JP2005208287A - 銀塩光熱写真ドライイメージング材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高感度、低カブリでありながら、温度、湿度等の環境影響を受けにくい保存安定性に優れた銀塩光熱写真ドライイメージング材料を提供する。
【解決手段】 非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子、感光性ハロゲン化銀粒子、銀イオン還元剤及び、バインダーを含有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子が表面と内部で銀解離性が異なる構造を有し、且つ該感光性ハロゲン化銀粒子が、熱現像過程により表面潜像型から内部潜像型に変換することにより、表面感度が熱現像前より低下する感光性ハロゲン化銀粒子であることを特徴とする銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は、銀塩光熱写真ドライイメージング材料に関する。
近年、医療や印刷製版の分野では、画像形成材料の湿式処理に伴う廃液の低減が、環境保全や省スペース化の観点からもが強く望まれている。
その為、レーザ・イメージャーやレーザ・イメージセッターのような効率的な露光が可能で、かつ高解像度で鮮明な黒色画像を形成することができる写真技術用途の光熱写真ドライイメージング材料に関する技術が必要とされてきている。
上記光熱写真材料に係る技術として、例えば、D.モーガン(Morgan)とB.シェリー(Shely)による米国特許第3,152,904号、同3,487,075号又はD.H.クロスタベール(Klosterboer)による「ドライシルバー写真材料(Dry Silver Photographic Materials)」(Handbook of Imaging Materials,Marcel Dekker,Inc.第48頁、1991)等に記載されているように、支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化銀及び還元剤を含有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料が知られている。この銀塩光熱写真ドライイメージング材料では、溶液系処理薬品を一切使用しないため、より簡便で環境を損なわないシステムをユーザーに提供することができる利点を有している。
これらの銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、感光性層中に設置された感光性ハロゲン化銀粒子を光センサーとし、有機銀塩を銀イオンの供給源とし、内蔵された還元剤によって通常80〜140℃にて熱現像することにより画像を形成させ、定着を行わないことが特徴である。
しかしながら、銀塩光熱写真ドライイメージング材料においては、有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子及び還元剤を含有するため、熱現像前の保存期間にカブリが生じ易い。また、露光後、通常80〜250℃で熱現像するだけで定着を行わないため、熱現像後においても、ハロゲン化銀、有機銀塩及び還元剤等の全部あるいは一部が残留するため、長期間の保存過程で、熱や光により金属銀が生じ、銀画像の色調等、画質が変化し易いという問題がある。
これらの問題を解決するための技術として、ビニルスルホン系化合物や光酸化性物質を用いる技術(例えば、特許文献1、2参照。)が開示されている。しかし、これらの開示技術の多くは、ある程度の効果を呈するものの、市場において要求されるレベルを満たすための技術としてはまだ充分なものではない。
また、さらに、本願発明者等の研究過程において、銀被覆率(カバーリングパワー、CP)を上げる等の目的で銀塩光熱写真ドライイメージング材料に含有する感光性ハロゲン化銀粒子の粒径を小さくして数を増加させた場合には、現像処理によって形成される現像銀(銀原子のクラスター)の小粒径化等の形状変化により色調が劣化する場合があるとともに、現像後の銀画像の保存時および観察時に、当該感光性ハロゲン化銀粒子が受ける光の影響等により、銀画像の色調等の変動・劣化が一層大きくなるという問題が生じることがわかった。
また、現像銀の形状に起因する銀画像の色調を好ましい色調に補正調整するために発色性ロイコ染料等を使用する技術が特開昭50−36110号、同59−206831号、特開平5−204087号、同11−231460号、特開2002−169249号、同2002−236334号の各公報等に開示されているが、これらの補正技術によっては、保存における色調の経時変動を防止することが、十分には、できないことも分かってきた。
なお、上記の光の影響による銀画像の変動、劣化を防止する技術としては、光誘起によって銀を酸化するハロゲン化合物を用いる技術が開示(例えば、特許文献3、4参照。)されている。しかし、これらの化合物は、一般的に、熱分解によっても酸化機能を発現する性向を有するため、カブリの生成、増長を防止する効果を有するものの、銀画像形成を阻害して感度やDmax及び銀被覆率を低減するというような弊害をもたらす欠点があることも明らかになった。
一方、これらの銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、現像剤、銀供給源である有機カルボン酸銀塩及び感光性ハロゲン化銀を常に含有していることから、露光前の保存性はもとより、熱現像後の保存性が大きな課題である。
これらの銀塩光熱写真ドライイメージング材料の安定性を向上する技術として、有機カルボン酸銀塩粒子のコアとシェルとでリガンドを変え粒子をコアシェル化し、表面と内部とでの銀塩組成を変化させることにより、比較的低温での現像性を向上し、高Dmaxを得る技術が開示(例えば、特許文献5参照。)されている。しかしながら、表面と内部とで銀塩組成を変えるだけでは、返って安定性を低下させ、保存性が劣化することがあることが判った。
もう一方では、銀塩光熱写真ドライイメージング材料の安定性を向上する技術として、感光性ハロゲン化銀粒子として、熱現像前は表面潜像型であり、熱現像処理を行うと内部潜像型となる粒子を用いる技術が開示(例えば、特許文献6参照。)されている。これは熱現像後には感光性ハロゲン化銀粒子が内部潜像型となり表面感度が急激に低下するため、銀塩光熱写真ドライイメージング材料が自然光に晒されてもカブリを発生することが無く、画像保存性を向上させる画期的な技術である。しかしながら、露光前の保存条件によっては、特に高湿度における保存性において、大きく感度が低下するという問題があった。
また、銀塩光熱写真ドライイメージング材料のいわば永遠のテーマとして、更なる高画質化が要望されている。特に、医療用画像の分野では、より正確な診断を可能にするための銀画像の色調をも含めた高画質化技術の開発が要望されている。
したがって、上記の当該イメージング材料の本質的問題点、従来の対応技術の欠点等を克服することができる新規で飛躍的な高画質化技術の開発が要望されている。
特開平6−208192号公報 特開平8−267934号公報 特開平7−2781号公報 特開平6−208193号公報 特開2002−23303号公報 特開2003−270755号公報
本発明は上記の背景的事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高感度、低カブリでありながら、温度、湿度等の環境影響を受けにくい保存安定性に優れ、更に処理安定性に優れた銀塩光熱写真ドライイメージング材料を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成を有する手段のいずれかを採ることにより達成された。
(請求項1)
非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子、感光性ハロゲン化銀粒子、銀イオン還元剤及び、バインダーを含有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子が表面と内部で銀解離性が異なる構造を有し、且つ該感光性ハロゲン化銀粒子が、熱現像過程により表面潜像型から内部潜像型に変換することにより、表面感度が熱現像前より低下する感光性ハロゲン化銀粒子であることを特徴とする銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
(請求項2)
非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子が、その内部と表面において脂肪族カルボン酸と脂肪族カルボン酸銀塩の含有比率が異なる構造を有していることを特徴とする請求項1記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
(請求項3)
非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子が、表面をコーティングした構造を有することを特徴とする請求項1記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
(請求項4)
非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子が、80℃以上で熱処理されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
(請求項5)
非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子を構成する全脂肪族カルボン酸銀の50モル%以上が1種の脂肪族カルボン酸銀であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
本発明により、保存時の温度、湿度等の環境影響を受けにくく、高感度でカブリが低くく写真特性に優れた銀塩光熱写真ドライイメージング材料を提供することができる。
以下、本発明の詳細について説明する。
〔表面と内部で銀解離性が異なる非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子〕
本発明は、表面と内部で銀解離性が異なる非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子を含有することが必要である。
表面と内部で銀解離性が異なるとは、該非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子の表面の構成とは異なる構成を有する内部を有することであり、該銀塩粒子の表面を形成する被服部の形状、厚さ、組成等には特に制限されない。
非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子の銀解離性をコントロールする因子としては、脂肪族カルボン酸種及び、脂肪族カルボン酸が混合物である場合その組成、フタル酸、ベンズイミダゾール等の有機銀塩を形成する化合物の併用、脂肪族カルボン酸銀塩と遊離脂肪族カルボン酸の混合比、フタラジン、フタル酸等の銀供給化合物との反応性等が知られており、本発明においては、いずれの方法も適用でき、幾つかの方法を併用してもよい。また、表面と内部の銀解離性を変化させる方法は、前記方法に限定されるものではない。
脂肪族カルボン酸種及び、混合物である場合その組成、脂肪族カルボン酸銀と遊離脂肪族カルボン酸の混合比でコントロールすることが好ましく、表面の銀解離性が内部に対して低いことが好ましい。
〔表面と内部で遊離脂肪族カルボン酸と脂肪族カルボン酸銀塩の含有比率が異なる非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子〕
非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子は、基本的に遊離脂肪族カルボン酸と脂肪族カルボン酸銀の混合物として形成される。
本発明において、非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子はその表面と内部で遊離脂肪族カルボン酸と脂肪族カルボン酸銀塩の含有比率が異なることが好ましい。内部の脂肪族カルボン酸銀塩含有比率は、0.9モル以上であることが好ましく、更には、0.95モル以上であることが好ましい。表面の脂肪族カルボン酸銀含有比率は、0〜0.9モルの範囲であることが好ましく、更には0〜0.3モルの範囲であることが好ましい。また、表面と内部の比率は、全脂肪族カルボン酸のモル比で、1:100〜1:0.1の範囲であることが好ましい。
〔表面をコーティングした構造を有する非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子〕
本発明において、非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子は、表面をコーティングした構造を有することが好ましい。
脂肪族カルボン酸銀塩の銀解離及び、フタラジン、フタル酸類等の銀塩形成可能な化合物との反応を抑制することが目的であり、目的を達成する任意のコーティング材を選択することができる。例えば、非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子表面の遊離脂肪族カルボン酸含有比率を1にすることも表面コーティングに含まれる。コーティング厚もコーティング材に対応して、目的を達成する任意の量を選択することができる。
〔80℃以上で熱処理された非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子〕
本発明において、非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子は、80℃以上で熱処理されることが好ましい。熱処理される工程は、脂肪族カルボン酸銀塩粒子形成後であれば任意に選択できるが、脂肪族カルボン酸銀塩粒子乾燥時もしくは、乾燥後分散工程の前に熱処理されることが好ましい。熱処理温度としては、80℃〜130℃の範囲であることが好ましく、熱処理時間としては、30秒〜300秒の範囲であることが好ましい。
〔全脂肪族カルボン酸銀の50モル%以上が、1種の脂肪族カルボン酸銀で構成される非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子〕
一般的に、非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子は2種以上の脂肪族カルボン酸から形成されているものが用いられる。
本発明においては、非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子は、全脂肪族カルボン酸銀の50モル%以上が1種の脂肪族カルボン酸で構成されていることが好ましい。更には80モル%以上が1種の脂肪族カルボン酸で構成されていることが好ましい。
該脂肪族カルボン酸としては、ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸が好ましい。
以下に、本発明に係る非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子は、表面と内部で銀解離性が異なる構造を有する銀塩粒子であるが、非感光性脂肪族カルボン酸銀塩の一般的製造方法について記す。
非感光性脂肪族カルボン酸銀塩は還元可能な銀源であり、炭素数10〜30、好ましくは15〜25の長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩が好ましく用いられる。好適な銀塩の例としては、以下のものが挙げられる。
例えば、没食子酸、蓚酸、ベヘン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の銀塩が挙げられ、好ましい銀塩としてはベヘン酸銀、アラキジン酸銀及びステアリン酸銀が挙げられる。
又、本発明においては、脂肪族カルボン酸銀塩が2種以上混合されていることは、現像性を上げ高濃度、高コントラストの銀画像を形成する上で好ましく、例えば、2種以上の脂肪族カルボン酸混合物に銀イオン溶液を混合して調製することが好ましい。
一方、現像後の画像の保存性等の観点からは、脂肪族カルボン酸銀の原料である脂肪族カルボン酸の融点が50℃以上、好ましくは60℃以上である脂肪族カルボン酸の銀塩の含有比率が50%以上、好ましくは、70%以上、更に好ましくは、80%以上であることが好ましい。この観点からは、具体的には、ベヘン酸銀の含有率が高いことが好ましい。
脂肪族カルボン酸銀塩は、水溶性銀化合物と銀と錯形成する化合物を混合することにより得られるが、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−127643号に記載されている様なコントロールドダブルジェット法等が好ましく用いられる。例えば、有機酸にアルカリ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を加えて有機酸アルカリ金属塩ソープ(例えば、ベヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウムなど)を作製した後に、コントロールドダブルジェット法により、前記ソープと硝酸銀などを混合して脂肪族カルボン酸銀塩の結晶を作製する。その際に、脂肪族カルボン酸銀塩の種結晶粒子、ハロゲン化銀粒子などを混在させてもよい。
本発明で使用するアルカリ金属塩の種類としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがあるが、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムを併用することが好ましい。併用比率としては前記の水酸化塩の両者のモル比が10:90〜75:25の範囲であることが好ましい。脂肪族カルボン酸と反応して脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩となったときに上記の範囲で使用することで、反応液の粘度を良好な状態に制御できる。
また、平均粒径が0.050μm以下のハロゲン化銀粒子の存在下で脂肪族カルボン酸銀を調製する場合には、特に、アルカリ金属塩のアルカリ金属はカリウムの比率が高い方が、ハロゲン化銀粒子の溶解及びオストワルド熟成が防止されるので好ましい。また、カリウム塩の比率が高いほど、脂肪族カルボン酸銀塩粒子のサイズを小さくすることができる。好ましいカリウム塩の比率は、脂肪族カルボン酸銀を製造する工程において使用する全アルカリ金属塩に対して50〜100%である。アルカリ金属塩の濃度は、0.1〜0.3モル/1000mlが好ましい。
〔高銀化率銀塩粒子〕
本発明に係る脂肪族カルボン酸銀塩粒子は、表面と内部で銀解離性が異なる構造を有する銀塩粒子であるが、該銀塩粒子が銀塩を形成していない遊離脂肪族カルボン酸と脂肪族カルボン酸銀塩の混合物である場合、粒子全体として前者の比率が後者に対して低いことが、画像保存性等の観点から、好ましい。すなわち、本発明に係る脂肪族カルボン酸銀塩粒子は脂肪族カルボン酸を該脂肪族カルボン酸銀塩に対して3〜10モル%含有することが好ましい。特に好ましくは、4〜8モル%含有することである。
なお、具体的には、下記の方法にて、全脂肪族カルボン酸量、遊離脂肪族カルボン酸量をそれぞれ求めることにより、脂肪族カルボン酸銀塩と遊離脂肪族カルボン酸量及びそれぞれの比率又は全脂肪族カルボン酸に対する遊離脂肪酸の比率等を計算することとする。
(全脂肪族カルボン酸量(上記の脂肪族カルボン酸銀塩と遊離酸の両方に由来するものの総計)の定量)
(1)試料約10mg(感光材料から剥離するときは剥離した質量)を正確に秤量し、200mlナス型フラスコに入れる。
(2)メタノール15mlと4モル/L塩酸3mlを加え、1分間超音波分散する。
(3)テフロン(R)製沸石を入れ、60分間リフラックスする。
(4)冷却後、冷却管の上からメタノール5mlを加え、冷却管に付着したものをナス型フラスコに洗い入れる(2回)。
(5)得られた反応液を酢酸エチルで抽出する(酢酸エチル100ml、水70mlを加えて分液抽出を2回行う)。
(6)常温で30分間真空乾燥する。
(7)10mlメスフラスコに内部標準としてベンズアントロン溶液を1ml入れる(ベンズアントロン約100mgをトルエンに溶解し、トルエンで100mlに定容する)。
(8)試料をトルエンに溶かして(7)のメスフラスコに入れ、トルエンで定容する。
(9)下記測定条件にてガス・クロマトグラフィー(GC)測定を行う。
装置:HP−5890+HP−ケミステーション
カラム:HP−1 30m×0.32mm×0.25μm(HP製)
注入口:250℃
検出器:280℃
オーブン:250℃一定
キャリアガス:He
ヘッド圧:80kPa
(遊離脂肪族カルボン酸量の定量)
(1)試料約20mgを正確に秤量し、200mlナス型フラスコに入れ、メタノール10mlを加えて25℃にて1分間超音波分散を行う(遊離有機カルボン酸が抽出される)。
(2)それをろ過して、ろ液を200mlナス型フラスコに入れ、乾固する(遊離有機カルボン酸が分離される)。
(3)メタノール15mlと4モル/L塩酸3mlを加え、1分間超音波分散を行う。
(4)テフロン(R)製沸騰石を入れ、60分間リフラックスする。
(5)得られた反応液に水60ml、酢酸エチル60mlを加えて、有機カルボン酸のメチルエステル化物を酢酸エチル相に抽出する。酢酸エチル抽出は2回行う。
(6)酢酸エチル相を乾固し、30分間真空乾燥する。
(7)10mlのメスフラスコにベンズアントロン溶液(内部標準:約100mgのベンズアントロンをトルエンに溶かし、100mlに定容したもの)1mlを入れる。
(8)(6)をトルエンで溶かして、(7)のメスフラスコに入れ、トルエンで定容する。
(9)下記測定条件にてGC測定を行う。
装置:HP−5890+HP−ケミステーション
カラム:HP−1 30m×0.32mm×0.25μm(HP製)
注入口:250℃
検出器:280℃
オーブン:250℃一定
キャリアガス:He
ヘッド圧:80kPa
〔脂肪族カルボン酸銀塩の構造と形状〕
本発明に係る脂肪族カルボン酸銀塩粒子において、平均円相当径が0.05μm以上、0.8μm以下であることが好ましく、平均厚さが0.005μm以上、0.07μm以下であることが好ましく、特に好ましくは、平均円相当径が0.2μm以上、0.5μm以下であり平均厚さ0.01μm以上、0.05μm以下である。
平均円相当径が0.05μm以下では透明性には優れるが、画像保存性が悪く、また平均粒径が0.8μm以上では失透が激しい。平均厚さが0.005μm以下では、表面積が大きく現像時の銀イオン供給が急激に行われ、特に低濃度部では銀画像に使われずに、膜中に残存する銀イオンが多量に存在する結果、画像保存性が著しく劣化する。また、平均厚さが0.07μm以上では、表面積が小さくなり、画像安定性は向上するが、現像時の銀供給が遅く、特に高濃度部での現像銀形状の不均一を招き、結果最高濃度が低くなりやすい。
平均円相当径を求めるには、分散後の脂肪族カルボン酸銀塩を希釈してカーボン支持膜付きグリッド上に分散し、透過型電子顕微鏡(例えば、日本電子製、2000FX型)、直接倍率5000倍にて撮影を行い、スキャナにてネガをデジタル画像として取り込み、適当な画像処理ソフトを用いて粒径(円相当径)を300個以上測定し、平均粒径を算出することができる。
平均厚さを求めるには、下記に示すようなTEM(透過型電子顕微鏡)を用いた方法により算出することができる。
まず、支持体上に塗布された感光性層を接着剤により適当なホルダーに貼り付け、支持体面と垂直な方向にダイヤモンドナイフを用いて厚さ0.1〜0.2μmの超薄切片を作製する。作製された超薄切片を、銅メッシュに支持させ、グロー放電により親水化されたカーボン膜上に移し、液体窒素により−130℃以下に冷却しながら透過型電子顕微鏡(以下TEMと称す)を用いて、倍率5,000倍乃至40,000倍にて明視野像を観察し、画像はフィルム、イメージングプレート、CCDカメラなどに素早く記録する。この際、観察される視野としては、切片に破れや弛みがない部分を適宜選択することが好ましい。
カーボン膜としては、極薄いコロジオン、ホルムバールなど有機膜に支持されたものを使用することが好ましく、更に好ましくは、岩塩基板上に形成し基板を溶解除去して得るか、または、上記有機膜を有機溶媒、イオンエッチングにより除去して得られたカーボン単独の膜である。TEMの加速電圧としては80ないし400kVが好ましく、特に好ましくは80ないし200kVである。
その他、電子顕微鏡観察技法、及び試料作製技法の詳細については「日本電子顕微鏡学会関東支部編/医学・生物学電子顕微鏡観察法」(丸善)、「日本電子顕微鏡学会関東支部編/電子顕微鏡生物試料作製法」(丸善)をそれぞれ参考にすることができる。
適当な媒体に記録されたTEM画像は、画像1枚を少なくとも1024画素×1024画素、好ましくは2048画素×2048画素以上に分解し、コンピュータによる画像処理を行うことが好ましい。画像処理を行うためには、フィルムに記録されたアナログ画像はスキャナなどでデジタル画像に変換し、シェーディング補正、コントラスト・エッジ強調などを必要に応じ施すことが好ましい。その後、ヒストグラムを作製し、2値化処理によって脂肪族カルボン酸銀に相当する箇所を抽出する。
上記抽出した脂肪族カルボン酸銀塩粒子の厚さを、300個以上適当なソフトでマニュアル測定し、平均値を求める。
前記の形状を有する脂肪族カルボン酸銀塩粒子を得る方法としては、特に限定されないが、例えば、有機酸アルカリ金属塩ソープ形成時の混合状態または前記ソープに硝酸銀を添加する際の混合状態などを良好に保つことや、ソープに対する有機酸の割合、ソープと反応する硝酸銀の割合を最適に設定することなどが有効である。
本発明において、平板状の脂肪族カルボン酸銀塩粒子(平均円相当径が0.05μm以上、0.8μm以下であり、且つ平均厚さが0.005μm以上、0.07μm以下の脂肪族カルボン酸銀塩粒子をいう)は、必要に応じバインダーや界面活性剤などと共に予備分散した後、メディア分散機または高圧ホモジナイザなどで分散粉砕することが好ましい。上記予備分散方法としては、例えば、アンカー型、プロペラ型等の一般的撹拌機や高速回転遠心放射型撹拌機(ディゾルバ)、高速回転剪断型撹拌機(ホモミキサ)を使用することができる。
また、上記メディア分散機としては、例えば、ボールミル、遊星ボールミル、振動ボールミルなどの転動ミルや、媒体撹拌ミルであるビーズミル、アトライター、その他バスケットミルなどを用いることが可能であり、高圧ホモジナイザとしては壁、プラグなどに衝突するタイプ、液を複数に分けてから高速で液同士を衝突させるタイプ、細いオリフィスを通過させるタイプなど様々なタイプを用いることができる。
メディア分散時に使用されるセラミックスビーズに用いられるセラミックスとしては、分散時におけるビーズや分散機との摩擦による不純物生成が少ない等の理由から、イットリウム安定化ジルコニア、ジルコニア強化アルミナ(これらジルコニアを含有するセラミックスを以下においてジルコニアと略す)が特に好ましく用いられる。
本発明に係る平板状脂肪族カルボン酸銀塩粒子を分散する際に用いられる装置類において、脂肪族カルボン酸銀塩粒子が接触する部材の材質として、例えば、ジルコニア、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素などのセラミックス類またはダイヤモンドを用いることが好ましく、中でもジルコニアを用いることが好ましい。上記分散を行う際、バインダー濃度は脂肪族カルボン酸銀質量の0.1〜10%添加することが好ましく、予備分散から本分散を通して液温が45℃を上回らないことが好ましい。また、本分散の好ましい運転条件としては、例えば、高圧ホモジナイザを分散手段として用いる場合には、29〜100MPa、運転回数は2回以上が運転条件として好ましい。又、メディア分散機を分散手段として用いる場合には、周速が6〜13m/秒が好ましい条件として挙げられる。
本発明では、非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子が、結晶成長抑制剤又は分散剤として機能する化合物の存在下で形成されたものであることが好ましい。また、結晶成長抑制剤又は分散剤として機能する化合物が、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を有する有機化合物であることが好ましい。
本発明において、脂肪族カルボン酸銀粒子に対する結晶成長抑制剤ないし分散剤として機能する化合物とは、脂肪族カルボン酸銀粒子の製造工程において、当該化合物を共存させた条件下で脂肪族カルボン酸銀を製造したときに、共存させない条件下で製造したときより小粒径化や単分散化する機能、効果を有する化合物をいう。具体例として、炭素数が10以下の一価アルコール類、好ましくは第2級アルコール、第3級アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、ポリエチレングリコールなどポリエーテル類、グリセリンが挙げられる。好ましい添加量としては、脂肪族カルボン酸銀に対して10〜200質量%である。
一方で、イソヘプタン酸、イソデカン酸、イソトリデカン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソアラキジン酸、イソベヘン酸、イソヘキサコ酸など、それぞれ異性体を含む分岐脂肪族カルボン酸も好ましい。この場合、好ましい側鎖として、炭素数4以下のアルキル基又はアルケニル基が挙げられる。また、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、モロクチン酸、エイコセン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、セラコレン酸などの脂肪族不飽和カルボン酸が挙げられる。好ましい添加量は、脂肪族カルボン酸銀の0.5〜10モル%である。
グルコシド、ガラクトシド、フルクトシドなどの配糖体類、トレハロース、スクロースなどトレハロース型二糖類、グリコーゲン、デキストリン、デキストラン、アルギン酸など多糖類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類、ソルビタン、ソルビット、酢酸エチル、酢酸メチル、ジメチルホルムアミドなど水溶性有機溶媒、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、アクリル酸共重合体、マレイン酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチンなどの水溶性ポリマー類も好ましい化合物として挙げられる。好ましい添加量としては脂肪族カルボン酸銀に対して0.1〜20質量%である。
炭素数が10以下のアルコール、好ましくは、イソプロピルアルコールなどの第二級アルコール、t−ブチルアルコールなどの第三級アルコールは、粒子製造工程での脂肪族カルボン酸アルカリ金属塩の溶解度を上げることにより減粘し、撹拌効率を上げることで単分散で、かつ小粒径化する。分岐脂肪族カルボン酸及び脂肪族不飽和カルボン酸は、脂肪族カルボン酸銀が結晶化する際にメイン成分である直鎖脂肪族カルボン酸銀よりも立体障害性が高く、結晶格子の乱れが大きくなるため大きな結晶は生成せず、結果的に小粒径化する。
〔ハロゲン化銀粒子〕
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料(以下、単に感光材料ともいう)に用いられる感光性ハロゲン化銀粒子(以下、単にハロゲン化銀粒子ともいう)について説明する。
なお、本発明における感光性ハロゲン化銀粒子とは、ハロゲン化銀結晶の固有の性質として本来的に光吸収することができ、又は人為的に物理化学的な方法により可視光ないし赤外光を吸収することができ、かつ紫外光領域から赤外光領域の光波長範囲内のいずれかの領域の光を吸収したときに、ハロゲン化銀結晶内又は結晶表面において、物理化学的変化が起こり得るように処理製造されたハロゲン化銀結晶粒子をいう。
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子自体は、P.Glafkides著Chimie et Physique Photographique(Paul Montel社刊、1967年)、G.F.Duffin著 Photographic Emulsion Chemistry(The Focal Press刊、1966年)、V.L.Zelikman et al著Making and Coating Photographic Emulsion(The Focal Press刊、1964年)等に記載された方法を用いてハロゲン化銀粒子乳剤として調製することができる。即ち、酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれでもよく、又可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形成としては、片側混合法、同時混合法、それらの組合せ等のいずれを用いてもよいが、上記方法の中でも形成条件をコントロールしつつハロゲン化銀粒子を調製する、いわゆるコントロールドダブルジェット法が好ましい。
ハロゲン組成としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよいが、臭化銀、沃臭化銀又は沃化銀であることが特に好ましい。
沃臭化銀の場合は、沃素含有量は0.02〜16モル%/Agモルの範囲であることが好ましい。沃素はハロゲン化銀粒子全体に分布するように含有させても、あるいはハロゲン化銀粒子の特定個所、例えば、粒子の中心部の沃素の濃度を高くし、表面近傍における濃度を低く、又は実質上ゼロとなるようなコア/シェル型構造としてもよい。
粒子形成は、通常、ハロゲン化銀種粒子(核粒子)生成と粒子成長の2段階に分けられ、一度にこれらを連続的に行う方法でもよく、あるいは核(種粒子)形成と粒子成長を分離して行う方法でもよい。粒子形成条件としては、pAg、pH等をコントロールして粒子形成を行うコントロールドダブルジェット法が粒子形状やサイズのコントロールができる点で好ましい。例えば、核生成と粒子成長を分離して行う方法の場合には、先ず、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩をゼラチン水溶液中で均一、急速に混合させて核生成(核生成工程)を行った後、コントロールされたpAg、pH等のもとで、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を供給しつつ、粒子成長させる粒子成長工程によりハロゲン化銀粒子を調製する。
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、画像形成後の白濁や色調(黄色味)を低く抑えるため、及び良好な画質を得るためにハロゲン化銀粒子の粒径が小さい方が好ましく、平均粒径が0.02μm未満の粒子を計測対象外としたときの値として、0.030μm以上、0.055μm以下が好ましい。
なお、ここでいう粒径とは、ハロゲン化銀粒子が立方体或いは八面体のいわゆる正常晶である場合には、ハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。また、ハロゲン化銀粒子が平板状粒子である場合には、主表面の投影面積と同面積の円像に換算したときの直径をいう。
本発明において、ハロゲン化銀粒子は単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式で求められる粒径の変動係数が30%以下をいう。好ましくは20%以下であり、更に好ましくは15%以下である。
粒径の変動係数=粒径の標準偏差/粒径の平均値×100(%)
ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、14面体粒子、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子などを挙げることができるが、これらのなかで、特に、立方体、八面体、14面体、平板状ハロゲン化銀粒子が好ましい。
平板状ハロゲン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は、好ましくは1.5以上、100以下、より好ましくは2以上、50以下がよい。これらは米国特許第5,264,337号、同第5,314,798号、同第5,320,958号等に記載されており、容易に目的の平板状粒子を得ることができる。更に、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。
ハロゲン化銀粒子外表面の晶癖については、特に制限はないが、ハロゲン化銀粒子表面への増感色素の吸着反応において、晶癖(面)選択性を有する分光増感色素を使用する場合には、その選択性に適応する晶癖を相対的に高い割合で有するハロゲン化銀粒子を使用することが好ましい。例えば、ミラー指数〔100〕の結晶面に選択的に吸着する増感色素を使用する場合には、ハロゲン化銀粒子外表面において〔100〕面の占める割合が高いことが好ましく、この割合が50%以上、更には70%以上、特に80%以上であることが好ましい。逆に、ミラー指数〔111〕の結晶面に選択的に吸着する増感色素を使用する場合には、ハロゲン化銀粒子外表面において〔111〕面の占める割合を高めることが好ましい。なお、ミラー指数〔100〕面の比率は、増感色素の吸着における〔111〕面と〔100〕面との吸着依存性を利用したT.Tani,J.Imaging Sci.,29,165(1985年)により求めることができる。
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、粒子形成時に平均分子量が5万以下の低分子量ゼラチンを用いて調製することが好ましいが、特に、ハロゲン化銀粒子の核形成時に用いることが好ましい。低分子量ゼラチンは、平均分子量5万以下のものであり、好ましくは2000〜40000、更には5000〜25000である。ゼラチンの平均分子量はゲル濾過クロマトグラフィーで測定することができる。
核形成時の分散媒の濃度は、5質量%以下が好ましく、0.05〜3.0質量%の低濃度で行うのがより有効である。
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、粒子形成時に下記の一般式で示されるポリエチレンオキシド化合物を用いることができる。
一般式
YO(CH2CH2O)m(CH(CH3)CH2O)p(CH2CH2O)n
式中、Yは水素原子、−SO3M、又は−CO−B−COOMを表し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基又は炭素原子数5以下のアルキル基にて置換されたアンモニウム基を、Bは有機2塩基性酸を形成する鎖状又は環状の基を表す。m及びnは各々0〜50をpは1〜100を表す。
上記一般式で表されるポリエチレンオキシド化合物は、感光材料を製造するに際し、ゼラチン水溶液を製造する工程、ゼラチン溶液に水溶性ハロゲン化物及び水溶性銀塩を添加する工程、ハロゲン化銀乳剤を支持体上に塗布する工程等、乳剤原料を撹拌したり、移動したりする場合の著しい発泡に対する消泡剤として好ましく用いられてきたものであり、消泡剤として用いる技術は、例えば、特開昭44−9497号に記載されており、上記一般式で表されるポリエチレンオキシド化合物も、核形成時の消泡剤としても機能する。
上記一般式で表されるポリエチレンオキシド化合物は、銀に対して1質量%以下で用いるのが好ましく、より好ましくは0.01〜0.1質量%で用いる。
上記一般式で表されるポリエチレンオキシド化合物は、核形成時に存在していればよく、核形成前の分散媒中に予め加えておくのが好ましいが、核形成中に添加してもよいし、核形成時に使用する銀塩水溶液やハライド水溶液に添加して用いてもよい。好ましくはハライド水溶液若しくは両方の水溶液に0.01〜2.0質量%で添加して用いることである。又、核形成工程の少なくとも50%に亘る時間で存在せしめるのが好ましく、更に好ましくは70%以上に亘る時間で存在せしめる。上記一般式で表されるポリエチレンオキシド化合物は、粉末で添加しても、メタノール等の溶媒に溶かして添加してもよい。
なお、核形成時の温度は5〜60℃、好ましくは15〜50℃であり、一定の温度であっても、昇温パターン(例えば、核形成開始時の温度が25℃で、核形成中徐々に温度を挙げ、核形成終了時の温度が40℃の様な場合)やその逆のパターンであっても前記温度範囲内で制御するのが好ましい。
核形成に用いる銀塩水溶液及びハライド水溶液の濃度は、3.5モル/L以下が好ましく、更には0.01〜2.5モル/Lの低濃度域で使用されるのが好ましい。核形成時の銀イオンの添加速度は、反応液1L当たり1.5×10-3〜3.0×10-1モル/分が好ましく、更に好ましくは3.0×10-3〜8.0×10-2モル/分である。
核形成時のpHは1.7〜10の範囲に設定できるが、アルカリ側のpHでは形成する核の粒径分布を広げるため、好ましくはpH2〜6である。又、核形成時のpBrは0.05〜3.0程度、好ましくは1.0〜2.5、更には1.5〜2.0がより好ましい。
〔熱現像後内潜型ハロゲン化銀粒子〕
本発明に係る感光性ハロゲン化銀粒子は、熱現像過程において表面潜像型から内部潜像型に変換することにより表面感度が低下するハロゲン化銀粒子であることが必要である。即ち、熱現像前の露光では、現像反応(銀イオン還元剤による銀イオンの還元反応)の触媒として機能し得る潜像を該ハロゲン化銀粒子の表面に形成し、熱現像過程経過後の露光では該ハロゲン化銀粒子の表面より内部に多くの潜像を形成するようになるため、表面における潜像形成が抑制されるハロゲン化銀粒子であることを必要とする。
一般に、感光性ハロゲン化銀粒子が露光されると、ハロゲン化銀粒子自身、又は、感光性ハロゲン化銀粒子表面上に吸着している分光増感色素が光励起されて、自由に移動できる電子を生じるが、この電子はハロゲン化銀粒子表面に存在する電子トラップ(感光中心)又は当該粒子の内部にある電子トラップに競争的にトラップ(捕獲)される。従って、電子トラップとして有効な化学増感中心(化学増感核)やドーパント等がハロゲン化銀粒子内部より表面に多くかつ適当数ある場合には表面に優先的に潜像が形成され、現像可能となる。逆に、電子トラップとして有効な化学増感中心(化学増感核)やドーパント等がハロゲン化銀粒子表面より内部に多くかつ適当数ある場合には内部に優先的に潜像が形成され、表面現像が困難となる。換言すると、前者の場合は、内部より表面の感度が高く、後者の場合は、内部より表面の感度が低いと言える(参考文献:(1) T.H.James編”The Theory of the Photographic Process”第4版、Macmillan Publishing Co.,Ltd.1977、(2)日本写真学会編”改訂 写真工学の基礎(銀塩写真編)”、コロナ社、1998)。
本発明に係る感光性ハロゲン化銀粒子においては、少なくとも熱現像後の露光において、電子トラップ性ドーパントとして機能するドーパントをハロゲン化銀粒子の内部に含有させて形成した感光性ハロゲン化銀粒子を用いることが好ましい。
なお、熱現像前の画像形成のための露光の際には、正孔(ホール)トラップとして機能し、熱現像過程において変質し、熱現像後においては電子トラップとして機能することができるドーパントが、特に好ましい。
ここで用いられる電子トラップ性ドーパントとは、ハロゲン化銀粒子を構成する銀及びハロゲン以外の元素又は化合物であって、当該ドーパント自身が自由電子をトラップ(捕獲)できる性質を有する又は当該ドーパントがハロゲン化銀粒子内に含有されることで電子トラップ性の格子欠陥等の部位が生じるものをいう。例えば、銀以外の金属イオン又はその塩若しくは錯体、硫黄、セレン、テルルのようなカルコゲン(酸素族元素)又は窒素原子を含む無機化合物又は有機化合物若しくはそれらの金属錯体、希土類イオン又はその錯体等が挙げられる。
金属イオン又はその塩若しくは錯体としては、鉛イオン、ビスマスイオン、金イオン等又は臭化鉛、硝酸鉛、炭酸鉛、硫酸鉛、硝酸ビスマス、塩化ビスマス、三塩化ビスマス、炭酸ビスマス、ビスマス酸ナトリウム、塩化金酸、酢酸鉛、ステアリン酸鉛、酢酸ビスマス等を挙げることが出来る。
硫黄、セレン、テルルのようなカルコゲンを含む化合物としては、写真業界において、一般にカルコゲン増感剤として知られているカルコゲン放出性の種々の化合物を使用することが出来る。また、カルコゲン又は窒素を含有する有機物としては、ヘテロ環式化合物が好ましい。例えば、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、インドレニン、テトラザインデンであり、好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、テトラザインデンである。
なお、上記のヘテロ環式化合物は置換基を有していても良く、置換基として好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基である。
なお、本発明に用いられるハロゲン化銀粒子には、上記のドーパントのように電子トラップ性ドーパントとして機能するように、或いはホールトラップ性ドーパントとして機能するように元素周期律表の6族から11族に属する遷移金属のイオンを当該金属の酸化状態を配位子(リガンド)等により化学的に調整して含有させても良い。上記の遷移金属としては、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Ptが好ましい。
本発明において、上記の各種ドーパントについては、1種類でも同種或いは異種の化合物若しくは錯体を2種以上併用してもよい。ただし、少なくとも1種は、熱現後の露光の際に、電子トラップ性ドーパントとして機能することが必要である。これらのドーパントはどのような化学的形態でもハロゲン化銀粒子内に導入してもよい。
ドーパントの好ましい含有率は、銀1モルに対し1×10-9〜1×10モルの範囲が好ましく、1×10-8〜1×10-1モルの範囲がより好ましい。さらに、1×10-6〜1×10-2モルが好ましい。
但し、最適量はドーパントの種類、ハロゲン化銀粒子の粒径、形状等、その他環境条件等に依存するのでこれらの条件に応じてドーパント添加条件の最適化の検討をすることが好ましい。
本発明においては、遷移金属錯体又は錯体イオンとしては、下記一般式で表されるものが好ましい。
一般式〔ML6m
式中、Mは元素周期表の6〜11族の元素から選ばれる遷移金属、Lは配位子を表し、mは0、−、2−、3−又は4−を表す。Lで表される配位子の具体例としては、ハロゲンイオン(例えば、弗素イオン、塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン)、シアナイド、シアナート、チオシアナート、セレノシアナート、テルロシアナート、アジド及びアコの各配位子、ニトロシル、チオニトロシル等が挙げられ、好ましくはアコ、ニトロシル及びチオニトロシル等である。アコ配位子が存在する場合には、配位子の一つ又は二つを占めることが好ましい。Lは同一でもよく、また異なっていてもよい。
これらの金属のイオン又は錯体イオンを提供する化合物は、ハロゲン化銀粒子形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましく、ハロゲン化銀粒子の調製、つまり核形成、成長、物理熟成、化学増感の前後のどの段階で添加してもよいが、特に、核形成、成長、物理熟成の段階で添加するのが好ましく、更には核形成、成長の段階で添加するのが好ましく、最も好ましくは核形成の段階で添加する。添加に際しては、数回にわたって分割して添加してもよく、ハロゲン化銀粒子中に均一に含有させることもできるし、例えば、特開昭63−29603号、特開平2−306236号、同3−167545号、同4−76534号、同6−110146号、同5−273683号等に記載されている様に粒子内に分布を持たせて含有させることもできる。
これらの金属化合物は、水或いは適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類)に溶解して添加することができるが、例えば、金属化合物粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩溶液又は水溶性ハライド溶液中に添加しておく方法、或いは銀塩溶液とハライド溶液が同時に混合されるとき第3の水溶液として添加し、3液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、粒子形成中に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入する方法、或いはハロゲン化銀調製時に予め金属のイオン又は錯体イオンをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させる方法等がある。特に、金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を水溶性ハライド溶液に添加する方法が好ましい。粒子表面に添加する時には、粒子形成直後、物理熟成時途中もしくは終了時又は化学熟成時に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入することもできる。
なお、非金属性ドーパントも上記の金属性ドーパントと同様の方法によってハロゲン化銀内部に導入することが出来る。
本発明に係るイメージング材料において、上記のドーパントが電子トラップ性を有するか否かについては、次のように、写真業界において従来一般的に用いられている方法で評価することが出来る。即ち、上記のドーパント又はその分解物がハロゲン化銀粒子内にドープされたハロゲン化銀粒子からなるハロゲン化銀乳剤を、マイクロ波光伝導測定法等による光伝導測定によりドーパントを含有していないハロゲン化銀粒子乳剤を基準として光伝導の減少度を測定することにより評価出来る。又は、当該ハロゲン化銀粒子の内部感度と表面感度の比較実験によっても出来る。
又は、光熱写真ドライイメージング材料とした後に本発明に係る電子トラップ性ドーパントの効果を評価する場合の方法は、例えば、当該イメージング材料を露光前に通常の実用的熱現像条件と同じ条件で加熱して、その後に一定時間(例えば30秒間)、白色光又は特定の分光増感領域の光(特定の波長域のレーザー光に対して分光増感を施した場合は、当該波長領域の光、例えば、赤外光に対して分光増感を施した場合には、赤外光)を光学楔を通して露光し、さらに同一の熱現像条件で熱現像して得られる特性曲線(センシトメトリーカーブ)に基づき得られる感度を当該電子トラップ性ドーパントを含有していないハロゲン化銀粒子乳剤を使用したイメージング材料の感度と比較することにより評価できる。即ち、本発明に係るドーパントを含有するハロゲン化銀粒子乳剤を含む前者の試料の感度は、当該ドーパントを含まない後者の試料の感度に比較して低くなっていることの確認が必要である。
なお、当該材料に、一定時間(例えば30秒間)、白色光又は特定の分光増感領域の光(例えば、赤外光)を光学楔を通して露光をした後に、通常の熱現像条件で熱現像をしたときに得られる特性曲線に基づき得られる当該試料の感度に対して露光前に通常の熱現像条件と同じ条件で加熱して、その後に上記と同一の一定時間、及び、一定の露光を施し、さらに通常の熱現像条件で熱現像して得られる特性曲線に基づき得られる感度が1/10以下、好ましくは、1/20以下、更にハロゲン化銀乳剤に化学増感を施した場合は、好ましくは1/50以下の低感度であることが好ましい。
本発明のハロゲン化銀粒子は、いかなる方法で感光性層に添加されてもよく、このときハロゲン化銀粒子は還元可能な銀源(脂肪族カルボン酸銀塩)に近接するように配置するのが、高感度かつ高カバリングパワー(CP)のイメージング材料を得るためには、好ましい。
本発明のハロゲン化銀粒子は予め調製しておき、これを脂肪族カルボン酸銀塩粒子を調製するための溶液に添加することが、ハロゲン化銀粒子調製工程と脂肪族カルボン酸銀塩粒子調製工程を分離して扱え、製造コントロール上も最も好ましいが、英国特許第第1,447,454号に記載されている様に、脂肪族カルボン酸銀塩粒子を調製する際に、ハライドイオン等のハロゲン成分を脂肪族カルボン酸銀塩形成成分と共存させ、これに銀イオンを注入することで、脂肪族カルボン酸銀塩粒子の生成とほぼ同時に生成させたハロゲン化銀粒子を併用することもできる。又、脂肪族カルボン酸銀塩にハロゲン含有化合物を作用させ、脂肪族カルボン酸銀塩のコンバージョンによりハロゲン化銀粒子を調製し、当該粒子を併用することも可能である。即ち、予め調製された脂肪族カルボン酸銀塩の溶液もしくは分散液、又は脂肪族カルボン酸銀塩を含むシート材料にハロゲン化銀形成成分を作用させて、脂肪族カルボン酸銀塩の一部を感光性ハロゲン化銀に変換することもできる。
ハロゲン化銀粒子形成成分としては、無機ハロゲン化合物、オニウムハライド類、ハロゲン化炭化水素類、N−ハロゲン化合物、その他の含ハロゲン化合物があり、その具体例は、米国特許第4,009,039号、同第3,457,075号、同第4,003,749号、英国特許第1,498,956号及び特開昭53−27027号、同53−25420号等に開示されている。
上述のように別途調製したハロゲン化銀粒子に脂肪族カルボン酸銀塩の一部をコンバージョンすることで製造したハロゲン化銀粒子を併用してもよい。
これらのハロゲン化銀粒子は、別途調製したハロゲン化銀粒子、脂肪族カルボン酸銀塩のコンバージョンによるハロゲン化銀粒子とも、脂肪族カルボン酸銀塩1モルに対し0.001〜0.7モル、好ましくは0.03〜0.5モルで使用するのが好ましい。
別途調製した感光性ハロゲン化銀粒子は、脱塩工程により不要な塩類等を、例えば、ヌードル法、フロキュレーション法、限外濾過法、電気透析法等の公知の脱塩法により脱塩することができるが、脱塩しないで用いることもできる。
〔カブリ防止剤と画像安定化剤〕
前述のように、従来のハロゲン化銀写真感光材料と比較して、銀塩光熱写真ドライイメージング材料の構成上の最大の相違点は、後者の材料中には、現像処理の前後を問わず、カブリやプリントアウト銀(焼出し銀)の発生の原因となり得る感光性ハロゲン化銀、有機銀塩及び還元剤が多量含有されていることである。このため、銀塩光熱写真ドライイメージング材料には、現像前ばかりでなく現像後の保存安定性を維持するために、高度のカブリ防止及び画像安定化技術が必要であるが、従来はカブリ核の成長及び現像を抑制する芳香族性複素環化合物の他に、カブリ核を酸化消滅する機能を有する酢酸水銀のような水銀化合物が、非常に有効な保存安定化剤として使用されていたが、この水銀化合物の使用は安全性、環境保全性の点で問題であった。
カブリ防止及び画像安定化のための技術については、基本的には、現像前の保存時及び現像後の保存時において、銀イオンが還元されて銀原子ないし金属銀が生成する反応を防止すること及び生成してしまった銀(金属銀)を酸化して消滅させる又は金属銀が銀イオンを還元する反応の触媒としての機能を発現するのを防止する等を考慮することが大切であると考えられる。
以下において、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に用いられるカブリ防止及び画像安定化剤について具体的に説明する。
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料においては、銀イオンの還元剤としては、後述するように、主にビスフェノール類を用いることができるが、当該イメージング材料の現像前の保存条件下において、及び、熱現像後の保存条件下において、この還元剤を不活性化できる化合物が含有されていることが好ましい。好適には当該還元剤からフェノキシルラジカルを生じることを防止することができる化合物又は生じた当該フェノキシルラジカルを捕獲(トラップ)し銀イオンの還元剤として機能しないように安定化することができる化合物が好ましい。このような作用・機能を有する好適な化合物としては、ビスフェノール類の水酸基と水素結合を形成することができる基を有する非還元性化合物、例えば、ホスホリル基、スルホキシド基、スルホニル基、カルボニル基、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレイド基、3級アミノ基、含窒素芳香族基などを有する化合物が挙げられる。特に好適なのは、スルホニル基、スルホキシド基、ホスホリル基を有する化合物である。具体例は、特開平6−208192号、特開2001−215648号、特開350235号、特開2002−6444号、特開2002−18264号明細書等に開示されている。また、ビニル基を有する特定の化合物が、特表2000−515995号、特開2002−207273号、特開2003−140298号明細書等に開示されている。
また、銀(金属銀)を酸化し得る化合物、例えば、酸化力を有するハロゲンラジカルを放出する、または、銀と相互作用し電荷移動錯体を形成して、銀を酸化することができる化合物も併用することができる。このような機能を有する化合物の具体例は、特開昭50−120328号、特開昭59−57234号、特開平4−232939号、特開平6−208193号、特開平10−197989号及び米国特許5,460,938号、特開平7−2781号明細書等に開示されている。特に、本発明に係るイメージング材料において、好ましい化合物の具体例としては、以下に挙げる一般式(OFI)で表すことができるハロゲンラジカル放出性化合物がある。
一般式(OFI) Q2−Y−C(X1)(X3)(X2
一般式(OFI)中、Q2はアリール基またはヘテロ環基を表す。X1、X2及びX3は、各々、水素原子、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルフォニル基、アリール基を表すが、少なくとも一つはハロゲン原子である。Yは−C(=O)−、−SO−または−SO2−を表す。
2で表されるアリール基は、単環または縮環していてもよく、好ましくは炭素数6〜30の単環または二環のアリール基(例えば、フェニル、ナフチル等)であり、より好ましくはフェニル基、ナフチル基であり、更に好ましくはフェニル基である。
2で表されるヘテロ環基は、N、OまたはSの少なくとも一つの原子を含む3乃至10員の飽和もしくは不飽和のヘテロ環基であり、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
ヘテロ環基として好ましくは、縮合環を有していてもよい5乃至6員の不飽和ヘテロ環基であり、より好ましくは縮合環を有していてもよい5乃至6員の芳香族ヘテロ環基である。更に好ましくは窒素原子を含む縮合環を有していてもよい5乃至6員の芳香族ヘテロ環基であり、特に好ましくは窒素原子を1乃至4原子含む縮合環を有していてもよい5乃至6員の芳香族ヘテロ環基である。このようなヘテロ環基におけるヘテロ環として、好ましくはイミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、インドレニン、テトラザインデンであり、より好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、テトラザインデンであり、更に好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、テトラゾール、チアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズチアゾールであり、特に好ましくはピリジン、チアジアゾール、キノリン、ベンズチアゾールである。
2で表されるアリール基及びヘテロ環基は−Y−C(X1)(X2)(X3)の他に置換基を有していても良く、置換基として好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子である。
1、X2及びX3は、好ましくはハロゲン原子、ハロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ヘテロ環基であり、より好ましくはハロゲン原子、ハロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基であり、更に好ましくはハロゲン原子、トリハロメチル基であり、特に好ましくはハロゲン原子である。ハロゲン原子の中でも好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
Yは−C(=O)−、−SO−または−SO2−を表し、好ましくは−SO2−である。
これらの化合物の添加量は、銀1モルに対して1×10-4〜1モル、好ましくは、1×10-3〜5×10-2モルの含有量で用いることができる。
なお、本発明に係るイメージング材料においては、特開2003−5041号に開示されているポリハロゲン化合物を上記の一般式(OFI)で表せる化合物と同様に使用することができる。
以下に、一般式(OFI)で表せる化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されない。
Figure 2005208287
Figure 2005208287
Figure 2005208287
Figure 2005208287
Figure 2005208287
Figure 2005208287
Figure 2005208287
Figure 2005208287
〔ポリマーPO防止剤〕
さらに、本発明に係る光熱写真イメージング材料においては、特開2003−91054号に開示されているようなハロゲンラジカル放出基を有するモノマーの繰り返し単位を少なくとも1つ有するポリマーを画像安定剤として使用することが、銀画像を一層安定化できる上に、高感度化及び高CP化の観点からも、好ましい。特に、本発明に係る光熱写真イメージング材料においては予想外に良好な結果が得られる。
以下に、ハロゲンラジカル放出基を有するポリマーの具体例を示すが、本発明はこれに限定されない。
Figure 2005208287
Figure 2005208287
Figure 2005208287
Figure 2005208287
なお、上記の化合物の他に、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料中には、従来カブリ防止剤として知られている化合物が含まれてもよい。例えば、米国特許第3,589,903号、同第4,546,075号、同第4,452,885号、特開昭59−57234号、米国特許第3,874,946号、同第4,756,999号、特開平9−288328号、同9−90550号に記載されている化合物が挙げられる。更に、その他のカブリ防止剤としては、米国特許第5,028,523号及び欧州特許第600,587号、同第605,981号、同第631,176号に開示されている化合物が挙げられる。
〔ポリカルボキシル化合物〕
本発明に係るイメージング材料においては、次の一般式(PC)で表される化合物を当該材料のカブリ防止剤及び保存安定剤として使用することも好ましい。
一般式(PC) R−(CO−O−M)n
〔式中、Rは連結できる原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基又は互いに結合して環を形成することができる原子群を表す。Mは水素原子、金属原子、四級アンモニウム基又はホスホニウム基を表す。nは2〜20の整数を表す。〕
前記一般式(PC)において、Rで表される連結できる原子としては、窒素、酸素、硫黄、燐などの原子が挙げられる。
Rで表される脂肪族基としては炭素数1〜30、好ましくは1〜20の直鎖、又は分岐したアルキル、アルケニル、アルキニル又はシクロアルキル基が挙げられる。具体的には例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、デシル、ドデシル、イソプロピル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、アリル、2−ブテニル、7−オクテニル、プロパルギル、2−ブチニル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロドデシル等の各基が挙げられる。
Rで表される芳香族基としては炭素数6〜20のものが挙げられ、具体的には例えばフェニル、ナフチル、アントラニル等の各基が挙げられる。
Rで表されるヘテロ環基としては、単環でも縮合環でもよく、O、S、及びN原子、アミンオキシド基の少なくとも1種を環内に有する5〜6員のヘテロ環基が挙げられる。具体的には例えば、ピロリジン、ピペリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、オキシラン、モルホリン、チオモルホリン、チオピラン、テトラヒドロチオフェン、ピロール、ピリジン、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール及びこれらのベンゼローグ類から導かれる基が挙げられる。
RがR1とR2で形成された場合は、R1とR2はRと同義であり、かつ、R1はR2と同じでも異なってもよい。R1及びR2で環を形成するものとしては4〜7員環を挙げることができる。好ましくは5〜7員環である。R1及びR2で好ましい基としては芳香族基およびヘテロ環基である。R1及びR2で表される脂肪族基、芳香族基又はヘテロ環基は更に置換基により置換されていてもよく、該置換基としてはハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子等)、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基等)、シクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アラルキル基(例えばベンジル基、2−フェネチル基等)、アリール基(例えばフェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基等)、シアノ基、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基等)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基等)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等)、スルホニルアミノ基(例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基等)、ウレイド基(例えば3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基、1,3−ジメチルウレイド基等)、スルファモイルアミノ基(ジメチルスルファモイルアミノ基、ジエチルスルファモイルアミノ基等)、カルバモイル基(例えばメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基等)、スルファモイル基(例えばエチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基等)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル基、p−クロロフェノキシカルボニル基等)、スルホニル基(例えばメタンスルホニル基、ブタンスルホニル基、フェニルスルホニル基等)、アシル基(例えばアセチル基、プロパノイル基、ブチロイル基等)、アミノ基(メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基等)、ヒドロキシ基、ニトロ基、ニトロソ基、アミンオキシド基(例えばピリジン−オキシド基等)、イミド基(例えばフタルイミド基等)、ジスルフィド基(例えばベンゼンジスルフィド基、ベンズチアゾリル−2−ジスルフィド基等)、ヘテロ環基(例えば、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、ベンズオキサゾリル基等)が挙げられる。R1及びR2はこれらの置換基の中から単独又は複数を有することができる。またそれぞれの置換基は更に上記の置換基で置換されていてもよい。またR1、R2は同じでも異なっていてもよい。また、一般式(PC−1)がオリゴマーまたはポリマー(R−(COOM)n0)mとしても効果がある。nは2〜20で、mは1〜100又は分子量が50000以下が好ましい。
本発明の一般式(PC−1)の酸無水物とは、一般式(PC−1)で表される化合物の2個のカルボキシル基から脱水反応によって形成された化合物をいう。好ましくは、カルボキシル基を3以上10以下を有する化合物及びそれらからの誘導体としての酸無水物が好ましい。
また、特開昭58−95338号、特開平10−288824号、同11−174621号、同11−218877号、特開2000−10237号、同2000−10236号、同2000−10235号、同2000−10233号、同2000−10232号、同2000−10231号に記載のジカルボン酸類も好ましく併用できる。
〔チオスルフォン酸類抑制剤〕
本発明に係るイメージング材料においては、下記一般式(ST)で表せる化合物を含有することが好ましい。
一般式(ST) Z−SO2・S−M
式中、Zは置換または未置換のアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Mは金属原子または有機カチオンを表す。
一般式(ST)で表される化合物において、式中Zで示されるアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、芳香族環及びヘテロ環は置換されていても良い。置換基としては、たとえばメチル基、エチル基等の低級アルキル基、フェニル基等のアリール基、炭素数1〜8のアルコキシル基、塩素等のハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基などをあげることができる。Zで表されるヘテロ環としては、チアゾール、ベンズチアゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、オキサゾール環等をあげることができる。Mで表される金属原子としては、ナトリウムイオン、カリウムイオンのごときアルカリ金属原子が、有機カチオンとしては、アンモニウムイオン、グアニジン基などが好ましい。
一般式(ST)で表される化合物の具体例としては、下記のものをあげることができるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2005208287
Figure 2005208287
Figure 2005208287
一般式(ST)で表される化合物は、一般によく知られた方法で合成することができる。たとえば、相当するスルホニルフロリドと硫化ソーダを反応させるか、相当するスルフィン酸ソーダと硫黄を反応させる方法により合成することができる。一方これらの化合物は、市販品として容易に入手することもできる。
一般式(ST)で表される化合物は本発明に係るイメージング材料の製造工程における塗布工程以前の工程の、どの時点で添加しても良いが、塗布直前に塗布液に添加することが好ましい。
一般式(ST)で表される化合物の添加量は特に制限はないが、有機銀塩、ハロゲン化銀を含む全銀量1モル当たり1×10-6〜1gの範囲が好ましい。
なお、同様の化合物が特開平8−314059開示されている。
〔電子吸引基を有するビニル型抑制剤〕
本発明においては、下記一般式(CV)で表せるカブリ抑制剤を併用することが好ましい。
Figure 2005208287
次に、前記一般式(CV)で表される化合物について詳細に説明する。
Xの表す電子吸引基とは、ハメットの置換基定数σpが正の値を取りうる置換基のことである。具体的には、置換アルキル基(ハロゲン置換アルキル等)、置換アルケニル基(シアノビニル等)、置換、無置換のアルキニル基(トリフルオロメチルアセチレニル、シアノアセチレニル、ホルミルアセチレニル等)、置換アリール基(シアノフェニル等)、置換、無置換のヘテロ環基(ピリジル、トリアジニル、ベンゾオキサゾリル等)、ハロゲン原子、シアノ基、アシル基(アセチル、トリフルオロアセチル、ホルミル等)、チオアシル基(チオホルミル、チオアセチル等)、オキサリル基(メチルオキサリル等)、オキシオキサリル基(エトキサリル等)、−S−オキサリル基(エチルチオオキサリル等)、オキサモイル基(メチルオキサモイル等)、オキシカルボニル基(エトキシカルボニル、カルボキシル等)、−S−カルボニル基(エチルチオカルボニル等)、カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシスルホニル基(エトキシスルホニル等)、−S−スルホニル基(エチルチオスルホニル等)、スルファモイル基、オキシスルフィニル基(メトキシスルフィニル等)、−S−スルフィニル基(メチルチオスルフィニル等)、スルフィナモイル基、ホスホリル基、ニトロ基、イミノ基(イミノ、N−メチルイミノ、N−フェニルイミノ、N−ピリジルイミノ、N−シアノイミノ、N−ニトロイミノ等)、N−カルボニルイミノ基(N−アセチルイミノ、N−エトキシカルボニルイミノ、N−エトキサリルイミノ、N−ホルミルイミノ、N−トリフルオロアセチルイミノ、N−カルバモイルイミノ等)、N−スルホニルイミノ基(N−メタンスルホニルイミノ、N−トリフルオロメタンスルホニルイミノ、N−メトキシスルホニルイミノ、N−スルファモイルイミノ等)、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ピリリウム基、インモニウム基等が挙げられるが、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、インモニウム基等が環を形成したヘテロ環状のものも含まれる。σp値として0.2以上のものが好ましく、0.3以上のものが更に好ましい。
Wとしては水素原子、アルキル基(メチル、エチル、トリフルオロメチル等)アルケニル基(ビニル、ハロゲン置換ビニル、シアノビニル等)、アルキニル基(アセチレニル、シアノアセチレニル等)、アリール基(フェニル、クロルフェニル、ニトロフェニル、シアノフェニル、ペンタフルオロフェニル等)、ヘテロ環基(ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、キノキサリニル、トリアジニル、スクシンイミド、テトラゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、ベンゾオキサゾリル等)の他上記Xで説明したようなハロゲン原子、シアノ基、アシル基、チオアシル基、オキサリル基、オキシオキサリル基、−S−オキサリル基、オキサモイル基、オキシカルボニル基、−S−カルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシスルホニル基、−S−スルホニル基、スルファモイル基、オキシスルフィニル基、−S−スルフィニル基、スルフィナモイル基、ホスホリル基、ニトロ基、イミノ基、N−カルボニルイミノ基、N−スルホニルイミノ基、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ピリリウム基、インモニウム基等が挙げられる。
Wとしてはハメットの置換基定数σpが正の値を取りうる電子吸引基の他、上記したようなアリール基及びヘテロ環基も好ましい。
また、XとWは互いに結合して環状構造を形成してもよい。XとWで形成される環としては、縮合環を有していてもよい飽和ないし不飽和の炭素環またはヘテロ環が挙げられ、環状ケトンであってもよい。ヘテロ環としては、N、O及びSの内の少なくとも1つの原子を1個以上、更には1〜2個含むものが好ましい。
1としては、ヒドロキシル基またはヒドロキシル基の有機もしくは無機塩が挙げられる。R2が表すアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基の具体例としては、Wとして例示したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、及びヘテロ環基の各例が挙げられる。
また、本発明においては、X、W、及びR2は何れも耐拡散性基を含んでもよい。耐拡散性基とは写真用のカプラーなどにおけるバラスト基と呼ばれるもので、添加された化合物が感光材料の被膜中を移動しないような嵩高い分子量とするものである。
また、本発明においては、X、W、及びR2は銀塩への吸着促進基を含んでいてもよい。銀塩への吸着促進基としては、チオアミド基、脂肪族メルカプト基、芳香族メルカプト基、ヘテロ環メルカプト基及びベンゾトリアゾール、トリアゾール、テトラゾール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、イミダゾール、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾオキサゾール、オキサゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、トリアジン等の5〜6員の含窒素ヘテロ環で表される各基が挙げられる。
本発明において、XとWの内、少なくとも一方がシアノ基を表すか、またはXとWが互いに結合して環状構造を形成するものは好ましい。
また、本発明において、X、W、R2で表される置換基中にチオエーテル基(−S−)を含む化合物は好ましい。
また、X及びWの中、少なくとも一方が下記一般式(CV1)で表されるアルケン基を有するものは特に好ましい。
一般式(CV1) −C(R)=C(Y)(Z)
上式中、Rは水素原子または置換基を表し、Y及びZは各々、水素原子または置換基を表すが、Y、Zの中、少なくとも一方は電子吸引性基を表す。
Y、Zの表す置換基の内電子吸引性基の例としてはシアノ基、ホルミル基の他、先述したX及びWの電子吸引性基として挙げたものが挙げられる。
上記一般式(CV1)で表されるX及びWとしては、例えば次の様な基が挙げられる。
Figure 2005208287
Figure 2005208287
また、X及びWの中、少なくとも一方が次の様なアルキン基を有するものも好ましい。
Figure 2005208287
R5は水素原子または置換基を表し、置換基としては先述したX及びWの中で挙げたような電子吸引性基が好ましい。上記一般式(CV1)で表されるX及びWとしては例えば次のような基が挙げられる。
Figure 2005208287
また、X及びWの中、少なくとも一方が置換アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、及びアルキニルカルボニル基から選ばれるアシル基を有するものも好ましく、X及びWとしては例えば次のような基が挙げられる。
Figure 2005208287
また、X及びWの中、少なくとも一方がオキサリル基を有するものも好ましく、オキサリル基を有するX及びWとしては例えば次のような基が挙げられる。
Figure 2005208287
および、−COCOCH3、−COCOOC25、−COCONHCH3、−COCOSC25、−COCOOC24SCH3、−COCONHC24SCH3
また、X及びWの内少なくとも一方が電子吸引性基の置換したアリール基または含窒素ヘテロ環基を有するものも好ましく、そのようなX及びWとしては例えば次のような基が挙げられる。
Figure 2005208287
本発明において、一般式(CV)で表されるアルケン化合物は、X、W、R1及びR2が置換する二重結合に関して異性体構造を取りうるときは総ての異性体を含むものとし、また、ケトーエノールのような互変異性構造を取りうるときも総ての異性体を含むものとする。
以下に、一般式(CV)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005208287
Figure 2005208287
Figure 2005208287
Figure 2005208287
Figure 2005208287
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Figure 2005208287
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本発明の一般式(CV)で表される化合物は種々の方法により合成することができるが、例えば特表2000−515995号に記載の合成法を参考にして合成することができる。
例示化合物CV−5は例えば以下のルートで合成することができる。
Figure 2005208287
本発明の一般式(CV)で表されるその他の化合物も同様にして合成することができる。
一般式(CV)で表される化合物は、熱現像感光材料の感光層または該感光層側の非感光層の少なくとも1層に含有させればよいが、好ましくは少なくとも感光層に含有させることである。一般式(1)で表される化合物の添加量は、銀1モルに対して1×10-8〜1モルが好ましく、1×10-6〜1×10-1モルがより好ましく、1×10-4〜1×10-2モルが最も好ましい。
一般式(CV)で表される化合物は公知の方法に従って感光層や非感光層に添加することができる。すなわち、メタノールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、ジメチルスルホオキシドやジメチルホルムアミド等の極性溶媒等に溶解して感光層や非感光層用塗布液に添加することができる。また、1μm以下の微粒子にして水や有機溶媒に分散して添加することもできる。微粒子分散技術については多くの技術が開示されているが、これらに準じて分散することができる。
〔銀イオン還元剤〕
本発明においては、銀イオン還元剤(単に還元剤ということもある)として米国特許第3,589,903号、同第4,021,249号若しくは英国特許第1,486,148号各明細書及び特開昭51−51933号、同50−36110号、同50−116023号、同52−84727号若しくは特公昭51−35727号公報に記載されたポリフェノール化合物、例えば、2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、6,6′−ジブロモ−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル等の米国特許第3,672,904号明細書に記載されたビスナフトール類、更に、例えば、4−ベンゼンスルホンアミドフェノール、2−ベンゼンスルホンアミドフェノール、2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノール、4−ベンゼンスルホンアミドナフトール等の米国特許第3,801,321号明細書に記載されているようなスルホンアミドフェノール又はスルホンアミドナフトール類を用いることができる。
しかしながら、本発明においては、銀イオン還元剤としては下記一般式(RED)で表される化合物が好ましい。
Figure 2005208287
式中、X1はカルコゲン原子又はCHR1を表し、R1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。R2はアルキル基を表す。R3は水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。R4はベンゼン環上に置換可能な基を表し、m及びnは各々0〜2の整数を表す。
1の表すカルコゲン原子としては、硫黄、セレン、テルルであり、好ましくは硫黄原子である。CHR1におけるR1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表し、ハロゲン原子としては、弗素原子、塩素原子、臭素原子等であり、アルキル基としては置換又は無置換の炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、シクロアルキル等、アルケニル基としては、ビニル、アリル、ブテニル、ヘキセニル、ヘキサジエニル、エテニル−2−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ペンテニル、1−メチル−3−ブテニル、シクロヘキセニル等、アリール基としてはベンゼン環、ナフタレン環等、複素環基としてはチオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、ピロール等の各基である。特に、環状基、例えば、シクロアルキル基、シクロアルケニル基が好ましい。
これらの基は更に置換基を有していてもよく、置換基として具体的には、ハロゲン原子(弗素、塩素、臭素等)、アルキル基(メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、i−ペンチル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル、シクロヘプチル等)、アルケニル基(エテニル−2−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ペンテニル、1−メチル−3−ブテニル等)、シクロアルケニル基(1−シクロアルケニル、2−シクロアルケニル基等)、アルキニル基(エチニル、1−プロピニル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ等)、アルキルカルボニルオキシ基(アセチルオキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、トリフルオロメチルチオ等)、カルボキシル基、アルキルカルボニルアミノ基(アセチルアミノ等)、ウレイド基(メチルアミノカルボニルアミノ等)、アルキルスルホニルアミノ基(メタンスルホニルアミノ等)、アルキルスルホニル基(メタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−モルホリノカルボニル等)、スルファモイル基(スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、モルホリノスルファモイル等)、トリフルオロメチル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、アルキルスルホンアミド基(メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド等)、アルキルアミノ基(アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ等)、スルホ基、ホスホノ基、サルファイト基、スルフィノ基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基(メタンスルホニルアミノカルボニル、エタンスルホニルアミノカルボニル等)、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(アセトアミドスルホニル、メトキシアセトアミドスルホニル等)、アルキニルアミノカルボニル基(アセトアミドカルボニル、メトキシアセトアミドカルボニル等)、アルキルスルフィニルアミノカルボニル基(メタンスルフィニルアミノカルボニル、エタンスルフィニルアミノカルボニル等)等が挙げられる。又、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。特に好ましい置換基はアルキル基である。
2はアルキル基を表す。アルキル基としては置換又は無置換の炭素数1〜20のものが好ましく、具体的にはメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、t−オクチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−メチルシクロプロピル等の基が挙げられる。
アルキル基の置換基は特に限定されないが、例えばアリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ハロゲン原子等が挙げられる。又、(R4n及び(R4mと飽和環を形成してもよい。R2は、好ましくは何れも2級又は3級のアルキル基であり、炭素数2〜20が好ましい。より好ましくは3級アルキル基であり、更に好ましくはt−ブチル、t−ペンチル、1−メチルシクロヘキシルであり、最も好ましくはt−ブチルである。
3は水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。ベンゼン環に置換可能な基としては、例えば弗素、塩素、臭素等のハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、スルホニル基、アルキルスルホニル基、スルフィニル基、シアノ基、複素環基等が挙げられる。
3として好ましくは、メチル、エチル、i−プロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。更に好ましくは、メチル、2−ヒドロキシエチルである。
これらの基は更に置換基を有していてもよく、置換基としては、前記R1で挙げた置換基を用いることができる。
また、R3は、炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましい。特に、特願2002−120842号明細書に開示されているようなヒドロキシル基、又は脱保護されることによりヒドロキシル基を形成し得る基を置換基として有するアルキル基、例えば、2−ヒドロキシエチル基等が挙げられる。このようなアルキル基を有する還元剤は、一定塗布銀量で高い最高濃度(Dmax)、すなわち、高い銀被覆率(カバリングパワー、CP)の銀画像濃度を得るためには、単独で使用すること又は他種の還元剤と併用することが好ましい。
2及びR3の最も好ましい組合せは、R2が第3級アルキル基(t−ブチル、1−メチルシクロヘキシル等)であり、R3がアルキル基であって、ヒドロキシル基、又は脱保護されることによりヒドロキシル基を形成し得る基を置換基として有するアルキル基、例えば、2−ヒドロキシエチル基である。なお、複数のR2、R3は同じでも異なっていてもよい。
4はベンゼン環上に置換可能な基を表すが、具体的には炭素数1〜25のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル等)、ハロゲン化アルキル基(トリフルオロメチル、パーフルオロオクチル等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル、シクロペンチル等)、アルキニル基(プロパルギル等)、グリシジル基、アクリレート基、メタクリレート基、アリール基(フェニル等)、複素環基(ピリジル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、フリル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、セレナゾリル、スリホラニル、ピペリジニル、ピラゾリル、テトラゾリル等)、ハロゲン原子(塩素、臭素、沃素、弗素)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ペンチルオキシ、シクロペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ等)、アリールオキシ基(フェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェニルオキシカルボニル等)、スルホンアミド基(メタンスルホンアミド、エタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、ヘキサンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド等)、スルファモイル基(アミノスルホニル、メチルアミノスルホニル、ジメチルアミノスルホニル、ブチルアミノスルホニル、ヘキシルアミノスルホニル、シクロヘキシルアミノスルホニル、フェニルアミノスルホニル、2−ピリジルアミノスルホニル等)、ウレタン基(メチルウレイド、エチルウレイド、ペンチルウレイド、シクロヘキシルウレイド、フェニルウレイド、2−ピリジルウレイド等)、アシル基(アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ヘキサノイル、シクロヘキサノイル、ベンゾイル、ピリジノイル等)、カルバモイル基(アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル、フェニルアミノカルボニル、2−ピリジルアミノカルボニル)、アミド基(アセトアミド、プロピオンアミド、ブタンアミド、ヘキサンアミド、ベンズアミド等)、スルホニル基(メチルスルホニル、エチルスルホニル、ブチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル、フェニルスルホニル、2−ピリジルスルホニル等)、アミノ基(アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、アニリノ、2−ピリジルアミノ等)、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、オキザモイル基等を挙げることができる。又、これらの基は、更にこれらの基で置換されてもよい。n及びmは0〜2の整数を表すが、最も好ましくはn、m共に0の場合である。複数のR4は同じでも異なっていてもよい。
又、R4はR2、R3と飽和環を形成してもよい。R4は好ましくは水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
以下に、一般式(RED)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2005208287
Figure 2005208287
Figure 2005208287
これら一般式(RED)で表される化合物(ビスフェノール化合物)は、従来公知の方法により容易に合成することができる。
本発明の光熱写真ドライイメージング材料に使用される銀イオン還元剤の量は、有機銀塩や還元剤の種類、その他の添加剤によって変化するが、一般的には有機銀塩1モル当たり0.05モル乃至10モル好ましくは0.1モル乃至3モルが適当である。又この量の範囲内において、本発明の銀イオン還元剤は2種以上併用されてもよい。すなわち、相違する化学構造を有することにより反応性の相違する還元剤を併用することも保存性に優れ、高画質かつ高CPの画像を得る等の観点から好ましい。
本発明においては、前記還元剤を塗布直前に感光性ハロゲン化銀及び有機銀塩粒子及び溶媒からなる感光乳剤溶液に添加混合して塗布した方が、停滞時間による写真性能変動が小さく好ましい場合がある。
また、本発明の銀塩光熱写真材料には、前記した還元剤と併用する現像促進剤として特開2003−43614号公報に記載の一般式(1)〜(4)や、特開2003−66559号公報に記載の一般式(1)〜(3)で表されるヒドラジン誘導体、フェノール誘導体が好ましく用いられる。
本発明の銀塩光熱写真材料において使用される現像促進剤のポーラログラフィー測定による酸化電位は、一般式(RED)で表される化合物より0.01Vないし0.4V低いことが好ましく、一般式(RED)で表される化合物より0.01Vないし0.3V低いことが更に好ましい。なお、当該現像促進剤は、pH=6に調整したテトラヒドロフラン:Britton・Robinson緩衝溶液=3:2混合溶媒中での、SCE対極でのポーラログラフィー測定による酸化電位が、0.2V以上0.6V以下であることが好ましく、0.3V以上0.55V以下であることが更に好ましい。また、テトラヒドロフラン:水の3:2混合溶媒中でのpKa値は、3以上12以下であることが好ましく、5以上10以下であることが更に好ましい。pH=6に調整したテトラヒドロフラン:Britton・Robinson緩衝溶液=3:2混合溶媒中での、SCE対極でのポーラログラフィー測定による酸化電位が、0.3V以上0.55V以下であり、テトラヒドロフラン:水の3:2混合溶媒中でのpKa値は、5以上10以下であることが特に好ましい。
なお、本発明に係る銀イオン還元剤として、欧州特許第1,278,101号及び特開2003−15252号明細書に開示されている各種の還元剤も使用できる。
本発明の光熱写真ドライイメージング材料に使用される銀イオン還元剤の量は、有機銀塩や還元剤の種類、その他の添加剤によって変化するが、一般的には有機銀塩1モル当たり0.05モル乃至10モル好ましくは0.1モル乃至3モルが適当である。又この量の範囲内において、本発明の銀イオン還元剤は2種以上併用されてもよい。すなわち、相違する化学構造を有することにより反応性の相違する還元剤を併用することも保存性に優れ、高画質かつ高CPの画像を得る等の観点から好ましい。
本発明においては、前記還元剤を塗布直前に感光性ハロゲン化銀及び有機銀塩粒子及び溶媒からなる感光乳剤溶液に添加混合して塗布した方が、停滞時間による写真性能変動が小さく好ましい場合がある。
〔化学増感〕
本発明に係る感光性ハロゲン化銀粒子には、化学増感を施すことができる。例えば、特開2001−249428号及び特開2001−249426号に記載されている方法等により、硫黄、セレン、テルル等のカルコゲンを放出する化合物や金イオンなどの貴金属イオンを放出する貴金属化合物の利用により、感光性ハロゲン化銀粒子又は当該粒子上の分光増感色素の光励起によって生じた電子又は正孔(ホール)を捕獲することができる化学増感中心(化学増感核)を形成付与できる。特に、カルコゲン原子を含有する有機増感剤により化学増感されているのが好ましい。
これらカルコゲン原子を含有する有機増感剤は、ハロゲン化銀へ吸着可能な基と不安定カルコゲン原子部位を有する化合物であることが好ましい。
これらの有機増感剤としては、特開昭60−150046号、特開平4−109240号、同11−218874号、同11−218875号、同11−218876号、同11−194447号等に開示されている種々の構造を有する有機増感剤を用いることができるが、それらのうち、カルコゲン原子が炭素原子又はリン原子と二重結合で結ばれている構造を有する化合物の少なくとも1種であることが好ましい。特に、複素環基を有するチオ尿素誘導体及びトリフェニルホスフィンサルファイド誘導体等が好ましい。
化学増感を施す方法としては、従来の湿式処理用のハロゲン化銀感光材料の製造の際に慣用されている種々の化学増感技術に準じた技術が使用できる(参考文献:(1) T.H.James編”The Theory of the Photographic Process”第4版、Macmillan Publishing Co.,Ltd.1977、(2) 日本写真学会編”写真工学の基礎(銀塩写真編),コロナ社,1979)。特に、ハロゲン化銀粒子乳剤に予め化学増感を施し、その後に非感光性有機銀塩粒子と混合する場合には、従来の慣用方法により化学増感を施すことができる。
有機増感剤としてのカルコゲン化合物の使用量は、使用するカルコゲン化合物、ハロゲン化銀粒子、化学増感を施す際の反応環境などにより変わるが、ハロゲン化銀1モル当たり、10-8〜10-2モルが好ましく、より好ましくは10-7〜10-3モルを用いる。化学増感を施す際の環境条件としては、特に制限はないが、感光性ハロゲン化銀粒子上のカルコゲン化銀又は銀核を消滅或いはそれらの大きさを減少させ得る化合物の存在下において、又特に銀核を酸化しうる酸化剤の共存下において、カルコゲン原子を含有する有機増感剤を用いてカルコゲン増感を施すことが好ましい場合がある。この場合の増感条件は、pAgとしては6〜11が好ましく、より好ましくは7〜10であり、pHは4〜10が好ましく、より好ましくは5〜8、又温度としては30℃以下で増感を施すことが好ましい。
また、これらの有機増感剤を用いた化学増感は、分光増感色素またはハロゲン化銀粒子に対して、吸着性を有するヘテロ原子含有化合物の存在下で行われることが好ましい。ハロゲン化銀に吸着性を有する化合物の存在下化学増感を行うことで、化学増感中心核の分散化を防ぐことができ高感度、低カブリを達成できる。分光増感色素については後述するが、ハロゲン化銀に吸着性を有するヘテロ原子含有化合物とは、特開平3−24537号に記載されている含窒素複素環化合物が好ましい例として挙げられる。含窒素複素環化合物において、複素環としては、例えば、ピラゾール環、ピリミジン環、1,2,4−トリアゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,3−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,2,5−チアジアゾール環、1,2,3,4−テトラゾール環、ピリダジン環、1,2,3−トリアジン環、これらの環が2〜3個結合した環、例えばトリアゾロトリアゾール環、ジアザインデン環、トリアザインデン環、ペンタアザインデン環などを挙げることができる。単環の複素環と芳香族環の縮合した複素環、例えば、フタラジン環、ベンズイミダゾール環、インダゾール環、ベンズチアゾール環なども適用できる。
これらの中で好ましいのはアザインデン環であり、かつ置換基としてヒドロキシル基を有するアザインデン化合物、例えば、ヒドロキシトリアザインデン、テトラヒドロキシアザインデン、ヒドロキシペンタアザインデン化合物等が更に好ましい。
複素環にはヒドロキシル基以外の置換基を有してもよい。置換基としては、例えば、アルキル基、置換アルキル基、アルキルチオ基、アミノ基、ヒドロキシアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、シアノ基などを有してもよい。
これ含複素環化合物の添加量は、ハロゲン化銀粒子の大きさや組成その他の条件等に応じて広い範囲に亘って変化するが、おおよその量はハロゲン化銀1モル当たりの量で10-6〜1モルの範囲であり、好ましくは10-4〜10-1モルの範囲である。
本発明に係る感光性ハロゲン化銀には、金イオンなどの貴金属イオンを放出する化合物を利用して貴金属増感を施すことができる。例えば、金増感剤として、塩化金酸塩や有機金化合物が利用できる。なお、特開平11−194447号に開示されている金増感技術が参考となる。
又、上記の増感法の他、還元増感法等も用いることができ、還元増感の貝体的な化合物として、例えば、アスコルビン酸、2酸化チオ尿素、塩化第1スズ、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることができる。また、乳剤のpHを7以上またはpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することができる。
本発明において、化学増感を施されるハロゲン化銀粒子は、脂肪族カルボン酸銀塩の存在下で形成されたのでも、当該有機銀塩の存在しない条件下で形成されたものでも、また、両者が混合されたものでもよい。
本発明においては、感光性ハロゲン化銀粒子の表面に化学増感を施した場合においては、熱現像過程経過後に該化学増感の効果が実質的に消失することが必要である。ここで、化学増感の効果が実質的に消失するとは、前記の化学増感技術によって得た当該イメージング材料の感度が熱現像過程経過後に化学増感を施していない場合の感度の1.1以下に減少することを言う。なお、化学増感効果を熱現像過程において消失させるためには、熱現像時に、化学増感中心(化学増感核)を酸化反応によって破壊できる酸化剤、例えば、前記のハロゲンラジカル放出性化合物等の適当量を当該イメージング材料の乳剤層又は/及び非感光性層に含有含有させておくことが必要である。当該酸化剤の含有量については、酸化剤の酸化力、化学増感効果の減少幅等を考慮して調整することが好ましい。
〔分光増感〕
本発明における感光性ハロゲン化銀には、分光増感色素を吸着させ分光増感を施すことが好ましい。分光増感色素としてシアニン色素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を用いることができる。例えば、特開昭63−159841号、同60−140335号、同63−231437号、同63−259651号、同63−304242号、同63−15245号、米国特許第4,639,414号、同第4,740,455号、同第4,741,966号、同第4,751,175号、同第4,835,096号に記載された増感色素が使用できる。
本発明に使用される有用な増感色素は、例えば、リサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)17643IV−A項(1978年12月p.23)、RD18431X項(1978年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に、各種レーザイメージャーやスキャナーの光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を用いるのが好ましい。例えば、特開平9−34078号、同9−54409号、同9−80679号に記載の化合物が好ましく用いられる。
有用なシアニン色素は、例えば、チアゾリン核、オキサゾリン核、ピロリン核、ピリジン核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核及びイミダゾール核などの塩基性核を有するシアニン色素である。有用なメロシアニン染料で好ましいものは、上記の塩基性核に加えて、チオヒダントイン核、ローダニン核、オキサゾリジンジオン核、チアゾリンジオン核、バルビツール酸核、チアゾリノン核、マロノニトリル核及びピラゾロン核などの酸性核も含む。
本発明においては、特に赤外に分光感度を有する増感色素を用いることもできる。好ましく用いられる赤外分光増感色素としては、例えば米国特許第4,536,473号、同第4,515,888号、同第4,959,294号等に開示されている赤外分光増感色素が挙げられる。
本発明に係る銀塩光熱写真ドライイメージング材料においては、特願2003−102726号明細書に記載されているような下記一般式(SD−1)で表される増感色素及び下記一般式(SD−2)で表される増感色素のうちから少なくとも1種を選び含有することが好ましい。
Figure 2005208287
式中、Y1及びY2は、各々、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、または−CH=CH−基を表し、L1〜L9は各々、メチン基を表す。R1、R2は各々、脂肪族基を表す。R3、R4、R23及びR24は各々、低級アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を表す。W1、W2、W3、W4は各々、水素原子、置換基、或いはW1とW2、W3とW4の間で結合して縮合環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。或いはR3とW1、R3とW2、R23とW1、R23とW2、R4とW3、R4とW4、R24とW3、R24とW4の間で結合して5員、6員の縮合環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。X1は分子内の電荷を相殺するに必要なイオンを表し、k1は分子内の電荷を相殺するに必要なイオンの数を表す。m1は0又は1を表す。n1及びn2は各々、0、1又は2を表す。但し、n1とn2は同時に0とはならない。
上記の赤外増感色素は、例えば、エフ・エム・ハーマー著、The Chemistry of Heterocyclic Compounds第18巻、The Cyanine Dyes and Related Compounds(A.Weissberger ed.Interscience社刊、New York 1964年)に記載の方法によって容易に合成することができる。
これらの赤外増感色素の添加時期は、ハロゲン化銀調製後の任意の時期でよく、例えば、溶剤に添加して、或いは微粒子状に分散した、いわゆる固体分散状態でハロゲン化銀粒子或いはハロゲン化銀粒子/脂肪族カルボン酸銀塩粒子を含有する感光性乳剤に添加できる。又、前記のハロゲン化銀粒子に対し吸着性を有するヘテロ原子含有化合物と同様に、化学増感に先立ってハロゲン化銀粒子に添加し吸着させた後、化学増感を施すこともでき、これにより化学増感中心核の分散化を防ぐことができ高感度、低カブリを達成できる。
本発明において、上記の分光増感色素は1種類を単独に用いてもよいが、上述のように、分光増感色素の複数の種類の組合せを用いることが好ましく、そのような増感色素の組合せは、特に強色増感及び感光波長領域の拡大や調整等の目的でしばしば用いられる。
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に用いられる感光性ハロゲン化銀、脂肪族カルボン酸銀塩を含有する乳剤は、増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感効果を発現する物質を乳剤中に含ませ、これによりハロゲン化銀粒子が強色増感されていてもよい。
有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せ及び強色増感を示す物質は、RD17643(1978年12月発行)第23頁IVのJ項、あるいは特公平9−25500号、同43−4933号、特開昭59−19032号、同59−192242号、特開平5−341432号等に記載されているが、強色増感剤としては、下記で表される複素芳香族メルカプト化合物が又はメルカプト誘導体化合物が好ましい。
Ar−SM
式中、Mは水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以上の窒素、硫黄、酸素、セレニウム、またはテルリウム原子を有する芳香環または縮合芳香環である。好ましくは、複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、ベンズチアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、ベンズセレナゾール、ベンズテルラゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キノリン、またはキナゾリンである。しかしながら、他の複素芳香環も含まれる。
なお、脂肪族カルボン酸銀塩又はハロゲン化銀粒子乳剤の分散物中に含有させたときに実質的に上記のメルカプト化合物を生成するメルカプト誘導体化合物も含まれる。特に下記で表されるメルカプト誘導体化合物が、好ましい例として挙げられる。
Ar−S−S−Ar
式中のArは上記で表されたメルカプト化合物の場合と同義である。
上記の複素芳香環は、例えば、ハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、ヨウ素)、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、アルキル基(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するもの)及びアルコキシ基(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するもの)からなる群から選ばれる置換基を有しうる。
上記の強色増感剤の他に、特開2001−330918号明細書に開示されているヘテロ原子を有する大環状化合物も強色増感剤として使用できる。
本発明に係る強色増感剤は、有機銀塩及びハロゲン化銀粒子を含む感光性層中に銀1モル当たり0.001〜1.0モルで用いるのが好ましい。特に好ましくは、銀1モル当たり0.01〜0.5モルの量が好ましい。
本発明においては、感光性ハロゲン化銀粒子の表面に分光増感色素を吸着せしめ分光増感が施されており、かつ熱現像過程経過後に該分光増感効果が実質的に消失することが必要である。ここで、分光増感効果が実質的に消失するとは、増感色素、強色増感剤等によって得た当該イメージング材料の感度が熱現像過程経過後に分光増感を施していない場合の感度の1.1倍以下に減少することを言う。
なお、化学増感効果を熱現像過程において消失させるためには、熱現像時に、熱によってハロゲン化銀粒子より脱離しやすい分光増感色素を使用する又は/および分光増感色素を酸化反応によって破壊できる酸化剤、例えば、前記のハロゲンラジカル放出性化合物等の適当量を当該イメージング材料の乳剤層又は/及び非感光性層に含有含有させておくことが必要である。当該酸化剤の含有量については、酸化剤の酸化力、分光増感効果の減少幅等を考慮して調整することが好ましい。
〔省銀化剤〕
本発明では、感光性層又は非感光性層が、省銀化剤を含有することができる。
本発明において使用される省銀化剤とは、一定の銀画像濃度を得るために必要な銀量を低減化し得る化合物をいう。この低減化する機能の作用機構は種々考えられるが、現像銀の被覆力を向上させる機能を有する化合物が好ましい。ここで、現像銀の被覆力とは、銀の単位量当たりの光学濃度をいう。この省銀化剤は感光性層又は非感光性層、更にはそのいずれにも存在せしめることができる。
省銀化剤としては、下記一般式(H)で表されるヒドラジン誘導体、下記一般式(G)で表せるビニル化合物、下記一般式(P)で表される4級オニウム化合物等が好ましい例として挙げられる。
Figure 2005208287
一般式〔H〕において、式中、A0はそれぞれ置換基を有してもよい脂肪族基、芳香族基、複素環基又は−G0−D0基を、B0はブロッキング基を表し、A1、A2はともに水素原子、又は一方が水素原子で他方はアシル基、スルホニル基又はオキザリル基を表す。ここで、G0は−CO−基、−COCO−基、−CS−基、−C(=NG11)−基、−SO−基、−SO2−基又は−P(O)(G11)−基を表し、G1は単なる結合手、−O−基、−S−基又は−N(D1)−基を表し、D1は脂肪族基、芳香族基、複素環基又は水素原子を表し、分子内に複数のD1が存在する場合、それらは同じであっても異なってもよい。D0は水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基を表す。好ましいD0としては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基等が挙げられる。
一般式〔H〕において、A0で表される脂肪族基は、好ましくは炭素数1〜30のものであり、特に炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、t−ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基が挙げられ、これらは更に適当な置換基(例えば、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホキシ基、スルホンアミド基、スルファモイル基、アシルアミノ基、ウレイド基等)で置換されていてもよい。
一般式〔H〕において、A0で表される芳香族基は、単環又は縮合環のアリール基が好ましく、例えばベンゼン環又はナフタレン環が挙げられ、A0で表される複素環基としては、単環又は縮合環で窒素、硫黄、酸素原子から選ばれる少なくとも一つのヘテロ原子を含む複素環が好ましく、例えばピロリジン環、イミダゾール環、テトラヒドロフラン環、モルホリン環、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チオフェン環、フラン環が挙げられる。A0の芳香族基、複素環基及び−G0−D0基は置換基を有していてもよい。A0として、特に好ましいものはアリール基及び−G0−D0基である。
又、一般式〔H〕において、A0は耐拡散基又はハロゲン化銀吸着基を、少なくとも一つ含むことが好ましい。耐拡散基としては、カプラー等の不動性写真用添加剤にて常用されるバラスト基が好ましく、バラスト基としては、写真的に不活性であるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、アルキルフェノキシ基等が挙げられ、置換基部分の炭素数の合計は8以上であることが好ましい。
一般式〔H〕において、ハロゲン化銀吸着促進基としては、チオ尿素、チオウレタン基、メルカプト基、チオエーテル基、チオン基、複素環基、チオアミド複素環基、メルカプト複素環基或いは特開昭64−90439号に記載の吸着基等が挙げられる。
一般式〔H〕において、B0はブロッキング基を表し、好ましくは−G0−D0基であり、G0は−CO−基、−COCO−基、−CS−基、−C(=NG11)−基、−SO−基、−SO2−基又は−P(O)(G11)−基を表す。好ましいG0としては−CO−基、−COCO−基が挙げられ、G1は単なる結合手、−O−基、−S−基又は−N(D1)−基を表し、D1は脂肪族基、芳香族基、複素環基又は水素原子を表し、分子内に複数のD1が存在する場合、それらは同じであっても異なってもよい。D0は水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基を表し、好ましいD0としては水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基等が挙げられる。A1、A2はともに水素原子、又は一方が水素原子で他方はアシル基(アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基等)、スルホニル基(メタンスルホニル基、トルエンスルホニル基等)、又はオキザリル基(エトキザリル基等)を表す。
これら一般式〔H〕で表される化合物は、公知の方法により容易に合成することができる。例えば、米国特許第5,464,738号、同第5,496,695号を参考にして合成することができる。
その他に好ましく用いることのできるヒドラジン誘導体は、米国特許第5,545,505号カラム11〜20に記載の化合物H−1〜H−29、米国特許第5,464,738号カラム9〜11に記載の化合物1〜12である。これらのヒドラジン誘導体は公知の方法で合成することができる。
一般式(G)において、XとRはシスの形で表示してあるが、XとRがトランスの形も一般式(G)に含まれる。この事は具体的化合物の構造表示においても同様である。
一般式(G)において、Xは電子吸引性基を表し、Wは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アシル基、チオアシル基、オキサリル基、オキシオキサリル基、チオオキサリル基、オキサモイル基、オキシカルボニル基、チオカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシスルフィニル基、チオスルフィニル基、スルファモイル基、オキシスルフィニル基、チオスルフィニル基、スルフィナモイル基、ホスホリル基、ニトロ基、イミノ基、N−カルボニルイミノ基、N−スルホニルイミノ基、ジシアノエチレン基、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ピリリウム基、インモニウム基を表す。
Rはハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アミノカルボニルオキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルケニルチオ基、アシルチオ基、アルコキシカルボニルチオ基、アミノカルボニルチオ基、ヒドロキシル基又はメルカプト基の有機又は無機の塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、銀塩等)、アミノ基、アルキルアミノ基、環状アミノ基(例えば、ピロリジノ基)、アシルアミノ基、オキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環基(5〜6員の含窒素ヘテロ環、例えばベンツトリアゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基等)、ウレイド基、スルホンアミド基を表す。XとW、XとRは、それぞれ互いに結合して環状構造を形成してもよい。XとWが形成する環としては、例えばピラゾロン、ピラゾリジノン、シクロペンタンジオン、β−ケトラクトン、β−ケトラクタム等が挙げられる。
一般式(G)について更に説明すると、Xの表す電子吸引性基とは、置換基定数σpが正の値をとりうる置換基のことである。具体的には、置換アルキル基(ハロゲン置換アルキル等)、置換アルケニル基(シアノビニル等)、置換・未置換のアルキニル基(トリフルオロメチルアセチレニル、シアノアセチレニル等)、置換アリール基(シアノフェニル等)、置換・未置換のヘテロ環基(ピリジル、トリアジニル、ベンゾオキサゾリル等)、ハロゲン原子、シアノ基、アシル基(アセチル、トリフルオロアセチル、ホルミル等)、チオアセチル基(チオアセチル、チオホルミル等)、オキサリル基(メチルオキサリル等)、オキシオキサリル基(エトキサリル等)、チオオキサリル基(エチルチオオキサリル等)、オキサモイル基(メチルオキサモイル等)、オキシカルボニル基(エトキシカルボニル等)、カルボキシル基、チオカルボニル基(エチルチオカルボニル等)、カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシスルホニル基(エトキシスルホニル等)、チオスルホニル基(エチルチオスルホニル等)、スルファモイル基、オキシスルフィニル基(メトキシスルフィニル等)、チオスルフィニル基(メチルチオスルフィニル等)、スルフィナモイル基、ホスホリル基、ニトロ基、イミノ基、N−カルボニルイミノ基(N−アセチルイミノ等)、N−スルホニルイミノ基(N−メタンスルホニルイミノ等)、ジシアノエチレン基、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ピリリウム基、インモニウム基が挙げられるが、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、インモニウム基等が環を形成したヘテロ環状のものも含まれる。σp値として0.30以上の置換基が特に好ましい。
Wとして表されるアルキル基としては、メチル、エチル、トリフルオロメチル等が、アルケニル基としてはビニル、ハロゲン置換ビニル、シアノビニル等が、アルキニル基としてはアセチレニル、シアノアセチレニル等が、アリール基としてはニトロフェニル、シアノフェニル、ペンタフルオロフェニル等が、ヘテロ環基としてはピリジル、ピリミジル、トリアジニル、スクシンイミド、テトラゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、ベンゾオキサゾリル等が挙げられる。Wとしてはσp値が正の電子吸引性基が好ましく、更にはその値が0.30以上のものが好ましい。
上記Rの置換基の内、好ましくはヒドロキシル基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基又はメルカプト基の有機又は無機の塩、ヘテロ環基が挙げられ、更に好ましくはヒドロキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基又はメルカプト基の有機又は無機の塩、ヘテロ環基が挙げられ、特に好ましくはヒドロキシル基、ヒドロキシル基又はメルカプト基の有機又は無機の塩が挙げられる。
また上記X及びWの置換基の内、置換基中にチオエーテル結合を有するものが好ましい。
一般式(P)において、Q3は窒素原子又は燐原子を表し、R1、R2、R3及びR4は、各々水素原子又は置換基を表し、X-はアニオンを表す。尚、R1〜R4は互いに連結して環を形成してもよい。
1〜R4で表される置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、アリル基、ブテニル基等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基、ブチニル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、複素環基(例えば、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、ピリジル基、フリル基、チエニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロチエニル基、スルホラニル基等)、アミノ基等が挙げられる。
1〜R4が互いに連結して形成しうる環としては、例えば、ピペリジン環、モルホリン環、ピペラジン環、キヌクリジン環、ピリジン環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環等が挙げられる。
1〜R4で表される基は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アリール基等の置換基を有してもよい。R1〜R4としては、水素原子及びアルキル基が好ましい。
-が表すアニオンとしては、例えば、ハロゲンイオン、硫酸イオン、硝酸イオン、酢酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン等の無機及び有機のアニオンが挙げられる。
上記4級オニウム化合物は公知の方法に従って容易に合成でき、例えば、上記テトラゾリウム化合物は、Chemical Reviews vol.55 p.335〜483に記載の方法を参考にできる。上記省銀化剤の添加量は、脂肪族カルボン酸銀塩1モルに対し10-5〜1モル、好ましくは10-4〜5×10-1モルの範囲である。
本発明では、省銀化剤の少なくとも一種が、シラン化合物であることも好ましい。本発明において、省銀化剤として用いるシラン化合物としては、特開2003−5324号明細書に開示されているような一級または二級アミノ基を2個以上有するアルコキシシラン化合物あるいはその塩であることが好ましい。
省銀化剤として、アルコキシシラン化合物あるいはその塩、またはシフ塩基を画像形成層中に添加する場合は、銀1モルに対して通常0.00001〜0.05モルの範囲で添加するのが好ましい。また、アルコキシシラン化合物あるいはその塩と、シフ塩基の両方を画像形成層に添加する場合も同様の範疇となる。
〔バインダー〕
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に好適なバインダーは、透明又は半透明で、一般に無色であり、天然ポリマー合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば:ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。親水性でも非親水性でもよい。
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料の感光性層に好ましいバインダーはポリビニルアセタール類であり、特に好ましいバインダーはポリビニルブチラールである。詳しくは後述する。又、上塗り層や下塗り層、特に保護層やバックコート層等の非感光性層に対しては、より軟化温度の高いポリマーであるセルロースエステル類、特にトリアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート等のポリマーが好ましい。なお、必要に応じて、上記のバインダーは2種以上を組み合わせて用い得る。
このようなバインダーは、バインダーとして機能するのに効果的な範囲で用いられる。効果的な範囲は当業者が容易に決定し得る。例えば、感光性層において少なくとも脂肪族カルボン酸銀塩を保持する場合の指標としては、バインダーと脂肪族カルボン酸銀塩との割合は15:1〜1:2、特に8:1〜1:1の範囲が好ましい。即ち、感光性層のバインダー量が1.5〜6g/m2であることが好ましい。更に好ましくは1.7〜5g/m2である。1.5g/m2未満では未露光部の濃度が大幅に上昇し、使用に耐えない場合がある。
本発明では、100℃以上の温度で現像処理した後の熱転移点温度が、46℃以上、200℃以下であることが好ましく、より好ましくは、70℃以上、105℃以下である。本発明でいう熱転移点温度とは、VICAT軟化点又は環球法で示した値であり、示差走査熱量計(DSC)、例えばEXSTAR 6000(セイコー電子社製)、DSC220C(セイコー電子工業社製)、DSC−7(パーキンエルマー社製)等を用いて、熱現像済みの感光性層を単離して測定した際の吸熱ピークをさす。一般的に高分子化合物はガラス転移点Tgを有しているが、銀塩光熱写真ドライイメージング材料においては、感光性層に用いているバインダー樹脂のTg値よりも低いところに、大きな吸熱ピークが出現する。この熱転移点温度に着目し鋭意検討を行った結果、この熱転移点温度を46℃以上、200℃以下にすることにより、形成された塗膜の堅牢性が増すのみならず、感度、最大濃度、画像保存性など写真性能が大幅に向上することを新たに見出し、本発明に至った。
ガラス転移温度(Tg)は、ブランドラップらによる“重合体ハンドブック”III−139頁からIII−179頁(1966年、ワイリー アンド サン社版)に記載の方法で求めたものであり、バインダーが共重合体樹脂である場合のTgは下記の式で求められる。
Tg(共重合体)(℃)=v1Tg1+v2Tg2+・・・+vnTgn
〔式中、v1、v2・・・vnは共重合体中の単量体の質量分率を表し、Tg1、Tg2・・・Tgnは、共重合体中の各単量体から得られる単一重合体のTg(℃)を表す。〕
なお、上式に従って計算されたTgの精度は、±5℃である。
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、支持体上に脂肪族カルボン酸銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子、還元剤等を含有する感光性層に含有するバインダーとしては、従来公知の高分子化合物を用いることができる。Tgが70〜105℃、数平均分子量が1,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000、重合度が約50〜1,000程度のものである。このような例としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルエーテル等のエチレン性不飽和モノマーを構成単位として含む重合体または共重合体よりなる化合物、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂がある。
また、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂については、朝倉書店発行の「プラスチックハンドブック」に詳細に記載されている。これらの高分子化合物に、特に制限はなく、誘導される重合体のガラス転移温度(Tg)が70〜105℃の範囲にあれば、単独重合体でも共重合体でもよい。
このようなエチレン性不飽和モノマーを構成単位として含む重合体または共重合体としては、アクリル酸アルキルエステル類、アクリル酸アリールエステル類、メタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸アリールエステル類、シアノアクリル酸アルキルエステル類、シアノアクリル酸アリールエステル類などを挙げることができ、それらのアルキル基、アリール基は置換されていてもされていなくてもよく、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ベンジル、クロロベンジル、オクチル、ステアリル、スルホプロピル、N−エチル−フェニルアミノエチル、2−(3−フェニルプロピルオキシ)エチル、ジメチルアミノフェノキシエチル、フルフリル、テトラヒドロフルフリル、フェニル、クレジル、ナフチル、2−ヒドロキシエチル、4−ヒドロキシブチル、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メトキシエチル、3−メトキシブチル、2−アセトキシエチル、2−アセトアセトキシエチル、2−エトキシエチル、2−iso−プロポキシエチル、2−ブトキシエチル、2−(2−メトキシエトキシ)エチル、2−(2−エトキシエトキシ)エチル、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、2−ジフェニルホスホリルエチル、ω−メトキシポリエチレングリコール(付加モル数n=6)、アリル、ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩などを挙げることができる。
その他、下記のモノマー等が使用できる。ビニルエステル類:その具体例としては、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニルなど;N−置換アクリルアミド類、N−置換メタクリルアミド類及びアクリルアミド、メタクリルアミド:N−置換基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、tert−ブチル、シクロヘキシル、ベンジル、ヒドロキシメチル、メトキシエチル、ジメチルアミノエチル、フェニル、ジメチル、ジエチル、β−シアノエチル、N−(2−アセトアセトキシエチル)、ジアセトンなど;オレフィン類:例えば、ジシクロペンタジエン、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等;スチレン類:例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、tert−ブチルスチレン、クロルメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ビニル安息香酸メチルエステルなど;ビニルエーテル類:例えば、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテルなど;N−置換マレイミド類:N−置換基として、メチル、エチル、プロピル、ブチル、tert−ブチル、シクロヘキシル、ベンジル、n−ドデシル、フェニル、2−メチルフェニル、2,6−ジエチルフェニル、2−クロルフェニルなどを有するものなど;その他として、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジブチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジブチル、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、メチレンマロンニトリル、塩化ビニリデンなどを挙げることができる。
これらのうち、特に好ましい例としては、メタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸アリールエステル類、スチレン類等が挙げられる。このような高分子化合物のなかでも、アセタール基を持つ高分子化合物を用いることが好ましい。アセタール基を持つ高分子化合物では、生成する脂肪族カルボン酸との相溶性に優れるため膜の柔軟化を防ぐ効果が大きく好ましい。
アセタール基を持つ高分子化合物としては、下記一般式(V)で表される化合物が、特に好ましい。
Figure 2005208287
〔式中、R1はアルキル基、置換アルキル基、アリール基または置換アリール基を表すが好ましくはアリール基以外の基である。R2は無置換アルキル基、置換アルキル基、無置換アリール基、置換アリール基、−COR3または−CONHR3を表す。R3はR1と同義である。〕
1、R2、R3で表される無置換アルキル基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、特に好ましくは炭素数1〜6である。これらは直鎖であっても分岐していてもよく、好ましくは直鎖のアルキル基が好ましい。このような無置換アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、t−アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプシル基、n−オクチル基、t−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基等が挙げられるが、特に好ましくはメチル基もしくはプロピル基である。
無置換アリール基としては、炭素数6〜20のものが好ましく、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。上記のアルキル基、アリール基に置換可能な基としては、アルキル基(例えば、メチル基、n−プロピル基、t−アミル基、t−オクチル基、n−ノニル基、ドデシル基等)、アリール基(例えば、フェニル基等)、ニトロ基、水酸基、シアノ基、スルホ基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基等)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基等)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基等)、スルファモイル基(例えば、メチルスルファモイル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、カルボキシ基、カルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシルボニル基等)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル基等)などが挙げられる。この置換基が2つ以上あるときは、同じでも異なっていてもよい。置換アルキル基の総炭素数は、1〜20が好ましく、置換アリール基の総炭素数は6〜20が好ましい。
2としては、−COR3(R3はアルキル基またはアリール基)、−CONHR3(R3はアリール基)が好ましい。a、b、cは各繰り返し単位の質量をモル(モル)%で示した値であり、aは40〜86モル%、bは0〜30モル%、cは0〜60モル%の範囲で、a+b+c=100モル%となる数を表し、特に好ましくは、aが50〜86モル%、bが5〜25モル%、cが0〜40モル%の範囲である。a、b、cの各組成比をもつ各繰り返し単位は、それぞれ同一のもののみで構成されていても、異なるもので構成されていてもよい。
本発明で用いることのできるポリウレタン樹脂としては、構造がポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、ポリカプロラクトンポリウレタンなど公知のものが使用できる。ここに示したすべてのポリウレタンについて、必要に応じ、−COOM、−SO3M、−OSO3M、−P=O(OM)2、−O−P=O(OM)2、(Mは水素原子、またはアルカリ金属塩基を表す)、−N(R42、−N+(R43(R4は炭化水素基を表し、複数のR4は同じでも異なっていてもよい)、エポキシ基、−SH、−CNなどから選ばれる少なくともひとつ以上の極性基を共重合または付加反応で導入したものを用いることが好ましい。このような極性基の量は10-1〜10-8モル/gであり、好ましくは10-2〜10-6モル/gである。これら極性基以外に、ポリウレタン分子末端に少なくとも1個ずつ、合計2個以上のOH基を有することが好ましい。OH基は硬化剤であるポリイソシアネートと架橋して3次元の網状構造を形成するので、分子中に多数含むほど好ましい。特に、OH基が分子末端にある方が、硬化剤との反応性が高いので好ましい。ポリウレタンは、分子末端にOH基を3個以上有することが好ましく、4個以上有することが特に好ましい。ポリウレタンを用いる場合は、ガラス転移温度が70〜105℃、破断伸びが100〜2000%、破断応力は0.5〜100N/mm2が好ましい。
本発明において、上記一般式(V)で表される高分子化合物は、「酢酸ビニル樹脂」桜田一郎編(高分子化学刊行会、1962年)等に記載の一般的な合成方法で合成することができる。
以下に、代表的な合成方法の例を挙げるが、本発明はこれらの代表的な合成例に限定されるものではない。
合成例1:P−1の合成
日本合成(株)製のポリビニルアルコール(ゴーセノールGH18)20gと純水180gを仕込み、ポリビニルアルコールが10質量%溶液になるように純水に分散した後、これを95℃に昇温してポリビニルアルコールを溶解した後、75℃まで冷却して、ポリビニルアルコール水溶液を用意し、更にこのポリビニルアルコール水溶液に、酸触媒として10質量%の塩酸を1.6g添加し、これを滴下液Aとした。ついで、ブチルアルデヒド、アセトアルデヒドのモル比4:6の混合物11.5gを計量し、これを滴下液Bとした。冷却管と撹拌装置を取り付けた1000mlの4ツ口フラスコに100mlの純水を入れ、85℃に加温し強撹拌した。これに滴下液Aと滴下液Bを75℃に保温した滴下ロートを用いて、撹拌下で2時間を要して同時滴下した。この際、撹拌速度に注意をして、析出する粒子の融着を防止しながら反応を行った。滴下終了後、酸触媒として10質量%の塩酸を7g追加し、温度85℃で2時間撹拌を行い、十分に反応を行った。その後、40℃まで冷却し、重曹を用いて中和し、水洗を5回繰り返した後、濾別してポリマーを取り出し乾燥し、P−1を得た。得られたP−1を、DSCを用いてTgを測定したところ、Tgは83℃であった。
表1に記載のその他の高分子化合物(ポリマー)も同様に合成した。
これらの高分子化合物をバインダーとして単独で用いてもよいし、2種類以上をブレンドして用いてもよい。本発明の感光性銀塩含有層(好ましくは感光性層)には上記ポリマーを主バインダーとして用いる。ここで言う主バインダーとは「感光性銀塩含有層の全バインダーの50質量%以上を上記ポリマーが占めている状態」をいう。従って、全バインダーの50質量%未満の範囲で他のポリマーをブレンドして用いてもよい。これらのポリマーとしては、本発明のポリマーが可溶となる溶媒であれば、特に制限はない。より好ましくはポリ酢酸ビニル、ポリアクリル樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。
以下に、本発明に好ましく用いられる高分子化合物の構成を示す。なお、表中のTgは、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量計(DSC)により測定した値である。
Figure 2005208287
なお、表1中、P−9はソルーシア社製ポリビニルブチラール樹脂B−79である。
本発明においては、上記バインダーに対し架橋剤を用いることにより膜付きがよくなり、現像ムラが少なくなることは知られているが、保存時のカブリ抑制や、現像後のプリントアウト銀の生成を抑制する効果もある。
本発明で用いられる架橋剤としては、従来ハロゲン化銀写真感光材料用として使用されている種々の架橋剤、例えば、特開昭50−96216号に記載されているアルデヒド系、エポキシ系、エチレンイミン系、ビニルスルホン系、スルホン酸エステル系、アクリロイル系、カルボジイミド系、シラン化合物系架橋剤を用いうるが、好ましいのは以下に示すイソシアネート系化合物、シラン化合物、エポキシ化合物又は酸無水物である。
好適なものの一つである下記一般式〔IC〕で表わされるイソシアネート系及びチオイソシアネート系架橋剤について説明する。
一般式〔IC〕 X=C=N−L−(N=C=X)v
式中、vは1または2であり、Lはアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアルキルアリール基で、v+1価の連結基であり、Xは酸素または硫黄原子である。
なお、上記一般式〔IC〕で表せる化合物において、アリール基のアリール環は置換基を有し得る。好ましい置換基の例は、ハロゲン原子(例えば、臭素原子または塩素原子)、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、アルキル基及びアルコキシ基から選択される。
上記イソシアネート系架橋剤は、イソシアネート基を少なくとも2個有しているイソシアネート類及びその付加体(アダクト体)であり、更に、具体的には、脂肪族ジイソシアネート類、環状基を有する脂肪族ジイソシアネート類、ベンゼンジイソシアネート類、ナフタレンジイソシアネート類、ビフェニルイソシアネート類、ジフェニルメタンジイソシアネート類、トリフェニルメタンジイソシアネート類、トリイソシアネート類、テトライソシアネート類、これらのイソシアネート類の付加体及びこれらのイソシアネート類と2価又は3価のポリアルコール類との付加体が挙げられる。
具体例としては、特開昭56−5535号の10頁〜12頁に記載されているイソシアネート化合物を利用することができる。
なお、イソシアネートとポリアルコールのアダクト体は、特に層間接着を良くし、層の剥離や画像のズレ及び気泡の発生を防止する能力が高い。かかるイソシアネートは銀塩光熱写真ドライイメージング材料のどの部分に置かれてもよい。例えば支持体中(特に支持体が紙の場合、そのサイズ組成中に含ませることができる)、感光性層、表面保護層、中間層、アンチハレーション層、下引き層等の支持体の感光性層側の任意の層に添加でき、これらの層の中の1層又は2層以上に添加することができる。
又、本発明において使用することが可能なチオイソシアネート系架橋剤としては、上記のイソシアネート類に対応するチオイソシアネート構造を有する化合物も有用である。
本発明において使用される上記架橋剤の量は、銀1モルに対して0.001〜2モル、好ましくは0.005から0.5モルの範囲である。
本発明において含有させることが出来るイソシアネート化合物及びチオイソシアネート化合物は、上記の架橋剤として機能する化合物であることが好ましいが、上記の一般式においてvが零(0)、即ち当該官能基を一つのみ有する化合物であっても良い結果が得られる。
本発明において架橋剤として使用できるシラン化合物の例としては、特開2002−22203号に記載されている一般式(1)又は一般式(2)で表せる化合物が挙げられる。
これらの一般式において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8はそれぞれ置換されてもよい直鎖、分枝又は環状の炭素数1〜30のアルキル基(メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、シクロアルキル基等)、アルケニル基(プロペニル基、ブテニル基、ノネニル基等)、アルキニル基(アセチレン基、ビスアセチレン基、フェニルアセチレン基等)、アリール基又はヘテロ環基(フェニル基、ナフチル基、テトラヒドロピラン基、ピリジル基、フリル基、チオフェニル基、イミダゾール基、チアゾール基、チアジアゾール基、オキサジアゾール基等)を表し、置換基としては電子吸引性の置換基又は電子供与性の置換基いずれをも有することができる。
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8から選ばれる置換基の少なくとも1つが耐拡散性基又は吸着性基であることが好ましく、特にR2が耐拡散性基又は吸着性基であることが好ましい。
なお、耐拡散性基は、バラスト基とも呼ばれ炭素数が6以上の脂肪族基や炭素数が3以上のアルキル基が導入されているアリール基等が好ましい。耐拡散性は、バインダーや架橋剤の使用量によって異なるが、耐拡散性の基を導入することにより、室温状態の分子内の移動距離が抑制され経時での反応を抑制できる。
架橋剤として用いることができるエポキシ化合物としては、エポキシ基を1個以上有するものであればよく、エポキシ基の数、分子量、その他に制限はない。エポキシ基はエーテル結合やイミノ結合を介してグリシジル基として分子内に含有されることが好ましい。またエポキシ化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマー等のいずれであってもよく、分子内に存在するエポキシ基の数は通常1〜10個程度、好ましくは2〜4個である。エポキシ化合物がポリマーである場合は、ホモポリマー、コポリマーのいずれであってもよく、その数平均分子量Mnの特に好ましい範囲は2000〜20000程度である。
エポキシ化合物としては、下記一般式(EP)で表される化合物が好ましい。
Figure 2005208287
一般式(EP)において、Rで表されるアルキレン基の置換基は、ハロゲン原子、水酸基、ヒドロキシアルキル基又はアミノ基から選ばれる基であることが好ましい。またRで表される連結基中にアミド連結部分、エーテル連結部分、チオエーテル連結部分を有していることが好ましい。Xで表される2価の連結基としては−SO2−、−SO2NH−、−S−、−O−、又は−NR1−が好ましい。ここでR1は1価の基であり、電子吸引基であることが好ましい。
これらのエポキシ化合物は、1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。その添加量は特に制限はないが、1×10-6〜1×10-2モル/m2の範囲が好ましく、より好ましくは1×10-5〜1×10-3モル/m2の範囲である。
エポキシ化合物は、感光性層、表面保護層、中間層、アンチハレーション層、下引き層等の支持体の感光性層側の任意の層に添加でき、これらの層の中の1層又は2層以上に添加することができる。又、併せて支持体の感光性層と反対側の任意の層に添加することができる。尚、両面に感光性層が存在するタイプの感材ではいずれの層であってもよい。
酸無水物は下記の構造式で示される酸無水物基を少なくとも1個有する化合物である。
−CO−O−CO−
酸無水物はこのような酸無水基を1個以上有するものであればよく、酸無水基の数、分子量、その他に制限はないが、下記一般式(SA)で表される化合物が好ましい。
Figure 2005208287
一般式(SA)において、Zは単環又は多環系を形成するのに必要な原子群を表す。これらの環系は未置換であってもよく、置換されていてもよい。置換基の例には、アルキル基(例えば、メチル、エチル、ヘキシル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、オクチルオキシ)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル、トリル)、ヒドロキシル基、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、ブチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ)、アシル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル、フェニルスルホニル)、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ、ベンゾキシ)、カルボキシル基、シアノ基、スルホ基、及びアミノ基が含まれる。置換基としては、ハロゲン原子を含まないものが好ましい。
これらの酸無水物は、1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。その添加量は特に制限はないが、1×10-6〜1×10-2モル/m2の範囲が好ましく、より好ましくは1×10-5〜1×10-3モル/m2の範囲である。
本発明において酸無水物は、感光性層、表面保護層、中間層、アンチハレーション層、下引き層等の支持体の感光性層側の任意の層に添加でき、これらの層の中の1層又は2層以上に添加することができる。又、前記エポキシ化合物と同じ層に添加すしてもよい。
〔色調調整〕
次に当該イメージング材料を熱現像処理して得られる画像の色調について説明する。
従来のレントゲン写真フィルムのような医療診断用の出力画像の色調に関しては、冷調の画像調子の方が、判読者にとって、より的確な記録画像の診断観察結果が得やすいと言われている。ここで冷調な画像調子とは、純黒調もしくは黒画像が青味を帯びた青黒調であり、温調な画像調子とは、黒画像が褐色味を帯びた温黒調であると言われているが、より厳密な定量的な議論が出来るように、以下においては、国際照明委員会(CIE)の推奨する表現法に基づき説明する。
色調に関しての用語「より冷調」及び「より温調」は、最低濃度Dmin及び光学濃度D=1.0における色相角habにより表現できる。すなわち、色相角habは国際照明委員会(CIE)が1976年に推奨した知覚的にほぼ均等な歩度を持つ色空間であるL***色空間の色座標a*、b*を用いて次の式によって求める。
hab=tan-1(b*/a*
上記色相角に基づく表現法により検討した結果、本発明に係る銀塩光熱写真イメージング材料の現像後の色調は、色相角habの範囲が180度<hab<270度であることが好ましい、更に好ましくは200度<hab<270度、最も好ましくは220度<hab<260度であることが分かった。このことは、特開2002−6463号に開示されている。
なお、従来、光学濃度1.0付近でのCIE 1976(L***)色空間または(L***)色空間におけるu*、v*またはa*、b*を特定の数値に調整することにより見た目の色調が好ましい診断画像が得られることが知られており、例えば、特開2000−29164号明細書に記載されている。
しかしながら、本発明に係る銀塩光熱写真イメージング材料について、更なる、鋭意検討の結果、CIE 1976(L***)色空間または(L***)色空間において横軸をu*またはa*、縦軸をv*またはb*としたグラフ上に、様々な写真濃度でのu*、v*またはa*、b*をプロットし線形回帰直線を作成した際に、その線形回帰直線を特定の範囲に調整することにより従来の湿式の銀塩感光材料同等以上の診断性を持つことを見いだした。以下において、好ましい条件範囲について述べる。
1) 光熱写真イメージング材料を熱現像処理後に得られた銀画像の光学濃度0.5、1.0、1.5および最低光学濃度の各濃度を測定し、CIE 1976(L***)色空間の横軸をu*、縦軸をv*とする二次元座標に、上記各光学濃度でのu*、v*を配置し作成した線形回帰直線の決定係数(重決定)R2が0.998以上1.000以下であることが好ましい。
さらに、当該線形回帰直線の縦軸との交点のv*値が−5以上5以下であること、かつ傾き(v*/u*)が0.7以上2.5以下であることが好ましい。
2) また、当該イメージング材料の光学濃度0.5、1.0、1.5および最低光学濃度の各濃度を測定し、CIE 1976(L***)色空間の横軸をa*、縦軸をb*とする二次元座標に、上記各光学濃度でのa*、b*を配置し作成した線形回帰直線の決定係数(重決定)R2が0.998以上1.000以下であることが好ましい。
さらに、当該線形回帰直線の縦軸との交点のb*値が−5以上5以下であること、かつ傾き(b*/a*)が0.7以上2.5以下であることが好ましい。
なお、次に、上述の線形回帰直線の作成法、則ち、CIE 1976色空間におけるu*、v*およびa*、b*の測定法の一例を説明する。
熱現像装置を用いて未露光部、および光学濃度0.5、1.0、1.5を含む4段のウエッジ試料を作製する。このようにして作製したそれぞれのウエッジ濃度部を分光色彩計(例:CM−3600d;ミノルタ株式会社製)で測定しu*、v*またはa*、b*を算出する。その際の測定条件は光源としてF7光源、視野角を10°として透過測定モードで測定を行う。横軸をu*またはa*、縦軸をv*またはb*としたグラフ上に測定したu*、v*またはa*、b*をプロットし線形回帰直線を求め決定係数(重決定)R2、切片および傾きを求める。
次に、上記のような特徴をもつ線形回帰直線を得るための具体的な方法について説明する。
本発明においては、上記の調色剤、現像剤、ハロゲン化銀粒子及び脂肪族カルボン酸銀等の現像反応過程において直接的及び間接的に関与する化合物等の添加量の調整により現像銀形状を最適化し好ましい色調にすることができる。例えば、現像銀形状をデンドライト状にすると青味を帯びる方向になり、フィラメント状にすると黄色味を帯びる方向になる。即ち、このような現像銀形状の性向を考慮して調整できる。
従来、調色剤としてはフタラジノン又はフタラジンとフタル酸類、フタル酸無水物類が一般的に使用されている。好適な調色剤の例は、RD17029号、米国特許第4,123,282号、同第3,994,732号、同第3,846,136号、同第4,021,249号明細書に開示されている。
このような調色剤の他に、特開平11−288057号、EP1134611A2号等に開示されているカプラー及び、下で詳述するロイコ染料を使用して色調を調整することが好ましい。
また、本発明に係る熱現像後に内部潜像型に変換するハロゲン化銀粒子を併用することにより銀画像保存時における色調の変動を予想外に防止することができる。
〔ロイコ染料〕
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料にはロイコ染料を用いる。
ロイコ染料として好ましくは、約80〜200℃の温度で約0.5〜30秒間加熱した時に、酸化されて着色形態になる何れの無色又は僅かに着色した化合物でよく、銀イオンにより酸化して色素を形成する何れのロイコ染料を用いることもできる。pH感受性を有し、かつ着色状態に酸化できる化合物は有用である。
本発明で使用するのに適した代表的なロイコ染料は特に限定されないが、例えばビフェノールロイコ染料、フェノールロイコ染料、インドアリニリンロイコ染料、アクリル化アジンロイコ染料、フェノキサジンロイコ染料、フェノジアジンロイコ染料及びフェノチアジンロイコ染料等が挙げられる。又、有用なものは、米国特許3,445,234号、同3,846,136号、同3,994,732号、同4,021,249号、同4,021,250号、同4,022,617号、同4,123,282号、同4,368,247号、同4,461,681号、及び特開昭50−36110号、同59−206831号、特開平5−204087号、同11−231460号、特開2002−169249号、同2002−236334号等に開示されているロイコ染料である。
所定の色調に調整するために、種々の色のロイコ染料を単独使用又は複数の種類の併用をすることが好ましい。本発明においては高活性な還元剤を使用することに伴って色調が過度に黄色味をおびたり、微粒子のハロゲン化銀を用いることにより特に濃度が2.0以上の高濃度部で画像が過度に赤みをおびることを防止するために、シアン色に発色するロイコ染料を用いることが好ましいが、色調の微調整のためには更に黄色ロイコ染料、及びその他のシアン色に発色するロイコ染料を併用するのが好ましい。
発色濃度は現像銀自身による色調との関係で適切に調整することが好ましい。本発明では、ロイコ染料により形成される色素像の吸収極大波長における最大濃度の総和が通常0.01以上0.30以下、好ましくは0.02以上0.20以下、特に好ましくは0.02以上0.10以下を有するように発色させ後述する好ましい色調範囲の画像になるように色調を調整することが好ましい。
(黄色発色性ロイコ染料)
本発明において、特に黄色発色性ロイコ染料として好ましく用いられるのは、酸化されることにより360〜450nmの吸光度が増加する下記一般式(YL)で表される色像形成剤である。
Figure 2005208287
以下、一般式(YL)で表される化合物について詳細に説明する。
前記一般式(YL)において、R1で表されるアルキル基としては炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、置換基を有してもよい。具体的にはメチル、エチル、ブチル、オクチル、i−プロピル、t−ブチル、t−オクチル、t−ペンチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、1−メチル−シクロヘキシル等が好ましく、i−プロピルよりも立体的に大きな基(i−プロピル、i−ノニル、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル、シクロヘキシル、1−メチル−シクロヘキシル、アダマンチル等)であることが好ましく、その中でも2級又は3級のアルキル基が好ましく、3級アルキル基であるt−ブチル、t−オクチル、t−ペンチル等が特に好ましい。R1が有してもよい置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ホスホリル基等が挙げられる。
2は水素原子、それぞれ置換もしくは無置換のアルキル基又はアシルアミノ基を表す。R2で表されるアルキル基は炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、アシルアミノ基は炭素数1〜30のアシルアミノ基が好ましい。この内、アルキル基の説明は前記R1と同様である。
2で表されるアシルアミノ基は、無置換でも置換基を有してもよく、具体的には、アセチルアミノ基、アルコキシアセチルアミノ基、アリールオキシアセチルアミノ基等が挙げられる。R2として好ましくは、水素原子又は無置換の炭素数1〜24のアルキル基であり、具体的にはメチル、i−プロピル、t−ブチルが挙げられる。又、R1、R2は2−ヒドロキシフェニルメチル基であることはない。
3は水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基を表す。アルキル基としては炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、アルキル基の説明は前記R1と同様である。R3として好ましくは、水素原子又は無置換の炭素数1〜24のアルキル基で、具体的にはメチル、i−プロピル、t−ブチル等が挙げられる。又、R12、R13の何れか一方は水素原子であることが好ましい。
4はベンゼン環に置換可能な基を表し、例えば前記一般式(RED)における置換基R4で説明したのと同様な基である。R4として好ましいのは、置換又は無置換の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のオキシカルボニル基であり、炭素数1〜24のアルキル基がより好ましい。アルキル基の置換基としてはアリール基、アミノ基、アルコキシ基、オキシカルボニル基、アシルアミノ基、アシルオキシ基、イミド基、ウレイド基等が挙げられ、アリール基、アミノ基、オキシカルボニル基、アルコキシ基がより好ましい。これらのアルキル基の置換基は、更にこれらの置換基で置換されてもよい。
次に、一般式(YL)で表される化合物のうち、特に、本発明において好ましく用いられる化合物(ビスフェノール化合物)は下記一般式(YL′)で表される。
Figure 2005208287
式中、Zは−S−又は−C(R1)(R1′)−を表し、R1、R1′は各々、水素原子又は置換基を表す。R1、R1′の表す置換基としては、前記一般式(RED)のR1の説明で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。R1、R1′として好ましくは、水素原子又はアルキル基である。
2、R3、R2′及びR3′は、各々置換基を表すが、置換基としては一般式(RED)におけるR2、R3で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。
2、R3、R2′及びR3′として好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基であるが、アルキル基が更に好ましい。アルキル基上の置換基としては、一般式(RED)における置換基の説明で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。
2、R3、R2′及びR3′として更に好ましくは、t−ブチル、t−ペンチル、t−オクチル、1−メチル−シクロヘキシル等の3級アルキル基である。
4及びR4′は各々、水素原子又は置換基を表すが、置換基としては、一般式(RED)におけるR4の説明で挙げた置換基と同様な基が挙げられる。
一般式(YL)で表される化合物(ビスフェノール化合物)としては、例えば特開2002−169249号の段落「0032」〜「0038」記載の化合物(II−1)〜(II−40)、EP1,211,093号の段落「0026」記載の化合物(ITS−1)〜(ITS−12)を挙げることができる。
以下に、一般式(YL)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2005208287
Figure 2005208287
一般式(YL)で表される化合物の添加量は、通常、銀1モル当たり0.00001〜0.01モルであり、好ましくは0.0005〜0.01モル、より好ましくは0.001〜0.008モルである。
(シアン発色性ロイコ染料)
次に、シアン発色性ロイコ染料について説明する。本発明において、特にシアン発色性染料として好ましく用いられるのは、酸化されることにより600〜700nmの吸光度が増加する色像形成剤であり、特開昭59−206831号(特にλmaxが600〜700nmの範囲内にある化合物)、特開平5−204087号の一般式(I)〜一般式(IV)の化合物(具体的には段落「0032」〜「0037」に記載の(1)〜(18)の化合物)及び特開平11−231460号の一般式4〜一般式7の化合物(具体的には段落「0105」に記載されるNo.1〜No.79の化合物)である。
本発明において特に好ましく用いられるシアン発色性ロイコ染料は、下記一般式(CL)で示される。
Figure 2005208287
一般式(CL)中、R1、R2は水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、R10がアルキル基、アリール基または複素環基であるNHCO−R10基でありか、または、R1、R2は互いに連結して脂肪族炭化水素環、芳香族炭化水素環または複素環を形成する基である。Aは−NHCO−基、−CONH−基または−NHCONH−基でありR3は置換または無置換のアルキル基、アリール基または複素環基であるか、または−A−R3は水素原子であり、Wは水素原子またはR5が置換または無置換のアルキル基、アリール基または複素環基である−CONH−R5基、−CO−R5基または−CO−O−R5基であり、R4は水素原子、ハロゲン原子、置換又は無置換のアルキル基、アルコキシ基、カルバモイル基、またはニトリル基を表す。R6はR7が置換または無置換のアルキル基、アリール基または複素環基である−CONH−R7基、−CO−R7基または−CO−O−R7基である。Xは、置換または無置換のアリール基、複素環基を表す。
一般式(CL)において、ハロゲン原子としてはフッ素、臭素、塩素等、アルキル基としては炭素原子数が20までのアルキル基(メチル、エチル、ブチル、ドデシル等)、アルケニル基としては炭素原子数が20までのアルケニル基(ビニル、アリル、ブテニル、ヘキセニル、ヘキサジエニル、エテニル−2−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ペンテニル、1−メチル−3−ブテニル等)、アルコキシ基としては炭素原子数20までのアルコキシ基(メトキシ、エトキシ等)であり、アリール基としてはフェニル、ナフチル、チエニルのような炭素原子数6〜20の基、複素環基としてはチオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、ピロール等の各基である。Aは−NHCO−基、−CONH−基または−NHCONH−基でありR3は置換または無置換のアルキル基(好ましく炭素原子数20まででメチル、エチル、ブチル、ドデシル等)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20でフェニル、ナフチル、チエニル等)または複素環基(チオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、ピロール等)であるか、または−A−R3は水素原子であり、Wは水素原子またはR5が置換または無置換のアルキル基(好ましく炭素原子数20まででメチル、エチル、ブチル、ドデシル等)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20でフェニル、ナフチル、チエニル等)または複素環基(チオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、ピロール等)である−CONH−R5基、−CO−R5基または−CO−O−R5基であり、R4は水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、沃素)、鎖状若しくは環状のアルキル基(例えば、メチル基、ブチル基、ドデシル基、シクロヘキシル基など)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、ブトキシ基、テトラデシルオキシ基など)、カルバモイル基(例えば、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基など)、又はニトリル基が好ましく、これらの中でも、水素原子、アルキル基がより好ましい。前記R1とR2、R3とR4は、互いに連結して環構造を形成してもよい。上記の基はさらに単一置換基または複数の置換基を有することができ、例えばアリール基に導入することのできる典型的な置換基にはハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、アルキル基(メチル、エチル、プロピル、ブチル、ドデシル等)、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ等)、アルキルスルホンアミド基(メチルスルホンアミド、オクチルスルホンアミド等)、アリールスルホンアミド基(フェニルスルホンアミド、ナフチルスルホンアミド等)、アルキルスルファモイル基(ブチルスルファモイル等)、アリールスルファモイル(フェニルスルファモイル等)、アルキルオキシカルボニル基(メトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェニルオキシカルボニル等)、アミノスルホンアミド基、アシルアミノ基、カルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、スルホキシ基、スルホ基、アリールオキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アミノカルボニル基等が含まれる。これらの群の二つの異なった群をアリール基に導入することができる。R10またはR85は好ましくはフェニル基であり、より好ましくはハロゲン原子およびシアノ基を含む複数の置換基を有するフェニル基である。
6はR7が置換または無置換のアルキル基(好ましく炭素原子数20まででメチル、エチル、ブチル、ドデシル等)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20でフェニル、ナフチル、チエニル等)または複素環基(チオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、ピロール等)である−CONH−R7基、−CO−R7基または−CO−O−R7基である。R7が表すアルキル基の置換基としてはR1〜R4における置換基と同様のものが使用できる。X8は、置換または無置換のアリール基、複素環基を表す。アリール基としてはフェニル、ナフチル、チエニルのような炭素原子数6〜20の基、複素環基としてはチオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、ピロール等の各基である。Xで表される基が有することができる置換基としてはR1〜R4における置換基と同様のものが使用できる。Xで表される基としてはパラ位にアルキルアミノ基(ジエチルアミノ基等)の置換したアリール基または複素環基が好ましい。これらは写真的に有用な基を含んでもよい。
下記にシアン発色性ロイコ染料(CL)の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2005208287
Figure 2005208287
Figure 2005208287
シアン発色性ロイコ染料の添加量は、通常0.00001〜0.05モル/Ag1モルであり、好ましくは0.0005〜0.02モル/Ag1モル、より好ましくは0.001〜0.01モル/Ag1モルである。
一般式(YL)で表される化合物及びシアン発色性ロイコ染料の添加方法としては、一般式(RED)で表される還元剤の添加方法と同様な方法で添加することができ、溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態等、任意の方法で塗布液に含有せしめ、感光材料に含有させてよい。
一般式(YL)の化合物及びシアン発色性ロイコ染料は、有機銀塩を含有する画像形成層に含有させることが好ましいが、一方を画像形成層に、他方を該画像形成層に隣接する非画像形成層に含有させてもよく、両者を非画像形成層に含有させてもよい。又、画像形成層が複数層で構成されている場合には、それぞれ別層に含有させてもよい。
〔塗布助剤、その他〕
本発明においては、銀塩光熱写真ドライイメージング材料の表面層に(感光性層側、又支持体をはさみ感光性層の反対側に非感光性層を設けた場合にも)、現像前の取り扱いや熱現像後の画像の傷つき防止のためマット剤を含有することが好ましく、バインダーに対し、質量比で0.1〜30%含有することが好ましい。
マット剤の材質は、有機物及び無機物のいずれでもよい。例えば、無機物としては、スイス特許第330,158号等に記載のシリカ、仏国特許第1,296,995号等に記載のガラス粉、英国特許第1,173,181号等に記載のアルカリ土類金属又はカドミウム、亜鉛等の炭酸塩等をマット剤として用いることができる。有機物としては、米国特許第2,322,037号等に記載の澱粉、ベルギー特許第625,451号や英国特許第981,198号等に記載された澱粉誘導体、特公昭44−3643号等に記載のポリビニルアルコール、スイス特許第330,158号等に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号等に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号等に記載されたポリカーボネートの様な有機マット剤を用いることができる。
マット剤は平均粒径が0.5〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0〜8.0μmである。又、粒子サイズ分布の変動係数としては、50%以下であることが好ましく、更に、好ましくは40%以下であり、特に好ましくは30%以下となるマット剤である。
ここで、粒子サイズ分布の変動係数は、下記の式で表される値である。
(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
本発明に係るマット剤の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前にマット剤を噴霧する方法を用いてもよい。また複数の種類のマット剤を添加する場合は、両方の方法を併用してもよい。
〔フッ素系界面活性剤〕
本発明に係るイメージンググ材料においては、下記の一般式(SA−1)〜(SA−3)で表されるフッ素系界面活性剤を使用することが好ましい。
一般式(SA−1) (Rf−L)p−Y−(A)q
一般式(SA−2) LiO3S−(CF2n−SO3Li
一般式(SA−3) MO3S−(CF2n−SO3
(式中、Mは水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子又はアンモニウム基を表し、nは正の整数を表すが、M=Hの時n=1〜6及び8であり、M=Naの時n=4であり、M=Kの時n=1〜6であり、M=アンモニウム基の時n=1〜8である。)
前記一般式(SA−1)において、Rfはフッ素原子を含有する置換基を表すが、該フッ素原子を含有する置換基としては例えば、炭素数1〜25のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基およびオクタデシル基等)またはアルケニル基(例えば、プロペニル基、ブテニル基、ノネニル基およびドデセニル基等)等が挙げられる。
Lはフッ素原子を有さない2価の連結基を表すが、該フッ素原子を有さない2価の連結基としては例えば、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、ブチレン基等)、アルキレンオキシ基(メチレンオキシ基、エチレンオキシ基、ブチレンオキシ基等)、オキシアルキレン基(例えば、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシブチレン基等)、オキシアルキレンオキシ基(例えば、オキシメチレンオキシ基、オキシエチレンオキシ基、オキシエチレンオキシエチレンオキシ基等)、フェニレン基、オキシフェニレン基、フェニルオキシ基、オキシフェニルオキシ基またはこれらの基を組み合わせた基等が挙げられる。
Aはアニオン基またはその塩基を表すが、例えば、カルボン酸基またはその塩基(ナトリウム塩、カリウム塩およびリチウム塩)、スルホン酸基またはその塩基(ナトリウム塩、カリウム塩およびリチウム塩)および燐酸基またはその塩基(ナトリウム塩およびカリウム塩等)等が挙げられる。
Yはフッ素原子を有さない3価または4価の連結基を表すが、例えば、フッ素原子を有さない3価または4価の連結基で炭素原子または窒素原子を中心にして構成される原子群が挙げられる。pは1〜3の整数を表し、qは2〜3の整数を表す。
一般式(SA−1)で表されるフッ素系界面活性剤は、フッ素原子を導入した炭素数1〜25のアルキル化合物(例えば、トリフロロメチル基、ペンタフロロエチル基、パーフロロブチル基、パーフロロオクチル基およびパーフロロオクタデシル基等を有する化合物)およびアルケニル化合物(例えば、パーフロロヘキセニル基およびパーフロロノネニル基等)と、それぞれフッ素原子を導入していない3価〜6価のアルカノール化合物、水酸基を3〜4個有する芳香族化合物またはヘテロ化合物との付加反応や縮合反応によって得られた化合物(一部Rf化されたアルカノール化合物)に、更に例えば硫酸エステル化等によりアニオン基(A)を導入することにより得ることができる。
上記3〜6価のアルカノール化合物としては、グリセリン、ペンタエリスリトール、2−メチル−2−ヒドロキシメチル1,3−プロパンジオール、2,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルペンテン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、2,2−ビス(ブタノール)−3、脂肪族トリオール、テトラメチロールメタン、D−ソルビトール、キシリトール、D−マンニトール等が挙げられる。
また、上記水酸基を3〜4個有する芳香族化合物およびへテロ化合物としては、1,3,5−トリヒドロキシベンゼンおよび2,4,6−トリヒドロキシピリジン等が挙げられる。
一般式(SA−2)中のnは1〜4の整数を表す。
一般式(SA−3)中、Mは水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子又はアンモニウム基を表し、nは正の整数を表すが、M=Hの時n=1〜6及び8であり、M=Naの時n=4であり、M=Kの時n=1〜6であり、M=アンモニウム基の時n=1〜8である。
一般式(SA1)〜(SA−3)で表されるフッ素系界面活性剤を塗布液に添加する方法としては公知の添加法に従って添加することができる。即ち、メタノールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、ジメチルスルホキシドやジメチルホルムアミド等の極性溶媒等に溶解して添加することができる。又、サンドミル分散やジェットミル分散、超音波分散やホモジナイザー分散により1μm以下の微粒子にして水や有機溶媒に分散して添加することもできる。微粒子分散技術については多くの技術が開示されているが、これらに準じて分散することができる。当該フッ素系界面活性剤は、最外層の保護層に添加することが好ましい。
当該フッ素系界面活性剤の添加量は1m2当たり1×10-8〜1×10-1モルが好ましく、1×10-5〜1×10-2モルが特に好ましい。前者の範囲未満では、帯電特性が得られず、前者の範囲を越えると、湿度依存性が大きく高湿下の保存性が劣化する。
なお、一般式(SA−1)、一般式(SA−2)及び一般式(SA−3)で表せる界面活性剤は、それぞれ特開2003−57786、特願2002−178386、同2002−237982号明細書に開示されている。
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に用いる支持体の素材としては、各種高分子材料、ガラス、ウール布、コットン布、紙、金属(例えば、アルミニウム)等が挙げられるが、情報記録材料としての取り扱い上は可撓性のあるシート又はロールに加工できるものが好適である。従って本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料における支持体としては、プラスチックフィルム(例えばセルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、セルローストリアセテートフィルム又はポリカーボネートフィルム等)が好ましく、本発明においては2軸延伸したポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。支持体の厚みとしては50〜300μm程度、好ましくは70〜180μmである。
本発明においては帯電性を改良するために、金属酸化物及び/または導電性ポリマーなどの導電性化合物を構成層中に含ませることができる。これらはいずれの層に含有させてもよいが、好ましくは下引層、バッキング層、感光性層と下引の間の層などに含まれる。本発明においては米国特許第5,244,773号カラム14〜20に記載された導電性化合物が好ましく用いられる。
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、支持体上に少なくとも1層の感光性層を有している。支持体の上に感光性層のみを形成してもよいが、感光性層の上に少なくとも一層の非感光性層を形成するのが好ましい。例えば、感光性層の上には保護層が、感光性層を保護する目的で、又支持体の反対の面には感光材料間の、或いは感光材料ロールにおいてくっつきを防止する為に、バックコート層が設けられるのが好ましい。これらの保護層やバックコート層に用いるバインダーとしては熱現像層よりもガラス転移点が高く、擦り傷や、変形の生じにくいポリマー、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のポリマーが、前記のバインダーのなかから選ばれる。なお、階調調整等のために、本発明では、感光性層が2層以上からなることが好ましい、例えば、感光性層を支持体の一方の側に2層以上設けても、あるいは支持体の両側に1層以上設置してもよい。
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料においては、感光性層を透過する光の量または波長分布を制御するために感光性層と同じ側または反対の側にフィルター層を形成するか、感光性層に染料又は顔料を含有させることが好ましい。
用いられる染料としては、感光材料の感色性に応じて種々の波長領域の光を吸収する公知の化合物が使用できる。
例えば、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料を赤外光による画像記録材料とする場合には、特願平11−255557号に開示されているようなチオピリリウム核を有するスクアリリウム染料(本明細書ではチオピリリウムスクアリリウム染料と呼ぶ)及びピリリウム核を有するスクアリリウム染料(本明細書ではピリリウムスクアリリウム染料と呼ぶ)、又スクアリリウム染料に類似したチオピリリウムクロコニウム染料、又はピリリウムクロコニウム染料を使用することが好ましい。
尚、スクアリリウム核を有する化合物とは、分子構造中に1−シクロブテン−2−ヒドロキシ−4−オンを有する化合物であり、クロコニウム核を有する化合物とは分子構造中に1−シクロペンテン−2−ヒドロキシ−4,5−ジオンを有する化合物である。ここで、ヒドロキシル基は解離していてもよい。以下本明細書ではこれらの色素を便宜的に一括してスクアリリウム染料とよぶ。
なお、染料としては特開平8−201959号の化合物も好ましい。
〔層構成及び塗布条件等〕
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、上述した各構成層の素材を溶媒に溶解又は分散させた塗布液を作り、それら塗布液を複数同時に重層塗布した後、加熱処理を行って形成されることが好ましい。ここで「複数同時に重層塗布」とは、各構成層(例えば感光性層、保護層)の塗布液を作製し、これを支持体へ塗布する際に各層個別に塗布、乾燥の繰り返しをするのではなく、同時に重層塗布を行い乾燥する工程も同時に行える状態で各構成層を形成しうることを意味する。
各構成層を複数同時に重層塗布する方法には特に制限はなく、例えばバーコーター法、カーテンコート法、浸漬法、エアーナイフ法、ホッパー塗布法、エクストリュージョン塗布法などの公知の方法を用いることができる。これらのうちより好ましくはエクストリュージョン塗布法と呼ばれる前計量タイプの塗布方式である。該エクストリュージョン塗布法はスライド塗布方式のようにスライド面での揮発がないため、精密塗布、有機溶剤塗布に適している。この塗布方法は感光性層を有する側について述べたが、バックコート層を設ける際、下引きとともに塗布する場合についても同様である。
本発明では、銀塗布量が、0.5g/m2以上、2.0g/m2以下であることが好ましい、更には1.0g/m2以上、1.5g/m2以下が好ましい。
また、本発明では、ハロゲン化銀粒子乳剤において、粒径0.030μm以上、0.055μm以下のハロゲン化銀粒子の銀換算含有量が、銀塗布量が0.5g/m2以上1.5g/m2以下の範囲で、3%以上、15%以下であることが好ましい。
当該塗布銀量の内、ハロゲン化銀に由来するものは全銀量に対して2〜18%を占めることが好ましい、更には3〜15%がより好ましい。
また本発明において、0.01μm以上(球相当換算粒径)のハロゲン化銀粒子の塗布密度は1×1014個/m2以上、1×1018個/m2以下が好ましい。更には、1×1015個/m2以上、1×1017個/m2以下が好ましい。
更に本発明の脂肪族カルボン酸銀塩の塗布密度は、0.01μm以上(球相当換算粒径)のハロゲン化銀粒子1個当たり、10-17g以上、10-15g以下、更には10-16g以上、10-14g以下が好ましい。
上記のような範囲内の条件において塗布した場合には、一定塗布銀量当たりの銀画像の光学的最高濃度、即ち、銀被覆量(カバーリング・パワー)及び銀画像の色調等の観点から好ましい結果が得られる。
〔露光条件〕
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料の露光は、当該感光材料に付与した感色性に対し、適切な光源を用いることが望ましい。例えば、当該感光材料を赤外光に感じ得るものとした場合は、赤外光域ならば如何なる光源にも適用可能であるが、レーザパワーがハイパワーであることや、感光材料を透明にできる等の点から、赤外半導体レーザ(780nm、820nm)がより好ましく用いられる。
本発明において、露光はレーザ走査露光により行うことが好ましいが、その露光方法には種々の方法が採用できる。例えば、第1の好ましい方法として、感光材料の露光面と走査レーザ光のなす角が実質的に垂直になることがないレーザ走査露光機を用いる方法が挙げられる。
ここで、「実質的に垂直になることがない」とは、レーザ走査中に最も垂直に近い角度として、好ましくは55度以上、88度以下、より好ましくは60度以上、86度以下、更に好ましくは65度以上、84度以下、最も好ましくは70度以上、82度以下であることをいう。
レーザ光が、感光材料に走査されるときの感光材料露光面でのビームスポット直径は、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。これは、スポット径が小さい方がレーザ入射角度の垂直からのずらし角度を減らせる点で好ましい。なお、ビームスポット直径の下限は10μmである。このようなレーザ走査露光を行うことにより干渉縞様のムラの発生等のような反射光に係る画質劣化を減じることが出来る。
また、第2の方法として、露光を縦マルチである走査レーザ光を発するレーザ走査露光機を用いて行うことが好ましい。縦単一モードの走査レーザ光に比べて干渉縞様のムラの発生等の画質劣化が減少する。
縦マルチ化するには、合波による戻り光を利用する、高周波重畳をかけるなどの方法がよい。なお、縦マルチとは露光波長が単一でないことを意味し、通常露光波長の分布が5nm以上、好ましくは10nm以上になるとよい。露光波長の分布の上限には特に制限はないが、通常60nm程度である。
なお、上述した第1、第2の態様の画像記録方法において、走査露光に用いるレーザとしては、一般によく知られている、ルビーレーザ、YAGレーザ、ガラスレーザ等の固体レーザ;HeNeレーザ、Arイオンレーザ、Krイオンレーザ、CO2レーザ、COレーザ、HeCdレーザ、N2レーザ、エキシマーレーザ等の気体レーザ;InGaPレーザ、AlGaAsレーザ、GaAsPレーザ、InGaAsレーザ、InAsPレーザ、CdSnP2レーザ、GaSbレーザ等の半導体レーザ;化学レーザ、色素レーザ等を用途に併せて適時選択して使用できるが、これらの中でもメンテナンスや光源の大きさの問題から、波長が600〜1200nmの半導体レーザを用いるのが好ましい。なお、レーザ・イメージャやレーザ・イメージセッタで使用されるレーザにおいて、銀塩光熱写真ドライイメージング材料に走査されるときの該材料露光面でのビームスポット径は、一般に短軸径として5〜75μm、長軸径として5〜100μmの範囲であり、レーザ光走査速度は銀塩光熱写真ドライイメージング材料固有のレーザ発振波長における感度とレーザパワーによって、感光材料毎に最適な値に設定することができる。
〔現像条件〕
本発明において、現像条件は使用する機器、装置、或いは手段に依存して変化するが、典型的には適した高温において、像様に露光した銀塩光熱写真ドライイメージング材料を加熱することを伴う。露光後に得られた潜像は、中程度の高温(例えば、約100〜200℃)で十分な時間(一般には約1秒〜約2分間)、銀塩光熱写真ドライイメージング材料を加熱することにより現像することができる。加熱温度が100℃以下では短時間に十分な画像濃度が得られず、又200℃以上ではバインダーが溶融し、ローラーへの転写など、画像そのものだけでなく搬送性や、現像機等へも悪影響を及ぼす。加熱することで脂肪族カルボン酸銀塩等から供給される銀イオン(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応により銀画像を生成する。この反応過程は、外部からの水等の処理液の一切の供給なしに進行する。
加熱する機器、装置、手段はホットプレート、アイロン、ホットローラー、炭素又は白色チタン等を用いた熱発生器として典型的な加熱手段で行ってよい。より好ましくは本発明の保護層の設けられた銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、保護層を有する側の面を加熱手段と接触させ加熱処理するのが、均一な加熱を行う上で、又熱効率、作業性の点などから好ましく、該面をヒートローラに接触させながら搬送し加熱処理して現像することが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
《下引加工した写真用支持体の作製》
光学濃度0.170(コニカミノルタフォトイメージング(株)製デンシトメータPDA−65で測定)に青色着色した2軸延伸熱固定した厚さ175μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの両面に、8W・分/m2のコロナ放電処理を施した写真用支持体に、下引加工を行った。即ち、この写真用支持体の一方の面に下引塗布液a−1を乾燥膜厚が0.2μmになるように22℃、100m/分で塗設し、140℃で乾燥して画像形成層側下引層を形成した(下引下層A−1という)。また、反対側の面にバッキング層下引層として下記下引塗布液b−1を乾燥膜厚が0.12μmになるように22℃、100m/分で塗設し、140℃で乾燥させてバッキング層側に帯電防止機能を持つ下引導電層(下引下層B−1という)を塗設した。下引下層A−1と下引下層B−1の上表面に、8W・分/m2のコロナ放電を施し、下引下層A−1の上には下記下引塗布液a−2を乾燥膜厚0.03μmになる様に33℃、100m/分で塗設し、140℃で乾燥させて下引上層A−2とし、下引下層B−1の上には下記下引塗布液b−2を乾燥膜厚0.2μmになる様に33℃、100m/分で塗設し、140℃で乾燥させて下引上層B−2とし、更に123℃で2分間支持体を熱処理し25℃50%RHの条件下で巻き取り、下引済み試料を作製した。
[水性ポリエステルA−1溶液の調製]
テレフタル酸ジメチル35.4質量部、イソフタル酸ジメチル33.63質量部、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩17.92質量部、エチレングリコール62質量部、酢酸カルシウム・1水塩0.065質量部、酢酸マンガン四水塩0.022質量部を、窒素気流下において、170〜220℃でメタノールを留去しながらエステル交換反応を行った後、リン酸トリメチル0.04質量部、重縮合触媒とし三酸化アンチモン0.04質量部及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸6.8質量部を加え、220〜235℃の反応温度で、ほぼ理論量の水を留去しエステル化を行った。
その後、更に反応系内を約1時間かけて減圧、昇温し最終的に280℃、133Pa以下で約1時間重縮合を行い、水性ポリエステルA−1を合成した。得られた水性ポリエステルA−1の固有粘度は0.33、平均粒径は40nm、Mw=80000〜100000であった。
次いで、撹拌翼、環流冷却管、温度計を付した2Lの3つ口フラスコに、純水850mlを入れ、撹拌翼を回転させながら、水性ポリエステルA−1を150g徐々に添加した。室温でこのまま30分間撹拌した後、1.5時間かけて内温が98℃になるように加熱し、この温度で3時間加熱溶解した。加熱終了後、1時間かけて室温まで冷却し、一夜放置して、15質量%の水性ポリエステルA−1溶液を調製した。
[変性水性ポリエステルB−1〜2溶液の調製]
撹拌翼、環流冷却管、温度計、滴下ロートを付した3Lの4つ口フラスコに、前記15質量%の水性ポリエステルA−1溶液1900mlを入れ、撹拌翼を回転させながら、内温度を80℃まで加熱する。この中に、過酸化アンモニウムの24%水溶液を6.52ml加え、モノマー混合液(メタクリル酸グリシジル28.5g、アクリル酸エチル21.4g、メタクリル酸メチル21.4g)を30分間かけて滴下し、更に3時間反応を続ける。その後、30℃以下まで冷却、濾過して、固形分濃度が18質量%の変性水性ポリエステルB−1溶液(ビニル系成分変性比率20質量%)を調製した。
ビニル変性比率を36質量%にし、変性成分をスチレン:グリシジルメタクリレート:アセトアセトキシエチルメタクリレート:n−ブチルアクリレート=39.5:40:20:0.5にした以外は同様にして、固形分濃度が18質量%の変性水性ポリエステルB−2溶液(ビニル系成分変性比率20質量%)を調製した。
[アクリル系ポリマーラテックスC−1〜C−3の作製]
乳化重合により、下表に示すモノマー組成を有するアクリル系ポリマーラテックスC−1〜C−3を合成した。固形分濃度はすべて30質量%とした。
Figure 2005208287
《ポリビニルアルコールユニットを含有する水性ポリマー》
D−1:PVA−617(クラレ(株)の水分散物(固形分5%):ケン化度95)
[画像形成層側下引下層用塗布液a−1]
アクリル系ポリマーラテックスC−3(固形分30%) 70.0g
エトキシ化アルコールとエチレンホモポリマーの水分散物(固形分10%)5.0g
界面活性剤(A) 0.1g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とした。
《画像形成層側下引上層用塗布液a−2》
変性水性ポリエステルB−2(18質量%) 30.0g
界面活性剤(A) 0.1g
真球状シリカマット剤(日本触媒(株)製 シーホスターKE−P50)0.04g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とした。
[バッキング層側下引下層用塗布液b−1]
アクリル系ポリマーラテックスC−1(固形分30%) 30.0g
アクリル系ポリマーラテックスC−2(固形分30%) 7.6g
SnO2ゾル 180g
(特公昭35−6616号公報の実施例1に記載の方法で合成したSnO2ゾルを固形分濃度が10質量%になるように加熱濃縮した後、アンモニア水でpH=10に調整したもの)
界面活性剤(A) 0.5g
PVA−613(クラレ(株)製 PVA)5質量%水溶液 0.4g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とした。
[バッキング層側下引上層用塗布液b−2]
変性水性ポリエステルB−1(18質量%) 145.0g
真球状シリカマット剤(日本触媒(株)製 シーホスターKE−P50) 0.2g
界面活性剤(A) 0.1g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とした。
なお、前記下引層を施した支持体の下引層A−2上には下記の組成のハレーション防止層を塗設した。
(ハレーション防止層塗布組成)
PVB−1(結合剤) 0.8g/m2
C1(染料) 1.2×10-5モル/m2
一方、バック面側には以下の付量(1m2当たり)となるように調製したBC層及びその保護層用の各塗布液を前記の下引上層B−2上に順次塗布・乾燥してBC層及び保護層を形成した。
(BC層組成)
PVB−1(結合剤) 1.8g
C1(染料) 1.2×10-5モル
(BC層保護層塗布液)
セルロースアセテートブチレート 1.1g
マット剤(ポリメチルメタクリレート:平均粒子径5μm) 0.12g
帯電防止剤:F−EO 250mg
帯電防止剤:F−DS1 30mg
Figure 2005208287
なお、結合剤はポリアセタールを使用し、有機溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)を使用した。ポリアセタールは、重合度500のポリ酢酸ビニルを98%鹸化後、残存水酸基の86%をブチラール化し、これをPVB−1と称す。
《感光性ハロゲン化銀乳剤の調製》
〔感光性ハロゲン化銀乳剤1の調製〕
(溶液A1)
フェニルカルバモイル化ゼラチン 88.3g
化合物A(*1)(10%メタノール水溶液) 10ml
臭化カリウム 0.32g
水で5429mlに仕上げる
(溶液B1)
0.67モル/L硝酸銀水溶液 2635ml
(溶液C1)
臭化カリウム 51.55g
沃化カリウム 1.47g
水で660mlに仕上げる
(溶液D1)
臭化カリウム 154.9g
沃化カリウム 4.41g
3IrCl6(4×10-5モル/Ag相当) 50.0ml
水で1982mlに仕上げる
(溶液E1)
0.4モル/L臭化カリウム水溶液 下記銀電位制御量
(溶液F1)
水酸化カリウム 0.71g
水で20mlに仕上げる
(溶液G1)
56%酢酸水溶液 18.0ml
(溶液H1)
無水炭酸ナトリウム 1.72g
水で151mlに仕上げる
(*1)化合物A:
HO(CH2CH2O)n(CH(CH3)CH2O)17(CH2CH2O)m
(m+n=5〜7)
特公昭58−58288号に記載の混合撹拌機を用いて、溶液A1に、溶液B1の1/4量及び溶液C1の全量を温度32℃、pAg8.09に制御しながら、同時混合法により4分45秒を要して添加し、核形成を行った。1分後、溶液F1の全量を添加した。この間pAgの調整を、溶液E1を用いて適宜行った。6分間経過後、溶液B1の3/4量及び溶液D1の全量を、温度32℃、pAg8.09に制御しながら、同時混合法により14分15秒かけて添加した。5分間撹拌した後、40℃に昇温し、溶液G1を全量添加し、ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分2000mlを残して上澄み液を取り除き、水を10L加え、撹拌後、再度ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄み液を取り除き、更に水を10L加え、撹拌後、ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄み液を取り除いた後、溶液H1を加え、60℃に昇温し、更に120分撹拌した。最後にpHが5.8になるように調整し、銀量1モル当たり1161gになるように水を添加し、乳剤を得た。
この乳剤は平均粒子サイズ0.040μm、粒子サイズの変動係数12%、〔100〕面比率92%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった。
〔感光性ハロゲン化銀乳剤2の調製〕
上記感光性ハロゲン化銀乳剤1の調製において、核生成後に溶液F1の全量を添加した後に、下記の化合物(ETTU)の0.1%エタノール溶液を4ml添加した以外は同様にして感光性ハロゲン化銀乳剤2を調製した。
この乳剤は平均粒子サイズ0.042μm、粒子サイズの変動係数10%、〔100〕面比率94%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった。
Figure 2005208287
《感光性層塗布液の調製》
(粉末脂肪族カルボン酸銀塩の調製)
表3に記載の脂肪族カルボン酸モル比率(Be:ベヘン酸、Ar:アラキジン酸、St:ステアリン酸)で脂肪族カルボン酸2.6モル、純水10L、5M/Lの水酸化カリウム水溶液0.47Lを混合し、75℃1時間撹拌して脂肪族カルボン酸カリウム塩溶液A、B、Cをそれぞれ調製した。
30℃に保温された容器内の純水38Lと上記感光性ハロゲン化銀乳剤1又は2の453gを混合した液中に、別に用意した1M/Lの硝酸銀水溶液7Lと前記脂肪族カルボン酸カリウム塩溶液A、B、Cをこの順序に表3に記載のパターンで添加した。硝酸銀水溶液の添加は19.5分で一定とし、脂肪族カルボン酸カリウム塩溶液は全量を20分又は21分(表3に記載)かけて添加した。この時、反応容器内の液温度は30℃で一定になるようにコントロールした。添加中、脂肪族カルボン酸カリウム塩溶液は75℃、硝酸銀水溶液は10℃に保温し、脂肪族カルボン酸カリウム塩溶液と硝酸銀水溶液の添加位置が、撹拌軸を中心として対象になるように添加ノズルの位置を設定した。添加終了後、そのままの温度で5分間撹拌し、脂肪族カルボン酸銀塩分散物を得た。
Figure 2005208287
その後、得られた脂肪族カルボン酸銀塩分散物を水洗容器に移し、脱イオン水を加えて撹拌後、静置させて脂肪族カルボン酸銀塩分散物を浮上分離させ、下方の水溶性塩類を除去した。その後、排水の電導度が50μS/cmになるまで脱イオン水による水洗、排水を繰り返し、遠心脱水を実施した後、得られたケーキ状の脂肪族カルボン酸銀塩を、気流式乾燥機フラッシュジェットドライヤー(株式会社セイシン企業製)を用いて、窒素ガス雰囲気及び乾燥機入り口熱風温度65℃、出口温度40℃の運転条件により、含水率が0.1%になるまで乾燥して、粉末脂肪族カルボン酸銀塩を得た。脂肪族カルボン酸銀塩組成物の含水率測定には赤外線水分計を使用した。
(予備分散液の調製)
ポリビニルブチラール樹脂P−9 14.57gをメチルエチルケトン(以下、MEKと略す)1457gに溶解し、VMA−GETZMANN社製ディゾルバDISPERMAT CA−40M型にて撹拌しながら、上記粉末脂肪族カルボン酸銀塩を500g、徐々に添加して十分に混合することにより予備分散液を調製した。
(感光性乳剤分散液Aの調製)
上記調製した予備分散液を、ポンプを用いてミル内滞留時間が1.5分間となるように、0.5mm径のジルコニアビーズ(東レ製トレセラム)を内容積の80%充填したメディア型分散機DISPERMAT SL−C12EX型(VMA−GETZMANN社製)に供給し、ミル周速8m/sにて分散を行なうことにより感光性乳剤分散液Aを調製した。
(安定剤液の調製)
1.0gの安定剤1、0.31gの酢酸カリウムをメタノール14.97gに溶解し安定剤液を調製した。
(赤外増感色素液Aの調製)
19.2mgの赤外増感色素1、10mgの赤外増感色素2、1.48gの2−クロロ−安息香酸、2.78gの安定剤2及び365mgの5−メチル−2−メルカプトベンズイミダゾールを、131.3mlのMEKに暗所にて溶解し、赤外増感色素液Aを調製した。
(添加液aの調製)
現像剤RED−17を43.56gと1.54gの4−メチルフタル酸、0.15gの前記赤外染料1、0.35gのロイコ染料YL−1をMEK170gに溶解し、添加液aとした。
(添加液bの調製)
3.56gのOFI−65、3.43gのフタラジンをMEK50.5gに溶解し、添加液bとした。
(感光性層塗布液Aの調製)
不活性気体雰囲気下(窒素97%)において、前記感光性乳剤分散液A(50g)及びMEK15.11gを撹拌しながら21℃に保温し、カブリ防止剤1(10%メタノール溶液)390μlを加え、1時間撹拌した。更に臭化カルシウム(10%メタノール溶液)494μlを添加して20分撹拌した。続いて、前記安定剤液582μlを添加して10分間撹拌した後、4.11gの前記赤外増感色素液Aを添加して1時間撹拌した。その後、温度を13℃まで降温して更に30分撹拌した。13℃に保温したまま、バインダー樹脂としてポリビニルアセタール樹脂P−1を13.31g添加して30分撹拌した後、テトラクロロフタル酸(9.4質量%MEK溶液)1.084gを添加して15分間撹拌した。更に撹拌を続けながら、21.56gの添加液a、1.6mlのDesmodurN3300/モーベイ社製の脂肪族イソシアネート(10%MEK溶液)、5.75gの添加液b、を順次添加し撹拌することにより感光性層塗布液Aを得た。
Figure 2005208287
《表面保護層塗布液》
以下の付量(1m2当たり)になるように下記組成の塗布液を調製した。
セルロースアセテートプロピオネート 2.0g
4−メチルフタル酸 0.7g
テトラクロロフタル酸 0.2g
テトラクロロフタル酸無水物 0.5g
シリカマット剤(平均粒径5μm) 0.5g
1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノール 50mg
CV−137 50mg
ベンゾトリアゾール 30mg
帯電防止剤:F−EO 20mg
帯電防止剤:F−DS1 3mg
《銀塩光熱写真ドライイメージング材料試料の作製》
上記調製した感光性層塗布液Aと表面保護層塗布液とを、公知のエクストルージョン型コーターを用いて、前記作製した支持体の下引層上に、同時に重層塗布することにより試料を作製した。塗布は、感光性層が塗布銀量1.5g/m2、表面保護層が乾燥膜厚で2.5μmになる様にして行った。その後、乾燥温度75℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて、10分間乾燥を行い、試料を作製した。
《各特性値の評価》
(露光及び現像処理)
上記のように作製した各試料の感光性層塗設面側から、高周波重畳にて波長800〜820nmの縦マルチモード化された半導体レーザを露光源とした露光機により、レーザ走査による露光を与えた。この際に、試料の露光面と露光レーザ光の角度を75度として画像を形成した。この方法は、当該角度を90度とした場合に比べ、ムラが少なく、かつ予想外に鮮鋭性等が良好な画像が得られた。
その後、ヒートドラムを有する自動現像機を用いて、試料の表面保護層とドラム表面が接触するようにして、123℃で15秒熱現像処理した。その際、露光及び現像は23℃、50%RHに調湿した部屋で行った。
(感度及びカブリ濃度の測定)
上記のようにして得られた形成画像を濃度計を用いて濃度測定を行い、横軸−露光量、縦軸−濃度からなる特性曲線を作成した。特性曲線において、感度は未露光部分よりも1.0高い濃度を与える露光量の逆数を感度と定義し、併せてカブリ濃度(Dmin)の測定をした。なお、感度は、試料No.1を100とする相対感度で表した。
(保存湿度違い試料の現像による画像濃度変動の測定)
上記処理の前に試料を23℃/20%Rh、23℃/50%Rh、23℃/80%の暗室にそれぞれ3日放置した後、上記のようにして露光及び現像処理し、得られた形成画像を濃度計を用いて濃度測定を行った。濃度測定結果から、23℃50%Rhの暗室に3日保存した試料が濃度1.0を与える露光量における23℃/20%Rh暗室及び23℃80%Rh暗室に3日保存された試料の濃度を求め、その△を湿度依存性として評価した。
Figure 2005208287
尚、表中露光前加熱処理の相対感度の数値は、感光材料に白色光露光する前に熱現像温度で感光材料を熱処理し、その後に光学楔を通して白色光露光(4874K、30秒)して熱現像した場合の感度と、露光前に熱処理せずに前記と同じ条件下で白色光露光して熱現像した場合の感度との比較において、後者の感度を100としたときの前者の感度相対値を示した。なお、この相対比較において感光材料に白色光露光する前に熱現像温度で感光材料を熱処理した試料の相対感度の減少の主因は、分光増感効果の消失乃至減少によりハロゲン化銀粒子の表面感度と内部感度の相対的関係が変化したことによるものであることが分光感度スペクトルの変化等の観察/測定により確認された。
表4より明らかなように、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、比較に比べ、カブリ(Dmin)が同等以下でありながら、感度が同等以上であり、特に環境湿度違いによる保存安定性及び、処理安定性に優れていることが判る。また、No.10、12、14の結果は、それぞれ、No.9、11、13に比べ良化しており、表面をコーティングすることで本発明の効果を更に発現させていることが判る。更に、No.9、11、13の結果から、脂肪族カルボン酸銀塩を構成する脂肪族カルボン酸において、添加比率が最も高い脂肪族カルボン酸が50%以上である場合に、本発明の効果を顕著に発現していることが判る。
実施例2
表5記載の添加パターンにより、実施例1と同様の方法で脂肪族カルボン酸銀塩を調製し、脂肪族カルボン酸銀塩の乾燥粉末に分散工程の前に予め表4記載の熱処理を施した。各脂肪族カルボン酸銀塩を用い実施例1と同様の方法で塗布試料を得、実施例1と同様にして評価した。尚、感光性ハロゲン化銀乳剤は実施例1の感光性ハロゲン化銀乳剤2を使用した。
Figure 2005208287
Figure 2005208287
表6より明らかなように、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、比較に比べ、カブリ濃度(Dmin)が同等以下でありながら、感度が同等以上であり、環境湿度違いによる保存安定性及び、処理安定性に優れていることが判る。

Claims (5)

  1. 非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子、感光性ハロゲン化銀粒子、銀イオン還元剤及び、バインダーを含有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子が表面と内部で銀解離性が異なる構造を有し、且つ該感光性ハロゲン化銀粒子が、熱現像過程により表面潜像型から内部潜像型に変換することにより、表面感度が熱現像前より低下する感光性ハロゲン化銀粒子であることを特徴とする銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
  2. 非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子が、その内部と表面において脂肪族カルボン酸と脂肪族カルボン酸銀塩の含有比率が異なる構造を有していることを特徴とする請求項1記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
  3. 非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子が、表面をコーティングした構造を有することを特徴とする請求項1記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
  4. 非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子が、80℃以上で熱処理されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
  5. 非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子を構成する全脂肪族カルボン酸銀の50モル%以上が1種の脂肪族カルボン酸銀であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
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