度以上、86度以下、更に好ましくは65度以上、8
4度以下、最も好ましくは70度以上、82度以下であ
ることをいう。
【0294】レーザ光が、感光材料に走査されるときの
感光材料露光面でのビームスポット直径は、好ましくは
200μm以下、より好ましくは100μm以下であ
る。これは、スポット径が小さい方がレーザ入射角度の
垂直からのずらし角度を減らせる点で好ましい。なお、
ビームスポット直径の下限は10μmである。このよう
なレーザ走査露光を行うことにより干渉縞様のムラの発
生等のような反射光に係る画質劣化を減じることが出来
る。
【0295】また、第2の方法として、本発明における
露光は縦マルチである走査レーザ光を発するレーザ走査
露光機を用いて行うことも好ましい。縦単一モードの走
査レーザ光に比べて干渉縞様のムラの発生等の画質劣化
が減少する。
【0296】縦マルチ化するには、合波による戻り光を
利用する、高周波重畳をかけるなどの方法がよい。な
お、縦マルチとは露光波長が単一でないことを意味し、
通常露光波長の分布が5nm以上、好ましくは10nm
以上になるとよい。露光波長の分布の上限には特に制限
はないが、通常60nm程度である。
【0297】なお、上述した第1、第2の態様の画像記
録方法において、走査露光に用いるレーザとしては、一
般によく知られている、ルビーレーザ、YAGレーザ、
ガラスレーザ等の固体レーザ;HeNeレーザ、Arイ
オンレーザ、Krイオンレーザ、CO2レーザ、COレ
ーザ、HeCdレーザ、N2レーザ、エキシマーレーザ
等の気体レーザ;InGaPレーザ、AlGaAsレー
ザ、GaAsPレーザ、InGaAsレーザ、InAs
Pレーザ、CdSnP2レーザ、GaSbレーザ等の半
導体レーザ;化学レーザ、色素レーザ等を用途に併せて
適時選択して使用できるが、これらの中でもメンテナン
スや光源の大きさの問題から、波長が600nm〜12
00nmの半導体レーザを用いるのが好ましい。なお、
レーザ・イメージャやレーザ・イメージセッタで使用さ
れるレーザにおいて、銀塩光熱写真ドライイメージング
材料に走査されるときの該材料露光面でのビームスポッ
ト径は、一般に短軸径として5μm〜75μm、長軸径
として5μm〜100μmの範囲であり、レーザ光走査
速度は銀塩光熱写真ドライイメージング材料固有のレー
ザ発振波長における感度とレーザパワーによって、感光
材料毎に最適な値に設定することができる。
【0298】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれらに限定されない。
【0299】実施例1 《支持体の作製》濃度0.170に青色着色したポリエ
チレンテレフタレートフィルムベース(厚み175μ
m)の片方の面に、0.5kV・A・min/m2のコ
ロナ放電処理を施した後、その上に下記の下引塗布液A
を用いて下引層aを、乾燥膜厚が0.2μmになるよう
に塗設した。更にもう一方の面に、同様に0.5kV・
A・min/m2のコロナ放電処理を施した後、その上
に下記の下引塗布液Bを用い、下引層bを、乾燥膜厚が
0.1μmとなるように塗設した。
【0300】その後、複数のロール群からなるフィルム
搬送装置を有する熱処理式オーブンの中で、130℃に
て15分熱処理を行った。
【0301】(下引塗布液A)n−ブチルアクリレート
30質量%、tert−ブチルアクリレート20質量
%、スチレン25質量%及び2−ヒドロキシエチルアク
リレート25質量%の共重合体ラテックス液(固形分3
0%)270g、界面活性剤(UL−1)0.6g及び
メチルセルロース0.5gを混合した。更に、シリカ粒
子(サイロイド350、富士シリシア社製)1.3gを
水100gに添加し、超音波分散機(ALEX Cor
poration(株)製、Ultrasonic G
enerator、周波数25kHz、600W)にて
30分間分散処理した分散液を加え、最後に水で100
0mlに仕上げて、下引塗布液Aとした。
【0302】(コロイド状酸化スズ分散液の調製)塩化
第2スズ水和物65gを、水/エタノール混合溶液20
00mlに溶解して均一溶液を調製した。次いで、これ
を煮沸し、共沈殿物を得た。生成した沈殿物をデカンテ
ーションにより取り出し、蒸留水にて数回水洗した。沈
殿物を洗浄した蒸留水中に硝酸銀を滴下し、塩素イオン
の反応がないことを確認後、洗浄した沈殿物に蒸留水を
添加し、全量を2000mlとする。更に、30%アン
モニア水を40ml添加し、水溶液を加温して、容量が
470mlになるまで濃縮してコロイド状酸化スズ分散
液を調製した。
【0303】(下引塗布液B)前記コロイド状酸化スズ
分散液37.5g、n−ブチルアクリレート20質量
%、tert−ブチルアクリレート30質量%、スチレ
ン27質量%及び2−ヒドロキシエチルアクリレート2
8質量%の共重合体ラテックス液(固形分30%)3.
7g、n−ブチルアクリレート40質量%、スチレン2
0質量%、グリシジルメタクリレート40質量%の共重
合体ラテックス液(固形分30%)14.8gと0.1
gの界面活性剤UL−1を混合し、水で1000mlに
仕上げて下引塗布液Bとした。
【0304】
【化23】
【0305】《バック面側塗布》メチルエチルケトン
(MEK)830gを攪拌しながら、セルロースアセテ
ートブチレート(Eastman Chemical
社、CAB381−20)84.2g及びポリエステル
樹脂(Bostic社、VitelPE2200B)
4.5gを添加し、溶解した。次に溶解した液に、0.
30gの赤外染料1を添加し、更にメタノール43.2
gに溶解したF系活性剤(旭硝子社、サーフロンKH4
0)4.5gとF系活性剤(大日本インク社、メガファ
ッグF120K)2.3gを添加して、溶解するまで十
分に攪拌を行った。最後に、メチルエチルケトンに1質
量%の濃度でディゾルバ型ホモジナイザにて分散したシ
リカ(W.R.Grace社、シロイド64X600
0)を75g添加、攪拌し、バック面側用の塗布液を調
製した。
【0306】
【化24】
【0307】このように調製したバック面塗布液を、上
記記載の下引層b上に乾燥膜厚が3.5μmになるよう
に押し出しコーターにて塗布、乾燥を行った。乾燥温度
100℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて5分間かけ
て乾燥した。
【0308】 《感光性ハロゲン化銀乳剤Aの調製》 溶液(A1) フェニルカルバモイル化ゼラチン 88.3g 化合物(A)(10%メタノール水溶液) 10ml 臭化カリウム 0.32g 水で5429mlに仕上げる 溶液(B1) 0.67mol/L硝酸銀水溶液 2635ml 溶液(C1) 臭化カリウム 51.55g 沃化カリウム 1.47g 水で660mlに仕上げる 溶液(D1) 臭化カリウム 154.9g 沃化カリウム 4.41g 塩化イリジウム(1%溶液) 0.93ml 水で1982mlに仕上げる 溶液(E1) 0.4mol/L臭化カリウム水溶液 下記銀電位制御量 溶液(F1) 水酸化カリウム 0.71g 水で20mlに仕上げる 溶液(G1) 56%酢酸水溶液 18.0ml 溶液(H1) 無水炭酸ナトリウム 1.72g 水で151mlに仕上げる 化合物(A): HO(CH2CH2O)n(CH(CH3)CH2O)17(CH2CH2O)mH (m+n=5〜7) 特公昭58−58288号、同58−58289号に示
される混合攪拌機を用いて溶液(A1)に、溶液(B
1)の1/4量及び溶液(C1)全量を温度30℃、p
Ag8.09に制御しながら、同時混合法により4分4
5秒を要して添加し、核形成を行った。1分後、溶液
(F1)の全量を添加した。この間pAgの調整を、水
溶液(E1)を用いて適宜行った。6分間経過後、溶液
(B1)の3/4量及び溶液(D1)の全量を、温度3
0℃、pAg8.09に制御しながら、同時混合法によ
り14分15秒かけて添加した。5分間攪拌した後、4
0℃に降温し、溶液(G1)を全量添加し、ハロゲン化
銀乳剤を沈降させた。沈降部分2000mlを残して上
澄み液を取り除き、水を10L加え、攪拌後、再度ハロ
ゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分1500mlを残
し、上澄み液を取り除き、更に水を10L加え、攪拌
後、ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分1500
mlを残し、上澄み液を取り除いた後、溶液(H1)を
加え、60℃に昇温し、更に120分攪拌した。最後に
pHが5.8になるように調整し、銀量1モル当たり1
161gになるように水を添加し、乳剤を得た。
【0309】この乳剤は平均粒子サイズ0.040μ
m、粒子サイズの変動係数12%、〔100〕面比率9
2%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった。
【0310】次に上記乳剤に硫黄増感剤S−5(0.5
%メタノール溶液)240mlを加え、更にこの増感剤
の1/20モル相当の金増感剤Au−5を添加し、55
℃にて120分間攪拌して化学増感を施した。これを感
光性ハロゲン化銀乳剤Aとする。
【0311】《粉末脂肪族カルボン酸銀塩Aの調製》4
720mlの純水にベヘン酸130.8g、アラキジン
酸67.7g、ステアリン酸43.6g、パルミチン酸
2.3gを80℃で溶解した。次に1.5Mの水酸化ナ
トリウム水溶液540.2mlを添加し、濃硝酸6.9
mlを加えた後、55℃に冷却して脂肪酸ナトリウム溶
液を得た。該脂肪酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保
ったまま、45.3gの上記の感光性ハロゲン化銀乳剤
Aと純水450mlを添加し5分間攪拌した。
【0312】次に1モル/リットルの硝酸銀溶液70
2.6mlを2分間かけて添加し、10分間攪拌し脂肪
族カルボン酸銀塩分散物を得た。その後、得られた脂肪
族カルボン酸銀塩分散物を水洗容器に移し、脱イオン水
を加えて攪拌後、静置させて脂肪族カルボン酸銀塩分散
物を浮上分離させ、下方の水溶性塩類を除去した。その
後、排水の電導度が50μS/cmになるまで脱イオン
水による水洗、排水を繰り返し、遠心脱水を実施した
後、得られたケーキ状の脂肪族カルボン酸銀塩を、気流
式乾燥機フラッシュジェットドライヤー(株式会社セイ
シン企業製)を用いて、窒素ガス雰囲気及び乾燥機入り
口熱風温度の運転条件により、含水率が0.1%になる
まで乾燥して粉末脂肪族カルボン酸銀塩Aを得た。脂肪
族カルボン酸銀塩組成物の含水率測定には赤外線水分計
を使用した。
【0313】《予備分散液Aの調製》14.57gのポ
リビニルブチラール樹脂P−9をメチルエチルケトン1
457gに溶解し、VMA−GETZMANN社製ディ
ゾルバDISPERMATCA−40M型にて攪拌しな
がら、500gの粉末脂肪族カルボン酸銀塩Aを徐々に
添加して十分に混合することにより予備分散液Aを調製
した。
【0314】《感光性乳剤分散液Aの調製》予備分散液
Aをポンプを用いてミル内滞留時間が1.5分間となる
ように、0.5mm径のジルコニアビーズ(東レ製トレ
セラム)を内容積の80%充填したメディア型分散機D
ISPERMAT SL−C12EX型(VMA−GE
TZMANN社製)に供給し、ミル周速8m/sにて分
散を行なうことにより感光性乳剤分散液Aを調製した。
【0315】《安定剤液の調製》1.0gの安定剤1、
0.31gの酢酸カリウムをメタノール4.97gに溶
解し安定剤液を調製した。
【0316】《赤外増感色素液Aの調製》19.2mg
の赤外増感色素1、1.488gの2−クロロ−安息香
酸、2.779gの安定剤2及び365mgの5−メチ
ル−2−メルカプトベンゾイミダゾールを、31.3m
lのMEKに暗所にて溶解し、赤外増感色素液Aを調製
した。
【0317】《添加液aの調製》現像剤としての1,1
−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)
−3,5,5−トリメチルヘキサン(現像剤A)を2
7.98gと1.54gの4−メチルフタル酸、0.4
8gの赤外染料1をMEK110gに溶解し、添加液a
とした。
【0318】《添加液bの調製》3.56gのカブリ防
止剤2、3.43gのフタラジンをMEK40.9gに
溶解し、添加液bとした。
【0319】《感光層塗布液Aの調製》不活性気体雰囲
気下(窒素97%)において、前記感光性乳剤分散液A
(50g)及びMEK15.11gを攪拌しながら21
℃に保温し、カブリ防止剤1(10%メタノール溶液)
390μlを加え、1時間攪拌した。更に臭化カルシウ
ム(10%メタノール溶液)494μlを添加して20
分攪拌した。続いて、安定剤液167mlを添加して1
0分間攪拌した後、1.32gの前記赤外増感色素液A
を添加して1時間攪拌した。その後、温度を13℃まで
降温して更に30分攪拌した。13℃に保温したまま、
バインダ樹脂としてポリビニルアセタール樹脂P−1を
13.31g添加して30分攪拌した後、テトラクロロ
フタル酸(9.4質量%MEK溶液)1.084gを添
加して15分間攪拌した。更に攪拌を続けながら、1
2.43gの添加液a、1.6mlのDesmodur
N3300/モーベイ社製の脂肪族イソシアネート(1
0%MEK溶液)、4.27gの添加液bを順次添加し
攪拌することにより感光層塗布液Aを得た。
【0320】《マット剤分散液の調製》セルロースアセ
テートブチレート(Eastman Chemical
社、7.5gのCAB171−15)をMEK42.5
gに溶解し、その中に、炭酸カルシウム(Specia
lity Minerals社、Super−Pfle
x200)5gを添加し、ディゾルバ型ホモジナイザに
て8000rpmで30min分散し、マット剤分散液
を調製した。
【0321】《表面保護層塗布液の調製》MEK(メチ
ルエチルケトン)865gを攪拌しながら、セルロース
アセテートブチレート(Eastman Chemic
al社、CAB171−15)を96g、ポリメチルメ
タクリル酸(ローム&ハース社、パラロイドA−21)
を4.5g、ビニルスルホン化合物(VSC)を1.5
g、ベンゾトリアゾールを1.0g、F系活性剤(旭硝
子社、サーフロンKH40)を1.0g、添加し溶解し
た。次に上記マット剤分散液30gを添加して攪拌し、
表面保護層塗布液を調製した。
【0322】
【化25】
【0323】
【化26】
【0324】《銀塩光熱写真ドライイメージング材料試
料101の作製》感光層塗布液Aと表面保護層塗布液
を、公知のエクストルージョン型コーターを用いて、同
時に、下引き層a上に重層塗布することにより試料10
1を作製した。塗布は感光層が塗布銀量1.5g/
2、表面保護層が乾燥膜厚で2.5μmになる様にし
て行った。その後、乾燥温度75℃、露点温度10℃の
乾燥風を用いて、10分間乾燥を行い、試料101を得
た。
【0325】感光層塗布液A中の現像剤(添加液a中の
現像剤A)及びバインダ樹脂P−1を表2に記載したも
のに変更する以外は、試料101と同様にして、試料1
02〜122を作製した。
【0326】《露光及び現像処理》上記のように作製し
た試料の乳剤面側から、高周波重畳にて波長800〜8
20nmの縦マルチモード化された半導体レーザを露光
源とした露光機により、レーザ走査による露光を与え
た。この際に、試料の露光面と露光レーザ光の角度を7
5度として画像を形成した。(なお、当該角度を90度
とした場合に比べ、ムラが少なく、且つ予想外に鮮鋭性
等が良好な画像が得られた。)その後、ヒートドラムを
有する自動現像機を用いて、試料の保護層とドラム表面
が接触するようにして、110℃で15秒熱現像処理し
た。その際、露光及び現像は23℃、50%RHに調湿
した部屋で行った。得られた画像の評価を濃度計により
行った。測定の結果は、感度(未露光部分よりも1.0
高い濃度を与える露光量の比の逆数)、カブリ及び最高
濃度で評価し、試料101の感度及び最高濃度を100
とする相対値で表2に示した。
【0327】《熱転移点温度の測定》テフロン(R)板
の上に、前記と同一組成の感光層塗布液A及び表面保護
層塗布液を、各々ワイヤーバーを用いて同一条件となる
ように塗布、乾燥させた後、最高濃度が得られる条件で
同様に露光、現像した後、テフロン(R)板より塗設し
た構成層を剥離した。剥離した試料約10mgをアルミ
製のパンに装填し、示差走査型熱量計(セイコー電子社
製、EXSTAR6000)を用い、JISK 712
1に従って各試料の熱転移点温度を測定した。測定の際
の昇温条件としては、0〜200℃までは10℃/mi
nで昇温し、0℃までの冷却は20℃/minで行い、
この操作を2回繰り返して、熱転移点温度を求めた。
【0328】《現像前の保存性の評価》各試料を下記に
示す2条件で10日間保存した後、それぞれ感度の測定
と同一方法で露光、現像を行った後、得られた画像の感
度評価を行い、各試料の条件Aに対する条件Bの最小濃
度(Dmin)及び感度変化率を下記より求め、経時保
存性の尺度とした。
【0329】条件A:25℃、55%RH 条件B:40℃、80%RH 変化率=条件Bにおける最小濃度または感度/条件Aに
おける最小濃度または感度×100(%) 《現像後の画像保存性の評価》下記のように一定条件下
における最小濃度及び最高濃度変化率を測定して現像後
の画像保存性を評価した。
【0330】(1)最小濃度(Dmin)変化率の測定 上記感度測定と同様の方法で作製した各熱現像処理済試
料を、45℃、55%RHの環境下で、市販の白色蛍光
灯を試料表面における照度が500luxとなるように
配置し、3日間連続照射を施した。蛍光灯照射済み試料
の最小濃度(D2)と蛍光灯未照射試料の最小濃度(D
1)をそれぞれ測定し、以下の式よりカブリ濃度変化率
(%)を算出した。
【0331】 最小濃度変化率=D2/D1×100(%) (2)最高濃度(Dmax)変化率の測定 上記最小濃度変化率の測定と同様の方法にて作製した各
熱現像処理済み試料を、25℃及び45℃の環境下に3
日間放置した後、最高濃度の変化を測定し、下記により
画像濃度変化率を測定し、それを画像保存性の尺度とし
た。
【0332】画像濃度変化率=45℃保存試料の最高濃
度/25℃保存試料の最高濃度×100(%) 《色相角habの測定》色相角habの測定は、現像処
理後試料の最小濃度部及び光学濃度1.0の部分をCI
Eにより規定された常用光源D65を測色用の光源とし
て、2°視野で分光測色計CM−508d(ミノルタ社
製)を用いて測定して求めた。
【0333】
【表2】
【0334】現像剤2種併用の場合の質量比は1:1と
する。表2から、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージ
ング材料は、比較に比べ、感度が同等以上でありなが
ら、カブリが低く、現像処理前の保存性及び現像処理後
の画像保存性に優れている。また、本発明の試料はCI
Eで規定される色相角habの値も180°を越え、且
つ、270°未満であり、冷調な画像調子を有し、診断
画像として適切な出力画像が得られることが判った。
【0335】実施例2 以下に示す以外は実施例1と同様にして、銀塩光熱写真
ドライイメージング材料を作製した。
【0336】《粉末脂肪族カルボン酸銀塩Bの調製》4
720mlの純水にベヘン酸104.6g、アラキジン
酸54.2g、ステアリン酸34.9g、パルミチン酸
1.8gを80℃で溶解した。次に1.5Mの水酸化ナ
トリウム水溶液432.2mlを添加し、濃硝酸5.5
mlを加えた後、55℃に冷却して脂肪酸ナトリウム溶
液を得た。該脂肪酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保
ったまま、36.2gの上記の感光性ハロゲン化銀乳剤
Aと純水450mlを添加し5分間攪拌した。
【0337】次に1Mの硝酸銀溶液562.1mlを2
分間かけて添加し、10分間攪拌し脂肪族カルボン酸銀
塩分散物を得た。以下は実施例1の粉末脂肪族カルボン
酸銀塩Aと同様にして、粉末脂肪族カルボン酸銀塩Bを
調製した。
【0338】《粉末脂肪族カルボン酸銀塩Cの調製》4
720mlの純水にベヘン酸130.8g、アラキジン
酸67.7g、ステアリン酸43.6g、パルミチン酸
2.3gを80℃で溶解した。次に1.5Mの水酸化ナ
トリウム水溶液540.2mlを添加し濃硝酸6.9m
lを加えた後、55℃に冷却して脂肪酸ナトリウム溶液
を得た。上記の脂肪酸ナトリウム溶液の温度を55℃に
保ったまま、tert−ブチルアルコール347mlを
添加し20分間攪拌した後、45.3gの上記の感光性
ハロゲン化銀乳剤Aと純水450mlを添加し5分間攪
拌した。
【0339】以下は実施例1の粉末脂肪族カルボン酸銀
塩Aと同様にして、粉末脂肪族カルボン酸銀塩Cを調製
した。
【0340】《粉末脂肪族カルボン酸銀塩Dの調製》4
720mlの純水にベヘン酸130.8g、アラキジン
酸67.7g、ステアリン酸32.2g、パルミチン酸
2.3g、イソアラキジン酸17.0gを80℃で溶解
した。次に1.5Mの水酸化ナトリウム水溶液540.
2mlを添加し濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に
冷却して脂肪酸ナトリウム溶液を得た。上記の脂肪酸ナ
トリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、45.3g
の上記の感光性ハロゲン化銀乳剤Aと純水450mlを
添加し5分間攪拌した。
【0341】以下は実施例1の粉末脂肪族カルボン酸銀
塩Aと同様にして、粉末脂肪族カルボン酸銀塩Dを調製
した。
【0342】《粉末脂肪族カルボン酸銀塩Eの調製》4
720mlの純水にベヘン酸130.8g、アラキジン
酸67.7g、ステアリン酸37.6g、パルミチン酸
2.3g、オレイン酸6.0gを80℃で溶解した。次
に1.5Mの水酸化ナトリウム水溶液540.2mlを
添加し濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して
脂肪酸ナトリウム溶液を得た。上記の脂肪酸ナトリウム
溶液の温度を55℃に保ったまま、45.3gの上記の
感光性ハロゲン化銀乳剤Aと純水450mlを添加し5
分間攪拌した。
【0343】以下は実施例1の粉末脂肪族カルボン酸銀
塩Aと同様にして、粉末脂肪族カルボン酸銀塩Eを調製
した。
【0344】《粉末脂肪族カルボン酸銀塩Fの調製》4
720mlの純水にベヘン酸130.8g、アラキジン
酸67.7g、ステアリン酸43.6g、パルミチン酸
2.3g及びポリビニルアルコール1.5g(クラレ社
製PVA−205)を80℃で溶解した。次に1.5M
の水酸化ナトリウム水溶液540.2mlを添加し濃硝
酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して脂肪酸ナト
リウム溶液を得た。上記の脂肪酸ナトリウム溶液の温度
を55℃に保ったまま、45.3gの上記の感光性ハロ
ゲン化銀乳剤Aと純水450mlを添加し5分間攪拌し
た。
【0345】以下は実施例1の粉末脂肪族カルボン酸銀
塩Aと同様にして、粉末脂肪族カルボン酸銀塩Fを調製
した。
【0346】《予備分散液B〜Fの調製》実施例1の予
備分散液Aの調製において、粉末脂肪族カルボン酸銀塩
B〜Fに変更した以外は同様にして、予備分散液B〜F
を、各々調製した。
【0347】《感光性乳剤分散液B〜Fの調製》感光性
乳剤分散液Aの調製において、予備分散液Aを予備分散
液B〜Fに変更した以外は同様にして、感光性乳剤分散
液B〜Fを、各々調製した。
【0348】《感光層塗布液B〜Fの調製》実施例1の
感光層塗布液Aの調製において、感光性乳剤分散液Aを
用いる代わりに感光性乳剤分散液B〜Fを用いる以外は
同様にして、感光層塗布液B〜Fを各々調製した。
【0349】《銀塩光熱写真ドライイメージング材料試
料201の作製》感光層塗布液Aと実施例1の表面保護
層塗布液を用いて、実施例1と同様にして試料201を
作製した。
【0350】感光層塗布液中の現像剤(添加液a中の現
像剤)及び感光性乳剤分散液を表3に記載したものに変
更する以外は、試料201と同様にして、試料202〜
223を作製した。
【0351】なお、いずれの試料も感光層塗布液中のバ
インダ樹脂としてはP−1を使用して、感光層の熱転移
温度を約55℃に調整した。
【0352】〈脂肪族カルボン酸銀塩の粒径と厚さの測
定〉分散後の脂肪族カルボン酸銀塩を希釈してカーボン
支持膜付きグリッド上に分散し、透過型電子顕微鏡(日
本電子製、2000FX型)を用いて直接倍率5000
倍で撮影し、スキャナにてネガをデジタル画像として取
り込み、画像処理装置LUZEXIII(ニコレ社製)を
用いて300個の粒径を測定し、この平均値を求めた。
【0353】次に厚さを求めるため、支持体上に塗布さ
れた感光層を接着剤によりホルダーに貼り付け、支持体
面と垂直な方向にダイヤモンドナイフを用いて厚さ0.
1μm〜0.2μmの超薄切片を作製した。超薄切片を
銅メッシュに支持させ、グロー放電により親水化された
カーボン膜上に移し、液体窒素により−130℃以下に
冷却しながら上記透過型電子顕微鏡を用いて、倍率5,
000〜40,000で明視野像を観察し画像をフィル
ムに記録した。この画像を画像処理装置LUZEXIII
(ニコレ社製)を用いて300個の厚さを測定し、平均
値を求めた。
【0354】露光、現像処理及び各種の評価は実施例1
と同様にして行った。
【0355】
【表3】
【0356】現像剤2種併用の場合の質量比は1:1と
する。表3から、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージ
ング材料は、比較に比べ高感度でありながら、カブリが
低く、現像処理前の保存性及び現像処理後の画像保存性
に優れている。また、本発明の試料はCIEで規定され
る色相角の値も180°を越え、且つ270°未満であ
り、冷調な画像調子を有し、診断画像として適切な出力
画像が得られることが判った。
【0357】実施例3 《省銀化剤を含む支持体の作製》本発明に係る省銀化剤
の効果を調べるために、実施例1における写真用支持体
の作製において、下引塗布液Aに下記の省銀化剤を1g
追加した以外は、実施例1に記載の方法と同様の方法で
支持体を作製した。
【0358】
【化27】
【0359】更に下記のハロゲン化銀乳剤を調製した。 《感光性ハロゲン化銀乳剤aの調製》実施例1の感光性
ハロゲン化銀乳剤Aの調製における、「上記乳剤に硫黄
増感剤S−5(0.5%メタノール溶液)240mlを
加え、更にこの増感剤の1/20モル相当の金増感剤A
u−5を添加し、55℃にて120分間攪拌して化学増
感を施した」部分の処理工程を除いた他は同様の方法で
感光性ハロゲン化銀乳剤aを調製した。
【0360】《感光性乳剤分散液a及び感光層塗布液a
の調製》感光層塗布液Aにおける感光性ハロゲン化銀乳
剤Aに代えて、上記感光性ハロゲン化銀乳剤aを用いた
以外は、同様の処理で感光性乳剤分散液a及び感光層塗
布液aを得た。
【0361】《銀塩光熱写真ドライイメージング材料試
料301の作製》公知のエクストルージョン型コーター
を用いて、感光層2層及び保護層1層の計3層を同時に
重層塗布することにより試料301を作製した。塗布は
感光層塗布液Cからなる感光層(上層)の塗布銀量が
0.7g/m2、感光層塗布液aからなる感光層(下
層)の塗布銀量が0.3g/m2、表面保護層は乾燥膜
厚で2.5μmになる様にして行った。その後、乾燥温
度50℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて、10分間
乾燥を行い、試料301を得た。
【0362】《銀塩光熱写真ドライイメージング材料試
料302〜323の作製》感光層塗布液中の現像剤(添
加液a中の現像剤)を表4に記載したものに変更する以
外は、試料301と同様にして、試料302〜323を
作製した。
【0363】なお、いずれの試料も感光層塗布液中のバ
インダとしてはP−1を使用して、感光層の熱転移温度
を約55℃に調整した。
【0364】露光、現像処理及び各種の評価は実施例1
と同様にして行った。
【0365】
【表4】
【0366】現像剤2種併用の場合の質量比は1:1と
する。表4から明らかなように、本発明の銀塩光熱写真
ドライイメージング材料は感光層重層系でも、比較に比
べ高感度でありながら、カブリが低く、現像処理後の画
像保存性及び経時保存性に優れている。また、本発明の
試料はCIEで規定される色相角の値も180°を越
え、且つ270°未満であり、冷調な画像調子を有し、
診断画像として適切な出力画像が得られることが判っ
た。
【0367】
【発明の効果】本発明により、高感度、低カブリ、生保
存性、熱現像後における銀画像の安定性に優れ、ダイナ
ミックレンジが広く、低銀量でも最高濃度が高く、且
つ、銀色調が良好である銀塩光熱写真ドライイメージン
グ材料、該イメージング材料を用いる画像記録方法及び
画像形成方法を提供することが出来た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩本 良平 東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会 社内 Fターム(参考) 2H123 AB00 AB01 AB03 AB23 AB28 BA00 BA01 BA03 BA14 BB00 BB02 BB33 BB39 BC00 BC12 CA00 CA05 CA22 CB00 CB03 FA00

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非感光性有機銀塩粒子、感光性ハロゲン
    化銀粒子を含有する感光性乳剤、銀イオン還元剤、及び
    バインダを含有する感光性層を支持体上に少なくとも一
    層有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料におい
    て、 該銀イオン還元剤の少なくとも一種が下記一般式(S)
    で表されることを特徴とする銀塩光熱写真ドライイメー
    ジング材料。 【化1】 〔式中、Zは炭素原子とともに芳香族ヘテロ環または置
    換基を環上に有する芳香族炭素環を構成するのに必要な
    原子群を表す。R0′、R0″は水素原子、アルキル基、
    アリール基、または複素環基を表し、Q0はベンゼン環
    上に置換可能な基を表し、n、mは、各々0〜2の整数
    を表す。Q0が複数の場合、各々のQ0は同じでも異なっ
    ていても良い。〕
  2. 【請求項2】 前記一般式(S)で表される化合物が、
    下記一般式(T)で表されることを特徴とする請求項1
    に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。 【化2】 〔式中、G1が炭素原子の場合、G2は炭素原子、窒素原
    子、硫黄原子、酸素原子、またはセレン原子を表す。G
    1が窒素原子の場合、G2は炭素原子または窒素原子を表
    す。G1及びG2が各々炭素原子の場合、p=q=1であ
    り、且つ、Q1及びQ2は、各々独立に水素原子、ハロゲ
    ン原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を
    表す、但し、Q1及びQ2が共に水素原子であることはな
    い。G1が炭素原子、G2が窒素原子の場合、p=1、q
    =0または1であり、且つ、Q1及びQ2は、各々独立に
    水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ま
    たはヘテロ環基を表すが、Q1及びQ2が共に水素原子で
    あることはない。G1が炭素原子、G2が酸素原子、硫黄
    原子、またはセレン原子の場合、p=1、q=0であ
    り、且つ、Q1はハロゲン原子、アルキル基、アリール
    基、または、ヘテロ環基を表す。G1が窒素原子であり
    2が炭素原子または窒素原子である場合、p=0、q
    =1であり、且つ、Q2はハロゲン原子、アルキル基、
    アリール基、またはヘテロ環基を表す。Z2は炭素原
    子、G1及びG2とともに5員〜6員の芳香族環を構成す
    るのに必要な原子群を表す。R0′、R0″、Q0、n、
    及びmは、各々前記一般式(S)と同義である。〕
  3. 【請求項3】 銀塗布量が、0.5g/m2〜1.5g
    /m2であることを特徴とする請求項1または2に記載
    の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
  4. 【請求項4】 100℃以上の温度で現像処理した後の
    感光性層の熱転移点温度が、46℃〜200℃であるこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の銀
    塩光熱写真ドライイメージング材料。
  5. 【請求項5】 バインダのTg(ガラス転移温度)が、
    70℃〜105℃であることを特徴とする請求項1〜4
    のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージン
    グ材料。
  6. 【請求項6】 非感光性有機銀塩粒子が、該非感光性有
    機銀塩粒子に対する結晶成長抑制剤または分散剤として
    機能する化合物の存在下において調製されたことを特徴
    とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の銀塩光熱写
    真ドライイメージング材料。
  7. 【請求項7】 結晶成長抑制剤または分散剤として機能
    する化合物が、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を
    有する有機化合物であることを特徴とする請求項6に記
    載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
  8. 【請求項8】 感光性層または非感光性層が、省銀化剤
    を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1
    項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
  9. 【請求項9】 省銀化剤が、下記一般式(X)で表され
    ることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載
    の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。 【化3】 〔式中、R1x及びR2xは水素原子または置換基を表し、
    1xは−S−、−O−、または−N(R3x)−を表し、
    3xは水素原子または置換基を表す。nxは2または3
    を表し、mxは1〜3の整数を表す。X2xは耐拡散性
    基、ハロゲン化銀への吸着基、またはシリル基を表し、
    qxは1〜3の整数を表す。Lxは2〜6価の連結基を
    表す。〕
  10. 【請求項10】 感光性層を2層以上有することを特徴
    とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の銀塩光熱写
    真ドライイメージング材料。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれか1項に記載
    の銀塩光熱写真ドライイメージング材料への画像記録時
    の走査レーザー光が縦マルチである、レーザー光走査露
    光機を用いて露光を行うことを特徴とする画像記録方
    法。
  12. 【請求項12】 請求項1〜10のいずれか1項に記載
    の銀塩光熱写真ドライイメージング材料を熱現像した後
    の当該感光材料の色相角habが、180°を超え27
    0°未満であることを特徴とする画像形成方法。
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