JP2003075953A - 銀塩光熱写真ドライイメージング材料、その画像記録方法及び画像形成方法 - Google Patents

銀塩光熱写真ドライイメージング材料、その画像記録方法及び画像形成方法

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JP2003075953A
JP2003075953A JP2001263350A JP2001263350A JP2003075953A JP 2003075953 A JP2003075953 A JP 2003075953A JP 2001263350 A JP2001263350 A JP 2001263350A JP 2001263350 A JP2001263350 A JP 2001263350A JP 2003075953 A JP2003075953 A JP 2003075953A
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Seiwa Morita
聖和 森田
Ayumi Nishijima
歩 西島
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高感度、低カブリでありながら、生保存性に
優れ、且つ熱現像後における銀画像の安定性に優れた銀
塩光熱写真ドライイメージング材料、その画像記録方
法、及び画像形成方法を提供する。 【解決手段】 少なくとも非感光性脂肪族カルボン酸銀
塩粒子及び感光性ハロゲン化銀粒子を含有する感光性乳
剤、銀イオン還元剤、バインダー、及び架橋剤を含有す
る銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、該架
橋剤の少なくとも一種が多官能芳香族イソシアネート化
合物であり、かつ銀塗布量が0.5g/m 2以上1.5
g/m2以下であることを特徴とする銀塩光熱写真ドラ
イイメージング材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は銀塩光熱写真ドライ
イメージング材料、その画像記録方法及び画像形成方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、医療や印刷製版の分野では、画像
形成材料の湿式処理に伴う廃液が作業性の上で問題とな
っており、近年では環境保全、省スペースの観点からも
処理廃液の減量が強く望まれている。
【0003】その為レーザ・イメージャーやレーザ・イ
メージセッターのような効率的な露光が可能で、高解像
度で鮮明な黒色画像を形成することができる写真技術用
途の光熱写真材料に関する技術が必要とされてきてい
る。
【0004】かかる技術として、例えばD.モーガン
(Morgan)とB.シェリー(Shely)による
米国特許第3,152,904号、同3,487,07
5号又はD.H.クロスタベール(Klosterbo
er)による「ドライシルバー写真材料(Dry Si
lver Photographic Materia
ls)」(Handbook of Imaging
Materials,Marcel Dekker,I
nc.第48頁、1991)等に記載されているよう
に、支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化銀及び還元
剤を含有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料(単
に感光材料ともいう)が知られている。この銀塩光熱写
真ドライイメージング材料では溶液系処理薬品を一切使
用しないため、より簡便で環境を損なわないシステムを
ユーザーに提供することができる。
【0005】ところでこれらの銀塩光熱写真ドライイメ
ージング材料は、感光層中に設置された感光性ハロゲン
化銀粒子を光センサーとし、有機銀塩を銀イオンの供給
源とし、内蔵された還元剤によって通常80〜140℃
で熱現像することで画像を形成させ、定着を行わないこ
とが特徴である。
【0006】しかしながら、銀塩光熱写真ドライイメー
ジング材料においては、有機銀塩、感光性ハロゲン化銀
粒子及び還元剤を含有するため、熱現像前の保存期間に
カブリが生じ易い。また露光後、通常80〜250℃で
熱現像するだけで定着を行わないため、熱現像後におい
ても、ハロゲン化銀、有機銀塩及び還元剤等が全部又は
一部残留併存するため、長期間の保存において、熱や光
により金属銀が生じ、銀画像の色調等の画質が変化し易
いという問題がある。
【0007】熱現像前の保存期間におけるカブリ問題を
解決するための技術が、特開平6−208192号、同
8−267934号、米国特許第5,714,311号
及びこれらの特許文献に引用されている文献等において
開示されているが、これらの開示技術はある程度の効果
を有するものの、市場において要求されるレベルを満た
すための技術としてはまだ充分なものではない。
【0008】また一方で、銀塩光熱写真ドライイメージ
ング材料のいわば永遠のテーマとして、更なる高画質化
が要望されている。特に、医療用画像の分野では、一層
正確な診断を可能にする高画質化が要望されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は上記
の事情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は高
感度、低カブリでありながら、熱現像後における銀画像
の安定性に優れ高画質である銀塩光熱写真ドライイメー
ジング材料、およびその画像記録方法及び画像記録方法
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果高感度かつ低いかぶりでありながら、熱現像後
の銀画像の安定性にも優れ高画質であることを見いだ
し、下記の本発明によって前記目的を達成した。
【0011】(1)少なくとも非感光性脂肪族カルボン
酸銀塩粒子及び感光性ハロゲン化銀粒子を含有する感光
性乳剤、銀イオン還元剤、バインダー、及び架橋剤を含
有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、
該架橋剤の少なくとも一種が多官能芳香族イソシアネー
ト化合物であり、かつ塗布銀量が0.5g/m2以上
1.5g/m2以下であることを特徴とする銀塩光熱写
真ドライイメージング材料。
【0012】(2)少なくとも非感光性脂肪族カルボン
酸銀塩粒子及び感光性ハロゲン化銀粒子を含有する感光
性乳剤、銀イオン還元剤、バインダー、及び架橋剤を含
有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、
該架橋剤の少なくとも一種が多官能芳香族イソシアネー
ト化合物であり、かつ100℃以上の温度で現像処理し
た後の感光性層の熱転移点温度が、46℃以上200℃
以下であることを特徴とする銀塩光熱写真ドライイメー
ジング材料。
【0013】(3)少なくとも非感光性脂肪族カルボン
酸銀塩粒子及び感光性ハロゲン化銀粒子を含有する感光
性乳剤、銀イオン還元剤、バインダー、及び架橋剤を含
有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、
該架橋剤の少なくとも一種が多官能芳香族イソシアネー
ト化合物であり、かつ該銀イオン還元剤の少なくとも一
種がビスフェノール誘導体であって、前記一般式(A)
で表される化学構造を有する化合物であることを特徴と
する銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0014】(4)前記バインダーのガラス転移温度T
gが、70℃以上105℃以下であることを特徴とする
前記(1)から(3)の何れか1項に記載の銀塩光熱写
真ドライイメージング材料。
【0015】(5)非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子
が当該粒子に対する結晶成長抑制剤ないし分散剤として
機能する化合物の存在下において形成されたものである
ことを特徴とする前記(1)から(4)の何れか1項に
記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0016】(6)前記結晶成長抑制剤又は分散剤とし
て機能する化合物がヒドロキシ基又はカルボキシ基を有
する有機化合物であることを特徴とする(4)に記載の
銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0017】(7)前記多官能芳香族イソシアネートが
前記一般式(IH)で表せる化学構造を有する化合物で
あることを特徴とする前記(1)から(6)の何れか1
項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0018】なお、前記一般式(IH)で表される化合
物において、アリール基及びアリーレン基は置換基を有
してもよく、好ましくは、ハロゲン原子(例えば、臭素
原子または塩素原子)、ヒドロキシル基、アミノ基、カ
ルボキシル基、アルキル基及びアルコキシ基から選択さ
れた基である。
【0019】(8)前記感光性層又は非感光性層に省銀
化剤を含有することを特徴とする前記(1)から(7)
の何れか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料。
【0020】(9)感光性層を2層以上有することを特
徴とする前記(1)から(8)の何れか1項に記載の銀
塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0021】(10)前記(1)から(9)の何れか1
項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に画像
を記録する際の走査レーザー光が縦マルチであるレーザ
ー光走査露光機による露光を行うことを特徴とする画像
記録方法。
【0022】(11)前記(1)から(9)の何れか1
項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料を熱現
像した後の当該感光材料の色相角habが、180度<h
ab<270度であることを特徴とする画像形成方法。
【0023】以下、本発明を詳述する。本発明の銀塩光
熱写真ドライイメージング材料(単に本発明の感光材料
ともいう)に用いられる感光性ハロゲン化銀粒子(単に
ハロゲン化銀粒子ともいう)について説明する。なお、
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子とは、ハロゲン
化銀結晶の固有の性質として本来的に光吸収することが
でき、又は人為的に物理化学的な方法により可視光ない
し赤外光を吸収することができ、且つ紫外光領域から赤
外光領域の光波長範囲内のいずれかの領域の光を吸収し
たときに、当該ハロゲン化銀結晶内及び/又は結晶表面
において、物理化学的変化が起こり得るように処理製造
されたハロゲン化銀結晶粒子をいう。
【0024】本発明に用いられるハロゲン化銀粒子自体
は、P.Glafkides著Chimie et P
hysique Photographique(Pa
ulMontel社刊、1967年)、G.F.Duf
fin著 Photographic Emulsio
n Chemistry(The Focal Pre
ss刊、1966年)、V.L.Zelikman e
t al著Making and Coating P
hotographic Emulsion(The
Focal Press刊、1964年)等に記載され
た方法を用いてハロゲン化銀粒子乳剤として調製するこ
とができる。即ち、酸性法、中性法、アンモニア法等の
いずれでもよく、又可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反
応させる形成としては、片側混合法、同時混合法、それ
らの組合せ等のいずれを用いてもよいが、上記方法の中
でも形成条件をコントロールしつつハロゲン化銀粒子を
調製する、所謂コントロールドダブルジェット法が好ま
しい。ハロゲン組成としては特に制限はなく、塩化銀、
塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のい
ずれであってもよい。
【0025】粒子形成は通常、ハロゲン化銀種粒子
(核)生成と粒子成長の2段階に分けられ、一度にこれ
らを連続的に行う方法でもよく、又核(種粒子)形成と
粒子成長を分離して行う方法でもよい。粒子形成条件あ
るpAg、pH等をコントロールして粒子形成を行うコ
ントロールドダブルジェット法が粒子形状やサイズのコ
ントロールが出来るので好ましい。例えば、核生成と粒
子成長を分離して行う方法を行う場合には、先ず可溶性
銀塩と可溶性ハロゲン塩をゼラチン水溶液中で均一、急
速に混合させ核(種粒子)生成(核生成工程)した後、
コントロールされたpAg、pH等のもとで、可溶性銀
塩と可溶性ハロゲン塩を供給しつつ、粒子成長させる粒
子成長工程によりハロゲン化銀粒子を調製する。粒子形
成後、脱塩工程により不要な塩類等をヌードル法、フロ
キュレーション法、限外濾過法、電気透析法等の公知の
脱塩法により除く事で所望のハロゲン化銀乳剤を得るこ
とが出来る。
【0026】本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、
画像形成後の白濁や色調(黄色味)を低く抑えるため、
及び良好な画質を得るために平均粒径が小さい方が好ま
しく、平均粒径は0.02μm未満の粒子を計測の対象
外としたときの値として、0.035μm以上、0.0
55μm以下が好ましい。なおここでいう粒径とは、ハ
ロゲン化銀粒子が立方体或いは八面体のいわゆる正常晶
である場合には、ハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。
また、ハロゲン化銀粒子が平板状粒子である場合には、
主表面の投影面積と同面積の円像に換算したときの直径
をいう。
【0027】本発明において、ハロゲン化銀粒子は単分
散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記
式で求められる粒径の変動係数が30%以下をいう。好
ましくは20%以下であり、更に好ましくは15%以下
である。
【0028】粒径の変動係数%=粒径の標準偏差/粒径
の平均値×100 ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、14
面体粒子、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイ
モ状粒子などを挙げることができるが、これらの内、特
に立方体、八面体、14面体、平板状ハロゲン化銀粒子
が好ましい。
【0029】平板状ハロゲン化銀粒子を用いる場合の平
均アスペクト比は、好ましくは1.5以上、100以
下、より好ましくは2以上、50以下がよい。これらは
米国特許第5,264,337号、同5,314,79
8号、同5,320,958号等に記載されており、容
易に目的の平板状粒子を得ることができる。更に、ハロ
ゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用い
ることができる。
【0030】ハロゲン化銀粒子外表面の晶癖については
特に制限はないが、ハロゲン化銀粒子表面への銀増感色
素の吸着反応において、晶癖(面)選択性を有する分光
増感色素を使用する場合には、その選択性に適応する晶
癖を相対的に高い割合で有するハロゲン化銀粒子を使用
することが好ましい。例えば、ミラー指数〔100〕の
結晶面に選択的に吸着する増感色素を使用する場合に
は、ハロゲン化銀粒子外表面において〔100〕面の占
める割合が高いことが好ましく、この割合が50%以
上、更には70%以上、特に80%以上であることが好
ましい。なお、ミラー指数〔100〕面の比率は、増感
色素の吸着における〔111〕面と〔100〕面との吸
着依存性を利用したT.Tani,J.Imaging
Sci.,29,165(1985年)により求める
ことができる。
【0031】本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、
該粒子形成時に平均分子量5万以下の低分子量ゼラチン
を用いて調製することが好ましいが、特にハロゲン化銀
粒子の核形成時に用いることが好ましい。低分子量ゼラ
チンは、平均分子量5万以下のものであり、好ましくは
2000〜40000、更には5000〜25000で
ある。ゼラチンの平均分子量はゲル濾過クロマトグラフ
ィーで測定することができる。低分子量ゼラチンは、通
常用いられる平均分子量10万程度のゼラチン水溶液に
ゼラチン分解酵素を加えて酵素分解したり、酸又はアル
カリを加えて加熱し加水分解したり、大気圧下又は加圧
下での加熱により熱分解したり、超音波照射して分解し
たり、それらの方法を併用したりして得ることができ
る。
【0032】核形成時の分散媒の濃度は5質量%以下が
好ましく、0.05〜3.0質量%の低濃度で行うのが
より有効である。
【0033】本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、
該粒子形成時に下記の一般式で示されるポリエチレンオ
キシド化合物を用いることが好ましい。
【0034】一般式 YO(CH2CH2O)m(CH(CH3)CH2O)p(C
2CH2O)nY 式中、Yは水素原子、−SO3M、又は−CO−B−C
OOMを表し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、アン
モニウム基又は炭素原子数5以下のアルキル基にて置換
されたアンモニウム基を、Bは有機2塩基性酸を形成す
る鎖状又は環状の基を表す。m及びnは各々0〜50を
pは1〜100を表す。
【0035】上記の一般式で表されるポリエチレンオキ
シド化合物は、ハロゲン化銀写真感光材料を製造するに
際し、ゼラチン水溶液を製造する工程、ゼラチン溶液に
水溶性ハロゲン化物及び水溶性銀塩を添加する工程、乳
剤を支持体上に塗布する工程等、乳剤原料を撹拌した
り、移動したりする場合の著しい発泡に対する消泡剤と
して好ましく用いられてきたものであり、消泡剤として
用いる技術は、例えば特開昭44−9497号に記載さ
れている。上記一般式で表されるポリエチレンオキシド
化合物は核形成時の消泡剤としても機能する。
【0036】上記一般式で表されるポリエチレンオキシ
ド化合物は銀に対して1質量%以下で用いるのが好まし
く、より好ましくは0.01〜0.1質量%で用いる。
【0037】上記一般式で表されるポリエチレンオキシ
ド化合物は核形成時に存在していればよく、核形成前の
分散媒中に予め加えておくのが好ましいが、核形成中に
添加してもよいし、核形成時に使用する銀塩水溶液やハ
ライド水溶液に添加して用いてもよい。好ましくはハラ
イド水溶液若しくは両方の水溶液に0.01〜2.0質
量%で添加して用いることである。又、核形成工程の少
なくとも50%に亘る時間で存在せしめるのが好まし
く、更に好ましくは70%以上に亘る時間で存在せしめ
る。上記一般式で表されるポリエチレンオキシド化合物
は粉末で添加しても、メタノール等の溶媒に溶かして添
加してもよい。
【0038】なお、核形成時の温度は5〜60℃、好ま
しくは15〜50℃であり、一定の温度であっても、昇
温パターン(例えば、核形成開始時の温度が25℃で、
核形成中徐々に温度を挙げ、核形成終了時の温度が40
℃の様な場合)やその逆のパターンであっても前記温度
範囲内で制御するのが好ましい。
【0039】核形成に用いる銀塩水溶液及びハライド水
溶液の濃度は3.5M以下が好ましく、更には0.01
〜2.5Mの低濃度域で使用されるのが好ましい。核形
成時の銀イオンの添加速度は、反応液1L当たり1.5
×10-3〜3.0×10-1モル/分が好ましく、更に好
ましくは3.0×10-3〜8.0×10-2モル/分であ
る。
【0040】核形成時のpHは1.7〜10の範囲に設
定できるが、アルカリ側のpHでは形成する核の粒径分
布を広げるため好ましくはpH2〜6である。又、核形
成時のpBrは0.05〜3.0程度、好ましくは1.
0〜2.5、更には1.5〜2.0がより好ましい。
【0041】本発明のハロゲン化銀粒子はいかなる方法
で感光性層(単に感光層ともいう)に添加されてもよ
く、このときハロゲン化銀粒子は還元可能な銀源(脂肪
族カルボン酸銀塩)に近接するように配置するのが好ま
しい。
【0042】本発明のハロゲン化銀は予め調製してお
き、これを脂肪族カルボン酸銀塩粒子を調製するための
溶液に添加するのが、ハロゲン化銀調製工程と脂肪族カ
ルボン酸銀塩粒子調製工程を分離して扱えるので製造コ
ントロール上も好ましいが、英国特許第1,447,4
54号に記載されている様に、脂肪族カルボン酸銀塩粒
子を調製する際にハライドイオン等のハロゲン成分を脂
肪族カルボン酸銀塩形成成分と共存させ、これに銀イオ
ンを注入する事で脂肪族カルボン酸銀塩粒子の生成とほ
ぼ同時に生成させることも出来る。又、脂肪族カルボン
酸銀塩にハロゲン含有化合物を作用させ、脂肪族カルボ
ン酸銀塩のコンバージョンによりハロゲン化銀粒子を調
製することも可能である。即ち、予め調製された脂肪族
カルボン酸銀塩の溶液もしくは分散液、又は脂肪族カル
ボン酸銀塩を含むシート材料にハロゲン化銀形成成分を
作用させて、脂肪族カルボン酸銀塩の一部を感光性ハロ
ゲン化銀に変換することもできる。
【0043】ハロゲン化銀粒子形成成分としては、無機
ハロゲン化合物、オニウムハライド類、ハロゲン化炭化
水素類、N−ハロゲン化合物、その他の含ハロゲン化合
物があり、その具体例については米国特許第4,00
9,039号、同3,457,075号、同4,00
3,749号、英国特許第1,498,956号及び特
開昭53−27027号、同53−25420号に詳説
される金属ハロゲン化物、ハロゲン化アンモニウム等の
無機ハロゲン化物、例えばトリメチルフェニルアンモニ
ウムブロマイド、セチルエチルジメチルアンモニウムブ
ロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムブロマイド
の様なオニウムハライド類、例えばヨードフォルム、ブ
ロモフォルム、四塩化炭素、2−ブロム−2−メチルプ
ロパン等のハロゲン化炭化水素類、N−ブロム琥珀酸イ
ミド、N−ブロムフタルイミド、N−ブロムアセトアミ
ド等のN−ハロゲン化合物、その他、例えば塩化トリフ
ェニルメチル、臭化トリフェニルメチル、2−ブロム酢
酸、2−ブロムエタノール、ジクロロベンゾフェノン等
がある。この様にハロゲン化銀を有機酸銀とハロゲンイ
オンとの反応により有機酸銀塩中の銀の一部又は全部を
ハロゲン化銀に変換することによって調製する事もでき
る。また、別途調製したハロゲン化銀に脂肪族カルボン
酸銀塩の一部をコンバージョンすることで製造したハロ
ゲン化銀粒子を併用してもよい。
【0044】これらのハロゲン化銀粒子は、別途調製し
たハロゲン化銀粒子、脂肪族カルボン酸銀塩のコンバー
ジョンによるハロゲン化銀粒子とも、脂肪族カルボン酸
銀塩1モルに対し0.001モル乃至0.7モル、好ま
しくは0.03モル乃至0.5モル使用するのが好まし
い。
【0045】本発明に用いられるハロゲン化銀粒子に
は、元素周期律表の6族から11族に属する遷移金属の
イオンを含有することが好ましい。上記の金属として
は、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、
Re、Os、Ir、Pt、Auが好ましい。これらは1
種類でも同種或いは異種の金属錯体を2種以上併用して
もよい。これらの金属イオンは金属塩をそのままハロゲ
ン化銀に導入してもよいが、金属錯体又は錯体イオンの
形でハロゲン化銀に導入できる。好ましい含有率は銀1
モルに対し1×10-9モルから、1×10-2モルの範囲
が好ましく、1×10-8〜1×10-4の範囲がより好ま
しい。本発明においては、遷移金属錯体又は錯体イオン
は下記一般式で表されるものが好ましい。
【0046】一般式〔ML6m 式中、Mは元素周期表の6〜11族の元素から選ばれる
遷移金属、Lは配位子を表し、mは0、−、2−、3−
又は4−を表す。Lで表される配位子の具体例として
は、ハロゲンイオン(弗素イオン、塩素イオン、臭素イ
オン、沃素イオン)、シアナイド、シアナート、チオシ
アナート、セレノシアナート、テルロシアナート、アジ
ド及びアコの各配位子、ニトロシル、チオニトロシル等
が挙げられ、好ましくはアコ、ニトロシル及びチオニト
ロシル等である。アコ配位子が存在する場合には、配位
子の一つ又は二つを占めることが好ましい。Lは同一で
もよく、また異なっていてもよい。
【0047】これらの金属のイオン又は錯体イオンを提
供する化合物は、ハロゲン化銀粒子形成時に添加し、ハ
ロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましく、ハロ
ゲン化銀粒子の調製、つまり核形成、成長、物理熟成、
化学増感の前後のどの段階で添加してもよいが、特に核
形成、成長、物理熟成の段階で添加するのが好ましく、
更には核形成、成長の段階で添加するのが好ましく、最
も好ましくは核形成の段階で添加する。添加に際して
は、数回に渡って分割して添加してもよく、ハロゲン化
銀粒子中に均一に含有させることもできるし、特開昭6
3−29603号、特開平2−306236号、同3−
167545号、同4−76534号、同6−1101
46号、同5−273683号等に記載されている様に
粒子内に分布を持たせて含有させることもできる。
【0048】これらの金属化合物は、水或いは適当な有
機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコー
ル類、ケトン類、エステル類、アミド類)に溶解して添
加することができるが、例えば金属化合物の粉末の水溶
液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶
解した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩溶液又は水溶
性ハライド溶液中に添加しておく方法、或いは銀塩溶液
とハライド溶液が同時に混合されるとき第3の水溶液と
して添加し、3液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を
調製する方法、粒子形成中に必要量の金属化合物の水溶
液を反応容器に投入する方法、或いはハロゲン化銀調製
時に予め金属のイオン又は錯体イオンをドープしてある
別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させる方法等があ
る。特に、金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合
物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を水溶
性ハライド溶液に添加する方法が好ましい。粒子表面に
添加する時には、粒子形成直後又は物理熟成時途中もし
くは終了時又は化学熟成時に必要量の金属化合物の水溶
液を反応容器に投入することもできる。
【0049】別途調製した感光性ハロゲン化銀粒子はヌ
ードル法、フロキュレーション法、限外濾過法、電気透
析法等の公知の脱塩法により脱塩することができるが、
脱塩しないで用いる事もできる。
【0050】本発明の脂肪族カルボン酸銀塩は還元可能
な銀源であり、炭素数10〜30、好ましくは15〜2
5の脂肪族カルボン酸の銀塩が好ましい。好適な銀塩の
例としては以下のものが挙げられる。
【0051】没食子酸、蓚酸、ベヘン酸、ステアリン
酸、アラキジン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の銀
塩。これらの内、好ましい銀塩としてはベヘン酸銀、ア
ラキジン酸銀及びステアリン酸銀が挙げられる。又、本
発明においては脂肪族カルボン酸銀塩が2種以上混合さ
れていることが、現像性を上げ高濃度、高コントラスト
の銀画像を形成する上で好ましく、例えば2種以上の脂
肪族カルボン酸混合物に銀イオン溶液を混合して調製す
ることが好ましい。
【0052】脂肪族カルボン酸銀塩化合物は、水溶性銀
化合物と銀と錯形成する化合物を混合することにより得
られるが、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9
−127643号に記載されている様なコントロールド
ダブルジェット法等が好ましく用いられる。例えば、有
機酸にアルカリ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウムなど)を加えて有機酸アルカリ金属塩ソー
プ(例えば、ベヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリ
ウムなど)を作製した後に、コントロールドダブルジェ
ット法により、前記ソープと硝酸銀などを混合して脂肪
族カルボン酸銀塩の結晶を作製する。その際にハロゲン
化銀粒子を混在させてもよい。
【0053】本発明の脂肪族カルボン酸銀塩において
は、平均円相当径が0.05μm以上、0.8μmであ
り、平均厚さが0.005μm以上、0.07μm以下
であることが好ましく、特に好ましくは平均円相当径が
0.2μm以上、0.5μmであり平均厚さ0.01μ
m以上、0.05μm以下である。
【0054】平均円相当径が0.05μm以下では透明
性には優れるが、画像保存性が悪く、平均粒径が0.8
μm以上では失透が激しい。平均厚さが0.005μm
以下では、表面積が大きく現像時の銀イオン供給が急激
に行われ、特に低濃度部では銀画像に使われずに、膜中
に残存する銀イオンが多量に存在する結果、画像保存性
が著しく劣化する。平均厚さが0.07μm以上では、
表面積が小さくなり、画像安定性は向上するが、現像時
の銀供給が遅く、特に高濃度部での現像銀形状の不均一
を招き、結果最高濃度が低くなりやすい。
【0055】平均円相当径を求めるには、分散後の脂肪
族カルボン酸銀塩を希釈してカーボン支持膜付きグリッ
ド上に分散し、透過型電子顕微鏡(日本電子製、200
0FX型)、直接倍率5000倍にて撮影を行った。ス
キャナにてネガをデジタル画像として取り込み、適当な
画像処理ソフトを用いて粒径(円相当径)を300個以
上測定し、平均粒径を算出する。
【0056】平均厚さを求めるには、下記に示すような
TEM(透過型電子顕微鏡)を用いた方法により算出す
る。
【0057】まず、支持体上に塗布された感光層を接着
剤により適当なホルダーに貼り付け、支持体面と垂直な
方向にダイヤモンドナイフを用いて厚さ0.1〜0.2
μmの超薄切片を作製する。作製された超薄切片を、銅
メッシュに支持させ、グロー放電により親水化されたカ
ーボン膜上に移し、液体窒素により−130℃以下に冷
却しながら透過型電子顕微鏡(以下TEMと称す)を用
いて、倍率5,000倍乃至40,000倍にて明視野
像を観察し、画像はフィルム、イメージングプレート、
CCDカメラなどに素早く記録する。この際、観察され
る視野としては、切片に破れや弛みがない部分を適宜選
択することが好ましい。
【0058】カーボン膜としては極薄いコロジオン、ホ
ルムバールなど有機膜に支持されたものを使用すること
が好ましく、更に好ましくは、岩塩基板上に形成し基板
を溶解除去して得るか、または、上記有機膜を有機溶
媒、イオンエッチングにより除去して得られたカーボン
単独の膜である。TEMの加速電圧としては80ないし
400kVが好ましく、特に好ましくは80ないし20
0kVである。
【0059】その他、電子顕微鏡観察技法、及び試料作
製技法の詳細については「日本電子顕微鏡学会関東支部
編/医学・生物学電子顕微鏡観察法」(丸善)、「日本
電子顕微鏡学会関東支部編/電子顕微鏡生物試料作製
法」(丸善)をそれぞれ参考にすることができる。
【0060】適当な媒体に記録されたTEM画像は、画
像1枚を少なくとも1024画素×1024画素、好ま
しくは2048画素×2048画素以上に分解しコンピ
ュータによる画像処理を行うことが好ましい。画像処理
を行うためには、フィルムに記録されたアナログ画像は
スキャナなどでデジタル画像に変換し、シェーディング
補正、コントラスト・エッジ強調などを必要に応じ施す
ことが好ましい。その後、ヒストグラムを作製し2値化
処理によって脂肪族カルボン酸銀に相当する箇所を抽出
する。
【0061】上記抽出した脂肪族カルボン酸銀塩粒子の
厚さを300個以上適当なソフトでマニュアル測定し、
平均値を求める。
【0062】前記記載の形状を有する脂肪族カルボン酸
銀塩粒子を得る方法としては、特に限定されないが、有
機酸アルカリ金属塩ソープ形成時の混合状態及び/また
は前記ソープに硝酸銀を添加する際の混合状態などを良
好に保つ事や、ソープに対する有機酸の割合、ソープと
反応する硝酸銀の割合を最適にすることなどが有効であ
る。
【0063】本発明の平板状脂肪族カルボン酸銀塩粒子
(平均円相当径が0.05μm以上、0.8μm以下で
あり、且つ平均厚さが0.005μm以上、0.07μ
m以下の脂肪族カルボン酸銀塩粒子をいう)は、必要に
応じバインダーや界面活性剤などと共に予備分散した
後、メディア分散機または高圧ホモジナイザなどで分散
粉砕することが好ましい。上記予備分散にはアンカー
型、プロペラ型等の一般的攪拌機や高速回転遠心放射型
攪拌機(ディゾルバ)、高速回転剪断型撹拌機(ホモミ
キサ)を使用することができる。
【0064】また、上記メディア分散機としては、ボー
ルミル、遊星ボールミル、振動ボールミルなどの転動ミ
ルや、媒体攪拌ミルであるビーズミル、アトライター、
その他バスケットミルなどを用いることが可能であり、
高圧ホモジナイザとしては壁、プラグなどに衝突するタ
イプ、液を複数に分けてから高速で液同士を衝突させる
タイプ、細いオリフィスを通過させるタイプなど様々な
タイプを用いることができる。
【0065】メディア分散時に使用されるセラミックス
ビーズに用いられるセラミックスとしては、例えばAl
23、BaTiO3、SrTiO3、MgO、ZrO、B
eO、Cr23、SiO2、SiO2−Al23、Cr2
3−MgO、MgO−CaO、MgO−C、MgO−
Al23(スピネル)、SiC、TiO2、K2O、Na
2O、BaO、PbO、B23、SrTiO3(チタン酸
ストロンチウム)、BeAl24、Y3Al512、Zr
2−Y23(立方晶ジルコニア)、3BeO−Al2
3−6SiO2(合成エメラルド)、C(合成ダイヤモン
ド)、Si2O−nH2O、チッカ珪素、イットリウム安
定化ジルコニア、ジルコニア強化アルミナ等が好まし
い。分散時におけるビーズや分散機との摩擦による不純
物生成が少ない等の理由から、イットリウム安定化ジル
コニア、ジルコニア強化アルミナ(これらジルコニアを
含有するセラミックスを以下においてジルコニアと略
す)が特に好ましく用いられる。
【0066】本発明の平板状脂肪族カルボン酸銀塩粒子
を分散する際に用いられる装置類において、該脂肪族カ
ルボン酸銀塩粒子が接触する部材の材質としてジルコニ
ア、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素などのセラミック
ス類またはダイヤモンドを用いることが好ましく、中で
もジルコニアを用いることが好ましい。上記分散を行う
際、バインダー濃度は脂肪族カルボン酸銀質量の0.1
〜10%添加することが好ましく、予備分散から本分散
を通して液温が45℃を上回らないことが好ましい。ま
た、本分散の好ましい運転条件としては、例えば高圧ホ
モジナイザを分散手段として用いる場合には、29.4
2〜98.06MPa、運転回数は2回以上が好ましい
運転条件として挙げられる。又、メディア分散機を分散
手段として用いる場合には、周速が6m/秒から13m
/秒が好ましい条件として挙げられる。
【0067】本発明において、脂肪族カルボン酸銀粒子
に対する結晶成長抑制剤ないし分散剤として機能する化
合物とは、脂肪族カルボン酸銀粒子の製造工程におい
て、当該化合物を共存させた条件下で脂肪族カルボン酸
銀を製造したときに、共存させない条件下で製造したと
きより小粒径化や単分散化する機能、効果を有する化合
物をいう。具体例として、炭素数が10以下の一価アル
コール類、好ましくは第2級アルコール、第3級アルコ
ール、エチレングリコール、プロピレングリコールなど
のグリコール類、ポリエチレングリコールなどポリエー
テル類、グリセリンが挙げられる。好ましい添加量とし
ては、脂肪族カルボン酸銀に対して10〜200質量%
である。
【0068】一方で、イソヘプタン酸、イソデカン酸、
イソトリデカン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン
酸、イソステアリン酸、イソアラキジン酸、イソベヘン
酸、イソヘキサコ酸など、それぞれ異性体を含む分岐脂
肪族カルボン酸も好ましい。この場合、好ましい側鎖と
して、炭素数4以下のアルキル基又はアルケニル基が挙
げられる。また、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノ
ール酸、リノレン酸、モロクチン酸、エイコセン酸、ア
ラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサ
ペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、セラコレン酸など
の脂肪族不飽和カルボン酸が挙げられる。好ましい添加
量は、脂肪族カルボン酸銀の0.5〜10mol%であ
る。
【0069】グルコシド、ガラクトシド、フルクトシド
などの配糖体類、トレハロース、スクロースなどトレハ
ロース型二糖類、グリコーゲン、デキストリン、デキス
トラン、アルギン酸など多糖類、メチルセロソルブ、エ
チルセロソルブなどのセロソルブ類、ソルビタン、ソル
ビット、酢酸エチル、酢酸メチル、ジメチルホルムアミ
ドなど水溶性有機溶媒、ポリビニルアルコール、ポリア
クリル酸、アクリル酸共重合体、マレイン酸共重合体、
カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセル
ロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビ
ニルピロリドン、ゼラチンなどの水溶性ポリマー類も好
ましい化合物として挙げられる。好ましい添加量として
は脂肪族カルボン酸銀に対して0.1〜20質量%であ
る。
【0070】炭素数が10以下のアルコール好ましく
は、第二級アルコール、第三級アルコールは、仕込み工
程での脂肪族カルボン酸ナトリウムの溶解度を上げるこ
とにより減粘し、攪拌効率を上げることで単分散且つ小
粒径化する。分岐脂肪族カルボン酸及び脂肪族不飽和カ
ルボン酸は、脂肪族カルボン酸銀が結晶化する際にメイ
ン成分である直鎖脂肪族カルボン酸銀よりも立体障害性
が高く、結晶格子の乱れが大きくなるため大きな結晶は
生成せず、結果的に小粒径化する。
【0071】前述のように、従来のハロゲン化銀写真感
光材料と比較して、銀塩光熱写真ドライイメージング材
料の構成上の最大の相違点は、後者の材料中には、現像
処理の前後を問わず、カブリやプリントアウト銀(焼出
し銀)の発生の原因となり得る感光性ハロゲン化銀、有
機銀塩及び還元剤が多量含有されていることである。こ
のため、銀塩光熱写真ドライイメージング材料には、現
像前ばかりでなく現像後の保存安定性を維持するため
に、高度のカブリ防止及び画像安定化技術が必須である
が、従来はカブリ核の成長及び現像を抑制する芳香族性
複素環化合物の他に、カブリ核を酸化消滅する機能を有
する酢酸水銀のような水銀化合物が、非常に有効な保存
安定化剤として使用されていたが、この水銀化合物の使
用は安全性、環境保全性の点で問題であった。
【0072】以下において、本発明の銀塩光熱写真ドラ
イイメージング材料に用いられるカブリ防止及び画像安
定化剤について説明する。
【0073】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料においては、還元剤としては、後述するように、主
にビスフェノール類の還元剤が用いられているので、こ
れらの水素を引き抜くことができる活性種を発生するこ
とにより還元剤を不活性化できる化合物が含有されてい
ることが好ましい。好適には無色の光酸化性物質とし
て、露光時にフリーラジカルを反応活性種として生成可
能な化合物が好ましい。
【0074】従ってこれらの機能を有する化合物であれ
ばいかなる化合物でもよいが、複数の原子からなる有機
フリーラジカルが好ましい。かかる機能を有し、且つ銀
塩光熱写真ドライイメージング材料に格別の弊害を生じ
ることのない化合物であればいかなる構造をもった化合
物でもよい。
【0075】又、これらのフリーラジカルを発生する化
合物としては、発生するフリーラジカルに、還元剤と反
応し不活性化するに充分な時間接触できる位の安定性を
もたせるために炭素環式、又は複素環式の芳香族基を有
するものが好ましい。
【0076】これらの化合物の代表的なものとして以下
に挙げるビイミダゾリル化合物、ヨードニウム化合物を
挙げることができる。
【0077】ビイミダゾリル化合物としては、以下の一
般式〔1〕により表されるものが挙げられる。
【0078】
【化2】
【0079】式中、R1、R2及びR3(同一又は相異な
る)の各々はアルキル基(例えば、メチル、エチル、ヘ
キシル)、アルケニル基(例えば、ビニル、アリル)、
アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、オクチル
オキシ)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル、
トリル)、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、アリールオ
キシ基(例えば、フェノキシ)、アルキルチオ基(例え
ば、メチルチオ、ブチルチオ)、アリールチオ基(例え
ば、フェニルチオ)、アシル基(例えば、アセチル、プ
ロピオニル、ブチリル、バレリル)、スルフォニル基
(例えば、メチルスルフォニル、フェニルスルフォニ
ル)、アシルアミノ基、スルフォニルアミノ基、アシル
オキシ基(例えば、アセトキシ、ベンゾキシ)、カルボ
キシル基、シアノ基、スルフォ基及びアミノ基を示す。
これらのうちより好適な置換基はアリール基、アルケニ
ル基及びシアノ基である。
【0080】上記のビイミダゾリル化合物は米国特許第
3,734,733号及び英国特許第1,271,17
7号に記載されている製造方法及びそれに準じた方法に
より製造することができる。
【0081】好ましい具体例としては、例えば、特開2
000−321711号に記載されている化合物例が挙
げることができる。
【0082】又、同様に好適な化合物として、以下の一
般式〔2〕で示されるヨードニウム化合物を挙げること
ができる。
【0083】
【化3】
【0084】式中、Q1は5、6または7員環を完成す
るのに必要な原子を包含し、且つ該必要な原子は炭素原
子、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる。R
1、R2及びR3(同一又は相異なる)の各々は水素原
子、アルキル基(例えば、メチル、エチル、ヘキシ
ル)、アルケニル基(例えば、ビニル、アリル)、アル
コキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、オクチルオキ
シ)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル、トリ
ル)、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、アリールオキシ
基(例えば、フェノキシ)、アルキルチオ基(例えば、
メチルチオ、ブチルチオ)、アリールチオ基(例えば、
フェニルチオ)、アシル基(例えば、アセチル、プロピ
オニル、ブチリル、バレリル)、スルフォニル基(例え
ば、メチルスルフォニル、フェニルスルフォニル)、ア
シルアミノ基、スルフォニルアミノ基、アシルオキシ基
(例えば、アセトキシ、ベンゾキシ)、カルボキシル
基、シアノ基、スルフォ基及びアミノ基を示す。これら
のうちより好適な置換基はアリール基、アルケニル基及
びシアノ基である。
【0085】R4はアセテート、ベンゾエート、トリフ
ルオロアセテートのようなカルボキシレート基及びO-
を示す。Wは0又は1を表す。
【0086】X-はアニオン性対イオンであり、好適な
例としてはCH3CO2 -、CH3SO3 -及びPF6 -であ
る。
【0087】R3がスルフォ基又はカルボキシル基のと
きは、Wは0で、且つR4はO-である。
【0088】なお、R1、R2及びR3の何れかは互いに
結合して環を形成してもよい。これらのうち特に好まし
い化合物は以下の一般式〔3〕で表される。
【0089】
【化4】
【0090】ここにおいて、R1、R2、R3、R4、X-
及びW等は前記一般式〔2〕と同義であり、Yは炭素原
子(−CH=;ベンゼン環)を表すか、又は窒素原子
(−N=;ピリジン環)を表す。
【0091】上記のヨードニウム化合物はOrg.Sy
n.,1961及び”Fieser著Advanced
Organic Chemistry”(Reinh
old,N.Y.,1961)に記載されている製造方
法及びそれに準じた方法によって合成できる。
【0092】好ましい具体例としては、例えば、特開2
000−321711号に記載されている化合物例が挙
げることができる。
【0093】上記の一般式〔1〕及び〔2〕で表される
化合物の添加量は、10-3〜10-1モル/m2、好まし
くは5×10-3〜5×10-2モル/m2である。なお、
当該化合物は、本発明の感光材料において、いかなる構
成層中にも含有させることができるが、還元剤の近傍に
含有させることが好ましい。
【0094】又、還元剤を不活性化し還元剤が脂肪族カ
ルボン酸銀塩を銀に還元できないようにする化合物とし
て、反応活性種がハロゲン原子でないものが好ましい
が、ハロゲン原子を活性種として放出する化合物も、ハ
ロゲン原子でない活性種を放出する化合物と併用するこ
とにより、使用することができる。ハロゲン原子を活性
種として放出できる化合物も多くのものが知られてお
り、併用により良好な効果が得られる。
【0095】これらの活性ハロゲン原子を生成する化合
物の具体例としては、以下に挙げる一般式〔4〕の化合
物がある。
【0096】
【化5】
【0097】一般式〔4〕中、Q2はアリール基または
ヘテロ環基を表す。X1、X2及びX3は水素原子、ハロ
ゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリー
ルオキシカルボニル基、スルフォニル基、アリール基を
表すが、少なくとも一つはハロゲン原子である。Yは−
C(=O)−、−SO−または−SO2−を表す。
【0098】Q2で表されるアリール基は、単環または
縮環していてもよく、好ましくは炭素数6〜30の単環
または二環のアリール基(例えば、フェニル、ナフチル
等)であり、より好ましくはフェニル基、ナフチル基で
あり、更に好ましくはフェニル基である。
【0099】Q2で表されるヘテロ環基は、N、Oまた
はSの少なくとも一つの原子を含む3乃至10員の飽和
もしくは不飽和のヘテロ環基であり、これらは単環であ
ってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
【0100】ヘテロ環基として好ましくは、縮合環を有
していてもよい5乃至6員の不飽和ヘテロ環基であり、
より好ましくは縮合環を有していてもよい5乃至6員の
芳香族ヘテロ環基である。更に好ましくは窒素原子を含
む縮合環を有していてもよい5乃至6員の芳香族ヘテロ
環基であり、特に好ましくは窒素原子を1乃至4原子含
む縮合環を有していてもよい5乃至6員の芳香族ヘテロ
環基である。このようなヘテロ環基におけるヘテロ環と
して、好ましくはイミダゾール、ピラゾール、ピリジ
ン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾー
ル、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、
チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラ
ジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シン
ノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、
フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾー
ル、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズ
チアゾール、インドレニン、テトラザインデンであり、
より好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、
ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チ
アジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジ
ン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノ
リン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベン
ズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾー
ル、テトラザインデンであり、更に好ましくはイミダゾ
ール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、
トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、キノリ
ン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾ
リン、シンノリン、テトラゾール、チアゾール、ベンズ
イミダゾール、ベンズチアゾールであり、特に好ましく
はピリジン、チアジアゾール、キノリン、ベンズチアゾ
ールである。
【0101】Q2で表されるアリール基及びヘテロ環基
は−Y−C(X1)(X2)(X3)の他に置換基を有し
ていても良く、置換基として好ましくはアルキル基、ア
ルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキ
シ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニ
ル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、
アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリ
ールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、
スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、ウ
レイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、
スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヘテロ環基であ
り、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキ
シ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、
アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボ
ニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル
基、カルバモイル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハ
ロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、
更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ
基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、ス
ルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル
基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基で
あり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲ
ン原子である。
【0102】X1、X2及びX3は好ましくはハロゲン原
子、ハロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル
基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ス
ルファモイル基、スルホニル基、ヘテロ環基であり、よ
り好ましくはハロゲン原子、ハロアルキル基、アシル
基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニ
ル基、スルホニル基であり、更に好ましくはハロゲン原
子、トリハロメチル基であり、特に好ましくはハロゲン
原子である。ハロゲン原子の中でも好ましくは塩素原
子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは塩素
原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子であ
る。
【0103】Yは−C(=O)−、−SO−、−SO2
−を表し、好ましくは−SO2−である。
【0104】これらの化合物の添加量は、実質的にハロ
ゲン化銀の生成によるプリントアウト銀の増加が問題に
ならない範囲が好ましく、前記活性ハロゲンラジカルを
生成しない化合物に対する比率で、最大150%以下、
更に好ましくは100%以下であることが好ましい。
【0105】なお、上記の化合物の他に、本発明の銀塩
光熱写真ドライイメジング材料中には、従来カブリ防止
剤として知られている化合物が含まれてもよいが、上記
の化合物と同様な反応活性種を生成することができる化
合物であっても、カブリ防止機構が異なる化合物であっ
てもよい。例えば、米国特許第3,589,903号、
同4,546,075号、同4,452,885号、特
開昭59−57234号、米国特許第3,874,94
6号、同4,756,999号、特開平9−28832
8号、同9−90550号に記載されている化合物が挙
げられる。更に、その他のカブリ防止剤としては、米国
特許第5,028,523号及び欧州特許第600,5
87号、同605,981号、同631,176号に開
示されている化合物が挙げられる。
【0106】本発明においては、特に、該銀イオン還元
剤の少なくとも一種がビスフェノール誘導体である化合
物を単独又は他の異なる化学構造を有する還元剤と併せ
て用いる。本発明に係る銀塩光熱写真イメージング材料
において、光熱写真イメージング材料のCP保存中のカ
ブリ発生等による性能劣化及び熱現像後の銀画像の保存
における色調劣化等が予想外に抑制することが出来る。
【0107】本発明においては、還元剤として前記一般
式(A)で表されるビスフェノール誘導体を用いること
を特徴とする。
【0108】前記一般式(A)中、Xが表すカルコゲン
原子としては、硫黄、セレン、テルルであり、好ましく
は硫黄原子である。Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素
数が7以下の脂肪族基または6員環以下の環状基を表
し、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素
原子、臭素原子等であり、炭素数が7以下の脂肪族基と
しては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基、ヘキシル基、ヘプチル基、ビニル基、アリル
基、ブテニル基、ヘキサジエニル基、エテニル−2−プ
ロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペ
ニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル
基等であり、6員環以下の環状基としては、脂環式基、
ヘテロ環基を含み、炭素環式基としては、シクロブテン
基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロヘ
キシル基、シクロへキセニル基、シクロヘキサジエニル
基、フェニル基等の4〜6員環が好ましく、ヘテロ環基
としては、ピラゾール環、ピロール環、ピロリジン環、
ピリミジン環、ピラジン環、ピリジン環、トリアジン
環、チアゾール環、フラン環、ピラン環等の5、6員環
が好ましく、特に好ましくは、水素原子又はシクロアル
キル基、シクロアルケニル基、フェニル基などの環状構
造を有する基である。
【0109】これらの基は更に置換基を有していても良
く、置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原
子、塩素原子、臭素原子等)、シクロアルキル基(例え
ば、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等)、シクロ
アルケニル基(例えば、1−シクロアルケニル基、2−
シクロアルケニル基等)、アルコキシ基(例えば、メト
キシ基、エトキシ基、プロポキシ基等)、アルキルカル
ボニルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基等)、アル
キルチオ基(例えば、メチルチオ基、トリフルオロメチ
ルチオ基等)、カルボキシル基、アルキルカルボニルア
ミノ基(例えば、アセチルアミノ基等)、ウレイド基
(例えば、メチルアミノカルボニルアミノ基等)、アル
キルスルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルア
ミノ基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メタンス
ルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基等)、カ
ルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N,N−ジメ
チルカルバモイル基、N−モルホリノカルボニル基
等)、スルファモイル基(スルファモイル基、N,N−
ジメチルスルファモイル基、モルフォリノスルファモイ
ル基等)、トリフルオロメチル基、ヒドロキシル基、ニ
トロ基、シアノ基、アルキルスルホンアミド基(例え
ば、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基
等)、アルキルアミノ基(例えばアミノ基、N,N−ジ
メチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基等)、スル
ホ基、ホスフォノ基、サルファイト基、スルフィノ基、
アルキルスルホニルアミノカルボニル基(例えば、メタ
ンスルホニルアミノカルボニル基、エタンスルホニルア
ミノカルボニル基等)、アルキルカルボニルアミノスル
ホニル基(例えば、アセトアミドスルホニル基、メトキ
シアセトアミドスルホニル基等)、アルキニルアミノカ
ルボニル基(例えば、アセトアミドカルボニル基、メト
キシアセトアミドカルボニル基等)、アルキルスルフィ
ニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルフィニル
アミノカルボニル基、エタンスルフィニルアミノカルボ
ニル基等)等が挙げられる。また、置換基が二つ以上あ
る場合は、同じでも異なっていても良い。
【0110】R′、R″は水素原子、ハロゲン原子又は
置換基を表し、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素
原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、置換基として
は、例えば、アルキル基、アリール基、シクロアルキル
基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル
基、アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミ
ノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバ
モイル基、アルキルチオ基、スルホニル基、アルキルス
ルホニル基、スルフィニル基、シアノ基、ヘテロ環基等
が挙げられる。複数のR′、R″は同じでも異なってい
ても良い。
【0111】R′は、炭素数2以上が好ましい。R″は
炭素数1〜5が好ましく、さらに好ましくは炭素数1で
ある。これらの基は更に置換基を有していても良く、置
換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩
素原子、臭素原子等)、アルキル基(例えば、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、i
so−ペンチル基、2−エチル−ヘキシル基、オクチル
基、デシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロ
ヘキシル基、シクロヘプチル基等)、アルケニル基(例
えば、エテニル−2−プロペニル基、3−ブテニル基、
1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1
−メチル−3−ブテニル基等)、シクロアルケニル基
(例えば、1−シクロアルケニル基、2−シクロアルケ
ニル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、1−
プロピニル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ
基、エトキシ基、プロポキシ基等)、アルキルカルボニ
ルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基等)、アルキル
チオ基(例えば、メチルチオ基、トリフルオロメチルチ
オ基等)、カルボキシル基、アルキルカルボニルアミノ
基(例えば、アセチルアミノ基等)、ウレイド基(例え
ば、メチルアミノカルボニルアミノ基等)、アルキルス
ルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ基
等)、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニ
ル基、トリフルオロメタンスルホニル基等)、カルバモ
イル基(例えば、カルバモイル基、N,N−ジメチルカ
ルバモイル基、N−モルホリノカルボニル基等)、スル
ファモイル基(スルファモイル基、N,N−ジメチルス
ルファモイル基、モルフォリノスルファモイル基等)、
トリフルオロメチル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シ
アノ基、アルキルスルホンアミド基(例えば、メタンス
ルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基等)、アルキ
ルアミノ基(例えばアミノ基、N,N−ジメチルアミノ
基、N,N−ジエチルアミノ基等)、スルホ基、ホスフ
ォノ基、サルファイト基、スルフィノ基、アルキルスル
ホニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルホニル
アミノカルボニル基、エタンスルホニルアミノカルボニ
ル基等)、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(例
えば、アセトアミドスルホニル基、メトキシアセトアミ
ドスルホニル基等)、アルキニルアミノカルボニル基
(例えば、アセトアミドカルボニル基、メトキシアセト
アミドカルボニル基等)、アルキルスルフィニルアミノ
カルボニル基(例えば、メタンスルフィニルアミノカル
ボニル基、エタンスルフィニルアミノカルボニル基等)
等が挙げられる。
【0112】本発明に係る前記一般式(A)で示される
化合物の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【0113】
【化6】
【0114】
【化7】
【0115】
【化8】
【0116】
【化9】
【0117】その他、米国特許第3,589,903
号、同第4,021,249号若しくは英国特許第1,
486,148号各明細書及び特開昭51−51933
号、同50−36110号、同50−116023号、
同52−84727号若しくは特公昭51−35727
号公報に記載されたポリフェノール化合物、例えば、
2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、6,
6′−ジブロモ−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−
ビナフチル等の米国特許第3,672,904号明細書
に記載されたビスナフトール類、更に、例えば、4−ベ
ンゼンスルホンアミドフェノール、2−ベンゼンスルホ
ンアミドフェノール、2,6−ジクロロ−4−ベンゼン
スルホンアミドフェノール、4−ベンゼンスルホンアミ
ドナフトール等の米国特許第3,801,321号明細
書に記載されているようなスルホンアミドフェノール又
はスルホンアミドナフトール類も挙げることが出来る。
【0118】前記一般式(A)で表される化合物を始め
とする還元剤の使用量は好ましくは銀1モル当り1×1
-2〜10モル、特に1×10-2〜1.5モルである。
【0119】本発明の光熱写真ドライイメージング材料
に使用される還元剤の量は、有機銀塩や還元剤の種類、
その他の添加剤によって変化するが、一般的には有機銀
塩1モル当たり0.05モル乃至10モル好ましくは
0.1モル乃至3モルが適当である。又この量の範囲内
において、上述した還元剤は2種以上併用されてもよ
い。本発明においては、前記還元剤を塗布直前に感光性
ハロゲン化銀及び有機銀塩粒子及び溶媒からなる感光乳
剤溶液に添加混合して塗布した方が、停滞時間による写
真性能変動が小さく好ましい場合がある。
【0120】本発明の感光性ハロゲン化銀には化学増感
を施すことができる。例えば、特願平2000−057
004号及び特願平2000−061942号に記載さ
れている方法等により、硫黄、セレン、テルルなどのカ
ルコゲンを放出する化合物や金イオンなどの貴金属イオ
ンを放出する貴金属化合物の利用により、化学増感中心
(化学増感核)を形成付与できる。特にカルコゲン原子
を含有する有機増感剤により化学増感されているのが好
ましい。
【0121】これらカルコゲン原子を含有する有機増感
剤は、ハロゲン化銀へ吸着可能な基と不安定カルコゲン
原子部位を有する化合物であることが好ましい。
【0122】これらの有機増感剤としては、特開昭60
−150046号、特開平4−109240号、同11
−218874号等に開示されている種々の構造を有す
る有機増感剤を用いることができるが、それらのうちカ
ルコゲン原子が炭素原子又はリン原子と二重結合で結ば
れている構造を有する化合物の少なくとも1種であるこ
とが好ましい。
【0123】有機増感剤としてのカルコゲン化合物の使
用量は、使用するカルコゲン化合物、ハロゲン化銀粒
子、化学増感を施す際の反応環境などにより変わるが、
ハロゲン化銀1モル当たり、10-8〜10-2モルが好ま
しく、より好ましくは10-7〜10-3モルを用いる。化
学増感環境としては、特に制限はないが、感光性ハロゲ
ン化銀粒子上のカルコゲン化銀又は銀核を消滅或いはそ
れらの大きさを減少させ得る化合物の存在下において、
又特に銀核を酸化しうる酸化剤の共存下において、カル
コゲン原子を含有する有機増感剤を用いてカルコゲン増
感を施すことが好ましく、該増感条件として、pAgと
しては6〜11が好ましく、より好ましくは7〜10で
あり、pHは4〜10が好ましく、より好ましくは5〜
8、又温度としては30℃以下で増感を施すことが好ま
しい。
【0124】従って、本発明の銀塩光熱写真ドライイメ
ージング材料においては、感光性ハロゲン化銀が、該粒
子上の銀核を酸化しうる酸化剤の共存下において、カル
コゲン原子を含有する有機増感剤を用いて、温度30℃
以下において化学増感を施され、且つ脂肪族カルボン酸
銀塩と混合して分散され、脱水及び乾燥された感光性乳
剤を用いることが好ましい。
【0125】また、これらの有機増感剤を用いた化学増
感は、分光増感色素またはハロゲン化銀粒子に対して、
吸着性を有するヘテロ原子含有化合物の存在下で行われ
る事が好ましい。ハロゲン化銀に吸着性を有する化合物
の存在下化学増感を行うことで、化学増感中心核の分散
化を防ぐことができ高感度、低カブリを達成できる。分
光増感色素については後述するが、ハロゲン化銀に吸着
性を有するヘテロ原子含有化合物とは、特開平3−24
537号に記載されている含窒素複素環化合物が好まし
い例として挙げられる。含窒素複素環化合物において、
複素環としてはピラゾール環、ピリミジン環、1,2,
4−トリアゾール環、1,2,3−トリアゾール環、
1,3,4−チアジアゾール環、1,2,3−チアジア
ゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,2,5
−チアジアゾール環、1,2,3,4−テトラゾール
環、ピリダジン環、1,2,3−トリアジン環、これら
の環が2〜3個結合した環、例えばトリアゾロトリアゾ
ール環、ジアザインデン環、トリアザインデン環、ペン
タアザインデン環などを挙げることができる。単環の複
素環と芳香族環の縮合した複素環、例えばフタラジン
環、ベンズイミダゾール環、インダゾール環、ベンズチ
アゾール環なども適用できる。
【0126】これらの中で好ましいのはアザインデン環
であり、且つ置換基としてヒドロキシル基を有するアザ
インデン化合物、例えばヒドロキシトリアザインデン、
テトラヒドロキシアザインデン、ヒドロキシペンタアザ
インデン化合物等が更に好ましい。
【0127】複素環にはヒドロキシル基以外の置換基を
有してもよい。置換基としては、例えばアルキル基、置
換アルキル基、アルキルチオ基、アミノ基、ヒドロキシ
アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ア
リールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニ
ル基、ハロゲン原子、シアノ基などを有してもよい。
【0128】これ含複素環化合物の添加量は、ハロゲン
化銀粒子の大きさや組成その他の条件等に応じて広い範
囲に亘って変化するが、おおよその量はハロゲン化銀1
モル当たりの量で10-6モル〜1モルの範囲であり、好
ましくは10-4モル〜10-1モルの範囲である。
【0129】本発明の感光性ハロゲン化銀には、金イオ
ンなどの貴金属イオンを放出する化合物を利用して貴金
属増感を施すことができる。例えば、金増感剤として、
塩化金酸塩や有機金化合物が利用できる。
【0130】又、上記の増感法の他、還元増感法等も用
いることができ、還元増感の貝体的な化合物としては、
アスコルビン酸、2酸化チオ尿素、塩化第1スズ、ヒド
ラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミ
ン化合物等を用いることができる。また、乳剤のpHを
7以上またはpAgを8.3以下に保持して熟成するこ
とにより還元増感することができる。
【0131】本発明に係る化学増感を施されるハロゲン
化銀は、有機銀塩の存在下で形成されたのでも、有機銀
塩の存在しない条件下で形成されたものでも、また、両
者が混合されたものでもよい。
【0132】本発明における感光性ハロゲン化銀には、
分光増感色素を吸着させ分光増感を施すことが好まし
い。分光増感色素としてシアニン色素、メロシアニン色
素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロ
シアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、スチリル色
素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソ
ノール色素等を用いることができる。例えば、特開昭6
3−159841号、同60−140335号、同63
−231437号、同63−259651号、同63−
304242号、同63−15245号、米国特許第
4,639,414号、同4,740,455号、同
4,741,966号、同4,751,175号、同
4,835,096号に記載された増感色素が使用でき
る。
【0133】本発明に使用される有用な増感色素は、例
えばRD17643IV−A項(1978年12月p.2
3)、同18431X項(1978年8月p.437)
に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に
各種レーザイメージャーやスキャナーの光源の分光特性
に適した分光感度を有する増感色素を用いるのが好まし
い。例えば、特開平9−34078号、同9−5440
9号、同9−80679号に記載の化合物が好ましく用
いられる。
【0134】有用なシアニン色素は、例えばチアゾリン
核、オキサゾリン核、ピロリン核、ピリジン核、オキサ
ゾール核、チアゾール核、セレナゾール核及びイミダゾ
ール核などの塩基性核を有するシアニン色素である。有
用なメロシアニン染料で好ましいものは、上記の塩基性
核に加えて、チオヒダントイン核、ローダニン核、オキ
サゾリジンジオン核、チアゾリンジオン核、バルビツー
ル酸核、チアゾリノン核、マロノニトリル核及びピラゾ
ロン核などの酸性核も含む。
【0135】本発明においては、特に赤外に分光感度を
有する増感色素を用いることもできる。好ましく用いら
れる赤外分光増感色素としては、例えば米国特許第4,
536,473号、同4,515,888号、同4,9
59,294号等に開示されている赤外分光増感色素が
挙げられる。
【0136】赤外分光増感色素については、ベンズアゾ
ール環のベンゼン環上にスルフィニル基が置換されてい
ることを特徴とした長鎖のポリメチン色素が特に好まし
い。
【0137】上記の赤外増感色素は、例えばエフ・エム
・ハーマー著、The Chemistry of H
eterocyclic Compounds第18
巻、The Cyanine Dyes and Re
lated Compounds(A.Weissbe
rger ed.Interscience社刊、Ne
w York 1964年)に記載の方法によって容易
に合成することができる。
【0138】これらの赤外増感色素の添加時期はハロゲ
ン化銀調製後のどの時点でもよく、例えば溶剤に添加し
て、或いは微粒子状に分散した所謂固体分散状態でハロ
ゲン化銀粒子或いはハロゲン化銀粒子/脂肪族カルボン
酸銀塩粒子を含有する感光性乳剤に添加できる。又、前
記のハロゲン化銀粒子に対し吸着性を有するヘテロ原子
含有化合物と同様に、化学増感に先立ってハロゲン化銀
粒子に添加し吸着させた後、化学増感を施すこともで
き、これにより化学増感中心核の分散化を防ぐことがで
き高感度、低カブリを達成できる。
【0139】本発明において、上記の分光増感色素は単
独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、
増感色素の組合せは、特に強色増感の目的でしばしば用
いられる。
【0140】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料に用いられる感光性ハロゲン化銀、脂肪族カルボン
酸銀塩を含有する乳剤は、増感色素とともに、それ自身
分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に
吸収しない物質であって、強色増感効果を発現する物質
を乳剤中に含ませ、これによりハロゲン化銀粒子が強色
増感されていてもよい。
【0141】有用な増感色素、強色増感を示す色素の組
合せ及び強色増感を示す物質は、RD17643(19
78年12月発行)第23頁IVのJ項、あるいは特公平
9−25500号、同43−4933号、特開昭59−
19032号、同59−192242号、特開平5−3
41432号等に記載されているが、強色増感剤として
は、下記で表される複素芳香族メルカプト化合物が又は
メルカプト誘導体化合物が好ましい。
【0142】Ar−SM 式中、Mは水素原子またはアルカリ金属原子であり、A
rは1個以上の窒素、硫黄、酸素、セレニウム、または
テルリウム原子を有する芳香環または縮合芳香環であ
る。好ましくは、複素芳香環はベンズイミダゾール、ナ
フトイミダゾール、ベンズチアゾール、ナフトチアゾー
ル、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、ベンズ
セレナゾール、ベンズテルラゾール、イミダゾール、オ
キサゾール、ピラゾール、トリアゾール、トリアジン、
ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリ
ン、キノリン、またはキナゾリンである。しかしなが
ら、他の複素芳香環も含まれる。
【0143】なお、脂肪族カルボン酸銀塩及び/又はハ
ロゲン化銀粒子乳剤の分散物中に含有させたときに実質
的に上記のメルカプト化合物を生成するメルカプト誘導
体化合物も含まれる。特に下記で表されるメルカプト誘
導体化合物が、好ましい例として挙げられる。
【0144】Ar−S−S−Ar 式中のArは上記で表されたメルカプト化合物の場合と
同義である。
【0145】上記の複素芳香環は、例えばハロゲン原子
(例えば、Cl、Br、I)、ヒドロキシル基、アミノ
基、カルボキシル基、アルキル基(例えば、1個以上の
炭素原子、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するも
の)及びアルコキシ基(例えば、1個以上の炭素原子、
好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するもの)からな
る群から選ばれる置換基を有しうる。
【0146】上記の強色増感剤の他に、特願平2000
−070296号に開示されている次の一般式〔5〕で
表される化合物と大環状化合物を強色増感剤として使用
できる。
【0147】
【化10】
【0148】式中、H31Arは芳香族炭化水素基または
芳香族複素環基を表し、T31は脂肪族炭化水素基からな
る2価の連結基または連結基を表し、J31は酸素原子、
硫黄原子または窒素原子を一つ以上含む2価の連結基ま
たは連結基を表す。Ra、Rb、Rc及びRdは各々、
水素原子、アシル基、脂肪族炭化水素基、アリール基ま
たは複素環基を表し、またはRaとRb、RcとRd、
RaとRc或いはRbとRdの間で結合して含窒素複素
環基を形成することができる。M31は分子内の電荷を相
殺するに必要なイオンを表し、k31は分子内の電荷を
相殺するに必要なイオンの数を表す。
【0149】一般色〔5〕において、T31で表される脂
肪族炭化水素基からなる2価の連結基としては、直鎖、
分岐または環状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜
20、より好ましくは1〜16、更に好ましくは1〜1
2)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より
好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜12)、アル
キニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは
2〜16、更に好ましくは2〜12)であり、置換基を
有していてもよく、例えば脂肪族炭化水素基としては、
直鎖、分岐または環状のアルキル基(好ましくは炭素数
1〜20、より好ましくは1〜16、更に好ましくは1
〜12)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、
より好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜12)、
アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好まし
くは2〜16、更に好ましくは2〜12)であり、アリ
ール基としては、炭素数6〜20の単環または縮環のア
リール基(例えば、フェニル、ナフチル等が挙げられ、
好ましくはフェニル)であり、複素環基としては、3〜
10員の飽和、不飽和のヘテロ環基(例えば、2−チア
ゾリル、1−ピペラジニル、2−ピリジル、3−ピリジ
ル、2−フリル、2−チエニル、2−ベンズイミダゾリ
ル、カルバゾリル、等)であり、これらの基中のヘテロ
環は単環であっても、他の環と縮合環を形成してもよ
い。これらの各基は任意の個所に置換基を有していても
よく、例えば、アルキル基(シクロアルキル基、アラル
キル基を含み、好ましくは炭素数1〜20、より好まし
くは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であ
り、例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プ
ロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ヘプチ
ル、n−オクチル、n−デシル、n−ウンデシル、n−
ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シク
ロヘキシル、ベンジル、フェネチル等が挙げられ
る。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、よ
り好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2
〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3
−ペンテニル等が挙げられる。)、アルキニル基(好ま
しくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜1
2、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパ
ルギル、3−ペンチニル等が挙げられる。)、アリール
基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数
6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例え
ば、フェニル、p−トリル、O−アミノフェニル、ナフ
チル等が挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素
数、0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好
ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルア
ミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミ
ノ、ジフェニルアミノ、ジベンジルアミノ等が挙げられ
る。)、イミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好
ましくは炭素数1〜18、特に好ましくは炭素数1〜1
2であり、例えばメチルイミノ、エチルイミノ、プロピ
ルイミノ、フェニルイミノ等)アルコキシ基(好ましく
は炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特
に好ましくは炭素数1〜8であり、例えば、メトキシ、
エトキシ、ブトキシ等)、アリールオキシ基(好ましく
は炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特
に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオ
キシ、2−ナフチルオキシ等が挙)、アシル基(好まし
くは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、
特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチ
ル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等)、アルコキ
シカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ま
しくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12
であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボ
ニル等)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭
素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好
ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシ
カルボニル等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1
〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましく
は炭素数1〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイ
ルオキシ等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜
20、より好ましくは炭素1〜16、特に好ましくは炭
素数1〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイ
ルアミノ等)、アルコキシカルボニルアミノ基(好まし
くは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、
特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシ
カルボニルアミノ等)、アリールオキシカルボニルアミ
ノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素
数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例
えばフェニルオキシカルボニルアミノ等)、スルホニル
アミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは
炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であ
り、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニ
ルアミノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0
〜20、より好ましくは炭素0〜16、特に好ましくは
炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチル
スルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルス
ルファモイル等)、カルバモイル基(好ましくは炭素数
1〜20、より好ましくは炭素1〜16、特に好ましく
は炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチル
カルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバ
モイル等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜2
0、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭
素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオ
等)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、よ
り好ましくは炭素6〜16、特に好ましくは炭素数6〜
12であり、例えばフェニルチオ等)、スルホニル基
(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1
〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば
メタンスルホニル、トシル等)、スルフィニル基(好ま
しくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜1
6、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタ
ンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル等が挙げられ
る。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より
好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜
12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニ
ルウレイド等)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1
〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましく
は炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミ
ド、フェニルリン酸アミド等)、ヒドロキシル基、メル
カプト基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原
子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、ス
ルフィノ基、カルボキシル基、ホスホノ基、ホスフィノ
基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、ヒドラジノ基、ヘテ
ロ環基(例えば、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、
チアゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル、ピリジ
ル、フリル、ピペリジル、モルホリノ等)等が挙げられ
る。
【0150】上記の基のうちヒドロキシル基、メルカプ
ト基、スルホ基、スルフィノ基、カルボキシル基、ホス
ホノ基、ホスフィノ基等のような塩形成可能な基は塩で
あってもよい。これらの置換基は更に置換されてもよ
い。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異な
ってもよい。置換基として好ましくは、アルキル基、ア
ラルキル基、アルコキシ基、アリール基、アルキルチオ
基、アシル基、アシルアミノ基、イミノ基、スルファモ
イル基、スルホニル基、スルホニルアミノ基、ウレイド
基、アミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヘテロ環基、
アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、スルホ基、
カルバモイル基、カルボキシル基であり、より好ましく
はアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アルキルチ
オ基、アシル基、アシルアミノ基、イミノ基、スルホニ
ルアミノ基、ウレイド基、アミノ基、ハロゲン原子、ニ
トロ基、ヘテロ環基、アルコキシカルボニル基、ヒドロ
キシル基、スルホ基、カルバモイル基、カルボキシル基
であり、更に好ましくはアルキル基、アルコキシ基、ア
リール基、アルキルチオ基、アシルアミノ基、イミノ
基、ウレイド基、アミノ基、ヘテロ環基、アルコキシカ
ルボニル基、ヒドロキシル基、スルホ基、カルバモイル
基、カルボキシル基である。アミジノ基としては、置換
基を有するものを含み、置換基としては、例えばアルキ
ル基(メチル、エチル、ピリジルメチル、ベンジル、フ
ェネチル、カルボキシベンジル、アミノフェニルメチル
等の各基)、アリール基(フェニル、p−トリル、ナフ
チル、o−アミノフェニル、o−メトキシフェニル等の
各基)、複素環基(2−チアゾリル、2−ピリジル、3
−ピリジル、2−フリル、3−フリル、2−チエノ、2
−イミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル等の
各基)等が挙げられる。
【0151】J31で表される酸素原子、硫黄原子または
窒素原子を一つ以上含む2価の連結基としては、例えば
以下のものが挙げられる。また、これらの組み合わせで
あってもよい。
【0152】
【化11】
【0153】ここで、Re及びRfは各々、前述したR
a〜Rdに定義した内容に同義である。
【0154】H31Arで表される芳香族炭化水素基とし
ては、好ましくは炭素数6〜30のものであり、より好
ましくは炭素数6〜20の単環または縮環のアリール基
であり、例えば、フェニル、ナフチル等が挙げられ、特
に好ましくはフェニルである。H31Arで表される芳香
族複素環基としてはN、O及びSのうちの少なくとも一
つの原子を含む5〜10員の不飽和のヘテロ環基であ
り、これらの基中のヘテロ環は単環であってもよいし、
更に他の環と縮合環を形成してもよい。このようなヘテ
ロ環基中のヘテロ環として好ましくは、5〜6員の芳香
族ヘテロ環、及びそのベンゾ縮合環であり、より好まし
くは窒素原子を含む5〜6員の芳香族ヘテロ環、及びそ
のベンゾ縮合環であり、更に好ましくは窒素原子を1〜
2原子含む5〜6員の芳香族ヘテロ環、及びそのベンゾ
縮合環である。
【0155】ヘテロ環基の具体例としては、例えばチオ
フェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾー
ル、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、
トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チア
ジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジ
ン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノ
リン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フ
ェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、
ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチア
ゾール、ベンゾチアゾリン、ベンゾトリアゾール、テト
ラザインデン、カルバゾール、等から誘導される基が挙
げられる。ヘテロ環基として好ましくは、イミダゾー
ル、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、インドール、イ
ンダゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノ
リン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサ
ゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベ
ンゾチアゾール、ベンゾチアゾリン、ベンゾトリアゾー
ル、テトラザインデン、カルバゾールからなる基であ
り、更に好ましくは、イミダゾール、ピリジン、ピラジ
ン、キノリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾー
ル、ベンゾオキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾ
チアゾール、ベンゾチアゾリン、ベンゾトリアゾール、
カルバゾールから誘導される基が挙げられる。
【0156】H31Arで表される芳香族炭化水素基並び
に芳香族複素環基は置換基を有していてもよく、置換基
としては、例えばT31の置換基として挙げた基と同様の
ものを挙げることができ、好ましい範囲も同様である。
これらの置換基は更に置換されてもよく、また、置換基
が二つ以上ある場合には各々、同じでも異なってもよ
い。H31Arで表される基は好ましくは芳香族複素環基
である。
【0157】Ra、Rb、Rc、Rdで表される脂肪族
炭化水素基、アリール基及び複素環基は、前記T31に於
て脂肪族炭化水素基、アリール基及び複素環基の例とし
て挙げたと同様のものを挙げることができ、好ましい範
囲も同様である。Ra、Rb、Rc、Rdで表されるア
シル基としては炭素数1〜12の脂肪族或いは芳香族の
基であり、具体的にはアセチル、ベンゾイル、ホルミ
ル、ピバロイル等の基が挙げられる。RaとRb、Rc
とRd、RaとRc或いはRbとRdの間で結合して形
成する含窒素複素環基としては3〜10員の飽和、不飽
和のヘテロ環基(例えば、ピペリジン環、ピペラジン
環、アクリジン環、ピロリジン環、ピロール環、モルフ
ォリン環等の環基)が挙げられる。
【0158】M31で表される分子内の電荷を相殺するに
必要なイオンとして、酸アニオンの具体例としては、例
えばハロゲンイオン(例えば、塩素イオン、臭素イオ
ン、沃素イオン等)、p−トルエンスルホン酸イオン、
過塩素酸イオン、4フッ化ホウ素イオン、硫酸イオン、
メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、メタンスルホン
酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等が挙
げられる。
【0159】本発明に係る強色増感剤は、有機銀塩及び
ハロゲン化銀粒子を含む感光層中に銀1モル当たり0.
001〜1.0モルで用いるのが好ましい。特に好まし
くは、銀1モル当たり0.01〜0.5モルの量が好ま
しい。
【0160】本発明において使用される省銀化剤とは、
一定の銀画像濃度を得るために必要な銀量を低減化し得
る化合物をいう。この低減化する機能の作用機構は種々
考えられるが、現像銀の被覆力を向上させる機能を有す
る化合物が好ましい。ここで、現像銀の被覆力とは、銀
の単位量当たりの光学濃度をいう。この省銀化剤は感光
層又は非感光層、更にはそのいずれにも存在せしめるこ
とができる。
【0161】省銀化剤としては、下記一般式〔H〕で表
されるヒドラジン誘導体、下記一般式(G)で表せるビ
ニル化合物、下記一般式(P)で表される4級オニウム
化合物等が好ましい例として挙げられる。
【0162】
【化12】
【0163】
【化13】
【0164】一般式〔H〕において、式中、A0はそれ
ぞれ置換基を有してもよい脂肪族基、芳香族基、複素環
基又は−G0−D0基を、B0はブロッキング基を表し、
1、A2はともに水素原子、又は一方が水素原子で他方
はアシル基、スルホニル基又はオキザリル基を表す。こ
こで、G0は−CO−基、−COCO−基、−CS−
基、−C(=NG11)−基、−SO−基、−SO2
基又は−P(O)(G1 1)−基を表し、G1は単なる
結合手、−O−基、−S−基又は−N(D1)−基を表
し、D1は脂肪族基、芳香族基、複素環基又は水素原子
を表し、分子内に複数のD1が存在する場合、それらは
同じであっても異なってもよい。D0は水素原子、脂肪
族基、芳香族基、複素環基、アミノ基、アルコキシ基、
アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基を
表す。好ましいD0としては、水素原子、アルキル基、
アルコキシ基、アミノ基等が挙げられる。
【0165】一般式〔H〕において、A0で表される脂
肪族基は、好ましくは炭素数1〜30のものであり、特
に炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が
好ましく、例えばメチル基、エチル基、t−ブチル基、
オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基が挙げら
れ、これらは更に適当な置換基(例えば、アリール基、
アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、ア
リールチオ基、スルホキシ基、スルホンアミド基、スル
ファモイル基、アシルアミノ基、ウレイド基等)で置換
されていてもよい。
【0166】一般式〔H〕において、A0で表される芳
香族基は、単環又は縮合環のアリール基が好ましく、例
えばベンゼン環又はナフタレン環が挙げられ、A0で表
される複素環基としては、単環又は縮合環で窒素、硫
黄、酸素原子から選ばれる少なくとも一つのヘテロ原子
を含む複素環が好ましく、例えばピロリジン環、イミダ
ゾール環、テトラヒドロフラン環、モルホリン環、ピリ
ジン環、ピリミジン環、キノリン環、チアゾール環、ベ
ンゾチアゾール環、チオフェン環、フラン環が挙げられ
る。A0の芳香族基、複素環基及び−G0−D0基は置換
基を有していてもよい。A0として、特に好ましいもの
はアリール基及び−G0−D0基である。
【0167】又、一般式〔H〕において、A0は耐拡散
基又はハロゲン化銀吸着基を、少なくとも一つ含むこと
が好ましい。耐拡散基としては、カプラー等の不動性写
真用添加剤にて常用されるバラスト基が好ましく、バラ
スト基としては、写真的に不活性であるアルキル基、ア
ルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、フェニル
基、フェノキシ基、アルキルフェノキシ基等が挙げら
れ、置換基部分の炭素数の合計は8以上であることが好
ましい。
【0168】一般式〔H〕において、ハロゲン化銀吸着
促進基としては、チオ尿素、チオウレタン基、メルカプ
ト基、チオエーテル基、チオン基、複素環基、チオアミ
ド複素環基、メルカプト複素環基或いは特開昭64−9
0439号に記載の吸着基等が挙げられる。
【0169】一般式〔H〕において、B0はブロッキン
グ基を表し、好ましくは−G0−D0基であり、G0は−
CO−基、−COCO−基、−CS−基、−C(=NG
11)−基、−SO−基、−SO2−基又は−P(O)
(G11)−基を表す。好ましいG0としては−CO−
基、−COCO−基が挙げられ、G1は単なる結合手、
−O−基、−S−基又は−N(D1)−基を表し、D1
脂肪族基、芳香族基、複素環基又は水素原子を表し、分
子内に複数のD1が存在する場合、それらは同じであっ
ても異なってもよい。D0は水素原子、脂肪族基、芳香
族基、複素環基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオ
キシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基を表し、好ま
しいD0としては水素原子、アルキル基、アルコキシ
基、アミノ基等が挙げられる。A1、A2はともに水素原
子、又は一方が水素原子で他方はアシル基(アセチル
基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基等)、スル
ホニル基(メタンスルホニル基、トルエンスルホニル基
等)、又はオキザリル基(エトキザリル基等)を表す。
【0170】これら一般式〔H〕で表される化合物は、
公知の方法により容易に合成することができる。例え
ば、米国特許第5,464,738号、同5,496,
695号を参考にして合成することができる。
【0171】その他に好ましく用いることのできるヒド
ラジン誘導体は、米国特許第5,545,505号カラ
ム11〜20に記載の化合物H−1〜H−29、米国特
許第5,464,738号カラム9〜11に記載の化合
物1〜12である。これらのヒドラジン誘導体は公知の
方法で合成することができる。
【0172】一般式(G)において、XとR40はシスの
形で表示してあるが、XとR40がトランスの形も一般式
(G)に含まれる。この事は具体的化合物の構造表示に
おいても同様である。
【0173】一般式(G)において、Xは電子吸引性基
を表し、Wは水素原子、アルキル基、アルケニル基、ア
ルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、
アシル基、チオアシル基、オキサリル基、オキシオキサ
リル基、チオオキサリル基、オキサモイル基、オキシカ
ルボニル基、チオカルボニル基、カルバモイル基、チオ
カルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキ
シスルフィニル基、チオスルフィニル基、スルファモイ
ル基、オキシスルフィニル基、チオスルフィニル基、ス
ルフィナモイル基、ホスホリル基、ニトロ基、イミノ
基、N−カルボニルイミノ基、N−スルホニルイミノ
基、ジシアノエチレン基、アンモニウム基、スルホニウ
ム基、ホスホニウム基、ピリリウム基、インモニウム基
を表す。
【0174】R40はハロゲン原子、ヒドロキシル基、ア
ルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、ア
ルケニルオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボ
ニルオキシ基、アミノカルボニルオキシ基、メルカプト
基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ
基、アルケニルチオ基、アシルチオ基、アルコキシカル
ボニルチオ基、アミノカルボニルチオ基、ヒドロキシル
基又はメルカプト基の有機又は無機の塩(例えば、ナト
リウム塩、カリウム塩、銀塩等)、アミノ基、アルキル
アミノ基、環状アミノ基(例えば、ピロリジノ基)、ア
シルアミノ基、オキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環基
(5〜6員の含窒素ヘテロ環、例えばベンツトリアゾリ
ル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル
基等)、ウレイド基、スルホンアミド基を表す。Xと
W、XとR40は、それぞれ互いに結合して環状構造を形
成してもよい。XとWが形成する環としては、例えばピ
ラゾロン、ピラゾリジノン、シクロペンタンジオン、β
−ケトラクトン、β−ケトラクタム等が挙げられる。
【0175】一般式(G)について更に説明すると、X
の表す電子吸引性基とは、置換基定数σpが正の値をと
りうる置換基のことである。具体的には、置換アルキル
基(ハロゲン置換アルキル等)、置換アルケニル基(シ
アノビニル等)、置換・未置換のアルキニル基(トリフ
ルオロメチルアセチレニル、シアノアセチレニル等)、
置換アリール基(シアノフェニル等)、置換・未置換の
ヘテロ環基(ピリジル、トリアジニル、ベンゾオキサゾ
リル等)、ハロゲン原子、シアノ基、アシル基(アセチ
ル、トリフルオロアセチル、ホルミル等)、チオアセチ
ル基(チオアセチル、チオホルミル等)、オキサリル基
(メチルオキサリル等)、オキシオキサリル基(エトキ
サリル等)、チオオキサリル基(エチルチオオキサリル
等)、オキサモイル基(メチルオキサモイル等)、オキ
シカルボニル基(エトキシカルボニル等)、カルボキシ
ル基、チオカルボニル基(エチルチオカルボニル等)、
カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルホニル基、
スルフィニル基、オキシスルホニル基(エトキシスルホ
ニル等)、チオスルホニル基(エチルチオスルホニル
等)、スルファモイル基、オキシスルフィニル基(メト
キシスルフィニル等)、チオスルフィニル基(メチルチ
オスルフィニル等)、スルフィナモイル基、ホスホリル
基、ニトロ基、イミノ基、N−カルボニルイミノ基(N
−アセチルイミノ等)、N−スルホニルイミノ基(N−
メタンスルホニルイミノ等)、ジシアノエチレン基、ア
ンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ピリ
リウム基、インモニウム基が挙げられるが、アンモニウ
ム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、インモニウム
基等が環を形成したヘテロ環状のものも含まれる。σp
値として0.30以上の置換基が特に好ましい。
【0176】Wとして表されるアルキル基としては、メ
チル、エチル、トリフルオロメチル等が、アルケニル基
としてはビニル、ハロゲン置換ビニル、シアノビニル等
が、アルキニル基としてはアセチレニル、シアノアセチ
レニル等が、アリール基としてはニトロフェニル、シア
ノフェニル、ペンタフルオロフェニル等が、ヘテロ環基
としてはピリジル、ピリミジル、トリアジニル、スクシ
ンイミド、テトラゾリル、トリアゾリル、イミダゾリ
ル、ベンゾオキサゾリル等が挙げられる。Wとしてはσ
p値が正の電子吸引性基が好ましく、更にはその値が
0.30以上のものが好ましい。
【0177】上記R40の置換基の内、好ましくはヒドロ
キシル基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチオ
基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基又はメルカプト基の
有機又は無機の塩、ヘテロ環基が挙げられ、更に好まし
くはヒドロキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基又
はメルカプト基の有機又は無機の塩、ヘテロ環基が挙げ
られ、特に好ましくはヒドロキシル基、ヒドロキシル基
又はメルカプト基の有機又は無機の塩が挙げられる。
【0178】また上記X及びWの置換基の内、置換基中
にチオエーテル結合を有するものが好ましい。
【0179】一般式(P)において、Q3は窒素原子又
は燐原子を表し、R41、R42、R43及びR44は、各々水
素原子又は置換基を表し、X-はアニオンを表す。尚、
41〜R44は互いに連結して環を形成してもよい。
【0180】R41〜R44で表される置換基としては、ア
ルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基
(アリル基、ブテニル基等)、アルキニル基(プロパル
ギル基、ブチニル基等)、アリール基(フェニル基、ナ
フチル基等)、複素環基(ピペリジニル基、ピペラジニ
ル基、モルホリニル基、ピリジル基、フリル基、チエニ
ル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロチエニル
基、スルホラニル基等)、アミノ基等が挙げられる。
【0181】R41〜R44が互いに連結して形成しうる環
としては、ピペリジン環、モルホリン環、ピペラジン
環、キヌクリジン環、ピリジン環、ピロール環、イミダ
ゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環等が挙げら
れる。
【0182】R41〜R44で表される基はヒドロキシル
基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボキシル
基、スルホ基、アルキル基、アリール基等の置換基を有
してもよい。R41、R42、R43及びR44としては、水素
原子及びアルキル基が好ましい。
【0183】X-が表すアニオンとしては、ハロゲンイ
オン、硫酸イオン、硝酸イオン、酢酸イオン、p−トル
エンスルホン酸イオン等の無機及び有機のアニオンが挙
げられる。
【0184】上記4級オニウム化合物は公知の方法に従
って容易に合成でき、例えば上記テトラゾリウム化合物
は、Chemical Reviews vol.55
p.335〜483に記載の方法を参考にできる。上
記省銀化剤の添加量は、脂肪族カルボン酸銀塩1モルに
対し10-5〜1モル、好ましくは10-4〜5×10-1
ルの範囲である。
【0185】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料に好適なバインダーは、透明又は半透明で、一般に
無色であり、天然ポリマー合成樹脂やポリマー及びコポ
リマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば:ゼラ
チン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒド
ロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セル
ロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリド
ン)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ
(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ
(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン
酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ
(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)
類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニ
ルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタ
ン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポ
リ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ
(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ
(アミド)類がある。親水性でも非親水性でもよい。
【0186】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料の感光層に好ましいバインダーはポリビニルアセタ
ール類であり、特に好ましいバインダーはポリビニルブ
チラールである。詳しくは後述する。又、上塗り層や下
塗り層、特に保護層やバックコート層等の非感光層に対
しては、より軟化温度の高いポリマーであるセルロース
エステル類、特にトリアセチルセルロース、セルロース
アセテートブチレート等のポリマーが好ましい。なお、
必要に応じて、上記のバインダーは2種以上を組み合わ
せて用いうる。
【0187】このようなバインダーは、バインダーとし
て機能するのに効果的な範囲で用いられる。効果的な範
囲は当業者が容易に決定しうる。例えば、感光層におい
て少なくとも脂肪族カルボン酸銀塩を保持する場合の指
標としては、バインダーと脂肪族カルボン酸銀塩との割
合は15:1〜1:2、特に8:1〜1:1の範囲が好
ましい。即ち、感光層のバインダー量が1.5〜6g/
2であることが好ましい。更に好ましくは1.7〜5
g/m2である。1.5g/m2未満では未露光部の濃度
が大幅に上昇し、使用に耐えない場合がある。
【0188】本発明では、100℃以上の温度で現像処
理した後の熱転移点温度が、46℃以上、200℃以下
であることが特徴である。本発明でいう熱転移点温度と
は、VICAT軟化点又は環球法で示した値であり、示
差走査熱量計(DSC)、例えばEXSTAR 600
0(セイコー電子社製)、DSC220C(セイコー電
子工業社製)、DSC−7(パーキンエルマー社製)等
を用いて、熱現像済みの感光層を単離して測定した際の
吸熱ピークをさす。一般的に高分子化合物はガラス転移
点Tgを有しているが、銀塩光熱写真ドライイメージン
グ材料においては、感光層に用いているバインダー樹脂
のTg値よりも低いところに、大きな吸熱ピークが出現
する。この熱転移点温度に着目し鋭意検討を行った結
果、この熱転移点温度を46℃以上、200℃以下にす
ることにより、形成された塗膜の堅牢性が増すのみなら
ず、感度、最大濃度、画像保存性など写真性能が大幅に
向上することを新たに見出し、本発明に至った。
【0189】ガラス転移温度(Tg)は、ブランドラッ
プらによる“重合体ハンドブック”III−139頁からI
II−179頁(1966年、ワイリー アンド サン社
版)に記載の方法で求めたものであり、バインダーが共
重合体樹脂である場合のTgは下記の式で求められる。
【0190】Tg(共重合体)(℃)=v1Tg1+v2
Tg2+・・・+vnTgn 式中、v1、v2・・・vnは共重合体中の単量体の質量
分率を表し、Tg1、Tg2・・・Tgnは、共重合体中
の各単量体から得られる単一重合体のTg(℃)を表
す。上式に従って計算されたTgの精度は、±5℃であ
る。
【0191】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料において、支持体上に脂肪族カルボン酸銀塩、感光
性ハロゲン化銀粒子、還元剤等を含有する感光層に含有
するバインダーとしては、従来公知の高分子化合物を用
いることができる。Tgが70〜105℃、数平均分子
量が1,000〜1,000,000、好ましくは1
0,000〜500,000、重合度が約50〜1,0
00程度のものである。このような例としては、塩化ビ
ニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、ア
クリル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アク
リロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、
スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、
ビニルアセタール、ビニルエーテル等のエチレン性不飽
和モノマーを構成単位として含む重合体または共重合体
よりなる化合物、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂が
ある。
【0192】また、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アル
キド樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、エ
ポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げら
れる。これらの樹脂については、朝倉書店発行の「プラ
スチックハンドブック」に詳細に記載されている。これ
らの高分子化合物に、特に制限はなく、誘導される重合
体のガラス転移温度(Tg)が70〜105℃の範囲に
あれば、単独重合体でも共重合体でもよい。
【0193】このようなエチレン性不飽和モノマーを構
成単位として含む重合体または共重合体としては、アク
リル酸アルキルエステル類、アクリル酸アリールエステ
ル類、メタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸
アリールエステル類、シアノアクリル酸アルキルエステ
ル類、シアノアクリル酸アリールエステル類などを挙げ
ることができ、それらのアルキル基、アリール基は置換
されていてもされていなくてもよく、具体的にはメチ
ル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチ
ル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、
アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ベンジル、クロロ
ベンジル、オクチル、ステアリル、スルホプロピル、N
−エチル−フェニルアミノエチル、2−(3−フェニル
プロピルオキシ)エチル、ジメチルアミノフェノキシエ
チル、フルフリル、テトラヒドロフルフリル、フェニ
ル、クレジル、ナフチル、2−ヒドロキシエチル、4−
ヒドロキシブチル、トリエチレングリコール、ジプロピ
レングリコール、2−メトキシエチル、3−メトキシブ
チル、2−アセトキシエチル、2−アセトアセトキシエ
チル、2−エトキシエチル、2−iso−プロポキシエ
チル、2−ブトキシエチル、2−(2−メトキシエトキ
シ)エチル、2−(2−エトキシエトキシ)エチル、2
−(2−ブトキシエトキシ)エチル、2−ジフェニルホ
スホリルエチル、ω−メトキシポリエチレングリコール
(付加モル数n=6)、アリル、ジメチルアミノエチル
メチルクロライド塩などを挙げることができる。
【0194】その他、下記のモノマー等が使用できる。
ビニルエステル類:その具体例としては、ビニルアセテ
ート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニ
ルイソブチレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロ
アセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルフェニ
ルアセテート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニルな
ど;N−置換アクリルアミド類、N−置換メタクリルア
ミド類及びアクリルアミド、メタクリルアミド:N−置
換基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、t
ert−ブチル、シクロヘキシル、ベンジル、ヒドロキ
シメチル、メトキシエチル、ジメチルアミノエチル、フ
ェニル、ジメチル、ジエチル、β−シアノエチル、N−
(2−アセトアセトキシエチル)、ジアセトンなど;オ
レフィン類:例えば、ジシクロペンタジエン、エチレ
ン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、イソプレン、クロロプレン、ブタ
ジエン、2,3−ジメチルブタジエン等;スチレン類:
例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチ
ルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、
tert−ブチルスチレン、クロルメチルスチレン、メ
トキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレ
ン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ビニル安息香
酸メチルエステルなど;ビニルエーテル類:例えば、メ
チルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシル
ビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、ジメ
チルアミノエチルビニルエーテルなど;N−置換マレイ
ミド類:N−置換基として、メチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、tert−ブチル、シクロヘキシル、ベン
ジル、n−ドデシル、フェニル、2−メチルフェニル、
2,6−ジエチルフェニル、2−クロルフェニルなどを
有するものなど;その他として、クロトン酸ブチル、ク
ロトン酸ヘキシル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジ
ブチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マ
レイン酸ジブチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチ
ル、フマル酸ジブチル、メチルビニルケトン、フェニル
ビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン、グリシジ
ルアクリレート、グリシジルメタクリレート、N−ビニ
ルオキサゾリドン、N−ビニルピロリドン、アクリロニ
トリル、メタアクリロニトリル、メチレンマロンニトリ
ル、塩化ビニリデンなどを挙げることができる。
【0195】これらのうち、特に好ましい例としては、
メタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸アリー
ルエステル類、スチレン類等が挙げられる。このような
高分子化合物のなかでも、アセタール基を持つ高分子化
合物を用いることが好ましい。アセタール基を持つ高分
子化合物では、生成する脂肪族カルボン酸との相溶性に
優れるため膜の柔軟化を防ぐ効果が大きく好ましい。
【0196】アセタール基を持つ高分子化合物として
は、下記一般式(V)で表される化合物が、特に好まし
い。
【0197】
【化14】
【0198】式中、R51はアルキル基、置換アルキル
基、アリール基または置換アリール基を表すが好ましく
はアリール基以外の基である。R52は無置換アルキル
基、置換アルキル基、無置換アリール基、置換アリール
基、−COR53または−CONHR53を表す。R53はR
51と同義である。
【0199】R51、R52、R53で表される無置換アルキ
ル基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、特に
好ましくは炭素数1〜6である。これらは直鎖であって
も分岐していてもよく、好ましくは直鎖のアルキル基が
好ましい。このような無置換アルキル基としては、例え
ば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n
−アミル基、t−アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘ
キシル基、n−ヘプシル基、n−オクチル基、t−オク
チル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デ
シル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基等が挙げ
られるが、特に好ましくはメチル基もしくはプロピル基
である。
【0200】無置換アリール基としては、炭素数6〜2
0のものが好ましく、例えばフェニル基、ナフチル基等
が挙げられる。上記のアルキル基、アリール基に置換可
能な基としては、アルキル基(例えば、メチル基、n−
プロピル基、t−アミル基、t−オクチル基、n−ノニ
ル基、ドデシル基等)、アリール基(例えば、フェニル
基等)、ニトロ基、水酸基、シアノ基、スルホ基、アル
コキシ基(例えば、メトキシ基等)、アリールオキシ基
(例えば、フェノキシ基等)、アシルオキシ基(例え
ば、アセトキシ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセ
チルアミノ基等)、スルホンアミド基(例えば、メタン
スルホンアミド基等)、スルファモイル基(例えば、メ
チルスルファモイル基等)、ハロゲン原子(例えば、フ
ッ素原子、塩素原子、臭素原子)、カルボキシ基、カル
バモイル基(例えば、メチルカルバモイル基等)、アル
コキシカルボニル基(例えば、メトキシルボニル基
等)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル基等)
などが挙げられる。この置換基が2つ以上あるときは、
同じでも異なっていてもよい。置換アルキル基の総炭素
数は、1〜20が好ましく、置換アリール基の総炭素数
は6〜20が好ましい。
【0201】R52としては、−COR53(R53はアルキ
ル基またはアリール基)、−CONHR53(R53はアリ
ール基)が好ましい。a、b、cは各繰り返し単位の質
量をモル(mol)%で示した値であり、aは40〜8
6モル%、bは0〜30モル%、cは0〜60モル%の
範囲で、a+b+c=100モル%となる数を表し、特
に好ましくは、aが50〜86モル%、bが5〜25モ
ル%、cが0〜40モル%の範囲である。a、b、cの
各組成比をもつ各繰り返し単位は、それぞれ同一のもの
のみで構成されていても、異なるもので構成されていて
もよい。
【0202】本発明で用いることのできるポリウレタン
樹脂としては、構造がポリエステルポリウレタン、ポリ
エーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリ
ウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステ
ルポリカーボネートポリウレタン、ポリカプロラクトン
ポリウレタンなど公知のものが使用できる。ここに示し
たすべてのポリウレタンについて、必要に応じ、−CO
OM、−SO3M、−OSO3M、−P=O(OM)2
−O−P=O(OM)2、(Mは水素原子、またはアル
カリ金属塩基を表す)、−N(R542、−N+(R54
3(R54は炭化水素基を表し、複数のR54は同じでも異
なっていてもよい)、エポキシ基、−SH、−CNなど
から選ばれる少なくともひとつ以上の極性基を共重合ま
たは付加反応で導入したものを用いることが好ましい。
このような極性基の量は10-1〜10-8モル/gであ
り、好ましくは10-2〜10-6モル/gである。これら
極性基以外に、ポリウレタン分子末端に少なくとも1個
ずつ、合計2個以上のOH基を有することが好ましい。
OH基は硬化剤であるポリイソシアネートと架橋して3
次元の網状構造を形成するので、分子中に多数含むほど
好ましい。特に、OH基が分子末端にある方が、硬化剤
との反応性が高いので好ましい。ポリウレタンは、分子
末端にOH基を3個以上有することが好ましく、4個以
上有することが特に好ましい。ポリウレタンを用いる場
合は、ガラス転移温度が70〜105℃、破断伸びが1
00〜2000%、破断応力は0.5〜100N/mm
2が好ましい。
【0203】本発明の上記一般式(V)で表される高分
子化合物は、「酢酸ビニル樹脂」桜田一郎編(高分子化
学刊行会、1962年)等に記載の一般的な合成方法で
合成することができる。以下に、代表的な合成方法の例
を挙げるが、本発明はこれらの代表的な合成例に限定さ
れるものではない。
【0204】合成例1:P−1の合成 日本合成(株)製のポリビニルアルコール(ゴーセノー
ルGH18)20gと純水180gを仕込み、ポリビニ
ルアルコールが10質量%溶液になるように純水に分散
した後、これを95℃に昇温してポリビニルアルコール
を溶解した後、75℃まで冷却して、ポリビニルアルコ
ール水溶液を用意し、更にこのポリビニルアルコール水
溶液に、酸触媒として10質量%の塩酸を1.6g添加
し、これを滴下液Aとした。ついで、アセトアルデヒ
ド、ブチルアルデヒドのmol比6:4の混合物11.
5gを計量し、これを滴下液Bとした。冷却管と攪拌装
置を取り付けた1000mlの4ツ口フラスコに100
mlの純水を入れ、85℃に加温し強攪拌した。これに
滴下液Aと滴下液Bを75℃に保温した滴下ロートを用
いて、攪拌下で2時間を要して同時滴下した。この際、
攪拌速度に注意をして、析出する粒子の融着を防止しな
がら反応を行った。滴下終了後、酸触媒として10質量
%の塩酸を7g追加し、温度85℃で2時間攪拌を行
い、十分に反応を行った。その後、40℃まで冷却し、
重曹を用いて中和し、水洗を5回繰り返した後、濾別し
てポリマーを取り出し乾燥し、P−1を得た。得られた
P−1を、DSCを用いてTgを測定したところ、Tg
は83℃であった。
【0205】表1に記載のその他の高分子化合物(ポリ
マー)も同様に合成した。これらの高分子化合物をバイ
ンダーとして単独で用いてもよいし、2種類以上をブレ
ンドして用いてもよい。本発明の感光性銀塩含有層(好
ましくは感光層)には上記ポリマーを主バインダーとし
て用いる。ここで言う主バインダーとは「感光性銀塩含
有層の全バインダーの50質量%以上を上記ポリマーが
占めている状態」をいう。従って、全バインダーの50
質量%未満の範囲で他のポリマーをブレンドして用いて
もよい。これらのポリマーとしては、本発明のポリマー
が可溶となる溶媒であれば、特に制限はない。より好ま
しくはポリ酢酸ビニル、ポリアクリル樹脂、ウレタン樹
脂などが挙げられる。
【0206】以下に、本発明に好ましく用いられる高分
子化合物の構成を示す。なお、表中のTgは、セイコー
電子工業(株)製示差走査熱量計(DSC)により測定
した値である。
【0207】
【表1】
【0208】なお、表1中、P−9はソルーシア社製ポ
リビニルブチラール樹脂B−79である。
【0209】本発明においては、上記バインダーに対し
架橋剤を用いることにより膜付きがよくなり、現像ムラ
が少なくなることは知られている。
【0210】本発明で用いられる架橋剤としては、従来
ハロゲン化銀写真感光材料用として使用されている種々
の架橋剤、例えば特開昭50−96216号に記載され
ているアルデヒド系、エポキシ系、エチレンイミン系、
ビニルスルホン系、スルホン酸エステル系、アクリロイ
ル系、カルボジイミド系、シラン化合物系架橋剤を用い
うるが、好ましいのは以下に示すイソシアネート系化合
物、シラン化合物、エポキシ化合物又は酸無水物であ
る。
【0211】上記イソシアネート系架橋剤は、イソシア
ネート基を少なくとも2個有しているイソシアネート類
及びその付加体(アダクト体)であり、更に、具体的に
は、脂肪族ジイソシアネート類、環状基を有する脂肪族
ジイソシアネート類、ベンゼンジイソシアネート類、ナ
フタレンジイソシアネート類、ビフェニルイソシアネー
ト類、ジフェニルメタンジイソシアネート類、トリフェ
ニルメタンジイソシアネート類、トリイソシアネート
類、テトライソシアネート類、これらのイソシアネート
類の付加体及びこれらのイソシアネート類と2価又は3
価のポリアルコール類との付加体が挙げられる。
【0212】具体例としては、特開昭56−5535号
の10頁から12頁に記載されているイソシアネート化
合物を上げることができる。なお、イソシアネートとポ
リアルコールのアダクト体は、特に層間接着を良くし、
層の剥離や画像のズレ及び気泡の発生を防止する能力が
高い。
【0213】本発明は、架橋剤の少なくとも1種が多官
能芳香族イソシアネート化合物を用いることを特徴とす
る。本発明の多官能芳香族イソシアネート化合物とは、
分子構造中に2個以上のイソシアネート基又はイソチオ
シアネート基を有し、更に分子構造中に芳香族基を有す
る化合物である。
【0214】一般的に芳香族イソシアネート化合物は経
時で黄変することがあり、画像保存上は好ましくないこ
とが言われているが、今回、熱転移温度を制御しつつ、
多官能芳香族イソシアネート化合物を用いることによ
り、その中でも前記一般式(IH)で表される多官能芳
香族イソシアネート化合物を用いることで黄変を起こさ
ずに、画像保存時の微少な濃度変動を押さえることがで
きることを発見し本発明前記一般式(IH)中、J1
2で表される各々アリーレン基としては、例えば、フ
ェニレン、トリレン、ナフタレン等であり、アルキレン
基としては、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレ
ン、テトラメチレン、ヘキサメチレン等である。Lで表
される(v+1)価のアルキル基としては、メチル、エ
チル、プロピル、ブチル、ペンチル等であり、アルケニ
ル基としては、エテニル、プロペニル、ブタジエン、ペ
ンタジエン等であり、アリール基としては、ベンゼン、
ナフタレン、トルエン、キシレン等であり、ヘテロ環基
としては、フラン、チオフェン、ジオキサン、ピリジ
ン、ピペラジン、モルホリン等であり、これらの基が連
結基により結合された基であっても良い。連結基として
は、単なる結合手であっても、炭素原子を含んでも良
い、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、燐原子等から形成
される連結基を表し、例えば、O、S、NH、CO、S
O、SO2、NHCO、NHCONH、PO、PS等で
ある。vで表され1以上の整数としては、好ましくは1
〜6の整数であり、更に好ましく1、2又は3である。
【0215】前記一般式(IH)で表される化合物の具
体例を以下に示す。
【0216】
【化15】
【0217】
【化16】
【0218】
【化17】
【0219】
【化18】
【0220】かかるイソシアネート化合物は銀塩光熱写
真ドライイメージング材料のどの部分に置かれてもよ
い。例えば支持体中(特に支持体が紙の場合、そのサイ
ズ組成中に含ませることができる)、感光層、表面保護
層、中間層、アンチハレーション層、下引き層等の支持
体の感光層側の任意の層に添加でき、これらの層の中の
1層又は2層以上に添加することができる。
【0221】又、本発明において使用することが可能な
チオイソシアネート系架橋剤としては、上記のイソシア
ネート類に対応するチオイソシアネート構造を有する化
合物も有用である。
【0222】本発明において使用される上記架橋剤の量
は、銀1モルに対して0.001〜2モル、好ましくは
0.005から0.5モルの範囲である。この範囲のあ
れば2種以上を併用しても良い。
【0223】本発明において含有させることが出来るイ
ソシアネート化合物及びチオイソシアネート化合物は、
上記の架橋剤として機能する化合物であることが好まし
い。
【0224】本発明において架橋剤として使用できるシ
ラン化合物の例としては、特願平2000−07790
4号に記載されている一般式(1)又は一般式(2)で
表せる化合物が挙げられる。
【0225】これらの一般式において、R1、R2
3、R4、R5、R6、R7及びR8はそれぞれ置換されて
もよい直鎖、分枝又は環状の炭素数1〜30のアルキル
基(メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデ
シル基、シクロアルキル基等)、アルケニル基(プロペ
ニル基、ブテニル基、ノネニル基等)、アルキニル基
(アセチレン基、ビスアセチレン基、フェニルアセチレ
ン基等)、アリール基又はヘテロ環基(フェニル基、ナ
フチル基、テトラヒドロピラン基、ピリジル基、フリル
基、チオフェニル基、イミダゾール基、チアゾール基、
チアジアゾール基、オキサジアゾール基等)を表し、置
換基としては電子吸引性の置換基又は電子供与性の置換
基いずれをも有することができる。
【0226】R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及び
8から選ばれる置換基の少なくとも1つが耐拡散性基
又は吸着性基であることが好ましく、特にR2が耐拡散
性基又は吸着性基であることが好ましい。
【0227】なお、耐拡散性基は、バラスト基とも呼ば
れ炭素数が6以上の脂肪族基や炭素数が3以上のアルキ
ル基が導入されているアリール基等が好ましい。耐拡散
性は、バインダーや架橋剤の使用量によって異なるが、
耐拡散性の基を導入することにより、室温状態の分子内
の移動距離が抑制され経時での反応を抑制できる。
【0228】架橋剤として用いることができるエポキシ
化合物としては、エポキシ基を1個以上有するものであ
ればよく、エポキシ基の数、分子量、その他に制限はな
い。エポキシ基はエーテル結合やイミノ結合を介してグ
リシジル基として分子内に含有されることが好ましい。
またエポキシ化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマ
ー等のいずれであってもよく、分子内に存在するエポキ
シ基の数は通常1〜10個程度、好ましくは2〜4個で
ある。エポキシ化合物がポリマーである場合は、ホモポ
リマー、コポリマーのいずれであってもよく、その数平
均分子量Mnの特に好ましい範囲は2000〜2000
0程度である。
【0229】エポキシ化合物としては下記一般式
〔9〕
で表される化合物が好ましい。
【0230】
【化19】
【0231】一般式
〔9〕において、R90で表されるア
ルキレン基の置換基は、ハロゲン原子、水酸基、ヒドロ
キシアルキル基又はアミノ基から選ばれる基であること
が好ましい。またR90で表される連結基中にアミド連結
部分、エーテル連結部分、チオエーテル連結部分を有し
ていることが好ましい。X9で表される2価の連結基と
しては−SO2−、−SO2NH−、−S−、−O−、又
は−NR91−が好ましい。ここでR91は1価の基であ
り、電子吸引基であることが好ましい。
【0232】これらのエポキシ化合物は、1種のみを用
いても2種以上を併用してもよい。その添加量は特に制
限はないが、1×10-6〜1×10-2モル/m2の範囲
が好ましく、より好ましくは1×10-5〜1×10-3
ル/m2の範囲である。
【0233】エポキシ化合物は、感光層、表面保護層、
中間層、アンチハレーション層、下引き層等の支持体の
感光層側の任意の層に添加でき、これらの層の中の1層
又は2層以上に添加することができる。又、併せて支持
体の感光層と反対側の任意の層に添加することができ
る。尚、両面に感光層が存在するタイプの感材ではいず
れの層であってもよい。
【0234】酸無水物は下記の構造式で示される酸無水
物基を少なくとも1個有する化合物である。
【0235】−CO−O−CO− 酸無水物はこのような酸無水基を1個以上有するもので
あればよく、酸無水基の数、分子量、その他に制限はな
いが、一般式〔B〕で表される化合物が好ましい。
【0236】
【化20】
【0237】一般式〔B〕において、Zは単環又は多環
系を形成するのに必要な原子群を表す。これらの環系は
未置換であってもよく、置換されていてもよい。置換基
の例には、アルキル基(例えば、メチル、エチル、ヘキ
シル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、
オクチルオキシ)、アリール基(例えば、フェニル、ナ
フチル、トリル)、ヒドロキシル基、アリールオキシ基
(例えば、フェノキシ)、アルキルチオ基(例えば、メ
チルチオ、ブチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フ
ェニルチオ)、アシル基(例えば、アセチル、プロピオ
ニル、ブチリル)、スルホニル基(例えば、メチルスル
ホニル、フェニルスルホニル)、アシルアミノ基、スル
ホニルアミノ基、アシルオキシ基(例えば、アセトキ
シ、ベンゾキシ)、カルボキシル基、シアノ基、スルホ
基、及びアミノ基が含まれる。置換基としては、ハロゲ
ン原子を含まないものが好ましい。
【0238】これらの酸無水物は、1種のみを用いても
2種以上を併用してもよい。その添加量は特に制限はな
いが、1×10-6〜1×10-2モル/m2の範囲が好ま
しく、より好ましくは1×10-5〜1×10-3モル/m
2の範囲である。
【0239】本発明において酸無水物は、感光層、表面
保護層、中間層、アンチハレーション層、下引き層等の
支持体の感光層側の任意の層に添加でき、これらの層の
中の1層又は2層以上に添加することができる。又、前
記エポキシ化合物と同じ層に添加してもよい。
【0240】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料は、熱現像処理にて写真画像を形成するもので、還
元可能な銀源(脂肪族カルボン酸銀塩)、感光性ハロゲ
ン化銀粒子、還元剤及び必要に応じて銀の色調を調整す
る色調剤を通常(有機)バインダーマトリックス中に分
散した状態で含有していることが好ましい。
【0241】好適な色調剤の例は、RD17029号、
米国特許第4,123,282号、同3,994,73
2号、同3,846,136号及び同4,021,24
9号に開示されている。特に好ましい色調剤としてはフ
タラジノン又はフタラジンとフタル酸類、フタル酸無水
物類の組み合わせである。
【0242】なお、従来医療診断用の出力画像の色調に
関しては、冷調の画像調子の方が、レントゲン写真の判
読者にとって、より的確な記録画像の診断観察結果が得
やすいと言われている。ここで冷調な画像調子とは、純
黒調もしくは黒画像が青味を帯びた青黒調であり、温調
な画像調子とは、黒画像が褐色味を帯びた温黒調である
ことを言う。
【0243】色調に関しての用語「より冷調」及び「よ
り温調」は、最低濃度Dmin及び光学濃度D=1.0
における色相角habにより求められる。色相角habは国
際照明委員会(CIE)が1976年に推奨した知覚的
にほぼ均等な歩度を持つ色空間であるL***色空間
の色座標a*、b*を用いて次の式によって求める。
【0244】hab=tan-1(b*/a*) 本発明において、好ましいhabの範囲は180°<hab
<270°であり、更に好ましくは200°<hab<2
70°、最も好ましくは220°<hab<260°であ
る。
【0245】本発明においては、銀塩光熱写真ドライイ
メージング材料の表面層に(感光層側、又支持体をはさ
み感光層の反対側に非感光層を設けた場合にも)、現像
前の取り扱いや熱現像後の画像の傷つき防止のためマッ
ト剤を含有することが好ましく、バインダーに対し、質
量比で0.1〜30%含有することが好ましい。
【0246】マット剤の材質は、有機物及び無機物のい
ずれでもよい。例えば、無機物としては、スイス特許第
330,158号等に記載のシリカ、仏国特許第1,2
96,995号等に記載のガラス粉、英国特許第1,1
73,181号等に記載のアルカリ土類金属又はカドミ
ウム、亜鉛等の炭酸塩等をマット剤として用いることが
できる。有機物としては、米国特許第2,322,03
7号等に記載の澱粉、ベルギー特許第625,451号
や英国特許第981,198号等に記載された澱粉誘導
体、特公昭44−3643号等に記載のポリビニルアル
コール、スイス特許第330,158号等に記載のポリ
スチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,
079,257号等に記載のポリアクリロニトリル、米
国特許第3,022,169号等に記載されたポリカー
ボネートの様な有機マット剤を用いることができる。
【0247】マット剤は平均粒径が0.5〜10μmで
あることが好ましく、更に好ましくは1.0〜8.0μ
mである。又、粒子サイズ分布の変動係数としては、5
0%以下であることが好ましく、更に、好ましくは40
%以下であり、特に好ましくは30%以下となるマット
剤である。
【0248】ここで、粒子サイズ分布の変動係数は、下
記の式で表される値である。 (粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100 本発明に係るマット剤の添加方法は、予め塗布液中に分
散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布
した後、乾燥が終了する以前にマット剤を噴霧する方法
を用いてもよい。また複数の種類のマット剤を添加する
場合は、両方の方法を併用してもよい。
【0249】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料に用いる支持体の素材としては、各種高分子材料、
ガラス、ウール布、コットン布、紙、金属(例えば、ア
ルミニウム)等が挙げられるが、情報記録材料としての
取り扱い上は可撓性のあるシート又はロールに加工でき
るものが好適である。従って本発明の銀塩光熱写真ドラ
イイメージング材料における支持体としては、プラスチ
ックフィルム(例えばセルロースアセテートフィルム、
ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフ
ィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアミ
ドフィルム、ポリイミドフィルム、セルローストリアセ
テートフィルム又はポリカーボネートフィルム等)が好
ましく、本発明においては2軸延伸したポリエチレンテ
レフタレートフィルムが特に好ましい。支持体の厚みと
しては50〜300μm程度、好ましくは70〜180
μmである。
【0250】本発明においては帯電性を改良するため
に、金属酸化物及び/または導電性ポリマーなどの導電
性化合物を構成層中に含ませることができる。これらは
いずれの層に含有させてもよいが、好ましくは下引層、
バッキング層、感光層と下引の間の層などに含まれる。
本発明においては米国特許第5,244,773号カラ
ム14〜20に記載された導電性化合物が好ましく用い
られる。
【0251】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料は、支持体上に少なくとも1層の感光層を有してい
る。支持体の上に感光層のみを形成してもよいが、感光
層の上に少なくとも一層の非感光層を形成するのが好ま
しい。例えば、感光層の上には保護層が、感光層を保護
する目的で、又支持体の反対の面には感光材料間の、或
いは感光材料ロールにおいてくっつきを防止する為に、
バックコート層が設けられるのが好ましい。これらの保
護層やバックコート層に用いるバインダーとしては熱現
像層よりもガラス転位点が高く、擦り傷や、変形の生じ
にくいポリマー、例えばセルロースアセテート、セルロ
ースアセテートブチレート等のポリマーが、前記のバイ
ンダーのなかから選ばれる。なお、階調調整等のため
に、感光層を支持体の一方の側に2層以上又は支持体の
両側に1層以上設置してもよい。
【0252】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料においては、感光層を透過する光の量または波長分
布を制御するために感光層と同じ側または反対の側にフ
ィルター層を形成するか、感光層に染料又は顔料を含有
させることが好ましい。
【0253】用いられる染料としては、感光材料の感色
性に応じて種々の波長領域の光を吸収する公知の化合物
が使用できる。
【0254】例えば、本発明の銀塩光熱写真ドライイメ
ージング材料を赤外光による画像記録材料とする場合に
は、特願平11−255557号に開示されているよう
なチオピリリウム核を有するスクアリリウム染料(本明
細書ではチオピリリウムスクアリリウム染料と呼ぶ)及
びピリリウム核を有するスクアリリウム染料(本明細書
ではピリリウムスクアリリウム染料と呼ぶ)、又スクア
リリウム染料に類似したチオピリリウムクロコニウム染
料、又はピリリウムクロコニウム染料を使用することが
好ましい。
【0255】尚、スクアリリウム核を有する化合物と
は、分子構造中に1−シクロブテン−2−ヒドロキシ−
4−オンを有する化合物であり、クロコニウム核を有す
る化合物とは分子構造中に1−シクロペンテン−2−ヒ
ドロキシ−4,5−ジオンを有する化合物である。ここ
で、ヒドロキシル基は解離していてもよい。以下本明細
書ではこれらの色素を便宜的に一括してスクアリリウム
染料とよぶ。
【0256】なお、染料としては特開平8−20195
9号の化合物も好ましい。本発明の銀塩光熱写真ドライ
イメージング材料は、上述した各構成層の素材を溶媒に
溶解又は分散させた塗布液を作り、それら塗布液を複数
同時に重層塗布した後、加熱処理を行って形成されるこ
とが好ましい。ここで「複数同時に重層塗布」とは、各
構成層(例えば感光層、保護層)の塗布液を作製し、こ
れを支持体へ塗布する際に各層個別に塗布、乾燥の繰り
返しをするのではなく、同時に重層塗布を行い乾燥する
工程も同時に行える状態で各構成層を形成しうることを
意味する。即ち、下層中の全溶剤の残存量が70質量%
以下となる前に、上層を設けることである。
【0257】各構成層を複数同時に重層塗布する方法に
は特に制限はなく、例えばバーコーター法、カーテンコ
ート法、浸漬法、エアーナイフ法、ホッパー塗布法、エ
クストリュージョン塗布法などの公知の方法を用いるこ
とができる。これらのうちより好ましくはエクストリュ
ージョン塗布法と呼ばれる前計量タイプの塗布方式であ
る。該エクストリュージョン塗布法はスライド塗布方式
のようにスライド面での揮発がないため、精密塗布、有
機溶剤塗布に適している。この塗布方法は感光層を有す
る側について述べたが、バックコート層を設ける際、下
引きとともに塗布する場合についても同様である。
【0258】なお、塗布銀量は銀塩光熱写真イメージン
グ材料の目的に応じた適量を選ぶことが好ましいが、本
発明においては、0.5g/m2以上1.5g/m2以下
であることを特徴とする。好ましくは、0.6g/m2
以上、1.4g/m2以下であり、更に1.0g/m2
上、1.3g/m2以下が好ましい。当該塗布銀量の
内、ハロゲン化銀に由来するものは全銀量に対して2〜
18%を占めることが好ましい、更には3〜15%がよ
り好ましい。
【0259】また本発明において、0.01μm以上
(球相当換算粒径)のハロゲン化銀粒子の塗布密度は1
×1014個/m2以上、1×1018個/m2以下が好まし
い。更には、1×1015個/m2以上、1×1017個/
2以下が好ましい。
【0260】更に本発明の脂肪族カルボン酸銀塩の塗布
密度は、0.01μm以上(球相当換算粒径)のハロゲ
ン化銀粒子1個当たり、10-17g以上、10-15g以
下、更には10-16g以上、10-14g以下が好ましい。
【0261】上記のような範囲内の条件において塗布し
た場合には、一定塗布銀量当たりの銀画像の光学的最高
濃度、即ち、銀被覆量(カバーリング・パワー)及び銀
画像の色調等の観点から好ましい結果が得られる。
【0262】本発明において、現像条件は使用する機
器、装置、或いは手段に依存して変化するが、典型的に
は適した高温において、像様に露光した銀塩光熱写真ド
ライイメージング材料を加熱することを伴う。露光後に
得られた潜像は、中程度の高温(例えば、約80〜20
0℃、好ましくは約100〜200℃)で十分な時間
(一般には約1秒〜約2分間)、銀塩光熱写真ドライイ
メージング材料を加熱することにより現像することがで
きる。加熱温度が80℃以下では短時間に十分な画像濃
度が得られず、又200℃以上ではバインダーが溶融
し、ローラーへの転写など、画像そのものだけでなく搬
送性や、現像機等へも悪影響を及ぼす。加熱することで
脂肪族カルボン酸銀塩(酸化剤として機能する)と還元
剤との間の酸化還元反応により銀画像を生成する。この
反応過程は、外部からの水等の処理液の一切の供給なし
に進行する。
【0263】加熱する機器、装置、手段はホットプレー
ト、アイロン、ホットローラー、炭素又は白色チタン等
を用いた熱発生器として典型的な加熱手段で行ってよ
い。より好ましくは本発明の保護層の設けられた銀塩光
熱写真ドライイメージング材料は、保護層を有する側の
面を加熱手段と接触させ加熱処理するのが、均一な加熱
を行う上で、又熱効率、作業性の点などから好ましく、
該面をヒートローラに接触させながら搬送し加熱処理し
て現像することが好ましい。
【0264】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料の露光は、当該感光材料に付与した感色性に対し、
適切な光源を用いることが望ましい。例えば、当該感光
材料を赤外光に感じ得るものとした場合は、赤外光域な
らば如何なる光源にも適用可能であるが、レーザパワー
がハイパワーである事や、感光材料を透明にできる等の
点から、赤外半導体レーザ(780nm、820nm)
がより好ましく用いられる。
【0265】本発明において、露光はレーザ走査露光に
より行うことが好ましいが、その露光方法には種々の方
法が採用できる。例えば、第1の好ましい方法として、
感光材料の露光面と走査レーザ光のなす角が実質的に垂
直になることがないレーザ走査露光機を用いる方法が挙
げられる。
【0266】ここで、「実質的に垂直になることがな
い」とは、レーザ走査中に最も垂直に近い角度として、
好ましくは55度以上、88度以下、より好ましくは6
0度以上、86度以下、更に好ましくは65度以上、8
4度以下、最も好ましくは70度以上、82度以下であ
ることをいう。
【0267】レーザ光が、感光材料に走査されるときの
感光材料露光面でのビームスポット直径は、好ましくは
200μm以下、より好ましくは100μm以下であ
る。これは、スポット径が小さい方がレーザ入射角度の
垂直からのずらし角度を減らせる点で好ましい。なお、
ビームスポット直径の下限は10μmである。このよう
なレーザ走査露光を行うことにより干渉縞様のムラの発
生等のような反射光に係る画質劣化を減じることが出来
る。
【0268】また、第2の方法として、本発明における
露光は縦マルチである走査レーザ光を発するレーザ走査
露光機を用いて行うことも好ましい。縦単一モードの走
査レーザ光に比べて干渉縞様のムラの発生等の画質劣化
が減少する。
【0269】縦マルチ化するには、合波による戻り光を
利用する、高周波重畳をかけるなどの方法がよい。な
お、縦マルチとは露光波長が単一でないことを意味し、
通常露光波長の分布が5nm以上、好ましくは10nm
以上になるとよい。露光波長の分布の上限には特に制限
はないが、通常60nm程度である。
【0270】なお、上述した第1、第2の態様の画像記
録方法において、走査露光に用いるレーザとしては、一
般によく知られている、ルビーレーザ、YAGレーザ、
ガラスレーザ等の固体レーザ;HeNeレーザ、Arイ
オンレーザ、Krイオンレーザ、CO2レーザ、COレ
ーザ、HeCdレーザ、N2レーザ、エキシマーレーザ
等の気体レーザ;InGaPレーザ、AlGaAsレー
ザ、GaAsPレーザ、InGaAsレーザ、InAs
Pレーザ、CdSnP2レーザ、GaSbレーザ等の半
導体レーザ;化学レーザ、色素レーザ等を用途に併せて
適時選択して使用できるが、これらの中でもメンテナン
スや光源の大きさの問題から、波長が600〜1200
nmの半導体レーザを用いるのが好ましい。なお、レー
ザ・イメージャやレーザ・イメージセッタで使用される
レーザにおいて、銀塩光熱写真ドライイメージング材料
に走査されるときの該材料露光面でのビームスポット径
は、一般に短軸径として5〜75μm、長軸径として5
〜100μmの範囲であり、レーザ光走査速度は銀塩光
熱写真ドライイメージング材料固有のレーザ発振波長に
おける感度とレーザパワーによって、感光材料毎に最適
な値に設定することができる。
【0271】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0272】実施例1 《支持体の作製》濃度0.170に青色着色したポリエ
チレンテレフタレートフィルムベース(厚み175μ
m)の片方の面に、0.5kV・A・min/m2のコ
ロナ放電処理を施した後、その上に下記の下引塗布液A
を用いて下引層aを、乾燥膜厚が0.2μmになるよう
に塗設した。更に、もう一方の面に同様に0.5kV・
A・min/m2のコロナ放電処理を施した後、その上
に下記の下引塗布液Bを用い、下引層bを、乾燥膜厚が
0.1μmとなるように塗設した。その後、複数のロー
ル群からなるフィルム搬送装置を有する熱処理式オーブ
ンの中で、130℃にて15分熱処理を行った。
【0273】(下引塗布液A)n−ブチルアクリレート
30質量%、t−ブチルアクリレート20質量%、スチ
レン25質量%及び2−ヒドロキシエチルアクリレート
25質量%の共重合体ラテックス液(固形分30%)2
70g、界面活性剤(UL−1)0.6g及びメチルセ
ルロース0.5gを混合した。更に、シリカ粒子(サイ
ロイド350、富士シリシア社製)1.3gを水100
gに添加し、超音波分散機(ALEXCorporat
ion(株)製、Ultrasonic Genera
tor、周波数25kHz、600W)にて30分間分
散処理した分散液を加え、最後に水で1000mlに仕
上げて、下引塗布液Aとした。
【0274】(コロイド状酸化スズ分散液の調製)塩化
第2スズ水和物65gを、水/エタノール混合溶液20
00mlに溶解して均一溶液を調製した。次いで、これ
を煮沸し、共沈殿物を得た。生成した沈殿物をデカンテ
ーションにより取り出し、蒸留水にて数回水洗した。沈
殿物を洗浄した蒸留水中に硝酸銀を滴下し、塩素イオン
の反応がないことを確認後、洗浄した沈殿物に蒸留水を
添加し、全量を2000mlとする。更に、30%アン
モニア水を40ml添加し、水溶液を加温して、容量が
470mlになるまで濃縮してコロイド状酸化スズ分散
液を調製した。
【0275】(下引塗布液B)前記コロイド状酸化スズ
分散液37.5g、n−ブチルアクリレート20質量
%、t−ブチルアクリレート30質量%、スチレン27
質量%及び2−ヒドロキシエチルアクリレート28質量
%の共重合体ラテックス液(固形分30%)3.7g、
n−ブチルアクリレート40質量%、スチレン20質量
%、グリシジルメタクリレート40質量%の共重合体ラ
テックス液(固形分30%)14.8gと界面活性剤U
L−1 0.1gを混合し、水で1000mlに仕上げ
て下引塗布液Bとした。
【0276】
【化21】
【0277】《バック面側塗布》メチルエチルケトン
(MEK)830gを攪拌しながら、セルロースアセテ
ートブチレート(Eastman Chemical
社、CAB381−20)84.2g及びポリエステル
樹脂(Bostic社、VitelPE2200B)
4.5gを添加し、溶解した。次に溶解した液に、0.
30gの赤外染料1を添加し、更にメタノール43.2
gに溶解したF系活性剤(旭硝子社、サーフロンKH4
0)4.5gとF系活性剤(大日本インク社、メガファ
ッグF120K)2.3gを添加して、溶解するまで十
分に攪拌を行った。最後に、メチルエチルケトンに1質
量%の濃度でディゾルバ型ホモジナイザにて分散したシ
リカ(W.R.Grace社、シロイド64X600
0)を75g添加、攪拌しバック面側用の塗布液を調製
した。
【0278】
【化22】
【0279】このように調製したバック面塗布液を、乾
燥膜厚が3.5μmになるように押し出しコーターにて
塗布、乾燥を行った。乾燥温度100℃、露点温度10
℃の乾燥風を用いて5分間かけて乾燥した。
【0280】 《感光性ハロゲン化銀乳剤Aの調製》 溶液(A1) フェニルカルバモイル化ゼラチン 88.3g 化合物(A)(10%メタノール水溶液) 10ml 臭化カリウム 0.32g 水で5429mlに仕上げる 溶液(B1) 0.67mol/L硝酸銀水溶液 2635ml 溶液(C1) 臭化カリウム 51.55g 沃化カリウム 1.47g 水で660mlに仕上げる 溶液(D1) 臭化カリウム 154.9g 沃化カリウム 4.41g 塩化イリジウム(1%溶液) 0.93ml 水で1982mlに仕上げる 溶液(E1) 0.4mol/L臭化カリウム水溶液 下記銀電位制御量 溶液(F1) 水酸化カリウム 0.71g 水で20mlに仕上げる 溶液(G1) 56%酢酸水溶液 18.0ml 溶液(H1) 無水炭酸ナトリウム 1.72g 水で151mlに仕上げる 化合物(A): HO(CH2CH2O)n(CH(CH3)CH2O)17(CH2CH2O)mH (m+n=5〜7) 特公昭58−58288号、同58−58289号に示
される混合攪拌機を用いて溶液(A1)に、溶液(B
1)の1/4量及び溶液(C1)全量を温度30℃、p
Ag8.09に制御しながら、同時混合法により4分4
5秒を要して添加し、核形成を行った。1分後、溶液
(F1)の全量を添加した。この間pAgの調整を、水
溶液(E1)を用いて適宜行った。6分間経過後、溶液
(B1)の3/4量及び溶液(D1)の全量を、温度3
0℃、pAg8.09に制御しながら、同時混合法によ
り14分15秒かけて添加した。5分間攪拌した後、4
0℃に降温し、溶液(G1)を全量添加し、ハロゲン化
銀乳剤を沈降させた。沈降部分2000mlを残して上
澄み液を取り除き、水を10L加え、攪拌後、再度ハロ
ゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分1500mlを残
し、上澄み液を取り除き、更に水を10L加え、攪拌
後、ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分1500
mlを残し、上澄み液を取り除いた後、溶液(H1)を
加え、60℃に昇温し、更に120分攪拌した。最後に
pHが5.8になるように調整し、銀量1モル当たり1
161gになるように水を添加し、乳剤を得た。
【0281】この乳剤は平均粒子サイズ0.040μ
m、粒子サイズの変動係数12%、〔100〕面比率9
2%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった。
【0282】次に上記乳剤に硫黄増感剤S−5(0.5
%メタノール溶液)240mlを加え、更にこの増感剤
の1/20モル相当の金増感剤Au−5を添加し、55
℃にて120分間攪拌して化学増感を施した。これを感
光性ハロゲン化銀乳剤Aとする。
【0283】《粉末脂肪族カルボン酸銀塩Aの調製》4
720mlの純水にベヘン酸130.8g、アラキジン
酸67.7g、ステアリン酸43.6g、パルミチン酸
2.3gを80℃で溶解した。次に1.5Mの水酸化ナ
トリウム水溶液540.2mlを添加し、濃硝酸6.9
mlを加えた後、55℃に冷却して脂肪酸ナトリウム溶
液を得た。該脂肪酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保
ったまま、45.3gの上記の感光性ハロゲン化銀乳剤
Aと純水450mlを添加し5分間攪拌した。
【0284】次に1Mの硝酸銀溶液702.6mlを2
分間かけて添加し、10分間攪拌し脂肪族カルボン酸銀
塩分散物を得た。その後、得られた脂肪族カルボン酸銀
塩分散物を水洗容器に移し、脱イオン水を加えて攪拌
後、静置させて脂肪族カルボン酸銀塩分散物を浮上分離
させ、下方の水溶性塩類を除去した。その後、排水の電
導度が50μS/cmになるまで脱イオン水による水
洗、排水を繰り返し、遠心脱水を実施した後、得られた
ケーキ状の脂肪族カルボン酸銀塩を、気流式乾燥機フラ
ッシュジェットドライヤー(株式会社セイシン企業製)
を用いて、窒素ガス雰囲気及び乾燥機入り口熱風温度の
運転条件により、含水率が0.1%になるまで乾燥して
粉末脂肪族カルボン酸銀塩Aを得た。脂肪族カルボン酸
銀塩組成物の含水率測定には赤外線水分計を使用した。
【0285】《予備分散液Aの調製》ポリマーP−9
14.57gをメチルエチルケトン1457gに溶解
し、VMA−GETZMANN社製ディゾルバDISP
ERMAT CA−40M型にて攪拌しながら、粉末脂
肪族カルボン酸銀塩A、500gを徐々に添加して十分
に混合することにより予備分散液Aを調製した。
【0286】《感光性乳剤分散液Aの調製》予備分散液
Aをポンプを用いてミル内滞留時間が1.5分間となる
ように、0.5mm径のジルコニアビーズ(東レ製トレ
セラム)を内容積の80%充填したメディア型分散機D
ISPERMAT SL−C12EX型(VMA−GE
TZMANN社製)に供給し、ミル周速8m/sにて分
散を行なうことにより感光性乳剤分散液Aを調製した。
【0287】《安定剤液の調製》1.0gの安定剤1、
0.31gの酢酸カリウムをメタノール4.97gに溶
解し安定剤液を調製した。
【0288】《赤外増感色素液Aの調製》19.2mg
の赤外増感色素1、1.488gの2−クロロ−安息香
酸、2.779gの安定剤2及び365mgの5−メチ
ル−2−メルカプトベンズイミダゾールを、31.3m
lのMEKに暗所にて溶解し、赤外増感色素液Aを調製
した。
【0289】《添加液aの調製》現像剤としての1,1
−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)
−3,5,5−トリメチルヘキサン(比較)を27.9
8gと1.54gの4−メチルフタル酸、0.48gの
前記赤外染料1をMEK110gに溶解し、添加液aと
した。
【0290】《添加液bの調製》3.56gのカブリ防
止剤2、3.43gのフタラジンをMEK40.9gに
溶解し、添加液bとした。
【0291】《感光層塗布液Aの調製》不活性気体雰囲
気下(窒素97%)において、前記感光性乳剤分散液A
(50g)及びMEK15.11gを攪拌しながら21
℃に保温し、カブリ防止剤1(10%メタノール溶液)
390μlを加え、1時間攪拌した。更に臭化カルシウ
ム(10%メタノール溶液)494μlを添加して20
分攪拌した。続いて、安定剤液167mlを添加して1
0分間攪拌した後、1.32gの前記赤外増感色素液を
添加して1時間攪拌した。その後、温度を13℃まで降
温して更に30分攪拌した。13℃に保温したまま、バ
インダー樹脂としてポリマーP−9を13.31g添加
して30分攪拌した後、テトラクロロフタル酸(9.4
質量%MEK溶液)1.084gを添加して15分間攪
拌した。更に攪拌を続けながら、12.43gの添加液
a、1.6mlのDesmodurN3300/モーベ
イ社製の脂肪族イソシアネート(10%MEK溶液)
(比較架橋剤)、4.27gの添加液bを順次添加し攪
拌することにより感光層塗布液Aを得た。
【0292】《マット剤分散液の調製》セルロースアセ
テートブチレート(Eastman Chemical
社、7.5gのCAB171−15)をMEK42.5
gに溶解し、その中に、炭酸カルシウム(Specia
lity Minerals社、Super−Pfle
x200)5gを添加し、ディゾルバ型ホモジナイザに
て8000rpmで30min分散し、マット剤分散液
を調製した。
【0293】《表面保護層塗布液の調製》MEK(メチ
ルエチルケトン)865gを攪拌しながら、セルロース
アセテートブチレート(Eastman Chemic
al社、CAB171−15)を96g、ポリメチルメ
タクリル酸(ローム&ハース社、パラロイドA−21)
を4.5g、ビニルスルホン化合物(VSC)を1.5
g、ベンズトリアゾールを1.0g、F系活性剤(旭硝
子社、サーフロンKH40)を1.0g、添加し溶解し
た。次に上記マット剤分散液30gを添加して攪拌し、
表面保護層塗布液を調製した。
【0294】
【化23】
【0295】
【化24】
【0296】《銀塩光熱写真ドライイメージング材料試
料101の作製》感光層塗布液Aと表面保護層塗布液
を、公知のエクストルージョン型コーターを用いて、同
時に重層塗布することにより試料101を作製した。塗
布は感光層が塗布銀量1.7g/m2、表面保護層が乾
燥膜厚で2.5μmになる様にして行った。その後、乾
燥温度75℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて、10
分間乾燥を行い、試料101を得た。
【0297】感光層塗布液A中の比較架橋剤及びバイン
ダー樹脂P−9及び塗布銀量を表2に記載したものに変
更する以外は、試料101と同様にして、試料102〜
115を作製した。
【0298】《露光及び現像処理》上記のように作製し
た試料の乳剤面側から、高周波重畳にて波長800〜8
20nmの縦マルチモード化された半導体レーザを露光
源とした露光機により、レーザ走査による露光を与え
た。この際に、試料の露光面と露光レーザ光の角度を7
5度として画像を形成した。(なお、当該角度を90度
とした場合に比べ、ムラが少なく、且つ予想外に鮮鋭性
等が良好な画像が得られた。) その後、ヒートドラムを有する自動現像機を用いて、試
料の保護層とドラム表面が接触するようにして、110
℃で15秒熱現像処理した。その際、露光及び現像は2
3℃、50%RHに調湿した部屋で行った。得られた画
像の評価を濃度計により行った。測定の結果は、感度
(未露光部分よりも1.0高い濃度を与える露光量の比
の逆数)、カブリ及び最高濃度で評価し、試料101の
感度及び最高濃度を100とする相対値で表2に示し
た。
【0299】〈熱転移点温度の測定〉テフロン(R)板
の上に、前記と同一組成の感光層塗布液及び表面保護層
塗布液を、各々ワイヤーバーを用いて同一条件となるよ
うに塗布、乾燥させた後、最高濃度が得られる条件で同
様に露光、現像した後、テフロン(R)板より塗設した
構成層を剥離した。剥離した試料約10mgをアルミ製
のパンに装填し、示差走査型熱量計(セイコー電子社
製、EXSTAR6000)を用い、JIS K712
1に従って各試料の熱転移点温度を測定した。測定の際
の昇温条件としては、0〜200℃までは10℃/mi
nで昇温し、0℃までの冷却は20℃/minで行い、
この操作を2回繰り返して、熱転移点温度を求めた。
【0300】〈現像後の画像保存性の評価〉下記のよう
に一定条件下における最小濃度及び最高濃度変化率と色
相角の変化率を測定して現像後の画像保存性を評価し
た。
【0301】(1)最小濃度(Dmin)変化率の測定 上記感度測定と同様の方法で作製した各熱現像処理済試
料を、45℃、55%RHの環境下で、市販の白色蛍光
灯を試料表面における照度が500luxとなるように
配置し、3日間連続照射を施した。蛍光灯照射済み試料
の最小濃度(D 2)と蛍光灯未照射試料の最小濃度
(D1)をそれぞれ測定し、以下の式よりカブリ濃度変
化率(%)を算出した。
【0302】最小濃度変化率=D2/D1×100(%) (2)最高濃度(Dmax)変化率の測定 上記最小濃度変動率の測定と同様の方法にて作製した各
熱現像処理済み試料を、25℃及び45℃の環境下に3
日間放置した後、最高濃度の変化を測定し、下記により
画像濃度変化率を測定し、それを画像保存性の尺度とし
た。
【0303】画像濃度変化率=45℃保存試料の最高濃
度/25℃保存試料の最高濃度×100(%) (3)色相角の測定 上記最高濃度変動率の測定と同様の方法にて作製した各
熱現像処理済み試料を、25℃及び45℃の環境下に3
日放置した後、色相角habを最小濃度部の部分をCIE
により規定された常用光源D65を測色用の光源とし
て、2°視野で分光測色計CM−508d(ミノルタ社
製)を用いて測定して求めた。
【0304】
【表2】
【0305】表2から明らかなように、本発明の銀塩光
熱写真ドライイメージング材料は、比較に比べ、感度が
同等以上でありながら、カブリが低く、現像処理前の保
存性及び現像処理後の画像保存性に優れている。また、
本発明の試料はCIEで規定される色相角の値も180
°を越え、且つ270°未満であり、冷調な画像調子を
有し、診断画像として適切な出力画像が得られることが
判った。
【0306】実施例2 以下に示す以外は実施例1と同様にして、銀塩光熱写真
ドライイメージング材料を作製した。
【0307】《粉末脂肪族カルボン酸銀塩Bの調製》4
720mlの純水にベヘン酸104.6g、アラキジン
酸54.2g、ステアリン酸34.9g、パルミチン酸
1.8gを80℃で溶解した。次に1.5Mの水酸化ナ
トリウム水溶液432.2mlを添加し、濃硝酸5.5
mlを加えた後、55℃に冷却して脂肪酸ナトリウム溶
液を得た。該脂肪酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保
ったまま、36.2gの上記の感光性ハロゲン化銀乳剤
Aと純水450mlを添加し5分間攪拌した。
【0308】次に1Mの硝酸銀溶液562.1mlを2
分間かけて添加し、10分間攪拌し脂肪族カルボン酸銀
塩分散物を得た。以下は実施例1の粉末脂肪族カルボン
酸銀塩Aと同様にして、粉末脂肪族カルボン酸銀塩Bを
調製した。
【0309】《粉末脂肪族カルボン酸銀塩Cの調製》4
720mlの純水にベヘン酸130.8g、アラキジン
酸67.7g、ステアリン酸43.6g、パルミチン酸
2.3gを80℃で溶解した。次に1.5Mの水酸化ナ
トリウム水溶液540.2mlを添加し濃硝酸6.9m
lを加えた後、55℃に冷却して脂肪酸ナトリウム溶液
を得た。上記の脂肪酸ナトリウム溶液の温度を55℃に
保ったまま、t−ブチルアルコール347mlを添加し
20分間攪拌した後、45.3gの上記の感光性ハロゲ
ン化銀乳剤Aと純水450mlを添加し5分間攪拌し
た。
【0310】以下は実施例1の粉末脂肪族カルボン酸銀
塩Aと同様にして、粉末脂肪族カルボン酸銀塩Cを調製
した。
【0311】《粉末脂肪族カルボン酸銀塩Dの調製》4
720mlの純水にベヘン酸130.8g、アラキジン
酸67.7g、ステアリン酸32.2g、パルミチン酸
2.3g、イソアラキジン酸17.0gを80℃で溶解
した。次に1.5Mの水酸化ナトリウム水溶液540.
2mlを添加し濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に
冷却して脂肪酸ナトリウム溶液を得た。上記の脂肪酸ナ
トリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、45.3g
の上記の感光性ハロゲン化銀乳剤Aと純水450mlを
添加し5分間攪拌した。
【0312】以下は実施例1の粉末脂肪族カルボン酸銀
塩Aと同様にして、粉末脂肪族カルボン酸銀塩Dを調製
した。
【0313】《粉末脂肪族カルボン酸銀塩Eの調製》4
720mlの純水にベヘン酸130.8g、アラキジン
酸67.7g、ステアリン酸37.6g、パルミチン酸
2.3g、オレイン酸6.0gを80℃で溶解した。次
に1.5Mの水酸化ナトリウム水溶液540.2mlを
添加し濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して
脂肪酸ナトリウム溶液を得た。上記の脂肪酸ナトリウム
溶液の温度を55℃に保ったまま、45.3gの上記の
感光性ハロゲン化銀乳剤Aと純水450mlを添加し5
分間攪拌した。
【0314】以下は実施例1の粉末脂肪族カルボン酸銀
塩Aと同様にして、粉末脂肪族カルボン酸銀塩Eを調製
した。
【0315】《粉末脂肪族カルボン酸銀塩Fの調製》4
720mlの純水にベヘン酸130.8g、アラキジン
酸67.7g、ステアリン酸43.6g、パルミチン酸
2.3g及びポリビニルアルコール1.5g(クラレ社
製PVA−205)を80℃で溶解した。次に1.5M
の水酸化ナトリウム水溶液540.2mlを添加し濃硝
酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して脂肪酸ナト
リウム溶液を得た。上記の脂肪酸ナトリウム溶液の温度
を55℃に保ったまま、45.3gの上記の感光性ハロ
ゲン化銀乳剤Aと純水450mlを添加し5分間攪拌し
た。
【0316】以下は実施例1の粉末脂肪族カルボン酸銀
塩Aと同様にして、粉末脂肪族カルボン酸銀塩Fを調製
した。
【0317】《予備分散液B〜Fの調製》粉末脂肪族カ
ルボン酸銀塩B〜Fに変更する他は、実施例1と同様に
して調製した。
【0318】《感光性乳剤分散液B〜Fの調製》予備分
散液B〜Fに変更する他は、実施例1と同様にして調製
した。
【0319】《感光層塗布液Bの調製》実施例1の感光
層塗布液Aと同様にして、感光性乳剤分散液Bを用いて
感光層塗布液Bを調製した。
【0320】《銀塩光熱写真ドライイメージング材料試
料201の作製》感光層塗布液Bと実施例1の表面保護
層塗布液を用いて、実施例1と同様にして試料201を
作製した。
【0321】感光層塗布液中の感光性乳剤分散液と芳香
族イソシアネート化合物を表3に記載したものに変更す
る以外は、試料201と同様にして、試料202〜21
0を作製した。
【0322】なお、いずれの試料も感光層塗布液中のバ
インダー樹脂としてはP−1を使用して、感光層の熱転
移温度を約55℃に調整した。
【0323】〈脂肪族カルボン酸銀塩の粒径と厚さの測
定〉分散後の脂肪族カルボン酸銀塩を希釈してカーボン
支持膜付きグリッド上に分散し、透過型電子顕微鏡(日
本電子製、2000FX型)を用いて直接倍率5000
倍で撮影し、スキャナーにてネガをデジタル画像として
取り込み、画像処理装置LUZEXIII(ニコレ社製)
を用いて300個の粒径を測定し、この平均値を求め
た。
【0324】次に厚さを求めるため、支持体上に塗布さ
れた感光層を接着剤によりホルダーに貼り付け、支持体
面と垂直な方向にダイヤモンドナイフを用いて厚さ0.
1〜0.2μmの超薄切片を作製した。超薄切片を銅メ
ッシュに支持させ、グロー放電により親水化されたカー
ボン膜上に移し、液体窒素により−130℃以下に冷却
しながら上記透過型電子顕微鏡を用いて、倍率5,00
0〜40,000で明視野像を観察し画像をフィルムに
記録した。この画像を画像処理装置LUZEXIII(ニ
コレ社製)を用いて300個の厚さを測定し、この平均
値を求めた。
【0325】露光、現像処理及び各種の評価は実施例1
と同様にして行った。
【0326】
【表3】
【0327】表3から明らかなように、本発明の銀塩光
熱写真ドライイメージング材料は、比較に比べ高感度で
ありながら、カブリが低く、現像処理前の保存性及び現
像処理後の画像保存性に優れている。また、本発明の試
料はCIEで規定される色相角の値も180°を越え、
且つ270°未満であり、冷調な画像調子を有し、診断
画像として適切な出力画像が得られることが判った。
【0328】実施例3 《銀塩光熱写真ドライイメージング材料試料301の作
製》感光層塗布液Aと実施例1の表面保護層塗布液を用
いて、実施例1の試料101と同様にして試料301を
作製した。
【0329】添加剤液中の現像剤と芳香族イソシアネー
ト化合物を表4に記載したものに変更する以外は、試料
301と同様にして、試料302〜310を作製した。
【0330】なお、いずれの試料も感光層塗布液中のバ
インダー樹脂としてはP−1を使用して、感光層の熱転
移温度を約55℃に調整した。
【0331】露光、現像処理及び各種の評価は実施例1
と同様にして行った。
【0332】
【表4】
【0333】表4から明らかなように、本発明の銀塩光
熱写真ドライイメージング材料は、比較に比べ高感度で
ありながら、カブリが低く、現像処理前の保存性及び現
像処理後の画像保存性に優れている。また、本発明の試
料はCIEで規定される色相角の値も180°を越え、
且つ270°未満であり、冷調な画像調子を有し、診断
画像として適切な出力画像が得られることが判った。
【0334】実施例4 本発明に係る省銀化剤の効果を調べるために、実施例1
における写真用支持体の作製において、下引き塗布液B
に下記の省銀化剤を1g追加した以外は、実施例1に記
載の方法と同様の方法で支持体を作製した。
【0335】
【化25】
【0336】更に下記のハロゲン化銀乳剤を調製した。 《感光性ハロゲン化銀乳剤aの調製》実施例1の感光性
ハロゲン化銀乳剤Aの調製における、「上記乳剤に硫黄
増感剤S−5(0.5%メタノール溶液)240mlを
加え、更にこの増感剤の1/20モル相当の金増感剤A
u−5を添加し、55℃にて120分間攪拌して化学増
感を施した」部分の処理工程を除いた他は同様の方法で
感光性ハロゲン化銀乳剤aを調製した。
【0337】《感光層塗布液aの調製》感光層塗布液C
における感光性ハロゲン化銀乳剤Aに代えて、上記感光
性ハロゲン化銀乳剤aを用いた以外は、同様の処理で感
光層塗布液aを得た。
【0338】《銀塩光熱写真ドライイメージング材料試
料401の作製》公知のエクストルージョン型コーター
を用いて、感光層2層及び保護層1層の計3層を同時に
重層塗布することにより試料401を作製した。塗布は
感光性乳剤分散液Cからなる感光層(上層)の塗布銀量
が0.7g/m2、感光性乳剤分散液aからなる感光層
(下層)の塗布銀量が0.3g/m2、表面保護層は乾
燥膜厚で2.5μmになる様にして行った。その後、乾
燥温度50℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて、10
分間乾燥を行い、試料401を得た。
【0339】感光層塗布液中の芳香族イソシアネートを
表5に記載したものに変更する以外は、試料401と同
様にして、試料402〜406を作製した。
【0340】なお、いずれの試料も感光層塗布液中のバ
インダーとしてはP−1を使用して、感光層の熱転移温
度を約55℃に調整した。
【0341】露光、現像処理及び各種の評価は実施例1
と同様にして行った。
【0342】
【表5】
【0343】表5から明らかなように、本発明の銀塩光
熱写真ドライイメージング材料は感光層重層系でも、比
較に比べ高感度でありながら、カブリが低く、現像処理
後の画像保存性及び経時保存性に優れている。また、本
発明の試料はCIEで規定される色相角の値も180°
を越え、且つ270°未満であり、冷調な画像調子を有
し、診断画像として適切な出力画像が得られることが判
った。
【0344】
【発明の効果】本発明によって高感度、低カブリで、且
つ生保存性、画像保存性に優れた銀塩光熱写真ドライイ
メージング材料をその画像記録方法と共に提供すること
ができた。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも非感光性脂肪族カルボン酸銀
    塩粒子及び感光性ハロゲン化銀粒子を含有する感光性乳
    剤、銀イオン還元剤、バインダー、及び架橋剤を含有す
    る銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、該架
    橋剤の少なくとも一種が多官能芳香族イソシアネート化
    合物であり、かつ塗布銀量が0.5g/m2以上1.5
    g/m2以下であることを特徴とする銀塩光熱写真ドラ
    イイメージング材料。
  2. 【請求項2】 少なくとも非感光性脂肪族カルボン酸銀
    塩粒子及び感光性ハロゲン化銀粒子を含有する感光性乳
    剤、銀イオン還元剤、バインダー、及び架橋剤を含有す
    る銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、該架
    橋剤の少なくとも一種が多官能芳香族イソシアネート化
    合物であり、かつ100℃以上の温度で現像処理した後
    の感光性層の熱転移点温度が、46℃以上200℃以下
    であることを特徴とする銀塩光熱写真ドライイメージン
    グ材料。
  3. 【請求項3】 少なくとも非感光性脂肪族カルボン酸銀
    塩粒子及び感光性ハロゲン化銀粒子を含有する感光性乳
    剤、銀イオン還元剤、バインダー、及び架橋剤を含有す
    る銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、該架
    橋剤の少なくとも一種が多官能芳香族イソシアネート化
    合物であり、かつ該銀イオン還元剤の少なくとも一種が
    ビスフェノール誘導体であって、一般式(A)で表され
    る化学構造を有する化合物であることを特徴とする銀塩
    光熱写真ドライイメージング材料。 【化1】 〔式中、Xはカルコゲン原子又はCHRを表し、Rは水
    素原子、ハロゲン原子、炭素数が7以下の脂肪族基また
    は6員環以下の環状基を表す。R′、R″は水素原子ま
    たは置換基を表す。〕
  4. 【請求項4】 前記バインダーのガラス転移温度Tg
    が、70℃以上105℃以下であることを特徴とする請
    求項1から3の何れか1項に記載の銀塩光熱写真ドライ
    イメージング材料。
  5. 【請求項5】 非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子が当
    該粒子に対する結晶成長抑制剤ないし分散剤として機能
    する化合物の存在下において形成されたものであること
    を特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の銀塩
    光熱写真ドライイメージング材料。
  6. 【請求項6】 前記結晶成長抑制剤又は分散剤として機
    能する化合物がヒドロキシ基又はカルボキシ基を有する
    有機化合物であることを特徴とする請求項4に記載の銀
    塩光熱写真ドライイメージング材料。
  7. 【請求項7】 前記多官能芳香族イソシアネートが下記
    一般式(IH)で表せる化学構造を有する化合物である
    ことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の
    銀塩光熱写真ドライイメージング材料。 一般式(IH) X2=C=N−J1−(L)n−(J2−N=C=X2v 〔式中、J1、J2は、各々アリーレン基又はアルキレン
    基を表し、Lは(v+1)価のアルキル基、アルケニル
    基、アリール基またはヘテロ環基若しくはこれらの基が
    結合基により結合された基を表し、J1、J2及びLのう
    ち少なくとも1つはアリール基又はアリーレン基を表
    す。X2は酸素又は硫黄原子を表す。vは1以上の整数
    を表し、nは0又は1を表す。〕
  8. 【請求項8】 前記感光性層又は非感光性層に省銀化剤
    を含有することを特徴とする請求項1から7の何れか1
    項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
  9. 【請求項9】 感光性層を2層以上有することを特徴と
    する請求項1から8の何れか1項に記載の銀塩光熱写真
    ドライイメージング材料。
  10. 【請求項10】 請求項1から9の何れか1項に記載の
    銀塩光熱写真ドライイメージング材料に画像を記録する
    際の走査レーザー光が縦マルチであるレーザー光走査露
    光機による露光を行うことを特徴とする画像記録方法。
  11. 【請求項11】 請求項1から9の何れか1項に記載の
    銀塩光熱写真ドライイメージング材料を熱現像した後の
    当該感光材料の色相角habが、180度<h ab<270
    度であることを特徴とする画像形成方法。
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